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特許7395034建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置、及びそれを備えた制震システム
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  • 特許-建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置、及びそれを備えた制震システム 図1
  • 特許-建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置、及びそれを備えた制震システム 図2
  • 特許-建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置、及びそれを備えた制震システム 図3
  • 特許-建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置、及びそれを備えた制震システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置、及びそれを備えた制震システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20231201BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20231201BHJP
   F16F 9/10 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
E04H9/02 321B
E04H9/02 311
F16F15/04 A
F16F9/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023002488
(22)【出願日】2023-01-11
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】111127426
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512177872
【氏名又は名称】莊 ▲員▼任
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】莊 國榮
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-170353(JP,A)
【文献】特開2001-271512(JP,A)
【文献】特開2009-013683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
F16F 15/00 -15/36
F16F 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下に向って延在する上部壁板を有する上階梁と、上に向って延在する下部壁板を有する下階梁との間に装着される、建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置であって、縦設力伝達部材と、二つの上方ダンパーと、二つの下方ダンパーとを含み、
前記縦設力伝達部材は、前記上部壁板と前記下部壁板とを跨ぐように左右揺動可能に設置されると共に、上連結端部と、下連結端部と、第1枢接部と、第2枢接部とを備え、該第1枢接部は該上部壁板に枢着され、該第2枢接部は該下部壁板に枢着され、
前記二つの上方ダンパーは、前記上部壁板の前記上階梁側に水平に設置され、前記縦設力伝達部材の前記上連結端部が該二つの上方ダンパーの間に位置し、該各上方ダンパーの一端が、該上部壁板における、該上階梁と、該上部壁板及び前記下部壁板から離間すると共に該上階梁及び前記下階梁を連結する柱との交差位置に隣接する箇所に連結され、他端が該縦設力伝達部材の前記上連結端部に連結され、
前記二つの下方ダンパーは、前記下部壁板の前記下階梁側に水平に設置され、前記縦設力伝達部材の前記下連結端部が該二つの下方ダンパーの間に位置し、該各下方ダンパーの一端が、該下部壁板における、該下階梁と、前記上部壁板及び前記下部壁板から離間すると共に該上階梁及び前記下階梁を連結する柱との交差位置に隣接する箇所に連結され、他端が該縦設力伝達部材の前記下連結端部に連結されることを特徴とする、建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置。
【請求項2】
前記二つの上方ダンパーが、前記上部壁板の同一側面に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置。
【請求項3】
前記二つの下方ダンパーが、前記下部壁板の同一側面に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置。
【請求項4】
前記上方ダンパー及び前記下方ダンパーが、油圧式ダンパー或いは粘弾性ダンパーであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置。
【請求項5】
請求項1に記載の建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置を二つ備えた制震システムであって、該二つの制震装置はそれぞれ、前記上部壁板と前記下部壁板から構成された壁面体の両側に配置されることを特徴とする、制震システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の制震装置に関し、特に、建築物の梁と柱で囲まれた架構内に設置され、建築物が地震による外力を受けた時の建築物の揺れ幅を抑え、地震エネルギーを減衰させ、建築物に与える被害を軽減させる制震装置、及びそれを備えた制震システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震による建築物の揺れは、建築物の構造に損傷を与えるだけでなく、建物の倒壊を引き起こす可能性もあり、人の生命や財産を危険にさらすことになる。建築物の耐震性を高めるためには、梁や柱の構造を強化する以外に、建築物の各階の梁と柱で囲まれる架構内に制震装置を設置することで、建築物を揺らす地震エネルギーの一部を吸収、緩衝して、建築物の構造の過度の変形を防ぎ、建築物の揺れ幅を抑えて地震による建物への被害を軽減する方法も用いられている。
【0003】
図3は、従来技術の建築物の制震装置の一つを示したものであり、それによると、図面に示した建築物の制震装置は、建築物の上下階層にある上方梁柱接合部51と下方梁柱接合部52との間に設置されるものであって、その両端はそれぞれ、互いに対角位置に当たる上方梁柱接合部51及び下方梁柱接合部52に枢設された制震ダンパー40を備える。このような制震装置によれば、地震により建築物が横揺れし始めると、上下階層が相対的に横方向に変位しながら、対角位置にある上方梁柱接合部51及び下方梁柱接合部52に連結されている制震ダンパー40が伸びたり縮んだりすることにより、建築物を揺らす地震エネルギーの一部を吸収、緩衝して、制震効果を発揮する。
【0004】
しかしながら、図3に示した、制震装置の制震ダンパー40が建築物の上下階層にある、上方梁柱接合部51と下方梁柱接合部52との間に斜めに連結されることにより、建築物の横揺れを緩衝する手法の有効減衰力は、当該制震ダンパー40の軸方向減衰力(F)の水平成分(F×cosθ)のみであることから、当該制震ダンパー40が吸収できる地震エネルギーは限られているので、このような構成により、振動減衰能力をさらに向上させることは非常に困難である。
【0005】
図4は、他の従来技術の建築物の制震装置を示したものであり、この建築物の制震装置は、建築物の上階層71と下階層72との間に設置されるものであって、上階層71における左右支柱に隣接する箇所にそれぞれ設けられた二つの上方梁柱接合部711と、該両上方梁柱接合部711の間に設けられたガセットプレート722と、下階層72における左右支柱に隣接する箇所にそれぞれ設けられた二つの下方梁柱接合部721と、それぞれの下端部が該両下方梁柱接合部721に連結され、それぞれの上端部が該ガセットプレート722に連結される二つの鉄骨ブレース61と、左側の上方梁柱接合部711とガセットプレート722との間及び右側の上方梁柱接合部711とガセットプレート722との間にそれぞれ水平に設置される二つの制震ダンパー62とを備える。図4に示した制震装置は、その二つの制震ダンパー62が水平に設置されることで、その減衰力が建築物の横揺れに対して優れた緩衝効果を発揮するので、図3に示した制震装置よりも優れた制震効果を有するが、二つの鉄骨ブレース61及び二つの制震ダンパー62を含む図4の制震装置を建築物の各階に分散配置すると、建築物の動線及び採光に大きな影響を与えると共に、設置工事に手間が掛かり、コストがかかってしまうといった問題があった。
【0006】
よって、従来技術の制震装置は、制震効果及び設置工事において改善すべき点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、優れた減衰力の緩衝効果及び建築物の横揺れの抑制効果を有し、かつ設置工事の簡素化及び設置コストの低減化を図り、建築物の動線および採光への影響を極力抑制し、建築物の安全面、経済面、快適さを同時に確保できる、建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、下に向って延在する上部壁板を有する上階梁と、上に向って延在する下部壁板を有する下階梁との間に装着される、建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置であって、縦設力伝達部材と、二つの上方ダンパーと、二つの下方ダンパーとを含み、
前記縦設力伝達部材は、前記上部壁板と前記下部壁板とを跨ぐように左右揺動可能に設置されると共に、上連結端部と、下連結端部と、第1枢接部と、第2枢接部とを備え、該第1枢接部は該上部壁板に枢着され、該第2枢接部は該下部壁板に枢着され、
前記二つの上方ダンパーは、前記上部壁板の前記上階梁側に水平に設置され、前記縦設力伝達部材の前記上連結端部が該二つの上方ダンパーの間に位置し、該各上方ダンパーの一端が、該上部壁板における、該上階梁と、該上部壁板及び前記下部壁板から離間した柱との交差位置に隣接する箇所に連結され、他端が該縦設力伝達部材の前記上連結端部に連結され、
前記二つの下方ダンパーは、前記下部壁板の前記下階梁側に水平に設置され、前記縦設力伝達部材の前記下連結端部が該二つの下方ダンパーの間に位置し、該各下方ダンパーの一端が、該下部壁板における、該下階梁と、前記上部壁板及び前記下部壁板から離間した柱との交差位置に隣接する箇所に連結され、他端が該縦設力伝達部材の前記下連結端部に連結されることを特徴とする。
【0009】
前記二つの上方ダンパーが、前記上部壁板の同一側面に配置されることを特徴とする。
【0010】
前記二つの下方ダンパーが、前記下部壁板の同一側面に配置されることを特徴とする。
【0011】
前記上方ダンパー及び下方ダンパーが、油圧式ダンパー或いは粘弾性ダンパーであることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、さらに、制震システムを提案しており、当該制震システムは、前記建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置を二つ備え、該二つの制震装置はそれぞれ、前記上部壁板と下部壁板から構成された壁面体の両側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る建築物の制震装置の優れた点は、上部、下部壁板に揺動可能に枢設される縦設力伝達部材を介して、地震による上下層階間の変位量をテコの原理により3倍~5倍の増幅変位量に高感度で拡大させて、縦設力伝達部材に連結されている複数の上方、下方ダンパーに伝達する構成により、複数の上方、下方ダンパーが同時に作動して、地震エネルギーを吸収する能力が大幅に向上し、地震による被害および建築物の揺れ幅をより効果的に抑制することができる。それに加え、本発明は、上方ダンパー及び下方ダンパーが全て水平に設置されることにより、それらのダンパーが発生する減衰力を十分に利用して建築物の振動を吸収することができるので、優れた減衰力の緩衝効果をもたらす。さらに、本発明の建築物の制震装置は、地震による被害および建築物の揺れ幅をより効果的に抑制することができるので、建築物に必要とする制震装置の設置数を減らすことが可能となり、これにより、設置工事の簡素化、設置コストの低減及びメンテナンス性の向上を図ることができると共に、建築物の動線および採光への影響を極力抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る建築物の制震装置を示す正面模式図である。
図2】本発明に係る建築物の制震装置の作動状態を示す正面模式図である。
図3】従来技術の建築物の制震装置の作動状態を示す正面模式図である。
図4】他の従来技術の建築物の制震装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面及び本発明の好適な実施例を参照しながら、本発明が予め決められた発明の目的を達成するために講じた技術的手段をさらに詳述する。
【0016】
図1に示すように、本発明の建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置は、建築物の階層間に設置されると共に、縦設力伝達部材11と、二つの上方ダンパー21と、二つの下方ダンパー22とを含む。図面によると、建築物の上下階層の間に上階梁31と下階梁32が配置され、該上階梁31に下に向って延在する上部壁板33、該下階梁32に上に向って延在する下部壁板34が形成され、該上、下部壁板33、34は、鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete, RC)壁であって、それらの高さは共に、上層階と下層階との間の高さの半分である。
【0017】
前記縦設力伝達部材11は、せん断力を伝達するための鋼製板部材であって、前記上部壁板33と下部壁板34とを跨ぐように左右揺動可能に設置されると共に、前記上階梁31に向かって延伸する上連結端部111と、前記下階梁32に向かって延伸する下連結端部112と、該上、下連結端部111、112の間に離間するように配置される第1枢接部113及び第2枢接部114とを備え、また、該第1枢接部113は該上部壁板33に枢着され、該第2枢接部114は該下部壁板34に枢着されている。
【0018】
前記二つの上方ダンパー21は、前記上部壁板33の前記上階梁31側に水平に設置され、前記縦設力伝達部材11の上連結端部111は、該二つの上方ダンパー21の間に位置する。前記両上方ダンパー21の取り付け箇所についてさらに詳しく説明する。該各上方ダンパー21は、その一端が、前記上部壁板33における、前記上階梁31と、該上部壁板33及び下部壁板34から離間している柱35とが交差する交点に隣接する箇所に連結され、他端が該縦設力伝達部材11の上連結端部111に連結される。
【0019】
前記二つの下方ダンパー22は、前記下部壁板34の前記下階梁32側に水平に設置され、前記縦設力伝達部材11の下連結端部112は、該二つの下方ダンパー22の間に位置する。前記両下方ダンパー22の取り付け箇所についてさらに詳しく説明する。該各下方ダンパー22は、その一端が、前記下部壁板34における、前記下階梁32と、前記上部壁板33及び下部壁板34から離間している柱35とが交差する交点に隣接する箇所に連結され、他端が該縦設力伝達部材11の下連結端部112に連結される。
【0020】
本発明の好適な実施例においては、前記上方、下方ダンパー21、22が油圧式ダンパーであるが、これに限定されるものではなく、該上方、下方ダンパー21、22が、振動を減衰可能、運動エネルギーを吸収可能な粘弾性ダンパーなどの緩衝装置であってもよい。
【0021】
本発明ではさらに、制震システムを提案し、当該制震システムは、二つの、前記建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置を備える。詳しく述べると、前記上部壁板33及び下部壁板34はそれぞれ、相対する両側にある第1壁面と第2壁面を有し、該上部壁板33の第1壁面と該下部壁板34の第1壁面は同じ側面に位置し、該上部壁板33の第2壁面と該下部壁板34の第2壁面は同じ側面に位置し、該制震システムの二つの制震装置のうちの一つは、該上部壁板33及び下部壁板34の第1壁面側に設置され、他方の制震装置は、該上部壁板33及び下部壁板34の第2壁面側に設置される。つまり、本発明に係る制震システムの二つの制震装置はそれぞれ、前記上部壁板33及び下部壁板34から構成された壁面体の両側に配置されている。
【0022】
図1及び図2に基づいて、本発明の作動状態について説明する。地震が発生して建築物が横揺れし始めると、上下階層が相対的に横方向に変位しながら、前記縦設力伝達部材11が、前記上階梁31及び上部壁板33の横方向移動と、前記下階梁32及び下部壁板34の横方向移動につれて往復揺動する。このとき、一方の上方ダンパー21が引っ張られて伸長すると共に、他方の上方ダンパー21が圧縮されて収縮し、一方の下方ダンパー22が引っ張られて伸長し、他方の下方ダンパー22が圧縮されて収縮する。
【0023】
本発明に係る建築物の制震装置は、前記上部、下部壁板33、34に揺動可能に枢設される縦設力伝達部材11を介して、地震による上下層階間の変位量D1をテコの原理により3倍~5倍の増幅変位量D2に高感度で拡大させて、該縦設力伝達部材11に連結されている複数の上方、下方ダンパー21、22に伝達する構成であり、それらの上方、下方ダンパー21、22が同時に作動することにより、地震エネルギーを吸収する能力を大幅に向上させ、地震による被害および建築物の揺れ幅をより効果的に抑制する。それに加え、本発明の上方、下方ダンパー21、22を全て水平に設置することにより、それらのダンパーで発生する減衰力を十分に利用して建築物の振動を阻止することができるので、優れた減衰力の緩衝効果をもたらす。
【0024】
このように、本発明に係る建築物の制震装置は、地震による被害および建築物の揺れ幅をより効果的に抑制することができるので、建築物に必要とする制震装置の設置数を減らすことが可能となり、これにより、設置工事の簡素化すると共に、設置コストを低減させ、建築物の動線および採光への影響を極力抑制することができる。
【0025】
尚、一般的には、建築物全体の強度と剛性を上げるために耐力壁が設置されており、耐力壁は、地震による上下階層間の変位量を低減することができるので、地震時の建築物の揺れ幅を抑えて揺れ時間を短縮することが可能となるが、地震エネルギーを吸収する能力はない。故に、本発明に係る建築物の制震装置によれば、耐力壁などの部材により地震時の建築物の揺れ幅を抑える効果をもたらすだけでなく、優れた地震エネルギーを減衰させる能力も有しており、つまり、本発明に係る建築物の制震装置は、耐力壁による建築物の揺れ幅を抑える効果を有すると共に、地震エネルギーを吸収する能力も持っている。
【0026】
尚、図面に示した、本発明の具体的な実施形態では、本発明に係る建築物の制震装置が前記上部壁板33及び下部壁板34の一側に設置されているが、これに限定されるものではなく、該上部壁板33及び下部壁板34の両側に本発明に係る建築物の制震装置が設置されていてもよく、つまり、梁と柱で囲まれた一つの架構内に、合計8本の上方、下方ダンパー21、22が装着されるように構成されてもよく、このような構成により、更なる設置工事の簡素化及び設置コストの低減化を図り、建築物の動線および採光への影響をさらに抑制することができる。
【0027】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0028】
11 縦設力伝達部材
111 上連結端部
112 下連結端部
113 第1枢接部
114 第2枢接部
21 上方ダンパー
22 下方ダンパー
31 上階梁
32 下階梁
33 上部壁板
34 下部壁板
35 上部壁板及び下部壁板から離間している柱
40 制震ダンパー
51 上方梁柱接合部
52 下方梁柱接合部
61 鉄骨ブレース
62 制震ダンパー
71 上階層
711 上方梁柱接合部
72 下階層
721 下方梁柱接合部
722 ガセットプレート
D1 上下層階間の変位量
D2 増幅変位量
【要約】
【課題】優れた減衰力の緩衝効果及び建築物の横揺れの抑制効果を有し、設置工事の簡素化及び設置コストの低減化を図り、建築物の動線および採光への影響を極力抑制し得る、建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置及びそれを備えた制震システムを提供する。
【解決手段】上部壁板を有する上階梁と下部壁板を有する下階梁との間に装着される、建築物の振動減衰性能を増強する耐力壁の構造を有する制震装置であって、縦設力伝達部材、両上方ダンパー、両下方ダンパーを含み、縦設力伝達部材は上部、下部壁板を跨ぐように左右揺動可能に設置され、両上方ダンパーは上部壁板の側辺に水平に設置され、それぞれの両端が縦設力伝達部材の上端部と、上部壁板における上階梁と柱の交差位置に隣接する箇所とに連結され、両下方ダンパーは下部壁板の側辺に水平に設置され、それぞれの両端が縦設力伝達部材の下端部と、下部壁板における下階梁と柱の交差位置に隣接する箇所とに連結される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4