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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/36 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
E06B7/36 F
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019152420
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021031937
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】高畠 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】長 正真
(72)【発明者】
【氏名】吉本 真美
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-132120(JP,A)
【文献】実開昭61-206076(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸と指挟み防止ストッパーと操作部とを備え、指挟み防止ストッパーは、起倒により戸の戸先より出没自在であり、操作部は、戸を開閉操作するための引手に設けてあり、操作部から手を離すと指挟み防止ストッパーが戸の戸先より突出し、操作部を操作すると指挟み防止ストッパーが戸内に没し、操作部を操作したまま引手を持って戸を閉めると戸を閉鎖できることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸を閉鎖する際の指挟みを防止できる建具に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室への出入口に用いられる建具として、片引き戸が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。引戸においては、戸を閉じる際の指挟みを防止するために、引戸が閉じ切る手前で引戸を停止させるストッパーを設けることがあるが、引戸を閉鎖する際にその都度ストッパーの解除操作を行うことが煩わしく感じられる場合があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社 三協アルミ社発行のカタログ「出入口 総合カタログ」(カタログNo.STJ1441A KY.18.04-200)、2018年4月、p.150-153
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、指挟みを防止できるとともに、指挟み防止ストッパーを解除して戸を閉め切るのが容易な建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、戸と指挟み防止ストッパーと操作部とを備え、指挟み防止ストッパーは、起倒により戸の戸先より出没自在であり、操作部は、戸を開閉操作するための引手に設けてあり、操作部から手を離すと指挟み防止ストッパーが戸の戸先より突出し、操作部を操作すると指挟み防止ストッパーが戸内に没し、操作部を操作したまま引手を持って戸を閉めると戸を閉鎖できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による建具は、戸と指挟み防止ストッパーと操作部とを備え、指挟み防止ストッパーは、起倒により戸の戸先より出没自在であり、操作部は、戸を開閉操作するための引手に設けてあり、操作部から手を放した状態で引手を持って戸を閉めると、指挟み防止ストッパーが戸の戸先より突出して指挟みを防止することができ、操作部を操作すると指挟み防止ストッパーが戸内に没し、操作部を操作したまま引手を持って戸を閉めると戸を閉鎖できるので、指挟み防止ストッパーを解除して戸を閉め切る操作が片手で容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る建具の指挟み防止装置の動きを示す正面図であって、(a)は指挟み防止ストッパーが働いた状態、(b)は操作部を上にスライドして指挟み防止ストッパーを戸内に収納し戸を閉鎖した状態、(c)は操作部をさらに上にスライドして指挟み防止ストッパーを戸内に収納・保持した状態、(d)は操作部をさらに上にスライドして戸を施錠した状態を示す。
図2】同建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、指挟み防止ストッパーが働いた状態(図1(a)の状態)を示す。
図3】同建具の横断面図であって、指挟み防止ストッパーが働いたときの状態を示す。
図4】同建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、操作部を上にスライドして指挟み防止ストッパーを戸内に収納し戸を閉鎖したときの状態(図1(b)の状態)を示す。
図5】同建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、操作部をさらに上にスライドして指挟み防止ストッパーを戸内に収納・保持した状態(図1(c)の状態)を示す。
図6】同建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、操作部をさらに上にスライドして戸を施錠した状態(図1(d)の状態)を示す。
図7】同建具の横断面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納して戸を閉鎖した状態を示す。
図8】同建具の指挟み防止装置及び引手の周辺を拡大して示す正面図であって、指挟み防止ストッパーが働いた状態を示す。
図9】同建具の指挟み防止装置及び引手の周辺を拡大して示す正面図であって、引手に内蔵した操作部を操作し、指挟み防止ストッパーを戸内に収納し戸を閉鎖したときの状態を示す。
図10】同建具の引手の上部を拡大して示す縦断面図である。
図11】同建具の引手の上部を拡大して示す縦断面図であって、戸を閉鎖するために引手を掴んだ状態を示す。
図12】同建具の脱衣室側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~12は、本発明の建具の一実施形態を示している。本建具は、浴室への出入口に設置される浴室戸に適用したものであって、図12に示すように、枠6と、上下枠7,8に沿って摺動する一枚の戸1とを備える片引き戸となっている。
枠6は、上枠7と下枠8と左右の縦枠9,9とを枠組みして構成され、浴室と脱衣室との間の開口部に取付けられる。枠6の脱衣室側から見て略左半分の開口部には固定パネル10が取付けられており、枠6の脱衣室側から見て略右半分の開口部を戸1で開閉するようになっている。
戸1は、上框11と下框12と戸先框13と戸尻框14とを框組みし、その枠内にパネル15を嵌め込んで構成してある。戸先框13には、上下方向の中間部に戸1を開閉操作するための引手4が取付けてある。また、戸先框13の上部には、戸1を閉鎖する際の指挟みを防止するための指挟み防止装置16を設けてある。指挟み防止装置16は、戸1を閉鎖状態でロックするチャイルドロックを兼ねるものとなっている。
【0009】
指挟み防止装置16は、図1~3に示すように、戸先框13に戸先側から埋め込んで取付けたケース17と、ケース17に軸18にて回転自在に支持され、起倒により戸1の戸先より出没する指挟み防止ストッパー2と、ケース17に上下方向にスライド可能に支持したスライド部19と、スライド部19に連結された上操作部3を有している。
【0010】
指挟み防止ストッパー2は、図2に示すように、略長方形の板状に形成され、基端側に設けた軸18を支点に起倒自在にケース17に取付けてあって、倒れた姿勢の時に戸1の戸先より突出しており、図3に示すように、戸1を閉じる際に指挟み防止ストッパー2が縦枠9に当接することで、縦枠9と戸1との間に間隔20を形成して指挟みを防止する。
指挟み防止ストッパー2は、図2に示すように、軸18の周囲に設けたバネ21により、倒れる方向に付勢されている。指挟み防止ストッパー2は、倒れた姿勢における下面側に切欠き部22が設けてあり、切欠き部22にスライド部19の上端部が挿入されている。切欠き部22の天面22aには、下向きの突起23a,23bが形成してある。
【0011】
スライド部19は、図2に示すように、上下方向に長い略長方形の板状に形成され、戸先側の下部に上向きに突出する鉤部24を有し、上下方向中間部に戸尻側に突出して上操作部3との連結部25が設けてある。連結部25より下方の戸尻側には、後述する下操作部5と上操作部3を連動させるための連動ブロック26が取付けてある。
スライド部19は、上下方向の長孔27が形成してあり、ケース17に取付けた軸28,28をその長孔27に通すことで、上下方向にスライド可能にケース17に支持してある。上下の操作部3,5から手を離した状態では、スライド部19は下限位置にあって、スライド部19の上端が軸18より戸先側で指挟み防止ストッパー2の切欠き部22の天面22aに当接しており、これにより指挟み防止ストッパー2は戸先側に向けて倒れた状態に保持されている。スライド部19の上端部には、戸尻側に突出する突起29が設けてある。
戸先框13の戸先側に隣接する縦枠9には、図1に示すように、スライド部19の鉤部24が係脱する錠受け30が設けてある。
【0012】
上操作部3は、図2,3に示すように、戸先框13の脱衣室側と浴室側の両面に配置され、スライド部19の連結部25に挿通した連結棒31でスライド部19と連結してあり、上操作部3を指で動かすことでスライド部19を上下にスライドさせることができる。
【0013】
脱衣室側及び浴室側の引手4の上部には、図8~11に示すように、下操作部5が埋め込んで設けてある。下操作部5は、図10に示すように、左右方向の軸32で軸支してシーソーのように揺動可能に設けてある。戸先框13の脱衣室側及び浴室側面の引手4の上方に隣接する位置には、下操作部5と係合する係合部品33が上下方向にスライド可能に設けてあり、係合部品33は戸先框13内に配置した連動棒34と連結してある。連動棒34は角筒状に形成してあり、図8に示すように、連動棒34の上部にスライド部19に取付けた連動ブロック26の下部が挿入されている。
【0014】
図11に示すように、戸1を閉める際に引手4を掴んだときに親指で下操作部5の手前側の部分を押すと、下操作部5の奥側の端部に係合した係合部品33が押し上げられ、連動棒34が上昇する。すると、図9に示すように、連動棒34により連動ブロック26が押し上げられ、スライド部19が上方に10mmスライドする。下操作部5から指を離すと、下操作部5は内蔵したバネ35により図10に示す元の位置に復帰し、連動棒34が下がってスライド部19も下がる。
【0015】
次に、本指挟み防止装置16の動きを図面に基づいて説明する。戸1を開けた状態では、図1(a)と図2に示すように、指挟み防止ストッパー2が倒れて戸1の戸先より縦枠9に向けて突出する状態となっており、引手4だけを持って戸1を閉めると、指挟み防止ストッパー2が縦枠9に当接することで縦枠9と戸1との間に間隔20が形成されるので、指挟みが防がれる。
戸1を閉鎖する際には、図1(b)と図4に示すように、上操作部3を片方の手で10mm上にスライドさせる(ストッパー解除位置)。すると、上操作部3と連結されたスライド部19も10mm上に移動し、指挟み防止ストッパー2はスライド部19の上端に押されて戸1の戸先より突出する縦枠9側の端部が上方に動くように反時計方向に回転し、戸1内に没した状態になる。その状態でもう片方の手で引手4を持って戸1を閉める。なお、このときの指挟み防止ストッパー2を起こす操作は、後述するように、上操作部3ではなく下操作部5で行うこともできる。その後、上操作部3から手を離し、引手4を持って戸1を開けると、指挟み防止ストッパー2はバネ21の付勢力により自動的に倒れて戸先より突出する。
指挟み防止機能が必要ない場合には、図1(c)と図5に示すように、上操作部3をさらに7mm上にスライドさせる(中間位置)。すると、スライダー19の上端の突起29が指挟み防止ストッパー2の基端側の突起23b上に係合し(図5参照)、スライダー19がその位置に保持されると共に、指挟み防止ストッパー2が戸1内に没した状態に保持される。これにより、戸1を開けても指挟み防止ストッパー2が倒れず、指挟み防止ストッパー2が働かない状態になる。
図1(d)と図6に示すように、上操作部3をさらに17mm上にスライドさせると(施錠位置)、スライド部19の鉤部24が縦枠9の錠受け30に係合し、これにより戸1が閉鎖状態でロックされる。このとき、スライド部19上端の突起29が指挟み防止ストッパー2の先端側の突起23a上に係合しており(図6参照)、これによりスライド部19が下がらず、且つ指挟み防止ストッパー2が戸1内に没した状態に保持される。
【0016】
本建具は、引手4に下操作部5が設けてあり、図9,11に示すように、戸1を閉めるために引手4を掴んだときに親指で下操作部5を押すことで、連動棒34と連動ブロック26を介して上操作部3及びスライド部19が10mm上に移動し、これにより指挟み防止ストッパー2がスライド部19に押されて戸1内に没し、戸1を閉め切ることができる。戸1を開けて引手4及び下操作部5から手を離すと、連動棒34と連動ブロック26とスライド部19が下がり、指挟み防止ストッパー2がバネ21の力で倒れ、戸先より突出する。
【0017】
以上に述べたように本建具は、戸1と指挟み防止ストッパー2と操作部(上操作部)3とを備え、指挟み防止ストッパー2は、起倒により戸1の戸先より出没自在であり、操作部3は、上下スライドにより指挟み防止ストッパー2を起倒自在であり、操作部3を下げた状態のときに指挟み防止ストッパー2が戸1の戸先より突出して戸1を閉める際の指挟みを防止することができ、操作部3を上にスライドすると指挟み防止ストッパー2が戸1内に没し、操作部3をさらに上にスライドすると指挟み防止ストッパー2が戸1内に没した状態に保持されるので、指挟み防止ストッパー2が働かない状態とすることができ、使い勝手が良い。
また、本建具は、操作部3と連動して上下にスライドするスライド部19を有し、操作部3を上にスライドすると、指挟み防止ストッパー2がスライド部19に押されて戸1内に没し、操作部3をさらに上にスライドすると、スライド部19と指挟み防止ストッパー2とが係合して指挟み防止ストッパー2が戸1内に没した状態に保持されるので、操作部3のスライド操作により指挟み防止ストッパー2の起倒操作が安定して行える。
本建具は、操作部3と連動して上下にスライドするスライド部19を有し、操作部3を指挟み防止ストッパー2が戸1内に没した状態で保持されるときの位置(中間位置)よりもさらに上にスライドするとスライド部19が枠(縦枠9に取付けた錠受け30)に係止して戸1を閉鎖状態にロックするので、一つの部品で指挟みの防止と戸1のロックが行え、合理的である。
【0018】
本建具は、戸1と指挟み防止ストッパー2と操作部(下操作部)5とを備え、指挟み防止ストッパー2は、起倒により戸1の戸先より出没自在であり、操作部5は、戸1を開閉操作するための引手4に設けてあり、操作部5から手を放した状態で引手4を持って戸1を閉めると、指挟み防止ストッパー2が戸1の戸先より突出して指挟みを防止することができ、操作部5を操作しながら引手4を持って戸1を閉めると指挟み防止ストッパー2が戸1内に没するので、指挟み防止ストッパー2を解除して戸1を閉め切る操作が片手で容易に行える。
操作部5は、引手4の上部に親指で押せるように設けたので、操作部5を押しながら引手4を持って戸1を閉める操作、操作部5を押さずに引手4を持って戸1を閉める操作のいずれの操作もしやすい。
【0019】
指挟み防止ストッパー2は、倒れる方向にバネ21で付勢してあり、戸1を開けると指挟み防止ストッパー2が自動的に倒れるので、いちいち指挟み防止ストッパー2を手動で倒す操作が不要で、ストッパーを掛け忘れることもない。
【0020】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。指挟み防止ストッパーや操作部の形状、材質は、適宜変更することができる。戸の構造は問わない。操作部は、引手を掴んだときに同時に操作できるように設けてあればよく、操作部は引手のどの位置に設けてあってもよい。指挟み防止ストッパーは、戸を開けたときに自重で倒れるようにすることもできる。本発明は、浴室戸に限らず、引戸を備えるあらゆる建具に適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 戸
2 指挟み防止ストッパー
3 上操作部(操作部)
4 引手
5 下操作部(操作部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12