(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】無菌接続のためのコネクタ、ならびにそのようなコネクタの接続および分離の方法
(51)【国際特許分類】
F16L 35/00 20060101AFI20231204BHJP
F16L 37/28 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
F16L35/00 Z
F16L37/28
(21)【出願番号】P 2020566721
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2019064121
(87)【国際公開番号】W WO2019229202
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ゲバウェル
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06679529(US,B2)
【文献】特開2017-223262(JP,A)
【文献】特表2010-516342(JP,A)
【文献】特表2014-530720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 35/00
F16L 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に無菌接続するための流体コネクタ(100)であって、前記流体コネクタ(100)は、
接続端部(12')および連結端部(12)を有するコネクタ部材(1)であって、前記連結端部(12)は、相補的なコネクタ(100')の相補的な連結要素(15')に係合して第1のシール(B)を形成する連結要素(15)を含む、コネクタ部材(1)と、
前記連結端部(12)をその周囲から切り離す無菌シールを提供するための、前記連結端部(12)を取り囲むように配置されたカバー(2)であって、前記カバー(2)は、
前記カバー(2)内に少なくとも2つのカバー部分(21A、22A)を含み、各カバー部分(21A、22A)は、前記コネクタ部材(1)の前記連結端部(12)上にまたは前記コネクタ部材(1)の前記連結端部(12)に隣接して連続して位置付けられるように構成され、各カバー部分(21A、22A)は、同様のコネクタ上の同様のシール部材に係合し、それによって、前記コネクタ部材(1)の前記連結端部(12)上にまたは前記コネクタ部材(1)の前記連結端部(12)に隣接してそのように位置付けられたときに第2のシール(A)を形成するシール部材(21、22)を含む、カバー(2)と、
を含む、流体コネクタ。
【請求項2】
前記カバー部分(21A、22A)はそれぞれ、前記シール部材(21、22)を覆うように配置された保護フィルム(21B、22B)を含み、前記保護フィルム(21B、22B)は、2つのシール部材が前記係合のためにまとめられたときに、対応するシール部材から取り外し可能であるように配置される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記連結端部(12)は、前記コネクタ(100)が分離状態にあるときに媒体が前記連結端部(12)を通って流出するのを防ぐための止め弁を含む、請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
液体媒体を吸収するために前記カバー部分(21A、22A)の内側に吸収物質をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
使用前に前記カバー部分(21A、22A)のうちの少なくとも1つを保持するためのホルダ(3)をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ホルダ(3)は、各カバー部分(21A、22A)を順番に前記連結端部(12)上に装着される位置に持っていくよう、前記コネクタ上に回転可能に配置される、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ホルダ(3)は、各カバー部分(21A、22A)を、前記連結端部(12)上に装着される位置にスライドさせるスライドバーとして構成される、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項8】
各カバー部分(21A、22A)は、同様のコネクタ上の同様のシール部材連結部と嵌合することによって第2のシール(B)を形成するためのシール部材(21、22)連結部を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記カバー部分(21A、22A)は、可撓性の袋の形態である、請求項1から8のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記コネクタ部材は、接続端部(13)および連結端部(12)をそれぞれが有する、複数の接続部材を含み、前記カバーは、前記複数の接続部材を取り囲んで前記無菌シールを提供するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記コネクタ(1)は、流体および/もしくは電気のための複数の経路を含む複数のコネクタ対(1、1')またはコネクタマニホールドを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項12】
封止された流体経路を提供する相補的な連結要素を有する相補的な一対または複数対の流体コネク
タを接続および分離する方法であって、
前記流体コネクタは請求項1から10のいずれか一項に記載のコネクタ(100、100')であり、前記方法は、
コネクタ対の少なくとも前記連結要素を取り囲む、各コネクタ上のカバー(2、2')を提供し、前記コネクタ対の第1のコネクタ(100)の前記カバー(2)の部分(21A)上に形成された第1のシール部材(21)を、前記コネクタ対の第2のコネクタ(100')の前記カバー(2')の部分(21'A)上に形成された第2のシール部材(21')に連結することによって第2のシール(A)を形成し、これにより、前記コネクタの前記相補的な連結要素をそれらの環境から無菌的に隔離することと、
前記第1のコネクタ(100)の連結端部(12)上の連結要素(15)を前記第2のコネクタ(100')の連結端部(12')上の連結要素(15')に連結することによって第1のシール(B)を形成することであって、前記連結端部(12、12')のうちの少なくとも1つは、連結された前記シール部材(21、21')内部にある、形成することと、
によって、前記コネクタ対を接続するステップを含む、方法。
【請求項13】
前記シール部材(21、21')を連結して前記第2のシール(A)を形成することは、前記シール部材が本質的に無菌の接続部を作り出すように最初に連結された後でシール部材の間から重なる保護フィルム(21B、21'B)を引っ張ることによって、前記保護フィルム(21B、21'B)を前記シール部材(21、21')のそれぞれから取り外すことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コネクタを接続する前に、各コネクタ(100、100')の前記連結端部(12、12')上にまたは前記各コネクタ(100、100')の前記連結端部(12、12')に隣接してシール部材(21、21')を含むカバー部分(21A、21'A)を装着するステップをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記連結要素(15、15')を連結解除することによって前記第1のシール(B)を係合解除することと、前記連結端部(12、12')のいずれも前記シール部材(21、21')内にないように前記連結端部(12、12')を切り離すことと、により、前記コネクタを分離するステップを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記分離するステップは、各カバー(2、2')の無菌封止の手段によって取り付けられた一方のコネクタまたは両方のコネクタの前記カバー(2、2')の領域を封止して離すステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記無菌封止はヒートシールを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コネクタを分離した後で前記コネクタ対(100、100')のうちの1つまたは複数の前記連結端部(12、12')から前記カバー部分(21A、21'A)を取り外すステップと、
前記コネクタ対(100、100')のうちの1つまたは複数の前記連結端部(12、12')上に第2のカバー部分(22A、22'A)を装着するステップと、
をさらに含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無菌接続のためのコネクタ、およびそのようなコネクタを無菌で接続し、分離し、再接続する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジー産業では、処理容器と器具、例えばプラスチック袋とポンプとの間に無菌の、殺菌された接続部を作り出すために種々の製造システムを使用する。既知の製造システムは、クリーンルームまたはキャビネットなどの制御された環境を使用して、製造中に無菌接続部を確保する。殺菌された管および配管を破るような制御された環境で必要な接続部が作られた場合、その環境は、その管または配管の流体流路を汚染しない。しかしながら、クリーンルームを維持するのは、時間がかかり、困難であり、確認するのに費用がかかる。
【0003】
別の既知の製造システムは、可撓性の熱可塑性管に接続された使い捨てのプラスチック袋を使用し、これは、袋およびチューブが清潔で殺菌されたままであることを確実にするために特定の接続部を必要とする。殺菌されたチューブ溶接機が、クリーンルーム、層流キャビネットまたは同様の環境制御装置を必要とせずに、殺菌するような形で熱可塑性管を溶接するのに使用され得る。熱可塑性チューブが冷却された後、殺菌された溶接部が形成される。しかしながら、チューブ溶接機はまた、通常、適用性が、特定のチューブサイズおよび材料、例えば熱可塑性管に制限される。さらに、チューブ溶接機は、典型的には大きく、重く、汎用性に欠け、高価である。
【0004】
殺菌前の袋およびチューブのセットも既知であり、これは、定位置にある適切な使い捨ての無菌接続システム取り付け具を供給され得る。これらの接続部は、単純で、繰り返しに適し、確認可能である。
【0005】
使い捨てシステムとも呼ばれる単回使用システムは、バイオプロセス産業でますます使用されている。例えば、クロマトグラフィーシステム、フィルタシステム、またはバイオリアクターシステムなどの、分離または反応システムは、今日では、少なくとも部分的に、使い捨てシステムとして提供されている。これにより、従来の再利用可能な器具で必要とされるような、処理前、処理およびサイクルの間、または処理後で再利用する前の、洗浄および洗浄確認の必要性が排除される。使い捨てシステムでは、交差汚染が回避される。
【0006】
器具自体の製造中における単回使用器具のバイオバーデン制御は、単回使用器具を製品と接触させる前に洗浄の必要性を排除することが必要とされる。これは、通常、制御された環境(クリーンルーム)で単回使用器具を製造し、しばしば殺菌プロセス(ガンマ線照射)を続けて行うことによって、達成される。バイオバーデン制御のレベルの要求は、種々の適用で異なり得る。しかしながら、器具の、ある程度までのバイオバーデン制御は、一部の適用で必要とされるだけでなく、使い捨て器具を使用する適用の大部分で好ましいと考えられる。制御された環境でのこの器具の製造は、バイオバーデン制御処置前の汚染物質の初期レベルが低いことを保証する必要がある。無菌性および無菌状態は、バイオバーデンレベルが種々の程度に制御されているとして、システム、1つの器具または流体導管の状態を定義するのに使用される用語である。
【0007】
先行技術では、使い捨ての無菌コネクタを使用して殺菌された接続部を達成するためのさまざまな器具を説明している。典型的には、接続を確立する前のコネクタの無菌性は、解放可能に結合されたカバーフィルムによって確保され、この解放可能に結合されたカバーフィルムは、解放可能に結合されたカバーフィルムと、嵌め合いコネクタのカバーフィルムが互いに接続されるか、または近い距離にある場合に、嵌め合いコネクタのカバーフィルムと共に取り外され得る。このようなコネクタは、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載されている。それらはまた、レディメイト(Ready Mate)(商標)の名前でGEヘルスケアから市販されている。
【0008】
単回使用システムは、信頼性のある無菌コネクタを提供するという問題をしばしば解決するが、バイオリアクターからサンプルを採取する際、またはフィルタシステムもしくはクロマトグラフィーシステムの部品を反復使用のために再接続する際などに、繰り返し接続する必要性もある。この必要性は、いくつかのコネクタを備えたマニホールドシステムを通じてしばしば満たされ、これらのコネクタは、それぞれ一度接続され得、後で溶接もしくは融合されて塞がれるか、または、弁によって、もしくは可撓性のチューブをクランプすることによって閉鎖されて、システムの汚染を防ぐ必要がある。しかしながら、これにより、前述した殺菌されたチューブ溶接機の問題が再び提起され、システムの中身の汚染、および溶接機を取り扱う人間オペレータの曝露のリスクが依然としてある。さらに、殺菌された管の溶接は、補強されていない(編組されていない)管の溶接に制限され、これにより、適用可能な流体圧力の範囲が制限される。マニホールドシステムの問題は、それらの物理的なサイズであり、特に、流体ホールドアップ容量(fluid holdup volume)が、流体経路の長さおよび容積の追加または変化により、増大および/または変化する点にあり、これは、低い保持容量が性能、製品品質、または小さく典型的なサンプル容量の達成に望ましい、例えば、クロマトグラフィー、濾過、および流体サンプリングなどの特定の適用では重要となり得る。したがって、改善された無菌コネクタ、特に、分離および再接続されると共に、コネクタの無菌性を維持し、かつ/または、コネクタの閉鎖状態、および外側環境に対するその無菌バリアを維持することができる、コネクタが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第6,679,529号
【文献】WO2009/002468
【文献】WO2013/147688
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、前述した問題を、排除するか、または少なくとも最小化することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これは、添付の独立請求項による実質的に無菌接続するためのコネクタを通じて、また、そのようなコネクタを接続し分離する方法を通じて、達成される。
【0012】
本発明によるコネクタは、接続端部および連結端部を有するコネクタ部材であって、連結端部は、同様のコネクタ上の同様の連結要素に係合して第1のシールを形成する連結要素を含む、コネクタ部材と、連結端部を周囲から切り離す無菌シールを提供するための、連結端部を取り囲むように配置されたカバーであって、カバーは、少なくとも2つのカバー部分を含み、各カバー部分は、コネクタ部材の連結端部上にまたはこれに隣接して連続して位置付けられるように構成され、各カバー部分は、同様のコネクタ上の同様のシール部材に係合し、それによって、コネクタ部材の連結端部上にまたはこれに隣接してそのように位置付けられたときに第2のシールを形成するシール部材を含む、カバーと、を含む。
【0013】
これにより、コネクタ部材は、コネクタの無菌状態を維持し、コネクタの内側の媒体の汚染を防ぐ単回使用カバーの使用により複数回使用され得ると同時に、環境および人間オペレータを前記媒体への曝露からも保護し、これは、例えば感染または毒性物質が処理されている場合に重要である。本発明を通じて、同じ構成要素を繰り返し接続することが可能となると同時に、確認を必要とせずに無菌状態を提供する、単回使用コネクタの利点が達成される。また、特に複数の単回使用コネクタを備えるマニホールドコネクタと比べて、コネクタに必要な材料および空間がかなり節約される。
【0014】
本発明のある態様によると、カバー部分はそれぞれ、シール部材を覆うように配置された保護フィルムを含み、前記保護フィルムは取り外し可能に配置される。これにより、シール部材は、無菌状態で維持され、保護フィルムは、2つのコネクタのシール部材が既に互いに連結されている場合にのみ取り外される。
【0015】
本発明の別の態様によると、連結端部は、コネクタが分離状態にあるときに媒体が連結端部を通って流出するのを防ぐための止め弁を含む。これにより、媒体は、システム内に保持され、意図しない損失を防ぐことができ、それによって、媒体の容量が維持され得る。止め弁の機能性は、例えば、連結端部の分離前または分離中に流路を封鎖する、流路内のばね仕掛けの流体停止部材など、さまざまな解決策によって達成され得る。さらに、止め弁は、オペレータによって、例えばそれぞれのボタンを押すこと、またはレバーを回すことによって、係合され得、それによって、止め弁の係合は、タイムリーではなく、かつ/または、コネクタの分離および切り離しの作用とは物理的に関係ない。
【0016】
オプションとして、流体が分離中に適用されないとしても、分離中の数滴の小滴の形態となり得る、わずかな液体漏れが生じた場合に、媒体を吸収するために部分の内側に吸収物質が設けられ得る。オプションとして、前記吸収物質は、連結端部に直接、しかしながら、流体接続が行われたときに確立される流路の湿った表面の外側で、適用されてもよい。流体または湿気をとらえ、かつ/または隔離する他の手段が、例えば吸収剤、不活性化、汚染除去、および/または消毒のため、前記流体または湿気を処理する手段に加えて設けられ得る。
【0017】
オプションとして、流体接続部の内側または外側における別個の可動部材が設けられ、これは、前記接続端部が機械的に安定した接続部を形成するようにまとめられた後で、接続端部間に流体密封の第1のシールを確立する。この別個の部材を使用することにより、例えば、前記安定した機械的接続部を確立し、シールを確立するのに必要な力を軽減し、分解することができるが、コネクタデザインにおける他の解決策、例えば雌雄なしの接続部(gender-less connection)およびコネクタ端部の実装を可能にすることもできる。前記別個の部材の例は、クランプ、バヨネットクロージャ、相補的なテーパー状の取り付け具、剥離可能な粘着剤を備えたコネクタなどである。
【0018】
本発明のさらに別の態様によると、使用前に部分のうちの少なくとも1つを保持するためにホルダが設けられる。これは、カバー部分を保護し、使用前の損傷を防ぐのに役立ち、裂け目または類似のものによって無菌状態が損なわれるリスクを排除する。オプションとして、第1の部分の少なくとも一部を取り囲む第2の部分が設けられて、第1の部分の保護を提供する。例えば、可撓性の織物、メッシュまたは布地が適用されて、機械的剛性を提供し、かつ/または、第1の部分を損傷から保護することができる。オプションとして、前記第2の部分は、流体密封性であり、第1の部分が損傷した場合に処理流体および/または環境の付加的な安全性および保護のため、漏れ防止機能を提供することができる。オプションとして、光学インジケータまたはセンサなどの漏れ検出特徴部が設けられ得る。無線感知の使用がオプションである。
【0019】
一実施形態では、ホルダは、各部分を順番に、連結端部上に装着される位置に持っていくよう、コネクタ上に回転可能に配置される。これにより、使用されるカバー部分は、便利な方法で適所に持ってこられ、同様のコネクタに接続されるよう適切な方法で位置付けられ得る。
【0020】
別の実施形態では、ホルダは、各部分を、連結端部上に装着される位置にスライドさせるスライドバーとして構成される。これはまた、使用前にカバー部分を位置付ける有利な方法である。
【0021】
本発明のさらなる態様によると、各カバー部分は、同様のコネクタ上の同様のシール部材連結部と嵌合することによって第2のシールを形成するためのシール部材連結部を含む。これにより、シール部材は、互いに堅固に取り付けられ、連結部の無菌状態を維持する、しっかりしたシールを形成し得る。シール部材連結部が係合された後、保護フィルムは、好ましくは、各シール部材から取り外されて、それらを互いに接触させると共に、汚染または漏れの欠点を回避するしっかりしたシールも形成する。
【0022】
本発明のさらに別の態様によると、カバー部分は、可撓性の袋の形態である。これにより、これらは、コネクタの連結端部上に容易に装着され得、使用後に取り外され得る。また、これらは、可撓性により、要望通りに、ホルダに挿入されるか、または使用後かたわらに畳まれ得る。
【0023】
添付の独立請求項によって定められるような、封止された流体経路を提供する相補的な連結要素を有する一対のコネクタを接続し分離する、本発明の方法も提供される。本発明を通じて、第2および第1のシールの形成は、コネクタの再利用を可能にすると同時に、無菌状態の維持に関して単回使用コネクタのすべての利点を提供する。
【0024】
この方法によると、コネクタは、コネクタ対の少なくとも前記連結要素を取り囲む、各コネクタ上のカバーを提供すること、および、コネクタ対の第1のコネクタのカバーの一部上に形成された第1のシール部材を、コネクタ対の第2のコネクタのカバーの一部に形成された第2のシール部材に連結することによって第2のシールを形成し、これにより、コネクタの相補的な連結要素をそれらの環境から無菌的に隔離し、第1のコネクタの連結端部上の連結要素を第2のコネクタの連結端部上の連結要素に連結することによって第1のシールを形成することにより、接続され、連結端部のうちの少なくとも1つは、連結されたシール部材内部にくる。
【0025】
ある実施形態では、方法は、第1のコネクタのカバー部分上のシール部材を第2のコネクタのカバー部分上のシール部材に連結することによって第2のシールを形成するステップと、第1のコネクタの連結端部上の連結要素を第2のコネクタの連結端部上の連結要素に連結することにより第1のシールを形成するステップとを含み得、前記連結することは、連結端部のうちの少なくとも1つがシール部材を貫通して連結端部のうちの他方と接触することを可能にすることを含む。
【0026】
本発明のある態様によると、シール部材を連結して第2のシールを形成することは、シール部材を互いに接続することと、保護フィルムをシール部材のそれぞれから取り外して、本質的に無菌の接続部を作り出すことと、を含む。好ましくは、シール部材を含むカバー部分は、コネクタを接続する前に各コネクタの連結端部上に装着される。
【0027】
本発明の別の態様によると、方法は、連結要素を連結解除することによって第1のシールを係合解除することと、連結端部のいずれもシール部材を貫通しないように連結端部を切り離すことと、により、コネクタを分離するステップを含む。これにより、連結端部は、カバー内に後退させられ得、それによって、シール部材を備えたカバー部分のみが互いに接続されたままとなる。本発明の一実施形態では、その接続は、クランプまたは同様の手段によって維持されるかまたは閉鎖され得るが、2つのコネクタのカバー部分は、第2のシールを通じて互いに取り付けられたままである。新しいカバー部分は次に、新たな接続部が同じ2つのコネクタ間または各コネクタと別のコネクタとの間に形成される前に、各コネクタの連結端部上に装着され得る。これは、溶接、溶融、または、コネクタを互いから切り離す切断の使用を完全に回避する利点を有し、カバー部分に対する損傷がないので、汚染または漏れのリスクが最小限に保たれる。
【0028】
本発明のさらなる態様によると、分離することは、各カバー部分の無菌封止を通じてコネクタのカバー部分を切り離すことによって、コネクタを互いから切り離すことをさらに含む。これは、単純なハンドヘルドの封止機を使用することによって実行され得、さらに複雑な殺菌されたチューブ溶接/封止機の必要性をなくすと同時に、漏れまたは汚染を防ぐためにカバー部分をしっかりと閉鎖するようにカバー部分を切り離すことができる。好ましくは、切り離しは、溶接切り(welding off)を通じて、特に、カバー部分をヒートシールで離すことによって行われ、これにより、オペレータがカバー部分間を安全に分離させることが達成されるが、他の方法も本発明の範囲内で使用され得る。あるいは、カバー部分は、機械的にクランプされ得、カバー部分間の切り離しおよび分離は、クランプおよびクランプセクションを通って、または2つのクランプおよびクランプ部分の間をそれぞれ切断することによって、達成され得る。適切なクランプは、プラスチックまたは金属材料から作られ得、これらは、好ましくは延性があり、適切な程度まで変形可能である。オプションとして、前記クランプは、環境に曝露され得る任意の潜在的な処理流体を消毒、浄化および/または不活性化する手段を備えるか、またはそのような手段で処理され得る。
【0029】
本発明のさらに別の態様によると、方法は、コネクタを分離した後で各コネクタの連結端部からカバー部分を取り外すステップと、第2のカバー部分を各コネクタの連結端部上に装着するステップと、をさらに含む。これにより、コネクタは、新しいカバー部分の装着によって新たな接続の準備ができ、それによって、新たな第2のシールが形成され得る。
【0030】
本発明の多くの追加的利益および利点が、以下の詳細な説明を鑑みれば、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0031】
本発明を、添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の好適な実施形態による第1および第2のコネクタを開示する平面図である。
【
図2】連結端部上でのカバー部分の装着中の
図1のコネクタを開示する図である。
【
図3】カバー部分が連結端部上に装着されたコネクタを開示する図である。
【
図4】第2のシールの形成中の第1および第2のコネクタを開示する図である。
【
図5】第1のシールの形成中の第1および第2のコネクタを開示する図である。
【
図6】第1のシールの分離中の第1および第2のコネクタを開示する図である。
【
図7】第2のシールの分離中の第1および第2のコネクタを開示する図である。
【
図8】本発明の代替的な実施形態を開示する図であり、コネクタは流体ラインのセンサポートに接続されている。
【
図9】
図8の代替的な実施形態を開示する図であり、コネクタは、第2のコネクタに連結されて、本発明の第1および第2のシールを形成する。
【
図10】第2のコネクタが単回使用コネクタである、実施形態を開示する図である。
【
図11】マルチコネクタの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の好適な実施形態による2つのコネクタ、すなわち、第1のコネクタ100および第2のコネクタ100'を開示している。以下では、一方のコネクタに関して言われたことは、他方のコネクタにも概ね適用可能であることに留意されたい。
【0034】
よって、第1のコネクタ100は、接続端部13および連結端部12を有するコネクタ部材1を含む。接続端部13は、概してチューブまたはパイプに接続され、これを通って媒体が流れることができる。接続端部13ならびに前記チューブまたはパイプは、所望の動作圧力および/または動作圧力範囲に適応するように適切に設計される。接続端部13が可撓性の管を含む場合、この管は、例えば編組によって補強されて、補強されていない可撓性の管に比べて高い動作圧力を可能にすることができる。
【0035】
接続端部13および連結端部12の両方は、媒体がチューブまたはパイプから、接続端部13、コネクタ部材本体11を通って流れ、連結端部12を通ってコネクタから外に出ることができるように、コネクタ部材本体11に接続される。コネクタ部材1はまた、連結要素15を含み、これは、ここでは、一方のコネクタの連結端部12と第2のコネクタ100'の連結端部12'との間に確立されているばね仕掛けの連結部を解放するための解放ボタン14として示されている。しかしながら、連結要素15は、接続部を確立および解放することができる限り、ねじ山を備えたねじ連結部または別の種類の締結機構など別の形態であってもよい。適切な連結部は、短い角度回転またはスナップ式クランプを有するバヨネット連結部も含み、連結要素15は、
図1に示す位置に位置するか、または代わりに、連結端部12のさらに近くに位置することができる。有用性が等しい他の既知の連結機構が使用され得る。
【0036】
第1のコネクタ100はまた、可撓性の折り畳みカバー2を含み、これは、連結端部12を取り囲み、連結端部12からの漏れを防ぎ、かつカバー2の外側の環境からのカバー2内側の構成要素の汚染を防ぐ、バリアを提供する。カバー2は、それぞれが動作位置に連続的に位置するいくつかのカバー部分を含み、各カバー部分は、以下で詳細に説明するように、連結端部12の上または周りに順番に装着され得る、シール部材21、22、23、24、25を含む。各シール部材は、剥離保護フィルムがかぶせられた、弾性的に変形可能な環から形成され、それによって、その内側開口領域が、前記フィルムの除去によって露出され得る。フィルムは、2つのシール部材が並んで一緒に保持されている場合であっても、引っ張ることによって除去され得るように、折り畳まれている。あるいは、シール部材は、隔壁の形態とすることができるが、かぶせられた保護フィルムを依然として有する。保護フィルムはシール部材に保持され、それによって、これらは、別の状況では潜在的に汚染された周囲環境に露出されているであろう、シールの全エリアを覆うことが重要である。
【0037】
シール部材21、22、23、24、25を備えたカバー部分は、この実施形態では、連続的な配備のために蛇腹式に、ホルダ3によって保持される。連続的なシール部材21、22、23、24、25を接続するカバー材料は、実質的に不透過性であり、この材料がシールを相互接続する場合は、そのシーケンス内の次のシールを、図示する保管位置から引っ張らずに、前記配備を可能にするのに十分な寸法である。相互接続材料は、伸縮可能であり、一団になり、例えばひだが付けられて、連続的なシールを手動で操作することを可能にし得る。
【0038】
第2のコネクタ100'は、第1のコネクタ100と同じ構成要素を含み、この図面では、連結端部12'、接続端部13'、および連結要素15'がコネクタ部材1'と共に示されている。2つのコネクタ100、100'を接続し分離する方法は、
図2~
図7を参照してさらに詳細に説明する。
【0039】
図2は、コネクタ100の連結端部12上への、シール部材21を有する第1のカバー部分21Aの装着を示す。この実施形態では、第1のカバー部分21Aは、連結端部12に隣接して位置付けられるようにコネクタ100上の側方位置から矢印の方向に動かされる。第1のカバー部分21Aは、この実施形態では、薄いが耐久性のあるプラスチック材料から作られた可撓性の袋であり、連結端部12上に装着されるように手で動かされ得、または代わりに、第1のカバー部分21Aが連結端部12における所定の場所に回転もしくはスライドされるように回転可能もしくはスライド可能に配置され得るホルダ3を操作することによって、動かされ得る。
図3では、第1のカバー部分21Aは、シール部材21が連結端部12の端部を覆った状態で、連結端部12に位置付けられる。
【0040】
図4では、第1のコネクタ100および第2のコネクタ100'は、シール部材21、21'が互いに面している状態で互いに面するように位置付けられる。第2のシールAが、好ましくは、スナップ連結部、接着連結部、またはシール部材がそれらの周辺部の周りで互いに固定されることを可能にする任意の他の適切な連結部の形態とすることができるシール部材連結部(不図示)を使用することによって、シール部材21、21'を互いに取り付けることにより、形成される。シール部材は、好ましくは円形の形状であるが、楕円形または矩形など別の形状とすることもできる。第2のシールAが形成されると、シール部材21、21'のそれぞれを覆っていた保護フィルム21B、21'Bは、矢印の方向に引っ張ることによって除去され、シール部材21、21'を解放することができる。よって、第2のシールAは、シール部材21、21'の周辺部が互いに当接し、カバー部分21A、21'A内側からの漏れを防ぎ、カバー部分21A、21'Aの内側に存在する任意の媒体への汚染も防ぐ、無菌接続部を形成するような、シール部材21、21'の互いへの連結部を含む。いくつかの実施形態では、シール部材連結部は、別個のクランプもしくはホルダの形態、または、少なくともシール部材の周辺部に適用された材料を溶かし、冷却後にしっかりとした接続部を形成させる、加熱部の形態とすることができる。
【0041】
図5は、連結端部12、12'が合流および連結するように、コネクタ100、100'を互いに向かって矢印の方向に動かすことによる第1のシールBの形成を開示している。これを達成するために、シール部材が連続した材料の隔壁として形成されている場合、連結端部12、12'のうちの少なくとも一方が、シール部材21、21'を貫通し、シール部材が環の形態である場合、連結端部は単に、環の内側開口部を塞ぐ。この実施形態では、連結端部12、12'は、雄型および雌型として開示されているが、これらは雌雄なしとすることもできる。雌雄がないバージョンでは、2つの実質的に同一の連結端部12、12'は、例えば短い回転角のバヨネット原理によって、接続され、流体密封の第1のシールBは、後続ステップにおいて、例えば接続部の内側部材または他の部材の動きによって、達成され得、これは、オプションの止め弁を開く前、またはそれと同じステップにおいて行われ得る。
【0042】
第1のシールBが形成されると、連結端部12、12'は、互いに係合し、連結要素14、14'は、それらを解放可能に連結する。
【0043】
第2のシールAおよび第1のシールBが形成された後、ガスまたは流体などの媒体は、第1のコネクタ100から第2のコネクタ100'に、またはこの逆に流れることができ、カバー部分21A、21'Aは、保護カバーをコネクタの連結端部12、12'の周囲に提供する。
【0044】
軸方向に作用するかもしくは半径方向に作用するシールまたは角度付きシール、例えばテーパー状取り付け具構造およびこれらの組み合わせなどの第1のシールBを提供するための、異なる実施形態が実現可能である。特定の実施形態では、特に、より高い流体圧力のためのコネクタを提供する場合、軸方向封止構造は、シールおよび流体密封性を維持するのに能動的なクランプ力を必要とするので、半径方向封止構造が好ましい場合がある。半径方向Oリングシールは、例えば、連結端部12および12'が係合された後で流体密封シールを提供することができ、それによって、連結要素14、14'によるコネクタおよびそれらのコネクタ端部の軸方向固定またはロックのみが必要となる。連結機構の詳細はここでは不図示であるが、ばね仕掛けのラッチ機能、バヨネットロック特徴部、テーパー状のロック取り付け具などを含む、多くの解決策が実現可能である。
【0045】
コネクタ100、100'の分離は、
図6に示すように連結端部12、12'を切り離すことによって行われる。そこでは、第1のシールBは破れており、連結端部12、12'を切り離し、コネクタを引き離す。切り離しは、連結端部12、12'を互いから解放するために連結要素14を使用することによって行われる。コネクタが
図6の矢印の方向に引っ張られると、これらは、シール部材21、21'を通って後退し、それによって、各連結端部は、それらそれぞれのカバー2、2'の内側に来る。一実施形態では、カバー2、2'は、連結端部12、12'が切り離された後で連結端部12、12'から漏れた任意の液体媒体を吸収する、吸収物質を保持する。好ましくは、各コネクタ100、100'はまた、このような漏れを防ぐ止め弁を含み、前記止め弁は、特定の適用に適切となるように、連結要素14、14'を通じて、または別々に起動され得る。
【0046】
一実施形態では、第2のシールAは、第1のシールBが係合解除され、連結端部12、12'が後退された後、定位置にとどまる。クランプまたは他の停止部が、カバー部分21A、21'Aに取り付けられて、一方のコネクタから他方のコネクタ100、100'に任意の媒体が流れるのを防ぐことができるが、第2のシールAを通じた接続は保持され得、カバー部分21A、21'Aは、新しいシール部材22、22'を備えた新しいカバー部分がカバー端部12、12'に装着される前に連結端部12、12'の側部に折り畳まれる。コネクタ100、100'は次に、互いに、または他のコネクタに、再び接続され得る。
【0047】
しかしながら、好適な実施形態では、カバー部分21A、21'Aは、
図7に示すように互いから分離される。そこでは、コネクタ100、100'はさらに切り離されており、それによって、カバー部分21A、21'Aおよびそれらのシール部材21、21'は、アクセスが容易になるよう露出される。次に切り離しが行われ、各カバー部分21A、21'Aは、好ましくは、別個の切断行為と組み合わせられても組み合わせられなくてもよいヒートシールを通じて、無菌的にシールされる。これにより、切り離しは、ライン4、4'において、ハンドヘルドのヒートシール装置を適用することによって実施され得、ヒートシール装置は、カバー部分21A、21'Aを加熱し、材料を溶かして封止すると同時に、ライン4、4'において切断する。これにより、カバー部分21A、21'Aの無菌閉鎖が達成され、それによって、カバー2、2'の内側は、コネクタ100、100'の周囲から離れて維持され、ライン4、4'は、第3のシールCを形成する。媒体が高い圧力で、例えば連結端部12、12'を通って流れることができなければならない場合に必要とされる、より重く、より頑丈な材料と比べて、薄く可撓性のプラスチック材料がカバー2に使用され得るので、カバー部分21A、21'Aのヒートシールは容易である。それで、カバー部分21A、21'Aを切断することは、連結端部12、12'を切断するよりも著しく容易であり、これは、本発明の大きな利益でもある。
【0048】
カバー部分21A、21'Aの切り離し後、これらはそれぞれ、連結端部12、12'の側部に動かされ得、第2のカバー部分22A、22'Aは、それらを手動で連結端部まで動かし、シール部材22、22'を連結端部12、12'と整列させることによって、または、ホルダ3、3'を使用してそれらを前述したように位置付けることによって、連結端部12、12'上に装着され得る。
【0049】
いくつかの適用では、コネクタ100、100'のうちの一方のみが、先の接続からの分離に続き、新しい無菌接続を確立することが意図され得る。したがって、再利用が意図されたコネクタ100に近接して1つのみの第3のシールCを分離プロセスにおいて形成し、シール部材21、21'を残して、他方のコネクタ100'に依然として取り付けられた第1のシールBを形成するのに、十分となり得る。いくつかの適用では、再利用が意図されていないコネクタ100'を無菌的に封止することは必要でない場合もあるが、これは、オペレータがコネクタの内側の媒体に曝露されるリスクが低い場合の適用の場合であろう。
【0050】
いくつかの適用では、コネクタ100、100'が互いから係合解除された後でコネクタ100、100'の内側に媒体が依然として静止しているのを回避することが望ましい。例えばバイオリアクターからサンプルを採取する場合などの適用では、戻り流れが、コネクタ部材本体11の内側に配置され得、それによって、コネクタ100への、またコネクタ100からの一定の流れが、コネクタ100がもう一方に接続されていない場合に、維持される。
【0051】
本発明の適用の2つの実施例を簡単に説明する。
【0052】
第1の適用では、本発明のコネクタ100は、サンプリングの反復が必要とされ、バイオリアクターの一定の容量を維持することが望ましい、バイオリアクターシステムで使用される。前述したようなコネクタ100の内側の戻り流れを使用して、バイオリアクターからの細胞が静止して保持され得、栄養素へのアクセスが限られ、細胞死を引き起こす、デッドレッグの形成を回避することが有利である。
【0053】
本出願では、コネクタは、接続端部13がセルバッグ(cell bag)の壁に直接、または代わりにバッグから通じるパイプもしくはホースの端部に、締結された状態で、装着され得る。サンプルを採取する場合、コネクタ100は、本明細書に記載されるように第2のシールAおよび第1のシールBを形成することによって同様のコネクタ100'に接続され、所定の容量の流体が、バイオリアクターから除去される。その後、第1のシールBは係合解除され、カバー部分21A、21'Aは、ライン4、4'におけるヒートシールによって切り離されて、カバー2、2'を無菌的に封止する。
【0054】
別のサンプルをセルバッグから採取する場合、コネクタ100は再び接続されるが、今度は、第2のカバー部分22Aが第2のシールAを形成するのに役立つ。このように、コネクタ100は、複数回使用されると共に、無菌状態を依然として維持し、コネクタからの漏れならびにセルバッグの中身の汚染を防ぐことができる。これは、先行技術の解決策に比べて、かなりの利点を表し、費用対効果が高く時間効率の良い解決策を提供する。
【0055】
第2の適用では、本発明のコネクタ100は、溶液が供給コンテナから異なる時間に挿入されるフィルタシステムで使用される。使用中、システムのコネクタ100は、供給コンテナの同様のコネクタ100'に接続され、流体がフィルタシステムによって受容されることを可能にする。その後、コネクタ100、100'は、前述したように係合解除され得、コネクタ100は、別の溶液を保持する別の供給コンテナに再び接続され得る。これにより、この分野で、また、簡単に前述したバイオリアクターの分野で、これまで使用されていた、従来のマニホールドコネクタの必要性が排除される。
【0056】
本発明の別の実施形態では、本発明による複数のコネクタは、同じホースまたは導管に通じるそれらの接続端部13と共に装着され得る。これは、コネクタ100のそれぞれが、別個のカバー部分と共に複数回使用され、何度も繰り返し使用され得るマニホールドコネクタの作製を可能にする、マニホールドコネクタを表す。総数は、カバー2のカバー部分21、22、23、24、25の数の選択を通じて決定され得、適切に変更され得る。
【0057】
本発明の別の実施形態では、複数のコネクタは、順番に接続されて、作られ得る無菌接続部の数を増やすことができる。この目的で、2つの無菌接続部を両側に有する、短い長さのコネクタ片が使用されて、無菌接続部の数を拡大することができる。前記コネクタ片、またはエキステンダーは、延長される流体ラインに接続されることが意図された一端部にただ単一のシール部材を備えて、また、新たな(新しい)複数の無菌接続性を提供することが意図された他端部に複数の無菌シール部材を備えて、設計され得る。
【0058】
図8~
図9は、本発明の代替的な実施形態を示し、ここでは、第1のコネクタ100が流体ライン16の端部にあり、第2のコネクタ100'は、流体ライン16に挿入されるプローブを連結端部12'に含む。この実施形態と前述した好適な実施形態との主な違いは、第1のコネクタ100の連結端部12が、第2のコネクタ100'の連結要素15'との相互作用を通じて第1のシールBを形成するOリングなどの封止部の形態で連結要素15を含むことである。他の点では、コネクタ100、100'は前述したものと同様である。
【0059】
代替的な実施形態の一対のコネクタ100、100'は、第2のシールAがシール部材21、21'によって形成され、第2のコネクタ100'の連結端部12'が第1のコネクタ100の連結端部12に挿入されることによって、連結され、それによって、第2のコネクタ100'の連結要素15'は、第1のコネクタの連結要素15と相互作用して第1のシールBを形成することができる。
【0060】
代替的な実施形態の改変バージョンでは、第1のコネクタ100は、代わりに、バイオリアクターの容器ポート上に形成され得、第2のコネクタ100'は、
図8および
図9の代替的な実施形態のプローブが流体ライン16に挿入されるのと同じようにバイオリアクターに挿入されるプローブ部分を連結端部12に備えたセンサとすることができる。
【0061】
代替的な実施形態の分離は、好適な実施形態と同じように行われ、その実施形態について記載されたすべての代替物が、代替的な実施形態に等しく適用可能である。
【0062】
いくつかの実施形態では、第2のコネクタ100'は、前述したようなカバー2'を有する単回使用コネクタとすることができるが、前記カバー2'は、シール部材21'を備えた1つのカバー部分21A'を含むのみである。この状況は
図10に示されている。よって、第1のコネクタ100は、複数回使用される1つのコネクタを、例えば使い捨ての器具のマルチポートバルブの代わりに、一連の単回使用使い捨て導管と無菌的に接続するか、または、再利用可能なコネクタを、フィルタもしくはクロマトグラフィーカラムなどの消耗品に何度も接続するために、使用され得る。このような場合、カバーの最終的なヒートシールのみが、再利用可能なコネクタ側で必要とされる。
【0063】
図11は、本発明の別の実施形態を示す。この図面では、コネクタ対1100および1100'は、2つのコネクタ、例えば、供給管113および戻し管113'を含む。シール部材21~25および21'~25'は、前述したシール部材と同様の構造であるが、コネクタの数の増加に対応するようにさらに大きくされ、コネクタの数は、この場合は二対であるが、他の量も使用され得、例えば3つまたは4つ以上のコネクタである。シール部材の動作は、前述したのと同じである。二対のコネクタは、共に封止された別々の部分として示されているが、例えば流体および/または電気コネクタが1つのコネクタブロックへと組み合わせられる場合、単一のマニホールドブロックへと封止されるように経路を組み合わせることが等しく有用であろう。
【0064】
図12は、シール部材21~25が、アダプタ200を形成する、別個のカバー部分2に装着された、別の実施形態を示す。それらのシール部材は、前述したように、相補的なシールと共に機能することが意図されている。アダプタ200は、単回使用シールなどのコネクタ1110上の別の同様のシール221'に接続されることが意図された、追加の封止領域221を含む。この場合、シール221および221'は、前述したような剥離型である必要はない。シール221および221'の機能は、別の状況では単回使用のコネクタ1110を複数回使用の無菌コネクタへと選択的に適合させるように作られ得る、より低コストの接続部を提供することである。いったん作られると、シール221とシール221'との間のシールは、コネクタ1110の上を矢印Aの方向に動かされ得、それによって、シール21~25は、コネクタ1110の連結要素15の周囲に位置付けられ得、それによって、コネクタ長さは、特に延ばす必要はない。コネクタ1110のカバー部分2'およびアダプタ200のカバー部分2は、前述したように作用して、それらの部分を周囲の環境から、前述したように隔離する。アダプタ200は任意のシール221を備えて作られ得、嵌め込み後に滅菌され得る場合、例えば、押し込み式またはねじ山付き取り付け具などの機械的シールが使用され得るが、無菌性を維持するためには、前述したタイプの剥離シールが好ましいことが、当業者には明らかであろう。また、アダプタは流体コネクタ1110などを隔離することが意図されているが、アダプタ200は、より広範囲の連結部と共に利用され得る。また、シール221、221'は、シール21~25および21'~25'に関して前述したタイプの複数回使用型のシールとしてもよいことが、当業者には明らかであろう。
【0065】
いくつかの実施形態では、殺菌された通気フィルタが、接続および分離中、ならびに分離後に封止して離す間、例えばカバー部分の転置、コネクタ部品の転置など、種々の動作工程中にカバー2の容量調節を可能にするために、コネクタに組み込まれる。しかしながら、実際、内部容積は、大きく変化しないので、通気孔は必須ではない。
【0066】
別の実施形態では、カバー2の内部容積は、カバー2の外側の周囲圧力よりわずかに高い陽圧を作り出すガス流を受けることができる。この適度な超過圧力は、特定の動作ステップについてコネクタ部品の動作およびカバーの伸長を容易にすることができ、わずかな超過圧力は、さらなる無菌保証も与えて、カバー2の内部、コネクタ、および処理流体の汚染を回避する。カバー2を加圧する前記ガス流は、適切に殺菌濾過され、過剰なガス流は、第2の殺菌された通気フィルタを通じてカバー2から出ることができる。排出ガスのための第2の通気フィルタが選択されて、適切な水圧耐性を提供し、周囲圧力との圧力差を制御することができ、代わりに、定められた解放圧力の逆止弁が、排出ガス流体経路に適用され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、インジケータまたはセンサが、接続または分離が行われる前、その間、またはその後に、カバーの状態を感知するため、カバー2内に設けられ得る。例えば、前記インジケータまたはセンサは、漏れ検出の機能性または圧力評価を提供し得る。別の実施形態では、センサは、例えば異なる物理的位置および/または接続性の状態、オプションの弁(開/閉)もしくは連結要素14、14の位置および/または状態など、コネクタの状態を示すために設けられ得る。無線感知の使用はオプションであり、いくつかの実施形態では好ましく、無線センサは、感知要素に自律性および省コスト性を提供するためにさまざまなエネルギーハーベスティング技術を利用し得る。いくつかの実施形態では、コネクタにおける感知要素は、外部に取り付けられるセンサまたは送信機構成要素と組み合わせられ得、これは、コネクタ自体のコストおよび複雑さを低減し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、コネクタまたはその一部、例えばカバー2は、透明であるか、または透明な窓を含んで、視覚的検査、動作などを容易にし得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、可撓性部品、例えばカバー2は、内側および/または外側に裏打ちを備えて、カバーの折り畳みセクション間の摩擦を低減し、かつ/または折り畳み表面間の粘着性もしくは接着を回避することができる。可撓性カバー2と同じかもしくは異なる材料で作られた裏打ちの代わりに、表面処理が適用され得るか、または、可撓性部品の材料が、所望の粗さ、パターン、波形などを提供する特定の表面プロファイルと共に設計され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、コネクタは、単一の接続および/または分離無菌コネクタとして提供および/または利用され得る。
【0071】
本発明は、無菌接続のためのコネクタと、2つのそのようなコネクタを接続し分離する方法と、を開示する。コネクタは、流体コネクタとして使用する、例えば液体およびガスを処理するのに適しているが、ガス流のための空気作用による接続などの非処理流体接続、または電流を運ぶための電気接続などの非流体接続にも使用され得る。適切な使用領域は、無菌接続が望ましい任意の領域であり、前述した適用は別として、他の分野、例えば、洗浄、殺菌、および消毒が困難な環境での電気接続、例えば臨床/手術適用などで、本発明を使用することも適切であろう。よって、処理流体を保護し遮断するのに典型的に望まれるように、コネクタの内部を外部および環境から保護する代わりに、カバーは、コネクタにおいて内側で接続されるものにかかわらずそれから外部環境を保護するのにも使用され得る。
【0072】
さらに、ただ1つの無菌流体コネクタが前述され、例示されているが、一対またはそれ以上の隣接するコネクタが使用され得ることが可能であり、無菌カバーが、その一対またはそれ以上のコネクタを取り囲むのに使用される。そのようなコネクタは、別々の構成要素とすることができるが、接続成形(connected molding)、例えば一体成形で形成されるのが好ましく、それによって、相補的な流体接続要素は、それらの間隔が成形によって維持されることで、容易にまとめられて、無菌的に形成され得る複数の概ね無菌の流体経路を形成することができる。
【0073】
無菌接続部、連結部および/またはカバー部分の使用に目を向けると、接続部、連結部、カバー部分、またはシール部材のうちの少なくとも1つまたはいくつかのアイテムは、例えば、製造、配送、および/または実験室、生産もしくは製造環境での検査中に、容易な識別およびトレーサビリティのためにマーキングされ得る。適切なマーカーおよび識別子は、物品上の数字もしくは含有量およびシリアルナンバー、接続ID、接続ステータス、または類似のものとすることができ、前記マーカーおよび識別子は、金型刻印(mold imprints)、印刷ラベルもしくはバーコード、色コードの形態で、または光学的もしくは電子的に読み取り可能なマーカー、例えばRFIDタグとして、提供され得、これは、さらに、ワークフロー指示、実行、ならびにデータモニタリングおよび記録のための複合現実ツールと互換性とすることができる。前記マーカーまたはタグは、部品の使用履歴を記録することができるように書き込み可能とすることができる。マーカーまたはタグは、コネクタおよび/またはコネクタのサブコンポーネントに適用され得、例えば、これらは、個々のカバー部分に適用され得る。さらに、接続部、連結部、カバー部分、またはシール部材は、能動的または受動的感知および/または伝送装置を備えることができ、これは、有線であっても無線であってもよく、かつ、前記構成要素の特性もしくはステータスおよび/または流体特性および/または特性に関する情報を提供し得る。
【0074】
本発明は、複数回使用のシール部材を介した2つの区画間の無菌接続が望ましいか、または、無菌シール部材を通じた、かつ/もしくは無菌シール部材内部のコネクタ、ライン、もしくは他の連通が望ましい、多くの技術分野で使用されるのに適切であることが、理解される。これらの技術分野は、医学、化学、および、サンプルが採取されるか、または、物質がシール部材もしくは類似のものを介して1つの容器から別の容器へ送られるテクノロジーにおける、多くの分野を含む。本発明は、区画を接続し、かつ/または分離して、前記区画間の任意の材料または物質の無菌移動、例えばクリーンルームもしくは制御された環境間での物体の移動を可能にするために使用されることもできる。本明細書におけるこれらの適用のうちのいくつかの説明は、当業者が容易に理解するように、単に実施例とみなされる。
【0075】
本明細書に記載されるさまざまな実施形態からの特徴は、組み合わせが不適当であると明確に述べていない限り、自由に組み合わせられ得ることにも注意されたい。
【0076】
別の実施形態では、標準的なコネクタは、2つの無菌接続部と、シール部材と、を有し得、第2の位置は、「バックアップ」オプションを提供して、例えば、オペレータの失敗の場合、またはシステムの故障が単一の再接続を必要とする場合に、再接続を可能にする。この第2の無菌接続性は、「接続性エキステンダー」と共に利用されて多様な接続性をアップグレードすることもできる。
【符号の説明】
【0077】
1 コネクタ部材
1' コネクタ部材
2 カバー
2' カバー
3 ホルダ
3' ホルダ
4 ライン
4' ライン
11 コネクタ部材本体
12 連結端部
12' 連結端部
13 接続端部
13' 接続端部
14 連結要素
14' 連結要素
15 連結要素
15' 連結要素
16 流体ライン
21 シール部材
21' シール部材
21A カバー部分
21'A カバー部分
21B 保護フィルム
21'B 保護フィルム
22 シール部材
22' シール部材
22A カバー部分
22'A カバー部分
23 シール部材
23' シール部材
24 シール部材
24' シール部材
25 シール部材
25' シール部材
100 第1のコネクタ
100' 第2のコネクタ
113 供給管
113' 戻し管
200 アダプタ
221 シール
221' シール
1100 コネクタ
1100' コネクタ
A 第2のシール
B 第1のシール
C 第3のシール