(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】組織スキャフォールドおよびスキャフォールド組成物
(51)【国際特許分類】
A61L 27/18 20060101AFI20231204BHJP
A61L 27/26 20060101ALI20231204BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20231204BHJP
A61L 27/10 20060101ALI20231204BHJP
A61L 27/40 20060101ALI20231204BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
A61L27/18
A61L27/26
A61L27/54
A61L27/10
A61L27/40
A61L27/50
(21)【出願番号】P 2019565068
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(86)【国際出願番号】 GB2018050381
(87)【国際公開番号】W WO2018150166
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519290541
【氏名又は名称】ロケート セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】レオナルディ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】コックス,ヘレン セリア
(72)【発明者】
【氏名】クワーク,ロビン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シェイクシェフ,ケビン モリス
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04837285(US,A)
【文献】国際公開第2008/093094(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/084968(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において固体組織スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド形成材料組成物であって、
前記組成物は担体中に複数の中空ポリマーペレットを含み、各ペレットは、それを通って延びる開口管腔を含む管状構造を含むか、あるいは前記中空ポリマーペレットは、前記中空ポリマーペレットが実質的にC字形の断面を有するようにその長さに沿ってチャネルを形成する開口管腔を備えた管状構造を含み、
前記管腔の体積は、各中空ポリマーペレットの少なくとも10%であり、
前記担体および/または中空ポリマーペレットは、治療的、予防的または診断的に活性な物質を含む活性剤と、可塑剤と、を含み、前記複数の中空ポリマーペレットは、連結して硬化し固体スキャフォールドになることができる、
スキャフォールド形成材料組成物。
【請求項2】
前記中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法が50~700μmのサイズを有する、請求項1に記載のスキャフォールド形成材料組成物。
【請求項3】
ポリマーは合成ポリマーである、請求項1または2に記載のスキャフォールド形成材料組成物。
【請求項4】
前記中空ポリマーペレットはPLGAまたはPLGA/PEGブレンドを含む、請求項1~3のいずれかに記載のスキャフォールド形成材料組成物。
【請求項5】
前記担体が前記可塑剤を含む;または
前記中空ポリマーペレットおよび前記担体が可塑剤を含む、
請求項1~4のいずれかに記載のスキャフォールド形成材料組成物。
【請求項6】
前記スキャフォールド形成材料組成物はさらに、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子を含み、任意選択で、
前記天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は前記中空ポリマーペレットに封入されてもよい;および/または
前記天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は、前記スキャフォールドの硬化前に、前記中空ポリマーペレット内に封入されなくてもよい;および/または
前記天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は前記中空ポリマーペレットを懸濁させる担体中に存在してもよい、
請求項1~5のいずれかに記載のスキャフォールド形成材料組成物。
【請求項7】
前記天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は、セラミックおよび/または結晶化糖分子を含むか、セラミックおよび/または結晶化糖分子からなる、請求項6に記載のスキャフォールド形成材料組成物。
【請求項8】
前記スキャフォールド材料は1%~55%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子を含む、請求項6または7に記載のスキャフォールド形成材料組成物。
【請求項9】
複数の中空ポリマーペレットと治療的、予防的または診断的に活性な物質を含む活性剤とを含む、対象における組織の修復または置換のための固体スキャフォールドであって、
前記中空ポリマーペレットは、それを通って延びる開口管腔を有する管状構造を含むポリマーペレットを含むか、あるいは前記中空ポリマーペレットは、前記中空ポリマーペレットが実質的にC字形の断面を有するようにその長さに沿ってチャネルを形成する開口管腔を備えた管状構造を含み、
前記管腔の体積は、各中空ポリマーペレットの少なくとも10%であり、
前記中空ポリマーペレットは互いに連結されている、
固体スキャフォールド。
【請求項10】
前記中空ポリマーペレットは互いに対して不均一に配向されている、請求項9に記載の固体スキャフォールド。
【請求項11】
前記活性剤は、前記中空ポリマーペレットの材料内に封入されている、および/または前記中空ポリマーペレット同士の間に提供されている、請求項1~8のいずれかに記載のスキャフォールド形成材料組成物または請求項9または10に記載の固体スキャフォールド。
【請求項12】
細胞をさらに含み、任意選択で、前記細胞は前記中空ポリマーペレットの表面に付着していてもよい、請求項1~8または11のいずれかに記載のスキャフォールド形成材料組成物または請求項9~11のいずれかに記載の固体スキャフォールド。
【請求項13】
外科手術または療法によるヒトまたは動物の身体の治療方法において、またはヒトまたは動物の身体に対して実施される診断方法において、使用するための;あるいは美容外科において使用するための、請求項1~8または11~12のいずれかに記載のスキャフォールド形成材料組成物、あるいは請求項9~12のいずれかに記載の固体スキャフォールド。
【請求項14】
組織の修復または置換のためのスキャフォールドを形成するインビトロの方法であって、
請求項1~8または11~13のいずれかに記載のスキャフォールド形成材料組成物を提供するステップ;ならびに
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように前記スキャフォールド形成材料組成物を硬化させるステップ
を含む
、方法。
【請求項15】
請求項1に記載のスキャフォールド形成材料組成物を形成するインビトロの方法であって、
ポリマーもしくはポリマーブレンドを押出機に通して押し出すステップであって、前記押出機はポリマー押出物中に管腔を形成させるダイを含む、ステップと;
前記ポリマー押出物を切断してペレットにし、中空ポリマーペレットを形成させるステップと、
を含む
、方法。
【請求項16】
キットであって、
(a)前記キットは、治療的、予防的または診断的に活性な物質を含む活性剤を標的に送達するのに使用するためのものであり、
(i)中空ポリマーペレットであって、それを通って延びる開口管腔を含む管状構造を含むか、あるいは前記中空ポリマーペレットが実質的にC字形の断面を有するようにその長さに沿ってチャネルを形成する開口管腔を備えた管状構造を含み、
前記管腔の体積は、各中空ポリマーペレットの少なくとも10%であり、
前記中空ポリマーペレットは、最大40%w/wの可塑剤を含み且つ粉末状の作用物質を封入する、
中空ポリマーペレットと、
(ii)担体溶液と、
を含む;または
(b)前記キットは、スキャフォールドを形成するのに使用するためのものであり、
(i)中空ポリマーペレットであって、それを通って延びる開口管腔を含む管状構造を含むか、あるいは前記中空ポリマーペレットが実質的にC字形の断面を有するようにその長さに沿ってチャネルを形成する開口管腔を備えた管状構造を含み、
前記管腔の体積は、各中空ポリマーペレットの少なくとも10%であり、
前記中空ポリマーペレットは、最大40%w/wの可塑剤を含む、
中空ポリマーペレットと、
(ii)天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子と、
(iii)担体溶液と、
を含む;または
(c)前記キットは、スキャフォールドを形成するのに使用するためのものであり、
(i)中空ポリマーペレットであって、それを通って延びる開口管腔を含む管状構造を含むか、あるいは前記中空ポリマーペレットが実質的にC字形の断面を有するようにその長さに沿ってチャネルを形成する開口管腔を備えた管状構造を含み、
前記管腔の体積は、各中空ポリマーペレットの少なくとも10%である、
中空ポリマーペレットと、
(ii)0.5%w/v~40%w/vの可塑剤を含む担体溶液と、
を含む;
キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーペレットから形成されたスキャフォールド、ならびに組織および骨修復におけるそのようなスキャフォールドの使用、ならびに作用物質を被検体における標的部位に送達させる送達系に関する。
【背景技術】
【0002】
再生医学の分野内では、組織修復を刺激し、支持する、新しい臨床手順についての多くの機会が提供される。臨床機会の例としては、梗塞後の心筋の再生、脊椎固定における骨成長の誘導、糖尿病性足部潰瘍の治癒および脳卒中による損傷の制限、またはおそらく、逆転が挙げられる。治療が治癒を促進することができる組織の例は脳組織、肝臓組織および膵臓組織、などである。
【0003】
組織治癒が重要である1つの領域は、例えば骨障害を有する人々についての骨治癒である。骨治癒は、身体が、外傷、感染、外科的介入または疾患後に骨の修復を促進する生理的プロセスである。生理的治癒プロセスは非常に長い期間を必要とする可能性があり、多くの場合、本来の骨特性を再建することができない。この理由のために、骨治癒を促進し、改善する療法は極めて重要である。通常、これらの療法は、骨伝導性、骨誘導性、および骨原性アプローチを提示する。骨伝導性アプローチの大半では、金、ステンレス鋼、チタン、天然/合成ポリマーおよびセラミックのような様々な代用物が試されてきた。骨再建のためのこれらの材料の使用の主な関心事は、血管形成する、統合する、およびリモデリングを受けるそれらの能力が不十分であることであった。これは、応力遮蔽において見られるように、負荷または周囲骨における病理学的変化の下、インプラントの構造破損という結果になる可能性がある。他の問題は炎症性瘢痕、隣接する組織における新増殖性反応および感染である。それらの高い骨誘導可能性およびリモデリング特性のために、生理活性代用物が使用され、有望な結果が得られてきた。これは、骨障害を治療する組織工学技術の進化につながった(生物学的に増強された同種移植片、細胞療法、および遺伝子治療)。組織工学は、生体材料、細胞、および因子を単独で、および組み合わせて使用する、生きている組織の設計、構築、改変および成長への科学原理の適用として規定されてきた。それは、骨伝導性生体材料スキャフォールドの、骨形成原細胞集団および骨誘導性生理活性因子との使用を含む。これらのアプローチは全て、有効な治療が現在のところ存在しない疾患を治療する我々の能力を著しく増加させる可能性がある。
【0004】
スキャフォールドは、血管新生および組織形成のための適切な機械的環境、構造および表面化学を提供することができる。増殖因子などの再生作用物質の局在化もまた、スキャフォールドを使用して達成することができる。スキャフォールドの薬物または細胞送達系としての使用は大きな可能性を有するが、作用物質、例えば増殖因子または細胞として作用するタンパク質の放出の適切な動力学を達成しながら、スキャフォールドの多孔度、強度および分解動力学を組織型に適合させる必要性のために、非常に困難なものとなっている。インビボ修復および/または再生のための送達系としてのスキャフォールドの使用においてさらに複雑にしているのは、投与経路の問題である。多くの臨床例では、修復を必要としている組織の部位はアクセスするのが困難であるか(例えば、脳卒中治療のための脳または梗塞後治療のための心筋内)、またはサイズおよび形状がわかっていない。そのため、低侵襲手順により投与することができる改善された注射可能なスキャフォールドが必要である。
【0005】
大きく見ると、スキャフォールドは典型的には、大きな相互に連結された細孔を有する前もって形作られた水-不溶性マトリックス、またはヒドロゲルである。そのようなスキャフォールドは、増強されたインビボ組織修復および/または再生のために患者に埋め込まれる。埋め込みの観点から、前もって形作られた水-不溶性マトリクスは、体内の空洞を充填するように成形されなければならず、空洞寸法の知識が必要とされ、充填することができる空洞の形状が限定される。加えて、スキャフォールドを送達させるには観血法が必要とされる。対照的に、直接体内にシリンジを介して送達することができる多くのヒドロゲル材料が設計されている。ゲルはトリガー信号、例えば、温度変化またはUV光曝露後に、体内で形成する。そのような系は、空洞寸法の予備知識なしで、いずれの形状の空洞も充填することができるという利点を有する。しかしながら、そのようなヒドロゲルは大きな相互に連結された多孔性ネットワークを欠き、よって、ゲルからの作用物質の放出は不十分な拡散特性により制限される。さらに、ヒドロゲルの不十分な機械強度は、それらがしばしば使用時に印加される圧縮力に耐えることができないことを意味し、さらに、これにより望ましくない送達特性となり得る。というのも、ゲル中の作用物質は事実上、ヒドロゲルから絞り出される可能性があるからである。
【0006】
身体適用後固化する吸収性パテまたは吸収性ペーストは有望なアプローチである。この領域は、学問的に、および工業的に広く研究されてきており、いくつかの製品、例えばC-Graft Putty(商標)、Grafton(登録商標)がすでに商品化されている。そのようなアプローチの成功の主な障害は、要求される作用部位への材料の送達および保持の成功、ならびに外科手術前のそれらの順応性である。他の重要な障害としては、追加の生理活性治療薬を送達する、適合された吸収速度を有する、および、高レベルの多孔度およびマクロ細孔を有する構造を形成する能力が挙げられる。
【0007】
WO2008093094号およびWO2004084968号(どちらも参照により本明細書に組み込まれる)は、組織スキャフォールドをポリマーペレット、例えばPLGAおよびPLGA/PEGポリマーブレンドから形成するための組成物および方法を記載する。そのようなスキャフォールドはインサイチューで組織修復部位で硬化する前にモールディングまたは注射することができるように開発された。インサイチューでの硬化は、例えば、体温でペレットが連結/架橋するように、ペレットのガラス転移温度を開発し調整することにより達成することができる。連結イベントはまた、温度に関連しない方法により、例えば溶媒による可塑化により促進することができる。多孔性構造は、ペレット間で間隙を開けることにより、任意でさらに多孔性ポリマーペレットを提供することにより達成される。得られたスキャフォールドは、組織修復において、とりわけ、骨などの結合組織に対して有用な高い圧縮強度を維持するが、一方、細胞増殖および作用物質送達に有用な多孔度も維持する。しかしながら、本発明の目的は、組織修復において使用するためのスキャフォールド材料を形成するための改善された組成物、方法およびプロセスを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、固体組織スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料組成物が提供され、組成物は複数の中空ポリマーペレットを含み、各ペレットは、ペレットを通って延びる開口中空を含み、
複数の中空ポリマーペレットは、連結し、硬化して固体スキャフォールドになることができる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、複数の中空ポリマーペレットを含む組織修復または置換のための固体スキャフォールドが提供され、中空ポリマーペレットはポリマーペレットを通って延びる開口中空を有するポリマーペレットを含み、中空ポリマーペレットは互いに連結される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、組織修復または置換のためのスキャフォールドを形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを含むスキャフォールド材料を提供することであって、各ペレットは、ペレットを通って延びる開口中空を含む、こと;および
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、スキャフォールド材料を硬化させること。
【0011】
本発明の別の態様によれば、インサイチューでの作用物質の放出を制御するためのスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
粉末形態である作用物質を提供すること;
中空ポリマーペレットを粉末作用物質と混合すること;
混合物を液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させること;および任意で
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、スキャフォールド材料を硬化させることであって、粉末作用物質は中空ポリマーペレットのスキャフォールドの中で封入されること。
【0012】
本発明の別の態様によれば、インサイチューでの作用物質の放出を制御するためのスキャフォールドを形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
粉末形態である作用物質を提供すること;
中空ポリマーペレットを作用物質と混合すること;
混合物を液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させること;および
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、スキャフォールド材料を硬化させることであって、粉末作用物質は中空ポリマーペレットのスキャフォールドの中で封入されること。
【0013】
本発明の別の態様によれば、スキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させることであって、液体担体は可塑剤を含むこと;および
任意で、硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、中空ポリマーペレット懸濁液を硬化させること。
【0014】
本発明の別の態様によれば、スキャフォールドを形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させることであって、液体担体は可塑剤を含むこと;ならびに
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、スキャフォールド材料を硬化させること。
【0015】
本発明の別の態様によれば、スキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させることであって、スキャフォールド材料は、中空ポリマーペレットおよび/または液体担体中の第1の可塑剤、および液体担体中の第2の可塑剤を含み、
第1の可塑剤は、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、トリアセチン、NMP、DMSOおよびPEGのいずれか一つから選択され;第2の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択され、第1および第2の可塑剤は異なっている、こと;ならびに
任意で、硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、中空ポリマーペレット懸濁液を硬化させること。
【0016】
本発明の別の態様によれば、スキャフォールドを形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させることであって、スキャフォールド材料は、中空ポリマーペレットおよび/または液体担体中の第1の可塑剤、および液体担体中の第2の可塑剤を含み、
第1の可塑剤は、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、トリアセチン、NMP、DMSOおよびPEGのいずれか一つから選択され;第2の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択され、第1および第2の可塑剤は異なっている、こと;ならびに
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、スキャフォールド材料を硬化させること。
【0017】
本発明の別の態様によれば、中空ポリマーペレットを含むスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
ポリマーを押出機に通して押し出すことであって、押出機はポリマー押出物中に中空を形成させるダイを含むこと;
ポリマー押出物を切断してペレットにし、中空ポリマーペレットを形成させること;ならびに
任意で中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液を形成させること;ならびに
さらに任意で、硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、中空ポリマーペレット、またはその懸濁液を硬化させることにより、スキャフォールドを形成させること。
【0018】
本発明の別の態様によれば、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子内容物を含むスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
ポリマーを天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子とブレンドすること;
ブレンドから中空ポリマーペレットを形成させることであって、中空ポリマーペレットはその中に封入された天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子を有すること;ならびに
任意で中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液を形成させること;ならびに
さらに任意で、硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、中空ポリマーペレット懸濁液を硬化させること。
【0019】
本発明の別の態様によれば、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子内容物を含むスキャフォールドを形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
ポリマーを天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子とブレンドすること;
ブレンドから中空ポリマーペレットを含むスキャフォールド材料を形成させることであって、中空ポリマーペレットはその中に封入された天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子を有すること;ならびに
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、スキャフォールド材料を硬化させること。
【0020】
方法はさらに、硬化前に、中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液を含むスキャフォールド材料を形成させることを含み得る。
【0021】
本発明の別の態様によれば、5分足らずで硬化することができるスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤は担体中で、約4%~約6%(w/v)の可塑剤の範囲で提供される。
【0022】
本発明の別の態様によれば、約5~約15分のスキャフォールド硬化時間を有するスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤は担体中で、約2.5%~約3.5%(w/v)の可塑剤の範囲で提供される。
【0023】
本発明の別の態様によれば、60分を超えるスキャフォールド硬化時間を有するスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤はTAまたはTECであり、担体中で、約0.5%~約1%(w/v)の範囲で提供される。
【0024】
本発明の別の態様によれば、35℃未満のスキャフォールド硬化温度を有するスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤はTAまたはTECであり、担体中で、約3%~約5%(w/v)の範囲で提供され;または
その代わりに2つの可塑剤が提供され、少なくとも1つの可塑剤は担体中にあり、総可塑剤含量は4%または5%(w/v)を超える可能性はなく、1つの可塑剤はTAまたはTECであり、任意で、TAまたはTECは担体の2%までで提供される。
【0025】
本発明の別の態様によれば、35℃を超える、例えば約37℃のスキャフォールド硬化温度を有するスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤はTAまたはTECであり、約0.5%~約1%(w/v)の範囲で提供される。
【0026】
本発明の別の態様によれば、下記を含む、中空ポリマーペレットスキャフォールド形成特性を選択するためのシステムが提供される:
(a)所望のスキャフォールド硬化温度を選択し、適切なスキャフォールド硬化温度を提供するように手配された、本明細書の本発明によるスキャフォールド材料を形成する方法を実施すること;または
(b)所望のスキャフォールド硬化時間を選択し、適切なスキャフォールド硬化時間を提供するように手配された、本明細書の本発明によるスキャフォールド材料を形成する方法を実施すること;または
(c)スキャフォールドの硬化前に、所望のスキャフォールド材料ヤング率を選択し、適切なスキャフォールド材料ヤング率を提供するように手配された、本明細書の本発明によるスキャフォールド材料を形成する方法を実施すること。
【0027】
本発明の別の態様によれば、1次作用物質放出動力学を有するスキャフォールドを形成するのに好適なスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は、本明細書の本発明の方法に従い提供され、作用物質は、スキャフォールド材料の中空ポリマーペレットを形成させるためにポリマーとブレンドする前に粉末として提供される。
【0028】
さらに別の態様によれば、本発明は、本発明の任意の方法により生成されたスキャフォールド材料を提供する。
【0029】
さらに別の態様によれば、本発明は、本発明の任意の方法により生成されたスキャフォールドを提供する。
【0030】
本発明の別の態様によれば、作用物質の放出を制御するためのスキャフォールドを形成させるためのスキャフォールド材料が提供され、スキャフォールド材料は下記を含む:
中空ポリマーペレット;
粉末形態であり、中空ポリマーペレットの中または間に封入される作用物質;ならびに
中空ポリマーペレットを懸濁させる液体担体。
【0031】
本発明の別の態様によれば、スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料が提供され、スキャフォールド材料は下記を含む:
中空ポリマーペレット;
中空ポリマーペレット内に封入される、天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子(例えば、セラミック);ならびに任意で
中空ポリマーペレットを懸濁させる液体担体。
【0032】
本発明の別の態様によれば、スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料が提供され、スキャフォールド材料は下記を含み:
中空ポリマーペレット;
中空ポリマーペレットを懸濁させる液体担体であって、可塑剤を含む液体担体;
任意で、第2の可塑剤が担体および/または中空ポリマーペレット中で提供される。
【0033】
本発明の別の態様によれば、作用物質の放出を制御するためのスキャフォールドが提供され、スキャフォールドは下記を含む:
連結された中空ポリマーペレット;および
粉末形態であり、中空ポリマーペレットの中または間に封入される作用物質。
【0034】
本発明の別の態様によれば、骨修復のためのスキャフォールドが提供され、スキャフォールドは下記を含む:
連結された中空ポリマーペレット;ならびに
中空ポリマーペレット内に封入される、天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子(例えば、セラミック)。
【0035】
さらなる態様では、本発明は、スキャフォールド材料を提供することであって、作用物質はスキャフォールド材料内の中空ポリマーペレット内に位置すること;スキャフォールド材料を被検体に投与すること;スキャフォールド材料を被検体内で固化/自己組織化させ、スキャフォールドを形成させること;ならびに、スキャフォールド材料内に含まれる作用物質を、投与部位で被検体内に放出させることを含む、作用物質を被検体に送達する方法を提供する。
【0036】
本発明の別の態様によれば、本発明によるスキャフォールドまたはスキャフォールド材料の投与を含む治療方法が提供される。
【0037】
別の態様によれば、本発明は、下記を含む、作用物質を標的に送達するのに使用するためのキットを提供する:
中空ポリマーペレット;
粉末作用物質;ならびに
担体溶液;ならびに任意で
中空ポリマーペレット、粉末作用物質および担体を混合するための説明書。
【0038】
別の態様によれば、本発明は、下記を含む、スキャフォールドを形成するのに使用するためのキットを提供する:
中空ポリマーペレット;
天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子;ならびに
担体溶液;ならびに任意で
中空ポリマーペレット、天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子および担体を混合するための説明書。
【0039】
別の態様によれば、本発明は、下記を含む、スキャフォールドを形成するために使用するためのキットを提供する:
中空ポリマーペレット;ならびに
可塑剤を含む担体溶液であって;任意で、中空ポリマーペレットおよび/または担体は第2の可塑剤を含む、担体溶液;ならびにさらに任意で
中空ポリマーペレットおよび担体を混合するための説明書。
【0040】
便宜的に、スキャフォールド構造を形成するための中空ポリマーペレットの使用は、高い多孔度で、良好な圧縮強度および/またはヤング率も維持するスキャフォールドを提供する。高多孔度スキャフォールドはより大きな表面積を有し、それにより、細胞が増殖するためのより多くの空間が与えられる。さらに便宜的に、中空ポリマーペレットが細胞と一緒にされると、それらの高い表面積により、非中空ポリマーペレットと比べると、より良好な細胞負荷が可能になる。中空ポリマーペレットが細胞と一緒にされると、せん断力が起きた時にそれらの穴は細胞を保護する。これは、細胞およびスキャフォールド材料を混合する場合に特に有利となり得、この場合、細胞のより高い生存率が維持され得る。そのため、中空ポリマーペレットは細胞に対して遮蔽効果を提供する。
【0041】
加えて、中空ポリマーペレットの高表面積は、ポリマー分解について別の制御メカニズムを与える。中空ポリマーペレット構造により提供されるより高い表面積により、より速い分解プロファイルを得ることができる。これは、例えば、分解による活性剤の制御放出、例えば表面結合活性剤または封入活性剤の放出において有用となり得る。
【0042】
中空ポリマーペレットの中空/管腔は、スキャフォールド全体の結果として得られる細孔サイズ分布に影響を与えるように、便宜的に使用することができる。それは、そうでなければ広いペレットサイズの範囲内で細孔サイズの制御および反復寸法を提供する。このアプローチは、スキャフォールド内のマクロ細孔のパーセンテージ(例えば>100ミクロンまたは好ましくは250ミクロン超)または微細孔率(<10ミクロン細孔のパーセンテージを増加させる小さな管腔)を増加させるために使用することができる。マクロ細孔は細胞浸潤および組織増殖に重要であり、微細孔率は物質移動に重要である。
【0043】
中空ポリマーペレットの提供はまた、大半のポリマー内での分解生成物の蓄積を防止するのを助けることができ、それらは放出されると自己触媒的または炎症促進性となり得る。
【0044】
現発明はさらに便宜的に、異なる時間および異なる温度で硬化することができる吸収性スキャフォールド材料を記載する。そのような材料は、単独で使用される場合、組織形成のためのスキャフォールド支持体、または薬物または生理活性代用物、例えば細胞、脱細胞マトリックス(DCM)および増殖因子と共に使用される場合、骨誘導性および骨原性効果を提供することができる。異なる温度下でのペースト硬化の制御は、注射可能なスキャフォールド材料に対して有用となり得る。例えば、硬化が体温(37℃)で起こる場合、該ペーストは慌てることなく、室温で注射まで扱うことができる。異なる時間下でのペースト硬化の制御は、パテを作製するのに有用となり得る。実のところ、数分後に硬化するペーストは、要求によって、異なる形状とし、投与することができるパテを形成することができる。本発明は本明細書においてさらに、粒子サイズ、作用物質負荷方法、ポリマー型、可塑剤型および濃度およびブレンド組成の処方変数を変化させることにより薬物放出を制御する能力を提供する。
【0045】
本発明は、ほんの一例として、下記添付の図面を用いて例示されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】凝集試験についての実験条件:浸漬させたアルミ箔およびペーストを有する篩メッシュ/トレーを示す。
【
図2】室温または37℃での15分焼結後のPLGA50:50(50~100μmペレット)質量損失を示す。
【
図3】室温または37℃での15分焼結後の74.8%w/wPLGA50:50、5.2%w/wPEG400、20%w/wSIM(300~400μm HMEペレット)質量損失を示す。
【
図4】室温または37℃での15分焼結後の46.75%w/wPLGA95:5、3.25%w/wPEG400、50%w/wCS(300~400μm HMEペレット)質量損失を示す。
【
図5】室温または37℃での15分焼結後の46.75%w/wPLGA95:5、3.25%w/wPEG400、50%w/wβ-TCP(300~400μm HMEペレット)質量損失を示す。
【
図6】異なる時点での焼結後の74.8%w/wPLGA50:50、5.2%w/wPEG400、20%w/wSIM(300~400μm HMEペレット)質量損失を示す。
【
図8】32℃または37℃のいずれかでの15分および2時間焼結後の、6×12円筒形PLGA50:50(50~200μm)スキャフォールドの機械的特性を示す。N=3±1SD
【
図9】湿性(PBSに浸漬)または湿気(加湿バッグ中に密封)条件のいずれかにおける37℃での24時間焼結後の、3%TECを用いて焼結させたPLGA50:50(50~200μm)スキャフォールドの機械的特性を示す。N=3±1SD
【
図10】37℃での時間経過に伴うPLGA/CS(50~200μm)スキャフォールドのヤング率を、湿気焼結条件(37℃、≧90%湿度)および湿性条件(37℃リン酸緩衝生理食塩水、PBSに完全に浸漬)についての24時間値と共に示す。
【
図11】粘度測定のための実験セットアップの概略を示す。
【
図12】異なる担体:ポリマー比および様々な濃度のTECまたは10%エタノールを用いて、パテが45°で60秒に室温で流れた距離を示す。
【
図13】50%CaSO4およびブランクPLGAペースト材料を含むペーストがt=0分で45°で60秒に流れた距離を示す。
【
図14】様々な拡大率でのPLGA-CS-PEGの押し出された中空ポリマーペレットのSEM画像を示す。中空ポリマーペレットはPLGA95:5=46.75%、PEG400=3.25%、CS=50%を含む。
【
図15】間葉系幹細胞(MSC)あり、およびなしの中空ポリマーペレット対標準ポリマーペレットの画像を示す。A:セラミック内容物を有する中空ポリマーペレット(H-TAOS-CS)。B:中空構造を有さない、セラミック内容物を有する標準ポリマーペレット(TAOS-CS)。C:セラミック内容物を有する中空ポリマーペレット(H-TAOS-CS)上での間葉系幹細胞(MSC)付着。D:セラミック内容物を有する標準ポリマーペレット(TAOS-CS)上での間葉系幹細胞(MSC)付着。
【
図16】培地あり(CおよびD)ならびに培地なし(AおよびB)で、中空ポリマーペレットを用いて形成させたスキャフォールドの画像を示す。
【
図17】PLGA分子量に対する製造の効果を示す。
【
図18】細胞培地(DMEM)を使用したウィッキング(A)およびドローアップ(draw-up)(B)効率を示す。
【
図19】中空ポリマーペレットスキャフォールド(「H-TAOS-CS」)対標準ペレットスキャフォールド(「TAOS-CS」)の嵩多孔度(6×12mm寸法のスキャフォールドについて)を示す。
【
図20】実験条件下でのTAOS(商標)質量損失を示す。
【
図21】H-TAOS-CSスキャフォールド対TAOS-CSスキャフォールドについての時間経過に伴う最大応力(A)およびヤング率(B)を示す。
【
図22】H-TAOS-CSスキャフォールド対TAOS-CSスキャフォールドについての位相シフト角対温度トレースを示す。
【
図23】TAOS-CSスキャフォールド(A)対H-TAOS-CSスキャフォールド(B)についての貯蔵および損失弾性率対温度トレースを示す。
【
図24】中空PLGAペレット(非セラミック)のSEM画像を示す。
【
図25】中空TAOS-CSスキャフォールドを用いた30分後のMSC生存率を示す。
【
図26】非滅菌およびe-ビーム(25kGy)滅菌TAOS-CSおよびH-TAOS-CSペレットに対し、分解について研究した。TAOS-CSおよびH-TAOS-CSペレットを、湿性(滅菌PBSに浸漬)および湿気(PBS浸漬組織に囲まれた箱内に密閉)条件の両方において、オープンセルSawbone(商標)にてスキャフォールドを調製するために使用した。各試験条件について、200mgのペレット(n=2)を使用した。ペレット分解をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により評価し、時間に伴うPLGA分子量の変化を査定した。
【発明を実施するための形態】
【0047】
定義
「スキャフォールド材料」という用語は、スキャフォールドを形成することができる組成物、すなわちプレスキャフォールド材料を示すことが意図される。例えば、スキャフォールド材料は、硬化してスキャフォールドになることができる組成物を含み得る。スキャフォールド材料自体は、スキャフォールド材料が本明細書における方法に従いスキャフォールドを形成するまで、スキャフォールドの構造を有しても、有さなくてもよい。「スキャフォールドを形成することができる組成物」への言及は、さらなる介入/プロセス工程および/または成分なしで、スキャフォールドを形成する可能性を含み得る。他の実施形態では、「スキャフォールドを形成することができる組成物」への言及は、本明細書の本発明によるさらなる介入/プロセス工程に従い、および/または本明細書の本発明による成分の追加に従い、スキャフォールドを形成する可能性を含み得る。
【0048】
「スキャフォールド」という用語(「マトリックス」という用語と相互交換され得る)は、例えば、細胞を支持するのに好適であり得る、3次元構造を有する材料の固体塊を意味することが理解される。発明の実施形態では、スキャフォールドは多孔性で、相互に連結された細孔または間隙を有してもよい。
【0049】
「室温」という用語は、約15℃~約25℃、例えば約20℃~約25℃の温度を示すことが意図される。
【0050】
本明細書では「硬化」という用語は、スキャフォールド材料を固化、または別様に固定して固体スキャフォールドとする作用を示すことが意図される。硬化は、例えば、温度および/または圧力などの条件の変化により能動的に促進され得る。1つの実施形態では、硬化は焼結により達成される。1つの実施形態では、硬化は、硬化剤および/または条件の追加により達成される。別の実施形態では、スキャフォールド材料の固体スキャフォールドへの硬化は受動的工程であってもよく、例えば、スキャフォールド材料の中空ペレットは接触すると自然に連結し得る。これは接触時即時連結であってもよく、または、例えばある期間にわたってであってもよい。1つの実施形態では、硬化は可塑剤の中空粒子からのリーチングにより促進され得る。硬化は身体または組織への投与/埋め込みにより促進され得る。
【0051】
本明細書における「焼結」という用語は、液化点まで融解させることなく、熱および/または圧力により、固めて材料の固体塊を形成させるプロセスを示すことが意図される。例えば、焼結は鉱質沈着物において自然に起こり得る。
【0052】
本明細書における「固化」または「固化する」という用語は、流動性の状態(例えば、入れ物の形状をとることができる)から非流動性の状態(そこでは、スキャフォールド材料のペレットおよび/または粒子は相互に連結され、互いに対して適切な位置で硬化される)への状態の変化を示すことが意図される。本発明の目的のために、パテまたはゲル材料は固化材料と考えられ得る。「流動性」という用語は、相互に連結されておらず、流れることができる液体または固体粒子、ペレットまたは粉末を含み得る。
【0053】
「可塑剤」は典型的には、その可撓性、柔軟性、伸展性または加工性を増加させるためにポリマー中に組み込まれる物質である。可塑剤はポリマー分子を一緒に保持する結合を弱めることができ、熱および/または機械的特性に効果を有することができる。可塑剤は薬学的に許容される可塑剤であってもよい。可塑剤は、エタノールなどのポリマー溶媒、例えば、本明細書で記載されるポリマーの溶媒であってもよい。
【0054】
「連結する」または「連結」という用語は、ペレットが物理的に結合され、一緒に維持される(すなわち、相互作用し、共にくっつく)ことを示すことが意図される。連結は、中空ポリマーペレット間または中空ポリマーペレットの成分間の、共有結合性、非共有結合性、静電、イオン性、接着、凝集または絡み合い相互作用により達成され得る。ペレットは架橋され得る。
【0055】
本発明の第1の態様によれば、固体組織スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料組成物が提供され、組成物は複数の中空ポリマーペレットを含み、各ペレットは、ペレットを通って延びる開口中空を含み、
複数の中空ポリマーペレットは連結し、硬化して固体スキャフォールドになることができる。
【0056】
中空ポリマーペレットは開口中空を含み得る。例えば、少なくとも1つの端または側で開口している構造内の中空であり、すなわち、ペレットの構造内に完全に封入されている中空ではない。例えば、中空ポリマーペレットは管状構造を有してもよく、中空はそれを通って延びている。中空管はペレット構造の一端、より好ましくは両端で開口していてもよい。本発明はまた、ペレット構造を貫通するチャネルの形態の中空を予想し、これにより、チャネルは実質的にその長さに沿って開口しており、すなわち、一般にO字型中空断面を有する中空管構造の代わりとして、中空ポリマーペレットはC字型またはU字形断面を含むことができ、そのため、中空チャネルは実質的にその長さに沿って開口している。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは管状構造で、両端で開口している。中空ポリマーペレットは実質的に平行な壁を含み得る(例えば、管の対向する壁は、一般に互いに平行であるという意味で)。中空ポリマーペレットは中空ミクロスフェア(例えば、実質的に中空のコアを有する実質的に球状の粒子)を含まなくてもよく、これから形成されなくてもよい。
【0057】
中空ポリマーペレットは管状であってもよい。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは実質的に円形の断面を有する管状である。あるいは、中空ポリマーペレットは任意の好適な形状とされた断面、例えば円形、三角形、四角形、半円、五角形、六角形、七角形、八角形、などであってもよい。中空ポリマーペレットが管状である1つの実施形態では、中空ポリマーペレットの外面は断面が実質的に円形であってもよく、中空ポリマーペレットの内面は断面が実質的に円形であってもよい。別の実施形態では、外面の断面形状は内面の断面形状と異なっていてもよい。例えば、外面は断面が円形であってもよく、内面は断面が四角形であってもよく、またはその逆であってもよい。中空ポリマーペレットが押出加工により形成される例では、管状構造の内面および外面の断面形状は、押出ダイの形状により決定され得る。
【0058】
中空ポリマーペレットは、それらの直径以上である長さを有し得る。1つの実施形態では、長さは、直径より大きい。中空ポリマーペレットの長さは中空ポリマーペレットの組成物において均一とすることができ、または組成物中の中空ポリマーペレットの集団は互いに対して長さが不規則であり得る。
【0059】
中空ポリマーペレットは、それらの最長寸法において約300~約700μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約300~約600μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約300~約550μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約300~約500μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約400~約600μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約400~約550μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約400~約500μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約450~約500μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約500μmのサイズを有し得る。
【0060】
別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約50~約700μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約50~約500μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約50~約300μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約50~約200μmのサイズを有し得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはそれらの最長寸法において約50~約100μmのサイズを有し得る。
【0061】
中空ポリマーペレットの外径(すなわち、対向する外面間の距離(例えば管の外径/外側径)は約200~約600μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの外径(すなわち、対向する外面間の距離(例えば管の外径/外側径)は約50~約600μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの外径(すなわち、対向する外面間の距離(例えば管の外径/外側径)は約50~約500μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの外径(すなわち、対向する外面間の距離(例えば管の外径/外側径)は約50~約400μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの外径(すなわち、対向する外面間の距離(例えば管の外径/外側径)は約50~約300μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの外径(すなわち、対向する外面間の距離(例えば管の外径/外側径)は約50~約200μmであり得る。
【0062】
中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は約100~約300μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は約10~約300μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は約20~約300μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は約10~約200μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は約20~約200μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は約10~約100μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は約20~約100μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は約20~約50μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径は約200μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は少なくとも約20μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は少なくとも約40μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は少なくとも約50μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は少なくとも約800μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は少なくとも約100μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は少なくとも約150μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの内径(すなわち、対向する内面間の距離(例えば管の内径)は少なくとも約200μmであり得る。そのような中空/管腔サイズは中空ポリマーペレット中への有利な細胞浸潤を可能にする。
【0063】
中空ポリマーペレットの壁の厚さは約100~200μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約10μm~200μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約10~100μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約10~80μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約10~50μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約10~40μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約10~30μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約20~100μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約20~80μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約20~50μmであり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの壁の厚さは約20~30μmであり得る。
【0064】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは50~200μmの外径、20~170μmの内径、および任意で少なくとも30μmの壁厚を有し得る。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは50~200μmの外径、20~190μmの内径、および任意で10μmの壁厚を有し得る。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは50~200μmの外径、20~170μmの内径、および任意で30μmの壁厚を有し得る。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは50~500μmの外径、20~370μmの内径、および任意で少なくとも30μmの壁厚を有し得る。
【0065】
1つの実施形態では、所望のサイズの中空ポリマーペレットは約400μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過することができないが、約500μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過する。別の実施形態では、所望のサイズの中空ポリマーペレットは約400μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過することができないが、約600μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過する。別の実施形態では、所望のサイズの中空ポリマーペレットは約400μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過することができないが、約800μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過する。1つの実施形態では、所望のサイズの中空ポリマーペレットは約300μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過することができないが、約500μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過する。別の実施形態では、所望のサイズの中空ポリマーペレットは約300μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過することができないが、約600μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過する。別の実施形態では、所望のサイズの中空ポリマーペレットは約300μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過することができないが、約800μmの細孔サイズを有する篩またはフィルタを通過する。
【0066】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットの中空(または別様に「管腔」)は中空ポリマーペレットの体積の少なくとも10%であり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの中空は中空ポリマーペレットの体積の少なくとも20%であり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの中空は中空ポリマーペレットの体積の少なくとも30%であり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの中空は中空ポリマーペレットの体積の少なくとも40%であり得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットの中空は中空ポリマーペレットの体積の少なくとも50%であり得る。そのような中空/管腔体積は中空ポリマーペレット中への有利な細胞浸潤を可能にする。
【0067】
中空ポリマーペレット、またはその特徴のサイズ、長さ、直径、体積または厚さは、中空ポリマーペレットの集団の平均サイズを示し得る。1つの実施形態では、中空ポリマーペレット、またはその特徴のサイズ、長さ、直径、体積または厚さは、中空ポリマーペレットの最大のサイズ、長さ、直径、体積または厚さを示し得る。中空ポリマーペレットのサイズは、要求されるスキャフォールドの対象とする用途または型に対して当業者により便宜的に選択され得る。例えば、より大きなサイズの中空ポリマーペレットの使用は多孔度を増加させるためのものである可能性があり、その場合、中空ポリマーペレット間の間隙は、より小さな中空ポリマーペレットの使用に比べ、より大きなものとなり得る。そのようなサイズ制御は作用物質放出速度の制御を提供することができ、これにより、より速い放出速度が、より大きな中空ポリマーペレットの選択により提供され得る。例えば中空ポリマーペレット材料を押し出す場合、排出速度を変化させて、中空ポリマーペレットをより薄い直径に引き出すことができる。加えて、形態は温度、よって冷却時間の変化により影響を受ける可能性がある。
【0068】
中空ポリマーペレットは固体(中空自体を除く)とすることができ、すなわち、中空ポリマーペレットの材料は、多孔性構造のない固体であり得る。あるいは、中空ポリマーペレットは多孔性材料から構成されてもよく、そのため、中空ポリマーペレット構造の壁は多孔性である。
【0069】
中空ポリマーペレットは1つ以上のポリマーを含み、またはこれから構成することができる。ポリマー(複数可)は合成ポリマー(複数可)であってもよい。中空ポリマーペレットは、下記を含む群から選択される1つ以上のポリマーを含み得る:ポリ(α-ヒドロキシ酸)、例えばポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリD,L-乳酸(PDLLA)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ乳酸またはポリグリコール酸、ポリ-ラクチドポリ-グリコリドコポリマー、およびポリ-ラクチドポリ-グリコリドポリエチレングリコールコポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエステル、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(3-ヒドロキシ-酪酸)、ポリ(s-カプロン酸)、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ(プロピレンフマレート)、ポリ(オルトエステル)、ポリオール/ジケテンアセタール付加ポリマー、ポリ無水物、ポリ(無水セバシン酸)(PSA)、ポリ(カルボキシビスカルボキシフェノキシホスファゼン)(PCPP)、ポリ[ビス(p-カルボキシフェノキシ)メタン](PCPM)、SA、CPPおよびCPMのコポリマー(Tamat and Langer in Journal of Biomaterials Science Polymer Edition, 3, 315-353. 1992において、およびDombにより、Chapter 8 of The Handbook of Biodegradable Polymers, Editors Domb A J and Wiseman R M, Harwood Academic Publishersにおいて記載される)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(偽アミノ酸)、ポリフォスファゼン、ポリ[(ジクロロ)ホスファゼン]の誘導体、ポリ[(オルガノ)ホスファゼン]、ポリリン酸、ポリエチレングリコールポリプロピレンブロックコポリマー、例えば商標プルロニック(商標)下で販売されているもの、天然または合成ポリマー、例えば絹、エラスチン、キチン、キトサン、フィブリン、フィブリノゲン、多糖(ペクチンを含む)、アルギン酸、コラーゲン、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質、これらのポリマーのいずれかのモノマーから調製されたコポリマー、これらのポリマーのランダムブレンド、任意の好適なポリマーおよびそれらの混合物または組み合わせ。
【0070】
中空ポリマーペレットは下記を含む群から選択されるポリマーを含み得る:ポリ(α-ヒドロキシ酸)、例えばポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリD、L-乳酸(PDLLA)、ポリ-ラクチドポリ-グリコリドコポリマー、およびそれらの組み合わせ。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットはPLGAを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットはたった1つのポリマー、例えばPLGAを含む。
【0071】
中空ポリマーペレットは、ポリ(α-ヒドロキシ酸)のポリ(エチレングリコール)(PEG)とのブレンド、例えば、グリコール酸および/または乳酸に基づくポリマーまたはコポリマーのPEGとのブレンドであるポリマーを含み得る。中空ポリマーペレットはPLGA/PEGを含み得る。中空ポリマーペレットはPEGを、例えば、可塑剤として含み得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはPEGを含まなくてもよい。別の実施形態では、中空ポリマーペレットはPEGを実質的に含まなくてもよく、例えば、中空ポリマーペレットは2%w/w未満のPEGを含み得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットは1.5%w/w未満のPEGを含み得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットは1%w/w未満のPEGを含み得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットは0.5%w/w未満のPEGを含み得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットは0.2%w/w未満のPEGを含み得る。
【0072】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットはPLGA95:5を含む。あるいは、中空ポリマーペレットはPLGA50:50を含み得る。あるいは、中空ポリマーペレットはPLGA85:15を含み得る。あるいは、中空ポリマーペレットはPLGA85:15~PLGA95:5のいずれかのPLGAを含み得る。あるいは、中空ポリマーペレットはPLGA65:35を含み得る。あるいは、中空ポリマーペレットはPLGA72:25を含み得る。上記PLGA実施形態の間のモノマー比を有するPLGAもまた考えられ得る。
【0073】
PEGが中空ポリマーペレット中で可塑剤として提供される実施形態では、PEGは中空ポリマーペレット内容物の10%までであり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の8%までであり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の6%までであり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の3%までであり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の2%までであり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の1%までであり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の1~10%であり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の5~8%であり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の6~7%であり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の2~6%であり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の3~4%であり得る。あるいは、PEGは中空ポリマーペレット内容物の約6.5%であり得る。
【0074】
PEGが中空ポリマーペレット中で可塑剤として提供される実施形態では、PEGは1000Da以下の分子量を有し得る。PEGは400Da~1000Daの分子量を有し得る。あるいは、PEGは800Da以下である。あるいはPEGは600Da以下である。1つの実施形態では、PEGはPEG400である。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは液体PEG400を含み、任意で、この場合、PEG400は1~40%w/wの量で提供される。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは液体PEG400を含み、任意で、この場合、PEG400は1~30%w/wの量で提供される。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは液体PEG400を含み、任意で、この場合、PEG400は1~20%w/wの量で提供される。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは液体PEG400を含み、任意で、この場合、PEG400は1~15%w/wの量で提供される。
【0075】
中空ポリマーペレットは可塑剤を含むことができ、これはPEGであっても、でなくてもよい。可塑剤はPLGA、例えば低分子量PLGA、例えば10KDa未満のPLGAを含み得る。加えてまたはその代わりに、可塑剤はPLGAのモノマー(すなわちDL-ラクチドおよび/またはグリコリド)を含み得る。
【0076】
中空ポリマーペレットは、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノマーエーテル、プロピレングリコール、ソルビトールソルビタン溶液、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、ジアセチルモノグリセリド、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、またはそれらの組み合わせのいずれかから選択される可塑剤を含むことができ、任意で、この場合、可塑剤は1~10%w/wの量で提供される。
【0077】
中空ポリマーペレットは、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノマーエーテル、プロピレングリコール、ソルビトールソルビタン溶液、またはそれらの組み合わせのいずれかから選択される可塑剤を含むことができ、任意で、この場合、可塑剤は1~10%w/wの量で提供される。中空ポリマーペレットは、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、ジアセチルモノグリセリド、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、またはそれらの組み合わせのいずれかから選択される可塑剤を含むことができ、任意で、この場合、可塑剤は1~10%w/wの量で提供される。
【0078】
他の実施形態では、可塑剤は、40%w/wまでの量で提供され得る。他の実施形態では、可塑剤は、30%w/wまでの量で提供され得る。別の実施形態では、可塑剤は、1~40%w/wの量で提供され得る。別の実施形態では、可塑剤は、1~30%w/wの量で提供され得る。別の実施形態では、可塑剤は、1~20%w/wの量で提供され得る。別の実施形態では、可塑剤は、1~15%w/wの量で提供され得る。別の実施形態では、可塑剤は、2~40%w/wの量で提供され得る。別の実施形態では、可塑剤は、2~30%w/wの量で提供され得る。別の実施形態では、可塑剤は、2~20%w/wの量で提供され得る。
【0079】
中空ポリマーペレットは生体適合性および/または生分解性であり得る。中空ポリマーペレット中で使用されるポリマーを制御することにより、スキャフォールド分解速度は制御され得る。
【0080】
スキャフォールド材料
1つの実施形態では、スキャフォールド材料は担体を含み、例えば、中空ポリマーペレットは本明細書で記載される担体に懸濁される。
【0081】
スキャフォールド材料は、1つ以上の型のポリマーから作製された1つ以上の型の中空ポリマーペレットを含み得る。スキャフォールド材料はさらに、1つ以上の型のポリマー、例えば、本明細書で列挙されるポリマーまたはポリマーブレンドから作製された1つ以上の型のポリマー粒子を含み得る。ポリマー粒子は中空ポリマーペレットと同じ材料から作製されてもよい。
【0082】
さらに、スキャフォールド材料はさらに、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子を含み得る。天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は微小粒子であり得る。非ポリマー粒子はセラミックを含み、またはこれから構成することができる。セラミックは、硫酸カルシウム(CS)またはβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)を含み、またはこれから構成することができる。別の実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は、結晶化糖分子、例えばマンニトールの結晶化粒子を含み得る。グルコースなどの他の糖粒子が提供され得る。1つの実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は抗酸化剤を含み得る。1つの実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子はシリカ置換セラミックを含み得る。1つの実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子はα-リン酸三カルシウムを含み得る。1つの実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子はヒドロキシアパタイトを含み得る。1つの実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子はリン酸カルシウムを含み得る。異なる天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子の組み合わせが考えられ得る。
【0083】
天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は、中空ポリマーペレットと比べて、サイズが実質的に同様であるか、または等しくすることができる(集団における平均粒子サイズによる)。別の実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は、中空ポリマーペレットと比べて、サイズがより小さくてもよい(集団における平均粒子サイズによる)。例えば、1つの実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は粉末形態であってもよい。粉末形態は集団における平均粒子サイズによれば、約250ミクロン未満の粒子を含み得る。別の実施形態では、粉末形態は集団における平均粒子サイズによれば、約150ミクロン未満の粒子を含み得る。別の実施形態では、粉末形態は集団における平均粒子サイズによれば、約20~250ミクロンの粒子を含み得る。
【0084】
1つの実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子は中空ポリマーペレット内に封入される。1つの実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子は粉末形態で、中空ポリマーペレット内に封入される。当業者であれば、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子は、中空ポリマーペレット内での封入のために任意の好適なサイズを有することができることを理解するであろう。封入は、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックの存在下での、中空ポリマーペレットの形成により提供され得る。例えば、封入は、中空ポリマーペレットを形成するためのポリマー、および天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックの共押出により起こり得る。例えば、封入は、中空ポリマーペレットを形成するためのポリマーおよび天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックの共押出により起こり得る。非ポリマー粒子は、本明細書の本発明の方法により、中空ポリマーペレット内で提供され得る。
【0085】
スキャフォールド材料は1%~55%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は1%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は10%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は20%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は30%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は40%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。
【0086】
天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子が中空ポリマーペレット内に封入される一実施形態では、中空ポリマーペレットは1%~55%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。あるいは、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子が中空ポリマーペレット内に封入される一実施形態では、中空ポリマーペレットは20%~55%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。あるいは、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子が中空ポリマーペレット内に封入される一実施形態では、中空ポリマーペレットは20%~50%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。あるいは、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子が中空ポリマーペレット内に封入される一実施形態では、中空ポリマーペレットは30%~50%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。あるいは、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子が中空ポリマーペレット内に封入される一実施形態では、中空ポリマーペレットは40%~50%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。
【0087】
天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックがスキャフォールド材料中で提供される一実施形態では、スキャフォールド材料は担体において40%w/v未満の可塑剤を含み得る。天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックがスキャフォールド材料中で提供される別の実施形態では、スキャフォールド材料は担体において39%w/v未満の可塑剤を含み得る。天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックがスキャフォールド材料中で提供される別の実施形態では、スキャフォールド材料は担体において35%w/v未満の可塑剤を含み得る。天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックがスキャフォールド材料中で提供される別の実施形態では、スキャフォールド材料は担体において30%w/v未満の可塑剤を含み得る。あるいは、可塑剤含量は、担体の20%、15%、10%または5%w/v未満であり得る。天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックがスキャフォールド材料中で提供される一実施形態では、スキャフォールド材料は担体において約1%w/vの可塑剤を含み得る。
【0088】
1つを超える型の中空ポリマーペレットが使用される場合、各中空ポリマーペレット型は異なる固化または硬化特性を有し得る。例えば、中空ポリマーペレットは同様のポリマーから作製され得るが、異なるゲル化pHまたは異なる融解温度もしくはガラス転移点を有し得る。
【0089】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットがスキャフォールドを形成するためには、例えば組成物が投与されるヒトまたは非ヒト動物において、中空ポリマーペレット周りの温度はおよそ、中空ポリマーペレットのガラス転移温度以上である。そのような温度では、中空ポリマーペレットは、1つ以上の他の中空ポリマーペレットに連結して、スキャフォールドを形成し得る。連結により、隣接する中空ポリマーペレットが一緒に合わせられることが意味される。例えば、中空ポリマーペレットは、1つの中空ポリマーペレットの表面のポリマー鎖の、別の中空ポリマーペレットの表面のポリマー鎖との絡み合いにより連結し得る。隣接する中空ポリマーペレット間に接着、凝集または融合が存在し得る。
【0090】
スキャフォールド材料は、体温に近いか、またはそのすぐ上のガラス転移温度(Tg)(例えば、約30℃~45℃、例えば約35℃~40℃、例えば約37℃~40℃)を有するポリマーまたはポリマーブレンドから形成された中空ポリマーペレットを含み得る。したがって、室温では中空ポリマーペレットはそれらのTg未満にあり、別々の中空ポリマーペレットとして挙動するが、体内では、中空ポリマーペレットは軟化し、それらの隣接物と相互作用し/これらに付着する。好ましくはスキャフォールド形成は室温から体温への温度の上昇の15分以内に始まる。
【0091】
中空ポリマーペレットは、約35℃~40℃、例えば約37℃~40℃のTgを有するポリマーから形成され得、ここで、ポリマーはポリ(α-ヒドロキシ酸)(例えば、PLA、PGA、PLGA、もしくはPDLLAまたはそれらの組み合わせ)、またはそれらのポリ(エチレングリコール)(PEG)とのブレンドである。体温では、これらの中空ポリマーペレットは相互作用し、スキャフォールドを形成し得る。スキャフォールド材料はポリ(α-ヒドロキシ酸)/PEG中空ポリマーペレットのみを含むことができ、または他の粒子/ペレット型が含まれ得る。
【0092】
中空ポリマーペレットは、体温以上のTgを有する、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)およびポリ(エチレングリコール)(PEG)のブレンドから形成され得る。体温では、これらの中空ポリマーペレットは相互作用して、スキャフォールドを形成することができ、このプロセス中に、PEGは中空ポリマーペレットの表面から失われる可能性があり、それは、Tgを上昇させ、スキャフォールド構造を堅くする効果を有するであろう。スキャフォールド材料はPLGA/PEG中空ポリマーペレットのみを含むことができ、または他の粒子/ペレット型が含まれ得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は、PLGA中空ポリマーペレットのみを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料、例えばポリマー中空ポリマーペレットは可塑剤、例えばPEGを実質的に含まなくてもよい。
【0093】
便宜的に、可塑剤、例えばPEGを実質的に含まない中空ポリマーペレットを提供すると、より無駄のない製造プロセスが提供され、中空ポリマーペレットの室温安定性が改善される。例えば、典型的な中空ポリマーペレット、例えばPLGA/PEG400ブレンドの低いガラス転移温度のために、それらは冷蔵庫またはフリーザー中で保存する必要がある。対照的に、可塑剤を実質的に含まない中空ポリマーペレットは、室温で保存することができる。そのような可塑剤フリー中空ポリマーペレットは依然として、本明細書で記載されるように、担体中で可塑剤を使用することにより硬化してスキャフォールドになることができ得る。
【0094】
スキャフォールド材料は、温度感応性中空ポリマーペレットおよび非温度感応性中空ポリマーペレットもしくは粒子の混合物を含み得る。好ましくは、非温度感応性粒子は、組成物が使用されることが意図される温度を超えるガラス転移温度を有する中空ポリマーペレット/粒子である。温度感応性中空ポリマーペレットおよび非温度感応性中空ポリマーペレット/粒子の混合物を含む組成物では、温度感応性中空ポリマーペレット対非温度感応性中空ポリマーペレット/粒子の比は、約3:1、またはそれ以下、例えば、4:3であり得る。温度感応性中空ポリマーペレットは、組成物の温度がこれらの中空ポリマーペレットのガラス転移温度以上まで上昇されると、互いに連結することができ得る。温度感応性中空ポリマーペレット対非温度感応性中空ポリマーペレット/粒子の比を制御することにより、得られたスキャフォールドの多孔度を操作することが可能になり得る。
【0095】
温度感応性への言及は、200℃未満の温度での温度感応性を示し得る。別の実施形態では、温度感応性への言及は、180℃未満の温度での温度感応性を示し得る。別の実施形態では、温度感応性への言及は、150℃未満の温度での温度感応性を示し得る。別の実施形態では、温度感応性への言及は、120℃未満の温度での温度感応性を示し得る。別の実施形態では、温度感応性への言及は、100℃未満の温度での温度感応性を示し得る。別の実施形態では、温度感応性への言及は、80℃未満の温度での温度感応性を示し得る。別の実施形態では、温度感応性への言及は、60℃未満の温度での温度感応性を示し得る。別の実施形態では、温度感応性への言及は、50℃未満の温度での温度感応性を示し得る。別の実施形態では、温度感応性への言及は、45℃未満の温度での温度感応性を示し得る。別の実施形態では、温度感応性への言及は、40℃未満の温度での温度感応性を示し得る。
【0096】
1つの実施形態では、セラミック粒子がさらに、スキャフォールド材料中に存在し得る。これは典型的には温度不応性粒子型である。その代わりに、または加えて、スキャフォールド材料中の中空ポリマーペレットはそれ自体、セラミック成分を含み得る。これは典型的には温度不応性粒子型である。別個の粒子として、または中空ポリマーペレット内にセラミック材料を含めると、骨伝導性が増強され、および/または骨誘導性が付加され得る。
【0097】
中空ポリマーペレットは、例えば任意の担体と混合する前に乾燥して提供され得る。中空ポリマーペレットは担体中で少なくとも部分的に分散性であり得る。中空ポリマーペレットは、37℃以下の温度では担体中に可溶性ではない可能性がある。
【0098】
スキャフォールド材料は、外科手術または療法によるヒトまたは動物身体の治療の方法において、あるいはヒトまたは動物身体に対して実施される診断方法において使用するためのものであり得る。スキャフォールド材料は薬学的用途のためものであってもよく、または美容外科において使用するためのものであってもよい。
【0099】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットのスキャフォールドは多孔性である。細孔は、各中空ポリマーペレットの中空構造により、加えて中空ポリマーペレット内の空隙により、および/または中空ポリマーペレット間の間隙により形成され得る。1つの実施形態では、細孔は、各中空ポリマーペレットの中空構造、ポリマー微小粒子内の空隙、およびポリマー微小粒子間の間隙により形成される。細孔は、スキャフォールドを形成するために使用された中空ポリマーペレット間に残された間隙により形成され得る。
【0100】
スキャフォールドは少なくとも約30%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約35%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約40%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約50%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約60%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約65%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約70%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約55%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも0.5MPaまたは少なくとも0.8Mpaの圧縮強度も維持し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約55%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも1MPaの圧縮強度も維持し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約60%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも0.5MPaまたは少なくとも0.8Mpaの圧縮強度も維持し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約60%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも1MPaの圧縮強度も維持し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約65%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも0.5MPaまたは少なくとも0.8Mpaの圧縮強度も維持し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約65%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも1MPaの圧縮強度も維持し得る。
【0101】
スキャフォールドは少なくとも約4Mpaのヤング率を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約5Mpaのヤング率を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約6Mpaのヤング率を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約7Mpaのヤング率を有し得る。
【0102】
ヤング率および/または最大応力は、Exponent Stable Micro Systems TA.XT+テクスチャーアナライザーにより約37℃で得られた応力対ひずみトレースから測定され得る。
【0103】
別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約60%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも1MPaの圧縮強度および少なくとも5Mpaのヤング率も維持し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約60%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも1MPaの圧縮強度および少なくとも6Mpaのヤング率も維持し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約70%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも1MPaの圧縮強度および少なくとも5Mpaのヤング率も維持し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは少なくとも約70%の細孔体積(すなわち多孔度)を有し、一方、少なくとも1MPaの圧縮強度および少なくとも6Mpaのヤング率も維持し得る。
【0104】
便宜的に、スキャフォールド構造を形成するための中空ポリマーペレットの使用は、高い多孔度で、良好な圧縮強度および/またはヤング率も維持するスキャフォールドを提供する。
【0105】
細孔は約100ミクロンの平均直径を有し得る。スキャフォールドはナノメートル~ミリメートル範囲の細孔を有し得る。スキャフォールドは約20~約50ミクロン、あるいは約50~120ミクロンの細孔を有し得る。1つの実施形態では、スキャフォールドは100ミクロンの平均サイズを有する細孔を有する。スキャフォールドは、少なくとも約30%、約40%、約50%またはそれ以上の細孔体積を有し得る。1つの実施形態では、スキャフォールドの多孔度は30%~70%であり得る。別の実施形態では、スキャフォールドの多孔度は40%~65%であり得る。別の実施形態では、スキャフォールドの多孔度は40%~60%であり得る。別の実施形態では、スキャフォールドの多孔度は50%~60%であり得る。スキャフォールドは300mm3のスキャフォールドあたり少なくとも90mm3の細孔体積を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは300mm3のスキャフォールドあたり少なくとも120mm3の細孔体積を有し得る。別の実施形態では、スキャフォールドは300mm3のスキャフォールドあたり少なくとも150mm3の細孔体積を有し得る。
【0106】
当業者であれば、認識するであろうが、細孔体積および細孔サイズはマイクロコンピュータートモグラフィー(microCT)および/または走査電子顕微鏡法(SEM)を使用して決定することができる。例えば、SEMはPhilips 535M SEM器械を使用して実施することができる。
【0107】
前に記載されるように、高多孔度スキャフォールドはより大きな表面積を有し、それにより、細胞が増殖するためのより多くの空間が与えられる。さらに便宜的に、中空ポリマーペレットが細胞と一緒にされると、それらの高い表面積により、非中空ポリマーペレットと比べると、より良好な細胞負荷が可能になる。中空ポリマーペレットが細胞と一緒にされると、せん断力が起きた時にそれらの穴は細胞を保護する。これは、細胞およびスキャフォールド材料を混合する場合に特に有利となり得、この場合、細胞のより高い生存率が維持され得る。そのため、中空ポリマーペレットは細胞に対して遮蔽効果を提供する。
【0108】
加えて、中空ポリマーペレットの高表面積は、ポリマー分解について別の制御メカニズムを与える。中空ポリマーペレット構造により提供されるより高い表面積により、より速い分解プロファイルを得ることができる。これは、例えば、分解による活性剤の制御放出、例えば表面結合活性剤または封入活性剤の放出において有用となり得る。
【0109】
中空ポリマーペレットの中空/管腔は、スキャフォールド全体の結果として得られる細孔サイズ分布に影響を与えるように、便宜的に使用することができる。それは、そうでなければ広いペレットサイズの範囲内で細孔サイズの制御および反復寸法を提供する。このアプローチは、スキャフォールド内のマクロ細孔のパーセンテージ(例えば>100ミクロンまたは好ましくは250ミクロン超)または微細孔率(<10ミクロン細孔のパーセンテージを増加させる小さな管腔)を増加させるために使用することができる。マクロ細孔は細胞浸潤および組織増殖に重要であり、微細孔率は物質移動に重要である。
【0110】
中空ポリマーペレットの提供はまた、大半のポリマー内での分解生成物の蓄積を防止するのを助けることができ、それらは放出されると自己触媒的または炎症促進性となり得る。
【0111】
中空ポリマーペレット組成物または懸濁液は注射可能とすることができる。注射可能なスキャフォールド材料は、被検体中に注射されると/または注射後、硬化(固化/自己組織化)し、スキャフォールドを形成することができ得る。1つの実施形態では、スキャフォールド材料は注射によりヒトまたは非ヒト動物の体内に投与されることが意図される。スキャフォールド材料が注射される場合、そうすると、スキャフォールドを配置するための侵襲性外科手術の必要性が取り除かれる。スキャフォールド材料は、好ましくは注射により、組成物のヒトまたは非ヒト動物への投与が可能になるように十分粘性とすることができる。
【0112】
投与後、固化/硬化して、スキャフォールドを形成するスキャフォールド材料を使用することにより、それが置かれた場所の形状、例えば、それが置かれた組織空洞の形状に従うスキャフォールドを形成させることができる。これは、投与に先立ち、特定の形状に作製しなければならない、空洞におけるボトルネック部を通して挿入することができず、膨潤して空洞を埋めることができない、投与前に作製されるスキャフォールドの問題を克服する。
【0113】
スキャフォールド材料は室温で投与されるように配列され得る。そのため、スキャフォールド材料は室温で粘性であってもよい。あるいは、スキャフォールド材料は、投与のために、室温超まで、例えば体温(約37℃)以上まで加熱され得る。スキャフォールド材料はそのヒトまたは非ヒト動物への投与を助けるために、この温度で流動性または粘性であり得る。
【0114】
スキャフォールド材料は、標準圧を使用して(例えば、圧力は平均的な人間の手により合理的に適用することができる)、約4mm以下のオリフィスを有するシリンジから投与され得る粘度を有し得る。オリフィスのサイズは医学的利用に依存し、例えば、多くの骨適用のため、約2mm~約4mmのオリフィスを有するシリンジが使用される、しかしながら、他の適用のためには、より小さなオリフィスが好ましい場合がある。「標準圧」という用語は、組成物を患者に片方の手を使用して投与するヒトにより適用される圧力であり得る。
【0115】
スキャフォールド材料は、投与された時に、水がそうであるようには直ちに散逸しないが、代わりに、投与された部位の形態をとるように十分な粘度を有し得る。担体および作用物質のいくらかまたは全ては、時間経過に伴い、スキャフォールドから散逸し得る。1つの実施形態では、スキャフォールド材料は十分粘性であり、投与されると、注射可能なスキャフォールド材料は注射されたところに実質的にとどまり、直ちに散逸しない。1つの実施形態では、スキャフォールド材料のいくらかの実質的な散逸が起こるまでに、スキャフォールドが形成し、または形成するように配列される。注射などにより特定の部位に提供されたスキャフォールド材料の約50重量%、60重量%70重量%、80重量%または90重量%超がその部位に留まり、その部位でスキャフォールドを形成し得る。
【0116】
複数の中空ポリマーペレットは、焼結により、連結、および硬化して固体スキャフォールドになることができ得る。スキャフォールド材料は、体内に注射されると投与後の温度の増加のために(例えば、室温から体温への温度の増加)自然に固化することができ得る。この温度の増加は、スキャフォールド材料を相互作用させ、スキャフォールドを形成させ得る。
【0117】
スキャフォールド材料が固化してスキャフォールドを形成する場合、それは、懸濁液または変形可能な粘性状態から、固体状態へ変化することができ、固体状態では、形成されたスキャフォールドは自立しており、その形状を保持する。形成された固体スキャフォールドは、その対象とする用途によって脆性またはより可撓性とすることができる。スキャフォールドは圧縮性で破砕なしとすることができる(例えばスポンジ稠度)。
【0118】
スキャフォールド材料の固化(すなわち、スキャフォールド材料からのスキャフォールドの形成/硬化)は任意の適切な手段により誘発され得、例えば、固化は、温度の変化、pHの変化、機械力(圧縮)の変化、または連結、硬化もしくはゲル化剤または触媒の導入により誘発され得る。
【0119】
1つの実施形態では、固化は中空ポリマーペレットとの可塑剤相互作用により誘発され、そのため、それらは連結し、スキャフォールドを形成する。特に、可塑剤は、中空ポリマーペレットの表面化学を変化させることができ、そのため、表面Tgが減少し、これにより、中空ポリマーペレットが一緒に粘着/連結するのを可能にする。
【0120】
言い換えれば、中空ポリマーペレットは別々のペレットであってもよく、それらは温度の変化、pHの変化、機械力(圧縮)の変化、または連結剤、硬化剤もしくはゲル化剤または触媒の導入により硬化/固化されてスキャフォールドになることができる。
【0121】
スキャフォールド材料は、様々な方法、例えば、ポリマー鎖の物理的絡み合い、アクリレートポリマーのUV架橋、チオレートまたはアクリレートポリマーのMichael付加反応、ビニルスルホンにより架橋されたチオレートポリマー、ビニルスルホンのスクシニメート(succinimate)による架橋、ヒドラジンによる架橋、熱誘導ゲル化、酵素架橋(例えば、トロンビンのフィブリノゲンへの付加)、塩またはイオン(とりわけCa2+イオン)の付加による架橋、イソシアネートによる架橋(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート)により架橋され得る。
【0122】
スキャフォールド材料は別々の中空ポリマーペレットを含み、それらは相互作用してスキャフォールドを形成することができる。相互作用により粒子を連結させることができ、この場合、粒子は物理的に結合され、一緒に保持される。連結は、中空ポリマーペレットまたは中空ポリマーペレットの成分間の共有結合性、非共有結合性、静電、イオン性、接着、凝集または絡み合い相互作用により達成され得る。
【0123】
中空ポリマーペレットが確実にスキャフォールドを形成することができるための特徴はガラス転移温度(Tg)であり得る。室温(例えば約24℃)を超えるTgを有する中空ポリマーペレットを選択することにより、室温では中空ポリマーペレットはそれらのTg未満にあり、別々のペレットとして挙動するが、より高い温度に曝露されると(例えば体内では)、中空ポリマーペレットは軟化し、それらの隣接物と相互作用し/これらに付着する。1つの実施形態では、約25℃~50℃、例えば約27℃~50℃、例えば約30℃~45℃、例えば35℃~40℃、例えば約37℃~40℃のTgを有する中空ポリマーペレットが使用される。
【0124】
当業者であれば、認識するであろうが、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)またはレオロジー試験により測定することができる。特に、ガラス転移温度はDSCを用いて、10℃/分の走査速度で、第1の加熱走査において決定することができ、ここで、ガラス転移はエンタルピーの変化の中間点であると考えられる。好適な器械はPerkin Elmer(Bucks、英国)DSC-7である。
【0125】
言い換えれば、スキャフォールドの形成は、中空ポリマーペレットを、それらのTgより低い温度からより高い温度への温度の変化に曝露することにより引き起こされる。より高い温度はそれらのTg以上でなければならない必要は必ずしもなく;それらのTgに向かう任意の温度の増加は、中空ポリマーペレット間で要求される相互作用を誘発することができる。1つの実施形態では、スキャフォールドの形成は、中空ポリマーペレットを、それらのTgより低い温度からより高い温度への温度の変化に曝露することにより引き起こされ、ここで、より高い温度は、それらのTgよりせいぜい50℃低く、例えばそれらのTgよりせいぜい30℃低く、またはそれらのTgよりせいぜい20℃低く、またはそれらのTgよりせいぜい10℃低い。
【0126】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットが体内への注射でそれらのTg温度近くまたはそれ以上に上昇した場合、中空ポリマーペレットは1つ以上の他の中空ポリマーペレットに連結し、スキャフォールドを形成する。連結により、隣接する中空ポリマーペレットが一緒に合わせられることが意味される。例えば、中空ポリマーペレットは、1つの中空ポリマーペレットの表面のポリマー鎖の、別の中空ポリマーペレットの表面のポリマー鎖との絡み合いにより、連結し得る。隣接する中空ポリマーペレット間に接着、凝集または融合が存在し得る。
【0127】
中空ポリマーペレットが一緒になり、連結すると、隣接する中空ポリマーペレット間の必然的な空間の結果として、得られたスキャフォールド内に細孔が形成される。中空ポリマーペレット間のそのような空間/間隙は、ヒドロゲルまたは他の構造材料で満たされなくてもよい。しかしながら、中空ポリマーペレット間のそのような空間/間隙は液体担体で満たされ得る。
【0128】
1つの実施形態では、スキャフォールド材料は、約35℃~約40℃のTgを有する別々の中空ポリマーペレット(それらは相互作用してスキャフォールドを形成することができる)、ならびに、約40℃のTgを有する他の別々の中空ポリマーペレットを含む。送達のための作用物質はペレット型の1つのみまたは両方中に組み込まれ得る。好ましくは送達のための作用物質は少なくとも、40℃を超えるTgを有する別々のペレットに組み込まれる。
【0129】
スキャフォールドは、熱の発生または有機溶媒の損失なしで形成し得る。
【0130】
ヒトまたは非ヒト動物にいったん投与されると、スキャフォールド材料からのスキャフォールドの形成には、約20秒~約24時間、あるいは約1分~約5時間、あるいは約1分~約1時間、あるいは約30分未満、あるいは約20分未満かかり得る。1つの実施形態では、固化は投与から約1分~約20分に起こる。
【0131】
スキャフォールド材料は約20%~約80%の中空ポリマーペレットおよび約20%~約80%の担体;約30%~約70%の中空ポリマーペレットおよび約30%~約70%の担体を含み得;例えばスキャフォールド材料は、約40%~約60%の中空ポリマーペレットおよび約40%~約60%の担体を含み得;スキャフォールド材料は約50%の中空ポリマーペレットおよび約50%の担体を含み得る。前述のパーセンテージは全て、重量パーセンテージを示す。
【0132】
1つの実施形態では、スキャフォールド材料を使用して、0.5MPaを超える圧縮荷重に抵抗することができるスキャフォールドを形成することができる。別の実施形態では、スキャフォールド材料を使用して、0.8MPaを超える圧縮荷重に抵抗することができるスキャフォールドを形成することができる。別の実施形態では、スキャフォールド材料を使用して、0.9MPaを超える圧縮荷重に抵抗することができるスキャフォールドを形成することができる。別の実施形態では、スキャフォールド材料を使用して、1MPaを超える圧縮荷重に抵抗することができるスキャフォールドを形成することができる。別の実施形態では、スキャフォールド材料を使用して、1.5MPaを超える圧縮荷重に抵抗することができるスキャフォールドを形成することができる。別の実施形態では、スキャフォールド材料を使用して、2MPaを超える圧縮荷重に抵抗することができるスキャフォールドを形成することができる。スキャフォールド圧縮強度は、インサイチューで、例えば体内で、スキャフォールドの特性となり得る。加えて、スキャフォールド圧縮強度は、少なくとも24時間の間、湿った環境(例えば100%湿度)における、約37℃での硬化後に、インビトロで測定される、スキャフォールドの特性となり得る。別の実施形態では、スキャフォールドは、湿った環境(例えば100%湿度)における約37℃での2時間の硬化後、少なくとも0.5MPaの圧縮強度を有し得る。
【0133】
本発明の他の態様および実施形態は、1MPaなどの著しい圧縮強度を必要としない場合がある。例えば、薄層のスキャフォールドが所望される適用では(例えば2~10mmの厚さの層)、スキャフォールドの圧縮強度のレベルは関連パラメータではない可能性がある。例えば、いくつかの適用では、スキャフォールドのある程度の可撓性が望ましい可能性がある。そのため、本発明はまた、実質的に可撓性のスキャフォールド材料を包含する。そのような可撓性スキャフォールド材料は曲げやすい可能性があり、そのため、曲げたり、折りたたんだりした時に割れたり、裂けたり、壊れたりしない。1つの実施形態では、スキャフォールドはパテ稠度を有する。1つの実施形態では、スキャフォールドはスキャフォールドの硬化後、その可撓性を維持することができる。あるいは、スキャフォールドは堅くてもよい(例えば、平均的な大人の手により圧縮または展性されない)。スキャフォールドのフィルムが形成される一実施形態では、スキャフォールドは、破砕させずに丸めて管にするために、十分可撓性とすることができる。
【0134】
1つの実施形態では、スキャフォールドは生体外(例えば、治療される身体/欠損部の外側)で形成される。1つの実施形態では、スキャフォールド材料は、硬化前に広げて層、すなわち、実質的に薄層にすることができる。層は約2~10mmの厚さであってもよい。層は、例えば焼結による硬化前に、スキャフォールド材料を表面上に広げることにより形成させることができる。広げることは、スキャフォールド材料を表面上に塗装、圧延または噴射して、スキャフォールド材料の層を形成させることを含み得る。スキャフォールドの層の形成により、スキャフォールドの可撓性膜が提供され得る。1つの実施形態では、スキャフォールドの層は10mm以下の厚さとすることができる。別の実施形態では、スキャフォールドの層は8mm以下の厚さとすることができる。別の実施形態では、スキャフォールドの層は6mm以下の厚さとすることができる。別の実施形態では、スキャフォールドの層は5mm以下の厚さとすることができる。別の実施形態では、スキャフォールドの層は2mm~10mmの厚さとすることができる。
【0135】
加えてまたはその代わりに、スキャフォールド材料が広げられて層になる方法では、スキャフォールド材料は1.2:1以上の担体対中空ポリマーペレット比を含み得る。加えてまたはその代わりに、スキャフォールド材料が広げられて層になる方法では、スキャフォールド材料は1.5:1以上の担体対中空ポリマーペレット比を含み得る。加えてまたはその代わりに、スキャフォールド材料が広げられて層になる方法では、スキャフォールド材料は約2:1の担体対中空ポリマーペレット比を含み得る。加えてまたはその代わりに、スキャフォールド材料が広げられて層になる方法では、スキャフォールド材料は、約1.2:1~約2:1の担体対中空ポリマーペレット比を含み得る。
【0136】
本発明の別の態様によれば、複数の中空ポリマーペレットを含む組織修復または置換のための固体スキャフォールドが提供され、中空ポリマーペレットはポリマーペレットを通って延びる開口中空を有するポリマーペレットを含み、中空ポリマーペレットは互いに連結される。
【0137】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは互いに対して不均一に配向され得る。例えば、中空ポリマーペレットはランダムに配向され得る。中空ポリマーペレットは互いに対して整列されて、例えばハニカム様構造を形成するために積み重ねられていなくてもよい。
【0138】
スキャフォールドは、本明細書で記載される本発明のスキャフォールド材料から形成されてもよい。
【0139】
スキャフォールドを形成する方法
本発明の別の態様によれば、組織修復または置換のためのスキャフォールドを形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを含むスキャフォールド材料を提供することであって、各ペレットは、ペレットを通って延びる開口中空を含む、こと;ならびに
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、スキャフォールド材料を硬化させること。
【0140】
1つの実施形態では、組織修復または置換のためのスキャフォールド材料を形成する方法は、硬化前に中空ポリマーペレットを液体担体と混合することを含み得る。
【0141】
本発明の第1の態様によれば、インサイチューでの作用物質の放出を制御するためのスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
粉末形態である作用物質を提供すること;
中空ポリマーペレットを粉末作用物質と混合すること;
混合物を液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させること;ならびに任意で
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、スキャフォールド材料を硬化させることであって、粉末作用物質は中空ポリマーペレットのスキャフォールドの中で封入されること。
【0142】
本発明の別の態様によれば、インサイチューでの作用物質の放出を制御するためのスキャフォールドを形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
粉末形態である作用物質を提供すること;
中空ポリマーペレットを作用物質と混合すること;
混合物を液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させること;ならびに
硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、スキャフォールド材料を硬化させることであって、粉末作用物質は中空ポリマーペレットのスキャフォールドの中で封入されること。
【0143】
便宜的に、粉末形態での作用物質の提供は依然としてスキャフォールド形成を可能にし、さらにまた、インサイチューでの作用物質の有利な放出プロファイルを可能にする。例えば、作用物質の粉末形態(例えば、結晶)は、担体および/または治療されている患者の体液に可溶化されるので、作用物質は有効になり得る。そのため、作用物質のバースト放出が、スキャフォールドの埋め込み/注射後に提供され、続いて、より長い徐放(すなわち、1次動力学放出プロファイル)が提供され得る。
【0144】
本明細書における本発明の態様によるスキャフォールドを形成する方法は、スキャフォールド材料を組織修復または置換のための部位に投与/適用することにより、スキャフォールドを硬化させる工程を含み得る。組織修復または置換のための部位は、インサイチューの組織、患者の体内、またはインビトロ/生体外の組織内とすることができる。適用は本明細書で記載される方法、例えば、修復または置換のための部位中への埋め込み、注射、またはモールディングによるものとすることができる。
【0145】
担体
1つの実施形態では、スキャフォールド材料は担体を含み得る。1つの実施形態では、担体は水性担体、例えば水である。担体は水溶液または懸濁液、例えば生理食塩水、血漿、骨髄液、緩衝液、例えばハンクス緩衝塩溶液(HBSS)、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、リンゲル緩衝液、クレブス緩衝液、ダルベッコPBS、または標準PBS;模擬体液、血漿血小板濃縮物または組織培地としてもよい。
【0146】
担体は、任意で、1つ以上の懸濁剤を含み得る。懸濁剤は下記から選択され得る:カルボキシメチルセルロース(CMC)、マンニトール、ポリソルベート、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、アルブミン、アルギン酸、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシルエチルメチルセルロース(HEMC)、ベントナイト、トラガント、デキストリン、ゴマ油、アーモンド油、スクロース、アカシアゴムおよびキサンタンガムおよびそれらの組み合わせ。1つの実施形態では、担体はCMCを含む。
【0147】
CMCは担体中、0.1%~4%w/vの量で提供され得る。CMCは担体中、0.1%~3.5%w/vの量で提供され得る。CMCは担体中、0.1%~3%w/vの量で提供され得る。CMCは担体中、0.1%~2.5%w/vの量で提供され得る。CMCは担体中、0.5%~1%w/vの量で提供され得る。
【0148】
担体はさらに、スキャフォールド材料の流動性を増強させるためのポリマーを含み得る。例えば、ポリマーはポロクサマー(プルロニック)、例えばポロクサマー407(プルロニックF127)を含み得る。スキャフォールド材料の流動性を増強させるためのポリマー、例えばポロクサマー407(プルロニックF127)は担体中、約1%w/vの量で提供され得る。スキャフォールド材料の流動性を増強させるためのポリマー、例えばポロクサマー407(プルロニックF127)は担体中、約0.5~2%w/vの量で提供され得る。
【0149】
担体は1つ以上の可塑剤を含み得る。可塑剤は、担体自体に直接添加されてもよく、例えば、可塑剤は中空ポリマーペレットからの拡散によってだけで担体中に提供され得ない。1つの実施形態では、担体および中空ポリマーペレットはどちらも可塑剤、例えばPEGを含み得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレットではなく、担体のみが可塑剤、例えばPEGを含み得る。別の実施形態では、担体ではなく、中空ポリマーペレットのみが可塑剤、例えばPEGを含み得る。
【0150】
担体中の可塑剤は下記から選択され得る:ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリ(乳酸)またはポリ(グリコール酸)またはそれらのコポリマー、ポリカプロラクトン、およびこれらのポリマーの低分子量オリゴマー、または従来の可塑剤、例えば、アジピン酸、リン酸、フタル酸、セバシン酸、アゼライン酸およびクエン酸。可塑剤はまた、アルコール、例えばエタノールまたはメタノールであってもよい。1つの実施形態では、担体はエタノールを含み得る。1つの実施形態では、担体中の可塑剤はPEGを含まない。別の実施形態では、担体中の可塑剤はPEGを含む。
【0151】
1つの実施形態では、担体中の可塑剤は、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン;またはそれらの組み合わせのいずれか一つから選択され得る。1つの実施形態では、担体中の可塑剤はTEC(クエン酸トリエチル)を含み、またはこれから構成することができる。1つの実施形態では、担体中の可塑剤はトリアセチンを含み、またはこれから構成することができる。
【0152】
1つの実施形態では、担体は、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン;またはそれらの組み合わせのいずれか一つから選択される第1の可塑剤;ならびにTEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン;またはそれらの組み合わせのいずれか一つから選択される第2の可塑剤を含み、第1および第2の可塑剤は異なっている。
【0153】
便宜的に、担体中で、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン;またはそれらの組み合わせのいずれか一つから選択される、特にそのような可塑剤のうちの2つ可塑剤を提供すると、中空ポリマーペレットを、実質的に可塑剤なし、例えばPEGなしで提供することができる。上記のように、これにより、中空ポリマーペレット中に可塑剤、例えばPEGなしで、スキャフォールド材料の固体スキャフォールドへの硬化が可能になる。そのため、中空ポリマーペレットは製造がより容易に、かつより経済的になり、それらは室温で保存することができる。
【0154】
第1の可塑剤は担体中で提供することができ、第1の可塑剤はクエン酸トリエチルであり、第2の可塑剤は担体中で提供することができ、第2の担体はエタノールを含む。
【0155】
2つの可塑剤を含む一実施形態では、第1の可塑剤は担体中で提供することができ、第2の可塑剤は担体および/または中空ポリマーペレット中で提供することができる。2つの可塑剤を含む1つの実施形態では、第1の可塑剤は担体中で提供することができ、第2の可塑剤は担体および/または中空ポリマーペレット中で提供されるPEGとすることができる。2つの可塑剤を含む1つの実施形態では、第1の可塑剤は担体中で提供することができ、第2の可塑剤は中空ポリマーペレット中で提供されるPEGとすることができる。
【0156】
2つの可塑剤を含む一実施形態では、第1の可塑剤は、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチンのいずれか一つから選択され得;ならびに第2の可塑剤はTEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチンのいずれか一つから選択され得、第1および第2の可塑剤は異なっている。
【0157】
担体はまた、作用物質の安定性を改善するために、他の公知の医薬用賦形剤を含み得る。
【0158】
担体は0.5%~40%w/vの可塑剤を含み得る。あるいは、担体は0.5%~30%w/vの可塑剤を含み得る。別の実施形態では、担体は0.5%~20%w/vの可塑剤を含み得る。あるいは、担体は0.5%~15%w/vの可塑剤を含み得る。担体は0.5%~10%w/vの可塑剤を含み得る。あるいは、担体は0.5%~8%w/vの可塑剤を含み得る。あるいは、担体は0.5%~6%w/vの可塑剤を含み得る。あるいは、担体は0.5%~5%w/vの可塑剤を含み得る。あるいは、担体は1%~6%w/vの可塑剤を含み得る。あるいは、担体は2%~6%w/vの可塑剤を含み得る。あるいは、担体は約0.5%、0.79%、1%、2%、3%、4%、5%または6%w/vの可塑剤を含み得る。可塑剤がTECまたはTAである一実施形態では、TECまたはTAは担体中、0.5%~10%w/vの量で提供され得る。あるいは、可塑剤がTECまたはTAである一実施形態では、TECまたはTAは担体中、0.5%~8%w/vの量で提供され得る。あるいは、可塑剤がTECまたはTAである一実施形態では、TECまたはTAは担体中、0.5%~6%w/vの量で提供され得る。あるいは、可塑剤がTECまたはTAである一実施形態では、TECまたはTAは担体中、0.5%~5%w/vの量で提供され得る。あるいは、可塑剤がTECまたはTAである一実施形態では、TECまたはTAは担体中、1%~6%w/vの量で提供され得る。あるいは、可塑剤がTECまたはTAである一実施形態では、TECまたはTAは担体中、2%~6%w/vの量で提供され得る。あるいは、可塑剤がTECまたはTAである一実施形態では、担体は約0.5%、0.79%、1%、2%、3%、4%、5%または6%w/vのTECまたはTAを含み得る。
【0159】
可塑剤が安息香酸である一実施形態では、安息香酸は担体中、0.1%~3%w/vの量で提供され得る。可塑剤がエタノールである一実施形態では、エタノールは担体中、0.1%~20%w/vの量で提供され得る。可塑剤がNMP(N-メチル-2-ピロリドン)である一実施形態では、NMPは担体中、0.1%~90%w/vの量で提供され得、NMPは1%~90%w/v、もしくは10%~80%w/vの量で、または約78%w/vの量で提供され得る。可塑剤がDMSOである一実施形態では、DMSOは担体中、0.1%~10%w/vの量で提供され得る。可塑剤がPEG、例えばPEG400である一実施形態では、PEGは担体中、0.1%~30%w/vの量で提供され得る。可塑剤がグリセリンである一実施形態では、グリセリンは担体中、0.1%~25%w/vの量で提供され得る。
【0160】
担体は、本明細書における表2から選択される可塑剤を含み得る。担体中の可塑剤のパーセンテージは、本明細書で提供される範囲に従ってもよく、または表2で提供される医薬品についての最高量までであってもよい。
【0161】
1つの実施形態では、放出速度にさらに影響を与えるために、1つ以上の追加の賦形剤または送達増強剤、例えば界面活性剤および/またはヒドロゲルもまた、担体中などのスキャフォールド材料中に含められ得る。
【0162】
担体は中空ポリマーペレットと相互作用し得る。スキャフォールドの形成を防止または減速させるため、およびスキャフォールドが形成する前に、中空ポリマーペレットをヒトまたは非ヒト動物に投与させるために、担体は中空ポリマーペレットと相互作用し得る。担体は、担体中での懸濁によるペレットの分離のために、中空ポリマーペレット間の相互作用を防止することができる。担体が、投与前のスキャフォールドの形成を完全に防止するものであってもよく、または、単に、形成を減速させるものであってもよく、例えば、投与前に、スキャフォールド形成の開始を許可するが、完全な形成は許可しない。1つの実施形態では、組成物は、組成物が、担体がない場合、中空ポリマーペレットにスキャフォールドを形成させる温度になった時でも、スキャフォールドの形成を防止するのに十分な担体を含む。1つの実施形態では、スキャフォールド材料はスキャフォールドの形成を減速させるのに十分な担体を含み、そのため、スキャフォールド材料が、担体がない場合、中空ポリマーペレットに容易にスキャフォールドを形成させる温度になった時に、スキャフォールドは容易に形成せず、例えばタイムスケールにわたって、例えば1時間~5時間形成しない。
【0163】
担体は中空ポリマーペレットと相互作用することができ、中空ポリマーペレットの表面は膨潤するが、その間、別々の中空ポリマーペレットとして残ったままであり、よって、注射による投与が可能になる。しかしながら、いったん組成物が投与され、担体が散逸し始めると、中空ポリマーペレットは脱膨潤し始める可能性がある。脱膨潤は中空ポリマーペレットが一緒になることを支援することができる。
【0164】
中空ポリマーペレットの担体との相互作用により、中空ポリマーペレットのガラス転移温度が変化し得る。例えば、相互作用はガラス転移温度を低下させ得る。中空ポリマーペレットの担体との相互作用により、中空ポリマーペレットの表面のガラス転移温度が変化し得る。例えば、相互作用は中空ポリマーペレットの表面のガラス転移温度を低下させ得る。
【0165】
担体は潤滑剤として作用することができ、例えば注射により、中空ポリマーペレットをヒトまたは非ヒト動物に投与させることが可能になる。担体は、スキャフォールド材料がシリンジから分配された時に、潤滑を提供することができる。担体は、シリンジから分配された中空ポリマーペレットへのせん断損傷を低減または防止するように助けることができる。
【0166】
スキャフォールド材料中の担体対中空ポリマーペレットの比は少なくとも1:1であってもよい。スキャフォールド材料中の担体対中空ポリマーペレットの比は少なくとも1.5:1であってもよい。スキャフォールド材料中の担体対中空ポリマーペレットの比は少なくとも1.2:1であってもよい。1つの実施形態では、スキャフォールド材料中の担体対中空ポリマーペレットの比は0.7:1~2:1であってもよい。
【0167】
担体はさらに、緩衝液を含み得る。例えば、TECおよびTAなどの可塑剤は酸性とすることができ、緩衝液はそのような成分の酸性度を低減させるために提供され得る。任意の好適な緩衝液、例えばPBS、トリス緩衝液、または重炭酸ナトリウムが提供され得る。
【0168】
作用物質
粉末形態の作用物質または粉末作用物質に関しては、粉末は乾燥粉末であってもよい。例えば、乾燥粉末は実質的含水量を有し得ない。あるいは乾燥という用語は、0.5Aw未満、または0.3Aw未満、または0.1Aw未満の水分活性であってもよい。
【0169】
粉末作用物質は結晶、半結晶またはアモルファス形態であってもよい。1つの実施形態では、粉末作用物質は結晶形態であり得る。
【0170】
1つの実施形態では、粉末作用物質は中空ポリマーペレットのスキャフォールドの中で封入され、追加の作用物質は中空ポリマーペレット内に封入され得る。追加の作用物質は任意の形態、例えば、溶液または懸濁液などの液体形態、ペースト、ゲル、または粉末形態であってもよい。追加の作用物質は、粉末作用物質に対して異なる作用物質であってもよい。あるいは、追加の作用物質は粉末作用物質と同じ作用物質でもよいが、異なる形態、例えば、溶液もしくは懸濁液、ゲル、またはペーストであり得る(すなわち、追加の作用物質は粉末形態ではない可能性がある)。作用物質、例えば粉末形態、液体、ペーストまたはゲル形態への言及は、混合物またはブレンドへの添加時点での作用物質の状態を示し得る(すなわち、使用後、例えばスキャフォールド形成後のインサイチューでの、作用物質の形態を示すことは意図されない)。
【0171】
追加の作用物質は中空ポリマーペレットの形成中、例えば、中空ポリマーペレットへの押出加工のためのポリマーに添加することにより、中空ポリマーペレット中で提供され得る。
【0172】
1つの実施形態では、作用物質は、中空ポリマーペレットのスキャフォールドの中で封入される粉末作用物質としてのみ提供される。例えば、他の作用物質、または作用物質の形態は、例えば、中空ポリマーペレット中で提供されない。
【0173】
本明細書における本発明の他の態様および実施形態は、作用物質の放出のためのスキャフォールド材料中での作用物質の提供により実施され得るが、作用物質は粉末形態で添加されることを要求され得ない。そのため、本発明のいくつかの態様および実施形態は、作用物質をスキャフォールド材料中に非粉末形態で提供し得る。例えば作用物質は担体に可溶化され得る。加えてまたはその代わりに、作用物質は中空ポリマーペレット中で提供/封入され得る。別の実施形態では、作用物質はスキャフォールド材料に、担体に対して別個の液相として提供され得る。
【0174】
作用物質は治療的に、予防的にまたは診断的に活性な物質であり得る。それは任意の生物活性剤であってもよい。
【0175】
別の実施形態では、粉末作用物質は、非治療薬、例えば保護薬、または、治療的、予防的または診断的活性物質であり得る第1の粉末作用物質を増強または保護するために提供される第2の作用物質であってもよい。1つの実施形態では、第2の粉末作用物質は、第1の粉末作用物質の機能の安定性を増強するために提供され得る。粉末作用物質はシクロデキストリンを含み得る。
【0176】
1つの実施形態では、粉末作用物質はカルボキシメチルセルロース(CMC)を含み得る。粉末CMCの提供は、スキャフォールド硬化特性を変更するために提供され得る。
【0177】
送達のための作用物質は、薬物、細胞、増殖因子などのシグナル伝達分子、または任意の他の好適な作用物質とすることができる。例えば、作用物質は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、抗体、核酸、抗生物質、抗真菌薬、増殖因子、栄養分、酵素、ホルモン、ステロイド、合成材料、接着分子、着色料/染料(識別のために使用され得る)、放射性同位体(X線検出および/または分解のモニタリングのために使用され得る)、および他の好適な構成要素、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0178】
添加され得る他の作用物質としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、インスリン様増殖因子、神経成長因子、肝細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子および他の骨形成タンパク質、サイトカイン、例えばインターフェロン、インターロイキン、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、エストロゲン、テストステロン、キナーゼ、ケモキナーゼ、グルコースまたは他の糖、アミノ酸、石灰化因子、ドパミン、アミンリッチオリゴペプチド、例えばフィブロネクチンおよびラミニンなどの接着タンパク質において見いだされるヘパリン結合ドメイン、他のアミン、タモキシフェン、シスプラチン、ペプチドおよびある一定のトキソイド。加えて、薬物(スタチンおよびNSAIDを含む)、ホルモン、酵素、栄養分または他の治療薬もしくは因子またはそれらの混合物が含まれ得る。
【0179】
作用物質は核酸、例えばDNA、RNA、またはプラスミドを含み得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、送達のための作用物質はスタチン、例えばシンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチンまたはロスバスタチンである。スタチンはシンバスタチンであってもよい。作用物質がスタチンである実施形態が、整形外科的徴候の治療、頭蓋顎顔面外科手術および歯学に特に好適である。
【0181】
作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)一実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の50%までであってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の40%までであってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の30%までであってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の20%までであってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の10%までであってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の10%~50%であってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の1%~50%であってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の0.1%~50%であってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の0.5%~50%であってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の0.1%~1%であってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の0.5%~10%であってもよい。作用物質が中空ポリマーペレットの一部である(すなわち、その中に封入される)別の実施形態では、作用物質は中空ポリマーペレットの内容物の0.1%~20%であってもよい。パーセンテージはw/wであり得る。
【0182】
作用物質が担体中で提供される一実施形態では、作用物質は担体の内容物の75%までであってもよい。作用物質が担体中で提供される別の実施形態では、作用物質は担体の内容物の60%までであってもよい。作用物質が担体中で提供される別の実施形態では、作用物質は担体の内容物の50%までであってもよい。作用物質が担体中で提供される別の実施形態では、作用物質は担体の内容物の40%までであってもよい。作用物質が担体中で提供される別の実施形態では、作用物質は担体の内容物の30%までであってもよい。作用物質が担体中で提供される別の実施形態では、作用物質は担体の内容物の20%までであってもよい。作用物質が担体中で提供される別の実施形態では、作用物質は担体の内容物の10%までであってもよい。作用物質が担体中で提供される別の実施形態では、作用物質は担体の内容物の10%~75%、または担体の内容物の20%~50%であってもよい。パーセンテージはw/vであり得る。
【0183】
作用物質は粉末形態であり、硬化前に中空ポリマーペレットと混合される一実施形態では、作用物質はスキャフォールド材料の内容物の75%までであってもよい。作用物質は粉末形態であり、硬化前に中空ポリマーペレットと混合される別の実施形態では、作用物質はスキャフォールド材料の内容物の60%までであってもよい。作用物質は粉末形態であり、硬化前に中空ポリマーペレットと混合される別の実施形態では、作用物質はスキャフォールド材料の内容物の50%までであってもよい。作用物質は粉末形態であり、硬化前に中空ポリマーペレットと混合される別の実施形態では、作用物質はスキャフォールド材料の内容物の40%までであってもよい。作用物質は粉末形態であり、硬化前に中空ポリマーペレットと混合される別の実施形態では、作用物質はスキャフォールド材料の内容物の30%までであってもよい。作用物質は粉末形態であり、硬化前に中空ポリマーペレットと混合される別の実施形態では、作用物質はスキャフォールド材料の内容物の20%までであってもよい。作用物質は粉末形態であり、硬化前に中空ポリマーペレットと混合される別の実施形態では、作用物質はスキャフォールド材料の内容物の10%~75%、またはスキャフォールド材料の内容物の20%~50%、あるいはスキャフォールド材料の内容物の20%~30%であってもよい。
【0184】
作用物質放出は制御することができ、すなわち、作用物質の全てが1回大用量で放出され得ない。生成されたスキャフォールドにより、担体からの作用物質放出の動力学が制御され得る。放出速度は、スキャフォールド中の細孔のサイズおよび/または数および/またはスキャフォールドの分解速度を制御することにより制御され得る。制御することができる他の因子は、担体に含まれる任意の懸濁剤の濃度、組成物の粘度または生理化学的特性、および担体の選択である。
【0185】
作用物質は下記の1つ以上により放出され得る:作用物質の細孔を通る拡散;スキャフォールドの分解による、多孔度の増加および作用物質を運搬する流体の改善された流出;ならびにポリマー微小粒子からの作用物質の物理的放出。スキャフォールド中の細孔のサイズおよび/または数および/またはスキャフォールドの分解速度は、所望の放出速度を達成するように開始材料を適切に選択することにより、容易に選ぶことができることを認識することは当業者の能力の範囲内である。
【0186】
スキャフォールドからの作用物質の拡散は、濃度勾配により駆動される拡散、およびスキャフォールドを通って、そこから離れていく体液の自然の流れによって起こり得る。
【0187】
作用物質は、所望の局所または全身の生理的または薬理学的効果を有するのに有効な量で放出され得る。
【0188】
スキャフォールドにより、作用物質放出がしばらくの間、例えば少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、または少なくとも約24時間持続され得る。1つの実施形態では、持続放出は少なくとも48時間にわたり得る。別の実施形態では、持続放出は少なくとも1週間にわたり得る。別の実施形態では、持続放出は少なくとも10日にわたり得る。
【0189】
作用物質の送達は、作用物質がスキャフォールドから、スキャフォールドの周りの環境、例えば周囲組織中に放出され得ることを意味する。
【0190】
形成されたスキャフォールドにより、作用物質のスキャフォールドからの実質的にゼロまたは1次放出速度が可能になる。ゼロ次放出速度は、規定された時間にわたる作用物質の一定放出である。1次放出速度はまた「バースト放出」と考えることができる。
【0191】
1つの実施形態では、最初の第1日のバースト放出は総負荷の約25~33%未満(例えば、約20%以上未満、例えば約10%未満、あるいは、約5%未満)である。この最初のバーストの後、それから、続いて、1~2%放出/日が約14日間となり得る(これは約0.5~2mcg/日と同等と見なされ得る)。薬物の放出は少なくとも14日間続き得る。薬物の放出は少なくとも20日、30日、40日または50日間続き得る。いくつかの実施形態では、放出は約14~56日間続く。いくつかの実施形態では、放出は56日超の間続く。
【0192】
他の実施形態では、放出動力学は混合分子量PLGAポリマーの使用により変更させることができ、それは、初期または長期放出のいずれかを効果的に増加させ、治療遅滞期を回避するのを助けることができる(European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics Volume 50, Issue 2, 2000年9月, 263-270ページ)。
【0193】
他の実施形態では、他の放出変更因子が、放出動力学を調整するために使用され得る。例えば、スキャフォールド細孔内に存在するカルボキシメチルセルロース含有液相の粘度に対する調整が実施され得る。
【0194】
いずれかの動物細胞を本発明のスキャフォールド材料と共に使用することが可能である。使用され得る細胞の例としては、骨、骨細胞前駆細胞、軟骨、筋肉、肝臓、腎臓、皮膚、内皮、腸、腸管、心血管、心筋細胞、軟骨細胞、肺、胎盤、羊膜、絨毛膜、胎児または幹細胞が挙げられる。幹細胞が使用される場合、好ましくは非胚性幹細胞が使用される。細胞は、スキャフォールド形成の部位への送達のために含まれ得、またはそれらは、例えば、スキャフォールドのコロニー形成を奨励するために、スキャフォールド中に含まれ、維持されることが意図され得る。
【0195】
1つの実施形態では、生細胞が、例えば、スキャフォールドの形成/硬化前に、スキャフォールド材料中で提供される。例えば、生細胞は、硬化前に、スキャフォールド材料に添加することができ、または別様に中空ポリマーペレットに添加することができる。別の実施形態では、生細胞は、スキャフォールドの形成/硬化後に、スキャフォールド材料中で提供される。
【0196】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットの表面は、細胞付着を増強させるために、細胞を導入する前に処理され得る。表面処理は、中空ポリマーペレットの表面を、細胞付着を増強または促進することができる作用物質でコートするコーティング技術を含み得る。加えてまたはその代わりに、表面処理は中空ポリマーペレットの表面への物理または化学修飾を含み得る。表面コーティングでは、中空ポリマーペレットは、表面電荷、親水性および/または受容体結合部分を変化させることにより、それらの生物学的相互作用を変化させる材料でコートすることができる。そのような例としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:化学的血漿、ペプチドまたは炭水化物、細胞外マトリクス成分、例えばフィブロネクチンもしくはビトロネクチンまたはその断片、ポリ-L-オルニチン、ポリリジンおよび/またはポリアリルアミン。1つの実施形態では、表面物理/化学修飾において、中空ポリマーペレット表面は、それらをアルカリ性溶液、例えばNaOH溶液で処理することにより修飾することができる。1つの実施形態では、表面物理/化学修飾において、中空ポリマーペレット表面は、それらをアルコール、酸または塩基で処理することにより、より粗くすることができる。別の実施形態では、表面物理/化学修飾において、中空ポリマーペレット表面は、それらを水アルコールのアルカリ性溶液で処理することにより、より親水性にかつより粗くすることができる。
【0197】
便宜的に、中空ポリマーペレットの中空/管腔は細胞付着のための表面積を著しく増加させる。そのため、非中空ペレットスキャフォールド、または他のスキャフォールド型と比べ、単位体積あたりより高い用量/密度の細胞が達成可能である。中空中の細胞は、スキャフォールド材料が混合され、注射されまたは埋め込まれる時のせん断応力および他の機械力からより良好に保護される。
【0198】
そのため、本発明の別の態様によれば、組織修復または置換のための細胞を含むスキャフォールドを形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
本明細書の本発明による中空ポリマーペレット組成物をバイオリアクターにおいて細胞と共にインキュベートすること;
細胞を中空ポリマーペレットに付着させ、細胞負荷中空ポリマーペレットを形成させること;ならびに
細胞負荷中空ポリマーペレットを回収すること;ならびに
任意で、細胞負荷中空ポリマーペレットを硬化させて固体スキャフォールドにすること。
【0199】
細胞負荷中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドへの硬化はインサイチューで身体または組織内であってもよい。細胞負荷中空ポリマーペレットは、細胞負荷中空ポリマーペレットを固体スキャフォールドに硬化させる前に、治療のために組織または身体内に注射され、または埋め込まれ得る。
【0200】
1つの実施形態では、スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料の硬化はインサイチューである。例えば、硬化は投与後、例えば骨欠損内で起こり得る。あるいは、硬化は、例えば、身体外でスキャフォールドを提供するために、生体外で提供され得る。1つの実施形態では、スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料の硬化は約37℃においてである。1つの実施形態では、スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料の硬化は約35℃以下においてである。スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料の硬化は湿潤環境、例えば100%湿度、あるいは少なくとも90%湿度においてであってもよい。スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料の硬化は溶液中に沈められている間であってもよい。
【0201】
他の態様
本発明の別の態様によれば、スキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させることであって、液体担体は可塑剤を含むこと;ならびに
任意で、硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、中空ポリマーペレット懸濁液を硬化させること。
【0202】
便宜的に本明細書の本発明の方法により、当業者は適切なスキャフォールド特性または硬化特性を選択することができ、例えば、TECなどの可塑剤が液体担体中で使用される場合、PLGA/セラミックブレンドにより作製された中空ポリマーペレットを15分以内に焼結させ、スキャフォールドを形成することが可能である。さらに便宜的に、非常に低い濃度の可塑剤が本発明の方法により使用され得る。TECなどの可塑剤の濃度を選択することにより、スキャフォールド材料の硬化特性を制御することが可能である。
【0203】
1つの実施形態では、担体中のTECまたはTAの濃度は0.79%~6%w/vであってもよい。1つの実施形態では、担体中のTECまたはTAの濃度は約0.79%w/vであってもよい。1つの実施形態では、担体中のTECまたはTAの濃度は1%または1%w/v未満であってもよい。1つの実施形態では、担体中のTECまたはTAの濃度は6%w/v未満であってもよい。1つの実施形態では、担体中のTECまたはTAの濃度は5%w/v未満であってもよい。1つの実施形態では、担体中のTECまたはTAの濃度は2~5%w/vであってもよい。1つの実施形態では、担体中のTECまたはTAの濃度は約2.5%または3%w/vであってもよい。1つの実施形態では、担体中のTECまたはTAの濃度は約4%または5%w/vであってもよい。
【0204】
1つの実施形態では、担体中の安息香酸の濃度は0.79%~6%w/vであってもよい。1つの実施形態では、担体中の安息香酸の濃度は約0.79%w/vであってもよい。1つの実施形態では、担体中の安息香酸の濃度は1%または1%w/v未満であってもよい。1つの実施形態では、担体中の安息香酸の濃度は6%w/v未満であってもよい。1つの実施形態では、担体中の安息香酸の濃度は5%w/v未満であってもよい。1つの実施形態では、担体中の安息香酸の濃度は2~5%w/vであってもよい。1つの実施形態では、担体中の安息香酸の濃度は約2.5%または3%w/vであってもよい。1つの実施形態では、担体中の安息香酸の濃度は約4%または5%w/vであってもよい。
【0205】
1つの実施形態では、担体中の可塑剤は第1の可塑剤であってもよく、第2の可塑剤は担体および/または中空ポリマーペレット中で提供され、第1および第2の可塑剤は異なっている。第2の担体はPEG、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチンのいずれか一つから選択され得、第1および第2の可塑剤は異なっている。
【0206】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットはPEGを含まなくてもよい。中空ポリマーペレットは実質的にPEGなしであってもよい。1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは0.5%w/w未満のPEG、または0.2%w/w未満のPEG、または0.1%w/w未満のPEGを含み得る。
【0207】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは42~48%のPLGA95:5、2~8%のPEG400および44~56%のセラミックを含み得る(成分の合計100%に対して)。別の実施形態では、中空ポリマーペレットは46.25%のPLGA95:5、3.75%のPEG400および50%のセラミックを含み得る。
【0208】
本発明の別の態様によれば、スキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
中空ポリマーペレットを提供すること;
中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液であるスキャフォールド材料を形成させることであって、スキャフォールド材料は、中空ポリマーペレットおよび/または液体担体中の第1の可塑剤、および液体担体中の第2の可塑剤を含み、
第1の可塑剤は、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、トリアセチン、NMP、DMSOおよびPEGのいずれか一つから選択され;第2の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択され、第1および第2の可塑剤は異なっている、こと;ならびに
任意で、硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、中空ポリマーペレット懸濁液を硬化させること。
【0209】
1つの実施形態では、第1の可塑剤はクエン酸トリエチルであり、第2の可塑剤はエタノールである。別の実施形態では、第1の可塑剤はトリアセチンであり、第2の可塑剤はエタノールである。1つの実施形態では、第1の可塑剤はクエン酸トリエチルまたはトリアセチンであり、第2の可塑剤は中空ポリマーペレット中のPEGである。
【0210】
1つの実施形態では、第1の可塑剤はTEC(クエン酸トリエチル)を含み、第2の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第1の可塑剤はエタノールを含み、第2の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第1の可塑剤は安息香酸を含み、第2の可塑剤は、PEG、DMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第1の可塑剤はトリアセチンを含み、第2の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、および安息香酸のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第1の可塑剤はNMPを含み、第2の可塑剤はPEG、DMSO、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第1の可塑剤はDMSOを含み、第2の可塑剤はPEG、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第1の可塑剤はPEGを含み、第2の可塑剤はDMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。
【0211】
1つの実施形態では、第2の可塑剤はTEC(クエン酸トリエチル)を含み、第1の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第2の可塑剤はエタノールを含み、第1の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第2の可塑剤は安息香酸を含み、第1の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第2の可塑剤はトリアセチンを含み、第1の可塑剤はPEG、DMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、および安息香酸のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第2の可塑剤はNMPを含み、第1の可塑剤はPEG、DMSO、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第2の可塑剤はDMSOを含み、第1の可塑剤はPEG、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。別の実施形態では、第2の可塑剤はPEGを含み、第1の可塑剤はDMSO、NMP、TEC(クエン酸トリエチル)、エタノール、安息香酸、およびトリアセチン(TA)のいずれか一つから選択される。
【0212】
第1および第2の可塑剤が提供される一実施形態では、中空ポリマーペレットはPEGを含まなくてもよい。第1および第2の可塑剤が提供される一実施形態では、中空ポリマーペレットは実質的にPEGなしであってもよい。第1および第2の可塑剤が提供される別の実施形態では、中空ポリマーペレットは0.5%w/w未満のPEG、または0.2%w/w未満のPEG、または0.1%w/w未満のPEGを含み得る。
【0213】
本発明により2つ以上の可塑剤を提供すると、スキャフォールド材料の固体スキャフォールドへのより大きな硬化制御が可能になる。例えば、スキャフォールド材料中の担体対中空ポリマーペレットの比は、不注意にスキャフォールド硬化時間を長くすることなく増加させることができる。そのため、本発明は高い担体対中空ポリマーペレット比を可能にする。1つの実施形態では、担体対中空ポリマーペレット比は少なくとも0.7:1v/wである。別の実施形態では、担体対中空ポリマーペレット比は少なくとも1:1v/wである。別の実施形態では、担体対中空ポリマーペレット比は少なくとも1.2:1v/wである。別の実施形態では、担体対中空ポリマーペレット比は少なくとも1.5:1v/wである。別の実施形態では、担体対中空ポリマーペレット比は少なくとも1.8:1v/wである。別の実施形態では、担体対中空ポリマーペレット比は少なくとも2:1v/wである。別の実施形態では、担体対中空ポリマーペレット比は約1.2:1v/w~約2:1v/wである。
【0214】
便宜的に、本発明の高い担体対中空ポリマーペレット比により、硬化時間を長くすることなく、より低粘度のスキャフォールド材料を提供することができる。本発明において達成可能なより高い担体対中空ポリマーペレット比により、スキャフォールド材料は硬化前により高い流動性または展性を有するようにすることができる。便宜的に、スキャフォールド材料は、スキャフォールド材料のより低い粘度のために、硬化前により容易に注射することができる。さらに、スキャフォールド材料は、修復される骨欠損部などの形状への成形性がより高い場合がある。より高い担体対中空ポリマーペレット比はまた、薄膜/層スキャフォールドが必要とされるところでの適用のためのスキャフォールド材料の薄層または膜の形成を助ける。そのため、低粘度スキャフォールド材料はスキャフォールドへの硬化前に広げて層にすることができる。薄層は2~10mmを含み得る。
【0215】
本発明の別の態様によれば、中空ポリマーペレットを含むスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
ポリマーを押出機に通して押し出すことであって、押出機はポリマー押出物中に中空を形成させるダイを含むこと;
ポリマー押出物を切断してペレットにし、中空ポリマーペレットを形成させること。
【0216】
スキャフォールド材料を形成する方法はさらに、中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液を形成させることを含み得る。スキャフォールド材料を形成する方法はさらに、硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、中空ポリマーペレット、またはその懸濁液を硬化させることにより、スキャフォールドを形成させることを含み得る。
【0217】
切断は、ストランドペレタイザーなどのペレタイザーにより実施され得る。
【0218】
1つの実施形態では、ポリマーの押し出しは、そのTm以上で、またはその辺りの温度で実施され得る。中空ポリマーペレット材料中にPLGAを含む一実施形態では、プロセスは約70~120℃で実施され得る。より薄い/より可撓性の中空ポリマーペレットが所望される他の実施形態では、押出加工は、100~120℃の温度で実施され得る。
【0219】
ポリマーの押し出しは約1~10rpmのスクリュー回転数で実施され得る。より薄い/より可撓性の中空ポリマーペレットが所望される一実施形態では、押出加工は約8~10rpmのスクリュー回転数で実施され得る。
【0220】
中空ポリマーペレット材料中にPLGAを含む一実施形態では、プロセスは約70~120℃にて、約1~10rpmのスクリュー回転数で実施され得る。中空ポリマーペレット材料中にPLGAを含む一実施形態では、プロセスは約70~120℃にて、約8~10rpmのスクリュー回転数で実施され得る。より薄い/より可撓性の中空ポリマーペレットが所望される他の実施形態では、押出加工は、100~120℃の温度にて、約8~10rpmのスクリュー回転数で実施され得る。より薄い/より可撓性の中空ポリマーペレットが所望される他の実施形態では、押出加工は、100~120℃の温度にて、約1~10rpmのスクリュー回転数で実施され得る。
【0221】
別の実施形態では、ポリマーの押し出しは、10~40m/分のペレタイザーワインダー速度で実施され得る。より薄い/より可撓性の中空ポリマーペレットが所望される一実施形態では、押出加工は30~40rpmのワインダー速度で実施され得る。
【0222】
別の実施形態では、ポリマーの押し出しは10~40m/分のペレタイザーワインダー速度にて、100~120℃の温度で実施され得る。別の実施形態では、ポリマーの押し出しは10~40m/分のペレタイザーワインダー速度にて、70~120℃の温度で実施され得る。より薄い/より可撓性の中空ポリマーペレットが所望される一実施形態では、押出加工は30~40rpmのワインダー速度にて100~120℃の温度で実施され得る。より薄い/より可撓性の中空ポリマーペレットが所望される別の実施形態では、押出加工は30~40rpmのワインダー速度にて70~120℃の温度で実施され得る。
【0223】
本発明の別の態様によれば、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子内容物を含むスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、方法は下記を含む:
ポリマーを天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子とブレンドすること;
ブレンドから中空ポリマーペレットを形成させることであって、中空ポリマーペレットはその中に封入された天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子を有すること;ならびに
任意で中空ポリマーペレットを液体担体中に懸濁させ、中空ポリマーペレット懸濁液を形成させること;ならびに
さらに任意で、硬化して中空ポリマーペレットの固体スキャフォールドになるように、中空ポリマーペレット懸濁液を硬化させること。
【0224】
中空ポリマーペレットのポリマー中の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子の封入は、ポリマーが天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子の間、およびその周囲に分散されることを含むことが理解される(例えば、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子上のポリマー表面コーティングだけでない)。例えば、中空ポリマーペレットは、ポリマー内に完全に内包された天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、および/または中空ポリマーペレットの表面で露出した天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子を含み得る。例えば、中空ポリマーペレットはその中に封入された複数の天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子を有する別々の粒子であってもよい。
【0225】
1つの実施形態ではセラミック粒子などの非ポリマー粒子が提供される。
【0226】
1つの実施形態では、ポリマーを天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子とブレンドすることはポリマーを天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子と乾燥混合する工程を含み得る。ポリマーと天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子の乾燥混合物はホットメルト押出加工されてもよく、押出物はペレット化され、その中に封入された天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子を有する中空ポリマーペレットを形成することができる。別の実施形態では、ポリマーと天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子の乾燥混合物はホットメルト押出加工されてもよく、押出物はペレット化され得る。ポリマーと天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子の乾燥混合物は、十分混合するために二軸押出機にてホットメルト押出加工されてもよい。ペレット化された押出物は次いで、一軸押出機において染料と共にさらに押し出され、その中に封入された天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子を有する中空ポリマーペレットが形成され得る。
【0227】
ポリマーと天然ポリマー粒子の乾燥混合物は、物理的にそれらを混合することにより一緒にブレンドされ得る。
【0228】
スキャフォールド材料は1%~55%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は1%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は1%~55%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は10%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は20%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は30%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。別の実施形態では、スキャフォールド材料は40%~50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。パーセンテージはw/wであってもよい。
【0229】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは1%~55%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。あるいは、中空ポリマーペレットは20%~55%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。あるいは、中空ポリマーペレットは20%~50%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。あるいは、中空ポリマーペレットは30%~50%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。あるいは、中空ポリマーペレットは40%~50%(w/w)の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含み得る。
【0230】
天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含むスキャフォールド材料は担体中に40%w/v未満の可塑剤を含み得る。別の実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含むスキャフォールド材料は担体中に38%w/v未満の可塑剤を含み得る。別の実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含むスキャフォールド材料は担体中に35%w/v未満の可塑剤を含み得る。別の実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含むスキャフォールド材料は担体中に30%w/v未満の可塑剤を含み得る。あるいは、可塑剤含量は担体中、20%、15%、10%または5%w/v未満であり得る。天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子、例えばセラミックを含むスキャフォールド材料は担体中に約1%w/vの可塑剤を含み得る。
【0231】
天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は微小粒子であり得る。非ポリマー粒子はセラミックを含み、またはこれから構成することができる。セラミックは硫酸カルシウム(CS)またはβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)を含み、またはこれから構成することができる。別の実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は結晶化糖分子、例えばマンニトールの結晶化粒子を含み得る。他の糖粒子、例えばグルコースが提供され得る。1つの実施形態では、天然ポリマー粒子または非ポリマー粒子は抗酸化剤を含み得る。
【0232】
可塑剤はPEGを含み得る。ホットメルト押出加工のための混合物はPEGを含み得る。
【0233】
天然ポリマー粒子および非ポリマー粒子のどちらも、ポリマーとの中空ポリマーペレット中への封入のために提供され得る。
【0234】
天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子と共にブレンドするためのポリマーは混合物の少なくとも30%を占めることができる。別の実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子と共にブレンドするためのポリマーは混合物の少なくとも40%を占めることができる。別の実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子と共にブレンドするためのポリマーは混合物の少なくとも45%を占めることができる。別の実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子と共にブレンドするためのポリマーは混合物の少なくとも48%または49%を占めることができる。別の実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子と共にブレンドするためのポリマーは混合物の少なくとも50%を占めることができる。別の実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子と共にブレンドするためのポリマーは混合物の少なくとも60%、70%または80%を占めることができる。別の実施形態では、天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子と共にブレンドするためのポリマーは混合物の少なくとも90%を占めることができる。
【0235】
1つの実施形態では、中空ポリマーペレットは約10%~約50%の天然ポリマーもしくは非ポリマー粒子;約40%~85%のポリマー;ならびに約1%~約10%の可塑剤を含むことができ、ここで、総量は100%を超えない。
【0236】
スキャフォールド形成特性を改変する方法/システム
便宜的に、担体中でのある範囲の濃度での可塑剤の使用は本発明によるスキャフォールド材料のスキャフォールド硬化特性に対する制御を提供することができ、そのため、好ましい硬化温度または好ましい硬化時間が達成され得る。
【0237】
本発明の別の態様によれば、5分足らずで硬化することができるスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤は担体中で約4%w/v~約6%w/vの範囲で提供される。
【0238】
本発明の別の態様によれば、約5~約15分のスキャフォールド硬化時間を有するスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤は担体中で約2.5%w/v~約3.5%w/vの範囲で提供される。
【0239】
本発明の別の態様によれば、60分を超えるスキャフォールド硬化時間を有するスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤はTAまたはTECであり、担体中で、約0.5%w/v~約1%w/vの範囲で提供される。
【0240】
本発明の別の態様によれば、35℃未満のスキャフォールド硬化温度を有するスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤はTAまたはTECであり、担体中で、約3%w/v~約5%w/vの範囲で提供され;または
その代わりに、2つの可塑剤が提供され、少なくとも1つの可塑剤は担体中にあり、総可塑剤含量は4%または5%w/vを超えず、1つの可塑剤はTAまたはTECであり、任意で、TAまたはTECは担体の2%w/vまでで提供される。
【0241】
本発明の別の態様によれば、35℃を超える、例えば約37℃のスキャフォールド硬化温度を有するスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は本明細書の本発明の方法のいずれかに従い提供され、可塑剤はTAまたはTECであり、約0.5%w/v~約1%w/vの範囲で提供される。
【0242】
本発明の別の態様によれば、下記を含む、中空ポリマーペレットスキャフォールド形成特性を選択するためのシステムが提供される:
(a)所望のスキャフォールド硬化温度を選択し、適切なスキャフォールド硬化温度を提供するように手配された、本明細書の本発明によるスキャフォールド材料を形成する方法を実施すること;または
(b)所望のスキャフォールド硬化時間を選択し、適切なスキャフォールド硬化時間を提供するように手配された、本明細書の本発明によるスキャフォールド材料を形成する方法を実施すること;または
(c)スキャフォールドの硬化前に、所望のスキャフォールド材料ヤング率を選択し、適切なスキャフォールド材料ヤング率を提供するように手配された、本明細書の本発明によるスキャフォールド材料を形成する方法を実施すること。
【0243】
本発明の別の態様によれば、1次作用物質放出動力学を有するスキャフォールドを形成するのに好適なスキャフォールド材料を形成する方法が提供され、スキャフォールド材料は、本明細書の本発明の方法に従い提供され、作用物質は、スキャフォールド材料の中空ポリマーペレットを形成させるためにポリマーとブレンドする前に粉末として提供される。
【0244】
組成物-スキャフォールド材料プレスキャフォールド形成
さらに別の態様によれば、本発明は、本発明の任意の方法により生成されたスキャフォールド材料を提供する。
【0245】
本発明の別の態様によれば、作用物質の放出を制御するためのスキャフォールドを形成させるためのスキャフォールド材料が提供され、スキャフォールド材料は下記を含む:
中空ポリマーペレット;
粉末形態であり、中空ポリマーペレットの中または間に封入される作用物質;ならびに
中空ポリマーペレットを懸濁させる液体担体。
【0246】
本発明の別の態様によれば、スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料が提供され、スキャフォールド材料は下記を含む:
中空ポリマーペレット;
中空ポリマーペレット内に封入される、天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子(例えば、セラミック);ならびに任意で
中空ポリマーペレットを懸濁させる液体担体。
【0247】
1つの実施形態では、スキャフォールドまたはスキャフォールド材料は骨修復に好適であり得る。
【0248】
本発明の別の態様によれば、スキャフォールドを形成するためのスキャフォールド材料が提供され、スキャフォールド材料は下記を含み:
中空ポリマーペレット;
中空ポリマーペレットを懸濁させる液体担体であって、可塑剤を含む液体担体;ならびに任意で、第2の可塑剤が担体および/または中空ポリマーペレット中で提供される。
【0249】
スキャフォールド(形成後)
さらに別の態様によれば、本発明は、本発明の任意の方法により生成されたスキャフォールドを提供する。
【0250】
本発明の別の態様によれば、作用物質の放出を制御するためのスキャフォールドが提供され、スキャフォールドは下記を含む:
連結された中空ポリマーペレット;ならびに
粉末形態であり、中空ポリマーペレットの中または間に封入される作用物質。
【0251】
本発明の別の態様によれば、骨修復のためのスキャフォールドが提供され、スキャフォールドは下記を含む:
連結された中空ポリマーペレット;ならびに
中空ポリマーペレット内に封入される、天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子(例えば、セラミック)。
【0252】
さらなる態様では、本発明は、下記を含む、作用物質を被検体に送達する方法を提供する:スキャフォールド材料を提供することであって、作用物質はスキャフォールド材料内の中空ポリマーペレット内に位置すること;スキャフォールド材料を被検体に投与すること;スキャフォールド材料を被検体内で固化/自己組織化させ、スキャフォールドを形成させること;ならびにスキャフォールド材料内に含まれる作用物質を、投与部位で被検体内に放出させること。
【0253】
方法は、組織に対し、インビボまたはインビトロで実施され得る。
【0254】
作用物質(中空ポリマーペレット内に封入)は任意で、被検体への投与直前にスキャフォールド材料に添加され得る。
【0255】
1つの実施形態では、工程d)において、作用物質放出は少なくとも12時間の期間にわたって持続される。
【0256】
スキャフォールド材料またはスキャフォールドは、下記から選択される病状の治療または防止の方法において使用するためのものであってもよい:神経変性障害(例えば、脳卒中後、ハンチントン、アルツハイマー病、パーキンソン病)、骨関連障害(変形性関節症、椎間板萎縮、埋める必要がある骨空洞、再生または修復を必要とする骨折を含む)、火傷、癌、肝障害(肝萎縮を含む)、腎障害(腎臓の萎縮を含む)、膀胱、尿管もしくは尿道の障害(再建を必要とする損傷尿管または損傷膀胱、膀胱脱もしくは子宮脱を含む)、真性糖尿病、IVF治療を必要とする不妊症、筋消耗障害(筋ジストロフィーを含む)、心臓障害(例えば、心筋梗塞後の損傷心臓組織、うっ血性心疾患)、眼障害(例えば、損傷または患部角膜)、再生または修復を必要とする損傷脈管構造、潰瘍、および再生または再建を必要とする損傷組織(再生または再建を必要とする損傷臓器、および再生または再建を必要とする損傷神経を含む)。
【0257】
いくつかの実施形態では、治療は歯科骨修復、例えば歯隆線回復である。他の実施形態では、治療は偽関節骨折の修復である。他の実施形態では、治療は脊椎固定である。
【0258】
歯科用移植骨代用物は、追加の骨サポートを必要とするインプラント手順において主に使用される。骨再生は先進的な製品を用いて増強され、歯科骨移植手順が、そうでなければ、そのような治療を受けることができない患者に対して実施される。全ての歯科インプラント症例のおよそ40%において、適正なインプラント統合を確保するのに十分な骨が存在せず、移植骨代用物が必要とされる。抜歯により歯槽骨の劣化となる可能性があり、顎堤吸収(RRR)と呼ばれる慢性進行性状態となる。標準骨移植選択により、2次病変、免疫拒絶および不十分な長期成績となる。非免疫原性送達系から放出される骨誘導性因子が答えを提供することができるであろう。
【0259】
移植技術は、重篤な骨吸収のために歯科インプラント術について不十分な候補であった無歯患者のかなりの大きさの集団を含むように、インプラントのための候補プールを拡大することを可能にする。
【0260】
骨折後の骨治癒によい影響を与え、その後、骨癒合に必要とされる時間を短くする治療は非常に興味深い。生きている組織に再曝露させ、骨誘導性移植材料を挿入するために、偽関節における外科的介入が必要とされる。自家移植片または同種移植片材料を使用すると、この治療は70~80%の症例で成功し、推定$14,000/患者の費用がかかる。そのため、より有効な移植材料にはずっと多くの関心が存在する。
【0261】
脊椎固定は、椎骨異常、例えば脊柱弯曲症(脊柱側弯症または脊柱後弯症)、椎間板ヘルニア(椎間板切除後)、または骨折を外科的に治療するために使用される。手順は、椎骨を一緒に融合させるために、移植材料(椎弓根スクリュー、プレートまたはケージありまたはなし)または他の装置を使用する。多くの患者は、手術後2年までの間、自家移植片収集からのドナー部位痛を訴える。これらの合併症は、代替案の探索およびその後の使用を推進する。本発明は、そのような代替案を本明細書で記載されるシステム、組成物および方法の形態で提供する。
【0262】
本発明の任意の方法および/または組成物により形成されるスキャフォールドまたはスキャフォールド材料は、損傷組織を治療するために使用され得る。特に、スキャフォールドまたはスキャフォールド材料は、細胞が損傷組織において再増殖するのを促進する、または可能にするために使用され得る。そのため、本発明は、損傷組織の再生または再建を含む、組織損傷の治療において使用され得る。
【0263】
本発明のスキャフォールド材料は、疾患または医学的状態、例えば、限定はされないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、変形性関節症、火傷、椎間板萎縮、癌、肝萎縮および他の肝障害、骨空洞充填、骨折の再生または修復、真性糖尿病、尿管または膀胱再建、膀胱脱もしくは子宮脱、IVF治療、筋消耗障害、腎臓の萎縮、臓器再建および美容外科の治療において使用するためのスキャフォールドを生成させるために使用され得る。
【0264】
本発明の別の態様によれば、本発明によるスキャフォールドまたはスキャフォールド材料の投与を含む治療方法が提供される。
【0265】
さらに別の態様によれば、本発明は、本発明によるスキャフォールド材料を、そのような治療が必要な被検体(例えば、生物)内の部位に投与することを含む、所望の局所的な生理または薬理効果を得るために哺乳類生物などの被検体を治療する方法を提供する。好ましくは、方法により、作用物質がスキャフォールドから、スキャフォールド形成部位の周りの領域に送達される。
【0266】
さらなる態様によれば 、本発明は、組織再生および/または組織損傷の治療における、本発明によるスキャフォールド材料の注射可能なスキャフォールド材料としての使用を提供する。
【0267】
本発明の生成物は、下記から選択される病状の治療または防止のために使用され得る:神経変性障害(例えば、脳卒中後、ハンチントン、アルツハイマー病、パーキンソン病)、骨関連障害(変形性関節症、椎間板萎縮、埋める必要がある骨空洞、再生または修復を必要とする骨折を含む)、火傷、癌、肝障害(肝萎縮を含む)、腎障害(腎臓の萎縮を含む)、膀胱、尿管または尿道の障害(再建を必要とする損傷尿管または損傷膀胱、膀胱脱もしくは子宮脱を含む)、真性糖尿病、IVF治療を必要とする不妊症、筋消耗障害(筋ジストロフィーを含む)、心臓障害(例えば、心筋梗塞後の損傷心臓組織、うっ血性心疾患)、眼障害(例えば、損傷または患部角膜)、再生または修復を必要とする損傷脈管構造、潰瘍、および再生または再建を必要とする損傷組織(再生または再建を必要とする損傷臓器、および再生または再建を必要とする損傷神経を含む)。
【0268】
別の態様によれば、本発明は、下記を含む作用物質を標的に送達するのに使用するためのキットを提供する:
中空ポリマーペレット;
粉末作用物質;ならびに
担体溶液;ならびに任意で
中空ポリマーペレット、粉末作用物質および担体を混合するための説明書。
【0269】
中空ポリマーペレットおよび粉末作用物質は予混合され得る。別の実施形態では、中空ポリマーペレット、担体および粉末作用物質は予混合され得る。別の実施形態では、担体および粉末作用物質は予混合され得る。
【0270】
別の態様によれば、本発明は、下記を含むスキャフォールドを形成するのに使用するためのキットを提供する:
中空ポリマーペレット;
天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子;ならびに
担体溶液;ならびに任意で
中空ポリマーペレット、天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子および担体を混合するための説明書。
【0271】
中空ポリマーペレットおよび粉末作用物質は予混合され得る。別の実施形態では、天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子、中空ポリマーペレットおよび粉末作用物質は予混合され得る。別の実施形態では、天然ポリマー粒子および/または非ポリマー粒子、中空ポリマーペレット、担体および粉末作用物質は予混合され得る。
【0272】
別の態様によれば、本発明は、下記を含むスキャフォールドを形成するために使用するためのキットを提供する:
中空ポリマーペレット;および
可塑剤を含む担体溶液;任意で、中空ポリマーペレットおよび/または担体は第2の可塑剤を含む;ならびに、さらに任意で
中空ポリマーペレットおよび担体を混合するための説明書。
【0273】
可塑剤は担体と混合するために別個に提供され得る。
【0274】
キットはスキャフォールド材料を注射する際に使用するためのシリンジを含み得る。キットはさらに、スキャフォールド材料と混合するための細胞および/または活性剤を含み得る。キットは冷蔵温度または室温のいずれかで保存され得る。
【0275】
当業者であれば、本発明の第一の態様、または任意の態様もしくは実施形態の任意的な特徴は本発明の全ての態様に適用することができることを認識するであろう。
【0276】
発明の実施形態について、以下、ほんの一例として、下記実施例を参照して記載する。
【0277】
実施例1-ポリマーペレットスキャフォールド
この文書は、異なる時間および異なる温度で硬化し、単独で、または薬物、増殖因子、遺伝子もしくは細胞と組み合わせて使用することができる高性能ペーストの開発に関する研究について記載する。この実施例では、これらのペーストは、2つの主成分、PLGAまたはPLGA/セラミックペレットおよび液体担体から作製した。
【0278】
実施例1の例は非中空ポリマーペレットに関連して提供されているが、当業者であれば、同じ原理が、スキャフォールド硬化ならびに形成特性および条件の観点から当てはまることを理解するであろう(中空ポリマーペレットを使用するための実施例2および本明細書の本発明において識別された利点を除く)。
【0279】
硫酸カルシウム(CS)およびβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)が研究されたセラミックである。それらは以前に、インビボで骨形成を誘導し、可能性がある最終生成物の品物の全体のコストを低減させるように作用することが示されている。そのため、セラミックはこの指示のために含めることができたか、およびそれらは最終生成物の特性にどのように影響するか、研究された。
【0280】
2つの異なる可塑剤(TECおよびEtOH)およびそれらの異なる濃度を有する液体担体を用いることにより該ペーストの硬化を制御する方法が提供される。それらを異なる組成およびサイズのペレットを用いて試験した。
【0281】
可塑剤、例えばTECが液体担体中で使用される場合、PEGの使用は回避することができる。このように、PLGAペレットは、PLGA/PEGペレットだけでなく使用することができる。加えて、可塑剤、例えばTECが液体担体中で使用される場合、PLGA/セラミックブレンドにより作製されたペレットを焼結させることが可能である。さらに、TECの濃度を選択することにより、TAOS材料の硬化特性を制御することが可能である。
【0282】
実施例-時間および温度に対するペースト硬化制御
ペレットを液体担体と混合することによりペーストを調製し、それらの硬化を「室内」凝集試験を用いて評価した。簡単に言うと、ペースト焼結後、ペーストを含むアルミ箔を篩メッシュ上に置き、約1cmの深さの水に1分間浸漬させた(
図1)。その後、それらを注意深く篩から除去した。試料を凍結乾燥させ、質量損失を推定することができるように秤量した。
【0283】
図2~5は15分間室温または37℃で焼結させた異なるペーストからの質量損失を示す。
図6は異なる時間点にて(10~60分)、37℃で焼結させたペーストの質量損失を示す。
【0284】
材料
液体担体:
-0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
-1%w/vTEC、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
-2.5%w/vTEC、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
-5%w/vTEC、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
-5%w/vEtOH、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
-10%w/vEtOH、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
【0285】
ペレット:
-PLGA50:50(50~100μmペレット)。
-75.6%w/wPLGA50:50、5.2%w/wPEG400、20%w/wSIM(300~400μm HMEペレット)。
-46.75%w/wPLGA95:5、3.25%w/wPEG400、50%w/wCS(300~400μm HMEペレット)。
-46.75%w/wPLGA95:5、3.25%w/wPEG400、50%w/wβ-TCP(300~400μm HMEペレット)。
【0286】
方法
・355μm篩(Endecotts、BS410/1986)をその専用収集トレー上に置いた。
・2×100mgのペレットをアルミニウム箔内で(およそ4×4cm)、70μlの各液体担体と手作業により混合した。
・得られたペーストを密閉プラスチックバッグ中で、湿度>90%を用い、異なる時間の間焼結させた。
・RTまたは37℃で、加湿環境(>90%RH)において焼結させた後、ペーストを含むアルミ箔を篩メッシュ上に置いた。
・一定の穏やかな、およそ7ml/秒の流れの水(Millipore、Direct-Q(登録商標)3UV)を、試料がおよそ1cmの水中に浸漬されるまで、篩メッシュに適用した。
・浸漬後、試料を水頭におよそ1分間浸漬させ続けた。
・1分後、篩を篩トレーから除去し、試料を含むアルミ箔を篩から注意深く除去した。
・試料をアルミニウム箔と共に凍結乾燥させ、質量損失を推定することができるように秤量した。
・篩トレー(依然として水で満たされていた)を、その間に試料から失われた可能性があるペレットの存在について視覚的に検査した。
【0287】
図2は、可塑剤を含む液体担体を使用すると、可塑剤PEG400とブレンドされないPLGAペレットを使用することが可能であることを示す。可塑剤をブレンドから除去すると、より無駄のない製造プロセスが得られ、ペレットの室温安定性が改善されるため、これは重要である。実のところ、PLGA/PEG400ブレンドの低いガラス転移温度のために、それらは冷蔵庫またはフリーザー中に保存する必要がある。
【0288】
図2~5により、液体担体中のTEC濃度を増加させると、高速硬化特性を有するペーストが生成されることが証明される。50%w/wTCPペレットを除き(
図4)、1%w/vTECを含む液体担体により、37℃で硬化することができるが、室温では硬化しないペーストが得られた。代わりに、5%w/vTECを含む液体担体を用いると、超高速で硬化し、パテ様稠度を有するペーストが得られた。
【0289】
図6は時間によりどのようにペースト凝集が影響されるか、および、液体担体中のエタノールの存在はペースト硬化に重要ではないことを示す。
【0290】
時間および温度に対するペースト機械的特性制御(強度)
ペーストにより形成されたスキャフォールドの機械的特性を評価した。6×12mm円筒形のスキャフォールドのスキャフォールド強度(
図7)を、15分、2および24時間焼結後に、「Stable Microsystems」テクスチャーアナライザーを使用して、Locate Therapeutics試験プロトコルに従い評価した。PLGAまたはPLGA/CSペレットを研究した。
【0291】
材料
液体担体:
-3%w/vTEC、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
【0292】
ペレット:
-PLGA50:50(50~200μmペレット)。
-50%w/wPLGA50:50、50%w/wCS(50~200μmペレット)。
【0293】
方法
6×12mm円筒形のスキャフォールドをシリンジにより、PLGAまたはPLGA/CS(50~200μm)ペレットを3%w/vTEC担体と1.5:1比で混合し、PTFE型に注入し、32℃または37℃のいずれかで15分および2時間または24時間、PBSに浸漬して(湿性)または>90%湿潤雰囲気中に密閉して、37℃(
図7)で焼結させて生成させた。機械的試験をISO標準に従い、テクスチャーアナライザーを使用することにより実施した。
【0294】
得られた結果から、スキャフォールドが、15分焼結後に、PLGAおよびPLGA/CSペレットの両方を使用して形成されたことが証明される。それにもかかわらず、CSの添加により、より弱いスキャフォールドが得られた(
図8および
図10)。
【0295】
PLGA5050を使用した場合、32℃または37℃での15分焼結は、スキャフォールド強度に何の影響も有さない。代わりに、2時間焼結により、最強スキャフォールドが32℃で得られた(
図8)。
【0296】
湿気と湿性焼結の間の比較(
図9~10)により、最強スキャフォールドは湿性条件で焼結させたものであることが証明される。
【0297】
時間および温度に対するペースト機械的特性制御(流動性)
材料
液体担体:
-2%w/vTEC、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
-3%w/vTEC、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
-4%w/vTEC、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
-10%w/vEtOH、0.5%w/vCMC、1%w/vプルロニックF127を含む0.9%w/v塩化ナトリウム。
【0298】
ペレット:
-PLGA50:50(50~200μmペレット)。
-50%w/wPLGA50:50、50%w/wCS(50~200μmペレット)。
【0299】
方法
粘度を400μLの混合パテをアセテートシートセット上に45°の角度まで噴出させることにより決定した。パテを直接シリンジから定常速度で噴出させ、傾斜を60秒間流れさせ、その後、パテがどれだけ遠くまで流れたかを示す第2のマークをつけた。次いで、距離を計算し、平均値を得た。
【0300】
結果から、担体対ポリマー比の量を混合前に低減させることにより、担体成分に関係なく、ずっと高粘度のペーストを作製させることができることが示される。可塑剤濃度を増加させることにより、より粘性の初期材料を作製することが可能であるが、材料に依存する限度までにすぎず、その後、可塑剤のさらなる増加による差はほとんどない(
図12)。さらなる結果から、硫酸カルシウムの添加は、混合され、噴出された材料の流動性に大きな影響を有することが証明される(
図13)。
【0301】
この技術は医学的ヘルスケア領域において活用することができる。適用としては、3D組織構造の形成を促進し、増強された機能、例えば歯科、骨欠損、骨折、脊椎固定および軟骨を提供するための、細胞療法において使用するための注射可能な送達系が挙げられる。整形外科材料に対する市場は巨大であり、老齢人口と共に増大している。そのようなものとして、新規の、費用効率が高い治療製品はヘルスケア標準を維持し、費用を合理的なレベルに保持するのに不可欠である。
【0302】
1.専門用語
β-TCP:β-リン酸三カルシウム、CMC:カルボキシメチルセルロース、CS:硫酸カルシウム、EtOH:エタノール、F127:プルロニック(登録商標)F127、HME:ホットメルト押出加工、PEG:ポリエテングリコール、PLGA:ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、TEC:クエン酸トリエチル
【0303】
参考文献
1-M. Artico, L. Ferrante, F. S. Pastore et al., “Bone autografting of the calvaria and craniofacial skeleton: historical background, surgical results in a series of 15 patients, and review of the literature,” Surgical Neurology, vol. 60, no. 1, pp. 71-79, 2003。
2-Y. T. Konttinen, D. Zhao, A. Beklen et al., “The microenvironment around total hip replacement prostheses,” Clinical Orthopaedics and Related Research, no. 430, pp. 28-38, 2005。
3-L. G. Mercuri and A. Giobbie-Hurder, “Long-term outcomes after total alloplastic temporomandibular joint reconstruction following exposure to failed materials,” Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, vol. 62, no. 9, pp. 1088-1096, 2004。
4-A. M. Pou, “Update on new biomaterials and their use in reconstructive surgery,” Current Opinion in Otolaryngology and Head and Neck Surgery, vol. 11, no. 4, pp. 240-244, 2003。
5-R. Langer and J. P. Vacanti, “Tissue engineering,” Science, vol. 260, no. 5110, pp. 920-926, 1993。
【0304】
スキャフォールド特性例
【表1】
非中空ポリマーペレットの37℃または41.5℃での2または24時間焼結後の最大応力およびヤング率。「バッチ名」列において、PおよびTは、それぞれ、PLGA/PEGおよびβ-TCPを示す。
EtOHおよびTECを可塑剤として、液体担体中、それぞれ5%w/vおよび2.5%w/vの濃度で使用した。
【0305】
実施例-HMEプロセスによるTAOS(商標)ペレット生成
概要
この実施例は、ホットメルト押出加工技術を使用することにより、TAOS(商標)ペレットを生成するための一般プロトコルを記載する。
【0306】
TAOS(商標)は、生分解性および生体適合性材料、例えばセラミック(すなわち硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム)およびポリマー(すなわちPEG、プルロニック、など)とブレンドすることができるPLGA系材料である。TAOS(商標)は、活性材料成分および生物製剤を送達することができる。
【0307】
各ブレンドは少なくとも、2つの成分から構成され、1つの成分はPLGAである。この文書で記載される方法は、3つの主工程から成る:
-材料の乾燥予混合
-予混合材料のホットメルト押出加工
-押出物のペレット化
【0308】
このプロトコルを使用して、300~400ミクロンのペレットが得られる。最小粒子が必要とされる場合、凍結粉砕のさらなる工程が必要とされる。
【0309】
-材料
PLGA50:504.5A、Evonik、Lot No.LP1042
PLGA85:154A、Evonik、Lot No.LP717
PLGA95:56E、Evonik、Lot No.LP1075
プルロニックF127、Sigma、Lot no 121K0070
PEG400、Clariant、Lot No.DEG4242071
シンバスタチン、Teva、Lot No.86600300414
硫酸カルシウム(CS)、Sigma-Aldrich、Lot No.MKBR2597V
β-TCP、Plasma-Biotal、Lot No.XRD7065
【0310】
-方法
乾燥予混合
混合を、少なくとも30gの3つ組のバッグ中試料において手により実施し、より大きな粒子をそれらが認識された時に破壊し、ブレンド中に再混合する。弱凝集体が破壊するのが難しくなったことを見いだすとすぐに、ブレンドを850ミクロンスクリーンに通過させ、このプロセスで破壊された粒子を分離させ、主材料供給原料と再結合させた。再結合させた供給原料を次いで、完全に混合させ、ホットメルト押出加工の準備を整わせる。このようにして、各材料の一貫した供給を、ホットメルト押出機中への二軸式ミニフィーダーを使用して達成する。
【0311】
PEG400または他の粘着性液体材料を、PLGAと組み合わせて使用すると弱凝集が起こる。
【0312】
PLGA、シンバスタチンおよびプルロニックF127は、使用前、500ミクロン未満でなければならない。
【0313】
β-TCPおよびCSは20~52ミクロンでなければならない。
【0314】
-ホットメルト押出加工
予混合材料を次いで、HME供給ゾーン中に二軸式ミニフィーダーを通して導入する。材料の押出機への送り速度を1.1から2.3g/分-1に変化させると、押出物直径を300~350ミクロンから800~900ミクロンに変化させることが可能である。
【0315】
標準HMEバレル温度を以下に示す。押出機スクリュー回転数は50rpmに設定する。
【表2】
【0316】
-ペレット化
HMEダイゾーンから来た押出物を次いで、設定9L1を有するペレタイザーを用いてペレットに切断する。この設定を用いて、300~400ミクロンのペレットが得られる。
【0317】
ペレタイザーは2つの主構成要素から構成される
-1切断ホイール
-2押出物を切断ホイールに押し進める同心ホイール。
【0318】
切断ホイールは異なる速度で回転することができる(コントロールダイヤル1~9)。代わりに、2つの同心ホイールは押出物を4つの異なる速度で押すことができる(コントロールダイヤル1~4)。組み合わせ9L1では、9は切断ホイールを示し、一方、1は同心ホイールを示す。
【0319】
調製バッチ
記載される方法を使用して、下記HMEバッチを生成させた:
-TAOS-TCP
-84.15%w/wPLGA95:5、5.85%PEG400、10%w/wβ-TCP
-74.8%w/wPLGA95:5、5.2%PEG400、20%w/wβ-TCP
-65.45%w/wPLGA95:5、4.55%PEG400、30%w/wβ-TCP
-56.1%w/wPLGA95:5、3.9%PEG400、40%w/wβ-TCP
-46.75%w/wPLGA95:5、3.25%PEG400、50%w/wβ-TCP
-TAOS-TCP/TAOS-CS/TAOS-プルロニック
バッチLOC01-46.75%w/wPLGA95:5、3.25%PEG400、50%w/wβ-TCP
バッチLOC02-46.75%w/wPLGA95:5、3.25%PEG400、50%w/wCS
バッチLOC03-84.15%w/wPLGA50:50、5.85%PEG400、10%w/wプルロニックF127
バッチLOC04-65.45%w/wPLGA50:50、4.55%PEG400、10%w/wプルロニックF127、20%w/wシンバスタチン
【表3】
【0320】
実施例2-中空ポリマーペレット
製造
1.序論
この研究の目的は、PLGAに基づく管の中空マイクロペレットを生成することであった。
【0321】
中空ポリマーペレットは一般に、3工程プロセスで生成させることができる。
-第1の工程:乾燥原料の二軸押し出しによる、標準ペレット(300μm直径、500μm長さ)の調製、続いて、ペレット化。(上記「実施例-HMEプロセスによるTAOS(商標)ペレット生成」を参照されたい)
-第2の工程:工程1で調製した標準ペレットの一軸押し出しによる中空管の調製。
-第3の工程:中空ペレット(450~500μm直径、500μm長さ)を得るための、工程2で調製した中空管のペレット化。
【0322】
2.実験
2バッチ(約200g)の材料を予配合し、提供した。PLGAマトリックスに基づき、1グレード(PLGA-PEG)は6.5%w/wポリエチレングリコール400を含み;第2のグレード(PLGA-CS-PEG)はまた、硫酸カルシウムフィラーの50%w/w負荷を含んだ。
PLGA-PEGバッチ:
PLGA95:5=93.5%w/w
PEG400=6.5%w/w
PLGA-CS-PEGバッチ:
PLGA95:5=46.75%w/w
PEG400=3.25%w/w
CS=50%w/w
【0323】
2.0mmの外径および1.0mmの内(ピン)径を有するチューブダイが備えられた、16mmのスクリュー直径を有する一軸押出機(Dr Collin Teachline16)を使用した。押し出された管を400μmの標的管外径まで、Rondolキャタピラー引き取りユニットを使用して引き下ろした(伸ばした)。ポリマーの水感応性のために、水を含まない冷却システムを使用し、これにより、押し出された管を、PTFEガイドチャネルにより支持しながら、空気中で冷却させた。押し出された管をスプール上に自動化ワインダーにより巻き取った。ペレット化を、最大カッター速度に設定したThermo Scientific pharmaグレードペレタイザーを使用して実施した。
【0324】
押出加工、引き取りおよびペレット化プロセスの初期設定を、非医療グレードのPLGA(IRC実験室内でより大量に入手可能であった)を使用して実施した。これにより、より小さな材料の医療グレード試料を使用する前に、温度プロファイル、押出機速度および引き取り速度を確立することができた。充填剤を添加していない、非医療グレードは、よく押し出されることが見いだされ、約500μmの管が生成された。これを標的寸法のマイクロペレットに切断した。
【0325】
3.PLGA-CS-PEG押出加工
PLGA-CS-PEGのために使用した一軸押出機設定温度は表1において詳述される。
【表4】
【0326】
配合物は十分に押し出され、管を生成し、これは、引き取りユニットキャタピラーにより、要求される直径まで容易に引き下ろされた。セットアップおよび安定化の初期期間後、十分な量の押し出された管を収集するためにプロセスを実行させた。押出機スクリュー回転数を36rpmに設定し、引き取り速度を18m/分に設定した。押し出された管をその後、最大カッター回転速度でペレット化した。切断管のSEM画像が
図14に示される。
【0327】
切断された、押し出された管をヒートシールされたホイルバッグに窒素下で入れ、その後、分析した。
【0328】
4.PLGA-PEG押出加工
PLGA-PEGを、PLGA-CS-PEGペレットを作製するために、一軸押出機に同じ設定プロセス条件で送り込んだ。
【0329】
5.概要コメント
押出加工プロセスを、標的寸法で、水冷却なしで管をうまく生成させるために使用した。材料はこれらの条件での押出加工によく適することが見いだされ、プロセスは安定した様式で実行することができた。押し出された管を、典型的には医薬品コンパウンディングのために使用される市販のペレタイザーを使用して、標的ペレットサイズに切断した。押出機およびダイの完全パージ、ストリップおよび清浄化が材料の異なるバッチ間で推奨される。
【0330】
中空ポリマーペレットのキャラクタリゼーション
標準TAOS-CSペレット(TAOS-CS)対中空TAOS-CSペレット(H-TAOS-CS)
範囲
今日までの研究により、硫酸カルシウム(CS)がTAOS(商標)系内に含められると、より良好な骨再生が達成されたことが証明された。この改善を示すデータはニュージーランドホワイト顆状突起ウサギモデル研究で得られ、使用されたTAOS-CSブレンドは50%w/wCSを有した。このブレンドは、HME二軸押し出し、続いて、ペレット化により生成させた。得られたペレットの寸法は300μm直径および400μm長さを有した。顆状突起研究では、これらのペレットを液体担体と混合してペーストを作製し、次いで、これをウサギ顆状突起内に埋め込んだ。
【0331】
骨再生はインプラントの多孔度により影響されることがよく知られている。60%を超える多孔度および50μmより大きな細孔により、細胞はインプラント内でよく増殖し、分化することができ、よって、再生プロセスが増強される。
【0332】
インプラント多孔度を改善するために、中空ペレットの使用を研究した。目的は、標準ペレット(中空なし)と同様の属性を有するが、増加した多孔度を有するペレットを得ることであった。
【0333】
次いで、この研究の目的は、標準TAOS-CSペレット(およそ300×400μm)または中空TAOS-CSペレット(およそ400×550μm)により作製されたペースト/スキャフォールドの物理属性の比較であった。多孔度、強度、ガラス転移温度および凝集の物理属性を評価し、記載した。
【0334】
材料
・TAOS(商標)-CSペレット(標準および中空)
・PLGA95:5DLG 6E 75KDa
・PEG400
・硫酸カルシウムバッチNo.MKBR2597V(Sigma-Aldrich)
・標準TAOS液体担体
・生理食塩水:0.9%w/v塩化ナトリウムを含む蒸留水
・プルロニックF127
・カルボキシメチルセルロース12M31P
・可塑剤
・トリアセチン
【0335】
専門用語
CMC:カルボキシメチルセルロース、CS:硫酸カルシウム、DMA:動的機械分析、F127:プルロニック(登録商標)F127、HME:ホットメルト押出加工、TAOS:Targeted Orchestrated Signalling、TAOS-CS:TAOS+硫酸カルシウムの標準ペレット、H-TAOS-CS:TAOS+硫酸カルシウムの中空ペレット、PEG:ポリエテングリコール、PLGA:ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、TA:トリアセチン
【0336】
方法
試験試料ペースト調製
ペースト調製のために、およそ100mgのTAOS-CSまたはH-TAOS-CSペレットをアルミニウム箔の一片(およそ4×4cm)内に秤量し、70μlのTAOS(商標)液体担体(標準または標準+2.5%w/vTA)と共に、小さなスパチュラを使用して手作業で混合し、山にした。混合後、ペーストを37℃で移動させ、PBS加湿密閉バッグ(>90%RH)において15分間焼結させた。
【0337】
TAOS(商標)ペースト凝集/初期スキャフォールド完全性評価
TAOS(商標)-セラミックペースト凝集/初期スキャフォールド完全性の評価のために、方法を下記の通りとした:
・355μm篩(Endecotts、BS410/1986)をその専用収集トレー上に置いた。
・加湿環境(>90%RH)における37℃での15分焼結後、初期スキャフォールドを含むアルミ箔を篩メッシュ上に置いた。
・一定の穏やかな、およそ7ml/秒の流れの水(Millipore、Direct-Q(登録商標)3UV)を、試料がおよそ1cmの水中に浸漬されるまで、篩メッシュに適用した。
・浸漬後、試料を水頭におよそ1分間浸漬させ続けた。
・1分後、篩を篩トレーから除去し、試料を含むアルミ箔を篩から注意深く除去した。
・試料をアルミニウム箔と共に凍結乾燥させ、質量損失を推定することができるように秤量した。
・篩トレー(依然として水で満たされていた)を、その間に試料から失われた可能性がある粒子の存在について視覚的に検査した。
【0338】
スキャフォールド調製
スキャフォールド調製では、200mgのTAOS-CSまたはH-TAOS-CSペレットを秤量ボート中で秤量し、小さなスパチュラを使用して、140μlのTAOS(商標)液体担体(標準または標準+2.5%w/vTA)と手作業により混合した。混合後、ペーストを6×12mmPTFE型に移し、実験によって、37℃で2または24時間、PBS加湿密閉バッグ(湿度>90%)中で焼結させた。多孔度のためのスキャフォールドを乾燥焼結させ(液体担体なし)、凍結乾燥させ、焼結プロセス後に秤量した。
【0339】
多孔度評価
スキャフォールド多孔度を「密度法」により決定した。各凍結乾燥スキャフォールドの質量を体積(V=πr2h)と共に測定した。密度を、下記式を用いて計算した:
密度=質量/体積
その後、PLGA、CSの密度をそれぞれ1.3、2.96g/cm3と仮定して、多孔度を計算した。
【0340】
分子量評価
二軸および一軸押し出しプロセスのPLGA95:5分子量への影響を評価した。二軸および一軸押出機を、それぞれ、標準ポリマーペレット(TAOS-CS)および中空ポリマーペレット(H-TAOS-CS)を製造するために使用した。
【0341】
PLGA95:5分子量を評価するために、標準および中空ポリマーペレットを最初に、アセトニトリル:水(1:1)溶液に溶解した。この溶液を次いで濾過し、不溶性硫酸カルシウムを除去した。濾過した溶液の分子量をHPLC下でGPCカラムを使用して分析した。
【0342】
スキャフォールド強度試験
スキャフォールド強度を、2および24時間の焼結後、「Stable Microsystems」テクスチャーアナライザーを使用してチェックした。最大応力およびヤング率データを取得した。
【0343】
ガラス転移温度評価
TAOS-CSまたはH-TAOS-CSペレットのガラス転移温度(Tg)を「Anton-Paar」レオメータを使用してチェックした。およそ400mgの乾燥ペレットブレンドを25mmレオメータ平行平板に入れ、1Hzおよび0.1%ひずみで温度傾斜80~10℃を用い、振動試験に供した。動的機械分析(DMA)をTg計算のために使用した。DMAは材料の粘弾性率、貯蔵および損失弾性率および損失正接(ピーク位相角)を測定した。
【0344】
結果
TAOS(商標)ペースト凝集/初期スキャフォールド完全性評価
水中での1分浸漬後、試料を含むアルミ箔を注意深く篩から除去し、凍結乾燥させ、重量損失を推定した(
図20)。
【0345】
この損失を乾燥ペーストの重量損失を計算することにより推定した。ペーストを2.5%w/vTAを含む液体担体と共に焼結させた場合、かなりの損失は起こらなかった。しかしながら、ペーストを標準液体担体と焼結させた場合、実質的な質量損失が観察された。ペレット形状はスキャフォールド凝集において役割を果たさなかったことが示された。
【0346】
多孔度評価
24時間の焼結後、凍結乾燥スキャフォールドの寸法および密度を測定し、スキャフォールド多孔度を計算した(
図19)。中空ペレットから作製されたスキャフォールドは約11~12%の多孔度増加を示した。
【0347】
分子量評価
GPC結果により、どちらの押出加工プロセスもPLGA95:5分子量には小さな影響しか有さなかったことが証明された。TAOS-CSおよびH-TAOS-CSは、開始PLGA95:5分子量を用いて比較した場合、同様の分子量を有した。二軸および一軸押し出しプロセス後に、たった5.5KDaの分子量降下が起きた(
図17)。
【0348】
強度
テクスチャーアナライザーにより得られた応力対ひずみトレースから、最大強度およびヤング弾性率を計算した。破壊前の応力/ひずみ傾斜の勾配からヤング弾性率を決定した。データの概要は
図21に示される。
【0349】
データの精査により、TAOS-CSまたはH-TAOS-CSを用いて調製したスキャフォールドにおいて差が示された。一般に、TAOS-CSを使用すると、とりわけ、2.5%w/vTA液体担体を使用した場合、最強スキャフォールドが生成された。一般に、H-TAOS-CSを用いて作製されたスキャフォールドの増加した多孔度は、スキャフォールドにより低い強度を与えたことを示すことができる。
【0350】
ガラス転移温度(Tg)
レオメータソフトウェアから得られたデータをMicrosoft Excelファイルに移し(各ポリマー型についてのもの)、散布図を位相シフト角対温度(
図22)、ならびに損失および貯蔵弾性率対温度(
図23)を示すために描いた。グラフから、ピーク位相角およびピーク損失弾性率での温度をTgの表示として記録した(表1)。ペレットの型に対し、Tgの実質的な差は記録されなかった。
【表5】
【0351】
30分後のMSC生存率の例
4000万個の細胞/mlの200μlのMSC懸濁液を、TAOS-CSまたはH-TAOS-CSから作製された400mgスキャフォールドに添加した。スキャフォールドおよびMSCを37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、MSCをスキャフォールドからトリプシンを使用して脱離させ、血球計算器分析により定量した。死細胞をトリパンブルー排除アッセイにより定量した。
【0352】
約100%細胞生存率が達成された。H-TAOS-CSスキャフォールドでは、ペレット中空内にあるMSCは脱離せず、H-TAOS-CSの遮蔽特性が証明された。
【0353】
可塑剤選択例
表2は、本発明において使用され得る水溶性可塑剤の例を提供する。本発明による担体中に可塑剤を含む実施形態では、可塑剤は表2から選択され得、またはそれらの組み合わせで使用され得る。担体中の可塑剤のパーセンテージは、表2により、医薬品中で使用される特定された最高濃度までとすることができる。
【0354】