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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】可動停止要素を有する超音波溶着装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
B23K20/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022525799
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019080247
(87)【国際公開番号】W WO2021089123
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】522080546
【氏名又は名称】シュンク ソノジステム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】トムズ, エノ
(72)【発明者】
【氏名】ムラー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ワゲンバッハ, ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーナー, ヴァルデマー
(72)【発明者】
【氏名】グンター, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】コーゼキー, ダリウス
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】コホ, オイゲン
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0200827(US,A1)
【文献】特表2016-524279(JP,A)
【文献】特開2001-025883(JP,A)
【文献】特表2018-534744(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103807(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/00 - 20/26
H01R 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソノトロード(3)、
アンビル(5)、
接触要素(7)、
横摺動部(9)、
第1の停止要素(11)、
駆動装置(29)、及び
複数の接合相手部材(15)を受け入れる収容室(13)、を含み、
前記収容室は、第1の側が前記ソノトロードの表面(21)により規定され、かつ前記第1の側に対向する第2の側が前記アンビルの表面(23)により規定され、
前記収容室はさらに、第3の側が前記接触要素の表面(25)により規定され、かつ前記第3の側に対向する第4の側が前記横摺動部の表面(27)により規定され、
前記第1の停止要素は引込み位置と引抜き位置の間で変位でき、
前記第1の停止要素は、前記引込み位置では、前記第1から第4の側に対して横切って延びる第5の側で前記収容室を規定し、前記引抜き位置では、前記収容室を前記第5の側で開いた状態に維持し、
前記駆動装置(29)は、前記第1の停止要素を前記引込み位置と前記引抜き位置の間で能動的に変位させるように構成され、
前記収容室内の一接合相手部材の存在を検出し、検出信号を生成するように順応された接合相手部材検出装置(37)をさらに含み、
前記駆動装置は、前記検出信号に依存して、前記第1の停止要素を前記引込み位置と前記引抜き位置の間で自動的に変位させるように構成され、
使用者による入力に基づいて要求データを生成するように順応された人と機器のインターフェース(39)をさらに含み、
前記駆動装置は、前記要求データに依存して、前記第1の停止要素を前記引込み位置と前記引抜き位置の間で自動的に変位させるように構成される、超音波溶着装置(1)。
【請求項2】
前記駆動装置は、電動モータ、油圧システム、又は空気圧システムによって前記第1の停止要素を変位させるように構成される、請求項1に記載の超音波溶着装置。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記第1の停止要素を前記引込み位置と前記引抜き位置の間で直線的に変位させるように構成される、請求項1又は2に記載の超音波溶着装置。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記第1の停止要素を前記引込み位置と前記引抜き位置の間で枢動させるように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の超音波溶着装置。
【請求項5】
前記第1の停止要素が前記引込み位置に到達したことを検出し、引込み信号を生成するか、及び/又は前記第1の停止要素が前記引抜き位置に到達したことを検出し、引抜き信号を生成するように構成されるセンサーシステム(41)をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の超音波溶着装置。
【請求項6】
前記引込み位置と前記引抜き位置の間の変位移動中に前記第1の停止要素を案内するためのガイド(47)をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の超音波溶着装置。
【請求項7】
前記第1の停止要素は、前記収容室を一枚板(12)で規定する、請求項1~のいずれか1項に記載の超音波溶着装置。
【請求項8】
さらに第2の停止要素(49)を備え、前記第2の停止要素は、引込み位置と引抜き位置の間で変位可能であり、前記第2の停止要素は、前記引込み位置では前記第1の側から第4の側に対して横切って延び、かつ前記第5の側に対向する第6の側の少なくとも一部の領域で前記収容室を規定し、前記引抜き位置では前記収容室を前記第6の側で開いた状態に維持する、請求項1~のいずれか1項に記載の超音波溶着装置。
【請求項9】
前記第2の停止要素は、それぞれが前記第6の側に沿った方向に延び、かつ互いに平行な複数の細長いセグメント(51)を含み、
前記セグメントの各々は、隣接するセグメントとは独立して、前記引込み位置と前記引抜き位置の間で変位可能である、請求項に記載の超音波溶着装置。
【請求項10】
前記セグメントのうちの少なくともいくつかはそれぞれの関連するセグメント移動要素(53)に弾性的に保持され、これらのセグメントが前記引込み位置に向かって力が作動されると、前記引込み位置に向かって弾性的に付勢される、請求項に記載の超音波溶着装置。
【請求項11】
前記第2の停止要素を駆動する駆動装置、前記収容室内の前記第2の停止要素に近い前記複数の接合相手部材を検出する接合相手部材検出装置、前記第2の停止要素の現在位置を検出するセンサーシステム、及び/又は前記第2の停止要素の変位移動を案内するガイドをさらに含む、請求項10のいずれか1項に記載の超音波溶着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波溶着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技術分野において、2つの部品を機械的に確実にかつ/あるいは電気的に結合することが必要な場合がある。例えば、様々な目的で、ケーブル又はその素線を機械的かつ電気的に結合することが必要となる場合がある。これは、例えば、ワイヤーハーネス又はケーブル織機を製造するのに使用することができ、これを用いて、例えば、車両内の電気消費部材を、互いに、エネルギー源及び/又は制御システムに電気的に接続することができる。
【0003】
いわゆる超音波溶着は、2つの導電性部品同士を物質的に結合させ、高い強度と良好な電気伝導性を持たせるために開発された。これは特殊な形態の摩擦溶着で、接合相手部材又は溶着物とも呼ばれる複数の接合対象部材を互いに面接触させ、低圧かつ高周波の機械的振動のもとで互いに移動させるものである。この場合、ソノトロード(sonotrode:超音波を発生し、その振動エネルギーを媒体に伝える装置)の助けを借りて振動を発生させ、典型的には20kHz~50kHzの周波数の超音波振動を生成し、各接合相手部材の少なくとも一方に伝達する。その結果、塑性流動により、各接合相手部材の材料が必ずしも溶融することなく、接合相手部材同士が表面近くで浸透又はかみ合わされる。そのため、超音波溶着は、各接合相手部材に及ぼす影響が少なく、迅速かつ経済的にこれらの部材を接合することができる。
【0004】
超音波溶着は、特に、接合される2本以上のケーブルの素線、又は、例えば、一緒に溶着されるケーブルの素線の2本以上の個々のワイヤなどの金属接合相手部材の溶着にも使用することができる。この目的のために、各接合相手部材を一般に超音波溶着装置の収容室に挿入し、次に超音波振動するソノトロードとアンビルの間で一つに溶着する。
【0005】
超音波溶着における、超音波溶着過程の各接合相手部材の相対的な位置決めは、生成される溶着の品質に大きな影響を及ぼす可能性がある。特に、接合相手部材として溶着される1本、2本又はそれ以上の数の素線の端部を、超音波溶着装置の収容室でソノトロードとアンビルの間で互いにほぼ整列して収容するように、互いにできるだけ正確に重ね合わせて配置して1つに溶着する必要がある。
【0006】
今まで、超音波溶着装置の操作者は、溶着するケーブルの素線を超音波溶着装置の収容室内に正しく配置することにしばしば気を配らなければならなかった。このため、素線の端部を合わせるための目印を収容室内に設ける必要があった。
【0007】
いわゆるエンドスプライスの形でケーブルを溶着するために、すなわち、両方のケーブルを同じ方向から超音波溶着装置の収容室に挿入する場合、いわゆる素線端停止の形の停止要素を手動で取り付け板にねじ込み、次にこの取り付け板を超音波溶着装置の適切な位置に取り付けることも知られていた。ケーブルの素線を、その前面が停止要素に接するように、収容室内に配置することができた。しかし、このような停止要素の取り付けは複雑で、かつ使用しないときは再び取り外さなければならなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の要約および有利な実施形態
2つ以上の接合相手部材を溶着する超音波溶着装置には、操作が簡単で、かつ/あるいは、様々な目的、特に異なる種類の溶着スプライスを製造するための簡単な方法で構成することができることが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような要求は、独立請求項の発明の主題により満たされる。有利な実施形態は、従属請求項及び以下の説明で定義される。
【0010】
本発明の一態様によれば、ソノトロード、アンビル、接触要素、横摺動部、各接合相手部材を収容する収容室、ならびに停止要素及び駆動装置を含む超音波溶着装置が説明される。この停止要素を、以下に説明するように、少なくとも1つの追加の停止要素が必要に応じて提供されるので、本明細書では第1の停止要素と称する。収容室は、第1の側がソノトロードの表面により規定され、第1の側に対向する第2の側がアンビルの表面により規定される。さらに、収容室は、第3の側が接触要素の表面により規定され、第3の側に対向する第4の側が横摺動部の表面により規定される。第1の停止要素は、引込み位置と引抜き位置の間で変位できる。第1の停止要素は、引込み位置では、第1から第4の側に対して横切って延びる第5の側で収容室を規定し、引抜き位置では、第5の側で収容室を開けたままにする。駆動装置は、引込み位置と引抜き位置の間で第1の停止要素を能動的に変位させるように構成される。
【0011】
本発明の範囲を何ら限定することなく、本発明の実施形態に関連する着想及び可能な構造は、特に、以下に説明する思考及び知見に基づくものと考えることができる。
【0012】
溶着される各接合相手部材は、溶着過程前及び溶着過程中に超音波溶着装置の収容室に受け入れられる。収容室は、通常、各接合相手部材を限られた容積だけで収容するように、少なくとも4つの側で規定される。対向する2つの側、例えば、上部と下部において、収容室は、一方ではソノトロードの表面により、他方ではアンビルの表面により規定されることがある。ソノトロード及び/又はアンビルは、これら2つの構成要素が互いに関連して、互いに向かって又は互いから離れて移動するように変位可能であってもよく、このようにして、収容室は、第1の方向、例えば、垂直方向に小さく又は大きくすることができる。先に述べた2つの側に対して横方向に、好ましくは直角に延びるさらに2つの対向する側、例えば、左側と右側において、収容室は、一方では接触要素の表面により、他方では横摺動部の表面により規定されてもよい。接触要素及び/又は横摺動部は、これら2つの構成要素が互いに向かって又は互いから離れて移動されるように、再び変位可能であってよく、このようにして、収容室を、上記第1の方向に対して直角に延びる第2の方向に小さく又は大きくすることができる。この場合、これらの構成要素の表面は、枠、特に四角形の枠のように収容室を囲むことができる。前記構成要素により規定されていない第5又は第6の側で、各接合相手部材は枠状に囲まれた収容室に挿入又は押し込まれる。
【0013】
「一方の側で収容室を規定する」という表現は、それぞれの場合に述べる構成要素のそれぞれの表面により、各接合相手部材がこの表面により形成される境界を越えて移動できないようになるという趣旨で理解すればよい。この目的のために、それぞれの表面は、それぞれの側で収容室を完全に覆ってよい。しかしながら、各接合相手部材が収容室内に保持されることが確保される限り、それぞれの側で収容室を部分的に被覆するだけでも十分である。
【0014】
それぞれ対向する2つの構成要素、すなわち、ソノトロードとアンビル、又は接触要素と横摺動部は、好ましくは、収容室の容積を一時的に減少させ、特に、そこに収容された各接合相手部材を互いに接触するように押すことができるように、互いに対して、特に互いに向かって、移動させることができる。
【0015】
各接合相手部材を比較的小さな収容室(この収容室は、ほぼ細長い各接合相手部材が収容室に押しこまれるか挿入される方向に対して横方向に前述の4つの構成要素により枠状に囲まれている)のみに提供することで、実際の溶着作業が始まる前に、すなわち、各接合相手部材がソノトロードとアンビルの間で互いに押し付けられる前に、各接合相手部材が互いに対して所定の位置関係で収容室に配置されていてもよく、又は既に配置されていなければならないということが達成される。例えば、各接合相手部材となる2本のケーブルの端部を剥いだ素線を、ソノトロードとアンビルを互いに接近させたときに互いに密着して押圧するように、収容室に配置することが実現できる。ソノトロードとアンビルとが受入容積を上下から規定する場合、このことは、2本のケーブル端部が有利に垂直方向に互いの上に配置されることを意味する。このような配置は、一般に溶着結果に好影響を及ぼすが、横に並べて配置された素線は、しばしば不十分な溶着しか行われない。
【0016】
従来の超音波溶着装置とは対照的に、ここで説明する超音波溶着装置は、第1の停止要素を有することで、この要素により収容室の第5の側も規定されることである。この第5の側は横方向に、好ましくは他の構成要素により枠状に規定された上述の他の4つの側に対して直角に延びる。第5の側においては、第1の停止要素は、第5の側とその反対側の第6の側との間で生じるような枠状に規定される収容室を通る通路を規定又は閉鎖することができる。
【0017】
従って、1つ以上の接合相手部材が第6の側で収容室に挿入されても、もはや第5の側で収容室から出たり、第5の側で収容室からはみ出したりすることはない。その代わりに、細長い接合相手部材の前面は、収容室に向けられた停止要素の表面に到達し、それに接触するのみであってもよい。
【0018】
従って、溶着される1つ以上の接合相手部材は、それぞれ収容室に挿入され、それらの前面端が停止要素に接して整列するように、又は複数の接合相手部材の場合にはそれらの前面端が互いに上下及び/又は隣接して配置されるように前面を上にして停止要素に押しつけてもよい。接合相手部材は、超音波溶着装置を操作する使用者により挿入されてもよいし、他の機械で挿入されてもよい。
【0019】
収容室の第5の側に停止要素を設けることで、各接合相手部材を相対的に整列させた構成で収容室に挿入することが非常に容易になる。例えば、人は、第6の側から来るケーブルを、ケーブルが反対側に配置された停止要素に接していると感じるまで、収容室に押し込むことができる。従って、少なくとも場合によっては、ケーブルの位置関係を目視で確認する必要がない。
【0020】
ただし、第5の側を規定する停止要素は、ある場合には邪魔になり望ましくないことがあることを実感する。例えば、超音波溶着装置を、いわゆるインラインスプライスの溶着にも使用できることが望ましい場合がある。インラインスプライスとしての構成で溶着されたケーブルは、電線の延長を形成し、一方、エンドスプライスとしての構成は、電線の一種の戻りと考えることができる。超音波溶着でインラインスプライスを行うには、ケーブルを対向する側から収容室に挿入する。従って、この応用目的のためには、少なくとも収容室の互いに対向する第5及び第6の側は、停止要素で永久に規定されることがないことが望ましい。
【0021】
従って、超音波溶着装置の一体型構成要素として第1の停止要素を提供することが提案され、すなわち、第1の停止要素は、超音波溶着装置の他の構成要素に恒久的に接続され、相互作用している。しかしながら、第1の停止要素は、超音波溶着装置内の静止位置に固定されるべきではなく、むしろ、第1の停止要素を、第1のいわゆる引込み位置と第2のいわゆる引抜き位置の間で移動されるような変位可能な方法で構成することが提案される。引込み位置では、第1の停止要素は、その第5の側で収容室を規定する。従って、この構成では、この要素は第6の側から収容室に挿入される1つ以上の接合相手部材のための機械的止め具として機能することができる。しかし、引抜き位置では、停止要素は少なくとも、1つ以上の接合相手部材が第5の側から収容室に挿入されることができる程度に第5の側を覆っていない。別の表現をすれば、本明細書に記載の超音波溶着装置の停止要素を、例えば、エンドスプライス又はインラインスプライスのいずれの溶着かに応じて、選択的に引き込む又は引き抜くことができる。引込み位置と引抜き位置とは、数mm~数cm、例えば、2mm~10cm、好ましくは4mm~4cm、互いに離れていてもよい。
【0022】
前記超音波溶着装置は、前記第1の停止要素を前記引込み位置と前記引抜き位置の間で能動的に変位させるように構成された駆動装置をさらに含む。
【0023】
言い換えれば、超音波溶着装置は、単に受動的に移動させる、例えば、超音波溶着装置を操作する人により引込み位置と引抜き位置の間で変位させられる第1の停止要素を持っていない。その代わりに、超音波溶着装置は、第1の停止要素を引込み位置から引抜き位置に、及び/又はその逆に能動的に変位させる駆動装置を持つ。第1の停止要素の変位は、このような駆動装置で自動化されてもよい。駆動装置は、電源に接続されてもよい。さらに、駆動装置は、制御システムに接続されてもよいし、その動作を制御し得る統合制御システムを備えてもよい。
【0024】
特に、駆動装置は、詳細な実施形態によれば、電動モータ、油圧システム、又は空気圧システムで、停止要素を変位させるように構成してもよい。
【0025】
例えば、電動モータを停止要素に直接、変速機を介して、又は他の機構を介して結合し、電動モータの対応する指示動作により停止要素を引込み位置と引抜き位置の間で往復移動させることができるようにすることができる。電動モータは、電源から給電されてもよい。電源は、必要に応じて制御されてもよい。
【0026】
あるいは、停止要素は、移動される油圧システム又は空気圧システムの構成要素に結合され、これらの構成要素により引込み位置と引抜き位置の間で移動されることができる。油圧システム又は空気圧システムは、圧力溜又は圧力発生器に接続されてもよく、それにより加圧流体又は気体が供給されてもよく、供給は、例えば、弁の開閉により必要に応じて任意に制御されてもよい。
【0027】
さらなる詳細な実施形態によれば、駆動装置は、引込み位置と引抜き位置の間で第1の停止要素を直線的に変位させるように構成される。
【0028】
別の表現をすれば、駆動装置は、直線的な移動経路に沿って、第1の停止要素を引込み位置から引抜き位置へ、及び/又はその逆へ変位させることができればよい。このような直線的に作用する駆動装置は、技術的に簡単な方法で実施することができ、かつ/又は小さな設置スペースを占有するだけでよい。さらに、第1の停止要素は、最短経路でその2つの極限位置の間で変位させることができる。駆動装置として、例えば、電気直進駆動装置、回転電動モータを使用することができ、この場合、例えば、油圧又は空圧により駆動されるピストン等の伝達装置により回転を直線運動に変換される。
【0029】
別の詳細な実施形態によれば、駆動装置は、第1の停止要素を引込み位置と引抜き位置の間で枢動させるように構成される。
【0030】
言い換えれば、駆動装置は、湾曲した移動経路に沿って、引込み位置と引抜き位置の間で第1の停止要素を変位させるように構成されていてもよい。この目的のために、駆動装置は、例えば、電動モータ、油圧システム又は空気圧システムにより、駆動装置に結合された第1の停止要素を引込み位置へ又は引込み位置から外へ枢動させる回転運動を作用させてもよい。
【0031】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、収容室内の接合相手部材の存在を検出し、次に検出信号を生成するように順応された接合相手部材検出装置をさらに備えてもよい。駆動装置は、検出信号に依存して、自動化された方法で、引込み位置と引抜き位置の間で停止要素を変位させるように構成されてもよい。
【0032】
接合相手部材検出装置は、例えば、特定の物理パラメータを適切に監視することで、1つ以上の接合相手部材が現在収容室内にあるかどうかを検出することができるセンサーシステムを備えて構成されてもよい。センサーシステムは、例えば、光学的、磁気的、電気的、機械的、又は他のパラメータを監視してもよい。センサーシステムは、収容室内の一接合相手部材の位置及び/又は収容室内でこの接合相手部材が移動している方向を検出するように構成してもよい。このような1つ以上の情報に基づいて、接合相手部材検出装置は、検出信号を生成することができる。駆動装置の動作を制御する制御システムは、この検出信号を受信し、それに応答して駆動装置を適切に作動させることができる。制御システムは、駆動装置の一部であってもよい。あるいは、駆動装置は、外部の制御システムにより制御されるように構成されてもよい。
【0033】
接合相手部材検出装置により収容室内の一接合相手部材の存在を検出することができるので、駆動装置は、全自動又は部分的に自動化された方法で停止要素を所望の位置に変位させることができる。
【0034】
例えば、一接合相手部材が第6の側から収容室に挿入されたことが最初に検出された場合、まず、第1の停止要素をその引込み位置に移動し、この接合相手部材が第1の停止要素に機械的に接するように整列させてもよい。これが行われるとすぐに、1つ以上のさらなる接合相手部材を対向する第5の側から収容室に挿入するようにするために、第1の停止要素を、必要に応じて自動的な方法で、引抜き位置に戻すことができる。このようにして、最初に導入された接合相手部材は、最終的に、その後に導入された接合相手部材に溶着されて、インラインスプライスを形成することができる。
【0035】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、使用者による入力に基づいて要求データを生成するように順応された人と機器のインターフェースをさらに含んでもよい。駆動装置は、要求データに依存して、自動化された方法で、引込み位置と引抜き位置の間で第1の停止要素を変位させるように構成されてもよい。
【0036】
人と機器のインターフェースは、例えば、キーボード、タッチセンサー付きスクリーン、下流に音声認識を備えたマイクロフォンなどであってもよい。人と機器のインターフェースを介して、超音波溶着装置を操作する使用者は、例えば、溶着される各接合相手部材及び/又は製造される溶着スプライスに関する情報を表すデータを入力することができる。例えば、2つの接合相手部材を溶着してインラインスプライスを形成することを入力することができる。入力に基づき、人と機器のインターフェースは要求データを生成し、例えば、制御システムへ送信することができる。制御システムは、その後、第1の停止要素を所望の位置に移動させるために、完全自動化又は部分的に自動化された方法で駆動装置の動作を制御することができる。
【0037】
例えば、インラインスプライスが溶着されることが分かっている場合、まず、第1の停止要素を引込み位置に変位させて、第1の接合相手部材をその上に正しく位置決めするようにすることができる。次に、第1の停止要素は、第2の接合相手部材が反対側から収容室に挿入されるように、自動的に引抜き位置に変位させることができる。
【0038】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、第1の停止要素が引込み位置に達したことを検出し、次に引込み信号を生成するか、及び/又は第1の停止要素が引抜き位置に達したことを検出し、次に引抜き信号を生成するように構成されるセンサーシステムをさらに備えてもよい。
【0039】
別の表現をすれば、センサーシステムを設け、それにより第1の停止要素の実際の位置を検出することができる。停止要素が実際に引込み位置に到達すると、センサーシステムは特定の引込み信号を生成する。停止要素が実際に引抜き位置に到達すると、センサーシステムは別の特定の引抜き信号を生成する。これらの特定の信号に基づいて、例えば、制御システムが第1の停止要素を特定の位置に移動させるために駆動装置を作動させる制御信号とは独立して、第1の停止要素が実際に作動位置に到達したかどうかを検出することができる。駆動装置の作動及び/又は停止要素の結果としての変位のいかなる誤動作も、それにより検出される。
【0040】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、引込み位置と引抜き位置の間の変位移動中に第1の停止要素を案内するためのガイドをさらに備えてもよい。
【0041】
ガイドは、第1の停止要素が所望の変位経路に沿って、例えば、引抜き位置と引込み位置の間の最短経路に沿ってほぼ力のかからない方法で移動されるが、変位経路に対して横向きに支持されているため、過度の力の作用なしに変位経路を離れることができないように、その変位移動中に案内してもよい。ガイドは、例えば、使用者が間違って扱った場合、及び/又は各接合相手部材が停止要素に対して過度の力で押された結果として、停止要素及び/又はそれに結合された駆動装置が損傷するのを防ぐのに役立つ場合がある。
【0042】
特に容易に実施できる実施形態によれば、第1の停止要素は、単一の板で収容室を規定することができる。
【0043】
別の表現をすれば、第1の停止要素は、一体で平面的に板状に構成されてもよい。板の寸法及び/又は材料は、一方では板が第1の停止要素における各接合相手部材の位置合わせの間に生じる力に耐えるために十分に安定であり、他方では板が容易に変位し得るように十分に軽量のままであるように選択されてもよい。
【0044】
さらに発展した実施形態によれば、超音波溶着装置は、第2の停止要素をさらに含んでもよい。第2の停止要素は、引込み位置と引抜き位置の間で変位可能であってもよい。第2の停止要素は、引込み位置では、第1~第4の側に横切って延び、第5の側に対向する第6の側の少なくとも一部の領域で収容室を規定し、引抜き引抜き位置では、第6の側で収容室を開いたままにしておく。
【0045】
このように、第2の停止要素は、第1の停止要素とは反対側に配置され、2つの停止要素がそれらの間に収容室を規定するようにしてもよい。この場合、第1の停止要素は、第6の側から収容室に挿入された各接合相手部材は第1の停止要素に当接し、従って、そこで収容室の縁に直接達するがそれを超えて突出しないように位置付けるために使用されてもよい。これに対して、第2の停止要素は、対向する第5側から挿入される各接合相手部材について同様の作業を行うために、すなわち、それらが収容室の対向縁に達するがそれを超えて突出しないように、それらの前面を第2の停止要素に当接させることで位置付けるために使用されてもよい。このように、2つの停止要素により、各接合相手部材は、超音波溶着過程の後に高品質のインラインスプライスを形成するために、対向する両側から次々と収容室に収容され、そこで適切に位置決めされる。
【0046】
第2の停止要素は、第1の停止要素と同様に、引込み位置と引抜き位置の間で変位できることが望ましい。従って、第1の停止要素がその引込み位置に配置されている間、第2の停止要素は、収容室の第6の側が開放され、1つ以上の接合相手部材が第1の停止要素に突き当たるまでその側から収容室内に押し込まれるようにその引込み位置に変位させることができる。その後、第1の停止要素を、その引抜き位置に変位させ、第2の停止要素を、その引込み位置に変位させる。この構成では、収容室の第5の側は、1つ以上の接合相手部材が第2の停止要素に当接するまでその側から収容室内に押し込まれるように開いている。第1及び第2の停止要素は、互いに独立して、又は互いに依存して変位することができる。これらはさらに、完全又は部分的に自動化された方法で変位させることができる。
【0047】
詳細な実施形態によれば、この場合、第2の停止要素は、それぞれが第6の側に沿った方向に延び、互いに平行な複数の細長いセグメントから構成されてもよい。セグメントの各々は、隣接するセグメントとは独立して、引込み位置と引抜き位置の間で変位可能であってもよい。
【0048】
言い換えれば、第2の停止要素は、好ましくは、複数個の部品形態であってよい。第2の停止要素によりその第6の側に形成される収容室の境界は、この場合、複数のセグメントで構成されてもよい。個々のセグメントは細長く、第6の側に沿って、又はその延長線上に、又はそれに平行に延びていてもよい。この場合、様々なセグメントは互いに平行に延びていてもよく、従って、それらが引込み位置に変位したとき、その表面で収容室の第6の側の少なくとも特定の領域を覆っていてもよい。
【0049】
セグメントは、互いに独立して引込み位置と引抜き位置の間で変位してもよい。異なる表現をすれば、各セグメントは、隣接するセグメントとは独立して、その長手方向に延びる方向に変位してもよい。従って、セグメントのうちのいくつかは、例えば、その引抜き位置に留まり、セグメントのうちの他のものは、その引込み位置又は中間位置に変位してもよい。
【0050】
第2の停止要素のこのセグメント状の構造は、それにより収容室の第6の側に規定される境界が、必要に応じて、第6の側全体ではなく、その一部のみを覆うことができるという効果を持つ。これは、例えば、第6の側から来る各接合相手部材が、収容室がその第6の側でもはや完全に閉じられないように、収容室内に前もって配置されている場合に有利である。この場合、既に挿入された各接合相手部材が外側に延びる第6の側の部分領域を覆うことになるそれらのセグメントは、それらの引抜き位置に留まることができ、一方、他のセグメントは、その引込み位置に変位することで第6の側の隣接する部分領域を覆うことができる。引込み位置に変位したセグメントは、対向する第5の側から挿入される各接合相手部材の物理的な停止部を形成してもよい。
【0051】
さらなる詳細な実施形態によれば、セグメント様構造のそのような第2の停止要素の場合、セグメントのうちの少なくともいくつかは、それらが引込み位置に向かって力が作動されると、それらが引込み位置に向かって弾性的に付勢されるように、それぞれの関連セグメント移動要素に弾性的に保持されてもよい。
【0052】
言い換えれば、第2の停止要素の各セグメントは、関連するセグメント移動要素により、引込み位置に向かって移動し、引抜き位置まで戻ることができる。しかし、セグメントは、セグメント移動要素に強固に結合されておらず、それに弾性的に保持されている。セグメント移動要素が引込み位置の方向に動かされるとき、セグメントに反力が作用しない限り、セグメントを引込み位置に向かって妨げられることなく運ぶことができる。この場合、セグメントは、引込み位置に向かって弾性的に付勢される。このため、セグメントに引抜き位置へ向かう方向の反力が作用すると、セグメントはこの弾性的な偏りに逆らって引抜き位置へ向かって変位することができる。また、セグメント移動体を引込み位置に移動させたが、これに弾性的に結合したセグメントが引込み位置への経路で、セグメントに反対方向の力を及ぼす障害物に遭遇した場合、セグメント移動体を引込み位置に向かう方向にさらに移動させても、セグメントは徐々に弾性付勢力が増加するにもかかわらず、元の位置に留まる可能性がある。
【0053】
このような実施形態では、例えば、第2の停止要素について、その全てのセグメントの引込み位置に向けた変位が試みられてもよい。このために、すべてのセグメント移動要素を引込み位置に向かう方向に変位させてもよい。しかしながら、引込み位置への経路上で障害物に遭遇しない第2の停止要素のセグメントのみが、実際に引込み位置へ変位させられる。このような障害物は、特に、収容室内に既に配置されている各接合相手部材を接合することで形成されてもよい。その結果、第2の停止要素は、第6の側で収容室から延びる各接合相手部材にブロックされないそれらのセグメントのみが実際に引込み位置に変位するという点で、収容室内で以前に行われた各接合相手部材による装填にほぼ自動的に適応し得る。
【0054】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、第2の停止要素を駆動する駆動装置と、第2の停止要素に近い収容室内の各接合相手部材を検出するさらなる接合相手部材検出装置と、第2の停止要素の現在位置を検出するためのセンサーシステム、及び/又は第2の停止要素の変位移動を案内するためのガイドとを更に備えてもよい。
【0055】
ここに述べた装置及び構成要素は、第1の停止要素に関連して上述した説明と同様に構成されることができる。
【発明の効果】
【0056】
なお、本発明の実施形態の可能な構造及び利点は、本明細書において、一部は本発明に従って構成された超音波溶着装置を参照し、一部はこれを操作又は使用する態様を参照して説明されている。当業者は、個々の実施形態について説明された構造を、類似の方法で他の実施形態に好適に移転し、本発明のさらなる実施形態に到達するために順応させるか、及び/又は交換することで、相乗効果をもたらす可能性があることを認識している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明の有利な実施形態を、添付の図面を参照して以下にさらに説明するが、図面及び説明はいずれも、本発明を何ら限定するものとして解釈されないものとする。
【0058】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る超音波溶着装置の大幅に簡略化した側面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る超音波溶着装置の、第1の停止要素が引込み位置にある状態を示す透視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る超音波溶着装置の、第1の停止要素が引抜き位置にある状態を示す透視図である。
図4図4は、少なくとも特定の領域においてその引込み位置にある追加の第2の停止要素を有する本発明の実施形態による超音波溶着装置の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図は、単なる模式図であり、正確な縮尺ではない。様々な図面における同一の参照数字は、同一の構造又は同一の効果を有する構造を示す。
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波溶着装置1を大幅に簡略化して示す。図2及び図3は、超音波溶着装置1の具体的な実施形態における透視図であり、いくつかの主要な構成要素を幾分詳細に示す。
【0060】
超音波溶着装置1は、ソノトロード3、アンビル5、接触要素7及び横摺動部9を含む。これらの構成要素は、第1のケーブルの第1の素線17及び第2のケーブルの第2の素線19などの複数の接合相手部材15を収容する収容室13を枠状に取り囲む。収容室13の第1の側(図示の例では底部)は、この場合、ソノトロード3の表面21により規定される。作業室13の第1の側に対向する第2の側(図示の例では上部にある)は、アンビル5の表面23により規定される。収容室13の第3の側(図示の例では右側)は、接触要素7の表面25により規定される。収容室13の第3の側に対向する第4の側(図示の例では左側)は、横摺動部9の表面27により規定される。図示の例では、ソノトロード3の表面21及びアンビル5の表面23はそれぞれ水平でかつ互いに平行に延びており、一方、接触要素7の表面25及び横摺動部9の表面27はそれぞれ垂直でかつ互いに平行に延びている。従って、前記表面21、23、25、27により規定される収容室13は、ほぼ立方体である。
【0061】
図2及び図3の透視図から容易に分かるように、横摺動部9の後方には、第1の停止要素11が設けられている。この第1の停止要素11は、図2に示すように、第5の側(図示の例では奥)に収容室13を規定する引込み位置に配置することができる。必要に応じて、第1の停止要素11は、図3に示すように、収容室13の第5の側が開いたままを維持する引抜き位置に変位させることができる。
【0062】
なお、図2及び図3には、わかりやすくするために、超音波溶着装置の主要構成要素の一部のみを示しているが、以下に説明する任意の構成要素の一部は、図1に模式的に示されているが、図2及び図3では省略されている。
【0063】
第1の停止要素11は、駆動装置29により引込み位置と引抜き位置の間で変位方向31に沿って変位させることができる。この目的のために、駆動装置29を制御システム35で制御してもよい。制御システム35は、別個の構成要素であってもよいし、駆動装置29に統合されていてもよい。
【0064】
制御システム35は、例えば、接合相手部材検出装置37と通信し、収容室13内の1つ以上の接合相手部材15の存在が検出されるとすぐに、そこから検出信号を受信することができる。その後、制御システム35は、自動化された方法で、駆動装置29を作動させて、第1の停止要素11をその引込み位置に変位させることができる。従って、第6の側から収容室13に挿入された各接合相手部材15は、その後、その前面が第1の停止要素11まで案内され、その結果、収容室13の第5の側のソノトロード3の縁にほぼ一致させることができる。
【0065】
さらに又はあるいは、制御システム35は、操作者による入力を介して人と機器のインターフェース39と通信してもよい。これらの入力は、例えば、どの種類の接触接合を生み出すか、溶着されるべき各接合相手部材15がどのような特性を有するか、などを挙げることができる。これらの入力に基づいて、要求データが制御システム35に送信され、制御システム35は、自動化された方法で駆動装置を起動させ、第1の停止要素11を適切な位置、すなわち、特に引込み位置又は引抜き位置に変位させることができる。
【0066】
超音波溶着装置1は、必要に応じて、第1の停止要素11が実際にその引込み位置又はその引抜き位置に到達したときにそれを検出することができるセンサーシステム41をさらに含む。センサーシステム41は、その後、引込み信号又は引抜き信号をそれぞれ生成してもよい。これらの信号は、制御システム35に転送され、制御システム35は、第1の停止要素11の現在の実際の位置に関するフィードバックを受け取る。このようにして、信号は、例えば、駆動装置29の動作を制御するのに使用してもよい。
【0067】
第1の停止要素11が引抜き位置と引込み位置の間で変位する際に、所望の変位経路から外れないようにするために、ガイド47がさらに設けられる。図示の例では、ガイド47は、ガイドレール43で構成されており、このガイドレール43は、本例では一体型板状の第1の停止要素11の下端を案内する。
【0068】
第1の停止要素11の移動とは独立して、各接合相手部材15を挿入した後に収容室13を小さくすることができるように、横摺動部9も変位方向33に変位し、従って各接合相手部材15を所望の位置に保持することができる。
【0069】
図4は、超音波溶着装置1の少なくとも特定の領域で第2の停止要素49が引込み位置に変位した構成を示す図である。第2の停止要素49は、第5の側に対向する第6の側に、収容室13に隣接して延びている。従って、第2の停止要素49は、第5の側から収容室13に挿入された各接合相手部材15のための機械的な停止部材として機能し得る。
【0070】
第2の停止要素49は、第1の停止要素11のような単純な一枚板として構成されておらず、複数の細長いセグメント51を有している。セグメント51は、互いに独立して、引込み位置及び/又は引抜き位置に変位させることができる。この目的のために、セグメント51の各々は、駆動装置(図示せず)により変位されるセグメント移動要素53に結合されている。ただし、セグメント移動要素53は、駆動装置の動きを関連するセグメント51にがっちりと伝達しない。その代わりに、セグメント51は、ばね55を介してセグメント可動要素53に結合される。このようにして、それぞれのセグメント51が、そのセグメント移動要素53により引込み位置に向かって力が作動させられると、引込み位置に向かって弾性的に付勢されるが、実際には必ずしも引込み位置に向かって移動しないことが起こりうる。むしろ、引込み位置への移動中に、収容室13に配置された各接合相手部材15などの障害物に遭遇したセグメント51は、この障害物により停止させられる場合がある。そして、これらのセグメント51は、弾性的に偏った方法で障害物に押し付けられる。これは、収容室13に既に配置された各接合相手部材15を一時的に固定するために使用されてもよい。これは、図4において、下側の3つのセグメント51について図示されている。障害物に遭遇しないそれらのセグメント51は、引込み位置に向かって変位する。それらは収容室13の境界を形成し、その上に反対側から挿入された各接合相手部材が機械的に突き当たり、その結果整列することができる。これは、図4において、上部4つのセグメント51で示される。
【0071】
部分的に異なる表現で要約すると、第1及び/又は第2の停止要素11,49は超音波溶着装置1に統合され、スプライス・パラメータに従って、例えば、ソフトウェアの助けを借りて制御される駆動装置により、自動的に(例えば、電気的又は空気圧的に)引き込まれかつ引き抜かれ得る。これは、後者の場合のために2つの停止要素11,49が設けられていれば、エンドスプライス及びインラインスプライスの両方を行うことができる。第2の停止要素49は、好ましくは、先に挿入された各接合相手部材15に占有されていない位置でのみ完全に引き出される複数のばね負荷された変位可能なセグメントで構成されている。従って、反対側(左側)から挿入される各接合相手部材15のための停止部のみが形成される。
【0072】
本明細書で提案する超音波溶着装置1の実施形態では、例えば、別個の停止部材の取り付け又は取り外しに従来必要であった休止時間を短縮し、かつ/あるいは安定した溶着品質を達成することができる。さらに、超音波溶着装置1は、必要に応じて、エンドスプライスを形成するためとインラインスプライスを形成するための両方のそれぞれの停止部材と共に使用することができる。収容室に挿入される各接合相手部材に関する不正確な挿入位置の結果として従来発生していた製造最終製品の品質変動は、提案された超音波溶着装置1によりほぼ回避される。
【0073】
最後に、「有する」、「含む」などの用語は、他の要素又は工程を排除するものではなく、「1つ」という用語は、複数を排除するものではない。さらに、上記の例示的な実施形態の1つを参照して説明された構造又は工程は、上記の他の例示的な実施形態の他の構造又は工程と組み合わせて使用することもできる。特許請求の範囲における参照数字は、限定とみなされない。
【符号の説明】
【0074】
1 超音波溶着装置
3 ソノトロード
5 アンビル
7 接触要素
9 横摺動部
11 第1の停止要素
12 板
13 収容室
15 接合相手部材
17 第1の素線
19 第2の素線
21 ソノトロードの表面
23 アンビルの表面
25 接触要素の表面
27 横摺動部の表面
29 駆動装置
31 第1の停止要素の変位方向
33 横摺動部の変位方向
35 制御システム
37 接合相手部材検出装置
39 人と機器のインターフェイス
41 センサーシステム
43 ガイドレール
47 ガイド
49 第2の停止要素
51 セグメント
53 セグメント移動要素
55 ばね
図1
図2
図3
図4