(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】ヒューズおよび回路システム
(51)【国際特許分類】
H01H 85/38 20060101AFI20231201BHJP
H01H 85/18 20060101ALI20231201BHJP
H01H 85/12 20060101ALI20231201BHJP
H01H 85/10 20060101ALI20231201BHJP
H01H 39/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
H01H85/38
H01H85/18
H01H85/12
H01H85/10
H01H39/00 C
(21)【出願番号】P 2022542072
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(86)【国際出願番号】 CN2021085832
(87)【国際公開番号】W WO2021204165
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202010263397.9
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110316698.8
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521368463
【氏名又は名称】西安中熔電気股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石 暁光
(72)【発明者】
【氏名】戈 西斌
(72)【発明者】
【氏名】王 偉
(72)【発明者】
【氏名】曹 輝
(72)【発明者】
【氏名】王 寧
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-49272(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015114279(DE,A1)
【文献】特開平10-241546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/00 - 85/62
H01H 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、可溶体と、衝撃装置とを備え、
前記ハウジングは、内部に密閉室が設けられ、前記密閉室に消弧充填材が充填され、前記ハウジングにそれぞれ電流入力端および電流出力端とされる第1導電端子および第2導電端子が接続され、
前記可溶体は、前記第1導電端子と前記第2導電端子との間に直列接続されるとともに、少なくとも一部が前記密閉室内に挿設され、
前記衝撃装置は、前記ハウジング内に設置されかつ前記密閉室の外部に位置し、誘起信号を受信したとき、前記可溶体を前記密閉室内で破断させるように前記可溶体において作用して衝撃力を発生するように構成され
、
前記密閉室は、複数設けられ、各前記密閉室内において対応の可溶体が挿設され、それぞれ複数の前記密閉室に挿設される複数の可溶体が直列接続しまたは並列接続する
ことを特徴とするヒューズ。
【請求項2】
各前記密閉室内に複数の並列接続する可溶体が挿設され、複数の並列接続する前記可溶体がそれぞれ先に破断する可溶体および後に破断する可溶体として設置される
ことを特徴とする請求項
1に記載のヒューズ。
【請求項3】
前記ヒューズは、可溶体衝撃ヘッドをさらに備え、前記可溶体衝撃ヘッドは、動的にシールするように前記密閉室の外壁に設置され、一端が前記衝撃装置と連動し、他端が前記先に破断する可溶体に向かって設置され、前記衝撃装置が動作するときに移動して前記先に破断する可溶体を突破して破断させるように構成される
ことを特徴とする請求項
2に記載のヒューズ。
【請求項4】
前記後に破断する可溶体は、曲折セグメントを含み、所定の長さまで伸ばされてから破断するように構成される
ことを特徴とする請求項
3に記載のヒューズ。
【請求項5】
前記曲折セグメントは、S形波状構造または螺旋状構造である
ことを特徴とする請求項
4に記載のヒューズ。
【請求項6】
前記可溶体の、前記密閉室内に位置する部分に脆弱箇所が設けられ、これによって、前記可溶体が衝撃を受けたときに前記脆弱箇所で破断する
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載のヒューズ。
【請求項7】
前記脆弱箇所は、貫通孔または破断用凹溝の構造である
ことを特徴とする請求項
6に記載のヒューズ。
【請求項8】
前記衝撃装置は、駆動部材と衝撃部材とを含み、前記駆動部材が、誘起信号を受信したときに前記衝撃部材を駆動して動作させるように構成され、前記誘起信号が、故障電流が検出されたときに送信されたもの、またはユーザーの操作に応答して送信されたものであり、
前記衝撃部材が、動作するとき前記可溶体において引張力を発生することにより前記可溶体を引張力の作用で破断させるように構成される
ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載のヒューズ。
【請求項9】
前記密閉室は、2つ設けられ、2つの前記密閉室が間隔をあけて対向して設けられ、前記可溶体は、それぞれ2つの前記密閉室に挿設される第1可溶体と第2可溶体を含み、
前記衝撃装置は、2つの前記密閉室の間に位置する。
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載のヒューズ。
【請求項10】
前記第1導電端子および前記第2導電端子は、それぞれ前記ハウジングの両側から前記ハウジング内に挿入し、前記ヒューズは、前記ハウジング内に設置される接続用導電端子をさらに備え、前記第1可溶体が前記第1導電端子と前記接続用導電端子との間に接続され、前記第2可溶体が前記第2導電端子と前記接続用導電端子との間に接続され、
前記衝撃装置が、前記接続用導電端子と対向して設置され、前記接続用導電端子を衝撃して移動させることにより前記可溶体を破断させるように構成される
ことを特徴とする請求項
9に記載のヒューズ。
【請求項11】
前記衝撃装置および前記接続用導電端子をガイドするように構成されるガイド部材をさらに備える
ことを特徴とする請求
項10に記載のヒューズ。
【請求項12】
前記第2導電端子は、破断部を含み、前記破断部が前記第1導電端子と間隔をあけて対向して設置され、
前記第1可溶体および前記第2可溶体のそれぞれの一端が前記第1導電端子と接続し、前記第1可溶体および前記第2可溶体のそれぞれの他端が前記破断部と接続し、
前記衝撃装置が、前記破断部と対向して設置され、前記破断部を衝撃して移動させることにより前記可溶体を破断させるように構成される
ことを特徴とする請求項
9~1
1のいずれか1項に記載のヒューズ。
【請求項13】
前記密閉室に開口が設けられ、前記開口に密封栓が設置され、前記可溶体が前記密封栓を穿通することにより前記密閉室に進入しまたは前記密閉室から延出する
ことを特徴とする請求項1~1
2のいずれか1項に記載のヒューズ。
【請求項14】
前記消弧充填材は、シリカなどの固体消弧充填材である
ことを特徴とする請求項1~1
3のいずれか1項に記載のヒューズ。
【請求項15】
請求項1~1
4のいずれか1項に記載のヒューズを備える
ことを特徴とする回路システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関係出願の相互参照)
本出願は、2020年4月7日に中国専利局に提出された、出願番号が2020102633979であり、名称が「可溶体に対する機械力切断および消弧が組み込まれた誘起ヒューズ」である中国出願、及び2021年3月24日に中国専利局に提出された、出願番号が2021103166988であり、名称が「ヒューズおよび回路システム」に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本出願に参照として取り込まれる。
【0002】
本出願は、回路保護の技術分野に属し、具体的に、ヒューズおよび回路システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒューズは、常用の回路過電流保護用製品である。一般的に、ヒューズのヒューズ線は、大電流が流れるとき、電流により生じた熱で溶断される。このような熱溶断ヒューズの、負荷対応関係を特定することが難しく、定格電流の小さいヒューズを利用すれば、電流の短時間オーバーシュートの状況を満たすことができなく、定格電流の大きいヒューズを利用すれば、素早く保護する要求を満たすことができない。
【0004】
上記の状況に鑑みて、従来技術では、取付チャンバーを形成するハウジングと、取付チャンバー内に設置されるヒューズ片と、外力作用を受けるときヒューズ片を切断するように構成される切断アッセンブリとを備える、機械的衝撃で破断するヒューズが提供されている。該機械的衝撃で破断するヒューズは、外力作用によりヒューズ片を切断する。しかし、従来技術には、ヒューズ片が衝撃を受けて破断するときに大量のアークが生じやすいため、安全性能が劣る問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例は、回路を素早く遮断できるとともにアークの漏れがなく、保護電流の上限値が上がるとともに保護電流の下限値が零電流まで拡張される、ヒューズおよび回路システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願に係るヒューズは、ハウジングと、可溶体と、衝撃装置とを備え、
前記ハウジングは、内部に密閉室が設けられ、前記密閉室に消弧充填材が充填され、前記ハウジングにそれぞれ電流入力端および電流出力端とされる第1導電端子および第2導電端子が接続され、
前記可溶体は、前記第1導電端子と前記第2導電端子との間に直列接続されるとともに、少なくとも一部が前記密閉室内に挿設され、
前記衝撃装置は、前記ハウジング内に設置されかつ前記密閉室の外部に位置し、誘起信号を受信したとき、前記可溶体を前記密閉室内で破断させるように前記可溶体において作用して衝撃力を発生するように構成される。
【0007】
任意選択で、前記密閉室は、複数設けられ、各前記密閉室内において対応の可溶体が挿設され、それぞれ複数の前記密閉室に挿設される複数の可溶体が直列接続しまたは並列接続する。
【0008】
任意選択で、前記密閉室内に複数の並列接続する可溶体が挿設され、複数の並列接続する前記可溶体がそれぞれ先に破断する可溶体および後に破断する可溶体として設置される。
【0009】
任意選択で、前記ヒューズは、可溶体衝撃ヘッドをさらに備え、前記可溶体衝撃ヘッドは、動的にシールするように前記密閉室の外壁に設置され、一端が前記衝撃装置と連動し、他端が前記先に破断する可溶体に向かって設置され、前記衝撃装置が動作するときに移動して前記先に破断する可溶体を突破して破断させるように構成される。
【0010】
任意選択で、前記後に破断する可溶体は、曲折セグメントを含み、所定の長さまで伸ばされてから破断するように構成される。
【0011】
任意選択で、前記曲折セグメントは、S形波状構造または螺旋状構造である。
【0012】
任意選択で、前記可溶体の、前記密閉室内に位置する部分に脆弱箇所が設けられ、これによって、前記可溶体が衝撃を受けたときに前記脆弱箇所で破断する。
【0013】
任意選択で、前記脆弱箇所は、貫通孔または破断用凹溝の構造である。
【0014】
任意選択で、前記衝撃装置は、駆動部材と衝撃部材とを含み、前記駆動部材が、誘起信号を受信したときに前記衝撃部材を駆動して動作させるように構成され、前記誘起信号が、故障電流が検出されたときに送信されたもの、またはユーザーの操作に応答して送信されたものであり、
前記衝撃部材が、動作するとき前記可溶体において引張力を発生することにより前記可溶体を引張力の作用で破断させるように構成される。
【0015】
任意選択で、前記密閉室は、2つ設けられ、前記可溶体は、それぞれ2つの前記密閉室に挿設される第1可溶体と第2可溶体を含み、
前記衝撃装置は、2つの前記密閉室の間に位置する。
【0016】
任意選択で、前記第1導電端子および前記第2導電端子は、それぞれ前記ハウジングの両側から前記ハウジング内に挿入し、前記ヒューズは、前記ハウジング内に設置される接続用導電端子をさらに備え、前記第1可溶体が前記第1導電端子と前記接続用導電端子との間に接続され、前記第2可溶体が前記第2導電端子と前記接続用導電端子との間に接続され、
前記衝撃装置が、前記接続用導電端子と対向して設置され、前記接続用導電端子を衝撃して移動させることにより前記可溶体を破断させるように構成される。
【0017】
任意選択で、前記ヒューズは、前記衝撃装置および前記接続用導電端子をガイドするように構成されるガイド部材をさらに備える。
【0018】
任意選択で、前記第2導電端子は、破断部を含み、前記破断部が前記第1導電端子と間隔をあけて対向して設置され、
前記第1可溶体および前記第2可溶体のそれぞれの一端が前記第1導電端子と接続し、前記第1可溶体および前記第2可溶体のそれぞれの他端が前記破断部と接続し、
前記衝撃装置が、前記破断部と対向して設置され、前記破断部を衝撃して移動させることにより前記可溶体を破断させるように構成される。
【0019】
任意選択で、前記密閉室に開口が設けられ、前記開口に密封栓が設置され、前記可溶体が前記密封栓を穿通することにより前記密閉室に進入しまたは前記密閉室から延出する。
【0020】
任意選択で、前記消弧充填材は、シリカなどの固体消弧充填材である。
【0021】
本出願は、上記のいずれか1項に記載のヒューズを備える回路システムをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するため、以下、本出願の実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。説明する図面は、本出願のいくつかの実施例を示すものにすぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面をもとに、他の関連図面を得ることが可能である。
【
図1】本出願の実施例によるヒューズの全体構造の模式図である。
【
図2】正常作動状態の本出願の実施例によるヒューズの正面断面図である。
【
図3】破断状態の本出願の実施例によるヒューズの正面断面図である。
【
図4】正常作動状態の本出願の実施例による選択可能なヒューズの正面断面図である。
【
図5】正常作動状態の本出願の実施例による選択可能なヒューズの側面断面図である。
【
図6】破断状態の本出願の実施例による選択可能なヒューズの正面断面図である。
【
図7】破断状態の本出願の実施例による選択可能なヒューズの側面断面図である。
【
図8】本出願の実施例による選択可能なヒューズの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本出願の実施例に用いられる図面を参照しながら、本出願の実施例の技術案を説明する。
【0024】
なお、同様な符号は、図面において同様なものを示すので、1つの図面で定義された場合、他の図面でさらに定義、解釈することが不要になる。本出願の説明において、「第1」、「第2」などの用語は、区別して説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示または暗示するものではない。
【0025】
本出願の実施例によるヒューズは、ハウジングと、可溶体と、衝撃装置とを備える。ハウジングは、内部に密閉室が設けられ、密閉室に消弧充填材が充填され、ハウジングにそれぞれ電流入力端および電流出力端とされる第1導電端子および第2導電端子が接続される。可溶体は、第1導電端子と第2導電端子との間に直列接続されるとともに、少なくとも一部が密閉室内に挿設される。衝撃装置は、ハウジング内に設置されかつ密閉室の外部に位置し、誘起信号(トリガー信号とも呼ばれる)を受信したとき、可溶体を密閉室内で破断させるように可溶体において作用して衝撃力を発生するように構成される。
【0026】
正常使用するとき、可溶体が第1導電端子と第2導電端子との間に接続されて電流を導通させる。電流が過大になって、過剰な熱が生じた場合、可溶体が溶断され、これは普通の熱溶断の過程である。さらに、衝撃装置は、誘起信号を受信して動作し、可溶体において衝撃力を発生して可溶体を破断させることもでき、これは機械的衝撃による破断の過程である。そして、ハウジング内に消弧充填材が充填される密閉室が設けられ、可溶体を消弧充填材環境内で破断させ、破断箇所で発生した火花やアークなどが漏れることなく素早く消滅され、安全性が比較的に高い。
【0027】
このように、実施例によるヒューズは、衝撃装置を設置することにより可溶体を衝撃作用で破断させ、溶断電流に制限されなく、さまざまな電流下でひいては零電流下で素早い切断を実現することができる。可溶体の破断箇所が消弧充填材環境に位置するため、発生した火花やアークなどが漏れることなく素早く消滅され、安全性が比較的に高い。また、衝撃装置が密閉室の外で衝撃力を発生して可溶体を密閉室内で破断させるため、消弧充填材および衝撃装置が互いに影響せずにそれぞれ機能し、安定性が比較的に高い。
【0028】
上記の消弧充填材は、シリカなどの固体消弧充填材であってもよい。可溶体は、ヒューズ線またはヒューズ片などのさまざまな形式の熱溶断導体であってもよく、力を受けたときに破断できればよい。
【0029】
実施例において、可溶体は、少なくとも一部が密閉室内に位置する。すなわち、可溶体は、全部が密閉室内に位置するようにしてもよく、または一部が密閉室内に位置し、他の一部が密閉室の外部に位置するようにしてもよい。実施例において可溶体の具体的な設置方式は限定されなく、可溶体が密閉室内で破断することを保証できればよい。
【0030】
任意選択で、可溶体の、密閉室内に位置する部分に脆弱箇所が設けられ、これによって、可溶体が衝撃を受けたときに脆弱箇所で破断することができる。このように設置すれば、一方、可溶体が衝撃力で破断することに寄与し、他方、破断箇所が密閉室内に位置し、消弧充填材が消弧の役割を果たすことを保証できる。
【0031】
図1~
図8に示す上下方向を可溶体の長手方向とし、可溶体の幅方向が、上下方向に垂直な方向かつ水平面内の方向である。上記の脆弱箇所は、可溶体において幅方向に沿って間隔をあけて複数の孔を開設することにより形成してもよく、幅方向に沿って分布する、長さが可溶体の幅と同じである破断用凹溝を設けることにより形成してもよい。破断用凹溝は、V形、U形または他の破断に寄与できる形状にしてもよく、厚さを薄くにして脆弱箇所を形成できればよい。実際の製品において、該破断用凹溝は、さまざまな加工方式で形成してもよく、例えば、スポット溶接、圧接、弾力片接触、かしめ、切断口の仮切断などの加工方式が挙げられる。このようにして、一方、可溶体が衝撃力で破断することに寄与し、他方、破断箇所が密閉室内に位置し、消弧充填材が消弧の役割を果たすことを保証できる。
【0032】
任意選択で、密閉室は、複数設けられ、各密閉室内において対応の可溶体が挿設され、それぞれ複数の密閉室に挿設される複数の可溶体が直列接続しまたは並列接続する。このように設置すれば、密閉室の数および可溶体の接続方式は、実際の状況に応じて柔軟に設置することができ、実際のニーズに応じて、密閉室および可溶体の数を設定することや、異なる可溶体同士の接続方式を設計することができ、適用範囲が広い。例えば、
図1~
図3は、密閉室が2つ設けられ、2つの密閉室内の可溶体が直列接続する場合の構成を示す。
図4~
図7は、密閉室が2つ設けられ、2つの密閉室内の可溶体が並列接続する場合の構成を示す。
【0033】
任意選択で、各密閉室内に複数の並列接続する可溶体が挿設される。このようにして、各可溶体のそれぞれに作用する電流および作用力を低減させることができ、これよって、正常作動状態でヒューズの状態が比較的に安定で、より大きい電流に耐えることができる。
【0034】
密閉室内に並列接続する可溶体の数は、実際のニーズに応じて適宜に設定すればよく、これに対して限定しなく、例えば、各密閉室に3本、5本、10本などの並列接続する可溶体が設置されるようにしてもよい。
【0035】
任意選択で、各密閉室内に2つの並列接続する可溶体が設置され、2つの可溶体がそれぞれ先に破断する可溶体および後に破断する可溶体として設置される。このようにして、各可溶体のそれぞれに作用する電流および作用力を低減させることができ、これによって、正常作動状態でヒューズの状態が比較的に安定である。2つの可溶体を前後に破断させることにより、後に破断する可溶体が、電流の増大による熱溶断効果と衝撃装置との協働作用ではより容易に破断し、正常作動するときに可溶体全体が比較的に大きい電流に耐えることができ、そして破断するときに順に破断するため、より容易に破断でき、電力消費を削減することができ、大電流下での遮断能力を向上させることができる。具体的に、
図8を参照できる。
【0036】
任意選択で、ヒューズは、可溶体衝撃ヘッドをさらに備え、可溶体衝撃ヘッドは、動的にシールするように密閉室の外壁に設置され、一端が衝撃装置と連動し、他端が先に破断する可溶体に向かって設置され、衝撃装置が動作するときに移動して先に破断する可溶体を突破して破断させるように構成される。このように設置すれば、可溶体衝撃ヘッドの衝撃作用により、先に破断する可溶体を突破して破断させることができ、機械的衝撃による破断の応答がより迅速である。
【0037】
可溶体衝撃ヘッドの、先に破断する可溶体に向かう部位は、矢印状または力をかけて可溶体を破断させることに寄与できる他の構造であってもよい。可溶体衝撃ヘッドを、先に破断する可溶体における脆弱箇所に向けるように設置してもよい。
【0038】
任意選択で、後に破断する可溶体は、曲折セグメントを含み、所定の長さまで伸ばされてから破断するように構成される。このように設置すれば、後に破断する可溶体は、衝撃を受けたとき所定の長さまで伸ばされてから破断し、したがって、後に破断する可溶体と先に破断する可溶体のそれぞれの破断タイミングの間に、ある程度の緩衝時間を有するため、密閉室内の並列接続される可溶体が前後に破断することを確保できる。
【0039】
該曲折セグメントは、S形波状構造または螺旋状構造などの力を受けたときに延び広がるものであればよい。このようにして、後に破断する可溶体が衝撃を受けたときに所定の長さまで伸ばされてから破断し、したがって、後に破断する可溶体と先に破断する可溶体のそれぞれの破断タイミングの間に、ある程度の緩衝時間を有するため、密閉室内の並列接続される可溶体が前後に破断することを確保できる。
【0040】
任意選択で、先に破断する可溶体の横断面の寸法が後に破断する可溶体の横断面の寸法より大きいように設計され、これによって、正常作動状態で、先に破断する可溶体が比較的に大きい電流を負担する。先に破断する可溶体が突破されて破断したあと、後に破断する可溶体が、電流の増大による熱溶断効果と引張力との協働作用によって素早く破断することができる。そして、後に破断する可溶体は、横断面の寸法が比較的に小さくて、消弧充填材との接触が比較的に十分であり、破断するときの消弧効果がよい。このように設置すれば、電力消費を削減することができ、大電流下での遮断能力を向上させることができる。
【0041】
任意選択で、ハウジングは、第1サブハウジングと第2サブハウジングとを含み、第1サブハウジングと第2サブハウジングとが組み立てられてハウジングを形成する。第1サブハウジングおよび第2サブハウジングは、取外し可能に組み立てられ、例えば、ボルトにより組み立てて固定する。
【0042】
密閉室は、全体として第1サブハウジングおよび第2サブハウジング内に設けられてもよく、または、密閉室は、それぞれ第1サブハウジングおよび第2サブハウジング内に位置する第1部分と第2部分を含み、第1サブハウジングと第2サブハウジングとを組み立てて完全な密閉室を形成する。このように設置すれば、密閉室内に消弧充填材を充填することに寄与できるとともに、可溶体が破断したあと可溶体を交換することによりヒューズを繰り返して使用できる。
【0043】
任意選択で、密閉室に開口が設けられ、開口に密封栓が設置され、可溶体が密封栓を穿通することにより密閉室に進入しまたは密閉室から延出する。密封栓を可溶体の穿通するための通路として設置すれば、可溶体が力を受けて引きちぎられることに影響を与えないとともに、密封性を保証することができ、これによって、可溶体が引っ張られるときに消弧充填材の流出がない。
【0044】
任意選択で、衝撃装置は、駆動部材と衝撃部材とを含む。駆動部材は、誘起信号を受信したときに衝撃部材を駆動して動作させるように構成され、誘起信号が、故障電流が検出されたときに送信されたもの、またはユーザーの操作に応答して送信されたものである。衝撃部材は、動作するとき可溶体において引張力を発生することにより可溶体を引張力の作用で破断させるように構成される。該実現方式によれば、駆動部材は、故障電流の発生またはユーザーの操作に応答して動作し、衝撃部材を移動駆動して可溶体を衝撃することにより、誘起信号で可溶体を破断させることができる。
【0045】
誘起信号は、電気誘起信号であってもよく、磁気誘起信号または他の誘起信号などであってもよい。誘起信号は、制御装置が故障電流を検出したときに送信するものであってもよく、制御装置がユーザーの操作を受信したときに送信するものであってもよい。
【0046】
駆動部材は、気圧シリンダ、液圧シリンダまたはモータなどの各種の気圧動力、液圧動力、電動の駆動部材であってもよく、これに対して限定しなく、衝撃部材を、衝撃力を発生するように駆動できればよい。
【0047】
衝撃部材は、ピストン、衝撃ブロック、スライダーなどの可動機械部材または流体(例えば、ガスまたは液体)ユニット(内部にガスまたは液体を充填したガス/液体ブラダー)であってもよい。衝撃部材が流体ユニットである場合、流体ユニットが力を受けて変形してトルクを伝達するように、ハウジング内に密封性能の優れた流体室を設けるべきである。
【0048】
任意選択で、ハウジング内に、正常作動状態で衝撃部材を所定位置に保つように構成される位置制限部材が設置される。
【0049】
例えば、ハウジング内にチャンバーが設けられ、衝撃装置がチャンバー内に設置される。チャンバーの側壁に位置制限凹溝が設けられ、衝撃部材に位置制限凸状ブロックが設けられ、位置制限凸状ブロックが位置制限凹溝に嵌設され、これによって、正常作動状態で衝撃部材を所定位置に保つことができる。そして、衝撃部材が衝撃を受けたときに位置制限凸状ブロックが破断し、衝撃部材の移動を妨げることがない。
【0050】
任意選択で、ハウジング内に、衝撃部材をガイドして所定方向で移動させるように構成されるガイド部材が設置される。ガイド部材により、衝撃装置と接続用導電端子とが所定の移動方向で移動することを保証し、使用の安定性および安全性を向上させることができる。例えば、ガイド部材は、ガイドロッドであり、衝撃部材がガイドロッドに環装され、または、ガイド部材がガイド滑り溝であり、衝撃部材がガイド滑り溝に設置され、いずれもガイドの役割を果たすことができる。
【0051】
実施例において、密閉室は、1つまたは複数設けられてもよい。例えば、密閉室が1つ設けられる場合、可溶体が、第1導電端子と第2導電端子との間に接続されるとともに、一部が密閉室内に位置し、他の部分が密閉室の外部に位置し、衝撃装置が、可溶体の、密閉室の外部に位置する部分と対向して設置されて、可溶体において圧力を発生して可溶体を、密閉室内に位置する脆弱箇所で破断させる。
【0052】
任意選択で、密閉室は、2つ設けられ、可溶体は、2つの密閉室のそれぞれに挿設される第1可溶体と第2可溶体とを含み、衝撃装置は、2つの密閉室の間に位置する。このように設置すれば、衝撃装置が2つの密閉室の間で衝撃力を発生して、第1可溶体および第2可溶体をそれぞれ2つの密閉室内で破断させ、受ける力がより均一であり、可溶体の破断過程がより安定であり、制御性がより優れる。
【0053】
任意選択で、第1導電端子および第2導電端子は、それぞれハウジングの両側からハウジング内に挿入し、ヒューズは、ハウジング内に設置される接続用導電端子をさらに備え、第1可溶体が第1導電端子と接続用導電端子との間に接続され、第2可溶体が第2導電端子と接続用導電端子との間に接続され、衝撃装置が、接続用導電端子と対向して設置され、接続用導電端子を衝撃して移動させることにより可溶体を破断させるように構成される。接続用導電端子を衝撃することにより、接続用導電端子が可溶体を引きちぎるように動かし、このようにして、構造が比較的に安定であり、衝撃が発生したとき受けた力が均一に分布し、安全性および安定性が比較的に高い。
【0054】
任意選択で、第2導電端子は、破断部を含み、破断部が第1導電端子と間隔をあけて対向して設置され、第1可溶体および第2可溶体のそれぞれの一端が第1導電端子と接続し、第1可溶体および第2可溶体のそれぞれの他端が破断部と接続し、衝撃装置が、破断部と対向して設置され、破断部を衝撃して移動させることにより可溶体を破断させるように構成される。このようにして、回路に別の導電端子を追加することが不要であり、回路の構造が簡素化される。そして、第1可溶体および第2可溶体が並列接続されるため、遅延するように破断することができ、したがって、電力消費を削減することができ、大電流下での遮断能力を向上させることができる。
【0055】
以下、上記の構造を有するヒューズを詳細に説明する。
【0056】
図1、
図2および
図3に示すように、ハウジングは、左右に設置される第1サブハウジング1と第2サブハウジング2を密閉に組み立てることにより構成される。第1サブハウジング1および第2サブハウジング2のそれぞれの上部に、第1導電端子3および第2導電端子4を収容する部分的収容チャンバーが設けられる。第1サブハウジング1と第2サブハウジング2とが組み立てたあと、第1導電端子3および第2導電端子4を、それぞれハウジングの両側に位置するとともに対向するように収容チャンバー内に挿入する。組み立てたハウジングをねじにより固定することができる。
【0057】
ハウジングにおいて、第1導電端子3と第2導電端子4との間に第1チャンバー12が設けられ、ハウジングにおいて、第1チャンバー12の下方に第1チャンバー12と連通する第2チャンバー13が設けられる。第1チャンバー12および第2チャンバーは、それぞれ2つの部分に分けられて、この2つの部分がそれぞれ第1サブハウジング1および第2サブハウジング2内に設けられ、第1サブハウジング1および第2サブハウジング2が組み立てられてハウジングとして形成されることに従って、分けられた部分的チャンバーも合わせて完全な第1チャンバー12および第2チャンバーとして形成される。任意選択で、第1チャンバー12および第2チャンバーは、それぞれ全体として第1サブハウジング1または第2サブハウジング2に設けられてもよい。
【0058】
第1導電端子3と第2導電端子4との間の第1チャンバー12内に、上から下へ順に駆動部材5およびピストン6(衝撃部材に該当する)が設置される。第1チャンバー12において、ピストン6の位置する部位の内径が駆動部材5の位置する部位の内径よりも大きく、ピストン6と駆動部材5との間の位置で横方向の仕切板が設置される。第1チャンバー12の内壁において、ピストン6に対応する部位に位置制限凹溝14が設けられ、ピストン6に位置制限凸状ブロック15が設けられ、ピストン6における位置制限凸状ブロック15が、位置制限凹溝14に係止されることによりピストン6の初期位置を制限する。駆動部材5は、マイクロ気圧装置であり、外部からの誘起信号を受信して高圧ガスを放出することにより、ピストン6を、位置制限作用を克服して下へ移動するように駆動することができる。
【0059】
第1導電端子3および第2導電端子4の直下、かつ駆動部材5およびピストン6を取り付けるチャンバーの両側に、それぞれ密閉室が設けられる。各密閉室は、それぞれ第1サブハウジング1および第2サブハウジング2に位置する2つの部分を含み、第1サブハウジング1と第2サブハウジング2とを合わせて接続すると完全な密閉室として形成される。なお、第1サブハウジング1内に1つの完全な密閉室が設けられ、第2サブハウジング2内にもう1つの完全な密閉室が設けられ、組み立てられたハウジングが2つの対向する密閉室を含むようにしてもよい。
【0060】
接続用導電端子7は、第2チャンバー内に設置され、密閉室の底面に当接するように構成され、ピストン6が該接続用導電端子7の直上に位置する。第2チャンバー内にガイド柱8が設置され、ガイド柱8の下端がハウジングの底部に固定され、ガイド柱8の上端がピストン6と駆動部材5との間の第1チャンバー12内の横方向仕切板に固定される。ピストン6および接続用導電端子7は、それぞれ該ガイド柱8に環装されるとともに、外力の作用で該ガイド柱8に沿って上下変位して動作することができる。ガイド柱8は、ガイド部材として、接続用導電端子7およびピストン6を、既定経路に沿ってスムーズに下へ移動するようにガイドする。ガイド部材は、第2チャンバー内に設けられる縦方向ガイド溝であってもよく、この場合、接続用導電端子7およびピストン6がそれぞれスライド可能にガイド溝に設置される。
【0061】
第1導電端子3および第2導電端子4の下方の密閉室にそれぞれ第1可溶体9aおよび第2可溶体9bが挿設される。第1導電端子3の下方に位置する第1可溶体9aは、上端が第1導電端子3と接続し、下端が接続用導電端子7と接続する。第2導電端子4の下方に位置する第2可溶体9bは、上端が第2導電端子4と接続し、下端が接続用導電端子7と接続する。第1導電端子3、第1可溶体9a、接続用導電端子7、第2可溶体9bおよび第2導電端子4が直列接続してヒューズの導電構造全般として形成する。各密閉室に消弧充填材10が充填される。第1可溶体9aおよび第2可溶体9bに脆弱箇所11が設けられ、脆弱箇所11が密閉室内に位置し、これによって、第1可溶体9aおよび第2可溶体9bが破断したときに発生したアークが、消弧充填材10において消弧されることを保証できる。
【0062】
ピストン6は、接続用導電端子7を衝撃して、接続用導電端子7を動かして下へ移動させるとき、第1可溶体9aおよび第2可溶体9bが適時に破断することを保証し、したがって、回路を遮断して保護することができる。ピストン6が駆動部材5の駆動で下へ接続用導電端子7を衝撃するとき、接続用導電端子7がガイド柱8に沿って第2チャンバーの底部まで下へ変位することができる。第2チャンバーの空間は、接続用導電端子7が移動するときに可溶体9を引きちぎることができることを少なくとも満たすべきである。
【0063】
該ヒューズを車両に利用する場合、車両が正常作動している状態で、車両制御システムが誘起信号を送信しなく、駆動部材5が待機状態にある。このとき、電流は、第1導電端子3から流入し、順に第1可溶体9a、接続用導電端子7、第2可溶体9bを流れ、第2導電端子4から流出する。
【0064】
車両が異常状態となりまたは故障電流が生じたとき、車両制御システムは、駆動部材5に誘起信号を送信し、駆動部材5が作動してピストン6を押動し、ピストン6が接続用導電端子7を連れて下へ移動し、接続用導電端子7が下へ移動する過程において第1可溶体9aおよび第2可溶体9bを引っ張り、これによって、第1可溶体9aおよび第2可溶体9bが脆弱箇所11で破断し、破断口で発生したアークが、周囲の消弧充填材10により素早く消弧される。このとき、接続用導電端子7は、破断した可溶体9を連れて、第2チャンバーの底部までさらにガイド柱8に沿って下へ移動する。このように、車両回路が遮断され、システム回路に対する保護が遂げられる。
【0065】
この構成の案において、製品の寸法が比較的に小さく、具体的な寸法を例として、例えば、本体部分の寸法(本体寸法は、両側の接続銅帯の部分の寸法を含まなく、以下、同様である)が、54mm(長さ)*50mm(幅)*72mm(高さ)であり、定格電圧を1000VDCにし、定格電流を400Aにする。第1可溶体9a、第2可溶体9bの部分の抵抗が0.03mΩ未満であり、製品全体の抵抗が0.1mΩ未満であり、400A電流下で、その熱損失の電力が16W未満である。製品全体の重量が550g未満である。保護可能な電流の範囲が0~10000Aであり、動作時間が2msであり、動作時間が故障電流に関係なく一定のものである。1500A/5msで耐衝撃能力として100000回以上に達することができる。
【0066】
任意選択で、
図4、
図5、
図6および
図7に示すように、該実施例において、ヒューズのハウジングは、上下に設置される第1サブハウジング21と第2サブハウジング22からなるものである。第1導電端子27は、上部に位置する第1サブハウジング21内に挿入され、第2導電端子23は、下部に位置する第2サブハウジング22内に挿入される。第1導電端子27および第2導電端子23に、間隔をあけて対向する部分が含まれ、破断部232が、第2導電端子23の第1導電端子27と対向する部位に設けられる。破断部232は、第2導電端子23において脆弱箇所231を設けることによりなしたものであり、脆弱箇所231が、破断部232の両端に位置する、第2導電端子23の幅方向において延伸する貫通孔または破断用凹溝などの構造である。破断用凹溝の形状は、V形、U形または他の形状であってもよい。または、破断部232の全体厚さを他の部位の厚さより小さくすることも、破断部232を、衝撃を受けたときに第2導電端子23から脱離させることができる。
【0067】
第1サブハウジング21に、貫通するチャンバーが設けられ、該チャンバー内に上から下へ順に駆動部材24およびピストン25(衝撃部材に該当する)が設置される。駆動部材24が位置制限段階および押圧プレート26によりチャンバー内に固定され、第1サブハウジング21の駆動部材24を収容するチャンバー部分が第1サブハウジング21の上方へ突出し、第1導電端子27が、第1サブハウジング21の突出した部分に挿設されるとともに、ねじにより第1サブハウジング21に固定される。ピストン25は、位置制限凹溝33および位置制限凸状ブロック34によりチャンバー内の初期位置に固定され、該位置制限凹溝33および位置制限凸状ブロック34が、
図1~
図3における位置制限凹溝14および位置制限凸状ブロック15と構造が同じであってもよい。ピストン25は、第2導電端子23の破断部232の直上に位置する。
【0068】
2つの密閉室が第1サブハウジング21内に設けられ、密閉室に開口が設けられ、開口が密封栓28で塞がれ、第1可溶体30aおよび第2可溶体30bが密封栓28を穿通して第2導電端子23と接続する。密封栓28によれば、可溶体30および消弧充填材31に対する効果的な密封を保証できるとともに、可溶体30が引きちぎられたあと破断した部分が外へスライドすることを許し、そして、可溶体30が引き出されるとき、消弧充填材31の漏れがほとんどない。
【0069】
第2導電端子23は、第1サブハウジング21の底面と接触する。任意選択で、第2導電端子23と第1サブハウジング21との接触面の間に絶縁プレート29がさらに設置される。絶縁プレート29は、密封栓28が外へ抜けることを防ぐことができ、可溶体30の放熱を効果的に補助することができ、そして、可溶体30が破断したあと外へスライドするとき、ガスが発生して膨らんで該領域を圧迫することにより消弧を行うことを補助することができる。
【0070】
破断部232が下へ移動して可溶体30を引きちぎることができるように、第2サブハウジング22内に、破断部232が破断したあと破断して消弧された可溶体30を連れて下へ落下するためのチャンバーが設けられる。
【0071】
第1可溶体30aは、絶縁プレート29、一方の密閉室および密封栓28を穿通し、上端が第1導電端子27の一箇所と接続し、下端が第2導電端子23における破断部232の一箇所と接続する。第2可溶体30bは、絶縁プレート29、他方の密閉室およびそれにおける密封栓28を穿通し、上端が第1導電端子27の他の箇所と接続し、下端が第2導電端子23における破断部232の他の箇所と接続する。第1可溶体30aおよび第2可溶体30bは、第1導電端子27と第2導電端子23との間に並列接続される。
【0072】
第1可溶体30aは、並列接続する、先に破断する可溶体および後に破断する可溶体を含み、第2可溶体30bは、並列接続する、先に破断する可溶体および後に破断する可溶体を含む。このように設置すれば、電力消費を削減することができ、大電流での遮断能力を向上させることができる。具体的な設置方式は、上記の内容を参照できる。
【0073】
例えば、第1可溶体30aおよび第2可溶体30bのうちの任意1つの可溶体は、該可溶体の横断面を小さくし、または、該可溶体に、より多くまたはより大きい破断口または狭径構造を設けることにより、該可溶体を、力を受けたとき先に破断させるようにしてもよい。
【0074】
上記のヒューズの作動プロセスは、下記の通りである。
【0075】
車両が正常作動している状態で、車両制御システムが誘起信号を送信しなく、駆動部材24が待機状態にある。このとき、電流が、第1導電端子27から流入し、並列接続する第1可溶体30aおよび第2可溶体30bを流れ、第2導電端子23から流出する。
【0076】
車両が異常状態となりまたは故障電流が生じたとき、車両制御システムは、駆動部材24に誘起信号を送信し、駆動部材24が作動してピストン25を押動して下へ変位させ、ピストン25が第2導電端子23における破断部232を衝打し、破断部232が脆弱箇所231で破断し、破断部232がピストン25の押動でさらに下へ移動し、移動する過程において第1可溶体30aおよび第2可溶体30bを脆弱箇所231で破断させるように引きちぎる。第1可溶体30aおよび第2可溶体30bの破断口で発生したアークが、周囲の消弧充填材31により素早く消弧される。このとき、破断部232は、破断した可溶体30を連れてさらに下へ移動し、最終的に第2サブハウジング22の補助で緩衝されて所定位置で停止する。車両回路が遮断され、システム回路に対する保護が遂げられる。
【0077】
この構成の案において、製品の寸法が比較的に小さく、本体部分のサイズが54mm(長さ)*50mm(幅)*72mm(高さ)であるものを例とし、定格電圧を1000VDCにし、定格電流を400Aにする。可溶体30の部分の抵抗が0.03mΩ未満であり、そして並列接続の方式を採用するため、製品全体の抵抗が0.05mΩ未満であると推定し、400Aの電流下で、その熱損失の電力が8Wである。製品全体の重量が550g未満である。保護可能な電流の範囲が0~10000Aであり、動作時間が2msであり、動作時間が故障電流に関係なく一定のものである。1500A/5msで耐衝撃能力として100000回以上に達することができる。
【0078】
熱溶断ヒューズの場合、1000VDCで400Aの定格電流を実現するため、従来の熱溶断ヒューズ本体は、寸法が80mm(長さ)*60mm(幅)*60mm(高さ)であり、抵抗が約0.180mΩであり、400Aで電流が長時間流れる状態で、作動電力が28.8Wである。ヒューズの重量は700g超である。保護可能な電流の範囲が2500~10000Aであり、動作時間が1000~2msであり、電流の増大に伴って動作時間が減少し、2500A以下になった場合、動作を保証できない。1500A/5msで耐衝撃能力として500~1000回である。
【0079】
一般的な誘起ヒューズの場合、製品は、抵抗が0.040mΩであり、400Aで電流が長時間流れる状態で、作動電力が6.4Wである。製品の重量は、500gであり、製品本体全体の寸法は、70*70*110mmであり、比較的に大きい。保護可能な電流の範囲が0~10000Aであり、動作時間が2msであり、動作時間が故障電流に関係なく一定のものである。1500A/5msで耐衝撃能力として100000回以上に達することができる。補助手段を用いない場合、電圧の上昇に伴い製品の体積が顕著に増大する。
【0080】
可溶体に対する機械力切断が組み込まれた誘起ヒューズの場合、製品は、抵抗が0.040mΩであり、400Aで電流が長時間流れる状態で、作動電力が6.4Wである。製品の重量は、550g未満であり、製品本体全体の寸法は、54*50*72mmである。保護可能な電流の範囲が1000A~20000Aであり、動作時間が2msであり、動作時間が故障電流に関係なく一定のものである。1500A/5msで耐衝撃能力として100000回以上に達することができる。この案を利用すれば、0~1000Aでシステムを保護できない。
【0081】
上記の内容から分かるように、本出願に係るヒューズの案によれば、誘起ヒューズの各面の性能を効果的に向上させることができるとともに、コストアップがほとんどなく、具体的に、下記の特徴を有する。製品は、抵抗が比較的に小さく、発した熱が比較的に少なく、電力消費が低く、零電流下での切断が可能であり、大きい故障電流でも小さい故障電流でも素早くかつ確実に遮断することができ、製品の耐電流衝撃能力が比較的強い。製品は、気圧、温度、湿度にほとんど影響されなく、さまざまな作動環境下で遮断を確実に行うことができる。製品は、直接ヒューズの生産プロセスを利用することができ、成熟しており、信頼性が高い。製品の遮断能力は、必要に応じて調整することができる。長期に使用したとしても、製品の遮断能力が顕著な劣化がなく、遮断が制御可能であり、システムが実際の作動状態に応じて遮断を調整することができる。
【0082】
図8に示すように、第1導電端子41および第2導電端子42は、間隔をあけてハウジング43の上部の左右方向の両側に設置される。ハウジング43の上部に間隔をあけて対向する2つの密閉室46が設けられ、2つの密閉室46がぞれぞれ第1導電端子41および第2導電端子42のそれぞれの下部に設けられる。左側の密閉室46に、先に破断する第1可溶体48および後に破断する第1可溶体47が挿設され、右側の密閉室46に、先に破断する第2可溶体58および後に破断する第2可溶体57が挿設される。
【0083】
ハウジング43の下部のチャンバー内に接続用導電端子52が設置される。先に破断する第1可溶体48および後に破断する第1可溶体47は、上端が第1導電端子41と接続し、下端が接続用導電端子52の左端と接続する。先に破断する第2可溶体58および後に破断する第2可溶体57は、上端が第2導電端子42と接続し、下端が接続用導電端子52の右端と接続する。第1導電端子41、第1可溶体47、48、接続用導電端子52、第2可溶体57、58および第2導電端子42は、順に直列接続される。第1可溶体47、48は、並列接続されるとともに前後に破断する2つの可溶体を含む。第2可溶体57、58は、並列接続されるとともに前後に破断する2つの可溶体を含む。
【0084】
衝撃装置は、駆動部材44とピストン45(該実施例においてピストン45を衝撃部材とする)とを含み、ピストン45が接続用導電端子52と対向して設置される。ピストン45が下へ移動するときに可溶体衝撃ヘッド51を密閉室46の内部へ移動駆動して、可溶体を突破して破断させることができるように、ピストン45の側壁と可溶体衝撃ヘッド51とが協働して機能する。可溶体衝撃ヘッド51は、先に破断する可溶体における脆弱箇所49に向かうように構成される。
【0085】
駆動部材44は、誘起信号を受信して動作するとき、ピストン45を駆動して下へ移動させる。同時に、可溶体衝撃ヘッド51は、先に破断する第1可溶体48を突破して破断させる。そして、ピストン45がさらに下へ移動し、後に破断する第1可溶体47および後に破断する第2可溶体57に曲折部50が設けられるため、ピストン45が接続用導電端子52を押してさらに一定の距離移動させて、後に破断する第1可溶体47および後に破断する第2可溶体57が引きちぎられたあと、ヒューズが完全に遮断される。
【0086】
ピストン45の側壁と可溶体衝撃ヘッド51との接触面は、傾斜面であってもよく、これによって、ピストンが下へ移動するときに可溶体衝撃ヘッド51を横方向移動駆動して先に破断する第1可溶体48を突破して破断させる。
【0087】
この過程において、第1可溶体48は、先に密閉室46内で可溶体衝撃ヘッド51により突破されて破断し、密閉室46における消弧充填材で火花が発生しなく、このとき、回路が依然として導通状態にある。その後、後に破断する第1可溶体47および後に破断する第2可溶体57が引張力の作用で破断し、または電流の増大で熱溶断される。破断箇所が密閉室46の消弧充填材に位置するため、火花が発生しない。
【0088】
該実施例において、先に破断する可溶体の横断面の寸法が後に破断する可溶体の横断面の寸法より大きいように設計され、これによって、正常作動状態で、先に破断する可溶体が比較的に大きい電流を負担する。先に破断する可溶体が突破された破断したあと、後に破断する可溶体が、電流の増大による熱溶断効果と引張力との協働作用によって素早く破断することができる。そして、後に破断する可溶体は、横断面の寸法が比較的に小さくて、消弧充填材との接触が比較的に十分であり、破断するときの消弧効果がよい。このように設置すれば、電力消費を削減することができ、大電流下での遮断能力を向上させることができる。
【0089】
図8に示すように、密閉室46に仕切り板56が設置される。隔て板56は、先に破断する可溶体と後に破断する可溶体との間に設置され、両方を隔てることにより、先に破断する可溶体が破断したときに後に破断する可溶体に影響を与えることがない。
【0090】
図8に示すように、ハウジング43の底部の、接続用導電端子52に対向する部位で、接続用導電端子52が底部まで落下したときに生じた衝撃力を小さくするための緩衝部材54が設置される。
【0091】
図8に示すように、ハウジング43の内側壁における、接続用導電端子52と対応する部位で、接続用導電端子52を支持するように構成される支持部材53が設置され、これによって、正常作動状態で接続用導電端子52をハウジング43内の所定位置に保ち、可溶体に対して引張力を発生することを防止し、可溶体の正常作動状態に影響しない。
【0092】
上記の実施例と同様に、密閉室46の可溶体を通す箇所で密封栓55が設置され、ここで説明を省略する。
【0093】
また、実施例は、上記のいずれか1種のヒューズを備える回路システムを提供する。該回路システムは、上記のいずれか1種のヒューズを備えるため、該回路システムも上記に説明した技術的効果を有し、ここで説明を省略する。
【0094】
上記記載は、本出願の実施例にすぎず、本出願の保護範囲を限定するものではない。当業者にとって、本出願に各種の変更や変化を有してもよい。本出願の精神および原則から逸脱しない限り、行った如何なる変更、均等置換、改良なども、本出願の保護範囲に属する。なお、同様な符号は、図面において同様なものを示すので、1つの図面で定義された場合、他の図面でさらに定義、解釈することが不要になる。
【0095】
上記記載は、本出願の具体的な内容にすぎず、本出願の保護範囲がこれに限定されない。当業者は、本出願に開示された技術範囲内で行った如何なる変更または置換も本出願の保護範囲に属する。このため、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずる。
【0096】
なお、本明細書において、第1及び第2などのような関係用語は、1つのエンティティ若しくはアクションを別のエンティティ若しくはアクションから区別するだけに用いられ、必ずしもそのようなエンティティ若しくはアクション間に如何なる事実上の関係又は順序を要求又は暗示していない。なお、「有する」、「含む」といった用語およびそれらの任意の変化形は、非排他的な包含を網羅するように意図される。よって、一連の要素を含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもこれらの要素に限定されず、明記されないまたはこれらのプロセス、方法、物品または装置に対して固有の他の要素を含んでもよい。特に断りがない限り、「~を含む」という表現で限定された要素について、前記要素を含むプロセス、方法、物品又は装置がその他の同様な要素も有している状況を除外しない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本出願に係るヒューズおよび回路システムによれば、各可溶体に作用する電流および作用力を低減することができ、正常作動状態でヒューズが比較的に安定であり、正常作動しているときに可溶体が全体として比較的に大きい電流に耐えられるだけでなく、破断するときに順に破断するため、大電流をより容易に遮断することができ、電力消費を削減し、大電流下での遮断能力を向上させることができ、そして、回路に別の導電端子を追加することが不要であり、回路の構造が簡素化され、遅延するように破断することができ、したがって、電力消費を削減することができ、大電流下での遮断能力を向上させることができる。