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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】受変電設備の更新方法
(51)【国際特許分類】
   H02B 7/00 20060101AFI20231204BHJP
   H02B 7/06 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
H02B7/00
H02B7/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020017183
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2021125947
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高島 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】日置 一太郎
(72)【発明者】
【氏名】柏木 克巳
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-147143(JP,A)
【文献】特開2019-146444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 7/00
H02B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の特高受配電設備、高圧配電設備および低圧配電設備を含む複数の設備が電気室に配置された受変電設備の更新方法であって、
前記複数の設備のうち第1設備を前記電気室の既存の空きスペースに固定して新設する新設工程と、
既設の前記第1設備から新設の前記第1設備に接続および通電を切り換える切換工程と、
既設の前記第1設備を撤去して、前記電気室に新設の前記第1設備が設置されない空きスペースを作り出す撤去工程と、を有し、
前記複数の設備のそれぞれを順番に前記第1設備として、前記新設工程、前記切換工程および前記撤去工程が実施される、
受変電設備の更新方法。
【請求項2】
複数の特高受配電設備、高圧配電設備および低圧配電設備を含む複数の設備が電気室に配置された受変電設備の更新方法であって、
前記複数の設備のうち第1設備を前記電気室の既存の空きスペースに新設する新設工程と、
既設の前記第1設備から新設の前記第1設備に接続および通電を切り換える切換工程と、
既設の前記第1設備を撤去して、前記電気室に空きスペースを作り出す撤去工程と、を有し、
前記複数の設備のそれぞれを順番に前記第1設備として、前記新設工程、前記切換工程および前記撤去工程が実施され、
前記複数の特高受配電設備のそれぞれを順番に前記第1設備として、前記新設工程、前記切換工程および前記撤去工程が実施される、
受変電設備の更新方法。
【請求項3】
複数の特高受配電設備、高圧配電設備および低圧配電設備を含む複数の設備が電気室に配置された受変電設備の更新方法であって、
前記複数の設備のうち第1設備を前記電気室の既存の空きスペースに新設する新設工程と、
既設の前記第1設備から新設の前記第1設備に接続および通電を切り換える切換工程と、
既設の前記第1設備を撤去して、前記電気室に空きスペースを作り出す撤去工程と、を有し、
前記複数の設備のそれぞれを順番に前記第1設備として、前記新設工程、前記切換工程および前記撤去工程が実施され、
前記新設工程では、前記既存の空きスペースに存在する既設のチャンネルベースに対して、新設する前記第1設備のチャンネルベースが接続される、
受変電設備の更新方法。
【請求項4】
前記低圧配電設備は、複数の負荷に接続され、
前記低圧配電設備を前記第1設備として前記切換工程が実施されるとき、前記複数の負荷のそれぞれについて順番に、既設の前記低圧配電設備から新設の前記低圧配電設備への接続および通電の切り換えが実施される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の受変電設備の更新方法。
【請求項5】
前記新設工程では、前記第1設備が分割されて前記電気室に搬入される、
請求項1からのいずれか1項に記載の受変電設備の更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、受変電設備の更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受変電設備は、発電所から変電所を通して送られる高圧の電気を受け入れて、最終的に使用される電圧に変換する。7kVを超える特別高圧の電気を受け入れる受変電設備は、複数の特高受配電設備、高圧配電設備および低圧配電設備を有する。低圧配電設備は、負荷に対して給電する。受変電設備の更新作業には、負荷に対する給電容量の制限や停電などの負荷への影響を抑制することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-225364号公報
【文献】特開2011-64580号公報
【文献】特開2010-288428号公報
【文献】特開2000-294425号公報
【文献】特開平6-77068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、負荷への影響を抑制することができる受変電設備の更新方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の受変電設備の更新方法は、新設工程と、切換工程と、撤去工程と、を持つ。
受変電設備では、複数の特高受配電設備、高圧配電設備および低圧配電設備を含む複数の設備が電気室に配置される。新設工程では、複数の設備のうち第1設備が電気室の既存の空きスペースに固定して新設される。切換工程では、既設の第1設備から新設の第1設備に接続および通電が切り換えられる。撤去工程では、既設の第1設備が撤去され、電気室に新設の前記第1設備が設置されない空きスペースが作り出される。複数の設備のそれぞれを順番に第1設備として、新設工程、切換工程および撤去工程が実施される。

【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】更新前の受変電設備の平面図。
図2】更新後の受変電設備の平面図。
図3】実施形態の受変電設備の更新方法のフローチャート。
図4】高圧配電設備の新設工程、切換工程および撤去工程の説明図。
図5】高圧配電設備の+X側の配電盤の新設チャンネルベースの平面図。
図6図5のVI-VI線における断面図。
図7】高圧配電設備の-X側の配電盤の新設チャンネルベースの平面図。
図8図7のVIII-VIII線における断面図。
図9】第1特高受配電設備の新設工程および切換・撤去工程の説明図。
図10】第1特高受配電設備の正面図。
図11】第1特高受配電設備の側面図。
図12】第2特高受配電設備の新設工程および切換・撤去工程の説明図。
図13】第3特高受配電設備の新設工程および切換・撤去工程の説明図。
図14】低圧配電設備の新設工程、切換工程および撤去工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の受変電設備の更新方法を、図面を参照して説明する。
図1は、更新前の受変電設備の平面図である。本願において、直交座標系のZ方向、X方向およびY方向が以下のように定義される。Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は上方向である。X方向およびY方向は水平方向である。例えば、X方向は電気室1において複数の設備10,20,30が並ぶ方向である。Y方向は、複数の設備10,20,30の奥行方向である。
【0008】
電気室1は、公共・商業施設のビルなどに設けられる。電気室1は、搬入口2と、柱3と、を有する。搬入口2は、-Y方向の壁におけるX方向の中央部に設けられている。
電気室1の内部には、受変電設備5が配置される。受変電設備5は、発電所から変電所を通して送られる高圧の電気を受け入れて、最終的に使用される電圧に変換する。実施形態の受変電設備5は、7kVを超える特別高圧の電気を受け入れる。受変電設備5は、特高受配電設備10、高圧配電設備20および低圧配電設備30などの、複数の設備を有する。特高受配電設備10、高圧配電設備20および低圧配電設備30は、変電所から受け入れた電気を順に降圧する。特高受配電設備10は、外部の変電所等に接続されている(不図示)。低圧配電設備30は、公共・商業施設において電気を消費する複数の負荷L1,L2に接続されている。
【0009】
受変電設備5は、3回線スポットネットワーク受電設備である。3回線スポットネットワーク受電設備は、常に3回線の特別高圧配電線から受電し、変圧器の2次側を連系した受電設備である。1回線または2回線の受電により、公共・商業施設の負荷L1,L2への給電を賄うことが可能である。そのため、3回線スポットネットワーク受電設備は、配電線の1回線が停止しても、負荷L1,L2への給電を賄うことができる。3回線の受電のため、特高受配電設備10は、第1特高受配電設備11、第2特高受配電設備12および第3特高受配電設備13の、複数の特高受配電設備を有する。
【0010】
本願において、更新前(既設)の設備およびケーブルの符号の末尾にはeが付される。更新後(新設)の設備およびケーブルの符号の末尾にはnが付される。更新中に一時的に設置されるケーブルの符号の末尾にはmが付される。
【0011】
図1に示されるように、更新前の受変電設備5eでは、既設の特高受配電設備10e、高圧配電設備20eおよび低圧配電設備30eが、この順でX方向に並んで配置されている。特高受配電設備10eは、第1特高受配電設備11e、第2特高受配電設備12eおよび第3特高受配電設備13eをY方向に並べて構成されている。既設の高圧配電設備20eおよび低圧配電設備30eは、複数の配電盤をY方向に並べて構成されている。複数の特高受配電設備11e,12e,13eと、高圧配電設備20eとの間が、複数の高圧ケーブル16e,17e,18eにより接続されている。高圧配電設備20eと、低圧配電設備30eとの間が、低圧ケーブル25eにより接続されている。低圧配電設備30eは、複数の負荷L1,L2に対して、複数の負荷ケーブル36e,37eにより接続されている。電気室1の-Y方向の壁に沿って、コンデンサ設備7が配置されている。高圧配電設備20eと低圧配電設備30eとの間に配置されていた既設のコンデンサ設備は撤去されている。その結果、高圧配電設備20eと低圧配電設備30eとの間には、空きスペースである第1スペースA1が存在する。
【0012】
図2は、更新後の受変電設備の平面図である。更新後の受変電設備5nでは、新設の低圧配電設備30n、特高受配電設備10nおよび高圧配電設備20nが、この順でX方向に並んで配置されている。新設の高圧配電設備20nは、複数の配電盤をX方向およびY方向に並べて構成されている。複数の特高受配電設備11n,12n,13nと、高圧配電設備20nとの間が、複数の高圧ケーブル16n,17n,18nにより接続されている。高圧配電設備20nと、低圧配電設備30nとの間が、低圧ケーブル25nにより接続されている。低圧配電設備30nは、更新前と同じ複数の負荷L1,L2に対して、複数の負荷ケーブル36n,37nにより接続されている。
【0013】
図3は、実施形態の受変電設備の更新方法のフローチャートである。実施形態の受変電設備5の更新方法では、複数の設備10,20,30のそれぞれを順番に第1設備として、新設工程、切換工程および撤去工程が実施される。新設工程では、第1設備が電気室1の空きスペースに新設される。切換工程では、既設の第1設備から新設の第1設備へと接続および通電が切り換えられる。撤去工程では、既設の第1設備が撤去され、電気室1に空きスペースが作り出される。
【0014】
図3に示されるように、高圧配電設備20を第1設備として、新設工程S1、切換工程S2および撤去工程S3が実施される。
図4は、高圧配電設備の新設工程、切換工程および撤去工程の説明図である。高圧配電設備20の新設工程S1では、電気室1の第1スペースA1に高圧配電設備20nが新設される。新設された高圧配電設備20nの試験調整が実施される。
【0015】
図5は、高圧配電設備の+X側の配電盤の新設チャンネルベースの平面図である。図6は、図5のVI-VI線における断面図である。図6に示されるように、新設の高圧配電設備20nの配電盤は、C形鋼で形成される新設チャンネルベース50に固定される。図5に示されるように、新設チャンネルベース50は、C形鋼を矩形状に組み合わせて構成される。図6に示されるように、第1スペースA1には、既に撤去されたコンデンサ設備の既設チャンネルベース40が存在している。既設チャンネルベース40は、床面FLに埋め込まれている。既設チャンネルベース40を撤去して新設チャンネルベース50を床面FLに埋め込む作業は、多くの時間とコストを必要とする。実施形態では、新設チャンネルベース50が既設チャンネルベース40に固定される。
【0016】
前述されたように、新設の高圧配電設備20nは、複数の配電盤をX方向およびY方向に並べて構成されている(図2参照)。高圧配電設備20nの+X側の配電盤は、図5に示される新設チャンネルベース50aに固定される。図6に示されるように、新設チャンネルベース50aの+X方向のC形鋼が、既設チャンネルベース40のC形鋼の上方に重ねて配置される。この部分では、新設チャンネルベース50aが既設チャンネルベース40に対し、直接的に固定される。既設チャンネルベース40には、固定ボス42が既設されている。固定ボス42の上方に、新設チャンネルベース50aの固定板51が配置される。固定板51は、新設チャンネルベース50aのC形鋼の開口を跨ぐように配置され、溶接等により新設チャンネルベース50aに固定される。固定板51は、基礎ボルト52により固定ボス42に固定される。図5に示されるように、固定板51の上方のC形鋼に大径孔54が形成される。大径孔54を通って基礎ボルト52の締結作業が実施される。
【0017】
図5に示されるように、新設チャンネルベース50aの-X方向のC形鋼の下方には、既設の固定ボス42が存在しない。この部分では、既設チャンネルベース40に固定ボス43が新設される。前述されたように、新設チャンネルベース50aの固定板51が、基礎ボルト53により固定ボス43に固定される。
以上により、新設チャンネルベース50aが既設チャンネルベース40に固定される。図6に示されるように、高圧配電設備20nの+X側の配電盤は、固定ボルト29により新設チャンネルベース50aに固定される。
【0018】
図7は、高圧配電設備の-X側の配電盤の新設チャンネルベースの平面図である。図8は、図7のVIII-VIII線における断面図である。高圧配電設備20nの-X側の配電盤は、図7に示される新設チャンネルベース50bに固定される。前述された+X側の配電盤用の新設チャンネルベース50aの-X方向に隣接して、-X側の配電盤の新設チャンネルベース50bが配置される。図7に示されるように、新設チャンネルベース50bの+X方向のC形鋼の下方には、既設の固定ボス42が存在しない。この部分では、既設チャンネルベース40に固定ボス43が新設される。前述されたように、新設チャンネルベース50aの固定板51が、基礎ボルト53により固定ボス43に固定される。
【0019】
新設チャンネルベース50bの-X方向のC形鋼の下方にも、既設の固定ボス42が存在しない。既設の固定ボス42は、新設チャンネルベース50bから-X方向に離れて存在する。この部分では、新設チャンネルベース50bが既設チャンネルベース40に対し、Lアングル金具60等の接続部材を介して間接的に固定される。図8に示されるように、既設チャンネルベース40の固定ボス42の上方に、Lアングル金具60の第1板が配置される。Lアングル金具60の第1板は、基礎ボルト62により固定ボス42に固定される。新設チャンネルベース50の-X方向の側面に沿って、Lアングル金具60の第2板が配置される。新設チャンネルベース50には、固定ボス57が新設される。Lアングル金具60の第2板は、基礎ボルト67により固定ボス47に固定される。これにより、新設チャンネルベース50が既設チャンネルベース40に対し、Lアングル金具60を介して固定される。
以上により、新設チャンネルベース50bが既設チャンネルベース40に固定される。高圧配電設備20nの-X側の配電盤は、固定ボルト29により新設チャンネルベース50bに固定される。
【0020】
以上により、第1スペースA1に高圧配電設備20nが新設される。既設チャンネルベース40を利用することにより、高圧配電設備20nの新設工程S1の時間およびコストが抑制される。既設チャンネルベース40を撤去しないので、撤去作業に伴う受変電設備5の破損が回避される。撤去時の振動に伴う受変電設備5の誤動作が回避される。
後述される複数の特高受配電設備11,12,13の新設工程S4,S6,S8および低圧配電設備30の新設工程S10でも同様に、既設チャンネルベース40が利用される。
【0021】
図3に示されるように、高圧配電設備20の切換工程S2では、既設の高圧配電設備20eから新設の高圧配電設備20eに接続および通電が切り換えられる。図4に示されるように、複数の特高受配電設備11e,12e,13eと新設の高圧配電設備20nとが、複数の高圧ケーブル16m,17m,18mで接続される。新設の高圧配電設備20nと低圧配電設備30eとが低圧ケーブル25mで接続される。新設の高圧配電設備20nの通電が開始される。既設の高圧配電設備20eの通電が停止される。複数の特高受配電設備11e,12e,13eと既設の高圧配電設備20nとを接続する複数の高圧ケーブル16e,17e,18eが撤去される。既設の高圧配電設備20eと低圧配電設備30eとを接続する低圧ケーブル25eが撤去される。
【0022】
高圧配電設備20の撤去工程S3では、既設の高圧配電設備20eが撤去される。これにより、特高受配電設備10eと新設の高圧配電設備20nとの間に、新たな空きスペースである第2スペースA2が作り出される。
【0023】
図3に示されるように、複数の特高受配電設備11,12,13のそれぞれを順番に第1設備として、新設工程、切換工程および撤去工程が実施される。最初に、第1特高受配電設備11を第1設備として、新設工程S4および切換・撤去工程S5が実施される。
図9は、第1特高受配電設備の新設工程および切換・撤去工程の説明図である。第1特高受配電設備11の新設工程S4では、電気室1の第2スペースA2に第1特高受配電設備11nが新設される。新設された第1特高受配電設備11nの試験調整が実施される。
【0024】
第1特高受配電設備11nは、搬入口2から電気室1に搬入され、各設備と柱3との間を通過して第2スペースA2に配置される。第1特高受配電設備11nのサイズは大きい。そのため、第1特高受配電設備11nは、各設備と柱3との間を通過しにくい。
図10は、第1特高受配電設備の正面図である。図11は、第1特高受配電設備の側面図である。第1特高受配電設備11nは、分割されて電気室1に搬入される。図10に示されるように、第1特高受配電設備11nは、第1分割部D1および第2分割部D2においてY方向に分割される。第1特高受配電設備11nは、第3分割部D3においてZ方向に分割される。図11に示されるように、第1特高受配電設備11nは、第4分割部D4においてX方向に分割される。分割された第1特高受配電設備11nは、各設備と柱3との間を通過することができる。分割された第1特高受配電設備11nは、電気室1で組み立てられて第2スペースA2に設置される。
【0025】
図9に示されるように、第1特高受配電設備11nの内部には第1トランス11tが配置される。第1トランス11tも分割されて電気室1に搬入される。第1トランス11tの組み立てには広いスペースを必要とする。第2スペースA2には、第1特高受配電設備11nの設置スペースの他に、広いスペースが存在する。第1特高受配電設備11nは、第2スペースA2で組み立てられて、第1特高受配電設備11nの内部に配置される。
【0026】
第1特高受配電設備11の切換・撤去工程S5では、既設の第1特高受配電設備11eから新設の第1特高受配電設備11nに接続および通電が切り換えられる。新設の第1特高受配電設備11nと高圧配電設備20nとが、高圧ケーブル16nで接続される。新設の第1特高受配電設備11nの通電が開始される。既設の第1特高受配電設備11eの通電が停止される。既設の第1特高受配電設備11eと高圧配電設備20nとを接続する高圧ケーブル16mが撤去される。
既設の第1特高受配電設備11eが撤去される。撤去された領域に、新たな空きスペースである第3スペースA3が作り出される。
第1特高受配電設備11の切換・撤去工程S5は、後述される第2特高受配電設備12の切換・撤去工程S7において実施されてもよい。
【0027】
第2特高受配電設備12を第1設備として、新設工程S6および切換・撤去工程S7が実施される。
図12は、第2特高受配電設備の新設工程および切換・撤去工程の説明図である。第2特高受配電設備12の新設工程S6では、電気室1の第2スペースA2に第2特高受配電設備12nが新設される。第1特高受配電設備11nと同様に、第2特高受配電設備12nも分割されて電気室1に搬入される。分割された第2特高受配電設備12nは、電気室1で組み立てられて第2スペースA2に設置される。
第2特高受配電設備12nの内部には第2トランス12tが配置される。第2トランス12tも分割されて電気室1に搬入される。第2トランス12tは、第2スペースA2または第3スペースA3で組み立てられて、第2特高受配電設備12nの内部に配置される。
新設された第2特高受配電設備12nの試験調整が実施される。
【0028】
第2特高受配電設備12の切換・撤去工程S7では、既設の第2特高受配電設備12eから新設の第2特高受配電設備12nに接続および通電が切り換えられる。新設の第2特高受配電設備12nと高圧配電設備20nとが、高圧ケーブル17nで接続される。新設の第2特高受配電設備12nの通電が開始される。既設の第2特高受配電設備12eの通電が停止される。既設の第2特高受配電設備12eと高圧配電設備20nとを接続する高圧ケーブル17mが撤去される。
既設の第2特高受配電設備12eが撤去される。これにより、新たな空きスペースが作り出されて第3スペースA3が広がる。
【0029】
第3特高受配電設備13を第1設備として、新設工程S8および切換・撤去工程S9が実施される。
図13は、第3特高受配電設備の新設工程および切換・撤去工程の説明図である。第3特高受配電設備13の新設工程S8では、電気室1の第2スペースA2に第3特高受配電設備13nが新設される。第1特高受配電設備11nと同様に、第3特高受配電設備13nも分割されて電気室1に搬入される。分割された第3特高受配電設備13nは、電気室1で組み立てられて第2スペースA2に設置される。
第3特高受配電設備13nの内部には第3トランス13tが配置される。第3トランス13tも分割されて電気室1に搬入される。第3トランス13tは、第3スペースA3で組み立てられて、第3特高受配電設備13nの内部に配置される。
新設された第3特高受配電設備13nの試験調整が実施される。
【0030】
第3特高受配電設備13nの切換・撤去工程S9では、既設の第3特高受配電設備13eから新設の第3特高受配電設備13nに接続および通電が切り換えられる。新設の第3特高受配電設備13nと高圧配電設備20nとが、高圧ケーブル18nで接続される。新設の第3特高受配電設備13nの通電が開始される。既設の第3特高受配電設備13eの通電が停止される。既設の第3特高受配電設備13eと高圧配電設備20nとを接続する高圧ケーブル18mが撤去される。
既設の第3特高受配電設備13eが撤去される。これにより、新たな空きスペースが作り出されて第3スペースA3が広がる。
【0031】
特高受配電設備10の新設工程S4,S6,S8では、既設の特高受配電設備10eに隣り合う第2スペースA2に特高受配電設備10nが新設される。特高受配電設備10の撤去工程S5,S7,S9では、既設の特高受配電設備10eが撤去されて第3スペースA3が作り出される。トランスは、第2スペースA2または第3スペースA3で組み立てられて、第2スペースA2の特高受配電設備10nの内部に配置される。これにより、特高受配電設備10の更新作業が円滑に実施され、更新作業の時間およびコストが抑制される。
【0032】
図3に示されるように、低圧配電設備30を第1設備として、新設工程S10、切換工程S11および撤去工程S12が実施される。
図14は、低圧配電設備の新設工程、切換工程および撤去工程の説明図である。低圧配電設備30の新設工程S10では、電気室1の第3スペースA3に低圧配電設備30nが新設される。第1特高受配電設備11nと同様に、低圧配電設備30nもX方向およびY方向に分割されて電気室1に搬入される。分割された低圧配電設備30nは、電気室1で組み立てられて第3スペースA3に設置される。新設された低圧配電設備30nの試験調整が実施される。
【0033】
低圧配電設備30の切換工程S11では、既設の低圧配電設備30eから新設の低圧配電設備30nに接続および通電が切り換えられる。低圧ケーブル25mの接続が、高圧配電設備20nの正規端子から予備端子に切り換えられる。高圧配電設備20nの正規端子と新設の低圧配電設備30nとが、低圧ケーブル25nで接続される。既設の低圧配電設備30eと並列に、新設の低圧配電設備30nの通電が開始される。
【0034】
新設の低圧配電設備30nと第1負荷L1とが、新設の第1負荷ケーブル36nで接続される。新設の低圧配電設備30nから第1負荷L1への通電が開始される。既設の低圧配電設備30eから第1負荷L1への通電が停止される。既設の低圧配電設備30eと第1負荷L1とを接続する既設の第1負荷ケーブル36eが撤去される。他の負荷についても順番に、同様の作業が実施される。新設の低圧配電設備30nから全ての負荷への通電が開始されたら、既設の低圧配電設備30eの通電が停止される。高圧配電設備20nと既設の低圧配電設備30eとを接続する低圧ケーブル25mが撤去される。
【0035】
低圧配電設備30の撤去工程S12では、既設の低圧配電設備30eが撤去される。以上により、図2の状態になり、受配電設備5の更新が完了する。
【0036】
以上に詳述されたように、実施形態の受変電設備5の更新方法は、新設工程と、切換工程と、撤去工程と、を持つ。受変電設備5では、複数の特高受配電設備11,12,13、高圧配電設備20および低圧配電設備30を含む複数の設備が電気室1に配置される。新設工程では、複数の設備のうち第1設備が電気室1の既存の空きスペースに新設される。切換工程では、既設の第1設備から新設の第1設備に接続および通電が切り換えられる。撤去工程では、既設の第1設備が撤去され、電気室1に空きスペースが作り出される。複数の設備のそれぞれを順番に第1設備として、新設工程、切換工程および撤去工程が実施される。
【0037】
比較例の受変電設備の更新方法では、既設の第1設備の通電が停止され、既設の第1設備が撤去されて、空きスペースが作り出される。その空きスペースに第1設備が新設されて、新設の第1設備の通電が開始される。比較例の受変電設備の更新方法では、第1設備の通電停止が長時間になり、負荷への影響が大きい。
【0038】
実施形態の受変電設備5の更新方法では、新設工程において既存の空きスペースに第1設備が新設されるので、既設の第1設備と新設の第1設備とが併存する。切換工程では、既設の第1設備の通電停止と新設の第1設備の通電開始とを連続的に実施することができる。これにより、第1設備の通電停止が短時間に抑制される。撤去工程では、既設の第1設備が撤去されて新たな空きスペースが作り出される。複数の設備のそれぞれを順番に第1設備として、新設工程、切換工程および撤去工程が実施される。これにより、複数の設備の通電停止を短時間に抑制しながら更新作業が行われる。したがって、負荷への影響を抑制することができる。
【0039】
複数の特高受配電設備11,12,13のそれぞれを順番に第1設備として、新設工程、切換工程および撤去工程が実施される。
例えば、3回線スポットネットワーク受電設備は、3個の特高受配電設備11,12,13を有する。3個の特高受配電設備11,12,13のそれぞれを順番に更新することにより、常に2回線分の受電が維持される。これにより、負荷への給電を維持することができる。更新中の1回線分の特高受配電設備の通電停止が短時間に抑制されるので、3回線の配電線のうち1回線が停止することによるリスクは小さい。したがって、負荷への影響が抑制される。
【0040】
低圧配電設備30は、複数の負荷L1,L2に接続される。低圧配電設備30を第1設備として切換工程が実施されるとき、複数の負荷L1,L2のそれぞれについて順番に、既設の低圧配電設備30eから新設の低圧配電設備30nへの接続および通電の切り換えが実施される。
これにより、複数の負荷L1,L2のそれぞれについて順番に、既設の低圧配電設備30eから新設の低圧配電設備30nへの切り換えが実施される。このとき、他の負荷への通電は維持される。したがって、負荷への影響が抑制される。
【0041】
新設工程では、第1設備が分割されて電気室1に搬入される。
分割された第1設備は、電気室1で組み立てられて空きスペースに設置される。これにより、電気室1のレイアウトに制約がある場合でも、電気室1に第1設備を設置することができる。
【0042】
新設工程では、既存の空きスペースに存在する既設チャンネルベース40に対して、新設する第1設備の新設チャンネルベース50が接続される。
既設のチャンネルベース40を新設のチャンネルベース50に置き換える場合と比べて、更新作業の時間およびコストが抑制される。
【0043】
実施形態の受変電設備の更新方法では、高圧配電設備20、特高受配電設備10、低圧配電設備30の順番で更新作業が実施される。これ以外の順番で受変電設備の更新方法が実施されてもよい。
【0044】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数の設備のそれぞれを順番に第1設備として、新設工程、切換工程および撤去工程が実施される。新設工程では、第1設備が電気室1の既存の空きスペースに新設される。撤去工程では、既設の第1設備が撤去され、電気室1に空きスペースが作り出される。これにより、複数の設備の通電停止を短時間に抑制しながら更新作業が行われるので、負荷への影響を抑制することができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
A1…第1スペース(空きスペース)、L1,L2…負荷、1…電気室、5…受変電設備、10,10e,10n…特高受配電設備、11,11e,11n…第1特高受配電設備、12,12e,12n…第2特高受配電設備、13,13e,13n…第3特高受配電設備、20,20e,20n…高圧配電設備、30,30e,30n…低圧配電設備、40…既設チャンネルベース、50…新設チャンネルベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14