(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】熱安定性が向上したトランスグルタミナーゼ変異体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/54 20060101AFI20231204BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20231204BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231204BHJP
C12N 1/11 20060101ALI20231204BHJP
C12N 1/13 20060101ALI20231204BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231204BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231204BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231204BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231204BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20231204BHJP
A23L 5/40 20160101ALI20231204BHJP
【FI】
C12N15/54
C12N9/10 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/11
C12N1/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A23L33/135
A23L5/40
(21)【出願番号】P 2021576243
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(86)【国際出願番号】 CN2020142185
(87)【国際公開番号】W WO2022141411
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】202011586610.6
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521554985
【氏名又は名称】泰興市東聖生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIXING DONGSHENG BIO-TECH CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】1 Liantong St, Huangqiao District Taixing, Jiangsu, China
(73)【特許権者】
【識別番号】514262886
【氏名又は名称】江南大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGNAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 1800 Lihu Avenue, Bin Hu District, Wuxi, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】劉松
(72)【発明者】
【氏名】王興隆
(72)【発明者】
【氏名】杜建輝
(72)【発明者】
【氏名】銭源
(72)【発明者】
【氏名】周景文
(72)【発明者】
【氏名】陳堅
(72)【発明者】
【氏名】堵国成
【審査官】菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-253272(JP,A)
【文献】Applied Microbiology and Biotechnology,2008年,81,523-532
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 9/00-9/99
C12N 1/00-7/08
A23L 33/135
A23L 5/40
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスグルタミナーゼ変異体であって、配列番号1に示された
アミノ酸配列を含み、
配列番号1の1~45位
は、配列番号3に示される配列に
よって置換され、さらに、配列番号
1の234位及び332位
は、それぞれヒスチジン及びプロリンによって置換
されている、トランスグルタミナーゼ変異体。
【請求項2】
請求項
1に記載の変異体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項
2に記載のポリヌクレオチドを含む核酸構築物、ベクター、
又は宿主細胞。
【請求項4】
(a)請求項1に記載の変異体を発現することに適合する条件で請求項3に記載の宿主細胞を培養し、(b)前記変異体を回収することを含む、請求項
1に記載の変異体を生成する方法。
【請求項5】
請求項
1に記載のトランスグルタミナーゼ変異体の成熟酵素を含む組成物
であって、前記成熟酵素は、234位及び332位がそれぞれヒスチジン及びプロリンによって置換されている配列番号1の46~376位からなるポリペプチドである、組成物。
【請求項6】
生肉加工、ソーセージ類製品、魚肉団子、挽肉加工、豆製品及び/又は乳製品において食品の外観、口当たり及び/又は安定性を変える方法であって、上記食品の加工過程において請求項
1に記載のトランスグルタミナーゼ変異体又はその成熟酵素を添加することを含み、
前記成熟酵素は、234位及び332位がそれぞれヒスチジン及びプロリンによって置換されている配列番号1の46~376位からなるポリペプチドである、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
生肉加工、ソーセージ類製品、魚肉団子、挽肉加工、豆製品及び/又は乳製品において食品の外観、口当たり及び/又は安定性を変える方法であって、上
記食品
の加工過程において請求項
5に記載の組成物を添加して処理を行うことを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項
1に記載のトランスグルタミナーゼ変異体又は請求項
5に記載の組成物の、食品処理、加工及び転化における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱安定性が向上したトランスグルタミナーゼ変異体に関し、生物分野及び食品分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ストレプトミセス・モバラエンシス(Streptomyces mobaraenesis AAT65817)由来のトランスグルタミナーゼ(Transglutaminase、TGase、EC 2.3.2.13)は、中国及び国際市場で広く販売されている主流となっている酵素製剤である。それは、一般的に用いられるトランスアミナーゼであり、タンパク質及び小分子中のグルタミン残基のγカルボキシアミド基とアシル受容体中のアミノ基との反応を触媒することにより両者の共有結合の形成を促進する。TGaseは、食品加工分野における応用が非常に広く、肉類、豆製品及び乳製品の加工にTGaseを添加することにより食品の外観、口当たり及び安定性を変えることがある。
【0003】
TGaseに対する研究及び応用に伴い、その熱安定性が低いことはその実際の応用を制限する1つの主な問題であることが発見する。TGaseは、食品加工過程、例えば、挽肉、ミートボール、乳製品及び豆製品等を加工するために用いられ、TGase触媒架橋を達成するために高温処理が必要であり、TGaseの熱安定性が低く、通常の操作時に温度を40℃に制御する必要があり、且つ損耗が早いため、必要とされる添加量が多い(特許公開番号:CN109907111A、CN201810480335.6、CN110771811A、CN106901205B、CN201811599451.6を参照)。
【0004】
熱安定性がとても重要であるため、現在、酵素熱安定性を改造する方法は、合理的設計及び指向性進化を主とする。合理的設計とは、機械シミュレーションの手段により、酵素構造における不安定な領域を決定し、且つアミノ酸突然変異を導入して酵素の安定性を向上させることである。指向性進化は、宿主細胞に基づく指向性進化及び酵素遺伝子に基づく指向性進化を含み、前者は、物理的、化学的等の手段により宿主細胞に対して変異誘発を行うことにより、必要な酵素の形質を得るが、後者は、主に酵素遺伝子に対してランダム突然変異、相同体の遺伝子組換えを行うことにより指向性進化を実現する。現在、TGaseに対して熱安定性を向上させる関連報告は、(1)ランダム突然変異により高安定型TGase突然変異点を得て(doi:10.1016/j.jbiotec.2008.06.005)、(2)、(1)で得られた単一点突然変異に対して、部位飽和突然変異、及びDNA組換えを行うことにより、安定性の高いTGase組み合わせ変異体を得て(DOI 10.1007/s 00726-011-1015-y)、(3)、(1)及び(2)でスクリーニングされた突然変異点に基づいてさらなる突然変異を行う(DOI:10.1080/09168451.2017.1403881)。しかしながら、現在報告された高安定型TGase突然変異体について、水浴条件下で60℃でインキュベートしたものは、金属浴条件下で60℃でインキュベートしたものよりも安定性が低く、改良の余地が大きい。挽肉、トウモロコシ粉、豆製品の加工等のような実際の応用過程において、TGaseを混入した後に、処理温度は、一般的に40-70℃であるが、TGaseは、60℃の条件で安定性が極めて低いため、添加量が高いが利用率が低いという問題をもたらす。したがって、設計改造により高安定型TGaseを得ることは、工業応用において特に重要である。
【発明の概要】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明は、熱安定性が改善されたトランスグルタミナーゼ変異体を提供する。
【0006】
本発明のトランスグルタミナーゼ変異体は、配列番号1に示されたポリペプチドの1-45位に対応する置換を含み、配列番号3に置換され、さらに、配列番号1に示されたポリペプチドの234位及び332位に対応する置換(それぞれ配列番号1のトランスグルタミナーゼの成熟領域の189位、287位に対応する)を含み、
i)前記トランスグルタミナーゼ変異体の成熟領域は、配列番号1に示された46-376位のポリペプチドの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドであり、及び/又は、
ii)前記トランスグルタミナーゼ変異体の成熟領域は、配列番号2に示されたヌクレオチドの139位-1128位の成熟ポリペプチドコード配列と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドであり、
前記トランスグルタミナーゼ変異体は中性プロテアーゼで処理された後、活性を有する酵素が得られる。
【0007】
一実施形態において、前記234位の置換は、配列番号1配列のトランスグルタミナーゼの成熟領域の189位に対応し、ヒスチジン(H)に置換され、332位の置換は、配列番号1配列のトランスグルタミナーゼの成熟領域の287位に対応し、プロリン(P)に置換される。
【0008】
一実施形態では、前記トランスグルタミナーゼ変異体は、D189H/A287Pと名付けられる。
【0009】
本発明は、さらに、前記変異体をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、ベクター、及び宿主細胞、ならびに前記変異体又はその成熟酵素を生成する方法に関する。また、本発明は、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体又はその成熟酵素を含む組成物に関する。
【0010】
本発明は、さらに、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体又はその成熟酵素を生成する方法に関し、これらの方法は、
a)前記変異体を発現することに適合する条件で本発明の宿主細胞を培養することと、
b)前記変異体を必要に応じて回収することとを含む。
【0011】
本発明は、さらに、生肉加工、ソーセージ類製品、魚肉団子、挽肉加工、豆製品及び/又は乳製品において食品の外観、口当たり及び/又は安定性を変える方法に関し、前記方法は、上記食品加工過程において本発明に記載されたトランスグルタミナーゼ変異体又は本発明に記載された前記組成物を添加して処理を行うことを含む。
【0012】
本発明は、さらに、前記トランスグルタミナーゼ変異体又はその成熟酵素又は本発明に記載された組成物の食品処理、加工及び転化での使用に関する。
【0013】
一実施形態において、食品の品質、稠度、弾性、水分又は粘度を保持するか又は改善するために用いられる。
【0014】
一実施形態において、前記食品は、チーズ、ヨーグルト、アイスクリーム、マヨネーズ及び肉類から選択される。
【0015】
一実施形態において、ここで前記食品は、魚類である。
【0016】
一実施形態では、異なる密度のゼラチンを形成し低脂肪の予備調理食品を製造するために用いられる。
【0017】
定義又は用語:
トランスグルタミナーゼ:用語「トランスグルタミナーゼ(Transglutaminase、TGase)」、「R-グルタミニル-ペプチドアミダーゼ-γ-グルタミン-トランスフェラーゼ」、「グルタミルトランスフェラーゼ」は酵素の命名法により定義されたEC 2.3.2.13類における酵素である。本発明の目的を達成するために、実施例に記載された手順に基づいてトランスグルタミナーゼの活性を決定する。一態様では、本発明の変異体は、配列番号.1のポリペプチドのトランスグルタミナーゼの活性の少なくとも20%、例えば少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%を有する。
【0018】
コード配列:用語「コード配列」とは、ポリヌクレオチドを意味し、前記ポリヌクレオチドはトランスグルタミナーゼ変異体のアミノ酸配列を直接規定する。コード配列の境界は、一般的に、オープンリーディングフレームにより決定され、前記オープンリーディングフレームは開始コドン(例えば、ATG、GTG又はTTG)で始まり、且つ終止コドン(例えば、TAA、TAG又はTGA)で終わる。コード配列は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0019】
制御配列:用語「制御配列」とは、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドの発現のために必要とされる核酸配列を意味する。各制御配列は、前記トランスグルタミナーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドに対して、天然(即ち、同じ遺伝子に由来する)又は外因性の(即ち、異なる遺伝子に由来する)ものであってもよく、又は互いに対して天然又は外因性のものであってもよい。このような制御配列は、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモータ、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターを含むが、これらに限定されない。制御配列は少なくともプロモータ、及び転写及び翻訳終結シグナルを含む。制御配列と本発明のトランスグルタミナーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドのコード領域の連結を促進する特異的制限部位を導入するために、制御配列にはリンカーが提供されてもよい。
【0020】
発現:用語「発現」は、トランスグルタミナーゼ変異体の生成に関するいかなるステップを含み、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌を含むが、それらに限定されない。
【0021】
発現ベクター:用語「発現ベクター」とは直鎖又は環状DNA分子を意味し、前記分子は、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドを含み、且つその発現に用いられる制御配列に操作可能に連結される。
【0022】
断片:用語「断片」は、ポリペプチドのアミノ基及び/又はカルボキシル基末端に1つ又は複数(例えば、いくつか)のアミノ酸を欠失するポリペプチドを意味し、ここで前記断片はトランスグルタミナーゼ活性を有する。一態様では、断片は、配列番号1のアミノ酸46-376(即ちプロ酵素領域配列の長さを含まない)の数の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%を含むが、100%未満である。
【0023】
宿主細胞:用語「宿主細胞」とは、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築物又は発現ベクターで形質転換、トランスフェクション、形質導入などをしやすい任意の細胞タイプを意味する。用語「宿主細胞」は、複製期間に生じる変異のため、親細胞と全く同一ではない任意の親細胞の子孫を包含するものとする。
【0024】
改善された熱安定性:用語「改善された熱安定性」とは、親トランスグルタミナーゼに対して改善されたトランスグルタミナーゼ変異体の特徴を意味する。
【0025】
単離:用語「単離された」とは、自然界に存在しない形態又は環境中の物質を意味する。単離された物質の非限定的な実例は、(1)任意の非天然に存在する物質と、(2)自然界に関連する1種又は多種又は全部の天然に存在する成分から少なくとも部分的に除去された任意の物質であって、任意の酵素、変異体、核酸、タンパク質、ペプチド又は補因子を含むがこれらに限定されない物質、(3)自然界に発見されたような物質に対して人工的に修飾された任意の物質、又は(4)その天然に関連する他の成分に対して前記物質の量を増加させることにより修飾された任意の物質(例えば、前記物質をコードする遺伝子の複数のコピーか、前記物質をコードする遺伝子に天然に関連するプロモータよりも強いプロモータの使用)と、を含む。単離された物質は、発酵液サンプルに存在してもよい。
【0026】
成熟ポリペプチド:用語「成熟ポリペプチド」とは、翻訳及び、N-末端の加工、C-末端切断、グリコシル化作用、リン酸化作用等のような任意の翻訳後の修飾の後にその最終形態にあるポリペプチドを意味する。一態様では、本特許において前記成熟ポリペプチドは、即ちトランスグルタミナーゼの成熟酵素であり、配列番号1のアミノ酸46-376位である。当業者の周知のように、宿主細胞は、同じポリヌクレオチドで発現された2種以上の異なる成熟度のポリペプチド(即ち、異なるC-末端及び/又はN-末端アミノ酸を有する)の混合物を生成することができる。
【0027】
成熟ポリペプチドコード配列:用語「成熟ポリペプチドコード配列」とは、トランスグルタミナーゼ活性を有する成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。一態様では、前記成熟ポリペプチド、即ち成熟酵素のコード配列は、配列番号2のヌクレオチド139-1128である(即ち、プロ酵素領域に対応するコドン配列を含まない)。
【0028】
突然変異体:用語「突然変異体」とは、変異体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0029】
核酸構築物:用語「核酸構築物」とは、一本鎖又は二本鎖の核酸分子を意味し、前記核酸分子は、天然に存在する遺伝子から単離され、又は本来自然界に存在しない形で核酸を含有するように修飾されたセグメントであるか、又は合成されたものであり、前記核酸分子は、1つ又は複数の制御配列を含む。
【0030】
親又は親トランスグルタミナーゼ:用語「親」又は「親トランスグルタミナーゼ」とは、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体を発生させるように変えるトランスグルタミナーゼを意味する。本特許の前記親は、即ち、配列番号1に対応するアミノ酸配列である。前記親トランスグルタミナーゼは、天然に存在する(野生型)ポリペプチド又はその変異体又は断片であってもよく、又は合成により生成されたものであってもよい。
【0031】
配列同一性:2つのアミノ酸配列の間又は2つのヌクレオチド配列の間の関連度は、パラメータ「配列同一性」により説明される。
【0032】
安定性:本発明のトランスグルタミナーゼ変異体の熱安定性は、異なる試験条件期間又はその後に暴露された後、前記トランスグルタミナーゼの残留活性又は残留性能として示すことができる。親トランスグルタミナーゼ(例えば、配列番号1に示すような親トランスグルタミナーゼ)の既知の活性又は性能に対して示される。
【0033】
変異体:用語「変異体」とは、トランスグルタミナーゼ活性を有し、1つ又は複数(例えばいくつか)の部位に変化した(即ち置換され、挿入され、及び/又は欠失した)ポリペプチドを意味する。置換とは、異なるアミノ酸で、ある部位に占めているアミノ酸を代替することを意味し、欠失とは、ある部位に占めているアミノ酸を除去することを意味し、挿入とは、隣接し、且つある部位に占めているアミノ酸の後ろにアミノ酸を添加することを意味する。本発明の変異体は、配列番号1のポリペプチドアミノ酸配列を有し、且つ1-45位に置換が発生し、置換されたアミノ酸配列は配列番号3で示される配列であり、その上に、234及び332位(即ち配列番号1に示されるトランスグルタミナーゼ成熟酵素の189及び287位)に置換が同時に発生し、置換されたアミノ酸は、それぞれヒスチジン及びプロリンである。本発明の変異体はトランスグルタミナーゼ活性の少なくとも20%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%を有する。
【0034】
野生型トランスグルタミナーゼ:用語「野生型」トランスグルタミナーゼとは、自然界に天然に存在している微生物(例えば、細菌、酵母、糸状菌)で発現されるトランスグルタミナーゼを意味する。
【0035】
本発明の変異体に対する説明において、参考のために、以下で記載される命名法を改編した。承認されたIUPACの一文字又は三文字のアミノ酸の略語を採用する。
【0036】
置換:アミノ酸置換について、元のアミノ酸、部位、置換されたアミノ酸という命名法を使用する。したがって、部位226位でのスレオニンがアラニンで置換されることを「Thr226Ala」又は「T226A」と表す。複数の突然変異は、記号(「-」)により分けられ、例えば、「Gly205Arg-Ser411Phe」又は「G205R-S411F」は、205位及び411位でのグリシン(G)及びセリン(S)がそれぞれアルギニン(R)及びフェニルアラニン(F)で置換されることを代表する。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係るトランスグルタミナーゼ変異体は、親に対してプロ酵素の置換を行い、即ち示された配列番号1の1-45位に置換が発生し、Streptomyces caniferusトランスグルタミナーゼのプロ酵素領域配列(例えば配列番号3に示すとおりである)に置換され、且つ示された配列番号1のトランスグルタミナーゼの234及び332位(即ち成熟領域部分の189位及び287位)に突然変異が発生した後に得られる。変異体の成熟酵素の60℃半減期は、35.57分であり、親成熟酵素の11.31分よりも214.5%向上した。
【0038】
本発明のトランスグルタミナーゼ変異体は、顕著に改善された熱安定性を有し、食品の処理、加工及び転化等の面で応用することができ、食品の品質、稠度、弾性、水分又は粘度を保持するか又は改善するために用いられる。熱安定性が改善されたトランスグルタミナーゼ変異体は、例えば肉代用品の挽肉加工及びミートボール加工のようなより過酷な工業環境において安定して応用することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】親及び変異体成熟酵素の初期酵素活性及び60℃半減期である。
【
図2】親と変異体が大腸菌E.coli BL21で発現された後に、全細胞はSDS-PAGE電気泳動により分析されたものであり、Mは、タンパク質量マーカーmarkerであり、単位は、kDaであり、1は、大腸菌E.coli BL21で親を発現させた後の全細胞電気泳動分析であり、2は大腸菌E.coli BL21で変異体を発現させた後の全細胞電気泳動分析である。
【
図3】親と変異体成熟酵素は、精製して得られたサンプルのSDS-PAGE分析であり、Mはタンパク質量マーカーmarkerであり、単位はKdaであり、1は親成熟酵素であり、2は変異体成熟酵素である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、親トランスグルタミナーゼに比べて改善されたトランスグルタミナーゼ変異体に関する。より具体的には、本発明は、親トランスグルタミナーゼ(特に配列番号1に示されたようなトランスグルタミナーゼ)に比べて、改善された熱安定性を有するトランスグルタミナーゼ変異体に関する。
【0041】
本発明によれば以下の方法でトランスグルタミナーゼの酵素活性、熱安定性、動力学的パラメータを測定する。
【0042】
酵素活性試験
酵素活性試験基質溶液A:200mMのTris-HCl、100mMのヒドロキシルアミン、10mMの還元型グルタチオン、30mMのN-ベンジルオキシカルボニル-L-グルタミルグリシンであり、pHを6.0に調節する。
【0043】
酵素活性試験停止溶液B:3mol/LのHCl、5%FeCl3・6H2O(0.1mol/LのHClに溶解する)及び12%TCA(トリクロロ酢酸)を等体積混合して溶液の配合を完了する。
【0044】
酵素活性の定義:一単位の酵素活性は、毎分に1μmolの基質を触媒して生成物を形成する酵素量として定義された。
【0045】
酵素活性試験の検量線の作成:648mgの標準品L-グルタミン酸-γ-モノヒドロキサム酸に100mlのTris-HCl200mMを入れ、溶液をpH6.0に調節し、且つTris-HCl200mM、pH6.0溶液に対して2倍希釈法で5つの段階に順に希釈し、該溶液と基質溶液Aとをそれぞれ37℃で5分保温し、その後に60μLの標準品溶液を150μLの基質溶液Aに加え、37℃で10分水浴した後に60μLの停止溶液Bを添加し、10000rpmで1分遠心分離した後に200μLの上澄み液を取って525nmでの吸光値を測定する。吸光値対ヒドロキサム酸の量で直線を作り、直線の傾きで変換係数Kを得て、サンプルの酵素活性の測定において吸光度を得た後にKでヒドロキサム酸の生成量を算出することができる。
【0046】
測定方法:タンパク質サンプルと150μLの基質溶液Aに対して37℃で5分インキュベートし、その後に60μLのタンパク質サンプルに150μLの基質溶液Aを添加し、37℃で10分水浴した後に60μLの試験停止溶液Bを添加する。反応液を10000rpmで1分遠心分離し、200μLの上澄み液を取って波長が525nmの吸光値を測定する。ブランク対照は60μLの試験停止溶液Bに60μLのタンパク質サンプルを添加し、さらに150μLの基質溶液Aを添加して10000rpmで1分遠心分離した後に200μLの上澄み液を取って525nmでの吸光値を測定する。実験群で得られた吸光値から対照群で取得された吸光値を減算し、且つ酵素活性検量線に代入すれば、タンパク質が添加された質量に対応する酵素活性を得て、該酵素活性でタンパク質濃度を割ってタンパク質酵素比活性U/mgを得る。
【0047】
熱安定性試験
60℃の水浴条件での半減期を測定し、具体的な方法について、まず親トランスグルタミナーゼ成熟酵素及び変異体成熟酵素タンパク質溶液を0.5mg/mlに希釈し、一定量の該サンプルを60℃の水浴で連続的に加熱インキュベートし、0~10分内に毎分にサンプリングし、10~40分になると、2分ごとにサンプリングし、取り出されたサンプルは、いずれも、直ちに20℃の条件で氷浴される。取ったサンプルに対してそれぞれ酵素活性を測定することにより、経時変化の残留酵素活性比を取得し、Original2018におけるExponential-ExpDec1によりそれに対して非線形フィッティングを行い、フィッティング公式を取得した後に算出された酵素活性が初期の50%まで低下することに対応する時間を半減期とする。
【0048】
示差走査熱量測定
親と変異体の純粋なタンパク質溶液(溶媒がTris-HCl、pH8.0である)を取り、濃度が1.5mg/mlよりも大きく、示差走査熱量測定で溶解温度試験を行う。タンパク質の所在する溶媒を内部参照とし、走査温度は40~90℃で、昇温速度は1℃/分であり、圧力は3atmであり、最終的にタンパク質の溶解温度を取得する。
【0049】
動力学的パラメータ測定
ミカエリス定数(Michaelis constant)KMの試験方法について、親及び変異体のタンパク質溶液を0.05mg/mlに希釈し、試験方法は酵素活性測定法を参照する。基質溶液AをN-ベンジルオキシカルボニル-L-グルタミルグリシンの含有量に応じて10種類に配置する必要があり、他の成分は不変であり、N-ベンジルオキシカルボニル-L-グルタミルグリシンの含有量は、それぞれ3mM、6mM、9mM、12mM、15mM、18mM、21mM、24mM、27mM及び30mMである。酵素活性試験方法で、親及び変異体の異なるN-ベンジルオキシカルボニル-L-グルタミルグリシン含有量に対する基質溶液A中の基質変換量を測定し、即ち10分の反応時間内に基質であるN-ベンジルオキシカルボニル-L-グルタミルグリシンを触媒して生成物の量に変換する。以上で取得された変換量数値に基づいて、ソフトウェアOrigin2018により取得された数値に非線形フィッティングを行い、Growth/Sigmodial-Hillを用いてフィッティングを行い、且つKM及びVmax値を取得し、酵素濃度換算によりkcat値を取得する。これを基礎として、KM/kcatで酵素触媒効率を得る。
【0050】
本発明のトランスグルタミナーゼは、配列番号1に示されたポリペプチドの1~45位に対応する置換(置換は配列番号3)を含み、及び配列番号1に示されたポリペプチドの234位、332位に対応する置換(それぞれ配列番号1のトランスグルタミナーゼの成熟領域の189位、287位に対応する)を含み、
i)前記トランスグルタミナーゼの成熟領域は配列番号1に示された46~376位のポリペプチドの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドであり、及び/又は
ii)前記トランスグルタミナーゼの成熟領域は、配列番号2に示されたヌクレオチドの139位~1128位の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドである。
【0051】
前記1~45位に置換が発生し、置換後のアミノ酸配列が配列番号3である。
【0052】
一実施形態において、前記トランスグルタミナーゼは、234位(即ち配列番号1配列のトランスグルタミナーゼ成熟領域の189位)で、ヒスチジン(H)に置換された。
【0053】
一実施例において、前記トランスグルタミナーゼは、332位(即ち配列番号1のトランスグルタミナーゼ成熟領域の287位)で、プロリン(P)に置換された。
【0054】
一実施例において、前記トランスグルタミナーゼ変異体、配列番号1に示されたポリペプチドとを比べ、1~45位は配列番号3で置換され、且つ配列番号1に示されたトランスグルタミナーゼ成熟領域と比べて189位と287位の置換だけが発生し、60℃の半衰期は214.5%に向上した。
【0055】
表1は配列番号1に示された親成熟酵素と変異体成熟酵素に比べれば、成熟領域の189位及び287位の置換のみが発生したトランスグルタミナーゼ変異体の相対的な熱安定性が挙げられた。
【0056】
【0057】
変異体の製造
当分野で知られている任意の変異誘発プログラム(例えば、部位特異的変異誘発、合成遺伝子構築、半合成遺伝子構築、ランダム突然変異誘発、シャッフリングなど)を用いて本発明のトランスグルタミナーゼ変異体を製造することができる。
【0058】
部位特異的変異誘発は、前記親トランスグルタミナーゼをコードするポリヌクレオチドのうちの1つ又は複数の規定部位に1つ又は複数(例えば、いくつか)の突然変異を導入する技術である。
【0059】
所望の変異を含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCRを介してインビトロで部位特異的変異誘発を実現することができる。またカセット式突然変異誘発によりインビトロ部位特異的変異誘発を行うことができ、前記カセット式突然変異誘発は制限酵素が親トランスグルタミナーゼをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド中の部位で切断された後に突然変異を含むオリゴヌクレオチドをポリヌクレオチドに連結することに関する。一般的に、消化プラスミドとオリゴヌクレオチドの制限酵素は同じであり、それによりプラスミドとインサートの粘着末端を互いに連結することができるようになった。
【0060】
また、本分野で知られている方法によりインビボで部位特異的変異誘発を実現することも可能である。
【0061】
本発明では、任意の部位特異的変異誘発プログラムを用いることができる。変異体を製造するために用いられるいくつかの購入可能なキットが存在する。
【0062】
合成遺伝子の構築には、興味のあるポリペプチドをコードするように、設計されたポリヌクレオチド分子のインビトロ合成が必要とされる。遺伝子合成は、様々な技術を利用して行うことができる。
【0063】
既知の変異誘発、組換え及び/又はシャッフリング方法を使用し、その後に関連するスクリーニングプログラムを行うことにより単一又は複数のアミノ酸置換、欠失及び/又は挿入をすることができ、それを確認することができる。
【0064】
変異誘発/シャッフリング方法はハイスループット、自動化のスクリーニング方法と組み合わせて宿主細胞で発現されたクローンされ、変異誘発されたポリペプチドの活性を検出することができる。宿主細胞から活性ポリペプチドをコードする変異誘発されたDNA分子を回収し、且つ本分野の標準方法を用いて迅速に配列決定することができる。これらの方法はポリペプチド中の各アミノ酸残基の重要性を迅速に決定することを可能にする。
【0065】
合成遺伝子構築、及び/又は部位特異的変異誘発、及び/又はランダム変異誘発、及び/又はシャッフリングを組み合わせることにより半合成遺伝子構築を実現する。半合成構築は一般的には合成されたポリヌクレオチド断片を利用するプロセスとPCR技術とを組み合わせたものである。したがって、遺伝子の限定領域は、デノボ合成することができるが、他の領域は部位特異的変異誘発されたプライマーを用いて増幅することができるが、他の領域ではエラープローンPCR又は非エラープローンPCR増幅を行うことができる。その後、ポリヌクレオチドのサブ配列をシャッフリングすることができる。
【0066】
ポリヌクレオチド
本発明は、さらに、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体をコードする単離したポリヌクレオチドに関する。いくつかの態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築物に関する。いくつかの態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関する。いくつかの態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞に関する。いくつかの態様において、本発明は、トランスグルタミナーゼ変異体を生成する方法に関し、前記方法は、a)前記トランスグルタミナーゼ変異体を発現することに適合する条件で本発明の宿主細胞を培養し、及び(b)前記トランスグルタミナーゼ変異体を回収することを含む。
【0067】
核酸構築物
本発明は、さらに、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体をコードし、1つ又は複数の制御配列に操作可能に接続されたポリヌクレオチドを含む核酸構築物に関し、前記1つ又は複数の制御配列は制御配列と適合する条件下でコード配列の適切な宿主細胞における発現をガイドする。
【0068】
様々な方式でポリヌクレオチドを操作してトランスグルタミナーゼ変異体の発現を提供することができる。発現ベクターに応じて、ポリヌクレオチドがベクターに挿入される前にそれを操作することは理想的であるか又は必要である。組換えDNA方法を利用してポリヌクレオチドを修飾するための技術は当業者に周知である。
【0069】
制御配列はプロモータであってもよく、即ち宿主細胞により前記ポリヌクレオチドを発現するためのポリヌクレオチドを識別する。プロモータはトランスグルタミナーゼ変異体発現を媒介する転写制御配列を含む。プロモータは宿主細胞において転写活性を示す任意のポリヌクレオチドであってもよく、変異型、切断型及びハイブリッド型プロモータを含み、且つコードされた、宿主細胞と相同又は異種の細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子を取得することができる。
【0070】
発現ベクター
本発明は、さらに、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド、プロモータ、及び転写及び翻訳終結シグナルを含む組換え発現ベクターに関する。様々なヌクレオチド及び制御配列は共に連結されて組換え発現ベクターを生成することができ、前記組換え発現ベクターは、このような部位にトランスグルタミナーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドを挿入するか又は置換することを許可するように、1つ又は複数の適切な制限部位を含むことができる。代替的に、ポリヌクレオチド又は前記ポリヌクレオチドを含む核酸構築物を発現のための適切なベクターに挿入することにより前記ポリヌクレオチドを発現することができる。発現ベクターを生成する時に、コード配列はこのようにベクターに位置することで、コード配列を発現のための適切な制御配列と操作可能に連結する。
【0071】
組換え発現ベクターは組換えDNAプログラムにより容易にプログラミングされ、ポリヌクレオチド発現を引き起こすことができる任意のベクター(例えば、プラスミド又はウイルス)であってもよい。ベクターの選択は、一般的には、ベクターとベクターが導入される宿主細胞との相性に依存する。ベクターは、直鎖又は環状のプラスミドであってもよい。
【0072】
ベクターは自己複製ベクターであってもよく、即ち染色体の外部エンティティとして存在するベクターであり、その複製は染色体の複製と独立し、例えばプラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体又は人工染色体であってもよい。ベクターは、自己複製を確保するためのいかなる手段を含んでもよい。代替的に、ベクターは、宿主細胞に導入される時に、ゲノムに組み込まれ且つそれに組み込まれた1つ又は複数の染色体と共に複製されるベクターであってもよい。また、単独のベクター又はプラスミド又は2つ以上のベクター又はプラスミドを使用することができ、それは、共に宿主細胞ゲノムに導入されるトータルDNAを含有し、又はトランスポゾンを使用することができる。
【0073】
ベクターは、形質転換細胞、トランスフェクション細胞、形質導入細胞等の細胞を容易に選択可能な1つ又は複数の選択マーカーを含有することが好ましい。選択マーカーは遺伝子であり、その生成物は殺生物剤耐性又はウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求体への原栄養性等を提供する。
【0074】
細菌選択マーカーの例は、バチラスリケニホルミス又はバチルスズブチリスdal遺伝子、又は抗生剤への耐性(例えば、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ネオマイシン、スペクチノマイシン、又はテトラサイクリン耐性)を付与したマーカーである。酵母宿主細胞の適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3を含むがこれらに限定されない。糸状菌宿主細胞に使用される選択的マーカーは、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸還元酵素)、pyrG(オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニリルトランスフェラーゼ)、及びtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、それにその等価物を含むがそれらに限定されない。アスペルギルス細胞に好ましく使用されるのはアスペルギルスニジュランス又はアスペルギルスオリゼーamdS及びpyrG遺伝子及びストレプトマイセスヒグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)bar遺伝子である。
【0075】
ベクターは、宿主細胞のゲノム中にベクターを組み込むことを可能にするか、又は細胞中でゲノムから独立してベクターを自己複製した1つ又は複数のエレメントを含むことが好ましい。
【0076】
宿主細胞ゲノムに組み込むために、ベクターはトランスグルタミナーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド配列又は相同あるいは非相同組換えを介してゲノムに組み込む任意の他のベクター要素に依存することができる。代替的に、前記ベクターは相同組換えにより宿主細胞ゲノムの染色体内の正確な位置に組み込まれたようにガイドする別のポリヌクレオチドを含んでもよい。正確な位置で組み込む可能性を増加させるために、組み込み要素は、十分な数の核酸、例えば、100~10,000個の塩基対、400~10,000個の塩基対及び800~10,000個の塩基対を含有すべきであり、相同組換えの確率を向上させるために、前記核酸は、対応する標的配列と高い配列同一性を有する。組み込み要素は、宿主細胞ゲノム内の標的配列と相同の任意の配列であってもよい。また、組み込み要素は、非コードされるか又はコードされたポリヌクレオチドであってもよい。一態様で、ベクターは、非相同組換えにより宿主細胞のゲノムに組み込むことができる。
【0077】
自己複製するために、ベクターはさらに複製開始点を含むことができ、前記複製開始点はベクターが検討中の宿主細胞において自己複製することを可能にする。複製開始点は、細胞において機能し、自己複製を生じさせるいずれのプラスミドレプリコンであってもよい。用語「複製開始点」又は「プラスミドレプリコン」とはプラスミド又はベクターが体内にコピーできるポリヌクレオチドを意味する。
【0078】
細菌複製開始点の例は、大腸菌での複製を可能にするプラスミドpBR322、pUC19、pACYC177、及びpACYC184の複製開始点であり、バチルス属で複製を可能にするプラスミドpUB110、pE194、pTA1060、及びpAMβ1の複製開始点である。
【0079】
酵母宿主細胞における複製開始点の例は、2μmの複製開始点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3との組み合わせ、及びARS4とCEN6との組み合わせが挙げられる。
【0080】
糸状菌細胞に有用である複製開始点の例は、AMA1及びANS1(Gemsら、1991、Gene[遺伝子]98:61-67、Cullenら、1987、Nucleic Acids Res.[核酸の研究]15:9163-9175、WO00/24883)である。WO00/24883に開示された方法でAMA1遺伝子の単離及び前記遺伝子を含むプラスミド又はベクターの構築を完了することができる。
【0081】
1つ以上のコピーされた本発明のポリヌクレオチドを宿主細胞に挿入することによりトランスグルタミナーゼ変異体の生成を増加させることができる。配列の少なくとも1つの別のコピーを宿主細胞ゲノムに組み込むか又は前記ポリヌクレオチドと共に増幅可能な選択性マーカー遺伝子を含むことにより前記ポリヌクレオチドの増加したコピー数を取得することができ、ここで適切な選択的試薬の存在下で細胞を培養することは、選択マーカー遺伝子を含む増幅されたコピーされた細胞、及びこの前記ポリヌクレオチドからの他のコピーを選択することができる。
【0082】
上記のような要素に連結して本発明の組換え発現ベクターを構築するためのプログラムは、当業者に周知である。
【0083】
宿主細胞
本発明は、さらに、組換え宿主細胞に関し、前記組換え宿主細胞は、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体をコードし、1つ又は複数の制御配列に操作可能に連結されたポリヌクレオチドを含み、前記1つ又は複数の制御配列は、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体の生成をガイドする。ポリヌクレオチドを含む構築物又はベクターを宿主細胞に導入することにより、前記構築物又はベクターは染色体組み込み体又は自己複製された染色体外ベクターとして維持され、前述のとおりである。用語「宿主細胞」は、複製期間に生じる変異により、親細胞と全く同一ではない任意の親細胞の子孫を包含するものとする。宿主細胞の選択は、トランスグルタミナーゼ変異体をコードする遺伝子及びその由来に大きく依存する。
【0084】
宿主細胞は、トランスグルタミナーゼ変異体の組換え生成に有用な任意の細胞であってもよく、例えば原核細胞又は真核細胞であってもよい。
【0085】
原核宿主細胞は、任意のグラム陽性又はグラム陰性細菌であってもよい。グラム陽性細菌は、バチルス属、クロストリジウム属、エンテロコッカス属、ジオバチルス属(Geobacillus)、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、オセアノバシラス属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属及びストレプトマイセス属を含むが、これらに限定されない。グラム陰性細菌は、カンピロバクター属、大腸菌、フラボバクテリウム、フゾバクテリウム属、ヘリコバクター属、イリオバクター属、ナイセリア属、シュードモナス属、サルモネラ菌属、及びウレアプラズマ属を含むが、これらに限定されない。
【0086】
宿主細胞は、真核生物であってもよく、例えば哺乳動物、昆虫、植物又は真菌細胞であってもよい。
【0087】
生成方法
本発明は、さらに、本発明のトランスグルタミナーゼ変異体を生成する方法に関し、前記方法は、a)前記トランスグルタミナーゼ変異体を発現することに適合する条件で本発明の宿主細胞を培養し、(b)前記トランスグルタミナーゼ変異体を回収することを含む。
【0088】
本分野で知られている方法を使用することにより、トランスグルタミナーゼ変異体を産生するのに適した栄養培地中で宿主細胞を培養する。例えば、振盪フラスコで培養するか、又は適切な培地中でトランスグルタミナーゼ又は変異体発現及び/又は単離を可能にする条件下で実験室又は工業発酵タンク(ファーメンター)で小規模又は大規模発酵(連続発酵、バッチ発酵、バッチ供給発酵又は固体発酵を含む)を行うことにより細胞を培養することができる。本分野で知られている手順を使用して、炭素及び窒素源及び無機塩を含む適切な栄養培地に培養する。好適な培地は、商業的供給元から取得するか又は開示された組成に応じて製造することができる。トランスグルタミナーゼ変異体が栄養媒体に分泌されると、前記トランスグルタミナーゼ変異体は培地から直接回収することができる。トランスグルタミナーゼ変異体が分泌されなければ、それは細胞溶解液から回収することができる。
【0089】
本分野で知られているトランスグルタミナーゼ変異体に対する特異的方法を用いてトランスグルタミナーゼ変異体を検出することができる。これらの検出方法は、特異的抗体の使用、酵素産物の形成又は酵素基質の消失を含むが、それらに限定されない。例えば、酵素測定を使用してトランスグルタミナーゼ変異体の活性を決定することができる(例えば実施例に記載のとおりである)。
【0090】
本分野で知られている方法を用いてトランスグルタミナーゼ変異体を回収することができる。例えば、従来の手順により栄養媒体からトランスグルタミナーゼ変異体を回収することができ、前記従来の手順は、収集、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発又は沈殿を含むが、それらに限定されない。
【0091】
本分野で知られている様々な手順によりトランスグルタミナーゼ変異体を精製して実質的に純粋なトランスグルタミナーゼ変異体を取得することができ、前記手順は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水作用クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、及びサイズ排除クロマトグラフィーであってもよい)、電気泳動手順(例えば、分取等電点電気泳動)、示差溶解度(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS-PAGE又は抽出を含むが、これらに限定されない。
【0092】
代替可能な態様において、トランスグルタミナーゼ変異体を回収することではなく、トランスグルタミナーゼ変異体を発現する本発明の宿主細胞を前記トランスグルタミナーゼ変異体の供給源として用いる。
【0093】
発酵液配合物又は細胞組成物
本発明は、さらに、本発明のポリペプチドを含む発酵液配合物又は細胞組成物に関する。前記発酵液生成物は、さらに、発酵過程で使用される他の成分を含み、例えば細胞(本発明のポリペプチドをコードする遺伝子を含む宿主細胞、これらの宿主細胞は標的ポリペプチドを生成するために用いられる)、細胞断片、バイオマス、発酵培地及び/又は発酵生成物のようなものを含む。いくつかの実施例において、組成物は、1種又は多種の有機酸、死滅した細胞及び/又は細胞破片及び培地の細胞を死滅させた全培養液である。
【0094】
ここで使用される用語「発酵液」は、細胞発酵により生成され、回収又は精製を経てないか、又は、回収又は精製を最低限にした製剤を意味する。例えば、微生物培養物がタンパク質合成(例えば、宿主細胞発現酵素が有する)を可能にし、且つタンパク質を細胞培地に分泌する炭素制限条件下で飽和までインキュベートして成長させると、発酵液を生成する。前記発酵液は、発酵終了時に得られる発酵材料の分画されていない又は分画された内容物を含んでもよい。一般的には、前記発酵液は分画されず、且つ使用された培地及び例えば遠心により微生物細胞(例えば、糸状菌細胞)を除去した後に存在する細胞破片を含む。いくつかの実施例において、発酵液は使用された細胞培地、細胞外酵素及び活力を有する及び/又は活力がない微生物細胞を含有する。
【0095】
一実施例において、発酵液配合物及び細胞組成物は第1有機酸成分(少なくとも1種の1~5個の炭素を含む有機酸及び/又はその塩)及び第2有機酸成分(少なくとも1種の6個以上の炭素を含む有機酸及び/又はその塩)を含有する。具体的な実施例において、第1有機酸成分は酢酸、ギ酸、プロピオン酸、その塩又は前述の2種以上の混合物であり、且つ前記第2有機酸成分は安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、4-メチルペンタン酸、フェニル酢酸、その塩又は前述の2種以上の混合物である。
【0096】
一態様では、組成物は、1種又は多種の有機酸を含有し、且つ必要に応じて死滅した細胞及び/又は細胞破片を含む。一実施例において、細胞が死滅した全培養液からこれらの死滅した細胞及び/又は細胞破片を除去することにより、これらの成分を含まない組成物を提供する。
【0097】
これらの発酵液配合物又は細胞組成物は、さらに、防腐剤及び/又は抗微生物(例えば、制菌剤)を含むことができ、ソルビトール、塩化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、及び本分野の既知の他の試薬を含むが、それらに限定されない。
【0098】
前記細胞が死滅した全培養液又は組成物は、発酵終了時に得られる発酵材料の分画されていない内容物を含有してもよい。一般的には、前記細胞が死滅した全培養液又は組成物は、使用された培地、及び微生物細胞(例えば、糸状菌細胞)を飽和まで成長させ、炭素制限条件下でタンパク質を合成するようにインキュベートした後に存在する細胞破片を含む。いくつかの実施例において、前記細胞が死滅した全培養液又は組成物は、使用された細胞培地、細胞外酵素及び死滅した糸状菌細胞を含有する。いくつかの実施例において、本分野の既知の方法を使用して細胞を死滅させる全培養液又は組成物に存在する微生物細胞を透過処理及び/又は分解することができる。
【0099】
ここに記載の全培養液又は細胞組成物は、一般的には、液体であるが、不溶性成分、例えば、死滅した細胞、細胞破片、培地成分及び/又は1種又は多種の不溶性酵素を含有することができる。いくつかの実施例において、不溶性成分を除去して清澄液組成物を提供することができる。
【0100】
組成物
また、本発明は、本発明の変異体トランスグルタミナーゼを含む組成物に関する。
【0101】
これらの組成物は、本発明の変異体トランスグルタミナーゼを主酵素成分として含むことができ、例えば、一成分組成物である。代替的に、組成物は多種の酵素活性を含むことができ、例えば、プロテアーゼ、グルコアミラーゼ、β-アミラーゼ、プルラナーゼの群から選択される1つ又は複数(例えば、いくつか)の酵素である。
【0102】
実施例1
以下、そのうちの1つの具体的な実施形態を参照して部分的なトランスグルタミナーゼ変異体の製造及び熱安定性について説明する。
【0103】
係る大腸菌JM109及び大腸菌E.coli BL21(DE3)は、takara-タカラバイオ(北京)株式会社から購入され、pET-22b(+)プラスミドは、Novagen社から購入され(上記菌株大腸菌E.coli BL21(DE3)は、購入可能であり、特許手続き上の寄託を行う必要がない)、中性プロテアーゼは、北京solarbio社(品番Z8032)から購入され、Blunting Kination Ligation(BKL)Kit及びPrimeSTAR(登録商標) HS DNA Polymeraseは、タカラバイオ(北京)株式会社から購入され、Bradfordタンパク質濃度測定キット(界面活性剤互換型)は、上海beyotime社から購入された。
【0104】
係る培地について:
LB液体培地:酵母粉末5.0g/L、トリプトン10.0g/L、NaCl10.0g/L、アンピシリン100μg/L。
【0105】
LB固体培地:酵母粉末5.0g/L、トリプトン10.0g/L、NaCl10.0g/L、寒天粉15g/L、アンピシリン100μg/L。
【0106】
TB培地:酵母エキス24g/L、トリプトン12g/L、三水和リン酸水素二カリウム12.84g/L、リン酸二水素カリウム2.31g/L、グリセリン4mL/L、アンピシリン100μg/L。
【0107】
1.突然変異体の構築:
親の遺伝子(ヌクレオチド配列は、配列番号2に示すとおりであり、アミノ酸配列は、配列番号1に示すとおりである)は、蘇州GENEWIZ社に依頼して合成を行い、且つ制限酵素部位NdeI及びBlpIによりプラスミドpET-22b(+)に挿入され、pET-22b-tgase(配列番号4)を得た。プロ酵素が置換されたトランスグルタミナーゼ(即ち配列番号1の1-45位の置換部位配列番号3に対応する)は、遺伝子の上流の溶解促進タンパク質タグTrxAを含み、蘇州GENEWIZ社に依頼して合成し、且つ制限酵素部位NdeI及びBlpIによりプラスミドpET-22b(+)に挿入されてpET-22b-proC/tgase(配列番号5)を得た。
【0108】
突然変異体D189Hは、プラスミドpET-22b-proC/tgaseをテンプレートとし、189hf/189hrをプライマーとし、PCR及び線形DNAの環状化により取得し、取得されたプラスミドはpET-22b-proC/tgase/D189Hであった。変異体D 189H/A287PはプラスミドpET-22b-proC/tgase/D189Hをテンプレートとし、287mf/287mrをプライマーとし、PCR及び線形DNAの環状化により得られ、得られたプラスミドはpET-22b-proC/tgase/D189H/A287Pであった。以上で使用されるべき全てのプライマーは表2に示すとおりである。PCR過程は、タカラバイオ(北京)株式会社PrimeSTAR(登録商標) HS DNA Polymeraseのプロトコール、線形DNA環状化方法は、タカラバイオ(北京)株式会社Blunting Kination Ligation(BKL)Kitのプロトコールを参照した。
【0109】
【0110】
2.突然変異体酵素の製造方法
構築されたプラスミドを大腸菌JM109(北京TIANGENバイオテクノロジー社から購入した)に形質転換し、形質転換生成物をLB固体培地に塗布し、37℃で10時間培養し、且つ形質転換体を選び出して配列測定を行い、配列決定が正確な組換えプラスミド形質転換大腸菌E.coli BL21(DE3)を取得して対応するトランスグルタミナーゼ変異体を発現する組換え大腸菌を得た。
【0111】
得られた組換え大腸菌をLB固体培地に塗布し、37℃で10時間培養して形質転換体をピックアップしてLB液体培地(100μg/mLのアンピシリンを含む)に接種した。37℃で10時間培養して1%の播種量でTB液体培地(100μg/mLのアンピシリンを含む)に移した。37℃で大腸菌E.coli BL21(DE3)をOD6001.0~1.5に培養し、最終濃度が0.01mMになるまでIPTGを添加して組換えタンパク質の発現を誘導した。IPTGを加えた後に培養温度を20℃に変えて36時間連続的に培養した。全ての液体培養はいずれも振盪培養され、回転速度は、220rpmである。
【0112】
発酵後にサンプルを7500rpmで10分遠心分離し菌体を収集し、発酵液の総体積の5分の1のTris-HCl50mMを加え、pH8.0で菌体を懸濁し、且つ10分氷浴した。サンプルを氷上に置いて超音波破壁を行い、且つ12000rpmで15分遠心分離した後に上澄液を回収し、上澄液に200mg/mlの中性プロテアーゼ溶液(中性プロテアーゼは、北京Solarbio社から購入され、品番Z8032)を添加してトランスグルタミナーゼを活性化し、インキュベーション条件は37℃で30分水浴することである。インキュベートしたサンプルを12000rpmで20分遠心分離した後に上澄み液を取り、且つニッケルイオンアフィニティー精製方法によりタンパク質精製を行い、具体的な方法は、ニッケルイオンアフィニティー精製カラムに、導電性バランスになるまで水とTris-HCl50mM、20mMのimidazole、pH7.8溶液を順にかけ、その後にサンプルを通し、且つTris-HCl50mM、20mMのimidazole、pH7.8溶液を用いて再度導電性バランスになるまで洗浄され、次に溶液Tris-HCl50mM、180mMのimidazole、pH7.8溶液によりタンパク質を溶出し、且つタンパク質を回収した。精製過程全体はAKTA pure装置で行われ、A280波長吸収ピークを観察したことによりタンパク質収集時間及び収集量を決定した。収集されたタンパク質サンプルは、ゲルクロマトグラフィーによりタンパク質溶液脱塩を行い、具体的な方法について、導電性バランスになるまでゲルカラムに水とTris-HCl50mM、pHが8.0である溶液をかけ、次にゲルカラムにタンパク質サンプルを通し、その後に、A280波長で吸収ピークが出現したまでTris-HCl50mM、pH8.0溶液を通し続けてタンパク質を収集し、導電性が変化する時に収集をタイムリーに停止した。タンパク質濃度はBCAテスト法を採用し、具体的な方法は、上海beyotime社Bradfordタンパク質濃度測定キット(界面活性剤互換型)プロトコールを参照する。
【0113】
親と変異体の酵素比活性、残存酵素活性率、60℃半減期等を測定し、結果は表3、
図1、
図2及び
図3に示すとおりである。
【0114】
【0115】
表3から、変異体トランスグルタミナーゼ成熟酵素は親トランスグルタミナーゼ成熟酵素に比べれば、60℃(T1/2
60℃)で半減期及び溶解温度(Tm)が顕著に向上すると分かる。
【0116】
図1から、変異体トランスグルタミナーゼ成熟酵素は親トランスグルタミナーゼ成熟酵素に比べれば、60℃(T
1/2
60℃)で半減期が顕著に向上し、酵素比活性も僅かに向上すると分かる。
【0117】
図2から、親と変異体はそれぞれ大腸菌E.coli BL21における発現を実現すると分かる。ここで、親は、タンパク質の分子量が49KDaより僅かに低いところに明らかなバンドが見え、理論的な大きさである43.3KDaに近い。変異体D189H/A287Pタンパク質分子量49~62KDaの間に明らかなバンドが見え、理論的な大きさである56.5KDaに近い。
【0118】
図3から、タンパク質は、精製された後にバンドが単一であり、タンパク質の純度が予想に合致することを示す。
【0119】
実施例2:トランスグルタミナーゼ成熟酵素変異体のうさぎ肉ジャーキー加工における応用
実施例1で調製された変異体トランスグルタミナーゼ成熟酵素(TGase-D189H/A287P)を利用してウサギ肉ジャーキー加工を行い、具体的には以下のとおりである:
S1.ウサギ肉を挽砕し、鶏肉をブロックに切断して、混合肉を得た。
【0120】
S2.食塩、複合リン酸塩及び水を均一に混合した後、S1で得られた混合肉を加え、均一に混合し、ラップフィルムで密封した後、12時間漬けて、漬け肉を得た。
【0121】
S3.漬け肉をホモジナイズすることにより、混合挽肉を得た。
【0122】
S4、S3で得られた混合挽肉にトランスグルタミナーゼ、卵白タンパク質、ショウガ粉、ブレンドスパイス等を添加し、温度4℃で均一に撹拌することにより、混合挽肉を得た。
【0123】
S5.S4で得られた混合挽肉をラップフィルムで密封した後、温度が60℃の水浴条件で0.2時間放置した後、押出成形し、乾燥させ、自然冷却したことにより、半製品を得た。
【0124】
S6.S5で得られた半製品を焼いて、複合ウサギジャーキーを得る。
【0125】
相関配列
配列番号1の配列は以下のとおりである(親、下線部分はプロ酵素配列であり、残りは成熟領域配列である):
DNGAGEETKSYAETYRLTADDVANINALNESAPAASSAGPSFRAPDPDDRVTPPAEPLDRMPDPYRPVNGRAETVVNNYIRKWQQVYSHRDGRKQQMTEEQREWLSYGCVGVTWVNSGQYPTNRLAFASFDEDRFKNELKNGRPRSGETRAEFEGRVAKESFDEEKGFQRAREVASVMNRALENAHDESAYLDNLKKELANGNDALRNEDARSPFYSALRNTPSFKERNGGNHDPSRMKAVIYAKHFWSGQDRSSSADKRKYGDPDAFRPAPGTGLVDMSRDRNIPRSPTSPGEGFVNFDYGWFGAQTEADADKTVWTHGNHYHAPNGSLGAMHVYESLFRNWSEGYSDFDRGAYVITFIPKSWNTAPDKVKQGWP
【0126】
配列番号2の配列は以下のとおりである(親、下線部分はプロ酵素配列であり、残りは成熟領域配列である):
GACAATGGCGCGGGGGAAGAGACGAAGTCCTACGCCGAAACCTACCGCCTCACGGCGGATGACGTCGCGAACATCAACGCGCTCAACGAAAGCGCTCCGGCCGCTTCGAGCGCCGGCCCGTCGTTCCGGGCCCCCGATCCTGATGATAGAGTGACCCCACCTGCAGAACCACTGGATAGAATGCCTGATCCATATAGACCTGTGAATGGCAGAGCAGAAACTGTGGTGAACAACTATATTAGAAAATGGCAGCAAGTGTATAGCCATAGAGATGGCAGAAAACAGCAGATGACTGAAGAACAGAGAGAATGGTTAAGCTATGGCTGTGTGGGTGTGACCTGGGTGAACAGTGGTCAGTATCCAACCAACAGACTGGCCTTTGCAAGCTTTGATGAAGATAGATTTAAAAATGAACTGAAAAATGGCAGACCAAGAAGTGGTGAAACTAGAGCAGAATTTGAAGGCAGAGTGGCCAAAGAATCTTTTGATGAAGAGAAGGGCTTTCAGAGAGCAAGAGAAGTGGCAAGTGTGATGAACAGAGCCCTGGAAAATGCCCATGATGAAAGTGCCTATCTGGATAACCTGAAAAAAGAACTGGCCAATGGCAATGATGCCTTAAGAAATGAAGATGCAAGAAGCCCATTTTATAGTGCCCTGAGAAACACCCCAAGCTTTAAAGAAAGAAATGGTGGCAACCATGATCCAAGCAGAATGAAAGCAGTGATTTATGCCAAACATTTTTGGAGTGGCCAAGATAGAAGCAGCAGTGCAGATAAAAGAAAATATGGTGATCCTGATGCCTTTAGACCTGCCCCTGGCACTGGCCTGGTGGATATGAGCAGAGATAGAAACATTCCAAGAAGCCCAACTAGCCCTGGTGAAGGCTTTGTGAACTTTGATTATGGCTGGTTTGGTGCACAGACTGAAGCAGATGCAGATAAAACTGTGTGGACTCATGGCAACCATTATCATGCCCCAAATGGCAGCCTGGGTGCCATGCATGTGTATGAAAGCCTGTTTAGAAACTGGAGTGAAGGCTATAGTGATTTTGATAGAGGTGCCTATGTGATTACCTTTATTCCAAAAAGCTGGAACACTGCCCCTGATAAAGTGAAACAAGGCTGGCCA
【0127】
配列番号3の配列は以下のとおりである:
MASGGDEEWEGSYAATHGLTAEDVKNINALNKRALTAGQPGNFPAELPPSATALFRAPD
【0128】
配列番号4の配列は以下のとおりである(二重下線部分がプロ酵素領域に対応する遺伝子であり、波線部分がトランスグルタミナーゼ成熟酵素に対応する遺伝子である):
tggcgaatgggacgcgccctgtagcggcgcattaagcgcggcgggtgtggtggttacgcgcagcgtgaccgctacacttgccagcgccctagcgcccgctcctttcgctttcttcccttcctttctcgccacgttcgccggctttccccgtcaagctctaaatcgggggctccctttagggttccgatttagtgctttacggcacctcgaccccaaaaaacttgattagggtgatggttcacgtagtgggccatcgccctgatagacggtttttcgccctttgacgttggagtccacgttctttaatagtggactcttgttccaaactggaacaacactcaaccctatctcggtctattcttttgatttataagggattttgccgatttcggcctattggttaaaaaatgagctgatttaacaaaaatttaacgcgaattttaacaaaatattaacgtttacaatttcaggtggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttctaaatacattcaaatatgtatccgctcatgagacaataaccctgataaatgcttcaataatattgaaaaaggaagagtatgagtattcaacatttccgtgtcgcccttattcccttttttgcggcattttgccttcctgtttttgctcacccagaaacgctggtgaaagtaaaagatgctgaagatcagttgggtgcacgagtgggttacatcgaactggatctcaacagcggtaagatccttgagagttttcgccccgaagaacgttttccaatgatgagcacttttaaagttctgctatgtggcgcggtattatcccgtattgacgccgggcaagagcaactcggtcgccgcatacactattctcagaatgacttggttgagtactcaccagtcacagaaaagcatcttacggatggcatgacagtaagagaattatgcagtgctgccataaccatgagtgataacactgcggccaacttacttctgacaacgatcggaggaccgaaggagctaaccgcttttttgcacaacatgggggatcatgtaactcgccttgatcgttgggaaccggagctgaatgaagccataccaaacgacgagcgtgacaccacgatgcctgcagcaatggcaacaacgttgcgcaaactattaactggcgaactacttactctagcttcccggcaacaattaatagactggatggaggcggataaagttgcaggaccacttctgcgctcggcccttccggctggctggtttattgctgataaatctggagccggtgagcgtgggtctcgcggtatcattgcagcactggggccagatggtaagccctcccgtatcgtagttatctacacgacggggagtcaggcaactatggatgaacgaaatagacagatcgctgagataggtgcctcactgattaagcattggtaactgtcagaccaagtttactcatatatactttagattgatttaaaacttcatttttaatttaaaaggatctaggtgaagatcctttttgataatctcatgaccaaaatcccttaacgtgagttttcgttccactgagcgtcagaccccgtagaaaagatcaaaggatcttcttgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaaaccaccgctaccagcggtggtttgtttgccggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttcagcagagcgcagataccaaatactgtccttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagcaccgcctacatacctcgctctgctaatcctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccgggttggactcaagacgatagttaccggataaggcgcagcggtcgggctgaacggggggttcgtgcacacagcccagcttggagcgaacgacctacaccgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgccacgcttcccgaagggagaaaggcggacaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgcacgagggagcttccagggggaaacgcctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagcgtcgatttttgtgatgctcgtcaggggggcggagcctatggaaaaacgccagcaacgcggcctttttacggttcctggccttttgctggccttttgctcacatgttctttcctgcgttatcccctgattctgtggataaccgtattaccgcctttgagtgagctgataccgctcgccgcagccgaacgaccgagcgcagcgagtcagtgagcgaggaagcggaagagcgcctgatgcggtattttctccttacgcatctgtgcggtatttcacaccgcatatatggtgcactctcagtacaatctgctctgatgccgcatagttaagccagtatacactccgctatcgctacgtgactgggtcatggctgcgccccgacacccgccaacacccgctgacgcgccctgacgggcttgtctgctcccggcatccgcttacagacaagctgtgaccgtctccgggagctgcatgtgtcagaggttttcaccgtcatcaccgaaacgcgcgaggcagctgcggtaaagctcatcagcgtggtcgtgaagcgattcacagatgtctgcctgttcatccgcgtccagctcgttgagtttctccagaagcgttaatgtctggcttctgataaagcgggccatgttaagggcggttttttcctgtttggtcactgatgcctccgtgtaagggggatttctgttcatgggggtaatgataccgatgaaacgagagaggatgctcacgatacgggttactgatgatgaacatgcccggttactggaacgttgtgagggtaaacaactggcggtatggatgcggcgggaccagagaaaaatcactcagggtcaatgccagcgcttcgttaatacagatgtaggtgttccacagggtagccagcagcatcctgcgatgcagatccggaacataatggtgcagggcgctgacttccgcgtttccagactttacgaaacacggaaaccgaagaccattcatgttgttgctcaggtcgcagacgttttgcagcagcagtcgcttcacgttcgctcgcgtatcggtgattcattctgctaaccagtaaggcaaccccgccagcctagccgggtcctcaacgacaggagcacgatcatgcgcacccgtggggccgccatgccggcgataatggcctgcttctcgccgaaacgtttggtggcgggaccagtgacgaaggcttgagcgagggcgtgcaagattccgaataccgcaagcgacaggccgatcatcgtcgcgctccagcgaaagcggtcctcgccgaaaatgacccagagcgctgccggcacctgtcctacgagttgcatgataaagaagacagtcataagtgcggcgacgatagtcatgccccgcgcccaccggaaggagctgactgggttgaaggctctcaagggcatcggtcgagatcccggtgcctaatgagtgagctaacttacattaattgcgttgcgctcactgcccgctttccagtcgggaaacctgtcgtgccagctgcattaatgaatcggccaacgcgcggggagaggcggtttgcgtattgggcgccagggtggtttttcttttcaccagtgagacgggcaacagctgattgcccttcaccgcctggccctgagagagttgcagcaagcggtccacgctggtttgccccagcaggcgaaaatcctgtttgatggtggttaacggcgggatataacatgagctgtcttcggtatcgtcgtatcccactaccgagatatccgcaccaacgcgcagcccggactcggtaatggcgcgcattgcgcccagcgccatctgatcgttggcaaccagcatcgcagtgggaacgatgccctcattcagcatttgcatggtttgttgaaaaccggacatggcactccagtcgccttcccgttccgctatcggctgaatttgattgcgagtgagatatttatgccagccagccagacgcagacgcgccgagacagaacttaatgggcccgctaacagcgcgatttgctggtgacccaatgcgaccagatgctccacgcccagtcgcgtaccgtcttcatgggagaaaataatactgttgatgggtgtctggtcagagacatcaagaaataacgccggaacattagtgcaggcagcttccacagcaatggcatcctggtcatccagcggatagttaatgatcagcccactgacgcgttgcgcgagaagattgtgcaccgccgctttacaggcttcgacgccgcttcgttctaccatcgacaccaccacgctggcacccagttgatcggcgcgagatttaatcgccgcgacaatttgcgacggcgcgtgcagggccagactggaggtggcaacgccaatcagcaacgactgtttgcccgccagttgttgtgccacgcggttgggaatgtaattcagctccgccatcgccgcttccactttttcccgcgttttcgcagaaacgtggctggcctggttcaccacgcgggaaacggtctgataagagacaccggcatactctgcgacatcgtataacgttactggtttcacattcaccaccctgaattgactctcttccgggcgctatcatgccataccgcgaaaggttttgcgccattcgatggtgtccgggatctcgacgctctcccttatgcgactcctgcattaggaagcagcccagtagtaggttgaggccgttgagcaccgccgccgcaaggaatggtgcatgcaaggagatggcgcccaacagtcccccggccacggggcctgccaccatacccacgccgaaacaagcgctcatgagcccgaagtggcgagcccgatcttccccatcggtgatgtcggcgatataggcgccagcaaccgcacctgtggcgccggtgatgccggccacgatgcgtccggcgtagaggatcgagatctcgatcccgcgaaattaat
acgactcactataggggaattgtgagcggataacaattcccctctagaaataattttgtttaactttaagaaggagatatacatatgGACAATGGCGCGGGGGAAGAGACGAAGTCCTACGCCGAAACCTACCGCCTCACGGCGGATGACGTCGCGAACATCAACGCGCTCAACGAAAGCGCTCCGGCCGCTTCGAGCGCCGGCCCGTCGTTCCGGGCCCCCGATCCTGATGATAGAGTGACCCCACCTGCAGAACCACTGGATAGAATGCCTGATCCATATAGACCTGTGAATGGCAGAGCAGAAACTGTGGTGAACAACTATATTAGAAAATGGCAGCAAGTGTATAGCCATAGAGATGGCAGAAAACAGCAGATGACTGAAGAACAGAGAGAATGGTTAAGCTATGGCTGTGTGGGTGTGACCTGGGTGAACAGTGGTCAGTATCCAACCAACAGACTGGCCTTTGCAAGCTTTGATGAAGATAGATTTAAAAATGAACTGAAAAATGGCAGACCAAGAAGTGGTGAAACTAGAGCAGAATTTGAAGGCAGAGTGGCCAAAGAATCTTTTGATGAAGAGAAGGGCTTTCAGAGAGCAAGAGAAGTGGCAAGTGTGATGAACAGAGCCCTGGAAAATGCCCATGATGAAAGTGCCTATCTGGATAACCTGAAAAAAGAACTGGCCAATGGCAATGATGCCTTAAGAAATGAAGATGCAAGAAGCCCATTTTATAGTGCCCTGAGAAACACCCCAAGCTTTAAAGAAAGAAATGGTGGCAACCATGATCCAAGCAGAATGAAAGCAGTGATTTATGCCAAACATTTTTGGAGTGGCCAAGATAGAAGCAGCAGTGCAGATAAAAGAAAATATGGTGATCCTGATGCCTTTAGACCTGCCCCTGGCACTGGCCTGGTGGATATGAGCAGAGATAGAAACATTCCAAGAAGCCCAACTAGCCCTGGTGAAGGCTTTGTGAACTTTGATTATGGCTGGTTTGGTGCACAGACTGAAGCAGATGCAGATAAAACTGTGTGGACTCATGGCAACCATTATCATGCCCCAAATGGCAGCCTGGGTGCCATGCATGTGTATGAAAGCCTGTTTAGAAACTGGAGTGAAGGCTATAGTGATTTTGATAGAGGTGCCTATGTGATTACCTTTATTCCAAAAAGCTGGAACACTGCCCCTGATAAAGTGAAACAAGGCTGGCCACACCACCACCACCACCACTGAgatccggctgctaacaaagcccgaaaggaagctgagttggctgctgccaccgctgagcaataactagcataaccccttggggcctctaaacgggtcttgaggggttttttgctgaaaggaggaactatatccggat
【0129】
配列番号5の配列は以下のとおりである(一重下線部分はTrxA配列であり、二重下線部分はプロ酵素置換後のプロ酵素領域配列であり、波線部分はトランスグルタミナーゼ成熟領域配列である):
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