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特許7394998非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン、その製造方法およびそれを含む埋め込み型医療装置
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  • 特許-非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン、その製造方法およびそれを含む埋め込み型医療装置 図1
  • 特許-非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン、その製造方法およびそれを含む埋め込み型医療装置 図2
  • 特許-非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン、その製造方法およびそれを含む埋め込み型医療装置 図3
  • 特許-非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン、その製造方法およびそれを含む埋め込み型医療装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン、その製造方法およびそれを含む埋め込み型医療装置
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/66 20060101AFI20231201BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20231201BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20231201BHJP
   C08G 18/61 20060101ALI20231201BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20231201BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C08G18/66 007
C08G18/10
C08G18/40 009
C08G18/61
C08G18/75 080
A61L27/18
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022535913
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2020016996
(87)【国際公開番号】W WO2021118124
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0167208
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510115030
【氏名又は名称】アイセンス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒョンソ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ボナ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヨンジェ
(72)【発明者】
【氏名】カン,グンヒ
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-052496(JP,A)
【文献】特表2002-531609(JP,A)
【文献】特表2011-524431(JP,A)
【文献】特開2000-119359(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110144033(CN,A)
【文献】特開2017-075851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
A61L 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式2~9からなる群より選ばれる構造で表される、熱可塑性ポリウレタン:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
前記化学式2~9において、
xは2~50の整数であり、
yは2~100の整数であり、
nは10~250の整数であり、
aは10~15の整数である。
【請求項2】
(a)ポリオール(P)とジイソシアネート(R)とを反応させてプレポリマーを重合させる段階;
(b)前記段階(a)で構成されたプレポリマーを親水性または疎水性官能基(EまたはE)を含む鎖延長剤と反応させ、
前記鎖延長剤は、下記化学式11~13からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項3】
前記段階(a)においてポリオール(P)とジイソシアネート(R)との当量比は、ポリオール:ジイソシアネートとして0.5~1:1~5である、請求項2に記載の熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【請求項4】
前記段階(b)においてプレポリマーと親水性または疎水性官能基を含む鎖延長剤との当量比は、プレポリマー:親水性または疎水性官能基を含む鎖延長剤として0.5~1:1~4である、請求項2に記載の熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【請求項5】
前記ポリオール(P)は、熱可塑性ポリウレタンの全体重量に対して30~97重量%で使用される、請求項2に記載の熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【請求項6】
前記ジイソシアネートは、熱可塑性ポリウレタンの全体重量に対して2~60重量%で使用される、請求項2に記載の熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【請求項7】
前記親水性または疎水性官能基を含む鎖延長剤は、熱可塑性ポリウレタンの全体重量に対して1~20重量%で使用される、請求項2に記載の熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【請求項8】
請求項1による熱可塑性ポリウレタンを含む、物品。
【請求項9】
前記物品は医療用物品または装置である、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記医療用物品は埋め込み可能なものである、請求項に記載の物品。
【請求項11】
前記埋め込み可能な医療用物品は電気化学的センサである、請求項10に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタンの機能性を付加するための新規な鎖延長剤(Chain extender)と、前記鎖延長剤を含む埋め込み型医療装置に使用できる新規の非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic polyurethane、以下、「TPU」ともいう)とに関する。より詳細には、新規な鎖延長剤を含むことによって、従来の混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタンと類似の水吸収(Water uptake)および水透過(Water permeability)の性能を有しながらも、前記従来の混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタンを埋め込み型医療装置用高分子として使用する場合に発生する加工および製造における困難性を解決することができ、同等な性能の製品を効率よく生産および製造することができる、単一高分子形態の非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタンに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、弾性;透明性;オイル、グリースおよび摩耗に対する耐性をはじめとする多くの特性を有する、ポリウレタンプラスチックの種類である。技術的には、これらは、ハードセグメントとソフトセグメントとで構成された線状セグメントブロック共重合体で構成された、熱可塑性エラストマーである(図1および2参照)。
【0003】
関連して、従来の医療用TPUは、親水性あるいは疎水性高分子に分けられ、それぞれの用途に応じて使用されている。状況に応じて、両方の性質がすべて必要な場合は、不可避的に、異なる性質を有する2種類以上のTPUを混合して使用している。しかし、大規模の生産のためのコーティング作業および多様な作業環境での混合型TPUの使用は、多くのコストと厳しい条件などにより、実際に適用するには多くの問題を内包している。
【0004】
したがって、本発明者らは、一つのTPUに、互いに異なる性質(親水性/疎水性)を有する分子および官能基を導入し、単一のTPUの使用だけでも混合型TPUに代わることができ、必要に応じて分子量および特性などが調節可能な高分子を提供することを、開発の主な目的にして鋭意研究した結果、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような従来技術の問題を解消するために、本発明は、親水性あるいは疎水性官能基を有する鎖延長剤を含む、両親媒性熱可塑性ポリウレタンを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、前記両親媒性熱可塑性ポリウレタンを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような目的を達成するために、本発明は、親水性または疎水性官能基(EまたはE)を有する鎖延長剤を含む、両親媒性熱可塑性ポリウレタンであって、下記化学式1の構造で表される非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
前記式において、
またはEはそれぞれ独立して、置換または非置換された炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換された炭素数2~20のエチレンオキシド基、置換または非置換された炭素数1~20のアルコキシ基、置換または非置換された炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換された炭素数7~20のアリール基、置換または非置換された炭素数5~20のヘテロアリール基、置換または非置換された炭素数5~20のシロキサン基からなる群より選ばれる1種以上であり、EとEとはそれぞれ同一または異なってもよく;
Pはポリオールであり;
Rはジイソシアネートであり;
xは2~50の整数であり;
yは2~100の整数であり;
前記ポリオール(P)の分子量は400g/mol~10,000g/molである。
【0010】
本発明による前記両親媒性ポリウレタンは、ポリオール(P)とジイソシアネート(R)とのブロック共重合体としての熱可塑性ポリウレタン高分子共重合体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明による非混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタンは、鎖延長剤に親水性または疎水性基を導入することによって、従来の混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体と類似の水吸収および水透過の性能を有しながらも、混合されていない、すなわち、単一型のポリウレタンであって、従来の混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体を埋め込み形態の高分子として使用する場合の加工および製造上の問題を解消できるだけでなく、同等な性能の製品を効率よく生産および製造することができるという点において卓越する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】熱可塑性ポリウレタンの構造を示す模式図である。
図2】熱可塑性ポリウレタンの製造に使用される硬質セグメントであるイソシアネートの具体的な例である、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルメチレンジイソシアネート(HMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(Polymeric MDI)およびカルボジイミドメチレンジフェニルジイソシアネート(CMDI)を示す図である。
図3】熱可塑性ポリウレタンの製造に使用される軟質セグメントであるポリオールの具体的な例である、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)ポリ(1,6-ヘキサメチレンカーボネート)ジオール(PHMCD)、ポリ(デカメチレンカーボネート)ジオール(PDMCD)、オリゴカーボネートジオール、ポリヘキサメチレン-ペンタメチレンカーボネートジオール(PHMPMCD)ポリラクチド(Polylactide:PLA)、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone:PCL)、ポリエチレングリコールアジペート(Polyethyleneglycol adipate:PEGA)ポリジメチルシロキサン(PDMS)を示す図である。
図4】本発明と従来技術との差異点を簡略に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明を実施するための最良の形態
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
前記ポリオール(P)は、開始剤およびモノマー構成単位で製造される高分子量材料であり、ポリウレタン系に結合される場合、そのポリマーの「ソフトセグメント」に該当し、通常は巻かれた形で存在する。好ましい様態で、本発明による両親媒性熱可塑性ポリウレタンのポリオール(P)は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル、ポリジメチルシロキサン(PDMS)およびこれらの組み合わせ物からなる群より選ばれる1種以上である。
【0016】
前記ジイソシアネートおよび鎖延長剤は、硬質(ハード)セグメントを構成する。ハードセグメントは、軟質(ソフト)セグメントと共有結合により結合される。好ましい様態で、前記ジイソシアネート(R)は、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキシルメタンジイソシアネート(CHDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、カルボジイミド-改質されたMDI、ポリメリックMDI、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびこれらの組み合わせ物からなる群より選ばれた1種以上のものであり得る。
【0017】
本発明の両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体に含まれる鎖延長剤は、両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体に機能性(官能性)を付与するために、親水性または疎水性官能基(E,X=1,2)を有することを特徴とする。このような親水性または疎水性官能基は、上記のとおり、本発明による熱可塑性ポリウレタン共重合体内で同一または異なってもよく、置換または非置換された炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換された炭素数2~20のエチレンオキシド基、置換または非置換された炭素数1~20のアルコキシ基、置換または非置換された炭素数7~20のアリール基あるいはアリールオキシ基、置換または非置換された炭素数5~20のヘテロアリール基あるいはヘテロアリールオキシ基、置換または非置換された炭素数5~20のシロキサン基からなる群より選ばれる1種以上であり得る。好ましくは、前記親水性または疎水性官能基は、非置換された炭素数1-10のアルキル基;すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デカン基のうちの一つで構成されることができ、これに制限されるものではなく、置換または非置換された炭素数2~20のエチレンオキシド基:すなわち、(-OCHCH-)においてnの数1-10であるエチレンオキシド基からなる群より選ばれる1種以上であり得、これに制限されるものではなく、置換または非置換された炭素数1~20のアルコキシ基;すなわち、メトキシ(methoxy)、エトキシ(ethoxy)、プロポキシ基(propoxy)、イソプロポキシ(isopropoxy)、ブトキシ基(butoxy)、tert-ブトキシ(tert-butoxy)、ペンタノキシ基(pentanoxy)、ヘキサノキシ基(hexanoxy)、ヘプタノキシ(heptanoxy)、オクタノキシ(octanoxy)、デカノキシ(decanoxy)、アルキル-デカノキシ(2-hexyl-1-decanoxy、6-ethyl-3-decanoxyなど)、ドデカノキシ(dodecanoxy)、アルキル-ドデカノキシ、ウンデカノキシ(undecanoxy)、アルキル-ウンデカノキシ基、アリルオキシ基(allyloxy)、シクロアルキルオキシ、シクロヘキシルオキシ(cyclohexyloxy)のうちの一つで構成されることができ、これに制限されるものではなく、置換または非置換された炭素数7~20のアリール基あるいはアリールオキシ基;すなわち、フェニル基、ベンジル基、トリル基、ナフタレン基、フェナントレニル基、その他アルキルフェニル基、およびフェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、トリルオキシ基、ナフタレンオキシ基、フェナントレンオキシ基、その他アルコキシフェニル基のうちの一つで構成されることができ、これに制限されるものではなく、置換または非置換された炭素数5~20のヘテロアリール基あるいはヘテロアリールオキシ基;すなわち、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなどの単環ヘテロアリール、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリルなどの多環式ヘテロアリールおよびこれらの相応するN-オキシド(例えば、ピリジルN-オキシド、キノリルN-オキシド)、これらの4次塩などを含むが、そのうちの一つで構成されることができ、これに制限されるものではなく、置換または非置換された炭素数5~20のシロキサン基;すなわち、(-(Me)SiO-)においてnの数2-10であるシロキサン基からなる群より選ばれる1種以上であり得、これに制限されるものではない。
【0018】
具体的な様態で、本発明による両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体は、1,000~3,500,000g/molの重量平均分子量を有することができる。
【0019】
具体的には、本発明による両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体は、下記化学式2~9からなる群より選ばれる構造で表される。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
前記化学式2~9において、
xおよびyは前記化学式1で定義したとおりであり、
nは10~250の整数であり、
aは10~15の整数である。
【0029】
また他の一つの様態として、本発明は、下記段階を含む、両親媒性熱可塑性ポリウレタンを製造する方法に関するものである:
(a)ポリオール(P)とジイソシアネート(R)とを反応させてプレポリマーを重合させる段階;
(b)前記段階(a)で構成されたプレポリマーを、親水性または疎水性官能基(EまたはE)を含む鎖延長剤と反応させて、両親媒性熱可塑性ポリウレタンを製造する段階。
【0030】
好ましくは、前記両親媒性熱可塑性ポリウレタンは、前記化学式1の構造を有する。したがって、前記ポリオール(P)は、ポリエーテル系(Polyether):すなわち、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)およびポリテトラメチレングリコール(PTMG)からなる群より選ばれる1種以上であり得、また、ポリカーボネート系(Polycarboante):すなわち、ポリ(1,6-ヘキサメチレンカーボネート)ジオール(PHMCD)、ポリ(デカメチレンカーボネート)ジオール(PDMCD)、オリゴカーボネートジオールおよびポリヘキサメチレン-ペンタメチレンカーボネートジオール(PHMPMCD)からなる群より選ばれる1種以上であり得、また、ポリエステル系(Polyester);すなわち、ポリラクチド(Polylactide:PLA)、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone:PCL)およびポリエチレングリコールアジペート(Polyethyleneglycol adipate:PEGA)からなる群より選ばれる1種以上であり得、また、シリコン系(Silicone);すなわち、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアリルシロキサンおよびポリアルキルシロキサン、これらの組み合わせ物からなる群より選ばれる1種以上であり得る。また、前記プレポリマーを構成するポリオール(P)それぞれの平均分子量は、400g/mol~10,000g/molあるいは繰り返し単位nが10~250である(図2)。
【0031】
また、前記ジイソシアネート(R)は、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキシルメタンジイソシアネート(CHDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、カルボジイミド-改質されたMDI、ポリメリックMDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびこれらの組み合わせ物からなる群より選ばれた1種以上であり得る(図3)。
【0032】
また、前記段階(b)において、プレポリマーは、親水性または疎水性官能基を含む鎖延長剤と反応させる。この際、鎖延長剤は、下記化学式10の構造で表されることが好ましい。
【0033】
【化10】
【0034】
前記式において、
またはEはそれぞれ独立して、置換または非置換された炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換された炭素数2~20のエチレンオキシド基、置換または非置換された炭素数1~20のアルコキシ基、置換または非置換された炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換された炭素数7~20のアリール基、置換または非置換された炭素数5~20のヘテロアリール基、置換または非置換された炭素数5~20のシロキサン基からなる群より選ばれる1種以上であり、EとEとはそれぞれ同一または異なってもよい。
【0035】
例えば、このような鎖延長剤は、下記化学式11~13からなる群より選ばれる1種以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
好ましい様態で、前記段階(a)において、ポリオール(P)とジイソシアネート(R)との当量比は、ポリオール:ジイソシアネートとして0.5~1:1~5であり得る。また、前記段階(b)において、プレポリマーと親水性または疎水性官能基を含む鎖延長剤との当量比は、プレポリマー:親水性または疎水性官能基を含む鎖延長剤として0.5~1:1~4であり得る。また、前記ポリオールは、両親媒性熱可塑性ポリウレタン全体の全体重量に対して30~97重量%で使用することができる。前記ジイソシアネートは、両親媒性熱可塑性ポリウレタン全体の全体重量に対して2~60重量%で使用することができる。前記親水性または疎水性官能基を含む鎖延長剤は、両親媒性熱可塑性ポリウレタンの全体重量に対して1~20重量%で使用することができる。
【0040】
前記のような方法によって製造された、本発明による両親媒性熱可塑性ポリウレタンは、親水性または疎水性基を含む鎖延長剤を含むことによって、従来の所望する他の水吸収および水透過の性能を示すために混合して製造した混合型両親媒性熱可塑性ポリウレタンと比較すると、同等な水準の性能を示しながらも、単一形態である非混合型で使用できることによって、特に医療用として使用される物品または装置、好ましくは埋め込み可能な医療用物品または装置に高分子として使用される場合に問題になり得る加工および製造上の問題を有していないという長所を有する。さらに、鎖延長剤にどの官能基を導入するのかによって、製造される両親媒性熱可塑性ポリウレタンの物性や性能が変わるので、水吸収および/または水透過の性能を容易に導入することができる。ポリオールあるいはジイソシアネートに官能基を導入する方法は、再現性、生産性および精製などの困難性を有するため商用化が難しいことに対して、鎖延長剤の官能基の導入は、合成および精製も比較的容易で大量生産にも有利であるという長所を有する。
【0041】
また他の様態で、本発明は、前記両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体を含む物品を提供する。このような物品は、本発明による熱可塑性ポリウレタン共重合体を、カレンダリング(calendering)、キャスティング(casting)、コーティング(coating)、コンパウンディング(compounding)、押出(extrusion)、フォーミング(foaming)、ラミネーティング(laminating)、ブロー成形(blowmolding)、圧縮成形(compressionmolding)、射出成形(injectionmolding)、熱成形(thermoforming)、移送成形(transfermolding)、キャスト成形(castmolding)、回転成形(rotationalmolding)、スパン(spun)または溶融接合(melt bonding)、またはこれらの組み合わせによる方法によって製造されることができる。
【0042】
本発明の物品は、前記両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体とともに、一つ以上の着色剤、抗酸化剤(フェノール樹脂類、ホスファート、チオエステル、および/またはアミンを含む)、オゾン分解防止剤、安定化剤、潤滑剤、抑制剤、加水分解安定化剤、光安定化剤、ベンゾトリアゾールUV吸収剤、熱安定化剤、変色を防止するための安定化剤、染料、顔料、補強剤、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含むことができる。
【0043】
好ましくは、本発明による物品は、医療装置または部品であり、埋め込み可能であるか、または埋め込み可能でないものであり得る。例えば、電気化学的バイオセンサ、心臓ペースメーカーリード、人工臓器、人工心臓、心臓弁膜、人工腱、動脈または静脈、インプラント、医療用バッグ、医療用弁、医療用チューブ、薬物送達デバイス、生体吸水性インプラント、医療用プロトタイプ、医療用モデル、矯正器具、骨、歯科用品および手術ツールからなる群より選ばれる1種以上またはこれらの部品であり得る。より好ましくは、本発明による物品は、持続血糖モニタリングセンサのような電気化学的バイオセンサに用いられる保護膜であり得る。
【0044】
発明を実施するための形態
【0045】
以下、本発明を、下記の実施例によって、より詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するだけである。本発明の内容は、下記の実施例によって限定されるものではない。
【0046】
実施例1:本発明による官能化された両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体の製造
【0047】
1. 鎖延長剤の合成
【0048】
1-1. 13-ブロモ-2,5,8,11-テトラオキサトリデカンの合成
【0049】
【化14】
【0050】
250mL二口丸底フラスコに、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル10.0g(48mmol)と四臭化炭素19.1g(57mmol)とを入れて、アルゴン下で無水ジクロロメタン(100mL)に溶かした後、0℃に冷却する。前記混合物に、トリフェニルホスフィン15.1g(57mmol)を15分間小分けして入れて、2時間の間、常温で攪拌した。反応終結後に、反応混合物を、水(100mL)とジクロロメタン(100mL×3)と共に抽出した。有機層を集めて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して、溶媒を除去した後に残った残余物をヘキサンで溶かした。ろ液を真空蒸留(0.1torr、110℃)により精製して、透明な無色の液体を得た(12.0g、92%)。
【0051】
1-2. (5-エチル-2,2-ジメチル-1,3ジオキサン-5-ニル)メタノールの合成
【0052】
【化15】
【0053】
1L二口丸底フラスコに、トリメチロールプロパン100g(0.75mol)とアセトン200mLとを入れて、石油エーテル300mLに溶かした。この混合物に、p-トルエンスルホン酸(0.13g、0.75mmol)を入れて50℃で加熱して、21時間の間、攪拌する。反応終結後に常温に冷却して、反応溶媒を減圧濃縮して除去した。フラスコに残っている反応混合物を、真空蒸留(0.1torr、90℃)により精製して、透明な無色の液体を得た(93.0g、72%)。
【0054】
1-3. 2-エチル-2-(2,5,8,11,14-ペンタオキサペンタデシル)プロパン-1,3-ジオールの合成(CE1)
【0055】
【化16】
【0056】
250mL二口丸底フラスコにおいて、前記実施例1-2で製造された(5-エチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-ニル)メタノール5.2g(30mmol)を、アルゴン下で無水テトラヒドロフラン(100mL)に溶かした後、水素化ナトリウム1.5g(38mmol)を加える。この混合物を常温で一時間の間、攪拌した後に、前記実施例1-1で製造された13-ブロモ-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン9.7g(38mmol)を入れて、アルゴン下で70℃で加熱して、24時間の間、攪拌した。反応終結後に、反応混合物を常温に冷却して、溶媒であるテトラヒドロフランを減圧濃縮して除去した後に、水(100mL)と酢酸エチル(100mL×3)とともに抽出した。抽出した有機層を集めて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去した。非精製の黄色液体は、500mL二口丸底フラスコにおいて、触媒量のp-トルエンスルホン酸と蒸留水200mlとを混合して、100℃で加熱して、24時間の間、攪拌した。反応終結後に、反応混合物を常温に冷却して、酢酸エチル(150mL×3)とともに抽出した。有機層を集めて減圧濃縮し、溶媒を除去した後に、酢酸エチルとヘキサンとを展開溶媒として使用してカラムクロマトグラフィーで精製した(ヘキサン:酢酸エチル=2:1(10%メタノール))。最終的に、透明な液体の2-エチル-2-(2,5,8,11,14-ペンタオキサペンタデシル)プロパン-1,3-ジオールを得た(6.5g、67%)。
【0057】
1-4. 2-ヘキシルデシル-4-メチルベンゾスルホネートの合成
【0058】
【化17】
【0059】
1L丸底フラスコに、2-ヘキシル-1-デカノール15.0g(61mmol)を入れて、ジクロロメタン(300mL)に溶かす。この混合物に、p-トルエンスルホニルクロリド23.0g(123mmol)とピリジン7.5mL(93mmol)とを入れた後、24時間の間、常温で攪拌した。反応終結後に、最終反応混合物を、水(40mL)とジクロロメタン(100mL×3)と共に抽出する。有機層を集めて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去する。非精製の反応混合物を、酢酸エチルとヘキサンとを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで精製した(ヘキサン:酢酸エチル=16:1)。最終的に、無色の液体である2-ヘキシルデシル-4-メチルベンゾスルホネートを得た(21.0g、88%)。
【0060】
1-5. 5-エチル-5-(((2-ヘキシルデシル)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサンの合成
【0061】
【化18】
【0062】
250mL二口丸底フラスコにおいて、(5-エチル-2,2-ジメチル-1,3ジオキセン-5-ニル)メタノール1.00g(5.7mmol)をアルゴン下で無水テトラヒドロフラン(25mL)に溶かした後、水素化ナトリウム0.23g(5.8mmol)を加えた。この混合物を常温で一時間の間攪拌した後に、2-ヘキシルデシル4-メチルベンゾスルホネート2.70g(6.8mmol)を入れて、アルゴン下で70℃で加熱して24時間の間、攪拌した。反応終結後に、反応混合物を常温に冷却して、水(30mL)とジクロロメタン(60mL×3)と共に抽出する。有機層を集めて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去した後に、黄色液体の5-エチル-5-(((2-ヘキシルデシル)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサンを得て、精製を行わず次の反応に進んだ。
【0063】
1-6. 2-エチル-2-(((2-ヘキシルデシル)オキシル)メチル)プロペン-1,3-ジオールの合成(CE2)
【0064】
【化19】
【0065】
250mL二口丸底フラスコにおいて、5-エチル-5-(((2-ヘキシルデシル)オキシル)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン1.0g(2.5mmol)を30mLメタノールに溶かして、p-トルエンスルホン酸を入れて60℃で加熱して2時間の間、攪拌した。反応終結後に、反応混合物を常温に冷却して、水(30mL)とエチルアセテート(50mL×3)とともに抽出した。有機層を集めて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去した。非精製の反応物を、酢酸エチルとヘキサンとを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで精製した(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。最終的に、黄色の液体である2-エチル-2-(((2-ヘキシルデシル)オキシル)メチル)プロペン-1,3-ジオールを得た(1.1g、53%)。
【0066】
1-7. 1-ブチル-5-(2-((3クロロプロピル)チオ)エチル)ポリジメチルシロキサンの合成
【0067】
【化20】
【0068】
70mLカルチャーチューブにおいて、3-(クロロプロパン)-1-チオール1.2g(11mmol)と、末端モノビニルポリ(ジメチルシロキサン)(分子量:~1200g/mol)12g(~10mmol)とDMPA(11mg、0.04mmol)とを、アルゴン雰囲気で15mLの無水テトラヒドロフランに溶かした後、15分間アルゴン脱気(degassing)した。この反応混合物を、UV反応器に入れて2時間の間、315~400nmの光を照射した。反応終了後に、溶媒を減圧して除去した後に残っている開始物質を、真空蒸留により除去した。最終的に、透明なオイルの1-ブチル-5-(2-((3クロロプロピル)チオ)エチル)ポリジメチルシロキサンを得た(13g、95%)。
【0069】
1-8. 1-ブチル-5-(2-((3クロロプロピル)チオ)エチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサンの合成
【0070】
【化21】
【0071】
250mL二口丸底フラスコにおいて、(5-エチル-2,2-ジメチル-1,3ジオキセン-5-ニル)メタノール1.00g(5.7mmol)を、アルゴン下で無水テトラヒドロフラン(25mL)に溶かした後に、水素化ナトリウム0.23g(5.8mmol)を加えた。この混合物を常温で一時間の間、攪拌した後に、1-ブチル-5-(2-((3クロロプロピル)チオ)エチル)ポリジメチルシロキサン8.0g(6.0mmol)を入れて、アルゴン下で70℃で加熱して24時間の間、攪拌した。反応終結後に、反応混合物を常温に冷却して、水(30mL)とジクロロメタン(60mL×3)と共に抽出する。有機層を集めて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去した後に、黄色液体の1-ブチル-5-(2-((3クロロプロピル)チオ)エチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサンを得て、精製を行わず次の反応に進んだ。
【0072】
1-9. 1-ブチル-5-(2-((3クロロプロピル)チオ)エチル)-2-エチルプロパン-1,3-ジオールの合成(CE3)
【0073】
【化22】
【0074】
500mL二口丸底フラスコに、非精製の1-ブチル-5-(2-((3クロロプロピル)チオ)エチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン9.5gと触媒量のp-トルエンスルホン酸とを入れて、蒸留水500mlと混合して、90℃で24時間の間、攪拌した。反応終結後に、反応混合物を常温に冷却して、酢酸エチル(100mL×3)とともに抽出した。有機層を集めて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去した。非精製の反応物を、酢酸エチルとヘキサンとを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで精製した(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。最終的に、粘性の黄色オイルの1-ブチル-5-(2-((3クロロプロピル)チオ)エチル)-2-エチルプロパン-1,3-ジオールを得た(8.0g、2steps yield 90%)。
【0075】
2. ポリオールおよびジイソシアネートで構成されるプレポリマーの製造、並びに、官能化された鎖延長剤を用いたポリウレタン共重合体の合成
【0076】
実施例1で製造された鎖延長剤を、下記のような方法で反応させて、本発明による両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体を製造した。
【0077】
2-1. ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンの合成
【0078】
2-1-1. PEG-PU-CE1の合成
【0079】
下記反応式1により、PEG-PU-CE1を合成した。
【0080】
【化23】
【0081】
(前記反応式において、EはEまたはEであり、nは10~250の整数のいずれか一つであり、x、yは前記化学式1で定義したとおりである)
【0082】
反応前のポリエチレングリコールは、真空オーブンで70℃で24時間の間、乾燥後に使用した。その他に、他の液状の試薬は、4Å分子ふるい(4ÅMolecular sieve)を用いて水分を除去した後に使用した。1L二重ジャケット反応槽にオーバーヘッドスターラー、冷却器、ガス流入管およびゴムセプタムを設置して、ポリエチレングリコール(M=1,000g/mol)10.0g(10mmol)と20mLの無水テトラヒドロフランとを入れて、15分間アルゴン脱気(degassing)した。前記反応槽に、触媒であるジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)0.6gとシクロヘキシルメチレンジイソシアネート5.2g(20mmol)とを、ガスタイトシリンジ(gas tight syringe)を用いて順次入れて、80℃で3時間の間、加熱した。反応後に、合成されたポリウレタンプレポリマー(pre-polymer)のNCO(%)含有量を、逆滴定法を用いて確認した。1L二重ジャケット反応槽にオーバーヘッドスターラー、冷却器、ガス流入管およびゴムセプタムを設置して、前記製造されたプレポリマーを入れた後に、合成された鎖延長剤CE1(10mmol)を、シリンジポンプを用いてゆっくり加えて、80℃で12時間の間、加熱する。反応終結後に、合成された高い粘度のポリウレタンをTHFに溶かした後、ジエチルエーテルが入ったビーカーにゆっくり落として沈殿させた。沈殿した白色固体を、真空オーブンに入れて常温で24時間の間、乾燥した。最終的に、下記のような白色固体の両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体PEG-PU-CE1を製造した(15g)。
【0083】
【化24】
【0084】
(前記式において、nは10~250の整数であり、xおよびyは前記化学式1で定義したとおりである)
【0085】
2-1-2. PEG-PU-CE2の合成
【0086】
前記2-1-1の合成法と同様の方法により、PEG-PU-CE2を製造した。
【0087】
【化25】
【0088】
(前記式において、nは10~250の整数であり、xおよびyは前記化学式1で定義したとおりである)
【0089】
2-1-3. PEG-PU-CE3合成
【0090】
前記2-1-1の合成法と同様の方法により、PEG-PU-CE3を製造した。
【0091】
【化26】
【0092】
(前記式において、nは10~250の整数であり、xおよびyは前記化学式1で定義したとおりである)
【0093】
2-2. ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンの合成
【0094】
2-2-1. PC-PU-CE1の合成
【0095】
下記反応式2により、PC-PU-CE1を合成した。
【0096】
【化27】
【0097】
(前記式において、EはEまたはEであり、nは10~250の整数であり、x、yは前記化学式1で定義したとおりである)
【0098】
反応前のポリヘキサメチレンカーボネートは、真空オーブンで70℃で24時間の間、乾燥後に使用した。その他に、他の液状の試薬は、4Å分子ふるい(4ÅMolecular sieve)を用いて水分を除去した後に使用した。1L二重ジャケット反応槽にオーバーヘッドスターラー、冷却器、ガス流入管およびゴムセプタムを設置して、ポリヘキサメチレンカーボネート(M=2,000g/mol)20.0g(10mmol)と40mLの無水テトラヒドロフランとを入れて、15分間アルゴン脱気(degassing)する。前記反応槽に、触媒であるジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)0.6gとシクロヘキシルメチレンジイソシアネート5.2g(20mmol)とを、ガスタイトシリンジ(gas tight syringe)を用いて順次入れて、80℃で3時間の間、加熱した。反応後に、合成されたポリウレタンプレポリマー(pre-polymer)のNCO(%)含有量を、逆滴定法を用いて確認する。1L二重ジャケット反応槽にオーバーヘッドスターラー、冷却器、ガス流入管およびゴムセプタムを設置して、前記製造されたプレポリマーを入れた後に、合成された鎖延長剤CE1(10mmol)を、シリンジポンプを用いてゆっくり加えて、80で12時間の間、加熱した。反応終結後に、合成された高い粘度のポリウレタンをTHFに溶かした後、ジエチルエーテルが入ったビーカーにゆっくり落として沈殿させた。沈殿した白色固体を、真空オーブンに入れて常温で24時間の間、乾燥する。最終的に、下記のような白色固体の両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体PC-PU-CE1を製造した(23g)。
【0099】
【化28】
【0100】
(前記式において、nは10~250の整数であり、xおよびyは前記化学式1で定義したとおりである)
【0101】
2-2-2. PC-PU-CE2の合成
【0102】
前記2-2-1の合成法と同様の方法により、PC-PU-CE2を製造した。
【0103】
【化29】
【0104】
(前記式において、nは10~250の整数であり、xおよびyは前記化学式1で定義したとおりである)
【0105】
2-2-3 PC-PU-CE3合成
【0106】
前記2-2-1の合成法と同様の方法により、PC-PU-CE3を製造した。
【0107】
【化30】
【0108】
(前記式において、nは10~250の整数であり、xおよびyは前記化学式1で定義したとおりである)
【0109】
2-3. ポリジメチルシロキサン系熱可塑性ポリウレタンの合成
【0110】
2-3-1. PDMS-PU-CE1の合成
【0111】
下記反応式3により、PDMS-PU-CE1を合成した
【0112】
【化31】
【0113】
(前記式において、EはEまたはEであり、nは10~250の整数であり、x、yは前記化学式1で定義したとおりである)
【0114】
反応前のポリジメチルシロキサンは、真空オーブンで70℃で24時間の間、乾燥後に使用した。その他に、他の液状の試薬は、4Å分子ふるい(4ÅMolecular sieve)を用いて水分を除去した後に使用した。1L二重ジャケット反応槽にオーバーヘッドスターラー、冷却器、ガス流入管およびゴムセプタムを設置して、ポリジメチルシロキサン(M=900g/mol)9.0g(10mmol)と10mLの無水テトラヒドロフランとを入れて、15分間アルゴン脱気(degassing)する。前記反応槽に、触媒であるジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)0.6gとシクロヘキシルメチレンジイソシアネート5.2g(20mmol)とを、ガスタイトシリンジ(gas tight syringe)を用いて順次入れて、80℃で3時間の間、加熱した。反応後に、合成されたポリウレタンプレポリマー(pre-polymer)のNCO(%)含有量を、逆滴定法を用いて確認した。1L二重ジャケット反応槽にオーバーヘッドスターラー、冷却器、ガス流入管およびゴムセプタムを設置して、前記製造されたプレポリマーを入れた後に、合成された鎖延長剤CE1(10mmol)を、シリンジポンプを用いてゆっくり加えて、80℃で12時間の間、加熱した。反応終結後に、合成された高い粘度のポリウレタンをTHFに溶かした後、ジエチルエーテルが入ったビーカーにゆっくり落として沈殿させた。沈殿した白色固体を、真空オーブンに入れて常温で24時間の間、乾燥した。最終的に、下記のような白色固体の両親媒性熱可塑性ポリウレタン共重合体PDMS-PU-CE1を製造した(12g)。
【0115】
【化32】
【0116】
(前記式において、nは10~250の整数であり、xおよびyは前記化学式1で定義したとおりである)
【0117】
2-3-2. PDMS-PU-CE2の合成
【0118】
前記2-3-1の合成法と同様の方法により、PDMS-PU-CE2を製造した。
【0119】
【化33】
【0120】
(前記式において、nは10~250の整数であり、xおよびyは前記化学式1で定義したとおりである)
図1
図2
図3
図4