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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】窓ガラスへのシート部材の貼付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/24 20060101AFI20231204BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20231204BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
E06B9/24 Z
E06B5/00 C
E06B3/70 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023557784
(86)(22)【出願日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2023028518
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2022169594
(32)【優先日】2022-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392004945
【氏名又は名称】株式会社ナム
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸佳
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-155681(JP,A)
【文献】実開昭60-26919(JP,U)
【文献】登録実用新案第3228040(JP,U)
【文献】登録実用新案第3020076(JP,U)
【文献】登録実用新案第3217401(JP,U)
【文献】特開2009-221826(JP,A)
【文献】特開2022-101072(JP,A)
【文献】登録実用新案第3179999(JP,U)
【文献】特開2016-50467(JP,A)
【文献】特開2005-264701(JP,A)
【文献】特開2014-8774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/70
E06B 5/00
E06B 3/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスの表面にシート部材を貼付するための貼付構造であって、
窓ガラスの表面に、窓の障子の両側の縦框に沿って取り付けられる第一の磁石片又は磁性体片と、シート部材の両側に取り付けられる、第一の磁石片又は磁性体片に磁着する第二の磁石片又は磁性体片とを備えてなることを特徴とする窓ガラスへのシート部材の貼付構造。
【請求項2】
前記シート部材が、上下方向に分割されてなり、かつ、該分割された上下のシート部材が重なり部分を設けて窓ガラスの表面に貼付されるようにしてなることを特徴とする請求項1に記載の窓ガラスへのシート部材の貼付構造。
【請求項3】
前記シート部材が、袋状をしてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の窓ガラスへのシート部材の貼付構造。
【請求項4】
前記第一の磁石片及び第二の磁石片が、長さ方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の窓ガラスへのシート部材の貼付構造。
【請求項5】
前記第一の磁石片及び第二の磁石片が、幅方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の窓ガラスへのシート部材の貼付構造。
【請求項6】
前記第一の磁石片又は磁性体片を、クレセント受けの位置には設けないようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の窓ガラスへのシート部材の貼付構造。
【請求項7】
前記クレセント受けの位置には設けないようにした第一の磁石片が、長さ方向に所定間隔で極性が交互に変化するものであり、かつ、非連続部を挟んだ上下の第一の磁石片の極性の連続性が保持されるようにしたことを特徴とする請求項6に記載の窓ガラスへのシート部材の貼付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラスの表面にシート部材を貼付するための貼付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭やオフィス等の建物の窓ガラスに、遮光やプライバシーの保護を目的として遮光シートを貼付することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載される遮光シートは、アルミ蒸着等の金属蒸着膜を半透明の状態に形成したポリエステルフィルムの片面にポリ塩化ビニル樹脂シート層が一体に積層され、ポリ塩化ビニル樹脂シート層上に弱接着性の粘着剤層が設けられて構成されている。
【0004】
上記のような構成の遮光シートにおいては、遮光シートを粘着剤層を介して窓ガラスに貼付するようにしているため、貼付する際に遮光シートに皺が発生したり、貼付け途中や貼付け後に窓ガラスと遮光シートの中間に空気溜まりが発生しやすいという問題があった。また、貼り直しが困難で、遮光度合いの調整を行いにくいという問題や目隠し状態にシートを貼付した場合、外の様子を簡単に確認することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭57-050341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなしたものであり、窓ガラスの表面にシート部材を皺や空気溜まりを発生させることなくきれいに貼付することができ、併せて、貼り直しが容易で、遮光度合いや目隠し位置の調整等を行うことができる窓ガラスへのシート部材の貼付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するための本発明に係る窓ガラスへのシート部材の貼付構造は、
窓ガラスの表面にシート部材を貼付するための貼付構造であって、
窓ガラスの表面に、窓の障子の両側の縦框に沿って取り付けられる第一の磁石片又は磁性体片と、シート部材の両側に取り付けられる、第一の磁石片又は磁性体片に磁着する第二の磁石片又は磁性体片とを備えてなることを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記シート部材が、上下方向に分割されてなり、かつ、該分割された上下のシート部材が重なり部分を設けて窓ガラスの表面に貼付されるようにしてなることができる。
【0009】
また、前記シート部材が、袋状をしてなることができる。
【0010】
また、前記第一の磁石片及び第二の磁石片が、長さ方向又は幅方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたものとすることができる。
【0011】
また、前記第一の磁石片又は磁性体片を、クレセント受けの位置には設けないようにすることができる。
【0012】
また、前記クレセント受けの位置には設けないようにした第一の磁石片が、長さ方向に所定間隔で極性が交互に変化するものであり、かつ、非連続部を挟んだ上下の第一の磁石片の極性の連続性が保持されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る窓ガラスへのシート部材の貼付構造は、窓ガラスの表面に、窓の障子の両側の縦框に沿って第一の磁石片又は磁性体片を取り付け、シート部材の両側に取り付けた、第一の磁石片又は磁性体片に磁着する第二の磁石片又は磁性体片を介して、シート部材を窓ガラスの表面に貼付することができる。これにより、窓ガラスの表面にシート部材を皺や空気溜まりを発生させることなくきれいに貼付することができ、併せて、一旦貼付したシート部材を剥がしたり、貼り直しを容易に行うことができ、遮光度合いや目隠し位置の調整等を容易に行うことができる。
【0014】
また、シート部材が、上下方向に分割されてなり、かつ、該分割された上下のシート部材が重なり部分を設けて窓ガラスの表面に貼付されるようにすることにより、遮光度合いや目隠し位置の調整等を容易に行うことができる。
【0015】
また、シート部材が、袋状をしてなるようにすることにより、シート部材に収納機能を持たせることができ、例えば、袋状にしたシート部材にポスターや写真等の掲示物を収容して、掲示することができる。
【0016】
また、第一の磁石片及び第二の磁石片が、長さ方向又は幅方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたものとすることにより、大きな磁着力を得ることができる。
【0017】
また、第一の磁石片又は磁性体片を、クレセント受けの位置には設けないようにすることにより、クレセント受けに干渉することなく、シート部材に取り付けた、第一の磁石片又は磁性体片に磁着する第二の磁石片又は磁性体片を介して、シート部材を窓ガラスの表面に貼付することができる。
【0018】
また、クレセント受けの位置には設けないようにした第一の磁石片が、長さ方向に所定間隔で極性が交互に変化するものであり、かつ、非連続部を挟んだ上下の第一の磁石片の極性の連続性が保持されるようにすることにより、第一の磁石片により、安定した磁着力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の窓ガラスへのシート部材の貼付構造の一実施例を示す説明図である。
図2】同窓ガラスへのシート部材の貼付構造に用いる第一の磁石片及び第二の磁石片を示し、(a)は長さ方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたもの、(b)は幅方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたものを示す説明図である。
図3】同窓ガラスへのシート部材の貼付構造に用いる第一の磁石片及び第二の磁石片の関係を示す説明図である。
図4】同窓ガラスへのシート部材の貼付構造に用いる第一の磁石片及び第二の磁石片並びに磁性体片の関係を示す説明図である。
図5】同窓ガラスへのシート部材の貼付構造を、シート部材に薄い合成樹脂フィルム等を用いる場合に適用した例を示す説明図である。
図6】同窓ガラスへのシート部材の貼付構造を、シート部材に袋状をしたシート部材を用いる場合に適用した例を示す説明図である。
図7】同窓ガラスへのシート部材の貼付構造を、シート部材に影絵シートを積層したシート部材を用いる場合に適用した例を示す説明図である。
図8】同窓ガラスへのシート部材の貼付構造を、シート部材に影絵シートを積層したシート部材を用いる場合に適用した例を示す説明図である。
図9】同窓ガラスへのシート部材の貼付構造を、クレセント受けの位置に適用した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の窓ガラスへのシート部材の貼付構造の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に、本発明の窓ガラスへのシート部材の貼付構造の一実施例を示す。
この窓ガラスへのシート部材の貼付構造は、窓ガラスGの表面にシート部材1を貼付するための貼付構造であって、窓ガラスGの表面に、窓の障子Sの両側の縦框Fに沿って取り付けられる第一の磁石片2と、シート部材1の両側に取り付けられる、第一の磁石片2に磁着する第二の磁石片3とを備えるようにしている。
【0022】
窓ガラスGとしては、家庭、オフィス、その他の建築物等の窓ガラスが挙げられる。
【0023】
この場合において、シート部材1は、窓ガラスGと同じ大きさの1枚のシート部材1で構成するほか、上下方向に分割した複数枚のシート部材1で構成し(本実施例においては、上下方向に2分割した2枚のシート部材1で構成しているが、3分割以上とすることもできる。)、かつ、分割された上下のシート部材1が重なり部分を設けて窓ガラスGの表面に貼付されるようにしている。
【0024】
シート部材1は、遮光や目隠し等の目的に応じて、不透明又は半透明であり、任意の遮光率を備えた、布、不織布、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂フィルム、合成樹脂シートや合成樹脂板のいずれかを有することが好ましく、これらの中でも布や不織布が特に好ましい。布や不織布には、メッシュ状のシートを使用してもよい。合成樹脂フィルム、合成樹脂シートや合成樹脂板には、すりガラス調等の半透明印刷、メッシュ・ドット・チェック・ストライプ等の部分印刷を施してもよい。シート部材1の色彩は、白色、ピンク、クリーム色、水色等の明るい色が好ましく、白色が特に好ましい。このような素材や色彩で構成することにより、遮光性やプライバシー保護の機能が発揮され、さらにシート部材1を昼間に室内から見たときには、太陽光により全体的に白っぽく見え、夜間には外の色の変化の影響により濃紺色や群青色等の黒っぽい色に見えるため、室内外の明るさの違いで明暗が逆転するように見ることができる。また、白色の布や不織布を用いることにより、室内が暗くなりすぎない程度に光を室内に取り入れることが可能であるため、レースカーテンの代わりにすることができる。
シート部材1の遮光率は、例えば、40%~85%に構成するようにする。
また、シート部材1は窓ガラスGの表面の全体に貼付されているが、シート部材1の大きさや貼付位置は特に限定されず、遮光や目隠しをしたい範囲に応じて適宜設定すればよい。
そして、シート部材1を、上下方向に分割した複数枚のシート部材1で構成し、かつ、分割された上下のシート部材1が重なり部分を設けて窓ガラスGの表面に貼付されるようにすることにより、遮光度合いや目隠し位置の調整等を容易に行うことができる。
【0025】
第一の磁石片2及び第二の磁石片3には、幅5~30mm、厚さ1~2mm程度のゴム磁石等の磁石片を用い、窓ガラスGやシート部材1に粘着テープ、粘着剤等の任意の固着手段によって取り付けるようにする。
【0026】
この場合、第一の磁石片2及び第二の磁石片3は、好ましくは、図2に示すように、長さ方向(図2(a))又は幅方向(図2(b))に所定間隔、例えば、1mm~30mm程度、好ましくは、1mm~10mm程度、より好ましくは、2mm~5mm程度の間隔で極性が交互に変化するようにしたものを用いることができる。
ここで、第一の磁石片2に2つの第二の磁石片3を重ねて磁着する場合は、図3に示すように、対向する磁石片の極性が異なる位置で磁着させることができる。
これにより、第一の磁石片2と第二の磁石片3を磁着する際に大きな磁着力を得ることができる。特に、図2(a)に示すように、第一の磁石片2及び第二の磁石片3に、長さ方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたものを用いることにより、極性が変化する間隔×2の寸法を単位として、シート部材1の貼付位置をスライドさせることができ、また、シート部材1を、上下方向に分割した複数枚のシート部材1で構成した場合に、分割された上下のシート部材1の重なり部分の磁着力を維持することができる。また、図2(b)に示すように、第一の磁石片2及び第二の磁石片3に、幅方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたものを用いることにより、図2(a)の場合と比較して磁着力が若干低下するものの、シート部材1の貼付位置を無段階でスライドさせることができる。
なお、第一の磁石片2及び第二の磁石片3には、フェライト磁石を用いたものの外、より磁着力の大きなネオジム磁石を用いたもの等を用いることができる。
また、第一の磁石片2及び第二の磁石片3には、磁極の極性が分かるように、磁極の表示や色分けを印刷等により施すことができる。
【0027】
また、第一の磁石片2及び第二の磁石片3の厚みによって、窓ガラスGとシート部材1の間に空間が形成されるが、この空間を密閉するために、シート部材1の上下端に(又は窓ガラスGの表面の窓の障子Sの上下框に沿って)密閉片4を取り付けることができる。
ここで、密閉片4には、発泡樹脂等の断熱素材や第一の磁石片2及び第二の磁石片3と同様のものを用いることができる。
これにより、窓ガラスGとシート部材1の間に形成される空間を、断熱空間とし、結露の発生を防止することができる。
【0028】
このように、窓ガラスGの表面に、窓の障子Sの両側の縦框Fに沿って第一の磁石片2を取り付け、シート部材1の両側に取り付けた、第一の磁石片2に磁着する第二の磁石片3を介して、シート部材1を窓ガラスGの表面に貼付することにより、窓ガラスGの表面にシート部材1を皺や空気溜まりを発生させることなくきれいに貼付することができ、併せて、一旦貼付したシート部材1を剥がしたり、貼り直しを容易に行うことができ、遮光度合いや目隠し位置の調整等を容易に行うことができる。
【0029】
ところで、本実施例においては、窓ガラスGの表面にシート部材1を貼付するために、ゴム磁石等の磁石片からなる第一の磁石片2及び第二の磁石片3を用いるようにしたが、その一部を鉄板等の磁性体片で代替することができる。
図4(b)は、図4(a)に示す第一の磁石片2に代えて、磁性体片2Aを用いた例であり、図4(c)及び(d)は、図4(a)に示す第二の磁石片3に代えて、磁性体片3Aを用いた例である。
【0030】
ところで、シート部材1に薄い合成樹脂フィルム等を用いた場合、シート部材1の張力が不足して、シート部材1に皺や弛みが発生しやすくなるという問題があった。
この問題を解消するためのシート部材1の貼付方法について、図5に基づいて説明する。
まず、図5(a)に示すように、窓ガラスGの表面に、窓の障子Sの両側の縦框Fに沿って、第一の磁石片2を取り付けるとともに、シート部材1の両側に取り付けられる第二の磁石片3を第一の磁石片2に磁着させる。
このとき、図5(b)に示すように、第二の磁石片3のうちの一方は、縦框Fとの間に、図5(c)に示す、数mm角の棒状のスペーサ3Bを介在させることにより、内方に磁着させる。
この状態で、第二の磁石片3にシート部材1を張った状態で取り付ける。このとき、シート部材1を窓の障子Sの上框(又は下框)に粘着テープを用いて仮止めすることで、取付作業を円滑に行うことができる。
次に、スペーサ3Bを外して、第一の磁石片2に磁着する第二の磁石片3を介して、シート部材1を窓ガラスGの表面に貼付する。
これにより、図5(d)に示すように、第一の磁石片2及び第二の磁石片3に、幅方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたものを用いた場合は、第一の磁石片2から第二の磁石片3に対して、第二の磁石片3を外方(縦框Fの方向)へ移動しようとする磁力が働き、シート部材1に張力がかかることで、シート部材1に皺や弛みが発生することを防止することができる。
一方、図5(e)に示すように、第一の磁石片2及び第二の磁石片3に、長さ方向に所定間隔で極性が交互に変化するようにしたものを用いた場合は、図5(d)のような、第二の磁石片3を外方(縦框Fの方向)へ移動しようとする磁力は働かないが、シート部材1に張力がかかることで、シート部材1に皺や弛みが発生することを防止することができる。
また、図5(b)に示す工程で、スペーサ3Bを用いることに代えて、図5(f)に示すように、予めハーフカット等の切取線32を入れた所定寸法より数mm幅広の第二の磁石片3を用い、この第二の磁石片3にシート部材1を張った状態で取り付け、次に、切取線32の部分を切除することで所定寸法にして、第一の磁石片2に磁着する第二の磁石片3を介して、シート部材1を窓ガラスGの表面に貼付するようにすることもできる。
なお、図5(d)及び(f)において、第一の磁石片2及び第二の磁石片3は、それぞれ粘着層21、31を介して、窓ガラスG又はシート部材1に取り付けるようにしている。
【0031】
また、本発明の窓ガラスへのシート部材の貼付構造において、図6に示すように、シート部材1に、合成樹脂フィルム、合成樹脂シートや合成樹脂板を袋状に形成したシート部材1を用いることができる。
具体的には、シート部材1に、例えば、上部を開口した袋状をしたシート部材1を用い、第一の磁石片2に磁着する第二の磁石片3を介して、シート部材1を窓ガラスGの表面に貼付するようにする。
これにより、シート部材1に収納機能を持たせることができ、例えば、袋状にしたシート部材1にポスターや写真等の掲示物を収容して、室内(又は室外)に向けて掲示することができる。
ここで、袋状にしたシート部材1にポスターや写真等の掲示物を収容する場合は、少なくとも掲示側のシート部材は、透明の合成樹脂フィルム、合成樹脂シートや合成樹脂板を用いるようにする。
【0032】
また、本発明の窓ガラスへのシート部材の貼付構造において、図7及び図8に示すように、シート部材1に影絵のような意匠性を持たせることができる。
具体的には、まず、図7(a)及び図8(a)に示すように、窓ガラスGの表面に、窓の障子Sの両側の縦框Fに沿って、第一の磁石片2を取り付ける。
【0033】
ここで、図9に示すように、第二の磁石片3がクレセント受けLと干渉しないように、クレセント受けLの位置には、第一の磁石片2を設けないようにしてもよい。
これは、窓の障子Sの縦框F(外障子召し合わせ框)には、クレセント受けLが取り付けられているが、当該位置では、窓ガラスGの表面とクレセント受けLとの隙間が、通常、数mm程度と狭いため、第一の磁石片2及び第二の磁石片3の両方を設けることができ
ないため、クレセント受けLの位置には、第一の磁石片2を設けないようにすることで、クレセント受けLに干渉することなく、シート部材1に取り付けた、第一の磁石片2に磁着する第二の磁石片3を介して、シート部材1を窓ガラスGの表面に貼付することができる。
そして、第一の磁石片2が、長さ方向に所定間隔で極性が交互に変化するものである場合は、窓ガラスGの表面に、窓の障子Sの両側の縦框Fに沿って、その全長に亘って、第一の磁石片2を取り付けた後、クレセント受けLの位置の第一の磁石片2を部分的に切除するようにする。これにより、非連続部を挟んだ上下の第一の磁石片2の極性の連続性が保持されるようにすることができ、第一の磁石片2により、安定した磁着力を得ることができる。
【0034】
シート部材1は、図7(b)に示すように、(1)~(4)の4枚のシート(このうち、(2)及び(3)のシートには、影絵シート11を設けるようにしている。)を用いたり、図8(b)に示すように、(1)~(6)の6枚のシート(このうち、(3)及び(6)のシートには、影絵シート11を設けるようにしている。)を用い、各シート部材1の両側に、第一の磁石片2に磁着する第二の磁石片3を取り付けるようにしている。各シート部材1は、例えば、図7(c)及び図8(c)に示す位置に配置することができ(各シート部材1の配置は適宜変更することができる。)、これにより、図7(d)及び図8(d)に示すように、第一の磁石片2に第二の磁石片3を磁着させて、各シート部材1を窓ガラスGに貼付することができる。
【0035】
ここで、影絵シート11は、シート部材1の上から部分的に積層されるもので、シート部材1より遮光率が高く構成されており、遮光率が90%以上に構成されることが好ましく、95%以上に構成されることがより好ましく、98%以上に構成されることが特に好ましい。
影絵シート11は、絵柄、図形、模様及び/又は文字の形に構成されている。具体例としては、人、動物、植物等の絵柄や、円形、星形、ハート形等の図形、チェックやストライプ等の模様等が挙げられる。また、予め形が決まっているものに限らず、使用者が自分で好みの形に切り取ることもできる。影絵シート11がこのような形に構成されていることにより、意匠性を容易に高めることができ、また、窓のサイズや個人の好みに合わせて影絵シート11の形、位置及び組み合わせを自由に変えることが可能なため、意匠の自由度を高めることができる。
影絵シート11をシート部材1の上から部分的に積層することにより、昼間は、太陽光が10000~100000ルクス程度照射するため、シート部材1は白っぽく見え、影絵シート11は濃灰色や黒色に見える。したがって、影絵のような意匠性を得ることができる。夕方からは、太陽光が弱まってくるため、シート部材1は昼間の白っぽい色から青っぽい色に変化する。影絵シート11は、本来の白等の色が見えてくる。夜間には、室内が1000ルクス程度で室内の方が明るくなり、影絵シート11は、本来の白等の色がはっきり現れる。シート部材1は室外の色合いの変化により黒に近い濃紺色や群青色や濃い灰色に変化していく。本実施形態では、シート部材1は白色の薄い不織布を用いているため、シート部材1は白いかすみがかかったように見える。以上のように、室内外の明るさの違いでシート部材1及び影絵シート11の明暗が逆転するように見ることができる。
また、室外から見た場合には、室内とは明暗が逆転して見え、昼間はシート部材1が濃灰色や黒色に見え、影絵シート11が白っぽく見える。夜間には、シート部材1が白っぽく見え、影絵シート11が濃灰色や黒色に見える。したがって、影絵のような意匠性を室外からでも感じることができる。
【0036】
以上、本発明の窓ガラスへのシート部材の貼付構造について、その実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の窓ガラスへのシート部材の貼付構造は、窓ガラスの表面にシート部材を皺や空気溜まりを発生させることなくきれいに貼付することができ、併せて、貼り直しが容易で、遮光度合いや目隠し位置の調整等を行うことができることから、窓ガラスにシート部材を貼付する場合に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 シート部材
11 影絵シート
2 第一の磁石片
2A 磁性体片
3 第二の磁石片
3A 磁性体片
3B スペーサ
21 粘着層
31 粘着層
4 密閉片
F 縦框
G 窓ガラス
L クレセント受け
S 障子
【要約】
窓ガラスの表面にシート部材を皺や空気溜まりを発生させることなくきれいに貼付することができ、併せて、貼り直しが容易で、遮光度合いや目隠し位置の調整等を行うことができる窓ガラスへのシート部材の貼付構造を提供する。
窓ガラスGの表面に、窓の障子Sの両側の縦框Fに沿って取り付けられる第一の磁石片2と、シート部材1の両側に取り付けられる、第一の磁石片2に磁着する第二の磁石片3とを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9