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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】カミソリカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/14 20060101AFI20231204BHJP
   B26B 21/22 20060101ALI20231204BHJP
   B26B 21/54 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
B26B21/14 A
B26B21/22 Z
B26B21/54
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019113015
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020014837
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0087848
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505116747
【氏名又は名称】ドルコ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Dorco Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドン イル キム
(72)【発明者】
【氏名】スン ホーン オウ
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-308781(JP,A)
【文献】特表平09-502912(JP,A)
【文献】米国特許第06212777(US,B1)
【文献】特表2011-527606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0011590(US,A1)
【文献】国際公開第2010/008981(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0013169(US,A1)
【文献】国際公開第2015/006079(WO,A1)
【文献】特開2015-107360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/14
B26B 21/22
B26B 21/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカミソリ刃を収容するブレードハウジングを含むカミソリカートリッジであって、
前記複数のカミソリ刃は、少なくとも第1のカミソリ刃及び第2のカミソリ刃を含み、
前記第1のカミソリ刃のエッジ部の厚さは、前記第2のカミソリ刃のエッジ部の厚さよりも薄く、
前記第1のカミソリ刃が有する第1のスパン距離は、前記第2のカミソリ刃が有する第2のスパン距離より短く、
前記第1のスパン距離は、前記第1のカミソリ刃の先端とその前方に位置する前記第1或いは第2のカミソリ刃の先端との間の距離、または前記第1のカミソリ刃の先端とその前方に位置するガードとの間の距離であり、
前記第2のスパン距離は、前記第2のカミソリ刃の先端とその前方に位置する前記第1或いは第2のカミソリ刃の先端との間の距離、または前記第2のカミソリ刃の先端とその前方に位置するガードとの間の距離であり、
以下の数学式1が、前記第1のカミソリ刃の前記エッジ部の厚さと前記第1のスパン距離の関係を表し、
ここで、
T15 A は、前記第1のカミソリ刃の位置P15 A での厚さ(μm)を示し、
P15 A は、前記第1のカミソリ刃の先端の位置P0から15μmの位置を示し、
A は、前記第1のカミソリ刃の前記第1のスパン距離(μm)であり、
A は、前記第1のカミソリ刃の第1の基準スパン距離(μm)であり、
以下の数学式が、前記第2のカミソリ刃の前記エッジ部の厚さと前記第2のスパン距離の関係を表し、
ここで、
T15は、前記第2のカミソリ刃の位置P15 B での厚さ(μm)を示し、
P15 B は、前記第2のカミソリ刃の先端の位置P0から15μmの位置を示し、
は、前記第2のカミソリ刃の前記第2のスパン距離(μm)であり、
は、前記第2のカミソリ刃の第2の基準スパン距離(μm)である、
カミソリカートリッジ。
【請求項2】
前記第2のスパン距離は0.95mm以上である請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項3】
前記第1のスパン距離は0.5mm以上、かつ、0.95mm未満である請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項4】
前記第2のスパン距離は0.95mm以上、かつ、1.6mm未満である請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項5】
前記第1のカミソリ刃の剃毛切削力は、前記第2のカミソリ刃の剃毛切削力より5%以上小さい請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項6】
前記複数のカミソリ刃は、エッジ部と基底部で構成され、前記エッジ部は、前記基底部の延長線上に存在しない請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項7】
剃毛方向を基準に、前記ブレードハウジングに収容した前記複数のカミソリ刃の前方に配置する第1の接触部材と、
前記剃毛方向を基準に、前記ブレードハウジングに収容した前記複数のカミソリ刃の後方に配置する第2の接触部材と、をさらに含み、
前記第1の接触部材及び前記第2の接触部材と接する接触平面を基準に前記第1のカミソリ刃が有する突出値と、前記接触平面を基準に前記第2のカミソリ刃が有する突出値は互いに異なる請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項8】
カミソリ刃の先端から15μmの位置にて、
前記第1のカミソリ刃の厚さは、4.7μm~5.7μmであり、
前記第2のカミソリ刃の厚さは、5.7μm~6.7μmである請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項9】
剃毛方向を基準に、前記ブレードハウジングに収容した前記複数のカミソリ刃の前方に配置する第1の接触部材と、
前記剃毛方向を基準に、前記ブレードハウジングに収容した前記複数のカミソリ刃の後方に配置する第2の接触部材と、
前記第1の接触部材と前記第2の接触部材との間に配置する第3の接触部材と、をさらに含み、
前記複数のカミソリ刃の中から、前記第1の接触部材と前記第3の接触部材との間の前方領域、および前記第3の接触部材と前記第2の接触部材との間の後方領域にそれぞれ少なくとも一つのカミソリ刃を配置する請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カミソリカートリッジに関し、より詳しくは、カミソリカートリッジ内に装着するカミソリ刃の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、湿式カミソリで知られている通常のカミソリは、カミソリカートリッジとカミソリハンドルで構成する。カミソリカートリッジは、カミソリハンドルに対して着脱可能なので、ユーザーは必要に応じてカミソリカートリッジを交換して使用する。また、カミソリカートリッジには、複数のカミソリ刃が剃毛方向に沿って配置される。
【0003】
このようなカミソリ刃が有する形状と寸法は、剃毛の品質に大きな影響を与える。一般的に、カミソリ刃は、先端(ultimate tip)に向かって収束する、連続的にテーパー形状となっている。前記先端に最も近接するカミソリ刃の部分はティップエッジ(tip edge)と呼ばれる。ティップエッジが厚く強ければ、摩耗が少なく寿命が長くなるが、切削力(切削抵抗)が大きくなってタギング(tugging)及び引っ張り現象を増加させることで、快適な剃毛を阻害する。逆にティップエッジプロファイルが薄いと、切削力が小さくなるが破損または損傷する危険性や皮膚に切り傷が発生する可能性が大きくなり、使用寿命も短くなる。これにより、切削力、剃毛時の快適性、そして使用寿命が最適に均衡するカミソリ刃の先端(cutting edge)を形成する必要がある。
【0004】
一方、このようなカミソリ刃の形状や厚さに加え、カミソリ刃の配置も剃毛の品質に大きな影響を与える。カミソリ刃の配置と関連した因子としては、カミソリ刃の突出値(exposure)とカミソリ刃のスパン距離(span)を優先的に考慮する。まず、カミソリ刃の突出値は、きれいながらも優れた剃毛快適性を提供し、切り傷(nicks and cuts)を最小限に抑えるように設計すべきである。このような突出値は接触平面の相対的な値として定義され、ネガティブ、ニュートラル、ポジティブに区分し、その突出値によって剃毛性能に大きな影響を与える。
【0005】
このような剃毛性能に影響を与える因子としては、前記突出値だけでなく、カミソリ刃のスパン距離も考慮することが重要である。一般的に、スパン距離を大きくすると剃毛補助材、水分や剃りカス(debris)など剃毛物質を排出するのに有利な一方でカミソリカートリッジの大きさが大きくなり、剃毛時の皮膚刺激、切り傷やカミソリ刃自体の損傷が起こりやすくなり、スパン距離を短くすると、この逆の現象が発生する。
【0006】
剃毛時に快適性とともに十分な剃毛性能を提供するためには、カミソリ刃の形状及び厚さだけでなく、カミソリ刃のスパン距離も一緒に反映すべきであり、特にカミソリ刃の形状や厚さに応じて、カミソリ刃のスパン距離がどのような相関関係を有するかを十分に考慮すべきである。しかし、従来のカミソリカートリッジにてカミソリ刃の形状や厚さという因子とカミソリ刃のスパン距離という因子がそれぞれ考慮された場合はあっても、これら2つの因子間の相関関係や、このような相関関係に起因する剃毛時の快適性や剃毛性能への影響を総合的に考慮しないという限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許公開公報第2017-0098262号(2017.8.29公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、カミソリ刃の形状や厚さに応じて、カミソリカートリッジに配置するカミソリ刃が適したスパン距離を有するようにすることで、剃毛時の快適性及び剃毛性能を一緒に向上させることである。
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、薄いカミソリ刃と厚いカミソリ刃を一緒に有するカミソリカートリッジでは、それぞれのカミソリ刃の厚さと配置、及びスパン距離間の望ましい相関関係を導出することである。
【0010】
本発明の技術的課題は、以上で取り上げた技術的課題に制限されず、言及されていないもう一つの技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の技術的課題を達成するための本発明の一実施例に係るカミソリカートリッジは、複数のカミソリ刃を収容するブレードハウジングを含み、前記複数のカミソリ刃は、少なくとも第1のカミソリ刃及び第2のカミソリ刃を含み、前記第1カミソリ刃のエッジ部の厚さは、前記第2のカミソリ刃のエッジ部の厚さよりも薄く、前記第1のカミソリ刃が有する第1のスパン距離は、前記第2のカミソリ刃が有する第2のスパン距離よりも短い。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るカミソリカートリッジによると、カミソリカートリッジでのスパン距離が基準値よりも短い位置に相対的に薄いカミソリ刃を配置し、スパン距離が前記基準値よりも長い位置に相対的に厚いカミソリ刃を配置することで、皮膚刺激、切り傷など皮膚の損傷を低減しながらも剃毛中に剃毛物質をスムーズに排出できる。したがって、全体的に剃毛の快適性及び剃毛効率性を一緒に向上させるという長所がある。
【0013】
また、本発明に係るカミソリカートリッジによると、スパン距離が長い位置に配置する厚いカミソリ刃により、切削力を十分に確保してカミソリカートリッジの寿命及び耐久性を増加させるという長所もある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例に係るカミソリカートリッジの斜視図である。
図2図1のカミソリカートリッジの中央部を剃毛方向に切り取った縦断面図である。
図3a図1または図2に示したカミソリ刃のより具体的な形状を示す図である。
図3b図1または図2に示したカミソリ刃のより具体的な形状を示す図である。
図4】本発明の一実施例に係るカミソリ刃に形成されたティップエッジの縦断面図である。
図5図4に示したティップエッジの位置別の厚さの寸法を表示した図である。
図6図2のカミソリカートリッジから固定クリップを除去し、カミソリ刃のスパン距離を示す図である。
図7】接触平面に対してカミソリ刃のスパン距離が漸増する実施例を示す図である。
図8】接触平面に対してカミソリ刃のスパン距離が漸減する実施例を示す図である。
図9】接触平面に対してカミソリ刃のスパン距離を千鳥状に形成する実施例を示す図である。
図10】接触平面に対してカミソリ刃のスパン距離を千鳥状に形成する実施例を示す図である。
図11】接触平面に対してすべてのカミソリ刃のスパン距離が短いスパン距離である場合を示す図である。
図12】接触平面に対してすべてのカミソリ刃のスパン距離が長いスパン距離である場合を示す図である。
図13】本発明の他の実施例に係るカミソリカートリッジを示す断面図である。
図14】カミソリカートリッジの接触平面とそれぞれのカミソリ刃間のティップエッジとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は添付する図面と共に詳しく後述する実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、異なる多様な形態で具現するものであり、単に本実施例は、本発明の開示が完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は、請求項のカテゴリによって定義されるのみである。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0016】
他の定義がない場合は、本明細書で使用するすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解できる意味で使用する。また、一般的に使用する辞書定義の用語は明白に特別に定義されていない限り、理想的または過度に解釈されない。
【0017】
本明細書で使用する用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本明細書では、単数形は、フレーズで特に取り上げない限り、複数形も含む。明細書で使用する「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」は、取り上げた構成要素に加えて一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。以下、添付した図面を参照して本発明の一実施例を詳しく説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係るカミソリカートリッジ100の斜視図である。
【0019】
複数のカミソリ刃10は、一端部にティップエッジを備え、他端部がブレードハウジング8に備えた安着スロットに装着できる。このとき、カミソリ刃10は、一又は二以上の枚数で、剃毛方向に並ぶように配置する。
【0020】
カミソリ刃10がブレードハウジング8から離脱しないようにするために、カミソリ刃10のティップエッジの両側端部を前記ブレードハウジング10に固定する一対の固定クリップ7a、7bが備えられる。このような固定クリップ7a、7bは、カミソリ刃10の前記両側端部を囲みながら、ブレードハウジング8の両側端部の近くに形成された貫通ホールを貫通し、ブレードハウジング10の下面で曲げられる。図1の実施例では、固定クリップ7a、7bの前方レッグ(front leg)がブレードハウジング10の前端付近に形成された貫通ホールを貫通し、固定クリップ7a、7bの後方レッグ(rear leg)がブレードハウジング10の後端を囲い込む形(wrap around)になっている。ただし、これに限らず前端及び後端の両方を囲い込む形や、前端貫通ホールと後端貫通ホールを固定クリップのレッグが貫通し、下面で曲がる形態もすべて可能である。
【0021】
また、ブレードハウジング8に配置した複数のカミソリ刃10は、前方のガード2および後部のキャップ4によって区画され、ガード2の前方には、カミソリ刃10と平行方向に弾性部材1を配置し、キャップ4の後方には、カミソリ刃10と平行方向に潤滑ストリップ3を配置する。前記弾性部材1は、ユーザーの体毛を剃毛方向に対して略垂直な方向に起立させてカミソリ刃10の切削をより容易にし、前記潤滑ストリップ3は、前記切削後の荒れた肌を滑らかに整える役割をする。ただし、必ずしもこれに限るなることなくガード2の前方にカミソリ刃10と平行方向に潤滑ストリップを配置し、キャップ4の後方には、カミソリ刃10と平行方向に弾性部材を配置してもよい。また、ガード2の前方とキャップ4の後方の両方に潤滑ストリップを配置したり、すべてに弾性部材を配置してもよい。
【0022】
図1に、複数のカミソリ刃10が5つのものを例示する。しかし、カミソリカートリッジ100に配置するカミソリ刃の枚数はカミソリ刃10の形状及び厚さ、スパン距離、カミソリカートリッジの大きさ、剃毛の目的などの要素によって多様に変更できる。したがって、これよりも多いか少ない数のカミソリ刃を配置してもよいが、通常の業界で使用するカミソリ刃の枚数は、少なくとも2枚から最大7枚程度である。したがって、カミソリカートリッジはガード2に隣接する前方カミソリ刃と、キャップ4に隣接する後方カミソリ刃を基本的に含み、この二つのカミソリ刃の間に追加のカミソリ刃をさらに含むものと理解できる。
【0023】
図2図1のカミソリカートリッジ100の中央部を剃毛方向に切り取った縦断面図である。図2を参照すると、図示した5つのカミソリ刃10aないし10eは、安着突起9aないし9eの間に形成したギャップ(スロット)に挿入する。具体的には、カミソリ刃10aないし10eの前面のうち、エッジ部または曲げ部の一部が前方の安着突起(例えば、カミソリ刃10aに対しては、安着突起9a)によって支持される。また、カミソリ刃10aないし10eの基底部は、前方及び後方に位置する2つの安着突起(例えば、カミソリ刃10aに対しては、安着突起9a、9b)の間で支持される。
【0024】
カミソリ刃10aないし10eは、このように安着突起によって支持されるとともに、ティップエッジを両側端部から下方に加圧する一対の固定クリップ7a、7bにより、ブレードハウジング8内に強固に取り付けられる。
【0025】
以上、図1または図2に示したカミソリ刃10のより具体的な形状は、次の図3a及び図3bを参照して説明する。
【0026】
まず、図3aは、本発明の一実施例に係る一体型カミソリ刃の側面図である。図3aを参照すると、一体型カミソリ刃10は、ブレードハウジングのスロット内に安着する基底部13、前端側にティップエッジ15を備えるエッジ部11、および基底部13とエッジ部11をつなぎ、前方に曲がった曲げ部12を含んで構成する。このような一体型カミソリ刃の全体的形状寸法としては、高さh、奥行きD、曲率半径Rと曲げ角αなどがある。
【0027】
例示的に、一体型カミソリ刃10の高さhは、1.5mmから5.0mmであり、奥行きDは、0.7mmから3.0mmであり、曲率半径Rは、0.45mmないし0.9mmであり、曲げ角αは、90°ないし170°である。このような一体型カミソリ刃10は単一のボディで曲げ工程によって製作することができ、必要に応じて厚くまたは薄く設計する。ここで、前記エッジ部11は、基底部13の延長線上に存在しない。
【0028】
しかし、これに限らず、本発明で使用するカミソリ刃は、図3bに示すような鋼帯刃40であってもよい。鋼帯刃40は、ブレードハウジングのスロット内に安着するメタル基底部43と、メタル基底部43上で接合されてティップエッジ15を備えるエッジ部41を含む2つの部材で構成する。前記鋼帯刃40は、一体型ブレード10と同様に、基底部と曲げ部を備え、エッジ部41を支持し、接合するためのブレード装着部を備える。このような鋼帯刃40のメタル基底部43は、エッジ部41に比べて厚く形成されてエッジ部41を強固に支持する。ここで、前記エッジ部41はメタル基底部43の延長線上に存在しない。
【0029】
以下では、本発明で使用するカミソリ刃は、図3aと同じ一体型カミソリ刃10を中心に説明したが、これに限らず図3bのような鋼帯刃40、その他ストレート型や他の形態を排除しないことはもちろんである。しかし、ストレート型よりも、一体型カミソリ刃10または鋼帯刃40が、皮膚となす角度が、剃毛により容易であり、肌への刺激を少なくするため、一体型カミソリ刃10または鋼帯刃40を使用することがより適している。
【0030】
図4は、本発明の一実施例に係るカミソリ刃10、40に形成したティップエッジ15の縦断面図である。ティップエッジ15は、最も内側から基材16(substrate)、中間コーティング層18および、外部コーティング層17を含んで構成する。基材16は、典型的にはステンレス鋼で製作するが、他の材料を用いてもよい。また、基材16自体の強度、耐食性を増加させるために硬質コーティング層を基材の外面にさらに含むこともできる。このような硬質コーティング層は、DLCの様な炭素含有物、窒化物、酸化物、またはセラミック材料で形成する。
【0031】
基材16と外部コーティング層17との間に形成する中間コーティング層18は、カミソリ刃10、40の強度を増加させたり基材16に対する外部コーティング層17の接着を促進するために使用する。中間コーティング層18は、DLCの様な炭素含有物、窒化物、酸化物、セラミックまたはクロム含有材料が用いられる。
【0032】
最後に、ティップエッジ15の外表面には、摩擦を減少させるための外部コーティング層17を形成する。外部コーティング層17は、ポリマー組成物であり、ポリフルオロカーボンないしポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用する。代表的にPTFEは安定分散を起こす小さな粒子で構成される、不燃性、および安定的な乾燥した潤滑剤として作用する。
【0033】
図5は、図4に示したティップエッジ15の位置別の厚さの寸法を表示した図である。図5に示すように、ティップエッジ15の先端の位置をP0で表示し、前記原点から縦方向に距離iをマイクロメートル(μm)単位で表示した点をPiで表示する。したがって、図5でP3、P9、P15は、それぞれ原点から縦方向に3μm、9μm、15μmの位置を示す。また、このような各位置での厚さは、ティップエッジ15の横方向の寸法として定義する。例えば、T15とはP15の位置でティップエッジ15の横方向の寸法(厚さ)を意味する。
【0034】
通常カミソリ刃の剃毛性能、強度などの物性は、このようなティップエッジ15の厚さプロファイルによって大きな影響を受けるため、このような厚さプロファイルを多様に設計することで、目的のカミソリ刃の物性を決定できる。
【0035】
本発明の一実施例によると、ブレードハウジング8に配置するカミソリ刃は、相対的に薄いカミソリ刃と相対的に厚いカミソリ刃を一緒に配置する。ここで、薄いカミソリ刃はティップエッジ15の全体的な位置での厚さ寸法が相対的に小さく、全体的に厚さが薄く尖った切削力(切削抵抗)及び耐久性の低いカミソリを意味する。同様に厚いカミソリ刃は、ティップエッジ15の全体的な位置での厚さ寸法が相対的に大きく、全体的に厚さが厚くそれほど尖っておらず切削力(切削抵抗)及び耐久性の高いカミソリ刃を意味する。
【0036】
好ましくは、薄いカミソリ刃及び厚いカミソリ刃のそれぞれに対するティップエッジの厚さプロファイルは、次の表1のように設計する。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示すように、ティップエッジ15の全体の位置(略P1以上の場所)で厚いカミソリ刃が薄いカミソリ刃より大きな厚さを有する。
【0039】
このように厚いカミソリ刃と薄いカミソリ刃のプロファイルは、Piの位置での厚さ寸法として、全体的に定義することができるが、この中でも、ティップエッジの厚さに応じたカミソリ刃の全体的な物性の変化に影響を与える重要なポイントは、略P3、P9とP15と把握される。したがって、このような位置にて厚さを異なるように設計することで、様々な寸法の厚いカミソリ刃及び薄いカミソリ刃を製作できる。
【0040】
このようなカミソリ刃のプロファイルは、切削力に直接影響を与える。例えば、表1の厚いカミソリ刃に比べて薄いカミソリ刃は、SHCF(%)が5%以上の値ほど小さく現われ、具体的には略9.36%低く評価される。SHCF(Shaving Hair Cutting Force、剃毛切削力、または剃毛切断力とも言う)は、切削力(切断力)を評価した指標であり、体毛の一本を切断する際に印加する力gfを相対的に評価した値である。したがって、SHCFは低いほど小さな力で切削が可能であることがわかる。通常、SHCFは、切削するときの力が小さい場合は「-」で、大きい場合は「+」で表示し、SHCFの差が-5%以上の時に剃毛性能が向上すると判断する。
【0041】
このように、カミソリカートリッジ100に配置した薄いカミソリ刃と厚いカミソリ刃の形状、厚さが1次的に剃毛性能に影響を与えるとともに、個々のカミソリ刃をカミソリカートリッジ100にて剃毛方向に沿って配置する厚さ、つまり、スパン距離(span)の設計も同様に大きな影響を与える。特に、カミソリ刃の特性を考慮して適切なスパン距離を適応的に選択することが非常に重要である。
【0042】
図6は、図2のカミソリカートリッジの固定クリップ7a、7bを除去し、それぞれのカミソリ刃に対するスパン距離(saないしse)を示す図である。このようなスパン距離は特定のカミソリ刃に対してそれぞれ異なるように設計することができ、前方カミソリ刃のティップエッジ15と、現在カミソリ刃のティップエッジ15との間の水平距離として定義する。ただし、一つ目のカミソリ刃10aは、前方カミソリ刃が存在しないためガード2の壁と該当ティップエッジ15との間の距離として定義する。
【0043】
一般的に、スパン距離を長くすると剃毛補助材、水分や剃りカス(debris)を排出するのに有利な一方でカミソリカートリッジの大きさが大きくなって剃毛時に切り傷が起こりやすくなり、スパン距離を短くすると、この逆の現象が発生する。したがって、剃毛条件を考慮した適切なスパン距離の選択が重要であり、このようなスパン距離もカミソリ刃の厚さに相応して設計する必要がある。例えば、皮膚の切り傷を減らすためには、薄いカミソリ刃のスパン距離は相対的に短く設計し、剃毛時に排出性能を高めるために厚いカミソリ刃のスパン距離は相対的に長く設計することが望ましい。特に、厚いカミソリ刃は薄いカミソリ刃と同じスパン距離を有しても自体の寸法により前方のカミソリ刃間の空間が相対的に狭くなるため、このようなスパン距離の拡大がさらに要求される。また、厚いカミソリ刃はそれほど尖っておらず切削力(切削抵抗)及び耐久性が高いため、スパン距離が長くても摩耗が少なく、皮膚を切ったり、傷をつけることが少ない。したがって、より長いスパンを確保するためには、薄いカミソリ刃より厚いカミソリ刃が有利である。
【0044】
図6に配置したカミソリ刃10aないし10eは、少なくとも一つの薄いカミソリ刃および/または少なくとも一つの厚いカミソリ刃を含む。好ましくは、最前方のカミソリ刃10aは薄いカミソリ刃であり、最後方のカミソリ刃10eは厚いカミソリ刃である。最前方のカミソリ刃10aは、剃毛時に一番最初に体毛と接触するため、切削力が低い薄いカミソリ刃を配置し、最後方のカミソリ刃10eは、一番最後に体毛と接触するため、切削力が高い厚いカミソリ刃を配置する。このような切削力は、前述したSHCFのように体毛を切断する際に使用する摩擦抵抗と同じ概念である。ただし、このような配置方式は、本発明の一実施例にすぎず、必ずしもこれに限定されず、これと異なる他の配置もいくらでも可能である。
【0045】
本発明において、厚いカミソリ刃は、前述した表1に示すように、全体的な領域で、薄いカミソリ刃に比べて厚さが厚いもので定義することもあるが、T15を単一の基準に両者を区別できる。好ましくは、薄いカミソリ刃は、T15が5.2±0.5μmの範囲に、厚カミソリ刃は、T15が6.2±0.5μmの範囲に属する。したがって、T15を基準に薄いカミソリ刃に対する厚いカミソリ刃の厚さ比は略1.0~1.5であり、好ましくは1.15~1.5である。
【0046】
このように、T15を基準にする理由は、ブレードの切削力及び耐久性がT15の値によって最も影響を受けるほか、体毛を切断する際にティップエッジ15の中でP15以下の部分が切断に最も多く関与するからである。
【0047】
このとき、厚いカミソリ刃のスパン距離は薄いカミソリ刃のスパン距離に比べて長くなるように設計することが望ましい。一般的に、ティップエッジの厚さが薄いと切削力が低いが(切削抵抗が小さいが)、皮膚刺激を与えうるので、相対的にスパン距離を短くすることで、皮膚刺激を減少させる必要があるからである。また、ティップエッジの厚さが厚いと、このような皮膚刺激の可能性が低く、耐久性が高く、より多くの負荷に余裕があるので、相対的にスパンの距離を長くすることで、カミソリカートリッジの使用寿命を増加させながらも剃毛物質の排出が容易になる。
【0048】
より好ましくは、特定基準値(ニュートラル値)を基準に厚いカミソリ刃は、長いスパン距離を有し、薄いカミソリ刃は、短いスパン距離を有するように設計する。このような基準値は、多様に設定できるが、0.8ないし1.1mmの範囲から選択してもよく、好ましくは0.95mmである。例えば、薄いカミソリ刃が有する短いスパン距離は0.95mmよりも短く、厚いカミソリ刃が有する長いスパン距離は0.95mmよりも長い。実用的なスパン距離の範囲を考慮すると、前記短いスパン距離も0.5mm以上で、前記長いスパン距離も1.6mm未満に制限できる。
【0049】
このように、カミソリ刃の厚さとスパン距離が同時に考慮されたカミソリカートリッジの設計は、皮膚刺激を最小限に抑えながらも十分な剃毛性能を確保し、併せてカミソリカートリッジ全体の耐久性及び寿命を向上させることに貢献する。
【0050】
以上の数値関係を総合すると、次の数学式1ないし数学式3のように表現できる。まず、数学式1は、P15の位置で厚いカミソリ刃と薄いカミソリ刃の厚さ関係を表現する。このような関係は、スパン距離とは無関係にカミソリ刃の形状のみによって決定される関係式である。
【0051】
(数学式1)
【0052】
ここで、T15Aは薄いカミソリ刃のT15を、T15Bは厚いカミソリ刃のT15をそれぞれ表す。
【0053】
また、薄いカミソリ刃のスパン距離とP15位置での厚さ、すなわちT15の関係は次の数学式2のように表すことができる。このような数学式2によると、薄いカミソリ刃のスパン距離が増加するにつれてT15も同様に大きくなることを意味する。
【0054】
(数学式2)
【0055】
ここで、T15は薄いカミソリ刃のT15(μm)を意味し、xは薄いカミソリ刃のスパン距離(mm)を意味する。ただし、実際の剃毛性能に適した範囲を考慮し、前記spanは±10%のマージンを有するものとする。つまり、xは0.9 * spanないし1.1 * spanの範囲を有することができる。しかし、カミソリ刃の製造工程上のエラーのため、実際の商品のT15の値が常に数学式2を満たせない場合があり、数学式2と近似な値を有する。
【0056】
一方、厚いカミソリ刃のスパン距離とT15の関係は次の数学式3のように表すことができる。このような数学式3によると、厚いカミソリ刃のスパン距離が増加するにつれ、T15も同様に大きくなることを意味する。
【0057】
(数学式3)
【0058】
ここで、T15は厚いカミソリ刃のT15(μm)を意味し、xは厚いカミソリ刃のスパン距離(mm)を意味する。ただし、実際の剃毛性能に適した範囲を考慮し、前記spanは±10%のマージンを有するものとする。つまり、xは0.9 * spanないし1.1 * spanの範囲を有することができる。しかし、カミソリ刃の製造工程上のエラーのため、実際の商品のT15の値が常に数学式3を満たせない場合があり、数学式3と近似な値を有する。
【0059】
以上のようなカミソリ刃の厚さとスパン距離間の相関関係を考慮した、カミソリ刃の配置に関するさまざまな実施例が以下の図7ないし12に図示される。前述したように、薄いカミソリ刃は、T15が5.2±0.5μmであるカミソリ刃であり、厚いカミソリ刃は、T15が6.2±0.5μmであるカミソリ刃で定義する。
【0060】
この中で、図7はカミソリ刃のスパン距離が漸増する実施例を示す図である。図7を参照すると、カミソリカートリッジの前方から後方にかけてカミソリ刃10aないし10eのスパン距離saないしseは、後方のカミソリ刃に行くほど徐々に大きくなる。
【0061】
このような配置で、カミソリカートリッジの前方に配置した薄いカミソリ刃によっては皮膚刺激を減らしながら、低い切削抵抗で適切な剃毛が行われるようにし、後方に配置した厚いカミソリ刃によって十分な支持剛性と円滑な剃り物質の排出が保証できる。特に、前方のカミソリ刃によっては浅いレベルの剃毛がなされた後、後方のカミソリ刃によっては深いレベルの剃毛が行われることで、全体的にバランスのとれた剃毛ストロークが提供できる。
【0062】
図7では前方に3枚の同じ薄いカミソリ刃20を配置し、後ろに2枚の厚いカミソリ刃30を配置することを例示したが、これに限らず、前方から後方に行くほど厚さが漸増する異なる5本のカミソリ刃を配置してもよい。
【0063】
次に、図8は、カミソリ刃のスパン距離が漸減する実施例を示す図である。図8を参照すると、カミソリカートリッジの前方から後方にかけてカミソリ刃10aないし10eのスパン距離saないしseは、後方のカミソリ刃に行くほど徐々に小さくなる。
【0064】
この配置では、カミソリカートリッジの前方に配置したカミソリ刃によっては、十分な支持剛性と円滑な剃り物質の排出を確保しつつ、後方に配置したカミソリ刃によっては皮膚刺激を削減しながら、低い切削抵抗で、適切な剃毛が行われるようにする。特に、前方のカミソリ刃によっては、高い切削力で剃毛がなされた後、後方のカミソリ刃によっては、きれいでなめらかな剃毛に仕上げられる。
【0065】
図8は、前方に2枚の同一の厚いカミソリ刃30を配置し、後方に3枚の薄いカミソリ刃20を配置することを例示したが、これに限らず、前方から後方に行くほど厚さが漸減する異なる5本のカミソリ刃を配置できることはもちろんである。
【0066】
次に、図9及び図10は、カミソリ刃のスパン距離を千鳥状に形成する実施例を示す図である。図9及び図10を参照すると、カミソリカートリッジの前方から後方にかけて薄いカミソリ刃20と厚いカミソリ刃30が交互に配置され、それぞれのスパン距離も長いスパン距離と短いスパン距離で交互している。この中で、図9では前方に薄いカミソリ刃20から配置するのに対し、図10では、前方に厚いカミソリ刃30から配置することだけに違いがある。いずれの場合も、厚いカミソリ刃のスパン距離は長いスパン距離であり、薄いカミソリ刃のスパン距離は短いスパン距離で形成する。
【0067】
このように厚いカミソリ刃と薄いカミソリ刃を隣接して交互に配置すると、厚いカミソリ刃が有する剃毛特性と薄いカミソリ刃が有する剃毛特性が相互補完的に作用するため、全体的に剃毛性能が向上する。
【0068】
最後に、図11及び図12は、すべてのカミソリ刃のスパン距離が短いスパン距離または長いスパン距離である場合を示している。この中で、図11はすべてのカミソリ刃が薄いカミソリ刃で、そのスパン距離は短いスパン距離である。このような短いスパン距離を有する薄いカミソリ刃により、皮膚刺激が減少されながらも、低い切削抵抗を有する剃毛が可能である。ここではすべての薄いカミソリ刃の厚さ及びスパン距離が互いに同一のものとして例示するが、これに限らず、薄いカミソリ刃の厚さを異なるようにする場合には、それに応じて、そのスパン距離も互いに異なるようにする。
【0069】
一方、図11とは逆に、図12は、すべてのカミソリ刃が厚いカミソリ刃として長いスパン距離を有する場合を示す。このような長いスパン距離を有する厚いカミソリ刃により剃毛時に大きな切削力とともに耐久性及び円滑な剃毛物質の排出が提供される。ここではすべて厚いカミソリ刃の厚さ及びスパン距離が互いに同一であるものとして例示するが、これに限らず、厚いカミソリ刃の厚さを互いに異なるようにしている場合には、それに応じて、そのスパンの距離も互いに異なるようにする。
【0070】
図7ないし図12の中のどの実施例でも、5つのカミソリ刃が有するスパン距離と厚さT15は、前述した数学式1~3のうちの少なくとも一つの数値範囲を満たすように選択できる。ただし、カミソリ刃の数は5つに限定されず、5つより少なく、または、多くてもよいことはもちろんである。
【0071】
以上の実施例では、カミソリ刃10を前方のガード2(第1の接触部材)と後方のキャップ4(第2の接触部材)との間に配置するカミソリカートリッジ100について説明した。しかし、これに限らず、前方のガード2と後方のキャップ4との間に追加のガード(中間ガード、第3の接触部材)を形成するカミソリカートリッジ110も考慮できる。このように、カミソリカートリッジ110の中央に中間ガードがさらに形成すると、切り傷が減るなど剃毛安全性が増大し、肌密着性を増加させることができる。また、前方のガード2と中間ガードとの間で形成する前方領域と、中間ガードと後方のキャップ4との間で形成する後方領域で、それぞれ異なる接触平面が提供されるため、多様で複合的な特性の剃毛が可能となる。
【0072】
図13は、本発明の他の実施例に係るカミソリカートリッジ110を示す断面図である。ここで、図13を参照すると、4枚のカミソリ刃10aないし10dがブレードハウジング8に配置され、前方領域の2枚のカミソリ刃10a、10bと後方領域の2枚のカミソリ刃10c、10dとの間に中間ガード5が設けられる。このような中間ガード5は、図示したように、カミソリ刃10aないし10dと類似した形態で安着突起の間に装着してもよいが、これに限られず、ブレードハウジング8と一体となった隔壁状に形成してもよい。
【0073】
図13に関連する一実施例によると、前方のガード2との中間ガード5との間に配置したカミソリ刃10a、10bは、相対的に薄いカミソリ刃(例えば、T15が5.2±0.5μmである)であり、中間ガード5と後方のキャップ4との間に配置したカミソリ刃10c、10dは、相対的に厚いカミソリ刃(例えば、T15が6.2±0.5μmである)である。この場合には、前方領域の薄いカミソリ刃10a、10bは、スパン距離が相対的に短く、後方領域の厚いカミソリ刃10c、10dは、スパン距離が相対的に長い。例えば、薄いカミソリ刃10a、10bのスパン距離sa、sbは基準値(例えば、0.95mm)よりも短く、厚いカミソリ刃10c、10dのスパン距離sc、sdは、前記基準値よりも長い。
【0074】
したがって、実際の剃毛時には、まず薄いカミソリ刃によって1次切削を行った後、厚いカミソリ刃によって2次切削が行われる。これにより、前方領域の薄いカミソリ刃10a、10bによっては、皮膚刺激を削減しながら、低い切削抵抗で適切な剃毛が行われるようにし、後方に配置した厚いカミソリ刃10c、10dによって十分な切削力及び支持剛性を確保できるようにする。
【0075】
図13に関連する他の実施例によると、前記前方領域及び前記後方領域の中の少なくとも一つの領域に配置されたカミソリ刃は、第1のスパン距離を有する薄いカミソリ刃(例えば、T15が5.2±0.5μmである)と、前記第1のスパン距離よりも長いスパン距離を有する厚いカミソリ刃(例えば、T15が6.2±0.5μmである)を含む。
【0076】
より具体的な例としては、前方領域のカミソリ刃10a、10bを薄いカミソリ刃と厚いカミソリ刃の順に(または逆の順に)配置したり、後方領域のカミソリ刃10c、10dも薄いカミソリ刃と厚いカミソリ刃の順に(または逆の順に)配置してもよい。もちろん、この場合にも、薄いカミソリ刃のスパン距離よりも厚いカミソリ刃のスパン距離がより長くなるように配置することが望ましい。
【0077】
また、図13の実施例でも、4つのカミソリ刃が有するスパン距離とT15での厚さは、前述した数学式1ないし3のうちの少なくとも一つの数値範囲を満たすように選択できる。そして、カミソリ刃の枚数も4つに限定されない。したがって、前方領域のカミソリ刃の枚数と後方領域のカミソリ刃の枚数が同じに1つまたは3つであってもよく、それ以上であってもよい。さらに、前方領域のカミソリ刃の枚数と後方領域のカミソリ刃の枚数が異なるように配置してもよい。
【0078】
以上では、カミソリ刃の厚さとスパン距離との相関関係によって剃毛性能が変わることを考慮し、複数のカミソリ刃を設計して配置する実施例について説明した。ここでカミソリ刃の厚さと突出値(exposure)との相関関係も追加的に考慮することで、剃毛性能をさらに向上させることができる。
【0079】
図14は、カミソリカートリッジの接触平面cpとそれぞれのカミソリ刃間のティップエッジとの位置関係を示す図である。このような接触平面cpは、カミソリ刃の前方に位置する第1の接触部材の上端とカミソリ刃の後方に位置する第2の接触部材の上端をつないで定義された仮想の平面である。このような接触平面cpは、図6のような断面図ではラインで表示する。カミソリ刃の突出値は、このような接触平面を基準にカミソリ刃のティップエッジの位置を示す相対的な値として、ポジティブ、ニュートラル、ネガティブの3つに区分する。
【0080】
このとき、厚いカミソリ刃の突出値は薄いカミソリ刃の突出値に比べて大きくなるように設計することが望ましい。より好ましくは、ニュートラルを基準に厚いカミソリはポジティブ突出値を有し、薄いカミソリはネガティブ突出値を有するように設計する。一般的に、ティップエッジの厚さが薄いと切削力が低いが(切削抵抗が小さいが)、皮膚刺激を与え得ることから、相対的に突出値を小さくすることで、切削がよくなるとともに、肌への刺激を減少させる必要があるからである。また、ティップエッジの厚さが厚ければ、耐久性が高く、より多くの負荷に余裕があるので、相対的に突出値を大きくすることで、カミソリカートリッジの使用寿命を増加させることができる。
【0081】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形で実施できるということを理解できるだろう。したがって、以上で述べた実施例は、すべての面で例示的なものであり限定的ではないと理解しなければならない。
【0082】
また、本明細書に開示する寸法および値は、列挙された正確な数値に厳格に制限するものとして理解すべきではない。それよりもむしろ、特に指定しない限り、このような各寸法は、列挙した値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を含むことを意図する。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14