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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/00 20060101AFI20231204BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
A47C7/00 Z
A47C7/02 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019195305
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021065591
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】原 永祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 裕一郎
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-198904(JP,A)
【文献】特開2012-090792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00
A47C 4/00
A47C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者が着座可能な着座面を有する座と、
前記座を前記着座者が着座可能な使用状態と前記使用状態に対して起立した収納状態との間で椅子の幅方向に沿う軸回りに回動可能に支持する支持構造体と、を備え、
前記座は、前記着座面とは反対側に向かって突出する突出部を有し、
前記支持構造体は、前記幅方向に離間する一対の脚構成部材同士を連結する脚側連結部材を備え、
前記脚側連結部材は、前記使用状態で前記突出部の先端が前記椅子の奥行方向の目標位置に位置するように前記座が前記収納状態から前記使用状態に移行する過程で前記突出部をガイドするガイド面を有し、
前記幅方向と直交する断面視で、
前記突出部は、前記着座面とは反対側に向かって凸をなすとともに、前記奥行方向の端部から中央部に向けて傾く面を有し、
前記ガイド面は、前記凸に対応して凹み、前記傾く面よりも大きく傾いていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
着座者が着座可能な着座面を有する座と、
前記座を前記着座者が着座可能な使用状態と前記使用状態に対して起立した収納状態との間で椅子の幅方向に沿う軸回りに回動可能に支持する支持構造体と、を備え、
前記座は、前記着座面とは反対側に向かって突出する突出部を有し、
前記支持構造体は、前記幅方向に離間する一対の脚構成部材同士を連結する脚側連結部材を備え、
前記脚側連結部材は、前記使用状態で前記突出部の先端が前記椅子の奥行方向の目標位置に位置するように前記座が前記収納状態から前記使用状態に移行する過程で前記突出部をガイドするガイド面を有し、
前記幅方向と直交する断面視で、
前記突出部は、前記着座面とは反対側に向かって凸の弧状をなす弧状面を有し、
前記ガイド面は、前記弧状面の前記凸に対応して凹み、前記弧状面の曲率半径よりも大きい弧状をなしていることを特徴とする椅子。
【請求項3】
前記座は、
前記幅方向に離間する一対の杆材と、
前記一対の杆材同士を連結する座側連結部材と、を備え、
前記突出部は、前記使用状態で前記座側連結部材が前記脚側連結部材と対向する部位に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の椅子。
【請求項4】
前記座側連結部材は、
前記幅方向に延びる延在部と、
前記延在部の前記幅方向の外端から前記一対の杆材に向かって屈曲して前記一対の杆材に前記着座面が設けられた側とは反対側から連結される屈曲部と、を備え、
前記幅方向と直交する断面視で、前記屈曲部は、前記着座面とは反対側に向かって凸の弧状をなしていることを特徴とする請求項3に記載の椅子。
【請求項5】
前記脚側連結部材は、前記ガイド面に沿う弧状をなして凹む当接面を有し、前記使用状態で前記突出部が当接する弾性変形可能な当接部を備えることを特徴とする請求項4に記載の椅子。
【請求項6】
前記当接部は、前記幅方向に間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする請求項5に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子において、着座者が着座可能な着座面を有する座と、座を着座者が着座可能な使用状態と使用状態に対して起立した収納状態との間で椅子の幅方向に沿う軸回りに回動可能に支持する支持構造体と、を備えるものが公知である。
例えば、特許文献1では、座は、張地を座枠により支持してなる座本体と、座本体を支持する座フレームと、を備える。座フレームは、支持構造体に対して軸部材を介して回動可能に支持されている。座フレームは、座枠の下面に添接する枠フレーム部と、枠フレーム部に架設された横架フレーム部と、を備える。支持構造体は、左右に対をなす脚構成部材と、左右の脚構成部材同士を連結するジョイント材と、を備える。ジョイント材は、座を下から支持しうる座受として機能する。ジョイント材は、左右方向に延びる角柱状をなしている。ジョイント材は、略水平をなす上向面を有する。ジョイント材の上向面には、使用状態における座の横架フレーム部の下面が当接するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-63166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ジョイント材の上向面が略水平をなしていると、座及び支持構造体を構成する各部材に生じる成型時・加工時の寸法誤差等によって、使用状態における前後方向(椅子の奥行方向)の設置位置に対してジョイント材及び横架フレームの位置がずれる場合がある。この場合、位置ずれに起因する座への局所的な負荷が大きくなる可能性がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、位置ずれに起因する座への局所的な負荷を抑制することが可能な椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る椅子は、着座者が着座可能な着座面を有する座と、前記座を前記着座者が着座可能な使用状態と前記使用状態に対して起立した収納状態との間で椅子の幅方向に沿う軸回りに回動可能に支持する支持構造体と、を備え、前記座は、前記着座面とは反対側に向かって突出する突出部を有し、前記支持構造体は、前記幅方向に離間する一対の脚構成部材同士を連結する脚側連結部材を備え、前記脚側連結部材は、前記使用状態で前記突出部の先端が前記椅子の奥行方向の目標位置に位置するように前記座が前記収納状態から前記使用状態に移行する過程で前記突出部をガイドするガイド面を有し、前記幅方向と直交する断面視で、前記突出部は、前記着座面とは反対側に向かって凸をなすとともに、前記奥行方向の端部から中央部に向けて傾く面を有し、前記ガイド面は、前記凸に対応して凹み、前記傾く面よりも大きく傾いていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る椅子は、着座者が着座可能な着座面を有する座と、前記座を前記着座者が着座可能な使用状態と前記使用状態に対して起立した収納状態との間で椅子の幅方向に沿う軸回りに回動可能に支持する支持構造体と、を備え、前記座は、前記着座面とは反対側に向かって突出する突出部を有し、前記支持構造体は、前記幅方向に離間する一対の脚構成部材同士を連結する脚側連結部材を備え、前記脚側連結部材は、前記使用状態で前記突出部の先端が前記椅子の奥行方向の目標位置に位置するように前記座が前記収納状態から前記使用状態に移行する過程で前記突出部をガイドするガイド面を有し、前記幅方向と直交する断面視で、前記突出部は、前記着座面とは反対側に向かって凸の弧状をなす弧状面を有し、前記ガイド面は、前記弧状面の前記凸に対応して凹み、前記弧状面の曲率半径よりも大きい弧状をなしていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ガイド面が使用状態で突出部の先端が椅子の奥行方向の目標位置に位置するように座が収納状態から使用状態に移行する過程で突出部をガイドすることにより、座及び支持構造体を構成する各部材に成型時・加工時の寸法誤差等が生じた場合であっても、使用状態で突出部の先端を椅子の奥行方向の目標位置に合わせることができる。したがって、位置ずれに起因する座への局所的な負荷を抑制することができる。
【0008】
本発明の一態様において、前記幅方向と直交する断面視で、前記突出部は、前記着座面とは反対側に向かって凸の弧状をなす弧状面を有し、前記ガイド面は、前記弧状面の前記凸に対応して凹み、前記弧状面の曲率半径よりも大きい弧状をなしていてもよい。
この構成によれば、突出部の弧状面及びガイド面のそれぞれが弧状をなしていることにより、使用状態において両方の面が馴染みやすいため、座への局所的な負荷をより効果的に抑制することができる。
【0009】
本発明の一態様において、前記座は、前記幅方向に離間する一対の杆材と、前記一対の杆材同士を連結する座側連結部材と、を備え、前記突出部は、前記使用状態で前記座側連結部材が前記脚側連結部材と対向する部位に設けられていてもよい。
この構成によれば、座側連結部材は一対の杆材同士を連結するという機能上、座側連結部材には大きな強度が要求されるが、突出部が座側連結部材において脚側連結部材と対向する部位に設けられることにより、突出部と脚側連結部材とが当接した状態(使用状態)における堅牢性を維持することができる。
【0010】
本発明の一態様において、前記座側連結部材は、前記幅方向に延びる延在部の前記幅方向の外端から前記一対の杆材に向かって屈曲して前記一対の杆材に前記着座面とは反対側から連結される屈曲部を備え、前記幅方向と直交する断面視で、前記屈曲部は、前記着座面が設けられた側とは反対側に向かって凸の弧状をなしていてもよい。
この構成によれば、屈曲部(座側連結部材における杆材への連結部)が弧状をなしていることにより、着座荷重に対する堅牢性を維持することができる。例えば、着座時に座側連結部材に荷重が加わると、座側連結部材の幅方向の外端と杆材との連結部を中心とするモーメント荷重が発生するが、屈曲部が弧状をなしていることにより、モーメント荷重に対して堅牢性を維持することができる。
【0011】
本発明の一態様において、前記脚側連結部材は、前記ガイド面に沿う弧状をなして凹む当接面を有し、前記使用状態で前記突出部が当接する弾性変形可能な当接部を備えてもよい。
この構成によれば、当接部の当接面がガイド面に沿う弧状をなしていることにより、使用状態において突出部の弧状面及び当接部の当接面が馴染みやすいため、座への局所的な負荷をより効果的に抑制することができる。加えて、使用状態で突出部が弾性変形可能な当接部に当接することにより、着座時等の衝撃を当接部で吸収することができる。
【0012】
本発明の一態様において、前記当接部は、前記幅方向に間隔をあけて複数設けられていてもよい。
この構成によれば、複数の当接部が設けられていることにより、座への局所的な負荷をより効果的に抑制することができる。加えて、着座時等の衝撃を複数の当接部で吸収することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、位置ずれに起因する座への局所的な負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る椅子の斜視図。
図2】実施形態に係る椅子の前面図。
図3】実施形態に係る椅子の左側面図。
図4】実施形態に係る椅子の上面図。
図5】実施形態に係る椅子の下面図。
図6】実施形態に係る座の収納状態の左側面図。
図7】実施形態に係る座側連結部材の上面図。
図8図7のVIII-VIII断面を含む前面図。
図9図7のIX-IX断面を含む左側面図。
図10図7のX-X断面を含む左側面図。
図11図7のXI-XI断面を含む左側面図。
図12】実施形態に係るガイド前面の作用説明図。
図13】実施形態に係るガイド後面の作用説明図。
図14】実施形態の変形例に係るガイド面の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。各図において、同一構成については同一の符号を付す。実施形態においては、椅子の一例として、着座者が着座可能な着座面を有する座と、座を着座者が着座可能な使用状態と使用状態に対して起立した収納状態との間で椅子の幅方向に沿う軸回りに回動可能に支持する支持構造体と、を備える椅子を挙げて説明する。実施形態において、椅子が設置される設置面は、水平面とする。
【0016】
[椅子]
図1に示すように、椅子1は、座2と、支持構造体3と、背凭れ4と、肘掛け5と、を備える。座2、背凭れ4及び肘掛け5は、支持構造体3に支持されている。図1図5は、座2の使用状態を示している。図6は、座2の収納状態を示している。
【0017】
以下の説明においては、前後上下左右等の向きは、特に記載がなければ、水平面に設置した椅子1の使用状態の座2に、正規姿勢で着座した着座者の正面側を「前」、その反対側を「後」として説明する。つまり、図2に示す紙面に直交する方向を「前後方向(椅子1の奥行方向)」とする。また、水平面の法線方向(鉛直方向)を「上下方向(椅子1の高さ方向)」とする。また、前後方向および上下方向のそれぞれに直交する方向を「左右方向(椅子1の幅方向)」とする。図中において、前方を矢印FR、上方を矢印UP、左方を矢印LHでそれぞれ示している。
【0018】
[座]
図1に示すように、座2は、着座者が着座可能な着座面10aを有する張地10(座面構成部材)と、張地10が張設される矩形枠状の座枠11と、左右方向に延びる座側連結部材12と、を備える。座2は、使用状態において座側連結部材12(座側対向面12a)が脚側連結部材31(脚側対向面31a)に当接している(図8参照)。例えば、座枠11及び座側連結部材12は、同一の部材(例えば樹脂部材)で一体に形成されている。
【0019】
張地10は、伸縮可能(弾性変形可能)なシート状をなしている。張地10の外周部は、張地10が前後方向及び左右方向に引っ張られた状態で、座枠11に支持されている。張地10のうち座枠11よりも内側の部分(着座面10a)は、上下方向に弾性変形可能とされている。
【0020】
図4に示すように、座枠11は、左右方向に離間する一対の杆材15を備える。杆材15は、前後方向に延びている。左右一対の杆材15には、張地10(図1参照)の左右方向の端部が支持されている。伸長状態にある張地10の端部が杆材15に脱落不能に支持されることで、張地10は一対の杆材15の間に張設されている(図8参照)。
【0021】
座側連結部材12は、左右一対の杆材15同士を連結している。座側連結部材12は、座2の使用状態で脚側連結部材31と対向する座側対向面12a(下面)を有する(図8参照)。図8に示すように、座側連結部材12は、左右方向に延びる座側延在部20(延在部)と、座側延在部20の左右方向の外端から左右一対の杆材15に向かって屈曲する屈曲部21と、を備える。
【0022】
図10に示すように、座側延在部20は、着座面10a(図1参照)とは反対側(使用状態の座2の下側)に向かって突出する突出部22を有する。図10の断面視(左右方向と直交する断面視)で、突出部22は、着座面10aとは反対側に向かって凸の弧状をなす弧状面22aを有する。突出部22は、座2の使用状態で座側連結部材12が脚側連結部材31と対向する部位に設けられている。突出部22は、座側延在部20の左右方向の全体にわたって設けられている。座2の使用状態で、突出部22の先端22pは、座側延在部20の下端に位置する。
【0023】
座側延在部20は、左右方向に延びる溝部23を有する(図9参照)。図9に示すように、溝部23は、座側対向面12aに形成されている。溝部23は、使用状態で前後方向に間隔をあけて一対設けられている。前後一対の溝部23は、互いに略同じ左右方向の長さを有する。使用状態で、溝部23の左右方向の両端部は、上下方向から見て左右一対の当接部45と重なる。
【0024】
図8に示すように、屈曲部21は、一対の杆材15に着座面10a(図1参照)とは反対側から連結されている。屈曲部21は、一対の杆材15に使用状態の座2の下側から連結されている。図7の上面視で、屈曲部21の前後方向の長さは、左右方向の外側に向かうに従って徐々に大きくなっている。図11の断面視(左右方向と直交する断面視)で、屈曲部21は、着座面10a(図1参照)とは反対側に向かって凸の弧状をなしている。
【0025】
座側連結部材12は、左右方向と直交する断面視(図10図11の断面視)で、着座面10a(図1参照)とは反対側に向かって凸の弧状をなしている。使用状態で、上下方向における座側連結部材12の高さは、左右方向の内側(中央部25)に向かうに従って徐々に低くなっている(図8参照)。図8に示すように、座側連結部材12は、左右方向の中央に位置する中央部25と、中央部25の左右方向の外端と左右一対の杆材15とを連結する補強部26と、を備える。
【0026】
図7に示すように、中央部25は、座側延在部20の左右方向の中央に位置している。中央部25は、座側連結部材12のうちリブ28A~28Cを有しない部分(中央リブ28Aの左右方向の内端よりも左右方向の内側の部分)である。中央部25は、座2の使用状態で着座者の臀部の中央と対向する部分である。
【0027】
使用状態で、上下方向における中央部25の高さ(以下単に「中央部高さ」ともいう。)は、上下方向における補強部26の高さ(以下単に「補強部高さ」ともいう。)よりも低い(図8参照)。ここで、中央部高さは、中央部25の左右方向全体で基準(例えば、椅子1の設置面)からの高さが最も高い位置における基準からの高さを意味する。図8に示すように、補強部高さH2は、中央部高さH1よりも上端の高さが左右方向全体にわたって高くなっている(H2>H1)。言い換えると、着座面10aに着座者の荷重がかかっていない状態で、張地10との間に形成された間隔の上下方向の寸法は、中央部25に対して補強部26の方が小さい。使用状態で、中央部高さは、左右方向の全体にわたって一様である。使用状態で、補強部高さ、左右方向の内側(中央部25)に向かうに従って徐々に低くなっている。
【0028】
補強部26は、中央部25よりも上下方向への曲げ変形への剛性が高い。補強部26は、左右方向と直交する断面視で中央部25よりも断面積が大きい(図10参照)。図10に示すように、補強部26は、使用状態で上下方向に厚みを有する板状部27と、使用状態で板状部27から上方に突出するリブ28A~28Cと、を備える。補強部26は、座側連結部材12のうちリブ28A~28Cを有する部分である。
【0029】
リブ28A~28Cは、使用状態で前後方向に厚みを有する。リブ28A~28Cの厚みは、板状部27の厚みと略同じ大きさとすることが好ましい。リブ28A~28Cは、左右方向に延びている。使用状態におけるリブ28A~28Cの高さは、幅方向の内側に向かうに従って徐々に低くなっている(図8参照、図8ではリブ28Aのみ図示)。リブ28A~28Cは、使用状態で前後方向に間隔をあけて複数(例えば本実施形態では3つ)設けられている(図7参照)。
【0030】
図7に示すように、3つのリブ28A~28Cは、使用状態で前後方向の中央に位置する中央リブ28Aと、使用状態で中央リブ28Aの前方に位置する前リブ28Bと、使用状態で中央リブ28Aの後方に位置する後リブ28Cと、である。中央リブ28Aは、前リブ28B及び後リブ28Cのそれぞれよりも左右方向の長さが大きい。前リブ28B及び後リブ28Cは、互いに略同じ左右方向の長さを有する。中央リブ28Aの左右方向の内端は、当接部45よりも左右方向の内側に位置している(図8参照)。
【0031】
[支持構造体]
図1に示すように、支持構造体3は、左右一対の脚構成部材30と、左右一対の脚構成部材30同士を連結する脚側連結部材31と、を備える。
脚構成部材30は、前脚部35と、前脚部35の後方に位置する後脚部36と、座2の後方の左右両側部を軸支する座取付部37と、背凭れ4の左右両端部を支持する背支持部38と、を備える。
【0032】
図3の側面視で、前脚部35は、下側に向かうに従って前方に位置するように傾斜して延びている。
後脚部36は、下側に向かうに従って後方に位置するように傾斜して延びている。後脚部36の上下方向の中央近傍には、前脚部35の後端が連結されている。
前脚部35及び後脚部36の下端には、キャスター39が取り付けられている。
【0033】
座取付部37は、後脚部36における前脚部35の連結位置よりも上方に設けられている。座取付部37は、後脚部36から前方に延びている。
図1に示すように、背支持部38は、後脚部36の上端から上方に延びている。背支持部38は、背凭れ4の左右両端部の開口部(不図示)に差し込まれている。背支持部38は、肘掛け5と共に背凭れ4に側方からねじ止めされている。
【0034】
図8に示すように、脚側連結部材31は、使用状態で座側対向面12aと対向する脚側対向面31a(上面)を有する。図2に示すように、脚側連結部材31は、左右方向に延びる脚側延在部40と、脚側延在部40の左右方向の外端から左右一対の脚構成部材30(前脚部35)に向かって傾斜して延びる傾斜延在部41と、傾斜延在部41の左右方向の外端と左右一対の脚構成部材30(前脚部35)同士とを連結する傾斜連結部42と、を備える。例えば、脚側延在部40、左右一対の傾斜延在部41および左右一対の傾斜連結部42は、同一の部材(例えば樹脂部材)で一体に形成されている。
【0035】
脚側延在部40は、座2の使用状態で座側延在部20を下方から支持する。図4の上面視で、脚側延在部40の前後方向の長さは、左右方向の全体にわたって座側延在部20よりも大きい。
【0036】
図10に示すように、脚側延在部40は、座2の使用状態で突出部22の先端22p(下端)が前後方向の目標位置TP(図12参照)に位置するように座2が収納状態から使用状態に移行する過程で突出部22をガイドするガイド面40aを有する。図10の断面視で、ガイド面40aは、突出部22の弧状面22aの凸に対応して凹んでいる。図10の断面視で、ガイド面40aは、弧状面22aの曲率半径よりも大きい弧状をなしている。
【0037】
脚側延在部40は、使用状態で補強部26の座側対向面12aと当接する当接部45を備える。当接部45は、左右方向に離間して一対設けられている(図8参照)。図8に示すように、一対の当接部45は、互いに略同じ外形を有する。例えば、当接部45は、ゴム等の弾性部材(緩衝部材)で形成されている。当接部45は、座2が収納状態から使用状態に移行する過程で脚側延在部40のうち最初に座側対向面12aに当接する部分である。
【0038】
当接部45は、使用状態で座側対向面12aに当接する当接面46aを有する当接本体46と、当接本体46から下方に延びる左右一対の係止爪47と、を備える。図10に示すように、脚側延在部40は、当接本体46を収容する収容凹部48と、収容凹部48の下面を上下方向に開口する左右一対の開口部49と、を有する。
【0039】
図10の断面視で、当接面46aは、ガイド面40aに沿うように弧状面22aの曲率半径よりも大きい弧状をなしている。当接本体46は、当接面46aがガイド面40aよりも上方に位置する状態で収容凹部48に収容される。当接部45は、各係止爪47を各開口部49に係止することにより、脚側延在部40に対して着脱可能に取り付けられている(図8参照)。
【0040】
図2の前面視で、傾斜延在部41は、下側に向かうに従って左右方向の外方に位置するように傾斜して延びている。図3の側面視で、傾斜延在部41は、下側に向かうに従って後方に位置するように傾斜して延びている。図3の側面視で、傾斜延在部41が延びる方向と直交する方向の長さは、下側に向かうに従って徐々に大きくなっている。
【0041】
図3の側面視で、傾斜連結部42(図2参照)は、前脚部35が延びる方向の略中央部と重なる。図3の側面視で、傾斜連結部42は、前脚部35の外縁よりも内側に位置している。傾斜連結部42は、前脚部35に沿うように下側に向かうに従って前方に位置するように傾斜して延びている。傾斜連結部42が延びる方向の略中央部には、傾斜延在部41の下端が連結されている。図5の下面視で、傾斜連結部42の前後方向の長さは、傾斜連結部42と傾斜延在部41との連結位置から左右方向の外側に向かうに従って徐々に大きくなっている。傾斜連結部42が延びる方向の両端部(前後方向の端部)は、前脚部35に左右方向の内側からねじ止めされている。
【0042】
[ガイド面の作用]
図12及び図13を参照してガイド面40aの作用について説明する。
ガイド面40aは、座2の使用状態で突出部22の先端22pが前後方向の目標位置TPに位置するように座2が収納状態から使用状態に移行する過程で突出部22をガイドする。ここで、ガイド面40aにおいて目標位置TPよりも前側の部分を「ガイド前面40a1」、目標位置TPよりも後側の部分を「ガイド後面40a2」とする。突出部22の弧状面22aにおいて座2の使用状態で突出部22の先端22pよりも前側の部分を「弧状前面22a1」、座の使用状態で突出部22の先端22pよりも後側の部分を「弧状後面22a2」とする。
【0043】
例えば、図12に示すように、突出部22の先端22pが目標位置TPに対して一方側(座の使用状態で前側)にずれている場合、突出部22の弧状前面22a1の一部は、座2が収納状態から使用状態に移行する過程でガイド前面40a1に当接する(図12の二点鎖線参照)。すると、突出部22の先端22pは、座2が収納状態から使用状態に移行する過程でガイド前面40a1に沿って後方(図12の矢印方向)に変位し、前後方向の目標位置TPに徐々に近づいていく。そして、座2の使用状態では、突出部22の先端22pは前後方向の目標位置TPに配置される(図12の実線参照)。
【0044】
例えば、図13に示すように、突出部22の先端22pが目標位置TPに対して他方側(座の使用状態で後側)にずれている場合、突出部22の弧状後面22a2の一部は、座2が収納状態から使用状態に移行する過程でガイド後面40a2に当接する(図13の二点鎖線参照)。すると、突出部22の先端22pは、座2が収納状態から使用状態に移行する過程でガイド後面40a2に沿って前方(図13の矢印方向)に変位し、前後方向の目標位置TPに徐々に近づいていく。そして、座2の使用状態では、突出部22の先端22pは前後方向の目標位置TPに配置される(図13の実線参照)。
【0045】
座の使用状態では、突出部22の弧状前面22a1及び弧状後面22a2は、ガイド前面40a1及びガイド後面40a2にそれぞれ対向する。弧状前面22a1及びガイド前面40a1並びに弧状後面22a2及びガイド後面40a2のそれぞれが弧状をなしていることにより、座2の使用状態において互いに対向する面同士が馴染みやすい。
【0046】
[作用効果]
以上説明したように、上記実施形態に係る椅子1は、着座者が着座可能な着座面10aを有する座2と、座2を着座者が着座可能な使用状態と使用状態に対して起立した収納状態との間で左右方向に沿う軸回りに回動可能に支持する支持構造体3と、を備え、座2は、着座面10aとは反対側に向かって突出する突出部22を有し、支持構造体3は、左右方向に離間する一対の脚構成部材30同士を連結する脚側連結部材31を備え、脚側連結部材31は、使用状態で突出部22の先端22pが前後方向の目標位置TPに位置するように座2が収納状態から使用状態に移行する過程で突出部22をガイドするガイド面40aを有する。
【0047】
この構成によれば、ガイド面40aが使用状態で突出部22の先端22pが前後方向の目標位置TPに位置するように座2が収納状態から使用状態に移行する過程で突出部22をガイドすることにより、座2及び支持構造体3を構成する各部材に成型時・加工時の寸法誤差等が生じた場合であっても、使用状態で突出部22の先端22pを前後方向の目標位置TPに合わせることができる。したがって、位置ずれに起因する座2への局所的な負荷を抑制することができる。
【0048】
上記実施形態において、左右方向と直交する断面視で、突出部22は、着座面10aとは反対側に向かって凸の弧状をなす弧状面22aを有し、ガイド面40aは、弧状面22aの凸に対応して凹み、弧状面22aの曲率半径よりも大きい弧状をなしている。
この構成によれば、突出部22の弧状面22a及びガイド面40aのそれぞれが弧状をなしていることにより、使用状態において両方の面22a,40aが馴染みやすいため、座2への局所的な負荷をより効果的に抑制することができる。
【0049】
上記実施形態において、座2は、左右方向に離間する一対の杆材15と、一対の杆材15同士を連結する座側連結部材12と、を備え、突出部22は、使用状態で座側連結部材12が脚側連結部材31と対向する部位に設けられている。
この構成によれば、座側連結部材12は一対の杆材15同士を連結するという機能上、座側連結部材12には大きな強度が要求されるが、突出部22が座側連結部材12において脚側連結部材31と対向する部位に設けられることにより、突出部22と脚側連結部材31とが当接した状態(使用状態)における堅牢性を維持することができる。
【0050】
上記実施形態において、座側連結部材12は、左右方向に延びる座側延在部20の左右方向の外端から一対の杆材15に向かって屈曲して一対の杆材15に着座面10aとは反対側から連結される屈曲部21を備え、左右方向と直交する断面視で、屈曲部21は、着座面10aが設けられた側とは反対側に向かって凸の弧状をなしている。
この構成によれば、屈曲部21(座側連結部材12における杆材15への連結部)が弧状をなしていることにより、着座荷重に対する堅牢性を維持することができる。例えば、着座時に座側連結部材12に荷重が加わると、座側連結部材12の幅方向の外端と杆材15との連結部を中心とするモーメント荷重が発生するが、屈曲部21が弧状をなしていることにより、モーメント荷重に対して堅牢性を維持することができる。
【0051】
上記実施形態において、座側延在部20は、ガイド面40aに沿う弧状をなして凹む当接面46aを有し、使用状態で突出部22が当接する弾性変形可能な当接部45を備える。
この構成によれば、当接部45の当接面46aがガイド面40aに沿う弧状をなしていることにより、使用状態において突出部22の弧状面22a及び当接部45の当接面46aが馴染みやすいため、座2への局所的な負荷をより効果的に抑制することができる。加えて、使用状態で突出部22が弾性変形可能な当接部45に当接することにより、着座時等の衝撃を当接部45で吸収することができる。
【0052】
上記実施形態において、当接部45は、左右方向に間隔をあけて一対設けられている。
この構成によれば、一対の当接部45が設けられていることにより、座2への局所的な負荷をより効果的に抑制することができる。加えて、着座時等の衝撃を一対の当接部45で吸収することができる。
【0053】
[変形例]
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0054】
上記実施形態では、椅子1が設置される面を水平面とした例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、椅子は、水平面に対して傾斜する傾斜面または鉛直面に設置されてもよい。
【0055】
上記実施形態では、左右方向と直交する断面視で、突出部22は、着座面10aとは反対側に向かって凸の弧状をなす弧状面22aを有し、ガイド面40aは、弧状面22aの凸に対応して凹み、弧状面22aの曲率半径よりも大きい弧状をなしている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、図14に示すように、左右方向と直交する断面視で、突出部122は、着座面10aとは反対側に向かって凸のV字状をなすV字傾斜面122aを有し、ガイド面140aは、V字傾斜面122aの凸に対応して凹み、V字傾斜面122aの頂角よりも大きいV字状をなしていてもよい。例えば、突出部22の一部が凹形状を有し、ガイド面40aが前記凹形状に対応する凸形状を有していてもよい。
【0056】
上記実施形態では、突出部22の弧状面22a及びガイド面40aのそれぞれが弧状をなしている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、突出部22の弧状面22a及びガイド面40aのいずれか一方が弧状をなしていてもよい。例えば、突出部22がV字傾斜面を有し、ガイド面40aのみが弧状をなしていてもよい。突出部22及びガイド面40aの形状は、ガイド面40aが使用状態で突出部22の先端22pが前後方向の目標位置TPに位置するように座2が収納状態から使用状態に移行する過程で突出部22をガイド可能な範囲で、要求仕様に応じて種々の変更が可能である。
【0057】
上記実施形態では、座2は、左右方向に離間する一対の杆材15と、一対の杆材15同士を連結する座側連結部材12と、を備え、突出部22は、使用状態で座側連結部材12が脚側連結部材31と対向する部位に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、突出部22は、使用状態で座側連結部材12が脚側連結部材31と対向しない部位に設けられていてもよい。例えば、突出部22は、使用状態で座側連結部材12が脚側連結部材31とは異なる部材(脚側連結部材31に連結される別部材)と対向する部位に設けられていてもよい。
【0058】
上記実施形態では、座側連結部材12は、左右方向に延びる座側延在部20の左右方向の外端から一対の杆材15に向かって屈曲して一対の杆材15に着座面10aとは反対側から連結される屈曲部21を備え、左右方向と直交する断面視で、屈曲部21は、着座面10aが設けられた側とは反対側に向かって凸の弧状をなしている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、左右方向と直交する断面視で、屈曲部21は、着座面10aの側に向かって凸の弧状をなしていてもよい。例えば、左右方向と直交する断面視で、屈曲部21は、矩形状をなしていてもよい。屈曲部21の断面形状は、要求仕様に応じて種々の変更が可能である。
【0059】
上記実施形態では、座側延在部20は、ガイド面40aに沿う弧状をなして凹む当接面46aを有し、使用状態で突出部22が当接する弾性変形可能な当接部45を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、座側延在部20は、当接部45を有しなくてもよい。
【0060】
上記実施形態では、当接部45は、左右方向に間隔をあけて一対設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、当接部45は、1つのみ設けられていてもよいし、3つ以上の複数設けられていてもよい。当接部45の設置数は、要求仕様に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…椅子、2…座、3…支持構造体、10a…着座面、12…座側連結部材、12a…座側対向面(使用状態で座側連結部材が脚側連結部材と対向する部位)、15…杆材、20…座側延在部(延在部)、21…屈曲部、22…突出部、22a…弧状面、30…脚構成部材、31…脚側連結部材、40a…ガイド面、45…当接部、46a…当接面、122…突出部、140a…ガイド面、TP…目標位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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