IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホリゾン・インターナショナル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-判定装置および判定プログラム 図1
  • 特許-判定装置および判定プログラム 図2
  • 特許-判定装置および判定プログラム 図3
  • 特許-判定装置および判定プログラム 図4
  • 特許-判定装置および判定プログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】判定装置および判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
G06F3/12 355
G06F3/12 303
G06F3/12 308
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019198586
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021071952
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 大志
(72)【発明者】
【氏名】木谷 孝則
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-309351(JP,A)
【文献】特開2010-079673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09-3/12
H04N 1/00
B41J 29/00-29/70
B41J 5/00-5/52;21/00-21/18
G03G 13/34;15/00;15/36;21/00;21/02;21/14;21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷の後処理の加工ノウハウに基づいて定められた後処理装置の加工ルールが記憶されている第1記憶部と、
前記後処理装置の仕様が記憶された第2記憶部と、
前記加工ルールの更新に関する情報の入力を受けた場合に、前記加工ルールの更新に関する情報に基づいて、前記第1記憶部に記憶されている前記加工ルールを更新する更新部と、
ネットワークを介して前処理装置と通信する通信部と、
前記前処理装置によって生成された後処理指示情報を受信した場合に、受信した前記後処理指示情報が前記加工ルールを満たしているか否かを判定するとともに前記後処理装置の仕様に適合しているか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記通信部は、前記後処理指示情報が前記後処理装置の仕様及び前記加工ルールの少なくともいずれか一方を満たさないと判定された場合に、その判定結果前記前処理装置に通知することを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記後処理装置からネットワークを介して仕様の変更が入力された場合に、前記第2記憶部に記憶されている前記後処理装置の仕様を変更することを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
判定される前記後処理指示情報は、前記後処理装置のうち、断裁部、折り部、丁合部、ミーリング部、糊付け部、綴じ部、くるみ部、仕上げ断裁部のうちの少なくとも1つに対する指示情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項4】
印刷の後処理の加工ノウハウに基づいて定められた後処理装置の加工ルールが記憶されている第1記憶部と、
第1ネットワークを介して新しい前記加工ルールの追加、既存の前記加工ルールの変更および前記既存の加工ルールの削除の入力を受ける入力部と、
前記入力部が受けた前記入力によって前記第1記憶部に記憶されている前記加工ルールを更新する更新部と、
前処理装置によって生成された後処理指示情報が前記加工ルールを満たしているか否かを判定する判定部と、を備え
記前処理装置は、
前処理指示情報が入力される前処理入力部と、
前記後処理装置の仕様が記憶されている前処理記憶部と、
前記前処理指示情報と前記後処理装置の仕様とに基づいて、面付けを行う面付け部と、
行われた面付けと、前記後処理装置の仕様と、前記前処理指示情報とに基づいて、前記後処理装置への前記後処理指示情報を生成する後処理指示生成部と、を備えることを特徴とする判定装置。
【請求項5】
前記加工ルールは、(1)カバーと本身との大きさの差が所定の範囲内であるか否か、(2)面付けにおける裁ち落とし領域の幅が所定の範囲内であるか否か、(3)背幅とミーリング幅との差が所定の範囲内であるか否か、(4)面付けにおけるページ間の配置が
所定の配置であるか否か、の少なくとも1つを規定していることを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項6】
印刷の後処理の加工ノウハウに基づいて定められた後処理装置の加工ルールが記憶されている第1記憶部と、
前記後処理装置の仕様が記憶された第2記憶部と、
ネットワークを介して前処理装置と通信する通信部と
前記前処理装置によって生成された後処理指示情報を受信した場合に、受信した前記後処理指示情報が前記加工ルールを満たしているか否かを判定するとともに前記後処理装置の仕様に適合しているか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記通信部は、前記後処理指示情報が前記後処理装置の仕様及び前記加工ルールの少なくともいずれか一方を満たさないと判定された場合に、その判定結果前記前処理装置に通知することを特徴とする判定装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1~6のいずれか1項に記載の判定装置として機能させることを特徴とする判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷後処理装置に対する後処理指示情報が適切であるか否かを判定する判定装置および判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製本に関する印刷の後処理(以下、単に「後処理」という)には、種々の処理がある。例えば、並製本の場合、断裁、折り、丁合、ミーリング、綴じ、くるみおよび仕上げ断裁といった後処理がある。そして、各後処理に対応する装置(以下、「後処理装置」という)が利用されている。近年、多品種小ロット化のニーズがあるが、ジョブを変更するたびに人手によって後処理装置をセッティングすることは、時間を浪費する。そこで、それら後処理装置におけるセッティング時間を短縮するためにコンピュータによる自動化が進んでいる。
【0003】
具体的には、(1)印刷の前処理装置(以下、単に「前処理装置」という)が、印刷の後処理装置(以下、単に「後処理装置」という)の仕様を考慮して面付けをする。(2)次いで、前処理装置は、この面付けに対応する後処理指示情報を生成するとともに後処理装置が解析可能な共通のフォーマットに変換する。(3)後処理装置は、変換された後処理指示情報に従って、後処理を行う。これにより、後処理前に大幅な省力化を図ることができる。このフォーマットとして、例えば、JDF(Job Definition Format)が製本加工業界において利用されている。
【0004】
しかしながら、後処理指示情報のパラメータが後処理装置の仕様を満たしておらず、後処理装置が印刷されたシートを後処理できない場合があった。そこで、生成された後処理指示情報が後処理装置の仕様を満たしているか否かを判定するとともに、適合していない場合には、後処理装置の仕様を満たすように面付けを変更する装置が開発されてきた。
【0005】
例えば、特許文献1に開示の画像処理装置は、面付け情報解析手段によって面付けを解析し、機能取得手段によって後処理装置の仕様を取得し、面付けに基づいて印刷されたシートを後処理装置が後処理することができない場合に、面付け情報変更手段によって、後処理装置が印刷されたシートを後処理することができるように面付けを変更する。これにより、後処理装置が印刷されたシートを後処理できないという問題が解決される。
【0006】
ところが、後処理装置の仕様を満たすように面付けが変更されたとしても、適切に製本が行われない問題がある。具体的には、例えば、変更された面付けに対応する後処理指示情報に従って後処理装置により後処理が行われたが、面付けにおけるカバーと本身との位置関係が適切でなかったために、本身がカバーからはみ出た状態で後処理が行われたり、本の仕上がりが悪く本の中身がばらける可能性が高かったりすることがあった。すなわち、後処理装置の仕様を満たしているか否かの判定では、後処理指示情報が後処理の仕上がりに対して適切であるか否かを判定することができない。また、役割の異なる複数の後処理装置によって複数の後処理を行うことにより、非常に多くの種類の製本を行う場合に、前処理においてそれら製本における後処理のパラメータの全てを考慮することは、難しく実現できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-79673
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、前処理装置によって生成された後処理指示情報が後処理装置における後処理の仕上がりに対して適切であるか否かを判定することができる判定装置および判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る判定装置は、
印刷の後処理の加工ノウハウに基づいて定められた後処理装置の加工ルールが記憶されている第1記憶部と、
第1ネットワークを介して新しい加工ルールの追加、既存の加工ルールの変更および既存の加工ルールの削除の入力を受ける入力部と、
前処理装置によって生成された後処理指示情報が加工ルールを満たしているか否かを判定する判定部と、を備え、
第1記憶部に記憶されている加工ルールは、入力部が受けた入力によって、更新されることを特徴とする。
【0010】
上記判定装置は、好ましくは、
後処理装置の仕様が記憶された第2記憶部と、
後処理装置の仕様の変更の入力を受ける入力部と、をさらに備え、
第2記憶部に記憶されている後処理装置の仕様が、入力された仕様に更新され、
判定部が、さらに、後処理指示情報が後処理装置の仕様に適合しているか否かを判定する。
【0011】
上記判定装置は、好ましくは、
第2ネットワークを介して前処理装置と通信可能であって、前処理装置から後処理指示情報を受信すると、当該後処理指示情報が加工ルールを満たしているか否かを判定する。
【0012】
上記判定装置は、好ましくは、
第1ネットワークを介して後処理装置と通信可能であって、後処理装置に仕様の変更があったとき、後処理装置から仕様の変更が入力され、第2記憶部に記憶されている後処理装置の仕様が更新される。
【0013】
上記判定装置は、好ましくは、
判定される後処理指示情報が、後処理装置のうち、断裁部、折り部、丁合部、ミーリング部、糊付け部、綴じ部、くるみ部、仕上げ断裁部のうちの少なくとも1つに対する指示情報を含む。
【0014】
上記判定装置は、好ましくは、
前処理装置が、
前処理指示情報が入力される前処理入力部と、
後処理装置の仕様が記憶されている前処理記憶部と、
前処理指示情報と後処理装置の仕様とに基づいて、面付けを行う面付け部と、
行われた面付けと、後処理装置の仕様と、前処理指示情報とに基づいて、後処理装置への後処理指示情報を生成する後処理指示生成部と、を備える。
【0015】
上記判定装置は、好ましくは、
加工ルールが、(1)カバーと本身との大きさの差が所定の範囲内であるか否か、(2)面付けにおける裁ち落とし領域の幅が所定の範囲内であるか否か、(3)背幅とミーリング幅との差が所定の範囲内であるか否か、(4)面付けにおけるページ間の配置が所定の配置であるか否か、の少なくとも1つを規定している。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係る判定プログラムは、
コンピュータを上記判定装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る判定装置は、前処理装置によって生成された後処理指示情報が後処理装置における後処理の仕上がりに対して適切であるか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る判定装置が利用された製本に関する加工システム全体の概略図である。
図2図1に示した判定装置のハードウェア構成を示す図である。
図3図1に示した前処理装置の機能ブロック図および判定装置の機能ブロック図である。
図4図1に示した第1記憶部に記憶されている加工ルールの一例である。
図5図1に示した判定装置の判定動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る判定装置1が利用された製本に関する加工システム全体の概略図である。加工システムは、前処理装置2と、印刷装置3と、後処理装置4と、を備える。前処理装置2、印刷装置3および後処理装置4は、物理的に接続されていなくてもよいし、インラインで接続されていてもよい。
【0021】
前処理装置2は、コンピュータなどによって構成されており、第2ネットワークN2を介して判定装置1と互いに通信可能である。前処理装置2は、後で詳述するように、前処理指示情報が入力されると、面付けを行うとともに、印刷指示情報および後処理指示情報を生成する。印刷指示情報および後処理指示情報は、共通のフォーマット(例えば、JDF)に変換される。前処理装置2は、第2ネットワークN2を介して後処理指示情報を判定装置1に送信する。
【0022】
図2に示すように、判定装置1は、コンピュータCによって構成されている。コンピュータCは、通信部C1と、制御部C2と、メモリC3と、記憶手段C4と、を有する。記憶手段C4は、ハードディスクなどからなり、OSと、判定プログラムと、後処理装置4の加工ルールがデータベース化された第1データベースと、後処理装置4の仕様がデータベース化された第2データベースと、が記憶されている。記憶手段C4は、例えば、複数のハードディスクにより構成されていてもよい。制御部C2は、中央演算装置(CPU:central processing unit)によって構成されており、判定プログラムを動作させる。判定プログラムは、コンピュータCを判定装置1として機能させる。
【0023】
判定装置1は、通信部C1によって後処理指示情報Jを受信すると、後処理指示情報Jを解析するとともに、後処理指示情報Jが後処理装置4の仕様を満たすかなどを判定する。判定装置1が行う判定については、後で詳述する。
【0024】
後処理指示情報は、判定結果が好ましくない場合、当該判定結果に基づき前処理装置2によって改めて生成される。改めて生成された後処理指示情報は、再び判定装置1に送信されるとともに、改めて判定される。後処理指示情報は、判定結果が好ましい場合、後処理装置4に渡される。また、印刷指示情報は、後処理指示情報の判定結果が好ましい場合、印刷装置3に渡され、後処理指示情報の判定結果が好ましくない場合、前処理装置2によって改めて生成される。
【0025】
印刷装置3は、印刷指示情報が入力されると、印刷指示情報に従って印刷用シートを印刷する。印刷されたシートは、後処理装置4に渡される。
【0026】
後処理装置4は、断裁部、折り部、丁合部、ミーリング部、綴じ部、くるみ部、仕上げ断裁部などの製本に関する加工部(図示略)と、通信部(図示略)とを有する。各加工部は、独立していてもよいし、インラインで接続されていてもよい。後処理装置4は、第1ネットワークN1を介して判定装置1と通信可能である。断裁部は、スリット、型抜き断裁、平断裁または抜き断裁を行う加工部を含む。綴じ部は、中綴じ、または平綴じを行う加工部を含む。
【0027】
後処理装置4は、後処理指示情報に従って、渡された印刷済みシートを加工する。後処理装置4は、例えば、加工対象が無線綴じの冊子の場合、折り、丁合、綴じ、糊付け、表紙付け、断裁を行う。
【0028】
図3は、前処理装置2の機能ブロック図および判定装置1の機能ブロック図である。図3に示すように、前処理装置2は、前処理入力部20と、前処理記憶部21と、面付け部22と、印刷指示生成部23と、後処理指示生成部24と、フォーマット変換部25と、通信部(図示略)と、を備える。
【0029】
前処理入力部20は、印刷装置3の仕様および後処理装置4の仕様S1が入力される。なお、前処理入力部20に入力される後処理装置4の仕様S1は、第2記憶部11(図3参照)に記憶されている後処理装置4の仕様S2と異なってもよい。入力された印刷装置3の仕様および後処理装置4の仕様S1は、前処理記憶部21に記憶される。印刷装置3および後処理装置4は、例えば、各装置固有の「シリアル番号」で管理されてもよい。前処理入力部20は、さらに、前処理指示情報が入力される。前処理指示情報は、例えば、印刷仕様書といった面付けに必要な素材データ、製品の仕様に関する情報、ならびに当該製品に使用される印刷装置3および後処理装置4のそれぞれのシリアル番号が含まれている。
【0030】
面付け部22は、前処理入力部20に入力された前処理指示情報、ならびに前処理記憶部21に記憶されている、前処理指示情報のシリアル番号に係る印刷装置3の仕様および後処理装置4の仕様S1に基づいて、面付けを行う。面付け部22は、例えば、前処理指示情報ならびに印刷装置3の仕様および後処理装置4の仕様S1に基づいて、ページごとにページのサイズ、向き、裁ち落としの大きさを変更したり、クリープ幅およびミーリング幅を想定してページの位置を移動してもよい。さらに、面付け部22は、シートに対して、ページを配置するとともに、印刷および後処理に必要なコントロールストリップ、レジスターマーク、背標、背丁などの情報を配置してもよい。次いで、面付け部22は、なされた面付けの情報(以下、「面付け情報」という)を印刷指示生成部23および後処理指示生成部24に出力する。
【0031】
印刷指示生成部23は、前処理指示情報、面付け情報および前処理記憶部21に記憶されている、前処理指示情報のシリアル番号に係る印刷装置3の仕様に基づいて、印刷指示情報を生成する。次いで、印刷指示生成部23は、印刷指示情報をフォーマット変換部25に出力する。
【0032】
後処理指示生成部24は、前処理指示情報、面付け情報、および前処理指示情報のシリアル番号に係る後処理装置4の仕様S1に基づいて、後処理指示情報を生成する。後処理指示情報には、製品を加工する後処理装置4のシリアル番号といった識別子情報も含まれている。次いで、後処理指示生成部24は、後処理指示情報をフォーマット変換部25に出力する。
【0033】
フォーマット変換部25は、入力された印刷指示情報および後処理指示情報を印刷装置3および後処理装置4が読み取り可能な共通のフォーマットに変換する。
【0034】
変換された後処理指示情報は、通信部によって第2ネットワークN2を介して判定装置1に送信される。
【0035】
判定装置1は、第1記憶部10と、第2記憶部11と、判定部12と、入力部13と、を備える。第1記憶部10には、後処理装置4の加工ルールがデータベース化され、第1データベースとして記憶されている。加工ルールは、後処理に係る加工ノウハウに基づいて定められている。また、加工ルールのうち後処理装置4の仕様S2と同様の加工ルールは、除かれてもよい。第2記憶部11には、後処理装置4の仕様S2がデータベース化され、第2データベースとして記憶されている。判定装置1は、第1ネットワークN1を介する通信によって後処理装置4に接続されている。
【0036】
後処理装置4は、ハードもしくはソフトまたはその両方の追加、削除によって機能の追加、削除が行われることにより、仕様が変更されることがある。しかしながら、例えば、上記特許文献1の開示の画像処理装置では、機能取得手段が後処理装置4のバージョンアップやオプション装置の有無による仕様変更に対して柔軟に対応できない。そこで、後処理装置4は、仕様が変更されると、自動的にその変更内容が判定装置1に送信されるよう構成されている。入力部13は、通信部によって受信した仕様の変更の入力を受ける。判定装置1は、入力された仕様の変更内容に基づいて、第2データベースを更新する。これにより、判定装置1が参照する後処理装置4の仕様S2は、最新の状態に保たれている。
【0037】
加工ルールは、後処理に係る加工ノウハウに基づいて定められた、後処理の仕上がりに好ましいルールである。加工ノウハウは、日々蓄積されていくものであって、加工ルールは、新たな加工ノウハウに基づいて変更される。そして、第1ネットワークN1を介して新しい加工ルールの追加、既存の加工ルールの変更および既存の加工ルールの削除の入力がなされることにより、第1データベースに記憶されている加工ルールが変更される。
【0038】
また、加工ノウハウは、過去に行われた後処理の際の後処理装置4の設定と、その設定により加工された仕上がり品の状態と、に基づいて蓄積されてもよい。例えば、後処理による製本の仕上がりが好ましかった場合には、その仕上がりに係る後処理装置4の設定が好ましい設定として加工ノウハウに追加されてもよい。そして、追加された加工ノウハウに基づいて、既存の加工ルールが更新されるか、または新たな加工ルールが追加されてもよい。さらに、例えば、後処理による製本の仕上がりが好ましくなかった場合には、その仕上がりに係る後処理装置4の設定が好ましくない設定として加工ノウハウに追加されてもよい。そして、当該好ましくない設定が加工ルールの範囲外になるように、既存の加工ルールが更新されるか、または既存の加工ルールが削除されてもよい。
【0039】
製品の仕上がりが好ましいか否かについては、例えば、歩留まりの値に基づいて定めてもよいし、良品と判定された仕上がり品を強度計算し、その結果に基づいて定めてもよい。また、紙の種類や厚みごとに製品の仕上がりを判断してもよい。
【0040】
図3に示すように、加工ルールは、例えば、保守管理者PがパーソナルコンピュータC10などを使用することによって入力されてもよい。入力された加工ルールは、第1ネットワークN1を介して判定装置1に送信され、入力部13が加工ルールの入力を受ける。入力された加工ルールは、第1データベースに蓄積および更新されてもよい。加工ルールは、例えば、(1)カバーと本身との大きさの差が所定の範囲内であるか否か、(2)面付けにおける裁ち落とし領域の幅が所定の範囲内であるか否か、(3)背幅とミーリング幅との差が所定の範囲内であるか否か、(4)面付けにおけるページ間の配置が所定の配置であるか否か、について規定している。加工ルールは、上記ルールのうちの少なくとも1つを規定していてもよい。
【0041】
図4に示すように、例えば、折り部におけるルールの一例として、(1)カバー幅は、本身幅よりも1mmを超えて大きく、本身幅に3mm足した大きさよりも小さいこと、と規定されている。また、断裁部におけるルールの一例として、(2)仕上げ前のカバーの幅は、仕上げ後のカバーの幅よりも1mmを超えて大きく、仕上げ後のカバーの幅に5mm足した大きさよりも小さいこと、と規定されている。また、ミーリング部におけるルールの一例として、(3)背幅は、ミーリング幅よりも1mmを超えて大きく、ミーリング幅に3mmを足した大きさよりも小さいこと、と規定されている。
【0042】
このような加工ルールは、後処理装置4の仕様により異なるので、後処理装置4の固有の識別子、例えば、シリアル番号などによって後処理装置4ごとに記憶されるか、もしくは同様の仕様ごとに記憶されるか、またはその両方であってもよい。
【0043】
判定部12は、受信した後処理指示情報が後処理装置4の仕様S2に適合している否かを判定する。以下、図5を参照しつつ説明する。
【0044】
(1)判定部12は、後処理指示情報を参照し、いずれの後処理装置4を対象としているのかを特定する(S51)。
【0045】
(2)次いで、第2データベース内の特定された後処理装置4の仕様S2を参照し、後処理指示情報が、後処理装置4の仕様S2を満たしているか否かを判定する(S52)。具体的には、判定部12は、後処理装置4が実行不可能な処理を含んでいるか否かを判定する。例えば、判定部12は、後処理指示情報によって指示された筋入れの回数を、後処理装置4が筋入れすることができない場合には、後処理指示情報が後処理装置4の仕様S2を満たしていないと判定する。また、判定部12は、例えば、後処理指示情報が後処理装置4の可動域を超えるパラメータを含んでいるか否かを判定する。判定部12は、第2データベースが後処理装置4の仕様の変更に応じて自動的に更新されるので、後処理装置4の最新の仕様S2に基づいて、後処理指示情報を判定することができる。
【0046】
(3)判定部12は、受信した後処理情報が後処理装置4の加工ルールを満たすか否かを判定する(S53)。判定部12は、例えば、後処理指示情報に含まれる仕上げ前のカバーの幅が加工ルールの範囲内であるか否か、面付けにおけるページ全体の相対的な位置が加工ルールの範囲内であるか否かなどを判定する。
【0047】
(4)前処理装置2は、判定部12によって後処理指示情報が後処理装置4の仕様S2もしくは加工ルールまたはその両方を満たさないと判定された場合に、当該判定結果に基づいて、改めて面付けを行う(S54)。このとき、面付け部22は、例えば、判定結果に基づいて、先の面付けからページごとの裁ち落としの大きさを変更したり、ページの位置を移動してもよいし、シートに対するレジスターマーク、背標、背丁などの配置を変更してもよい。面付け部22は、この面付け情報を後処理指示生成部24に出力する。
【0048】
(5)後処理指示生成部24は、改めて後処理指示情報を生成する(S55)。後処理指示生成部24は、前処理指示情報、面付け情報および前処理記憶部21に記憶されている後処理装置4の仕様S1および判定部12の判定結果に基づいて、後処理指示情報を生成してもよい。次いで、後処理指示生成部24は、後処理指示情報をフォーマット変換部25に出力する。
【0049】
(6)改めて生成された後処理指示情報は、フォーマット変換部25によってフォーマット変換された後、判定装置1に送信される(S56)。
【0050】
(7)後処理指示情報は、判定部12によって後処理装置4の仕様S2および加工ルールを満たすと判定されると、後処理装置4に渡される(S57)。
【0051】
このように、後処理指示情報が判定装置1によって後処理装置4の仕様S2および加工ルールを満たすと判定されるように変更されるので、後処理装置4が実行不可能な後処理指示を受けたことを原因として、後処理が停止させられることが防止され、しかも、後処理装置4のオペレータのスキルの高さに関わらず、仕上がりのよい製本が行われる。
【0052】
以上、本発明に係る判定装置1の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、例えば、以下の態様において実施されてもよい。
【0053】
第1データベースおよび第2データベースは、例えば、コンピュータCから物理的に分離された別の記憶手段によって記憶されていてもよい。この場合、コンピュータCは、この記憶手段C4と無線または有線によって通信することにより、第1データベースおよび第2データベースにアクセスする。
【0054】
判定部12によって判定される後処理指示情報は、断裁部、折り部、丁合部、ミーリング部、糊付け部、綴じ部、くるみ部、仕上げ断裁部のうちの少なくとも1つに対する指示情報が含まれていればよく、全ての加工部に対する後処理指示情報が判定されなくてもよい。
【0055】
判定装置1は、判定部12によって後処理指示情報が後処理装置4の仕様S2もしくは加工ルールまたはその両方を満たさないと判定された場合に、判定結果を該当の仕様および加工ルールのパラメータとともに通知してもよい。
【0056】
また、判定装置1は、判定部12によって後処理指示情報が後処理装置4の仕様S2もしくは加工ルールまたはその両方を満たさないと判定された場合に、どのように面付けを改めればよいのかを判定結果とともに通知してもよい。
【0057】
後処理装置4の仕様の変更は、例えば、加工ルールのように、保守管理者PによってパーソナルコンピュータC10が使用されることによって入力されてもよい。この場合、入力された後処理装置4の仕様の変更は、第1ネットワークN1を介して判定装置1に送信され、入力部13がこの後処理装置4の仕様の変更の入力を受ける。
【0058】
入力部13は、本発明の加工ルールの入力を受ける入力部と、後処理装置4の仕様の変更の入力を受ける入力部とを兼ねているが、当該両入力部は、別個に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 判定装置
10 第1記憶部
11 第2記憶部
12 判定部
13 入力部
2 前処理装置
20 前処理入力部
21 前処理記憶部
22 面付け部
23 印刷指示生成部
24 後処理指示生成部
25 フォーマット変換部
3 印刷装置
4 後処理装置
C1 通信部
C2 制御部
C3 メモリ
C4 記憶手段
C10 パーソナルコンピュータ
N1 第1ネットワーク
N2 第2ネットワーク
P 保守管理者
図1
図2
図3
図4
図5