(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】捲縮した材料シートを製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A24D 3/02 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
A24D3/02
(21)【出願番号】P 2019563443
(86)(22)【出願日】2018-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2018062360
(87)【国際公開番号】W WO2018210743
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-27
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】コルー シャルロット
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02418628(FR,A1)
【文献】特表2017-501686(JP,A)
【文献】特開2014-144848(JP,A)
【文献】特開昭61-086367(JP,A)
【文献】国際公開第2013/098356(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/071267(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012015088(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品用の材料シートを捲縮するための装置であって、前記装置が、
第一の回転軸および第二の回転軸のそれぞれを画定する向かい合った第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーであって、前記第一の捲縮ローラーおよび前記第二の捲縮ローラーのうちの少なくとも一つが、
複数のリッジであって、それぞれのリッジが第一および第二のフランクおよび先端を画定し、前記第一のフランクまたは前記第二のフランクが先端を通過する半径方向によりフランク角度を形成し、前記複数のすべてのリッジが4度~12度であるフランク角度を形成する、装置。
【請求項2】
前記リッジが、一定のピッチで他方に距離を置いて配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リッジがすべて実質的に同一の振幅を持つ、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一および前記第二のフランクが、前記先端を通過する前記半径方向に対して対称である、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第一または前記第二の捲縮ローラーが金属で実現される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第一および前記第二の捲縮ローラーのうち他方が複数のリッジを含み、前記第一の捲縮ローラーの前記リッジが前記第二の捲縮ローラーの前記リッジと実質的に交互になるように、前記第一および前記第二の捲縮ローラーが配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
エアロゾル発生物品用の捲縮したシートを製造する方法であって、前記方法が、
実質的に連続的な材料シートを一組の捲縮ローラーに供給する工程であって、前記一組の捲縮ローラーが、第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーを含み、前記第一または前記第二の捲縮ローラーが複数のリッジのうち少なくとも一つを含む、工程と、
前記第一または第二の捲縮ローラーの前記リッジが、複数の捲縮コルゲーションを前記実質的に連続的な材料シートに適用するように、前記実質的に連続的なシートを前記第一および前記第二の捲縮ローラーの間に前記材料シートの長軸方向に供給することにより、前記実質的な連続ウェブを捲縮して前記捲縮したウェブを形成する工程とを含み、
前記第一または前記第二の捲縮ローラー内の前記リッジが、第一および第二のフランクおよび先端を画定し、前記第一または前記第二のフランクが、前記先端を通過する半径方向によりフランク角度を形成し、前記第一および第二の捲縮ローラーのすべてのリッジにより形成された前記フランク角度が4度~12度である、方法。
【請求項8】
エアロゾル発生物品の構成要素を製造する方法であって、前記方法が、
請求項7に記載の捲縮したシートを製造する工程と、
前記捲縮したシートを集合して連続的なロッドを形成する工程と、
前記連続的なロッドを複数のロッド状の構成要素に切断する工程であって、各ロッド状の構成要素が前記捲縮したシートの切断された部分から形成された捲縮したシートの集合体を有し、前記捲縮したシートの前記捲縮されたコルゲーションが、前記ロッド状の構成要素内の複数のチャネルを画定する、切断する工程とを含む、方法。
【請求項9】
前記材料シートが、アルカロイド含有材料シート、プラスチックシートまたはセルロースを含むシートのうち一つである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記アルカロイド含有材料シートが均質化したたばこシートを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料シートの捲縮のための装置、および捲縮した材料シートの製造プロセスに関し、捲縮した材料シートはエアロゾル発生物品の製造で使用されることが好ましい。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エアロゾル発生物品は、ロッドの形態に組み立てられた複数の要素を備える。複数の要素は一般的に、エアロゾル形成基体およびフィルター要素を含む。フィルターおよびエアロゾル形成基体のうちの一方または両方は、ロッドを通る気流を提供するための複数のチャネルを備えてもよい。複数のチャネルは、材料シートを捲縮し、またその結果としてロッド内の材料を集合してチャネルを形成することによって提供されてもよい。こうした実施例において、捲縮したシートは一般的に、実質的に連続ウェブを捲縮し、捲縮かつ集合されたウェブから複数の捲縮したシートを切断することによって形成される。
【0003】
エアロゾル発生物品の分野において、連続ウェブである捲縮されるこの材料は、たばこキャストリーフ(TCL)、ポリ乳酸(PLA)、トウ、またはその他でありうる。
【0004】
エアロゾル発生物品内で使用するための捲縮したウェブを製造するための方法および装置が当技術で周知である。捲縮したウェブを製造する周知の方法には一般的に、一対の交互に配置されたローラー間に実質的に連続的なウェブを供給して複数の長軸方向に延びる捲縮したコルゲーションを連続ウェブに適用する工程が関与する。捲縮したウェブはその後、集合されて、複数の軸方向チャネルを有する連続的なロッドを形成する。次いでロッドは巻かれて、より小さいセグメントへと切断されて、エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体またはフィルターを形成する。
【0005】
捲縮プロセスは、捲縮ローラーの間でプレスされる材料に対して様々な効果を作り出す。
【0006】
効果の第一の範囲は製造プロセスに関する(例えば、捲縮した材料がその後エアロゾル発生物品に適合するロッドへと簡単に圧縮されることができるという事実など)。
【0007】
捲縮した材料がロッドへと圧縮され、かつエアロゾル発生物品に追加されると、効果の第二の範囲は捲縮に関する(ユーザーの喫煙の体験など)。より具体的には、捲縮プロセスは、エアロゾル発生物品に浸透する空気と、捲縮した材料シートとの間の空気接触、および引き出し抵抗(RTD)に影響を与える。
【0008】
従って、捲縮プロセスは、物品の正しい製造のために、および望ましい喫煙の体験を得るために重要である。
【0009】
しかしながら、非最適または準最適な捲縮プロセスは、捲縮した材料のウェブを弱める可能性があり、捲縮した材料シートからロッドの浸透する空気への物質の放出を悪化させるだけでなく、RTD(引き出し抵抗)の値に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0010】
捲縮プロセスに関するエアロゾル発生物品の特性に対するより良好な制御およびより高い柔軟性を可能にする、好ましくはエアロゾル発生物品用の捲縮した材料シートを製造するための方法および装置を提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第一の態様によると、材料シートを捲縮するための装置が提供されており、装置は、第一および第二の回転軸を画定する第一および第二の向かい合った捲縮ローラーを備え、第一および第二の捲縮ローラーのうち少なくとも一つは複数のリッジを含み、それぞれのリッジは第一および第二のフランクおよび先端を画定し、第一または第二のフランクは先端を通過する半径方向によりフランク角度を形成し、フランク角度は約8度~約10度である。
【0012】
フランク角度は約4度~約20度であることが好ましい。
【0013】
これまで、捲縮プロセスの最適化は、最終消費者にとって改善された体験を得ることを目的に行われ、特に適切なRTD値およびエアロゾル発生物品によって放出される物質の良好な放出に焦点を当てたものであった。これにより、時には、特に不良かつエラーが発生しやすい生産技術が、特に捲縮工程について生じた。ここでは、当技術分野の最新技術による製造方法では、捲縮した材料シートの質の劣化がかなり頻繁に存在した。材料シートの細断さえもが、捲縮プロセスの過程で観察されている場合がある。これは、製造装置のメンテナンスシャットダウンが頻繁に必要となるという点で製造に不利となっただけではなく、時には予測不可能なこともあった。さらに、捲縮した材料シートのこうした細断または品質低下は、例えば、RTDの変化による場合など、最終消費者にとって喫煙の体験の低下につながりうる。本発明を使用すると、捲縮した材料シートは、任意の損傷またはその他の方法で材料シートの有害な変化が起こる傾向が著しく低くなりうる。同時に、最終消費者にとって特に有利な喫煙の体験が提供されうる。
【0014】
ローラーの二つの回転軸は、相互に本質的に平行に整列されてもよく、またはそれらの間にある一定のまたは好ましくは小さい有限角度を示してもよい。
【0015】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。
【0016】
本明細書で使用される「捲縮した」という用語は、複数のコルゲーションを有するシートまたはウェブを意味する。「捲縮」という用語は、好ましくは本質的に平坦な材料シートまたはそれまでに未処理の材料シートからの、構造化表面の生成に関する、捲縮した材料シートの形成を意味する。
【0017】
本明細書で使用される「ピッチ値」または「ピッチ」という用語は、特定のコルゲーションのピークのいずれかの側にあるトラフ間の横方向の距離、または二つの隣接するまたは連続的なピーク間またはリッジ間の横方向の距離を意味する。
【0018】
本明細書で使用される「振幅値」または「振幅」という用語は、その山から最も深い直接隣接したトラフの最も深い地点までのコルゲーションの高さを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「リッジ」という用語は、それぞれのローラーの回転軸から見た外側のまたは内側の半径方向に見られる突出部を意味し、こうして隅型の形状または丸みのある形状のいずれかの先端を形成しうる。それぞれの先端は、先端のそれぞれの側面に一つずつ、二つのフランクによって制限されうる。リッジまたは先端は、接線方向に見たときに、ローラーの表面に沿ったある程度の範囲を持ちうる。また、コルゲーションとしてのリッジは、同様の方法で振幅を画定する。二つのリッジ間に「トラフ」が存在する。
【0020】
フランクは、その接線によって与えられる方向を有する。「フランク角度」では、フランクの接線とリッジの先端を通過する半径方向との間に形成される角度が考慮される。半径方向は、捲縮ローラーの中心(ローラーの回転軸が存在する場所)とリッジの先端を接続するローラーの半径として視覚化されうる。
【0021】
複数の接線が存在しうるため、「フランク角度」という用語は、二つの連続的な先端の間または先端とトラフ底部との間のローラーの表面の形状に沿って進むときに、局所的なフランク角度の最小値または最大値に関して定義される。トラフの底部は、ローラーの局所的な最小半径が二つの隣接する先端の間に画定される位置であってもよい。角度の最小値または最大値は、それぞれの値の大きさに関連しうる。ところが、フランクの表面に沿った別の顕著なまたは十分に定義された位置が、フランク角度も画定するために使用されてもよい。
【0022】
先端の反対側にあるフランクが対称でありうるように、リッジはそれぞれのローラーの回転軸の周りで対称であってもよい。特にこの場合には、同一のリッジを形成する二つのフランク間の角度は、二つのフランク角度のうちのどちらかの2倍である。別の方法として、一つ以上のリッジは、それぞれのローラーの回転軸について非対称的であってもよい。すなわち、リッジの両方のフランクのフランク角度は異なりうる。この陳述は、ローラーのある一定の部分(ローラーの少なくとも二つの表面積が異なるように)、またはローラーのいくつかの部分もしくはさらには大半の部分に関連しうる。
【0023】
本明細書で使用される「リッジ角」という用語は、リッジと長軸方向との間の角度を意味する。
【0024】
本明細書で使用される「コルゲーション」という用語は、コルゲーションのフランク(脇部分)によって結合された交互に並ぶピークとトラフから形成された複数の実質的に平行なリッジを意味する。これらは捲縮ローラーのリッジによってシート内に形成されうる。ローラーはまた、複数の隣接したリッジによって形成されるコルゲーションを持ちうる。コルゲーションは数多くの異なる形状を有することができ、これには、菱形様プロファイル、正弦波プロファイル、三角波プロファイル、鋸波プロファイル、またはこれらの任意の組み合わせを有するコルゲーションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
リッジ、振幅、ピッチ、先端、脇部およびこれに類するものの寸法および形状に関する定義は本明細書で使用される場合、捲縮装置のローラーに関して理解されうる。結果として得られる捲縮した材料シートは、そのコルゲーションの少なくとも部分的に実質的に同一の寸法および形状を示しうることが好ましい。しかしながら、特定の逸脱が存在してもよい。特に、捲縮される材料シートの特定の材料特性は、ローラーのうち一方または両方の形状または寸法からの逸脱をもたらしうる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「実質的に交互に配置」という用語は、少なくとも部分的にメッシュになった第一および第二のローラーのコルゲーションを意味する。これには、ローラーの一方または両方のコルゲーションが対称的または非対称的な配置が含まれる。ローラーのコルゲーションは、実質的に整列させてもよく、または少なくとも部分的にオフセットさせてもよい。第一または第二のローラーの一つ以上のリッジのピークは、第一および第二のローラーのうち他方のローラーの二つのリッジの間にあるトラフと交互に配置されうる。第一および第二のローラーのうち一方の実質的にすべてのコルゲーションのトラフがそれぞれ第一および第二のローラーのうち他方の単一のコルゲーションのピークを受けるように、第一および第二のローラーのコルゲーションが交互に配置されることが好ましい。
【0027】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、ウェブまたはシートの長さに沿って、またはそれと平行に延びる方向を意味する。
【0028】
本明細書で使用される「回転軸」という用語は、それぞれのローラーがその通常の動作状態中に回転する時に、平行移動がないことを本質的に示す線に沿って延びる方向を指す。これは、それぞれのローラーの軸と呼ばれる場合がある。
【0029】
本明細書で使用される「幅」という用語は、ウェブまたはシートの長さと直角を成す方向、またはローラーの場合ではローラーの軸と平行な方向を意味する。
【0030】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形または長円形の断面の概して円筒形要素を意味する。
【0031】
本明細書で使用される「軸方向の」または「軸方向に」という用語は、ロッドの円筒軸に沿って、またはそれに平行して延びる方向を意味する。
【0032】
本明細書で使用される「集合した」または「集合する」という用語は、ウェブまたはシートがロッドの円筒軸方向に対して渦巻き状にされる、または別の方法で実質的に横断方向に圧縮もしくは締め付けられていることを意味する。
【0033】
本明細書で使用される、ローラーの「セクション」という用語は、ローラーのうちの少なくとも一つの外周面上の特定の領域を意味する。表面の制限は、それぞれのローラーの軸方向に沿った特定の範囲(それぞれのローラーの回転軸に平行である)に沿って定義されうる。追加的に、または別の方法として、制限は、それぞれのローラーの接線方向に沿った特定の範囲という観点から定義されうる(特定の角度範囲を画定する)。
【0034】
エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されていることが意図されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品である、加熱式エアロゾル発生物品としうる。加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の一部を形成する搭載型の加熱手段を備えてもよく、または別個のエアロゾル発生装置の一部を形成する外部ヒーターと相互作用するように構成されてもよい。
【0035】
捲縮した材料シートを製造するために、例えばトウ、PLA、またはアルカロイド含有材料(例えば、均質化したたばこ材料)によって形成されるシートとすることができる材料シートは、搬送方向に沿って搬送される。搬送は、例えばローラーを介して引っ張ることによって、特に前記第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーを使用して引っ張ることによって、任意の適切な手段によって実施することができる。搬送中、材料シートまたはウェブは、第一の捲縮ローラーと第二の捲縮ローラーとの間に形成されているいわゆる「ニップ」を通過する。
【0036】
第一のローラーまたは第二のローラーまたは両方のローラーのうちの少なくとも一つはリッジを含み、これはニップを通過する時に対応するコルゲーションがシート上に形成されるように、材料シートと接触する。
【0037】
第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーの両方は、複数のリッジまたはコルゲーションを示しうる。特に、この場合、ローラーは、少なくともそれらの一部が実質的に交互に配置される方法で配置されるように設計されてもよい。
【0038】
別の方法として、第一のローラーおよび第二のローラーのうちの一方のみがコルゲーションを示してもよく、他方のローラーは本質的に滑らかな円筒状表面を示す。
【0039】
第一のローラーおよび第二のローラーの両方がどちらもコルゲーションを示してもよく(ただし、対応しない部分で)、すなわち、ローラーと接触する材料シートの各々の部分について、第一のローラーおよび第二のローラーのうちの一方のみが、材料シートのその部分の上に捲縮コルゲーションを形成する。
【0040】
各リッジは、リッジの先端で終わる二つのフランクを含む。フランクの少なくとも一つは、半径方向に対してフランク角度を形成し、すなわち、同一の回転軸から始まるローラーの半径に沿った方向は、約4度~約20度であり、約8~約10度であることが好ましい。フランク角度は、フランクの接線(フランクは直線部分を含む)と、上記で定義された半径方向との間の角度である。
【0041】
第一または第二のローラーのすべてのリッジが、こうしたフランク角度を形成することが好ましい。
【0042】
各リッジの両方のフランクが、この範囲内でフランク角度を形成することがさらにより好ましい。
【0043】
試験によって、特許請求の範囲内のフランク角度を形成するリッジ部は、細断の現象を減少させ、またおそらくはローラー間の腰部内に入る材料シートの損傷も減少させることが示されてきた。従って、捲縮プロセスの制御の改善が可能である。
【0044】
リッジは、一定ピッチで互いに距離を置いて配置されることが好ましい。この陳述は、本質的に第一または第二のローラーの外周面全体に適用されうる。この陳述は、本質的にローラーの外周面全体、特にそれぞれのローラーの周囲または両方に対して適用されうる。ただし、第一または第二のローラーはいくつかのセクションを示し、一定ピッチはそれぞれのセクション内でのみ起こる可能性がある。こうしたローラーを使用して捲縮された捲縮した材料シートは、特に有利な特性を示しうるが、おそらくは特に有利なRTDを示しうる。
【0045】
有利なことに、リッジはすべて実質的に同一の振幅を持つ。この陳述は、本質的にローラーの外周面全体、特にそれぞれのローラーの周囲または両方に対して適用されうる。ただし、第一または第二のローラーはいくつかのセクションを示し、同一の振幅はそれぞれのセクション内でのみ起こる可能性がある。こうしたローラーを使用して捲縮された材料の捲縮したシートは、特に捲縮した材料シートの集合については、特に有利な特性を示しうる。
【0046】
第一および第二のフランクは、先端を通過する半径方向について対称であることが好ましい。この陳述は、本質的にローラーの外周面全体、特にそれぞれのローラーの周囲または両方に対して適用されうる。こうしたローラーを使用することで、捲縮される材料シートは、破砕またはその他の有害な変更がなされにくくなりうる。従って、対応する装置は特に好ましい場合がある。
【0047】
第一または第二のローラーは金属で実現されることがなおさらに好ましい。当然、両方のローラーも金属で実現されうる。こうしたローラーの設計は、結果的にローラーおよびローラーが使用されている装置は特に寿命が長くなりうる。
【0048】
前記フランク角度は約8度~約10度であることが好ましい。この陳述は、本質的にローラーの外周面全体、特にそれぞれのローラーの周囲または両方に対して適用されうる。こうした寸法を使用すると、捲縮される材料シートの細断に対して特に低い傾向を示す装置が達成されうる。さらに、最終製品のエンドユーザーの喫煙の体験が特に高いものとなりうる。これらの寸法は、一定のセクションでのみ使用されるか、または第一または第二のローラーの表面の特定の部分でのみ使用されることが可能である。
【0049】
第一および第二の捲縮ローラーのうち他方は複数のリッジを含むことがなおさらに好ましく、第一および第二のローラーは、第一のローラーのリッジが第二のローラーのリッジと実質的に交互になるように配置される。この陳述は、本質的にローラーの外周面全体、特にそれぞれのローラーの周囲または両方に対して適用されうる。同様に、陳述は、ローラーの外周面の特定の部分のみに適用されうる。こうした設計を使用すると、結果として得られる捲縮した材料シートは、望ましいRTDの達成に関して、または最終製品で使用される時に望ましい量の揮発性化合物の放出に関して、特に有利な形状を示しうる。
【0050】
本発明の第二の態様によれば、エアロゾル発生物品用の捲縮したシートを製造する方法が提供されており、方法は、実質的に連続的な材料シートを一組の捲縮ローラーに供給する工程であって、第一のローラーおよび第二のローラーを含む一組のローラーを含み、第一または第二のローラーのうち少なくとも一つが複数のリッジを含む工程と、実質的に連続ウェブを捲縮して、第一または第二のローラーのリッジが複数の捲縮コルゲーションを実質的に連続的な材料シートに適用するように、実質的に連続的なシートを第一および第二のローラーの間に材料シートの長軸方向に供給することによって捲縮したウェブを形成する工程と、を含み、ここで、第一または第二のローラーのリッジは、第一または第二のフランクおよび先端を画定し、第一または第二のフランクは、先端を通過する半径方向によりフランク角度を形成し、フランク角度は約8度~約10度である。
【0051】
本方法は、前の提案に従って装置を使用する際に、特に良好に実現されうる。本発明の本態様による方法が採用される時、材料シートの捲縮のための上述の装置に関連してこれまでに説明したものと類似の効果および利点が、少なくとも類似性において、実現されうる。さらに、方法は、これまでに説明した意味でも同様に、少なくとも類似性において、変更されうる。こうした修正を採用する時、類似した効果および利点を、少なくとも類似性において、また方法に関連しても同様に実現されうる。
【0052】
特に、方法が、捲縮したシートをこれまでに提案した通りに製造する工程を含み、さらに、捲縮したシートを集合して、連続的なロッドを形成する工程と、連続的なロッドを複数のロッド状の構成要素に切断する工程であって、それぞれのロッド状の構成要素が捲縮したシートの切断部分から形成された捲縮したシートの集合体を有し、捲縮したシートの捲縮コルゲーションはロッド状の構成要素内の複数のチャネルを画定する工程とを含むように、方法を変更することが可能である。
【0053】
このように、現在の市場のニーズに適合するエアロゾル発生物品は、効率的かつ安価な方法で実現されうる。特に、従来の燃焼タイプのエアロゾル発生製品、特に従来の紙巻たばこに似ているエアロゾル発生物品が実現されうる。「集合」は、特に前述の集合方法を含むことができる。特に、「集合」は、捲縮した材料シートの二つの部分を、通常は直線に沿って折り畳みタイプの動作によって相互の上に重ねることができる折り畳みプロセス、または当初は集合していない捲縮した材料シートを何らかの種類のコイル様の形態にする丸める動作、を含んでもよい。場合によっては、折り畳みプロセスおよび丸めるプロセスの組み合わせも使用してもよく、ここで通常は丸める動作の前に折り畳み型の動作が実施される。
【0054】
捲縮した材料シートは、アルカロイド含有材料シート、プラスチックシート、またはセルロースを含むシートのうちの一つであるように使用されうることが好ましい。このようなシートについては、ここで提案されている方法は特に適切である場合がある。アルカロイド含有材料シートは、均質化したたばこシートを含むことが好ましい。
【0055】
「アルカロイド含有材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドのうち、ニコチンが好ましいアルカロイドであり、これはたばこ中に見いだされうる。
【0056】
アルカロイドは、主に塩基性の窒素原子を含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性、およびさらに弱酸性特性を有するいくつかの関連する化合物も含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素および窒素に加えて、アルカロイドは酸素、硫黄、および、より稀に、塩素、臭素、およびリンなどのその他の要素も含みうる。
【0057】
アルカロイドは、細菌、真菌、植物、および動物を含む多種多様な生物体によって生成される。これらは、これらの生物体の粗抽出物から酸塩基抽出によって精製されうる。カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンがアルカロイドの例である。
【0058】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。
【0059】
上述の感覚で捲縮された捲縮した材料シートは、前述の方法で製造された捲縮したシートの集合体から形成されたロッドを含むエアロゾル発生物品用に使用されてもよい。
【0060】
こうしたエアロゾル発生物品は、紙巻たばこなどの可燃性喫煙物品に似ていてもよい。エアロゾル発生物品は、たばこを含みうる。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品は、別の方法として、部分的に再利用可能であり、補充可能または交換可能なエアロゾル形成基体を備えるものとしうる。
【0061】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。
【0062】
均質化したたばこ材料は、シートの形態としうる。均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で5パーセント超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有しうる。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の葉柄のうちの一方または両方を粉砕することによって、または別の方法で細かく砕くことによって得られた粒子状のたばこを凝集することによって形成されてもよく、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状のたばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法としてまたは加えて、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填材、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0063】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこおよび膨化たばこのうち一つ以上を含む、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。例えば、固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料は、紙またはその他のラッパー内に含まれ、かつプラグの形態を有しうる。エアロゾル形成基体がプラグの形態である場合、任意のラッパーを含めてプラグ全体がエアロゾル形成基体であると考えられる。
【0064】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、その固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0065】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートの形態を取ってもよい。固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。一定の実施形態では、エアロゾル形成基体の少なくとも部品は、上述の任意の実施形態による捲縮したシートの集合体から形成される。こうした実施形態では、捲縮したシートの集合体は、均質化したたばこ材料のシートを備えうる。一定の実施形態では、エアロゾル形成基体の少なくとも一部は、上述の任意の実施形態による捲縮したシートの集合体の形態で担体の表面上に沈着される。
【0066】
エアロゾル発生物品の要素は、適切なラッパー、例えば紙巻たばこ用紙といった手段によって組み立てられることが好ましい。紙巻たばこ用紙は、エアロゾル発生物品の構成要素をロッドの形態に包装するための適切な任意の材料としうる。エアロゾル発生物品が組み立てられて、エアロゾル発生物品の構成要素をロッド内の適所に保持する時、紙巻たばこ用紙はエアロゾル発生物品の構成要素を保持し、整列させることが好ましい。適切な材料は当業界で周知である。
【0067】
エアロゾル形成基体は、乾燥質量で5パーセントを超えるエアロゾル形成体と水を有する均質化したたばこ材料から形成されるか、またはそれを含むことが好ましい。例えば、均質化したたばこ材料は、乾燥質量で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を持ちうる。こうしたエアロゾル形成基体から発生したエアロゾルは、ユーザーによって、特に高い温度を持つものと考えられる場合があり、また広い表面積、低い引き出し抵抗のエアロゾル冷却要素を使用することで、エアロゾルの認識温度をユーザーにとって容認可能なレベルに減少させうる。
【0068】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状の形状としうる。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の長さがエアロゾル発生装置内の気流方向に実質的に平行となるように、エアロゾル発生装置に受けられうる。エアロゾル冷却要素は実質的に細長くてもよい。
【0069】
エアロゾル発生物品は、約30ミリメートル~約100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。
【0070】
エアロゾル発生物品は、フィルターまたはマウスピースを備えうる。フィルターは、エアロゾル発生物品の下流端に位置しうる。フィルターは、アセチルセルロースフィルタープラグとしうる。フィルターは一実施形態において、約7ミリメートルの長さであるが、約5ミリメートル~約10ミリメートルの長さを有してもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流に位置するスペーサー要素を備えうる。
【0071】
第三の態様によれば、本発明は、第二の態様によって実現される捲縮したシートに関する。本発明の捲縮したシートは、集合に関してはより成形しやすく、細断する傾向が少ない。
【0072】
捲縮した材料シートは、アルカロイド含有材料シート、プラスチックシート、またはセルロースを含むシートのうちの一つであることが好ましい。アルカロイド含有材料シートは、均質化したたばこシートを含むことが好ましい。
【0073】
第四の態様によると、本発明は、第三の態様によって実現される捲縮したシートの一部分を含むエアロゾル発生物品に関する。
本発明のさらなる利点は、添付の図面への非限定的な参照とともに、その詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】
図1は、捲縮した材料シートを製造するための装置の概略側面図である。
【
図2】
図2は、捲縮したローラーの対および材料を捲縮するために形成されているニップの概略正面図である。
【
図3】
図3は、捲縮したローラーの対の捲縮した歯のテーパー形状の部分的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1において、エアロゾル発生装置用の捲縮した材料シート7を製造するための装置1の基本レイアウトが概略側面図で示されている。
【0076】
原材料は、第一のコイル、すなわち供給コイル2によって供給される。供給コイル2では、装置1を使用して捲縮される、材料3の平坦でかつ薄い層の「エンドレス」シートが提供されている。材料3は、プラスチックのシートまたはセルロースタイプのシートを含む均質化したたばこシートであってもよく、その上に幾つかのタイプのたばこ様風味化合物が塗布されてもよい。コイル2上に巻かれた材料シート3は、厳密に言えばエンドレスではないことが理解されるべきである。しかしながら、材料シートの全体的な長さは数百メートルである可能性があり、従ってその幅よりもずっと長い。さらに、連続的な捲縮加工が可能になるように、二つの連続的な供給コイル2(図示せず)の間の引き継ぎ機構を提供することが可能である。
【0077】
供給コイル2から巻き出されたシートは、装置1の「主要部」に入り、ここで材料3の加工が実施される。材料3は、一つの平坦な材料3の平坦な層として装置1に供給される。材料3の平坦な層の加工は、上部ローラー4と下部ローラー5との間に形成されているニップ6で、二つのローラー4、5をある一定の距離に定置することによって行われる。ニップ6の幅は、入ってくる材料6の層の厚さのほぼ範囲内である。ニップ6の幅は通常、問題の表面部分に対して本質的に直角を成す方向に、他方のローラー4、5の近隣の表面部分までの距離として定義される。加工プロセスの現在の必要性に依存して、ニップ6の幅は典型的に、入ってくる材料3の層がニップ6の中でわずかに圧縮されるように、入ってくる材料3の層の厚さよりもわずかに小さい。それ故に、ローラー4、5によって平坦な材料3の層に牽引力をかけることができる。
【0078】
現在示されている実施形態では、上部ローラー4および下部ローラー5の両方は、対応する表面構造を有する外表面11を示す(
図2および3も参照)。すなわち、ローラー4の第一のリッジ9は、ローラー5の第二の隣接するトラフ10に部分的に突き出し、逆もまた同じである。これについては、
図2および
図3を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0079】
ローラー4、5、特にローラー4、5の外表面11の設計によって、ニップ6を通過する材料3のシートにコルゲーションが付けられる。コルゲーションの付いた材料シート7は、その反対側に処理用ニップ6を残す。コルゲーションの付いたシート7は製品コイル8に供給され、その上で加工されコルゲーションの付いた材料シート7が巻き上げられる。コルゲーションの付いたシート7のコルゲーションは、例示的な目的のために、誇張された方法で
図1に示されている。
【0080】
本発明の実施例において、両方のローラー4、5の外表面は、完全に構造化された外表面11を示しているにもかかわらず、ローラー4、5のうち一つのみが構造化された外表面11を示すこと、ローラー4、5のうち片方または両方が部分的にのみ構造化された外表面11を示すこと(それぞれのローラーの外表面11の一部は本質的に構造化されていない外表面を示すことを意味する)なども可能なことが、理解されるべきである。
【0081】
図2では、「入ってくる材料3シートから見た」上部ローラー4および下部ローラー5によって形成されるニップ6が、より詳細に示されている。言い換えれば、
図2の図は、
図1の図に対して垂直である。
図2で特によく分かる通り、上部ローラー4、5はどちらも、一連の交互のリッジ9およびトラフ10を含む構造化された表面11を示し、二つの連続的なリッジ9の間のピッチ、または二つの連続的なトラフ10の間のピッチは、基本的にそれぞれのローラー4、5の全幅に対して一定のままである。さらに、表面構造の振幅、リッジ9の頂部とトラフ10の底部の間のローラーの半径4、5の差も同様に、それぞれのローラー4、5の全幅に対して本質的に一定のままである。
【0082】
図2でさらに分かるように、また
図3においてより詳細に示す通り、リッジ9およびトラフ10は、リッジ9およびトラフ10が互いに部分的に噛み合うように、二つの隣接するローラー4、5上でわずかにオフセットされる。特に、通常、ローラー4、5の外表面の構造間のオフセットは、二つの連続的なリッジ9間または二つの連続的なトラフ10間のピッチ12の約半分に本質的に等しい。
【0083】
ローラー4、5の設計に応じて、ニップ6を離れる材料シート7(すなわち、
図1に示されるように装置1によって処理される材料シート7)は、対応する表面構造を示す。
【0084】
当然のことながら、本実施形態に示される表面構造11およびローラー4、5の配置は、典型的な例によるものに過ぎない。異なる実施形態が同様に可能である。例えば、ローラー(例えば、上部ローラー4)のうちの一つのみが、リッジ9およびトラフ10を含む表面構造11を示す一方、他方のローラー(例えば、下部ローラー5)は本質的に構造化されていない外表面を示す。同様に、二つのローラー4、5上の表面構造11も同様に異なってもよい。非限定的な例として、二つのローラー4、5の表面構造11の振幅14について違う選択をしてもよい。
【0085】
図3では、表面構造11の幾何学的形状がより詳細に示されている。完全を期すために述べると、
図3の尺度により、非常に限定された数のリッジ9およびトラフ10のみが示されている。実際には、リッジ9およびトラフ10の数は通常は著しく大きい。さらに、選択された尺度のため、ニップ6を形成する隣接するローラー4、5の外表面11の部分のみが
図3で表示されうる。
【0086】
対応するローラー4、5の軸方向に測定される二つの連続的なリッジ9間の距離であるリッジ9(ピークまたは先端)のピッチ12は、現在約1ミリメートルが選択されている。表面構造11、特にリッジ9およびトラフ10は対称的に配置されているため、それぞれのローラー4、5の軸方向に見た時のリッジ9と隣接するトラフ10間の距離13はピッチ12の半分であり、従って約0.5ミリメートルである。現在示されている実施例では、それぞれのローラー4の半径方向に見た時のリッジ9とトラフ10間の距離である振幅14は、現在は1ミリメートルである。したがって、リッジ9(ピーク)と隣接するトラフ10との間の斜距離は、これに対応してより大きい。現在のところ、これはピタゴラスの定理によって計算でき、その値は
【数1】
(ミリメートルの長さ)
である。
【0087】
さらに、軸方向への二つの表面構造11間のオフセットも、
図3において同様に見ることができる。現在のところ、オフセットは、二つの隣接するリッジ9間のピッチ12の半分であるように選択されており、本発明の幾何学的形状に従うと約0.5ミリメートルである。このように、上部ローラー4のリッジ9は、下部ローラー5のトラフ10と軸方向に整列され、逆もまた同様である。
【0088】
本発明の重要な態様によれば、リッジ9に隣接するフランク16およびリッジの先端9を通過するそれぞれのローラー4、5の半径方向に配置された線との間に囲まれる角度であるフランク角度15は、一定の値を持つ。ローラー4、5の表面11の現在対称的な設計により、リッジ9に隣接する二つのフランク16の間に囲まれる角度は、フランク角度15の約2倍である。
【0089】
現在示されている例では(
図3が同一尺度で描かれていない場合)、フランク角度15は約9度であるものとして選択されている。従って、コイルの寸法の変化に対する自由度が小さくなる。特に、フランク角度15は、約4度~約20度であるように選択されうる。好ましい実施形態によれば、フランク角度15は、約8度~約10度であるように選択されうる。ただし、異なる上限および下限が可能(示された限度値の組み合わせを含む)であり、例えば、約5度、約6度、または約7度(特に、下限として)または約11度、約12度、約13度、約14度、約15度、約16度、約17度、約18度または約19度(特に上限として)である。
【0090】
フランク16は、直線である一定の長さを示すことが特に好ましく、これは局所的な表面湾曲を示さないことを意味する。リッジ9およびトラフ10は、基本的に円形形状に従って丸みのあることが好ましい。当然ながら、異なる設計も考えられることが理解されるべきである。特に、表面曲線は、スプラインまたは他のものとすることもできる。この場合(ただし恐らくは他の場合でも同様に)、フランク角度15の一本の線が測定されるフランク16の画定点として、それぞれの曲線の反曲点が選択されうる(半径方向を示す線がフランク角度15の他方の線を形成しうる)。ところが、フランク角度15の異なる定義も同様に可能である。