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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】増幅装置および送信装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/217 20060101AFI20231204BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20231204BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
H03F3/217 130
H03F3/68 220
H04B1/04 R
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019047404
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020150449
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100206243
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貴士
(72)【発明者】
【氏名】山岡 敦志
(72)【発明者】
【氏名】山口 恵一
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 祐紀
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-041680(JP,A)
【文献】特開2011-166260(JP,A)
【文献】特開2012-222498(JP,A)
【文献】特表2015-509333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-H03F3/72
H03K17/00-H03K17/70
H04B1/02-H04B1/04
H04L25/00-H04L25/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された増幅対象信号を増幅する期間およびタイミングの少なくとも一方を制御信号に基づいて制御して増幅信号をそれぞれ生成する複数のスイッチングアンプと、
前記制御信号の周期が前記増幅対象信号の周期の半分になるように前記増幅対象信号に基づいて前記制御信号を生成する調整部と、
前記制御信号に基づいて前記増幅対象信号を前記複数のスイッチングアンプに入力するか否かを切り替える切替回路と、
各前記スイッチングアンプとの結合係数が上限値以下となるように配置または構成されており、各前記スイッチングアンプからの各増幅信号を電圧加算により合成して合成信号を生成する合成器と、を備え、
前記スイッチングアンプは、複数備えられており、
前記上限値が0.9である
増幅装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記増幅対象信号の周波数に応じて、前記制御信号のパルス幅、または前記増幅対象信号に対する前記制御信号の遅延時間の少なくとも一方を調整する
請求項1に記載の増幅装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記スイッチングアンプが、前記調整部の調整前よりも高次高調波の電力レベルが低い増幅信号を生成するように前記制御信号を生成する、
請求項1または2に記載の増幅装置。
【請求項4】
前記調整部が、前記制御信号のパルス幅および遅延時間の両方を調整する
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の増幅装置。
【請求項5】
前記スイッチングアンプは、前記増幅対象信号の論理により、第1方向に電流を流すか、または前記第1方向とは逆の第2方向に電流を流すかを切り替えるフルブリッジ回路を有し、
前記切替回路は、前記フルブリッジ回路に前記増幅対象信号を入力するか否かを切り替える、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の増幅装置。
【請求項6】
前記フルブリッジ回路は、
前記増幅対象信号が入力される第1入力ノードと、
前記増幅対象信号の反転信号が入力される第2入力ノードと、を有し、
前記切替回路は、
前記制御信号の論理に基づいて、前記第1入力ノードを所定の基準電圧に設定するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記制御信号の論理に基づいて、前記第2入力ノードを前記基準電圧に設定するか否かを切り替える第2スイッチと、を有する、
請求項5に記載の増幅装置。
【請求項7】
前記フルブリッジ回路は、
第1基準電圧ノードと第2基準電圧ノードとの間に直列に接続される第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタと、
前記第1基準電圧ノードと前記第2基準電圧ノードとの間に直列に接続される第2ハイサイドトランジスタおよび第2ローサイドトランジスタと、を有し、
前記第1ローサイドトランジスタのゲートには、前記第1スイッチが接続され、
前記第2ローサイドトランジスタのゲートには、前記第2スイッチが接続される、
請求項6に記載の増幅装置。
【請求項8】
前記フルブリッジ回路は、前記第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタの接続ノードと、前記第2ハイサイドトランジスタおよび前記第2ローサイドトランジスタの接続ノードとの間に接続されるトランスと、を有する、
請求項7に記載の増幅装置。
【請求項9】
一つ以上のAND回路をさらに備え、
前記調整部が、前記増幅対象信号を調整し、
前記AND回路に、調整された増幅対象信号と、対応する前記スイッチングアンプの駆動を決定する信号と、が入力されることにより、前記AND回路に対応するスイッチングアンプに対する制御信号が生成される
請求項ないしのいずれか一項に記載の増幅装置。
【請求項10】
前記調整部が、前記増幅対象信号を調整することにより、前記制御信号を生成する
請求項1ないしのいずれか一項に記載の増幅装置。
【請求項11】
前記調整部は、前記制御信号の周期が前記増幅対象信号の周期の半分となるように、前記制御信号を生成する
請求項10に記載の増幅装置。
【請求項12】
矩形信号を前記増幅対象信号として受け取り、前記合成信号を出力する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の増幅装置と、
前記合成信号を送信するアンテナ部と、
を備える送信装置。
【請求項13】
入力された信号の波形を矩形波に変換することにより、前記矩形信号を生成する矩形波生成部
をさらに備える請求項12に記載の送信装置。
【請求項14】
前記合成信号に含まれる所定の周波数成分を除去するフィルタをさらに備える
請求項12または13に記載の送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、増幅装置および送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
矩形信号の増幅に用いられるスイッチングアンプは、様々な装置に用いられているが、スイッチングアンプからの出力信号には高次高調波成分が含まれる。そのため、一般には、高次高調波を抑制する機能を別途設ける必要がある。例えば、多段化されたバンドパスフィルタ(BPF)、特定の高調波を抑制する負荷回路、などがスイッチングアンプとともに用いられている。
【0003】
しかし、高次高調波を抑制する機能を別途設けると、回路規模が増大してしまう。また、回路パラメータの増加により、回路調整に時間を要するという課題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2008/032782号
【文献】国際公開2014/103265号
【文献】特開2007-258768号公報
【文献】特開2016-144012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、出力する信号の高調波を抑制する増幅装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態としての増幅装置は、スイッチングアンプと、調整部と、を備える。前記スイッチングアンプは、制御信号に基づいて駆動し、入力された増幅対象信号を増幅して増幅信号を生成する。前記調整部は、前記制御信号を前記スイッチングアンプに入力される前に調整する。具体的には、前記調整部は、前記制御信号のパルス幅、および、前記増幅対象信号に対する前記制御信号の遅延時間の少なくともいずれかを調整する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態である増幅装置の一例を示すブロック図。
図2】スイッチングアンプの構成の一例を示す図。
図3】スイッチングアンプに入力される増幅対象信号および制御信号の波形を示す図。
図4】パルス幅が調整された場合における増幅信号の周波数成分の電力レベルを示す図。
図5】遅延時間が調整された場合における増幅信号の周波数成分の電力レベルを示す図。
図6】第2の実施形態である増幅装置の一例を示すブロック図。
図7】合成器の一例を示す図。
図8】第3の実施形態である増幅装置の一例を示すブロック図。
図9】第3の実施形態の調整部の第1の実現例を示す回路図。
図10】第3の実施形態の調整部の第2の実現例を示す回路図。
図11】第4の実施形態である増幅装置の一例を示すブロック図。
図12】第5の実施形態である送信装置の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態である増幅装置1の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る増幅装置1は、スイッチングアンプ11と、調整部12と、を備える。調整部12は、パルス幅調整回路121と、遅延回路122と、を備える。
【0010】
本実施形態の増幅装置1は、増幅装置1に入力された増幅の対象とされる矩形信号に対し、増幅を行う装置である。以降、増幅の対象とされる信号を「増幅対象信号」と、増幅された信号を「増幅信号」と記載する。本実施形態の増幅装置1は、増幅対象信号が最大(HIGH)の区間および最小(LOW)の区間において、1回ずつ増幅を行えばよいことを想定する。増幅を行う期間は特に定められていないとする。
【0011】
また、増幅装置1は、バンドパスフィルタ(BPF)等を備えていなくとも、増幅信号に含まれる高次高調波成分を抑える。具体的には、増幅対象信号に基づき、スイッチングアンプ11の駆動タイミングおよび駆動期間を調整することにより、高次高調波成分を抑える。
【0012】
スイッチングアンプ11は、駆動時において、入力された増幅対象信号を増幅して増幅信号を生成する。増幅を行うか否かは、スイッチングアンプ11に入力される制御信号により判断される。すなわち、制御信号は、スイッチングアンプ11の駆動(ON/OFF)を制御するものであり、スイッチングアンプ11は制御信号に基づいて駆動する。
【0013】
本説明においては、制御信号は0または1の二値で表されものとする。そして、制御信号の値が1の場合に、スイッチングアンプ11がONとなり、増幅信号が出力されるとする。また、制御信号の値が0の場合は、スイッチングアンプ11はOFFとなり、出力がないものとする、言い換えれば、0Vが出力されるものとする。
【0014】
スイッチングアンプ11が、制御信号に基づいて駆動し、増幅対象信号を増幅することができるならば、その構成は、特に限られるものではない。例えば、フルブリッジ回路を用いてスイッチングアンプ11を実現することできる。フルブリッジ回路は、スイッチとして動作する四つのトランジスタが、フルブリッジ状に構成されたものである。
【0015】
図2は、スイッチングアンプ11の構成の一例を示す図である。図2では、スイッチングアンプ11がフルブリッジ回路で実現された例が示されている。前述の四つのトランジスタは、第1トランジスタQ1、第2トランジスタQ2、第3トランジスタQ3、および第4トランジスタQ4と記載する。具体的には、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2は並列に接続されおり、第3トランジスタQ3と第4トランジスタQ4も並列に接続されている。また、第1トランジスタQ1と第3トランジスタQ3は直列に接続されており、第2トランジスタQ2と第4トランジスタQ4も直列に接続されている。
【0016】
また、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2との接続点には電源電圧Vdが掛けられており、第3トランジスタQ3と第4トランジスタQ4との接続点はグラウンド(GND)と接続されている。電源電圧側にある第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、それぞれ、第1ハイサイドトランジスタおよび第2ハイサイドトランジスタとも記載する。GND側にある第3トランジスタQ3および第4トランジスタQ4は、それぞれ、第1ローサイドトランジスタおよび第2ローサイドトランジスタとも記載する。
【0017】
また、図2の例では、フルブリッジ回路に一つのトランスLが組み込まれている。増幅された電圧が、このトランスLを介して出力されることを想定する。トランスLの一端は、第1トランジスタQ1と第3トランジスタQ3との接続点と接続されている。一方、トランスLの他端は、第2トランジスタQ2と第4トランジスタQ4との接続点と接続されている。図2の例では、このトランスLに電源電圧が掛かることにより、増幅が行われる。つまり、制御信号が1のときは、トランスLの両端間に電位差があるようにし、制御信号が0のときは、トランスLの両端間に電位差がないように、各トランジスタが制御される。
【0018】
各トランジスタは、増幅対象信号および制御信号の少なくともいずれかに基づき制御される。図2の例では、第1トランジスタQ1は、入力される増幅対象信号に応じてスイッチングする。第2トランジスタQ2は、増幅対象信号の反転信号が入力されて、当該反転信号に応じてスイッチングする。第3トランジスタQ3は、増幅対象信号の反転信号と、制御信号の反転信号と、に応じてスイッチングする。図2の例では、第3トランジスタQ3の入力線に増幅対象信号の反転信号が入力され、また、当該入力線に制御信号の反転信号に応じてスイッチングする第1スイッチSW1が接続されている。これにより、第3トランジスタQ3が、増幅対象信号の反転信号と、制御信号の反転信号と、に応じてスイッチングすることができる。第4トランジスタQ4は、増幅対象信号と、制御信号の反転信号と、に応じてスイッチングする。図2の例では、第4トランジスタQ4の入力線に増幅対象信号が入力され、また、当該入力線に制御信号の反転信号に応じてスイッチングする第2スイッチSW2が接続されている。これにより、第4トランジスタQ4が、増幅対象信号と、制御信号の反転信号と、に応じてスイッチングすることができる。
【0019】
なお、各トランジスタは、入力された信号の値が閾値以上のときはONになり、閾値未満のときはOFFになるが、各トランジスタに入力される信号(増幅対象信号またはその反転信号)は矩形波のため、当該信号がHIGHのときはONになり、LOWのときはOFFになる。また、各スイッチは、入力された信号の値が1のとき(つまり制御信号が0のとき)はONになり、0のとき(つまり制御信号が1のとき)はOFFになるものとする。
【0020】
図2のような構成の場合、制御信号が0であれば、各スイッチがONになってGNDに電流が流れてしまうため、各ローサイドトランジスタがONにならない。したがって、トランスLに電流が流れず、理想的には、出力電力が0になる。このような増幅対象信号および制御信号に基づいて駆動するフルブリッジ回路により、スイッチングアンプ11を実現してもよい。
【0021】
調整部12は、スイッチングアンプ11に入力される制御信号を、スイッチングアンプ11に入力される前に調整する。具体的には、パルス幅調整回路121がパルス幅を調整し、遅延回路122が増幅対象信号に対する遅延時間を調整する。
【0022】
なお、本実施形態では、調整部12がパルス幅と遅延時間の両方を調整することを想定しているが、パルス幅および遅延時間のいずれか一方のみが調整されてもよい。その場合、調整されない方を処理する回路は、省略されてもよい。
【0023】
パルス幅調整回路121による調整後の制御信号のパルス幅を「TON」と記載する。つまり、制御信号は、スイッチングアンプ11に入力される前にパルス幅調整回路121により調整されて、そのパルス幅がTONとなる。
【0024】
遅延回路122により調整される遅延時間は、増幅対象信号が切り替わってから、制御信号が最初に切り替わるまでの時間長を意味する。例えば、増幅対象信号のLOWからHIGHへの切り替わりのタイミングを基準とすると、当該基準から、制御信号が最初にOFFからONへ切り替わるタイミングまでの時間長を意味する。調整後の制御信号の遅延時間を「DELAY」と記載する。つまり、制御信号は、スイッチングアンプ11に入力される前に遅延回路122により調整されて、その遅延時間がDELAYとなる。
【0025】
図3は、スイッチングアンプ11に入力される増幅対象信号および制御信号の波形を示す図である。制御信号は、パルス幅調整回路121および遅延回路122に調整された後のものである。ゆえに、制御信号のパルス幅はTONであり、遅延時間はDELAYである。
【0026】
なお、本実施形態では、制御信号は、増幅装置1の外部の装置により生成されて、増幅装置1に入力されるものとする。また、制御信号は、増幅対象信号の周期の半分の周期を持つように生成されているものとする。ゆえに、増幅対象信号がHIGHの区間でも、LOWの区間でも、前記制御信号がOFFからONになるタイミング(立ち上がり)と、前記制御信号がONからOFFになるタイミング(立ち下がり)とが、1回ずつ生じる。制御信号のデューティー比は、任意な値でよい。
【0027】
このようにして、パルス幅および遅延時間が調整されると、高次高調波の電力レベル(電力スペクトル)が変化することを発明者達は発見した。したがって、パルス幅および遅延時間を適切に調整することにより、高次高調波の電力レベルを抑えることができる。
【0028】
図4は、パルス幅が調整された場合における増幅信号の周波数成分の電力レベルを示す図である。基本波が周波数fと表されており、N(Nは2以上の整数)次高調波が、Nfと表されている。例えば、3fは3次高調波を表す。
【0029】
図4では、TONが異なる3種類の制御信号(C、C、C)による各増幅信号の電力レベルが示されている。なお、各制御信号の遅延量は同じである。図4に示すように、増幅信号の周波数成分の電力レベルは、TONによって異なることが分かる。ゆえに、TONを適切な値に調整すれば、高次高調波の電力レベルを抑えることができる。例えば、3次高調波成分を抑えたい場合は、3種類の制御信号のうち、制御信号Cを用いればよいことが分かる。
【0030】
なお、図4の例では、増幅対象信号の周波数は500kHz、制御信号CのTONは200n秒、制御信号CのTONは400n秒、制御信号CのTONは600n秒とした。また、各制御信号の遅延時間は調整されておらず、遅延時間は0である。なお、周波数成分の電力レベルの低下は、TONの大きさに比例するものではない。また、最適なTONは、基本周波数によって異なる。ゆえに、用いられる増幅対象信号の周波数、抑えたい高次高調波などに基づいて、パルス幅調整回路121の調整量は予め決定されておく必要がある。
【0031】
図5は、遅延時間が調整された場合における増幅信号の周波数成分の電力レベルを示す図である。図4と同様、基本波が記号fと表されており、N次高調波が、Nfと表されている。
【0032】
図5では、DELAYが異なる3種類の制御信号(C、C、C)による各増幅信号の電力レベルが示されている。なお、各制御信号のTONは同じである。図5により、増幅信号の周波数成分の電力レベルは、DELAYによって異なることが分かる。ゆえに、DELAYを適切な値に調整すれば、高次高調波の電力レベルを抑えることができる。例えば、5次高調波成分を抑えたい場合は、3種類の制御信号のうち、制御信号Cを用いればよいことが分かる。
【0033】
なお、図5の例では、増幅対象信号の周波数は500kHz、制御信号CのDELAYは90n秒、制御信号CのDELAYは20n秒、制御信号CのDELAYは40n秒とした。また、各制御信号のパルス幅は調整されておらず、パルス幅は200n秒とした。なお、周波数成分の電力レベルの低下は、DELAYの大きさに比例するものではない。また、最適なDELAYは、基本周波数によって異なる。ゆえに、用いられる増幅対象信号の周波数、抑えたい高次高調波などに基づいて、遅延回路122の調整量も予め決定されておく必要がある。
【0034】
なお、TONおよびDELAYを連続的に変化させる場合は、可変抵抗などを用いて、パルス幅調整回路121および遅延回路122を実現することができる。TONおよびDELAYを離散的に変化させる場合は、スイッチなどを用いて、パルス幅調整回路121および遅延回路122を実現することができる。
【0035】
また、パルス幅調整回路121および遅延回路122が、増幅対象信号の周波数と調整量との関係を表したテーブルを記憶しておき、増幅対象信号の周波数に応じて、調整量を変動させてもよい。これにより、どのような周波数に対しても良好な特性が得られる。その場合、増幅対象信号の周波数を測定する回路を増幅装置1に別途設けてもよい。
【0036】
なお、厳密に言えば、制御信号のDELAYは、スイッチングアンプ11に処理される時点において、所望の値となることが好ましい。調整部12において、増幅対象信号と制御信号の遅延時間を所望の値に合わせても、スイッチングアンプ11内の各トランジスタのゲート端子に至るまでに、回路遅延により、DELAYが増減することが想定される。したがって、調整部12は、制御信号および増幅対象信号の切り替わりのタイミングを、調整時点において完全に揃えるのではなく、スイッチングアンプ11に処理される時点において揃うように調整するほうが好ましい。すなわち、遅延回路122は、増幅対象信号がスイッチングアンプ11に印加されるまでの回路遅延を吸収するように、動作してもよい。
【0037】
例えば、増幅対象信号がスイッチングアンプ11のゲート端子に印加されるまでに時間Tほど遅延する場合、遅延回路122は、想定のDELAYに加えて、時間Tだけ遅延させた信号を出力してもよい。その場合、遅延回路122から出力された信号の実際のDELAYは、「想定のDELAY+T」と表される。また、調整部12内の回路、すなわち、パルス幅・周波数調整回路123による遅延と、遅延回路122による遅延と、が存在する。調整部12内の回路により時間Tほど遅延する場合、想定のDELAYに加えて、増幅対象信号の遅延時間Tから制御信号の遅延時間Tを差し引いた差分だけ、遅延させた信号を出力してもよい。その場合、遅延回路122から出力された信号の実際のDELAYは、「想定のDELAY+T-T」と表される。
【0038】
このように、調整部12は、増幅対象信号のパルス幅および遅延時間の少なくともいずれかが増幅対象信号の周波数に応じたTONまたはDELAYになるように調整する。これにより、スイッチングアンプ11は、調整部12の調整前よりも高次高調波の電力レベルが低い増幅信号を生成するようになる。
【0039】
なお、図2に示したように、トランスを用いて増幅信号を出力する場合には、増幅装置1のトランスと、出力先のトランスとの結合係数を意図的に下げるような構成にしてもよい。結合係数が低い場合、漏れインダクタンスが生じ、漏れインダクタンスにより高帯域の周波数が伝送されにくくなる。ゆえに、増幅装置1のトランスと、出力先のトランスとの結合係数が所定の上限値以下となるように、トランスの配置または構成を変えることにより、出力先の高次高調波の電力レベルを抑えることができる。例えば、上限値を0.9とすれば、高次高調波の電力レベルを明らかに低下させることができる。
【0040】
結合係数を下げるために、例えば、トランスの1次側と2次側の距離を離す、トランスの1次側と2次側の軸方向の傾きに差異を設ける、トランスの1次側と2次側の中心をずらすといったことが考えられる。また、コア材に線をゆるく巻きつけることも考えられる。コア材に巻きつける線を、隙間を空けないように密着させて巻くと結合係数は高くなるため、隙間を空けて巻くことにより、結合係数を低くすることが考えられる。複数のトランスを使用する場合には、例えば、2次側の各トランスのコア材それぞれに線が巻かれておらず、線が複数のコア材をまとめるように巻かれている、といったことが考えられる。結局のところ、トランスの配置、巻方などの構成を変えるなど、意図的に磁束が漏れるようにすることで結合係数が下げられる。
【0041】
以上のように、第1の実施形態によれば、制御信号のパルス幅および遅延時間を調整して、スイッチングアンプ11の駆動タイミングおよび駆動期間を適切にする。これにより、増幅信号の高次高調波の電力レベルは、前記調整部の調整前よりも低下している。ゆえに、スイッチングアンプ11に単純な回路が追加された第1の実施形態の増幅装置1でも、増幅信号に含まれる高次高調波を抑制することができる。したがって、回路の複雑化が防がれ、回路の製造コスト等を抑えることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、複数のスイッチングアンプ11を一様に駆動させて、1台のスイッチングアンプ11を駆動させたときよりも、増幅信号の振幅レベルを上昇させる場合を説明する。
【0043】
図6は、第2の実施形態である増幅装置1の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る増幅装置1は、複数のスイッチングアンプ11と、調整部12と、合成器13と、を備える。
【0044】
複数のスイッチングアンプ11を一様に駆動させて、増幅信号の振幅レベルを上昇させたい場合、複数の第1の実施形態の増幅装置1を用いることも可能である。しかし、各増幅装置1のスイッチングアンプ11に入力される制御信号のTONおよびDELAYは、全増幅装置1で同一である。ゆえに、複数の調整部12を持つ必要性はない。そこで、本実施形態では、1台の調整部12からの調整された制御信号を、複数のスイッチングアンプ11に分配する。これにより、増幅装置1の製造コストを抑えることができる。
【0045】
調整部12は、第1の実施形態と同様に動作する。調整部12により調整された制御信号は、分配されて各スイッチングアンプ11に入力される。また、増幅対象信号も、分配されて各スイッチングアンプ11に入力される。これにより、各スイッチングアンプ11は、同じタイミングで駆動し、第1の実施形態と同様に動作する。
【0046】
合成器13は、各スイッチングアンプ11の増幅信号を合成する。図7は、合成器13の一例を示す図である。図7の例では、トランスを用いて、合成器13が実現されている。図7の例の合成器13は、各スイッチングアンプ11からの出力電力を受け取るために、各スイッチングアンプ11の台数以上のトランスを有する。合成器13の各トランスは直列に接続されており、接続されたトランス全体の一端は接地されており、他端からは合成された信号(合成信号)が出力される。このような構成により、各スイッチングアンプ11の増幅信号は電圧加算されて、合成信号として出力される。
【0047】
第1の実施形態で説明した通り、スイッチングアンプ11が出力する増幅信号の高次高調波は抑制されている。これは、スイッチングアンプ11が複数であっても同様である。また、合成器13の合成において、高次高調波は発生しない。そのため、合成器13からの合成信号の高次高調波も、抑制されている。
【0048】
なお、第1の実施形態にて述べたように、高次高調波の電力レベルを抑えるために、合成器13内のトランスの配置または構成も、スイッチングアンプ11との結合係数が上限値以下となるように変えてよい。
【0049】
以上のように、第2の実施形態によれば、複数のスイッチングアンプ11を用いて、増幅信号の振幅レベルを上昇させた場合でも、出力される合成信号の高次高調波を抑制することができる。また、スイッチングアンプ11それぞれごとに制御信号を調整するといった複雑な処理は行わないため、増幅装置1内の回路を単純化することができ、回路の製造コストなどを抑えることができる。
【0050】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、外部から制御信号を受け取るのではなく、制御信号を増幅対象信号から生成する場合を説明する。
【0051】
図8は、第3の実施形態である増幅装置1の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る増幅装置1は、調整部12が、周波数を逓倍する点がこれまでの実施形態と異なる。図8の例では、パルス幅調整回路121の代わりに、パルス幅と周波数の両方を調整する、パルス幅・周波数調整回路123が示されている。
【0052】
なお、図8の例では、第2の実施形態のようにスイッチングアンプが複数ある場合が示されているが、第1の実施形態のようにスイッチングアンプは一つであってもよい。
【0053】
本実施形態の調整部12は、増幅対象信号から制御信号を生成する。ゆえに、調整部12は、制御信号生成部とも言える。パルス幅・周波数調整回路123は、周波数を2逓倍することができ、パルス幅がTONで、周期が増幅対象信号の周期の半分である信号を出力する。
【0054】
図9は、第3の実施形態の調整部12の第1の実現例を示す回路図である。図9の回路に入力された増幅対象信号は、分岐されて、コンデンサと抵抗から構成されるCR遅延回路1231と、XOR回路(排他的論理和回路)1232に、入力される。CR遅延回路1231の抵抗は可変抵抗であり、可変抵抗の値の変化に応じて増幅対象信号を遅延させることができる。CR遅延回路1231により、アナログ的に遅延した信号が出力され、XOR回路1232に入力される。XOR回路は2逓倍器として使用されXOR回路出力には2逓倍された信号が出力される。言い換えると、XOR回路1232の出力信号の周期は、XOR回路1232の入力信号の周期の半分である。CR遅延回路123の可変抵抗の値を調整することでXOR回路1232の出力のパルス幅を調整できる。また、XOR回路の出力信号において大きいパルス幅を実現するために、CR遅延回路1231と、その出力にバッファ回路等を設けた組み合わせ(ユニット)を複数直列に接続することも可能である。
【0055】
XOR回路1232から出力された信号は、CR遅延回路1221によりアナログ的に遅延されて、バッファ回路1222に入力される。バッファ回路1222は、入力された信号をデジタル信号に変換する。このようにして、周波数を逓倍する調整部12を実現することができる。
【0056】
なお、図9に示されたXOR回路1232、バッファ回路1222などをロジックICにより実現する場合において、ロジックICの閾値ばらつき等が性能に影響を与える恐れがある。例えば、大きいパルス幅を実現する場合、図9のCR遅延回路1231の代わりに、CR遅延回路と、その出力を受け付けるバッファ回路等と、から成るユニットを複数直列にした構成が取られる場合がある。特に、このような構成では、バッファ回路の閾値やXOR回路1232のHIGHとLOWの閾値のアンバランスによって複数直列にした構成の出力信号のデューティー比が50%からずれてしまうことがある。これにより、XOR回路1232の出力信号パルスのデューティー比が偶数番目と奇数番目でずれてしまい、アンバランスが発生する。また、XOR回路1232のHIGHとLOWの閾値のずれでも同様の問題が生じることがある。これを回避するため、2M(Mは1以上の整数)個のユニットを設け、各ユニットのバッファ回路として反転バッファを用いることが考えらえる。
【0057】
図10は、第3の実施形態の調整部12の第2の実現例を示す回路図である。図10(A)では、図9のCR遅延回路1231の代わりに、CR遅延回路1233と、第1バッファ回路1234と、CR遅延回路1235と、第2バッファ回路1236と、が示されている。CR遅延回路1233と、第1バッファ回路1234とが、第1のユニットを構成し、CR遅延回路1235と、第2バッファ回路1236とが、第2のユニットを構成する。なお、CR遅延回路1233およびCR遅延回路1235の可変抵抗の値は同じとする。
【0058】
図10(B)は、第1バッファ回路1234および第2バッファ回路1236が非反転バッファである場合における、図10(A)の回路に入力された増幅対象信号の波形の変化を示す。図10(B)の一番上の波形は、CR遅延回路1233へ入力される時点における波形を表す。増幅対象信号の立ち上がりの時点をtとする。この時点のパルス幅はTである。図10(B)の二番目の波形は、バッファ回路1234から出力された時点における波形を表す。第1のユニットにより、立ち上がり時点はt+αと変化し、立ち下がり時点はt+T+βと変化している。図10(B)の三番目の波形は、バッファ回路1236から出力された時点における波形を表す。第2のユニットでも、第1のユニットと同じ変化量が増幅対象信号に加えられる。ゆえに、立ち上がり時点はt+2αと変化し、立ち下がり時点はt+T+2βと変化している。したがって、パルス幅の差は、2β-2αとなる。
【0059】
図10(C)は、第2バッファ回路1236が反転バッファである場合における、図10(A)の回路に入力された増幅対象信号の波形の変化を示す。図10(C)の一番上の波形は、CR遅延回路1233へ入力される時点における波形を表す。当該波形は、図10(B)の一番上の波形と同じである。図10(C)の二番目の波形は、バッファ回路1234から出力された時点における波形を表す。図10(C)の場合、遅延かつ反転が行われるため、立ち上がり時点tはαだけ遅延されて、立ち下がりになる。一方、立ち下がり時点t+Tはβだけ遅延されて、立ち上がりになる。結果として、図10(C)に示すように、立ち下がり時点がt+αと変化し、立ち上がり時点はt+T+βと変化する。図10(C)の三番目の波形は、バッファ回路1236から出力された時点における波形を表す。ここでも、遅延かつ反転が行われるため、立ち下がり時点t+α、はβだけ遅延されて、立ち上がりになる。一方、立ち上がり時点t+T+βはαだけ遅延されて、立ち下がりになる。結果として、図10(C)に示すように、立ち下がり時点がt+α+βと変化し、立ち下がり時点はt+T+α+βと変化する。したがって、パルス幅の差は0となる。
【0060】
このような構成において、閾値のずれを打ち消すよう可変抵抗の値をそれぞれ調整することで、XOR回路1232から出力された信号には、閾値のばらつきによるパルス波形の乱れが少なくなる。
【0061】
以上のように、第3の実施形態によれば、増幅対象信号から制御信号を生成することが可能である。
【0062】
(第4の実施形態)
第2および3の実施形態では、複数のスイッチングアンプ11を一様に駆動させる場合を想定した。しかし、複数のスイッチングアンプ11の一部を駆動し、残りを停止させることも考えられる。例えば、増幅対象信号が変調信号である場合に、変調信号の振幅レベルに応じてスイッチングアンプ11の駆動台数を動的に変化させることも考えられる。
【0063】
図11は、第4の実施形態である増幅装置の一例を示すブロック図である。本実施形態では、第3の実施形態の増幅装置1が複数のAND回路14をさらに備える。また、増幅装置1が複数の駆動制御信号を受け取る点がこれまでの実施形態とは異なる。
【0064】
AND回路14は、スイッチングアンプ11それぞれに対して設けられており、調整部12から出力された信号と、対応する駆動制御信号と、が入力されて、それらの論理積をスイッチングアンプ11に出力する。言い換えると、本実施形態において、各スイッチングアンプ11に対して与えられる制御信号は、調整部12から出力された信号と、各スイッチングアンプ11に対応する駆動制御信号とを、AND演算して得られる信号となる。
【0065】
駆動制御信号は、スイッチングアンプ11を動作させるかどうかを判定するための信号である。駆動制御信号も、制御信号と同様、0または1の二値で表されものとする。駆動制御信号が1の場合は、AND回路14の出力は、制御信号の値と同じであるため、制御信号に応じてスイッチングアンプ11は動作する。駆動制御信号が0の場合は、AND回路14の出力は0であるため、スイッチングアンプ11は動作しない。つまり、駆動制御信号は、スイッチングアンプ11に与える制御信号の有効・無効を決めるための信号と考えて構わない。
【0066】
なお、スイッチングアンプをグループ化し、グループごとに駆動制御信号を受け取っても構わない。この場合、駆動制御信号の数はNよりも小さくなる。ゆえに、N台のスイッチングアンプがある場合、増幅装置1は最大N個の駆動制御信号を受け取る。
【0067】
以上のように、第4の実施形態によれば、駆動制御信号に応じて複数台のスイッチングアンプ11を並列に動作させ、その出力を合成する構成において、スイッチングアンプの駆動台数を動的に変化させることが可能となる。
【0068】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、増幅装置1の利用例として、送信装置2に適用した例を示す。
【0069】
図12は、第5の実施形態である送信装置2の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る送信装置2は、矩形波生成部21と、第3の実施形態の増幅装置1と、アンテナ部22と、を備える。
【0070】
本実施形態の送信装置2は、入力された信号を増幅して送信する装置である。送信装置2に入力された信号を送信対象信号と記載する。送信対象信号は、特に限られるものではなく、無変調のキャリア信号、伝送する情報を含んだ信号をキャリア信号に基づいて変調することにより生成された被変調信号などが想定される。
【0071】
なお、増幅装置1の有効性を示すために、上記のような処理を行う送信装置2に増幅装置1を適用した例を示すが、増幅装置1の適用先が限られるわけではない。
【0072】
矩形波生成部21は、送信対象信号に対して閾値判定を行い、送信対象信号をHIGHとLOWに変換する。これにより、送信対象信号の波形を矩形波に変換する。変換された矩形波の信号を矩形波送信対象信号と記載する。なお、増幅装置1に矩形波の信号が入力される場合は、矩形波生成部21は省略されてよい。
【0073】
増幅装置1は、矩形波送信対象信号を増幅対象信号として受け取る。増幅装置1の処理は、第3の実施形態にて説明した通りである。つまり、調整部12により矩形波送信対象信号から制御信号が生成され、スイッチングアンプ11により矩形波送信対象信号の増幅信号が生成され、合成器13により各増幅信号の合成信号が生成される。また、第3の実施形態で説明したとおり、合成信号の高次高調波は低減されている。
【0074】
アンテナ部22は、少なくともアンテナを有し、当該アンテナを介して、合成器13からの合成信号を電波にて送信する。アンテナ部22は、増幅器、フィルタなどを独自に有していてもよい。図12では、アンテナ部22内にフィルタ231が示されている。なお、フィルタ231は、削除すべき周波数成分を除去することができれば、どのようなフィルタでもよい。例えば、一般的なフィルタとして、所望の信号帯域のみを通過させるバンドパスフィルタ、所望の周波数以下を通過させるローパスフィルタ、所望の周波数以上を通過させるバイパスフィルタなどがあるが、フィルタ231は、いずれでもよい。なお、フィルタ231はアンテナ部と独立して存在していてもよい。合成器13からの合成信号がフィルタ231を介してアンテナ部に伝送されてもよい。
【0075】
以上のように、第3の実施形態の増幅装置1を含む本実施形態の送信装置2は、高次高調波が抑制された合成信号を送信することができる。これにより、BPFの要求仕様が緩和されるため、あるいは、BPFが不要となるため、送信装置2の製造コストを抑えることができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0077】
1 増幅装置
11 スイッチングアンプ
12 調整部
121 パルス幅調整回路
122 遅延回路
123 パルス幅・周波数調整回路
1221 CR遅延回路
1222 バッファ回路
1231 CR遅延回路
1232 XOR回路
1233 CR遅延回路
1234 第1バッファ回路
1235 CR遅延回路
1236 第2バッファ回路
13 合成器
14 AND回路
2 送信装置
21 矩形波生成部
22 アンテナ部
221 フィルタ
Q1 第1トランジスタ
Q2 第2トランジスタ
Q3 第3トランジスタ
Q4 第4トランジスタ
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
L トランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12