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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】ラゲッジボード
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020027814
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021130432
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 圭一郎
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-132028(JP,A)
【文献】特開平09-028745(JP,A)
【文献】特開2014-180876(JP,A)
【文献】特開2014-065305(JP,A)
【文献】登録実用新案第3091886(JP,U)
【文献】特開平08-142667(JP,A)
【文献】特開2000-301639(JP,A)
【文献】実開昭62-127830(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04
B32B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の小部屋に仕切られた空洞部を内蔵するボード本体と、前記ボード本体の外面を被覆する被覆シートと、を備えてなり、車両の荷室の開口を閉塞するラゲッジボードにおいて、
前記被覆シートは通気性を有し、
前記複数の小部屋には脱臭材が収容されているラゲッジボード。
【請求項2】
前記ボード本体は、裏側に膨出し、かつ表側に開口を有する複数の膨出部が形成された凹凸プレートを含んでなり、
前記複数の膨出部の内側が前記複数の小部屋になっている請求項1に記載のラゲッジボード。
【請求項3】
前記凹凸プレートの前記複数の膨出部は、相互に面一な先端面を有し、
前記ボード本体には、前記凹凸プレートの裏側に重ねられて、前記複数の膨出部の前記先端面に固着した裏側プレートが含まれている請求項2に記載のラゲッジボード。
【請求項4】
前記裏側プレートは、通気性を有し、
前記裏側プレートと前記凹凸プレートにおける前記複数の膨出部間に形成された空間に脱臭材が収容されると共に、前記裏側プレートと前記凹凸プレートとの外縁同士の間の側面開口を閉塞する側面閉塞部材を備える請求項3に記載のラゲッジボード。
【請求項5】
前記ボード本体には、通気性を有し、前記凹凸プレートの表側に重ねられて、前記複数の膨出部を覆う表側プレートが含まれている請求項2から4の何れか1の請求項に記載のラゲッジボード。
【請求項6】
前記ボード本体は、その厚さ方向と平行な仕切壁で前記複数の小部屋同士の間が仕切られたハニカム構造のハニカムプレートを含んでなり、
前記ハニカムプレートの表裏の両面が前記被覆シートで覆われる請求項1に記載のラゲッジボード。
【請求項7】
前記ボード本体は、その厚さ方向と平行な仕切壁で前記複数の小部屋同士の間が仕切られたハニカム構造のハニカムプレートを含んでなり、
前記ハニカムプレートの表裏の一方の面のみが前記被覆シートで覆われると共に、前記ハニカムプレートの表裏の他方の面が補強プレートで覆われている請求項1に記載のラゲッジボード。
【請求項8】
前記ボード本体は、その厚さ方向と平行な仕切壁で前記複数の小部屋同士の間が仕切られたハニカム構造のハニカムプレートを含んでなり、
前記ハニカムプレートの表裏の両面が補強プレートで覆われ、少なくとも一方の前記補強プレートが通気性を有している請求項1に記載のラゲッジボード。
【請求項9】
接着剤の一部が、前記小部屋に収容される前記脱臭材の一部と接している請求項1から8の何れか1の請求項に記載のラゲッジボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の荷室の開口を閉塞するラゲッジボード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内や車内を脱臭するものとして、活性炭等の脱臭材が容器に収容された脱臭用品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実登第3021757号(段落番号[0006])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の脱臭用品は、搭乗者や荷物の邪魔になったり、走行時に転がって設置場が安定しないという問題を生じさせていた。そこで、これらの問題を解決するための新たな技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた発明の第1態様は、複数の小部屋に仕切られた空洞部を内蔵するボード本体と、前記ボード本体の外面を被覆する被覆シートと、を備えてなり、車両の荷室の開口を閉塞するラゲッジボードにおいて、前記被覆シートは通気性を有し、前記複数の小部屋には脱臭材が収容されているラゲッジボードである。
【0006】
発明の第2態様は、前記脱臭材は、各前記小部屋に複数ずつ収容されている第1態様に記載のラゲッジボードである。
【0007】
発明の第3態様は、前記ボード本体は、裏側に膨出し、かつ表側に開口を有する複数の膨出部が形成された凹凸プレートを含んでなり、前記複数の膨出部の内側が前記複数の小部屋になっている第1態様又は第2態様に記載のラゲッジボードである。
【0008】
発明の第4態様は、前記凹凸プレートの前記複数の膨出部は、相互に面一な先端面を有し、前記ボード本体には、前記凹凸プレートの裏側に重ねられて、前記複数の膨出部の前記先端面に固着した裏側プレートが含まれている第3態様に記載のラゲッジボードである。
【0009】
発明の第5態様は、前記裏側プレートは、通気性を有し、前記裏側プレートと前記凹凸プレートにおける前記複数の膨出部間に形成された空間に脱臭材が収容されると共に、前記裏側プレートと前記凹凸プレートとの外縁同士の間の側面開口を閉塞する側面閉塞部材を備える第4態様に記載のラゲッジボードである。
【0010】
発明の第6態様は、前記ボード本体には、通気性を有し、前記凹凸プレートの表側に重ねられて、前記複数の膨出部を覆う表側プレートが含まれている第3態様から第5態様の何れか1の態様に記載のラゲッジボードである。
【0011】
発明の第7態様は、前記ボード本体は、その厚さ方向と平行な仕切壁で前記複数の小部屋同士の間が仕切られたハニカム構造のハニカムプレートを含んでなり、前記ハニカムプレートの表裏の両面が前記被覆シートで覆われる第1態様又は第2態様に記載のラゲッジボードである。
【0012】
発明の第8態様は、前記ボード本体は、その厚さ方向と平行な仕切壁で前記複数の小部屋同士の間が仕切られたハニカム構造のハニカムプレートを含んでなり、前記ハニカムプレートの表裏の一方の面のみが前記被覆シートで覆われると共に、前記ハニカムプレートの表裏の他方の面が補強プレートで覆われている第1態様又は第2態様に記載のラゲッジボードである。
【0013】
発明の第9態様は、前記ボード本体は、その厚さ方向と平行な仕切壁で前記複数の小部屋同士の間が仕切られたハニカム構造のハニカムプレートを含んでなり、前記ハニカムプレートの表裏の両面が前記補強プレートで覆われ、少なくとも一方の前記補強プレートが通気性を有している第1態様又は第2態様に記載のラゲッジボードである。
【0014】
発明の第10態様は、接着剤の一部が、前記小部屋に収容される前記脱臭材の一部と接している第1態様から第9態様の何れか1の態様に記載のラゲッジボードである。
【0015】
発明の第11態様は、複数の小部屋に仕切られた空洞部を内蔵するボード本体と、前記ボード本体の外面を被覆する被覆シートとを備えてなり、車両の荷室の開口を閉塞するラゲッジボードの製造方法であって、前記複数の小部屋に脱臭材が収容され、前記被覆シートとして通気性を有するものが使用され、前記ラゲッジボードの作製に使用される接着剤の一部が、前記複数の小部屋に収容される前記脱臭材の一部と接するラゲッジボードの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
発明の第1態様のラゲッジボードによれば、ボード本体の複数の小部屋に脱臭材を収容することで脱臭用品として機能するので、搭乗者や荷物の邪魔にならず、かつ安定性に優れている。また、小部屋に収容する脱臭材を複数とすることで、脱臭材の比表面積が高くなり脱臭効果を向上させることができる(発明の第2態様)。
【0017】
ボード本体には、発明の第3態様のように、1枚のシートが賦形されて複数の膨出部が成形され、それら膨出部の内側が小部屋になった凹凸プレートが含まれている。また、凹凸プレートは、波形に賦形されて波同士の間が小部屋となっている構造であってもよい。さらに、ボード本体の小部屋は、凹凸プレートによって形成されていなくてもよく、発明の第7態様のようにハニカムプレートによって形成されていてもよい。
【0018】
また、発明の第4態様の構造のように凹凸プレートの複数の膨出部が突出する側に裏側プレートを重ねて固着した構造とすれば、それら凹凸プレートと裏側プレートとから、軽量で、かつ曲げ強度が高い層が形成され、ラゲッジボード全体の曲げ強度を向上させることができる。さらに、発明の第6態様の構造のように凹凸プレートの表裏面にそれぞれ表側プレートと裏側プレートとを配置することで、ラゲッジボード全体の曲げ強度をより向上させることができる。ここで、発明の第5態様の構造のように、裏側プレートと凹凸プレートとの間には脱臭材が収容されていてもよい。
【0019】
発明の第8態様の構造のようにハニカムプレートの表裏の少なくとも一方の面を補強プレートで覆うことによっても、軽量で、かつ曲げ強度が高い層が形成され、ラゲッジボード全体の曲げ強度を向上させることができる。また、発明の第9態様の構造のようにハニカムプレートの表裏の両面を補強プレートで覆うことで、ラゲッジボード全体の曲げ強度をより向上させることができる。
【0020】
また、発明の第10態様のラゲッジボードによれば、接着剤の一部がボード本体の小部屋の一部と接する。これにより、小部屋内での脱臭材の跳ね上がりや振動が規制される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の第1実施形態に係るラゲッジボードを備える車両の荷室の斜視図
図2】荷室及びラゲッジボードの断面図
図3】ラゲッジボードの断面図
図4】凹凸プレートの(A)下面側斜視図、(B)平面図
図5】第1実施形態に係るラゲッジボードの変形例の断面図
図6】第2実施形態のラゲッジボードの断面図
図7】ハニカムプレートの斜視図
図8】第3実施形態のラゲッジボードの断面図
図9】第4実施形態の(A)ラゲッジボードの断面図、(B)凹凸プレートの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、図1図5を参照して、第1実施開示の第1実施形態に係るラゲッジボード10について説明する。図1に示された車両90の荷室は、所謂トランクルームと呼ばれる上側荷室91の下方に、下側荷室92を備える。また、図2に示すように、上側荷室91の底面91Aのうち外縁部を除く略全体は、下側荷室92の開口92Kになっている。そして、第1実施形態のラゲッジボード10が、例えば、上側荷室91の底面91Aの全体に重ねられて、下側荷室92の開口92Kを閉塞している。また、下側荷室92は、その底面と垂直な支持壁93によって、複数の収容空間に分けられている。支持壁93は、上側荷室91の底面91Aと同じ高さまで延びていて、ラゲッジボード10の中央部を下方から支持している。
【0023】
ここで、一般に、車両の荷室の開口を閉塞するボードは、「ラゲッジボード」と「デッキボード」とに区別され、外縁部を下方から支持されると共に外縁部以外の部位を荷室に備えた支持壁によって支持されるものは「ラゲッジボード」と呼ばれる。これに対し、外縁部のみを下方から支持され、外縁部以外の全体が、下方から支持されずに浮いた状態になるものが「デッキボード」と呼ばれる。「ラゲッジボード」及び「デッキボード」の外縁部の支持は、共に、外縁部全体であってもよいし、外縁部の一部(例えば、荷室の開口の1対の対向縁部)のみであってもよい。なお、「ラゲッジボード」は、「デッキボード」に比べて下方から支持される部分が多いので、デッキボードほどの強度(剛性)が必要でなく、その結果軽量化や薄肉化が可能となる。
【0024】
第1実施形態のラゲッジボード10は、平坦な板状をなし、外縁部を上側荷室91の底面91Aによって支持されると共に、中央部を支持壁93の上部によって支持される。なお、ラゲッジボード10は、平坦でなくてもよく、表裏の少なくとも一方に凹凸を有したものや、全体や一部が湾曲するように賦形されたものであってもよい。
【0025】
図3には、ラゲッジボード10の内部構造が拡大して示されている。同図に示すように、ラゲッジボード10は、ボード本体11を被覆シート20で被覆してなる。
【0026】
被覆シート20は、例えば、通気性を有する不織布で構成されている。被覆シート20は、例えば、ボード本体11より一回り大きな平面形状をなして、ボード本体11の上面全体を被覆すると共に、外縁部を折り返されて、ボード本体11の側面全体と下面の外縁部とを覆っている。なお、被覆シート20は、ラゲッジボード10の外面全体を覆っていてもよい。
【0027】
被覆シート20を構成する不織布としては、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。また、不織布の繊維の例としては、羊毛、コットン等の天然繊維やポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維等が挙げられ、目付量の例としては、10~300g/mが挙げられる。また、被覆シート20は、通気性を有していれば、不織布でなくてもよく、例えば、合成繊維や金属等からなる織布や熱可塑性樹脂や金属等からなるメッシュ素材、複数の貫通孔が穿孔された熱可塑性樹脂シートや金属シート等であってもよい。貫通孔が穿孔されたシートの場合、その径が後述する脱臭材40の直径よりも小さくすることが好ましい。また、被覆シート20は、単層から構成されてもよく、別々の素材を組み合わせて複層としてもよい。ここで、被覆シート20の通気性は、JIS L1096:2010 A法(フラジール形法)において、10~200cm/cm・sであることが好ましい。なお、被覆シート20の通気性が200cm/cm・sより高いと、後述する接着剤が、被覆シート20から染み出し易くなる可能性がある。
【0028】
図3には、第1実施形態におけるボード本体11の一例が示されている。ボード本体11は、上面に開口する複数の小部屋31Nを有する凹凸プレート12に、裏側プレート13と表側プレート17とがそれぞれ重ねられて、構成されている。具体的には、図4(A)に示すように、凹凸プレート12は、例えば、熱可塑性樹脂で構成され、真空成形にて成形された複数の膨出部31を開口した上面から下方に突出した状態に備え、それら膨出部31の内側が小部屋31Nになっている。また、図4(B)に示すように、複数の膨出部31は、縦横の両方向で千鳥配置になっている。さらには、各膨出部31は、下方に向かうに従って窄んだテーパー状をなし、図3に示すように、全ての膨出部31の下端面は、面一で水平になっている。即ち、凹凸プレート12は、膨出部31の内側の小部屋31Nが底面を有するように成形されている。ここで、第1実施形態で使用した凹凸プレート12は、非通気性の熱可塑性樹脂で構成されたが、後述する表側プレート17のように通気性を有する構成としてもよい。
【0029】
裏側プレート13は、例えば、熱可塑性樹脂で構成され、凹凸プレート12の下面(つまり、複数の膨出部31の下端面)に振動溶着又は熱溶着にて固着されている。裏側プレート13の厚さは、凹凸プレート12と略同一の厚さになっている。また、裏側プレート13と凹凸プレート12とを構成する熱可塑性樹脂は、同じ組成か組成の主成分が共通していることが両者を固着する観点から好ましい。ここで、凹凸プレート12と裏側プレート13とは、接着剤により固着されていてもよい。また、両者は全面に亘って固着されていてもよく、部分的に固着されていてもよい。
【0030】
表側プレート17は、剛性があり通気性を有する材料から構成される。具体的には、合成繊維や金属等からなる織布や熱可塑性樹脂や金属等からなるメッシュ素材、複数の貫通孔が穿孔された熱可塑性樹脂シートや金属シート等が挙げられる。表側プレート17は、軽量化や成形容易性の観点から、貫通孔が穿孔された熱可塑性樹脂で構成されることが好ましい。表側プレート17と凹凸プレート12とが、同じ組成か組成の主成分が共通した熱可塑性樹脂を用いれば、接着剤だけでなく、振動溶着又は熱溶着でも両者を固着することができる。その際、両者は全面に亘って固着されていてもよく、部分的に固着されていてもよい。
【0031】
なお、凹凸プレート12のうち膨出部31を有しない部分の厚さは、0.1~3mmが好ましく、0.15~1mmがさらに好ましい。また、凹凸プレート12全体の厚さ(即ち、凹凸プレート12の上面から膨出部31の下端面までの厚さ)は、2~10mmが好ましく、3~7mmがさらに好ましい。また、裏側プレート13及び表側プレート17の厚さは、0.1~3mmが好ましく、0.15~1mmがさらに好ましい。凹凸プレート12、裏側プレート13及び表側プレート17を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。また、凹凸プレート12、裏側プレート13及び表側プレート17は、熱硬化性樹脂で構成されていてもよいし、金属や紙で構成されていてもよい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、金属の例としては、アルミ、ステンレス等が挙げられる。紙の例としては、クラフト紙、パルプ等の植物繊維からなる一般的な紙以外に、ポリエステル、レーヨン、ポリビニルアルコール等の合成繊維からなる紙、ガラスペーパー、グラファイトペーパー等の無機質繊維からなる紙等が挙げられる。凹凸プレート12、裏側プレート13及び表側プレート17は、軽量化や成形容易性の観点から、熱可塑性樹脂で構成されることが好ましい。
【0032】
凹凸プレート12の複数の小部屋31Nには、脱臭材40がそれぞれ収容されている。脱臭材40は、例えば、活性炭の粒体であって、各小部屋31Nにそれぞれ複数の脱臭材40の粒体が略満杯に収容されている。
【0033】
脱臭材40を構成する活性炭の原料としては、オガ屑、木炭、ヤシ殻、樹脂等が一般的であるが、廃棄物の有効利用として牡蠣殻等の貝殻が用いられてもよい。また脱臭材40は、細孔を有する多孔質体であれば活性炭に限定されず、例えば活性白土、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト等を用いることもできる。さらに、これらの多孔質体からなる脱臭材40は、一種類で構成されていてもよいし、複数の種類で構成されていてもよい。ここで、脱臭材40を構成する多孔質体の比表面積は、500m/g以上が好ましく、1000m/g以上がさらに好ましい。多孔質体の比表面積の上限は特に限定されないが、例えば、5000m/gが挙げられる。
【0034】
脱臭材40の形態は、上記した粒体でなくてもよく、例えば、粉状、棒状、繊維状、板状であってもよく、各小部屋31Nに1つずつの脱臭材40が収容された構成としてもよい。但し、膨出部31への脱臭材40の収容作業性の観点からは、脱臭材40は粒状が好ましく、また、各小部屋31Nに複数粒ずつ収容されると、脱臭材の比表面積が高くなり脱臭効果が向上するのでより好ましい。なお、脱臭材40の粒径は、0.3~3mmが好ましく、0.5~2mmがさらに好ましい。
【0035】
ボード本体11を構成する凹凸プレート12と表側プレート17及びボード本体11と被覆シート20とは、接着剤19によって固着される。ここで、熱可塑性樹脂からなる凹凸プレート12と熱可塑性樹脂からなる裏側プレート13とは、凹凸プレート12の下面に裏側プレート13を重ね、振動溶着又は加熱溶着によって予め固着されている。
【0036】
裏側プレート13が固着された凹凸プレート12における複数の膨出部31(小部屋31N)に脱臭材40を収容した後、複数の膨出部31の開口31Kを表側プレート17で覆うことで、脱臭材40が各小部屋31N内に保持される。その際、接着剤19は通気性を有した状態で、凹凸プレート12と表側プレート17との間に配置され、両者を固着する。
その後、小部屋31Nに脱臭材40が収容されたボード本体11と被覆シート20とが、接着剤19が通気性を有した状態で固着される。なお、第1実施形態において、各小部屋31Nには、複数の脱臭材40が収容される。また、凹凸プレート12と表側プレート17との固着において、接着剤19の一部は、小部屋31Nの開口31Kを覆う網の目状になっていて、凹凸プレート12に表側プレート17を貼り合せる際に小部屋31N内の脱臭材40の一部と固着する。これにより、小部屋31N内での脱臭材40の跳ね上がりや移動を規制することができる。なお、ボード本体11を構成する凹凸プレート12、裏側プレート13及び表側プレート17と、被覆シート20とがいずれも熱可塑性樹脂からなる場合は、接着剤19を使用しなくても、熱溶着、超音波溶着等による固着が可能である。
【0037】
接着剤19としては、合成樹脂やゴム等からなる水系又は溶剤系の乾燥固化型接着剤、エポキシやポリウレタン等からなる化学反応型接着剤、ホットメルト等の熱溶融型接着剤等、公知の接着剤が使用できる。また、接着剤19が、吹き付けて使用されるものや、予めウェブ状(メッシュ構造のシート状)に成形されて使用されるものであると、接着剤19が通気性を有するので好ましい。
【0038】
第1実施形態のラゲッジボード10の構造に関する説明は以上である。次に、ラゲッジボード10の製造方法の一例について説明する。
【0039】
第1実施形態のラゲッジボード10の製造方法では、凹凸プレート12と裏側プレート13とが予め一体化されたものと、例えばウェブ状の接着剤19が一体化された表側プレート17とが用意され、図1に示した第1荷室91の底面91Aと略同一の形状に切断される。通気性を有する表側プレート17は、接着剤19が通気性を有した状態で凹凸プレート12に固着されてボード本体11が作製される。また、予め接着剤19が一体化された被覆シート20が用意され、上述の如く切断された凹凸プレート12等より一回り大きな形状で、かつ外縁部に複数の切れ込みを備えた状態に切断される。ここで、凹凸プレート12及び裏側プレート13はいずれも熱可塑性樹脂であり、振動溶着又は熱溶着によって固着されている。
【0040】
ボード本体11が作製される前工程として、まず、裏側プレート13が下面に固着された凹凸プレート12の複数の膨出部31に脱臭材40が充填される。そのためには、例えば、凹凸プレート12が水平にされ、かつ水平方向に振動を付与される。そして、その凹凸プレート12の上に脱臭材40の粒体が供給されて、上面全体を覆った状態にされる。次いで、凹凸プレート12への振動が停止され、例えば、へらが凹凸プレート12の上面上を摺接移動されて、凹凸プレート12上の余分な脱臭材40が除去される。
【0041】
そして、脱臭材40が収容された凹凸プレート12の上面に表側プレート17が重ねられ、接着剤19により固着されボード本体11が作製される。その後、ボード本体11にボード本体11よりも一回り大きい被覆シート20を重ねて固着させる。その後、被覆シート20の余尺が折り返されてボード本体11の裏側プレート13の外縁部に固着されることで、ラゲッジボード10が完成する。ここで、凹凸プレート12と通気性を有する表側プレート17とは、通気性を有した状態で接着剤19により固着されている。その際、接着剤19の一部は、小部屋31Nに入り込んで脱臭材40の一部と固着されている。また、ボード本体11と被覆シート20とが、通気性を有した状態で接着剤19により固着されることで、ラゲッジボード10の外側の空気(臭気)が脱臭材40に接触することが可能となり、ラゲッジボード10自体が脱臭効果を有する。
【0042】
なお、ラゲッジボード10の製造方法はこれに限定されず、適宜変更可能である。例えば、凹凸プレート12と裏側プレート13とが固着されていなくてもよい。凹凸プレート12と裏側プレート13とが固着されていなくても、被覆シート20の外縁部が折り返されて裏側プレート13に固着されることで、ラゲッジボード10とすることができる。但し、より高い剛性のラゲッジボード10を作製するには、凹凸プレート12と裏側プレート13とが固着されていることが好ましい。また、凹凸プレート12と表側プレート17とが、固着されていなくてもよい。上述の通り、表側プレート17が被覆シート20で覆われ、その外縁部が折り返されて裏側プレート13に固着されることで、ラゲッジボード10とすることができる。但し、より高い剛性のラゲッジボード10を作製するには、凹凸プレート12と表側プレート17とが固着されていることが好ましい。さらに、表側プレート17がなくてもよい。但し、より高い剛性のラゲッジボード10を作製するには、ボード本体11が、凹凸プレート12に裏側プレート13と表側プレート17とをそれぞれ有することが好ましい。
【0043】
また、接着剤19は、予め表側プレート17、被覆シート20に一体化されていなくてもよい。この場合、凹凸プレート12の小部屋31Nに脱臭材40を収容した後、接着剤19を凹凸プレート12の上面(脱臭材40が収容された小部屋31N側)から吹き付けて表側プレート17を貼り合わせて固着したり、接着剤19をボード本体11(裏側プレート13及び表側プレート17)の外側から吹き付けて被覆シート20を貼り合せて固着すればよい。但し、作業性の観点から、接着剤19は、表側プレート17、被覆シート20と予め一体化しておくことが好ましい。さらに、接着剤19は小部屋31Nの中に入り込んでいなくてもよく、複数の小部屋31Nの開口31Kを網目状に覆うことで、結果的に開口31K付近の脱臭剤40の一部と固着されていてもよい。
【0044】
ラゲッジボード10の製造方法に関しては以上である。次に、このラゲッジボード10の作用効果について説明する。ラゲッジボード10は、車両90の第1荷室91と第2荷室92との間の開口92Kを閉塞する。そして、ラゲッジボード10は、第1荷室91側の面、即ち脱臭材40を収容する側の面が通気性を有する表側プレート17及び被覆シート20で覆われているので、脱臭効果を有する。また、脱臭機能がラゲッジボード10に付与されていることで、搭乗者や荷物の邪魔にならず、かつ安定性に優れている。さらに、ラゲッジボード10の上面全体に脱臭材40が収容された構造であれば、従来の脱臭用品に比べて空気との接触面積を広くすることができるので、従来より高い脱臭効果を得ることができる。
【0045】
なお、例えば、第2荷室92側に臭気を放つ荷物が収容される場合には、通常時とラゲッジボード10の上下を反転させて、小部屋31Nの開口31Kが下方を向いた状態にして使用してもよい。
【0046】
また、脱臭材40は粒状の多孔質体であり、かつその粒同士の間に空隙を有することで、ラゲッジボード10に吸音効果が付与されることが期待される。
【0047】
さらに、裏側プレート13及び表側プレート17と凹凸プレート12とが、空間を挟んで固着されてボード本体11とされることで、両面に剛性を有する面材を偏在させた構造になり、軽量でありながら高い曲げ強度が得られ、ラゲッジボード10の使い勝手が向上する。
【0048】
但し、凹凸プレート12がそれ自体で高い曲げ強度を有する場合、図5に示すように、ボード本体11は、裏側プレート13及び表側プレート17を含まない構成としてもよい。この場合、凹凸プレート12と、裏側プレート13及び表側プレート17との固着工程が不要になるので、ラゲッジボード10の製造が容易化される。
【0049】
以上説明した第1実施形態の変形例の全ては、以下説明する第2~第4の実施形態のデッキボード10A~10C及び他の実施形態にも適用することができる。
【0050】
[第2実施形態]
以下、図6を参照して本開示の第2実施形態のラゲッジボード10Aについて、第1実施形態のラゲッジボード10と異なる構成に関してのみ説明する。
【0051】
同図には、ラゲッジボード10Aの内部構造及び外縁部が拡大して示されている。ラゲッジボード10Aのボード本体11Aには、凹凸プレート12の膨出部31の外側と裏側プレート13Aとで囲まれた空間部31Rが形成されている。また、空間部31Rには脱臭材40が収容されている。裏側プレート13Aは、例えば、熱可塑性樹脂からなるメッシュ素材で構成されているので通気性を有している。なお、熱可塑性樹脂からなる凹凸プレート12と熱可塑性樹脂からなり通気性を有する裏側プレート13Aとは、振動溶着又は熱溶着によって固着されている。
【0052】
また、ボード本体11Aは、側面閉塞部材16によって側面全体が覆われている。側面閉塞部材16は、例えば熱可塑性樹脂からなる断面コの字状であり、その内側にボード本体11の外周部を挟持する。この側面閉塞部材16によって、空間部31Rから脱臭材40が落ちてしまうことが防止される。ここで、側面閉塞部材16は通気性を有していてもよい。
【0053】
第2実施形態のラゲッジボード10Aの製造方法は以下の通りである。まず、通気性を有する裏側プレート13が予め固着された凹凸プレート12の膨出部31(小部屋31N)に脱臭材40が収容される。その後、通気性を有する表側プレート17で膨出部31の開口31Kが覆われて、脱臭材40が保持されたボード本体11Aが作製される。次に、ボード本体11Aの4つの側面のうち3面に側面閉塞部材16が固着され、残りの1面が側方に開口した状態にされる。その後、側面閉塞部材16が固着されていない開口面が上側となるようにボード本体11Aが傾けられ、凹凸プレート12の膨出部31の外側と裏側プレート13Aとにより形成された空間部31Rに、脱臭材40が充填される。その際、時々ボード本体11Aを振動させることで、空間部31Rへの脱臭材40の充填率を高めることができる。脱臭材40を充填後、開口面が側面閉塞部材16で固着されることで、脱臭材40をボード本体11Aに保持することができる。そして、ボード本体11Aが被覆シート20で覆われ、固着されることでラゲッジボード10Aが完成する。第2実施形態では、裏側プレートの一部のみが被覆シート20に固着されているが、全面が固着されていてもよい。上記の第2実施形態において、脱臭材40は、その粒径の直径が膨出部31よりも小さく、空間部31Rを移動可能となっている。
【0054】
また、ラゲッジボード10Aは、以下の通り作製してもよい。まず、凹凸プレート12の膨出部31に脱臭材40が収容され、通気性を有する表側プレート17で膨出部31の開口31Kが覆われる。次いで、表側プレート17の外縁部に、例えば、断面L字状の側面閉塞部材16が、例えば、熱融着により固着される。その後、上下を反転(開口31Kが下側を向く)された凹凸プレート12の、複数の膨出部31同士の間に脱臭材40が収容され、通気性を有する裏側プレート13Aが膨出部31の底面及び側面閉塞部材16と固着されて、凹凸プレート12の膨出部31及び空間部31Rに脱臭材が保持されたボード本体11Aが作製される。そして、ボード本体11Aが被覆シート20で覆われて固着されることで、ラゲッジボード10Aが完成する。
【0055】
第2実施形態のラゲッジボード10Aでは、第1実施形態のラゲッジボード10と同様の作用効果に加え、空間部31Rに収容された脱臭材40が、裏側プレート13Aを通過した空気の臭気成分を吸着するので、ラゲッジボード10Aの上下の両面で脱臭効果が得られる。また、側面閉塞部材16がラゲッジボード10Aの外周部を覆うので、ラゲッジボード10Aが補強される。
【0056】
なお、裏側プレート13Aとしては、通気性を有していれば、上述の熱可塑性樹脂からなるメッシュ素材に限定されず、第1実施形態の表側プレート17や被覆シート20を構成する材料として例示されたものが挙げられる。また、裏側プレート13Aと凹凸プレート12とは、接着剤19で固着されていてもよい。さらに、側面閉塞部材16としては、熱可塑性樹脂の他に、凹凸プレート12、裏側プレート13A及び表側プレート17との固着が可能なあらゆる材料を用いることができ、例えば裏側プレート13Aや表側プレート17と同様に、通気性を有する樹脂で構成されていてもよい。この場合、ラゲッジボード10Aの外面全体から空気が流入するので、より高い脱臭効果が期待される。
【0057】
[第3実施形態]
以下、図7及び図8を参照して本開示の第3実施形態のラゲッジボード10Bについて説明する。図8に示す第3実施形態のラゲッジボード10Bでは、ボード本体11Bが、ハニカムプレート14及び補強プレート18で構成されている。
【0058】
図7に示されるハニカムプレート14は、例えば紙製であって、その厚さ方向と平行な仕切壁14Wで構成され、仕切壁14Wで仕切られた複数の小部屋14Nを有する。小部屋14Nの平面形状は、例えば六角形をなしていて、即ち、ハニカムプレート14はハニカム構造をなしている。
【0059】
ハニカムプレート14は、図8に示すように、上下の両面を補強プレート18に覆われてボード本体11Bとなっている。補強プレート18は、第2実施形態の裏側プレート13Aで例示したものと同様に、熱可塑性樹脂からなるメッシュ素材で構成され、通気性を有する。
【0060】
ボード本体11Bは、外面全体を被覆シート20に覆われ、ボード本体11Bと被覆シート20とは、接着剤19によって固着される。また、ハニカムプレート14の各小部屋14Nには、第1実施形態のラゲッジボード10と同様に脱臭材40が収容されている。
【0061】
第3実施形態のラゲッジボード10Bの製造方法としては、まずハニカムプレート14の下面に通気性を有する補強プレート18が固着され、下側の開口が閉塞された各小部屋14Nに脱臭材40が収容される。そして、ハニカムプレート14の上面に通気性を有する補強プレート18が重ねられて固着される。その後、被覆シート20で各補強プレート18の全面を覆うことで、ラゲッジボード10Bが完成する。
【0062】
なお、ラゲッジボード10Bは、補強プレート18を一方のみに有していてもよく、両方に有していなくてもよい。補強プレート18を一方のみに有する場合、ハニカムプレート14は、脱臭材40を各小部屋14Nに収容後、補強プレート18の代わりに被覆シート20で覆われることでラゲッジボード10Bが作製される。また、ボード本体11Bが補強プレート18を有さない場合、ハニカムプレート14の下面に、補強プレート18の代わりに被覆シート20が固着され、脱臭材40が収容される。その後、ハニカムプレート14の上面が被覆シート20に覆われることでラゲッジボード10Bが作製される。なお、第3実施形態において、各小部屋14Nには複数の脱臭材40が収容される。
【0063】
第3実施形態のラゲッジボード10Bによれば、第1実施形態のラゲッジボード10と同様の作用効果を奏すると共に、ハニカムプレート14の仕切壁14Wが、ラゲッジボード10内で補強リブの役割を果たし、しかも、その補強リブがハニカム構造をなしているので、ラゲッジボード10B全体がバランスよく補強される。また、第3実施形態のラゲッジボード10Bでは、ハニカムプレート14が上下に開口しているので、ラゲッジボード10Bの上下の両面で脱臭効果が得られる。
【0064】
なお、第3実施形態のラゲッジボード10Bに含まれるハニカムプレート14の小部屋14Nは六角形であったが、三角形、四角形、円形であってもよい。また、ハニカムプレート14を構成する材料としては、第1実施形態で凹凸プレート12を構成する材料として例示したものが挙げられる。さらに、第3実施形態のラゲッジボード10Bのハニカムプレート14は、上下の両面が通気性を有する補強プレート18及び被覆シート20に覆われているが、上下いずれか一方の面が被覆シート20に覆われていればよく、上下の他方の面が補強プレート18で覆われていてもよい。また、補強プレート18の一方を非通気性の補強プレート18としてもよい。この場合、脱臭効果はラゲッジボード10Bの片面のみになってしまうが、非通気性の補強プレート18による遮音効果をラゲッジボード10Bに付与することが期待できる。ここで、補強プレート18としては、剛性を有しハニカムプレート14を補強するものであれば、前述した構成に限定されず、例えば第1実施形態の裏側プレート13や表側プレート17で例示したものが挙げられる。
【0065】
[第4実施形態]
以下、図9を参照して、本開示の第4実施形態のラゲッジボード10Cについて説明する。図9(A)に示す第4実施形態のラゲッジボード10Cは、第1実施形態のラゲッジボード10とは、凹凸プレート15の形状が異なる。
【0066】
即ち、第4実施形態のラゲッジボード10Cのボード本体11Cにおける凹凸プレート15は、例えば図9(B)に示すように、車両90の左右方向(車両90のタイヤ側)から見た断面形状が波形状(詳細には、正弦波状)に湾曲し、前後方向に複数の溝部が並んだ形状をなしている。また、各溝部の両端部は図示しない側面閉塞部材16にて閉塞され、各溝部の内側が小部屋15Nになっている。凹凸プレート15の下面には、裏側プレート13が固着され、凹凸プレート15の各小部屋15Nには、脱臭材40が充填されている。また、凹凸プレート15の上面には通気性を有する表側プレート17が固着されている。上記以外の構成は、第1実施形態のラゲッジボード10と同じになっている。
【0067】
第4実施形態のラゲッジボード10Cでは、第1実施形態のラゲッジボード10と同様の作用効果に加え、ラゲッジボード10Cの左右方向の両端部間に亘って真っ直ぐ延びる連続した溝部が補強リブ又は補強梁の役割を果たし、ラゲッジボード10C全体の曲げ剛性が高くなる。なお、第4実施形態のラゲッジボード10Cに含まれる凹凸プレート15の波形状は、正弦波状であったが、三角波状、矩形波状、台形波状であってもよい。また、各波の稜線が延びる方向(溝部が延びる方向)は、車両90の前後方向や、前後方向に対して傾斜した方向であってもよい。また、上記したラゲッジボード10Cの各溝部内に、その両端部の側面閉塞部材16と平行な複数の立壁を設けて、脱臭材40の移動を規制すると共に、ラゲッジボード10Cを補強してもよい。さらに、凹凸プレート15を構成する材料としては、第1実施形態で凹凸プレート12を構成する材料として例示したものが挙げられる。第4実施形態において、ラゲッジボード10Cは、裏側プレート13、表側プレート17の何れか一方のみを有していてもよく、その両方を有していなくてもよい。また、第2実施形態のように、通気性を有する裏側プレート13Aを使用することで、凹凸プレート15との間に脱臭材40を収容して、ラゲッジボード10Cの上下の両面に脱臭効果を付与してもよい。第4実施形態において、各小部屋15Nには、複数の脱臭材40が収容される。
【0068】
[他の実施形態]
上記した第1~第4の実施形態のラゲッジボード10,10A~10Cは、第1荷室91と第2荷室92との間の開口92Kを閉塞するために使用されていたが、例えば、トランクルーム(荷室)の上面開口を閉塞して、トランクルーム内と車内とを区画するために使用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10,10A~10C ラゲッジボード
11,11A~11C ボード本体
12,15 凹凸プレート
13 裏側プレート
14 ハニカムプレート
14N,15N,31N 小部屋
14W 仕切壁
16 側面閉塞部材
17 表側プレート
18 補強プレート
19 接着剤
20 被覆シート
31 膨出部
31K 開口
31R 空間部
40 脱臭材
90 車両
91 第1荷室
92 第2荷室
92K 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9