(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】サブガスケット付膜電極接合体の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0286 20160101AFI20231204BHJP
H01M 8/0273 20160101ALI20231204BHJP
H01M 8/1004 20160101ALI20231204BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20231204BHJP
B26D 5/30 20060101ALI20231204BHJP
B26F 1/00 20060101ALI20231204BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20231204BHJP
B29C 65/44 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
H01M8/0286
H01M8/0273
H01M8/1004
H01M8/10 101
B26D5/30 A
B26F1/00 G
B26F1/40 B
B29C65/44
(21)【出願番号】P 2020012946
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 暢生
(72)【発明者】
【氏名】高木 善則
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広司
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142407(JP,A)
【文献】特開2017-054727(JP,A)
【文献】特開2002-104701(JP,A)
【文献】特開2016-040135(JP,A)
【文献】特開2014-186948(JP,A)
【文献】特開2010-118237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/10
H01M 4/86
H01M 4/88
B29C 65/44
B26F 1/00
B26F 1/40
B26D 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、
電解質膜と前記電解質膜の一方側に位置する第1触媒層とを有する膜電極接合体が設けられた長尺帯状の電極層基材を、長手方向に搬送する第1搬送部と、
順に、バックシート、サブガスケットフィルム、カバーフィルムを有する長尺帯状の基材であって、長手方向の途中に連結部を介して連結された繋ぎ目を有する第1サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって搬送される前記繋ぎ目の位置を検出する繋ぎ目位置検出部と、
前記第2搬送部によって搬送される前記第1サブガスケット基材のうち、前記繋ぎ目位置検出部によって検出された前記繋ぎ目の位置を除く部分に、前記第1触媒層に対応する形状の第1対応領域に沿って、前記カバーフィルムおよび前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第1切断部を設ける第1切断機構と、
前記第1切断部が設けられた前記第1サブガスケット基材から、前記カバーフィルムの前記第1対応領域以外の第1非対応領域を分離させる第1分離部と、
前記カバーフィルムの前記第1非対応領域が分離された前記第1サブガスケット基材における前記カバーフィルムの前記第1対応領域に、前記第1搬送部によって搬送される前記第1触媒層を貼り付ける第1貼付部と、
を備える、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置。
【請求項2】
請求項1のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、
前記第1搬送部によって搬送される前記第1触媒層の位置を検出する第1位置検出部と、
前記第2搬送部によって搬送される前記第1切断部の位置を検出する第2位置検出部と、
をさらに備え、
前記第1貼付部は、前記第1位置検出部によって検出された前記第1触媒層の位置と、前記第2位置検出部によって検出された前記第1切断部との位置を合わせつつ、前記カバーフィルムの前記第1対応領域に前記第1触媒層を貼り付ける、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、
前記繋ぎ目位置検出部は、前記繋ぎ目に付されたマークを撮像するマーク撮像カメラを有し、前記マーク撮像カメラによって取得される画像に基づいて、前記繋ぎ目の位置を検出する、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、
前記カバーフィルムは、前記繋ぎ目において、前記連結部を介して互いに連結された、上流側カバーフィルムおよび下流側カバーフィルムを含み、
前記上流側カバーフィルムおよび前記下流側カバーフィルムは、前記連結部を介して連続している、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、
前記バックシートは、前記繋ぎ目において、前記連結部を介して互いに連結された上流側バックシートおよび下流側バックシートを含み、
前記上流側バックシートおよび下流側バックシートは、前記連結部を介して連続している、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、
前記膜電極接合体は、前記電解質膜を挟んで前記第1触媒層とは反対側に位置する第2触媒層をさらに有し、
前記製造装置は、さらに、
順に、バックシート、サブガスケットフィルム、カバーフィルムを有する長尺帯状の第2サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第3搬送部と、
前記第3搬送部によって搬送される前記第2サブガスケット基材に、第2触媒層に対応する形状の第2対応領域に沿って、前記カバーフィルムおよび前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第2切断部を設ける第2切断機構と、
前記第2切断部が設けられた前記第2サブガスケット基材から、前記カバーフィルムの前記第2対応領域を除く第2非対応領域を分離させる第2分離部と、
前記第2非対応領域が分離された前記第1サブガスケット基材における前記カバーフィルムの前記第2対応領域に、前記第1サブガスケット基材に貼り付けられた前記膜電極接合体の前記第2触媒層を貼り付ける第2貼付部と、
を備える、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置。
【請求項7】
請求項6のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、
前記第1切断機構は、
前記第1サブガスケット基材において、長手方向に第1間隔で前記第1切断部を順次設けるとともに、
第1切断部を設けるべき位置が、前記繋ぎ目位置検出部によって検出された前記繋ぎ目の位置と重なる場合、1つ上流側の前記第1切断部の位置から、第2間隔だけ下流側に離れた位置に次の第1切断部を設け、
前記第2間隔は、前記第1間隔の整数倍であり、
前記第2切断機構は、前記第2サブガスケット基材において、長手方向に前記第1間隔で前記第2切断部を順次設ける、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置。
【請求項8】
請求項7のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、
前記第2サブガスケット基材は、継ぎ目対応領域を有しており、
前記継ぎ目接触領域は、前記第1サブガスケット基材において前記繋ぎ目位置検出部によって検出された前記繋ぎ目の位置に対応する領域であり、
前記第2切断機構は、前記第2サブガスケット基材のうち、繋ぎ目対応領域を除いた残余の領域に前記第2切断部を設ける、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置。
【請求項9】
サブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、
電解質膜と前記電解質膜の一方側に位置する触媒層とを有する膜電極接合体が設けられた長尺帯状の電極層基材を、長手方向に搬送する第1搬送部と、
順に、バックシート、サブガスケットフィルムを有する長尺帯状の基材であって、長手方向の途中に連結部を介して連結された繋ぎ目を有する第1サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって搬送される前記繋ぎ目の位置を検出する繋ぎ目位置検出部と、
前記第2搬送部によって搬送される前記第1サブガスケット基材のうち、前記繋ぎ目位置検出部によって検出された前記繋ぎ目の位置を除く部分に、前記触媒層に対応する形状の第1対応領域に沿って、前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第1切断部を設ける切断機構と、
前記第1サブガスケット基材から、前記バックシートとともに前記サブガスケットフィルムの第1対応領域を分離させるバックシート分離部と、
前記第1対応領域が分離された前記サブガスケットフィルムに、前記第1搬送
部によって搬送される前記膜電極接合体を貼り付ける貼付部と、
を備える、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置。
【請求項10】
サブガスケット付膜電極接合体の製造方法であって、
(a) 電解質膜と前記電解質膜の一方側に位置する触媒層とを有する膜電極接合体が設けられた長尺帯状の電極層基材を、長手方向に搬送する第1搬送工程と、
(b) 順に、バックシート、サブガスケットフィルム、カバーフィルムを有する長尺帯状の基材であって、長手方向の途中に連結部を介して連結された繋ぎ目を有する第1サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第2搬送工程と、
(c) 前記第2搬送工程によって搬送される前記繋ぎ目の位置を検出する繋ぎ目位置検出工程と、
(d) 前記第2搬送工程によって搬送される前記第1サブガスケット基材のうち、前記繋ぎ目位置検出工程によって検出された前記繋ぎ目の位置を除く部分に、前記触媒層に対応する形状の第1対応領域に沿って、前記カバーフィルムおよび前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第1切断部を設ける切断工程と、
(e) 前記第1切断部が設けられた前記第1サブガスケット基材から、前記カバーフィルムの前記第1対応領域以外の部分を分離させるカバーフィルム分離工程と、
(f) 前記カバーフィルムの前記第1対応領域以外の部分が分離された前記第1サブガスケット基材における前記カバーフィルムの前記
第1対応領域に、前記第1搬送工程によって搬送される前記触媒層を貼り付ける貼付工程と、
を含む、サブガスケット付膜電極接合体の製造方法。
【請求項11】
サブガスケット付膜電極接合体の製造方法であって、
(A) 電解質膜と前記電解質膜の一方側に位置する触媒層とを有する膜電極接合体が設けられた長尺帯状の電極層基材を、長手方向に搬送する第1搬送工程と、
(B) 順に、バックシート、サブガスケットフィルムを有する長尺帯状の基材であって、長手方向の途中に連結部を介して連結された繋ぎ目を有する第1サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第2搬送工程と、
(C) 前記第2搬送工程によって搬送される前記繋ぎ目の位置を検出する繋ぎ目位置検出工程と、
(D) 前記第2搬送工程によって搬送される前記第1サブガスケット基材のうち、前記繋ぎ目位置検出工程によって検出された前記繋ぎ目の位置を除く部分に、前記触媒層に対応する形状である対応領域に沿って、前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第1切断部を設ける切断工程と、
(E) 前
記第1サブガスケット基材から、前記バックシートとともに前記サブガスケットフィルムの対応領域を分離させるバックシート分離工程と、
(F) 前記対応領域が分離された前記サブガスケット
フィルムに、前記第1搬送
工程によって搬送される前記膜電極接合体を貼り付ける貼付部と、
を備える、サブガスケット付膜電極接合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車や携帯電話などの駆動電源として、燃料電池が注目されている。燃料電池は、燃料に含まれる水素(H2)と空気中の酸素(O2)との電気化学反応によって電力を作り出す発電システムである。燃料電池は、他の電池と比べて、発電効率が高く環境への負荷が小さいという特長を有する。
【0003】
燃料電池には、使用する電解質によって幾つかの種類が存在する。そのうちの1つが、電解質としてイオン交換膜(電解質膜)を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)である。固体高分子形燃料電池は、常温での動作および小型軽量化が可能であるため、自動車や携帯機器への適用が期待されている。
【0004】
固体高分子形燃料電池は、一般的に、複数のセルが積層された構造を有する。1つのセルは、膜電極接合体(MEA:Membrane-Electrode-Assembly)の両側を一対のセパレータで挟み込むことにより構成される。膜電極接合体は、電解質膜と、電解質膜の両面に形成された一対の電極層(触媒層)とを有する。一対の電極層の一方はアノード電極であり、他方がカソード電極となる。アノード電極に水素を含む燃料ガスが接触するとともに、カソード電極に空気が接触すると、電気化学反応によって電力が発生する。
【0005】
上記の膜電極接合体は、外圧によって、損傷しやすい。このため、固体高分子形燃料電池の製造工程では、膜電極接合体に、樹脂製の枠体(サブガスケットフィルム)が適宜取り付けられる。そして、膜電極接合体をハンドリングする際には、膜電極接合体自体ではなく、サブガスケットフィルムで把持等が行われる場合がある。
【0006】
例えば、特許文献1には、膜電極接合体にサブガスケットフィルムを付加するガスケット付加装置が記載されている。ガスケット付加装置では、長尺帯状のサブガスケットフィルムに所定のピッチで切断部を設けることによって非使用領域が切り抜かれる一方、長尺帯状の第1バックシート上の膜電極接合体が電極層の形状に合わせて切断される。そして、膜電極接合体の位置がサブガスケットにおける切断部分(非使用領域)の位置に合わせられつつ、膜電極接合体とサブガスケットとが接触される。これにより、長尺帯状のサブガスケットに、膜電極接合体が貼り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サブガスケットフィルムが短尺である場合、ガスケット付加装置に対してサブガスケットフィルムを頻繁に取り付ける作業が必要となり、生産効率が低下し得る。生産効率の低下を抑制するため、短尺のサブガスケットフィルムの端部同士を連結することによって、長尺化することが考えられる。しかしながら、サブガスケットフィルムに所定のピッチで一律に切断部を設けた場合、サブガスケットフィルムの繋ぎ目にも切断部が設けられるとともに、繋ぎ目の切断部にも膜電極接合体が貼り付けられるおそれがある。繋ぎ目に取り付けられた膜電極接合体は、一般的に、製品として採用することが困難であり、利用価値が低い。このため、電解質膜および触媒を無駄に消費する可能性があった。
【0009】
本発明の目的は、サブガスケット付膜電極接合体の生産効率を高めつつ、電解質膜および触媒層のロスを減らす技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、第1態様は、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、電解質膜と前記電解質膜の一方側に位置する第1触媒層とを有する膜電極接合体が設けられた長尺帯状の電極層基材を、長手方向に搬送する第1搬送部と、順に、バックシート、サブガスケットフィルム、カバーフィルムを有する長尺帯状の基材であって、長手方向の途中に連結部を介して連結された繋ぎ目を有する第1サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部によって搬送される前記繋ぎ目の位置を検出する繋ぎ目位置検出部と、前記第2搬送部によって搬送される前記第1サブガスケット基材のうち、前記繋ぎ目位置検出部によって検出された前記繋ぎ目の位置を除く部分に、前記第1触媒層に対応する形状の第1対応領域に沿って、前記カバーフィルムおよび前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第1切断部を設ける第1切断機構と、前記第1切断部が設けられた前記第1サブガスケット基材から、前記カバーフィルムの前記第1対応領域以外の第1非対応領域を分離させる第1分離部と、前記カバーフィルムの前記第1非対応領域が分離された前記第1サブガスケット基材における前記カバーフィルムの前記第1対応領域に、前記第1搬送部によって搬送される前記第1触媒層を貼り付ける第1貼付部とを備える。
【0011】
第2態様は、第1態様のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、前記第1搬送部によって搬送される前記第1触媒層の位置を検出する第1位置検出部と、前記第2搬送部によって搬送される前記第1切断部の位置を検出する第2位置検出部と、をさらに備え、前記第1貼付部は、前記第1位置検出部によって検出された前記第1触媒層の位置と、前記第2位置検出部によって検出された前記第1切断部との位置を合わせつつ、前記カバーフィルムの前記第1対応領域に前記第1触媒層を貼り付ける。
【0012】
第3態様は、第1態様または第2態様のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、前記繋ぎ目位置検出部は、前記繋ぎ目に付されたマークを撮像するマーク撮像カメラを有し、前記マーク撮像カメラによって取得される画像に基づいて、前記繋ぎ目の位置を検出する。
【0013】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つのサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、前記カバーフィルムは、前記繋ぎ目において、前記連結部を介して互いに連結された、上流側カバーフィルムおよび下流側カバーフィルムを含み、前記上流側カバーフィルムおよび前記下流側カバーフィルムは、前記連結部を介して連続している。
【0014】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1つのサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、前記バックシートは、前記繋ぎ目において、前記連結部を介して互いに連結された上流側バックシートおよび下流側バックシートを含み、前記上流側バックシートおよび下流側バックシートは、前記連結部を介して連続している。
【0015】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つのサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、前記膜電極接合体は、前記電解質膜を挟んで前記第1触媒層とは反対側に位置する第2触媒層をさらに有し、前記製造装置は、さらに、順に、バックシート、サブガスケットフィルム、カバーフィルムを有する長尺帯状の第2サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第3搬送部と、前記第3搬送部によって搬送される前記第2サブガスケット基材に、第2触媒層に対応する形状の第2対応領域に沿って、前記カバーフィルムおよび前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第2切断部を設ける第2切断機構と、前記第2切断部が設けられた前記第2サブガスケット基材から、前記カバーフィルムの前記第2対応領域を除く第2非対応領域を分離させる第2分離部と、前記第2非対応領域が分離された前記第1サブガスケット基材における前記カバーフィルムの前記第2対応領域に、前記第1サブガスケット基材に貼り付けられた前記膜電極接合体の前記第2触媒層を貼り付ける第2貼付部とを備える。
【0016】
第7態様は、第6態様のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、前記第1切断機構は、前記第1サブガスケット基材において、長手方向に第1間隔で前記第1切断部を順次設けるとともに、第1切断部を設けるべき位置が、前記繋ぎ目位置検出部によって検出された前記繋ぎ目の位置と重なる場合、1つ上流側の前記第1切断部の位置から、第2間隔だけ下流側に離れた位置に次の第1切断部を設け、前記第2間隔は、前記第1間隔の整数倍であり、前記第2切断機構は、前記第2サブガスケット基材において、長手方向に前記第1間隔で前記第2切断部を順次設ける。
【0017】
第8態様は、第7態様のサブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、前記第2サブガスケット基材は、継ぎ目対応領域を有しており、前記継ぎ目接触領域は、前記第1サブガスケット基材において前記繋ぎ目位置検出部によって検出された前記繋ぎ目の位置に対応する領域であり、前記第2切断機構は、前記第2サブガスケット基材のうち、繋ぎ目対応領域を除いた残余の領域に前記第2切断部を設ける。
【0018】
第9態様は、サブガスケット付膜電極接合体の製造装置であって、電解質膜と前記電解質膜の一方側に位置する触媒層とを有する膜電極接合体が設けられた長尺帯状の電極層基材を、長手方向に搬送する第1搬送部と、順に、バックシート、サブガスケットフィルムを有する長尺帯状の基材であって、長手方向の途中に連結部を介して連結された繋ぎ目を有する第1サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部によって搬送される前記繋ぎ目の位置を検出する繋ぎ目位置検出部と、前記第2搬送部によって搬送される前記第1サブガスケット基材のうち、前記繋ぎ目位置検出部によって検出された前記繋ぎ目の位置を除く部分に、前記触媒層に対応する形状の第1対応領域に沿って、前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第1切断部を設ける切断機構と、前記第1サブガスケット基材から、前記バックシートとともに前記サブガスケットフィルムの第1対応領域を分離させるバックシート分離部と、前記第1対応領域が分離された前記サブガスケットフィルムに、前記第1搬送部によって搬送される前記膜電極接合体を貼り付ける貼付部とを備える。
【0019】
第10態様は、サブガスケット付膜電極接合体の製造方法であって、(a)電解質膜と前記電解質膜の一方側に位置する触媒層とを有する膜電極接合体が設けられた長尺帯状の電極層基材を、長手方向に搬送する第1搬送工程と、(b)順に、バックシート、サブガスケットフィルム、カバーフィルムを有する長尺帯状の基材であって、長手方向の途中に連結部を介して連結された繋ぎ目を有する第1サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第2搬送工程と、(c)前記第2搬送工程によって搬送される前記繋ぎ目の位置を検出する繋ぎ目位置検出工程と、(d)前記第2搬送工程によって搬送される前記第1サブガスケット基材のうち、前記繋ぎ目位置検出工程によって検出された前記繋ぎ目の位置を除く部分に、前記触媒層に対応する形状の第1対応領域に沿って、前記カバーフィルムおよび前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第1切断部を設ける切断工程と、(e)前記第1切断部が設けられた前記第1サブガスケット基材から、前記カバーフィルムの前記第1対応領域以外の部分を分離させるカバーフィルム分離工程と、(f)前記カバーフィルムの前記第1対応領域以外の部分が分離された前記第1サブガスケット基材における前記カバーフィルムの前記第1対応領域に、前記第1搬送工程によって搬送される前記触媒層を貼り付ける貼付工程とを含む。
【0020】
第11態様は、サブガスケット付膜電極接合体の製造方法であって、(A)電解質膜と前記電解質膜の一方側に位置する触媒層とを有する膜電極接合体が設けられた長尺帯状の電極層基材を、長手方向に搬送する第1搬送工程と、(B)順に、バックシート、サブガスケットフィルムを有する長尺帯状の基材であって、長手方向の途中に連結部を介して連結された繋ぎ目を有する第1サブガスケット基材を、長手方向に搬送する第2搬送工程と、(C)前記第2搬送工程によって搬送される前記繋ぎ目の位置を検出する繋ぎ目位置検出工程と、(D)前記第2搬送工程によって搬送される前記第1サブガスケット基材のうち、前記繋ぎ目位置検出工程によって検出された前記繋ぎ目の位置を除く部分に、前記触媒層に対応する形状である対応領域に沿って、前記サブガスケットフィルムを貫通し、前記バックシートを貫通しない第1切断部を設ける切断工程と、(E)前記第1サブガスケット基材から、前記バックシートとともに前記サブガスケットフィルムの対応領域を分離させるバックシート分離工程と、(F)前記対応領域が分離された前記サブガスケットフィルムに、前記第1搬送工程によって搬送される前記膜電極接合体を貼り付ける貼付部とを備える。
【発明の効果】
【0021】
第1態様によると、繋ぎ目を設けることによって第1サブガスケット基材を長尺化できる。これにより、第1サブガスケット基材の取り付け作業を減らすことができるため、生産効率を向上することができる。また、第1サブガスケット基材の繋ぎ目に第1切断部を設けないことにより、繋ぎ目に膜電極接合体が貼り付けられない。このため、電解質膜および触媒層のロスを減らすことができる。
【0022】
第2態様によると、カバーフィルムの対応領域に第1触媒層が位置ずれして貼り付けられることを抑制できる。
【0023】
第3態様によると、マークに基づいて、繋ぎ目の位置を良好に検出できる。
【0024】
第4態様によると、繋ぎ目で、上流側および下流側のカバーフィルムが連結部を介して連続している。このため、カバーフィルムの第1非対応領域を第1サブガスケット基材から分離する際、繋ぎ目において、上流側および下流側カバーフィルムを途切れることなく連続して分離できる。
【0025】
第5態様によると、バックシートを分離する際、繋ぎ目で、上流側および下流側バックシートを途切れることなく連続して分離できる。
【0026】
第6態様によると、両面に触媒層を有する膜電極接合体の両側に、サブガスケットフィルムを取り付けることができる。
【0027】
第7態様によると、第1サブガスケット基材に、第1対応領域が第1間隔で設けられる。これにより、膜電極接合体が第1サブガスケット基材に第1間隔で貼り付けられるため、第2触媒層が第1間隔で設けられる。また、第1サブガスケット基材の繋ぎ目では、第1間隔の整数倍の第2間隔で第1対応領域が設けられる。このため、繋ぎ目の前後で、第2触媒層のピッチのずれが生じることが抑制される。一方、第2サブガスケット基材には、第1間隔で第2対応領域が設けられる。すなわち、第2触媒層と第2対応領域とが、同じ第1間隔で配置されるため、第2触媒層に第2対応領域を貼り付ける際に、第2触媒層に対して第2対応領域を位置合わせする処理が軽減される。これにより、サブガスケット付膜電極接合体の生産効率が向上する。また、位置合わせの処理が軽減されることにより、第1または第2サブガスケット基材の一方に、位置合わせによる弛みの発生が抑制される。
【0028】
第8態様によると、繋ぎ目を設けることによって第1サブガスケット基材を長尺化できる。これにより、第1サブガスケット基材の取り付け作業を減らすことができるため、生産効率を向上することができる。また、第1サブガスケット基材の繋ぎ目に第1切断部が設けないことにより、繋ぎ目に膜電極接合体が貼り付けられない。このため、電解質膜および触媒層のロスを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態に係るガスケット付加装置の第1基材準備部を模式的に示す側面図である。
【
図2】第1実施形態に係るガスケット付加装置の第2基材準備部および第2貼付機構を模式的に示す側面図である。
【
図3】第1供給ローラから送り出される電極層基材を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
【
図4】切断部が設けられた電極層基材を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
【
図5】膜電極接合体層の非採用領域が分離される電極層基材8を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
【
図6】第1サブガスケット基材を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
【
図7】第1実施形態に係る第2ハーフカッ部を模式的に示す図である。
【
図8】第1切断部が設けられた第1サブガスケット基材を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
【
図9】第1カバーフィルムの非対応領域が分離された第1サブガスケット基材を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
【
図10】第1貼付機構によって貼り合わせられる電極層基材8および第1サブガスケット基材を模式的に示す縦断面図である。
【
図11】第1基材を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
【
図12】制御部と、ガスケット付加装置内の各部との電気的接続を示すブロック図である。
【
図13】第1ハーフカット部の+X側面を模式的に示す図である。
【
図14】第1ハーフカット部の+X側面を模式的に示す図である。
【
図15】第1ハーフカット部の-Y側面を模式的に示す図である。
【
図16】第1ハーフカット部のX方向駆動部を模式的に示す図である。
【
図18】吸着ステージの吸着面に吸着されている電極層基材を示す平面図である。
【
図19】第1貼付機構を模式的に示す側面図である。
【
図20】第1貼付機構を模式的に示す側面図である。
【
図21】電極層基材上の膜電極接合体を模式的に示す平面図である。
【
図22】第1貼付機構における貼り合わせ処理の流れを示す図である。
【
図23】第2基材準備部において処理される第2サブガスケット基材を模式的に示す縦断面図である。
【
図24】第2貼付機構を模式的に示す側面図である。
【
図25】第2貼付機構によって貼り合わされる第1基材および第2基材を模式的に示す縦断面図である。
【
図26】基材接合体を模式的に示す縦断面図である。
【
図27】基材接合体から取り出されるサブガスケット付膜電極接合体を模式的に示す縦断面図である。
【
図28】第2実施形態に係るサブガスケット付加装置を模式的に示す側面図である。
【
図29】第3実施形態に係るサブガスケット付加装置の概略斜視図である。
【
図30】第3実施形態に係る第1基材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0031】
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るサブガスケット付加装置100の第1基材準備部1を示す図である。
図2は、第1実施形態に係るサブガスケット付加装置100の第2基材準備部2および第2貼付機構3を示す図である。サブガスケット付加装置100は、基材接合体B3を製造する装置である。後述するように、基材接合体B3は、膜電極接合体85および第1サブガスケットフィルム92aを含む第1基材B1と、第2サブガスケットフィルム92bを含む第2基材B2とを接合した構造を有する。すなわち、基材接合体B3は、膜電極接合体85の両面に第1,第2サブガスケットフィルム92a,92bが取り付けられたサブガスケット付膜電極接合体87(
図26参照)を含む。サブガスケット付加装置100は、サブガスケット付膜電極接合体87を製造する製造装置の一例である。
【0032】
図1および
図2に示すように、サブガスケット付加装置100は、第1基材準備部1と、第2基材準備部2と、第2貼付機構3と、制御部4と、基材接合体回収ローラ5とを含む。第1基材準備部1は、第1基材B1を準備し、第2基材準備部2は、第2基材B2を準備する。第2貼付機構3は、第1基材B1に第2基材B2を接合させる。
【0033】
<第1基材準備部1>
第1基材準備部1は、電極層基材搬送機構11、第1サブガスケット基材搬送機構12、第1ハーフカット部13、第2ハーフカット部14、第1貼付機構15、バックシート回収ローラ16を備える。
【0034】
<電極層基材搬送機構11>
電極層基材搬送機構11(第1搬送部)は、長尺帯状の電極層基材8(
図3参照)を複数のローラで支持しつつ、第1貼付機構15へ向けて既定の搬送経路8TRに沿って搬送する。電極層基材搬送機構11は、第1供給ローラ111、第1フィードローラ112および第1ダンサーローラ113を備える。また、電極層基材搬送機構11は、搬送経路8TR上の電極層基材8から剥離された部分(後述する電解質膜82の非採用領域A82)を巻き取って回収する電解質膜回収ローラ114を備える。
【0035】
以下では、電極層基材8が電極層基材搬送機構11によって第1貼付機構15へ向けて移動する移動方向を搬送方向DR1とし、当該搬送方向DR1に直交する方向であって、電極層基材8の主面(最も面積が大きい面)と平行な方向を幅方向DR2とする。搬送方向DR1は、電極層基材8の長手方向に一致する。搬送経路8TRにおいて、第1供給ローラ111に近い側を搬送方向DR1の上流側とし、第1貼付機構15に近い側を搬送方向DR1の下流側とする。
【0036】
図3は、第1供給ローラ111から送り出される電極層基材8を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
図3に示すように、電極層基材8は、長尺帯状のバックシート81と、バックシート81の上面に設けられた長尺帯状の電解質膜82とを含む。電解質膜82の上面には、長手方向にほぼ一定の間隔で、矩形状の第1触媒層83が設けられている。また、電解質膜82の下面には、第1触媒層83各々と厚さ方向に重なる位置に、複数の第2触媒層84が設けられる。第2触媒層84は、電解質膜82を挟んで第1触媒層83とは反対側に位置する。また、電極層基材8において、第2触媒層84は、電解質膜82と、バックシート81との間に挟まれている。電極層基材8は、図示を省略する外部装置において、あらかじめ製造され、第1供給ローラ111にロール状に巻かれた状態で準備される。電解質膜82、複数の第1触媒層83および複数の第2触媒層84は、膜電極接合体層80を構成する。バックシート81は、電解質膜82に対して、容易に剥離可能な状態で付着している。
【0037】
電解質膜82には、例えば、フッ素系または炭化水素系の高分子電解質膜が用いられる。電解質膜82の具体例としては、パーフルオロカーボンスルホン酸を含む高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、ゴア(Gore)社製のGoreselect(登録商標))を挙げることができる。電解質膜82の膜厚は、例えば、5μm~30μmである。電解質膜82は、大気中の湿気によって膨潤する一方、湿度が低くなると収縮する。すなわち、電解質膜82は、大気中の湿度に応じて変形しやすい性質を有する。
【0038】
バックシート81は、電解質膜82の変形を抑制するためのフィルムである。バックシート81の材料には、電解質膜82よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が用いられる。バックシート81の材料としては、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)が好適である。バックシート81の膜厚は、例えば、25μm~100μmである。
【0039】
図3に示すように、バックシート81の幅(幅方向DR2の長さ)は、電解質膜82の幅よりも若干大きい。電解質膜82は、バックシート81における幅方向の中央に設けられる。第1触媒層83および第2触媒層84の幅は、電解質膜82の幅よりも小さい。第1,第2触媒層83,84各々は、電解質膜82の上面および下面の幅方向中央に設けられる。
【0040】
第1,第2触媒層83,84の材料には、高分子形燃料電池のアノードまたはカソードにおいて燃料電池反応を起こす材料が用いられる。例えば、白金(Pt)、白金合金、白金化合物等の触媒粒子が、第1,第2触媒層83,84の材料として用いられる。白金合金の例としては、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)等からなる群から選択される少なくとも1種の金属と白金との合金を挙げることができる。一般的には、カソード用の触媒層の材料には白金が用いられ、アノード用の触媒層の材料には白金合金が用いられる。
【0041】
第1フィードローラ112は、
図1に示すように、互いに接するように配置された2つのローラ体を備える。第1フィードローラ112は、当該2つのローラ体の間に電極層基材8を挟持し、当該2つのローラ体が回転することによって、第1供給ローラ111から電極層基材8を引き出す。第1フィードローラ112は、制御部4からの制御信号に応じて、能動回転することが可能に構成される。第1フィードローラ112の回転が停止されると、第1供給ローラ111からの電極層基材8の送り出しが停止され、電極層基材8の第1ハーフカット部13への搬入および第1ハーフカット部13からの搬出が停止される。
【0042】
図4は、切断部8Cが設けられた電極層基材8を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。第1ハーフカット部13は、第1フィードローラ112の下流側に配置される。第1ハーフカット部13は、第1ハーフカット処理を行う。第1ハーフカット処理は、
図4に示すように、第1供給ローラ111から送り出された電極層基材8の膜電極接合体層80を、採用領域A81と非採用領域A82とに切り分ける処理である。第1ハーフカット部13の構成については、後述する。
【0043】
図4に示すように、切断部8Cは、単一の第1触媒層83およびその裏側にある単一の第2触媒層84を取り囲む矩形状に電解質膜82を切断することによって設けられる。切断部8Cは、電解質膜82をその上面から下面へ貫通する切断面によって構成される。また、切断部8Cは、バックシート81を貫通せず、バックシート81の上面から厚さ方向の中間部まで到達する切断面によって構成される。切断部8Cは、バックシート81の下面まで到達しない。
【0044】
第1ダンサーローラ113は、電極層基材8にかかる張力を一定にするため、電極層基材8の張力に応じて上下(電極層基材8の主面に直交する方向)に移動する。第1ダンサーローラ113が上下に移動することによって、電極層基材8にかかる急激な張力の変動が吸収される。
【0045】
電解質膜回収ローラ114は、電極層基材8のうち、膜電極接合体層80の非採用領域A82の部分を巻き取って回収する。非採用領域A82は、長尺帯状の電解質膜82のうち、採用領域A81を除いた部分である。電解質膜82の非採用領域A82は、第1ハーフカット部13よりも下流側の位置にて電極層基材8から剥離され、その後、電解質膜回収ローラ114に巻き取られる。
【0046】
図5は、膜電極接合体層80の非採用領域A82が分離される電極層基材8を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
図5に示すように、電解質膜回収ローラ114が、電極層基材8から電解質膜82の非採用領域A82を回収すると、バックシート81の上面に、膜電極接合体85が残される。すなわち、膜電極接合体85は、電解質膜82の採用領域A81と、電解質膜82における採用領域A81の上面および下面に設けられた単一の第1触媒層83および単一の第2触媒層84とを含む。膜電極接合体85は、電極層基材搬送機構11によって、バックシート81とともに、第1貼付機構15へ向けて搬送される。
【0047】
<第1サブガスケット基材搬送機構12>
図1に示すように、第1サブガスケット基材搬送機構12(第2搬送部)は、長尺帯状の第1サブガスケット基材9a(
図6参照)を、複数のローラで支持しつつ、第1貼付機構15へ向けて既定の搬送経路9Taに沿って搬送する。以下、第1サブガスケット基材搬送機構12によって第1貼付機構15へ向けて移動する第1サブガスケット基材9aの移動方向を、搬送方向DR3とする。搬送経路9Taにおいて、第1供給ローラ111に近い方を搬送方向DR3の上流側とし、第1貼付機構15に近い方を搬送方向DR3の下流側とする。搬送方向DR3は、第1サブガスケット基材9aの長手方向に一致する。搬送方向DR3に直交する方向であって、第1サブガスケット基材9aの主面(最も面積が大きい面)と平行な方向は、幅方向DR2と一致する。
【0048】
第1サブガスケット基材搬送機構12は、第2供給ローラ121および第2ダンサーローラ122を備える。また、第1サブガスケット基材搬送機構12は、搬送経路9Ta上の第1サブガスケット基材9aから剥離される第1カバーフィルム93aの不要部分(非対応領域A92)を巻き取って回収する第1カバーフィルム回収ローラ123を備える。
【0049】
図6は、第1サブガスケット基材9aを模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
図6に示すように、第1サブガスケット基材9aは、長尺帯状の第1バックシート91aと、第1バックシート91aの上面に設けられる長尺帯状の第1サブガスケットフィルム92aと、第1サブガスケットフィルム92aの上面に設けられる長尺帯状の第1カバーフィルム93aとを有する。第1サブガスケット基材9aは、図示を省略する外部装置において、あらかじめ製造され、第2供給ローラ121(
図1)にロール状に巻かれた状態で準備される。
【0050】
第1バックシート91aの素材としては、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)が好適である。第1バックシート91aの膜厚は、例えば、25μm~100μmである。第1サブガスケットフィルム92aの素材としては、電解質膜82よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が好適である。第1サブガスケットフィルム92aの素材としては、具体的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)またはPS(ポリスチレン)が好適である。第1サブガスケットフィルム92aの膜厚は、例えば、25~100μmである。第1カバーフィルム93aの素材は、特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)が好適である。
【0051】
第1サブガスケット基材9aにおいて、第1バックシート91aと第1サブガスケットフィルム92aとの間には、接着剤を含む接着層(不図示)が介在する。また、
図6に示すように、第1サブガスケットフィルム92aにおける第1カバーフィルム93a側の表面には、接着剤を含む接着層921が設けられる。接着層921の接着剤は、感圧性接着剤、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤またはUV硬化型接着剤が好適である。第1カバーフィルム93aは、接着層921によって、第1サブガスケットフィルム92aから容易に剥がすことが可能な程度の力で接着される。
【0052】
図6に示すように、第1サブガスケット基材9aは、1以上の繋ぎ目95を有している。繋ぎ目95は、比較的短い短尺サブガスケット基材90の端部90T同士が互いに繋がれた部分である。複数の短尺サブガスケット基材90の長手方向の長さは、異なっていてもよい。短尺サブガスケット基材90は、第1バックシート91a、第1サブガスケットフィルム92aおよび第1カバーフィルム93aを有している。すなわち、繋ぎ目95は、上流側および下流側の第1バックシート91a,91aの端部同士と、上流側および下流側の第1サブガスケットフィルム92a,92aの端部同士と、上流側および下流側の第1カバーフィルム93a,93aの端部同士とを、それぞれ繋ぐ部分である。繋ぎ目95は、第1連結部951と、第2連結部952とを有する。第1,第2連結部951,952は、例えば、幅方向DR2に延びるシート状の部材であり、片面に接着剤が塗布された接着用テープである。
【0053】
第1連結部951は、上流側および下流側の第1バックシート91a,91aの端部同士を連結している。具体的には、第1連結部951の接着面は、上流側および下流側の第1バックシート91a,91aそれぞれの主面に接着されている。
図6に示すように、上流側および下流側の第1バックシート91a,91aは、第1連結部951を介して連続している。「2つの部材が他の部材を介して連続している」とは、2つの部材が、他の部材を介して、一体に連結された状態をいう。
【0054】
第2連結部952は、上流側および下流側の第1カバーフィルム93a,93aの端部同士を連結する部材である。具体的には、第2連結部952の接着面は、上流側および下流側の第1カバーフィルム93a,93aそれぞれの主面に接着されている。
図6に示すように上流側および下流側の第1カバーフィルム93a,93aは、第2連結部952を介して連続している。
【0055】
なお、第1,第2連結部951,952は、それぞれ1つの部材で構成されているが、複数の部材によって構成されていてもよい。例えば、第2連結部952は、幅方向DR2に分散して設けられた複数枚の接着用テープで構成されていてもよい。また、連結部は、第1,第2連結部951,952のように、接着用テープとすることは必須ではない。例えば、第1連結部951の代わりに、第1バックシート91a,91aの端部同士を重ねた状態で接着させる接着剤層を、連結部としてもよい。
【0056】
繋ぎ目95は、マーク953を有する。マーク953は、周囲の部分から識別可能な色、または形状を有する。マーク953は、例えば、第2連結部952に設けられる。マーク953は、具体的には、第2連結部952の外表面に塗料で付けられた図柄である。なお、マーク953は、第2連結部952とは異なる部位に設けられていてもよい。
【0057】
複数の短尺サブガスケット基材90を繋ぎ目95で連結することにより、第1サブガスケット基材9aを長尺化することができる。これにより、サブガスケット付加装置100において、第1サブガスケット基材9aを取り付ける作業を減らすことができるため、生産効率が向上する。
【0058】
図1に戻って、第2ダンサーローラ122は、第1サブガスケット基材9aにかかる張力を一定にするため、電極層基材8の張力に応じて左右(第1サブガスケット基材9aの主面に直交する方向)に移動する。また、第2ダンサーローラ122が左右に移動することによって、第1サブガスケット基材9aにかかる急激な張力の変動が吸収される。
【0059】
第2ハーフカット部14は、第2供給ローラ121と第2ダンサーローラ122との間に設けられる。
図7は、第1実施形態に係る第2ハーフカット部14を模式的に示す図である。第2ハーフカット部14は、円筒状のロータリーダイカッター141と、円筒状の支持ローラ142と、駆動部143と、撮像部144とを有する。支持ローラ142は、第1サブガスケット基材9aを第1バックシート91a側から支持する。ロータリーダイカッター141は、第1サブガスケット基材9aの第1カバーフィルム93a側に配置される。ロータリーダイカッター141の外周面には、対応領域A91の形状(矩形状)に対応する形状のピナクル刃が設けられている。ロータリーダイカッター141および支持ローラ142は、幅方向DR2に延びる回転軸を有する。
【0060】
駆動部143は、回転駆動部と移動駆動部とを含む。回転駆動部は、ロータリーダイカッター141および支持ローラ142の各回転軸に接続されており、各回転軸を回転させる。移動駆動部は、ロータリーダイカッター141の回転軸に接続されており、ロータリーダイカッター141を、第1サブガスケット基材9aの主面に垂直な方向に移動させる。すなわち、駆動部143は、ロータリーダイカッター141を、支持ローラ142に対して接近および離間する方向に移動させる。駆動部143は、制御部4と電気的に接続されており、制御部4からの制御信号に応じて、ロータリーダイカッター141を駆動させる。
【0061】
撮像部144は、第1サブガスケット基材9aを撮像するカメラである。撮像部144は、第1サブガスケット基材9aのうち、第2供給ローラ121の下流側、かつ、第2ハーフカット部14よりも上流側の部分を撮像する。撮像部144は、具体的には、第1サブガスケット基材9aにおける第1カバーフィルム93a側を撮像する。撮像部144は、繋ぎ目95のマーク953を撮像して得た画像信号を、制御部4に送信する。
【0062】
制御部4は、ロータリーダイカッター141を支持ローラ142に接近させた状態で、ロータリーダイカッター141を回転させる。すると、ピナクル刃の先端が、第1サブガスケット基材9aにおける支持ローラ142に支持されている部分に差し込まれる。これにより、第2ハーフカット部14は、第2ハーフカット処理を行う。第2ハーフカット処理は、第1サブガスケット基材9aに、第1切断部C9aを設ける処理である。
【0063】
図8は、第1切断部C9aが設けられた第1サブガスケット基材9aを模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。第2ハーフカット部14は、第1サブガスケット基材9aに対して第2ハーフカット処理を行うことにより、第1カバーフィルム93aおよび第1サブガスケットフィルム92aを、対応領域A91と非対応領域A92とに切り分ける。
図7に示すように、第1切断部C9aは、矩形状である対応領域A91とそれ以外の非対応領域A92との境界線(
図6に示す切断予定位置P9a)に沿って設けられる。対応領域A91は、第1触媒層83に対応する領域であり、第1触媒層83と相似、かつほぼ同一の大きさとされる。なお、対応領域A91は、第1触媒層83と非相似であってもよい。また、対応領域A91は、第1触媒層83より大きくてもよい。
【0064】
図8に示すように、第1切断部C9aは、ロータリーダイカッター141のピナクル刃が、第1カバーフィルム93aおよび第1サブガスケットフィルム92aを貫通し、第1バックシート91aを貫通しないことによって形成される構造である。第1切断部C9aは、第1カバーフィルム93aおよび第1サブガスケットフィルム92aを厚さ方向に貫通する切断面と、第1バックシート91aの上面から厚さ方向の中間部まで到達する切断面によって構成される。第1切断部C9aは、第1バックシート91aの下面までは到達しない。
【0065】
図7に示すように、制御部4は、繋ぎ目位置検出部401として機能する。繋ぎ目位置検出部401は、第1サブガスケット基材搬送機構12によって搬送される繋ぎ目95の位置を検出する。繋ぎ目位置検出部401は、具体的には、撮像部144によって取得された画像において、マーク953の位置を検出することによって、繋ぎ目95の位置を検出する。
【0066】
図8に示すように、制御部4は、第2ハーフカット部14を制御することにより、第1サブガスケット基材9aに、一定の第1間隔D11で、第1切断部C9aを設ける。第1間隔D11は、好ましくは、電極層基材8において、膜電極接合体85が設けられている間隔と同じである。ただし、制御部4は、第1サブガスケット基材9aのうち、繋ぎ目位置検出部401によって検出された繋ぎ目95の位置には、第1切断部C9aを設けさせない。
【0067】
具体的には、制御部4は、
図6に示すように、原則として、搬送方向DR3に一定の第1間隔D11で、切断予定位置P9aを順次設定する。一方で、制御部4は、繋ぎ目位置検出部401によって繋ぎ目95(詳細には、第2連結部952)の位置を検出した場合、繋ぎ目95の位置に基づいて、禁止領域R11を設定する。禁止領域R11は、第1切断部C9aの形成が禁止される領域である。禁止領域R11は、繋ぎ目95(具体的には、第2連結部952または第1連結部951)と同じ大きさとしてもよいし、
図6に示すように、繋ぎ目95よりも大きい領域としてもよい。制御部4は、禁止領域R11を設定すると、次に設定する切断予定位置P9aが、禁止領域R11と重なるかを判定する。制御部4は、次の切断予定位置P9aが禁止領域R11と重ならないと判定した場合、第2ハーフカット部14に対して、切断予定位置P9aに第2ハーフカット処理を行わせる。一方、制御部4は、次の切断予定位置P9aが禁止領域R11と重なると判定した場合、その重なった切断予定位置P9aをNGとする。制御部4は、NGとした切断予定位置P9aについては、第2ハーフカット処理を行わせない。さらに、制御部4は、NGの切断予定位置P9aから下流側に第1間隔D11だけ離れた位置に、次の切断予定位置P9aを設定するとともに、禁止領域R11と重なるかを判定する。
【0068】
制御部4が上記処理を実行すると、
図8に示すように、第1サブガスケット基材9aに対して、第2切断部C9bが等しい第1間隔D11で設けられるとともに、繋ぎ目95には第1切断部C9aが設けられない。また、繋ぎ目95を間に挟んで隣接する2つの第1切断部C9a,C9aの第2間隔D12は、第1間隔D11の整数倍(
図8の例では、2倍)となる。すなわち、制御部4は、第1切断部C9aを設けるべき位置が、繋ぎ目の位置と重なる場合、1つ上流側の第1切断部C9aから、第1間隔D11の整数倍である第2間隔D12だけ下流側に離れた位置に次の第1切断部C9aを設ける。
【0069】
なお、繋ぎ目位置検出部401が、マーク953の位置に基づいて、繋ぎ目95の位置を検出することは必須ではない。例えば、繋ぎ目位置検出部401は、撮像部144によって取得される画像において、第2連結部952(または第1連結部951)の位置を検出してもよい。具体的には、繋ぎ目位置検出部401は、適当な画像処理などによって、第2連結部952の周縁部の位置を検出し、検出された第2連結部952の位置に基づいて、繋ぎ目95の位置を決定してもよい。また、繋ぎ目位置検出部401は、短尺サブガスケット基材90の端部90Tの位置を、繋ぎ目95の位置として検出してもよい。
【0070】
図1に戻って、第1カバーフィルム回収ローラ123は、第1切断部C9aが設けられた第1サブガスケット基材9aのうち、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92を巻き取って回収する。第1カバーフィルム93aの非対応領域A92は、搬送経路9Taにおける、第2ダンサーローラ122と第1貼付機構15との間の位置にて、第1サブガスケット基材9aから剥離されて、第1カバーフィルム回収ローラ123に回収される。第1カバーフィルム回収ローラ123は、第1分離部の一例である。
【0071】
図9は、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が分離された第1サブガスケット基材9aを模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。
図9に示すように、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が第1サブガスケット基材9aから分離されると、第1サブガスケットフィルム92aの上面に、第1カバーフィルム93aの対応領域A91である矩形状部分が残される。この矩形状部分は、第1バックシート91aおよび第1サブガスケットフィルム92aとともに、第1貼付機構15へ搬送される。
【0072】
第1サブガスケット基材9aの繋ぎ目95おいては、上流側および下流側の第1カバーフィルム93a,93aは、第2連結部952を介して連続している。このため、
図9に示すように、下流側の第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が第1サブガスケット基材9aから剥離されると、第2連結部952に連結された上流側の第1カバーフィルム93aの非対応領域A92も、端部90Tから徐々に剥離される。また、第2ハーフカット部14は、繋ぎ目95に第1切断部C9aを設けない。このため、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が剥離されても、繋ぎ目95には、第1サブガスケットフィルム92aの対応領域A91である矩形状部分は形成されない。
【0073】
図10は、第1貼付機構15によって貼り合わせられる電極層基材8および第1サブガスケット基材9aを模式的に示す縦断面図である。
図10に示すように、第1貼付機構15は、電解質膜82の非採用領域A82が分離された電極層基材8(
図5参照)と、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が分離された第1サブガスケット基材9aとを互いに貼り合わせる。ここでは、電極層基材8における膜電極接合体85の第1触媒層83の上面が、第1サブガスケット基材9aにおける第1カバーフィルム93aの上面と合わさるように、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aが貼り合わせられる。また、電極層基材8における膜電極接合体85のうち、第1触媒層83の周囲にある電解質膜82が、第1サブガスケット基材9aにおける第1カバーフィルム93aの周囲にある第1サブガスケットフィルム92aの表面(接着面)に接着する。
【0074】
本実施形態では、第1サブガスケット基材9aに対して、第1触媒層83に対応する対応領域A91に、第1バックシート91aの厚さ方向の中間部まで第1切断部C9aが設けられ、そして、当該第1サブガスケット基材9aが、電極層基材8に貼り合わされる。すなわち、第1サブガスケット基材9aは、対応領域A91が切り抜かれずに、電極層基材8と貼り合わせられる。このため、貼付け前の第1サブガスケットフィルム92aの剛性を高く維持できるため、第1サブガスケットフィルム92aに皺が発生することを抑制できる。
【0075】
図1に戻って、バックシート回収ローラ16は、第1貼付機構15において、第1サブガスケット基材9aと張り合わされた電極層基材8から剥離されるバックシート81を巻き取って回収する。バックシート81は、第1貼付機構15とバックシート回収ローラ16との間の位置で、電極層基材8から剥離される。これにより、第1基材B1(
図11参照)が形成される。第1基材B1は、一方から他方へ向かって順に、第1バックシート91aと、第1サブガスケットフィルム92aと、一方側の面に第1触媒層83を有し他方側の面に第2触媒層84を有する電解質膜82を含む膜電極接合体85とを備える。また、第1基材B1は、第1サブガスケットフィルム92aと第1触媒層83との間に、第1触媒層83に応じた形状の第1カバーフィルム93a(対応領域A91)をさらに備える。
【0076】
第1貼付機構15によって形成された第1基材B1は、第2貼付機構3へ搬送される。第1貼付機構15から第2貼付機構3へ向かう第1基材B1の移動方向を搬送方向DR4とする。搬送方向DR4は、第1基材B1の長手方向に一致する。搬送方向DR4に直交する方向であって、第1基材B1の主面に平行な方向は、幅方向DR2と一致する。
【0077】
図11は、第1基材B1を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。第1基材B1は、膜電極接合体85の片面に第1サブガスケット基材9aが取り付けられた構造を有する。第1基材B1では、膜電極接合体85における第1触媒層83の周囲だけでなく、第1触媒層83にも、第1サブガスケットフィルム92aの対応領域A91、さらには、第1カバーフィルム93aの対応領域A91が付加される。このため、電解質膜82および第1触媒層83(さらには、第2触媒層84)を含む膜電極接合体85の剛性を高めることができる。このため、膜電極接合体85における皺の発生などの変形を抑制できる。
【0078】
後述するように、第1貼付機構15は、第1サブガスケット基材9aに設けられた第1切断部C9aの位置を検出し、検出された位置に基づいて、第1サブガスケット基材9aに膜電極接合体85を貼り付ける。第2ハーフカット部14は、第1サブガスケット基材9aの繋ぎ目95には第1切断部C9aを設けない。このため、
図11に示すように、第1貼付機構15は、第1サブガスケット基材9aの繋ぎ目95に対して、膜電極接合体85の貼り付けを行わない。仮に、繋ぎ目95に膜電極接合体85が貼り付けられた場合、その膜電極接合体85を製品として採用することは困難であり、無駄になる可能性がある。このため、サブガスケット付加装置100は、繋ぎ目95に膜電極接合体85を貼り付けないことによって、膜電極接合体85のロスを減らすことができる。
【0079】
図12は、制御部4と、サブガスケット付加装置100内の各部との電気的接続を示すブロック図である。制御部4は、CPU等のプロセッサ41、RAM等のメモリ42およびハードディスクドライブなどの記憶部43を有するコンピュータにより構成される。記憶部43には、サブガスケット付加装置100の動作を制御するためのコンピュータプログラムPが、インストールされている。なお、プロセッサ41は、特定用途向け集積回路などの専用回路であってもよい。
【0080】
制御部4は、電極層基材搬送機構11と、第1サブガスケット基材搬送機構12と、第1ハーフカット部13と、第2ハーフカット部14と、第1貼付機構15と、第2サブガスケット基材搬送機構21と、第3ハーフカット部22と、第2貼付機構3と、基材接合体回収ローラ5と電気的に接続される。
【0081】
プロセッサ41がコンピュータプログラムPに従って動作することにより、制御部4は、制御部4に接続された各部の動作を制御する。また、制御部4は、繋ぎ目位置検出部401(
図7)、第1,第2位置検出部411,412(
図19,
図20)、第3,第4位置検出部413,414(
図24)として機能する。
【0082】
<第1ハーフカット部13>
図13~
図16を参照しつつ、第1ハーフカット部13の構成について説明する。なお、
図13~
図16には、説明の便宜上、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。以下の説明では、各矢印の先端が向く方を+(プラス)方向とし、その逆方向を-(マイナス)方向とする。X方向は、搬送方向DR1と平行であり、Y方向は、幅方向DR2と平行であり、Z方向は、電極層基材8の上面に垂直な方向である。本例では、X方向およびY方向は、水平面と平行であり、Z方向は、鉛直方向と平行である。
【0083】
図13および
図14は、第1ハーフカット部13の+X側面を模式的に示す図である。
図15は、第1ハーフカット部13の-Y側面を模式的に示す図である。
図16は、第1ハーフカット部13のX方向駆動部134を模式的に示す図である。
【0084】
第1ハーフカット部13は、搬送方向DR1へ移動する電極層基材8に、矩形状の切断部8C(
図4参照)を設ける第1ハーフカット処理を施す装置である。第1ハーフカット部13は、吸着ステージ130、ロータリーダイカッター131、回転駆動部132、移動駆動部133を備える。
【0085】
吸着ステージ130は、電極層基材8をバックシート81側から吸着して保持する。吸着ステージ130の吸着面(+Z側面)は、X方向を長手方向とし、Y方向を短手方向とする長方形状を有する。
【0086】
ロータリーダイカッター131は、Y方向に延びる回転軸61Aを中心に回転する円筒状の部材である。ロータリーダイカッター131の外周面には、ピナクル刃51が設けられている。ピナクル刃51は、電極層基材8における第1触媒層83の周囲の切断対象線8T(
図17参照)に沿って電極層基材8に切断部8Cを設ける。本例では、切断部8Cは、正方形状であるため、ピナクル刃51は、Y方向(幅方向DR2)に沿って互いに平行に延びる2つの幅方向部分512と、ロータリーダイカッター131の周方向に沿って互いに平行に延びる2つの周方向部分513とで構成される。
【0087】
移動駆動部133は、ロータリーダイカッター131を保持する架橋体53、架橋体53をX方向へ移動させるX方向駆動部134、架橋体53をY方向へ移動させるY方向駆動部135、ロータリーダイカッター131をZ方向へ移動させるZ方向駆動部136を備える。
【0088】
架橋体53は、吸着ステージ130の+Y側および-Y側に配置されたZ方向に延びる2つの柱部532、および、2つの柱部532の+Z側端部同士を連結する梁部533を有する。2つの柱部532の間に、ロータリーダイカッター131が配置される。
【0089】
移動駆動部133は、ロータリーダイカッター131を、少なくとも、離間位置L11(
図13参照)とハーフカット位置L12(
図14参照)とに移動させる。
図13に示すように、離間位置L11に配置されたロータリーダイカッター131は、吸着ステージ130よりも上側の搬送経路8TRを通過する電極層基材8に対して、上方(+Z側)へ離れる。また、
図14に示すように、ロータリーダイカッター131がハーフカット位置L12に配置されると、ロータリーダイカッター131が回転することによって、ピナクル刃51が吸着ステージ130に吸着された電極層基材8の上面に当接する。これにより、切断部8Cを設けることが可能となる。
【0090】
<Z方向駆動部136>
Z方向駆動部136は、ロータリーダイカッター131の+Y側および-Y側それぞれに、Z方向ガイド561、昇降プレート562、スプリング563および偏心カム564を1つずつ備える。また、Z方向駆動部136は、Y方向へ延びる回転軸565、および、回転軸565を回転させるZ方向モータ566を備える。2つの偏心カム564は、回転軸565に取り付けられている。
【0091】
スプリング563は、昇降プレート562と、昇降プレート562よりも-Z側に配置されたY方向ガイド553との間に配置される。スプリング563は、昇降プレート562の-Z側端部に連結されており、昇降プレート562を+Z側へ付勢する。昇降プレート562の+Z側端部は、偏心カム564の外周面(カム面)の-Z側端部に当接する。回転軸565とともに偏心カム564が回転すると、偏心カム564の-Z側端部がZ方向に変位する。これによって、偏心カム564に押圧される昇降プレート562の位置もZ方向に変位する。昇降プレート562は、Z方向に延びるZ方向ガイド561に連結されており、Z方向ガイド561によって鉛直方向と平行に変位する。
【0092】
ロータリーダイカッター131の回転軸61Aの両端部は、ベアリング51Bを介して、昇降プレート562に支持されている。このため、昇降プレート562とともに、ロータリーダイカッター131がZ方向へ移動する。
【0093】
<Y方向駆動部135>
Y方向駆動部135は、サーボモータであるY方向モータ551、Y方向へ延びるボールネジ552、および、Y方向に沿って延びる4つのY方向ガイド553を有する(
図16参照)。架橋体53の-Z側部分は、各Y方向ガイド553に連結されている。また、ボールネジ552は、架橋体53の-Y側面に設けられたナット部材に連結されている(
図13,
図15参照)。Y方向モータ551がボールネジ552を回転させることによって、架橋体53がY方向ガイド553に沿ってY方向へ移動する。これにより、ロータリーダイカッター131がY方向へ移動する。
【0094】
<X方向駆動部134>
X方向駆動部134は、サーボモータであるX方向モータ541、X方向へ延びるボールネジ542、および、X方向と平行に延びる2つのX方向ガイド543を備える。ボールネジ542は、架橋体53の+X側面に連結されており、X方向モータ541がボールネジ542を回転させることによって、架橋体53がX方向ガイド543に沿ってX方向へ移動する。これにより、ロータリーダイカッター131がX方向へ移動する。
【0095】
<回転駆動部132>
回転駆動部132は、回転軸61Aを回転させることによって、ロータリーダイカッター131を回転させる。回転駆動部132は、回転モータ521およびクラッチ522を備える。
【0096】
回転モータ521は、回転軸61Aの-Y側端部に連結されている。回転モータ521が回転軸61Aを回転させることによって、ロータリーダイカッター131が回転軸61Aを中心にして回転する。回転軸61Aの両側部分は、+Y側および-Y側の昇降プレート562に、ベアリング51Bを介して支持される。
【0097】
クラッチ522は、回転軸61Aにおける、回転モータ521とロータリーダイカッター131との間に設けられている。回転軸61Aは、クラッチ522によって、原動軸(クラッチ522よりも回転モータ521側の軸部分)と、従動軸(クラッチ522よりもロータリーダイカッター131側の軸部分)とに分割されている。クラッチ522が原動軸と従動軸を断続することによって、回転モータ521からロータリーダイカッター131への回転駆動力の伝達を断続できる。なお、クラッチ522は、必須ではなく、省略してもよい。
【0098】
架橋体53の-Y側の柱部532には、回転軸61Aが挿通される、Y方向に貫通する貫通孔(不図示)が設けられる当該貫通孔は、Z方向に長い長円状など、回転軸61Aの昇降移動を許容する形状である。
【0099】
図17は、吸着ステージ130の吸着面13Sを示す平面図ある。
図18は、吸着ステージ130の吸着面13Sに吸着されている電極層基材8を示す平面図である。吸着ステージ130における、電極層基材8を吸着する吸着面13S(+Z側面)には、吸着溝501が設けられている。また、吸着溝501の内側に、雰囲気を吸引する複数の吸引孔502が設けられている。
【0100】
吸着溝501は、+X方向に向かって+Y方向へ延びる複数の第1凹部503、および、+X方向に向かって-Y方向へ延びる複数の第2凹部504を含む。複数の第1凹部503および複数の第2凹部504は、複数の交差点505で交差しており、その交差点505において互いに連結されている。また、本実施形態では、この複数の交差点505のうちの一部に、吸引孔502が設けられている。なお、吸引孔502は、複数あることは必須ではなく、1つであってもよい。
【0101】
吸引孔502は、不図示の吸引配管を介して、真空ポンプなどを含む吸引部50P(
図13参照)に接続されている。吸引孔502は、吸引部50Pの作用によって、周囲の雰囲気を吸引する。制御部4は、吸引配管に設けられたバルブ(不図示)を制御することによって、吸引孔502による雰囲気の吸引の開始および停止を制御する。制御部4が、吸引孔502による雰囲気の吸引を開始させると、電極層基材8が吸着ステージ130の吸着面13Sに吸着される。制御部4が吸引孔502による雰囲気の吸引を停止させると、電極層基材8の吸着が解除され、電極層基材8が吸着ステージ130から上方(+Z側)へ離れる。
【0102】
第1ハーフカット部13において電極層基材8に設けられる切断部8Cに対応する切断対象線8Tは、X方向に平行な部分と、Y方向に平行な部分とを含む矩形状である。吸着溝501は、切断対象線8Tにおける、X方向に平行な部分およびY方向に平行な部分と交差する第1凹部503および第2凹部504を含む。
【0103】
第1ハーフカット部13では、第1ハーフカット処理中に、電極層基材8を吸着溝501に沿って吸着ステージ130に吸着するため、電極層基材8がずれることを軽減できる。また、吸着溝501が切断対象線8Tとは交差する方向に延びる、複数の第1凹部503および複数の第2凹部504を含む。このため、電極層基材8における切断対象線8Tの各部分を横断する吸着溝501で、電極層基材8保持できる。したがって、電極層基材8にピナクル刃51が当てられた状態でも、吸着ステージ130が電極層基材8のその当接部分を強固に保持できるため、電極層基材8の切断対象線8Tに精度良く切断部8Cを設けることができる。
【0104】
図15に示すように、第1ハーフカット部13は、撮像部137を備える。撮像部137は、吸着ステージ130の吸着面13Sよりも+Z側に配置される。撮像部137は、イメージセンサを有する1つまたは複数のカメラを備える。撮像部137は、吸着ステージ130に吸着される電極層基材8における第1触媒層83を撮像する。撮像部137は、制御部4と電気的に接続されており、撮像によって得られた画像信号を制御部4へ送信する。
【0105】
図15に示すように、制御部4は、位置特定部410として機能する。位置特定部410は、プロセッサ41が、コンピュータプログラムPを実行することによってソフトウェア的に実現される機能である。なお、位置特定部410は、特定用途向け集積回路などのハードウェア的構成であってもよい。位置特定部410は、撮像部137によって取得された画像において、第1触媒層83の位置(例えば、重心位置)を特定する。さらに、制御部4は、特定された第1触媒層83の位置に基づいて、切断対象線8Tを設定するとともに、その設定された切断対象線8Tに応じて移動駆動部133を動作させることにより、ロータリーダイカッター131を移動させる。
【0106】
位置特定部410は、例えば、
図18に示すように、第1触媒層83の4つの角部831,832、833,834を特定し、それらの位置に基づいて、第1触媒層83の重心位置を特定してもよい。この場合、撮像部137は、複数のカメラで角部831~834をそれぞれ撮影してもよい。また、撮像部137は、1つのカメラで角部831~834を1度に撮影してもよいし、あるいは、その1つのカメラを移動させることによって、複数回に分けて撮像してもよい。
【0107】
また、位置特定部410が、角部831~834の位置から第1触媒層83の位置を特定することは必須ではない。例えば、位置特定部410は、第1触媒層83の四辺の位置を特定し、それらの位置に基づいて、第1触媒層83の位置を特定してもよい。
【0108】
また、位置特定部410は、第2触媒層84の位置を特定してもよい。例えば、バックシート81が透明性を有する場合、撮像部137を電極層基材8のバックシート81側に配置して、撮像部137が第2触媒層84を撮像してもよい。この場合、第2触媒層84の位置に基づいて、制御部4が切断対象線8Tを適切に設定できる。
【0109】
また、位置特定部410は、第1,第2触媒層83,84それぞれの位置を特定し、制御部4が、それらの位置に基づいて、切断対象線8Tを設定してもよい。この場合、制御部4が、例えば、第1触媒層83の重心位置と第2触媒層84の重心位置との間の中間点を基準にして、切断対象線8Tを設定してもよい。
【0110】
電極層基材8に形状不良等の不良を有する第1,第2触媒層83,84が含まれる場合、制御部4は、良、不良を判定する良品判定を行ってもよい。制御部4は、不良と判定した第1,第2触媒層83,84については、第1ハーフカット部13において第1ハーフカット処理を行わずに、スキップするようにしてもよい。この場合、電極層基材8について第1ハーフカット処理が行われる間隔は、等ピッチとは限らなくなる。
【0111】
第1または第2触媒層83,84の良品検査は、例えば、電解質膜82上に第1または第2触媒層83,84が設けられたときに行われてもよい。この場合、その良品検査の結果に基づき、各第1または第2触媒層83,84の良・不良を示す管理データを準備しておくとよい。そして、制御部4が当該管理データを参照することによって、「良品」とされた第1または第2触媒層83,84を含む領域についてのみ、第1ハーフカット部13にて第1ハーフカット処理が実行されてもよい。この場合、電極層基材8に対して不要な切断部8Cが設けられることを抑制できるため、サブガスケット付加装置100において、第1基材B1を効率的に製造できる。また、採用されない第1触媒層83が第1サブガスケット基材9aに貼り付けられることが抑制されるため、第1サブガスケット基材9aが無駄に消費されることを抑制できる。
【0112】
なお、第1または第2触媒層83,84の良品検査は、サブガスケット付加装置100において行われてもよい。この場合、第1供給ローラ111と第1ハーフカット部13との間の位置に、第1または第2触媒層83,84を撮像するカメラを設けてもよい。そして、制御部4が、カメラで得られた画像に対してパターンマッチング等の検査手法を適用することによって、第1または第2触媒層83,84についての良品検査が行われてもよい。
【0113】
<第1ハーフカット処理の流れ>
サブガスケット付加装置100において行われる第1ハーフカット処理を説明する。まず、電極層基材搬送機構11によって、電極層基材8において、良品とされる第1触媒層83を含む採用領域A81が吸着ステージ130上の既定位置に搬送される。すると、制御部4は、電極層基材搬送機構11を制御して、電極層基材8の搬送方向DR1(+X方向)へ向けた移動を停止させる。採用領域A81が、既定位置に到達したか否かの判定は、例えば、搬送経路8TR上の所定位置に配されたフォトセンサで、目的の第1触媒層83の通過を検出することによって行われてもよい。
【0114】
電極層基材8の移動を停止させた後、制御部4は、吸着ステージ130の吸引孔502から雰囲気の吸引を開始する。これによって、電極層基材8が、吸着溝501を介して、吸着面13Sに吸着される。
【0115】
続いて、撮像部137が第1触媒層83を撮像するとともに、位置特定部410が、その撮像によって得られた画像において、第1触媒層83の位置を特定する。そして、制御部4が、特定された第1触媒層83の位置に基づいて、切断対象線8Tを設定する。
【0116】
続いて、制御部4は、ロータリーダイカッター131を、離間位置L11(
図13参照)からハーフカット位置L12(
図14参照)へ移動させる。ハーフカット位置L12は、ロータリーダイカッター131のピナクル刃51が、電極層基材8に切断部8Cを設けるときの、ロータリーダイカッター131の位置である。上述したように、切断対象線8Tは、位置特定部410によって特定された第1触媒層83(または第2触媒層84)の位置に応じて異なる。このため、ロータリーダイカッター131のハーフカット位置L12は、第1触媒層83の位置に応じて変動し得る。
【0117】
また、ロータリーダイカッター131がハーフカット位置L12へ移動する前に、制御部4は、回転駆動部132を制御する。この制御によって、ロータリーダイカッター131のピナクル刃51が初期位置に配されるまで、ロータリーダイカッター131が回転する。
【0118】
例えば、
図14に示すように、ピナクル刃51のうち、切断対象線8Tの最上流部分8T1(
図18参照)に当接する刃部分(ここでは、幅方向部分512)が、ロータリーダイカッター131の最下端に配される状態を、ピナクル刃51の初期位置としてもよい。この場合、ロータリーダイカッター131が-Z側へ下降して、ハーフカット位置L12に配されることによって、ピナクル刃51が電極層基材8の最上流部分8T1に切断部8Cを設けることができる。
【0119】
ロータリーダイカッター131がハーフカット位置L12に配されると、ロータリーダイカッター131の外周面が、吸着ステージ130に吸着された電極層基材8の上面(第1触媒層83または電解質膜82)に接触する。この接触時において、より好ましくは、ロータリーダイカッター131の外周面と吸着ステージ130の吸着面13Sとが、電極層基材8を挟んで押圧する状態となる。この状態で、制御部4は、回転駆動部132および移動駆動部133によって、ロータリーダイカッター131の上流側(-Y側)への移動に同期してロータリーダイカッター131を回転させる。そして、ピナクル刃51が、初期位置から終了位置まで既定の角度分だけ回転することによって、切断対象線8Tに沿った切断部8Cが電極層基材8に設けられる。
【0120】
なお、電極層基材8とロータリーダイカッター131との間に発生する摩擦抵抗を利用して、ロータリーダイカッター131を従動回転させてもよい。この場合、例えば、制御部4は、ピナクル刃51を初期位置へ移動させた後、クラッチ522を制御することによって、回転軸61Aにおける原動軸と従動軸の接続を切断してもよい。なお、上述のように、ハーフカット位置L12において、ロータリーダイカッター131を能動的に回転させる場合には、クラッチ522を省略してもよい。
【0121】
ピナクル刃51が終了位置まで回転すると、制御部4は、ロータリーダイカッター131を+Z側へ上昇させて、離間位置L11へ移動させる。そして、制御部4は、吸着ステージ130による電極層基材8の吸着を解除する。そして、制御部4は、電極層基材搬送機構11によって、電極層基材8を再び搬送方向DR1へ向けて移動させる。
【0122】
第1ハーフカット部13では、吸着ステージ130に対して、ロータリーダイカッター131の位置を移動させることができる。このため、吸着ステージ130に吸着された電極層基材8に対して、ロータリーダイカッター131に設けられた刃を移動させることができる。したがって、電極層基材8の適切な位置に切断部8Cを設けることができる。
【0123】
特に、本実施形態では、ロータリーダイカッター131を、X方向(搬送方向DR1)、Y方向(幅方向DR2)へ移動させることができる。このため、電極層基材8の表面に平行な方向について、切断部8Cを設ける位置を調整できる。また、本実施形態では、ロータリーダイカッター131をZ方向(電極層基材8の厚さ方向)へ移動させることができる。このため、電極層基材8に設けられる切断部8Cの深さを調整できる。
【0124】
第1ハーフカット部13は、電極層基材8にバックシート81を残しつつ、電解質膜82を切断する。したがって、第1ハーフカット部13の第1ハーフカット処理によって設けられる膜電極接合体85を、バックシート81上に残しつつ、第1貼付機構15において第1サブガスケット基材9aと貼り合わせることができる。
【0125】
また、第1ハーフカット部13においては、回転軸61Aが、電極層基材8の長手方向に直交する幅方向DR2に沿って配置されている。このため、ロータリーダイカッター131が回転軸61Aを中心に回転しつつ、電極層基材8の長手方向へ移動することによって、電極層基材8に切断部8Cを効率的に設けることができる。
【0126】
また、第1ハーフカット部13においては、位置特定部410によって特定された第1触媒層83の位置に基づいて切断対象線8Tが決定され、その切断対象線8Tに合わせて、ロータリーダイカッター131のハーフカット位置L12が設定される。これにより、第1触媒層83の位置に合わせて、切断部8Cを精度良く設けることができる。
【0127】
サブガスケット付加装置100においては、電極層基材搬送機構11は、吸着ステージ130上における電極層基材8の移動および停止を交互に行いつつ、電極層基材8を搬送方向DR1へ搬送する。そして、サブガスケット付加装置100が、電極層基材8を停止させている状態で、移動駆動部133がロータリーダイカッター131をハーフカット位置L12へ移動させる。このため、電極層基材8に設けられる切断部8Cの位置精度を向上できる。
【0128】
<第1貼付機構15の構成>
図19および
図20を参照しつつ、第1貼付機構15の構成について説明する。
図19および
図20は、第1貼付機構15を模式的に示す側面図である。なお、
図19および
図20には、説明の便宜上、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。+X方向は、搬送方向DR1と一致し、-X方向は搬送方向DR3と一致する。また、Y方向は、幅方向DR2と平行である。
【0129】
図10において説明したように、第1貼付機構15は、電解質膜82のうち非採用領域A82が分離された電極層基材8と、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が分離された第1サブガスケット基材9aとを貼り合わせる装置である。第1貼付機構15は、後述する位置合わせ処理を行うことによって、第1触媒層83と第1切断部C9a(対応領域A91)とを互いに位置合わせした状態で、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aを貼り合わせる。第1貼付機構15は、第1貼付ローラ151、第2貼付ローラ152、吸着機構153、貼付ローラ移動駆動部154、第1撮像部155、および第2撮像部156を備える。
【0130】
第1貼付ローラ151は、外周面に電極層基材8を保持する円筒状の部材であって、幅方向DR2へ延びる回転軸61Aを中心に回転する。第1貼付ローラ151は、電極層基材8をバックシート81側から保持する。第1貼付ローラ151の外周面は、例えば、ゴムで構成されていてもよい。
【0131】
第2貼付ローラ152は、外周面に第1サブガスケット基材9aを保持する円筒状の部材である。幅方向DR2に延びる回転軸62Aを中心に回転する。第2貼付ローラ152は、第1サブガスケット基材9aを第1バックシート91a側から保持する。第1,第2貼付ローラ151,152は、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aから受ける摩擦抵抗によって受動的に回転する従動ローラであってもよい。また、第1,第2貼付ローラ151,152は、能動的に回転してもよい。すなわち、回転軸61A,62Aに、不図示のサーボモータを接続し、制御部4が当該サーボモータを制御することによって、第1,第2貼付ローラ151,152を回転させてもよい。
【0132】
第2貼付ローラ152は、第1貼付ローラ151と平行に配置される。吸着機構153は、第2貼付ローラ152の外周面に、第2貼付ローラ152の保持対象物である第1サブガスケット基材9aを吸着させる機構である。
【0133】
吸着機構153は、第2貼付ローラ152の外周面に設けられた多孔質部材631と、多孔質部材631に接続される吸引部632を備える。多孔質部材631は、多数の微小な孔を有しており、例えば、多孔質カーボンや多孔質セラミックス等の多孔質材料で構成される。多孔質セラミックスは、例えば、アルミナ(Al2O3)または炭化ケイ素(SiC)の焼結体である。多孔質部材631における気孔径は、例えば5μm以下とされ、気孔率は、例えば15%~50%とされる。
【0134】
なお、多孔質部材631に代えて、SUS等のステンレスまたは鉄などの金属製部材を用いてもよい。この場合、金属製部材の外表面に、微小な吸着孔が加工によって設けられるとよい。吸着孔の直径は、吸着痕の発生を抑制するために、例えば、2mm以下とされる。
【0135】
吸引部632は、真空ポンプなどで構成され、吸引配管を介して多孔質部材631に連結される。吸引部632の駆動によって、多孔質部材631の外表面付近の雰囲気が、多数の孔に吸引される。これによって、第2貼付ローラ152の外周面(多孔質部材631の外表面)に、第1サブガスケット基材9aが吸着される。ここでは、第2貼付ローラ152は、第1サブガスケット基材9aを第1バックシート91a側から吸着して保持する。このように、本実施形態では、第2貼付ローラ152は、吸着ローラとして構成される。
【0136】
貼付ローラ移動駆動部154は、第2貼付ローラ152を移動させる。貼付ローラ移動駆動部154は、接離方向駆動部64Xおよび軸方向駆動部64Yを備える。接離方向駆動部64Xは、
図19および
図20に示すように、第2貼付ローラ152を、第1貼付ローラ151に接近する方向(-X方向)、および、第1貼付ローラ151から離間する方向(+X方向)へ移動させる。
【0137】
接離方向駆動部64Xは、X軸テーブル641と、X軸テーブル641をX方向へ移動させるための直動駆動機構(例えば、リニアモータ機構またはボールネジ機構など)、並びに、X軸テーブルをX方向へ案内するガイド部などを備える。接離方向駆動部64Xの直動駆動機構は、制御部4と電気的に接続されており、制御部4からの制御信号に応じて動作する。
【0138】
軸方向駆動部64Yは、第2貼付ローラ152を、第2貼付ローラ152の回転軸62Aの延びる幅方向DR2(軸方向)と平行なY方向へ移動させる。軸方向駆動部64Yは、Y軸テーブル642、およびY軸テーブル642をY方向へ移動させるための直動駆動機構(例えば、リニアモータ機構またはボールネジ機構など)のほか、Y軸テーブルをY方向へ案内するガイド部などを備える。軸方向駆動部64Yの直動駆動機構は、制御部4と電気的に接続されており、制御部4からの制御信号に応じて動作する。軸方向駆動部64Yは、X軸テーブル641に設置されており、X軸テーブルとともに、X方向へ移動する。
【0139】
第2貼付ローラ152の回転軸62Aは、連結部材643を介して、軸方向駆動部64YのY軸テーブル642に連結されている。このため、Y軸テーブル642がY方向へ移動することに伴って、第2貼付ローラ152がY方向へ移動する。また、X軸テーブル641がX方向へ移動することに伴って、第2貼付ローラ152が幅方向DR2へ移動する。
【0140】
第1撮像部155は、第1貼付ローラ151に保持される電極層基材8の+Z側面(第1触媒層83側の表面)に対向して配置される。第2撮像部156は、第2貼付ローラ152に保持される第1サブガスケット基材9aの+Z側面(第1カバーフィルム93a側の表面)対向して配置される。第1,第2撮像部155,156は、それぞれ、イメージセンサを有する1つまたは複数のカメラで構成される。第1,第2撮像部155,156は、制御部4と電気的に接続されており、イメージセンサで検出される画像信号を制御部4へ送信する。
【0141】
第1撮像部155は、第1貼付ローラ151に保持されている電極層基材8の+Z側面(すなわち、第1触媒層83側の表面)を撮像する。また、第2撮像部156は、第2貼付ローラ152に保持されている第1サブガスケット基材9aの+Z側面(すなわち、第1カバーフィルム93a側の表面)を撮像する。
【0142】
第1貼付機構15は、第1撮像部155よりも搬送方向DR1の上流側に配置される光センサ651を備える。光センサ651は、例えば、反射型であり、電極層基材8における第1触媒層83にて反射する光を検出する。なお、光センサ651は、透過型であってもよい。光センサ651は、制御部4に電気的に接続され、制御部4に検出信号を送信する。制御部4は、光センサ651から送信された検出信号に基づいて、第1触媒層83が光センサ651の測定地点へ到達したことを検出する。また、制御部4は、光センサ651が第1触媒層83の検出を開始してから検出を終了するまでに電極層基材8が進む距離に基づいて、第1触媒層83のX方向(搬送方向DR1)における長さ寸法を測定できる。
【0143】
図19に示すように、制御部4は、第1,第2位置検出部411,412として機能する。第1,第2位置検出部411,412は、第1位置検出部411は、第1撮像部155が取得する画像に基づいて、電極層基材8の位置を特定する。第2位置検出部412は、第2撮像部156によって取得される画像に基づいて、第1サブガスケット基材9aの位置を特定する。
【0144】
図21は、電極層基材8上の膜電極接合体85を模式的に示す平面図である。第1位置検出部411は、第1撮像部155が取得する画像において、第1触媒層83の位置(搬送方向DR1および幅方向DR2の位置)を特定する。第1位置検出部411は、具体的には、第1触媒層83における搬送方向DR1の中心線LX1と、第1触媒層83のX方向に平行な側辺LS1,LS2との交点CL1,CL2の位置を測定する。中心線LX1の位置は、例えば、第1触媒層83のX方向の長さ寸法に基づいて、特定されてもよい。また、側辺LS1,LS2は、第1撮像部155が取得する画像に対して、例えば、2値化処理またはエッジ抽出処理などの公知の画像処理を適用することによって検出されるとよい。また、第1位置検出部411は、交点CL1,CL2の位置の中心を、第1触媒層83の位置として求めてもよい。さらに、第1位置検出部411は、第1触媒層83の4つの角部831~834(
図18参照)、または、第1触媒層83の4辺の位置を検出してもよい。
【0145】
第2位置検出部412は、第2撮像部156が取得する画像において、第1サブガスケット基材9aに設けられた第1切断部C9aの位置を検出する。そして、第2位置検出部412は、第1切断部C9aの画像上の位置に基づいて、実際の第1切断部C9aの位置(搬送方向DR3および幅方向DR2における位置)を特定する。
【0146】
第1,第2貼付ローラ151,152で貼り合わせが行われない期間中、
図20に示すように、第1,第2貼付ローラ151,152がX方向へ互いに離れる。この状態で、電極層基材8の位置と第1サブガスケット基材9aの位置とが合わせられる。第1,第2貼付ローラ151,152で貼り合わせが行われる期間中、
図19に示すように、第1,第2貼付ローラ151,152が互いに接近する。第1,第2貼付ローラ151,152が接近している状態において、第1,第2貼付ローラ151,152間の貼付位置LA1において、電極層基材8と第1サブガスケット基材9aが貼り合わせられることによって、貼合体が形成される。なお、サブガスケット付加装置100においては、貼付位置LA1にて貼合体が形成された直後、電極層基材8のバックシート81が剥離される。これにより、長手方向において、等間隔に膜電極接合体85を有する第1基材B1(
図11参照)が作製される。第1基材B1は、膜電極接合体85を含む膜電極基材の一例である。また、第1貼付機構15から基材接合体回収ローラ5まで第1基材B1を支持しつつ搬送する各ローラは、第1基材B1を規定の搬送経路に沿って搬送する膜電極基材搬送機構の一例である。
【0147】
図22は、第1貼付機構15における貼り合わせ処理の流れを示す図である。まず、電極層基材搬送機構11が電極層基材8を+X方向へ搬送することによって、貼り合わせ対象(すなわち、採用領域A81)である第1触媒層83が、光センサ651に検出される。制御部4は、その検出開始時間をメモリ42に記憶する。制御部4は、その検出開始時間から当該第1触媒層83が検出されなくなる検出終了時間までの、電極層基材8の移動量を、第1触媒層83のX方向の長さ寸法としてメモリ42に記憶してもよい。
【0148】
制御部4は、第1触媒層83が第1撮像部155の撮像位置に到達すると、電極層基材搬送機構11による電極層基材8の搬送を停止させる(ステップS21)。そして、制御部4の第1位置検出部411は、第1撮像部155によって得られた画像に基づいて、第1触媒層83の位置を特定する(ステップS22)。なお、制御部4は、撮像位置に到達した第1触媒層83が、例えば第1ハーフカット部13における良品判定で不良とされたものである場合、電極層基材8の搬送を停止させずに継続させてもよい。これにより、不良の第1触媒層83が、第1サブガスケット基材9aに貼り付けられることを抑制できる。
【0149】
一方、第1切断部C9aが第2撮像部156の撮像位置に到達すると、制御部4は、第1サブガスケット基材搬送機構12による第1サブガスケット基材9aの搬送を停止させる(ステップS23)。なお、制御部4は、第1切断部C9aが撮像位置に到達したことを、第2撮像部156の画像に基づいて判定してもよい。制御部4の第2位置検出部412は、第2撮像部156によって得られる画像に基づいて、第1切断部C9a(対応領域A91)の位置を特定する(ステップS24)。制御部4は、ステップS23,S24の処理を、ステップS21,S22の処理と並行して行う。
【0150】
制御部4は、ステップS22,S24の後、位置合わせ処理を行う(ステップS25)。すなわち、制御部4は、第1触媒層83と第1切断部C9aの幅方向DR2(軸方向)の位置のずれを修正するため、軸方向駆動部64Yを制御することによって、第2貼付ローラ152を幅方向DR2(軸方向)へ移動させる。
【0151】
また、制御部4は、第1触媒層83および第1切断部C9aの各搬送方向DR1,DR3の位置のずれを修正するため、電極層基材搬送機構11または第1サブガスケット基材搬送機構12を制御する。当該制御によって、電極層基材8または第1サブガスケット基材9aどちらか一方が搬送される。これにより、第1貼付機構15における貼付位置LA1(接触位置)において、第1触媒層83の位置と第1切断部C9aの位置とが合わせられる。
【0152】
ステップS25の位置合わせ処理が完了すると、制御部4は、第2貼付ローラ152を第1貼付ローラ151へ接近させる(ステップS26)。これにより、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aが、第1,第2貼付ローラ151,152の間の貼付位置LA1において、互いに接触する。
【0153】
続いて、制御部4は、電極層基材搬送機構11および第1サブガスケット基材搬送機構12によって、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aの搬送を再開する。これによって、第1貼付機構15において、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aの貼り合わせが開始される。また、ステップS25における位置合わせ処理によって、第1触媒層83(採用領域A81)と第1切断部C9a(対応領域A91)とが位置合わせされた状態で貼り合わされる。
【0154】
サブガスケット付加装置100では、幅方向DR2(軸方向)へ移動する第2貼付ローラ152によって、第1サブガスケット基材9aを吸着して強固に保持できる。このため、第2貼付ローラ152を幅方向DR2へ移動させた場合に、第2貼付ローラ152において第1サブガスケット基材9aが位置ずれすることを抑制できる。これにより、電極層基材8と第1サブガスケット基材9aとの幅方向DR2の位置を高精度に合わせることができるため、電極層基材8に第1サブガスケット基材9aを良好に付加できる。
【0155】
また、第1サブガスケット基材9aを吸着保持する第2貼付ローラ152を、第1貼付ローラ151に対して接離方向へ移動させる。このため、第2貼付ローラ152を接離方向へ移動させたときに、第2貼付ローラ152において第1サブガスケット基材9aが位置ずれすることを抑制できる。
【0156】
なお、第1サブガスケット基材9aを保持する第2貼付ローラ152に、吸着機構153が設けられているが、これは必須ではない。すなわち、電極層基材8を保持する第1貼付ローラ151の外周面に多孔質部材631を設けて、第1貼付ローラ151に電極層基材8を吸着保持させてもよい。また、第1貼付ローラ151に、貼付ローラ移動駆動部154を連結することによって、第1貼付ローラ151を軸方向(幅方向DR2)、および、接離方向(X方向)に移動させてもよい。
【0157】
<第2基材準備部2>
図2に示すように、第2基材準備部2は、第2サブガスケット基材搬送機構21と、第3ハーフカット部22と、第2カバーフィルム回収ローラ24とを備える。
図23は、第2基材準備部2において処理される第2サブガスケット基材9bを模式的に示す縦断面図である。第2基材準備部2は、第2サブガスケット基材9bを処理することにより、第2基材B2を準備する。
【0158】
<第2サブガスケット基材搬送機構21>
第2サブガスケット基材搬送機構21は、長尺帯状の第2サブガスケット基材9bを、複数のローラで支持しつつ、第2貼付機構3へ向けて既定の搬送経路9Tbに沿って搬送する。以下、第2サブガスケット基材搬送機構21によって第2貼付機構3へ向けて移動する第2サブガスケット基材9bの移動方向を、搬送方向DR5とする。搬送経路9Tbにおいて、第3供給ローラ211に近い方を搬送方向DR5の上流側とし、第2貼付機構3に近い方を搬送方向DR5の下流側とする。搬送方向DR5は、第2サブガスケット基材9bの長手方向に一致する。第2サブガスケット基材9bの主面と平行であって、搬送方向DR5に直交する方向は、幅方向DR2と一致する。
【0159】
図23上段に示すように、第2サブガスケット基材9bは、第1サブガスケット基材9aとほぼ同一の構成を有する。すなわち、第2サブガスケット基材9bは、一方から他方に向かって順に、第2バックシート91bと、第2サブガスケットフィルム92bと、第2カバーフィルム93bとを有する。第2バックシート91b、第2サブガスケットフィルム92b、第2カバーフィルム93bは、いずれも長尺帯状である。第2サブガスケット基材9bは、第1サブガスケット基材9aと同様に、図示を省略する外部装置においてあらかじめ製造され、第3供給ローラ211にロール状に巻かれた状態で準備される。なお、図示を省略するが、第2サブガスケット基材9bは、第1サブガスケット基材9aと同様に、1つ以上の繋ぎ目95を有していてもよい。
【0160】
第2バックシート91bと第2サブガスケットフィルム92bとの間には、接着剤を含む接着層(不図示)が介在する。また、
図23上段に示すように、第2サブガスケットフィルム92bにおける第2カバーフィルム93b側の主面には、接着剤を含む接着層922が設けられる。第2カバーフィルム93bは、接着層922によって、第2サブガスケットフィルム92bから容易に剥がすことが可能な程度の力で接着される。接着層922の接着剤は、感圧性接着剤、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤またはUV硬化型接着剤が好適である。
【0161】
図2に示すように、第2サブガスケット基材搬送機構21は、第3供給ローラ211、第2フィードローラ212、第3ダンサーローラ213を備える。第2サブガスケット基材9bは、第3供給ローラ211に巻回された状態で供給される。第2フィードローラ212は、第3供給ローラ211から第2サブガスケット基材9bを引き出す。第2フィードローラ212は、制御部4からの制御信号に応じて、能動回転する。第2フィードローラ212の回転が停止されると、第3供給ローラ211からの第2サブガスケット基材9bの送り出しが停止される。
【0162】
第3ダンサーローラ213は、第2サブガスケット基材9bにかかる張力を一定にするため、第2サブガスケット基材9bの張力に応じて上下(第2サブガスケット基材9bの主面に直交する方向)に移動する。第3ダンサーローラ213が移動することによって、第2サブガスケット基材9bにかかる急激な張力の変動が吸収される。
【0163】
<第3ハーフカット部22>
第3ハーフカット部22は、第3ダンサーローラ213の下流側に設けられる。第3ハーフカット部22は、第2サブガスケット基材9bに対して第3ハーフカット処理を行う。第3ハーフカット処理は、第2カバーフィルム93bおよび第2サブガスケットフィルム92bを、対応領域A93と非対応領域A94とに切り分ける処理である。
【0164】
図2に示すように、第3ハーフカット部22は、第2ハーフカット部14と同じ構成を備えている。すなわち、第3ハーフカット部22は、ロータリーダイカッター221と、支持ローラ222と、駆動部223と、撮像部224とを有する。ロータリーダイカッター221は、ロータリーダイカッター141と同様に筒状であり、外周面に、第2触媒層84に対応する形状のピナクル刃を備えている。ピナクル刃は、支持ローラ222に支持されている第2サブガスケット基材9bに対して、後述する第2切断部C9bを設ける。
【0165】
駆動部223は、ロータリーダイカッター221を支持ローラ222に対して接近する方向および離間する方向に移動させるとともに、ロータリーダイカッター221および支持ローラ222を、それぞれの回転軸まわりに回転させる。駆動部223は、制御部4と電気的に接続されており、制御部4からの制御信号に基づいて動作する。
【0166】
撮像部224は、第2サブガスケット基材9bにおける第2カバーフィルム93b側の表面を撮像するカメラである。撮像部224は、制御部4と電気的に接続されており、撮像によって得た画像信号を制御部4へ送信する。制御部4の繋ぎ目位置検出部401は、撮像部224によって取得した画像に基づき、第2サブガスケット基材9bにおける繋ぎ目95の位置を検出する。
【0167】
第3ハーフカット処理は、
図23中段に示すように、第2サブガスケット基材9bに第2切断部C9bを設ける処理である。第2切断部C9bは、矩形状である対応領域A93とそれ以外の非対応領域A94との境界(切断予定位置P9b)に沿って設けられる。対応領域A93は、例えば、第2触媒層84と相似、かつ、ほぼ同一の大きさとされる。なお、対応領域A93は、第2触媒層84と非相似であってもよい。また、対応領域A93は、第2触媒層84より大きくてもよい。
【0168】
第2切断部C9bは、第2カバーフィルム93bおよび第2サブガスケットフィルム92bを貫通する切断面を有する。また、第2切断部C9bは、第2バックシート91bを貫通せず、第2バックシート91bの上面(第2サブガスケットフィルム92b側の面)から厚さ方向の中間部まで到達する切断面を有する。すなわち、第2切断部C9bは、第2バックシート91bの下面までは到達しない。
【0169】
制御部4は、第3ハーフカット部22を制御することによって、第2サブガスケット基材9bに、長手方向に一定の第1間隔D11で第2切断部C9bを順次設ける。ただし、制御部4は、第2サブガスケット基材9bのうち、繋ぎ目対応領域A95を除いた残余の領域に、第2切断部C9bを設ける。繋ぎ目対応領域A95は、第1サブガスケット基材9aにおいて位置特定部410によって検出された繋ぎ目95の位置に対応する領域である。繋ぎ目対応領域A95は、第2サブガスケット基材9bにおける、第1基材B1の繋ぎ目95に貼り付けられる領域である。第2サブガスケット基材9bの繋ぎ目対応領域A95において、第2切断部C9bの形成が抑制される。繋ぎ目対応領域A95の詳細については、後述する。
【0170】
また、第2サブガスケット基材9bが繋ぎ目95を有する場合、制御部4は、繋ぎ目95に第2切断部C9bが設けられることを抑制してもよい。繋ぎ目95に第2切断部C9bを設けることを抑制する処理は、
図6~
図8で説明した処理と同様である。すなわち、制御部4が、繋ぎ目位置検出部401によって検出される繋ぎ目95の位置に基づいて、禁止領域を適宜設定し、当該禁止領域における、第3ハーフカット処理を禁止するとよい。ただし、制御部4は、第2サブガスケット基材9bの繋ぎ目95の位置に関わらず、第2切断部C9bを設けてもよい。すなわち、制御部4は、繋ぎ目95の位置にも第2切断部C9bを設けてもよい。
【0171】
<第2カバーフィルム回収ローラ24>
第2カバーフィルム回収ローラ24は、
図23下段に示すように、第2切断部C9bが設けられた第2サブガスケット基材9bから、第2カバーフィルム93bの非対応領域A94を剥離して巻き取る。第2カバーフィルム回収ローラ24は、第2カバーフィルム93bの非対応領域A94を分離する第2分離部の一例である。第2カバーフィルム回収ローラ24による剥離処理によって、第2サブガスケットフィルム92bの上面に、第2カバーフィルム93bの対応領域A93が残された第2基材B2が得られる。すなわち、第2基材B2は、一方側から他方側へ向かって順に、第2バックシート91bと、第2サブガスケットフィルム92bと、複数の第2カバーフィルム93bの対応領域A93とを有する。複数の第2カバーフィルム93bの対応領域A93は、第2基材B2の長手方向(搬送方向DR5)に一定の第1間隔D11をあけて設けられる。
【0172】
<第2貼付機構3>
図24は、第2貼付機構3を模式的に示す側面図である。第2貼付機構3は、第1貼付機構15とほぼ同一の構成を有する。このため、同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。第2貼付機構3の第1貼付ローラ151は、第1基材B1を第1サブガスケット基材9a側(詳細には、第1バックシート91a側)から保持する。第2貼付機構3の第2貼付ローラ152は、第2基材B2(第2サブガスケット基材9b)を第2バックシート91b側から支持する。吸着機構153の駆動により、第2基材B2が第2貼付ローラ152の外周面に吸着される。
【0173】
第2貼付機構3は、第3撮像部157および第4撮像部158を備えている。第3撮像部157は、第1貼付ローラ151に保持されている第1基材B1の-Z側面(第2触媒層84側の表面)を撮像する。第4撮像部158は、第2基材B2の-Z側面(第2カバーフィルム93b側の表面)を撮像する。
【0174】
制御部4は、第3位置検出部413および第4位置検出部414として機能する。第3位置検出部413は、第3撮像部157によって得られる画像に基づいて、第2触媒層84の位置(搬送方向DR4および幅方向DR2の位置)を特定する。第4位置検出部414は、第4撮像部158によって得られる画像に基づいて、第2カバーフィルム93bの対応領域A93の位置(搬送方向DR5および幅方向DR2の位置)を特定する。
【0175】
制御部4は、第2貼付ローラ152を第1貼付ローラ151から離れた位置に配置した状態で、第1,第2貼付ローラ151,152を回転させることにより、第1基材B1および第2基材B2それぞれを移動させる。そして、第1基材B1上の第2触媒層84および第2基材B2上の第2カバーフィルム93b(対応領域A93)が第3,第4撮像部157,158の各撮像範囲に入ると、第3,第4位置検出部413,414によって、各位置が検出される。続いて、制御部4は、貼付ローラ移動駆動部154等を制御して、第2触媒層84の位置に合わせて、第2カバーフィルム93bの対応領域A93を移動させる。制御部4は、位置合わせを完了すると、第2貼付ローラ152を第1貼付ローラ151に接近する位置(
図24参照)へ移動させる。そして、第1,第2貼付ローラ151,152を回転させることにより、第1,第2貼付ローラ151,152間で第1基材B1に第2基材B2を貼り合わせる。
【0176】
図25は、第2貼付機構3によって貼り合わされる第1基材B1および第2基材B2を模式的に示す縦断面図である。
図26は、基材接合体B3を模式的に示す縦断面図である。
図25に示すように、第2貼付機構3では、第1基材B1における第2触媒層84と、第2基材B2における第2カバーフィルム93bの対応領域A93とが互いに位置合わせされた状態で、第2基材B2が第1基材B1に貼り付けられる。第2基材B2が第1基材B1に貼り付けられることにより、
図26に示す基材接合体B3が得られる。基材接合体B3においては、第1基材B1における第2触媒層84の周囲に露出した電解質膜82の表面が、第2基材B2における第2カバーフィルム93bの周囲に露出した第2サブガスケットフィルム92bの接着層922に接着する。また、第1基材B1における第1サブガスケットフィルム92aの露出した主面(接着層921)が、第2基材B2における第2サブガスケットフィルム92bの接着層922に接着する。
【0177】
図25に示すように、第2基材B2の繋ぎ目対応領域A95は、第2貼付機構3により、第1基材B1の繋ぎ目95に貼り付けられる部分である。制御部4は、繋ぎ目対応領域A95に第2切断部C9bを設けないため、繋ぎ目対応領域A95の位置を特定する。具体的にh、制御部4は、第1サブガスケット基材9aにおける繋ぎ目95の位置に基づいて、第1基材B1における繋ぎ目95の位置を特定する。第1サブガスケット基材9aにおける繋ぎ目95の位置は、
図7において説明したように、繋ぎ目位置検出部401によって検出される。そして、制御部4は、第1基材B1の繋ぎ目95の位置に基づいて、第2サブガスケット基材9bの繋ぎ目対応領域A95の位置を特定する。
【0178】
さらに、制御部4は、特定した繋ぎ目対応領域A95の位置に基づいて、第3ハーフカット部22を制御することにより、繋ぎ目対応領域A95における第2切断部C9bの形成を抑制する。具体的には、
図6において説明した処理と同様に、制御部4が、繋ぎ目対応領域A95に禁止領域を設定して、当該禁止領域における第3ハーフカット処理を禁止するとよい。この処理により、
図25に示すように、第2サブガスケット基材9bの長手方向において、複数の第2切断部C9bが第1間隔D1で設けられるとともに、繋ぎ目対応領域A95の周辺では、第2切断部C9bが第2間隔D2で形成される。
【0179】
なお、制御部4は、第1基材B1における第2触媒層84の有無に応じて、第2サブガスケット基材9bに第2切断部C9bを設けてもよい。
図25に示すように、第1基材B1の繋ぎ目95には、膜電極接合体85が貼り付けられないため、第2触媒層84が設けられない。したがって、制御部4が、第2触媒層84の検出の可否に応じて第2サブガスケット基材9bに第2切断部C9bを設けることにより、繋ぎ目対応領域A95に第2切断部C9bが形成されることを抑制できる。
【0180】
具体的には、
図2に示すように、サブガスケット付加装置100は、撮像部225を備えてもよい。撮像部225は、第2貼付機構3に向けて搬送される第1基材B1の第2触媒層84側を撮像する。撮像部225は、撮像によって得られた画像信号を制御部4に送信する。制御部4は、撮像部225によって得られた画像において、第2触媒層84を検出する。そして、制御部4は、第2触媒層84を検出した場合、第2サブガスケット基材9bに第2切断部C9bを形成する。第2切断部C9bが設けられる位置は、検出された第2触媒層84に対応する位置、すなわち、第2貼付機構3によって第2触媒層84に貼り付けられる部分である。一方、制御部4は、第2触媒層84が検出しない場合、第2切断部C9bの形成を抑制する。なお、サブガスケット付加装置100は、撮像部225の代わりに、第2触媒層84を検出するフォトセンサなどを備えてもよい。
【0181】
繋ぎ目対応領域A95に第2切断部C9bを形成しない場合、
図25に示すように、第2基材B2の繋ぎ目対応領域A95に、第2カバーフィルム93bの対応領域A93が形成されない。このため、第1基材B1の繋ぎ目95には、第2貼付機構3により、切れ目のない第2サブガスケットフィルム92bの繋ぎ目対応領域A95が貼り付けられることとなる。
【0182】
図2に戻って、第2貼付機構3と、基材接合体回収ローラ5との間には、接着力強化部33が設けられている。接着力強化部33は、基材接合体B3の接着層921,922における接着剤の接着力を強化する。接着力強化部33は、具体的には、加熱部34、押圧部35および冷却部36を有する。
【0183】
加熱部34は、例えば、基材接合体B3を輻射熱で加熱する複数のヒータ340を備える。加熱部34は、各ヒータ340で基材接合体B3を加熱することによって、接着層921,922が有する接着剤を加熱する。これにより、接着剤が熱可塑性または熱硬化性の樹脂を含む場合、接着剤の加熱によって接着力を強化できる。なお、加熱部34は、輻射熱で加熱するものに限定されず、例えば、熱風を基材接合体B3に吹き付けることによって、接着剤を加熱してもよい。また、加熱部34は、基材接合体B3を通過させる加熱室を備えてもよい。加熱室の内側の温度を高めることにより、基材接合体B3の接着剤を加熱できる。
【0184】
押圧部35は、基材接合体B3を両側から押圧する。押圧部35は、例えば、基材接合体B3を厚さ方向の両側から挟む2つのローラで構成される。押圧部35が、基材接合体B3を押圧することによって、基材接合体B3に含まれる弛みや皺が除去される。
【0185】
押圧部35は、加熱部34よりも下流側に設けられているため、第2基材B2を加熱した後、押圧できる。第1,第2サブガスケットフィルム92a,92bの接着面が熱硬化性または熱可塑性の接着剤を有する場合、加熱後に押圧することによって、第1基材B1と第2基材B2との接合を促進できる。
【0186】
冷却部36は、基材接合体B3の温度を、所定の目標温度へ低下させる。冷却部36は、基材接合体B3を自然冷却する搬送経路として構成される。なお、冷却部36は、押圧部35を通過した直後における基材接合体B3の温度よりも低いエアを、基材接合体B3に吹き付ける冷風供給部を備えてもよい。また、冷却部36は、循環冷却水などで冷却されるチルローラを備え、当該チルローラを基材接合体B3に接触させて基材接合体B3を冷却してもよい。
【0187】
接着層921,922の接着剤が熱可塑性または熱硬化性の樹脂を有する場合、加熱部34で加熱された接着剤を冷却部36で冷却することによって、反応を停止させることができるため、接着剤の接着力を安定化させることができる。
【0188】
基材接合体回収ローラ5は、冷却部36によって冷却された基材接合体B3を、ロール状に巻き取る。これにより、基材接合体B3が回収される。なお、基材接合体B3がロール状に巻き取られて回収されることは必須ではない。例えば、基材接合体B3が、膜電極接合体85を1つずつ含むように複数のシートに切り分けられることによって、多数のシートの状態で回収されてもよい。
【0189】
図26に示すように、基材接合体B3は、膜電極接合体85の両面に、第1,第2サブガスケットフィルム92a,92bが取り付けられたサブガスケット付膜電極接合体87を有する。このサブガスケット付膜電極接合体87の両側の面には、第1,第2バックシート91a,91bがそれぞれ取り付けられている。基材接合体B3の場合、第1,第2バックシート91a,91bがない場合と比較して、サブガスケット付膜電極接合体87の剛性が高くなる。したがって、膜電極接合体85や第1または第2サブガスケットフィルム92a,92bにおいて、皺などの変形が抑制される。
【0190】
なお、第2貼付機構3の第1,第2貼付ローラ151,152のうち少なくとも一方を、搬送物を加熱する加熱ローラとしてもよい。例えば、第1,第2貼付ローラ151,152を加熱ローラとした場合、接着層922の接着剤を予備的に加熱できる。加熱ローラによって基材接合体B3に到達させる第1目標温度は、加熱部34の加熱で基材接合体B3に到達させる第2目標温度よりも低く設定してもよい。これにより、接着剤の急激な加熱が抑制されるとともに、加熱部34の加熱によって接着剤の温度を第2目標温度まで有効に到達させることができる。また、加熱ローラによって急激に加熱した場合、電解質膜の急激な温度変化と同時に、接着層921,922の特性変化が生じることによって、基材接合体B3に皺が発生する可能性がある。そこで、基材接合体B3を第1目標温度から第2目標温度へ段階的に加熱することによって、基材接合体B3における皺の発生を軽減できる。
【0191】
接着層921,922の接着剤として、紫外線(UV)硬化型の接着剤が用いられる場合、接着力強化部33は、加熱部34の代わりに、UVを照射するUV照射装置を備えていてもよい。基材接合体B3の両面にUV照射装置からUVを照射することによって、接着層921,922の接着力を強化できる。
【0192】
図27は、基材接合体B3から取り出されるサブガスケット付膜電極接合体87を模式的に示す縦断面図である。
図27に示すように、サブガスケット付加装置100によって製造された基材接合体B3から、第1バックシート91aおよび第2バックシート91bを分離することによって、サブガスケット付膜電極接合体87が取り出される。詳細には、基材接合体B3の長手方向の一方から、第1バックシート91aが徐々に剥離されると、第1バックシート91aとともに、第1サブガスケットフィルム92aおよび第1カバーフィルム93aの各対応領域A91が剥離される。このため、電解質膜82の一方の面は、第1触媒層83に対応する対応領域A91が切り抜かれた枠状の第1サブガスケットフィルム92aのみが取り付けられた状態となる。また、基材接合体B3の長手方向の一方から、第2バックシート91bが徐々に剥離されると、第2バックシート91bとともに、第2サブガスケットフィルム92bおよび第2カバーフィルム93bの各対応領域A93が剥離される。このため、電解質膜82の他方の面は、第2触媒層84に対応する対応領域A93が切り抜かれた枠状の第2サブガスケットフィルム92bのみが取り付けられた状態となる。
【0193】
また、第1サブガスケット基材9aが繋ぎ目95を有する場合、
図26または
図27に示すように、基材接合体B3において、第1バックシート91a,91aが第1連結部951を介して一体に連結された状態となる。このため、基材接合体B3から一方側の第1バックシート91aが剥離された場合、第1連結部951に連結された他方側の第1バックシート91aも基材接合体B3から剥離される。
【0194】
また、
図26に示す基材接合体B3において、継ぎ目95において、第1サブガスケットフィルム92a,92aが第1連結部951によって連結されている。すると、
図27に示すように、第1バックシート91aの剥離によって、第1連結部951による第1サブガスケットフィルム92a,92a間の連結が解除されることとなる。しかしながら、第1サブガスケットフィルム92a,92aの連結は、反対側の第2サブガスケットフィルム92bにおける切れ目のない繋ぎ目対応領域A95によって維持される。このように、基材接合体B3から第1,第2バックシート91a,91bを剥離しても、第1サブガスケットフィルム92a,92aの分離が抑制される。
【0195】
以上のように、サブガスケット付加装置100では、制御部4が繋ぎ目95の位置に第1切断部C9aを設けないため、第1貼付機構15において、繋ぎ目95に第1触媒層83が貼り付けられない。したがって、膜電極接合体85のロスを減らすことができる。
【0196】
また、制御部4が、第2ハーフカット部14によって、第1サブガスケット基材9aに対し、一定の第1間隔D11で第1切断部C9aを設ける(
図6~
図8)。このため、第1基材B1においては、第2触媒層84が、第1間隔D11のピッチで設けられる(
図23)。また、制御部4は、第1サブガスケット基材9aの繋ぎ目95の前後で、第1間隔D11の整数倍である第2間隔D12で、第1切断部C9aを設ける。このため、繋ぎ目95の前後で、第2触媒層84のピッチがずれることが抑制される。一方、第3ハーフカット部22は、第2サブガスケット基材9bに対して、一定の第1間隔D11で第2切断部C9bを設ける(
図23)。このため、第2サブガスケット基材9bには、第2カバーフィルム93bの対応領域A93が、第1間隔D11のピッチで設けられる。したがって、第2貼付機構3においては、第1基材B1および第2基材B2を、同じ速度で移動させることによって、第2触媒層84に対して、第2カバーフィルム93bの対応領域A93の位置を合わせることができる。このため、第2貼付機構3による、第2基材B2の長手方向の位置合わせの処理が軽減される。また、長手方向の位置合わせの処理が軽減されることにより、第2貼付機構3の処理効率が向上するため、サブガスケット付加装置100の生産効率が向上する。さらに、長手方向の位置合わせの処理が軽減されることよって、第1基材B1または第2基材B2に弛みが発生することを抑制できる。ただし、制御部4は、第2間隔D12を、第1間隔D11の整数倍とすることは必須ではない。第2間隔D12は、繋ぎ目95に第1切断部C9aが設けられない範囲で、任意の大きさに設定されてもよい。
【0197】
<2. 第2実施形態>
第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、既に説明した要素と同様の機能を有する要素については、同符号またはアルファベット文字を追加した符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
【0198】
図28は、第2実施形態に係るサブガスケット付加装置100aを模式的に示す側面図である。サブガスケット付加装置100aは、第1基材B1を製造する装置である。第1基材B1は、
図11に示すように、膜電極接合体85の片側だけにサブガスケットフィルムが付加された、サブガスケット付膜電極接合体を有している。
【0199】
サブガスケット付加装置100aは、第1基材準備部1と、接着力強化部33と、接合体回収ローラ5aとを備える。サブガスケット付加装置100aは、第1基材準備部1によって製造される第1基材B1に対して、接着力強化部33が接着層921の接着力を強化する処理を行う。具体的には、加熱部34による加熱処理、押圧部35による押圧処理、および、冷却部36による冷却処理が、第1基材B1に対して行われる。接着力強化部33を通過した第1基材B1は、接合体回収ローラ5aに回収される。
【0200】
サブガスケット付加装置100aおいても、制御部4が第2ハーフカット部14を制御することにより、第1サブガスケット基材9aの繋ぎ目95の位置に第1切断部C9aが設けられない。これにより、第1貼付機構15において、繋ぎ目95の位置に膜電極接合体85が貼り付けられないため、膜電極接合体85のロスを減らすことが可能である。
【0201】
なお、サブガスケット付加装置100aにおいて、第2ハーフカット部14は、第1サブガスケット基材9aに一定の第1間隔D11で第1切断部C9aを設けることは必須ではない。第1間隔D11が一定でない場合、対応領域A91の間隔も一定でなくなる。しかしながら、第1貼付機構15において、第1触媒層83と対応領域A91の位置が合わせられることにより、対応領域A91に対して第1触媒層83を貼りつけることができる。
【0202】
また、バックシート回収ローラ16は、省略されてもよい。この場合、サブガスケット付加装置100aにおいて、バックシート81が付加されたままの第1基材B1が製造される。
【0203】
<3. 第3実施形態>
【0204】
図29は、第3実施形態に係るサブガスケット付加装置100bの概略斜視図である。
図30は、第3実施形態に係るサブガスケット付膜電極接合体87aを示す図である。サブガスケット付加装置100bは、第2実施形態のサブガスケット付加装置100a(
図28参照)と同様に、膜電極接合体85の片側のみに、サブガスケットフィルムを付加する装置である。ただし、サブガスケット付加装置100bは、膜電極接合体85に、単層であるサブガスケットフィルムのみを貼り付けることによって、
図30に示すサブガスケット付膜電極接合体87aを製造する。
【0205】
詳細には、サブガスケット付加装置100bは、第2供給ローラ121aと、第2ハーフカット部14と、バックシート回収ローラ25aと、第1貼付機構15とを備える。第2供給ローラ121aは、サブガスケット基材9a1を送り出す。サブガスケット基材9a1は、第1バックシート91aと第1サブガスケットフィルム92aとを有する、長尺帯状の部材である。
【0206】
第2ハーフカット部14は、サブガスケット基材9a1における第1サブガスケットフィルム92aに対して、第1触媒層83に対応する対応領域A91と、対応領域A91以外の非対応領域A92とに切り分ける第1切断部C9aを設ける。第1切断部C9aは、第1サブガスケットフィルム92aを貫通する切断面と、第1バックシート91aを貫通せず、厚さ方向の中間部まで到達する切断面とで構成される。
【0207】
バックシート回収ローラ25aは、第1切断部C9aが設けられたサブガスケット基材9a1から、第1バックシート91aを剥離する。これにより、バックシート回収ローラ25aは、第1バックシート91aとともに、第1サブガスケットフィルム92aの対応領域A91を回収する。バックシート回収ローラ25aは、バックシート分離部の一例である。帯状の第1サブガスケットフィルム92aのうち、対応領域A91が切り抜かれることによってできた単層の非対応領域A92が、第1貼付機構15に供給される。
【0208】
第1貼付機構15には、電極層基材8が供給される。電極層基材8は、
図1に示す電極層基材搬送機構11によって搬送されるとともに、第1ハーフカット部13によって電解質膜82の非採用領域A82が除去された基材(
図5参照)である。第1貼付機構15は、電極層基材8における第1触媒層83と、第1サブガスケットフィルム92aにおける切り抜かれた対応領域A91との位置を合わせつつ、第1サブガスケットフィルム92aを電極層基材8に貼り付ける。第1触媒層83と対応領域A91との位置合わせは、
図19および
図20において説明した位置合わせの処理と同様である。すなわち、第1撮像部155によって得られる画像から第1触媒層83の位置が特定され、第2撮像部156によって得られる画像から、切り抜かれた対応領域A91の位置が特定される。第1貼付機構15によって、
図29に示すサブガスケット付膜電極接合体87aが製造される。製造されたサブガスケット付膜電極接合体87aは、接合体回収ローラ5aに巻き取られる。
【0209】
図29に示すように、サブガスケット基材9a1は、繋ぎ目95aを有していてもよい。繋ぎ目95aは、第1連結部951と第2連結部952とを有する。第1連結部951は、上流側および下流側の第1バックシート91a,91aの端部同士を一体に連結しており、第2連結部952は、上流側および下流側の第1サブガスケットフィルム92a,92aの端部同士を一体に連結している(
図30参照)。また、第1連結部951には、マーク953が設けられている。
【0210】
制御部4の繋ぎ目位置検出部401は、撮像部144によって取得されるマーク953の画像に基づいて、繋ぎ目95の位置を検出する。制御部4は、検出された繋ぎ目95の位置に第1切断部C9aを設けないように、第2ハーフカット部14を制御する。すると、繋ぎ目95では、第1サブガスケットフィルム92aの対応領域A91が切り抜かれないため、制御部4は、対応領域A91を検出しない。したがって、第1貼付機構15が繋ぎ目95の位置に第1触媒層83を貼り付けないため、膜電極接合体85のロスを減らすことができる。
【0211】
なお、サブガスケット付加装置100bは、
図30に示すサブガスケット付膜電極接合体87aに対して、第2触媒層84側にもサブガスケットフィルムを貼り付ける機構をさらに備えていてもよい。すなわち、第2ハーフカット部14と同様に、帯状のサブガスケットフィルムから第2触媒層84に対応する対応領域を切り抜く切断機構、および、第1貼付機構15と同様に、第2触媒層84の位置に、切り抜かれた対応領域を合わせて、膜電極接合体85に第2サブガスケットフィルムを貼り付ける貼付機構が設けられてもよい。
【0212】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0213】
100,100a,100b サブガスケット付加装置
11 電極層基材搬送機構(第1搬送部)
12 第1サブガスケット基材搬送機構(第2搬送部)
123 第1カバーフィルム回収ローラ123(第1分離部)
14 第2ハーフカット部(第1切断機構)
144 撮像部
15 第1貼付機構(第1貼付部)
21 第2サブガスケット基材搬送機構(第3搬送部)
22 第3ハーフカット部(第2切断機構)
224 撮像部
24 第2カバーフィルム回収ローラ(第2分離部)
25a バックシート回収ローラ(バックシート分離部)
3 第2貼付機構(第2貼付部)
4 制御部
401 繋ぎ目位置検出部
411 第1位置検出部
412 第2位置検出部
8 電極層基材
80 膜電極接合体層
81 バックシート
82 電解質膜
83 第1触媒層
84 第2触媒層
85 膜電極接合体
87、87a サブガスケット付膜電極接合体
91a 第1バックシート
91b 第2バックシート
92a 第1サブガスケットフィルム
92b 第2サブガスケットフィルム
93a 第1カバーフィルム
93b 第2カバーフィルム
95 繋ぎ目
951 第1連結部
952 第2連結部
953 マーク
9a 第1サブガスケット基材
9a1 サブガスケット基材
9b 第2サブガスケット基材
A91,A93 対応領域
A92,A94 非対応領域
C9a 第1切断部
C9b 第2切断部