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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/60 20060101AFI20231204BHJP
   E06B 1/60 20060101ALI20231204BHJP
   E06B 3/16 20060101ALI20231204BHJP
   E06B 3/24 20060101ALI20231204BHJP
   E06B 3/964 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
E06B3/60
E06B1/60
E06B3/16
E06B3/24
E06B3/964 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020060730
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021161606
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健太
(72)【発明者】
【氏名】亀田 健治
(72)【発明者】
【氏名】山本 理史
(72)【発明者】
【氏名】春山 幸浩
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-85831(JP,A)
【文献】特開2019-127768(JP,A)
【文献】特開2019-85822(JP,A)
【文献】特開2019-85833(JP,A)
【文献】特開2019-85834(JP,A)
【文献】特開2016-176244(JP,A)
【文献】特開2019-65559(JP,A)
【文献】特開2010-248836(JP,A)
【文献】特開2010-248837(JP,A)
【文献】特開2010-255206(JP,A)
【文献】特開2007-31992(JP,A)
【文献】特開2011-6874(JP,A)
【文献】特開2012-140785(JP,A)
【文献】特開2013-83133(JP,A)
【文献】特開2014-114558(JP,A)
【文献】特開2014-194119(JP,A)
【文献】実開昭48-79144(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱強化ガラスを含む3枚以上のガラス板を備え屋内外を仕切るガラスユニットと、
前記ガラスユニットを保持し、内周側に前記ガラスユニットの周縁部を収容するガラス収容部を有する枠体と、
前記ガラス収容部に設けられ、前記ガラスユニットの屋内または屋外に臨む一方の面と対面する第一対面部を有し前記枠体に固定される固定金具と、
前記ガラス収容部に設けられ、前記ガラスユニットの屋内または屋外に臨む他方の面と対面する第二対面部を有し前記固定金具に係止される係止金具と、
躯体と前記枠体との間に設けられ前記躯体に固定される補強金具と、
を有し、
前記係止金具が前記固定金具に係止されている位置は、前記ガラスユニットが有するガラス板のうちの前記第二対面部側から2枚目に位置する前記ガラス板よりも前記第一対面部側に位置しており、
前記枠体は、前記ガラス収容部の外周側に中空部を形成して前記ガラス収容部側に位置する内周板部と、前記ガラス収容部の外周側に中空部を形成して当該中空部の外周側に位置する外周板部と、前記躯体の見付け面と対面して前記補強金具とともに当該躯体に固定される躯体固定部と、を有しており、
前記中空部内には、前記内周板部と対向する対向板部と、前記対向板部から前記外周板部側に延出される延出補強部と、前記延出補強部に設けられ前記延出補強部よりも前記第一対面部側に位置して前記外周板部に固定される補強材固定部と、を有する金属製の補強部材を有し、
前記延出補強部は、前記係止金具が前記固定金具に係止されている位置よりも前記第二対面部側に配置されており、
前記補強材固定部は、前記延出補強部よりも前記第一対面部側に設けられて前記補強金具に固定されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記第二対面部側から2枚目に位置する前記ガラス板は、前記耐熱強化ガラスであることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記枠体は、一対の縦枠材と一対の横枠材とが接合されて形成されて矩形状をなしており、
各々の前記縦枠材及び各々の前記横枠材は、前記ガラス収容部の外周側に金属製の補強部材を備える中空部を有し、
前記縦枠材と前記横枠材との接合部には、前記縦枠材の前記補強部材と前記横枠材の前記補強部材とに渡る金属製の連結部材を有しており、
前記連結部材は、前記ガラスユニットの端面と対向する位置に設けられていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項に記載の建具であって、
前記連結部材は、前記耐熱強化ガラスの端面と対向する位置に設けられていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスの周縁部を保持する部材を備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、室内側に配置される金属製の先付金具と、室外側に配置される金属製の後付金具とで構成され、ガラスの一例としての複層ガラスの周縁部を保持する脱落防止部材を備えた建具は知られている(例えば、特許文献1参照)。先付金具は、框の見込み面に沿って配置される先付取付部と、先付取付部の一側縁部から直角方向に屈曲した先付保持部とが一体に成形されており、先付取付部が框に備えられた補強部材に取り付けられる。
【0003】
後付金具は、框の見込み面に沿って配置される後付取付部と、後付取付部の一側縁部から直角方向に屈曲した後付保持部とが一体に成形されており、框に先付金具が取り付けられている状態で複層ガラスを配置し、その後、後付取付部を先付取付部に係合させることによって框に取り付けられる。後付取付部が先付取付部に係合することにより、先付保持部と後付保持部とにより複層ガラスの周縁部が挟持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-23484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の建具では、框と、框に係合される押縁とにより複層ガラスの周縁部を収容しており、框側に先付金具を固定し、押縁を係合する前に後付金具を先付金具に係合させ、その後に押縁を框に係合させている。このとき、後付金具と先付金具との係合部は、複層ガラスを構成する2枚のガラス板のうちの押縁側のガラス板の端面とほぼ対向する位置に配置されている。このため、建具が押縁側から火炎に晒されると、後付金具の下側に位置する框が溶融されることにより、後付金具の押縁側が落ち込み先付金具との係合が外れて複層ガラスが脱落する虞がある。また、建具に備えられるガラスとしては、トリプルガラスのように3枚以上のガラス板が一体化されて重量が大きなガラス板のユニットを有するものもあり、従来の建具のように、押縁側のガラス板の端面とほぼ対向する位置にて後付金具と先付金具とが係合している場合には、ガラス板のユニットが、より脱落しやすいという課題がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、3枚以上のガラス板を有しつつもガラス板が脱落し難い建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための主たる発明は、耐熱強化ガラスを含む3枚以上のガラス板を備え屋内外を仕切るガラスユニットと、前記ガラスユニットを保持し、内周側に前記ガラスユニットの周縁部を収容するガラス収容部を有する枠体と、前記ガラス収容部に設けられ、前記ガラスユニットの屋内または屋外に臨む一方の面と対面する第一対面部を有し前記枠体に固定される固定金具と、前記ガラス収容部に設けられ、前記ガラスユニットの屋内または屋外に臨む他方の面と対面する第二対面部を有し前記固定金具に係止される係止金具と、を有し、前記係止金具が前記固定金具に係止されている位置は、前記ガラスユニットが有するガラス板のうちの前記第二対面部側から2枚目に位置する前記ガラス板よりも前記第一対面部側に位置していることを特徴とする建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、3枚以上のガラス板を有しつつもガラス板が脱落し難い建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る建具を屋外側から見た斜視図である。
図2】本実施形態に係る建具の縦断面図である。
図3】本実施形態に係る建具の横断面図である。
図4図2におけるA部の拡大図である。
図5】補強金具を示す斜視図である。
図6】FIX枠における下の枠材と縦の枠材との接合部を示す斜視図である。
図7】下の枠材の押縁を取り外した状態を示す斜視図である。
図8】セッティングブロックを示す斜視図である。
図9】ガラス保持金具を示す斜視図である。
図10】ガラスユニットがガラス保持金具に保持されている状態を示す平面図である。
図11】すべり出し窓用の建具の下部を示す縦断面図である。
図12】縦すべり出し窓用の建具の下部を示す縦断面図である。
図13】縦すべり出し窓用の建具の下の框材と縦の框材との接合部の押縁を取り外した状態を示す斜視図である。
図14】連結部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態においては、図1に示すように、屋内外を仕切るガラスユニット2を備えたFIX窓用の建具1を例に挙げて説明する。
【0011】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具1を屋外側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。建具1の各部位であっても、また、建具1を構成する各部材については単体の状態であっても、建具1が取り付けられた状態で上下方向、左右方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0012】
本実施形態の建具1は、図2図3に示すように、耐熱強化ガラスを含む3枚のガラス板20、21、22を備えた、所謂トリプルガラスでなるガラスユニット2と、ガラスユニット2の周端部を収容するガラス収容部3aを備えた枠体としてのFIX枠3と、を有している。
【0013】
ガラスユニット2は、3枚のガラス板20、21、22が、周縁部に設けられたスペーサー2aにより互いに間隔を空けて対面させて配置され一体をなしている。3枚のガラス板20、21、22は、2枚のLow-Eガラス20、22と、1枚の耐熱強化ガラス21により構成されており、2枚のLow-Eガラス20、22の間に耐熱強化ガラス21が設けられている。
【0014】
FIX枠3は、合成樹脂製の押し出し成形材でなりガラスユニット2の上に位置する上の枠材30、ガラスユニット2の下に位置する下の枠材30、及び、ガラスユニット2の左右に位置する左右の縦の枠材30をなす4本の枠材30が矩形状に接合された枠本体31と、各枠材30に嵌合される押縁32と、を有している。
【0015】
4本の枠材30は、長尺の成形材を所定の長さに切断して形成されているため同一の断面形状をなしている。各枠材30の端部は長手方向に対して45度の角度をなすように切断され、互いに隣り合う枠材30の端部同士を突き合わせた状態で溶着し矩形状の枠本体31が形成されている。各枠材30の断面形状は同一なので、ここでは、図面にて下の枠材30を示して枠構造を説明する。以下の説明では、各枠材30に共通する説明となるように、下の枠材30の上側を、枠本体31の内周側(以下、内周側という)とし、下の枠材30の下側を枠本体31の外周側(以下、外周側という)として説明する。
【0016】
下の枠材30は、図4に示すように、ガラスユニット2がセッティングブロック4を介して載置され当該ガラスユニット2の端面2bと対向する枠見込み面部30aと、枠見込み面部30aの屋内側にて内周側に突出する枠内周突出部30bと、枠見込み面部30aの屋外側に設けられ押縁32が嵌合される枠押縁嵌合部30cと、枠見込み面部30aの外周側に間隔を空けて対向する枠外周対向面部30dと、枠外周対向面部30dから外周側に延出されて躯体6に固定される躯体固定部30eと、を有している。
【0017】
枠見込み面部30aの屋内側の縁から内周側に突出する枠内周突出部30bは、突出している先端側に屋外側に向かって突出させて設けられるビード7が嵌合される枠ビード嵌合部30fを有しており、枠内周突出部30bにおける枠ビード嵌合部30fよりも枠見込み面部30a側には、枠ビード嵌合部30fの屋外側の縁と、見込み方向においてほぼ同じ位置に枠見付け面30gが形成されている。
【0018】
下の枠材30の枠見込み面部30aと枠外周対向面部30dとの間には、長手方向に貫通する枠中空部30hが設けられている。枠中空部30hは、枠見込み面部30aの見込み方向における両端部から外周側に延出されて枠外周対向面部30dと繋がる2つの枠連結壁部30iによって仕切られてほぼ矩形状をなしている。2つの枠連結壁部30iは、見込み方向において互いに対向している。
【0019】
枠中空部30h内には、長手方向に沿い全長にわたってアルミニウム合金製の押し出し成形材でなる補強部材8が設けられている。ここで、枠見込み面部30aが、FIX枠3において枠中空部30hを形成し、ガラス収容部3a側に位置する内周板部に相当し、枠外周対向面部30dが、FIX枠3において枠中空部30hを形成し、躯体固定部30e側に位置する外周板部に相当する。補強部材8については後述する。
【0020】
枠押縁嵌合部30cは、枠見込み面部30aよりも屋外側に設けられ、枠見込み面部30aよりも外周側に窪んで押縁32の嵌合片32aが嵌合される。枠押縁嵌合部30cは、屋外側の枠連結壁部30iの屋外側にて枠見込み面部30aよりも外周側に位置する枠底部30jを有する2つの枠凹部30k、30lのうちの屋外側の枠凹部30kである。屋内側の枠凹部30lの屋内側の縁30mは、枠見込み面部30aの屋外側の縁と繋がり、外周面が円弧状をなしている。
【0021】
押縁32は、嵌合片32aが枠押縁嵌合部30cに嵌合された状態で、枠内周突出部30bと見込み方向に対向し、枠本体31とともにガラスユニット2の周縁部が収容されるガラス収容部3aを形成する。すなわち、ガラス収容部3aは、枠本体31に嵌合された押縁32と、屋内側の枠凹部30lと、枠見込み面部30aと、枠内周突出部30bとにより囲まれた空間である。
【0022】
ガラス収容部3aに周縁部が収容されたガラスユニット2は、ガラス収容部3aに設けられるセッティングブロック4により面内方向の位置が規制されてガラス保持金具9に保持され、枠内周突出部30bのビード7と、押縁32の先端に設けられたビード32bとにより挟持される。このとき、ガラスユニット2の屋内側の面2cは、枠内周突出部30bのビード7に押圧され、枠内周突出部30bの枠見付け面30gと見込み方向に間隔を空けて配置されている。また、ガラスユニット2の屋外側の面2dは、枠見込み面部30aと屋内側の枠凹部30lとの境界付近に位置している。ガラス保持金具9については後述する。
【0023】
躯体固定部30eは、枠外周対向面部30dにおいて枠中空部30hとは反対側となる外周面側から外周方向に延出されており、枠中空部30hを仕切る屋外側の枠連結壁部30iより僅かに屋内側に設けられている。このため、ガラス収容部3aに周縁部が収容されたガラスユニット2は、最も屋外側に位置するガラス板(以下、最外ガラス板という)20が、躯体固定部30eを上方に延長した位置に配置されており、最外ガラス板20よりも屋内側の部位が躯体6上に位置している。
【0024】
下の枠材30の躯体固定部30eは、屋外側から進入するビス33により躯体6に固定されるが、上及び縦の枠材30の躯体固定部30eは、図2図3に示すように、補強金具5と共に屋外側から進入するビス33により躯体6に固定される。尚、下の枠材30の躯体固定部30eも補強金具5と共に屋外側から進入するビス33により躯体6に固定されていても構わない。
【0025】
枠中空部30hに設けられている補強部材8は、枠見込み面部30aと対向し見込み方向のほぼ全域に設けられる対向板部としての見込み面補強部8aと、見込み面補強部8aから外周方向に延出された2つの延出補強部8bと、を有している。見込み面補強部8aは、枠見込み面部30aの反対側に設けられる後述する固定金具90を固定するビス34が螺合可能な厚みを有している。見込み面補強部8aの枠見込み面部30a側の面には、長手方向に沿う凹部8cが屋内側の端部近傍と、見込み方向における中央より屋外側寄りの部位との2カ所に設けられており、凹部8c内には、加熱発泡材10が設けられている。
【0026】
2つの延出補強部8bは、見込み方向に互いに間隔を空けて設けられており、それぞれ見込み面補強部8aに設けられた加熱発泡材10の屋外側の端部近傍に配置されている。屋外側の延出補強部8bの先端には、見込み方向における両方向に延出された補強部材延出片8dが設けられており、屋内側の延出補強部8bの先端には、屋内側に延出された補強部材延出片8dが設けられている。屋外側の延出補強部8bの先端にて屋内側に延出された補強部材延出片8dは、上及び縦の枠材30の躯体固定部30eとともに躯体6の見付け面6aに固定される補強金具5と補強部材8とを繋ぐビス35が螺合可能な厚みを有している。
【0027】
補強金具5は、図2図3図5に示すように、上及び縦の枠材30の躯体固定部30eの外周側の面に沿わされる第一板部5aと、第一板部5aと繋がり上及び縦の枠材30の枠外周対向面部30dの屋内側の面に沿わされる第二板部5bとを有してL字状に形成されている。第二板部5bが枠外周対向面部30dを貫通して補強部材延出片8dにビス止めされ、第一板部5aが躯体固定部30eと共に躯体6の見付け面6aと対面して当接し当該躯体6に固定される。このため、上及び縦の枠材30に設けられるガラス保持金具9は、補強部材8、補強金具5を介して躯体6と繋がって取り付けられている。ここで、屋外側の延出補強部8bの先端にて屋内側に延出された補強部材延出片8dが、延出補強部に設けられ外周板部に固定される補強材固定部に相当する。
【0028】
ガラス保持金具9及びセッティングブロック4は、図6図7に示すように、各枠材30のガラス収容部3aに、枠材30の長手方向に1つ、または互いに間隔を空けて並べて複数設けられている。
【0029】
セッティングブロック4は、図8に示すように、ガラスユニット2の面内方向の位置を規制する合成樹脂製の部材である。セッティングブロック4は、枠見込み面部30aに当接される見込み面当接部4aと、見込み面当接部4aと、平行な平面をなし、ガラスユニット2の端面2bと対面するガラス対面部4bと、を有している。
【0030】
ガラス対面部4bは、枠見込み面部30aの見込み方向の幅とほぼ同じ幅を有しており、見込み面当接部4aは、枠見込み面部30aの見込み方向において屋外側のほぼ半分と対面するように設けられている。セッティングブロック4の枠見込み面部30a側における屋内側の部位は、見込み面当接部4aが枠見込み面部30aに当接したときに、枠見込み面部30aとの間に空隙Sが形成される。セッティングブロック4と枠見込み面部30aとの間の空隙Sには、加熱発泡材10が設けられている。
【0031】
ガラス保持金具9は、図9に示すように、屋内側に配置され枠本体31に固定される固定金具90と、室外側に配置され固定金具90に係止される係止金具91とを有している。固定金具90及び係止金具91はいずれも、例えばステンレスなどの金属製の板材により形成されており、板材のたわみにより弾性変形可能である。
【0032】
固定金具90は、左右方向に間隔を空けて配置され枠本体31の枠見込み面部30aに固定される2つの枠固定部90aと、2つの枠固定部90aの間を繋ぎ枠見込み面部30aと内外周方向に間隔を空けて対面する枠対向部90bと、枠対向部90bの屋内側の縁から内周側に延出された第一対面部としての屋内内周延出部90cと、を有している。枠固定部90aは各々ビス34により枠見込み面部30aを貫通し枠中空部30hに設けられている補強部材8に固定される。
【0033】
枠対向部90bは、枠見込み面部30aとの間に、係止金具91の挿入部91aが挿入可能に、挿入部91aの厚みよりも僅かに広く間隔が空けられており、係止金具91の係止片91bを係止する係止孔90dが、見込み方向において屋内側に偏った位置に設けられている。
【0034】
屋内内周延出部90cは、ガラスユニット2における周縁部の屋内側面と対向する部位であり、左右方向における両端部から延出された屋内延出片90eが設けられている。屋内延出片90eは、屋内内周延出部90cから左右方向に離れるに連れて屋内側に位置する傾斜を有している。この傾斜は、屋内内周延出部90cに沿う仮想線Lに対して鋭角をなしている。
【0035】
固定金具90は、屋内延出片90eの先端が、枠内周突出部30bの枠見付け面30gに当接する状態で枠固定部90aが枠見込み面部30aに固定される。このとき、ガラスユニット2の屋内側の面2cが屋内内周延出部90cに当接すると、枠内周突出部30bのビード7がガラスユニット2との間で押圧されて枠本体31とガラスユニット2との間が止水される。
【0036】
係止金具91は、固定金具90の枠対向部90bと、枠見込み面部30aとの間に挿入される挿入部91aと、挿入部91aの屋外側の縁から内周側に延出された第二対面部としての屋外内周延出部91cと、を有している。挿入部91aには、先端側に固定金具90の係止孔90dに係止される係止片91bが設けられている。係止片91bは、挿入部91aの一部が曲げ起こされており、屋内側から屋外側に向かって高くなる傾斜を有している。
屋外内周延出部91cは、ガラスユニット2における周縁部の屋外側の面2dと対向する部位であり、屋内側には合成樹脂でなる緩衝材11が設けられている。
【0037】
FIX枠3にガラスユニット2を取り付ける方法は、まず、各枠材30にセッティングブロック4及び固定金具90を取り付ける。セッティングブロック4は、下の枠材30には、載置するだけでも構わない。取り付けられた固定金具90は、屋内延出片90eの先端が、枠材30の枠見付け面30gに当接している。この状態で、固定金具90の屋内内周延出部90cの屋外側の面が、ガラスユニット2の屋内側の面2cが配置されるべき位置に配置されている。
【0038】
次に、枠本体31にセッティングブロック4及び固定金具90が取り付けられた状態で、ガラスユニット2を、下の枠材30に設けられているセッティングブロック4上に載置するとともに各枠材30に設けられているセッティングブロック4の内周側に配置し、屋内側の面2cを固定金具90の屋内内周延出部90cと対向させる。
【0039】
次に、係止金具91の挿入部91aを固定金具90の枠対向部90bと枠見込み面部30aとの間に挿入する。このとき、屋内側の枠凹部30lの屋内側の縁30mと枠見込み面部30aの屋外側の縁とが繋がる部位の外周面が円弧状をなしているので、挿入部91aの先端が枠対向部90bと枠見込み面部30aとの間に案内される。挿入部91aが挿入されて係止片91bが枠対向部90bと接触し、さらに係止金具91を屋内側に押圧することにより係止片91bが外周側に押されて弾性変形しつつ挿入部91aが枠対向部90bと枠見込み面部30aとの間に進入していく。
【0040】
その後、係止片91bが係止孔90dの外周側に至ると、押し曲げられていた係止片91bが弾性により復帰して係止孔90dに係止される。このとき図10に示すように、係止金具91が固定金具90に係止された状態で、固定金具90の屋内内周延出部90cがガラスユニット2の屋内側の面2cと対面し、係止金具91に設けられた緩衝材11がガラスユニット2の屋外側の面2dに当接して、ガラスユニット2が保持される。このとき、ガラス収容部3aにおいて見込方向における耐熱強化ガラス21と屋内側のLow-Eガラス22との間の位置にて、係止金具91の係止片91bが固定金具90の係止孔90dに係止されている。ここで、係止片91bが係止孔90dに係止されている位置が、係止金具91が固定金具90に係止されている位置に相当する。
【0041】
本実施形態の建具1によれば、係止金具91の係止片91bが固定金具90の係止孔90dに係止されている位置は、ガラスユニット2が有するガラス板20、21、22のうちの屋外内周延出部91c側(屋外側)から2枚目に位置するガラス板21、すなわち、真ん中のガラス板21よりも屋内内周延出部90c側(屋内側)に位置しているので、真ん中のガラス板21よりも屋外内周延出部91c側(屋外側)に位置している場合よりも、ガラスユニット2の重心側に配置される。このため、例え、FIX枠3の最も屋外内周延出部91c側(屋外側)のガラス板20と対向する部位が溶融したとしても、ガラスユニット2が脱落しにくい建具1を提供することが可能である。
【0042】
また、真ん中のガラス板21は、火炎に晒されても割れにくい耐熱強化ガラスなので、屋外内周延出部91c側(屋外側)から2枚目の位置から屋内側は残存する。このため、より長時間にわたって火炎が屋内側に貫通することを防止することが可能である。
【0043】
また、FIX枠3のガラス収容部3aの外周側に枠中空部30hを有しているので、FIX枠3が高い剛性と断熱性とを備えており、枠中空部30h内には金属製の補強部材8が設けられているので、FIX枠3が溶融する場合であってもガラスユニット2を金属製の補強部材8を介して躯体6上に支持することが可能である。また、補強部材8の見込み面補強部8aから延出された延出補強部8bが、係止金具91が固定金具に係止されている位置よりも屋内側に配置されているので、係止金具91が固定金具90に係止されている位置と躯体6との間が火炎により加熱されにくい。このため、より確実にガラスユニット2を躯体6上に残存させることが可能である。
【0044】
また、上及び縦の枠材30のように、躯体固定部30eと共にビス33により躯体6に固定されている補強金具5に、補強部材8の延出片8dが、延出補強部8bより屋内周延出部9c側(屋側)で固定されている場合には、延出片8dは屋外内周延出部9c側(屋外側)からの火炎により溶融され難いので、屋外側からの火炎により補強部材8が脱落することを防止し、より長時間にわたってガラスユニット2を躯体6上に残存させることが可能である。
【0045】
上記実施形態においては、FIX窓用の建具1を例に挙げて説明したがこれに限らず、たとえば、すべり出し窓用の建具1aや、縦すべり出し窓用の建具1bであっても構わない。
【0046】
すべり出し窓用の建具1aは、図11に示すように、また、縦すべり出し窓用の建具1bは、図12に示すように、いずれも、躯体6に固定される窓枠をなす枠本体31と、枠本体31に開閉自在に取り付けられる障子15と、を備えている。障子15は、耐熱強化ガラスを含む3枚のガラス板20、21、22を備えたガラスユニット2と、ガラスユニット2の周縁部を収容するガラス収容部13aを備え、開閉機構を介して枠本体31に支持される枠体としての框体14と、を有している。
【0047】
すべり出し窓用の建具1aと縦すべり出し窓用の建具1bの障子15は同一であり、すべり出し窓用の建具1aと縦すべり出し窓用の建具1bにおける、障子15を回動させる開閉機構16、開閉機構16を固定する部材、および障子15を閉じた状態を維持するための係止部材18は相違している。以下、上記実施形態と同一構成については図中で同符号を付して示し、その説明については省略する。
【0048】
すべり出し窓用の建具1a及び縦すべり出し窓用の建具1bの框体14は、合成樹脂製の押し出し成形材でなりガラスユニット2の左右に配置される一対の縦枠材としての縦の框材140と、ガラスユニット2の左右に配置される一対の横枠材としての横の框材140と矩形状に接合された框本体141と、各框材140に嵌合される押縁32と、を有している。
【0049】
4本の框材140は、長尺の成形材を所定の長さに切断して形成されているため同一の断面形状をなしている。各框材140の端部は長手方向に対して45度の角度をなすように切断され、互いに隣り合う框材140の端部同士を突き合わせた状態で溶着し矩形状の框本体141が形成されている。各框材140の断面形状は同一なので、ここでは、図面にてガラスユニット2の下に位置する下の框材140を示して框構造を説明するが、各框材140に共通する説明となるように、上記FIX枠3と同様に、下の框材140の上側を、框本体141の内周側(以下、内周側という)とし、下の框材140の下側を框本体141の外周側(以下、外周側という)として説明する。
【0050】
下の框材140は、ガラスユニット2がセッティングブロック4を介して載置され当該ガラスユニット2の端面2bと対向する框見込み面部140aと、框見込み面部140aの屋内側にて内周側に突出する框内周突出部140bと、框見込み面部140aの屋外側に設けられ押縁32が嵌合される框押縁嵌合部140cと、框見込み面部140aの外周側に間隔を空けて対向する框外周対向面部140dと、框外周対向面部140dの屋外側に張り出す外側突出部140eと、を有している。
【0051】
框見込み面部140aの屋内側の縁から内周側に突出する框内周突出部140bは、突出している先端側に屋外側に向かって突出させて一体に設けられる止水片140fを有しており、框内周突出部140bにおける止水片140fよりも框見込み面部140a側には、止水片140fが突出している基端と見込み方向においてほぼ同じ位置に框見付け面140gが形成されている。
【0052】
下の框材140の框見込み面部140aと框外周対向面部140dとの間には、長手方向に貫通する框中空部140hが設けられている。框中空部140hは、框見込み面部140aの見込み方向における両端部から外周側に延出されて框外周対向面部140dと繋がる2つの框連結壁部140iによって仕切られてほぼ矩形状をなしている。2つの框連結壁部140iは、見込み方向において互いに対向している。框中空部140h内には、長手方向に沿い全長にわたって、金属製の補強部材17が設けられている。補強部材17は、たとえばスチール製であれば火災時に溶解しにくくガラスユニット2の脱落をより確実に防止することができるが、本発明はこれに限られず、アルミニウム合金等の金属で構成されていてもよい。補強部材17の詳細は後述する。
【0053】
框押縁嵌合部140cは、框見込み面部140aよりも屋外側に設けられ、框見込み面部140aよりも外周側に窪んで押縁32の嵌合片32aが嵌合される。框押縁嵌合部140cは、屋外側の框連結壁部140iの屋外側にて框見込み面部140aよりも外周側に位置する框底部140jを有する2つの框凹部140k、140lのうちの屋外側の框凹部140kである。屋内側の框凹部140lの屋内側の縁140mは、框見込み面部140aの屋外側の縁と繋がり、外周面が円弧状をなしている。
【0054】
すべり出し窓用の建具1a及び縦すべり出し窓用の建具1bのガラス収容部13aは、框本体141に嵌合された押縁32と、屋内側の框凹部140lと、框見込み面部140aと、框内周突出部140bとにより囲まれた空間である。框本体141にてガラス収容部13aを形成している部位の形状は、枠本体31にてガラス収容部3aを形成している部位の形状と同一であり、押縁32は共通であるため、ガラスユニット2の周端部は、FIX窓用の建具1と同様にガラス保持金具9を用いてガラス収容部13aに保持される。よって、係止金具91が固定金具90に係止されている位置は、FIX窓用の建具1と同様にガラス収容部13aにおいて屋内側に偏っており、より具体的には、ガラス収容部13aにおいて見込方向における耐熱強化ガラス21と屋内側のLow-Eガラス22との間の位置にて、係止金具91の係止片91bが固定金具90の係止孔90dに係止されている。
【0055】
框中空部140hに設けられている補強部材17は、框見込み面部140aと対向し見込み方向のほぼ全域に設けられる内周側補強板部17aと、框外周対向面部140dの屋内側のほぼ半分の領域と対向する外周側補強板部17bと、内周側補強板部17a及び外周側補強板部17bの屋内側の端部同士を繋ぐ屋内連結部17cとを有している。内周側補強板部17aには、ガラス保持金具9を構成する固定金具90を固定するビス34が螺合され、屋外側の外周側の面には加熱発泡材10が設けられている。外周側補強板部17bには、障子15と枠本体31との間に設けられる開閉機構16、及び、障子15を閉じた状態を維持するための係止部材18を固定するビス36が螺合される。
【0056】
図13に示すように、互いに隣り合い隣接する縦の框材140及び横の框材140の框中空部140h内に設けられている補強部材17同士は、金属製の連結部材12により連結されている。連結部材12は、図14に示すように、各々の補強部材17に渡り、内周側補強板部17aと各々対面してビス止めされる2つの連結板部12aが、ほぼL字状に繋がった形状をなしている。
【0057】
縦の框材140及び横の框材140の框見込み面部140aには、補強部材17に固定された連結部材12と対向する部位に開口140nが設けられており、框体14の内周側、すなわちガラス収容部13a側に連結部材12が露出している。このため、連結部材12は、ガラスユニット2の端面2bと対向している。より具体的には、連結部材12は、図11図12に示すように、ガラスユニット2が有する3枚のガラス板20、21、22の内の真ん中に位置する耐火強化ガラスのガラス板21の端面21bと対向する位置に配置されている。このため、連結部材12は、ガラス保持金具9において、挿入部91aの係止片91bが固定金具90の係止孔90dに係止されている位置よりも屋外側に位置している。
【0058】
すべり出し窓用の建具1aでは、図11に示すように、左右の縦の枠材30と縦の框材140との間に開閉機構(不図示)が設けられており、下の枠材30と下の框材140との間に係止部材18が設けられている。係止部材18は、補強部材17の外周側補強板部17bと補強部材8の見込み面補強部8aにビス止めされている。
【0059】
縦すべり出し窓用の建具1bでは、図12に示すように、左右の縦の枠材30と縦の框材140との間に係止部材(不図示)が設けられており、下の枠材30と下の框材140との間に開閉機構16が設けられている。開閉機構16は、補強部材17の外周側補強板部17bと、枠中空部30h内に設けられた金属製の裏板19にビス止めされている。なお、縦すべり出し窓用の建具1bの開閉機構16は、補強部材17の外周側補強板部17bと補強部材8の見込み面補強部8aにビス止めされていても構わない。
【0060】
すべり出し窓用の建具1a及び縦すべり出し窓用の建具1bによれば、係止金具91の係止片91bが固定金具90の係止孔90dに係止されている位置は、ガラスユニット2が有するガラス板20、21、22のうちの屋外内周延出部91c側(屋外側)から2枚目に位置するガラス板21、すなわち、真ん中のガラス板21よりも屋内内周延出部90c側(屋内側)なので、真ん中のガラス板21よりも屋外内周延出部91c側(屋外側)に位置している場合よりも、ガラスユニット2の重心側に配置される。このため、例え、FIX枠3の最も屋外内周延出部91c側(屋外側)のガラス板20と対向する部位が溶融したとしても、ガラスユニット2が脱落しにくい建具1a、1bを提供することが可能である。
【0061】
また、真ん中のガラス板21は、火炎に晒されても割れにくい耐熱強化ガラスなので、屋外内周延出部91c側(屋外側)から2枚目の位置から屋内側は残存する。このため、より長時間にわたって火炎が屋内側に貫通することを防止することが可能である。
【0062】
また、框体14をなす縦の框材140の框中空部140hに設けられている補強部材17と横の框材140の框中空部140hに設けられている補強部材17とに渡る金属製の連結部材12が、ガラスユニット2の端面2bと対向する位置に設けられているので、ガラスユニット2の端面2bに向かう火炎を遮ることが可能である。このため、ガラスユニット2の端が加熱され、各ガラス板20、21、22が分離されて脱落することを抑制することが可能である。
【0063】
また、框体14をなす縦の框材140の内周側の部位と横の框材140の内周側の部位とに渡る金属製の連結部材12が、耐熱強化ガラスのガラス板21の端面21aと対向する位置に設けられているので、耐熱強化ガラスのガラス板21の端面21aに向かう火炎を遮ることが可能である。このため、耐熱強化ガラスのガラス板21の端は加熱され難くなるので、少なくとも耐熱強化ガラスのガラス板21が脱落することを抑制することが可能である。従って、耐熱強化ガラスのガラス板21が残存することにより、屋内側への火炎の貫通が抑制されるので、より防火性に優れた建具1a、1bを提供することが可能である。
【0064】
上記実施形態においては、耐熱強化ガラスを含む3枚のガラス板20、21、22を有するガラスユニット2を例に挙げて説明したが、これに限らず、耐熱強化ガラスを含む4枚以上のガラス板を有するガラスユニットであっても構わない。この場合には、3枚以上のガラス板のうちの少なくとも1枚のガラス板は、外周側に躯体の見付け面と対面して当接し当該躯体に固定される躯体固定部よりも屋内側に配置されているので、躯体の上に位置している。すなわち、火炎晒されて枠体が溶融したとしても、少なくとも1枚のガラス板を躯体の上に残存させることが可能となる。
【0065】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
【0066】
耐熱強化ガラスを含む3枚以上のガラス板を備え屋内外を仕切るガラスユニットと、前記ガラスユニットを保持し、内周側に前記ガラスユニットの周縁部を収容するガラス収容部を有する枠体と、前記ガラス収容部に設けられ、前記ガラスユニットの屋内または屋外に臨む一方の面と対面する第一対面部を有し前記枠体に固定される固定金具と、前記ガラス収容部に設けられ、前記ガラスユニットの屋内または屋外に臨む他方の面と対面する第二対面部を有し前記固定金具に係止される係止金具と、を有し、前記係止金具が前記固定金具に係止されている位置は、前記ガラスユニットが有するガラス板のうちの前記第二対面部側から2枚目に位置する前記ガラス板よりも前記第一対面部側に位置していることを特徴とする建具である。
【0067】
このような建具によれば、係止金具が固定金具に係止されている位置は、ガラスユニットが有するガラス板のうちの第二対面部側から2枚目に位置するガラス板よりも第一対面部側に位置しているので、第二対面部側から2枚目に位置するガラス板よりも第二対面部側に位置している場合よりも、ガラスユニットの重心側に配置される。このため、例え、枠体の最も第二対面部側の部位が溶融したとしても、ガラスユニットが脱落しにくい建具を提供することが可能である。
【0068】
かかる建具であって、前記第二対面部側から2枚目に位置する前記ガラス板は、前記耐熱強化ガラスであることを特徴とする。
このような建具によれば、火炎に晒されても割れにくい耐熱強化ガラスが、第二対面部側から2枚目の位置にて残存するので、より長時間にわたって火炎が第一対面部側に貫通することを防止することが可能である。
【0069】
かかる建具であって、前記枠体は、前記ガラス収容部の外周側に中空部を形成して前記
ガラス収容部側に位置する内周板部と、前記ガラス収容部の外周側に中空部を形成して当
該中空部の外周側に位置する外周板部と、を有しており、前記中空部内には、前記内周板
部と対向する対向板部と、前記対向板部から前記外周板部側に延出される延出補強部と、
前記延出補強部に設けられ前記外周板部に固定される補強材固定部と、を有する金属
補強部材を有し、前記延出補強部は、前記係止金具が前記固定金具に係止されている位置
よりも前記第二対面部側に配置されていることを特徴とする。
【0070】
このような建具によれば、枠体のガラス収容部の外周側に中空部を有しているので、枠体が高い剛性と断熱性とを備えており、中空部内には金属製の補強部材が設けられているので、枠体が溶融する場合であってもガラスユニットを金属製の補強部材を介して躯体上に支持することが可能である。また、補強部材の対向板部から延出された延出補強部が、係止金具が固定金具に係止されている位置よりも第二対面部側なので、係止金具が固定金具に係止されている部位と躯体との間が火炎により加熱されにくい。このため、より確実にガラスユニットを躯体上に残存させることが可能である。
【0071】
かかる建具であって、前記補強材固定部は、前記延出補強部よりも前記第一対面部側に設けられていることを特徴とする。
このような建具によれば、補強部材を枠体に固定する補強材固定部が延出補強部より第一対面部側に配置されているので、補強材固定部は第二対面部側からの火炎により溶融され難い。このため、第二対面部側からの火炎により補強部材が脱落することを防止し、より長時間にわたってガラスユニットを躯体上に残存させることが可能である。
【0072】
かかる建具であって、前記枠体は、一対の縦枠材と一対の横枠材とが接合されて形成されて矩形状をなしており、各々の前記縦枠材及び各々の前記横枠材は、前記ガラス収容部の外周側に金属製の補強部材を備える中空部を有し、前記縦枠材と前記横枠材との接合部には、前記縦枠材の前記補強部材と前記横枠材の前記補強部材とに渡る金属製の連結部材を有しており、前記連結部材は、前記ガラスユニットの端面と対向する位置に設けられていることを特徴とする。
【0073】
このような建具によれば、枠体をなす縦枠材の中空部に設けられている補強部材と横枠材の中空部に設けられている補強部材とに渡る金属製の連結部材が、ガラスユニットの端面と対向する位置に設けられているので、ガラスユニットの端面に向かう火炎を遮ることが可能である。このため、ガラスユニットの端が加熱され、各ガラス板が分離されて脱落することを抑制することが可能である。
【0074】
かかる建具であって、前記連結部材は、前記耐熱強化ガラスの端面と対向する位置に設けられていることを特徴とする。
このような建具によれば、枠体をなす縦枠材の中空部に設けられている補強部材と横枠材の中空部に設けられている補強部材とに渡る金属製の連結部材が、耐熱強化ガラスの端面と対向する位置に設けられているので、耐熱強化ガラスの端面に向かう火炎を遮ることが可能である。このため、耐熱強化ガラスの端は加熱され難くなるので、少なくとも耐熱強化ガラスが脱落することを抑制することが可能である。従って、耐熱強化ガラスが残存することにより、第一対面部側への火炎の貫通が抑制されるので、より防火性に優れた建具を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 建具、1a 建具、1b 建具、2 ガラスユニット、
2b ガラスユニットの端面3 FIX枠、3a ガラス収容部、8 補強部材、
8a 見込み面補強部、8b 延出補強部、8d 補強部材延出片、12 連結部材、
13 枠体、13a ガラス収容部、14 框体、17 補強部材、
20 ガラス板(Low-Eガラス)、21 ガラス板(耐熱強化ガラス)、
21a ガラス板(耐熱強化ガラス)の端面、22 ガラス板(Low-Eガラス)、
30 枠材、30a 枠見込み面部、30d 枠外周対向面部、30h 枠中空部、
90 固定金具、90c 屋内内周延出部、91 係止金具、
91c 屋外内周延出部、140 框材、140a 框見込み面部、
140d 框外周対向面部、140h 框中空部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14