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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
B29C45/76
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020015481
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021122954
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】谷田 和貴
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-318012(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175847(WO,A2)
【文献】特開2017-205944(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192048(WO,A1)
【文献】特開2015-104869(JP,A)
【文献】特開2002-132411(JP,A)
【文献】特開2010-086146(JP,A)
【文献】特開2006-305934(JP,A)
【文献】特開2004-155072(JP,A)
【文献】特開平07-241894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作を受け付ける操作部と、
表示画面を表示する表示部と、
前記操作部の操作に基づいて、前記表示部の表示画面を切り替える表示画面制御部と、
前記表示部に切り替えられた表示画面の履歴情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記表示画面制御部は、
前記操作部が前に表示した画面に切り替えるように操作されると、前記履歴情報に基づいて、1つ前の表示画面が第1表示画面群に属する場合には、当該表示画面を切り替え、1つ前の表示画面が第2表示画面群に属する場合には、前記第1表示画面群に属する表示画面に切り替え、
前記第1表示画面群に属する表示画面及び前記第2表示画面群に属する表示画面は、装置の設定のための画面又は保守のための画面である、
射出成形機。
【請求項2】
操作を受け付ける操作部と、
表示画面を表示する表示部と、
前記操作部の操作に基づいて、前記表示部の表示画面を切り替える表示画面制御部と、
前記表示部に切り替えられた表示画面の履歴情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記表示画面制御部は、
前記操作部が前に表示した画面に切り替えるように操作されると、前記履歴情報に基づいて、1つ前の表示画面が第1表示画面群に属する場合には、当該表示画面を切り替え、1つ前の表示画面が第2表示画面群に属する場合には、前記第1表示画面群に属する表示画面に切り替え、
前記第1表示画面群に属する表示画面から前記第2表示画面群に属する表示画面への画面切り替えは、前記第1表示画面群に属する表示画面に重ねて前記第2表示画面群に属する表示画面を表示するものを除く、
射出成形機。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記第1表示画面群に属する表示画面が表示された場合には、履歴が記憶され、前記第2表示画面群に属する表示画面が表示された場合には、履歴が記憶されない、
請求項1または請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記第1表示画面群に属する表示画面は、前記射出成形機の成形条件の設定に関する表示画面である、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形機には、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置や表示画面を表示する表示装置が設けられている。
【0003】
特許文献1には、射出成形機や管理用コンピュタの表示装置に、前頁の表示に変わる前頁表示ボタンと、後頁の表示に変わる後頁表示ボタンと、を備える画面を表示する射出成形機の通信ネットワークシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-156096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、射出成形機の成形条件を設定する際、操作者は推奨される順番で複数の基本工程画面を設定値を変更する。この際、設定の途中で基本工程画面以外の画面を開いた場合、どの基本工程画面まで設定したかを覚えておく必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、設定作業の操作性を向上する射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様の射出成形機は、操作を受け付ける操作部と、表示画面を表示する表示部と、前記操作部の操作に基づいて、前記表示部の表示画面を切り替える表示画面制御部と、前記表示部に切り替えられた表示画面の履歴情報を記憶する記憶部と、を備え、前記表示画面制御部は、前記操作部が前に表示した画面に切り替えるように操作されると、前記履歴情報に基づいて、1つ前の表示画面が第1表示画面群に属する場合には、当該表示画面を切り替え、1つ前の表示画面が第2表示画面群に属する場合には、前記第1表示画面群に属する表示画面に切り替え、前記第1表示画面群に属する表示画面及び前記第2表示画面群に属する表示画面は、装置の設定のための画面又は保守のための画面である
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設定作業の操作性を向上する射出成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図。
図2】一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図。
図3】制御装置の機能ブロック図。
図4】表示画面のカテゴリを説明する模式図。
図5】表示装置に表示される画面の一例。
図6】第1動作例におけるいずれかの画面遷移ボタンが操作された場合における制御装置の処理の一例を示すフローチャート。
図7】第1動作例における前工程ボタンが操作された場合における制御装置の処理の一例を示すフローチャート。
図8】第1動作例における表示画面の履歴及び前工程ボタンを操作した際の表示画面を切り替えを説明する図。
図9】第2動作例におけるいずれかの画面遷移ボタンが操作された場合における制御装置の処理の一例を示すフローチャート。
図10】第2動作例における前工程ボタンが操作された場合における制御装置の処理の一例を示すフローチャート。
図11】第3動作例における前工程ボタンが操作された場合における制御装置の処理の一例を示すフローチャート。
図12】第3動作例における表示画面の履歴及び前工程ボタンを操作した際の表示画面を切り替えを説明する図。
図13】第4動作例における前工程ボタンが操作された場合における制御装置の処理の一例を示すフローチャート。
図14】第4動作例における表示画面の履歴及び前工程ボタンを操作した際の表示画面を切り替えを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0011】
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機1の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
【0012】
図1図2に示すように、射出成形機1は、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された成形品を突き出すエジェクタ装置200と、金型装置800に成形材料を射出する射出装置300と、金型装置800に対し射出装置300を進退させる移動装置400と、射出成形機1の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機1の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置100を支持する型締装置フレーム910と、射出装置300を支持する射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機1の各構成要素について説明する。
【0013】
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0014】
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
【0015】
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定金型810が取付けられる固定プラテン110と、可動金型820が取付けられる可動プラテン120と、固定プラテン110と間隔をおいて配設されるトグルサポート130と、固定プラテン110とトグルサポート130とを連結するタイバー140と、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させるトグル機構150と、トグル機構150を作動させる型締モータ160と、型締モータ160の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構170と、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔を調整する型厚調整機構180と、を有する。
【0016】
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
【0017】
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、および型開が行われる。
【0018】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
【0019】
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
【0020】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0021】
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0022】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0023】
尚、トグル機構150の構成は、図1および図2に示す構成に限定されない。例えば図1および図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0024】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0025】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0026】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
【0027】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0028】
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0029】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
【0030】
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
【0031】
キャビティ空間801の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間801の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
【0032】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0033】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
【0034】
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0035】
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0036】
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0037】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0038】
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0039】
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0040】
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0041】
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0042】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。尚、複数の型厚調整機構が組合わせて用いられてもよい。
【0043】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0044】
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0045】
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0046】
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0047】
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取り付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出すエジェクタロッド210と、エジェクタロッド210を可動プラテン120の移動方向(X軸方向)に移動させる駆動機構220とを有する。
【0048】
エジェクタロッド210は、可動プラテン120の貫通穴に進退自在に配置される。エジェクタロッド210の前端部は、可動金型820の内部に進退自在に配置される可動部材830と接触する。エジェクタロッド210の前端部は、可動部材830と連結されていても、連結されていなくてもよい。
【0049】
駆動機構220は、例えば、エジェクタモータと、エジェクタモータの回転運動をエジェクタロッド210の直線運動に変換する運動変換機構とを有する。運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0050】
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材830を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータを駆動してエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、可動部材830を元の待機位置まで後退させる。
【0051】
エジェクタロッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータの回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド210の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド210の移動速度を検出するエジェクタロッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
【0052】
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0053】
射出装置300はスライドベース301に設置され、スライドベース301は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の前端部に設けられるノズル320と、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する圧力検出器360と、を有する。
【0054】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0055】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0056】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0057】
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
【0058】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0059】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0060】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0061】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0062】
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0063】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
【0064】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
【0065】
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する。検出した力は、制御装置700で圧力に換算される。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する力を検出する。
【0066】
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0067】
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程と呼んでもよい。
【0068】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0069】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0070】
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
【0071】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
【0072】
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
【0073】
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、圧力検出器360によって検出される。圧力検出器360の検出値が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、圧力検出器360の検出値が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、圧力検出器360の検出値が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
【0074】
尚、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0075】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
【0076】
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0077】
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
【0078】
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0079】
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0080】
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
【0081】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
【0082】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0083】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0084】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0085】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
【0086】
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0087】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図1図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
【0088】
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
【0089】
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
【0090】
尚、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
【0091】
尚、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程以外の工程を有してもよい。
【0092】
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
【0093】
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
【0094】
制御装置700は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置750や画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネルは、制御装置700による制御下で、画面を表示する。タッチパネルの画面には、例えば、射出成形機1の設定、現在の射出成形機1の状態等の情報が表示されてもよい。また、タッチパネルの画面には、例えば、ユーザによる入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の入力操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネルは、ユーザによる画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、ユーザは、画面に表示される情報を確認しながら、画面に設けられた入力操作部を操作して、射出成形機1の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザが画面に設けられた入力操作部を操作することにより、入力操作部に対応する射出成形機1の動作を行わせることができる。なお、射出成形機1の動作は、例えば、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、移動装置400等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機1の動作は、表示装置760としてのタッチパネルに表示される画面の切り替え等であってもよい。
【0095】
尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネルとして一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
【0096】
次に、図3は、操作装置750が操作されることにより、表示装置760に表示される表示画面を切り替える制御装置700について、図3を用いて更に説明する。図3は、制御装置700の機能ブロック図である。
【0097】
制御装置700は、表示画面を切り替える表示画面制御部711と、判定対象とする表示画面がどの表示画面群に属するかを判定する表示画面判定部712と、表示画面の履歴を生成する履歴生成部713と、履歴を記憶する記憶部714と、を備える。
【0098】
表示画面制御部711は、ユーザによる操作装置750としてのタッチパネルの操作(タッチ、タップ等)に基づいて、表示装置760としてのタッチパネルに表示する表示画面を切り替える。例えば、タッチパネルの画面には、操作装置750として、画面遷移ボタンや前工程ボタンが表示されている。画面遷移ボタンが操作された場合、表示画面制御部711は、そのボタンに対応する表示画面を表示装置760としてのタッチパネルの表示部762(後述する図5参照)に表示させる。また、前工程ボタンが操作された場合、表示画面制御部711は、後述する処理(図7等)に基づいて、表示する表示画面を決定し、決定した表示画面を表示装置760としてのタッチパネルの表示部762(後述する図5参照)に表示させる。
【0099】
表示画面判定部712は、判定対象とする表示画面が、第1表示画面群に属する表示画面であるか、第2表示画面群に属する表示画面であるか、を判定する。図4は、表示画面のカテゴリを説明する模式図である。ここで、第1表示画面群に属する表示画面とは、射出成形機1の成形条件を設定する表示画面(以下、「基本工程画面」と称する。)をいう。第2表示画面群に属する表示画面とは、第1表示画面群に属する表示画面以外の表示画面であり、基本工程画面以外のその他の表示画面(以下、「その他画面」と称する。)をいう。第1表示画面群に属する表示画面(基本工程画面)としては、例えば、金型取り付け画面、温度画面、パージ中の動作画面、全/半自動の計量/充填・保圧画面、ロギング画面を含む。第2表示画面群に属する表示画面(その他画面)としては、例えば、監視設定画面、システム設定画面、言語設定画面、保守画面を含む。
【0100】
以下の説明において、図4に示すように、第1表示画面群10に属する表示画面として基本工程画面11~15を有し、第2表示画面群20に属する表示画面として、その他画面21~24を有するものとして説明する。また、基本工程画面11は金型取り付け画面であり、基本工程画面12は温度画面であり、基本工程画面13はパージ中の動作画面であり、基本工程画面14は全/半自動の計量/充填・保圧画面であり、基本工程画面15はロギング画面であるものとして説明する。また、その他画面21は監視設定画面であり、その他画面22はシステム設定画面であり、その他画面23は言語設定画面であり、その他画面24保守画面であるものとして説明する。
【0101】
ここで、金型取り付け画面(基本工程画面11)は、金型装置800を射出成形機1へ取り付ける際の設定をする表示画面である。温度画面(基本工程画面12)は、射出成形機1のシリンダ310の温度設定をする表示画面である。パージ中の動作画面(基本工程画面13)は、パージ動作を設定する表示画面である。全/半自動の計量/充填・保圧画面(基本工程画面14)は射出成形機1のスクリュ330の動作設定をする表示画面である。ロギング画面(基本工程画面15)は、成形品の品質データを管理する表示画面である。
【0102】
また、監視設定画面(その他画面21)は、射出成形機1の各動作の監視設定をする表示画面である。システム設定画面(その他画面22)は、射出成形機1の入出力信号や通信を設定する表示画面である。言語設定画面(その他画面23)は、画面に表示される言語を設定する表示画面である。保守画面(その他画面24)は、射出成形機1のメンテナンス設定をする表示画面である。
【0103】
図3に戻り、履歴生成部713は、表示装置760(後述する表示部762)に表示された表示画面の履歴を生成して、生成した履歴を記憶部714に記録する。
【0104】
記憶部714には、履歴生成部713で生成された履歴714aが記録される。
【0105】
また、記憶部714には、各表示画面がどの表示画面群(第1表示画面群、第2表示画面群)に属するかを示す判定テーブル714bが記憶されている。これにより、表示画面判定部712は、判定テーブル714bに基づいて、判定対象とする表示画面が、第1表示画面群に属する表示画面であるか、第2表示画面群に属する表示画面であるか、を判定する。
【0106】
また、基本工程画面11~15を用いて射出成形機1の成形条件を設定する際、推奨する順番が定められている。この推奨する順番は、推奨設定順情報714cとして、記憶部714に記憶されていてもよい。以下の説明において、推奨設定順情報714cには、基本工程画面11(金型取り付け画面)、基本工程画面12(温度画面)、基本工程画面13(パージ中の動作画面)、基本工程画面14(全/半自動の計量/充填・保圧画面)、基本工程画面15(ロギング画面)の順番が、推奨する順番として定められているものとして説明する。
【0107】
次に、表示装置760に表示される画面の一例について、図5を用いて説明する。図5は、表示装置760に表示される画面の一例である。ここでは、操作装置750および表示装置760は、タッチパネルで構成され、画面上に操作装置750としての操作ボタンが配置されている。
【0108】
表示装置760は、画面を表示する表示領域761を有する。表示領域761には、表示部762が設けられている。表示部762には、表示画面(基本工程画面11~15、その他画面21~25)に応じて設定項目等が表示される。ユーザは、表示部762に設けられるボタンを操作したり、入力欄に数値等を入力することにより、射出成形機の成形条件を入力することができる。また、表示部762に各種の情報が表示されることにより、ユーザは、設定等を確認することができる。
【0109】
また、表示領域761には、画面遷移ボタン751a~751iが設けられている。画面遷移ボタン751a~751iには、表示部762に表示される内容が対応付けされている。ユーザが画面遷移ボタン751aを操作することにより、表示部762が基本工程画面11に切り替わる。ユーザが画面遷移ボタン751bを操作することにより、表示部762が基本工程画面12に切り替わる。ユーザが画面遷移ボタン751cを操作することにより、表示部762が基本工程画面13に切り替わる。ユーザが画面遷移ボタン751dを操作することにより、表示部762が基本工程画面14に切り替わる。ユーザが画面遷移ボタン751eを操作することにより、表示部762が基本工程画面15に切り替わる。ユーザが画面遷移ボタン751fを操作することにより、表示部762がその他画面21に切り替わる。ユーザが画面遷移ボタン751gを操作することにより、表示部762がその他画面22に切り替わる。ユーザが画面遷移ボタン751hを操作することにより、表示部762がその他画面23に切り替わる。ユーザが画面遷移ボタン751iを操作することにより、表示部762がその他画面24に切り替わる。
【0110】
なお、図5に示す表示領域761においては、画面遷移ボタン751a~751iが設けられているものとして説明したが、これに限られるものではない。表示領域761には、少なくとも1つ以上の画面遷移ボタンが設けられていてもよい。また、表示領域761に設けられる画面遷移ボタンは、表示部762に表示される表示画面(基本工程画面11~15、その他画面21~25)ごとに異なっていてもよい。
【0111】
また、表示領域761には、前工程ボタン752が設けられている。ユーザが前工程ボタン752を操作することにより、表示部762が後述する処理(図7等)に基づいて決定された表示画面に切り替わる。
【0112】
また、表示部762には、設定確定ボタン753が設けられていてもよい。設定確定ボタン753は、表示部762で選択・入力等されたパラメータを確定させるボタンである。なお、パラメータの確定はこれに限られるものではなく、表示部762に表示される表示画面を切り替えた際にパラメータを確定する構成であってもよい。また、入力した時点でパラメータを確定させる構成であってもよい。
【0113】
次に、ユーザによる操作装置750の操作に基づいて、表示装置760の表示部762に表示する表示画面を切り替える制御装置700の処理について、図6から図14を用いて説明する。
【0114】
<第1動作例>
図6は、いずれかの画面遷移ボタン751a~751iが操作された場合における制御装置700の処理の一例を示すフローチャートである。
【0115】
ステップS101において、表示画面制御部711は、いずれかの画面遷移ボタン751a~751iが操作されたか否かを判定する。いずれかの画面遷移ボタン751a~751iが操作された場合(S101・Yes)、制御装置700の処理はステップS102に進む。画面遷移ボタン751a~751iが操作されていない場合(S101・No)、制御装置700の処理はステップS101を繰り返す。
【0116】
ステップS102において、表示画面制御部711は、表示部762を、操作された画面遷移ボタン(751a~751i)に対応する表示画面に切り替える。例えば、画面遷移ボタン751aが操作された場合、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面11を表示させる。例えば、画面遷移ボタン751fが操作された場合、表示画面制御部711は、表示部762にその他画面21を表示させる。
【0117】
ステップS103において、履歴生成部713は、表示部762に表示された表示画面の履歴を記憶部714に記録(追記書込)する。そして、図6に示す制御装置700の処理を終了する。
【0118】
図7は、前工程ボタン752が操作された場合における制御装置700の処理の一例を示すフローチャートである。
【0119】
ステップS201において、表示画面制御部711は、前工程ボタン752が操作されたか否かを判定する。前工程ボタン752が操作された場合(S201・Yes)、制御装置700の処理はステップS202に進む。前工程ボタン752が操作されていない場合(S201・No)、制御装置700の処理はステップS201を繰り返す。
【0120】
ステップS202において、表示画面制御部711は、記憶部714の履歴714aに基づいて、現在、表示部762に表示されている表示画面からひとつ前の表示画面を特定する。
【0121】
ステップS203において、表示画面判定部712は、特定された表示画面は、第1表示画面群10に属するか否かを判定する。第1表示画面群10に属する場合(S203・Yes)、制御装置700の処理はステップS205に進む。第1表示画面群10に属さない場合(S203・No)、制御装置700の処理はステップS204に進む。
【0122】
ステップS204において、表示画面制御部711は、記憶部714の履歴714aに基づいて、特定された表示画面からひとつ前の表示画面を新たに特定する。そして、制御装置700の処理はステップS203に戻る。
【0123】
ステップS205において、表示画面制御部711は、表示部762に表示する表示画面を、特定された表示画面に切り替える。そして、図7に示す制御装置700の処理を終了する。
【0124】
なお、ステップS201またはステップS204において、ひとつ前の表示画面がない場合、表示部762に表示する表示画面を切り替えずに制御装置700の処理を終了してもよい。
【0125】
図8は、表示画面の履歴及び前工程ボタン752を操作した際の表示画面を切り替えを説明する図である。
【0126】
ここでは、ユーザは、基本工程画面11、基本工程画面12、基本工程画面13、その他画面21、基本工程画面14、基本工程画面15、その他画面22、その他画面23の順番で表示部762に表示画面を表示させたものとして説明する。
【0127】
表示部762にその他画面23が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面15を表示させる。更に、表示部762に基本工程画面15が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面14を表示させる。更に、表示部762に基本工程画面14が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面13を表示させる。更に、表示部762に基本工程画面13が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面12を表示させる。更に、表示部762に基本工程画面12が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面11を表示させる。なお、表示部762に基本工程画面11が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作しても、表示部762に基本工程画面11を表示させる。
【0128】
以上のように、本実施形態に係る射出成形機1によれば、ユーザによって前工程ボタン752が操作されると、表示画面制御部711は、履歴714aに基づいて、直近の基本工程画面を表示させる。即ち、表示部762に表示されている表示画面が第2表示画面群20に属する表示画面(その他画面)の場合、前工程ボタン752が操作されることにより、最後に表示していた基本工程画面が表示部762に表示される。また、表示部762に表示されている画面が第1表示画面群10に属する表示画面(基本工程画面)の場合、前工程ボタン752が操作されることにより、1つ前に表示していた基本工程画面が表示部762に表示される。
【0129】
例えば、基本工程画面の設定中に、その他画面を表示させた場合、前工程ボタン752を操作することにより、直近の基本工程画面に戻ることができる。これにより、設定中の基本工程画面に速やかに戻ることができるので、設定のし忘れ等のヒューマンエラーを防止することができる。
【0130】
即ち、本実施形態に係る射出成形機1では、表示部762に表示した表示画面が、第1表示画面群10に属する表示画面(基本工程画面11~15)及び第2表示画面群20に属する表示画面(その他画面21~24)のどちらであっても、履歴714aとして記憶部714に記憶する。そして、前工程ボタン752が操作された際、履歴714aの後ろから(換言すれば、最後に表示された表示画面から順に)第1表示画面群10に属するか第2表示画面群20に属するかを判定して、第1表示画面群10に属する表示画面を表示させる。
【0131】
<第2動作例>
図9は、いずれかの画面遷移ボタン751a~751iが操作された場合における制御装置700の処理の一例を示すフローチャートである。
【0132】
ステップS301において、表示画面制御部711は、いずれかの画面遷移ボタン751a~751iが操作されたか否かを判定する。いずれかの画面遷移ボタン751a~751iが操作された場合(S301・Yes)、制御装置700の処理はステップS302に進む。画面遷移ボタン751a~751iが操作されていない場合(S301・No)、制御装置700の処理はステップS301を繰り返す。
【0133】
ステップS302において、表示画面制御部711は、表示部762に表示する表示画面を、操作された画面遷移ボタンに対応する表示画面に切り替える。
【0134】
ステップS303において、表示画面判定部712は、表示部762に表示する表示画面は、第1表示画面群10に属するか否かを判定する。第1表示画面群10に属する場合(S303・Yes)、制御装置700の処理はステップS304に進む。第1表示画面群10に属さない場合(S303・No)、図9に示す制御装置700の処理を終了する。
【0135】
ステップS304において、履歴生成部713は、表示部762に表示された表示画面の履歴を記憶部714に記録(追記書込)する。そして、図9に示す制御装置700の処理を終了する。即ち、第1表示画面群10に属する表示画面(基本工程画面11~15)を表示部762に表示した場合、履歴を記録し、第2表示画面群20に属する表示画面(その他画面21~24)を表示部762に表示した場合、履歴を記録しない。
【0136】
図10は、前工程ボタン752が操作された場合における制御装置700の処理の一例を示すフローチャートである。
【0137】
ステップS401において、表示画面制御部711は、前工程ボタン752が操作されたか否かを判定する。前工程ボタン752が操作された場合(S401・Yes)、制御装置700の処理はステップS402に進む。前工程ボタン752が操作されていない場合(S401・No)、制御装置700の処理はステップS401を繰り返す。
【0138】
ステップS402において、表示画面判定部712は、表示部762に表示されている表示画面は、第1表示画面群10に属するか否かを判定する。第1表示画面群10に属する場合(S402・Yes)、制御装置700の処理はステップS403に進む。第1表示画面群10に属さない場合(S402・No)、制御装置700の処理はステップS404に進む。
【0139】
ステップS403において、表示画面制御部711は、記憶部714の履歴714aに基づいて、現在、表示部762に表示されている表示画面(基本工程画面)からひとつ前の基本工程画面を特定する。そして、制御装置700の処理はステップS405に進む。
【0140】
ステップS404において、表示画面制御部711は、記憶部714の履歴714aに基づいて、最後の基本工程画面を特定する。そして、制御装置700の処理はステップS405に進む。
【0141】
ステップS405において、表示画面制御部711は、表示部762に表示する表示画面を、特定された基本工程画面に切り替える。そして、図7に示す制御装置700の処理を終了する。
【0142】
なお、ステップS403においてひとつ前の基本工程画面がない場合、または、ステップS404において履歴714aに基本工程画面がない場合、表示部762に表示する表示画面を切り替えずに制御装置700の処理を終了してもよい。
【0143】
第2動作例においても、第1動作例と同様に、ユーザによって前工程ボタン752が操作されると、表示画面制御部711は、履歴714aに基づいて、直近の基本工程画面を表示部762に表示させることができる。
【0144】
<第3動作例>
図11は、前工程ボタン752が操作された場合における制御装置700の処理の一例を示すフローチャートである。
【0145】
ステップS501において、表示画面制御部711は、前工程ボタン752が操作されたか否かを判定する。前工程ボタン752が操作された場合(S501・Yes)、制御装置700の処理はステップS502に進む。前工程ボタン752が操作されていない場合(S501・No)、制御装置700の処理はステップS501を繰り返す。
【0146】
ステップS502において、表示画面制御部711は、記憶部714の履歴714aとと推奨設定順情報714cに基づいて、最後順の基本工程画面を特定する。なお、推奨設定順情報714cは、予めユーザによって任意に設定される情報である。推奨設定順情報714cには、ユーザが指定した表示画面(基本工程画面11~15)の順番が記憶されている。
【0147】
ステップS503において、表示画面制御部711は、表示部762に表示する表示画面を、特定された基本工程画面に切り替える。そして、図7に示す制御装置700の処理を終了する。
【0148】
図12は、表示画面の履歴及び前工程ボタン752を操作した際の表示画面を切り替えを説明する図である。
【0149】
ここでは、ユーザは、基本工程画面11、基本工程画面12、基本工程画面13、その他画面21、基本工程画面14、基本工程画面12、基本工程画面11、その他画面22、その他画面23の順番で表示部762に表示画面を表示させたものとして説明する。
【0150】
また、推奨設定順情報714cとして、基本工程画面11、基本工程画面12、基本工程画面13、基本工程画面14、基本工程画面15の順番が、推奨する順番として定められているものとする。
【0151】
履歴714a及び推奨設定順情報714cを対比して示すように、推奨する順番のうち、基本工程画面11~14までが過去に表示されたと判定する。このため、表示部762にその他画面23が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面14を表示させる。更に、表示部762に基本工程画面14が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面13を表示させる。更に、表示部762に基本工程画面13が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面12を表示させる。更に、表示部762に基本工程画面12が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面11を表示させる。なお、表示部762に基本工程画面11が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作しても、表示部762に基本工程画面11を表示させる。
【0152】
第3動作例によれば、ユーザが前工程ボタン752を操作することにより、表示部762に表示された基本工程画面のうち、成形条件を設定する際の推奨する順番が最も後ろのもの(遅いもの)を表示させることができる。換言すれば、成形条件を設定する際の推奨する順番のうち、最後に表示された基本工程画面を表示させることができる。これにより、設定中の基本工程画面に容易に戻ることができる。
【0153】
<第4動作例>
図13は、前工程ボタン752が操作された場合における制御装置700の処理の一例を示すフローチャートである。
【0154】
ステップS601において、表示画面制御部711は、前工程ボタン752が操作されたか否かを判定する。前工程ボタン752が操作された場合(S601・Yes)、制御装置700の処理はステップS602に進む。前工程ボタン752が操作されていない場合(S601・No)、制御装置700の処理はステップS601を繰り返す。
【0155】
ステップS602において、表示画面制御部711は、記憶部714の履歴714aに基づいて、表示させる基本工程画面を特定する。ここで、履歴714aには、表示画面の遷移の履歴と、履歴中の基本工程画面において設定確定ボタン753が操作されたかを示すの設定確定情報と、を含む。即ち、履歴714aには、時系列順に表示画面の遷移の履歴が記憶されている。また、履歴中の表示画面に対して、表示画面における設定が確定しているか否かを示す設定確定情報が記憶されている。例えば、表示中の表示画面において、設定値を変更した後に設定確定ボタン753が操作された場合、その表示画面の履歴に対応して設定が確定済である旨の設定確定情報が記憶される。一方、表示中の表示画面において、設定確定ボタン753が操作せずに画面遷移ボタン751a~751iを操作した場合、その表示画面の履歴には設定が確定済でない旨の設定確定情報が記憶される。表示画面制御部711は、履歴714aに基づいて、設定が確定された基本工程画面の次の基本工程画面を特定する。
【0156】
ステップS603において、表示画面制御部711は、表示部762に表示する表示画面を、特定された基本工程画面に切り替える。そして、図7に示す制御装置700の処理を終了する。
【0157】
図14は、表示画面の履歴及び前工程ボタン752を操作した際の表示画面を切り替えを説明する図である。
【0158】
ここでは、ユーザは、基本工程画面11、基本工程画面12、基本工程画面13、その他画面21、基本工程画面14、基本工程画面15、その他画面22、その他画面23の順番で表示部762に表示画面を表示させたものとして説明する。また、基本工程画面11、基本工程画面12、基本工程画面13において、設定確定ボタン753が操作されたものとする。この確定情報は、表示画面の遷移とともに履歴714aに記憶されている。なお、図14では、設定確定を網掛けを付すことで図示している。
【0159】
図14に示す例においては、基本工程画面14及び基本工程画面15が表示されている際に、ユーザは設定確定ボタン753を操作していない。このため、表示部762にその他画面23が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、まず、表示画面制御部711は、履歴714aに基づいて、直近の設定が確定された基本工程画面13を特定する。次に、表示画面制御部711は、設定が確定された基本工程画面13の次の基本工程画面14を特定する。なお、ここで特定された基本工程画面14は、設定が確定されていない基本工程画面である。そして、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面14を表示させる。
【0160】
なお、基本工程画面14と基本工程画面13との間には、設定が確定されていない基本工程画面がない。この場合、表示部762に基本工程画面14が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面13を表示させる。更に、表示部762に基本工程画面13が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面12を表示させる。更に、表示部762に基本工程画面12が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作すると、表示画面制御部711は、表示部762に基本工程画面11を表示させる。なお、表示部762に基本工程画面11が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作しても、表示部762に基本工程画面11を表示させる。または、表示部762に基本工程画面14が表示されている状態において、ユーザが前工程ボタン752を操作しても、表示部762に基本工程画面14を表示させる構成であってもよい。
【0161】
第4動作例によれば、ユーザが前工程ボタン752を操作することにより、設定が確定した基本工程画面の次の基本工程画面を表示させることができる。これにより、設定が確定していない基本工程画面に戻ることができるので、推奨する順番に沿って成形条件を設定する際、どこまで設定が完了したかを容易に把握することができる。これにより、推奨する順番に沿って次に設定する基本工程画面15を容易に判別することができる。
【0162】
なお、ユーザが前工程ボタン752を操作することにより、設定が確定した基本工程画面を表示させる構成であってもよい。これにより、設定が確定した最後の基本工程画面に戻ることができるので、推奨する順番に沿って成形条件を設定する際、どこまで設定が完了したかを容易に把握することができる。
【0163】
以上、射出成形機1の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0164】
前工程ボタン752を操作して、表示部762に表示される表示画面に切り替えた後、画面遷移ボタン751a~751iを操作して表示画面を切り替えた際は、履歴生成部713は、特定された基本工程画面より後の履歴を削除した後に、表示部762に表示された表示画面の履歴を記憶部714に記録(追記書込)してもよい。
【符号の説明】
【0165】
10 第1表示画面群
11~15 基本工程画面
20 第2表示画面群
21~24 その他画面
700 制御装置
711 表示画面制御部
712 表示画面判定部
713 履歴生成部
714 記憶部
714a 履歴(履歴情報)
714b 判定テーブル
714c 推奨設定順情報
750 操作装置
751a~751i 画面遷移ボタン
752 前工程ボタン
753 設定確定ボタン
760 表示装置
761 表示領域
762 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14