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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】窓ガラス用遮光目隠しシート
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/24 20060101AFI20231204BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20231204BHJP
   B32B 7/04 20190101ALI20231204BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
E06B9/24 A
B32B7/023
B32B7/04
E06B3/70 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023562571
(86)(22)【出願日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2023028512
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2022135580
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022162158
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392004945
【氏名又は名称】株式会社ナム
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸佳
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】実公昭59-38271(JP,Y2)
【文献】特開平8-159821(JP,A)
【文献】特開平11-262966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24
B32B 7/023
B32B 7/04
E06B 3/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスの表面に貼付する遮光目隠しシートであって、
前記窓ガラスに貼付される不透明又は半透明の第一シートと、
前記第一シートの上から部分的に積層される第二シートと、
を備え、
前記第二シートは、前記第一シートより遮光率が高く構成されており、
室内外の明るさの違いで前記第一シート及び前記第二シートの明暗が逆転するように見える窓ガラス用遮光目隠しシート。
【請求項2】
前記第一シートの遮光率が30%~85%に構成されている請求項1に記載の窓ガラス用遮光目隠しシート。
【請求項3】
前記第二シートの遮光率が90%以上に構成されている請求項1に記載の窓ガラス用遮光目隠しシート。
【請求項4】
前記第一シートは、布、不織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂シート、合成樹脂板のいずれかを有する請求項1~3のいずれか一項に記載の窓ガラス用遮光目隠しシート。
【請求項5】
前記第二シートは、絵柄、図形、模様及び/又は文字の形に構成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の窓ガラス用遮光目隠しシート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラスの表面に貼付する遮光目隠しシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭やオフィス等の建物の窓ガラスに、遮光やプライバシーの保護を目的として遮光シートを貼付することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載される遮光シートは、アルミ蒸着等の金属蒸着膜を半透明の状態に形成したポリエステルフィルムの片面にポリ塩化ビニル樹脂シート層が一体に積層され、ポリ塩化ビニル樹脂シート層上に弱接着性の粘着剤層が設けられて構成されている。
【0004】
上記のような構成の遮光シートにおいては、金属蒸着膜の銀色やその他の単一色で構成されるため、意匠性の面で欠けるところがある。また、アルミ蒸着等の金属蒸着膜が形成されたフィルムは銀色等のぎらつきがあり、不快感や違和感を生ずることがある。
このような問題を解決するために、遮光機能を有しつつ、装飾性を高めた装飾用シートが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
特許文献2に記載される装飾用シートは、積層状の多数枚のフィルムからなる多層構造フィルム体の一面側に印刷層が設けられている。さらに、着色透明の第一粘着層と無着色透明の樹脂フィルム層とを順次積層し、第一粘着層の光線透過率を3%~70%となるように設定することで、適度な遮光性を有する。
【0006】
上記のような構成の装飾用シートは、遮光機能を有しつつ、印刷層に任意の文字や図柄を印刷することができるため、従来の遮光機能のみを有する遮光シートと比較して装飾性を向上させることができる。また、遮光に金属蒸着膜を使用していないため、金属色等のぎらつきによる不快感や違和感を生ずることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開昭57-050341号公報
【文献】特開2004-82373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の装飾用シートは、上記の利点を有する反面、着色透明の第一粘着層や無着色透明の樹脂フィルム層により構成されており、印刷層以外は透明であるため、プライバシー保護について何ら考慮されていない。また、特許文献2の装飾用シートは、印刷された文字・図柄を被膜するように流動性のある粘着剤を塗布して第一粘着層を形成し、その上から樹脂フィルム層が積層されているため、窓ガラスのサイズや個人の好みに合わせるため、使用者が後からデザインを変更できるようにすることは考慮されておらず、意匠の自由度が乏しいという問題があった。さらに、特許文献2の装飾用シートは、透過光と反射光により虹のような色や深みのある落ち着いた色を見せ、装飾性を高めているが、光が弱くなる夜間には装飾性が低くなることが考えられる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなしたものであり、適度な遮光性とプライバシー保護の機能があり、意匠の自由度が高く、かつ、昼夜室内外問わず意匠性を感じられる窓ガラス用遮光目隠しシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するための本発明に係る窓ガラス用遮光目隠しシートの特徴構成は、
窓ガラスの表面に貼付する遮光目隠しシートであって、
前記窓ガラスに貼付される不透明又は半透明の第一シートと、
前記第一シートの上から部分的に積層される第二シートと、
を備え、
前記第二シートは、前記第一シートより遮光率が高く構成されており、
室内外の明るさの違いで前記第一シート及び前記第二シートの明暗が逆転するように見えることにある。
【0011】
本構成の窓ガラス用遮光目隠しシートによれば、不透明又は半透明の第一シートを窓ガラスに貼付することで適度な遮光性とプライバシー保護の機能を得ることができる。第一シートの上から第二シートが積層されるが、第二シートの形や位置は、必要に応じて、使用者が自由に決めることができるため、意匠の自由度を高めることができる。また、第二シートは第一シートより遮光率が高く構成されているため、室外の方が明るい昼間に室内から見た場合、第一シートは太陽光により白っぽい色に見える。また、第二シートは第一シートより遮光率が高く構成されているため、黒っぽい色に見える。さらに、室内の方が明るい夜間に室内から見た場合には、第一シートは黒っぽい色に見え、第二シートは本来の白等の色に見える。このように、室内外の明るさの違いで第一シート及び第二シートの明暗が逆転するように見せることができる。また、室外から見たときにも、昼間と夜間で明暗が逆転するように見える。このため、昼夜室内外問わず意匠性を感じることができる。
【0012】
本発明に係る窓ガラス用遮光目隠しシートにおいて、
前記第一シートの遮光率が30%~85%に構成されていることが好ましい。
【0013】
本構成の窓ガラス用遮光目隠しシートによれば、第一シートの遮光率が上記の適切な範囲に構成されているため、適度な遮光性を得ることができる。また、遮光率が上記の範囲に構成されることで、昼間に太陽光の光を受けることで白っぽくなり、夜間に外の色の変化の影響を受けることで黒っぽくなる等、昼と夜とで異なる意匠性を感じることができる。
【0014】
本発明に係る窓ガラス用遮光目隠しシートにおいて、
前記第二シートの遮光率が90%以上に構成されていることが好ましい。
【0015】
本構成の窓ガラス用遮光目隠しシートによれば、第二シートの遮光率が90%以上に構成されているため、第二シートの表面に白等の明るい色を使用した場合、室内から見たとき、昼間は太陽光をほぼ通さず、濃灰色や黒色等の暗い色で見え、夜間は外の色の変化に影響を受けずに本来の白等の色で見えるため、第一シートとの明暗の差を出すことができる。
【0016】
本発明に係る窓ガラス用遮光目隠しシートにおいて、
前記第一シートは、布、不織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂シート、合成樹脂板のいずれかを有することが好ましい。
【0017】
本構成の窓ガラス用遮光目隠しシートによれば、第一シートが、布、不織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂シート、合成樹脂板のいずれかを有することで、不透明又は半透明に構成することができ、目隠しの効果が得られるため、プライバシー保護の機能を発揮することができる。さらに、第一シートにはアルミ蒸着等の金属蒸着膜の層は使用していない
ため、銀色等のぎらつきによる不快感や違和感を生じることがなく、白等の落ち着いた色合いにすることができる。
【0018】
本発明に係る窓ガラス用遮光目隠しシートにおいて、
前記第二シートは、絵柄、図形、模様及び/又は文字の形に構成されていることが好ましい。
【0019】
本構成の窓ガラス用遮光目隠しシートによれば、第二シートが絵柄、図形、模様及び/又は文字の形に構成されており、使用者は、第二シートの形、位置及び組み合わせを自由に変えることができる。また、昼間に室内から見たときは、第一シートが白っぽく、第二シートが黒っぽく見えるため、影絵のような意匠性を得ることができる。また、夜間に室内から見たときは、第一シートが黒っぽく、第二シートが白っぽく見えるため、明暗が逆転した影絵のような意匠性を得ることができる。さらに、一般的な影絵は一方の面に絵を置き、その後ろから光を当て、もう一方の面から見るため、どちらか一方の面のみしか意匠性を発揮することができなかったが、本構成の窓ガラス用遮光目隠しシートは、室外から見たときにも、昼間は第一シートが黒っぽく、第二シートが白っぽく見え、夜間は第一シートが白っぽく、第二シートが黒っぽく見えるため、室内外どちらからでも意匠性を感じることができ、室内外どちらから見ても輪郭がはっきりとした絵柄等を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る窓ガラス用遮光目隠しシートの断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る窓ガラス用遮光目隠しシートを室内から見たときの比較写真であり、(a)は昼間の状態、(b)は夕方の状態、(c)は夜間の状態を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る窓ガラス用遮光目隠しシートを窓ガラスに磁石片を用いて貼付する一態様の説明図である。
図4】本発明の一実施形態に係る窓ガラス用遮光目隠しシートを窓ガラスに磁石片を用いて貼付する一態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の窓ガラス用遮光目隠しシートに関する実施形態を図1図2を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0022】
〔全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る窓ガラス用遮光目隠しシートの断面図である。
この窓ガラス用遮光目隠しシート1は、窓ガラスGの表面に貼付する遮光目隠しシートである。窓ガラスGとしては、家庭、オフィス、その他の建築物等の窓ガラスが挙げられる。本発明の窓ガラス用遮光目隠しシート1は、図1に示すように、第一シート10と、第二シート20とを備えている。
以下、窓ガラス用遮光目隠しシート1が備える各構成について詳しく説明する。
【0023】
<第一シート>
第一シート10は、不透明又は半透明であり、窓ガラスに貼付される。第一シート10は、図1に示すように、基材層11と、樹脂層12と、接着層13とが積層されて構成されている。第一シート10の遮光率は30%~85%に構成されることが好ましい。第一シート10の遮光率は、基材層11、樹脂層12及び接着層13を合わせた全体での遮光率とする。遮光率が30%未満であると、遮光や目隠しの効果が得にくく、85%を超えると、第二シート20による影絵のような意匠性を得にくくなる。本実施形態では、第一
シート10は窓ガラスGの表面の全体に貼付されているが、第一シート10の大きさや貼付位置は特に限定されず、遮光や目隠しをしたい範囲に応じて適宜設定すればよい。
ここで、「遮光率」は、可視光線の遮光率を意味する(本明細書において同じ。)。「遮光率」の測定は、JIS L 1055 A法によるほか、汎用の可視光線透過率測定器を用いて測定してもよい。
【0024】
基材層11は、遮光性を有する不透明又は半透明な層である。基材層11は、布、不織布、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂フィルム、合成樹脂シートや合成樹脂板のいずれかを有することが好ましく、これらの中でも布や不織布が特に好ましい。布や不織布には、メッシュ状のシートを使用してもよい。合成樹脂フィルム、合成樹脂シートや合成樹脂板には、すりガラス調等の半透明印刷、メッシュ・ドット・チェック・ストライプ等の部分印刷を施してもよい。基材層11の色彩は、白色、ピンク、クリーム色、水色等の明るい色が好ましく、白色が特に好ましい。このような素材や色彩で構成することにより、遮光性やプライバシー保護の機能が発揮され、さらに第一シート10を昼間に室内から見たときには、太陽光により全体的に白っぽく見え、夜間には外の色の変化の影響により濃紺色や群青色や濃い灰色等の黒っぽい色に見えるため、室内外の明るさの違いで明暗が逆転するように見ることができる。また、白色の布や不織布を用いることにより、室内が暗くなりすぎない程度に光を室内に取り入れることが可能であるため、レースカーテンの代わりにすることができる。
【0025】
樹脂層12は、図1に示すように、基材層11と接着層13の間に形成されている。樹脂層12は、ほぼ透明な素材で構成されることが好ましく、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。樹脂層12は、基材層11に布や不織布を用いた場合に、接着層13の材料が、基材層11に浸透することを防止するために、ラミネート加工等により設けられるものである。このため、基材層11に合成樹脂フィルム、合成樹脂シートや合成樹脂板を用いる場合は、樹脂層12は省略することができる。
【0026】
接着層13は、窓ガラスGに対して粘着性や吸着性を有する。具体的な粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等が挙げられる。これらの粘着剤は、一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。また、吸着性を有する発泡樹脂シート片を用いることもできる。接着層13は、強接着性や、再剥離性を有するものでもよい。強接着性がある場合は、第一シート10を窓ガラスGに貼付した後、窓ガラスGが割れた場合に、窓ガラスGの飛散を防止することができ、再剥離性がある場合は、第一シート10を窓ガラスGに貼付した場合に気泡が侵入する等の不都合が生じたときに、一旦剥がし、容易に貼り直すことができる。また、ポリプロピレン樹脂や塩化ビニル樹脂の静電気吸着効果やシート内部から可塑剤がブリードしてくる効果を使って、ガラス面に接着したり、水貼りで接着する方法も採用できる。
【0027】
窓ガラスGへの第一シート10の貼付は、例えば、接着層13をそのまま窓ガラスGに付着させる、いわゆるドライ張りに限定されず、界面活性剤水溶液等の施工液を接着層13及び窓ガラスGに噴霧して貼付する、いわゆる水貼りであってもよい。接着層13の接着強度としては、水貼りで貼り付けた後、水分がなくなった後も窓ガラスGの表面から第一シート10が剥がれない接着強度以上に構成されることが好ましい。
【0028】
また、接着層13は、第一シート10の全面に存在する場合に限らず、部分的に存在していてもよく、具体的には、第一シート10の周縁部や四隅のみに接着層13が積層されていてもよい。さらに、図示されていないが、接着層13には、剥離シートが積層されて
いてもよく、また、接着層13を両面粘着テープ等の別部材で構成してもよい。
【0029】
<第二シート>
第二シート20は、第一シート10の上から部分的に積層される。第二シート20は図1に示すように、着色層21と、遮光層22と、接着層23と、艶消し層24とが積層されて構成されている。第二シート20は第一シート10より遮光率が高く構成されており、遮光率が90%以上に構成されることが好ましく、95%以上に構成されることがより好ましく、98%以上に構成されることが特に好ましい。第二シート20の遮光率は、着色層21、遮光層22、接着層23及び艶消し層24を合わせた全体での遮光率とする。遮光率が90%未満であると、第二シート20による影絵のような意匠性を得にくくなる。
【0030】
第二シート20は、絵柄、図形、模様及び/又は文字の形に構成されている。具体例としては、人、動物、植物等の絵柄や、円形、星形、ハート形等の図形、チェックやストライプ等の模様等が挙げられる。また、あらかじめ形が決まっているものに限らず、使用者が自分で好みの形に切り取ることもできる。第二シート20がこのような形に構成されていることにより、意匠性を容易に高めることができ、また、窓のサイズや個人の好みに合わせて第二シート20の形、位置及び組み合わせを自由に変えることが可能なため、意匠の自由度を高めることができる。
【0031】
着色層21は、布類、不織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂シート、合成紙、木材の薄板等の素材で構成されることが好ましい。また、その色彩は、白色、ピンク、クリーム色、水色等の明るい色が好ましく、白色が特に好ましいが、特に限定されるものではなく、第一シート10の色の変化に応じて中明度の色彩や黒色等も使用することができる。
【0032】
遮光層22は遮光性を有する。遮光層22はアルミ蒸着等の金属蒸着、アルミ粉を混ぜた樹脂、アルミコーティング、アルミ箔、白系の印刷、不織布等の遮光性を有するものを積層して構成されることが好ましい。遮光層22がこのように構成されることにより、着色層21に白等の明るい色を使用した場合でも、室内から見たとき、昼間は太陽光をほぼ通さず、濃灰色や黒色等の暗い色で見え、夜間は外の色の変化に影響を受けずに本来の白等の色で見え、第一シート10との明暗の差を出すことができる。
【0033】
接着層23は、第一シート10に対して粘着性や吸着性を有する。接着層23は、再剥離性を有するものでもよく、第一シート10を貼付したまま、第二シート20のみを剥がし、季節や気分に合わせて、第二シート20のデザインを変更することが容易にできる。具体的な粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等が挙げられる。また、吸着性を有する発泡樹脂シート片を用いることもできる。
【0034】
また、接着層23は、第二シート20の全面に存在する場合に限らず、部分的に存在していてもよく、具体的には、第二シート20の周縁部や四隅のみに接着層23が積層されていてもよい。さらに、図示されていないが、接着層23には、剥離シートが積層されていてもよく、また、接着層23を両面粘着テープ等の別部材で構成してもよい。
【0035】
艶消し層24は、着色層21を覆うように形成されている。艶消し層24は、例えば、艶消し材が添加された透明な樹脂等から構成されることが好ましい。透明な樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂等、熱可塑性樹脂層等を用いることができる。また、艶消し材は、マット材や艶調整剤とも呼称され、着色層21の表面に応じて施される。艶消し層24は、着色層21を保護し、着色層21の傷、剥離、変色等を防止することができる。
【0036】
〔使用例〕
以上に述べたように構成される窓ガラス用遮光目隠しシート1の使用例について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る窓ガラス用遮光目隠しシートを室内から見たときの比較写真であり、(a)は昼間の状態、(b)は夕方の状態、(c)は夜間の状態を示す。本実施形態では、第一シート10は窓ガラスGの室内側の全面に貼付し、第二シート20を第一シート10の上から積層している。また、本実施形態では、第二シート20は鳥、木の枝、帯状等に形成されている。
【0037】
図2(a)に示すように、昼間は、太陽光が10000~100000ルクス程度照射するため、第一シート10は白っぽく見え、第二シート20は濃灰色や黒色に見える。したがって、影絵のような意匠性を得ることができる。図2(b)に示すように、夕方からは、太陽光が弱まってくるため、第一シート10は昼間の白っぽい色から青っぽい色に変化する。第二シート20は、本来の白等の色が見えてくる。図2(c)に示すように、夜間には、室内が1000ルクス程度で室内の方が明るくなり、第二シート20は、本来の白等の色がはっきり現れる。第一シート10は室外の色合いの変化により黒に近い濃紺色や群青色や濃い灰色に変化していく。本実施形態では、第一シート10は白色の薄い不織布を用いているため、第一シート10は白いかすみがかかったように見える。以上のように、窓ガラス用遮光目隠しシート1は、室内外の明るさの違いで第一シート10及び第二シート20の明暗が逆転するように見ることができる。
【0038】
また、室外から見た場合には、室内とは明暗が逆転して見え、昼間は第一シート10が濃灰色や黒色に見え、第二シート20が白っぽく見える。夜間には、第一シート10が白っぽく見え、第二シート20が濃灰色や黒色に見える。したがって、影絵のような意匠性を室外からでも感じることができる。
【0039】
以上、本発明の窓ガラス用遮光目隠しシートについて、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
例えば、第一シート10を窓ガラスGに貼付するために、接着層13に代えて、ゴム磁石等の磁石片を用いることができる。
具体的には、図3(a)及び図4(a)に示すように、窓ガラスGの表面に、窓の障子の縦框及び召し合わせ框に沿って、磁石片14aを貼付等により取り付けるようにしている。このとき、クレセント受けと干渉しないように、当該位置には、磁石片14aを設けないようにしてもよい。窓ガラス用遮光目隠しシート1は、第一シート10として、図3(b)に示すように、(1)~(4)の4枚のシート(このうち、(2)及び(3)のシートには、第二シート20を設けるようにしている。)を用いたり、図4(b)に示すように、(1)~(6)の6枚のシート(このうち、(3)及び(6)のシートには、第二シート20を設けるようにしている。)を用い、各シートの両側に、磁石片14aに磁着する磁石片14bを貼付等により取り付けるようにしている。各シートは、例えば、図3(c)及び図4(c)に示す位置に配置することができ(各シートの配置は適宜変更することができる。)、これにより、図3(d)及び図4(d)に示すように、磁石片14aに磁石片14bを磁着させて、第一シート10を窓ガラスGに貼付することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の窓ガラス用遮光目隠しシートは、適度な遮光性とプライバシー保護の機能があり、意匠の自由度が高く、かつ、昼夜室内外問わず意匠性を感じられることから、建築物の窓等のガラス面に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 窓ガラス用遮光目隠しシート
10 第一シート
11 基材層
12 樹脂層
13 接着層
14a 磁石片
14b 磁石片
20 第二シート
21 着色層
22 遮光層
23 接着層
24 艶消し層
G 窓ガラス

【要約】
適度な遮光性とプライバシー保護の機能があり、意匠の自由度が高く、かつ、昼夜室内外問わず意匠性を感じられる窓ガラス用遮光目隠しシートを提供する。
窓ガラスGの表面に貼付する遮光目隠しシート1であって、窓ガラスGに貼付される不透明又は半透明の第一シート10と、第一シート10の上から部分的に積層される第二シート20と、を備え、第二シート20は、第一シート10より遮光率が高く構成されており、室内外の明るさの違いで第一シート10及び第二シート20の明暗が逆転するように見える。
図1
図2
図3
図4