(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】可動式収納装置
(51)【国際特許分類】
A47B 51/00 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
A47B51/00 501E
A47B51/00 501B
A47B51/00 501Z
(21)【出願番号】P 2020008127
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和徳
(72)【発明者】
【氏名】岩田 保
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 展之
(72)【発明者】
【氏名】井上 晋一
(72)【発明者】
【氏名】宇梶 完
(72)【発明者】
【氏名】小林 諒平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕造
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 幸恵
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-526574(JP,A)
【文献】実開昭62-116937(JP,U)
【文献】特開平11-223010(JP,A)
【文献】特開平04-049339(JP,A)
【文献】特開2003-102561(JP,A)
【文献】特開2011-072470(JP,A)
【文献】特開2006-288957(JP,A)
【文献】特開2015-036003(JP,A)
【文献】特開2001-353029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部と、前記収納部を、保管位置と、収納/取出し位置との間で昇降させる昇降機構と、を備えることにより、前記収納部が前記保管位置にある際に、前記収納/取出し位置に空きスペースを形成し、
前記収納部が所定の高さ以下に下降しないように制御する下端位置制御部を備え、
前記収納部の下端に、前記所定の高さ以上の突き当たり部を備えることにより、前記下端位置制御部が構成され
る、可動式収納装置。
【請求項2】
収納部と、前記収納部を、保管位置と、収納/取出し位置との間で昇降させる昇降機構と、を備えることにより、前記収納部が前記保管位置にある際に、前記収納/取出し位置に空きスペースを形成し、
前記収納部の下降中又は上昇中に、前記収納部の下部又は上部に障害物がある場合にこれを検知する障害物検知部と、前記障害物検知部によって障害物が検知された場合に、前記収納部の下降又は上昇を停止させる収納部停止部と、を備え、
前記昇降機構が、前記収納部を昇降させるためのモーターを備え、前記障害物検知部が、前記モーターへの電源供給ラインの電流値を測定する電流測定部を有し、
正常時における、前記収納部の下降動作中の下降位置と、前記電流値に基づく値と、の対応関係を示す正常下降時対応情報を有し、当該正常下降時対応情報と前記電流測定部によって測定される電流値に基づく値との比較によって、前記収納部が障害物に接触したことを検知する、可動式収納装置であって、
前記収納部の下降動作中に前記電流測定部によって測定される電流値に基づく値に基づいて、前記正常下降時対応情報の学習を行う
、可動式収納装置。
【請求項3】
収納部と、前記収納部を、保管位置と、収納/取出し位置との間で昇降させる昇降機構と、を備えることにより、前記収納部が前記保管位置にある際に、前記収納/取出し位置に空きスペースを形成し、
前記収納部の下降中又は上昇中に、前記収納部の下部又は上部に障害物がある場合にこれを検知する障害物検知部と、前記障害物検知部によって障害物が検知された場合に、前記収納部の下降又は上昇を停止させる収納部停止部と、を備え、
前記昇降機構が、前記収納部を昇降させるためのモーターを備え、前記障害物検知部が、前記モーターへの電源供給ラインの電流値を測定する電流測定部を有し、
前記収納部の上昇動作中に、前記収納部の上昇位置と前記電流値に基づく値の対応関係を示す上昇時対応情報を取得し、当該上昇時対応情報を用いて、前記収納部の下降中又は上昇中に前記電流測定部によって測定される電流値に基づく値の変動に基づいて前記収納部が障害物に接触したこと検知する
、可動式収納装置。
【請求項4】
収納部と、前記収納部を、保管位置と、収納/取出し位置との間で昇降させる昇降機構と、を備えることにより、前記収納部が前記保管位置にある際に、前記収納/取出し位置に空きスペースを形成し、
前記収納部の上部に突出した収納物を検知する突出物検知部と、前記突出物検知部によって収納物が上部に突出していると判別された場合に、前記収納部の上昇を制限する収納部上昇制限部と、を備え、
前記突出物検知部が、
前記収納部に備えられた蓋部と、
前記蓋部の開閉状態を検知する蓋開閉センサと、
を備えることにより、前記蓋部の開閉状態に基づいて収納物の突出を検知する
、可動式収納装置。
【請求項5】
収納部と、前記収納部を、保管位置と、収納/取出し位置との間で昇降させる昇降機構と、を備えることにより、前記収納部が前記保管位置にある際に、前記収納/取出し位置に空きスペースを形成し、
前記収納部の正面に形成された正面開閉部を備え、
前記正面開閉部が、前記収納部の下端側を開閉軸として開き、前記収納/取出し位置において前記正面開閉部を開いた際に、前記正面開閉部の先端側が床に当接又は近接してスロープを形成する
、可動式収納装置。
【請求項6】
収納部と、前記収納部を、保管位置と、収納/取出し位置との間で昇降させる昇降機構と、を備えることにより、前記収納部が前記保管位置にある際に、前記収納/取出し位置に空きスペースを形成し、
前記収納部が着脱可能に構成されており、
前記収納部がキャスターを備える
、可動式収納装置。
【請求項7】
前記収納部が、走行車輪と、牽引用接続具と、を備える、請求項
6に記載の可動式収納装置。
【請求項8】
前記走行車輪若しくは前記牽引用接続具が、前記収納部に対して着脱可能である、請求項
7に記載の可動式収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペースを有効活用することが可能な、可動式収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物を効率的に収納させてスペースを有効活用するために、収納ボックスや収納棚等が利用されている。
収納棚の一例として、ガレージで使用される収納棚に関する技術が、特許文献1や特許文献2で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-141169号公報
【文献】特開2006-112192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2で開示されている収納棚は、ガレージの天井付近のデッドスペースを収納に利用でき、なお且つ、収納棚の下部のスペースも利用(自動車を駐車)できるものである。
しかしながら、収納部が天井付近となるため、収納部へのアクセス性(収納物の出し入れの利便性)が良いとは言えず、使い勝手に課題を有していた。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、天井付近等のデッドスペースを収納に利用できるようにすると共に、収納部へのアクセス性にも優れた可動式収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
収納部と、前記収納部を、保管位置と、収納/取出し位置との間で昇降させる昇降機構と、を備えることにより、前記収納部が前記保管位置にある際に、前記収納/取出し位置に空きスペースを形成する、可動式収納装置。
【0007】
(構成2)
前記昇降機構が、立設されたレール部と、前記収納部と接続され、前記レール部上を走行又は摺動して移動する接触移動部材と、前記収納部を牽引する牽引機構と、を有する、構成1に記載の可動式収納装置。
【0008】
(構成3)
前記収納部が前記レール部に対して片持ち状に配置され、前記レール部が、固定端側接触面と自由端側接触面を有し、前記接触移動部材が、前記収納部の、前記レール部に沿った上部側と下部側に設けられ、前記上部側の接触移動部材が、前記固定端側接触面を移動し、前記下部側の接触移動部材が、前記自由端側接触面を移動する、構成2に記載の可動式収納装置。
【0009】
(構成4)
前記収納部が略直方体であり、その四隅に前記レール部が配されている、構成2に記載の可動式収納装置。
【0010】
(構成5)
前記収納部が所定の高さ以下に下降しないように制御する下端位置制御部を備える、構成1から4の何れかに記載の可動式収納装置。
【0011】
(構成6)
前記昇降機構が、立設されたレール部と、前記収納部と接続され、前記レール部上を走行又は摺動して移動する接触移動部材と、前記収納部を牽引する牽引機構と、を有し、前記レール部に対する前記接触移動部材の移動範囲を規制するストッパーを設けることにより、前記下端位置制御部が構成される、構成5に記載の可動式収納装置。
【0012】
(構成7)
前記収納部の下端に、前記所定の高さ以上の突き当たり部を備えることにより、前記下端位置制御部が構成される、構成5又は6に記載の可動式収納装置。
【0013】
(構成8)
前記収納部の下降又は上昇中に、前記収納部の下部又は上部に障害物がある場合にこれを検知する障害物検知部と、前記障害物検知部によって障害物が検知された場合に、前記収納部の下降又は上昇を停止させる収納部停止部と、を備える、構成1から7の何れかに記載の可動式収納装置。
【0014】
(構成9)
前記昇降機構が、前記収納部を昇降させるためのモーターを備え、前記障害物検知部が、前記モーターへの電源供給ラインの電流値を測定する電流測定部を有し、前記電流値に基づく値の変動に基づいて、前記収納部が障害物に接触したことを検知する、構成8に記載の可動式収納装置。
【0015】
(構成10)
正常時における、前記収納部の下降動作中の下降位置と、前記電流値に基づく値と、の対応関係を示す正常下降時対応情報を有し、当該正常下降時対応情報と前記電流測定部によって測定される電流値に基づく値との比較によって、前記収納部が障害物に接触したことを検知する、構成9に記載の可動式収納装置。
【0016】
(構成11)
前記収納部の下降動作中に前記電流測定部によって測定される電流値に基づく値に基づいて、前記正常下降時対応情報の学習を行う、構成10に記載の可動式収納装置。
【0017】
(構成12)
前記収納部の上昇動作中に、前記収納部の上昇位置と前記電流値に基づく値の対応関係を示す上昇時対応情報を取得し、当該上昇時対応情報を用いて、前記収納部の下降中又は上昇中に前記電流測定部によって測定される電流値に基づく値の変動に基づいて前記収納部が障害物に接触したこと検知する、構成9に記載の可動式収納装置。
【0018】
(構成13)
前記障害物検知部を光学式センサによって構成し、非接触で障害物を検知する、構成8に記載の可動式収納装置。
【0019】
(構成14)
前記障害物検知部を、前記収納部の底面に設けた接触式センサによって構成した、構成8に記載の可動式収納装置。
【0020】
(構成15)
前記収納部の上部に突出した収納物を検知する突出物検知部と、前記突出物検知部によって収納物が上部に突出していると判別された場合に、前記収納部の上昇を制限する収納部上昇制限部と、を備える、構成1から14の何れかに記載の可動式収納装置。
【0021】
(構成16)
前記突出物検知部が、前記収納部に備えられた蓋部と、前記蓋部の開閉状態を検知する蓋開閉センサと、を備えることにより、前記蓋部の開閉状態に基づいて収納物の突出を検知する、構成15に記載の可動式収納装置。
【0022】
(構成17)
前記突出物検知部を光学式センサによって構成し、非接触で収納物の突出を検知する、構成15に記載の可動式収納装置。
【0023】
(構成18)
前記収納部の底面に、前記収納部の内部を視認可能とさせる透過部を有する、構成1から17の何れかに記載の可動式収納装置。
【0024】
(構成19)
前記収納部の正面に、正面開閉部を備える、構成1から18の何れかに記載の可動式収納装置。
【0025】
(構成20)
前記正面開閉部が、前記収納部の下端側を開閉軸として開き、前記収納/取出し位置において前記正面開閉部を開いた際に、前記正面開閉部の先端側が床に当接又は近接してスロープを形成する、構成19に記載の可動式収納装置。
【0026】
(構成21)
前記収納部が着脱可能に構成されている、構成1から20の何れかに記載の可動式収納装置。
【0027】
(構成22)
前記収納部がキャスターを備える、構成21に記載の可動式収納装置。
【0028】
(構成23)
前記収納部が、走行車輪と、牽引用接続具と、を備える、構成21に記載の可動式収納装置。
【0029】
(構成24)
前記走行車輪若しくは前記牽引用接続具が、前記収納部に対して着脱可能である、構成23に記載の可動式収納装置。
【0030】
(構成25)
前記収納部の収納物の重量を検知する重量検知部と、前記重量検知部によって検知される重量に応じた通知を行う通知部と、を備える、構成1から24の何れかに記載の可動式収納装置。
【0031】
(構成26)
前記重量検知部によって検知される重量が所定値以上であった場合に、前記収納部の昇降動作を制限する収納部昇降制限部を備える、構成25に記載の可動式収納装置。
【0032】
(構成27)
前記昇降機構が、前記収納部を昇降させるためのモーターを備え、前記重量検知部が、前記モーターへの電源供給ラインの電流値を測定する電流測定部を有し、前記電流値に基づいて収納物の重量を検知する、構成25又は26に記載の可動式収納装置。
【発明の効果】
【0033】
本発明の可動式収納装置によれば、天井付近等のデッドスペースを収納に利用できると共に、収納部へのアクセス性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】本発明に係る実施形態1の可動式収納装置の概略(収納部が下降した状態)を示す図
【
図1B】実施形態1の可動式収納装置の概略(収納部が上昇した状態)を示す図
【
図2】実施形態1の可動式収納装置の概略(収納部を牽引する牽引機構部分を除く)を示す斜視図
【
図6】実施形態1の可動式収納装置の別の例の概略を示す図
【
図8】実施形態3の可動式収納装置の制御系の構成の概略を示すブロック図
【
図10】実施形態3の可動式収納装置の処理動作の概略を示すフローチャート
【
図11】実施形態3の可動式収納装置の別の例の概略を示す図
【
図12】実施形態3の可動式収納装置の別の例の概略を示す図
【
図13】実施形態3の可動式収納装置の別の例の概略を示す図
【
図14】実施形態4の可動式収納装置の概略を示す図
【
図15】実施形態4の可動式収納装置の制御系の構成の概略を示すブロック図
【
図16】実施形態4の可動式収納装置の処理動作の概略を示すフローチャート
【
図17】実施形態5の可動式収納装置の収納部(牽引部を含む)を示す斜視図
【
図18】実施形態6の可動式収納装置の収納部(牽引部を含む)を示す斜視図
【
図19】実施形態6の可動式収納装置の概略を示す図
【
図20】実施形態7の可動式収納装置の概略を示す図
【
図21】実施形態8の可動式収納装置の処理動作の概略を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0036】
<実施形態1>
図1A、1Bは、本実施形態の可動式収納装置1の概略を示す図であり、
図1Aは収納部が下降して“収納/取出し位置(物の出し入れに人がアクセスしやすい位置)”にある状態を示す図、
図1Bは収納部が上昇して“保管位置”にある状態を示す図である。
図1A、1Bからも理解されるように、本実施形態の可動式収納装置1は、収納部30を昇降させる昇降機構を備えることにより、収納部30を、保管位置と収納/取出し位置との間で昇降させることができるものであり、収納部30が保管位置にある際に、収納/取出し位置に空きスペースを形成する。
可動式収納装置1は、その大まかな構成として、収納部30と、収納部30を牽引する牽引機構20と、レール部11と、を備えている。
【0037】
牽引機構20は、レール部11に沿って昇降する牽引部23と、牽引部23を吊り下げるベルト部22と、動力源であるモーターMを有してベルト部22を巻き上げる巻き上げ部21と、を有する。巻き上げ部21によってベルト部22を巻き上げることによって、牽引部23がレール部11に沿って昇降する。
ここでは、可動式収納装置1がガレージ等の室内に設けられ、巻き上げ部21が、天井部内に設置されるものを例としている。
【0038】
収納部30は、直方体状の収納ボックスであり、牽引部23に対して取り付けられる。当該構成により、牽引部23を昇降させることによって収納部30が昇降する。
図2は、可動式収納装置1(巻き上げ部21やベルト部22を除く)の概略を示す斜視図である。また、
図3A、Bは牽引部23に取り付けられた収納部30を示す図であり、
図3Aは前面側からの斜視図、
図3Bは背面側からの斜視図である。
収納部30は、牽引部23に対して取り付けることができる“収納ボックス”であればよく、任意の収容体を用いることができる。収納部30の牽引部23への取り付けは、溶接や接着などの固定的な取り付けや、ボルトや嵌合等による着脱可能な取り付け等、必要な強度を有するものであれば、任意の取り付け方法を採用することができる。
【0039】
図3A、Bに示されるように、牽引部23の両側面には、レール部11を走行する車輪(接触移動体)が設けられている。当該車輪は左右で対称の構成であり、上部側車輪WTと下部側車輪WBが両側面にそれぞれ設けられている。
収納部30が、車輪を備える牽引部23に対して取り付けられることにより、車輪が収納部30に接続される結果になる。
【0040】
レール部11は、鉛直方向に立設されたレールである。本実施形態では、強度を持たせるための支柱10にレール部11が設けられる。
図4は、支柱10及びこれに設けられるレール部11を示す斜視図である。支柱10はガレージ等の室内の壁面、床、天井(これらの全て若しくは何れか)に対して固定されて設けられ、当該支柱10に対してレール部11が固定的に設けられている。
本実施形態では、レール部11の前面側に前面部12を有することによりC型チャンネル状に形成されている。前面部12は、牽引部23の車輪等を隠す目隠しとして機能する。
【0041】
本実施形態の可動式収納装置1は、壁面に設置されるレール部11(及び支柱10)を2本有し、当該レール部11に沿って昇降する牽引部23の前面側に、収納部30の背面側が取り付けられる構造となる。従って、収納部30がレール部11に対して片持ち状に配置されることになる。
図5は、当該片持ち構造について説明する図であり、可動式収納装置1を側面方向から見た説明図である。牽引部23の前面側(
図5の右側)に、収納部30の背面側(
図5の左側)が取り付けられる構造であることにより、背面側(
図5の左側)を固定端、前面側(
図5の右側)を自由端とする片持ち構造となる。
図5に示されるように、レール部11は、その背面側である固定端側接触面11Aと、その前面側である自由端側接触面11Bを有し、上部側車輪WTが固定端側接触面11Aを走行し、下部側車輪WBが、自由端側接触面11Bを走行するように構成されている。これにより、収納部30を片持ち構造で保持すると共に、収納部30を昇降させる(上下に摺動させる)機構を構成している。
なお、レール部11を走行する車輪は、タイヤ付きの車輪、プーリー、ローラー等であってよい。また、本実施形態では接触移動部材として車輪を例としているが、車輪に代えて、レール上を摺動して移動する部材等としてもよい。
【0042】
以上のごとく、本実施形態の可動式収納装置1によれば、収納部30を、保管位置(天井付近)と収納/取出し位置(人がアクセスしやすい高さ)との間で昇降させることができるため、天井付近等のデッドスペースを収納に利用できると共に、収納部へのアクセス性にも優れる。収納部30が保管位置にある際には、収納/取出し位置に空きスペースを形成するため、当該空きスペースを有効活用することができる。
例えば、可動式収納装置1をガレージに設置することで、車と共に利用することの多い道具(交換タイヤ等の各種の車用品、ゴルフ道具、キャンプ用品など)や、庭で使用して居室内には持ち込みたくないガーデニング用品(スコップ、肥料など)をガレージの天井付近のスペースを利用して収納できるようになる。
【0043】
なお、本実施例では、レール部11(及び支柱10)が2本であるものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。支えるべき荷重(製品の仕様として定められる)に対して十分な強度が得られるのであれば、レール部11(及び支柱10)を1本としてもよいし、強度が得られないのであれば、3本以上としてもよい(レール部(及び支柱)の数をより増加するものであってもよい)。
図6には、レール部(及び支柱)を4本としたものの一例を示した。
図6の可動式収納装置1´では、略直方体の収納部30の四隅にレール部を有する支柱10´が配されている。
また、
図6の可動式収納装置1´は、巻き上げ部21が天井内に配されるのではなく、支柱10´の上部に設けられたボックス内に巻き上げ部21を有する。
これらの構成により、
図6の可動式収納装置1´は、ガレージ等の建物から独立した構造とすることができ、建物への施工を要せずに設置することができる。これに対し、本実施形態の可動式収納装置1では、片持ち構造であることにより、より有効に空きスペースを利用することができる。
【0044】
本実施例では、収納部を昇降させるための動力としてモーターを用いるものを例としているが、本発明をこれに限るものでなく、収納部を昇降させることが可能な任意の動力を用いることができる。また、手動で昇降させるようにするものであっても構わない。巻き上げ時の負荷を低減させるためのカウンターウェイトやねじりコイル等を用いる等してもよい。
巻き上げのためのベルト部22は、牽引部23を巻き上げることができるものであればよく、ベルトの他、チェーン、ワイヤ等を用いることができる。また、昇降の機構として巻き上げ方式に限るものではなく、収納部を昇降させることが可能な任意の機構(例えば底面側から油圧シリンダーで押し上げる等)を用いることができる。
【0045】
<実施形態2>
図7は、実施形態2の可動式収納装置2の概略を示す図である。なお、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同じ符号を使用し、ここでの説明を省略若しくは簡略化する。
本実施形態の可動式収納装置2は、収納部30が所定の高さ以下に下降しないように制御する下端位置制御部を備えている。
本実施形態における下端位置制御部は、収納部30の下降を物理的に制限するものであり、安全確保のためのフェイルセーフ機構である。
【0046】
可動式収納装置2は、下端位置制御部として、レール部11に対する車輪(上部側車輪WT若しくは下部側車輪WB)の走行範囲を規制するストッパー41と、収納部30の下端に設けられた突き当たり部42と、を有している。
【0047】
ストッパー41は、結果的に“レール部11に対する車輪の走行範囲を規制する”ものであればよい。例えば、レール部11に対して車輪の下降を制限する凸部を設け、車輪が凸部にぶつかることで収納部の落下が防止されるものや、支柱10に対して牽引部23又は収納部30の下降を制限する凸部を設け、牽引部23又は収納部30が凸部にぶつかることで収納部の落下が防止されるもの等であってよい。
【0048】
突き当たり部42は、収納部30の底部から突出して設けられ、当該突き当たり部42が床面にあたることで、収納部の落下が防止されるものであり、当該機能を奏する任意の構成とすることができる。
【0049】
下端位置制御部は、収納部の底面が床面から150mm以上の高さで、収納部の降下を停止させるように構成されることが好ましい。
【0050】
本実施形態の可動式収納装置2によれば、例えば、ベルト部22が切断した場合等における収納部30の異常降下時においても、下端位置制御部によって収納部30が所定の高さ以下に下降しないように制御され、安全スペースが確保されるため、安全性が向上される。
【0051】
なお、本実施形態では、下端位置制御部としてストッパー41と突き当たり部42を備えるもの例としているが、何れか一方を備えるものであってもよい。
また、本実施形態では、収納部が所定の高さ以下に下降しないように制御する下端位置制御部を示したが、収納部が所定の高さ以上に上昇しないように制御する上端位置制御部を設けるようにしてもよい。上端位置制御部は、上下が反転するだけで、上記説明した下端位置制御部と同様の概念である。
【0052】
<実施形態3>
図8は、実施形態3の可動式収納装置3の制御に関する構成の概略を示すブロック図である。なお、本実施形態の可動式収納装置3の機構的な構成は実施形態1や2と同様であるため、ここでの説明を省略若しくは簡略化する。
【0053】
本実施形態の可動式収納装置3は、収納部の下降中に収納部の下部に障害物がある場合にこれを検知する障害物検知部と、当該記障害物検知部によって障害物が検知された場合に、収納部の下降を停止させる収納部停止部と、を有する。障害物検知部と収納部停止部は以下で説明する構成によって構成される。
【0054】
可動式収納装置3は、各種の演算処理や制御処理を行う制御部51と、モーターM等への電力を供給する電源部53と、モーターMへの電源供給ラインの電流値を測定する電流測定部52と、収納部30の高さを取得するために、モーターMの回転数若しくはベルト部22の繰り出し量等を計測するエンコーダ54と、昇降動作を指示するユーザインターフェースである操作部55と、を備える。
【0055】
可動式収納装置3は、モーターMの負荷トルク値(電流値に基づく値)の変動に基づいて、収納部30が障害物に接触したこと検知する。
“モーターMの負荷トルク値(電流値に基づく値)”とは、下降時にモーターMにかかっている負荷トルクを、モーターMに流れる電流の大きさにて換算したものである。即ち、モーターMに大きな電流が流れている≒負荷トルク大≒荷重大であり、モーターMに流れる電流が小さい≒負荷トルク少≒荷重少として扱うものである。
“収納部の下降時に収納部が障害物に接触した場合”とは、収納部が障害物に乗った状態が想定され、これにより、荷重が減る→負荷トルク減少→モーターMに流れる電流が減少するため、当該変動を検知することにより、障害物に接触したこと検知するものである。なお、例えばカウンターウェイトを用いているような場合には、収納部が障害物にぶつかることによって荷重が増加する→負荷トルク増大→モーターMに流れる電流が増大することもあり得る。即ち、障害物にぶつかった際の“モーターMの負荷トルク値(電流値に基づく値)”の変動の仕方は、可動式収納装置の構成に対応したものとなるため、可動式収納装置の構成に合わせた検知方法とする必要がある。
【0056】
上記から理解されるように、例えば、下降中に電流値が所定値以上急激に低下したか否か等の、電流値(若しくはこれをトルクに換算した値)の変動を監視することにより、障害物に接触したこと検知することができる。
本実施形態では、“正常時における、収納部30の下降動作中の下降位置と、モーターMの負荷トルク値(電流値に基づく値)と、の対応関係を示す正常下降時対応情報”を装置に備えさせ、当該正常下降時対応情報と電流測定部によって測定される電流値に基づく値との比較によって、前記収納部が障害物に接触したことを検知するようにしている。
“正常時における、収納部30の下降位置と、モーターMの負荷トルク値(電流値に基づく値)と、の対応関係を示す正常下降時対応情報”とは、正常時、即ち、障害物との接触等が無い状態での、収納部30の下降に伴うモーターMの負荷トルク値(電流値に基づく値)の変動状態を示す情報である。
図9は、“正常下降時対応情報”の一例を示すグラフである。
図9のグラフは、収納部30が上限から下限まで下降する際の、モーターMの負荷トルク値の変化を示している。上限付近で負荷トルク値が増大しているのは、下降開始時に生じる起動トルクに起因するものである。また、起動トルク消失後に、下降に伴って比例的に負荷トルク値が減少しているのは、実施形態1で説明した機構を有する可動式収納装置3の昇降機構が、ベルト部22を巻き取るものであるため、巻取りに応じて巻き取り部の直径が変化するためである。
本実施形態では、
図9に示されるように、上限から下限までを複数のセクションに分割し、各セクションごとに、
図9のグラフに基づく閾値を設け、当該情報を“正常下降時対応情報”としており、これが装置に設定されている。
【0057】
図10は、可動式収納装置3における障害物検知の処理動作の概略を示すフローチャートである。なお、下記の説明では処理主体を省略しているが、下記処理は各部(操作部55や電流測定部52等)からの入力信号等に基づいて、制御部51において行われるものである。
【0058】
操作部55に対する下降指示(“下降ボタン”の入力等)があった場合には、モーターMを駆動して、収納部30を下降させる処理を行う(ステップ101:Yes→ステップ102)。
【0059】
収納部30の下降制御中のループ処理で、ステップ103~105の処理が行われる。
【0060】
ステップ103では、電流測定部52から得られるモーターMの電流値から換算される負荷トルク値に基づいて、これが所定値を下回っているか否か、即ち、障害物に当たったか否かを判別する。より具体的には、エンコーダ54から得られる情報に基づいて、収納部30の位置(高さ)を判別し、当該高さに対応する
図9のセクションに設定されている閾値を、負荷トルク値が下回っているか否かによって判別される。なお、本実施形態では収納部の位置(高さ)を判別するための手段としてエンコーダを例としているが、収納部の位置(高さ)を取得可能な任意の手段を利用するものであってよい。
負荷トルク値が閾値を下回っていた場合には、下降制御のループ処理を抜け、ステップ106へと移行して、モーターMの停止処理を行う(ステップ103:Yes→ステップ106)。
【0061】
ステップ104では、操作部55に対する停止指示(“停止ボタン”の入力等)の有無を判別し、これがあった場合には、下降制御のループ処理を抜け、ステップ106へと移行して、モーターMの停止処理を行う(ステップ104:Yes→ステップ106)。
【0062】
ステップ105では、収納部30が収納/取出し位置に至ったか否かをエンコーダ54から得られる情報に基づいて判別し、収納/取出し位置に至った場合には、下降制御のループ処理を抜け、ステップ106へと移行して、モーターMの停止処理を行う(ステップ105:Yes→ステップ106)。
【0063】
なお、
図10のフローチャートでは、記載の簡略化の便宜上、停止指示や下端(収納/取出し位置)に至った際の停止処理と、障害物に当たったと判断される場合の停止処理を同じものとしているが、障害物に当たった際の停止処理は、緊急停止処理として、通常の停止処理と異なるものとしてもよい。通常の停止処理では、モーターの回転数を漸減させ、モーター停止後にブレーキをかける(モーター部にあるブレーキシューを接触させる)等の処理とする一方、障害物検知時には、即座にブレーキをかける処理とする等である。
また、緊急停止処理時には、警告を出力(警告音や音声、警告表示の出力等)するようにしてもよい。
本実施形態では障害物検知時に、収納部を停止させるものを例としているが、収納部の停止後に収納部を反転上昇させる(若しくは少し上昇させた後に停止させる)ような処理としてもよい。
【0064】
以上のごとく、本実施形態の可動式収納装置3によれば、収納部の下降時の挟み込み防止機能を有するため、安全性を向上することができる。
【0065】
なお、収納部は、物の出し入れに伴って重量が変化し、これにより負荷トルクの値も増減することになる。これに対応させるため、“正常下降時対応情報”を、収納部の下降動作毎に、下降中に電流測定部によって測定される電流値に基づく値の変動に基づいて学習させるようにするとよい。
例えば、障害物を検知した下降時のデータは除外した過去5回の下降動作時の平均負荷トルクを更新学習し、それに対して所定量割合(例えば30%)設定以上に負荷トルクが変動したら、停止処理や警告出力を行うもの等であってよい。
【0066】
また、各重量に応じた“正常下降時対応情報”をそれぞれ予め装置に設定しておくと共に、収納部の下端位置(収納/取出し位置)における重量を計測させる重量検知部を設けることで、重量検知部によって測定された重量に応じた“正常下降時対応情報”を使用して、
図10の処理を行うようにするものであってもよい。“収納部の下端位置における重量を計測させる重量検知部”は、収納部の下端位置において収納部の重量を受けるように重量計を設置する等すればよい。物の出し入れは基本的に下端位置(収納/取出し位置)において行われるため、この際の重量を計測し、これに基づいて次回の下降時における障害物検知に使用する“正常下降時対応情報”を選択するものである。これにより、収納部の重量に応じた“正常下降時対応情報”が選択され、処理の精度を向上することができる。
【0067】
また、収納部の上昇時における、“収納部の上昇位置と電流値に基づく値の対応関係を示す上昇時対応情報”を取得し、当該上昇時対応情報を用いて、収納部の電流測定部によって測定される電流値に基づく値の変動に基づいて前記収納部が障害物に接触したこと検知するようにしてもよい。
“収納部の上昇位置と電流値に基づく値の対応関係を示す上昇時対応情報”は、“正常下降時対応情報”と同様の傾向を有するものとなる。即ち、その傾向としては
図9と同様のものとなる(ただし、起動トルクの影響は下端側で発生することになる)。よって、当該“上昇時対応情報”に基づいて、収納部の上昇中に電流測定部によって測定される電流値に基づく値の変動に基づいて前記収納部が障害物に接触したことを検知するようにしてもよい。下降と上昇の相違はあるが、処理概念としては
図10と同様である。
【0068】
また、前述のごとく、“上昇時対応情報”は、“正常下降時対応情報”と同様の傾向を有するものであり、従って、“上昇時対応情報”に基づいて、
図10の処理(即ち、下降中の衝突検知)を行うようにすることも可能である。上昇時は下降時に比して負荷トルクが大きくなるため、これに相当する補正係数を“上昇時対応情報”にかける等することで、“正常下降時対応情報”と同様のものとすることができる。
可動式収納装置3の収納部の下降は基本的に“荷物の出し入れをして上昇させた”後に行われるため、直前の上昇時の負荷トルクに基づいて障害物検知をすることで、荷物の出し入れに基づく重量の変動に対してより正確に対応できる。
【0069】
なお、本実施形態では、収納部の下降中に収納部の下部に障害物がある場合にこれを検知する障害物検知部として、モーターの負荷トルクに基づく判断をするものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、障害物検知部を光学式センサによって構成し、非接触で障害物を検知するものや、障害物検知部を収納部の底面に設けた接触式センサによって構成するもの等であってもよい。
また、“モーターの負荷トルクに基づく判断”を行うために、モーターの電流値を測定するものを例としているが、負荷トルクを機械的に測定する測定部を備えさせることによって“負荷トルクに基づく判断”を行うようにしてもよい。
【0070】
図11は、収納部の底面に設けた接触式センサによって障害物検知部を構成したものの例を示す図である。
図11の可動式収納装置は、収納部30の底面に設けられたスイッチ機構63と、当該スイッチ機構63の動作に伴って開閉する反射部を有する開閉反射部62と、開閉反射部62に対して光を照射/受光する発光/受光部61と、を有する。
スイッチ機構63は、収納部30の底面に全面的に設けられたスイッチ板に障害物が触れるとスイッチ板が押し上げられ、これに基づく動作を開閉反射部62に伝えるものである。
開閉反射部62は、発光/受光部61に対向した反射部を有しており、通常時は反射部を覆うカバーを有している。当該カバーは、スイッチ機構63のスイッチ板が押し上げられる動作に基づいて開かれ、これによって反射部が露出する。
即ち、通常時は発光/受光部61では受光は行われず、収納部30の底面に設けられたスイッチ機構63に障害物が当たった際に、発光/受光部61での受光が行われる。発光/受光部61からの信号により、制御部51では、障害物検知を行うことができる。
当該構成による障害物検知が、
図10のステップ103の処理に換えて行われることで、実施形態3で説明した可動式収納装置3と同様の作用効果を得ることができる。
なお、発光/受光部61と反射部の関係や、カバーの開閉の関係等は上記説明と逆となるものであってもよい。即ち、発光/受光部61が収納部30側に設けられて発光/受光部61に開閉カバーが設けられるようなものや、障害物が触れることによってカバーが閉じるもの等であってよい。
【0071】
図12は、収納部の底面に設けた接触式センサによって障害物検知部を構成した別の例を示す図である。
図12の可動式収納装置は、収納部30の底面に設けられたスイッチ機構63´と、当該スイッチ機構63´の動作状態を送信する送信部65と、これを受信する受信部64と、を有する。
スイッチ機構63´は、マイクロSW66を備え、収納部30の底面に設けられたスイッチ板に障害物が触れるとスイッチ板が押し上げられ、これによってマイクロSW66がONになるものである。
即ち、通常時はマイクロSW66はOFFであり、収納部30の底面に設けられたスイッチ機構63´に障害物が当たった際に、マイクロSW66がONになる。当該ON/OFF情報が送信部65、受信部64によって伝達されることにより、制御部51で障害物検知を行うことができる。
当該構成による障害物検知が、
図10のステップ103の処理に換えて行われることで、実施形態3で説明した可動式収納装置3と同様の作用効果を得ることができる。
なお、マイクロSW66のON/OFFの関係は上記説明と逆となるものであってもよい。即ち、障害物が触れることによってマイクロSW66がOFFになるもの等であってよい。
【0072】
図13は、収納部の底面に設けた接触式センサによって障害物検知部を構成した別の例を示す図である。
図13の可動式収納装置は、収納部30の底面に張られたワイヤ67と、当該ワイヤ67によってON/OFFされるマイクロSW66と、当該ON/OFF情報を送信する送信部65と、これを受信する受信部64と、を有する。
ワイヤ67は、収納部30の底面に張られており、これに障害物が接触すると、ワイヤ67が引かれる(張力が大きくなる)構成である。通常時マイクロSW66はOFFであり、ワイヤ67が引かれた際にONとなる。当該ON/OFF情報が送信部65、受信部64によって伝達されることにより、制御部51で障害物検知を行うことができる。
当該構成による障害物検知が、
図10のステップ103の処理に換えて行われることで、実施形態3で説明した可動式収納装置3と同様の作用効果を得ることができる。
なお、マイクロSW66のON/OFFの関係は上記説明と逆となるものであってもよい。即ち、障害物が触れることによってマイクロSW66がOFFになるもの等であってよい。
図13の可動式収納装置は接触式のものであるが、ワイヤ67(及びマイクロSW66)に換えて、光電センサを設置することにより、非接触で障害物を検知することができるようにしてもよい。即ち、収納部30の底面に平行に光線が沿うように発光部と受光部を設け、障害物が光線を遮ることによって障害物の検知をするようにしてもよい。当該受光情報が送信部65、受信部64によって伝達されることにより、制御部51で障害物検知を行うことができる。
当該構成による障害物検知が、
図10のステップ103の処理に換えて行われることで、実施形態3で説明した可動式収納装置3と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
なお、
図11~13で説明した例では、収納部の下で障害物を検知するものを示したが、収納部の上側の障害物を検知するようにしてもよい。上側の障害物を検知するための障害物検知部は、上下が反転するだけで、上記説明した障害物検知部と同様の概念である。
【0074】
<実施形態4>
図14は、実施形態4の可動式収納装置4を説明するための図であり、
図15は可動式収納装置4の制御に関する構成の概略を示すブロック図である。なお、本実施形態の可動式収納装置4の機構部分の基本的な構成は実施形態1等と同様であるため、ここでの説明を省略若しくは簡略化する。
【0075】
本実施形態の可動式収納装置4は、収納部の上部に突出した収納物を検知する突出物検知部と、当該突出物検知部によって収納物が上部に突出していると判別された場合に、収納部の上昇を制限する収納部上昇制限部と、を有する。突出物検知部と収納部上昇制限部は以下で説明する構成によって構成される。
【0076】
可動式収納装置4は、
図14に示されるように、収納部30の上部を開閉する蓋部31と、蓋部31の開閉状態を検知する蓋開閉センサ71と、を有する。蓋部31はヒンジ等によって収納部30と接続されることにより、収納部30の上部を開閉する。蓋開閉センサ71はマイクロSWによって構成され、蓋部31が閉まっていることによってONとなり、蓋部31が閉まっていない場合にはOFFとなる(ON/OFFの関係は逆であってもよい)。
これにより、蓋部31の開閉を検知することができる。
【0077】
また、
図15に示されるように、可動式収納装置4は、蓋開閉センサ71の信号を送信する発信部72と、当該信号を受信する受信部73とを備える(その他の構成の概念は、これまでの実施例で説明したものと同様である)。
蓋開閉センサ71の信号が発信部72、受信部73によって伝達されることにより、制御部51で蓋部31の開閉状態を検知できる。
【0078】
図16は、可動式収納装置4における突出物検知の処理動作の概略を示すフローチャートである。なお、下記の説明では処理主体を省略しているが、下記処理は各部(操作部55や受信部73等)からの入力信号等に基づいて、制御部51において行われるものである。
【0079】
操作部55に対する上昇指示(“上昇ボタン”の入力等)があった場合には、蓋部31が閉まっているか否かを判別する(ステップ161:Yes→ステップ162)。
蓋部31が閉まっていなかったら、蓋部31が閉まっていない旨の警告を出力(警告音や音声、警告表示の出力等)する(ステップ162:No→ステップ167)。
蓋部31が閉まっていたら、モーターMを駆動して、収納部30を上昇させる処理を行う(ステップ162:Yes→ステップ163)。
【0080】
収納部30の上昇制御中のループ処理では、ステップ162~165の処理が行われる。
【0081】
ステップ162の処理は、上記説明の通りであり、蓋が閉まっている場合には上昇制御を続行し、蓋が閉まっていない場合(蓋が開けられたことが検知された場合)には、警告を出力して(ステップ167)、上昇を停止させる(ステップ166)。
【0082】
ステップ164では、操作部55に対する停止指示(“停止ボタン”の入力等)の有無を判別し、これがあった場合には、上昇制御のループ処理を抜け、ステップ166へと移行して、モーターMの停止処理を行う(ステップ164:Yes→ステップ166)。
【0083】
ステップ165では、収納部30が保管位置に至ったか否かをエンコーダ54から得られる情報に基づいて判別し、保管位置に至った場合には、上昇制御のループ処理を抜け、ステップ166へと移行して、モーターMの停止処理を行う(ステップ165:Yes→ステップ166)。
【0084】
以上のごとく、本実施形態の可動式収納装置3によれば、収納部の蓋の開閉状態の検知に基づく、天井Sへの衝突防止機能を有するため、安全性を向上することができる。
収納した物が収納部の上部から突出していると、これが天井にぶつかって収納物、天井、若しくは可動式収納装置を傷つける恐れがあるが、本実施形態によればこれを抑止することができる。収納した物が収納部の上部から突出している場合には、蓋が閉まらないため、蓋の開閉状態の検知によって、収納した物が収納部の上部から突出しているか否かを判別できるものである。
【0085】
本実施形態では、蓋の開閉状態の検知によって、収納した物が収納部の上部から突出しているか否かを検知するものを例としたが、突出物検知部を光学式センサによって構成し、非接触で収納物の突出を検知するものであってもよい。
収納部30の上面に平行に光線が沿うように発光部と受光部を設け、収納物が光線を遮ることによって収納物の突出を検知するようにしてもよい。当該受光情報が発信部72、受信部73によって伝達されることにより、制御部51で収納物の突出を検知することができる。
当該構成による突出物検知を、
図16のステップ162の処理で行うことで、実施形態4で説明した可動式収納装置4と同様の作用効果を得ることができる。
【0086】
<実施形態5>
図17は、実施形態5の可動式収納装置の収納部(牽引部を含む)を示す斜視図である。なお、収納部以外の構成については、上記説明した各実施形態と同様であるため、ここでの説明を省略若しくは簡略化する。
【0087】
本実施形態の可動式収納装置は、収納部30の底面に、収納部の内部を視認可能とさせる透過部を有している。
“収納部の内部を視認可能とさせる透過部”は、本実施形態では、収納部30の底面がパンチングメタル33で形成されることによって構成されている。
【0088】
本実施形態の可動式収納装置によれば、収納部30の底面側から収納部の内部を視認可能となるため、例えば、収納ボックスに人が閉じ込められてしまったような場合に、これを視認できるため、安全性を向上することができる。
また、収納部の内部を収納部30の底面側から視認できるため、収納部30が保管位置(上部)にある状態で、収納物を確認することができ、利便性においても優れている。
【0089】
なお、本実施形態では、収納部30の底面をパンチングメタル33で形成することによって、“収納部の内部を視認可能とさせる透過部”を構成するものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。例えば透明の板(アクリル板等)で収納部30の底面を形成するもの等であってもよい。
【0090】
<実施形態6>
図18は、実施形態6の可動式収納装置6の収納部(牽引部を含む)を示す斜視図であり、
図19は、可動式収納装置6の概略を示す図である。
本実施形態の可動式収納装置6は、収納部30の正面に、収納部30の下端側を開閉軸として開く正面開閉部32を備えている。
図19に示されるように、収納部30が下降した位置(収納/取出し位置)において正面開閉部32を開いた際に、正面開閉部32の先端側が床に当接又は近接してスロープを形成するように構成されている。
【0091】
本実施形態の可動式収納装置6によれば、収納部の正面部が開くため、収納物を簡単に収納することができる。特に、ガレージ等で使用してタイヤを収納する場合、正面開閉部32を開いた際にスロープが形成されるため、スロープ上を転がすようにしてタイヤを収納させることができる。タイヤを持ち上げることなく収納させることが可能であり、力が無い人でも簡単にタイヤの出し入れをすることができる。
【0092】
<実施形態7>
図20は、実施形態7の可動式収納装置7の概略を示す図である。
本実施形態の可動式収納装置7は、収納部30が着脱可能に構成されており、走行車輪35と、トレーラー(荷物運搬カーゴトレーラー)として自動車側と接続するための牽引用接続具34と、を備えている。
走行車輪35と牽引用接続具34を備えていることにより、収納部30は、荷物運搬カーゴトレーラーとして利用できるものである。
【0093】
牽引部23には、水平方向に延びる係合支持部24が形成されており、
図20からも理解されるように、収納部30の下部に入り込んで係合し、収納部30を支持できるように構成されている(収納部30を支持できれば、必ずしも係合させることは必須ではない)。これにより、係合支持部24によって収納部30を支持した状態で、収納部30を昇降させることができる。収納部30を昇降させる機構については、上記説明した各実施形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0094】
収納部30と係合支持部24の係合を解除することで、
図20に示されるように、荷物運搬カーゴトレーラーとしての収納部30は、前後に移動可能である。
即ち、収納部30を降下させた上で、牽引用接続具34を自動車側と接続し、収納部30と係合支持部24との係合を解除することで、そのまま自動車で収納部30を牽引して走行することができる。
【0095】
以上のごとく、本実施形態の可動式収納装置7によれば、収納部をそのまま荷物運搬カーゴトレーラーとして利用でき、利便性が高い。
【0096】
なお、走行車輪35と牽引用接続具34を収納部30に対して着脱可能としてもよい。走行車輪35と牽引用接続具34をオプション品とすることで、荷物運搬カーゴトレーラーとしての利用をするユーザ、しないユーザの何れにも対応する商品とすることができる。
【0097】
なお、荷物運搬カーゴトレーラーとしての利用を想定しない(走行車輪35や牽引用接続具34を設けない)場合においても、収納部30を着脱可能に構成することで、収納物を車に乗せて持ち出す際に、収納部30ごと車に積み込むことができ、利便性に優れる。
この際に、収納部30にキャスターを備えさせるようにしてもよい。
【0098】
<実施形態8>
実施形態8の可動式収納装置は、収納部30の重量を検知する重量検知部と、重量検知部によって検知される重量に応じた通知を行う通知部と、重量検知部によって検知される重量が所定値以上であった場合に、収納部30の昇降動作を制限する収納部昇降制限部と、を備える。
【0099】
図21は、本実施形態の可動式収納装置における重量検知の処理動作の概略を示すフローチャートである。なお、本実施形態の可動式収納装置の基本的な構成は、上記説明した各実施形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
下記の説明では処理主体を省略しているが、下記処理は各部(操作部55や受信部73等)からの入力信号等に基づいて、制御部51において行われるものである。
【0100】
操作部55に対する上昇指示(“上昇ボタン”の入力等)があった場合には、モーターMの電流値から換算される負荷トルク値が、所定値以上であるか否かを判別する(ステップ161:Yes→ステップ212)。
“モーターMの電流値から換算される負荷トルク値”は、実施形態3で説明したものと同じ概念であり、収納部30の重量に対応する値である。即ち、電流測定部52や制御部51等によって、“収納部30の重量を検知する重量検知部”が構成されるものである。
【0101】
装置には予め、装置の最大積載重量としての閾値が設定されており、ステップ212の処理では、当該最大積載重量としての閾値を超えているかを判別するものである。
最大積載重量としての閾値を超えていた場合には、警告を出力(警告音や音声、警告表示の出力等)する(ステップ212:Yes→ステップ167)。これにより、“重量検知部によって検知される重量に応じた通知を行う通知部”が構成される。
ステップ167の後はステップ166へと移行して、収納部30の昇降の停止制御が行われる。これにより“収納部昇降制限部”が構成される。
なお、
図9で説明したように、起動トルクによって負荷トルク値が増大する場合があるため、当該起動トルクが生じする期間(例えば、数百msecの期間)の経過後にステップ212の処理が行われるようにしてもよい。
【0102】
その他の処理については、実施形態4の
図16の処理と同様の概念であるため、
図16と同一の符号を使用し、ここでの説明を省略する。
【0103】
以上のごとく、本実施形態の可動式収納装置によれば、装置の最大積載重量を超えた場合には、警告が出力され、上昇動作が制限されるため、安全性に優れる。
なお、本実施形態では、最大積載重量を超えた場合のみ警告が出力されるものを例としているが、“モーターMの電流値から換算される負荷トルク値”に対応する重量を都度表示させるようにしてもよい。
重量表示は具体的な重量値を表示させるものの他、レベル分けに応じた表示等(例えば、赤、黄、青の3段階表示等)としてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、“モーターMの電流値から換算される負荷トルク値”に基づいて収納部の重量を検知するものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、収納部の重量を計れるものであればよい。例えば、収納部の下端位置において収納部の重量を受けるように重量計を設置する等してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1...可動式収納装置
11...レール部
11A...固定端側接触面
11B...自由端側接触面
20...牽引機構
21...巻き上げ部
22...ベルト部
23...牽引部
30...収納部
31...蓋部
32...正面開閉部
33...パンチングメタル(透過部)
34...牽引用接続具
35...走行車輪
41...ストッパー(下端位置制御部)
42...突き当たり部(下端位置制御部)
51...制御部
52...電流測定部
63...スイッチ機構(接触式センサ)
71...蓋開閉センサ
M...モーター
WT...上部側車輪(接触移動部材)
WB...下部側車輪(接触移動部材)