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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】機器制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20231204BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20231204BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20231204BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20231204BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20231204BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
H04L12/28 500E
F24F11/54
F24F11/61
F24F11/64
F24F11/65
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020006092
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021114093
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 宏一
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-224199(JP,A)
【文献】特開2016-208110(JP,A)
【文献】特開2003-115087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
F24F 11/54
F24F 11/61
F24F 11/64
F24F 11/65
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅に設けられた複数の機器と、
前記住宅内に住人が在宅しているか又は不在であるかを判定する在不在判定手段と、
前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が不在であると判定された場合に、予め定められた前記各機器の作動パターンにしたがってそれら各機器を作動させる制御手段と、を備える機器制御システムであって、
前記住宅内に住人が通常在宅している通常在宅時間帯と、前記住宅内に住人が通常不在とされている通常不在時間帯とが予め定められており、
前記作動パターンとして、前記通常不在時間帯用の作動パターンと、前記通常在宅時間帯用の作動パターンとが予め用意されており、
前記制御手段は、前記住宅に住人が不在である不在時が前記通常不在時間帯である場合には、前記通常不在時間帯用の作動パターンにしたがって前記各機器を作動させ、前記不在時が前記通常在宅時間帯である場合には、前記通常在宅時間帯用の作動パターンにしたがって前記各機器を作動させ
前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が不在であると判定された場合に、その不在が長期に亘る長期不在であるか否かを判定する長期不在判定手段を備え、
前記作動パターンとして、長期不在用の作動パターンが用意されており、
前記制御手段は、前記長期不在判定手段により長期不在と判定された場合には、今現在が前記通常不在時間帯か前記通常在宅時間帯かにかかわらず、前記長期不在用の作動パターンにしたがい前記各機器を作動させ、
前記各機器には、前記住宅の屋外側に設置された給湯機器が含まれており、
前記各作動パターンのうち前記長期不在用の作動パターンでは、前記給湯機器による給湯処理を行うようになっており、それ以外の作動パターンでは、前記給湯機器による給湯処理を行わないようになっていることを特徴とする機器制御システム。
【請求項2】
住宅に設けられた複数の機器と、
前記住宅内に住人が在宅しているか又は不在であるかを判定する在不在判定手段と、
前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が不在であると判定された場合に、予め定められた前記各機器の作動パターンにしたがってそれら各機器を作動させる制御手段と、を備える機器制御システムであって、
前記住宅内に住人が通常在宅している通常在宅時間帯と、前記住宅内に住人が通常不在とされている通常不在時間帯とが予め定められており、
前記作動パターンとして、前記通常不在時間帯用の作動パターンと、前記通常在宅時間帯用の作動パターンとが予め用意されており、
前記制御手段は、前記住宅に住人が不在である不在時が前記通常不在時間帯である場合には、前記通常不在時間帯用の作動パターンにしたがって前記各機器を作動させ、前記不在時が前記通常在宅時間帯である場合には、前記通常在宅時間帯用の作動パターンにしたがって前記各機器を作動させ
前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が不在であると判定された場合に、その不在が長期に亘る長期不在であるか否かを判定する長期不在判定手段を備え、
前記作動パターンとして、長期不在用の作動パターンが用意されており、
前記制御手段は、前記長期不在判定手段により長期不在と判定された場合には、今現在が前記通常不在時間帯か前記通常在宅時間帯かにかかわらず、前記長期不在用の作動パターンにしたがい前記各機器を作動させ、
前記各機器には、室内機と室外機とを有し、前記住宅内における複数の部屋の空調を行う空調機器が含まれており、
前記各作動パターンのうち前記長期不在用の作動パターンでは、前記空調機器を常時作動させるようになっており、それ以外の作動パターンでは前記空調機器を常時作動させるようになっていないことを特徴とする機器制御システム。
【請求項3】
前記在不在判定手段により前記住宅に住人が在宅していると判定された場合に、前記各機器の作動履歴を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された前記通常在宅時間帯における前記各機器の作動履歴に基づき、前記通常在宅時間帯用の作動パターンを作成する作動パターン作成手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記住宅には、住人が発する音声を録音する録音部と、その録音部に録音された住人の音声を出力する音声出力部とが設けられ、
前記制御手段は、
前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が在宅していると判定された場合に前記録音部による録音を実行させ、
前記通常在宅時間帯において前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が不在であると判定された場合に、前記通常在宅時間帯において前記録音部に録音された音声を前記音声出力部より出力させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の機器制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅内に住人が不在である場合に、住宅に設けられた各機器を作動させることで在宅を演出する機器制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅内に住人が不在である場合に、住宅内に設けられた機器を自動で作動させる機器制御システムが知られている。この種のシステムとして、特許文献1には、住宅内に住人が不在となった場合に、あらかじめ定められた作動パターンにしたがって照明機器を作動(点灯)させるようにしたシステムが開示されている。かかるシステムによれば、住宅内に住人が不在であっても、あたかも住人が在宅しているように演出することができるため、不審者が住宅内に侵入するのを防止することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-224199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、住宅では、住人が在宅している時間帯と、住人が不在である時間帯とがある程度決まっている。例えば、平日であれば、昼間の時間帯は住人が会社や学校に出かけるため不在となり、夜間の時間帯は住人が会社や学校から帰宅するため在宅となると考えられる。ただ、場合によっては、住人の帰宅がいつもより遅れる等して、普段は住宅内に住人が在宅している時間帯にもかかわらず、住人が不在となってしまうことが想定される。
【0005】
ここで、上記特許文献1のシステムでは、上述したように、住宅内に住人が不在である場合には、予め登録された作動パターンにしたがって、照明機器が作動されるようになっている。つまり、上記特許文献1のシステムでは、住宅内に住人が不在となった時間帯が、普段住人が不在である時間帯(以下、通常不在時間帯という)なのか、それとも普段住人が在宅している時間帯(以下、通常在宅時間帯という)なのかにかかわらず、一律に作動パターンにしたがって機器が作動されるようになっている。
【0006】
しかしながら、上記のように、住人が不在となった時間帯が通常不在時間帯か通常在宅時間帯かにかかわらず、一律に作動パターンにしたがって機器が作動されると、不審者によっては、実際には住宅内が不在であることを見破ってしまうおそれがある。すなわち、不審者によっては、住宅への侵入機会を伺うために、複数回に亘って住宅の様子を下調べすることが想定され、このような不審者には、住宅内に住人がいつ在宅しているのかいつ不在であるのかをある程度把握されることが想定される。そのため、このような不審者に対しては、通常在宅時間帯において、作動パターンにしたがい機器を作動させると、機器の作動態様がいつも(つまり実際に在宅している場合)と異なることに気づかれてしまうおそれがあり、ひいては、その不審者に住宅内が不在であることに気づかれてしまうおそれがある。その場合、その不審者に住宅内への侵入を許してしまうことになりかねない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、不審者による住宅への侵入防止効果を高めることができる機器制御システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の機器制御システムは、住宅に設けられた複数の機器と、前記住宅内に住人が在宅しているか又は不在であるかを判定する在不在判定手段と、前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が不在であると判定された場合に、予め定められた前記各機器の作動パターンにしたがってそれら各機器を作動させる制御手段と、を備える機器制御システムであって、前記住宅内に住人が通常在宅している通常在宅時間帯と、前記住宅内に住人が通常不在とされている通常不在時間帯とが予め定められており、前記作動パターンとして、前記通常不在時間帯用の作動パターンと、前記通常在宅時間帯用の作動パターンとが予め用意されており、前記制御手段は、前記住宅に住人が不在である不在時が前記通常不在時間帯である場合には、前記通常不在時間帯用の作動パターンにしたがって前記各機器を作動させ、前記不在時が前記通常在宅時間帯である場合には、前記通常在宅時間帯用の作動パターンにしたがって前記各機器を作動させることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、住宅内に住人が通常在宅している通常在宅時間帯と、住宅内に住人が通常不在とされている通常不在時間帯とが予め定められている。また、住宅に住人が不在である場合に、各機器を作動させる作動パターンとして、通常不在時間帯用の作動パターンと、通常在宅時間帯用の作動パターンとが用意されている。そして、現在が通常不在時間帯である場合には通常不在時間帯用の作動パターンに基づき機器が作動され、現在が通常在宅時間帯である場合には通常在宅時間帯用の作動パターンに基づき機器が作動される。
【0010】
このような構成では、通常不在時間帯に住宅内が不在になった場合と、通常在宅時間帯に住宅内が不在になった場合とで、異なる作動パターンで各機器を作動させることができる。そのため、通常在宅時間帯において住宅内が不在になった場合には、住人が実際に在宅していた際の機器の作動態様に近い態様で機器を作動させる等、することができる。これにより、不審者に住宅内が不在であることを気づかれにくくすることができるため、不審者による住宅への侵入防止効果を高めることができる。
【0011】
第2の発明の機器制御システムは、第1の発明において、前記在不在判定手段により前記住宅に住人が在宅していると判定された場合に、前記各機器の作動履歴を記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶された前記通常在宅時間帯における前記各機器の作動履歴に基づき、前記通常在宅時間帯用の作動パターンを作成する作動パターン作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、住宅に住人が在宅している場合に各機器の作動履歴が記憶されるようになっている。また、記憶された通常在宅時間帯における各機器の作動履歴に基づき、通常在宅時間帯用の作動パターンが作成されるようになっている。この場合、通常在宅時間帯用の作動パターンとして、住人が実際に在宅していた際に作動していた機器の作動パターンと同様の作動パターンを作成することができる。そして、通常在宅時間帯に住宅が不在になった場合には、その作成した作動パターンに基づき機器を作動させることが可能となる。これにより、通常在宅時間帯における在宅演出を実際に近いものとすることができ、通常在宅時間帯においてリアルな在宅演出を実現することが可能となる。
【0013】
第3の発明の機器制御システムは、第1又は第2の発明において、前記住宅には、住人が発する音声を録音する録音部と、その録音部に録音された住人の音声を出力する音声出力部とが設けられ、前記制御手段は、前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が在宅していると判定された場合に前記録音部による録音を実行させ、前記通常在宅時間帯において前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が不在であると判定された場合に、前記通常在宅時間帯において前記録音部に録音された音声を前記音声出力部より出力させることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、住宅に住人が在宅している場合には、録音部による録音処理が実行されるため、住人が会話等で発する音声を録音部に録音することができる。また、通常在宅時間帯において住宅に住人が不在である場合には、通常在宅時間帯において録音部に録音された住人の音声が音声出力部より出力される。これにより、通常在宅時間帯においてよりリアルな在宅演出を実現することが可能となる。
【0015】
第4の発明の機器制御システムは、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が不在であると判定された場合に、その不在が長期に亘る長期不在であるか否かを判定する長期不在判定手段を備え、前記作動パターンとして、長期不在用の作動パターンが用意されており、前記制御手段は、前記長期不在判定手段により長期不在と判定された場合には、今現在が前記通常不在時間帯か前記通常在宅時間帯かにかかわらず、前記長期不在用の作動パターンにしたがい前記各機器を作動させ、前記各機器には、前記住宅の屋外側に設置された給湯機器が含まれており、前記各作動パターンのうち前記長期不在用の作動パターンでは、前記給湯機器による給湯処理を行うようになっており、それ以外の作動パターンでは、前記給湯機器による給湯処理を行わないようになっていることを特徴とする。
【0016】
住人が旅行や出張等で住宅内が長期不在となる場合には、住宅内に不審者に侵入される懸念が特に高くなる。そのため、防犯性を特に高める必要がある。一方、給湯機器は、屋外側に設置されているため、給湯に伴い屋外に熱や湯気を発生する。そのため、給湯機器による給湯処理は、屋外にいる不審者に対する在宅演出効果が高いと考えられる。そこで本発明では、こうした点に鑑み、住宅内が長期不在であると判定された場合に、給湯機器による給湯処理を行うようにしている。この場合、住宅内が長期不在の状態にある場合に在宅演出効果を高めることができるため、長期不在時において不審者による住宅への侵入防止効果を特に高めることができる。
【0017】
また、給湯機器による給湯処理は、長期不在時以外は行われないため、普段の不在時(短期不在時)においては給湯処理が行われることがない。これにより、普段の不在時に無駄に湯が生成され消費されるのを回避することができる。そのため、無駄にエネルギが消費されるのを回避しながら、長期不在時における不審者の侵入防止効果を高めることができる。
【0018】
第5の発明の機器制御システムは、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記在不在判定手段により前記住宅内に住人が不在であると判定された場合に、その不在が長期に亘る長期不在であるか否かを判定する長期不在判定手段を備え、前記作動パターンとして、長期不在用の作動パターンが用意されており、前記制御手段は、前記長期不在判定手段により長期不在と判定された場合には、今現在が前記通常不在時間帯か前記通常在宅時間帯かにかかわらず、前記長期不在用の作動パターンにしたがい前記各機器を作動させ、前記各機器には、室内機と室外機とを有し、前記住宅内における複数の部屋の空調を行う空調機器が含まれており、前記各作動パターンのうち前記長期不在用の作動パターンでは、前記空調機器を常時作動させるようになっており、それ以外の作動パターンでは前記空調機器を常時作動させるようになっていないことを特徴とする。
【0019】
全館式の空調システムが導入されている住宅では、空調機器により住宅内における複数の部屋の空調が行われる。かかる空調機器は室内機と室外機とを有しており、室外機については住宅の屋外側に設置されている。そのため、空調機器を作動させることで、屋外にいる不審者に対する在宅演出効果を高めることができると考えられる。そこで本発明では、こうした点に鑑み、住宅内が長期不在であると判定された場合に、空調機器を常時作動(運転)させることとしている。この場合、上記第4の発明と同様、住宅内が長期不在の状態にある場合に在宅演出効果を高めることができるため、長期不在時において不審者による住宅への侵入防止効果を特に高めることができる。
【0020】
また、空調機器の常時作動(常時運転)は、長期不在時以外は行われないため、普段の不在時(短期不在時)において、空調機器の全館空調が常時行われることがない。そのため、普段の不在時に無駄にエネルギが消費されるのを回避することができる。これにより、上記第4の発明と同様、無駄にエネルギが消費されるのを回避しながら、長期不在時における不審者の侵入防止効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】機器制御システムの全体構成を示す図。
図2】平日用の在不在パターンの一例を示す図。
図3】通常在宅時間帯用の作動パターンの一例を示す図。
図4】長期不在用の作動パターンの一例を示す図。
図5】制御処理の流れを示すフローチャート。
図6】在宅演出処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、住宅内に住人が不在である場合に、住宅に設けられた機器を作動させる機器制御システムについて具体化している。以下では、その機器制御システムの構成について図1に基づき説明する。なお、図1は機器制御システムの全体構成を示す図である。
【0023】
図1に示すように、住宅11には、複数の機器13~16(設備機器)が設けられている。これらの機器13~16には、照明機器13と、空調機器14と、給湯器15と、シャッタ装置16とが含まれている。照明機器13は、光を照射して住宅11内を照らすものであり、例えば蛍光灯や白熱灯等からなる。
【0024】
空調機器14は、住宅11内に設置された室内機14aと、住宅11の屋外側に設置された室外機14bとを有して構成されている。本住宅11では、この空調機器14を用いて全館式の空調システムが構築されている。全館式の空調システムは、共通の空調機器14により複数の部屋を空調対象として空調(冷暖房)を行うシステムである。全館式の空調システムでは、空調機器14の室内機14aにより空調空気(冷気及び暖気)を生成し、その生成した空調空気を空調ダクト(図示略)を通じて各部屋に供給することで各部屋の空調(冷暖房)を行うものとなっている。
【0025】
給湯器15は、湯を生成するボイラ等を有してなり、住宅11の屋外側に設置されている。給湯器15は、図示しない浴槽と配管を介して接続され、生成した湯を浴槽に供給することが可能となっている。つまり、給湯器15は、浴槽へ湯を供給することで、浴槽の湯張りを行うことが可能となっている。
【0026】
シャッタ装置16は、住宅11の窓部(図示略)を開閉する開閉装置であり、シャッタカーテンを有している。シャッタ装置16は、シャッタカーテンを開閉動作させることで、窓部を開閉するようになっている。
【0027】
上述した各機器13~16はいずれも住人の手動操作により作動及び作動停止されるようになっている。各機器13~16ごとに、機器13~16を操作するためのスイッチが設けられ、そのスイッチの操作により機器13~16が作動したり作動停止したりするようになっている。例えば、照明機器13は、スイッチONの操作がされると点灯され、スイッチOFFの操作がされると消灯される。また、シャッタ装置16は、シャッタ開の操作がされると(シャッタカーテンが)開状態とされ、シャッタ閉の操作がされると閉状態とされる。
【0028】
住宅11には、各機器13~16の制御を行うホームサーバ20が設けられている。ホームサーバ20は、例えばHEMSのサーバにより構成され、住宅11内の壁等に取り付けられている。ホームサーバ20には、各機器13~16が接続されている。ホームサーバ20は、住宅11内に住人が不在である場合に、各機器13~16を作動させることで住宅11に住人が在宅していることを演出する機器在宅演出処理を実施する。なお、ホームサーバ20が制御手段に相当する。
【0029】
住宅11には、上述した各機器13~16に加え、施錠装置25と音響機器26とが設けられている。施錠装置25は、玄関ドアの施解錠を行うものであり、住人の携帯する電子キーを用いて施解錠される。住人の電子キーには、住人固有の識別情報が記憶され、その電子キーから送信される識別情報に基づき施錠装置25が施解錠される。
【0030】
施錠装置25はホームサーバ20と接続されている。施錠装置25が住人により施錠又は解錠されると、ホームサーバ20には、施錠装置25から施錠信号又は解錠信号が入力される。ホームサーバ20は、施錠装置25からの施錠信号又は解錠信号に基づいて、住人が外出したか帰宅したかを判定する。つまり、ホームサーバ20は、施錠装置25から施錠信号を入力した場合には住人が外出したと判定し、施錠装置25から解錠信号を入力した場合には住人が帰宅したと判定する。そして、ホームサーバ20は、住人の外出帰宅の判定結果に基づき、今現在、住宅11内に住人が在宅しているか又は、住宅11内に(すべての)住人が不在であるかを判定する在不在判定処理を行う。
【0031】
住宅11には、音響機器26(オーディオ機器)が設けられている。音響機器26は、例えばスマートスピーカにより構成され、リビングに設けられている。音響機器26は、住宅11内で住人が会話の際等に発した音声を検出する音声検出部26aと、その音声検出部26aで検出された住人の音声を録音する録音部26bと、その録音部26bで録音された住人の音声を出力する音声出力部26cとを有している。音声検出部26aは、例えばマイクからなり、音声出力部26cは、例えばスピーカからなる。
【0032】
ホームサーバ20は、住宅11内に住人が不在である場合に、必要に応じて、録音部26bに録音された住人の音声を音声出力部26cより出力させ、住宅11に住人が在宅していることを演出する音声在宅演出処理を行う。したがって、本機器制御システム10では、上述した各機器13~16による機器在宅演出処理に加え、録音された住人の音声による音声在宅演出処理を行うことが可能となっている。
【0033】
続いて、ホームサーバ20による機器在宅演出処理に関する構成について説明する。
【0034】
ホームサーバ20は、在不在パターン記憶部21と、作動パターン記憶部22とを有している。在不在パターン記憶部21は、住宅11内に住人が通常在宅している通常在宅時間帯と、住宅11内に住人が通常不在とされている通常不在時間帯とを示す在不在パターンを記憶するものである。在不在パターン記憶部21には、平日用の在不在パターンと、休日用の在不在パターンとがそれぞれ記憶されている。図2には、平日用の在不在パターンの一例が示されている。この図2の例では、平日には、9:00~16:00が通常不在時間帯となっており、それ以外の時間帯が通常在宅時間帯となっている。
【0035】
なお、在不在パターンは、住人がホームサーバ20に設けられた操作部を用いて通常在宅時間帯と通常不在時間帯とをそれぞれ入力することでホームサーバ20において作成される。そして、ホームサーバ20は、その作成された在不在パターンを在不在パターン記憶部21に記憶(登録)する。
【0036】
作動パターン記憶部22は、住宅11に住人が不在である場合にホームサーバ20により機器13~16を作動させる際の作動パターンを記憶するものである。作動パターンとは、いつどの機器13~16をどのように作動させ又は停止させるのかを示すものである。ホームサーバ20は、住宅11に住人が不在である場合に、上記作動パターンにしたがって各機器13~16を作動させる。つまり、ホームサーバ20は、上記作動パターンにしたがって各機器13~16を作動させることで機器在宅演出処理を行う。
【0037】
本機器制御システム10では、ホームサーバ20による機器在宅演出処理に際し、今現在(不在時)が通常不在時間帯である場合と、通常在宅時間帯である場合とで、異なる作動パターンを用いることとしている。そのため、作動パターン記憶部22には、通常不在時間帯用の作動パターンと、通常在宅時間帯用の作動パターンとがそれぞれ記憶されている。具体的には、作動パターン記憶部22には、通常不在時間帯用の作動パターンを記憶する第1データベース22aと、通常在宅時間帯用の作動パターンを記憶する第2データベース22bとが構築されている。
【0038】
第1データベース22aには、通常不在時間帯用の作動パターンとして、複数種類の作動パターンが記憶されている。例えば、平日用の作動パターンと、休日用の作動パターンとが記憶されている。また、天候ごとに異なる作動パターンが用意され、例えば平日用及び休日用の各作動パターンにはそれぞれ、晴天時用の作動パターンと雨天時用の作動パターンとが含まれている。通常不在時間帯用の作動パターンではいずれのパターンにおいても、空調機器14の作動が停止されるようになっており、また、給湯器15の給湯処理については実施されないようになっている。
【0039】
第2データベース22bには、通常在宅時間帯用の作動パターンとして、複数種類の作動パターンが記憶されている。通常在宅時間帯用の作動パターンとしては、上述した通常不在時間帯用の作動パターンと同様、平日用及び休日用の各作動パターンが記憶されている。また、平日用及び休日用の各作動パターンにはそれぞれ、晴天時用の作動パターンと雨天時用の作動パターンとが含まれている。
【0040】
図3には、通常在宅時間帯用の作動パターンの一例が示されている。図3の例では、平日・晴天時用の作動パターンが示されている。図3に示す作動パターンでは、照明機器13が18:00に点灯され、23:00に消灯されるようになっている。また、シャッタ装置16が18:00に開状態から閉状態とされるようになっている。
【0041】
図示は省略するが、平日・雨天時用の作動パターンでは、照明機器13が17:30に点灯され、シャッタ装置16が17:30に閉状態とされるようになっている。雨天時においては、晴天時よりも早く暗くなるため、それに合わせて照明機器13の点灯及びシャッタ装置16の閉処理が晴天時よりも早く行われるようになっている。また、通常在宅時間帯用の各種作動パターンではいずれも、空調機器14の作動が停止され、また給湯器15の給湯処理が行われないようになっている。
【0042】
ホームサーバ20は、住宅11に住人が不在である場合に、その不在が長期不在であるか否かを判定する長期不在判定処理を行う。長期不在とは、住人が旅行や出張等で長期に亘り不在になることをいう。本実施形態では、住宅11に住人が不在であると判定されてから、その不在が翌日まで続いた場合に長期不在であると判定することとしている。つまり、不在状態が日をまたいで続いた場合に長期不在であると判定することとしている。
【0043】
ホームサーバ20は、長期不在判定処理により長期不在であると判定した場合に、長期不在用の作動パターンにしたがって各機器13~16を作動させる。具体的には、ホームサーバ20は、長期不在判定処理により長期不在の判定を行った場合、その判定時が通常不在時間帯か通常在宅時間帯かにかかわらず長期不在用の作動パターンにしたがって各機器13~16を作動させる。
【0044】
作動パターン記憶部22には、長期不在用の作動パターンを記憶する第3データベース22cが構築されている。第3データベース22cには、長期不在用の作動パターンとして、上述した通常不在時間帯用及び通常在宅時間帯用の各作動パターンと同様、平日用及び休日用の各作動パターンが記憶されている。また、平日用及び休日用の各作動パターンにはそれぞれ、晴天時用の作動パターンと雨天時用の作動パターンとが含まれている。
【0045】
図4には、長期不在用の作動パターンの一例が示されている。図4の例では、平日・晴天時用の作動パターンが示されている。図4に示す作動パターンでは、空調機器14が常時作動状態とされている。また、給湯器15が19:00より浴槽への給湯処理(湯張り処理)を行うようになっている。
【0046】
ホームサーバ20は、インターネット28等の通信網を介して気象センタ29と接続されている。気象センタ29は、天候情報(気象情報)を提供する外部施設であり、例えば気象庁がこれに該当する。ホームサーバ20は、インターネット28を介して気象センタ29にアクセスし、同センタ29より天候情報を取得する。
【0047】
ホームサーバ20は、住宅11に住人が在宅している場合には、各機器13~16の作動履歴を記憶する記憶処理を行う(記憶手段に相当)。ホームサーバ20は、住宅11に住人が在宅している場合には、各機器13~16による機器在宅演出処理を停止させる。そのため、住人の在宅時においては、各機器13~16が住人によるスイッチ操作に基づき作動される。そこで、ホームサーバ20は、住人の在宅時においては、そのスイッチ操作に基づき作動される機器13~16の作動履歴を記憶するようにしている。
【0048】
ホームサーバ20は、各機器13~16の作動履歴を記憶する作動履歴記憶部23を有している。機器13~16の作動履歴とは、機器13~16がいつどのように作動したのか又はその作動を停止したのか、についての履歴である。ホームサーバ20には、各機器13~16がスイッチ操作される度に、それら各機器13~16より操作情報が入力される。例えば、照明機器13からは、操作情報として、スイッチON又はスイッチOFFの情報が入力され、シャッタ装置16からは、操作情報として、シャッタ開又はシャッタ閉の操作情報が入力される。
【0049】
ホームサーバ20は、機器13~16より操作情報が入力されると、その操作情報に基づき機器13~16の作動状態を把握する。例えば、照明機器13からスイッチONの操作情報が入力された場合には、照明機器13が点灯したことを把握し、シャッタ装置16からシャッタ閉の操作情報が入力された場合には、シャッタ装置16が閉状態とされたことを把握する。
【0050】
ホームサーバ20は、把握した機器13~16の作動状態を現在の日時とともに作動履歴記憶部23に逐次記憶する。これにより、作動履歴記憶部23には機器13~16の作動履歴が記憶される。また、ホームサーバ20は、機器13~16の作動履歴を記憶する際、その作動履歴が平日又は休日のいずれの履歴であるかについても記憶する。また、ホームサーバ20は、機器13~16の作動履歴を記憶する際、さらに、その作動履歴がどのような天候時における履歴であるかについても記憶する。この場合、ホームサーバ20は、気象センタ29から天候情報を取得することで、どのような天候であるかを把握する。
【0051】
ホームサーバ20は、インターネット28を介して管理サーバ30と接続されている。管理サーバ30は、住宅11を管理する管理会社により管理され、例えばクラウドサーバからなる。管理サーバ30は、ホームサーバ20の作動履歴記憶部23に記憶された機器13~16の作動履歴に基づき、機器13~16の作動パターンを作成する。具体的には、管理サーバ30は、作動履歴記憶部23に記憶された通常在宅時間帯における機器13~16の作動履歴に基づき、通常在宅時間帯用の作動パターンを作成する(作動パターン作成手段に相当)。
【0052】
管理サーバ30は、定期的に(例えば3ヶ月に1回)、インターネット28を介してホームサーバ20にアクセスし、作動履歴記憶部23に記憶された通常在宅時間帯における機器13~16の作動履歴を取得する。この場合、管理サーバ30は、例えば直近3ヶ月分の通常在宅時間帯の作動履歴を取得する。そして、管理サーバ30は、その取得した直近3ヶ月分の通常在宅時間帯の作動履歴に基づき、通常在宅時間帯用の作動パターンを作成する。例えば、照明機器13の作動パターンを作成するにあたっては、3ヶ月分の照明機器13の作動履歴から3ヶ月分の照明機器13の点灯時刻を取得し、その取得した3ヶ月分の点灯時刻を平均した時刻で照明機器13を点灯させる作動パターンを作成することが考えられる。
【0053】
通常在宅時間帯用の作動パターンを作成するに際しては、例えば、直近3ヶ月分の通常在宅時間帯の作動履歴のうち、平日の作動履歴を基に平日用の作動パターンを作成し、休日の作動履歴を基に休日用の作動パターンを作成することが考えられる。また、晴天時の作動履歴を基に晴天時用の作動パターンを作成し、雨天時の作動履歴を基に雨天時用の作動パターンを作成することが考えられる。
【0054】
管理サーバ30は、通常在宅時間帯用の作動パターンを作成すると、その作成した作動パターンをホームサーバ20に送信する。ホームサーバ20は、管理サーバ30から通常在宅時間帯用の作動パターンを受信すると、その受信した通常在宅時間帯用の作動パターンを作動パターン記憶部22の第2データベース22bに記憶する。これにより、第2データベース22bにもともと記憶されていた通常在宅時間帯用の作動パターンに上書きされる形で、上記受信した通常在宅時間帯用の作動パターンが記憶される。つまり、この場合、第2データベース22bに記憶されている通常在宅時間帯用の作動パターンが新たな作動パターンに更新されることになる。このように、ホームサーバ20では、通常在宅時間帯用の作動パターンが3ヶ月ごとに更新されるようになっており、換言すると季節ごとに更新されるようになっている。
【0055】
次に、ホームサーバ20により実行される制御処理の流れについて図5に示すフローチャートに基づき説明する。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0056】
図5に示すように、まずステップS11では、住宅11内に住人が在宅しているか又は不在であるかを判定する(在不在判定手段に相当)。住宅11内に住人が在宅している場合にはステップS14に進む。ステップS14では、後述するステップS13の在宅演出処理(図6参照)において実行される各種在宅演出処理(ステップS28,S30,S31)を停止させる。すでに各種在宅演出処理が停止している場合には、その停止状態を継続する。
【0057】
ステップS15では、機器13~16の作動履歴を記憶する記憶処理を実行する(記憶処理に相当)。記憶処理については、先に説明を行ったので、ここでは説明を割愛する。ステップS16では、住宅11内で住人が発する音声を音響機器26の録音部26bにより録音する録音処理を実行する。この録音処理では、住人の音声が録音される録音時刻が併せて記録される。これにより、録音部26bに録音された住人の都度の音声がいつの時刻のものなのか把握することが可能となっている。その後、本処理を終了する。
【0058】
先のステップS11において、住宅11内に住人が不在である場合にはステップS12に進み、記憶処理及び録音処理を停止させる。すでにそれら各処理が停止している場合には、その停止状態を継続する。続くステップS13では、在宅演出処理を実行する。在宅演出処理の後、本処理を終了する。
【0059】
続いて、ステップS13の在宅演出処理について図6に示すフローチャートに基づき説明する。
【0060】
図6に示すように、在宅演出処理では、まずステップS21において、住宅11内の不在が長期不在であるか否かを判定する(長期不在判定手段に相当)。住宅11内の不在が長期不在でない場合にはステップS22に進み、後述する機器在宅演出処理(ステップS30)がすでに実行中であるか否かを判定する。機器在宅演出処理がすでに実行中である場合にはステップS26に進み、まだ実行していない場合にはステップS23に進む。
【0061】
ステップS23では、本日が平日であるか休日であるかを判定する。ステップS24では、気象センタ29にアクセスし、同センタ29より本日の天候情報を取得する。ステップS25では、在不在パターン記憶部21より在不在パターンを読み出して取得する。この場合、本日が平日である場合には平日用の在不在パターンを読み出し、本日が休日である場合には休日用の在不在パターンを読み出す。
【0062】
ステップS26では、今現在が通常不在時間帯であるか通常在宅時間帯であるかを判定する(時間帯判定手段に相当)。この判定は、ステップS25で取得した在不在パターンに基づき行う。今現在が通常不在時間帯である場合にはステップS27に進む。
【0063】
ステップS27では、通常不在時間帯用の作動パターンを作動パターン記憶部22の第1データベース22aより読み出して取得する。この場合、当日が平日である場合には平日用の作動パターンを読み出し、休日である場合には休日用の作動パターンを読み出す。また、当日が晴天である場合には晴天時用の作動パターンを読み出し、雨天である場合には雨天時用の作動パターンを読み出す。
【0064】
続くステップS30では、機器在宅演出処理を実行する。この演出処理では、ステップS27で取得した通常不在時間帯用の作動パターンにしたがって各機器13~16を作動させる。この演出処理では、例えば空調機器14の作動が停止された状態とされる。その後、本処理を終了する。
【0065】
先のステップS26において、今現在が通常在宅時間帯であると判定された場合にはステップS28に進み、音声在宅演出処理を実行する。この演出処理では、音響機器26の録音部26bに録音された住人の音声を音声出力部26cより出力させる。具体的には、この場合、現在の時刻と同じ時刻に録音された音声が音声出力部26cより都度出力されるようにする。これにより、通常在宅時間帯において録音された音声が音声出力部26cより出力されることになる。
【0066】
続くステップS29では、通常在宅時間帯用の作動パターンを作動パターン記憶部22の第2データベース22bより読み出して取得する。この場合、当日が平日である場合には平日用の作動パターンを読み出し、休日である場合には休日用の作動パターンを読み出す。また、当日が晴天である場合には晴天時用の作動パターンを読み出し、雨天である場合には雨天時用の作動パターンを読み出す。また、例えば、当日が平日でありかつ晴天である場合には、図3の平日・晴天時用の作動パターンを読み出す。
【0067】
続くステップS30では、機器在宅演出処理を実行する。この演出処理では、ステップS29で取得した通常在宅時間帯用の作動パターンにしたがって各機器13~16を作動させる。これにより、通常在宅時間帯においては、通常不在時間帯とは異なる作動パターンで各機器13~16が作動される。
【0068】
例えば、ステップS29で平日・晴天時用の作動パターン(図3)を取得した場合には、その作動パターンにしたがって各機器13~16を作動させる。この場合、18:00になると、照明機器13が点灯され、シャッタ装置16が開状態から閉状態とされる。また、23:00になると、照明機器13が消灯される。また、空調機器14の作動については常時停止された状態とされる。また、給湯器15による給湯処理について実行されない。その後、本処理を終了する。
【0069】
先のステップS21において、住宅11内の不在が長期不在である場合にはステップS31に進み、音声在宅演出処理を行う。この演出処理では、音響機器26の録音部26bに録音された住人の音声を音声出力部26cより出力させる。具体的には、この演出処理では、夜間以外の時間帯において常時、住人の音声を出力させる。
【0070】
続くステップS32では、長期不在用の作動パターンを作動パターン記憶部22の第3データベース22cより読み出して取得する。この場合、当日が平日である場合には平日用の作動パターンを読み出し、休日である場合には休日用の作動パターンを読み出す。また、当日が晴天である場合には晴天時用の作動パターンを読み出し、雨天である場合には雨天時用の作動パターンを読み出す。また、例えば、当日が平日でありかつ晴天である場合には、図4の平日・晴天時用の作動パターンを読み出す。
【0071】
続くステップS30では、機器在宅演出処理を実行する。この演出処理では、ステップS31で取得した長期不在用の作動パターンにしたがって各機器13~16を作動させる。これにより、住人の長期不在時においては、通常不在時間帯及び通常在宅時間帯とは異なる作動パターンで各機器13~16が作動される。
【0072】
例えば、ステップS32で平日・晴天時用の作動パターン(図4)を取得した場合には、その作動パターンにしたがって各機器13~16を作動させる。この場合、18:00になると、照明機器13が点灯され、シャッタ装置16が開状態から閉状態とされる。また、23:00になると、照明機器13が消灯される。
【0073】
19:00になると、給湯器15による浴槽への給湯処理(湯張り処理)が実施される。また、空調機器14については常時作動状態とされ、つまりは、空調機器14による空調が常時実施される状態とされる。したがって、長期不在時における機器在宅演出処理では、上述した通常不在時間帯及び通常在宅時間帯(換言すると短期不在時)における機器在宅演出処理とは異なり、給湯器15による給湯処理が行われ、かつ空調機器14が常時作動状態とされる。その後、本処理を終了する。
【0074】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0075】
住宅11内に住人が通常在宅している通常在宅時間帯と、住人が通常不在とされている通常不在時間帯とが予め定められている。また、住宅11に住人が不在である場合に各機器13~16を作動させる作動パターンとして、通常不在時間帯用の作動パターンと、通常在宅時間帯用の作動パターンとを用意した。そして、現在が通常不在時間帯である場合には通常不在時間帯用の作動パターンに基づき機器13~16を作動させ、現在が通常在宅時間帯である場合には通常在宅時間帯用の作動パターンに基づき機器13~16を作動させるようにした。
【0076】
このような構成では、通常不在時間帯に住宅11内が不在になった場合と、通常在宅時間帯に住宅11内が不在になった場合とで、異なる作動パターンで各機器13~16を作動させることができる。そのため、通常在宅時間帯において住宅11内が不在になった場合には、住人が実際に在宅していた際の機器13~16の作動態様に近い態様で機器13~16を作動させる等、することができる。これにより、不審者に住宅11内が不在であることを気づかれにくくすることができるため、不審者による住宅11への侵入防止効果を高めることができる。
【0077】
住宅11に住人が在宅している場合に各機器13~16の作動履歴が記憶されるようにした。また、記憶された通常在宅時間帯における各機器13~16の作動履歴に基づき、通常在宅時間帯用の作動パターンが作成されるようにした。この場合、通常在宅時間帯用の作動パターンとして、住人が実際に在宅していた際に作動していた機器13~16の作動パターンと同様の作動パターンを作成することができる。そして、通常在宅時間帯に住宅11が不在になった場合には、その作成した作動パターンに基づき機器13~16を作動させることが可能となる。これにより、通常在宅時間帯における在宅演出を実際に近いものとすることができ、通常在宅時間帯においてリアルな在宅演出を実現することが可能となる。
【0078】
住宅11に住人が在宅している場合に、録音部26bによる録音処理を実行させるようにしたため、住人が会話等で発する音声を録音部26bに録音することができる。また、通常在宅時間帯において住宅11に住人が不在である場合には、通常在宅時間帯において録音部26bに録音された住人の音声を音声出力部26cより出力させるようにした。これにより、通常在宅時間帯においてよりリアルな在宅演出を実現することが可能となる。具体的には、現在の時刻と同じ時刻に録音された音声を音声出力部26cより都度出力させるようにしたため、より一層リアルな在宅演出を実現することが可能となる。
【0079】
住宅11内に住人が不在であると判定された場合に、その不在が出張や旅行等による長期不在であるか否かを判定し、その判定の結果、長期不在であると判定された場合に、給湯器15による給湯処理を行うようにした。給湯器15は住宅11の屋外側に設置され、給湯処理の際、屋外側に熱や湯気を発生する。そのため、住宅11内が長期不在である場合に給湯処理を実行することで、長期不在時において在宅演出効果を高めることができ、その結果不審者による住宅11への侵入防止効果を大いに高めることができる。
【0080】
また、給湯器15による給湯処理は、長期不在時以外は行わないようにしたため、普段の不在時(短期不在時)においては給湯処理が行われることがない。これにより、普段の不在時に無駄に湯が生成され消費されるのを回避することができる。そのため、無駄にエネルギが消費されるのを回避しながら、長期不在時における不審者の侵入防止効果を高めることができる。
【0081】
住宅11内が長期不在であると判定された場合に、空調機器14を常時作動(運転)させるようにした。空調機器14は、その室外機14bが屋外側に設置されている。そのため、住宅11内が長期不在の状態にある場合に、空調機器14を常時作動させるようにすることで、長期不在時において在宅演出効果を高めることができ、その結果、不審者による住宅11への侵入防止効果を大いに高めることができる。
【0082】
また、空調機器14の常時作動(常時運転)は、長期不在時以外は行われないようにしたため、普段の不在時(短期不在時)において、空調機器14の全館空調が常時行われることがない。そのため、普段の不在時に無駄にエネルギが消費されるのを回避することができる。これにより、無駄にエネルギが消費されるのを回避しながら、長期不在時における不審者の侵入防止効果を高めることができる。
【0083】
ところで、住人が在宅時において機器13~16を手動で作動させる際の作動態様は天候によって変わってくることが考えられる。例えば、雨天時には晴天時よりも早く暗くなるため、照明機器13を点灯させる時刻が早まることが考えられる。そこで、上記の実施形態では、通常不在時間帯用の作動パターン、通常在宅時間帯用の作動パターン及び長期不在用の作動パターンともに、天候ごとに複数種類の作動パターンを用意した。そして、住宅11に住人が不在である場合に、その不在時における天候情報を取得するようにし、データベース22a~22cから機器13~16の作動パターンを読み出す際には、取得した天候情報に応じた作動パターンを読み出すようにした。この場合、例えば、取得した天候情報が晴天である場合には、晴天時用の作動パターンがデータベース22a~22cから読み出され、その晴天時用の作動パターンで機器13~16が作動されることになる。かかる構成によれば、不在時における天候に応じて機器13~16が作動されるため、よりリアルな在宅演出を実現することが可能となる。
【0084】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0085】
・上記実施形態では、住人が通常不在時間帯と通常在宅時間帯とをそれぞれ入力することで、在不在パターンが作成されるようになっていたが、これを変更してもよい。例えば、住宅11に住人がいつ在宅しているかいつ不在であるかの履歴である在不在履歴を記憶するようにし、その記憶した在不在履歴に基づき、通常不在時間帯と通常在宅時間帯とを判定(算出)するようにする。この場合、記憶した在不在履歴に基づき、住人が在宅している時間帯及び不在である時間帯を学習(例えばAI学習)することで、通常不在時間帯と通常在宅時間帯とを判定することが考えられる。そして、その判定した通常不在時間帯及び通常在宅時間帯に基づき在不在パターンを作成するようにする。かかる構成とすれば、住人の実際の在不在の状況を基に、在不在パターンを自動で作成することが可能となる。
【0086】
・上記実施形態では、住宅11に住人が在宅している場合に各機器13~16の作動履歴を記憶するようにし、その記憶された機器13~16の作動履歴に基づき通常在宅時間帯用の作動パターンを作成するようにしたが、これを変更してもよい。例えば、住人等がホームサーバ20の操作部による操作により、通常在宅時間帯用の作動パターンを手動で作成するようにしてもよい。住人が通常在宅時間帯においてどのような態様で機器13~16を作動させるか把握している場合には、その作動態様で機器13~16が作動するよう作動パターンを作成するようにすればよい。したがって、この場合にも、住人が通常在宅時間帯において実際に在宅している際の作動態様に近い態様で機器13~16を作動させることが可能となる。そのため、通常在宅時間帯において不審者に住宅11が不在であることを気づかれにくくすることができる。
【0087】
・通常不在時間帯には、住人が通常不在であるため、通常不在時間帯における機器13~16の作動履歴を記憶して、その作動履歴を基に通常不在時間帯の作動パターンを作成することは難しい。そこで、日中、住人が在宅している他の住宅(例えば、片働きの家庭の住宅)において通常不在時間帯における機器の作動履歴を記憶するようにし、その記憶した他の住宅における機器の作動履歴に基づき、住宅11における通常不在時間帯の作動パターンを作成するようにしてもよい。この場合、通常不在時間帯(例えば日中)における住人不在時に、比較的リアルな在宅演出を実施することが可能となる。
【0088】
・上記実施形態では、住人の不在が長期不在である場合には、長期不在用の作動パターンにしたがって機器13~16を作動させるようにしたが、このような長期不在用の機器13~16の作動制御についてはなくしてもよい。その場合、住人の不在が長期に亘る場合、つまり不在状態が翌日に亘る場合には、通常在宅時間帯用の作動パターンにしたがって機器13~16を作動させるようにすればよい。
【0089】
また、上記のような構成とした場合、通常在宅時間帯用の作動パターンを、上記実施形態における長期不在用の作動パターンと同じパターンにしてもよい。つまり、通常在宅時間帯用の作動パターンを、給湯器15による給湯処理を実施したり、空調機器14を常時作動させたりするパターンにしてもよい。そうすれば、上記実施形態の場合と同様、長期不在時において、給湯器15による給湯処理を実施したり、空調機器14を常時作動させたりして、在宅演出効果を高めることが可能となる。
【0090】
・上記実施形態では、通常不在時間帯用の作動パターンにおいて、空調機器14の作動を停止する(空調OFFする)ようにしていたが、これを変更してもよい。例えば、住人の予想帰宅時刻を取得し、その予想帰宅時刻に住宅11内が適温となるように、空調機器14の作動を開始させる(空調ONさせる)ようにしてもよい。
【0091】
・作動履歴記憶部23に記憶された通常在宅時間帯における機器13~16の作動履歴に基づいて、天候及び季節ごとの機器13~16の作動状況を学習(例えばAI学習)し、その学習結果に基づき、通常在宅時間帯用の機器13~16の作動パターンを作成してもよい。この場合、より多様な作動パターンを作成することが可能となり、例えば冬の曇天時における作動パターンと夏の曇天時における作動パターンとを作成するといったことが可能となる。冬の曇天時と夏の曇天時とは明るさが異なるため、住人がシャッタ装置16を閉める時刻や照明機器13を消灯させる時刻が異なることが考えられる。この点、上記の構成では、冬の曇天時には冬の曇天時用の作動パターンに基づき機器13~16を作動させ、夏の曇天時用には夏の曇天時用の作動パターンに基づき機器13~16を作動させることが可能となるため、より一層リアルな在宅演出を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0092】
10…機器制御システム、11…住宅、13…機器としての照明機器、14…機器としての空調機器、15…機器及び給湯機器としての給湯器、16…機器としてのシャッタ装置、20…制御手段としてのホームサーバ、26b…録音部、26c…音声出力部、30…管理サーバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6