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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231204BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231204BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231204BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20231204BHJP
【FI】
G09F9/30 348A
H05B33/14 A
H10K59/10
H10K50/844
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019179788
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056399
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】本川 究理
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156850(JP,A)
【文献】特開2005-260081(JP,A)
【文献】特開2019-110038(JP,A)
【文献】特開2018-181799(JP,A)
【文献】国際公開第2019/030887(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108281458(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151833(US,A1)
【文献】特開2019-050136(JP,A)
【文献】特開2019-125551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と、
前記表示領域よりも外側に設けられた周辺領域と、
を含み、
前記周辺領域は、
層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に設けられた第1無機絶縁層と、
前記第1無機絶縁層の上に設けられた第1有機絶縁層と、
前記第1有機絶縁層の上に設けられた第2無機絶縁層と、
前記第2無機絶縁層の上に設けられた第2有機絶縁層と、
を含み、
前記第1無機絶縁層の斜面よりも前記表示領域側の前記第1無機絶縁層の一部は、前記第2無機絶縁層に接し、
前記第1無機絶縁層の斜面は、
前記周辺領域の端部において前記第2有機絶縁層から露出され、
有底孔を含む凹凸部を含み、
前記有底孔を含む凹凸部の表面は、前記第1無機絶縁層よりも上の層によって被覆されないように構成され、
前記凹凸部に含まれるフッ素イオンの濃度は、前記表示領域に設けられた第1無機絶縁層に含まれるフッ素イオンの濃度の100倍以上である、
表示装置。
【請求項2】
前記表示領域における前記第1無機絶縁層は、前記凹凸部を含まない、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1無機絶縁層の斜面と、前記第1無機絶縁層が接する前記層間絶縁膜の表面とがなす角度αは、20度以上26度以下である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記有底孔の径は、0.1μm以上0.6μm以下である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
断面視において、前記第1無機絶縁層が露出する幅Wは、3.7μm以上5.6μm以下である請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1無機絶縁層および前記第2無機絶縁層の少なくとも1つは、窒化物を含む、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記窒化物は、窒化シリコンである請求項6に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス材料(有機EL材料)を表示領域の発光素子(有機EL素子)に用いた有機EL表示装置(Organic Electroluminescence Display)が知られている。有機EL表示装置は、有機EL材料を発光させることにより、表示領域に画像を表示する、いわゆる自発光型の表示装置である。
【0003】
表示領域に含まれる発光素子は、例えば、水分が原因で劣化する。有機EL表示装置では、発光素子に水分が侵入することを防止するため、例えば、発光素子上に封止膜を設ける。有機EL表示装置の製造時の検査において、表示領域に対して封止膜が設けられる位置を検査することにより、発光素子に水分が侵入する製造不良を早期に発見することができる。例えば、特許文献1には、発光素子を覆うように、有機絶縁層、および無機絶縁層を形成し、水分を遮断する領域(水蒸気バリア領域)を当該無機絶縁層に設ける構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-022889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、封止膜、有機絶縁層、および無機絶縁層を形成するための材料は、無色透明である場合が多い。よって、有機EL表示装置の製造時の検査において、表示領域に対して封止膜、有機絶縁層、および無機絶縁層が設けられる位置を検査することは、困難である。したがって、封止膜、有機絶縁層、および無機絶縁層が、水分を遮断するとしても、発光素子に水分が侵入する製造不良を早期に発見することは困難である。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、表示領域に対して封止膜、有機絶縁層、および無機絶縁層が設けられる位置を検査し易くする表示装置の構造を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、表示領域と、表示領域よりも外側に設けられた周辺領域と、を含み、周辺領域は、層間絶縁膜と、層間絶縁膜の上に設けられた第1無機絶縁層と、第1無機絶縁層の上に設けられた第1有機絶縁層と、第1有機絶縁層の上に設けられた第2無機絶縁層と、第2無機絶縁層の上に設けられた第2有機絶縁層と、を含み、第1無機絶縁層の斜面よりも表示領域側の第1無機絶縁層の一部は、第2無機絶縁層に接し、第1無機絶縁層の斜面は、周辺領域の端部において露出され、有底孔を含む凹凸部を含み、凹凸部に含まれるフッ素イオンの濃度は、表示領域に設けられた第1無機絶縁層に含まれるフッ素イオンの濃度の100倍以上である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の回路図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置のB1-B2線に沿った断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置のC1-C2線に沿った断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置のD1-D2線に沿った断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置の周辺領域に含まれる基板の端部の一部を示す拡大図である。
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置の周辺領域に含まれる基板の端部の一部を示す拡大図である。
図9A】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
図9B】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す概略図である。
図11図10に示す表示装置の一部を拡大した拡大図である。
図12図11に示す表示装置のG1-G2線に沿った断面図である。
図13図10に示す表示領域のF1-F2線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態において、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その技術的思想の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、図示の形状そのものが本発明の解釈を限定するものではない。また、図面において、明細書中で既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、別図であっても同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0011】
ある一つの膜を加工して複数の構造体を形成した場合、各々の構造体は異なる機能、役割を有する場合があり、また各々の構造体はそれが形成される下地が異なる場合がある。しかしながらこれら複数の構造体は、同一の工程で同一層として形成された膜に由来するものであり、同一の材料を有する。従って、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0012】
ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接して、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0013】
「ある構造体が他の構造体から露出する」という表現は、ある構造体の一部が他の構造体によって覆われていない領域を意味する。ただし、他の構造体によって覆われていない部分が、さらに別の構造体によって覆われている場合も含む。
【0014】
<第1実施形態>
図1図9を用いて、本発明の一実施形態に係る表示装置100について説明する。
【0015】
<1.表示装置>
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100の平面図である。表示装置100は、表示領域103および周辺領域110を有する。周辺領域110は表示領域103の外側に設けられる。表示領域103および周辺領域110は基板101上に、設けられる。
【0016】
表示領域103は、表示装置100において画像または映像を表示するための領域である。表示領域103は、複数の画素109を含む。図1に示されるように、複数の画素109はマトリクス状に配置される。複数の画素109の配置は、図1に示される構成に限定されない。複数の画素109の配列は、例えば、千鳥状の配列でもよい。
【0017】
周辺領域110は、基板周縁部300、走査線駆動回路部104、端子部105、および折曲部130を含む。図1に示されるように、基板周縁部300は、例えば、第2有機絶縁層236(図6を参照)、第1無機絶縁層231(図6を参照)および第2無機絶縁層233(図1では省略、図6を参照)を含む。
【0018】
詳細は後述するが、第1無機絶縁層231は、表示領域103及び周辺領域110の両方に設けられる。表示領域103に設けられた第1無機絶縁層231は凹凸部301(図8を参照)を含まず、周辺領域110に設けられた第1無機絶縁層231は凹凸部301(図8を参照)を含む。その結果、上面視において、基板周縁部300が黒い線状に見えるため、表示装置100の製造時の検査において、封止された位置を特定することができる。すなわち、本発明の一実施形態に係る表示装置100の製造時の検査において、封止された位置を特定することで、発光素子に水分が侵入する製造不良を早期に発見することができる。基板周縁部300についての詳細は後述される。
【0019】
図1に示されるように、走査線駆動回路部は、例えば、表示領域103の長辺方向に沿って設けられる。走査線駆動回路部104の位置は、図1に示される位置に限定されない。走査線駆動回路部104は、表示領域103の短辺方向に沿って設けられてもよい。また、図1に示されるように、走査線駆動回路部104は、表示領域103を挟んだ2か所に設けられる。走査線駆動回路部104の設けられる位置は、図1に示される位置に限定されない。走査線駆動回路部104は、1か所に設けられてもよい。端子部105は、基板101の端部に設けられる。端子部105は、複数の端子107を含む。複数の端子107は、フレキシブルプリント回路基板108と接続される。ドライバIC106は、フレキシブルプリント回路基板108上に設けられる。折曲部130は、基板101を折り曲げ可能な領域である。折曲部130は、表示領域103と端子部105との間に設けられる。表示装置100において、基板101を折曲部130で折り曲げることで、端子部105と表示領域103の裏面を重畳させてもよい。端子部105と表示領域103の裏面を重畳させることで、表示装置100の額縁を狭くすることができる。
【0020】
映像信号および各種制御信号は、表示装置100の外部のコントローラ(図示せず)から、フレキシブルプリント回路基板108を介して、表示装置100に供給される。映像信号は、ドライバIC106において信号処理され、複数の画素109に入力される。各種回路信号は、ドライバIC106を介して、走査線駆動回路部104に入力される。
【0021】
表示装置100の外部のコントローラ(図示せず)から、フレキシブルプリント回路基板108を介して、走査線駆動回路部104、ドライバIC106、および複数の画素109を駆動するための電力が表示装置100に供給される。複数の画素109の各々は、後述する発光素子240を有する。表示装置100に供給された電力の一部は、複数の画素109の各々が有する発光素子240に供給される。その結果、発光素子240が発光する。
【0022】
また、表示装置100において、偏光板102が表示領域103および走査線駆動回路部104に重畳して設けられる。表示装置100の構造は、図1に示された構造に限定されない。表示装置100は、偏光板102を有さなくてもよい。表示装置100の構造は、本発明の一実施形態の主旨を逸脱しない範囲において、適宜決定される。
【0023】
<2.画素回路>
図2は、本発明の一実施形態に係る複数の画素109の各々が有する画素回路である。図1と同一、または類似する構成については説明を省略することがある。
【0024】
図2に示されるように、画素回路は、少なくともトランジスタ210、トランジスタ220、容量素子230、および発光素子240を含む。
【0025】
トランジスタ210は、例えば、選択トランジスタとして機能する。トランジスタ210のゲートの導通状態が走査線111により制御される。トランジスタ210において、ゲート、ソース、およびドレインは、それぞれ、走査線111、信号線112、およびトランジスタ220のゲートに電気的に接続される。
【0026】
トランジスタ220は、駆動トランジスタとして機能する。トランジスタ220は、発光素子240の発光輝度を制御する。トランジスタ220において、ゲート、ソース、およびドレインは、それぞれ、トランジスタ210のソース、駆動電源線114、および発光素子240の陽極に電気的に接続される。
【0027】
容量素子230において、容量電極の一方は、トランジスタ220のゲート、およびトランジスタ210のドレインに、電気的に接続される。また、容量電極の他方が、発光素子240の陽極、およびトランジスタ220のドレインに接続される。
【0028】
発光素子240において、陽極がトランジスタ220のドレインに接続され、陰極が基準電源線116に接続される。
【0029】
<3.表示領域>
図3を用いて、表示装置100の表示領域103の構成について説明する。図1または図2と同一、または類似する構成については説明を省略することがある。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係る画素109の断面図である。具体的には、図3は、図1に示す表示装置100をA1-A2線に沿って切断した断面図である。
【0031】
基板101は可撓性を有してもよい。図3に示されるように、基板101の構造は、第1樹脂層101a、無機層101b、および第2樹脂層101cを含む積層構造である。第1樹脂層101aと第2樹脂層101cとの密着性を向上させるため、第1樹脂層101aと第2樹脂層101cとの間に無機層101bを設けることが好ましい。第1樹脂層101aおよび第2樹脂層101cを形成する材料は、例えば、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、またはポリエチレンナフタレートなどを用いることができる。また、無機層101bを形成する材料は、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、またはアモルファスシリコンなどを用いることができる。なお、基板101が可撓性を必要としない場合は、基板101として、例えば、ガラスを用いることができる。
【0032】
基板101上には、アンダーコート層202が設けらる。アンダーコート層202は、例えば、酸化シリコン層および窒化シリコン層を単層または積層して設けられる。本発明の一実施形態では、アンダーコート層202の構造は、酸化シリコン層202a、窒化シリコン層202b、および酸化シリコン層202cの三層からなる積層構造を有する。酸化シリコン層202aは、基板101との密着性を向上させる。窒化シリコン層202bは、外部からの水分および不純物のブロッキング膜として機能する。酸化シリコン層202cは、窒化シリコン層202b中に含有する水素が後述する半導体層側に拡散しないようにするブロッキング膜として機能する。
【0033】
また、アンダーコート層202の構造は、トランジスタ220と重畳する位置に遮光層203を有する構造であってもよい。アンダーコート層202が遮光層203を有することで、遮光層203が外光を遮断する。その結果、トランジスタ220への外光の侵入を防止し、トランジスタ特性の変動を抑制することができる。また、遮光層203は導電層として用いられてもよい。遮光層203に導電層を用いることで、遮光層に所定の電圧を印加することができる。遮光層203に所定の電圧を印加することで、トランジスタ220の特性を制御することができる。
【0034】
トランジスタ220がアンダーコート層202上に設けられる。トランジスタ220は、半導体層204、ゲート絶縁層205、およびゲート電極206aを含む。図1に示される画素回路においては、トランジスタ220として、nchトランジスタを用いる例について示しているが、pchトランジスタを用いることもできる。本発明の一実施形態では、nchTFTは、チャネル領域204aとソース領域204dまたはドレイン領域204e(高濃度不純物領域)との間に、低濃度不純物領域204bおよび204cを有する。半導体層204を形成する材料は、例えば、アモルファスシリコン、ポリシリコン、またはIGZOなどの酸化物半導体を用いることができる。ゲート絶縁層205を形成する材料は、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンを用いることができる。また、ゲート絶縁層205は、単層または積層とすることができる。ゲート電極206aを形成する材料は、例えば、MoWを用いることができる。なお、図3においては、トランジスタ220の構造が示されているが、トランジスタ210の構造もトランジスタ220の構造と同様である。
【0035】
第1層間絶縁層207がゲート電極206aを覆うように設けられる。第1層間絶縁層207を形成する材料は、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンを用いることができる。また、第1層間絶縁層207は、単層または積層とすることができる。ソース電極208aまたはドレイン電極208bが第1層間絶縁層207上に設けられる。ソース電極208aまたはドレイン電極208bは、第1層間絶縁層207およびゲート絶縁層205の開口部を介して、半導体層204のソース領域204dまたはドレイン領域204eと接続される。
【0036】
導電層206bがゲート絶縁層205上に設けられる。導電層206bは、ゲート電極206aと同一の工程で形成される。導電層206bは、ゲート絶縁層205を間に挟んで、半導体層204のソース領域204dまたはドレイン領域204eにより容量を構成する。また、導電層206bは、第1層間絶縁層207を間に挟んで、ソース電極208aまたはドレイン電極208bにより容量を構成する。
【0037】
第2層間絶縁層209が、ソース電極208aまたはドレイン電極208b上に設けられる。
【0038】
平坦化膜211が第2層間絶縁層209上に設けられる。平坦化膜211を形成する材料は、例えば、感光性アクリルまたはポリイミドなどの有機材料を用いることができる。平坦化膜211を設けることにより、トランジスタ220による段差を平坦化することができる。
【0039】
透明導電膜212aおよび212bが平坦化膜211上に設けられる。透明導電膜212aは、平坦化膜211および第2層間絶縁層209に設けられた開口部を介して、ソース電極208aまたはドレイン電極208bと電気的に接続される。
【0040】
絶縁層213が透明導電膜212aおよび212b上に設けられる。絶縁層213には、透明導電膜212aおよびソース電極208aまたはドレイン電極208bと重畳する領域と、透明導電膜212aと隣の画素の透明導電膜212bとの間の領域とに開口部が設けられる。
【0041】
画素電極222が絶縁層213上に設けられる。画素電極222は、絶縁層213の開口部を介して、透明導電膜212aと電気的に接続される。本発明の一実施形態では、画素電極222は、反射電極として形成される。画素電極222の構造は、例えば、IZO、Ag、IZOの三層からなる積層構造を有する。
【0042】
任意の位置の画素電極222と、隣の画素の画素電極222との境界に、絶縁層225が設けられる。絶縁層225は、各画素を離間するために設けられ、バンクまたはリブとも呼ばれる。絶縁層225を形成する材料は、平坦化膜211の材料と同様の有機材料を用いることができる。絶縁層225は、画素電極222の一部を露出するように開口される。また、開口部の側面は、緩やかなテーパー形状となることが好ましい。開口部の側面が急峻な形状となる場合、後に形成される有機層223にカバレッジ不良が生じる。
【0043】
ここで、平坦化膜211と絶縁層225とは、絶縁層213に設けられた開口部において接触している。表示装置100は、このような構成を有することで、絶縁層225の形成時における熱処理の際に、平坦化膜211から脱離する水分やガスを、絶縁層213の開口部を介して絶縁層225から除去することができる。これにより、平坦化膜211と絶縁層225との界面における剥離を抑制することができる。
【0044】
絶縁層225の形成後、有機EL層を形成する有機層223を形成する。有機層223は、画素電極222側から順に、少なくとも、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層が積層されている。正孔輸送層、発光層、または電子輸送層は、有機物を含んでもよい。また、図3においては、有機層223が、各画素109に対して選択的に設けられるように記載しているが、有機層223の構造は図3に示される構造に限定されない。例えば、有機層223のうち発光層は各画素に対して選択的に設け、正孔輸送層および電子輸送層は全画素を覆うように設けてもよい。また、これらの層の形成方法は、蒸着による形成方法でもよく、溶媒分散の上での塗布形成方法であっても良い。また、正孔輸送層および電子輸送層だけでなく、発光層も、全画素を覆うように設けてもよい。発光層が全画素を覆うように設けられる場合、全画素において白色光を得て、カラーフィルタ(図示せず)によって所望の色波長部分を取り出す構成とすることができる。
【0045】
有機層223の形成後、対向電極224を形成する。本発明の一実施形態では、有機EL層がトップエミッション構造であるため、対向電極224は光透過性を有する必要がある。なお、本明細書等において、トップエミッション構造とは、画素電極222上に、有機層223を挟んで配置される対向電極224から光を出射する構造である。本発明の一実施形態では、有機EL層からの発光が透過する程度のMgAg薄膜を、対向電極224として形成する。上述の有機層223の形成順序に従うと、画素電極222が陽極となり、対向電極224が陰極となる。
【0046】
封止膜260が発光素子240の対向電極224上に、設けられる。封止膜260の構造は、第1無機絶縁層231、第1有機絶縁層232、および第2無機絶縁層233の積層構造を有する。
【0047】
第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233を形成する材料は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸窒化シリコンまたは酸窒化アルミニウムなどを用いることができる。第1無機絶縁層231の膜厚は、例えば、750nm以上2000nm以下である。第2無機絶縁層233の膜厚は、例えば、750nm以上1250nm以下である。第1無機絶縁層231または第2無機絶縁層233の構造は、積層構造としてもよい。なお、封止膜260は、外部からの水分が有機層223に侵入することを防止することを機能の一つとする。封止膜260を形成する材料は、ガスバリア性の高い材料であることが好ましい。例えば、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233は、窒化シリコンまたは窒化アルミニウムなどの窒化物を含むことが好ましい。なお、窒化物には、酸素を含む窒化物が含まれるものとする。
【0048】
第1有機絶縁層232を形成する材料は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシロキサン樹脂などを用いることができる。第1有機絶縁層232の膜厚は、例えば、5μm以上15μm以下である。
【0049】
第2有機絶縁層236が封止膜260上に設けられる。第2有機絶縁層236は、例えば、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233をエッチングするためのマスクとして機能する。第2有機絶縁層236を形成する材料は、例えば、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、またはウレタン系樹脂などの粘着材を用いることができる。第2有機絶縁層236の膜厚は、例えば、5μm以上25μm以下である。
【0050】
偏光板102が第2有機絶縁層236上に設けられる。偏光板102は、1/4波長板と、直線偏光板とを含む積層構造を有する。その結果、表示装置100は、発光領域からの光を偏光板102の表示側の面から外部に放出することができる。
【0051】
表示装置100には、必要に応じて、偏光板102上にカバーガラスを設けてもよい。この場合、樹脂等を用いた充填材を偏光板102とカバーガラスの間に設けてもよい。偏光板102とカバーガラスの間に充填材を設けることで、偏光板102とカバーガラスの空隙を埋めることができる。また、カバーガラスには、タッチセンサ等が設けられてもよい。
【0052】
<4.周辺領域>
図4図8を用いて、表示装置100の周辺領域110の構成について説明する。図1図3と同一、または類似する構成については説明を省略することがある。
【0053】
図4は、図1に示される表示装置100をB1-B2線に沿って切断した断面図である。図4に示されるように、周辺領域110の上部は、種々の配線が引き回される領域である。周辺領域110において、発光素子240の対向電極224は、透明導電膜226と接続される陰極コンタクト140が設けられる。透明導電膜226は、導電層227、導電層228、配線層229と電気的に接続される。つまり、対向電極224は、配線層229によって、複数の端子107(図1)のいずれかと電気的に接続される。
【0054】
基板101の端部では、基板101の中央から外側に向かって傾斜を有するように、第2有機絶縁層236、第2無機絶縁層233、および第1無機絶縁層231が設けられる。第2有機絶縁層236の斜面の一部、第2無機絶縁層233の斜面の一部、および第1無機絶縁層231の斜面の一部は、露出している。
【0055】
第1無機絶縁層231は、基板101の中央から隔壁271まで第1有機絶縁層232で覆われ、隔壁271の上部において第2無機絶縁層233に接し覆われる。第1無機絶縁層231は、隔壁271の上部から基板101の外側に向かって、第2無機絶縁層233に接し覆われる。第1無機絶縁層231の斜面の一部は、第2無機絶縁層233に覆われずに露出される。
【0056】
第2無機絶縁層233は、基板101の中央から外側に向かって、第2有機絶縁層236に接し覆われる。第2無機絶縁層233の斜面の一部は、第2有機絶縁層236に覆われずに露出される。
【0057】
第2有機絶縁層236は、基板101の中央から外側に向かって、偏光板102に接し覆われる。第2有機絶縁層236の斜面の一部は、偏光板102に覆われずに露出される。
【0058】
図5は、図1に示す表示装置100をC1-C2線に沿って切断した断面図である。図1~4と同一、または類似する構成については説明を省略することがある。図5に示されるように、基板101の周辺領域110は、走査線駆動回路部104が設けられる領域である。走査線駆動回路部104は、トランジスタ250を含む。トランジスタ250は、画素109に設けられるトランジスタ210および220と同様の構成であってもよく、異なる構成であってもよい。また、走査線駆動回路部104においては、遮光層203を設けなくてもよい。
【0059】
走査線駆動回路部104と基板101の端部の間の領域に、対向電極224と透明導電膜226Aが接続される陰極コンタクト140Aが設けられる。透明導電膜226Aは、導電層227A、導電層228A、配線層229Aと電気的に接続される。すなわち、対向電極224は、配線層229Aによって、複数の端子107のいずれかと電気的に接続される。
【0060】
図5に示される基板101の周辺領域110において、基板周縁部300の構造は図4~6において説明された構造と同様の構造であるため、ここでの説明は省略される。
【0061】
図6は、図1に示す表示装置100をD1-D2線に沿って切断した断面図である。図6に示される基板101の周辺領域110は、折曲部130と複数の端子107と、を含む。
【0062】
発光素子240の対向電極224は、透明導電膜226と接続される陰極コンタクト140Bが設けられる。配線層243は、引き回し配線である。配線層243は、周辺領域110において延伸し、基板101の端部付近で露出される。配線層243と透明導電膜245と接する領域が端子107となる。
【0063】
基板101の折り曲げに伴い、特に、無機絶縁層などは靱性に乏しいため、容易にクラックを生ずる。本発明の一実施形態に係る表示装置100は、折曲部130の無機絶縁層が除去されているため、基板101の折り曲げに伴い、折曲部130にクラックが入ることがない。なお、この領域の強度確保のため、折曲部130を覆うように、配線層244上に樹脂層等をさらに設けても良い。
【0064】
図6に示される基板101の折曲部130近傍の基板周縁部300の構造も、図4および5において説明された構造と同様の構造であるため、ここでの説明は省略される。なお、図6において、基板周縁部300の第1無機絶縁層231と第2層間絶縁層209の間に設けられる隔壁272はなくてもよい。その場合、図4および5と同様に、第1無機絶縁層231が第2層間絶縁層209と重畳し接する。
【0065】
図7は、図6に示される基板周縁部の一部305を拡大した図である。図7に示されるように、基板周縁部300において、第1無機絶縁層231が露出する領域の幅はWで示される。第1無機絶縁層231が露出する斜面と、第1無機絶縁層231が接する隔壁272の表面とのなす角度はαで示される。本発明の一実施形態において、第1無機絶縁層231が露出する領域の幅Wは、3.7μm以上5.6μm以下の範囲の値であることが好ましく、角度αは20度以上26度以下の範囲の値であることが好ましい。
【0066】
図8(A)は、図7に示される基板周縁部の一部305をさらに拡大し、基板周縁部の一部307を示した拡大図である。図8(B)は、図8(A)を上面からみた上面図である。図8(A)は、図8(B)のE1-E2線に沿って切断した断面図である。
【0067】
図8(A)および(B)に示されるように、基板周縁部の一部307において、第1無機絶縁層231が露出する領域は、凹凸部301を含む。凹凸部301は、例えば、複数の有底孔302を含む。有底孔302の径はDで示され、有底孔302の深さはDEPで示される。
【0068】
有底孔302の径Dは、第1無機絶縁層231の露出する斜面に形成される径を直径とする。なお、有底孔302の径Dは、第1無機絶縁層231の露出する斜面に形成される径の直径でなくともよい。例えば、有底孔302の底面の径としてもよい。また、有底孔302が円とみなせない場合、有底孔302の径Dの周囲の長さを円周とするような円の直径を、有底孔302の径Dの直径とする。また、図8(A)に示されるように、有底孔302の深さDEPは、例えば、第1無機絶縁層231の露出する斜面から、第1無機絶縁層231の露出する斜面と平行な線に接する点に引いた垂線の長さと定義する。本発明の一実施形態において、有底孔302の径Dは、0.1μm以上0.6μm以下の範囲の値であることが好ましい。
【0069】
図8(A)および(B)において、有底孔302の形状は、円状である例が示される。有底孔302の形状は、図8(A)および(B)に示された形状に限定されない。有底孔302の形状は、だ円状でもよく、多角形状でもよい。また、図8(A)および(B)において、有底孔302は、互いに接する部分と接しない部分を含むが、この構成に限定されない。さらに、複数の有底孔302の大きさは、略同じであってもよく、異なっていてもよい。複数の有底孔302の配置はランダムに設けられるが、E1-E2に沿う方向と、E1-E2交差する方向に配列されてもよい。また、凹凸部301の一部の領域において、複数の有底孔302の大きさは、第2無機絶縁層233側から、第2層間絶縁層209側に向かって、大きくなるように設けられてもよく、複数の有底孔302の大きさは、第2無機絶縁層233側から、第2層間絶縁層209側に向かって、小さくなるように設けられてもよい。
【0070】
第1有機絶縁層232を、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233で封止することで、外部から侵入した水分が、第1有機絶縁層232を介して発光素子240に到達することを抑制することができる。また、第2有機絶縁層236が、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233をエッチングするためのマスクとして機能するため、第2無機絶縁層233の斜面の一部、および第1無機絶縁層231の斜面の一部を、基板101の中央に設けられる第2無機絶縁層233、および第1無機絶縁層231対して露出させることができる。さらに、基板周縁部300において、第1無機絶縁層231が露出する領域が、凹凸部301を含むことで、表示装置に入射する光が乱反射する。その結果、基板周縁部300は、黒い線のように見えるようになる。よって、表示装置100の製造時の検査において、表示領域103に対して基板周縁部300を特定することができる。すなわち、本発明の一実施形態に係る表示装置100の製造時の検査において、表示装置100の封止される位置を特定することができる。したがって、本発明の一実施形態に係る表示装置100は、発光素子に水分が侵入する製造不良を早期に発見することが可能な表示装置である。
【0071】
なお、図4~8においては、第2有機絶縁層236が、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233を覆い、第2有機絶縁層236をエッチングによって後退させることで、第1無機絶縁層231がエッチングされた例を示した。第2有機絶縁層236をエッチングによって後退させることで、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233の両方がエッチングされてもよい。その場合、第1無機絶縁層231と同様に、第2無機絶縁層233も凹凸部301を有してもよい。
【0072】
本発明の一実施形態に係る表示装置100は、図4図8を参照して説明した構造を有することで、外部から侵入する水分を低減することができる。また、本発明の一実施形態に係る表示装置100の製造時の検査において、表示装置100の封止される位置を特定することができる。したがって、本発明の一実施形態に係る表示装置100は、発光素子に水分が侵入する製造不良を早期に発見することが可能な表示装置である。
【0073】
<5.表示装置の製造方法>
図9Aおよび図9Bは、本発明の一実施形態に係る表示装置100の製造方法を示す断面図である。図9Aおよび図9Bに示されるように、製造方法の説明は、図6と同様に、図1に示す表示装置100をD1-D2線に沿って切断した断面図を例に説明される。基板101から対向電極224までの製造方法は、例えば、公知技術である表示装置におけるトランジスタの作製工程および発光素子の作製工程を利用することができる。なお、これらの作製方法について、ここでの詳細な説明は省略される。図1図8と同一、または類似する構成については説明を省略することがある。
【0074】
図9Aに示されるように、封止膜260が発光素子240の対向電極224上に形成される。封止膜260の一つとして、第1無機絶縁層231を形成する。続いて、封止膜260の一つとして、第1有機絶縁層232が、第1無機絶縁層231上に形成される。第1無機絶縁層231は、スパッタリング法またはCVD法などで形成することができる。また、第1有機絶縁層232は、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、またはインクジェット法などで形成することができる。
【0075】
次に、封止膜260の一つとして、第2無機絶縁層233が第1有機絶縁層232上に形成される。第2無機絶縁層233は、第1無機絶縁層231と同様に、スパッタリング法またはCVD法などで形成することができる。
【0076】
続いて、図9Bに示されるように、第2有機絶縁層236が、第2無機絶縁層233上に形成される。第2有機絶縁層236の膜厚が10μm未満の場合、後工程におけるハンドリングに伴うキズを防止できない可能性がある。また、第2有機絶縁層236の膜厚が、例えば、20μmを超えると、第2有機絶縁層236を形成する材料である樹脂の塗布量が多くなるため、硬化不良に起因する表示不良(スジ等)が生じる可能性がある。よって、第2有機絶縁層236の膜厚は、10nm以上20μm以下の範囲の値であることが好ましい。
【0077】
次に、図示は省略されるが、第2有機絶縁層236をマスクとして、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233をエッチングする。本発明の一実施形態において、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233は、ドライエッチングによって形成される。例えば、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233は、フッ素系ガスと、酸素ガス(Oガス)を用いて、ドライエッチングされる。フッ素系ガスと、酸素ガス(Oガス)を用いることによって、第2無機絶縁層233は、図5および図6に示されるような斜面と、凹凸部301を有することができる。
【0078】
また、例えば、フッ素系ガスと、酸素ガス(Oガス)のガス流量比を変えることで、第1無機絶縁層231の斜面の角度α、第1無機絶縁層231の幅W、有底孔302の径D、有底孔302の深さDEPなどを変えることができる。すなわち、フッ素系ガスと、酸素ガス(Oガス)のガス流量比を変えることで凹凸部301の構造を変えることができる。具体的には、フッ素系ガスに対して酸素ガス(Oガス)のガス流量比を減らすことで、有底孔302の径Dを大きく、有底孔302の深さDEPを深くすることができる。すなわち、第1無機絶縁層231の表面を粗くすることができる。
【0079】
例えば、イオンクロマトグラフ法によって、ドライエッチング前後の第1無機絶縁層231中のイオン種成分を測定すると、ドライエッチング後の第1無機絶縁層231におけるフッ素イオンの割合は、ドライエッチング前の第1無機絶縁層231におけるフッ素イオンの割合の2倍以上となる。このとき、第1無機絶縁層231の面積は、210μmである。
【0080】
また、例えば、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)によって、ドライエッチング前後の第1無機絶縁層231中のイオン種成分を測定すると、ドライエッチング後の第1無機絶縁層231におけるフッ素イオンの割合は、ドライエッチング前の第1無機絶縁層231におけるフッ素イオンの割合の100倍以上となる。このとき、第1無機絶縁層231の面積は、500μmである。
【0081】
第2無機絶縁層233の表面が粗くなると、凹凸部301の凹凸の差がより明瞭になるため、表示装置に入射する光が乱反射し易くなる。その結果、基板周縁部300の黒い線が、より明瞭になる。よって、本発明の一実施形態に係る表示装置100の製造時の検査において、表示装置100の封止される位置を特定し易くなるため、発光素子に水分が侵入する製造不良を発見し易くなる。
【0082】
第2有機絶縁層236をエッチングによって後退させることで、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233がエッチングされ、第2有機絶縁層236、第2無機絶縁層233、および第1無機絶縁層231に斜面が形成される。また、第2有機絶縁層236をエッチングによって後退させることで、第2無機絶縁層233の斜面の一部、および第1無機絶縁層231の斜面の一部を、基板101の中央に設けられる第2無機絶縁層233、および第1無機絶縁層231対して露出させることができる。基板101の中央に設けられる第2無機絶縁層233、および第1無機絶縁層231は、第2有機絶縁層236によって覆われている。そのため、基板101の中央に設けられる第2無機絶縁層233、および第1無機絶縁層231には、基板周縁部300に示されるような凹凸部301は形成されない。したがって、本発明の一実施形態に係る表示装置100は、基板101の中央部(表示領域103の中央部)と、表示領域103に連続して設けられる周辺領域110の基板周縁部300において、第1無機絶縁層231の表面の粗さを変えることができる。本発明の一実施形態に係る第1無機絶縁層231の構成によって、表示領域103の中央部と、基板周縁部300の色目を変えることができる。
【0083】
また、第2有機絶縁層236をマスクとして、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233をエッチングすることで、基板101の周辺領域110において、第1無機絶縁層231および第2無機絶縁層233が除去され、端子107を露出させることができる。
【0084】
最後に、第2有機絶縁層236上に、偏光板102を貼り付けることで、本発明の一実施形態に係る表示装置100を製造することができる。
【0085】
<第2実施形態>
本発明の一実施形態に係る表示装置100の構造の他の一例について、図10乃至図13を参照して説明する。本発明の一実施形態では、封止膜260の上方にタッチセンサ120が設けられた表示装置100Aについて説明する。図1図9と同一、または類似する構成については説明を省略することがある。
【0086】
図10は、本発明の一実施形態に係る表示装置100Aの平面図である。図10に示す表示装置100Aは、基板101上に設けられた表示領域103と重なるようにタッチセンサ120が設けられていること、および走査線駆動回路部104と、偏光板102の図示を省略していること以外は、図1に示す表示装置100の構成と同様である。
【0087】
タッチセンサ120は、行方向にストライプ状に配列された複数のセンサ電極121と、列方向にストライプ状に配列された複数のセンサ電極122と、をする。センサ電極121とセンサ電極122の一方は送信電極(Tx)、他方は受信電極(Rx)とも呼ばれる。各センサ電極121と各センサ電極122は互いに離間しており、これらの間で容量が形成される。例えば、人の指等がセンサ電極121およびセンサ電極122を介して表示領域103に触れる(以下、タッチとする)ことで容量が変化し、この変化を読み取ることでタッチの位置が決定される。このように、センサ電極121とセンサ電極122により、いわゆる投影型静電容量方式のタッチセンサ120が形成される。
【0088】
センサ電極122は、周辺領域110に配置される配線層243と電気的に接続される。端子107は、フレキシブルプリント回路基板108と接続され、ドライバIC106からタッチセンサ用信号が、端子107を経由してセンサ電極122に与えられる。なお、配線層243は、走査線駆動回路部104と重なる領域に設けられていてもよい。
【0089】
同様に、センサ電極121は、周辺領域110に配置される配線層244と電気的に接続される。端子107は、フレキシブルプリント回路基板108と接続され、ドライバIC106からタッチセンサ用信号が、端子107を介してセンサ電極122に与えられる。
【0090】
タッチセンサ120において、センサ電極121は、ほぼ四角形の形状を有する複数の開口134を含む導電層131と、接続電極123と、を有し、センサ電極122は、ほぼ四角形の形状を有する複数の開口132を含む導電層133と、接続領域135と、を有している。また、センサ電極121と、センサ電極122とは、互いに離間しており、電気的に独立する。
【0091】
図11は、図10に示す表示装置100Aにおける領域150の拡大図である。図11において、センサ電極121とセンサ電極122とを区別するために、異なるハッチングを付して図示しているが、センサ電極121とセンサ電極122とは同じ導電層から形成されるものである。センサ電極121において、左右に隣り合う導電層133は、接続領域135を介して接続されている。センサ電極122において、上下に隣り合う導電層131は、接続電極123を介して接続されている。導電層131および導電層133の各々において、複数の開口132および複数の開口134は、マトリクス状に配列されている。これにより、導電層131および導電層133は、メッシュ状の形状を有している。ここで、導電層131を構成する配線の幅lは、1μm以上10μm以下または2μm以上8μm以下、典型的には5μmである。同様に、導電層133を構成する配線の幅mは、1μm以上10μm以下または2μm以上8μm以下、典型的には5μmである。
【0092】
図11に示すように、左右に隣り合う導電層133を接続する接続領域135は、第1方向に沿って設けられており、上下に隣り合う導電層131を接続する接続電極123は、第1方向と交差する第2方向に沿って設けられている。換言すると、接続電極123は、センサ電極121の一部と交差する領域を有している。なお、図11において、接続電極123の幅は、導電層131の幅lと同じ幅で図示しているが、導電層131の幅lよりも大きくてもよい。接続電極123は、画素109の発光素子240の発光領域と重ならないことが好ましい。
【0093】
図12は、図11に示すタッチセンサ120をG1-G2線に沿って切断した断面図である。なお、図12において、第1無機絶縁層231よりも下層の構造については図示を省略している。図12に示すように、センサ電極121とセンサ電極122とが接触することを防止するために、センサ電極121の導電層131およびセンサ電極122の導電層133の下層に第3無機絶縁層237を設ける。そして、当該第3無機絶縁層237を介して、センサ電極122の上下に隣り合う導電層131を接続するための接続電極123を設ける。これにより、センサ電極121とセンサ電極122とが交差する領域において、センサ電極121とセンサ電極122とが接触することを防止できる。
【0094】
第3無機絶縁層237は第2有機絶縁層236と接する。第3無機絶縁層237の材料として、第1無機絶縁層231または第2無機絶縁層233の材料と同様の材料を用いることで、第3無機絶縁層237は、第2有機絶縁層236との密着性を向上させることができる。第3無機絶縁層237の材料として、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、または窒化酸化シリコンなどを用いることができる。
【0095】
図13は、図10に示す表示装置100AをF1-F2線に沿って切断した断面図である。具体的には、図13は、センサ電極122と接続電極123との接続領域を示す。基板101から封止膜260までの構成については、図1と同様である。本発明の一実施形態では、封止膜260の第2無機絶縁層233上に、タッチセンサ120が設けられている。第2無機絶縁層233上に、接続電極123が設けられ、接続電極123上に、第2有機絶縁層236が設けられ、第2有機絶縁層236上に、センサ電極122が設けられている。配線層244Aは、周辺領域110において延伸し、周辺領域110の端部付近で露出される。配線層244Aと透明導電膜245と接する領域が端子107となる。
【0096】
表示装置100Aの基板周縁部300の構成は、表示装置100と同様の構成を有する。したがって、封止膜260の上方にタッチセンサ120が設けられた表示装置100Aにおいても、表示装置100と同様に、製造時の検査において、封止される位置を特定することができる。
【0097】
本発明の実施形態として上述した表示装置100および100Aを元にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0098】
本発明の一実施形態においては、開示例として有機EL表示装置の場合を例示したが、その他の自発光型表示装置等、あらゆるフラットパネル型の表示装置に適用することができる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能であることは言うまでもない。
【0099】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に相当し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0100】
また、本発明の一実施形態において態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0101】
100、100A:表示装置、101:基板、101a:第1樹脂層、101b:無機層、101c:第2樹脂層、102:偏光板、103:表示領域、104:走査線駆動回路部、105:端子部、107:端子、108:フレキシブルプリント回路基板、109:画素、110:周辺領域、111:走査線、112:信号線、114:駆動電源線、116:基準電源線、120:タッチセンサ、121:センサ電極、122:センサ電極、123:接続電極、130:折曲部、131:導電層、132:開口、133:導電層、134:開口、135:接続領域、140:陰極コンタクト、140A:陰極コンタクト、140B:陰極コンタクト、150:領域、202:アンダーコート層、202a:酸化シリコン層、202b:窒化シリコン層、202c:酸化シリコン層、203:遮光層、204:半導体層、204a:チャネル領域、204b:低濃度不純物領域、204c:低濃度不純物領域、204d:ソース領域、204e:ドレイン領域、205:ゲート絶縁層、206a:ゲート電極、206b:導電層、207:第1層間絶縁層、208a:ソース電極、208b:ドレイン電極、209:第2層間絶縁層、210:トランジスタ、211:平坦化膜、212a:透明導電膜、212b:透明導電膜、213:絶縁層、220:トランジスタ、222:画素電極、223:有機層、224:対向電極、225:絶縁層、226:透明導電膜、226A:透明導電膜、227:導電層、227A:導電層、228:導電層、228A:導電層、229:配線層、229A:配線層、230:容量素子、231:第1無機絶縁層、232:第1有機絶縁層、233:第2無機絶縁層、236:第2有機絶縁層、237:第3無機絶縁層、240:発光素子、243:配線層、244:配線層、244A:配線層、245:透明導電膜、250:トランジスタ、260:封止膜、271:隔壁、272:隔壁、300:基板周縁部、301:凹凸部、302:有底孔、基板周縁部の一部:305、基板周縁部の一部:307
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