(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】金工用定置式切断機用の集塵ボックスおよび金工用定置式切断機
(51)【国際特許分類】
B23D 47/00 20060101AFI20231204BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20231204BHJP
B23D 45/04 20060101ALI20231204BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
B23D47/00 C
B24B27/06 J
B23D45/04 A
B23D47/00 A
B24B55/06
(21)【出願番号】P 2019081200
(22)【出願日】2019-04-22
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2018164679
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 丈典
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 和博
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-150151(JP,U)
【文献】特開2008-279609(JP,A)
【文献】実開昭57-126968(JP,U)
【文献】特開2009-184079(JP,A)
【文献】実開平03-036411(JP,U)
【文献】米国特許第05172680(US,A)
【文献】特開2012-218097(JP,A)
【文献】登録実用新案第3017763(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104416224(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 47/00
B24B 27/06
B23D 45/04
B24B 55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材である被切断材を切断するための円形の刃具と、該刃具を備えた本体部と、該本体部を揺動可能に支持し、かつ前記被切断材を載置可能な載置面を有するベース部と、を備えた金工用定置式切断機に用いられる集塵ボックスであって、
前記ベース部の前記載置面側で、前記刃具の後方に設置可能であり、
前記被切断材の切断時に発生する火花を受ける集塵口と、該集塵口で受けた前記火花を後方へ流すための集塵通路
と、前記集塵通路の下流側において下方に傾斜する傾斜壁部と、前記傾斜壁部の下部から下方へ延在される後壁部を備えており、
前記集塵口に、前記火花を前記集塵通路へ案内するとともに、前記集塵通路内に流入した前記火花の前記集塵口への逆流を防止する機能を併せ持つ平板形状の案内壁部を備え、
前記案内壁部は、前記集塵口の左右側部の一方から他方に向けて張り出し、かつ前記火花の流れる方向に対して傾斜して配置されることで前記集塵通路の流路面積が下流に行くにしたがって狭められており、
前記案内壁部は、前面視で
前記傾斜壁部と
前記後壁部にオーバーラップして、前記集塵口の開口面積の半分以上の領域に張り出しており、
前記刃具の周囲を覆う固定カバーは前記本体部の揺動可能な全領域の少なくとも上死点において、前記集塵通路の上壁部と側面視でオーバーラップされる構成とした集塵ボックス。
【請求項2】
請求項1記載の集塵ボックスであって、
前記集塵ボックスの外郭を覆うカバー部材を備えており、
前記カバー部材は、側面視で前記集塵口の前方から後方の領域において前記集塵口の真上を覆う構成とした集塵ボックス。
【請求項3】
請求項2記載の集塵ボックスであって、
前記カバー部材は、側面視で前記集塵口より後方に設けられた部位が前記傾斜壁部の外面に留められている構成とした集塵ボックス。
【請求項4】
請求項3記載の集塵ボックスであって、
前記カバー部材は、前記
傾斜壁部の前記外面に留められている部位より前方に複数の板部を有し、前記複数の板部間が山折り及び谷折りされて屈曲される構成とした集塵ボックス。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載した集塵ボックスであって、
前記本体部の揺動動作について前記本体部との干渉を回避するための逃がし部を備えた集塵ボックス。
【請求項6】
請求項5に記載した集塵ボックスであって、
前記逃がし部は、前記本体部の切断のための揺動動作に連動して閉じられる構成とした集塵ボックス。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載した集塵ボックスであって、
前記火花が冷却して固まった切屑を収容可能な切屑収容部が設けられており、
該切屑収容部には、収容した前記切屑を廃棄できる排出口が設けられている集塵ボックス。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載した集塵ボックスであって、
前記集塵口から前方へ張り出して前記刃具の側方を遮蔽する位置に移動可能な遮蔽部材を備えた集塵ボックス。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載した集塵ボックスであって、
当該集塵ボックスの外郭を覆うカバー部材を備えており、
該カバー部材は、取り外して折り畳み可能なシート地を基材とし、部分的に山折り又は谷折りして当該集塵ボックスの外郭に沿って被覆可能な構成とした集塵ボックス。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載した集塵ボックスであって、
前記案内壁部は、前記集塵口の相互に対向する一方側と他方側との間に複数設けられており、該複数の案内壁部は、それぞれ前記火花の流れる方向に対して傾斜して設けられた集塵ボックス。
【請求項11】
請求項10に記載した集塵ボックスであって、
前記複数の案内壁部は、相互に接近する方向に傾斜して設けられた集塵ボックス。
【請求項12】
請求項11に記載した集塵ボックスであって、
前記複数の案内壁部は、前記集塵口からの案内長さが相互に異なる集塵ボックス。
【請求項13】
請求項10に記載した集塵ボックスであって、
前記複数の案内壁部は、相互に同じ向きに傾斜して設けられた集塵ボックス。
【請求項14】
請求項1~9何れか1項に記載した集塵ボックスであって、
前記案内壁部は、前記平板形状に代えて若しくは加えて前記集塵口の端部から中央に向かって凸となる曲面形状を有する集塵ボックス。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1項に記載した集塵ボックスを備えた金工用定置式切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金工用定置式切断機用の集塵ボックスおよび金工用定置式切断機に関し、詳しくは、金工用定置式切断機による被切断材(鉄パイプやチャンネル鋼などの鋼材)の切断時に発生する火花の飛散を防止する金工用定置式切断機用の集塵ボックスおよび金工用定置式切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金工用定置式切断機による被切断材の切断時に発生する火花の飛散を防止する集塵ボックスに関する技術が特許文献1に開示されている。同文献の第1図を援用した
図48に示すように、従来の集塵ボックス202では、その後壁部236が前側から後側に向けて下り傾斜となっている技術が開示されている。この傾斜した後壁部236によれば、この後壁部236に衝突した火花の流れaが下側に向けて反射されることから、作業者側への吹き返し(逆流)が抑制されて作業環境の悪化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、集塵ボックス202の後壁部236に衝突した火花の流れaの一部は作業者側へ吹き返すことがあり、その吹き返し抑制の効果についてはより確実性を高める必要があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、金工用定置式切断機による被切断材の切断時において、作業者側への火花の吹き返しをより確実に抑制若しくは防止できる金工用定置式切断機用の集塵ボックスおよび金工用定置式切断機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、金属材である被切断材を切断するための円形の刃具と、刃具を備えた本体部と、本体部を揺動可能に支持し、かつ被切断材を載置可能な載置面を有するベース部と、を備えた金工用定置式切断機に用いられる集塵ボックスである。集塵ボックスは、ベース部の載置面側で、刃具の後方に設置可能である。集塵ボックスは、被切断材の切断時に発生する火花を受ける集塵口と、集塵口で受けた火花を後方へ流すための集塵通路を備えている。集塵口に、火花を集塵通路へ案内する案内部を備えている。案内部は、集塵通路内に流入した火花の集塵口への逆流を防止する機能を併せ持つ。
【0007】
従って、案内部は、下流に向けた火花の流入のスムーズさを阻害することないように、且つ、上流に向けた火花の飛散を遮蔽可能に(火花の逆流防止作用を有するように)設けられている。そのため、集塵ボックスの内壁に衝突した火花の一部が、上流に向けて反射する(吹き返す)ことがあっても、この上流に向けて反射した火花は案内部によって塞がれる。したがって、作業者側への火花の吹き返しを防止できる。
【0008】
本開示の他の特徴によると、集塵ボックスは、案内部により集塵通路の流路面積が下流に行くにしたがって狭められている。
【0009】
従って、流路面積が狭められることにより火花の流速が低減されて、その逆流が抑制される。
【0010】
本開示の他の特徴によると、集塵ボックスは、案内部として平板形状の案内壁部を備えている。案内壁部を火花の流れる方向に対して傾斜させて配置して流路面積が狭められている。
【0011】
従って、火花が傾斜した案内壁部に案内されてその流れる方向が屈曲されることでその流速が低減され、その結果火花の逆流が抑制される。
【0012】
本開示の他の特徴によると、集塵ボックスは、本体部の揺動動作について本体部との干渉を回避するための逃がし部を備えている。
【0013】
従って、本体部の一部が揺動動作により逃がし部に進入することで、本体部の集塵ボックスに対する干渉が回避されることから、火花飛散装置を本体部ひいては切断部位により接近させて設置することができ、これにより火花の飛散を一層効率よく防止することができる。
【0014】
本開示の他の特徴によると、逃がし部は、本体部の切断のための揺動動作に連動して閉じられる。
【0015】
従って、切断時には逃がし部が塞がれて、当該逃がし部を経て火花が飛散することが防止される。これにより逃がし部を設けたことによる飛散防止効果の低減といったデメリットが解消される。
【0016】
本開示の他の特徴によると、集塵ボックスは、火花が冷却して固まった切屑を収容可能な切屑収容部を備えている。切屑収容部には、収容した切屑を廃棄できる排出口が設けられている。
【0017】
従って、切屑を捕集できる。なお、被切断材の切断時に発生した火花は数秒で酸化鉄等の切屑に変化する。また、排出口を開放させると、この捕集した切屑を回収できる。
【0018】
本開示の他の特徴によると、集塵ボックスは、集塵口から前方へ張り出して刃具の側方を遮蔽する位置に移動可能な遮蔽部材を備えている。
【0019】
従って、切断作業時に遮蔽部材を取り出すことにより、切断部位から側方へ飛散する火花が遮蔽部材で受けられて、そのさらなる飛散が防止される。より大形の被切断材を切断するために邪魔になる場合には、遮蔽部材は切断部位の側方に張り出した取り出し位置から退避させることができる。
【0020】
本開示の他の特徴によると、集塵ボックスは、当該集塵ボックスの外郭を覆うカバー部材を備えている。カバー部材は、外郭を覆った位置から取り外して折り畳み可能なシート地を基材とし、部分的に山折り又は谷折りして当該集塵ボックスの外郭に沿って被覆可能な構成を有している。
【0021】
従って、カバー部材で各部の隙間が塞がれて、より確実な火花飛散の防止がなされる。カバー部材は、当該集塵ボックスの外郭を覆う使用状態から取り外してコンパクトに折り畳むことができる。カバー部材は、展開して任意の部位を山折り又は谷折りすることで外郭に沿って隙間なくほぼ密着状態に被覆させることができる。
【0022】
本開示の他の特徴によると、集塵ボックスの案内部は、集塵口の相互に対向する一方側と他方側との間に複数設けられている。複数の案内部は、それぞれ火花の流れる方向に対して傾斜して設けられている。
【0023】
従って、集塵口から流入した火花の流入経路が例えば左右あるいは上下に屈曲されることで、火花の前方への跳ね返り(逆流)が低減される。
【0024】
本開示の他の特徴によると、複数の案内部は、相互に接近する方向に傾斜して設けられている。
【0025】
従って、相互に接近する案内部により集塵通路が狭められ、かつ流れる経路がより複雑に屈曲されることで火花の流速がより確実に低減されてその逆流が抑制される。
【0026】
本開示の他の特徴によると、複数の案内部は、集塵口からの案内長さが相互に異なっている。
【0027】
従って、火花の流路がより明確に屈曲されてその流速が抑制されることにより、その逆流が防止される。
【0028】
本開示の他の特徴によると、複数の案内部は、相互に同じ向きに傾斜して設けられている。
【0029】
従って、複数の案内部の傾斜方向が同じ向きであることで流路の屈曲効果が抑制されて、火花の集塵口への適度な流速が確保されてその集塵効率が確保される。
【0030】
本開示の他の特徴によると、案内部は、集塵口の端部から中央に向かって凸となる曲面形状の案内面を有している。
【0031】
従って、火花の流れが乱流になりにくくなって、火花がスムーズに集塵通路の奥側へ流される。
【0032】
本開示の他の特徴によると、金属材である被切断材を切断するための円形の刃具と、刃具を備えた本体部と、本体部を揺動可能に支持し、かつ被切断材を載置可能な載置面を有するベース部と、を備えた金工用定置式切断機に用いられる集塵ボックスである。集塵ボックスは、ベース部の載置面側で、刃具の後方に設置可能である。集塵ボックスは、被切断材の切断時に発生する火花を受ける集塵口と、集塵口で受けた火花を後方へ流すための集塵通路を備えている。集塵口に、火花を集塵通路へ案内する案内部を備えている。案内部は、集塵通路内に流入した火花の集塵口への逆流を防止する機能を併せ持つ。集塵ボックスは、本体部の揺動動作について本体部との干渉を回避するための逃がし部を備えている。逃がし部は、本体部の切断のための揺動動作に連動して閉じられる。
【0033】
従って、案内部は、集塵口における下流に向けた火花の流入のスムーズさを阻害することないように、且つ、上流に向けた火花の飛散(逆流)が防止されるように設けられている。そのため、集塵ボックスの内壁に衝突した火花の一部が、上流に向けて反射する(吹き返す)ことがあっても、この上流に向けて反射した火花は案内部によって塞がれる。従って、作業者側への火花の吹き返しを防止できる。
【0034】
また、本体部の一部が揺動動作により逃がし部に進入することで、本体部の集塵ボックスに対する干渉が回避されることから、火花飛散装置を本体部ひいては切断部位により接近させて設置することができ、これにより火花の飛散を一層効率よく防止することができる。さらに、切断時には逃がし部が塞がれて、当該逃がし部を経て火花が飛散することが防止される。これにより逃がし部を設けたことによる飛散防止効果の低減といったデメリットが解消される。
【0035】
本開示の他の特徴によると、上記の集塵ボックスを備えた金工用定置式切断機である。
【0036】
従って、金工用定置式切断機を用いて行う切断作業において、被切断材の切断時に発生する火花の飛散が上記の集塵ボックスにより防止される。また、この集塵ボックスにより作業者側への火花の吹き返しも防止される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】金工用定置式切断機及び第1実施形態に係る集塵ボックスの斜視図である。本図では、本体部を下方へ揺動させた状態が示されている。
【
図2】金工用定置式切断機及び第1実施形態に係る集塵ボックスの平面図である。本図では、本体部を下方へ揺動させた状態が示されている。
【
図3】金工用定置式切断機及び第1実施形態に係る集塵ボックスの右側面図である。本図では、本体部を下方へ揺動させた状態が示されている。
【
図4】金工用定置式切断機及び第1実施形態に係る集塵ボックスの斜視図である。本図では、本体部を上方へ揺動させた状態が示されている。
【
図5】金工用定置式切断機及び第1実施形態に係る集塵ボックスの平面図である。本図では、本体部を上方へ揺動させた状態が示されている。
【
図6】金工用定置式切断機及び第1実施形態に係る集塵ボックスの右側面図である。本図では、本体部を上方へ揺動させた状態が示されている。
【
図7】第1実施形態に係る集塵ボックスの全体斜視図である。本図は、右斜め後方かつ上方から見た状態を示している。
【
図8】第1実施形態に係る集塵ボックスの分解斜視図である。本図は、右斜め前方かつ下方から見た状態を示している。
【
図9】第1実施形態に係る集塵ボックスの平面図である。
【
図10】第1実施形態に係る集塵ボックスの右側面図である。
【
図11】第1実施形態に係る集塵ボックスの前面図である。
【
図12】第1実施形態に係る集塵ボックスにおける火花の流れを模式的に示した右側面図である。
【
図13】第1実施形態に係る集塵ボックスにおける火花の流れを模式的に示した平面図である。
【
図14】金工用定置式切断機及び第2実施形態に係る集塵ボックスの斜視図である。本図では、本体部を下方へ揺動させた状態が示されている。本図は、右斜め後方かつ上方から見た状態を示している。
【
図15】金工用定置式切断機及び第2実施形態に係る集塵ボックスの平面図である。本図では、本体部を下方へ揺動させた状態が示されている。
【
図16】金工用定置式切断機及び第2実施形態に係る集塵ボックスの右側面図である。本図では、本体部を下方へ揺動させた状態が示されている。
【
図17】金工用定置式切断機及び第2実施形態に係る集塵ボックスの斜視図である。本図では、本体部を上方へ揺動させた状態が示されている。本図は、右斜め後方かつ上方から見た状態を示している。
【
図18】金工用定置式切断機及び第2実施形態に係る集塵ボックスの平面図である。本図では、本体部を上方へ揺動させた状態が示されている。
【
図19】金工用定置式切断機及び第2実施形態に係る集塵ボックスの右側面図である。本図では、本体部を上方へ揺動させた状態が示されている。
【
図20】第2実施形態に係る集塵ボックスの全体斜視図である。本図は、右斜め後方かつ上方から見た状態を示している。
【
図21】第2実施形態に係る集塵ボックスにおいて、両カバー部材を取り外した分解斜視図である。本図は、右斜め後方かつ上方から見た状態を示している。
【
図22】第2実施形態に係る集塵ボックスにおいて、遮蔽部材を開いた状態を示す全体斜視図である。本図は、右斜め後方かつ上方から見た状態を示している。本図では、カバー部材の図示が省略されている。
【
図23】第2実施形態に係る集塵ボックスにおいて、遮蔽部材を閉じた状態を示す全体斜視図である。本図は、左斜め前方かつ下方から見た状態を示している。本図では、カバー部材の図示が省略されている。
【
図24】第2実施形態に係る集塵ボックスにおいて、遮蔽部材を閉じた状態を示す全体斜視図である。本図は、右斜め前方かつ上方から見た状態を示している。本図では、カバー部材の図示が省略されている。
【
図25】第2実施形態に係る集塵ボックスの平面図である。本図は、遮蔽部材を閉じた状態を示している。本図では、カバー部材の図示が省略されている。
【
図26】第2実施形態に係る集塵ボックスの右側面図である。本図は、遮蔽部材を閉じた状態を示している。本図では、カバー部材の図示が省略されている。
【
図27】第2実施形態に係る集塵ボックスの前面図である。本図は、遮蔽部材を閉じた状態を示している。本図では、カバー部材の図示が省略されている。
【
図28】第2実施形態に係る第1カバー部材を広げた展開図である。
【
図29】第2実施形態に係る第2カバー部材を広げた展開図である。
【
図30】第2実施形態に係る集塵ボックスにおける火花の流れを模式的に示した右側面図である。
【
図31】第2実施形態に係る集塵ボックスにおける火花の流れを模式的に示した平面図である。
【
図32】第3実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの斜視図である。本図は、集塵口の右斜め前方から見た状態を示している。
【
図33】第3実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの平面図である。
【
図34】第4実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの斜視図である。本図は、集塵口の右斜め前方から見た状態を示している。
【
図35】第4実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの平面図である。
【
図36】第5実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの斜視図である。本図は、集塵口の右斜め前方から見た状態を示している。
【
図37】第5実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの平面図である。
【
図38】第6実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの斜視図である。本図は、集塵口の右斜め前方から見た状態を示している。
【
図39】第6実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの平面図である。
【
図40】第7実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの斜視図である。本図は、集塵口の右斜め前方から見た状態を示している。
【
図41】第7実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの平面図である。
【
図42】第8実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの斜視図である。本図は、集塵口の右斜め前方から見た状態を示している。
【
図43】第8実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの平面図である。
【
図44】第9実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの斜視図である。本図は、集塵口の右斜め前方から見た状態を示している。
【
図45】第9実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの平面図である。
【
図46】第10実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの斜視図である。本図は、集塵口の右斜め前方から見た状態を示している。
【
図47】第10実施形態に係る案内部を備えた集塵ボックスの平面図である。
【
図48】従来技術に係る集粉装置を装着した金属切断機の側面図であり、金属切断機の使用可能状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態を、
図1~13を用いて説明する。なお、
図3において、作業者は、金工用定置式切断機1の左側に位置して切断作業を行っている。そのため、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右の各方向は、この作業者を基準にして説明する。すなわち、作業者から見て手前側を前側とする。このことは、後述する各実施形態においても同様とする。以下に、この金工用定置式切断機1と、この金工用定置式切断機1に備えられる集塵ボックス2とを個別に説明していく。
【0039】
はじめに、金工用定置式切断機1から説明する。
図1~
図6に示すようにこの金工用定置式切断機1は、床面フロア等の設置フロアFに設置可能なベース部10と、ベース部10に固着された支持台11と、支持台11に対して揺動支軸14を介して上下に揺動可能に支持された本体部15を備えている。本体部15の後部に設けた揺動支持部15aが揺動支軸14を介して支持台11に結合されている。図では見えていないが、支持台11と揺動支持部15aとの間には、本体部15を上方へ揺動させる方向に付勢する圧縮ばねが介装されている。本体部15はこの圧縮ばねに抗して下方へ揺動操作されて切断加工がなされ、下方への押し下げ操作が解除される圧縮ばねの付勢力により上方へ戻される。ベース部10の上面は、被切断材を載置可能な平坦な載置面となっている。
【0040】
本体部15は、モータハウジング16aに内装された駆動源としての電動モータ16と、電動モータ16により回転する円形刃具としての切断砥石17と、切断砥石17の上側を覆う固定カバー18と、作業者が把持するハンドル部19を備えている。固定カバー18には、切断砥石17の下側を覆う可動カバー18aが開閉可能に設けられている。
図4に示すようにハンドル部19の下面側には、スイッチレバー19bが設けられている。作業者が当該ハンドル部19を把持した手の指先でこのスイッチレバー19bを引き操作すると、電動モータ16が起動する。電動モータ16は、交流電源を電源とする。ハンドル部19の後部には、電源コード19cが引き込まれている。
【0041】
図2及び
図3に示すようにベース部10の前部とハンドル部19の前部との間に、留めチェーン19aを掛け留めすることができるようになっている。この留めチェーン19aを用いて、本体部15を下方へ揺動させた位置に保持できる。本体部15を下方へ揺動させた位置に保持しておくことで、金工用定置式切断機1をコンパクトな状態で持ち運ぶことができ、また保管しておくことができる。ベース部10の上面には、フェンス12と、フェンス12との間に、鉄パイプ等の被切断材(金属材)を挟み込んで固定するバイス13とが組み付けられている。
【0042】
ベース部10上に被切断材を固定した状態で、電動モータ16を起動して切断砥石17を回転させながら本体部15を下方に揺動操作することで、被切断材に切断砥石17を切り込ませて切断加工を行うことができる。金工用定置式切断機1は、このように構成されている。このように構成されている金工用定置式切断機1は、設置フロアFに設置されている。切断加工により、切断部位(切断砥石17が切り込まれる部位)から火花Aを主体とする切断粉が後方へ向けて吹き出される。後方へ吹き出された切断粉(以下、「火花A」若しくは「火花の流れA」と表記する)が以下説明する集塵ボックス2で集塵される。
【0043】
次に、集塵ボックス2を説明する。
図7~11に示すように集塵ボックス2は、切断部位(切断により火花が発生する部位)の後方においてベース部10の載置面側に設置可能で、矩形に開口された集塵口20と、粉塵を廃棄するための排出口21と、この集塵口20と排出口21とを連通させる集塵通路22とから略L字状を成す箱体形状を有している。そのため、この集塵ボックス2は、金属製(例えば、鉄製)の数枚の板金で構成されており、七角形状の左右の側壁部30、31と、矩形状の上壁部32と、矩形状の下壁部33と、矩形状の窪み壁部34と、矩形状の後壁部35と、矩形状の傾斜壁部36とから構成されている。この集塵ボックス2は、板金製であり、適度な重量を有していることから、主としてその前部をベース部10に乗せ掛けた状態で設置フロアF上に設置して用いることができる。このため、取り外しが容易で、可搬性に優れている。
【0044】
この上壁部32は、左右の側壁部30、31の各上辺30a、31aを跨ぐように左右の側壁部30、31に溶接によって接合されている。また、この下壁部33は、左右の側壁部30、31の各下辺30c、31cを跨ぐように左右の側壁部30、31に溶接によって接合されている。また、この窪み壁部34は、左右の側壁部30、31の各窪み辺30d、31dを跨ぐように左右の側壁部30、31に溶接によって接合されている。また、この後壁部35は、左右の側壁部30、31の各後辺30f、31fを跨ぐように左右の側壁部30、31に溶接によって接合されている。また、この傾斜壁部36は、左右の側壁部30、31の各傾斜辺30g、31gを跨ぐように左右の側壁部30、31に溶接によって接合されている。
【0045】
なお、この
図8からも明らかなように、この左右の側壁部30、31は、その各前辺30b、31bを跨ぐように覆われていない。すなわち、この左右の側壁部30、31の各前辺30b、31b側は開放された状態となっている。これにより、上述した集塵口20が形成されることとなる。これと同様に、この左右の側壁部30、31は、その各底辺30e、31eを跨ぐように覆われていない。すなわち、この左右の側壁部30、31の各底辺30e、31e側は開放された状態となっている。これにより、上述した排出口21が形成されることとなる。
【0046】
また、この
図7、12からも明らかなように、傾斜壁部36は、集塵口20の下流側において対向すると共に、前側から後側に向けて下り傾斜となっている。これにより、この傾斜壁部36に衝突した火花を下側に向けて反射させることができる。また、左の側壁部30には、金工用定置式切断機1の揺動支軸14の先端を受け入れ可能な挿込溝30hが形成されている。これにより、金工用定置式切断機1に装着させる集塵ボックス2を密着させることができる。
【0047】
集塵口20には、火花を集塵通路22へ案内する案内部として案内壁部37が設けられている。第1実施形態では、案内壁部37として1つの矩形平板形の平坦な壁部が設けられている。案内壁部37は、右の側壁部31の内面31hから張り出すように設けられている。案内壁部37は、集塵通路22が下流側に向けて集塵通路22の流路面積が狭まる方向に傾斜して設けられている。すなわち、この案内壁部37は、下流に向けた火花Aの流入のスムーズさを阻害することないように、且つ、上流に向けた火花Aの飛散を遮蔽可能に(火花Aの逆流防止作用を有するように)設けられている。
【0048】
この案内壁部37は、その前縁が集塵通路22の右の側壁部31の内面31hに溶接によって接合され、平面視において、その後縁を集塵通路22の進行方向を示す直線22aに対して傾斜させた金属製(例えば、鉄製)の矩形状の板部材から構成されている(
図9参照)。また、上壁部32には、金工用定置式切断機1の固定カバー18を受け入れ可能な逃がし部32aが当該上壁部32の前端から切り込み形成されている。この逃がし部32aによって、当該集塵ボックス2の主として上壁部32に対する本体部15の主として固定カバー18との干渉が回避される。この逃がし部32aの先端は、固定カバー18の横断面の円弧状に沿う円弧状となっている。すなわち、この逃がし部32aの先端には、固定カバー18の横断面の円弧状に沿う円弧部32bが形成されている。
【0049】
そのため、この逃がし部32aに受け入れた固定カバー18との間に隙間が生じることを防止できる。したがって、この逃がし部32aから火花Aが飛散することを防止できる。また、上壁部32の上側には、上壁部32に対して隙間50を隔てた格好を成す上ガイド40が設けられている(
図8参照)。この上ガイド40にも、上壁部32の逃がし部32aの形状に一致する逃がし部41が形成されている。この逃がし部41の先端にも、円弧部32bの形状に一致する円弧部41aが形成されている。また、この上ガイド40の後縁には、上側に向けて折り曲げられたストッパ42が形成されている。
【0050】
このストッパ42の左右には、ばね掛け孔42aがそれぞれ形成されている。この隙間50には、上壁部32より僅かに小さい矩形状の上スライド板43が後側から前側に向けて挿し込まれている。これにより、上壁部32の逃がし部32aを塞ぐことができる。したがって、この逃がし部32aから火花Aが飛散することを防止できる。この上スライド板43の後縁には、上側に向けて折り曲げられた曲げ部44が形成されている。この曲げ部44の左右には、ばね掛け孔45がそれぞれ形成されている。これら左右のばね掛け孔42aと左右のばね掛け孔45とには、引っ張りばね46がそれぞれ掛け留めされている。
【0051】
これにより、常時、上スライド板43が上壁部32の逃がし部32aを塞ぐ状態に保持できる。この記載が、特許請求の範囲に記載の「前記上壁部の上側を覆う上スライド板は、ばねにより閉位置に付勢されている」に相当する。また、左右の側壁部30、31の各底辺30e、31eには、各底辺30e、31eに対して隙間51を隔てた格好を成す下ガイド47が対を成すように設けられている。この隙間51には、下壁部33より僅かに小さい矩形状の下スライド板48が後側から前側に向けて挿し込まれている。これにより、排出口21を塞ぐことができる。この下スライド板48の後縁には、上側に向けて折り曲げられた曲げ部49が形成されている。集塵ボックス2は、このように構成されている。
【0052】
このように構成されている集塵ボックス2は、その左の側壁部30の挿込溝30hに金工用定置式切断機1の揺動支軸14の先端が挿し込まれた状態で金工用定置式切断機1の右側に隣り合うように設置フロアFに備えられている(
図4~6参照)。このようにして金工用定置式切断機1に集塵ボックス2が装着されることとなる。このように装着されていると、金工用定置式切断機1の固定カバー18の一部は、集塵ボックス2の上スライド板43を引っ張りばね46の付勢力に抗して後側に向けてスライドさせた状態で上壁部32の逃がし部32aに受け入れられた(入り込まれた)状態となっている。
【0053】
すなわち、この金工用定置式切断機1の固定カバー18の一部は、集塵ボックス2の上壁部32の逃がし部32aに進出した(入り込んだ)状態となっている。したがって、側面視において、この固定カバー18の一部と集塵ボックス2の上壁部32とが重なる位置関係となっている(
図6参照)。この記載が、特許請求の範囲に記載の「側面視において、上壁部が金工用定置式切断機の固定カバーの一部と重なる位置関係にあり、」に相当する。
【0054】
このような位置関係となっていると、この上スライド板43は、自身に作用する引っ張りばね46の復元力によって上壁部32の逃がし部32aを塞ぐため、金工用定置式切断機1の固定カバー18を押し当てた状態となっている(
図4~6参照)。そのため、本体部15を下側に向けて押し下げていくと、上壁部32の逃がし部32aに進出した状態の固定カバー18の一部は、この上壁部32の逃がし部32aから退行し始める。すなわち、この上壁部32の逃がし部32aは、本体部15の揺動により開閉することとなる。この記載が、特許請求の範囲に記載の「前記重なる部位は、前記固定カバーの揺動により開閉可能となっている」に相当する。
【0055】
続いて、上述した集塵ボックス2の動作を説明する(
図12~13参照)。支持台11に保持されている被切断材を回転する切断砥石17によって切断していくと、この切断時に発生する火花Aが集塵ボックス2の集塵口20から集塵通路22に飛散する。すると、飛散した火花Aは、案内壁部37に沿って傾斜壁部36に向けて案内されていく。この案内された火花Aは、傾斜壁部36に衝突して下側に向けて反射する(
図12参照)。
【0056】
そのため、この反射した火花Aを集塵ボックス2の排出口21の近傍、詳しくは、集塵ボックス2の下スライド板48の上に溜めることができる(火花Aは、下スライド板48に到達する前後に冷却されて固まり、酸化鉄等の切屑に変化する)。この「下スライド板48の上」と「排出口21」とが、特許請求の範囲に記載の「切屑収容部」と「排出口」とに相当する。したがって、この切断時に発生した火花Aが変化した切屑(図示しない)を捕集できる。なお、下スライド板48を後側に向けてスライドさせると、排出口21が開放されるため、この捕集した切屑を廃棄できる。
【0057】
一方、傾斜壁部36に衝突した火花Aの一部は、下側に向けて反射することなく、上流に向けて反射する(吹き返す)こともある。その場合でも、既に説明したように、案内壁部37は火花Aの逆流防止作用を有するように設けられているため、集塵ボックス2の集塵通路22が案内壁部37によって塞がれる格好となっている(
図13参照)。そのため、この上流に向けて反射した火花Aが集塵口20から吹き返すことを防止できる。したがって、作業者側への火花の吹き返しを防止できる。
【0058】
本発明の第1実施形態に係る集塵ボックス2は、上述したように構成されている。この構成によれば、集塵ボックス2の右の側壁部31の内面31hには、集塵通路22が下流(集塵口20から排出口21)に行くにしたがって集塵通路22の面積(集塵通路22の縦断面の面積)が狭まる案内壁部37が設けられている。すなわち、この案内壁部37は、下流に向けた火花Aの流入のスムーズさを阻害することないように、且つ、上流に向けた火花Aの飛散を遮蔽可能に(火花Aの逆流防止作用を有するように)設けられている。そのため、切断時に発生する火花Aが傾斜壁部36に反射して上流に向けて戻ってくる場合でも、この戻ってくる火花Aは案内壁部37によって塞がれる。したがって、作業者側への火花Aの吹き返しを防止できる。
【0059】
また、この構成によれば、案内壁部37は、その前縁が集塵通路22の内面31hに溶接によって接合され、平面視において、その後縁を集塵通路22の進行方向を示す直線22aに対して傾斜させた金属製(例えば、鉄製)の矩形状の板部材から構成されている。そのため、案内壁部37を簡便な構造で実施できる。したがって、集塵ボックス2の構造を簡素化できる。
【0060】
また、この構成によれば、側面視において、金工用定置式切断機1の固定カバー18の一部と集塵ボックス2の上壁部32とが重なる位置関係となっている。このような位置関係となっていると、この上スライド板43は、自身に作用する引っ張りばね46の復元力によって金工用定置式切断機1の固定カバー18を押し当てた状態となっている(
図4~6参照)。そのため、本体部15を下側に向けて押し下げていくと、上壁部32の逃がし部32aに進出した状態の固定カバー18の一部は、この上壁部32の逃がし部32aから退行し始める。すなわち、この上壁部32の逃がし部32aは、本体部15の揺動により開閉することとなる。したがって、この本体部15の揺動に追従して上スライド板43がスライドするため、この本体部15の揺動にともなう上壁部32の逃がし部32aに生じる隙間を塞ぐことができる。結果として、この上壁部32の逃がし部32aからの火花Aの飛散を防止できる。
【0061】
また、この構成によれば、引っ張りばね46により、常時、上スライド板43が上壁部32の逃がし部32aを塞ぐ状態に保持されている。そのため、本体部15の揺動にともなう上壁部32の逃がし部32aに生じる隙間の塞ぎを簡便に実施できる。
【0062】
また、この構成によれば、傾斜壁部36に衝突して下側に向けて反射した火花Aを集塵ボックス2の排出口21の近傍、詳しくは、集塵ボックス2の下スライド板48の上に溜めることができる。そのため、被切断材の切断時に発生した切屑を捕集できる。なお、下スライド板48を後側に向けてスライドさせると、排出口21が開放されるため、この捕集した切屑を回収できる。
【0063】
また、この構成によれば、金工用定置式切断機1には、集塵ボックス2が装着されている。そのため、被切断材の切断時に発生する火花Aの飛散を防止できる。また、この切断時に作業者側への火花Aの吹き返しも防止できる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、
図14~31を用いて説明する。この第2実施形態の集塵ボックス102は、既に説明した第1実施形態の集塵ボックス2と比較すると、被切断材の切断時に発生する火花Aの飛散をより防止できる形態である。なお、以下の説明にあたって、第1実施形態で説明した部材と同一または均等な構成の部材には、図面において同一の符号を付すことで重複する説明は省略することとする。
【0065】
この集塵ボックス102は、既に説明した集塵ボックス2と同様に、集塵口20と、排出口21と、この集塵口20と連通する集塵通路22とから略L字状を成す筒部材から構成されている(
図20~27参照)。そのため、集塵ボックス2と同様に、この集塵ボックス102を金工用定置式切断機1に装着できる(
図14~19参照)。また、
図20~22に戻って、この集塵ボックス102の右の側壁部31には、ヒンジ部材161を介して曲げ伸ばし可能(回動可能)な遮蔽部材160が設けられている。
【0066】
この遮蔽部材160により、被切断材の切断時において、集塵ボックス102の集塵口20の右側に火花Aが飛散することを防止できる(
図20参照)。また、このヒンジ部材161により、遮蔽部材160を右側に向けて回動させることができる(
図22参照)。そのため、被切断材が金工用定置式切断機1から右側に大きく張り出す形状であっても、この大きく張り出した被切断材と遮蔽部材160との干渉を防止できる。また、この集塵ボックス102の下部には矩形容器形のダストボックス131が設けられる。このダストボックス131には切屑が蓄えられ、さらに取り外すことで貯まった切屑を捨てることができる。具体的には、取っ手131cを引っ張ることで、集塵ボックス102の中に収納されたダストボックス131をスライドさせて引き出すことができる。
【0067】
また、この集塵ボックス102の右の側壁部31には、ビス留め溝131aが形成されている。これにより、金工用定置式切断機1に装着した状態の集塵ボックス102のビス留め溝131aに留めたビス131bを金工用定置式切断機1に螺合させることができる。そのため、金工用定置式切断機1に装着した状態となるように集塵ボックス102を保持できる。したがって、金工用定置式切断機1の運搬時に、併せて、集塵ボックス102も運搬できる。
【0068】
また、この集塵ボックス102の上壁部32には、遮蔽部材160を前後方向に沿ってロック可能なロック部材162が設けられている。このロック部材162により、金工用定置式切断機1に装着した状態の集塵ボックス102の遮蔽部材160が動かないようにロックしている。また、この集塵ボックス102は、集塵ボックス2とは異なり、後壁部35、傾斜壁部36および下スライド板48が左の側壁部30より大きく左側に張り出す格好となっている。
【0069】
なお、この下スライド板48は、スライドすることがないように左右の側壁部30、31の各底辺30e、31eに対して溶接によって接合されている。そして、この大きく張り出した後壁部35、傾斜壁部36および下スライド板48の張り出した各縁には、補助側壁部138が溶接によって接合されている。これにより、集塵ボックス102において、集塵通路22の左側に補助切屑収容部103が形成されることとなる。そのため、被切断材の切断時において、集塵ボックス102の集塵口20の左側に飛散した火花Aが変化した切屑を捕集できる。
【0070】
また、この集塵ボックス102には、第1のカバー部材170と第2のカバー部材190とが設けられている(
図28~29参照)。以下に、これら第1のカバー部材170と第2のカバー部材190とを個別に説明する。
【0071】
はじめに、第1のカバー部材170から説明する(
図28参照)。第1のカバー部材170は、矩形状の難燃性の布部材から成るメイン部171と、このメイン部171の左側に連なるように矩形状の難燃性の布部材から成る左サイド部180と、このメイン部171の右側に連なるように矩形状の難燃性の布部材から成る右サイド部181とから構成されている。この第1のカバー部材170の内面には、難燃材(例えば、ラテックス)が塗布されている。
【0072】
また、この第1のカバー部材170の内面には、その下側から上側に向けて矩形状の第1の鉄板172、同第2の鉄板173および同第3の鉄板174が順に貼り付けられている。また、この第1の鉄板172の内面には、矩形状の第1の磁石175が貼り付けられている。また、この第1のカバー部材170の内面には、その上側に第2の磁石176と第3の磁石177とが貼り付けられている。また、この右サイド部181の内面の下側には、矩形状の第4の磁石178が貼り付けられている。
【0073】
なお、このメイン部171と左サイド部180との境界は、外面側に向けて凸を成す山折部182となっている。また、このメイン部171と右サイド部181との境界は、外面側に向けて凸を成す山折部183となっている。また、このメイン部171における第1の鉄板172と第2の鉄板173との境界は、内面側に向けて凸を成す谷折部184となっている。
【0074】
また、このメイン部171における第2の鉄板173と第3の鉄板174との境界は、外面側に向けて凸を成す山折部185となっている。このように谷折部184と山折部185となっていることにより、メイン部171の後寄部分Bが屈曲することとなる。また、このメイン部171の左縁の上寄りには、切込部186が形成されている。また、この山折部182の上下の各縁には、切込部187が形成されている。第1のカバー部材170は、このように構成されている。このように構成されていると、第1のカバー部材170は、平面状に広がり自在に変形可能となっている。
【0075】
このように構成されている第1のカバー部材170の第1の磁石175は、集塵ボックス102の傾斜壁部36の左右方向に沿って留められている。そのため、この第1のカバー部材170の谷折部184を谷折りし、さらに、山折部185を山折りして、メイン部171の後寄部分Bを屈曲させて、メイン部171の前寄部分Cを固定カバー18の周囲に巻き付けた状態で第2の磁石176と第3の磁石177とを固定カバー18に留めることができる(
図14~16参照)。そのため、集塵ボックス102の集塵口20の上側には、屈曲可能なメイン部171を有する第1のカバー部材170が設けられていることとなる。
【0076】
さらに、左右の山折部182、183を山折りし、左サイド部180と右サイド部181とを集塵ボックス102の左右に垂らした状態で第4の磁石178を右の側壁部31に留めることができる。このとき、各切込部186、187が形成されていることにより、第1のカバー部材170が金工用定置式切断機1の後側と集塵ボックス102の後側との外郭形状に追従する。すなわち、これら金工用定置式切断機1の後側と集塵ボックス102の後側から上方にかけて外郭を覆うことができる。そのため、金工用定置式切断機1の後側と集塵ボックス102の後側の隙間を埋めることができる(隙間を塞ぐことができる)。
【0077】
なお、このように覆うことができると、集塵ボックス102を覆った第1のカバー部材170のメイン部171の各鉄板172、173、174は、集塵ボックス102において多くの火花Aが衝突する傾斜壁部36に対向するように設けられることとなる。そのため、このメイン部171の耐火性を向上させることができる。すなわち、この傾斜壁部36に衝突した火花Aによるメイン部171の焼損を防止できる。
【0078】
また、このように覆うことができると、ベース部10に対して本体部15を上下に揺動させても、第1のカバー部材170のメイン部171の後寄部分Bの屈曲部分が追従するため、固定カバー18に留めた第2の磁石176と第3の磁石177とが外れることがない。そのため、この本体部15の上下揺動動作に第1のカバー部材170のメイン部171を追従させることができる。したがって、この本体部15の上下揺動位置に係わらず、被切断材の切断時に発生する火花Aの飛散を防止できる。
【0079】
次に、第2のカバー部材190を説明する(
図29参照)。第2のカバー部材190も、矩形状の難燃性の布部材で作られている。この第2のカバー部材190の内面にも、第1のカバー部材170の内面と同様に、難燃材(例えば、ラテックス)が塗布されている。また、この第2のカバー部材190の内面の下側には、矩形状の第1の鉄板191と第2の鉄板192とが貼り付けられている。また、この第2のカバー部材190の内面の上側には、矩形状の磁石193が貼り付けられている。また、この第2のカバー部材190における両鉄板191、192の上縁は、外面側に向けて凸を成す谷折部194となっている。また、この第2のカバー部材190における両鉄板191、192の境界は、切込部187となっている。第2のカバー部材190は、このように構成されている。
【0080】
このように構成されている第2のカバー部材190の磁石193は、集塵ボックス102の右の側壁部31と遮蔽部材160の前後方向に沿って留めることができる。そのため、この第2のカバー部材190の谷折部194を谷折りすると、その下寄部分Dを設置フロアFに沿わせることができる。したがって、この第2のカバー部材190の下縁と設置フロアFとの隙間から火花Aが飛散することを防止できる。
【0081】
なお、この集塵ボックス102も、集塵ボックス2と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、支持台11に保持されている被切断材を回転する切断砥石17によって切断していくと、この切断時に発生する火花Aが集塵ボックス102の集塵口20から集塵通路22に飛散する。すると、飛散した火花Aは、案内壁部37に沿って傾斜壁部36に向けて案内されていく。この案内された火花Aは、傾斜壁部36に衝突して下側に向けて反射する(
図30参照)。そのため、この反射した火花Aを集塵ボックス102の下スライド板48の上に溜めることができる。したがって、この切断時に発生した火花Aが変化した切屑を捕集できる。
【0082】
一方、傾斜壁部36に衝突した火花Aの一部は、下側に向けて反射することなく、上流に向けて反射する(吹き返す)こともある。その場合でも、既に説明したように、案内壁部37は火花Aの逆流防止作用を有するように設けられているため、集塵ボックス2の集塵通路22が案内壁部37によって塞がれる格好となっている(
図31参照)。そのため、この上流に向けて反射した火花Aが集塵口20から吹き返すことを防止できる。したがって、作業者側への火花の吹き返しを防止できる。
【0083】
本発明の第2実施形態に係る集塵ボックス102は、上述したように構成されている。この構成によれば、第1実施形態の集塵ボックス2と同様の作用効果を得ることができる。また、この構成によれば、集塵ボックス102の右の側壁部31には、ヒンジ部材161を介して曲げ伸ばし可能(回動可能)な遮蔽部材160が設けられている。そのため、普段は遮蔽部材160を伸ばした状態(
図20参照)で使用するとともに、被切断材を大きく切り落としたい場合などには、
図22に示すように、遮蔽部材160を屈曲させて集塵ボックス102との干渉を防ぐことができる。
【0084】
また、この構成によれば、第1のカバー部材170は、平面状に広がり自在に変形可能となっている。また、この第1のカバー部材170は、金工用定置式切断機1の後側と集塵ボックス102の後側から上方にかけて外郭形状に追従するように構成されている。すなわち、この第1のカバー部材170は、これら金工用定置式切断機1の後側と集塵ボックス102の後側との外郭を覆うことができるように構成されている。そのため、第1のカバー部材170によって金工用定置式切断機1の後側と集塵ボックス102の後側の隙間を埋めることができる(隙間を塞ぐことができる)。したがって、この隙間から被切断材の切断時に発生する火花Aの飛散を防止できる。
【0085】
以上説明した実施形態にはさらに変更を加えて実施することができる。例えば、第1実施形態では、集塵口20の右側部から左方へ向けて張り出し、かつ下流側に下る方向に傾斜した一つの案内壁部37を設けた構成を例示したが、主として火花の集塵通路22内への案内機能と、集塵通路22内の火花の逆流防止機能を有する案内部については様々な形態で実施することができる。
【0086】
図32以降に、第3~第10実施形態に係る案内部23,24,25,26,27,28,38,39を集塵口20に備えた集塵ボックス2が模式的に示されている。
図32に示すように第3実施形態の案内部23は、2つの矩形平板形状の案内壁部23a,23bを備えている。図において右側の案内壁部23aは、集塵口20の右側部に沿って設けられ、左側の案内壁部23bは、集塵口20の左側部に沿って設けられている。2つの案内壁部23a,23bは、集塵口20の下部から上部に至る上下方向全領域にわたって設けられており、相互に同じ高さを有している。
【0087】
左右の案内壁部23a,23bはそれぞれ左右方向に傾斜して下流側へ下る方向に傾斜する状態に配置されている。このため、右側の案内壁部23aは、下流側へ行くほど左方へ変位する方向に傾斜し、左側の案内壁部23bは下流側へ行くほど右方へ変位する方向に傾斜している。
【0088】
しかも、右側の案内壁部23aの左右幅は、左側の案内壁部23bよりも大きくなっている。このため、
図33に示すように右側の案内壁部23aは左側の案内壁部23bよりも集塵通路22のより奥部まで至っている。
【0089】
このように構成した第3実施形態の案内部23によれば、集塵口20に向けて吹き付けられた火花の流れAは、右側の案内壁部23aで案内されて左側へ曲げられて、右側の案内壁部23aと左側の側壁部30との間の狭められた集塵通路22を経て当該集塵ボックス2の奥部に流入する。このため集塵ボックス2の奥部に流入した火花の流れAは、後壁部35に吹き当てられて右回りの旋回流となる。
【0090】
このように第3実施形態の案内部23によれば、2つの案内壁部23a,23bにより火花の流れAが集塵ボックス2の奥部において旋回流とされることでその勢いが弱められることで作業者側へ向けた逆流が抑制される。また、旋回流となっても勢いが弱められない火花の流れAは、右側の案内壁部23aの後面に吹き当てられるため、この点でも作業者側へ向けた逆流が確実に防止される。
【0091】
また、左右の案内壁部23a,23bは、集塵通路22の流路面積を狭める方向に傾斜して配置されており、これにより集塵口20から流入する火花の流れAの勢いが弱められる。このため第3実施形態の案内部23は、発生した火花の流れAが特に強い場合に大きな逆流防止効果を発揮する。
【0092】
図34、35には、第4実施形態に係る案内部24を集塵口20に備えた集塵ボックス2が示されている。第4実施形態の案内部24も、2つの矩形平板形状の案内壁部24a,24bを備えている。右側の案内壁部24aは、集塵口20の右側部に沿って設けられ、左側の案内壁部24bは、集塵口20の左側部に沿って設けられている。右側の案内壁部24aは、集塵口20の下部から上部に至って上下方向の全領域に延在される高さを有している。左側の案内壁部24bは、集塵口20の上下方向の全領域のうち下側半分程度の高さで延在されている。左側の案内壁部24bの高さが、右側の案内壁部24aの半分程度に設定されている点で第3実施形態とは異なっている。
【0093】
左右の案内壁部24a,24bはそれぞれ左右方向に傾斜して下流側へ下る方向に傾斜する状態に配置されている。このため、右側の案内壁部24aは、下流側へ行くほど左方へ変位する方向に傾斜し、左側の案内壁部24bは下流側へ行くほど右方へ変位する方向に傾斜している。
【0094】
しかも、右側の案内壁部24aの左右幅は、左側の案内壁部24bよりも大きくなっている。このため、
図35に示すように右側の案内壁部24aは左側の案内壁部24bよりも集塵通路22のより奥部まで至っている。
【0095】
このように構成した第4実施形態の案内部24によれば、集塵口20に向けて吹き付けられた火花の流れAは、右側の案内壁部24aで案内されて左側へ曲げられて、右側の案内壁部24aと左側の側壁部30との間の狭められた集塵通路22を経て当該集塵ボックス2の奥部に流入する。このため集塵ボックス2の奥部に流入した火花の流れAは、後壁部35に吹き当てられて右回りの旋回流となる。この点は第3実施形態と同じである。
【0096】
火花の流れAが集塵ボックス2の奥部で旋回流となることで、その流れの勢いが弱められ、また旋回流が右側の案内壁部24aの後面に吹き当てられることにより、火花の作業者側へ逆流が抑制される。
【0097】
また、第4実施形態の場合、左側の案内壁部24bの高さが右側の案内壁部24aの半分程度に設定されていることから、火花の流れAのうち下側の流れの方が上側の流れよりも流れの勢いが強い場合に、有効である。左側の案内壁部24bの張り出し範囲が下側半分程度の領域に留まっていることから、流れの勢いが比較的弱い上側の流れについては、左側の案内壁部24bにより流れの勢いが弱められすぎることがなく、これにより集塵通路22内への流入が確実になされるようにすることができる。このように、火花の流れAの状態により、左右の案内壁部24a,24bの上下方向領域を適切に設定することで、火花の流れAの勢いを弱めすぎることなく、集塵ボックス2内に集塵してその逆流を確実に防止することができる。
【0098】
図36、37には、第5実施形態に係る案内部25を集塵口20に備えた集塵ボックス2が示されている。第5実施形態の案内部25も、2つの矩形平板形状の案内壁部25a,25bを備えている。第5実施形態は、集塵口20の上部と下部に2つの案内壁部25a,25bを備える点で第3、第4実施形態とは異なっている。
【0099】
上側の案内壁部25aは、集塵口20の上部に沿って設けられ、下側の案内壁部25bは、集塵口20の下部に沿って設けられている。上側の案内壁部25aと下側の案内壁部25bは、それぞれ集塵口20から上方へ上る方向に傾斜している。上側の案内壁部25aと下側の案内壁部25bは、相互に平行に配置されている。このため、集塵通路22は第3、第4実施形態のように狭められていない。上下の案内壁部25a,25bは、それぞれ集塵口20の左右方向の全領域にわたって延在されている。なお、第5実施形態の場合、上側の案内壁部25aは、当該集塵ボックス2の外郭を構成している。
【0100】
このように構成した第5実施形態の案内部25によれば、集塵口20に向けて吹き付けられた火花の流れAは、
図37に示すように上下の案内壁部25a,25bで上方向きに案内される。上方向きに案内された火花の流れAは、傾斜壁部36に吹き当てられて下向きの旋回流となる。下向きの旋回流とされることで火花の流れAの勢いが弱められて、火花の作業者側への逆流が防止若しくは抑制される。また、旋回流が下側の案内壁部25bの後面に吹き当てられることでも火花の作業者側へ逆流が抑制される。
【0101】
第5実施形態の場合、下側の案内壁部25bの傾斜角度を変更して集塵通路22の流路面積をより狭め、あるいはより広げることで、集塵口20から流入した火花の流れAの勢いを調整することができ、これにより火花の集塵効率と逆流防止機能との両立をより確実に図ることができる。
【0102】
図38及び
図39には、第6実施形態に係る案内部26を集塵口20に備えた集塵ボックス2が示されている。第6実施形態の案内部26は、左右の案内壁部26b,26aを備えている。右側の案内壁部26aは、集塵口20の右側部から下流側に向けて斜めに張り出す状態に設けられている。左側の案内壁部26bは、集塵口20の左側部から下流側に向けて傾斜した状態に設けられている。左側の案内壁部26bは、当該集塵ボックス2の外郭を構成している。
【0103】
左右の案内壁部26a,26bは、それぞれ下流側へ行くほど左方へ変位する方向に傾斜しており、かつ相互に平行に配置されて、集塵通路22の流路面積が概ね一定に設定されている。また、左右の案内壁部26b,26aは、集塵口20の下部から上部に至る上下方向全領域にわたって設けられており、相互に同じ高さを有している。
【0104】
第6実施形態の案内部26によれば、集塵口20に向けて吹き付けられた火花の流れAは、
図39に示すように左右の案内壁部26b,26aで左方向きに案内される。集塵通路22で左方向きに案内された火花の流れAは、左側の側壁部30に吹き当てられて右回りの旋回流となる。右回りの旋回流とされることで火花の流れAの勢いが弱められて、火花の作業者側への逆流が防止若しくは抑制される。また、旋回流が右側の案内壁部26aの後面に吹き当てられることでも火花の作業者側へ逆流が抑制される。
【0105】
第5実施形態と同様、第6実施形態の場合でも、例えば右側の案内壁部26aの傾斜角度を変更して集塵通路22の流路面積をより狭め、あるいはより広げることで、集塵口20から流入した火花の流れAの勢いを調整することができ、これにより火花の集塵効率と逆流防止機能との両立をより確実に図ることができる。
【0106】
図40及び
図41には、第7実施形態に係る案内部27を集塵口20に備えた集塵ボックス2が示されている。第7実施形態の案内部27も、2つの矩形平板形状の案内壁部27a,27bを備えている。第7実施形態は、集塵口20の上部と下部に2つの案内壁部27a,27bを備えている。
【0107】
上側の案内壁部27aは、集塵口20の上部に沿って設けられ、下側の案内壁部27bは、集塵口20の下部に沿って設けられている。上側の案内壁部27aは、集塵口20から下流側へ向けて下方へ下る方向に傾斜している。下側の案内壁部27bは、集塵口20から下流側に向けて上方へ上る方向に傾斜している。このため、集塵通路22は、第5実施形態とは異なって下流側ほど流路面積が小さくなるように狭められている。
【0108】
図41に示すように上側の案内壁部27aは、下側の案内壁部27bよりも集塵通路22の奥側まで張り出している。このため、集塵口20から流入した火花の流れAは下向きの旋回流となる。また、上下の案内壁部27a,27bは、それぞれ集塵口20の左右方向の全領域にわたって延在されている。なお、第7実施形態の場合、上側の案内壁部27aは、当該集塵ボックス2の外郭とは別に設けられている。
【0109】
このように構成した第7実施形態の案内部27によれば、集塵口20に向けて吹き付けられた火花の流れAは、
図41に示すように上下の案内壁部27a,27bで集塵通路22の流路が狭められることで流れの勢いが弱められて、作業者側への逆流が抑制される。また、上側の案内壁部27aが下側の案内壁部27bよりも集塵通路22の奥側に張り出すことで、火花の流れAが下向きの旋回流となる。下向きの旋回流となることでも、火花の流れAの勢いが弱められて、作業者側への逆流がより確実に抑制される。さらに、下向きの旋回流が下側の案内壁部27bの後面に吹き当てられることでも火花の作業者側へ逆流が抑制される。
【0110】
第7実施形態の場合、集塵通路22の流路面積が狭められることでも火花の流れAの勢いが弱められることから、切断作業により発生する火花の流れAの勢いが比較的強い切断機について好適に適用することができる。
【0111】
図42及び
図43には、第8実施形態に係る案内部28を集塵口20に備えた集塵ボックス2が示されている。第8実施形態の案内部28は、1つの案内壁部28aを備えている。案内壁部28aは、集塵口20の下端部から中央に向かって凸となる向きに湾曲している。案内壁部28aの上面によって、上側へ凸となる曲面形状の案内面が設けられている。
【0112】
第8実施形態の案内部28によれば、案内壁部28aが曲面形状の案内面を有していることから、平面形状の案内面よりも、集塵口20から流入した火花の流れAについて乱流の発生を抑制することができる。火花の流れAが乱流になることなくスムーズに集塵通路22に流入されることで、流れの勢いが効率よく弱められる。また、曲面形状の案内壁部28aにより集塵通路22が徐々に狭められることによっても火花の流れAの勢いが弱められる。さらに、案内壁部28aの曲面形状および傾斜壁部36の傾きにより火花の流れAが旋回流となることでも、その勢いが弱められ、かつ案内壁部28aの後面に吹き当てられることで、作業者側への逆流が確実に抑制される。
【0113】
第8実施形態の案内部28は、金工用定置式切断機1がチップソー切断機のように火花と同時に空気が多く飛ぶ形態の切断機である場合に、火花の流れAの乱流を防止しつつ火花の逆流をより確実に抑制できる点で特に有効である。
【0114】
図44及び
図45には、第9実施形態に係る案内部38を備えた集塵ボックス2が示されている。第9実施形態の案内部38は、複数(図では6つ)の案内壁部38aを備えている。6つの案内壁部38aは、上下に長い矩形平板形状を有している。各案内壁部38aは、集塵口20の下部から上部に至る高さ方向の全領域にわたる範囲に延在されている。各案内壁部38aは、集塵口20の右側部から左側部に至る左右方向の全領域にわたる範囲にほぼ等間隔を置いて配置されている。これにより、各案内壁部38a間に上下に長い隙間(スリット)が左右方向にほぼ等間隔で配置された構成となっている。
【0115】
各案内壁部38aは、集塵通路22の奥部に至るほど右側へ変位する方向に傾斜して配置されている。このため、火花の流れAは、集塵口20に流入した直後に右側に曲げられる。各案内壁部38aは、相互に平行に配置されているため、集塵通路22が狭められる構成とはなっていないものの、火花の流れAは左右幅が狭いスリットを通過する段階で流れの勢いが弱められる。
【0116】
また、
図45に示すように各案内壁部38aにより、右側へ曲げられた火花の流れAは、右側の側壁部31に吹き当てられて左回りの旋回流となることでその勢いが弱められる。旋回流となった火花の流れAは、各案内壁部38aに吹き当てられることで、作業者側への逆流が抑制される。
【0117】
図46及び
図47には第10実施形態の案内部39が示されている。第10実施形態の案内部39は、上下に長いスリットが左右に等間隔をおいて形成された第9実施形態の案内部38とは異なって、左右に長いスリットが上下に等間隔をおいて形成されている。
【0118】
第10実施形態の案内部39は、5つの案内壁部39aを備えている。各案内壁部39aは、左右に長い矩形の平板形状を有しており、集塵口20の右側部と左側部との間に掛け渡し状に配置されている。また、各案内壁部39aは、集塵口20の下部から上部に至る高さ方向の全領域にわたって相互にほぼ等間隔に配置されている。このため、第10実施形態では、各案内壁部39aにより、左右方向に長いスリットが上下にほぼ等間隔に配置された構成となっている。
【0119】
各案内壁部39aは、集塵通路22の奥部に至るほど下側へ変位する方向に傾斜して配置されている。このため、火花の流れAは、集塵口20に流入した直後に下向きに曲げられる。各案内壁部39aは、相互に平行に配置されているため、集塵通路22が狭められる構成とはなっていないものの、火花の流れAは上下幅が狭いスリットを通過する段階で流れの勢いが弱められる。
【0120】
また、
図47に示すように各案内壁部39aにより、下向きに曲げられた火花の流れAは、下方の下壁部33若しくは窪み壁部34に吹き当てられて上向きの旋回流となることでその勢いが弱められる。上向きの旋回流となった火花の流れAは、後壁部35及び傾斜壁部36を経て各案内壁部39aの上面に吹き当てられることで、作業者側への逆流が抑制される。
【0121】
第9及び第10実施形態の案内部38、39によれば、火花の流れAが集塵口20において幅狭のスリットを通過する段階で、火花の短い距離での案内壁部38a,39aへの衝突回数が高められることから、火花の流れAの勢いについて、高い抑制効果を発揮させることができる。このことから、作業内容により火花の飛散が比較的激しい場合に、第9又は第10実施形態のスリット式集塵口を備えた集塵ボックスを設置することで、作業者側への火花の逆流をより確実に抑制若しくは防止することができる。
【0122】
以上説明した第3~第10実施形態に係る集塵ボックス2についても、本体部15を上方へ揺動させた場合の固定カバー18を進入させるための逃がし部を第1実施形態と同様、集塵口20の上部(上壁部32)に設ける構成とすることができる。また、この逃がし部は、本体部15の下方への揺動動作に連動して上スライド板43で閉じられる構成とすることが望ましい。
【0123】
また、第3~第10実施形態に係る集塵ボックス2についても、その底部に排出口21を設ける構成とすることができる。排出口21は後壁部35若しくはその他の部位に設けてもよい。排出口は第1実施形態で例示したスライド開閉式とする他、キャップにより開閉する構成とすることができる。
【0124】
さらに、第3~第10実施形態で例示した集塵ボックス2については、第2実施形態で例示した遮蔽部材160、第1のカバー部材170及び第2のカバー部材190を同様に適用することができる。
【0125】
以上説明した各実施形態にはさらに変更を加えて実施することができる。例えば、本体部15において、切断砥石17に代えてチップソーを備える場合についても例示した集塵ボックス2を同様に適用することができる。また、集塵ボックス2の素材は、板金製に限ることなく、耐熱樹脂製あるいは両者の組み合わせであっても構わない。
【0126】
また、第1のカバー部材170や第2のカバー部材190は、布に替えて金属繊維等のその他のシート地を使用しても構わない。
【符号の説明】
【0127】
1…金工用定置式切断機
2…集塵ボックス
10…ベース部
11…支持台
12…フェンス
13…バイス
14…揺動支軸
15…本体部
15a…揺動支持部
16…電動モータ
16a…モータハウジング
17…切断砥石
18…固定カバー
18a…可動カバー
19…ハンドル部
19a…留めチェーン、19b…スイッチレバー、19c…電源コード
20…集塵口
21…排出口
22…集塵通路
22a…集塵通路の進行方向を示す直線
23…案内部(第3実施形態)
23a…案内壁部
24…案内部(第4実施形態)
24a…案内壁部
25…案内部(第5実施形態)
25a…案内壁部
26…案内部(第6実施形態)
26a…案内壁部
27…案内部(第7実施形態)
27a…案内壁部
28…案内部(第8実施形態)
28a…案内壁部
30…側壁部(左側)
30a…上辺、30b…前辺、30c…下辺、30d…窪み辺、30e…底辺
30f…後辺、30g…傾斜辺、30h…挿込溝
31…側壁部(右側)
31a…上辺、31b…前辺、31c…下辺、31d…窪み辺、31e…底辺
31f…後辺、31g…傾斜辺、31h…内面
32…上壁部
32a…逃がし部、32b…円弧部
33…下壁部
34…窪み壁部
35…後壁部
36…傾斜壁部
37…案内壁部(第1実施形態)
38…案内部(第9実施形態)
38a…案内壁部
39…案内部(第10実施形態)
39a…案内壁部
40…上ガイド
41…逃がし部
41a…円弧部
42…ストッパ
42a…ばね掛け孔
43…上スライド板
44…曲げ部
45…ばね掛け孔
46…引っ張りばね
47…下ガイド
48…下スライド板
49…曲げ部
50…隙間
51…隙間
102…集塵ボックス(第2実施形態)
103…補助切屑収容部
131…ダストボックス
131a…ビス留め溝
131b…ビス
131c…取っ手
138…補助側壁部
160…遮蔽部材
161…ヒンジ部材
162…ロック部材
170…第1のカバー部材
171…メイン部
172…第1の鉄板
173…第2の鉄板
174…第3の鉄板
175…第1の磁石
176…第2の磁石
177…第3の磁石
180…左サイド部
181…右サイド部
182…山折部
183…山折部
184…谷折部
185…山折部
186…切込部
187…切込部
190…第2のカバー部材
191…第1の鉄板
192…第2の鉄板
193…磁石
194…谷折部
202…集塵ボックス(従来)
F…設置フロア
A,a…火花の流れ