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特許7394994カバープレートユニット、電池セル、電池モジュール、電池パック及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】カバープレートユニット、電池セル、電池モジュール、電池パック及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/15 20210101AFI20231201BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231201BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20231201BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20231201BHJP
   H01M 50/164 20210101ALI20231201BHJP
   H01M 50/209 20210101ALN20231201BHJP
【FI】
H01M50/15
H01M50/249
H01M50/342 101
H01M50/367
H01M50/164
H01M50/209
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022530962
(86)(22)【出願日】2020-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2020134129
(87)【国際公開番号】W WO2021129360
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】201922387308.7
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】白 ▲ル▼▲ル▼
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-130801(JP,A)
【文献】特開2009-087727(JP,A)
【文献】特開2013-025882(JP,A)
【文献】特開2001-102024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/15
H01M 50/249
H01M 50/342
H01M 50/367
H01M 50/209
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セル用のカバープレートユニットであって、
防爆弁が設置されるトップカバープレートと、
前記トップカバープレートに積層して設置される絶縁板であって、前記絶縁板は基体部及び前記基体部に位置する薄肉化領域を含み、前記薄肉化領域は前記基体部を薄肉化することで形成され、且つ前記カバープレートユニットの厚さ方向において、前記薄肉化領域の正投影の境界により囲んで形成される領域は前記防爆弁の正投影と少なくとも部分的に重なって設置される、絶縁板と、を含み、
前記絶縁板は前記厚さ方向において対向して設置される2つの表面を含み、前記薄肉化領域は前記2つの表面のうちの少なくとも1つが凹むことによって形成される凹溝を含み、
前記絶縁板は避け凹部を含み、前記避け凹部は前記基体部が前記トップカバープレートから離れた方向に沿って凹むことによって形成され、前記避け凹部は前記厚さ方向において前記防爆弁に対応して設置され、
前記凹溝は前記避け凹部の周囲に設置され、前記絶縁板の前記薄肉化領域での板厚は前記絶縁板の前記避け凹部での板厚よりも小さい電池セル用のカバープレートユニット。
【請求項2】
前記厚さ方向において、前記避け凹部の正投影面積は前記防爆弁の正投影面積以上である請求項1に記載のカバープレートユニット。
【請求項3】
前記凹溝は前記避け凹部の周囲側の周りに延伸して形成され、
又は、前記凹溝は2つ以上のサブ凹溝を含み、2つ以上の前記サブ凹溝は前記避け凹部の周囲側に沿って間隔をおいて分布している請求項1又は2に記載のカバープレートユニット。
【請求項4】
前記避け凹部は前記防爆弁の形状と適合する請求項1-3のいずれか一項に記載のカバープレートユニット。
【請求項5】
前記避け凹部は第1弧形外縁を有し、
前記凹溝は、前記第1弧形外縁が前記避け凹部から離れた方向に沿って延伸して成形され、前記凹溝の前記避け凹部から離れた一側に第2弧形外縁を形成し、且つ前記凹溝は弧形帯状に分布している請求項1-4のいずれか一項に記載のカバープレートユニット。
【請求項6】
電池セルであって、
ハウジングと、ハウジング内に位置する電極ユニットと、
請求項1-5のいずれか一項に記載のカバープレートユニットであって、前記ハウジングの開口箇所に覆設され、且つ前記絶縁板は前記トップカバープレートの前記電極ユニットに向かう一側に位置するカバープレートユニットと、を含む電池セル。
【請求項7】
請求項6に記載の電池セルを含む電池モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【請求項9】
電池セルを電源として使用する装置であって、前記電池セルは請求項6に記載の電池セルである装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2019年12月26日に中国特許庁に提出された、出願番号が201922387308.7、発明名称が「カバープレートユニット、電池セル、電池モジュール、電池パック及び装置」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は援用により本願に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本願の実施形態は、エネルギー貯蔵機器の技術分野に関し、特にカバープレートユニット、電池セル、電池モジュール、電池パック及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
新エネルギー技術、特に新エネルギー電池の継続的な発展に伴い、人々は新エネルギー電池の安全性能に対する要件も高くなる。
【0004】
現在、新エネルギー電池の電池セルは通常に、ハウジングと、ハウジング内に位置する電極ユニットと、ハウジングの開口箇所に覆設されるトップカバーユニットと、を含む。トップカバーユニットは通常に、トップカバープレートと、トップカバープレートの電極ユニットに向かう一側に位置する絶縁板と、を含む。電池セルの安全性能を向上させるために、トップカバープレートに通常に防爆弁が設置され、ハウジングの内部の圧力が圧力閾値に達すると、防爆弁は圧力解放の目的を達成するために押し開かれる。防爆弁は正常に開くことができないと、電池セルが爆発することを引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、新しいカバープレートユニット、電池セル、電池モジュール、電池パック及び装置を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例はカバープレートユニット、電池セル、電池モジュール、電池パック及び装置を提供し、電池セルの安全性能を向上させることを目的とする。
【0007】
本願の実施例は、一態様では電池セル用のカバープレートユニットを提供し、カバープレートユニットは、防爆弁が設置されるトップカバープレートと、トップカバープレートに積層して設置される絶縁板であって、絶縁板は基体部及び基体部に位置する薄肉化領域を含み、薄肉化領域は基体部を薄肉化することで形成され、且つカバープレートユニットの厚さ方向において、薄肉化領域の正投影の境界により囲んで形成される領域は防爆弁の正投影と少なくとも部分的に重なって設置される絶縁板と、を含む。
【0008】
従って、上記解決策は、排気面積を効果的に増加させ、防爆弁が正常且つタイムリーに開くことを確保することができる。且つカバープレートユニットの厚さ方向において、薄肉化領域の正投影の境界により囲んで形成される領域は防爆弁の正投影と少なくとも部分的に重なっており、すなわち薄肉化領域は厚さ方向において防爆弁の位置と対応し、それによりガスが防爆弁に迅速に到達し、さらに防爆弁を迅速に突き開け、防爆弁が正常に開かないことによる爆発を回避することができ、電池セルの安全性能を効果的に向上させることができる。
【0009】
本願の一態様によれば、絶縁板は厚さ方向において対向して設置される2つの表面を含み、薄肉化領域は2つの表面のうちの少なくとも1つにより凹んで形成される凹溝を含む。
【0010】
本願の一態様によれば、絶縁板は避け凹部を含み、避け凹部は基体部がトップカバープレートから離れた方向に沿って凹むことによって形成され、避け凹部は厚さ方向において防爆弁と対応して設置され、
凹溝は避け凹部の周囲に設置される。上記解決策は排気面積をさらに増大させ、且つ電池セルの圧力解放率を向上させ、電池セルの安全性能を確保することができる。
【0011】
本願の一態様によれば、厚さ方向において、避け凹部の正投影面積は防爆弁の正投影面積以上である。
【0012】
本願の一態様によれば、凹溝は避け凹部の周囲側の周りに延伸して形成され、
又は、凹溝は2つ以上のサブ凹溝を含み、2つ以上のサブ凹溝は避け凹部の周囲側に沿って間隔をおいて分布している。
【0013】
本願の一態様によれば、避け凹部は防爆弁の形状と適合する。
【0014】
本願の一態様によれば、避け凹部は第1弧形外縁を有し、
凹溝は第1弧形外縁が避け凹部から離れた方向に沿って延伸して成形され、凹溝の避け凹部から離れた一側に第2弧形外縁を形成し、且つ凹溝は弧形帯状に分布している。
【0015】
別の態様では、本発明の実施例は電池セルをさらに提供し、ハウジングと、ハウジング内に位置する電極ユニットと、上記カバープレートユニットであって、ハウジングの開口箇所に覆設され、且つ絶縁板はトップカバープレートの電極ユニットに向かう一側に位置するカバープレートユニットと、を含む。
【0016】
他の態様では、本発明の実施例は、上記電池セルを含む電池モジュールをさらに提供している。
【0017】
さらに他の態様では、本発明の実施例は、上記電池モジュールを含む電池パックをさらに提供している。
【0018】
さらに別の態様では、本発明の実施例は電池セルを電源として使用する装置をさらに提供し、電池セルは上記電池セルである。
【0019】
本願の実施例の電池セル用のカバープレートユニットでは、カバープレートユニットはトップカバープレート及び絶縁板を含む。トップカバープレートに防爆弁が設置され、絶縁板の基体部に薄肉化領域が設置され、薄肉化領域は基体部を薄肉化することで形成され、従って、薄肉化領域は受熱されると軟化変形しやすく、薄肉化領域に貫通孔が出現することを引き起こし、排気面積を効果的に増大させ、防爆弁が正常且つタイムリーに開くことを確保することができる。且つカバープレートユニットの厚さ方向において、薄肉化領域の正投影の境界により囲んで形成される領域は防爆弁の正投影と少なくとも部分的に重なっており、すなわち、薄肉化領域は厚さ方向において防爆弁の位置と対応し、それによりガスが防爆弁に迅速に到達し、さらに防爆弁を迅速に突き開け、防爆弁が正常に開かないことによる爆発を回避することができ、電池セルの安全性能を効果的に向上させることができる。
【0020】
図面の簡単な説明
本願の実施例又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかなように、以下に説明された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働をせずに図面に基づき他の図面を得ることができる。
【0021】
図面を参照して非限定的な実施例の以下の詳細な説明を閲覧することにより、本願の他の特徴、目的及び利点は、明らかになり、同一又は類似の参照番号は同一又は類似の特徴を表す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本願の実施例に係る電池セルを電源として使用する装置の構造模式図である。
図2】本願の実施例に係る電池パックの構造模式図である。
図3】本願の実施例に係る電池モジュールの構造模式図である。
図4】本願の実施例に係る電池セルの構造模式図である。
図5】本願の実施例に係る電池セルの爆発の構造模式図である。
図6】本願の実施例に係る電池セルの断面図である。
図7】本願の実施例に係るトップカバーユニットの構造模式図である。
図8】本願の実施例に係るトップカバーユニットの爆発の構造模式図である。
図9】本願の実施例に係るトップカバーユニットの絶縁板の構造模式図である。
図10】本願の実施例に係るトップカバーユニットの絶縁板の断面図である。
図11図10におけるI箇所の局所拡大構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明を実施するための形態
以下、本願の様々な態様の特徴及び例示的な実施例を詳細に説明する。以下の詳細な説明では、本願に対する全面的な理解を提供するために、多くの特定の細部が示される。しかしながら、当業者にとって、本願がこれらの特定の細部を必要としない場合で実施することができることは明らかなものである。以下の実施例の説明は、単に本願の例を例示することによって本願のより良好な理解を提供する。図面及び以下の説明において、本願を不必要に曖昧にすることを回避するために、少なくとも一部の公知構造及び技術は示されていない。且つ、明瞭にするために、一部の構造のサイズが誇張されている可能性がある。また、以下に説明される特徴、構造又は特性は任意の適切な方法で1つ又は複数の実施例に組み合わせることができる。
【0024】
本願の説明において、説明する必要がある点として、特に断らない限り、「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語によって示される方位又は位置関係は、本願を説明しやすくし説明を簡略化させるためのものに過ぎず、示される装置又は素子が必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではなく、従って、本願を制限するものとして理解することができない。また、「第1」、「第2」等の用語は、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解することはできない。
【0025】
以下の説明に出現する方位語はいずれも図示されている方向であり、本願の実施例の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「接続」は広義に理解すべきであり、たとえば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続されてもよい。直接接続されてもよく、間接的に接続されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0026】
本願をよりよく理解するために、以下、図1図11を参照しながら本願の実施例のカバープレートユニット、電池セル、電池モジュール、電池パック及び装置を詳細に説明する。
【0027】
図1に示すように、本願の実施例は、先ず車両を提供し、車両は車両本体2及び電池パック1を含み、電池パック1は車両本体2に設置される。
【0028】
車両は新エネルギー自動車であり、純粋な電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー式自動車であってもよい。車両本体2に駆動モーターが設置され、駆動モーターは電池パック1に電気的に接続され、電池パック1により電気エネルギーを供給し、駆動モーターは伝動機構を介して車両本体2における車輪に接続され、それにより自動車が進行するように駆動する。いくつかの実施例では、電池パック1は車両本体2の底部に水平に設置されてもよい。
【0029】
さらに、図2を参照すると、電池パック1の設置形態は複数種であり、いくつかの実施例では、電池パック1はボックス12及びボックス12内に設置される電池モジュール11を含む。
【0030】
電池モジュール11の数は1つ又は複数であり、複数の電池モジュール11はボックス12内に配列して配置される。ボックス12のタイプは制限されず、ボックス12は枠状ボックス、ディスク状ボックス又は箱状ボックス等であってもよく、具体的には、ボックス12は電池モジュールを収容するための下部ボックスと、下部ボックスにカバーされる上部ボックスと、を含んでもよい。
【0031】
また、図3を参照すると、電池モジュール11の設置形態は複数種であり、いくつかの実施例では、電池モジュール11は収容部20と、収容部20に位置する複数の電池セル10と、を含み、電池セル10は収容部20内に並べて設置される。
【0032】
収容部20の設置形態は複数種であり、たとえば、収容部20はケーシングと、ケーシングに覆設されるカバープレートとを含み、又は、収容部20は順に囲んで接続される側板22及びエンドプレート21を含み、又は、収容部20は対向して設置される2つのエンドプレート21と、エンドプレート21及び電池セル10の外側の周りの締め付けバンドとを含み、又は、図3に示すように、収容部20は側板22と、エンドプレート21と、締め付けバンドとを含む。
【0033】
理解できるように、電池セル10は車両に適用できるだけではなく、他の装置に使用できる。本願の実施例は電池セル10を電源として使用する装置をさらに提供し、装置は車両、船舶又は航空機等であるが、それらに限定されない。
【0034】
図4及び図5を参照すると、電池セル10は、たとえばハウジング100と、ハウジング100内に位置する電極ユニット200と、ハウジング100の開口箇所に覆設されるカバープレートユニット300と、を含む。電極ユニット200とカバープレートユニット300との間にアダプタシート210がさらに設置される。ハウジング100内に電極ユニット200を支持するための支持プレート400がさらに設置される。いくつかの実施例では、電極ユニット200とハウジング100との間の絶縁性能を向上させるために、電極ユニット200の外部は絶縁シート500で包まれている。電池セル10と収容部20との間の絶縁性能を向上させるために、ハウジング100の外部は絶縁膜600で包まれている。
【0035】
図6及び図7を参照すると、いくつかの実施例では、カバープレートユニット300は、防爆弁311が設置されるトップカバープレート310と、トップカバープレート310に積層して設置され、トップカバープレート310の電極ユニット200に向かう一側に位置する絶縁板320と、を含む。
【0036】
電池セル10の安全性を確保するために、絶縁板320に排気チャンネル324を設置し、排気チャンネル324内に排気貫通孔324aが貫通して設置される。電極ユニット200の動作異常により昇温してガスが発生する場合、ガスは排気貫通孔324aを通じて排出されて防爆弁311を突き開けることができる。しかし、従来の絶縁板320は通常に同じ厚さで設定されるため、絶縁板320が局所的に軟化しひいては熔融し、それにより排気貫通孔324aの効果的な排気面積が減少し、ガスが防爆弁311をタイムリーに突き開けることができず、防爆弁311はタイムリーに開くことができず、それにより、電池セル10の爆発のリスクをもたらす。
【0037】
これに鑑みて、本願のいくつかの実施例では、絶縁板320は基体部321と、基体部321に位置する薄肉化領域322とを含み、薄肉化領域322は基体部321を薄肉化することで形成され、且つカバープレートユニット300の厚さ方向において、薄肉化領域322の正投影の境界により囲んで形成される領域は防爆弁311の正投影と少なくとも部分的に重なって設置される。
【0038】
本願の実施例の電池セル用のカバープレートユニット300では、カバープレートユニット300は、トップカバープレート310と、絶縁板320と、を含む。トップカバープレート310に防爆弁311が設置され、絶縁板320の基体部321に薄肉化領域322が設置され、薄肉化領域322は基体部321を薄肉化することで形成され、従って、薄肉化領域322は受熱して軟化変形しやすく、それにより薄肉化領域322に貫通孔が出現することを引き起こし、排気面積を効果的に増大させ、防爆弁311が正常且つタイムリーに開くことを確保することができる。且つカバープレートユニット300の厚さ方向において、薄肉化領域322の正投影の境界により囲んで形成される領域は防爆弁311の正投影と少なくとも部分的に重なっており、すなわち薄肉化領域322は厚さ方向において防爆弁311の位置と対応し、それによりガスが防爆弁311に迅速に到達し、さらに防爆弁311を迅速に突き開け、防爆弁311が正常に開かないことによる爆発を回避し、電池セルの安全性能を効果的に向上させることができる。
【0039】
薄肉化領域322と防爆弁311の相対位置の設置形態は複数種であり、たとえば、厚さ方向において、薄肉化領域322の正投影により囲んで形成される領域は防爆弁311の正投影と完全に重なっており、薄肉化領域322が受熱して溶解して排気孔を形成する場合、ガスは直接的に排気孔から防爆弁311へ排出され、防爆弁311を突き開ける速度をさらに向上させる。
【0040】
又は、別のいくつかの実施例では、厚さ方向において、薄肉化領域322の正投影は防爆弁311の正投影領域内に位置する。ガスが防爆弁311を突き開ける速度を加速することもできる。
【0041】
さらに別の実施例では、厚さ方向において、薄肉化領域322の正投影は防爆弁311の正投影の周囲に位置する。電池セルの正常動作過程に、薄肉化領域322の正投影は防爆弁311の正投影の周囲に位置し、薄肉化領域322の面積が小さいが絶縁板320の構造強度を増加させることができる。
【0042】
電池セルの動作が異常であり且つ昇温すると、薄肉化領域322は受熱して変形し、ガスは薄肉化領域322から防爆弁311へ排出されてガスが防爆弁311を突き開ける速度を加速することができる。薄肉化領域322が受熱して変形した後、薄肉化領域322と基体部321との接続力が減少し、電極ユニット200での圧力により突撃されると、薄肉化領域322により囲んで形成される基体部321の一部は直接的に防爆弁311から排出され、又は温度がさらに高くなり、薄肉化領域322全体が溶断する場合、薄肉化領域322により囲んで形成される基体部321の一部は基体部321から全て脱落することができ、それにより薄肉化領域322により囲んで形成される基体部321の一部は直接的に防爆弁311から排出され、排気面積をさらに増大させ、且つ電池セルの圧力解放率を向上させ、電池セルの安全性能を確保する。
【0043】
薄肉化領域322の形成方式は複数種であり、薄肉化領域322は基体部321を薄肉化することで形成され、それにより薄肉化領域322の厚さを小さくすればよい。たとえば厚さ方向において薄肉化領域322は中空に設置される。
【0044】
いくつかの実施例では、絶縁板320は厚さ方向において対向して設置される2つの表面を含み、薄肉化領域322は2つの表面の少なくとも1つが凹むことにより形成される凹溝322aを含む。
【0045】
図8図9を参照し、いくつかの実施例では、絶縁板320は避け凹部323を含み、避け凹部323は基体部321がトップカバープレート310から離れた方向に沿って凹んで形成され、避け凹部323は厚さ方向において防爆弁311と対応して設置され、凹溝322aは避け凹部323の周囲に設置される。
【0046】
これらの実施例では、絶縁板320には防爆弁311と対応して設置される避け凹部323が設置され、凹溝322aは避け凹部323の周囲に位置する。凹溝322aが受熱して変形しひいては熔融する場合、避け凹部323を基体部321から互いに離脱させることができ、避け凹部323と防爆弁311は対応して設置されるため、避け凹部323が防爆弁311から排出され、それにより排気面積をさらに増大させ、且つ電池セルの圧力解放率を向上させ、電池セルの安全性能を確保する。
【0047】
避け凹部323のサイズを限定せず、たとえば、厚さ方向において避け凹部323の正投影面積は防爆弁311の正投影面積に等しい。別のいくつかの実施例では、防爆弁311がトップカバープレート310に溶接され且つ溶接マークを形成する場合、厚さ方向において、避け凹部323の正投影面積は防爆弁311の正投影面積より大きい。いくつかの実施例では、避け凹部323の正投影面積は防爆弁311及び溶接マークの正投影面積に等しい。それにより避け凹部323は溶接マークのために避け、基体部321が防爆弁311又は溶接マークにタッチし、弁開放圧力に影響を与えることを防止する。
【0048】
避け凹部323の形状設置形態は複数種であり、いくつかの実施例では、避け凹部323の形状は防爆弁311の形状と適合する。避け凹部323の形状が防爆弁311の形状と適合することは、たとえば、避け凹部323の外縁が防爆弁311の外縁の形状と同じであるか、又は避け凹部323の外縁の形状が防爆弁311の外縁の形状に類似することである。避け凹部323は防爆弁311がトップカバープレート310に溶接されることにより形成される溶接マークのために避ければよい。
【0049】
凹溝322aの設置形態は複数種であり、たとえば、凹溝322aは避け凹部323の周囲側の周りに延伸して成形される。すなわち凹溝322aは一体成形され、且つ凹溝322aは避け凹部323の周りに設置される。又は別のいくつかの実施例では、凹溝322aは2つ以上のサブ凹溝322aを含み、2つ以上のサブ凹溝322aは避け凹部323の周囲側に沿って間隔をおいて分布している。
【0050】
図8に示すように、いくつかの実施例では、絶縁板320は排気チャンネル324をさらに含み、排気チャンネル324の底部に排気貫通孔324aが設置され、避け凹部323は2つであり、2つの避け凹部323は絶縁板320の長さ方向において排気チャンネル324の両側に位置し、凹溝322aは2つであり、2つの凹溝322aはそれぞれ2つの避け凹部323の排気チャンネル324から離れた一側に位置する。
【0051】
凹溝322aは、たとえば一体成形され、各凹溝322aは各避け凹部323の排気チャンネルから離れた一側に一体的に延伸して成形される。又は、凹溝322aは複数のサブ凹溝322aを含み、複数のサブ凹溝322aは避け凹部323の排気チャンネルから離れた一側に間隔をおいて分布している。又は、2つの凹溝322aのうち、一方は一体成形され、他方は複数のサブ凹溝322aを含む。
【0052】
別のいくつかの実施例では、避け凹部323は密閉図形であり、すなわち避け凹部323の幅方向における延伸長さは基体部323の幅方向における延伸長さよりも小さく、この時、凹溝322aが避け凹部323の外縁に一体的に延伸して成形され、又は、凹溝322aは2つ以上のサブ凹溝322aを含み、2つ以上のサブ凹溝322aは避け凹部323の外縁の周りに間隔をおいて分布している。
【0053】
図10及び図11を参照し、避け凹溝322aの形状設定形態は複数種であり、いくつかの実施例では、避け凹部323は第1弧形外縁323aを有し、凹溝322aは第1弧形外縁323aが避け凹部323から離れた方向に沿って延伸して成形され、凹溝322aの避け凹部323から離れた一側に第2弧形外縁322bを形成し、且つ凹溝322aは弧形帯状に分布している。
【0054】
これらの実施例では、凹溝322aは弧形帯状に分布しており、且つ凹溝322aは避け凹部323の第1弧形外縁323aが避け凹部323から離れた方向に沿って延伸して成形される。凹溝322aの形状を避け凹部323の形状と適合させ、且つ凹溝322a及び避け凹部323を隣接して設置し、凹溝322aが受熱して変形しひいては熔融する場合、凹溝322aにより囲まれる領域内に位置する避け凹部323は基体から離脱して防爆弁311から排出される。
【0055】
凹溝322aから避け凹部323までの距離の設定形態は複数種であり、いくつかの実施例では、凹溝322aの避け凹部323に向かうエッジから避け凹部323までの最小距離は0~3ミリメートル(mm)である。凹溝322aと避け凹部323との間の距離を小さくすると、凹溝322aが受熱して変形しひいては熔融する場合、避け凹部323又は避け凹部323及びその周りの面積が限られた他の部分の基体部321は基体部321から離脱する。凹溝322aが受熱して軟化変形しひいては熔融する場合に脱落する部分の体積が大きすぎるため防爆弁311から排出できず、ひいては排気孔を詰めるという問題の発生を回避する。
【0056】
凹溝322aのサイズの設定は複数種であり、いくつかの実施例では、凹溝322aの避け凹部323から離れたエッジから凹溝322aの避け凹部323に向かうエッジまでの最小距離は0.8mm~3mmである。これらの実施例では、凹溝322aのサイズが上記範囲内にある場合、凹溝322aのサイズが小さすぎるため凹溝322aが熔融して変形することにより形成される排気孔の面積が小さすぎること、又は避け凹部323は基体部321から脱落できないことを回避することができるだけでなく、凹溝322aが受熱して軟化変形しひいては熔融する時に脱落する部分の体積が大きすぎるため防爆弁311から排出できないことを回避することもできる。
【0057】
基体部321を薄肉化することで凹溝322aを形成した後、基体部321の凹溝322aに対応する残留厚さdは、たとえば0.2mm~4mmであり、すなわち厚さ方向において、凹溝322aの底部の残留厚さdは0.2mm~4mmである。残留厚さdとは、薄肉化領域322内の基体部321の一部を薄肉化した後に残った厚さである。凹溝322aの底部の残留厚さdが上記範囲内にある場合、凹溝322aの底部が厚すぎることに起因する、受熱して変形又は熔融しにくくなることを回避することができるだけでなく、凹溝322aの底部が薄すぎることに起因する、絶縁板320の強度が低すぎるため、絶縁板320が通常に使用される過程に破損し変形することを回避することもできる。
【0058】
本願は、その精神及び本質的な特徴から逸脱することなく他の具体的な形態で実現される。たとえば、特定の実施例で説明されるアルゴリズムは、システム体系構造が本願の基本的な精神から逸脱することなく修正できる。従って、現在の実施例はすべての方面において例示的であり、限定的ではないと見なされ、本願の範囲は、上記説明ではなく、特許請求の範囲によって定義され、且つ、特許請求の範囲の意味及び等価物の範囲内の全ての変更は本願の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 電池パック
11 電池モジュール
12 ボックス
2 車両本体
10 電池セル
20 収容部
21 エンドプレート
22 側板
100 ハウジング
200 電極ユニット
210 アダプタシート
300 カバープレートユニット
310 トップカバープレート
311 防爆弁
320 絶縁板
321 基体部
322 薄肉化領域
322a 凹溝
322b 第2弧形外縁
323 避け凹部
323a 第1弧形外縁
324 排気チャンネル
324a 排気貫通孔
400 支持プレート
500 絶縁シート
600 絶縁膜
X 長さ方向
Y 幅方向
Z 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11