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特許7395231電池モジュールおよびこれを含む電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/211 20210101AFI20231204BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20231204BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20231204BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20231204BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20231204BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20231204BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20231204BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20231204BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20231204BHJP
   H01M 10/623 20140101ALI20231204BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231204BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/271 B
H01M50/271 S
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/227
H01M50/242
H01M10/658
H01M10/647
H01M10/617
H01M10/623
H01M10/625
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022521707
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 KR2021001048
(87)【国際公開番号】W WO2021187747
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0032725
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スビン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンキュ・パク
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060880(JP,A)
【文献】国際公開第2017/26145(WO,A1)
【文献】特開2017-162810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/658
H01M 10/647
H01M 10/617
H01M 10/623
H01M 10/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体;
前記電池セル積層体の下部を覆う第1フレーム;および
前記電池セル積層体の上部を覆う第2フレームを含み、
前記第1フレームは前記電池セル積層体の、前記複数の電池セルが積層された積層方向に垂直な両側面をカバーする第1側面部を含み、
前記第2フレームは前記第1側面部を前記積層方向においてカバーする第2側面部を含み、
前記積層方向における前記第1側面部と前記第2側面部の間に側面部材が位置
前記側面部材はパッド形態である、電池モジュール。
【請求項2】
前記第2フレームは、前記電池セル積層体の前面および後面をそれぞれカバーする前面部および後面部を含む、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体;
前記電池セル積層体の下部を覆う第1フレーム;および
前記電池セル積層体の上部を覆う第2フレームを含み、
前記第1フレームは、前記電池セル積層体の、前記複数の電池セルが積層された積層方向に垂直な両側面をカバーする第1側面部を含み、
前記第2フレームは、前記第1側面部を前記積層方向からカバーする第2側面部を含み、
前記積層方向における前記第1側面部と前記第2側面部との間に側面部材が位置し、
前記側面部材は、ポリウレタンを含む、電池モジュール。
【請求項4】
前記電池セルの電池本体が前記第1側面部、前記第2側面部、および前記側面部材と平行に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体;
前記電池セル積層体の下部を覆う第1フレーム;および
前記電池セル積層体の上部を覆う第2フレームを含み、
前記第1フレームは、前記電池セル積層体の、前記複数の電池セルが積層された積層方向に垂直な両側面をカバーする第1側面部を含み、
前記第2フレームは、前記第1側面部を前記積層方向からカバーする第2側面部を含み、
前記積層方向における前記第1側面部と前記第2側面部との間に側面部材が位置し、
前記電池セル積層体の前面および後面をカバーするエンドプレートを含む、電池モジュール。
【請求項6】
前記エンドプレートは、前記第1フレームおよび前記第2フレームのうちの少なくとも一つと溶接結合される、請求項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体;
前記電池セル積層体の下部を覆う第1フレーム;および
前記電池セル積層体の上部を覆う第2フレームを含み、
前記第1フレームは、前記電池セル積層体の、前記複数の電池セルが積層された積層方向に垂直な両側面をカバーする第1側面部を含み、
前記第2フレームは、前記第1側面部を前記積層方向からカバーする第2側面部を含み、
前記積層方向における前記第1側面部と前記第2側面部との間に側面部材が位置し、
前記第1側面部と前記側面部材の間および前記第2側面部と前記側面部材の間のうちの少なくとも一つに形成された高分子樹脂層をさらに含む、電池モジュール。
【請求項8】
前記高分子樹脂層は、前記側面部材に高分子樹脂が塗布されて形成された、請求項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年3月17日付韓国特許出願第10-2020-0032725号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関するものであって、より具体的にはスウェリングによるモジュール構造変形を防止する電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現代社会では携帯電話機、ノートパソコン、キャムコーダー、デジタルカメラなどの携帯型機器の使用が日常化されながら、前記のようなモバイル機器関連分野の技術に対する開発が活発になっている。また、充放電の可能な二次電池は化石燃料を使用する既存のガソリン車両などの大気汚染などを解決するための方案であって、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)などの動力源として用いられているところ、二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0004】
現在商用化された二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうちのリチウム二次電池はニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらなくて充放電が自由であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを挟んで配置された電極組立体、および電極組立体を電解液と共に密封収納する電池ケースを備える。
【0006】
一般に、リチウム二次電池は外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内装されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内装されているパウチ型二次電池に分類できる。
【0007】
小型機器に用いられる二次電池の場合、2-3個の電池セルが配置されるが、自動車などのような中大型デバイスに用いられる二次電池の場合は、多数の電池セルを電気的に連結した電池モジュール(Battery module)が用いられる。このような電池モジュールは多数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって容量および出力が向上される。また、一つ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0008】
図1は、従来の電池モジュールを示した図である。
【0009】
図1を参照すれば、電池モジュールは複数の電池セル11が積層されて形成された電池セル積層体12、電池セル積層体12を収容するように前面と後面が開放されたモノフレーム20、およびモノフレーム20の前面と後面を覆うエンドプレート60を含むことができる。このような電池モジュールを形成するために、図1に示した矢印のようにX軸方向に沿ってモノフレーム20の開放された前面または後面に電池セル積層体12が挿入される水平組立が必要である。但し、このような水平組立が安定的に行われるように電池セル積層体12とモノフレーム20の間に十分なクリアランス(clearance)を確保しなければならない。ここで、クリアランス(clearance)とは嵌め合いなどによって発生する隙間をいう。
【0010】
この時、電池セル積層体12の最大高さおよび挿入過程での組立公差などを考慮してモノフレーム20の高さは大きく設計されなければならず、これによって不必要に浪費される空間が発生することがある。
【0011】
一方、複数の電池セル11が反復的に充放電される過程で、その内部電解質が分解されガスが発生して電池セル11が膨らむ現象、即ち、スウェリング(Swelling)現象が発生することがある。高い集積度で積層される複数の電池セル11が膨らむようになれば、モノフレーム20の両側面のみでスウェリングによる圧力を耐えなければならない問題がある。
【0012】
但し、モノフレーム20の厚さを増加させる場合、スウェリング現象に対する剛性と無関係な上面および下面の厚さも増加するようになるので、電池モジュールの重量が必要以上増加するようになり、高さも増加してエネルギー容量の面で不利益がある。
【0013】
一方、電池セル積層体12は複数の電池セル11がコンパクトに積層されて形成されるため電池セル積層体12の電池セル11間に温度偏差が深化することがある。電池セル11間の温度不均一は電池モジュールの性能を低下させ終局的には寿命を低める原因になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は、重量や高さの増加を最少化することができながら、電池セルのスウェリングおよび温度偏差を制御することができる電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供することである。
【0015】
但し、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層された電池セル積層体;前記電池セル積層体の下部を覆う第1フレーム;および前記電池セル積層体の上部を覆う第2フレームを含み、前記第1フレームは前記電池セル積層体の両側面をカバーする第1側面部を含み、前記第2フレームは前記第1側面部をカバーする第2側面部を含み、前記第1側面部と前記第2側面部の間に側面部材が位置する。
【0017】
前記第2フレームは、前記電池セル積層体の前面および後面をそれぞれカバーする前面部および後面部を含むことができる。
【0018】
前記側面部材は、ポリウレタンを含むことができる。
【0019】
前記電池セルの電池本体が前記第1側面部、前記第2側面部、および前記側面部材と平行に配置できる。
【0020】
前記側面部材はパッド形態であってもよい。
【0021】
前記電池モジュールは、前記電池セル積層体の前面および後面をカバーするエンドプレートを含むことができる。
【0022】
前記エンドプレートは、前記第1フレームおよび前記第2フレームのうちの少なくとも一つと溶接結合できる。
【0023】
前記電池モジュールは、前記第1側面部と前記側面部材の間および前記第2側面部と前記側面部材の間のうちの少なくとも一つに形成された高分子樹脂層をさらに含むことができる。
【0024】
前記高分子樹脂層は、前記側面部材に高分子樹脂が塗布されて形成できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態による電池モジュールおよびこれを含む電池パックは、電池セルのスウェリングによる力が作用する電池セル積層体の一面と隣接した位置に二重フレーム構造を採用することによって電池モジュールの重量や高さの増加を最少化しながらスウェリングによるモジュール構造変形を防止することができる。
【0026】
また、側面部材を設けて電池モジュール外部への熱伝達を遮断することによって、電池セル間の温度偏差を減少させることができる。これにより、電池モジュールの性能および寿命を増加させることができる。
【0027】
本発明の効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来の電池モジュールに対する分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。
図3図2の電池モジュールが組み立てられた様子を示した図である。
図4図3のA-A部分であって、本発明の一実施形態による電池モジュールの断面図である。
図5図2の電池モジュールに含まれている電池セルを示す斜視図である。
図6】本発明の他の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。
図7】本発明の他の一実施形態による電池モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は様々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0030】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0031】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張されるように示した。
【0032】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分“の上に”または“上に”あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって“の上に”または“上に”位置することを意味するのではない。
【0033】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0034】
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。図3は、図2の電池モジュールが組み立てられた様子を示した図である。図4図3のA-A部分であって、本発明の一実施形態による電池モジュールの断面図である。
【0036】
図2図4を参照すれば、本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セル110が積層された電池セル積層体100、電池セル積層体100の下部を覆う第1フレーム200、および電池セル積層体100の上部を覆う第2フレーム300を含む。第1フレーム200は電池セル積層体100の両側面をカバーする第1側面部210を含み、第2フレーム300は第1側面部210をカバーする第2側面部310を含み、第1側面部210と第2側面部310の間に側面部材400が位置する。
【0037】
第1フレーム200は、電池セル積層体100の下面をカバーする底部220をさらに含むことができる。即ち、第1フレーム200が電池セル積層体100の両側面および下面をカバーするように形成できる。この時、第1フレーム200の第1側面部210および底部220は一体に形成できる。
【0038】
第2フレーム300は、電池セル積層体100の上面をカバーする天井部320、電池セル積層体100の前面をカバーする前面部330、および電池セル積層体100の後面をカバーする後面部340をさらに含むことができる。即ち、第2フレーム300が電池セル積層体100の両側面、上面、前面および後面をカバーするように形成できる。この時、第2側面部310、天井部320、前面部330、および後面部340が一体に形成できる。
【0039】
本実施形態によれば、第2フレーム300の第2側面部310が第1フレーム200の第1側面部210をカバーすることができるように、第2フレームの天井部320が第1フレーム200の底部220より広く形成できる。
【0040】
図5は、図2の電池モジュールに含まれている電池セルを示す斜視図である。
【0041】
図5を参照すれば、本発明の一実施形態による電池セル110はパウチ型電池セルであるのが好ましい。例えば、本実施形態による電池セル110は二つの電極リード111、112が互いに対向して電池本体113の一端部114aと他の一端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。より詳しくは、電極リード111、112は電極組立体(図示せず)と連結され、電極組立体(図示せず)から電池セル110の外部に突出する。
【0042】
一方、電池セル110は、電池ケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態で電池ケース114の両端部114a、114bとこれらを連結する一側部114cを接着することによって製造できる。言い換えれば、本実施形態による電池セル110は総3ケ所のシーリング部114sa、114sb、114scを有し、シーリング部114sa、114sb、114scは熱融着などの方法でシーリングされる構造であり、残り他の一側部は連結部115からなり得る。また、連結部115は電池セル110の一縁に沿って長く伸びていてもよく、連結部115の端部にはバットイヤー(bat-ear)と呼ばれる電池セル110の突出部110pが形成できる。
【0043】
このような電池セル110は、図2で示された通り、第1側面部210や第2側面部310と垂直方向に沿って積層されて電池セル積層体100を形成することができる。即ち、電池セル110の電池本体113が第1側面部210、第2側面部310、および後述の側面部材400と平行に配置できる。これにより、複数の電池セル110の電極リード111、112が第2フレーム300の前面部330および後面部340に向かってそれぞれ突出することになり得る。
【0044】
この時、電池セル110は反復的な充放電過程で電極が膨脹するか、副反応で内部電解質が分解されてガスが発生することがある。この時、電極膨脹や発生したガスによって電池セル110が膨らむ現象をスウェリング現象という。電池セル110のスウェリング現象が深化する場合、電池モジュールの外形を変化させて電池モジュールやこれを含む電池パックの構造的安定性に悪影響を及ぼすことがある。
【0045】
特に、電池本体113と平行な方向よりは垂直な方向によく膨らむ。したがって、電池セル積層体100に含まれている電池セル110のスウェリングによる圧力が第1側面部210と第2側面部310方向に大きく作用することがある。
【0046】
従来は、電池セルの積層方向に沿って電池セル積層体に隣接した位置に形成されるフレーム構造が単一フレーム構造に形成され、スウェリング発生時に電池モジュールの構造変形を防止するのに困難があった。かと言って、フレームの厚さを増加させれば、スウェリング現象に対する剛性と無関係の上面や下面の厚さも増加するようになるので、電池モジュールの重量が必要以上増加するようになり、高さも増加してエネルギー容量の側面から不利益がある。
【0047】
よって、本発明の一実施形態によれば、電池セル積層体100に対して、第1フレーム200の第1側面部210および第2フレーム300の第2側面部310が二重フレーム構造を形成して、電池セル110のスウェリング発生による電池モジュールの構造的変化を効果的に防止することができる。
【0048】
特に、電池セル110のスウェリング現象を直接的に制御することができるようにフレームの両側面部がより厚く実現でき、これと同時にスウェリングと関連の少ない底部および天井部は相対的に薄く実現されるので電池モジュールの体積や重量が不必要に増加するのを防止することができる。即ち、図4のように底部220および天井部320が第1厚さtを有する時、第1側面部210と第2側面部310が共に位置して側面方向に対して第2厚さ2t効果を実現することができる。言い換えれば、電池セル110スウェリング方向を考慮して第1側面部210と第2側面部310を通じてフレームの側面厚さを増加させることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、第1側面部210と第2側面部310の間に側面部材400が位置する。このような側面部材400はパッド形態であってもよく、所定の弾性力を備えているのが好ましい。特に、側面部材400は発泡体(Foam)を含むパッド形態であってもよい。このような側面部材400が電池セル110のスウェリングを効果的に吸収することができるので、電池セル110のスウェリングに対する電池モジュールの構造的安定性がさらに向上できる。
【0050】
即ち、第1側面部210と第2側面部310を通じて電池セル110のスウェリングが主に問題になる側面方向に対するフレームの剛性を増大させることができ、同時に側面部材400が位置して電池セル110のスウェリングを効果的に吸収することができる。
【0051】
また、第1側面部210と第2側面部310が形成する空間は、本実施形態のようなパッド形態側面部材400が配置されるのが容易である。
【0052】
電池セル積層体100は複数個の電池セル110がコンパクトに積層されて形成される。そのうちの最も外側に位置した電池セル110が外部環境から影響をさらに多く受けるため最も外側に位置した電池セル110が相対的に温度が低まることがあり、これによって電池セル積層体100の電池セル110間に温度偏差が深化されることがある。電池セル110間の温度不均一は、電池モジュールの性能および寿命を低める原因になり得る。
【0053】
よって、本発明の一実施形態による側面部材400は、前述の通り、パッド形態であってもよく、断熱性能を備えることができる。このような側面部材400が電池モジュール外部への熱伝達を遮断することによって、電池セル110間の温度偏差を減少させることができる。これにより、電池モジュールの性能および寿命を増加させることができる。
【0054】
前述の側面部材400はポリウレタン(Polyurethane)およびシリコン系列の素材のうちの少なくとも一つを含むことができ、より詳しくはポリウレタン発泡体(Polyurethane Foam)を含むことができる。また、これにより、本実施形態による側面部材400は電池セル110のスウェリングを効果的に吸収することができると同時に、電池モジュール外部への熱伝達を遮断して電池セル110間の温度偏差を減らすことができる。但し、本発明の側面部材400は前述の素材に制限されるわけではない。
【0055】
一方、本発明の一実施形態によれば、二つの第1および第2フレーム200、300のみで電池セル積層体100をカバーするように電池モジュール構造が形成されることによって、フレーム構造を一体化および単純化させ、フレーム部品数を減少させることができる。さらに、フレーム部品の組立工程を減少させることができ複雑な組立工程で発生することがある品質不良問題を画期的に改善することができる。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、第1フレーム200と第2フレーム300は溶接で結合できる。具体的には、第2フレーム300の第2側面部310、前面部330および後面部340の各下端と第1フレーム200が接する部分を溶接して第1フレーム200と第2フレーム300を結合させることができる。第1フレーム200と第2フレーム300の厚さは同一であってもよい。
【0057】
一方、第1フレーム200および第2フレーム300はプレス工法で形成でき、同一材質から形成できる。これによってフレーム部品製造時に単一工法で第1フレーム200と第2フレーム300の製造が可能であって製造工程を単純化することができ品質不良を減少させることができる。
【0058】
一方、側面部材400の厚さは所定の厚さを有することができる。ここで、側面部材400の厚さは図4で電池セル110スウェリング方向と平行な方向での幅を示す。
【0059】
このような側面部材400の厚さは、電池セル110の個数、側面部材400の個数、フレームの内側および側面部材400の最大圧縮程度などを考慮して設計でき、一実施形態として2mm~3mmの厚さを有することができる。ここで、上限値である3mmはBOL(Begin of Life)で電池セル110を加圧することができる厚さであり、下限値である2mmはEOL(End of Life)で電池セル110のスウェリング増加量を吸収することができる厚さである。
【0060】
以下、図6と共に本発明の他の一実施形態による電池モジュールを説明する。
【0061】
図6は、本発明の他の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。
【0062】
図6を参照すれば、本実施形態による電池モジュールは、複数の電池セル110が積層された電池セル積層体100、電池セル積層体100の下部を覆う第1フレーム200a、および電池セル積層体100の上部を覆う第2フレーム300aを含む。
【0063】
第1フレーム200aは電池セル積層体100の両側面をカバーする第1側面部210aを含み、第2フレーム300aは第1側面部210aをカバーする第2側面部310aを含み、第1側面部210aと第2側面部310aの間に側面部材400aが位置する。
【0064】
第1フレーム200aは電池セル積層体100の下面をカバーする底部220aをさらに含むことができ、第2フレーム300aは、電池セル積層体100の上面をカバーする天井部320aをさらに含むことができる。
【0065】
第2フレーム300aの第2側面部310aが第1フレーム200aの第1側面部210aをカバーすることができるように、第2フレームの天井部320aが第1フレーム200の底部220aより広く形成できる。
【0066】
本実施形態によれば、電池セル積層体100の前面と後面に対して第1フレーム200aと第2フレーム300aは全て開放された構造を形成することができる。電池セル積層体100に含まれている電池セル110の電極リードは電池セル積層体100の前記前面および前記後面に配置できる。
【0067】
本実施形態による電池モジュールは、電池セル積層体の前面および後面をカバーするエンドプレート500を含むことができる。具体的には、エンドプレート500は電池セル積層体100の前記前面および前記後面を覆うように配置できる。
【0068】
第1フレーム200aと第2フレーム300aは溶接で結合できる。具体的には、第2フレーム300aの第2側面部310aの下端と第1フレーム200aが接する部分を溶接して第1フレーム200aと第2フレーム300aを結合させることができる。
【0069】
また、エンドプレート500は、第1フレーム200aおよび第2フレーム300aのうちの少なくとも一つと溶接結合できる。エンドプレート500の各角が第1フレーム200aおよび第2フレーム300aのうちの少なくとも一つと接する部分で溶接を行うことができる。
【0070】
第1フレーム200a、第2フレーム300a、およびエンドプレート500は電池セル積層体100をはじめとするその他電装品を外部衝撃から保護するために所定の強度を有するのが好ましく、このために金属材質、特にアルミニウムを含むことができる。
【0071】
本実施形態による側面部材400aは、第1側面部210aと第2側面部310aの間に位置する。このような側面部材400aは、電池セル110のスウェリングを吸収することができると同時に、電池モジュール外部への熱伝達を遮断して電池セル110間の温度偏差を減少させることができる。詳しい内容は前述の内容と重複であるので省略することにする。
【0072】
以下、図7と共に本発明の他の一実施形態による電池モジュールを説明する。
【0073】
図7は、本発明の他の一実施形態による電池モジュールの断面図である。詳しくは、高分子樹脂層600を含む電池モジュールの断面図である。
【0074】
図7を参照すれば、本実施形態による電池モジュールは電池セル積層体100、第1フレーム200および第2フレーム300を含み、第1フレーム200の第1側面部210と第2フレーム300の第2側面部310の間に側面部材400bが位置する。前記構成については先に説明したので、詳細な説明は省略することにする。
【0075】
この時、本実施形態によれば、第1側面部210と側面部材400bの間および第2側面部310と側面部材400bの間のうちの少なくとも一つに高分子樹脂層600が形成できる。図7には第1側面部210と側面部材400bの間および第2側面部310と側面部材400bの間の両方とも高分子樹脂層600が形成されたものが示されているが、第1側面部210と側面部材400bの間および第2側面部310と側面部材400bの間のうちの一ヶ所のみに高分子樹脂層600が形成されることも可能である。
【0076】
このような高分子樹脂層600は側面部材400bに高分子樹脂が塗布されて形成でき、より詳しくは、側面部材400bの両面のうちの少なくとも一つに高分子樹脂が塗布されて形成できる。このような高分子樹脂は所定の接着力を有する素材であれば特別な制限はないが、シリコン系列の樹脂であってもよい。
【0077】
高分子樹脂層600が形成されることによって、側面部材400bが第1側面部210や第2側面部310に固定されて第1側面部210と第2側面部310の間に安定的に堅固に配置できる。即ち、側面部材400bに対する固定力が向上できる。また、前記で言及した通り、側面部材400bが外部への熱伝達を遮断して電池セル110間の温度偏差を減少させることができ、側面部材400bに高分子樹脂層600が設けられることによって、熱伝達遮断および電池セル110間の温度偏差減少により効果的であり得る。
【0078】
本実施形態で前、後、左、右、上下のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象になる事物の位置や観測者の位置などによって変わることがある。
【0079】
前述の本実施形態による一つまたはそれ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0080】
前記電池モジュールや電池パックは多様なデバイスに適用できる。具体的には、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド車などの運送手段に適用できるが、これに制限されず二次電池を使用することができる多様なデバイスに適用可能である。
【0081】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0082】
100:電池セル積層体
200:第1フレーム
210:第1側面部
220:底部
300:第2フレーム
310:第2側面部
320:天井部
330:前面部
340:後面部
400、400a、400b:側面部材
500:エンドプレート
600:高分子樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7