IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コヴィディエン リミテッド パートナーシップの特許一覧

特許7395298筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置
<>
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図1
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図1A
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図2
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図3
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図4
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図5
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図5A
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図6
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図7
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図7A
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図8
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図9
  • 特許-筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】筋膜閉鎖システムを備えた外科手術用アクセス装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
A61B17/34
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019170617
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2020054809
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】62/739,909
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/550,470
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】アマンダ アディノルフィ
(72)【発明者】
【氏名】オクサナ バイダ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナクマル ソマスンダラム
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530924(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0271557(US,A1)
【文献】特開2012-115686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0038793(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋膜を有する腹腔にアクセスするための外科手術用アクセス装置であって、前記外科手術用アクセス装置は、
ハウジングと、
前記ハウジングから遠位方向に延在し、かつ長手方向軸を画定するカニューレであって、前記カニューレの壁は、その中に画定されている第1のスロットを含み、前記カニューレの遠位部分は、前記腹腔内に位置付けられるように構成されており、前記カニューレは、内管を含む、カニューレと、
前記ハウジングと係合可能であり、かつ第1のチャネルを画定するガイドであって、前記第1のチャネルは、前記長手方向軸に対して平行でない角度で配置されており、前記ガイドは、前記第1のチャネルの中に、前記カニューレの前記第1のスロットを通して第1の外科手術用器具をガイドするように構成されており、前記第1の外科手術用器具は、外科手術作業を実行するように構成されている、ガイドと、
前記カニューレの前記遠位部分に隣接するように配置されているバルーンであって、前記バルーンは、折り畳んだ構成と拡張させた構成との間で移行可能である、バルーンと、
前記バルーンが前記拡張させた構成に移行することを可能にするように前記バルーンの中に空気を押しやるように構成されている膨張ポートと
を備え、
前記第1の外科手術用器具は、前記ガイドの前記第1のチャネルを通して、かつ、前記カニューレの前記第1のスロット通して挿入可能であり、
前記バルーンは、前記空気が前記バルーンから取り除かれると前記折り畳んだ構成に移行するように構成されており、
フィルムが前記内管の外壁の凹面に接着されている、外科手術用アクセス装置。
【請求項2】
前記カニューレの前記壁は、その中に画定されている第2のスロットを含み、前記第2のスロットは、第2の外科手術用器具が前記第1の外科手術用器具とは異なる外科手術経路をたどるように前記第1のスロットから長手方向にオフセットされており、前記第2の外科手術用器具は、外科手術作業を実行するように構成されている、請求項1に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項3】
前記カニューレは、外管をさらにみ、前記バルーンの遠位端は、前記内管の遠位端に隣接するように搭載されており、前記バルーンの近位端は、前記外管の遠位端に隣接するように搭載されている、請求項1に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項4】
前記内管は、前記第1のスロットを画定し、前記外管は、外管スロットを画定し、前記第1のスロットおよび前記外管スロットは、互いに整列している、請求項3に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項5】
前記フィルムは、前記第1のスロットおよび前記外管のスロットのうちの少なくとも一方を覆う、請求項4に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項6】
前記外科手術用アクセス装置は、前記カニューレの前記壁内に配置されている少なくとも1つのチャネルをさらに備える、請求項1に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのチャネルは、前記カニューレの近位部分と前記カニューレの前記遠位部分との間に延在している、請求項に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのチャネルは、前記第1のスロットから半径方向にオフセットされている、請求項に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項9】
前記外管は、前記内管にわたって適合するように構成されており、前記内管と前記外管との間の空間は、前記膨張ポートおよび前記バルーンと流体連通するように配置されている、請求項に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項10】
前記カニューレの前記壁は、内管および外管から形成され、前記内管は、前記第1のスロットを画定し、前記外管は、第2のスロットおよび第3のスロットを画定し、前記第2のスロットは、前記第3のスロットから長手方向にオフセットされている、請求項1に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項11】
筋膜を有する腹腔内で外科的手技を実行するシステムであって、前記システムは、
患者の切開部を通して挿入されるように構成されている一部分を有するカニューレであって、前記カニューレの遠位部分は、前記腹腔内に位置付けられるように構成されており、前記カニューレは、内管を含み、前記カニューレは、折り畳んだ構成から拡張させた構成に移行するように構成されているバルーンを備え、前記バルーンは、空気が前記バルーンから取り除かれると前記折り畳んだ構成に移行するように構成されており、前記バルーンは、前記カニューレの前記遠位部分に隣接するように配置されている、カニューレと、
前記バルーンが前記拡張させた構成に移行することを可能にするように前記バルーンの中に空気を押しやるように構成されている膨張ポートと、
外科手術作業を実行するように構成されている第1の外科手術用器具であって、前記第1の外科手術用器具は、前記カニューレの開口部を通して長手方向軸に沿ってガイドによって挿入されるように構成されている、第1の外科手術用器具と、
外科手術作業を実行するように構成されている第2の外科手術用器具であって、前記第2の外科手術用器具は、第2の軸に沿ってガイドによって挿入されるように構成されており、前記第2の軸は、前記長手方向軸に対して平行でない角度で配置されており、前記第2の外科手術用器具の遠位先端は、前記カニューレの壁内のスロットを通して挿入されるように構成されている、第2の外科手術用器具と
を備え
フィルムが前記内管の外壁の凹面に接着されている、システム。
【請求項12】
前記第1の外科手術用器具は、前記第2の軸に沿った前記第2の外科手術用器具の挿入前に、前記カニューレの前記開口部から取り外されるようにさらに構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の外科手術用器具の前記遠位先端は、前記カニューレの前記壁内の前記スロットを覆っているフィルムに押し通されるようにさらに構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
筋膜を有する腹腔にアクセスするための外科手術用アクセス装置であって、前記外科手術用アクセス装置は、
ハウジングと、
前記ハウジングから遠位方向に延在し、かつ、長手方向軸を画定するカニューレであって、前記カニューレの壁は、その中に画定されている第1のスロットを含み、前記カニューレの遠位部分は、前記腹腔内に位置付けられるように構成されており、前記カニューレは、内管を含む、カニューレと、
前記ハウジングと係合可能であり、かつ、第1のチャネルを画定するガイドであって、前記第1のチャネルは、前記長手方向軸に対して平行でない角度で配置されており、前記ガイドは、前記第1のチャネルの中に、前記カニューレの前記第1のスロットを通して第1の外科手術用器具をガイドするように構成されており、前記第1の外科手術用器具は、外科手術作業を実行するように構成されている、ガイドと、
前記カニューレの前記遠位部分に隣接するように配置されている固定メッシュであって、前記固定メッシュは、折り畳んだ構成と拡張させた構成との間で移行可能であり、前記固定メッシュは、折り畳んだ構成と拡張させた構成との間で移行するように構成されており、前記折り畳んだ構成では、前記固定メッシュは、前記カニューレの前記長手方向軸に沿って前記カニューレの一部分を取り囲み、前記拡張させた構成では、前記カニューレの前記長手方向軸に沿った前記固定メッシュの長さが短くされ、かつ、前記固定メッシュは、前記カニューレを患者に固定するように半径方向に拡張されている、固定メッシュと
を備え、
前記第1の外科手術用器具は、前記ガイドの前記第1のチャネルを通して、かつ、前記カニューレの前記第1のスロットを通して挿入可能であり、
フィルムが前記内管の外壁の凹面に接着されている、外科手術用アクセス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/739,909号の利益および優先権を主張し、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、外科手術器具に関する。より具体的には、本開示は、外科的手技中に患者に対する位置を維持することができる外科手術用アクセス装置に関する。外科手術用アクセス装置は、筋膜閉鎖を促進するシステムも含む。
【背景技術】
【0003】
内視鏡手術および腹腔鏡手術などの低侵襲手術用手技では、外科手術用アクセス装置により、さまざまな外科手術用器具を体腔に導入できる。外科手術用アクセス装置(例えば、カニューレ)は、組織内の切開部から導入されて、身体の下にある手術部位へのアクセスをもたらす。カニューレは、切開部から挿入され、カニューレの通路に閉塞具が配置される。閉塞具は、組織を貫通するための鈍いまたは鋭い先端を有し得る。閉塞具は、外科的手技を実施するために、外科手術用アクセス装置内を通して外科手術用器具類の導入が可能であるように取り外される。
【0004】
これらの手技は、腹腔を加圧ガスで膨張されている間に実施される。体壁に対して、外科手術用アクセス装置の位置を維持するために、本アクセス装置は、その遠位端の近くにアンカーを含み得る。体壁に対して、外科手術用アクセス装置の位置を維持するのを助けるために、外科手術用アクセス装置の遠位端の近くに配置された膨張可能なバルーンを使用することができる。本アクセス装置は、バルーンが患者の身体内に配置され、アクセス装置を固定するように位置決めされる。外科手術用アクセス装置が身体内にある間に、こうしたバルーンを膨張させることが、身体に対する外科手術用アクセス装置の望ましくない移動を防ぐのに役立つ。
【0005】
さらに、そのような外科的手技の後に、切開部が閉じられる。縫合糸および針を使用して、別の器具を使用して筋膜および他の組織を閉じる。身体に対する位置に維持することができ、かつ中に装置を通すことで、切開部を閉じることができる単一の外科手術用アクセス装置を提供することが役立ち得る。また、筋膜を閉じる前に、外科手術用アクセス装置を取り外すこと、および/または作業空間を縮小させる(desufflate)ことを必要とせず、位置に維持できる単一の外科手術用アクセス装置を提供することも役立ち得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ハウジング、カニューレ、ガイド、および拡張可能部材を含む外科手術用アクセス装置に関する。カニューレは、ハウジングから遠位方向に延在し、長手方向軸を画定する。カニューレの壁は、その中に画定されている第1のスロットを含む。ガイドは、ハウジングと係合可能であり、第1のチャネルを画定する。第1のチャネルは、長手方向軸に対して平行でない角度で配置される。拡張可能部材は、カニューレの遠位部分に隣接して配置され、折り畳んだ構成と拡張させた構成との間で移行可能である。第1の外科手術用器具は、ガイドの第1のチャネル内を通して、およびカニューレの第1のスロット内を通して挿入可能である。
【0007】
開示された実施形態では、カニューレの壁は、その中に画定されている第2のスロットを含み得る。第2のスロットは、第1のスロットから長手方向にオフセットされてもよい。
【0008】
また、カニューレが内管および外管を含み得ることも開示される。また、内管が第1のスロットを画定し得、外管が外管スロットを画定し得ることも開示される。第1のスロットおよび外管スロットは、互いに整列され得る。実施形態では、外科手術用アクセス装置は、第1のスロットおよび外管スロットのうちの少なくとも一方を覆うフィルムを含み得る。フィルムは、内管および外管のうちの少なくとも一方の凹面に接着され得ることがさらに開示される。
【0009】
本開示の実施形態では、外科手術用アクセス装置は、カニューレの壁内に配置された少なくとも1つのチャネルを含み得る。少なくとも1つのチャネルは、カニューレの近位部分とカニューレの遠位部分との間に延在し得、少なくとも1つのチャネルは、第1のスロットから半径方向にオフセットされ得ることがさらに開示される。
【0010】
開示された実施形態では、拡張可能部材は、固定メッシュまたはバルーン固定装置を含み得る。
【0011】
カニューレが内管および外管を含む実施形態では、拡張可能部材がバルーン固定装置を備含み得ることがさらに開示される。ハウジングは、バルーン固定装置と流体連通するように配置された膨張ポートを含み得ることも開示される。内管と外管との間に、膨張ポートおよびバルーン固定装置と流体連通するように配置されている空間が存在し得ることがさらに開示される。
【0012】
本開示はまた、患者の切開部からカニューレの一部分を挿入することと、カニューレの拡張可能部材を折り畳んだ構成から拡張させた構成に移行させることと、カニューレの開口部から長手方向軸に沿って第1の外科手術用器具を挿入することと、第1の外科手術用器具で外科手術作業を実施することと、長手方向軸に対して平行でない角度に配置された第2の軸に沿って第2の手術用器具を挿入することと、カニューレの壁内のスロットを通して、第2の外科手術用器具の遠位先端を挿入することと、第2の外科手術用器具により手術作業を実施することと、を含む、外科的手技を実施する方法に関する。
【0013】
開示された実施形態では、本方法は、第2の軸に沿って第2の外科手術用器具を挿入する前に、カニューレの開口部から第1の外科手術用器具を取り外すことを含み得る。
【0014】
本方法は、第2の外科手術用器具の遠位先端を、カニューレの壁内のスロットを覆っているフィルムに押し通すことを含み得ることがさらに開示される。
【0015】
追加として、本方法は、カニューレの拡張可能部材を、拡張させた構成から折り畳んだ構成に移行させることを含み得る。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
外科手術用アクセス装置であって:
ハウジングと、
上記ハウジングから遠位方向に延在し、かつ長手方向軸を画定するカニューレであって、上記カニューレの壁が、その中に画定されている第1のスロットを含む、カニューレと、
上記ハウジングと係合可能であり、かつ第1のチャネルを画定するガイドであって、上記第1のチャネルが、上記長手方向軸に対して平行でない角度で配置される、ガイドと、
上記カニューレの遠位部分に隣接して配置された拡張可能部材であって、折り畳んだ構成と拡張させた構成との間で移行可能である拡張可能部材と、を備え、
第1の外科手術用器具が、上記ガイドの上記第1のチャネルおよび上記カニューレの上記第1のスロット内を通して挿入可能である、外科手術用アクセス装置。
(項目2)
上記カニューレの上記壁が、その中に画定されている第2のスロットを含み、上記第2のスロットが、上記第1のスロットから長手方向にオフセットされている、上記項目に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目3)
上記カニューレが、内管および外管を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目4)
上記内管が、上記第1のスロットを画定し、上記外管が、外管スロットを画定し、上記第1のスロットおよび上記外管スロットは、互いに整列している、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目5)
上記第1のスロットおよび上記外管のスロットのうちの少なくとも一方を覆うフィルムをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目6)
上記フィルムが、上記内管および上記外管のうちの少なくとも一方の凹面に接着されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目7)
上記カニューレの上記壁内に配置された少なくとも1つのチャネルをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目8)
上記少なくとも1つのチャネルが、上記カニューレの近位部分と上記カニューレの上記遠位部分との間に延在している、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目9)
上記少なくとも1つのチャネルが、上記第1のスロットから半径方向にオフセットされている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目10)
上記拡張可能部材が、固定メッシュを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目11)
上記拡張可能部材が、バルーン固定装置を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目12)
上記カニューレが、内管および外管を含み、上記拡張可能部材が、バルーン固定装置を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目13)
上記ハウジングが、上記バルーン固定装置と流体連通して配置されている膨張ポートを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目14)
上記内管と上記外管との間の空間が、上記膨張ポートおよび上記バルーン固定装置と流体連通して配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目15)
上記カニューレの上記壁が、内管および外管から形成され、上記内管が、上記第1のスロットを画定し、上記外管が、第2のスロットおよび第3のスロットを画定し、上記第2のスロットは、上記第3のスロットから長手方向にオフセットされており、上記拡張可能部材は、上記外管が第1の位置から第2の位置に遠位方向に移動すると拡張するメッシュ部材であり、上記内管の上記第1のスロットが、上記第1の位置にある上記第2のスロットと整列し、上記内管の上記第1のスロットが、上記第2の位置にある上記第3のスロットと整列する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用アクセス装置。
(項目16)
外科的手技を実施するシステムであって、
患者の切開部を通して挿入されるように構成された一部分を有するカニューレであって、上記カニューレが、折り畳んだ構成から拡張させた構成に移行するように構成された拡張可能部材を備える、カニューレと、
外科手術作業を実施するように構成された第1の外科手術用器具であって、上記第1の外科手術用器具が、上記カニューレの開口部を通して長手方向軸に沿って挿入されるように構成されている、第1の外科手術用器具と、
外科手術作業を実施するように構成された第2の外科手術用器具であって、上記第2の外科手術用器具が、第2の軸に沿って挿入されるように構成され、上記第2の軸が、上記長手方向軸に対して平行でない角度で配置され、上記第2の外科手術用器具の遠位先端が、上記カニューレの壁内のスロットを通して挿入されるように構成されている、第2の外科手術用器具と
を備える、システム。
(項目17)
上記第1の外科手術用器具が、上記第2の軸に沿った上記第2の外科手術用器具の挿入前に、上記カニューレの上記開口部から取り外されるようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目18)
上記第2の外科手術用器具の上記遠位先端が、上記カニューレの上記壁内の上記スロットを覆っているフィルムに押し通されるようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目19)
上記カニューレの上記拡張可能部材が、上記拡張させた構成から上記折り畳んだ構成に移行するようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目16A)
外科的手技を実施する方法であって、
カニューレの一部分を患者の切開部から挿入することと、
上記カニューレの拡張可能部材を折り畳んだ構成から拡張させた構成に移行させることと、
上記カニューレの開口部から、長手方向軸に沿って第1の外科手術用器具を挿入することと、
上記第1の外科手術用器具で外科手術作業を実施することと、
第2の軸に沿って第2の外科手術用器具を挿入することであって、上記第2の軸が、上記長手方向軸に対して平行でない角度で配置される、挿入することと、
上記第2の外科手術用器具の遠位先端を上記カニューレの壁内のスロットに挿入することと、
上記第2の外科手術用器具で外科手術作業を実施することと、を含む、方法。
(項目17A)
上記第2の軸に沿って上記第2の外科手術用器具を挿入する前に、上記カニューレの上記開口部から上記第1の外科手術用器具を取り外すことをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18A)
上記第2の外科手術用器具の上記遠位先端を、上記カニューレの上記壁内の上記スロットを覆っているフィルムに押し通すことをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19A)
上記カニューレの上記拡張可能部材を上記拡張させた構成から上記折り畳んだ構成に移行させることをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(摘要)
外科手術用アクセス装置が開示され、本装置は、ハウジング、カニューレ、ガイド、および拡張可能部材を含む。カニューレは、ハウジングから遠位方向に延在し、長手方向軸を画定する。カニューレの壁は、その中に画定されている第1のスロットを含む。ガイドは、ハウジングと係合可能であり、第1のチャネルを画定する。第1のチャネルは、長手方向軸に対して平行でない角度で配置される。拡張可能部材は、カニューレの遠位部分に隣接して配置され、折り畳んだ構成と拡張させた構成との間で移行可能である。第1の外科手術用器具は、ガイドの第1のチャネル内を通して、およびカニューレの第1のスロット内を通して挿入可能である。
【0016】
本開示の様々な実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に例解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示のバルーン固定装置を含む外科手術用アクセス装置の透視図である。
図1A】ガイドが、外科手術用アクセス装置のハウジングから分離されている、図1の外科手術用アクセス装置の透視図である。
図2】内部を通して挿入されている縫合糸パサーを含む、図1の外科手術用アクセス装置の透視図である。
図3】内部を通して挿入されている縫合糸パサーを含む、図1の外科手術用アクセス装置の側面図である。
図4】本開示の実施形態による、図1図3の外科手術用アクセス装置の内管および外管の透視図である。
図5】本開示の別の実施形態による、図1図3の外科手術用アクセス装置の内管および外管の透視図である。
図5A図5に示される詳細な領域の拡大図である。
図6】本開示の別の実施形態による外科手術用アクセス装置のカニューレの遠位端の透視図である。
図7】本開示の別の実施形態による固定メッシュ装置を含む外科手術用アクセス装置の透視図である。
図7A図7の外科手術用アクセス装置の内管の透視図である。
図8】内部を通して挿入される縫合糸パサーを含む、図7の外科手術用アクセス装置の透視図である。
図9】内部を通って延在する縫合糸パサーを含む、本開示の別の実施形態による外科手術用アクセス装置の透視図であり、展開させた構成での固定メッシュを例解する。
図10図9の外科手術用アクセス装置および縫合糸パサーの遠位端の側面図であり、非展開構成での固定メッシュを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の外科用アクセス装置の実施形態は、図面を参照して詳細に記載する。図中、同様の参照符号は、いくつかの図の各々において対応する要素を示す。
【0019】
本明細書では、外科手術用アクセス装置の様々な実施形態を記載する。一般的に、外科手術用アクセス装置は、使用中に身体に対して外科手術用アクセス装置をその位置に維持するのを助けるために、組織に係合するように構成された固定装置(例えば、バルーン固定装置または固定メッシュ装置)を含み、かつ筋膜閉鎖システムを含み、これにより、中を通して外科手術用アクセス装置が身体内に入る切開部を閉じる効率のよい様式が作成され得る。図1~6は、バルーン固定装置を含む外科手術用アクセス装置の実施形態を例解し、図7~10は、固定メッシュ装置を含む外科手術用アクセス装置の実施形態を例解する。本明細書に開示の外科手術用アクセス装置は、Hasson法、ならびに鈍い、ブレードのない、ブレード付き、および/または光学閉塞具を使用する手技に有用であることが想定され、外科手術用アクセス装置は、例えば、腹腔鏡検査のために腹部への進入を得るために使用される。
【0020】
まず図1図3を参照すると、外科手術用アクセス装置100が示されている。外科手術用アクセス装置100は、ハウジング109と、ハウジング109から遠位方向に延在するカニューレ200と、を含む。カニューレ200は、長手方向軸「A-A」を画定する。ガイドまたは縫合糸ガイド110は、ハウジング109に取り付けられるか、または選択的に係合するように構成される。ガイドは、上部フランジと、フランジから延在する管とを有する。ガイド110のフランジおよび管は、内部を通って延在する第1のチャネル112および第2のチャネル114を画定し(図2)、患者の気腹を維持するカニューレ内の液密境界を確立するために、カニューレ200の内壁に係合するように構成された管上の密封部115(例えば、Oリング)(図1A)を含む。アクセス装置100は、ガイドがアクセス装置100に取り付けられる前に、ハウジング109から取り外される器具密封部ハウジングを有する。ハウジング109は、カニューレの通路を、いずれの器具もその内部を通して挿入されていないときに密封するために、ダックビル密封部などのゼロ閉鎖密封部を含む。
【0021】
外科手術用アクセス装置100は、カニューレ200の遠位端に隣接して配置された拡張可能部材またはバルーン固定装置300、およびカニューレ200に画定されている少なくとも1つのスロット250も含む。図2および図3に示すとおり、縫合糸パサー「SP」(例えば)は、ガイド110のチャネル112、114のうちの1つおよびカニューレ200のスロット250のうちの1つ内を通して挿入可能である。一般に、縫合糸パサー「SP」は、縫合糸を、カニューレ200内を、例えば切開部に隣接する組織まで通すように構成される。
【0022】
アクセス装置、ガイド、および縫合糸パサーの追加の説明は、米国特許出願公開第2015/0038793号、名称「DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS FOR PROVIDING SURGICAL ACCESS AND FACILITATING CLOSURE OF SURGICAL ACCESS OPENINGS」に見出すことができ、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。密封部部材は、カニューレ内のスロット250の上に配置され、スロット250の上に配置されたエラストマーフィルムまたは管から形成され得る。
【0023】
外科手術用アクセス装置100の様々な実施形態のさらなる詳細は、図4図6を参照して以下で論じられる。図4は、外科手術用アクセス装置100と共に使用するためのカニューレ200aの実施形態を例解する。カニューレ200aは、内管220aと、外管240aと、を含む。内管220aは、外管240a内に適合するように構成され、内部に画定されている少なくとも1つのスロット230aを含む。実施形態では、内管220aは、互いに180°オフセットしている2つのスロット230aを含む。特に、スロット230aは、内管220aの外壁の凹面222aによって画定される。添付図面では、スロット230aは、楕円形であるが、円形、長方形などの任意の規則的または不規則な形状であってもよい。さらに、フィルム235aは、スロット230aを覆い、かつ例えば、溶接(例えば、超音波溶接)、または接着剤による接合によって、内管220aの凹面222aに付着させてもよい。内管220aの外壁およびフィルム235aが協働して、同一平面またはほぼ同一平面を形成することが想定される。
【0024】
引き続き図4を参照すると、外管240aは、内管220aの上に適合するように構成され、内管220aよりも短い長さを有し、かつその中に画定されている少なくとも1つのスロット250aを含む。図3に示すように、外管240aは、互いに180°オフセットしている2つのスロット250aを含む。各スロット250aは、内管220aのスロット230aに対応する形状であり、フィルム255aによって覆われ、外管240aおよび内管220aが係合すると、内管220aのスロット230aと半径方向および長手方向に整列するように構成される。
【0025】
バルーン300(図1図3)は、カニューレ200aの遠位端に隣接して搭載され、折り畳んだまたは収縮させた構成と、拡張させたまたは膨張させた構成との間で移行可能である。特に、バルーン300の遠位端302は、内管220aの遠位端221aに搭載されているか、または隣接しており、かつバルーン300の近位端304は、外管240aの遠位端241aに搭載されているか、または隣接している(図1および図4)。この配置では、空気(または別の膨張媒体)は、カニューレ200aの内管220aと外管240aの間の膨張ポート111(図1図3)から、外管240aの遠位端241a(外管240の遠位端241aは、内管220aの遠位端221aの近位方向に配置される)を出て、バルーン300内に押し出されて、バルーン300を膨張させる。バルーン300を収縮させるには、カニューレ200aの内管220aと外管240aとの間で、膨張媒体がバルーン300から取り除かれ、膨張部分111から出る。フィルム235aおよび255aは、患者内の加圧環境からの空気/ガスが、カニューレ200aの内管220aまたは外管240aを通って確実に逃げないようにするために役立つ。バルーンは、米国特許出願第62/453,557号および/または同第62/568,497号に開示されるとおりに形成され得、これらのそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
使用中、カニューレ200aの遠位部分は、患者内に(例えば、腹腔内に)位置決めされ、バルーン300は、患者に対してカニューレ200aを固定するのを助けるために膨張ポート111を通して膨張されて、(例えば、カニューレ200aの内腔270a(図3)内を通して挿入された外科手術用器具により)外科的手技が実施される。外科的手技後、外科手術用器具が、内腔270aから取り外され、器具密封部ハウジングは、ハウジング109との係合から取り外され、ガイド110の一部分が、カニューレ200a内を通して挿入される。次に、縫合糸パサー「SP」(図2および図3)は、ガイド110の第1のチャネル112または第2のチャネル114内を通して、長手方向軸「A-A」に対して平行でない角度で挿入される。このため、「SP」は、以前使用されていた外科手術用器具とは異なる経路をたどる。第1のチャネル112は、縫合糸パサー「SP」の遠位先端がバルーン300の首部内を通って、内管220aのスロット230aに向かって移動するように角度が付けられている。縫合糸パサー「SP」を遠位方向に付勢することで、縫合糸パサー「SP」の遠位先端が、内管220aのスロット230aを覆っているフィルム235aを突き刺し、外管240aのスロット250aを覆っているフィルム255aを突き刺し、かつ外管240aから出て延在する。バルーン300の形状、サイズおよび/または配向に応じて、医師は、バルーン300の収縮後に、縫合糸パサー「SP」をガイド110および患者組織に挿入して、縫合糸パサー「SP」の遠位先端がバルーン300と干渉するのを防ぐのを助けるように選択できる。縫合糸パサー「SP」の遠位先端を組織に位置決めした後、縫合糸パサー「SP」を使用して、組織を縫合するか、または筋膜閉鎖を実施し得る。カニューレは、単一のスロットを含み得る。追加の実施形態では、カニューレ200aは、2組以上のスロットを含み、追加の縫合糸パサーまたは他の装置も、ガイド110内を通して(例えば、チャネル114内を通して)、およびカニューレ200a内を通して挿入され得る。これは、第1の縫合糸パサー「SP」が組織にある間、または第1の縫合糸パサー「SP」が取り外された後に行うことができる。したがって、ガイド110の第1のチャネルおよび第2のチャネルは、ガイドがアクセス装置に適切に取り付けられたときに、縫合糸パサーがカニューレ内を通る特定のスロットに向けられるように配置および成形される。
【0027】
図5は、外科手術用アクセス装置100と共に使用するためのカニューレ200bのさらなる実施形態を例解する。カニューレ200bは、内管220bおよび外管240bを含む。内管220bは、外管240b内に適合するように構成され、その中に画定されている少なくとも1つのスロット230bを含む。添付図面では、スロット230bは、楕円形であるが、円形、長方形などの任意の規則的または不規則な形状であってもよい。内管220bは、スロット230bを取り囲むフランジ232bを含む。添付図面では、スロット230bは、フィルムで覆われていないが、フィルムで覆われていてもよい。フランジ232b(図5Aを参照)は、内管220bから突出し、以下で論じられるように、外管240bの一部分に係合するかまたはその内に入れ子になるように構成される。
【0028】
外管240bは、内管220bの上に適合するように構成され、内管220bよりも短い長さを有し、かつその中に画定されている少なくとも1つのスロット250bを含む。実施形態では、内管220bは、筋膜閉鎖中に外科医にさらなる選択肢を提供するために、互いに180°オフセットしている2つのスロット250bを含む。各スロット250bは、内管220bのスロット230bに対応する形状であり、外管240bおよび内管220bが組み立てられると、内管220bのスロット230bと半径方向および長手方向に整列するように構成される。加えて、内管220bのフランジ232bは、外管240bおよび内管220bが係合されると、外管240bのスロット250b内に入れ子になるように構成される。これは、内管220bおよび外管240bを整列させるのに役立つ。したがって、気密またはほぼ気密の通路を提供するには、1つのみのフィルムが必要である。さらに、カニューレ200bは、その遠位端にあるかまたはその遠位端に隣接するバルーン300または他の拡張可能な構造を含むことができる。
【0029】
図6は、外科手術用アクセス装置100と共に使用するためのカニューレ200cの別の実施形態を例解する。カニューレ200cは、細長い管220cの壁内に画定されているチャネル240cを有する細長い管220cを含む。細長い管220cは、ハウジング109から遠位方向に延在し、その中に画定されている少なくとも1つのスロット230cを含む。添付図面では、スロット230cは、楕円形であるが、円形、長方形などの任意の規則的または不規則な形状であってもよい。特に、スロット230cは、細長い管220cの凹面222cによって画定される。さらに、フィルム235cは、スロット230cを覆い、かつ例えば、溶接(例えば、超音波溶接)、または接着剤による接合によって、内管220cの凹面222cに付着させてもよい。細長い管220cの外面221cおよびフィルム235cが協働して、同一平面またはほぼ同一平面を形成することが想定される。
【0030】
チャネル240cは、細長い管220cの長さ(例えば、全長)に沿って延在し、細長い管220cの壁内に画定される。特に、チャネル240cは、細長い管220cの外面221cと内面223cとの間に延在する。チャネル240cは、細長い管220cの遠位端に隣接して搭載されているバルーン300と流体連通しており、空気(または別の膨張媒体)がチャネル240c内を通ってハウジング109の膨張ポート111から押し出されると、空気が、チャネル開口部242cからバルーン300に流出し、バルーン300を膨張させる。バルーン300を収縮させるには、膨張媒体が、チャネル240c内を通って近位方向にバルーン300から取り除かれ、膨張ポート111から出る。フィルム235cは、患者内の加圧環境からの空気/ガスがカニューレ200cの細長い管220cの壁を通って確実に逃げないようにするのに役立つ。
【0031】
チャネル240cが細長い管220cの全長に延在する実施形態では、各チャネル240cの遠位端244cは、そこから空気が逃げるのを防ぐために閉塞またはブロックされる。細長い管220cの全長に延在するチャネル240cを含むことで、カニューレ200cの製造の最適化が助けられ得る。例えば、細長い管220cを突き出させることができ、細長い管220cを突き出させる間に、細長い管220cの長さに延在するチャネル240cを形成することができる。
【0032】
さらに、カニューレ200cが2つのチャネル240cおよび2つのスロット230cを含む実施形態では、チャネル240cおよびスロット230cは、互いの間の干渉を防ぐために互いに角度を付けてオフセットさせてもよい。例えば、チャネル240cおよびスロット230cは、90°または別の適切な角度分、オフセットさせることができる。
【0033】
使用中、カニューレ200cの遠位部分は、患者内に(例えば、腹腔内に)位置決めされ、バルーン300が、患者に対してカニューレ200cを固定することを助けるために膨張ポート111内を通して膨張され、(例えば、カニューレ200cの内腔270c内を通して挿入された外科手術用器具によって)外科的手技が実施される。外科的手技後、外科手術用器具が、内腔270cから取り外され、器具密封部ハウジングは、ハウジング109との係合から取り外され、ガイド110の一部分がカニューレ200c内を通して挿入される。次に、縫合糸パサー「SP」(図2および図3)は、ガイド110の第1のチャネル112または第2のチャネル114内を通して、長手方向軸「A-A」に対して平行でない角度で挿入される。このため、「SP」は、以前使用されていた外科手術用器具とは異なる経路をたどる。第1のチャネル112は、縫合糸パサー「SP」の遠位先端がカニューレ200cのスロット230cに向かって移動するように角度が付けられている。縫合糸パサー「SP」を遠位方向に付勢することで、縫合糸パサー「SP」の遠位先端が、カニューレ200cのスロット230cを覆っているフィルム235cを突き刺し、カニューレ200cから出て延在する。1つ以上の縫合糸パサー「SP」を使用することができる。カニューレ200cが2つ以上のスロット230cを含む場合、複数の縫合糸パサー「SP」を収容するために、スロットを互いに角度を付けて、かつ/または長手方向にオフセットさせることができる。縫合糸パサー「SP」は、切開部で組織に縫合糸を送達し、このため、切開部を閉じることができる。
【0034】
図7図8は、外科手術用アクセス装置100と共に使用するためのカニューレ200dのさらなる実施形態を例解する。カニューレ200dは、内管220d(図7A)、外管240d、および固定メッシュ260dを含む。内管220dは、外管240d内に適合するように構成され、その中に画定されている少なくとも1つのスロット230dを含む。添付図面では、スロット230dは、楕円形であるが、円形、長方形などの任意の規則的または不規則な形状であってもよい。特に、スロット230dは、内管220dの凹面222dによって画定される。さらに、フィルム235dは、スロット230dを覆い、かつ例えば、溶接(例えば、超音波溶接)、または接着剤による接合によって、内管220dの凹面222dに付着させてもよい。内管220dの外壁およびフィルム235dが協働して、同一平面またはほぼ同一平面を形成することが想定される。フィルム235dは、患者内の加圧環境からの膨張媒体(例えば、CO)が、カニューレ200dの内管220d内を通って確実に逃げないようにするのに役立つ。
【0035】
固定メッシュ260dは、バルーン様のカバーを含み、内管220dの周囲に(例えば、壁を取り囲んで)位置決めされる。カバーは、エラストマーフィルムから形成され得る。フィルムは、メッシュ部材260dの拡張を促進する形状に成形することができる。
【0036】
外管240dは、内管220dの上に適合するように構成され、内管220dよりも短い長さを有し、かつその中に画定されている少なくとも1つのスロット250dを含む。スロット250dは、スロット230dに対応する形状であり、外管240dおよび内管220dが組み立てられると、内管220dのスロット230dと半径方向および長手方向に整列するように構成される。図7に示すように、角度を付けて2つを整列させ、長手方向にオフセットさせたスロット250dが提供され、以下でさらに詳細に論じる。
【0037】
使用中、カニューレ200dの遠位部分は、患者内(例えば、腹腔内)に位置決めされ、固定メッシュ260dは、カニューレの長さに沿って遠位方向に作動タブ241を移動させることにより展開され、固定メッシュ260dを拡張し、カニューレ200dを患者に対して固定するのを助ける。これを行う際に、外管240dの下部スロット250dは、内管220dのスロット230dから離れて移動し、外管240dの上部スロット250dは、スロット230dと整列するように移動する。次いで、(例えば、ガイド110およびカニューレ200d内を通して画定される内腔270d内を通して挿入される外科手術用器具によって)外科的手技が実施される。外科的手技後、外科手術用器具が、内腔270dから取り外され、器具密封部ハウジングは、ハウジング109との係合から取り外され、ガイド110の一部分がカニューレ200d内を通して挿入される。次に、縫合糸パサー「SP」(図2および図3)は、ガイド110の第1のチャネル112または第2のチャネル114内を通して、長手方向軸「A-A」に対して平行でない角度で挿入される。このため、「SP」は、以前使用されていた外科手術用器具とは異なる経路をたどる。第1のチャネル112は、縫合糸パサー「SP」の遠位先端が内管220dのスロット230dに向かって移動するように角度が付けられている。縫合糸パサー「SP」を遠位方向に付勢することで、縫合糸パサー「SP」の遠位先端が、内管220dのスロット230dを覆っているフィルム235dを突き刺し、外管240dのスロット250d内を通して延在する。固定メッシュ260dの形状、サイズ、および/または配向に応じて、医師は、固定メッシュ260dをその事前に展開させた位置または非展開位置に移動させた後、縫合糸パサーを患者に挿入して、縫合糸パサーの遠位先端が固定メッシュ260dの展開部分と干渉するのを防ぐのを助けるように選択できる。縫合糸パサーの遠位先端を組織に位置決めした後、縫合糸パサーを使用して筋膜閉鎖を実施することができる。縫合糸パサーは、固定メッシュ260dが展開されていない場合、スロット230dおよびスロット250d内を通って延在するか、または固定メッシュ260dが展開されている場合、スロット230dおよびスロット250d内を通って、延在することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、カニューレ200dの内管220dおよび外管240dは、2つ以上の縫合糸パサーを収容するために、角度を付けてオフセットされた2つ以上の組のスロットを含む。
【0039】
図9および図10は、外科手術用アクセス装置100用のカニューレ200eの別の実施形態を例解する。カニューレ200eは、細長い管220eおよび固定メッシュ260eを含む。細長い管220eは、その中に画定されている少なくとも1つのスロット230e(例えば、楕円形、円形、長方形、または他の形状のスロット)を含む。図7および図8に関して上述したカニューレ200dの実施形態とは対照的に、スロット230eはフィルムによって覆われていないが、他の実施形態ではフィルムが提供されてもよい。
【0040】
固定メッシュ260eは、バルーン様のカバーを含み、細長い管220eの周囲に(例えば、壁を取り囲んで)位置決めされる。さらに、固定メッシュ260eは、カニューレ200eの長さのかなりの部分を覆い、かつカニューレ200eのフランジ205eに気密様式で接着または付着させて、それらの間に気密密封部を提供することができる。これに関して、固定メッシュ260eは、患者内の加圧環境からの空気/ガスがカニューレ200eの細長い管220eを通って確実に逃げないようにするのに役立つ。
【0041】
使用中、カニューレ200eの遠位部分は、患者内(例えば、腹腔内)に位置決めされ、固定メッシュ260eは、カニューレ長さに沿って遠位方向にフランジ205eを移動させることにより展開される。これにより、固定メッシュ260eが拡張し、カニューレ200eを患者に対して固定するのに役立つ。(例えば、ガイド110およびカニューレ200e内を通して画定される内腔270e内を通して挿入される外科手術用器具によって)外科的手技が実施される。外科的手技後、外科手術用器具が、内腔270eから取り外され、器具密封部ハウジングは、ハウジング109との係合から取り外され、ガイド110の一部分がカニューレ200d内を通して挿入される。次に、縫合糸パサー「SP」(図2および図3)は、ガイド110の第1のチャネル112または第2のチャネル114内を通して、長手方向軸「A-A」に対して平行でない角度で挿入される。このため、「SP」は、以前使用されていた外科手術用器具とは異なる経路をたどる。第1のチャネル112は、縫合糸パサー「SP」の遠位先端が、長手方向軸「A-A」に対して平行でない角度で、細長い管220eのスロット230eに隣接して移動するように角度が付けられている。縫合糸パサー「SP」を遠位方向に付勢することで、縫合糸パサー「SP」の遠位先端が押し出され、固定メッシュ260eを突き刺し、これにより、カニューレ200eから出て延在する。医師は、固定メッシュ260eをその事前に展開させた位置または非展開位置に移動させた後、縫合糸パサー「SP」を患者に挿入するように選択し得るか、または固定メッシュ260eが展開させた状態にある間に固定メッシュ260e内に縫合糸パサーを通すことができる。縫合糸パサー「SP」の遠位先端が組織内に位置決めされた後、縫合糸パサー「SP」を使用して、組織の筋膜閉鎖または他の閉鎖または縫合を行うことができる。さらに、カニューレ200eの細長い管220eが、角度を付けてオフセットさせた2つ以上のスロットを含む実施形態では、第2の縫合糸パサーもカニューレ200e内を通して挿入され得る。
【0042】
本開示はまた、固定装置(例えば、膨張可能部材300または固定メッシュ260d、260e)を使用して、組織内に外科手術用アクセス装置100を固定すること、カニューレ内を通して外科的手技を実施すること、ハウジング109から密封部ハウジングを取り外すこと、ガイド100をハウジング109に搭載すること、ガイド110のチャネル112、114内を通して、およびカニューレ200のスロット内を通して縫合糸パサーの遠位部分を挿入すること、ならびに組織に筋膜閉鎖または他の手技を実施すること、を含む、外科的手技を実施する方法を含む。上述のように、外科手術用アクセス装置100の特定の実施形態に応じて、筋膜閉鎖中、固定装置は、膨張/展開させたままであるか、または筋膜閉鎖の実施中に固定装置を収縮/非展開させることができる。
【0043】
上記の説明は多くの詳細を含むが、これらの詳細は、本開示の範囲に対する制限としてではなく、単にそれらの様々な実施形態の例示として解釈されるべきである。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に様々な実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および趣旨内での他の修正を想定するであろう。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図7A
図8
図9
図10