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特許7395277信号伝送配線接続ユニット、内視鏡、信号伝送配線接続ユニットの製造方法および超音波振動子モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】信号伝送配線接続ユニット、内視鏡、信号伝送配線接続ユニットの製造方法および超音波振動子モジュール
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
A61B1/00 715
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019141594
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021023429
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊田 祐也
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-125096(JP,A)
【文献】国際公開第2008/087771(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0058228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 8/00 - 8/15
G02B 23/24 -23/26
H04N 5/222- 5/257
H04N 5/30 - 5/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを生成するための素子からの電気信号を出力する接続端子である電極が配置された第1の接続端子部を有する第1基板と、
前記電気信号を伝送する複数の信号線を有するケーブルと、
前記複数の信号線のうちの一部の信号線と接続する第1の接続端子が表面に配列された第1の接続端子部分と、前記複数の信号線のうちの残りの信号線と接続する第1の接続端子が表面に配列された第2の接続端子部分と、前記第1基板と電気的に接続する第2の接続端子が配列された第3の接続端子部分と、前記第1の接続端子部分と前記第2の接続端子部分の間に設けられ、前記第1の接続端子部分の裏面と前記第2の接続端子部分の裏面とが互いに近づく態様に折り曲げられる第1の折り曲げ部と、前記第1の接続端子部分と前記第3の接続端子部分の間に設けられ、前記第1の接続端子部分と前記第3の接続端子部分とが互いに近づく態様に折り曲げ可能になされた第2の折り曲げ部と、を有する第2基板と、
前記第1の折り曲げ部を折り曲げた状態における、前記第1の接続端子部分の裏面と、前記第2の接続端子部分の裏面との間を固着する絶縁層と、
を備える信号伝送配線接続ユニット。
【請求項2】
前記第2基板の表面において、少なくとも前記第2の折り曲げ部を覆うカバーレイ、
を備える請求項1に記載の信号伝送配線接続ユニット。
【請求項3】
前記第1の折り曲げ部は、他の部分と比して厚さが薄い、
請求項2に記載の信号伝送配線接続ユニット。
【請求項4】
前記第2の折り曲げ部には、切り込み部が形成される、
請求項2に記載の信号伝送配線接続ユニット。
【請求項5】
前記素子は、超音波に基づく画像データを生成するための超音波振動子である、
請求項1に記載の信号伝送配線接続ユニット。
【請求項6】
前記素子は、光学像に基づく画像データを生成するための撮像素子である、
請求項1に記載の信号伝送配線接続ユニット。
【請求項7】
前記第2の折り曲げ部は、前記第1の接続端子部分と前記第3の接続端子部分とが互いに近づく態様に折り曲げられている、
請求項1に記載の信号伝送配線接続ユニット。
【請求項8】
請求項1に記載の信号伝送配線接続ユニットを収容する挿入部、
を備える内視鏡。
【請求項9】
画像データを生成するための複数の素子と電気的に接続する基板における、第1および第2の接続端子部分の表面にそれぞれ配設される複数の第1および第2の接続端子に、対応する信号線をそれぞれ接続する信号線接続ステップと、
前記第1の接続端子に前記信号線を接続後、前記第1の接続端子部分の裏面に前記第2の接続端子部分の裏面を固着する絶縁層を形成する絶縁層形成ステップであって、前記第1の接続端子部分と前記第2の接続端子部分との間に設けられる第1の折り曲げ部を屈曲させて該第1および第2の接続端子部分の裏面を向い合せた後、前記第1の接続端子部分の裏面に前記第2の接続端子部分の裏面を固着させて前記絶縁層を形成する絶縁層形成ステップと、
前記第1の折り曲げ部を除去する除去ステップと、
を含む信号伝送配線接続ユニットの製造方法。
【請求項10】
画像データを生成するための複数の素子と電気的に接続する基板における、第1および第2の接続端子部分の表面にそれぞれ配設される複数の第1および第2の接続端子に、対応する信号線をそれぞれ接続する信号線接続ステップと、
前記第1の接続端子に前記信号線を接続後、前記基板の表面を対向させるように折り曲げた後、前記第1の接続端子部分と前記第2の接続端子部分との間を絶縁する絶縁層を形成する絶縁層形成ステップと、
を含む信号伝送配線接続ユニットの製造方法。
【請求項11】
画像データを生成するための素子からの電気信号を出力する接続端子である電極が配置された第1の接続端子部を有する第1基板と、
前記電気信号を伝送する複数の信号線を有するケーブルと、
前記複数の信号線のうちの一部の信号線と接続する第1の接続端子が表面に配列された第1の接続端子部分と、前記複数の信号線のうちの残りの信号線と接続する第1の接続端子が表面に配列された第2の接続端子部分と、前記第1の接続端子部分と前記第2の接続端子部分の間に設けられ、前記第1の接続端子部分の裏面と前記第2の接続端子部分の裏面とが互いに近づく態様に折り曲げられる第1の折り曲げ部と、を有する第2基板と、
前記第1の折り曲げ部を折り曲げた状態における、前記第1の接続端子部分と、前記第2の接続端子部分との間を絶縁する絶縁層と、
を備える信号伝送配線接続ユニット。
【請求項12】
画像データを生成するための超音波振動子からの電気信号を出力する接続端子である電極が配置された第1の接続端子部を有する第1基板と、
前記電気信号を伝送する複数の信号線を有するケーブルと、
前記複数の信号線のうちの一部の信号線と接続する第1の接続端子が表面に配列された第1の接続端子部分と、前記複数の信号線のうちの残りの信号線と接続する第1の接続端子が表面に配列された第2の接続端子部分と、前記第1の接続端子部分と前記第2の接続端子部分の間に設けられ、前記第1の接続端子部分の裏面と前記第2の接続端子部分の裏面とが互いに近づく態様に折り曲げられる第1の折り曲げ部と、を有する第2基板と、
前記第1の折り曲げ部を折り曲げた状態における、前記第1の接続端子部分と、前記第2の接続端子部分との間を絶縁する絶縁層と、
を備える超音波振動子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送配線接続ユニット、内視鏡、および信号伝送配線接続ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、患者等の被検体の臓器を観察する際に内視鏡システムが用いられている。内視鏡システムは、例えば先端に撮像素子や超音波振動子等の素子が設けられ、被検体内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、挿入部の基端側にケーブルを介して接続され、素子が生成した撮像信号に画像処理を施して体内画像を表示部等に表示させる処理装置と、を備える。挿入部は、素子が設けられる先端部の基端側に設けられ、湾曲自在な湾曲部を有する。
【0003】
素子と信号ケーブルとは、内視鏡の先端部において、基板を経由して電気的に接続される(例えば、特許文献1を参照)。信号ケーブルは、複数の信号線を有している。素子は、基板を経て各信号線と電気的に接続する。特許文献1では、複数の基板を積層した積層基板によって、電子部品等が実装されたり、撮像素子と信号線とを電気的に接続したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-50496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内視鏡の先端部は、被検体への挿入を容易にするため、信号を伝送するユニットを小型化することが求められている。特許文献1は、複数の基板を積層する構成であるため、配線が複雑化し、小型化には不向きであった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、信号を伝送するユニットの部材同士の接続を簡易な構成で小型化することができる信号伝送配線接続ユニット、内視鏡および信号伝送配線接続ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る信号伝送配線接続ユニットは、画像データを生成するための素子からの電気信号を出力する接続端子である電極が配置された第1の接続端子部を有する第1基板と、前記電気信号を伝送する複数の信号線を有するケーブルと、前記複数の信号線のうちの一部の信号線と接続する第1の接続端子が表面に配列された第1の接続端子部分と、前記複数の信号線のうちの残りの信号線と接続する第1の接続端子が表面に配列された第2の接続端子部分と、前記第1基板と電気的に接続する第2の接続端子が配列された第3の接続端子部分と、前記第1の接続端子部分と前記第2の接続端子部分の間に設けられ、前記第1の接続端子部分の裏面と前記第2の接続端子部分の裏面とが互いに近づく態様に折り曲げられる第1の折り曲げ部と、前記第1の接続端子部分と前記第3の接続端子部分の間に設けられ、前記第1の接続端子部分と前記第3の接続端子部分とが互いに近づく態様に折り曲げ可能になされた第2の折り曲げ部と、を有する第2基板と、前記第1の折り曲げ部を折り曲げた状態における、前記第1の接続端子部分の裏面と、前記第2の接続端子部分の裏面との間を固着する絶縁層と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る信号伝送配線接続ユニットは、上記発明において、前記第2基板の表面において、少なくとも前記第2の折り曲げ部を覆うカバーレイ、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る信号伝送配線接続ユニットは、上記発明において、前記第1の折り曲げ部は、他の部分と比して厚さが薄いことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る信号伝送配線接続ユニットは、上記発明において、前記第2の折り曲げ部には、切り込み部が形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る信号伝送配線接続ユニットは、上記発明において、前記素子は、超音波に基づく画像データを生成するための超音波振動子であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る信号伝送配線接続ユニットは、上記発明において、前記素子は、光学像に基づく画像データを生成するための撮像素子であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る信号伝送配線接続ユニットは、上記発明において、前記第2の折り曲げ部は、前記第1の接続端子部分と前記第3の接続端子部分とが互いに近づく態様に折り曲げられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る内視鏡は、上記発明に係る信号伝送配線接続ユニットを収容する挿入部、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る信号伝送配線接続ユニットの製造方法は、画像データを生成するための複数の素子と電気的に接続する基板における、第1および第2の接続端子部分の表面にそれぞれ配設される複数の第1の接続端子に、対応する信号線をそれぞれ接続する信号線接続ステップと、前記第1の接続端子に前記信号線を接続後、前記第1の接続端子部分の裏面に前記第2の接続端子部分の裏面を固着する絶縁層を形成する絶縁層形成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る信号伝送配線接続ユニットの製造方法は、上記発明において、前記絶縁層形成ステップは、前記第1の接続端子部分と前記第2の接続端子部分との間に設けられる第1の折り曲げ部を屈曲させて該第1および第2の接続端子部分の裏面を向い合せた後、前記第1の接続端子部分の裏面に前記第2の接続端子部分の裏面を固着させて前記絶縁層を形成し、前記第1の折り曲げ部を除去する除去ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、信号を伝送するユニットの部材同士の接続を簡易な構成で小型化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムを模式的に示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の挿入部の先端構成を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡における先端部の内部構成を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡における先端部の内部構成を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、図3、4に示す超音波振動子の構成を説明する図である。
図6図6は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(その1)である。
図7図7は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(その2)である。
図8図8は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(その3)である。
図9図9は、第1部分および第2部分を、図8に示す矢視A方向からみた平面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の製造時における、中継基板の第1基板と第2基板との接続を説明する図(その1)である。
図11図11は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の製造時における、中継基板の第1基板と第2基板との接続を説明する図(その2)である。
図12図12は、本発明の実施の形態1の変形例に係る超音波内視鏡第2基板の構成を説明する平面図である。
図13図13は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡における先端部の内部構成を模式的に示す斜視図である。
図14図14は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡における先端部の内部構成を模式的に示す斜視図である。
図15図15は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(その1)である。
図16図16は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(その2)である。
図17図17は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(その3)である。
図18図18は、第1部分および第2部分を、図17に示す矢視B方向からみた平面図である。
図19図19は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、中継基板の第1基板と第2基板との接続を説明する図(その1)である。
図20図20は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、中継基板の第1基板と第2基板との接続を説明する図(その2)である。
図21図21は、本発明の実施の形態2の変形例に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(その1)である。
図22図22は、本発明の実施の形態2の変形例に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(その2)である。
図23図23は、本発明の他の実施の形態に係る超音波内視鏡における先端部の内部構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システム1を模式的に示す図である。内視鏡システム1は、超音波内視鏡を用いて人等の被検体内の超音波診断を行うシステムである。この内視鏡システム1は、図1に示すように、超音波内視鏡2と、超音波観測装置3と、内視鏡観察装置4と、表示装置5と、光源装置6とを備える。
【0021】
超音波内視鏡2は、撮像光学系および撮像素子を有しており、被検体の消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)、または呼吸器(気管、気管支)へ挿入され、消化管や、呼吸器のいずれかの撮像を行うことが可能である。超音波内視鏡2は、撮像時に被検体へ照射する照明光を導くライトガイドを有する。このライトガイドは、後述する光ファイバケーブル61によって導光される光が供給され、先端部が超音波内視鏡2の被検体への挿入部の先端まで達している一方、基端部が照明光を発生する光源装置6に接続されている。また、超音波内視鏡2は、消化管や、呼吸器の周囲臓器(膵臓、胆嚢、胆管、胆道、リンパ節、縦隔臓器、血管等)に対して、超音波を送信し、該周辺臓器で反射した超音波を受信する。
【0022】
超音波内視鏡2は、図1に示すように、挿入部21と、操作部22と、ユニバーサルコード23と、コネクタ24とを備える。挿入部21は、被検体内に挿入される部分である。この挿入部21は、先端側に設けられ、超音波振動子7を含む硬性の先端部211と、先端部211の基端側に連結され湾曲可能とする湾曲部212と、湾曲部212の基端側に連結され可撓性を有する可撓管部213とを備える。ここで、挿入部21の内部には、具体的な図示は省略したが、光源装置6から供給された照明光を伝送するライトガイド、後述する信号線(信号線81)を含む、各種信号を伝送する複数の信号線が引き回されているとともに、処置具を挿通するための処置具用挿通路などが形成されている。湾曲部212は、先端部211の長手軸を、少なくとも互いに異なる二方向に湾曲可能である。
【0023】
超音波振動子7は、複数の圧電素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる圧電素子を電子的に切り替えたり、各圧電素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させるコンベックス型の超音波振動子である。超音波振動子7は、パルス信号の入力によって圧電素子が振動することによって観測対象に超音波を照射する。また、観測対象から反射された超音波は、圧電素子に伝わる。超音波によって圧電素子が振動し、圧電素子が該振動を電気的なエコー信号に変換して超音波観測装置3に出力する。
【0024】
操作部22は、挿入部21の基端側に連結され、医師等のユーザからの各種操作を受け付ける部分である。この操作部22は、湾曲部212を湾曲操作するための湾曲ノブ221と、各種操作を行うための複数の操作部材222とを備える。また、操作部22には、処置具用挿通路に連通し、当該処置具用挿通路に処置具を挿通するための処置具挿入口223が形成されている。
【0025】
ユニバーサルコード23は、操作部22から延在し、各種信号を伝送する複数の信号ケーブル、および光源装置6から供給された照明光を伝送する光ファイバ等が配設されたケーブルである。
【0026】
コネクタ24は、ユニバーサルコード23の先端に設けられている。そして、コネクタ24は、外部超音波信号ケーブル31、ビデオケーブル41、および光ファイバケーブル61がそれぞれ接続される第1~第3コネクタ部241~243を備える。
【0027】
超音波観測装置3は、外部超音波信号ケーブル31を介して超音波内視鏡2に電気的に接続し、外部超音波信号ケーブル31を介して超音波内視鏡2にパルス信号を出力するとともに超音波内視鏡2からエコー信号を入力する。そして、超音波観測装置3は、当該エコー信号に所定の処理を施して超音波画像データを生成する。
【0028】
内視鏡観察装置4は、ビデオケーブル41を介して超音波内視鏡2に電気的に接続し、ビデオケーブル41を介して超音波内視鏡2からの画像信号を入力する。そして、内視鏡観察装置4は、当該画像信号に所定の処理を施して内視鏡画像データを生成する。
【0029】
表示装置5は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)、プロジェクタ、CRT(Cathode Ray Tube)などを用いて構成され、超音波観測装置3にて生成された超音波画像や、内視鏡観察装置4にて生成された内視鏡画像等を表示する。
【0030】
光源装置6は、光ファイバケーブル61を介して超音波内視鏡2に接続し、光ファイバケーブル61を介して被検体内を照明する照明光を超音波内視鏡2に供給する。
【0031】
図2は、本実施の形態1に係る超音波内視鏡2の挿入部21の先端構成を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、先端部211は、超音波振動子7を保持する超音波振動子モジュール214と、撮像光学系の一部をなし、外部からの光を取り込む対物レンズ215a、撮像素子、および、照明光を集光して外部に出射する照明レンズ215bを有する内視鏡モジュール215と、を備える。内視鏡モジュール215には、挿入部21内に形成された処置具用挿通路に連通し、挿入部21の先端から処置具を突出させる処置具突出口215cが形成されている。処置具用挿通路は、処置具突出口215cに連なる端部近傍が、挿入部21の長手軸に対して傾斜し、処置具が処置具突出口215cから長手軸に対して傾斜した方向に突出するように設けられている。ここでいう長手軸とは、挿入部21の長手方向に沿った軸である。湾曲部212や可撓管部213では各位置によって軸方向が変化するが、硬性の先端部211では、長手軸は、一定した直線をなす軸である。
【0032】
続いて、挿入部21の先端部211における内部構成(信号伝送ケーブルユニット)について、図3、4を参照して説明する。図3および図4は、本実施の形態1に係る超音波内視鏡における先端部211の内部構成を模式的に示す斜視図である。超音波振動子モジュール214は、超音波振動子7と、当該超音波振動子7(超音波振動子モジュール214)と超音波観測装置3とを電気的に接続する経路の一部をなし、超音波振動子7と内部超音波信号ケーブル8との間の電気的な接続を中継する中継基板9と、を備える。本発明に係る信号伝送ケーブルユニットは、素子に相当する超音波振動子7、内部超音波信号ケーブル8および中継基板9によって構成される。
【0033】
超音波振動子7は、中継基板9を経て内部超音波信号ケーブル8に接続する。内部超音波信号ケーブル8は、外部超音波信号ケーブル31と電気的に接続する。内部超音波信号ケーブル8は、複数の信号線81を有している。各信号線81は、中継基板9を経由して対応する圧電素子と電気的に接続している。なお、図3では、説明のために簡略化した構成を図示しているが、実際の同軸線は、圧電素子の数に応じて設けられる。
【0034】
図5は、図3、4に示す超音波振動子の構成を説明する図である。超音波振動子7は、角柱状をなし、長手方向を揃えて並べられてなる複数の圧電素子71を備える。各圧電素子71は、中継基板9(後述する第1基板91)と接続する。また、超音波振動子7には、当該超音波振動子7の外表面側に設けられる音響整合層や、音響レンズ、バッキング材が設けられる。
【0035】
中継基板9は、超音波振動子7に接続し、該超音波振動子7から延出する第1基板91と、一端が第1基板91に接続され、他端が内部超音波信号ケーブル8に接続する第2基板92とを有する。第1基板91および第2基板92は、屈曲自在なフレキシブル基板(Flexible Printed Circuits:FPC)を用いて構成され、外部からの荷重に応じて変形可能である。以下、第1基板91および第2基板92においてそれぞれ最も広い面積を有する面を「主面」という。
信号伝送配線接続ユニットは、少なくとも第1基板91、第2基板92および内部超音波信号ケーブル8を用いて構成される。
【0036】
第1基板91および第2基板92は、ポリイミドを用いて形成される基材に配線パターンを設けてなる。第1基板91および第2基板92は、それぞれが、例えば複数の基材を積層して構成される。各層には、それぞれ所定の配線パターンが形成される。また、基材の最外層の表面には、後述するカバーレイが設けられる。
【0037】
次に、超音波内視鏡2の製造時における、中継基板9と信号線81との接続について、図6図9を参照して説明する。図6は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡2の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(信号線接続ステップ1-1)である。なお、以下の図6図8では、信号線81や基板上の電極を省略して図示している。
【0038】
まず、第1基板91および第2基板92について説明する。
第1基板91の第1表面P11には、第2基板92の対応する接続端子の電気信号を出力する電極が配置された圧電素子接続端子部911が形成される。第1基板91は、超音波振動子7の各圧電素子とも電気的に接続している。
【0039】
第2基板92は、帯状をなして延び、内部超音波信号ケーブル8の複数の信号線81うち、一部の信号線81とそれぞれ接続する複数の第1の接続端子921aが配置された第1の接続端子部分921、および、残りの信号線81とそれぞれ接続する複数の第1の接続端子922aが配置された第2の接続端子部分922を有する。また、第2基板92は、第1の接続端子部分921から、第2の接続端子部分922が延びる方向と直交する方向にL字状に延びた形状を有する。また、第2基板92は、第1基板91と接続する複数の第2の接続端子923aが配置された第3の接続端子部分923と、第1の接続端子部分921と第2の接続端子部分922との間に設けられる第1の折り曲げ部924とを有する。更に、第2基板92は、第1の接続端子部分921と第3の接続端子部分923との間に設けられ、折り曲げ位置を含む第2の折り曲げ部925とを有する。
【0040】
第1の接続端子部分921の主面のうちの一方の面(第1表面P21)には、各信号線81のうちの一部の信号線とそれぞれ接続する複数の第1の接続端子921aが形成される。第2の接続端子部分922の第1表面P21には、各信号線81の残りの信号線とそれぞれ接続する複数の第1の接続端子922aが形成される。各第1の接続端子921a、922aは、互いに異なる信号線81と接続する。
第3の接続端子部分923の第1表面P21には、第1基板91に形成される各電極(圧電素子接続端子部911)とそれぞれ接続する複数の第2の接続端子923aが形成される。
なお、第1表面P21は、第2基板92(第1の接続端子部分921、第2の接続端子部分922および第3の接続端子部分923)の表面に相当する。
【0041】
第1基板91および第2基板92には、カバーレイ910、920がそれぞれ設けられる。
カバーレイ910は、第1基板91の圧電素子接続端子部911形成領域以外の表面を覆っている。
カバーレイ920は、第2基板92の第1の接続端子921a、922a形成領域、第2の接続端子923a形成領域、第1の折り曲げ部924、第2の折り曲げ部925の一部以外の表面を覆っている。
カバーレイ910、920は、各基板の表面を覆うことによって、基板に形成される配線パターンを保護する。
【0042】
第1の折り曲げ部924は、第1の接続端子部分921の裏面と第2の接続端子部分922の裏面(ここでは第2表面P22)とが互いに近づく態様に折り曲げられる。第1の折り曲げ部924は、カバーレイ920が設けられていないため、他の部分と比して厚さが薄い。第1の折り曲げ部924は、その厚さの違いによって、第1の接続端子部分921や第2の接続端子部分922よりも折り曲げやすくなっている。
【0043】
第2の折り曲げ部925は、第1の接続端子部分921の表面と第3の接続端子部分923の表面(ここでは第1表面P21)とが互いに近づく態様に折り曲げられ得る。第2の折り曲げ部925には、切り込み部925aが形成され、また、その周辺にはスルーホール925bが形成される。切り込み部925aは、例えば、第2の折り曲げ部925の外形の両端に形成される。本実施の形態1において、スルーホール925bは、第2基板92を構成する基材のうち、内部側の基材に形成される、主にシールドを目的としたグラウンドパターンと、第1の接続端子921a等が形成される基材に形成されるグラウンドパターンとを電気的に接続する。第2の折り曲げ部925は、切り込み部925aの形成によって折り曲げ位置を識別できる構成となっている。また、第2の折り曲げ部925では、切り込み部925a及びその間のカバーレイ920が設けられていない部分を除く領域(領域925c)が、他の部分よりも相対的に固くなっており、折り曲げにくい。なお、第2の折り曲げ部925において、部分的に厚さを変える等、折り曲げ位置が最も折り曲げやすくなれば、切り込み部925aを有しない構成としてもよいし、カバーレイ920に覆われた構成としてもよい。
【0044】
続いて、中継基板9と信号線81との接続について説明する。まず、第1の折り曲げ部924が屈曲していない状態、すなわち、第1の接続端子部分921と第2の接続端子部分922との主面同士が向かい合っていない状態において、各信号線81を対応する第1の接続端子921a、922aにそれぞれ接続する(図6参照:信号線接続ステップ)。信号線81は、例えば半田等の熱処理を伴う接合処理によって第1の接続端子921a、922aにそれぞれ接続される。この際、図6では、第2の折り曲げ部925も屈曲していない状態となっている。
【0045】
図7は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(信号線接続ステップ1-2)である。第1の接続端子921a、922aに信号線81が接続された状態において、第1の折り曲げ部924を折り曲げて、第2の接続端子部分922を矢視R1の方向、すなわち、第1の接続端子部分921側に折り返す。第2の接続端子部分922を折り返した後に、第1の接続端子部分921および第2の接続端子部分922の対向する面であって、第1表面P21の反対面である第2表面P22同士を、絶縁性の接着材等によって固着する(絶縁層形成ステップ)。なお、第2表面P22は、第2基板92の裏面に相当する。
【0046】
図8は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(信号線接続ステップ1-3)である。図9は、第1の接続端子部分921および第2の接続端子部分922を、図8に示す矢視A方向からみた平面図である。第1の接続端子部分921を第1の折り曲げ部924で折り曲げて、第2基板92の一方と、その反対側とに信号線81を配置する。また、第1の接続端子部分921の第2表面P22と第2の接続端子部分922の第2表面P22との間には、絶縁層926が形成される。絶縁層926は、絶縁性の接着材からなり、第1の接続端子部分921の第2表面P22と第2の接続端子部分922の第2表面P22とを固着する。このため、第1の接続端子部分921と第2の接続端子部分922とは、主面間において絶縁された状態となる。
【0047】
次に、超音波内視鏡2の製造時における、第1基板91と第2基板92との接続について、図10および図11を参照して説明する。図10は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の製造時における、中継基板の第1基板と第2基板との接続を説明する図(信号線接続ステップ1-4)である。第1基板91と第2基板92とは、第3の接続端子部分923の第2の接続端子923aを、第1基板91の圧電素子接続端子部911に接合することによって電気的に接続される。第2の接続端子923aは、例えば半田等によって圧電素子接続端子部911に接続される。
【0048】
図11は、本発明の実施の形態1に係る超音波内視鏡の製造時における、中継基板の第1基板と第2基板との接続を説明する図(信号線接続ステップ1-5)である。なお、図11に示す第2基板92は、図10に示す第2基板92を裏返したものである。第2の接続端子923aが圧電素子接続端子部911に電気的に接続された状態において、第1基板91の超音波振動子7側の端部を矢視R2の方向に折り曲げるとともに、第2の折り曲げ部925を矢視R3の方向に屈曲させることによって、図3図4に示す内部構成が得られる。
【0049】
本実施の形態1に係る先端部211の内部構成(図3参照)は、フレキシブル基板からなる第1基板91および第2基板92が屈曲することによって、省スペース化をはかり、かつ、第2基板92の一方、およびその反対側に、信号線81と接続する第1の接続端子921aを配置することによって、中継基板9の薄型化をはかっている。第2基板92では、基板の表面および裏面に各電極が配置され、信号線81とそれぞれ接続する。
【0050】
以上説明した実施の形態1では、先端部211において、フレキシブル基板からなる第1基板91および第2基板92が屈曲することによって省スペース化をはかり、かつ、第2基板92の第1の折り曲げ部924を折り曲げて、第2基板92の一方に第1の接続端子部分921を配置し、その反対側に第2の接続端子部分922を配置して、折り曲げ後の第2基板92全体として、第2基板92の両面に信号線81と接続する第1の接続端子921aを配置することによって中継基板9の薄型化をはかっている。本実施の形態1によれば、部材同士(ここでは超音波振動子7、内部超音波信号ケーブル8および中継基板9)を接続するユニットを簡易な構成で小型化することができる。
【0051】
また、本実施の形態1では、信号線81を第1の接続端子921a、922aに接続する際、第1の折り曲げ部924を屈曲させずに広げた状態において、各信号線81を対応する第1の接続端子921a、922aにそれぞれ接合する。第1の折り曲げ部924を広げた状態では、第1の接続端子921a、922aが対向せず、各第1の接続端子間の距離が確保されているため、接合済みの信号線81が、他の信号線81の接合時に生じた熱によって断線することを抑制できる。
【0052】
(実施の形態1の変形例)
次に、実施の形態1の変形例について、図12を参照して説明する。図12は、本発明の実施の形態1の変形例に係る超音波内視鏡の第2基板92Aの構成を説明する平面図である。図12は、図8に示す矢視A方向からみた平面図に対応する。本変形例に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の中継基板の構成を変えた以外は、同じ構成である。本変形例では、上述した実施の形態1の中継基板9において、第2基板92の構成が異なる。以下、上述した実施の形態1とは異なる構成について説明する。
【0053】
本変形例に係る第2基板92は、ポリイミドを用いて形成される基材に配線パターンを設けてなる。さらに、第1の接続端子(第1の接続端子921a、922a)が配設される側と反対側(第2表面P22)には、グラウンドパターン927が設けられる。絶縁層926は、グラウンドパターン927を経て第2の接続端子部分922の第2表面P22を第1の接続端子部分921の第2表面P22に固着する。グラウンドパターン927は、図示しない配線を経て外部のグラウンドに接続される。
【0054】
以上説明した変形例においても、実施の形態1と同様に、部材同士を接続するユニットを簡易な構成で小型化することができる。
【0055】
(実施の形態2)
図13および図14は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡における先端部211の内部構成を模式的に示す斜視図である。本実施の形態2に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の中継基板を変えた以外は、同じ構成である。本実施の形態2では、上述した実施の形態1の中継基板9に代えて中継基板9Aを備える。以下、上述した実施の形態1とは異なる構成(中継基板9A)について説明する。
【0056】
中継基板9Aは、超音波振動子7に接続し、該超音波振動子7から延出する第1基板91Aと、一端が第1基板91に接続され、他端が超音波ケーブルに8に接続する第2基板92Aとを有する。第1基板91Aおよび第2基板92Aは、フレキシブル基板(FPC)を用いて構成され、外部からの荷重に応じて変形可能である。
【0057】
第1基板91Aおよび第2基板92Aは、ポリイミドを用いて形成される基材に配線パターンを設けてなる。また、第1基板91Aの主面のうちの一方の面(第1表面P31)には、第2基板92の対応する電極と接続する複数の電極(図14に示す圧電素子接続端子部911)が設けられる。
【0058】
次に、超音波内視鏡2の製造時における、中継基板9と信号線81との接続について、図15図17を参照して説明する。図15は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(信号線接続ステップ2-1)である。なお、以下の図15図17では、信号線81や基板上の電極を省略して図示している。
【0059】
まず、第1基板91Aおよび第2基板92Aについて説明する。
第1基板91Aは、超音波振動子7の各圧電素子と電気的に接続し、該超音波振動子7から延出する本体部912と、本体部912から延びる二つの延在部(第1延在部913および第2延在部914)とを備える。第1延在部913および第2延在部914の第1表面P31には、第2基板92Aの対応する接続端子と接続する電極が配置された複数の圧電素子接続端子部913a、914aがそれぞれ形成される。
【0060】
第2基板92Aは、上述した第1の接続端子部分921、第2の接続端子部分922および第1の折り曲げ部924を有する。また、第2基板92Aは、第1の接続端子部分921から、第2の接続端子部分922が延びる方向と直交する方向に延び、第1基板91Aと接続する第3の接続端子部分928と、第2の接続端子部分922から、第1の接続端子部分921が延びる方向と直交する方向に延び、第1基板91Aと接続する第4の接続端子部分929とを有する。また、第2基板92Aは、第1の接続端子部分921と第3の接続端子部分928とを接続する第2の折り曲げ部931と、第2の接続端子部分922と第4の接続端子部分929とを接続する第3の折り曲げ部932とを有する。第1の接続端子部分921、第2の接続端子部分922および第1の折り曲げ部924は、実施の形態1と同様である。
【0061】
第1の接続端子部分921の主面のうちの一方の面(第1表面P41)には、各信号線81とそれぞれ接続する複数の第1の接続端子921aが形成される。第2の接続端子部分922の第1表面P41には、各信号線81とそれぞれ接続する複数の第1の接続端子922aが形成される。
第3の接続端子部分928の第1表面P41には、第1基板91Aに形成される各圧電素子接続端子部913aとそれぞれ接続する複数の第2の接続端子928aが形成される。第4の接続端子部分929の第1表面P41には、第1基板91Aに形成される各圧電素子接続端子部914aとそれぞれ接続する複数の第2の接続端子929aが形成される。
【0062】
第2の折り曲げ部931は、第1の接続端子部分921の表面と第3の接続端子部分928の表面(ここでは第1表面P41)とが互いに近づく態様に折り曲げられ得る。また、第3の折り曲げ部932は、第2の接続端子部分922の表面と第4の接続端子部分929の表面とが互いに近づく態様に折り曲げられ得る。第2の折り曲げ部931、第3の折り曲げ部932は、例えば、カバーレイ920Aを必要しない配線レイアウトとし、部分的に薄くして、折り曲げ位置を構成してもよい。また、各折り曲げ部に切り込み部を形成して、折り曲げ位置を構成してもよい。
【0063】
第1基板91Aおよび第2基板92Aには、カバーレイ910A、920Aがそれぞれ設けられる。
カバーレイ910Aは、第1基板91Aの圧電素子接続端子部913a、914a形成領域以外の表面を覆っている。
カバーレイ920Aは、第2基板92Aの第1の接続端子921a、922a形成領域、第2の接続端子928a、929a形成領域、第1の折り曲げ部924以外の表面を覆っている。
カバーレイ910A、920Aは、各基板の表面を覆うことによって、基板に形成される配線パターンを保護する。
【0064】
続いて、中継基板9Aと信号線81との接続について説明する。まず、第1の折り曲げ部924が屈曲していない状態、すなわち、第1の接続端子部分921の主面が屈曲していない状態において、各信号線81を対応する第1の接続端子921aにそれぞれ接続する(図13参照:信号線接続ステップ)。信号線81は、半田等の熱処理を伴う接合処理によって第1の接続端子921aに接続される。
【0065】
図16は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(信号線接続ステップ2-2)である。第1の接続端子921aに信号線81が接続された状態において、第1の折り曲げ部924を矢視R4の方向に折り曲げて、第2の接続端子部分922を第1の接続端子部分921側に折り返す。この際、第4の接続端子部分929が第3の接続端子部分928側に折り返される。折り返し後、第1の接続端子部分921および第2の接続端子部分922の対向する面であって、第1表面P41の反対面である第2表面P42同士を、絶縁性の接着材等によって固着する(絶縁層形成ステップ)。
【0066】
図17は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(信号線接続ステップ2-3)である。図18は、第1の接続端子部分921および第2の接続端子部分922を、図17に示す矢視B方向からみた平面図である第1の接続端子部分921を第1の折り曲げ部924で折り曲げることによって、第2基板92Aの一方と、その反対側とに信号線81が接続された状態となる。また、第1の接続端子部分921の第2表面P42と第2の接続端子部分922の第2表面P42との間には、絶縁性の接着材からなる絶縁層926が形成される(絶縁層形成ステップ)。このため、第1の接続端子部分921と第2の接続端子部分922とは、主面間において絶縁された状態となる。この状態において、第3の接続端子部分928および第4の接続端子部分929は、それぞれ第2の折り曲げ部931、第3の折り曲げ部932を基点に互いに反対側に屈曲される状態にある。
【0067】
次に、超音波内視鏡2の製造時における、第1基板91Aと第2基板92Aとの接続について、図19および図20を参照して説明する。図19は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、中継基板の第1基板と第2基板との接続を説明する図(信号線接続ステップ2-4)である。図19および図20において、超音波振動子7の第1基板91Aが接続される面を面S、第3の接続端子部分928および第4の接続端子部分929の表面を通過する仮想面を仮想面Lとする。第1基板91Aと第2基板92Aとは、第3の接続端子部分928の第2の接続端子928a、第4の接続端子部分929の第2の接続端子929aを、第1基板91Aの圧電素子接続端子部913a、914aに接合することによって接続される。第2の接続端子928a、929aは、例えば半田等によって圧電素子接続端子部913a、914aに接続される。この際、第3の接続端子部分928および第4の接続端子部分929が、それぞれ第2の折り曲げ部931、第3の折り曲げ部932を基点に互いに反対側に屈曲された状態で第1基板91Aに接合される。第1基板91Aと第2基板92Aとを接続した後、第1基板91Aが、矢視R5の方向に折り曲げられる。
【0068】
図20は、本発明の実施の形態2に係る超音波内視鏡の製造時における、中継基板の第1基板と第2基板との接続を説明する図(信号線接続ステップ2-5)である。第2の接続端子923aが圧電素子接続端子部911に接続された状態において、第1基板91Aの超音波振動子7側の端部を矢視R6の方向に折り曲げることによって、図13図14に示す内部構成が得られる。
【0069】
ここで、第1の折り曲げ部924の形成範囲d1について説明する。この形成範囲d1は、第3の接続端子部分928と第4の接続端子部分929との間の距離に相当する。第1の折り曲げ部924は、屈曲した際に、基板の剛性によって湾曲した形状をなす(例えば、図15参照)。形成範囲d1は、例えば、第1の折り曲げ部924が屈曲した際に、該第1の折り曲げ部924が、先端部211の内部に設けられる部材と干渉しない長さに設定される。
【0070】
以上説明した実施の形態2では、先端部211において、フレキシブル基板からなる第1基板91Aおよび第2基板92Aが屈曲することによって省スペース化をはかり、かつ、第2基板92Aの第1の折り曲げ部924を折り曲げて、第2基板92Aの一方に第1の接続端子部分921を配置し、その反対側に第2の接続端子部分922を配置して、折り曲げ後の第2基板92A全体として、第2基板92Aの両面に信号線81と接続する第1の接続端子921aを配置することによって中継基板9Aの薄型化をはかっている。本実施の形態2によれば、部材同士(ここでは超音波振動子7、内部超音波信号ケーブル8および中継基板9A)を接続するユニットを簡易な構成で小型化することができる。
【0071】
また、本実施の形態2では、信号線81を第1の接続端子921a、922aに接続する際、第1の折り曲げ部924を屈曲させずに広げた状態で各信号線81を対応する第1の接続端子921a、922aにそれぞれ接合する。第1の折り曲げ部924を広げた状態では、第1の接続端子921a、922aが対向せず、各第1の接続端子間の距離が確保されているため、接合済みの信号線81が、他の信号線81の接合時に生じた熱によって断線することを抑制できる。
【0072】
(実施の形態2の変形例)
次に、実施の形態2の変形例について、図21および図22を参照して説明する。本変形例に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の中継基板の構成を変えた以外は、同じ構成である。本変形例では、上述した実施の形態2の中継基板9Aにおいて、第1の接続端子921aに信号線81を接合後、第1の折り曲げ部924を切除する。以下、上述した実施の形態1とは異なる構成について説明する。
【0073】
図21は、本発明の実施の形態2の変形例に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(信号線接続ステップ3-1)である。本変形例では、第1の接続端子921aに信号線81が接続された状態(図16参照)において、第1の折り曲げ部924を切除する(除去ステップ)。第1の折り曲げ部924の切除後、第2の接続端子部分922を矢視R7の方向に向きを変え、分断された第1の接続端子部分921および第2の接続端子部分922の第2表面P42同士を絶縁層926(図18参照)によって固着する。なお、絶縁層926によって第1の接続端子部分921に第2の接続端子部分922を固着後、第1の折り曲げ部924を切除してもよい。
【0074】
図22は、本発明の実施の形態2の変形例に係る超音波内視鏡の製造時における、基板と信号線との接続を説明する図(信号線接続ステップ3-2)である。分断された第1の接続端子部分921の第2表面P4と第2の接続端子部分922の第2表面P42とを固着することによって、第2基板92Aの一方に第1の接続端子部分921が露出し、その反対側に第2の接続端子部分922が露出し、各第1の接続端子に信号線81が接続された状態となる。この状態において、第3の接続端子部分928および第4の接続端子部分929は、それぞれ第2の折り曲げ部931、第3の折り曲げ部932を基点に互いに反対側に屈曲される状態にある。
【0075】
その後は、実施の形態2と同様にして、第2基板92Aが、第1基板91Aに接続される。本変形例においても、上述した実施の形態2と同様の効果を得ることができる。また、本変形例では、第2基板92Aとして、第1の折り曲げ部924が湾曲した状態で存在しないため、中継基板9Aをさらに小型化することができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態1に上述した変形例を適用して、第2基板92の第1の折り曲げ部924を切除する構成とすることができる。
【0077】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態および変形例によってのみ限定されるべきものではない。本発明は、以上説明した実施の形態および変形例には限定されず、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。また、実施の形態および変形例の構成を適宜組み合わせてもよい。
【0078】
なお、上述した実施の形態1、2では、中継基板が第1基板および第2基板からなる構成を例に説明したが、第1基板と第2基板とを一体化した一枚の基板で構成されるものとしてもよい。
【0079】
また、上述した実施の形態1、2では、中継基板が超音波振動子7に接続する構成を例に説明したが、超音波振動子とは異なる素子に接続する構成としてもよい。図23は、本発明の他の実施の形態に係る超音波内視鏡における先端部の内部構成を模式的に示す図である。例えば、中継基板9を、撮像素子10と、複数の信号線からなり、撮像素子10が生成した電気信号を伝送するケーブル(内部超音波信号ケーブル8)との間の信号伝送を中継する構成としても、上述した効果を得ることができる。この際、中継基板9と撮像素子10とは、例えば、ワイヤーやフレキシブル基板等からなる伝送部材12によって電気的に接続される。
【0080】
また、上述した実施の形態1、2では、超音波を出射するとともに、外部から入射した超音波をエコー信号に変換するものとして圧電素子を例に挙げて説明したが、これに限らず、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を利用して製造した素子、例えばC-MUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducers)やP-MUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducers)であってもよい。
【0081】
また、超音波内視鏡として、光学系がなく、振動子を機械的に回転させ走査する細径の超音波プローブに適用してもよい。超音波プローブは、通常、胆道、胆管、膵管、気管、気管支、尿道、尿管へ挿入され、その周囲臓器(膵臓、肺、前立腺、膀胱、リンパ節等)を観察する際に用いられる。
【0082】
また、超音波振動子は、リニア振動子でもラジアル振動子でもコンベックス振動子でも構わない。超音波振動子がリニア振動子である場合、その走査領域は矩形(長方形、正方形)をなし、超音波振動子がラジアル振動子やコンベックス振動子である場合、その走査領域は扇形や円環状をなす。また、超音波内視鏡は、超音波振動子をメカ的に走査させるものであってもよいし、超音波振動子として複数の素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる素子を電子的に切り替えたり、各素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させるものであってもよい。
【0083】
また、超音波内視鏡として、被検体の体表から超音波を照射する体外式超音波プローブを適用してもよい。体外式超音波プローブは、通常、腹部臓器(肝臓、胆嚢、膀胱)、乳房(特に乳腺)、甲状腺を観察する際に用いられる。
【0084】
なお、上述した実施の形態1、2では、超音波振動子を先端に備えた超音波内視鏡を例に説明したが、超音波振動子を有しない内視鏡、例えば、内視鏡モジュール215のみを先端に備えた内視鏡においても適用することが可能である。内視鏡の場合、撮像素子に接続する中継基板と、中継基板からコネクタまで延びるケーブルとを備えた構成において、上述した実施の形態1、2の構成を適用することが可能である。
【0085】
また、上述した実施の形態1、2では、挿入部21が可撓管部213を備えている超音波内視鏡を例に説明したが、可撓管部213に代えて硬質の管部を有する挿入部を備える内視鏡、すなわち硬性鏡であっても適用することが可能である。
【0086】
以上、本発明に係る信号伝送配線接続ケーブルユニット、内視鏡および信号伝送配線接続ユニットの製造方法は、素子ユニットの部材同士の接続を簡易な構成で小型化するのに有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 内視鏡システム
2 超音波内視鏡
3 超音波観測装置
4 内視鏡観察装置
5 表示装置
6 光源装置
7 超音波振動子
8 内部超音波信号ケーブル
9、9A 中継基板
10 撮像素子
21 挿入部
22 操作部
23 ユニバーサルコード
24 コネクタ
31 外部超音波信号ケーブル
41 ビデオケーブル
61 光ファイバケーブル
211 先端部
212 湾曲部
213 可撓管部
214 超音波振動子モジュール
215 内視鏡モジュール
91、91A 第1基板
92、92A 第2基板
911、913a、914a 圧電素子接続端子部
912 本体部
913 第1延在部
914 第2延在部
921 第1の接続端子部分
921a、922a 第1の接続端子
922 第2の接続端子部分
923、928 第3の接続端子部分
923a、928a、929a 第2の接続端子
924 第1の折り曲げ部
925、931 第2の折り曲げ部
926 絶縁層
927 グラウンドパターン
929 第4の接続端子部分
932 第3の折り曲げ部
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