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特許7395096ラジカル系接着剤組成物、それを含む偏光板用保護フィルム、それを含む偏光板、及びそれを含む画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】ラジカル系接着剤組成物、それを含む偏光板用保護フィルム、それを含む偏光板、及びそれを含む画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/14 20060101AFI20231204BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20231204BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20231204BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231204BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20231204BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20231204BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231204BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20231204BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231204BHJP
【FI】
C09J175/14
C08F290/06
C09J7/30
C09J11/06
G02B5/30
G02F1/1335 510
G09F9/30 349E
H05B33/02
H05B33/14 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021571877
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 KR2020007979
(87)【国際公開番号】W WO2020256476
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0073558
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523379845
【氏名又は名称】杉金光電(南京)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197701
【弁理士】
【氏名又は名称】長野 正
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(74)【代理人】
【識別番号】100214813
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 幸江
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒジョン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ユンギョン
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/058330(WO,A1)
【文献】特開2016-175959(JP,A)
【文献】特開2015-165028(JP,A)
【文献】特開2014-214229(JP,A)
【文献】特開2012-102226(JP,A)
【文献】特開2007-332341(JP,A)
【文献】特表2018-536048(JP,A)
【文献】特表2017-538812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/14
C08F 290/06
C09J 7/30
C09J 11/06
G02B 5/30
G02F 1/1335
G09F 9/30
H05B 33/02
H10K 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸価が90mgKOH/g~180mgKOH/gであるポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と、
単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃以上である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B)と、
親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C)と、
シランカップリング剤(D)と、を含む、ラジカル系接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)が、ポリエステル系ポリオール化合物と、イソシアネート系化合物と、アクリレート系化合物とを含む組成物から形成される、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)の25℃における粘度が、1,000cPs以上、50,000cPs以下である、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項4】
前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)を組成物全体100重量部に対して1~20重量部含む、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項5】
単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃未満である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B2)をさらに含む、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項6】
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後のガラス転移温度が、80℃以上、150℃以下である、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項7】
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後のTanδのピーク値が、0.2以上であり、Tanδのピーク値におけるガラス転移温度が、90℃以上である、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項8】
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後の80℃における貯蔵弾性率が、800Mpa以上、2,000Mpa以下である、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項9】
硬化後のIRスペクトルにおいてエーテル結合のピーク(1,080cm-1)を有しない、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項10】
前処理していないポリエチレンテレフタレートフィルムに対して、前記ラジカル系接着剤組成物の硬化物の接着力が、150gf/20mm以上である、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項11】
25℃における粘度が、10cPs以上、100cPs以下である、請求項1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【請求項12】
保護フィルムと、
前記保護フィルムの片面または両面に請求項1~11のいずれかに記載のラジカル系接着剤組成物の硬化物を含む接着剤層と、を備える、偏光板用保護フィルム。
【請求項13】
前記接着剤層の厚さが、0μmより大きく、20μm以下である、請求項12に記載の偏光板用保護フィルム。
【請求項14】
前記保護フィルムがセルロース系フィルムである、請求項12に記載の偏光板用保護フィルム。
【請求項15】
偏光子と、
前記偏光子の片面または両面に備えられる請求項12に記載の偏光板用保護フィルムと、を含む、偏光板。
【請求項16】
表示パネルと、
前記表示パネルの片面または両面に備えられる請求項15に記載の偏光板と、を含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2019年6月20日付けで韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0073558号の出願日の利益を主張するものであり、その内容は全て本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ラジカル系接着剤組成物、それを含む偏光板用保護フィルム、それを含む偏光板、及びそれを含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、偏光板は、二色性染料またはヨードで染色したポリビニルアルコール(以下、PVAという)系樹脂からなる偏光子の片面または両面に、接着剤を用いて保護フィルムを積層した構造が用いられる。従来は、偏光板保護フィルムとしてトリアセチルセルロース(以下、TACという)系フィルムが主に用いられていたが、このTACフィルムには、高温、高湿環境で変形しやすいという問題があった。よって、近年、TACフィルムを代替する様々な材質からなる保護フィルムが開発されており、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET;polyethylene terephthalate)、シクロオレフィンポリマー(以下、COPという)、アクリル系フィルムなどを単独でまたは組み合わせて用いる方法が提案されている。
【0004】
ここで、前記偏光子と保護フィルムを付着する接着剤としては、主にポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる水系接着剤が用いられている。しかしながら、前記水系接着剤においては、保護フィルムとしてTACではないアクリル系フィルムやCOPフィルムなどを用いると、接着力が弱いため、フィルムの素材によりその使用が制限されるという問題がある。また、前記水系接着剤においては、素材による接着力不良の問題の他に、PVA素子の両面に適用される保護フィルムの素材が異なると、水系接着剤の乾燥工程による偏光板のカール(curl)発生の問題、初期光学物性の低下などの問題が生じる。さらに、前記水系接着剤を用いる場合は乾燥工程が必ず必要であり、その乾燥工程で透湿率、熱膨張などの差が発生し、不良率が高くなるという問題がある。前記問題を解決するための代案として、水系接着剤の代わりに非水系接着剤を用いる方法が提案されている。
【0005】
そこで、水系接着剤の代わりにカチオン重合性紫外線硬化型接着剤を用いて偏光板の信頼性と収率を向上する方法が提案されている。
【0006】
カチオン重合性紫外線硬化型接着剤は、エポキシを主成分とし、硬化密度が高く、信頼性が高いという利点を有する。しかしながら、このようなカチオン重合は、紫外線照射後に暗反応(後重合)によりエポキシ環の開環反応が進行するが、その際に硬化時の湿度の影響を受けやすく、硬化状態に偏差が発生しやすいという問題がある。よって、均一な硬化状態を発現させるためには、環境湿度はもとよりPVA系偏光子の含水率を厳格に管理する必要がある。
【0007】
ラジカル重合性紫外線硬化型接着剤は、このような水分による接着力不均一の問題が比較的少ないという点で優れている。水分による硬化反応阻害がないので、偏光子内の水分による反応阻害を受けず、安定して光エネルギーにより反応する。
【0008】
また、偏光板の薄型化、耐久性などの観点から、接着剤層の厚さは薄いほど有利であるので、それを満足するために、接着剤は低粘度のものが有利である。
【0009】
しかしながら、ラジカル化合物においては、低粘度を維持するために単官能のものが主に用いられるが、それにより硬化密度と接着力が低くなり、後工程や信頼性における良好なマージンは期待できない。
【0010】
また、偏光板の高温高湿における信頼性を考慮すると、接着剤層の硬化後の剛性が高いほど高温高湿における寸法変化率が低く、偏光子の不良率の低下に有利である。
【0011】
このような接着剤の特性を満たすために、多官能モノマーやホモポリマーのガラス転移温度が高いモノマーを適用する方法も考えられるが、その場合も硬化密度が低く、接着力が弱いという問題がある。
【0012】
そこで、接着剤の低粘度特性と硬化後の高剛性を達成するための一連の実験を行ったところ、ラジカル化合物の硬化密度を適宜調節することにより、信頼性の高い接着剤組成が得られた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2015-011094号公報(公開日:2015年1月19日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ラジカル系接着剤組成物、それを含む偏光板用保護フィルム、それを含む偏光板、及びそれを含む画像表示装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、酸価が90mgKOH/g~180mgKOH/gであるポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃以上である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B)と、親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C)と、シランカップリング剤(D)とを含むラジカル系接着剤組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、保護フィルムと、前記保護フィルムの片面または両面に前記ラジカル系接着剤組成物を含む接着剤層とを備える偏光板用保護フィルムを提供する。
【0017】
さらに、本発明は、偏光子と、前記偏光子の片面または両面の前記偏光板用保護フィルムとを含む偏光板を提供する。
【0018】
さらに、本発明は、表示パネルと、前記表示パネルの片面または両面の前記偏光板とを備える画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、コロナ処理などの別途の処理を施すことなく、基材に対する優れた接着力が得られるという利点を有するラジカル系接着剤組成物を提供する。また、本発明の一実施形態によるラジカル系接着剤組成物は、硬化後に高いガラス転移温度と高温での高い貯蔵弾性率を有するので、優れた耐熱性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による偏光板の積層構造の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による偏光板の積層構造の他の例を示す図である。
図3】実験例1の実験方法を示す図である。
図4】実験例5の実験方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0022】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは特に断らない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0023】
本発明において、ある部材が他の部材の「上に」位置するという場合、それにはある部材が他の部材に接しているものだけでなく、両部材間にさらに他の部材が存在するものも含まれる。
【0024】
本発明における「ラジカル系接着剤組成物」とは、ラジカル重合性化合物でない他の重合性化合物を含まないか、少量、例えば、組成物全体100重量部に対して10重量部未満または1重量部未満しか含まない接着剤組成物を意味する。本発明において、ウレタンアクリレートオリゴマー、多官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、全てラジカル重合性化合物である。
【0025】
本発明の一実施形態は、酸価が90mgKOH/g~180mgKOH/gであるポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃以上である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B)と、親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C)と、シランカップリング剤(D)とを含むラジカル系接着剤組成物を提供する。
【0026】
前記ラジカル系接着剤組成物は、ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)を含み、組成物全体のガラス転移温度(Tg)が低下しても、ポリエステル基によるRelaxationをもたらすので、優れた耐熱性及び耐水性が得られるという利点を有する。また、前記ラジカル系接着剤組成物は、コロナ処理などの別途の処理を施すことなく、保護フィルムに対する優れた接着力が得られるという利点を有する。特に、前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、エポキシ系ウレタンアクリレートオリゴマーなどの他のオリゴマーに比べて、前処理していない保護フィルムに対する優れた接着力が得られるという効果を有する。前記ラジカル系接着剤組成物が保護フィルムに塗布されると、酸価を有するエステル基により保護フィルムの接着剤との接合面が侵食され、接着剤組成物が保護フィルムの表面に染み込みやすくなる物理的構造を有する。すなわち、エステル基による物理的効果と化学的効果が同時に実現するので、保護フィルムに対する接着力を増加させることができる。
【0027】
前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーの酸価を調節し、接着剤組成物の保護フィルムに対する接着力を向上させることができる。具体的には、前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーの酸価は、90mgKOH/g~180mgKOH/g、好ましくは95mgKOH/g~175mgKOH/g、より好ましくは100mgKOH/g~170mgKOH/gである。前記範囲内であれば、接着剤組成物が保護フィルムを効果的にエッチングするので、保護フィルムに対する優れた接着力が確保される。また、前記範囲に達しないと、保護フィルムをエッチングする程度が少ないため、接着力が低下し、前記範囲を超えると、保護フィルムを過度にエッチングするという問題があるので、酸価の範囲を前記範囲に調節する。
【0028】
前記酸価とは、試料に含まれている多価酸またはそのエステルの酸成分(多価酸のカルボキシ基)を中和するのに必要なKOHの当量を測定したものであり、試料の酸成分と同量のKOHのミリ当量に相当する量を意味する。前記酸価は次の方法で求められる。
【0029】
まず、合成したアクリレートオリゴマーの酸価を測定するために、滴定に用いる0.1N水酸化カリウム溶液を作製する。容積1Lのフラスコに95wt%の試薬級水酸化カリウム5.9gを入れ、その後少量の水を添加して完全に溶解する。これにメタノールを投入して全体積が1Lになるように混合し、滴定溶液を作製する。
【0030】
作製した滴定溶液の補正係数(factor)を求めるために、35wt%HCl溶液10mLをビーカーに入れ、フェノールフタレイン指示薬を2~3滴投入する。これに、前述したように作製した0.1N水酸化カリウム滴定溶液を薄い赤色に変わるまで投入し、その後用いた体積を求める。この実験を3回繰り返して求めた値のうち、最大値と最小値を除く残りの3つの値を平均して平均値A(mL)を求め、その後次の式で補正係数fを求める。
【0031】
f=5.611/A
【0032】
試料約1gを採取して質量(M)を正確に測定し、その後トルエン42.8g(50mL)に溶解させる。1wt%フェノールフタレイン指示薬を2~3滴入れ、攪拌しながら0.1N水酸化カリウム溶液で滴定し、その際に消費した量(B)をmL単位で測定し、その後次の式で酸価を計算する。
【0033】
酸価(Acid Value)=5.611×N×f×B/M
【0034】
ここで、Nは、水酸化カリウム標準溶液の濃度であり、fは、水酸化カリウム溶液の補正係数であり、Bは、水酸化カリウム溶液の消費量(mL)であり、Mは、試料の質量(g)である。
【0035】
前述した酸価を求める方法は多価酸またはそのエステルのカルボキシ基を塩基であるKOHで滴定する酸塩基滴定法の一例であり、未反応の酸成分またはそのエステル成分を分析する公知の方法を用いてもよい。例えば、多価酸のエステル成分においては、ガスクロマトグラフィー分析などを用いて試料1kg中の未反応のエステル成分を分析し、その後それに相当するKOHの量を計算して前記酸価を求めてもよい。
【0036】
前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーは、光反応性モノマーである多官能性(メタ)アクリレート系反応性モノマーと架橋構造を形成し、硬化した樹脂の物性(例えば、硬度、密着力、柔軟性など)を制御する成分であり、ラジカル系接着剤組成物に適用すると、成形加工性、弾性及び接着性をさらに向上させることができる。
【0037】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーは、オリゴマーの構造中の両末端にアクリレート基を有する化学的構造である。具体的には、前記ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリエステル系ポリオール化合物と、イソシアネート系化合物と、アクリレート系化合物とを含む組成物で形成されてもよい。
【0038】
前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーは、次の合成過程で合成してもよい。すなわち、エステル基(R)を有するポリエステル系ポリオール化合物(P)とジイソシアネート系化合物(I)を反応させて末端がイソシアネート基を有するように1次合成し、その後ヒドロキシ基を有するアクリレート系化合物(A)をイソシアネート基と反応させて最終ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーを作製するようにしてもよい。また、次の反応式により合成された重合体(co-polymer)であってもよいが、原料を単に混合した混合物の形態(mixture)であってもよい。
【0039】
【化1】
【0040】
前記ポリエステル系ポリオール化合物により、前記オリゴマーが主鎖にポリエステル化学構造を含むようになり、その結果、同じ硬化度を有するものであれば、ポリエステル化学構造を含まないオリゴマーに比べて、段差吸収性がよく、硬化反応の効率が高くなるので、信頼性を確保するのに有利である。
【0041】
前記ジイソシアネート系化合物は、具体的には、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つを含んでもよい。具体的には、前記ジイソシアネート系化合物は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を含んでもよく、その場合、前記オリゴマーが主鎖にシクロアルキレン構造の化学構造を含むようになり、その結果、そのような化学構造を含まない場合に比べて、高温高湿信頼性の確保に利点が得られる。
【0042】
前記アクリレート系化合物は、前記オリゴマーの両末端にアクリレート基を付与するための化合物であり、ヒドロキシ基を有するアクリレート化合物を含んでもよい。具体的には、前記アクリレート系化合物は、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つを含んでもよい。
【0043】
本発明の一実施形態において、前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量は、1,000~50,000、好ましくは1,000~35,000、より好ましくは1,000~20,000である。前記ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量が1,000未満であると、硬化した接着剤層の耐摩耗性、密着性及び耐薬品性が低下する。また、前記ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量が50,000を超えると、硬化した接着剤層の鉛筆硬度、耐摩耗性、密着性及び耐薬品性が低下する。
【0044】
本発明の一実施形態において、前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーの官能基数が1~10であってもよい。光硬化速度や耐水性などを考慮して、前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーは、1~8個の官能基、好ましくは2~6個の官能基を有するようにする。ここで、特定数の官能基を有するウレタンアクリレートオリゴマーは、実質的に前記特定数の官能基を有するウレタンアクリレートオリゴマーの役割を果たす他のウレタンアクリレートオリゴマーを含む概念である。例えば、10個の官能基を有するウレタンアクリレートオリゴマーにおいて、官能基のうち1個の官能基が実質的に活性を示さない場合、その10個の官能基を有するウレタンアクリレートオリゴマーは、9個の官能基を有するウレタンアクリレートオリゴマーに含まれる。
【0045】
本発明の一実施形態において、前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーの25℃における粘度は、1,000cPs以上、50,000cPs以下、好ましくは2,000cPs以上、50,000cPs以下、より好ましくは2,500cPs以上、50,000cPs以下である。前述した粘度と分子量の範囲で硬化物を製造すると、成形加工性に優れ、弾性や接着性などに優れる。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、組成物全体100重量部に対して前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーを1~20重量部、好ましくは1~15重量部、より好ましくは1~10重量部含む。前記ウレタンアクリレートオリゴマーの含有量が1重量部未満であると、硬化した接着剤層の密着性及び耐久性が低下する。前記ウレタンアクリレートオリゴマーの含有量が20重量部を超えると、硬化した接着剤層が過度に柔軟になり、鉛筆硬度及び耐摩耗性が低下するだけでなく、ラジカル系接着剤組成物の粘度が増加し、作業性が低下する。
【0047】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃未満である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B2)をさらに含む。
【0048】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、2種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含有してもよい。2種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含有すると、1種の多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含有するラジカル重合性化合物より好適な硬化密度になり、良好な接着力を付与することができる。よって、前記接着剤組成物が偏光板に適用されると、熱衝撃による偏光子のクラック発生を防止することができる。
【0049】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、2種の多官能アクリレート化合物を含んでもよい。例えば、ガラス転移温度が100℃以上、150℃未満である多官能アクリレート化合物と、ガラス転移温度が150℃以上である多官能アクリレート化合物を組み合わせてもよく、鎖状の多官能アクリレート化合物と、環を含む構造の多官能アクリレート化合物を組み合わせてもよい。
【0050】
本発明の一実施形態において、前記多官能性(メタ)アクリレートモノマーの総含有量(150℃未満である多官能性(メタ)アクリレートモノマーがさらに含まれる場合は、150℃未満である多官能性(メタ)アクリレートモノマーの含有量を足した総含有量)は、前記ラジカル系接着剤組成物全体100重量部に対して55重量部~70重量部、または55重量部~65重量部程度であることが好ましい。前記多官能アクリレート化合物の総含有量が前記範囲内であれば、良好な接着性を維持しつつ、硬化後に高い貯蔵弾性率を確保することができる。
【0051】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、単官能アクリレート系化合物をさらに含んでもよい。前記単官能アクリレート系化合物は、前記ラジカル系接着剤組成物全体100重量部に対して0.01重量部~25重量部、または1重量部~25重量部程度であることが好ましい。前記単官能アクリレート系化合物としては、例えばフェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフラニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C)を含む。前記(メタ)アクリレートモノマー(C)は、分子内に1つ以上の親水性官能基を有するものであってもよい。前記親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C)は、基材との相溶性を向上させ、基材表面と接着剤間の相溶性を増加させる効果を奏する。特に、偏光子に用いると、基材と偏光子間の接着剤組成物に優れた接着力を与えることができる。
【0053】
また、前記親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C)としては、分子内に炭素間不飽和二重結合が存在することによりラジカル重合が可能なものであれば、いかなるものを用いてもよい。ここで、前記親水性官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ウレタン基、アミノ基、アミド基など、水素結合が可能なものであれば特に限定されるものではないが、とりわけヒドロキシ基が優れた接着力の実現のために好ましい。例えば、前記親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する炭素数1~10、好ましくは炭素数1~5のアルキル基を有する(メタ)アクリレートである。例えば、ヒドロキシ基を有する単官能(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレートの1つ以上であってもよく、これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0054】
前記親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C)の含有量は、前記ラジカル系接着剤組成物全体100重量部に対して10重量部~20重量部、または15重量部~20重量であることが好ましい。
【0055】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、2種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー及び1種の親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含んでもよい。
【0056】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃以上である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B)を含む。ガラス転移温度が180℃以上である多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、Tanδ(Tan Delta)ピークからガラス転移温度が高くなり、高温での貯蔵弾性率が高くなることが好ましい。前記多官能性(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体のガラス転移温度は、例えば400℃以下または300℃以下であってもよい。
【0057】
本発明におけるTanδ(Tan Delta)とは、貯蔵弾性率と損失弾性率の比を意味する。具体的には、前記Tanδ(Tan Delta)は、次の式で表すことができる。
【0058】
Tanδ(Tan Delta)=貯蔵弾性率/損失弾性率
【0059】
本発明における「ガラス転移温度」とは、高分子物質がガラスなどの硬い固体状態から弾性を有するゴム状態に変換される温度を意味する。ガラス転移温度はモノマーの構造的性質によって決まるので、高分子は重合したモノマーの種類に応じて固有のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度が低いほど物質の柔軟性が高くなり、ガラス転移温度が高いほど物質は硬くなる。モノマー自体のガラス転移温度を測定することはできないので、一般にモノマーのホモポリマーを重合してガラス転移温度を測定する。しかしながら、本発明においては、Tanδ(Tan Delta)値からガラス転移温度を決定する。温度に応じたTanδ(Tan Delta)値において最大の値(ピーク)を有するTanδmaxに相当する温度がガラス転移温度と定義される。
【0060】
前記多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、放射線を照射すると硬化して第2架橋構造を形成し、養生中に接着剤をより硬い(hard)状態にするので、低分子量アクリル系共重合体を用いる場合に発生する耐久性低下問題を改善することができると共に、所望の貯蔵弾性率(G’)を確保することができる。また、接着剤組成物を希釈して粘度を調節することにより塗工を容易にする成分である。すなわち、前記多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、硬化した接着剤層に耐久性を付与すると共に粘弾性を維持し、粘度を調節して接着剤組成物の作業性を向上させる役割を果たす。
【0061】
前記単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃以上である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B)としては、例えばジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(Tg:214℃)、(トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート(Tg:225℃)、[2-[1,1-ジメチル-2[(1-オキソアリル)オキシ]エチル]-5-エチル-1,3-ジオキサン-5イル]メチルアクリレート(Tg:180℃)、9,9-ビス[4-(2-アクリロキシエトキシ)フェニルフルオレン(Tg:179℃)、(トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート(Tg:275℃)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
前記単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃以上である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量は、前記ラジカル系接着剤組成物全体100重量部に対して5重量部~40重量部、10重量部~35重量部、または15重量部~30重量部程度であることが好ましい。含有量が5重量部未満であると、高温または高温・多湿の環境下で耐久性が低下する、または光漏れを抑制することが困難になり、40重量部を超えると、耐久性が低下する。
【0063】
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後のガラス転移温度は、80℃以上、150℃以下であってもよい。前記ガラス転移温度に達しないと、ラジカル系接着剤組成物の硬化物の耐湿熱性及び耐久性が低下する。
【0064】
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後のTanδのピーク値は、0.2以上であってもよく、Tanδのピーク値におけるガラス転移温度は、90℃以上であってもよい。前記範囲に達しないと、ラジカル系接着剤組成物の硬化物の密着性、耐湿熱性及び耐久性が低下する。Tanδ(Tan Delta)ピークに応じたガラス転移温度が前記範囲内であれば、信頼性を評価する温度範囲では接着剤層の熱変形がほとんどなく、高い信頼性を確保することができる。
【0065】
前記Tanδ(Tan Delta)を測定するために、まずラジカル系接着剤組成物を離型フィルムにコーティングし、温度23℃及び相対湿度55%の条件で1,000mJ/cmの光量を照射して光硬化させることにより硬化フィルムを作製する。ここで、硬化フィルムの厚さは30μm~50μmであり、例えば30μmである。離型フィルムを除去し、その後横×縦×厚さを5.3mm×5mm×30μmの大きさに作製した試料をDMA Q800(TA instrument)によるTemperature sweep test(Strain 0.04%,Preload force 0.05N,Force Track 125%,Frequency 1Hz)により、0℃から150℃まで5℃/minで昇温させて貯蔵弾性率を測定する。その後、分析ツールを用いて、得られたグラフのY軸をTanδ(Tan Delta)の数値変化に設定し、最大の値を有するTanδmaxにおける温度をガラス転移温度と定義する。
【0066】
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後の80℃における貯蔵弾性率は、800Mpa以上、2,000Mpa以下、好ましくは900Mpa以上、2,000Mpa以下、より好ましくは1,000MPa以上、2,000MPa以下である。前述した貯蔵弾性率の範囲は80℃における貯蔵弾性率であり、80℃以外の温度における貯蔵弾性率は異なる値を有する。80℃における貯蔵弾性率が前記範囲内であれば、偏光子と保護フィルム間に備えられる接着剤層の偏光子保護性能が効果的に発揮される。具体的には、熱衝撃などの過酷環境における偏光子のクラック発生を効果的に抑制することができる。
【0067】
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後の80℃における貯蔵弾性率が800Mpa未満であると、熱衝撃評価過程において温度による偏光子の収縮及び膨張を抑制することが困難になるので偏光子にクラックが発生し、80℃における貯蔵弾性率が2,000Mpaを超えると、偏光子に積層される基材により偏光板が撓む現象をもたらす。
【0068】
本発明における前記クラックとは、偏光板がMD(machine direction)方向に長く割れた部分を意味する。例えば、前記クラックの長さは0.01mm以上である。
【0069】
前記貯蔵弾性率を測定するために、まずラジカル系接着剤組成物を離型フィルムにコーティングし、温度23℃及び相対湿度55%の条件で1,000mJ/cmの光量を照射して光硬化させることにより硬化フィルムを作製する。ここで、硬化フィルムの厚さは30μm~50μmであり、例えば30μmである。離型フィルムを除去し、その後横×縦×厚さを5.3mm×5mm×30μmの大きさに作製した試料をDMA Q800(TA instrument)によるTemperature sweep test(strain 0.04%,Preload force:0.05N,Force Track:125%,Frequency:1Hz)により、0℃から150℃まで5℃/minで昇温させて貯蔵弾性率を測定する。
【0070】
前記ラジカル系接着剤組成物は、硬化後のIRスペクトルにおいてエーテル結合のピーク(1,080cm-1)がないものであってもよい。エポキシ官能基を有する化合物は、ラジカル重合性ではなく、カチオン重合性材料であり、重合性質ではない他の機能付与のための添加剤として用いられる場合も、その量が少量であるので、結果として硬化後のIRスペクトルにおいてエーテル結合のピーク(1,080cm-1)がなくなる。
【0071】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、エポキシ化合物を重合性化合物として含まず、添加剤として少量含んでもよい。前記エポキシ化合物の含有量は、前記ラジカル系接着剤組成物全体100重量部に対して0.1重量部~5重量部、好ましくは0.1重量部~3重量部、より好ましくは0.1重量部~1重量部である。
【0072】
前記ラジカル系接着剤組成物がエポキシ化合物を含むか否かは、IRスペクトルを測定することにより確認することができる。エポキシ化合物を含むエポキシ系接着剤組成物は、エポキシ環が開環して生成するエーテル結合により、IRスペクトルにおいてエーテル結合のピーク(1,080cm-1)を有するのに対して、アクリレート化合物を含むラジカル系接着剤組成物は、エーテル結合のピークがない。また、1,200cm-1~1,000cm-1付近において、エポキシ系接着剤組成物には3つのピークが確認されるが、ラジカル系接着剤組成物には1つのピークのみ見られる。
【0073】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル系接着剤組成物は、光散発生剤(E)または光開始剤(F)を含んでもよく、光散発生剤(E)及び光開始剤(F)を含んでもよい。
【0074】
光散発生剤(E)としては、従来公知の光散発生剤であればいかなるものでも用いることができる。具体的には、例えば芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩、鉄アレーン錯体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
前記芳香族ジアゾニウム塩としては、例えばベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボレートなどが挙げられる。
【0076】
芳香族ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
【0077】
前記芳香族スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’-ビス[ジフェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、7-[ジ(p-トルオイル)スルホニオ]-2-イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7-[ジ(p-トルオイル)スルホニオ]-2-イソプロピルチオキサントンテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジ(p-トルオイル)スルホニオ-ジフェニルスルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムのリン酸塩などが挙げられる。
【0078】
前記鉄アレーン錯体としては、例えばキシレン-シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン-シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II)-トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタニドなどが挙げられる。
【0079】
前記光散発生剤は、市販品を用いてもよく、例えばCPI-100P、101A、200K、210S(以上、サンアプロ株式会社製)、kayarad(登録商標)PCI-220、PCI-620(以上、日本化薬株式会社製)、UVI-6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマー(Adekaoptomer)(登録商標)SP-150、SP-170(以上、株式会社ADEKA製)、CI-5102、CIT-1370、1682、CIP-1866S、2048S、2064S(以上、日本曹達株式会社製)、DPI-101、102、103、105、MPI-103、105、BBI-101、102、103、105、TPS-101、102、103、105、MDS-103、105、DTS-102、103(以上、みどり化学株式会社製)、PI-2074(ローディアジャパン株式会社製)などが挙げられる。
【0080】
前記光散発生剤の含有量は、ラジカル系接着剤組成物の総重量またはラジカル系接着剤組成物のうち前記光散発生剤を除く残りの組成100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、7重量部以下であり、より好ましくは1重量部以上、4重量部以下である。光散発生剤の使用量を0.5重量部以上にすることにより、紫外線照射後の接着剤の硬化性が良好になる。一方、使用量を7重量部以下にすることにより、ブリードアウト(bleed out)による接着性や耐久性の低下を抑制することができる。前記光散発生剤の含有量の計算における前記ラジカル系接着剤組成物の総重量とは、光散発生剤を除く残りの成分の合計を意味する。
【0081】
前記光開始剤の種類は特に限定されるものでなく、従来公知の光開始剤を好ましく用いることができる。光開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0082】
具体的には、前記光開始剤として、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジ-t-ブチル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸などのアゾ化合物、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、2,3-ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ホウ酸塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。より具体的には、アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンなどのアセトフェノン類、ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノンをはじめとするベンゾフェノン類、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、4-イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、フルオレノン、カンファキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノンなどが挙げられる。
【0083】
前記光開始剤は、市販品を用いてもよく、例えばイルガキュア(IRGACURE)(登録商標)184、819、907、651、1700、1800、819、369、261、ダロキュア(DAROCUR)(登録商標)TPO、ダロキュア(登録商標)1173(以上、BASFジャパン株式会社製)、エザキュア(Esacure)(登録商標)KIP150、TZT(以上、DKSHジャパン株式会社製)、カヤキュア(KAYACURE)(登録商標)BMS、DMBI(以上、日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
【0084】
また、前記光開始剤は、エチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアニリンなどのアミン、ポリアミン、2価鉄塩化合物、アンモニア、トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ素、ジエチル亜鉛などの有機金属化合物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナフテン酸コバルト、スルフィン酸、メルカプタンなどの好適な還元剤を併用してもよい。
【0085】
前記ラジカル系接着剤組成物は、光増感剤を含んでもよい。前記光増感剤の種類は特に限定されるものでなく、従来公知の光増感剤を好ましく用いることができる。光増感剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
前記光増感剤の具体例としては、ピレン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノンなどのベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、2,4-ジクロロベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、2-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノンなどのアントラキノン誘導体、N-メチルアクリドン、N-ブチルアクリドンなどのアクリドン誘導体、その他、α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などが挙げられる。
【0087】
前記光増感剤は、合成物を用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、カヤキュア(登録商標)DMBI、BDMK、BP-100、BMBI、DETX-S、EPA(以上、日本化薬株式会社製)、アントラキュア(登録商標)UVS-1331、UVS-1221(以上、川崎化成工業株式会社製)、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)などが挙げられる。
【0088】
前記光開始剤及び光増感剤の少なくとも一方の使用量(光開始剤と光増感剤を併用する場合はその合計の使用量)は、ラジカル系接着剤組成物のうち光開始剤及び光増感剤を除く残りの成分の重量部の合計に対して、好ましくは0.1重量部以上、7重量部以下であり、より好ましくは0.2重量部以上、3.5重量部以下、0.2重量部以上、2.5重量部以下である。前記範囲内であれば、紫外線照射による硬化効率に優れるので、ブリードアウトによる接着性や耐久性の低下を抑制することができる。
【0089】
本発明の一実施形態において、シランカップリング剤(D)の種類は特に限定されるものではなく、例えばビニルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0090】
前記ラジカル系接着剤組成物は、必要に応じて、前記成分以外に、本発明の効果を大幅に減少させない程度の添加剤を含んでもよい。
【0091】
前記添加剤としては、例えば前記以外の他の重合性成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂(ポリオール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂など)、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、染料、顔料(着色顔料、体質顔料など)、処理剤、紫外線遮断剤、蛍光増白剤、分散剤、光安定剤、帯電防止剤、潤滑剤などが挙げられる。
【0092】
前記添加剤の含有量は、前記接着剤組成物全体100重量部に対して0.01重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、0.02重量部以上、10重量部以下であることがより好ましく、0.05重量部以上、5重量部以下であることがさらに好ましい。添加剤の含有量が前記範囲内であれば、本発明の接着剤の効果を十分に発揮させることができる。前記接着剤組成物総重量とは、前記添加剤を除く残りの成分の合計を意味する。
【0093】
前処理していないポリエチレンテレフタレートフィルムに対して、前記ラジカル系接着剤組成物の硬化物の接着力は、150gf/20mm、好ましくは170gf/20mm、より好ましくは200gf/20mm以上である。前記範囲内であることは、前記ラジカル系接着剤組成物のポリエチレンテレフタレートフィルムに対する接着力に優れることを意味する。前記数値範囲内であれば、保護フィルムの接着力を向上させるために前処理する必要がないという利点がある。前記前処理は、フィルムの接着力を向上させるためのものであり、コロナ処理などが挙げられる。前記ポリエチレンテレフタレートフィルムに前処理しているか否かは、接触角により確認することができ、前処理していないポリエチレンテレフタレートフィルムの接触角は50度~70度であり、前処理しているポリエチレンテレフタレートフィルムの接触角は50度未満である。前記接触角は、当該技術分野において一般に用いられる方法により測定することができ、例えば液滴をフィルム上に落下させ、その後静止した液滴とフィルム表面がなす角度から測定することができる。ここで、液体の種類としては、水(DI water)または有機溶媒が用いられる。前記接触角の測定に用いる接触角試験機の例としては、Phonenix 300などが挙げられる。
【0094】
前記ラジカル系接着剤組成物の25℃における粘度は、10cPs以上、100cPs以下、好ましくは10cPs以上、80cPs以下、より好ましくは10cPs以上、65cPs以下である。粘度がこの範囲内であれば、組成物の工程性が改善され、接着剤組成物で形成された接着剤層に気泡が発生することを防止することができる。
【0095】
前記ラジカル系接着剤組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、前記成分を混合することにより行われる。粘度調整のために、適宜有機溶媒を用いてもよい。混合方法も特に限定されるものではなく、硬化が進まないように、UV光を遮光した部屋において、室温(20℃以上、25℃以下)で液体の内部が均一になるまで十分に攪拌して混合するようにしてもよい。
【0096】
前記ラジカル系接着剤組成物は、偏光板(偏光フィルム)、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、酸化インジウム・スズスパッタリング透明導電性フィルム(ITOフィルム)、各種エレクトロニクス関連フィルム部材や保護フィルムなどに適宜用いられる。とりわけ、偏光板(偏光フィルム)に用いられることが好ましい。
【0097】
本発明は、保護フィルムと、前記保護フィルムの片面または両面に前記ラジカル系接着剤組成物を含む接着剤層とを備える偏光板用保護フィルムを提供する。
【0098】
本発明の一実施形態において、前記接着剤層の厚さは、0μm超、20μm以下程度、0μm超、10μm以下、好ましくは0.1μm~10μm、または0.1μm~5μm程度である。接着剤層の厚さが薄すぎると、接着剤層の均一度及び接着力が低下し、接着剤層の厚さが厚すぎると、偏光板の外観にしわが発生するという問題が生じるからである。
【0099】
本発明は、偏光子と、前記偏光子の片面または両面の前記偏光板用保護フィルムとを含む偏光板を提供する。図1及び図2によれば、前記偏光板は、偏光子103の片面または両面に接着剤層102、104を介して保護フィルム101、105を含む。
【0100】
本発明において、前記偏光子として、当該技術分野で周知の偏光子、例えばヨードまたは二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムを用いてもよい。前記偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨードまたは二色性染料を染着させて作製してもよく、その作製方法は特に限定されるものではない。本発明における偏光子とは、保護層(または保護フィルム)を含まないものを意味し、偏光板とは、偏光子と、保護層(または保護フィルム)とを含むものを意味する。
【0101】
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、その二色性色素を吸着する工程、二色性色素が吸着したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液処理後に水洗する工程、及びこれらの工程を行って二色性色素が吸着配向された一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに保護層を接合する工程を経て作製される。
【0102】
前記一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよく、二色性色素による染色と同時に行ってもよく、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色の後に行う場合、その一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよく、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これら複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。一軸延伸を行うために、周速が異なるロール間で一軸に延伸してもよく、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよく、溶剤により膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、特に限定されるものではなく、通常4倍~8倍である。
【0103】
一方、前記偏光子は、厚さが5μm~40μmであることが好ましく、5μm~25μmであることがより好ましい。偏光子の厚さが前記数値範囲より薄いと、光学特性が低下し、前記数値範囲より厚いと、低温(例えば、-30℃)における偏光子の収縮量が大きくなり、全体的な偏光板の熱に対する耐久性が低下する。
【0104】
また、前記偏光子がポリビニルアルコール系フィルムである場合、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール樹脂またはその誘導体を含むものであればいかなるものを用いてもよい。ここで、前記ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、市販のポリビニルアルコール系フィルム、例えばクラレ社のP30、PE30、PE60、日本合成社のM2000、M3000、M6000などが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
前記ポリビニルアルコール系フィルムは、重合度が1,000~10,000であることが好ましく、1,500~5,000であることがより好ましい。重合度が前記数値範囲内であれば、分子の動きが自由になり、ヨードや二色性染料などと柔軟に混合される。
【0106】
前記保護フィルム材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる材料が好ましい。例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、シクロオレフィンポリマーなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン、芳香族ポリアミドなどのポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、エポキシ樹脂、これらの樹脂のブレンド物などが挙げられる。
【0107】
前記保護フィルムは、前述したセルロース系フィルムであることが好ましい。
【0108】
具体的には、セルロースと脂肪酸のエステルであるセルロース樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはアクリル樹脂が好ましい。前記セルロース樹脂としては、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性やコストの観点からセルローストリアセテート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレートまたはアクリル樹脂が好ましく、入手容易性や水分透過性を考慮すると、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレートまたはアクリル樹脂がより好ましい。保護フィルムの水分透過性が高いと、水分が保護フィルムを透過して偏光子側に入りやすくなり、偏光子の品質が低下する恐れがあるが、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレートまたはアクリル樹脂を用いると、それを有意に抑制することができる。
【0109】
また、セルローストリアセテートは、鹸化したものを用いてもよいが、鹸化していないものがより好ましい。
【0110】
前記保護フィルムの表面がコロナ放電処理により改質されたものを用いてもよい。コロナ放電処理法は特に限定されるものではなく、一般的なコロナ放電処理装置(例えば、春日電機株式会社製)を用いて処理することができる。コロナ放電処理することにより、保護フィルムの表面には、例えばヒドロキシ基などの活性基が形成され、それが接着性の向上に寄与するものと考えられる。保護フィルムとして鹸化したセルローストリアセテートを用いる場合、コロナ放電処理と同等の接着性向上効果が期待されるので、コロナ放電処理を必ずしも必要としない。しかしながら、鹸化処理は工程が複雑で高コストになるので、鹸化されていないセルローストリアセテートにコロナ放電処理を施して用いる方が作製工程上好ましい。
【0111】
前記コロナ放電処理の放電量は、特に限定されるものではなく、30W・min/m以上、300W・min/m以下の範囲が好ましく、50W・min/m以上、250W・min/m以下の範囲がより好ましい。前記範囲内であれば、保護フィルム自体を劣化させることなく、保護フィルムと接着剤の接着性を向上させることができるので好ましい。ここで、放電量とは、次の式により求めたコロナ放電による対象物に対する仕事量であり、これを基準にコロナ放電電力が決定される。
【0112】
【数1】
【0113】
前記偏光板の作製方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法により偏光子と保護フィルムを前記ラジカル系接着剤組成物で接合することにより作製することができる。塗布した接着剤は、紫外線照射により接着性を発現し、接着剤層を構成する。
【0114】
前記ラジカル系接着剤組成物を塗布する際に、保護フィルム、偏光子のいずれか一方に塗布してもよく、両方に塗布してもよい。前記ラジカル系接着剤組成物は、乾燥後の接着剤層の厚さが0超、20μm以下になるように塗布することが好ましい。接着剤層の厚さは、接着剤の溶液中の固形分濃度や接着剤の塗布装置に応じて調整される。また、接着剤層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)で断面を観察することにより確認することができる。接着剤を塗布する方法も特に限定されるものではなく、接着剤を直接積荷する方法、ロールコート法、噴霧法、浸漬法などの各種手段が採用される。
【0115】
前記接着剤を塗布した後に、偏光子と保護フィルムをロールラミネートなどにより接合する。
【0116】
前述したように接合した後に、接着剤の硬化のために、偏光板に紫外線を照射する。紫外線の光源は、特に限定されるものではなく、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられる。紫外線照射量(積算光量)は特に限定されるものではなく、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の紫外線照射量が100mJ/cm以上、2,000mJ/cm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、反応時間が好適であり、ランプから輻射される熱及び重合時の発熱により接着剤自体や偏光フィルムが劣化することを防止することができる。
【0117】
前記偏光板は、紫外線照射直後から16時間以上、30時間以下の間、室温(20℃以上、25℃以下。具体的には25℃)で保管したものであってもよい。前記硬化の完了により偏光板が完成する。
【0118】
本発明は、表示パネルと、前記表示パネルの片面または両面の前記偏光板とを備える画像表示装置を提供する。
【0119】
本発明は、表示パネルと、前記表示パネルの視認側または前記表示パネルの視認側の反対面の前記偏光板とを備える画像表示装置を提供する。
【0120】
前記表示パネルは、液晶パネル、プラズマパネル及び有機発光パネルであってもよい。よって、前記画像表示装置は、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)及び有機ELディスプレイ(OLED)であってもよい。より具体的には、前記画像表示装置は、液晶パネルと、その液晶パネルの両面にそれぞれ備えられる偏光板とを含む液晶表示装置であってもよく、ここで、前記偏光板の少なくとも1つが前述した本発明の一実施形態による偏光子を含む偏光板であってもよい。
【0121】
ここで、前記液晶表示装置に含まれる液晶パネルの種類は、特に限定されるものではない。例えば、その種類に限定されるものではなく、TN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、F(ferroelectic)型、PD(polymer dispersed)型などの受動行列方式のパネル、2端子型(two terminal)、3端子型(three terminal)などの能動行列方式のパネル、IPS(In Plane Switching)型パネル、VA(Vertical Alignment)型パネルなどの公知のパネルが全て適用される。また、液晶表示装置を構成するその他の構成、例えば上部及び下部基板(例えば、カラーフィルタ基板またはアレイ基板)などの種類も特に限定されるものではなく、当該分野で公知の構成であればいかなるものを採用してもよい。
【0122】
(実施例)
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。しかしながら、本発明の実施例は様々な他の形態に変形してもよく、本発明の範囲は後述する実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は、当該技術分野における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供するものである。
【0123】
<ラジカル系接着剤組成物の製造>
表1に示す組成を有するラジカル系接着剤組成物を製造した。
【0124】
<実験例1:保護フィルムの接着力実験>
予め準備しておいた偏光子(LG CHEM製)の両面に、前述したように製造したラジカル系接着剤組成物を塗布し、剥離用保護フィルム(PETフィルム)を積層した。その後、照射量(積算光量)が2,000mJ/cmになるように、波長365nmの紫外線を照射して前記ラジカル系接着剤組成物を硬化させることにより、偏光子と剥離用保護フィルムを互いに接着させ、幅2cm×長さ15cmの大きさに裁断して偏光板サンプルを作製した。ここで、各ラジカル系接着剤組成物において剥離用保護フィルムの前処理条件を変えた。前処理保護フィルムにおいては、前記ラジカル系接着剤組成物が備えられる部分に濃度10%のKOH溶液により温度45度の条件でコロナ処理を施した。
【0125】
図3のように、いずれかの剥離用保護フィルムを剥離角度90度及び剥離速度0.5cm/secで3cm以上剥離し、その際の剥離力を3回測定して平均値を計算した。前記剥離力の測定時にXT Plusテクスチャーアナライザー(TA社製)を用いた。
【0126】
表1のT/Tは、分析器と剥離用保護フィルム間が剥離されることを意味し、TAC/Adは接着剤層と剥離用保護フィルム間が剥離されることを意味し、PVA/Adは、偏光子と接着剤層間が剥離されることを意味する。分析器と剥離用保護フィルム間が剥離されると、優れた性能を有する接着剤に分類される。
【0127】
<実験例2:硬化後のガラス転移温度及び貯蔵弾性率の測定>
予め準備しておいた偏光子(メーカー)の両面に、前述したように製造したラジカル系接着剤組成物を塗布し、剥離用保護フィルム(PETフィルム)を積層した。その後、照射量(積算光量)が2000mJ/cmになるように、波長365nmの紫外線を照射して前記ラジカル系接着剤組成物を硬化させた。これを幅5.3mm×長さ4.5cmの大きさに裁断し、前記剥離用保護フィルムを剥離してラジカル系接着剤組成物の硬化物(硬化フィルム)を得た。粘弾性測定装置(Dynamic mechanical analyzer:DMA Q800 TA instrument社製)を用いて、前記硬化フィルムをその長辺が引張方向になるように設置し、周波数1Hz、測定開始温度-30℃、昇温速度5℃/minに設定して粘弾性測定を行った。ガラス転移温度(Tg)はTanδが最大値になる温度とし、Tanδのピーク値をその最大値とした。
【0128】
また、DMA Q800(TA instrument)を用いて、Temperature sweep test(strain 0.04%,Preload force:0.05N、Force Track:125%,Frequency:1Hz)により、0℃から150℃まで5℃/minで昇温させて貯蔵弾性率を測定し、80℃において測定された値を読み取った。
【0129】
<実験例3:耐水性評価>
予め準備しておいた偏光子(メーカー)の両面に、前述したように製造したラジカル系接着剤組成物を塗布し、剥離用保護フィルム(PETフィルム)を積層した。その後、照射量(積算光量)が2000mJ/cmになるように、波長365nmの紫外線を照射して前記ラジカル系接着剤組成物を硬化させた。これを偏光子の吸収軸方向及びそれに直角の方向のそれぞれの長さが150mmになるように裁断した。その後、前記剥離用保護フィルムの片面に粘着剤を塗布し、これをガラス基板にラミネート(glass lamination)して25℃で24時間放置した。その後、このガラス板を60℃の水槽に24時間放置して取り出した。このサンプルの外観を肉眼で確認し、偏光子の色抜け、フィルムの剥離の有無を検査した。色抜けがない場合や、フィルムが剥離していない場合はOKと表示し、色抜けがある場合や、フィルムが剥離している場合はNOと表示した。
【0130】
<実験例4:熱衝撃評価>
予め準備しておいた偏光子(メーカー)の両面に、前述したように製造したラジカル系接着剤組成物を塗布し、剥離用保護フィルム(PETフィルム)を積層した。その後、照射量(積算光量)が2000mJ/cmになるように、波長365nmの紫外線を照射して前記ラジカル系接着剤組成物を硬化させた。これを偏光子の吸収軸方向及びそれに直角の方向のそれぞれの長さが150mmになるように裁断した。その後、前記剥離用保護フィルムの片面に粘着剤を塗布し、これをガラス基板にラミネート(glass lamination)して25℃で24時間放置した。
【0131】
その後、前記ガラス基板を-40℃で30分間放置し、85℃で30分間放置することを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返した。熱衝撃を付与し、その後偏光子の延伸方向(矢印方向)に偏光板の端部から偏光子クラックが存在するか否かを観察し、偏光子クラックが観察された場合は、そのクラックの長さを測定した。クラックが複数観察された場合は、その平均値により評価することとした。クラックが発生しない、またはクラックの長さが1mm未満の場合は合格と表示し、クラックの長さが1mm以上の場合は不合格と表示した。
【0132】
<実験例5:剛性度評価>
予め準備しておいた偏光子(メーカー)の両面に、前述したように製造したラジカル系接着剤組成物を塗布し、剥離用保護フィルム(PETフィルム)を積層した。その後、照射量(積算光量)が2,000mJ/cmになるように、波長365nmの紫外線を照射して前記ラジカル系接着剤組成物を硬化させた。これを幅3cm×長さ7cmの大きさに裁断し、前記剥離用保護フィルムを剥離してラジカル系接着剤組成物の硬化物(硬化フィルム)を得た。
【0133】
図4のように、前記硬化フィルムをループ状に曲げて粘弾性測定装置(Dynamic mechanical analyzer:DMA Q800 TA instrument社製)に固定し、曲げた面を1g及び30m/minの力で押し、20mmの距離を押したときの力を硬化フィルムの剛性度として記録した。
【0134】
<実験例6:組成物全体の粘度評価>
各組成物の粘度を評価した。
評価方法:
・測定装置:BROOKFIELD VISCOMETER DV-II+PRO
・速度(Speed):90RPM
・スピンドル(Spindle):18番
【0135】
<実験例7:ウレタンアクリレートオリゴマーの粘度評価>
各ウレタンオリゴマーの25℃における粘度を評価した。
・測定装置:BROOKFIELD VISCOMETER DV-II+PRO
・速度(Speed):0.01rpm
・スピンドル(Spindle):18番
【0136】
<実験例8:ウレタンアクリレートオリゴマーの酸価測定>
前記方法に従ってウレタンアクリレートの酸価を測定した。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
以下、表1及び表2の符号について説明する。
A:ウレタンアクリレートオリゴマー
(a):ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー
B1:単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃以上である多官能性(メタ)アクリレートモノマー
B2:単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃未満である多官能性(メタ)アクリレートモノマー
C:親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー
D:シランカップリング剤
E:光散発生剤
F:光開始剤
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート(Tg:102℃)
M370:トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Tg:225℃)
4-HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(Tg:-56℃)
R-604:[2-[1,1-ジメチル-2[(1-オキソアリル)オキシ]エチル]-5-エチル-1,3-ジオキサン-5イル]メチルアクリレート(Tg:180℃)
KBM403:(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン
I250:(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート
TPO:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド
DETX:2,4-ジエチルチオキサントン
【0140】
前記A、B(B1,B2)、C及びDの重量部とは、A~Dを合計した総重量100に対する各物質の重量部を意味する。
【0141】
前記E及びFの重量部とは、前記A~Dを合計した総重量100に対する各物質の重量部を意味する。
【0142】
前記結果から、実施例1及び2によるラジカル系接着剤組成物は、コロナ処理していないPETフィルムに対する接着力に優れることが確認された。これは、酸価が調節されたポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマーを前記ラジカル系接着剤組成物が含むので、保護フィルムに対する接着剤層の優れた接着力が確保されるからである。
【0143】
また、実施例1及び2によるラジカル系接着剤組成物を偏光板に適用すると、耐熱性及び耐水性が向上し、剛性度が向上することが確認された。
【0144】
[付記]
[付記1]
酸価が90mgKOH/g~180mgKOH/gであるポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と、
単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃以上である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B)と、
親水性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C)と、
シランカップリング剤(D)と、を含む、ラジカル系接着剤組成物。
【0145】
[付記2]
前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)が、ポリエステル系ポリオール化合物と、イソシアネート系化合物と、アクリレート系化合物とを含む組成物から形成される、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0146】
[付記3]
前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)の25℃における粘度が、1,000cPs以上、50,000cPs以下である、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0147】
[付記4]
前記ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(A)を組成物全体100重量部に対して1~20重量部含む、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0148】
[付記5]
単独重合体のガラス転移温度(Tg)が150℃未満である多官能性(メタ)アクリレートモノマー(B2)をさらに含む、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0149】
[付記6]
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後のガラス転移温度が、80℃以上、150℃以下である、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0150】
[付記7]
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後のTanδのピーク値が、0.2以上であり、Tanδのピーク値におけるガラス転移温度が、90℃以上である、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0151】
[付記8]
前記ラジカル系接着剤組成物の硬化後の80℃における貯蔵弾性率が、800Mpa以上、2,000Mpa以下である、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0152】
[付記9]
硬化後のIRスペクトルにおいてエーテル結合のピーク(1,080cm-1)を有しない、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0153】
[付記10]
前処理していないポリエチレンテレフタレートフィルムに対して、前記ラジカル系接着剤組成物の硬化物の接着力が、150gf/20mm以上である、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0154】
[付記11]
25℃における粘度が、10cPs以上、100cPs以下である、付記1に記載のラジカル系接着剤組成物。
【0155】
[付記12]
保護フィルムと、
前記保護フィルムの片面または両面に付記1~11のいずれかに記載のラジカル系接着剤組成物の硬化物を含む接着剤層と、を備える、偏光板用保護フィルム。
【0156】
[付記13]
前記接着剤層の厚さが、0μmより大きく、20μm以下である、付記12に記載の偏光板用保護フィルム。
【0157】
[付記14]
前記保護フィルムがセルロース系フィルムである、付記12に記載の偏光板用保護フィルム。
【0158】
[付記15]
偏光子と、
前記偏光子の片面または両面に備えられる付記12に記載の偏光板用保護フィルムと、を含む、偏光板。
【0159】
[付記16]
表示パネルと、
前記表示パネルの片面または両面に備えられる付記15に記載の偏光板と、を含む、画像表示装置。
【符号の説明】
【0160】
101,105 保護フィルム
102,104 接着剤層
103 偏光子
図1
図2
図3
図4