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特許7395165給水制御システム、給水制御方法、および給水制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】給水制御システム、給水制御方法、および給水制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01G 27/02 20060101AFI20231204BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
A01G27/02 Z
A01G7/00 603
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023114592
(22)【出願日】2023-07-12
【審査請求日】2023-07-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519386969
【氏名又は名称】アグリ・コア・システム合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519386970
【氏名又は名称】株式会社Cultivera
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 学
(72)【発明者】
【氏名】豊永 翔平
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-017350(JP,A)
【文献】特開平06-070652(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104542197(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110999767(CN,A)
【文献】国際公開第2022/040756(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 27/02
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物への給水を制御する給水制御システムであって、
前記植物の葉温を計測する葉温センサと、
前記植物の葉の水分量を計測する葉水分センサと、
前記植物を支持する固形培地内に潅水する地中潅水装置と、
前記葉温センサおよび前記葉水分センサの計測値に基づいて、前記地中潅水装置の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記葉温センサの計測値が所定の葉温上限値以上であり、かつ、該葉温センサの計測値の上昇速度が所定の上限葉温上昇速度以上となった際、前記地中潅水装置を動作させて前記固形培地内への潅水を開始させる地中潅水開始指令部と、
前記地中潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の第一葉水分下限値を超過した際、前記地中潅水装置の動作を停止させて前記固形培地内への潅水を終了させる地中潅水終了指令部と、
を有する給水制御システム。
【請求項2】
前記固形培地の表面に潅水する地表潅水装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記地中潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の開始側第二葉水分下限値以下であり、かつ、前記葉水分センサの計測値の減少速度が所定の第一上限葉水分減少速度以上となった際、前記地表潅水装置を動作させて前記固形培地の表面への潅水を開始させる地表潅水開始指令部と、
前記地表潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の終了側第二葉水分下限値を超過した際、前記地表潅水装置の動作を停止させて前記固形培地の表面への潅水を終了させる地表潅水終了指令部と、
をさらに有する請求項1に記載の給水制御システム。
【請求項3】
前記地表潅水装置は、前記植物の近傍となる株元へ潅水を行う請求項2に記載の給水制御システム。
【請求項4】
前記地表潅水装置は、前記地中潅水装置よりも、単位時間当たりの給水量が小さくなっている請求項2または3に記載の給水制御システム。
【請求項5】
前記植物の葉へミスト状の水分を供給するミスト供給装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記地表潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の開始側第三葉水分下限値以下であり、かつ、前記葉水分センサの計測値の減少速度が前記第一上限葉水分減少速度よりも大きな第二上限葉水分減少速度以上となった際、前記ミスト供給装置を動作させて前記葉へのミスト供給を開始させるミスト供給開始指令部と、
前記ミスト供給装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の終了側第三葉水分下限値を超過した際、前記ミスト供給装置の動作を停止させて前記葉へのミスト供給を終了させるミスト供給終了指令部と、
をさらに有する請求項2に記載の給水制御システム。
【請求項6】
前記植物の葉へミスト状の水分を供給するミスト供給装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記地中潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の開始側第三葉水分下限値以下であり、かつ、前記葉水分センサの計測値の減少速度が上限葉水分減少速度以上となった際、前記ミスト供給装置を動作させて前記葉へのミスト供給を開始させるミスト供給開始指令部と、
前記ミスト供給装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の終了側第三葉水分下限値を超過した際、前記ミスト供給装置の動作を停止させて前記葉へのミスト供給を終了させるミスト供給終了指令部と、
をさらに有する請求項1に記載の給水制御システム。
【請求項7】
前記固形培地の水分量を計測する培地水分センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記葉温センサの計測値が所定の葉温下限値以上であり、かつ、該葉温センサの計測値の上昇速度が所定の基準葉温増加速度以上となった際、前記地中潅水装置を動作させる前に、前記固形培地の水分量の下限値となる所定の培地水分下限値を増加させる培地水分変更部をさらに有し、
前記地中潅水開始指令部は、前記培地水分センサの計測値が、増加後の前記培地水分下限値以下となっている際に、前記地中潅水装置を動作させて前記固形培地内への潅水を開始させる請求項1、2、5、および6のいずれか一項に記載の給水制御システム。
【請求項8】
植物への給水を制御する給水制御方法であって、
前記植物の葉温を計測する葉温センサの計測値が所定の葉温上限値以上であり、かつ、該葉温センサの計測値の上昇速度が所定の上限葉温上昇速度以上となった際、前記植物を支持する固形培地内への潅水を開始する地中潅水開始ステップと、
前記固形培地内への潅水の開始後に、前記植物の葉の水分量を計測する葉水分センサの計測値が所定の葉水分下限値を超過した際、前記固形培地内への潅水を終了する地中潅水終了ステップと、
を含む給水制御方法。
【請求項9】
植物への給水を制御するために、計算機を
前記植物の葉温を計測する葉温センサの計測値が所定の葉温上限値以上であり、かつ、該葉温センサの計測値の上昇速度が所定の上限葉温上昇速度以上となった際、前記植物を支持する固形培地内への潅水を開始させる地中潅水開始手段、および
前記固形培地内への潅水の開始後に、前記植物の葉の水分量を計測する葉水分センサの計測値が所定の葉水分下限値を超過した際、前記固形培地内への潅水を終了させる地中潅水終了手段、
として機能させるための給水制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物への給水を制御する給水制御システム、給水制御方法、および給水制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばハウス内において特に作物等の植物を栽培する際には、植物を健康に保って収穫物の品質向上や収穫量の最大化を図るべく、潅水量、環境温湿度、日射量、地温等の環境条件を制御することが行われている。そして近年は植物自身の状態をセンシングし、植物自身の状態に基づいて植物を最適な状態に保つようにハウス内の環境条件を制御するようになってきている。
【0003】
ここで特許文献1には、植物自身の状態を示す指標の一つである葉温をセンシングし、葉温に基づいて植物の育成環境を調整することで葉温を制御し、収穫量の増大を図った技術が記載されている。葉温が高すぎると光合成の効率が低下してしまうため、葉温は植物自身の状態を示す指標として非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6886656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1にも記載されているように、植物の葉には気孔が設けられている。植物はこの気孔から水分を放出する際の気化熱によって葉を冷却し、葉温をできるだけ一定に保つ機能を備えているため、通常では葉温が上昇し過ぎることはない。しかしながら例えば真夏等の高温環境下においては葉に照射される紫外線も多く、葉が高温になり易いため葉からの蒸散量や蒸散スピードが高まる。この結果、葉からの蒸散量や蒸散スピードに対して葉への水分供給が追い付かなくなり、蒸散の気化熱によって葉を十分に冷却することができなくなってしまう可能性がある。
【0006】
そこで本発明は、葉からの蒸散を円滑化し、植物にとって最適な栽培環境を効率よく整えることが可能な給水制御システム、給水制御方法、および給水制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る給水制御システムは、植物への給水を制御する給水制御システムであって、前記植物の葉温を計測する葉温センサと、前記植物の葉の水分量を計測する葉水分センサと、前記植物を支持する固形培地内に潅水する地中潅水装置と、前記葉温センサおよび前記葉水分センサの計測値に基づいて、前記地中潅水装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記葉温センサの計測値が所定の葉温上限値以上であり、かつ、該葉温センサの計測値の上昇速度が所定の上限葉温上昇速度以上となった際、前記地中潅水装置を動作させて前記固形培地内への潅水を開始させる地中潅水開始指令部と、前記地中潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の第一葉水分下限値を超過した際、前記地中潅水装置の動作を停止させて前記固形培地内への潅水を終了させる地中潅水終了指令部と、を有する。
【0008】
上記潅水制御システムは、前記固形培地の表面に潅水する地表潅水装置をさらに備え、前記制御装置は、前記地中潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の開始側第二葉水分下限値以下であり、かつ、前記葉水分センサの計測値の減少速度が所定の第一上限葉水分減少速度以上となった際、前記地表潅水装置を動作させて前記固形培地の表面への潅水を開始させる地表潅水開始指令部と、前記地表潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の終了側第二葉水分下限値を超過した際、前記地表潅水装置の動作を停止させて前記固形培地の表面への潅水を終了させる地表潅水終了指令部と、をさらに有してもよい。
【0009】
上記潅水制御システムでは、前記地表潅水装置は、前記植物の近傍となる株元へ潅水を行うようにしてもよい。
【0010】
上記潅水制御システムでは、前記地表潅水装置は、前記地中潅水装置よりも、単位時間当たりの給水量が小さくなっていてもよい。
【0011】
上記潅水制御システムは、前記植物の葉へミスト状の水分を供給するミスト供給装置をさらに備え、前記制御装置は、前記地表潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の開始側第三葉水分下限値以下であり、かつ、前記葉水分センサの計測値の減少速度が前記第一上限葉水分減少速度よりも大きな第二上限葉水分減少速度以上となった際、前記ミスト供給装置を動作させて前記葉へのミスト供給を開始させるミスト供給開始指令部と、前記ミスト供給装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の終了側第三葉水分下限値を超過した際、前記ミスト供給装置の動作を停止させて前記葉へのミスト供給を終了させるミスト供給終了指令部と、をさらに有してもよい。
【0012】
上記潅水制御システムは、前記植物の葉へミスト状の水分を供給するミスト供給装置をさらに備え、前記制御装置は、前記地中潅水装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の開始側第三葉水分下限値以下であり、かつ、前記葉水分センサの計測値の減少速度が上限葉水分減少速度以上となった際、前記ミスト供給装置を動作させて前記葉へのミスト供給を開始させるミスト供給開始指令部と、前記ミスト供給装置を動作させた後に、前記葉水分センサの計測値が所定の終了側第三葉水分下限値を超過した際、前記ミスト供給装置の動作を停止させて前記葉へのミスト供給を終了させるミスト供給終了指令部と、をさらに有してもよい。
【0013】
上記潅水制御システムは、前記固形培地の水分量を計測する培地水分センサをさらに備え、前記制御装置は、前記葉温センサの計測値が所定の葉温下限値以上であり、かつ、該葉温センサの計測値の上昇速度が所定の基準葉温増加速度以上となった際、前記地中潅水装置を動作させる前に、前記固形培地の水分量の下限値となる所定の培地水分下限値を増加させる培地水分変更部をさらに有し、前記地中潅水開始指令部は、前記培地水分センサの計測値が、増加後の前記培地水分下限値以下となっている際に、前記地中潅水装置を動作させて前記固形培地内への潅水を開始させてもよい。


【0014】
本発明の一態様に係る給水制御方法は、植物への給水を制御する給水制御方法であって、前記植物の葉温を計測する葉温センサの計測値が所定の葉温上限値以上であり、かつ、該葉温センサの計測値の上昇速度が所定の上限葉温上昇速度以上となった際、前記植物を支持する固形培地内への潅水を開始する地中潅水開始ステップと、前記固形培地内への潅水の開始後に、前記植物の葉の水分量を計測する葉水分センサの計測値が所定の葉水分下限値を超過した際、前記固形培地内への潅水を終了する地中潅水終了ステップと、を含む。
【0015】
本発明の一態様に係る給水制御プログラムは、植物への給水を制御するために、計算機を、前記植物の葉温を計測する葉温センサの計測値が所定の葉温上限値以上であり、かつ、該葉温センサの計測値の上昇速度が所定の上限葉温上昇速度以上となった際、前記植物を支持する固形培地内への潅水を開始させる地中潅水開始手段、および前記固形培地内への潅水の開始後に、前記植物の葉の水分量を計測する葉水分センサの計測値が所定の葉水分下限値を超過した際、前記固形培地内への潅水を終了させる地中潅水終了手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
上記の給水制御システム等によれば、葉からの蒸散を円滑化し、植物にとって最適な栽培環境を効率よく整えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る給水制御システムの全体概要図である。なお説明の便宜のため栽培ベッドを縦断面図で示している。。
図2】上記給水制御システムにおける制御装置のハードウェア構成図である。
図3】上記給水制御システムにおける制御装置の機能ブロック図である。
図4】上記給水制御システムにおける制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(全体構成)
図1に示すように給水制御システム100は、植物PLに対する給水を制御する装置である。本実施形態において給水制御システム100は、栽培ベッド201、および栽培ベッド201の底部に設けられた保水マット202、保水マット202上に載置された複数の栽培容器203、および各々の栽培容器203に収容された固形培地204(「土壌」であってもよい。以下、単に培地と呼称する)によって構成された栽培装置200に設けられている。栽培装置200は例えばハウス内や植物工場内等、栽培環境の調整が可能な場所に設置される。なお上述した栽培装置200は一例であって、その構成は適宜変更可能である。
【0019】
各々の栽培容器203の底には底孔203aが設けられ、底孔203aを通じて栽培容器203の内から外に伸びる根Rを通じて、保水マット202からの水分(水や養液)が培地204に供給されるようになっている。すなわち本実施形態では、詳しく後述する給水制御システム100の地中潅水装置4によって、培地204の底面204bから培地204内に潅水されるようになってる。
【0020】
(給水制御システム)
次に給水制御システム100について説明する。
給水制御システム100は、植物PLの葉Lの葉表面の温度(以下、葉温)を計測する葉温センサ1と、葉Lの水分量(以下、葉水分量)を計測する葉水分センサ2と、培地204の水分量(以下、培地水分量)を計測する培地水分センサ3と、培地204中に潅水する地中潅水装置4と、培地204の表面(上面)204aに潅水する地表潅水装置5と、葉Lへミストを供給(噴霧)するミスト供給装置6と、各センサ1、2、3の計測値に基づいて地中潅水装置4、地表潅水装置5、ミスト供給装置6の動作を制御する制御装置7とを備えている。
【0021】
なお給水制御システム100はさらにポンプ8を備え、ポンプ8によって不図示の給水源から地中潅水装置4、地表潅水装置5、およびミスト供給装置6に水分を供給するようになっている。
【0022】
(センサ)
葉温センサ1は特に限定されるものではないが、例えば赤外線を感知する放射温度センサや、サーミスタ温度センサ等のセンサ装置が好適に使用される。葉温センサ1は、常時(例えば30秒~1分毎)に計測を行うようになっている。葉温センサ1は栽培容器203毎に設けられている。
【0023】
葉水分センサ2は特に限定されるものではないが、例えば近赤外線を葉Lに照射して反射量から葉水分量を算出する照射型のセンサ装置等が好適に使用される。また葉水分センサ2は、葉を撮像した画像から葉Lの萎れ状態を判定し、判定された萎れ状態に基づいて葉水分量を算出するようなセンサ装置としてもよい。葉水分センサ2は、常時(例えば30秒~1分毎)に計測を行うようになっている。葉水分センサ2は栽培容器203毎に設けられている。葉水分センサ2は植物PLの成長点近傍に設置されるとよい。
【0024】
培地水分センサ3は特に限定されるものではないが、培地204に表面204aから差し込まれ、培地204の抵抗値や誘電率等から培地204の含水率を算出可能なセンサ装置が好適に使用される。培地水分センサ3は、常時(例えば30秒~1分毎)に計測を行うようになっている。培地水分センサ3は栽培容器203毎に設けられている。
【0025】
(地中潅水装置)
地中潅水装置4は、保水マット202に給水することで、上述のように保水マット202を介して培地204の底面204bから培地204内に潅水する装置である。具体的に地中潅水装置4は、ポンプ8に接続されて給水口4aと、ポンプ8と給水口4aとの間に設けられた電磁弁4bとを有している。
【0026】
(地表潅水装置)
地表潅水装置5は、培地204の表面(上面)204aに潅水を行う装置である。地表潅水装置5は、植物PLの近傍となる株元、すなわち植物PLの根(毛細根)Rが多く存在する領域へ潅水を行う。具体的に地表潅水装置5は、株元に点滴による給水を行う給水ノズル5aと、給水ノズル5aとポンプ8との間に設けられた電磁弁5bとを有し、栽培容器203毎に設けられている。
【0027】
地表潅水装置5は、例えば秒単位で点滴のように、分単位のインターバルで潅水を行うことが可能となっている。また地表潅水装置5は、地中潅水装置4よりも単位時間当たりの給水量が小さくなっており、20〔ml/分〕程度の吐出量で潅水を行う。なお地表潅水装置5による潅水時間や潅水量の制御を、詳しく後述する制御装置7で行ってもよいし、制御装置7とは別に設けた不図示の制御装置で行ってもよい。
【0028】
(ミスト供給装置)
ミスト供給装置6は、葉Lに向けてミスト状の水分を噴霧して供給する装置である。具体的にミスト供給装置6は、水分を噴霧する噴霧ノズル6aと、噴霧ノズル6aとポンプ8との間に設けられた電磁弁6bとを有し、栽培容器203毎に設けられている。
【0029】
ミスト供給装置6から噴霧されるミストの粒径はできるだけ小さいことが好ましく、粒径は10〔μm〕~100〔μm〕、好ましくは70〔μm〕以下であるとよい。また噴霧の時間は、葉Lの濡れ具合を検知するセンサ(不図示)の計測結果に基づいて、葉Lの表面から水分が流れ落ちずに葉Lの表面に水分が留まる程度の量の水分を噴霧した後、葉Lの表面の水分が蒸発するまで噴霧を停止するようにミスト供給装置6の動作制御が行われる。すなわちミスト供給装置6は、地表潅水装置5と同様に間欠的に(例えば10秒~20秒程度の噴霧時間で)動作するようになっている。なおミスト供給装置6による噴霧時間、噴霧量の制御は詳しく後述する制御装置7で行ってもよいし、制御装置7とは別に設けた不図示の制御装置で行ってもよい。なお植物PL近傍の雰囲気湿度が所定値以下となった際にミスト噴霧を行うように間欠動作制御を行ってもよいし、葉温が所定値以下となった際にミスト噴霧を停止するように間欠動作制御を行ってもよい。
【0030】
(制御装置)
図2に示すように制御装置7は計算機70を有し、計算機70は、CPU(Central Processing Unit)700と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ710と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置720と、電源装置730と、入力インターフェース740と、出力インターフェース750と、これらを接続するバス配線760とを有している。CPU700は中央演算処理装置であって後述する給水制御プログラムを実行する。メモリ710はCPU700の作業領域や記憶領域として使用され、記憶装置720はCPU700で実行されるオペレーティングシステムやプログラム等を記憶している。
【0031】
そして図3に示すように制御装置7の計算機70は、葉温判定部71と、葉温上昇速度判定部72と、培地水分量下限調整部73と、調整後培地水分量判定部74と、地中潅水開始指令部75と、第一葉水分量判定部76と、地中潅水終了指令部77と、第一葉水分量減少速度判定部78と、開始側第二葉水分量判定部79と、地表潅水開始指令部80と、終了側第二葉水分量判定部81と、地表潅水終了指令部82と、第二葉水分量減少速度判定部83と、開始側第三葉水分量判定部84と、ミスト供給開始指令部85と、終了側第三葉水分量判定部86と、ミスト供給終了指令部87とを有している。
【0032】
葉温判定部71は、葉温センサ1の計測値が所定の葉温上限値Tth〔℃〕以上となっているか否かを判定する。葉温上限値Tthは、植物の種類等に応じて適宜設定される数値であり、例えば植物PLがトマトであれば、葉Lに萎れが生じないと考えられる上限値である13〔℃〕に設定される。
【0033】
葉温上昇速度判定部72は、葉温センサ1の計測値の上昇速度が所定の上限葉温上昇速度Vuth〔℃/秒〕以上となっているか否かを判定する。
【0034】
培地水分量下限調整部73は、培地水分量の下限値となる所定の培地水分下限値Wmthを調整する。すなわち培地水分量下限調整部73は、後述する制御フローの通り所定条件下においての培地水分下限値Wmthを増加させ、または、減少させる。
【0035】
調整後培地水分量判定部74は、培地水分センサ3の計測値が、培地水分量下限調整部73によって増加させられた後の培地水分下限値Wmth以下となっているか否かを判定する。
【0036】
地中潅水開始指令部75は、葉温センサ1の計測値が葉温上限値Tth以上であり、かつ、葉温センサ1の計測値の上昇速度が上限葉温上昇速度Vuth以上となった際、地中潅水装置4の電磁弁4bを開放することで地中潅水装置4を動作させて保水マット202に向けて給水し、保水マット202を介して培地204の底面204bから培地204内への潅水を開始させる。
【0037】
第一葉水分量判定部76は、葉水分センサ2の計測値が所定の第一葉水分下限値Whth1以下となっているか否かを判定する。
【0038】
地中潅水終了指令部77は、葉水分センサ2の計測値が第一葉水分下限値Whth1を超過した際、地中潅水装置4の電磁弁4bを閉塞して地中潅水装置4の動作を停止させて培地204内への潅水を終了させる。
【0039】
第一葉水分量減少速度判定部78は、葉水分センサ2の計測値の減少速度が所定の第一上限葉水分減少速度Vdth1〔℃/秒〕以上となっているか否かを判定する。
【0040】
開始側第二葉水分量判定部79は、葉水分センサ2の計測値が所定の開始側第二葉水分下限値Whth2s以下となっているか否かを判定する。
【0041】
地表潅水開始指令部80は、地中潅水装置4を動作させた後に、葉水分センサ2の計測値が開始側第二葉水分下限値Whth2s以下であり、かつ、葉水分センサ2の計測値の減少速度が第一上限葉水分減少速度Vdth1以上となった際、地表潅水装置5の電磁弁5bを開放することで地表潅水装置5を動作させて培地204の表面204aへの潅水を開始させる。
【0042】
終了側第二葉水分量判定部81は、地表潅水装置5を動作させた後に、葉水分センサ2の計測値が所定の終了側第二葉水分下限値Whth2e以下となっているか否かを判定する。
【0043】
地表潅水終了指令部82は、地表潅水装置5を動作させた後に、葉水分センサ2の計測値が終了側第二葉水分下限値Whth2eを超過した際、地表潅水装置5の電磁弁5bを閉塞することで地表潅水装置5の動作を停止させて培地204の表面204aへの潅水を終了させる。
【0044】
第二葉水分量減少速度判定部83は、葉水分センサ2の計測値の減少速度が第一上限葉水分減少速度Vdth1よりも大きな第二上限葉水分減少速度Vdth2以上となっているか否かを判定する。
【0045】
開始側第三葉水分量判定部84は、葉水分センサ2の計測値が所定の開始側第三葉水分下限値Whth3s以下となっているか否かを判定する。
【0046】
ミスト供給開始指令部85は、地表潅水装置5を動作させた後に、葉水分センサ2の計測値が開始側第三葉水分下限値Whth3s以下であり、かつ、葉水分センサ2の計測値の減少速度が第二上限葉水分減少速度Vdth2以上となった際、ミスト供給装置6の電磁弁6bを開放することでミスト供給装置6を動作させて葉Lへのミスト供給を開始させる。
【0047】
終了側第三葉水分量判定部86は、ミスト供給装置6を動作させた後に、葉水分センサ2の計測値が所定の終了側第三葉水分下限値Whth3e以下となっているか否かを判定する。
【0048】
ミスト供給終了指令部87は、ミスト供給装置6を動作させた後に、葉水分センサ2の計測値が終了側第三葉水分下限値Whth3eを超過した際、ミスト供給装置6の電磁弁6bを閉塞することでミスト供給装置6の動作を停止させて葉Lへのミスト供給を終了させる
【0049】
次に図4を参照して、給水制御プログラム(給水制御方法)のフローについて説明する。
以下の説明では「葉温」、「葉水分量」、および「培地水分量」はいずれもセンサ1,2、3の計測値を示す。また以下の制御フローは栽培容器203毎に並行して実行される。
まずステップS1を実行し、葉温が葉温上限値Tth以上となっているか否かを判定する。葉温が葉温上限値Tth以上となっている場合、「YES」と判定されてステップS2に進む。一方で葉温が葉温上限値Tth未満となっている場合には「NO」と判定されてステップS1に戻る。
なおステップS1で「NO」と判定された場合は「平常時」となる。この「平常時」においては地中潅水装置4を適宜動作させるとともに、培地水分センサ3の計測値、およびポンプ8からの吐出量を不図示のセンサで常時監視し、培地水分量を最適な状態に保つようにしている。一方ステップS1で「YES」と判定された場合は「非常時」となって以下のフローで制御が進行する。
【0050】
ステップS2では、ステップS1で「YES」と判定された場合において葉温の上昇速度が上限葉温上昇速度Vuth以上となっているか否かを判定する。葉温の上昇速度が上限葉温上昇速度Vuth以上となっている場合、「YES」と判定されてステップS3に進む。一方で葉温の上昇速度が上限葉温上昇速度Vuth未満となっている場合には「NO」と判定されてステップS1に戻る。
【0051】
ステップS3では、ステップS2で「YES」と判定された場合において、培地水分下限値Wmthを増加させる。例えば本実施形態の給水制御プログラムが動作しない平常時において培地204の体積含水率(VWC)が仮に48である場合には、ステップS3において体積含水率(VWC)を例えば49~50程度まで増加させる。すなわちステップS3では体積含水率(VWC)を平常時の値に比べて例えば1~3程度増加させる。
【0052】
その後ステップS4を実行する。ステップS4では、培地水分量がステップS3において増加させられた後の培地水分下限値Wmth以下となっているか否かを判定する。培地水分量が増加後の培地水分下限値Wmth以下となっている場合、「YES」と判定されてステップS5に進む。一方で、培地水分量が増加後の培地水分下限値Wmthを超過している場合には「NO」と判定されてステップS1に戻る。なお本実施形態のステップS4では、複数の栽培容器203のうちの少なくとも一つの栽培容器203の培地水分量が培地水分下限値Wmth以下となっている場合、「YES」と判定されるようになっている。
【0053】
ステップS5では、ステップS4で「YES」と判定された場合において、地中潅水装置4を動作させて地中潅水を開始させる。
【0054】
次にステップS6を実行する。ステップS6では、葉水分量が第一葉水分下限値Whth1以下となっているか否かを判定する。葉水分量が第一葉水分下限値Whth1以下となっている場合、「YES」と判定されてステップS7に進む。一方で葉水分量が第一葉水分下限値Whth1を超過している場合には、「NO」と判定されてステップS61に進む。なお本実施形態のステップS6では、すべての栽培容器203における植物PLの葉水分量が第一葉水分下限値Whth1を超過している場合に、「NO」と判定されるようになっている。
【0055】
ステップS61では、ステップS6で「NO」と判定された場合において、地中潅水装置4の動作を停止させて地中潅水を終了させる。その後、ステップS62に進み、培地水分下限値Wmthを減少させて平常値(例えば体積含水率(VWC)が48)に復帰させる。
【0056】
ステップS7では、葉水分量の減少速度が、第一上限葉水分減少速度Vdth1以上となっているか否かを判定する。葉水分量の減少速度が、第一上限葉水分減少速度Vdth1以上となっている場合、「YES」と判定されてステップS8に進む。一方で葉水分量の減少速度が、第一上限葉水分減少速度Vdth1未満となっている場合、「NO」と判定されてステップS6に戻る。
【0057】
ステップS8では、葉水分量が、開始側第二葉水分下限値Whth2s以下となっているか否かを判定する。葉水分量が、開始側第二葉水分下限値Whth2s以下となっている場合、「YES」と判定されてステップS9に進む。一方で葉水分量が、開始側第二葉水分下限値Whth2sを超過している場合、「NO」と判定されてステップS6に戻る。ここで開始側第二葉水分下限値Whth2sは、第一葉水分下限値Whth1と同値であってもよいし、第一葉水分下限値Whth1よりも小さな値としてもよい。
【0058】
ステップS9では、ステップS8で「YES」と判定された場合において、地表潅水装置5を動作させて地表潅水を開始させる。
【0059】
その後ステップS10を実行する。ステップS10では、葉水分量が、終了側第二葉水分下限値Whth2e以下となっているか否かを判定する。葉水分量が、終了側第二葉水分下限値Whth2e以下となっている場合、「YES」と判定されてステップS11に進む。一方で葉水分量が、終了側第二葉水分下限値Whth2eを超過している場合、「NO」と判定されてステップS101に進む。ここで終了側第二葉水分下限値Whth2eは、開始側第二葉水分下限値Whth2sと同値であってもよいし、チャタリング回避のため開始側第二葉水分下限値Whth2sよりも大きな値としてもよい。
【0060】
ステップS101では、ステップS10で「NO」と判定された場合において、地表潅水装置5の動作を停止させて地表潅水を終了させ、その後ステップS6に戻る。
【0061】
ステップS11では、葉水分量の減少速度が、第二上限葉水分減少速度Vdth2以上となっているか否かを判定する。葉水分量の減少速度が、第二上限葉水分減少速度Vdth2以上となっている場合、「YES」と判定されて、ステップS12に進む。一方で葉水分量の減少速度が、第二上限葉水分減少速度Vdth2未満となっている場合には、「NO」と判定されてステップS10に戻る。
【0062】
ステップS12では、ステップS11で「YES」と判定された場合において、葉水分量が、開始側第三葉水分下限値Whth3s以下となっているか否かを判定する。葉水分量が、開始側第三葉水分下限値Whth3s以下となっている場合、「YES」と判定されてステップS13に進む。一方で葉水分量が、開始側第三葉水分下限値Whth3sを超過している場合、「NO」と判定されてステップS10に戻る。ここで開始側第三葉水分下限値Whth3sは、開始側第二葉水分下限値Whth2sと同値であってもよいし、開始側第二葉水分下限値Whth2sよりも小さな値としてもよい。
【0063】
ステップS13では、ステップS12で「YES」と判定された場合において、ミスト供給装置6を動作させてミスト供給(噴霧)を開始させる。
【0064】
その後、ステップS14を実行する。ステップS14では、葉水分量が、終了側第三葉水分下限値Whth3e以下となっているか否かを判定する。葉水分量が、終了側第三葉水分下限値Whth3e以下となっている場合、「YES」と判定されてステップS14を繰り返す。一方で葉水分量が、終了側第三葉水分下限値Whth3eを超過している場合、「NO」と判定されてステップS15に進む。ここで終了側第三葉水分下限値Whth3eは、開始側第三葉水分下限値Whth3sと同値であってもよいし、チャタリング回避のため開始側第三葉水分下限値Whth3sよりも大きな値としてもよい。
【0065】
ステップS15では、ステップS14で「NO」と判定された場合において、ミスト供給装置6の動作を停止させてミスト供給(噴霧)を終了させ、その後ステップS10に戻る。
【0066】
(作用効果)
以上説明した本実施形態の給水制御システム100によれば、葉温が葉温上限値Tth以上となって葉Lからの蒸散が多い状態において、葉温の上昇速度が上限葉温上昇速度Vuth以上となった際には、葉Lからの蒸散量および蒸散スピードに対して葉Lへの水分供給が遅れて葉水分量が不足していると考えられ、緊急時となる。この際、本実施形態では地中潅水装置4を動作させることができるので、緊急時において培地水分量を増加させ、葉Lへ十分に水分供給を行うことができる。よって葉Lからの蒸散を円滑化して葉温を一定に保つようにでき、植物にとって最適な栽培環境を効率よく整えることが可能となる。
【0067】
また本実施形態では、地中潅水装置4を動作させる前に、培地水分量の下限値となる培地水分下限値Wmthを増加させることで、平常時に比べて緊急時には植物PLへの水分ストレスを緩和できる。したがって培地水分量を平常時に比べて多い状態に保つことができ、葉Lへの水分供給を十分に行い、葉Lからの蒸散を促すことができる。
【0068】
また地中潅水装置4を動作させた後に、依然として葉水分量が開始側第二葉水分下限値Whth2s以下の低い状態にあり、葉水分量が第一上限葉水分減少速度Vdth1以上の大きな減少速度で減少している場合には、地中潅水だけでは葉Lへの水分供給が間に合っていない、すなわち、培地水分量の回復と葉水分量の回復にタイムラグが生じていることになる。この場合、地表潅水装置5を動作させて培地204の表面204aに潅水を行うことで根Rからの水分吸収を促して葉水分量を早期に増加させることができ、上記タイムラグを小さくでき、葉Lからの蒸散をさらに円滑化できる。本実施実施形態では、特に毛細根が多く存在する領域となる株元へ地表潅水することで、根からの水分吸収の速度をさらに速めることができる。
【0069】
さらには、地表潅水装置5が点滴のようにして潅水を行うことで、地中潅水装置よりも単位時間当たりの給水量が小さくなっている。よって培地水分量が過多となることを回避しつつ、培地水分量の回復と葉水分量の回復とのタイムラグを小さくすることができる。
【0070】
また本実施形態では地表潅水装置5を動作させた後、依然として葉水分量が開始側第三葉水分下限値Whth3s以下の低い状態にあり、葉水分量が第二上限葉水分減少速度Vdth2以上の大きな減少速度で減少している場合には、地中潅水および地表潅水だけでは葉Lへの水分供給が間に合っていないことになる。この場合、ミスト供給装置6を動作させて葉Lにミスト噴霧を行うことで葉Lからの水分吸収を促し、葉Lからの蒸散をさらに円滑化できる。また葉Lに向けてダイレクトにミスト噴霧を行うことで、葉温を低下させることもできる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、上記実施形態おける各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0072】
例えば、地中潅水装置4を動作させた後に、地表潅水装置5ではなくミスト供給装置6を動作させてもよく、地中潅水装置4→ミスト供給装置6→地表潅水装置5の順で動作させてもよい。さらには、地中潅水装置4を動作させた後に、ミスト供給装置6および地表潅水装置5を同時に動作させてもよい。
【0073】
また培地204の温度を一定に保つように温調装置を設けてもよい。
さらには、葉温が葉温上限値Tth以上となった際には、遮光カーテンによって植物PLへの入射光を遮るようにしてもよい。
【0074】
また給水制御プログラムを実行する際の判定基準となる上述した各所定値を、植物PLの種類に応じて適宜、制御装置7において事前設定(事前選択)可能としてもよい。
【0075】
また上述の実施形態の地中潅水装置4は、培地204の底面204bから培地204内に潅水を行うようにしているが、特に底面204bからの潅水に限定されず、少なくとも培地204の表面204a以外の位置から培地204内に潅水するような装置であればよい。
【0076】
また、地中潅水装置4は複数の栽培容器203毎に個別に設けてもよい。すなわち例えば、各々の栽培容器203の近傍に給水口4aを設けてもよい。この場合、上記制御フローのステップS4においても、栽培容器203毎に並行して培地水分量の判定が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の給水制御システム等によれば、葉からの蒸散を円滑化し、植物にとって最適な栽培環境を効率よく整えることが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1…葉温センサ
2…葉水分センサ
3…培地水分センサ
4…地中潅水装置
5…地表潅水装置
6…ミスト供給装置
7…制御装置
70…計算機
71…葉温判定部
72…葉温上昇速度判定部
73…培地水分量下限調整部
74…調整後培地水分量判定部
75…地中潅水開始指令部
76…第一葉水分量判定部
77…地中潅水終了指令部
78…第一葉水分量減少速度判定部
79…開始側第二葉水分量判定部
80…地表潅水開始指令部
81…終了側第二葉水分量判定部
82…地表潅水終了指令部
83…第二葉水分量減少速度判定部
84…開始側第三葉水分量判定部
85…ミスト供給開始指令部
86…終了側第三葉水分量判定部
87…ミスト供給終了指令部
100…給水制御システム
204…固形培地
L…葉
PL…植物
R…根
th…葉温上限値
dth1…第一上限葉水分減少速度
dth2…第二上限葉水分減少速度
uth…上限葉温上昇速度
hth1…第一葉水分下限値
hth2s…開始側第二葉水分下限値
hth2e…終了側第二葉水分下限値
hth3s…開始側第三葉水分下限値
hth3e…終了側第三葉水分下限値
mth…培地水分下限値
【要約】
【課題】葉からの蒸散を円滑化し、植物にとって最適な栽培環境を効率よく整えることが可能な給水制御システム等を提供する。
【解決手段】
葉温を計測する葉温センサ1と、葉Lの水分量を計測する葉水分センサ2と、植物PLを支持する固形培地204内に潅水する地中潅水装置4と、葉温センサ1および葉水分センサ2の計測値に基づいて地中潅水装置4の動作を制御する制御装置7とを備え、制御装置7は、葉温センサ1の計測値が葉温上限値Tth以上であり、かつ、葉温センサ1の計測値の上昇速度が上限葉温上昇速度Vuth以上となった際に地中潅水装置4を動作させて固形培地204内への潅水を開始させ、葉水分センサ2の計測値が第一葉水分下限値Whth1を超過した際に地中潅水装置4の動作を停止させて固形培地204内への潅水を終了させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4