(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】エレベータのドア支持装置
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20231201BHJP
B66B 13/30 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B66B11/02 A
B66B13/30 E
(21)【出願番号】P 2023035218
(22)【出願日】2023-03-08
【審査請求日】2023-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217021
【氏名又は名称】馬場 進吾
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 紘暢
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/136118(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/011976(WO,A1)
【文献】特開2007-112573(JP,A)
【文献】国際公開第2019/239592(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00 - 11/08
B66B 13/00 - 13/30
B66B 5/00 - 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご枠の上部のドア装置側に固定されるかご上手摺の折り畳み可能な一対の縦柱と、前記かご枠上部の外端部に支持し、前記ドア装置の間口方向に作用する荷重を支持可能な一対の筋交いと、
前記筋交いの一端を前記外端部に回動可能に支持する第一の支持部と、
前記筋交いの他端を前記縦柱の上部に回動可能に支持する第二の支持部と、
前記縦柱が折り畳まれたとき、前記縦柱の上部と前記かご枠上部とを着脱可能に保持する保持部と、を備え、
前記縦柱が折り畳まれたとき、前記縦柱は、鉛直方向から見て前記ドア装置と反対側に倒伏して配置されると共に前記保持部を介してかご枠上部に保持されて、前記第一の支持部と前記第二の支持部とは略同じ高さに配置されており、
前記縦柱が立設されたとき、前記筋交いは、前記第二の支持部を介して前記縦柱と共に立設されて、鉛直方向から見て前記ドア装置の間口方向に対して略平行に配置されることを特徴とするエレベータのドア支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレータのかご上手摺と、かご枠に設けられる筋交いとを有するエレベータのドア支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータのドア支持装置では、かご上の作業スペースを横切るように配置される一対の筋交いを備えている。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一対の筋交いが、かご上の作業スペースを横切るように配置されていると、作業スペースが狭くなってしまう。作業スペースが狭くなると、足元が筋交いに引っ掛かることがあり、作業がおこない難くなっていた。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、かごのドア装置を支持する筋交いがかご上の作業スペースを横切るように配置された場合でも、作業スペースが狭くならないエレベータのドア支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるエレベータのドア支持装置は、かご枠の上部のドア装置側に固定されるかご上手摺の折り畳み可能な一対の縦柱と、かご枠上部の外端部に支持し、ドア装置の間口方向に作用する荷重を支持可能な一対の筋交いと、筋交いの一端を外端部に回動可能に支持する第一の支持部と、筋交いの他端を縦柱の上部に回動可能に支持する第二の支持部と、縦柱が折り畳まれたとき、縦柱の上部とかご枠上部とを着脱可能に保持する保持部と、を備え、縦柱が折り畳まれたとき、縦柱は、鉛直方向から見てドア装置と反対側に倒伏して配置されると共に保持部を介してかご枠上部に保持されて、第一の支持部と第二の支持部とは略同じ高さに配置されており、縦柱が立設されたとき、筋交いは、第二の支持部を介して縦柱と共に立設されて、鉛直方向から見てドア装置の間口方向に対して略平行に配置されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、かごのドア装置を支持する筋交いがかご上の作業スペースを横切るように配置された場合でも、作業スペースが狭くならないエレベータのドア支持装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の手摺り使用時を示す斜視図である。
【
図2】この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の手摺り組み立て時を示す斜視図である。
【
図3】この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の筋交い使用時を示す斜視図である。
【
図4】この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の筋交い使用時を示す平面図である。
【
図5】この発明の実施の形態1による
図4のエレベータのかごドア支持装置の要部を示す平面図である。
【
図6】この発明の実施の形態1による
図4のエレベータのかごドア支持装置の要部を示す側面図である。
【
図7】この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の手摺り使用時を示す正面図である。
【
図8】この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の手摺り使用時を示す平面図である。
【
図9】この発明の実施の形態1による
図1のエレベータのかごドア支持装置の要部を示す斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の手摺り使用時を示す斜視図である。
図2は、この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の手摺り組み立て時を示す斜視図である。
図3は、この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の筋交い使用時を示す斜視図である。
図4は、この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の筋交い使用時を示す平面図である。
図5は、この発明の実施の形態1による
図4のエレベータのかごドア支持装置の要部を示す平面図である。
図6は、この発明の実施の形態1による
図4のエレベータのかごドア支持装置の要部を示す側面図である。
図7は、この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の手摺り使用時を示す正面図である。
図8は、この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア支持装置(全体)の手摺り使用時を示す平面図である。
図9は、この発明の実施の形態1による
図1のエレベータのかごドア支持装置の要部を示す斜面図である。
【0010】
図1において、かご室1の上部に設けられる上枠2の上側には、かご上手摺3が設置されている。上枠2のかご室1の出入口側には、かごドア(図示せず)を開閉するドア装置4が設けられている。
【0011】
かご上手摺3は、上枠2のかご室1の出入口側に一対で配置される縦柱3a、3bと、上枠2のかご室1の背面側に一対で配置される縦柱3c、3dと、縦柱3a~3dにそれぞれ支持される横桟3ab、3cd、3ac、3bdから成る。
【0012】
横桟3abは、縦柱3a、3bと共に、横桟3cdは、縦柱3c、3dと共に固定されている。横桟3acは、縦柱3aを軸にして、3bdは、縦柱3dを軸にして、それぞれ水平方向に折り畳み可能に配置されている。
【0013】
図3において、かご上手摺3の縦柱3a、3bは、鉛直方向から見て、かご室1の側面部に沿ってドア装置4と反対側に折り畳み可能であり、かご上手摺3を不使用時には、かご室1の上部に折り畳まれている。
【0014】
かご上手摺3の縦柱3c、3dは、鉛直方向から見て、かご室1の側面部に沿ってドア装置4側に折り畳み可能であり、かご上手摺3を不使用時には、かご室1の上部に折り畳まれている。
【0015】
縦柱3a、3bがかご室1の上部に折り畳まれているとき、縦柱3a、3bの上部を上枠2に着脱可能に保持する保持部5が設けられている。保持部5は、ボルト50によって、縦柱3a、3bの上部を上枠2に着脱可能に保持している。かご上手摺3の不使用時には、縦柱3a、3bの上部は、保持部5を介して上枠2に保持されている。
【0016】
ドア装置4は、上枠2のかご室1の出入口側上部に取り付けられており、ドア装置4の自重及びドア装置4によりかごドアを開閉するときに発生する間口方向の荷重は、上枠2で支持されている。また、上枠2のドア装置4の上部には、上枠2の強度を補強する一対の筋交い6a、6bが設けられている。
【0017】
図4において、縦柱3a、3bが折り畳まれているとき、筋交い6a、6bは上枠2の上部で水平方向に配置されている。筋交い6aの一端は、上枠2のドア装置4が取り付けられている上部に回動リンク7aを介して回動可能に取り付けられ、他端は縦柱3aの上部に回動リンク8aを介して回動可能に取り付けられている。
【0018】
筋交い6bの一端は、上枠2のドア装置4が取り付けられている上部に回動リンク7bを介し回動可能にて取り付けられ、他端は縦柱3bの上部に回動リンク8bを介して回動可能に取り付けられている。
【0019】
回動リンク7a、7bは、上枠2のドア装置4が取り付けられている上部に固定されている。縦柱3a、3bが折り畳まれているとき、ドア装置4から作用する荷重は、回動リンク7a、7bを介して筋交い6a、6bに伝達される。
【0020】
筋交い6a、6bに伝達されたこの荷重は、回動リンク8a、8bを介して縦柱3a、3bに伝達され、さらに保持部5を介して上枠2に伝達される。
【0021】
図2及び
図4において、縦柱3a、3bが折り畳まれた状態から立設されるとき、保持部5の保持は解除されて、筋交い6a、6bは水平方向の状態から回動リンク8a、8bを介して縦柱3a、3bと共に立設される。
【0022】
図1及び
図7において、縦柱3a、3bが立設されているとき、かご上手摺3の横桟3ab、3cd、3ac、3bdから水平方向の荷重が作用した場合、この荷重は、回動リンク8a、8bを介して筋交い6a、6bに伝達される。筋交い6a、6bに伝達された荷重は、回動リンク7a、7bを介して上枠2に伝達される。
【0023】
図7において、縦柱3a、3bが立設されて、筋交い6a、6bが立設されたとき、ドア装置4から作用する荷重は上枠2に伝達されない。すなわち、縦柱3a、3bが立設されているときは、かご上手摺3が使用されているときであり、ドア装置4は動作しない状態のため、ドア装置4から作用する荷重が筋交い6a、6bを介して上枠2伝達されなくても問題は無い。
【0024】
図5及び
図6において、筋交い6a、6bが上枠2の上部で水平方向に配置されているときの動作を説明する。筋交い6a、6bは、水平方向に配置されている従来技術の筋交いと同等の作用、効果を奏する。
【0025】
すなわち、ドア装置4で発生する荷重は、始めに筋交い6a、6bに作用する。筋交い6a、6bに作用した荷重は、折り畳まれた縦柱3a、3bに伝達されて、さらに縦柱3a、3bから保持部5を介して上枠2に伝達される。
【0026】
次に、
図6及び
図7において、かご上手摺3を使用するときの筋交い6a、6bの動作を説明する。始めに、保持部5のボルト50を外して縦柱3a、3bの上部を上枠2から解放する。
【0027】
次に、4本の縦柱3a~3dを折り畳まれた状態から立設するように組み立てる。横桟3ab、3cdは縦柱3a、3bと共に立設される。縦柱3a、3bを立設した後、横桟bc、bdを折り畳まれた状態から水平方向に展開して組み立てる。
【0028】
図8において、縦柱3a、3bを折り畳まれた状態から立設状態に変位させるとき、筋交い6a、6bは回動リンク8a、8bを介して縦柱3a、3bに従動して、折り畳まれた状態から立設状態に変位する。筋交い6a、6bが立設されたとき、鉛直方向から見て、筋交い6a、6bは、ドア装置4の間口方向に対して略平行に配置される。
【0029】
次に、かご上手摺3の使用を終了後、かご上手摺3を組み立てたときと反対の手順で折り畳む。このとき、筋交い6a、6bは回動リンク8a、8bを介して縦柱3a、3bに従動して、立設状態から折り畳まれた状態に変位する。
【0030】
最後に、保持部5のボルト50を縦柱3a、3bの上部に貫通させて、保持部5を介して縦柱3a、3bが上枠2に保持される。
【0031】
上記のように実施の形態1によれば、上枠2の上部のドア装置4側に固定されるかご上手摺3の折り畳み可能な一対の縦柱3a、3bと、上枠2上部の外端部に支持し、ドア装置4の間口方向に作用する荷重を支持可能な一対の筋交い6a、6bと、筋交い6a、6bの一端を外端部に回動可能に支持する回動リンク7a、7bと、筋交い6a、6bの他端を縦柱3a、3bの上部に回動可能に支持する回動リンク8a、8bと、縦柱3a、3bが折り畳まれたとき、縦柱3a、3bの上部と上枠2上部とを着脱可能に保持する保持部5と、を備え、縦柱3a、3bが折り畳まれたとき、縦柱3a、3bは、鉛直方向から見てドア装置4と反対側に倒伏して配置されると共に保持部5を介して上枠2上部に保持されて、回動リンク7a、7bと回動リンク8a、8bとは略同じ高さに配置されており、縦柱3a、3bが立設されたとき、筋交い6a、6bは、回動リンク8a、8bを介して縦柱3a、3bと共に立設されて、鉛直方向から見てドア装置4の間口方向に対して略平行に配置されることにより、かごのドア装置4を支持する筋交い6a、6bがかご室1上の作業スペースを横切るように配置された場合でも、作業スペースが狭くならないエレベータのドア支持装置を実現できる。
【符号の説明】
【0032】
1 かご室、2 上枠、3 かご上手摺、3a,3b,3c,3d 縦柱、3ab,3cd,3ac,3bd 横桟、4 ドア装置、5 保持部、6a,6b 筋交い、7a,7b,8a,8b 回動リンク
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、エレータのかご上手摺と、かご枠に設けられる筋交いとを有するエレベータのドア支持装置に関するものである。
【要約】 (修正有)
【課題】作業スペースが狭くならないエレベータのドア支持装置を実現する。
【解決手段】エレベータのドア支持装置は、かご枠の上部のドア装置側に固定されるかご上手摺の折り畳み可能な一対の縦柱と、かご枠上部の外端部に支持し、ドア装置の間口方向に作用する荷重を支持可能な一対の筋交いと、筋交いの一端を外端部に回動可能に支持する第一の支持部と、筋交いの他端を縦柱の上部に回動可能に支持する第二の支持部と、縦柱が折り畳まれたとき、縦柱の上部とかご枠上部とを着脱可能に保持する保持部と、を備え、縦柱が折り畳まれたとき、縦柱は、鉛直方向から見てドア装置と反対側に倒伏して配置されると共に保持部を介してかご枠上部に保持されて、第一の支持部と第二の支持部とは略同じ高さに配置されており、縦柱が立設されたとき、筋交いは、第二の支持部を介して縦柱と共に立設されて、鉛直方向から見てドア装置の間口方向に対して略平行に配置される。
【選択図】
図1