(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】ロールペーパホルダ
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
A47K10/36 G
(21)【出願番号】P 2020079084
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】509334103
【氏名又は名称】伊計 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】伊計 和男
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-87662(JP,A)
【文献】特開2005-28163(JP,A)
【文献】特開2019-34105(JP,A)
【文献】特開2003-24241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のロールペーパを倒位姿勢で回転可能に支持するホルダ本体と、
該ホルダ本体に支持された前記ロールペーパの上方を覆うカバー体とが備えられ、
該カバー体が、基端側に設けられた枢支軸を軸として前記ホルダ本体に枢支されたロールペーパホルダであって、
前記カバー体の先端側から露出する前記ロールペーパの露出先端部を上方に折り返す支点となる折り返し支点部と、
該折り返し支点部で折り返された前記露出先端部を保持する保持部と、
前記折り返し支点部と前記保持部との間の前記露出先端部を切断する切断部とが備えられた
ロールペーパホルダ。
【請求項2】
前記切断部が、前記カバー体に沿ってスライドするスライド切断部によって構成され、
該スライド切断部をスライドさせるスライド操作部が設けられた
請求項1に記載のロールペーパホルダ。
【請求項3】
前記スライド操作部と前記スライド切断部とが一体に構成され、
前記スライド操作部と前記スライド切断部とがともにスライドするように設けられた
請求項2に記載のロールペーパホルダ。
【請求項4】
前記保持部が、前記スライド操作部よりも先端側に設けられ
前記スライド操作部を操作して前記露出先端部を切断する際に、前記スライド操作部と前記保持部とが近接するように構成された
請求項2又は請求項3に記載のロールペーパホルダ。
【請求項5】
前記スライド切断部を収納する収納部を備え、
該収納部に、
前記スライド切断部を挿通する挿通孔が、前記スライド切断部のスライド方向に設けられた
請求項2乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のロールペーパホルダ。
【請求項6】
前記折り返し支点部が、
前記露出先端部の幅方向に沿うとともに、
前記露出先端部の幅以上の長さで構成された
請求項2乃至請求項5のうちいずれか一項に記載のロールペーパホルダ。
【請求項7】
前記スライド切断部が、
前記露出先端部の幅方向に沿うとともに、
前記露出先端部の幅以上の長さで構成された
請求項2乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のロールペーパホルダ。
【請求項8】
前記折り返し支点部を第一折り返し支点部とし、
該第一折り返し支点部で折り返された前記露出先端部を、前記スライド切断部に向けて折り返す第二折り返し支点部が設けられ、
該第二折り返し支点部が、前記スライド切断部と前記保持部との間において、前記露出先端部の幅方向に沿うとともに、
前記露出先端部の幅以上の長さで構成され、
前記露出先端部のうち前記第一折り返し支点部と前記第二折り返し支点部とを跨ぐ部分が、
前記スライド切断部のスライド方向に対して略直交するように前記第二折り返し支点部が配置された
請求項7に記載のロールペーパホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ロールペーパを支持するロールペーパホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からロールペーパを回転可能に支持するホルダ本体と、ホルダ本体に支持されたロールペーパを上方から覆うカバー体と、カバー体の先端側から露出するように引き出されたロールペーパを切断する切断部とで構成されたロールペーパホルダが用いられている。
【0003】
しかし、このようなロールペーパホルダの切断部によって切断されたロールペーパの端部はカバー体に覆われた状態となり、ロールペーパの端部を摘まんで引き出すには、カバーを持ち上げたりロールペーパを回転させたりして、ロールペーパの端部をカバー体から露出させる必要がある。
そこで、特許文献1では、カバーを持ち上げたり、ロールを回転させたりすることなく、端部を摘まんでロールペーパを引き出すことができるロールペーパホルダが提案されている。
【0004】
詳しくは、特許文献1に記載のロールペーパホルダは、カバー体の先端より所定長さ分を隔てた場所でロールペーパを切断することで、ロールペーパを切断した後のロールペーパの端部をカバー体から露出した状態にすることができる。
【0005】
このため、カバー体から露出した状態のロールペーパの端部を摘まむことで、ロールペーパを回転させたりカバー体を持ち上げたりすることなく、端部を摘まんでロールペーパを引き出すことができるとされている。
【0006】
しかしながら、切断後のロールペーパの端部は、カバー体の先端部より露出するものの、ロールペーパの外周面に沿うように、垂れ下がっているにすぎない。
したがって、切断後のロールペーパが、ロールペーパの外周面に巻き付くように沿ってしまい、カバー体から露出させた切断後のロールペーパを利用者が容易に摘まむことができず、ロールペーパを容易に引き出せないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述した問題を鑑み、端部を容易に摘まんでロールペーパを引き出すことができるロールペーパホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
円筒状のロールペーパを倒位姿勢で回転可能に支持するホルダ本体と、該ホルダ本体に支持された前記ロールペーパの上方を覆うカバー体とが備えられ、該カバー体が、基端側に設けられた枢支軸を軸として前記ホルダ本体に枢支されたロールペーパホルダであって、前記カバー体の先端側から露出する前記ロールペーパの露出先端部を上方に折り返す支点となる折り返し支点部と、該折り返し支点部で折り返された前記露出先端部を保持する保持部と、前記折り返し支点部と前記保持部との間の前記露出先端部を切断する切断部とが備えられたことを特徴とする。
【0010】
前記ロールペーパは、ペーパをロール状に巻いたロール体と、利用者によってロール体の端部から引き出された部分とを指す。また、ロール体には、中空の円筒状の芯材に対してペーパを巻き付けたものや、単にペーパを円筒状に巻いたものも含む。
前記露出先端部は、利用者によって前記カバー体から先端側に引き出された前記ロールペーパの一部であり、前記カバー体から露出した部分をいう。
【0011】
なお、前記切断部によって切断された露出先端部において、前記ロールペーパ側に残る部分を、露出残部分とする。
前記折り返し支点部は、前記露出先端部のうち少なくとも一部を折り返すことができればよく、前記カバー体と異なる部材によって構成されてもよいし、前記カバー体の一部を利用していてもよい。
【0012】
また、前記折り返し支点部は、前記露出先端部の幅方向に沿って伸びる一つの部材によって構成されてもよいし、前記露出先端部の幅方向に沿って配置された複数の部材によって構成されてもよい。
【0013】
前記保持部は、前記露出先端部を保持できればよく、利用者が前記保持部と前記露出先端部をともに把持することで保持するように構成されていてもよいし、前記露出先端部が前記保持部のみによって保持するように構成されていてもよい。
【0014】
この発明により、端部を容易に摘まんでロールペーパを引き出すことができる。
【0015】
詳述すると、前記カバー体は基端側が前記ホルダ本体に枢支されているため、前記保持部で前記ロールペーパを保持することで、利用者の荷重が前記カバー体を介して前記ロールペーパに作用し、前記ロール体の不用意な回転は規制される。
【0016】
すなわち、前記カバー体の自重や前記カバー体に作用する利用者の荷重等によって、前記露出先端部の基端側が、前記カバー体の先端側に前記ロール体に向けて押し付けられた状態となる。
そして、前記カバー体が前記露出先端部を介して、前記ロール体を押し付けることで、前記ロール体の不要な回転が規制され、前記露出先端部が所望長さを超えて引き出されないようにされている。
【0017】
そして、前記カバー体によって不要な回転が規制された前記ロール体から、先端側に引き出された前記露出先端部は、前記折り返し支点部を支点として上方に折り返されるとともに、前記保持部によって保持される。
この前記露出先端部は、前記折り返し支点部で折り返されるとともに、前記保持部で保持されることによって移動が規制される。
【0018】
そして、前記露出先端部は、折り返しと保持とによって移動が規制された状態で、前記折り返し支点部と前記保持部との間を前記切断部によって切断される。
これにより、前記カバー体の先端側から前記ロールペーパの一部が露出する前記露出残部分を形成することができる。
【0019】
さらに、前記露出先端部における前記折り返し支点部と前記保持部との間が、前記切断部に切断されるため、前記切断部による張力が前記露出先端部に作用する。すなわち、前記露出先端部が切断されることで形成される前記露出残部分の基端側であって、前記折り返し支点部を支点とし折り返された部分には折癖が形成される。
そして、前記露出残部分は、形成された折癖によって、先端側が前記ロール体の外周面から浮くように折り曲げられた状態を維持することができる。
【0020】
すなわち、前記折り返し支点部を支点として上方に折り返された前記露出残部分は、前記露出先端部における前記折り返し支点部と前記保持部との間で切断することで形成されている。
このため、前記露出残部分を単にカバー体から露出させるだけではなく、前記露出先端部を切断することで形成される折癖により、前記露出残部分が前記ロール体の外周面から浮いた状態で維持される。
【0021】
このように、前記露出先端部に折癖が形成されるように切断することで、前記露出残部分の先端側を前記ロール体の外周面から浮かせた状態で維持でき、前記露出残部分が、前記ロール体の外周面に沿ってしまうことを防止できる。
したがって、利用者が端部を容易に摘まんでロールペーパを引き出すことができる。
【0022】
この発明の態様として、前記切断部が、前記カバー体に沿ってスライドするスライド切断部によって構成され、該スライド切断部をスライドさせるスライド操作部が設けられてもよい。
この発明により、前記露出残部分の先端側を前記ロール体の外周面から浮かせる折癖を確実に形成することができる。
【0023】
詳述すると、前記スライド操作部を用いて、前記スライド切断部を前記露出先端部に向けてスライドさせることで、前記露出先端部を容易に切断することができ、前記露出先端部を前記切断部に向かって移動させることなく切断することができる。
このため、前記露出先端部を切断する際には、前記ロールペーパの回転が規制された状態で、前記保持部によって保持された前記露出先端部に対して前記スライド切断部によって引張力を作用させて切断できる。
【0024】
すなわち、前記保持部によって保持された前記露出先端部が、前記切断部まで移動することで緩むことなく、前記折り返し支点部によって折り返されるとともに前記保持部に保持され、移動が規制された前記露出先端部を前記スライド切断部によって切断できる。
【0025】
したがって、張力が作用した状態の前記露出先端部を前記スライド切断部で切断することができる。
【0026】
このように、前記スライド切断部による引張力が作用した状態で前記露出先端部を切断することで、切断する際に作用する張力により形成される折癖、すなわち、前記露出残部分の先端側を前記ロール体の外周面から浮かせる折癖を確実に形成することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記スライド操作部と前記スライド切断部とが一体に構成され、前記スライド操作部と前記スライド切断部とがともにスライドするように設けられてもよい。
この発明により、前記スライド切断部が前記露出先端部を切断する際に作用する引張力によって余分に前記露出先端部が引き出されるおそれを抑制でき、前記露出先端部が緩むことを防止できる。
【0028】
詳述すると、前記保持部で前記露出先端部を保持しながら、前記スライド操作部によって前記スライド切断部をスライドさせることができる。
このため、前記スライド切断部により前記露出先端部を切断する際には、前記折り返し支点部で折り返され、前記保持部に保持され張った状態の前記露出先端部に対して、前記スライド切断部が押し当てられることで、前記露出先端部に引張力が作用する。
そして、移動が規制された状態の前記露出先端部を、前記スライド切断部が引張力を作用させながら切断することで、前記露出先端部には折癖が確実に形成される。
【0029】
このとき、前記スライド操作部と前記スライド切断部とを一体に構成することで、前記スライド操作部と前記スライド切断部とをともに先端側に向けてスライドさせて、前記カバー体の先端側から露出する前記露出先端部を切断することができる。
【0030】
すなわち、利用者がスライド操作部を操作する操作荷重は、前記スライド切断部を先端側にスライドさせることに伴って、より先端側に移動して作用する。
そして、前記カバー体の基端側が前記ホルダ本体に枢支されているため、より先端側に作用する操作荷重は、前記カバー体の先端側を押し下げるとともに、前記露出先端部の基端側を前記ロール体に向けて押圧する圧力として作用する。
【0031】
このように、前記露出先端部を切断するための前記スライド操作部の操作に伴って、前記露出先端部の基端側を前記ロール体に向けて押圧することで、前記ロール体の回転を確実に規制することができる。
すなわち、前記スライド切断部が前記露出先端部を切断する際に作用する引張力によって余分に前記露出先端部が引き出されるおそれを抑制でき、前記露出先端部が緩むことを防止できる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記保持部が、前記スライド操作部よりも先端側に設けられ、前記スライド操作部を操作して前記露出先端部を切断する際に、前記スライド操作部と前記保持部とが近接するように構成されてもよい。
この発明により、前記スライド操作部の操作性を向上できるとともに、前記露出先端部に対して確実に折癖を形成でき、さらに衛生的に利用することができる。
【0033】
詳述すると、前記保持部が、前記スライド操作部よりも先端側に設けられているため、前記露出先端部が保持された状態の前記保持部を、前記スライド操作部をスライドさせる際の反力として利用することができる。
【0034】
このため、例えば、利用者が前記保持部に対して親指を係止させて前記露出先端部を保持し、他の指を用いて前記スライド操作部を前記保持部に対して近接させる、すなわち、前記保持部と前記スライド操作部を摘まむように操作することで、前記露出先端部を切断することができる。
このように、前記保持部を反力として利用し、前記スライド操作部を操作することで、前記露出先端部を切断することができ、前記スライド操作部の操作性を向上することができる。
【0035】
加えて、前記保持部を反力として機能させる際に、前記スライド操作部よりも先端側に設けられた前記保持部に対して、利用者の荷重等が作用する。
これにより、前記カバー体の先端側によって、前記露出先端部の基端側が押し付けられた状態に容易にでき、前記ロール体の不要な回転を確実に規制できる。
【0036】
仮に、前記露出先端部が、前記スライド操作部を超える長さで引き出されている場合、前記保持部と前記スライド操作部とを折り返された前記露出先端部を介して操作することができる。
このため、利用者は、前記スライド操作部や前記保持部に利用者が直接触れることなく、衛生的に、前記露出先端部を切断することができる。
このように、前記スライド操作部の操作性を向上できるとともに、前記露出先端部に対して確実に折癖を形成でき、さらに衛生的に利用することができる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記スライド切断部を収納する収納部を備え、該収納部に、前記スライド切断部を挿通する挿通孔が、前記スライド切断部のスライド方向に設けられてもよい。
【0038】
この発明により、前記スライド切断部の非使用時に、前記スライド切断部を前記収納部に収納し、前記スライド切断部の使用時に、前記挿通孔から前記スライド切断部を露出させて前記露出先端部を切断することができる。
【0039】
これにより、前記スライド切断部の非使用時において、利用者が意図せずに前記スライド切断部に触れることを防止でき、利用者の安全性を向上できる。
【0040】
またこの発明の態様として、前記折り返し支点部が、前記露出先端部の幅方向に沿うとともに、前記露出先端部の幅以上の長さで構成されてもよい。
この発明により、前記露出先端部の切断時に形成される折癖を、前記露出先端部の全幅に亘って形成することができ、前記露出残部分の先端側を全幅に亘って前記ロール体の外周面から浮かせることができる。
【0041】
詳述すると、前記折り返し支点部が前記露出先端部の幅以上の長さで形成されているため、前記露出先端部を上方側に向かって折り返す際には、前記露出先端部の全幅に対して前記折り返し支点部が当接する。
このため、前記露出先端部の切断時に形成される折癖は、前記露出先端部の全幅に亘って形成することができ、前記露出残部分の先端側を全幅に亘って前記ロール体の外周面から浮かせることができる。
【0042】
またこの発明の態様として、前記スライド切断部が、前記露出先端部の幅方向に沿うとともに、前記露出先端部の幅以上の長さで構成されてもよい。
この発明により、前記露出残部分の先端側を前記ロール体の外周面からより確実に浮かせることができる。
【0043】
詳述すると、前記折り返し支点部によって折り返され、前記保持部によって保持された前記露出先端部の全幅に亘って、均一に、前記スライド切断部を当接させることで、前記露出先端部を全幅に亘って切断できる。
【0044】
そして、前記露出先端部に対して均一に前記スライド切断部を当接させることで、前記切断部が前記露出先端部に対して局所的に当接する場合と比較して、前記露出先端部は切断されにくくなる。
このため、前記露出先端部が部分的に切断されたり、一部が裂けたりすることを防止でき、前記露出先端部の全幅に亘って、前記スライド切断部を均一に当接させることができる。
【0045】
このため、前記露出先端部の全幅に亘って、前記スライド切断部による引張力を均一に付与することができ、前記露出残部分の基端側において、全幅に亘る織癖を付与することができる。
したがって、前記露出残部分の先端側を前記ロール体の外周面からより確実に浮かせることができる。
【0046】
またこの発明の態様として、前記折り返し支点部を第一折り返し支点部とし、該第一折り返し支点部で折り返された前記露出先端部を、前記スライド切断部に向けて折り返す第二折り返し支点部が設けられ、該第二折り返し支点部が、前記スライド切断部と前記保持部との間において、前記露出先端部の幅方向に沿うとともに、前記露出先端部の幅以上の長さで構成され、前記露出先端部のうち前記第一折り返し支点部と前記第二折り返し支点部とを跨ぐ部分が、前記スライド切断部のスライド方向に対して略直交するように前記第二折り返し支点部が配置されてもよい。
【0047】
この発明により、前記露出先端部のうち、前記スライド切断部により切断される部分を跨いで、前記第一折り返し支点部と前記第二折り返し支点部とが全幅に亘って当接するため、前記露出先端部の切断される部分が緩むことを、全幅に亘って防止できる。
【0048】
すなわち、前記第一折り返し支点部と前記第二折り返し支点部との間において、張った状態の前記露出先端部を全幅に亘って緩ませることなく、前記スライド切断部によって切断することができ、前記露出先端部の全幅に亘って確実に折癖を形成できる。
さらに、前記露出先端部と前記スライド切断部とを略直交するように当接させることができ、前記露出先端部を確実に切断することができる。
【発明の効果】
【0049】
この発明によれば、端部を容易に摘まんでロールペーパを引き出すことができるロールペーパホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図4】スライド切断部の非使用時と使用時とを説明する説明図。
【
図5】ロールペーパホルダの使用方法を説明する説明図。
【
図6】ロールペーパホルダの使用方法を説明する説明図。
【
図7】ロールペーパホルダの使用方法を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は取付箇所Kに取り付けられたロールペーパホルダ1を上方から見た斜視図を示し、
図2はロールペーパホルダ1の構造を説明する分解斜視図を示し、
図3はカバー体20を上方から見た分解斜視図を示している。
【0052】
図4はカバー体20に設けられたスライド切断部40の動作の説明図を示している。詳述すると、
図4(a)はスライド切断部40の刃部402がカバー体20に収納された状態の概略断面図を示し、
図4(b)はスライド切断部40の刃部402がカバー体20から露出された状態の概略断面図を示している。
【0053】
図5乃至
図7は、ロールペーパホルダ1によってロールペーパ50の露出先端部52を切断する方法を説明する説明図を示している。
詳述すると、
図5(a)は露出先端部52が引き出された状態のロールペーパホルダ1を示し、
図5(b)は露出先端部52を上方側に折り返した状態のロールペーパホルダ1を示している。
【0054】
また、
図6(a)は露出先端部52を-L方向側に折り返した状態のロールペーパホルダ1を示し、
図6(b)は、
図5(b)からスライド操作部403を+L方向側に向かってスライドさせた状態のロールペーパホルダ1を示している。
そして、
図7(a)は露出先端部52が切断された状態のロールペーパホルダ1を示し、
図7(b)は露出残部分52aに折癖Fが形成された状態のロールペーパホルダ1を示している。
【0055】
ここで、
図1乃至
図7において、取付箇所Kに対して垂直となる方向を、ロールペーパホルダ1の長手方向Lとする。そして、長手方向Lに沿って、取付箇所Kから離間する方向を+L方向側とし、取付箇所Kに近接する方向を-L方向側とする。
【0056】
また、ロールペーパホルダ1に取り付けられるロール体Rの芯51が沿う方向であって、長手方向Lと直交する方向を幅方向Wとし、取付箇所Kに沿ってロールペーパホルダ1の内側に向かう方向を幅方向内側とし、ロールペーパホルダ1の外側に向かう方向を幅方向外側とする。
【0057】
また、長手方向L、及び取付箇所Kに対して直交する方向を高さ方向Hとし、各図面の上側を上方側、下側を下方側とする。
【0058】
ロールペーパホルダ1は、
図1に示すように、トイレ等の壁面やドアにおける取付箇所Kに取り付けられるとともに、倒位姿勢のロールペーパ50を回転可能かつ着脱可能に支持している。
また、ロールペーパホルダ1に支持されるロールペーパ50は、中空の円筒状に形成された芯51に対して、ペーパを複数回巻き付けることによって構成され、ロールペーパ50をロール状にすることでロール体Rが形成されている(
図2参照)。
【0059】
そして、ロール体Rからロールペーパ50を引き出す際には、ペーパの引き出しに伴って、ロール体Rは回転する。
このようにして、ロールペーパ50を引き出すことで、ロールペーパ50のうち、後述するカバー体20から露出する部分である露出先端部52が引き出される。
【0060】
取付箇所Kに取り付けられるロールペーパホルダ1は、
図2に示すように、取付箇所Kに対して取り付けられ、ロールペーパ50を支持するホルダ本体10と、ホルダ本体10に支持されたロールペーパ50を上方から覆うカバー体20とで構成されている。
【0061】
ホルダ本体10は、+L方向側に開口する装着空間11を有する平面略視コの字型に形成された固定部12と、固定部12の装着空間11において、ロールペーパ50を回転可能に支持する一対のロールペーパ支持部13とで構成されている。
【0062】
固定部12は、図示省略するネジや接着剤等によって、取付箇所Kに対して主面が固定されている。
そして、固定部12は、取付箇所K取り付けられ、幅方向Wに沿って長辺を有する略直方体状の固定部本体121と、固定部本体121の幅方向Wの両端から+L方向側に向かって突設する一対の平板状の突設部122とで構成されている。
【0063】
一対の突設部122は、夫々が側面視倒位の略蒲鉾型状に形成されており、具体的には、固定部本体121から長手方向Lに沿う長辺を有する側面視長方形状の平板のうち、+L方向側の角を丸めた形状をしている。
【0064】
また、一対の突設部122には、一対のロールペーパ支持部13を夫々が独立して枢動可能に支持する枢動支持部123と、枢動するロールペーパ支持部を収容する収容部124とが設けられている。
【0065】
そして、一対の突設部122において、枢動支持部123は+L方向側かつ下方側に設けられ、収容部124は、枢動支持部123の上方側に設けられている。また、突設部122の-L方向側かつ上方側には、カバー体20を枢動可能に支持するための枢支孔125が設けられている。
【0066】
収容部124は、夫々の枢動支持部123の上方側において、夫々の突設部122の幅方向内側の面から幅方向外側に向かって窪む矩形の溝状に形成され、下方側の端部に、枢動支持部123が設けられている。そして、収容部124は、長手方向が高さ方向Hに沿うとともに、幅方向が長手方向Lに沿う略長方形状に形成されている。
また、収容部124は、後述するようにロールペーパ支持部13の全体を収容可能な深さで構成されている。
【0067】
このように構成された固定部12において、固定部本体121と突設部122との間に、装着空間11が形成されている。なお、装着空間11には、固定部本体121と突設部122との間に形成される空間のみならず、その上方側及び下方側の空間も含む。
【0068】
固定部12においてロールペーパ50を回転可能に支持する一対のロールペーパ支持部13は、収容部124の下方側の端部に設けられた枢動支持部123に、夫々が枢動可能に取り付けられている。
そして、一対のロールペーパ支持部13は夫々が独立して枢動可能に、枢動支持部123から幅方向内側に向かって突出するように取り付けられている
【0069】
そして、ロールペーパ支持部13は、長手方向Lに沿って伸びる略三角柱状に構成され、略直角二等辺三角形状に形成された面が、長手方向Lに直交するように配置されている。
また、略三角柱状のロールペーパ支持部13は、長手方向Lの長さが、収容部124の長手方向Lの長さより僅かに短く形成され、高さ方向Hの長さが、収容部124の高さ方向Hの長さの略半分程度に形成されている。
【0070】
そして、
図2に示す展開状態において、ロールペーパ支持部13は、上方側に配置される面が突設部122に対して直交するとともに、下方側の面が、より下方側に向かうに伴って夫々の突設部122に近接するように傾斜して配置されている。
【0071】
なお、展開状態におけるロールペーパ支持部13において、下方側に配置される斜辺の長さは、収容部124の高さ方向Hの長さよりもわずかに短く形成されている。
これにより、枢動支持部123に枢支されるロールペーパ支持部13が上方側に向かって枢動することで、ロールペーパ支持部13の全体が収容部124に収容されるように構成されている。
【0072】
このように構成されたロールペーパ支持部13に対して、下方側から上方側に向かう所定の力が作用することで、ロールペーパ支持部13は枢動支持部123を軸として、お互い離間するよう枢動するとともに収容部124に収容される。
【0073】
そして、枢動支持部123へ作用する力が解消された場合には、図示省略する弾性部材によって、ロールペーパ支持部13は収容部124から露出し、上方側に配置される面が突設部122に対して直交するまで枢動するように構成されている。
【0074】
すなわち、このように構成されたホルダ本体10にロール体Rを取り付けるには、ロール体Rを固定部12のロールペーパ支持部13に対して下方側から上方側に向かって押し当てる。
これに伴って、ロールペーパ支持部13は、枢動支持部123を軸として上方側に向かって枢動して収容部124に収容される。
【0075】
そして、円筒状の芯51の中空部分がロールペーパ支持部13に対応する位置となるまで、ロール体Rをさらに上方側に向かって移動させると、ロール体Rが押し当てられることでロールペーパ支持部13に作用していた力が解消する。
【0076】
このため、収容部124に収容されていたロールペーパ支持部13が弾性部材によって幅方向内側に向かって押し出され、ロールペーパ支持部13の上方側の面が突設部122に対して直交した状態となる。
【0077】
すなわち、収容部124から露出したロールペーパ支持部13は、上方側の面にロール体Rの芯51を係止させることで、芯51を枢支軸としてロール体Rを回転可能に支持することができる。
これにより、回転するロール体Rからロールペーパ50を順次引き出すことができる。
【0078】
なお、ホルダ本体10に取り付けられたロール体Rを取り外すには、ロール体Rを上方側に持ち上げることで容易に取り外すことができるが、ホルダ本体10にロール体Rを取り付ける操作と略同様であるため説明を省略する。
【0079】
カバー体20は、
図3に示すように、ロールペーパ50を上方側から覆うカバー本体30と、カバー本体30に収納されるとともに、カバー本体30に対してスライドさせてロールペーパ50を切断する略平板状のスライド切断部40とで構成されている。
そして、カバー本体30とスライド切断部40とは、引張バネSによって連結されている(
図2参照)。
【0080】
カバー本体30は、下方側に配置される下側カバー31と、上方側に配置される上側カバー32と、下側カバー31と上側カバー32との間隔を保持する間隔保持部33で構成されている。
下側カバー31は、平板状の下側カバー本体311と、下側カバー本体311の+L方向側の端部から下方側に向かって弧状に伸びる弧状部312と、弧状部312の下方側の端部に設けられる第一折り返し支点部313と、枢支孔125に枢支される被枢支部314とで構成されている。
【0081】
平板状の下側カバー本体311は、平面視略正方形状に形成され、高さ方向Hに対して直交するように上面が配置されるとともに、各辺が長手方向L、又は幅方向Wに配置された状態から上方側、及び下方側に向かって枢動可能に設けられている。
【0082】
そして、下側カバー本体311の幅方向Wの長さは、ロールペーパ50の幅方向Wに沿う長さよりも長く形成されている。
【0083】
弧状部312は、ロール体Rの使用前の径と略同一の曲率を備え、ロール体Rの外周面に沿って湾曲するように設けられ、弧状部312の+L方向側の端部は、ロール体Rの+L方向側の端部よりも-L方向側に配置されている。
【0084】
第一折り返し支点部313は、弧状部312の下方側の端部に取り付けられ、後述のように露出先端部52を上方側に折り返す際の支点として用いられるとともに、露出先端部52の基端側を下方側に向かって押圧するように構成されている(
図6(a)参照)。
【0085】
また、第一折り返し支点部313は、下方側に向かって突出する側面視三角形状かつ、幅方向Wに沿って伸びる三角柱状に形成され、幅方向Wに沿う長さは、ロールペーパ50の幅方向Wの長さよりも僅かに長く構成されている。
なお、弧状部312の端部に第一折り返し支点部313を取り付けずとも、弧状部312の端部を、露出先端部52を折り返す支点となる支点部として機能させてもよい。
【0086】
被枢支部314は、円柱状に形成され、下側カバー本体311の-L方向側の端部において、下側カバー本体311の幅方向Wに直交する面から幅方向外側に向かって突出するように、下側カバー本体311と一体に設けられている。
そして、被枢支部314は、上述の枢支孔125に挿通されることで、被枢支部314の設けられた下側カバー31が枢支されるように構成されている。
【0087】
間隔保持部33は、下側カバー本体311の-L方向側の端部から+L方向側の端部まで長手方向Lに沿って伸びる略角柱状に形成された間隔保持部本体331と、引張バネSを取り付けるカバー側バネ取付部332とで構成されている。
そして、間隔保持部33は幅方向Wに所定の間隔を隔てて一対が配置されている。
【0088】
上側カバー32は、平板状に形成された上側カバー本体321と、上側カバー本体321を高さ方向Hに沿って貫通する貫通孔のスライド操作孔322と、スライド操作孔322よりも+L方向側に設けられた保持部323とで構成されている。
【0089】
上側カバー本体321は、下側カバー本体311と略同一形状の平板状に形成されるとともに、下側カバー本体311と略平行に配置されている。
なお、後述するように、露出先端部52を保持部323に向けて折り返す際の支点として用いられる上側カバー本体321の+L方向側の端面を、第二折り返し支点部324とする。
【0090】
スライド操作孔322は、後述するスライド操作部403を上側カバー本体321の上面に対して直交する方向に貫通可能にする貫通孔によって形成されている。そして、スライド操作孔322は、下側カバー本体311の幅方向W、及び長手方向Lの中央近傍において、平面視略長方形状の貫通孔によって設けられている(
図2参照)。 なお、平面視略長方形状に形成されるスライド操作孔322の長手方向、及び幅方向は、長手方向L、及び幅方向Wの夫々に沿って設けられている。
【0091】
そして、スライド操作孔322は、長手方向Lに沿う長さが、上側カバー本体321の長手方向Lの長さの5分の3程度に設定され、幅方向の長さは、上側カバー本体321の幅方向Wの長さの3分の1程度に設定されている。
【0092】
保持部323は、側面視略直角二等辺三角形の三角柱状に形成されるとともに、上側カバー本体321の上面に一体に取り付けられている。
そして、保持部323は、二等辺三角形状に形成される面が、長手方向Lに直交するように配置され、長手方向Lに沿って伸びる三角柱状に構成されている。
【0093】
また保持部323は、幅方向Wに沿う長さが、スライド操作孔322の幅方向Wに沿う長さと略同一に設定されている。
このような保持部323は、-L方向側に配置される面が、上側カバー本体321の上面に対して垂直になるように、かつ、スライド操作孔322の+X方向側の面と面一になるように配置されている。また、保持部323の+X方向側に配置される面は、上側カバー本体321の上面に対して傾斜するように配置されている。
【0094】
このように構成された下側カバー31と上側カバー32と間隔保持部33とは、下側カバー31と上側カバー32との間に、一対の間隔保持部33を配置するとともに、夫々を接着することでカバー本体30を構成している。
また、カバー本体30を構成する一対の間隔保持部33は、夫々が下側カバー本体311の幅方向外側の端部から所定の間隔を隔てて配置されている。
【0095】
そして、このように構成されたカバー本体30は、下側カバー本体311、一対の間隔保持部33、及び上側カバー本体321に挟まれた空間によって、スライド切断部40を収納する収納空間34が形成される。
また、下側カバー本体311、一対の間隔保持部33、及び上側カバー本体321の+L方向側によって、スライドするスライド切断部40が挿通する挿通孔35が形成されている。
【0096】
収納空間34に収納されるスライド切断部40は、平板状の切断部本体401と、ロールペーパ50を切断する刃部402と、スライド切断部40のスライド操作を行うスライド操作部403とで構成されている。そして、刃部402は、切断部本体401の+L方向側の端部に取り付けられ、また、スライド操作部403は、切断部本体401の上面に対して一体に取り付けられている。
【0097】
平板状の切断部本体401は、平面視四角形状の平板により形成された平板部404と、引張バネSを取り付ける一対の切断部側バネ取付部405とで構成されている。
平板部404は、長手方向Lに沿う長さが、下側カバー本体311の長手方向Lに沿う長さと略同一に形成され、そして幅方向Wに沿う長さは、下側カバー31に取り付けられた一対の間隔保持部33同士が配置される間隔よりも僅かに短く形成されている。
【0098】
切断部側バネ取付部405は、平板部404の+L方向側の端部において、幅方向外側の両側に設けられ、平板部404から幅方向外側に向かって所定の間隔を隔てた位置に、-L方向側に引張バネSを取り付け可能に構成されている。
そして、切断部側バネ取付部405は、平板部404と引張バネSとの幅方向Wに沿う方向の間隔が、間隔保持部33の幅方向Wの長さよりも僅かに広くなるように引張バネSを取り付けられている。
【0099】
また、切断部側バネ取付部405から、平板部404の-L方向側の端部までの長さは、間隔保持部33の長手方向Lに沿う長さと略同一に形成されている。すなわち、平板部404は、上述する一対の間隔保持部33同士の間に配置可能に形成されている。
刃部402は、切断部本体401の+X方向側の端部から+X方向側に向かって突出するとともに、幅方向Wに沿う方向に伸びる波状の歯によって形成されている。
【0100】
スライド操作部403は、切断部本体401を構成する平板部404の上面に一体に取り付けられ、側面視略直角二等辺三角形の三角柱状に形成され、略二等辺三角形状に形成された側面が、幅方向Wに直交するように配置されている。
そして、スライド操作部403は、幅方向Wに沿う長さが、スライド操作孔322の幅方向Wに沿う長さよりも僅かに短く設定されている。
【0101】
このようなスライド操作部403は、+X方向側に配置される面が、平板部404の上面垂直に、かつ、-X方向側に配置される面が、平板部404の上面に対して傾斜するように配置されている。
【0102】
そして、スライド切断部40がカバー本体30に取り付けられた状態において、スライド操作部403は、上側カバー本体321に設けられたスライド操作孔322に対応する位置に設けられている。
また、スライド操作部403において平板部404の上面に対して垂直となる面と、保持部323において上側カバー本体321の上面に対して垂直となる面とが、対向するように構成されている。
【0103】
このように構成されたスライド切断部40は、上述のカバー本体30の収納空間34に収納されている。
そして、収納空間34に収納されたスライド切断部40に設けられた一対の切断部側バネ取付部405と、一対のカバー側バネ取付部332とを、二本の引張バネSによって連結することでカバー体20を構成している。
【0104】
このように構成されたカバー体20は、スライド操作部403がスライド操作孔322を上方側に向かって貫通するとともに、スライド操作部403と保持部323とが長手方向Lに沿って並んで配置されている。
そして、スライド操作部403が、長手方向Lに沿ってスライド操作孔322をスライド可能に構成されている。
【0105】
このように構成されたカバー体20は、
図4に示すように、スライド操作部403と保持部323とを近接させる摘まみ操作によって、収納空間34に収納されたスライド切断部40の刃部402を挿通孔35から突出させることができる。
【0106】
詳述すると、カバー体20は、
図4(a)に示すように、下側カバー本体311と上側カバー本体321とに挟まれた空間である収納空間34に収納されている。
スライド切断部40が収納空間34に収納された状態から、利用者Uがスライド操作部403と保持部323とを近接させる摘まみ操作を行うことで、スライド操作部403は、スライド操作孔322に沿って+L方向側にスライドする。
【0107】
この摘まみ操作により、スライド操作部403が一体に取り付けられたスライド切断部40は+L方向側に向かってスライドし、それに伴って、切断部側バネ取付部405とカバー側バネ取付部332とを連結する引張バネSは伸長する。
【0108】
そして、スライド切断部40がスライドすることで、
図4(b)に示すように、収納空間34に収納されたスライド切断部40の刃部402を、挿通孔35から突出させることができる。
そして、スライド操作部403と保持部323に対する摘まみ操作を利用者Uが辞めると、伸長した引張バネSの復元力によって、スライド切断部40は再び収納空間34に収納される。
【0109】
このように構成されたカバー体20とホルダ本体10とは、カバー体20を構成する下側カバー31の被枢支部314が、ホルダ本体10を構成する固定部12に設けられた枢支孔125に枢支されることで、ロールペーパホルダ1を構成している。
【0110】
次に、
図5、乃至
図7に基づいて、ロールペーパホルダ1の利用方法について説明する。
【0111】
詳述すると、初めに
図5(a)に示すように、ホルダ本体10に取り付けたロール体Rからロールペーパ50を引き出し、カバー体20の+L方向側から露出させる。このロール体Rから引き出されたロールペーパ50のうち、カバー体20から露出した部分を、露出先端部52とする。
【0112】
次に、
図5(b)に示すように、第一折り返し支点部313を支点として上方側に向けて露出先端部52を折り返す。
そして、折り返された露出先端部52を、
図6(a)に示すように、上側カバー本体321の+L方向側の端面となる第二折り返し支点部324で折り返す。
【0113】
これにより、露出先端部52によって、スライド操作部403と保持部323とを上方側から覆うことができ、利用者Uは露出先端部52を介して、スライド操作部403と保持部323とに指をかけることができる。
このとき、露出先端部52は、利用者Uの指と保持部323とで露出先端部52を挟み込まれ保持されている。
【0114】
露出先端部52に覆われた状態のスライド操作部403と保持部323とに対して、
図6(b)に示すように、露出先端部52を介して摘まみ操作を行うことで、スライド切断部40がスライドし、刃部402が挿通孔35から突出する。
そこからさらに、スライド操作部403と保持部323とを近接させることで、
図7(a)に示すように、露出先端部52が切断される。
【0115】
このようにスライド操作部403をスライドさせるには、利用者Uがカバー体20の先端側に設けられた保持部323に指をかけて摘まみ操作が行われる。
このため、摘まみ操作を行おうとする利用者Uの手等の荷重は、指をかけられた保持部323を介して、カバー体20を下方側に向かって押し下げるように作用し、これに伴って、カバー体20に設けられた第一折り返し支点部313が、露出先端部52の基端側を押圧する。
【0116】
そして、第一折り返し支点部313が露出先端部52の基端側を押圧することで、露出先端部52を備えるロール体Rの回転が規制され、利用者Uによって引き出された所望の長さを超えて余分にロールペーパ50が引き出されることを防止している。
【0117】
さらに、ロール体Rの回転が規制された状態における露出先端部52は、第一折り返し支点部313と第二折り返し支点部324との二か所で折り返されるとともに、利用者Uの指と保持部323とによって保持されている。
このため、露出先端部52は第一折り返し支点部313と第二折り返し支点部324との間が張った状態となる。
【0118】
そして、第一折り返し支点部313と第二折り返し支点部324との間が張った状態の露出先端部52に対して、スライドするスライド切断部40の刃部402を押し当てることで、引張力が付与されるとともに露出先端部52が切断され露出残部分52aが形成される。
【0119】
このように引張力を付与しながら、張った状態の露出先端部52を切断することで、
図7(b)に示すように、形成された露出残部分52aの第一折り返し支点部313で折り返された部分に、先端側を上方側に向かって折り曲げた状態を維持する折癖Fが付与される。
すなわち、この折癖Fにより、露出先端部52の切断後に形成される露出残部分52aの先端側がロール体Rの外周面から浮いた状態を維持することができる。
【0120】
なお、利用者が露出先端部52を切断した後、スライド操作部403と保持部323とから手を放すことで、引っ張られた引張バネSの復元力が作用する。
この引張バネSの復元力によって、スライド切断部40は再度カバー本体30の収納空間34に収納されることとなり、スライド切断部40の非使用時には確実にスライド切断部40をカバー本体30に収納しておくことができる。
【0121】
このように構成されたロールペーパホルダ1は、円筒状のロールペーパ50を倒位姿勢で回転可能に支持するホルダ本体10と、ホルダ本体10に支持されたロールペーパ50の上方を覆うカバー体20とが備えられ、カバー体20が、基端側に設けられた被枢支部314を軸としてホルダ本体10に枢支されたロールペーパホルダ1であって、カバー体20の先端側から露出するロールペーパ50の露出先端部52を上方に折り返す支点となる第一折り返し支点部313と、第一折り返し支点部313で折り返された露出先端部52を保持する保持部323と、第一折り返し支点部313と保持部323との間の露出先端部52を切断するスライド切断部40とが備えられたことにより、端部を容易に摘まんでロールペーパ50を引き出すことができる。
【0122】
詳述すると、カバー体20は基端側がホルダ本体10に枢支されているため、保持部323でロールペーパ50を保持することで、利用者Uの荷重がカバー体20を介してロールペーパ50に作用し、ロール体Rの不用意な回転は規制される。
【0123】
すなわち、カバー体20の自重やカバー体20に作用する利用者Uの荷重等によって、カバー体20の先端側が、露出先端部52の基端側をロール体Rに向けた押し付けた状態となる。
そして、カバー体20が露出先端部52を介して、ロール体Rを押し付けることで、ロール体Rの不要な回転が規制され、露出先端部52が所望長さを超えて引き出されないようにされている。
【0124】
そして、カバー体20によって不要な回転が規制されたロール体Rから、先端側に引き出された露出先端部52のうち、露出先端部52は第一折り返し支点部313を支点として上方に折り返されるとともに、保持部323によって保持される。
この露出先端部52は、第一折り返し支点部313で折り返されるとともに、保持部323で保持されることによって移動が規制される。
【0125】
そして、露出先端部52は、折り返しと保持とによって移動が規制された状態で、第一折り返し支点部313と保持部323との間をスライド切断部40によって切断される。
これにより、カバー体20の先端側からロールペーパ50の一部が露出する露出残部分52aを形成することができる。
【0126】
さらに、露出先端部52における第一折り返し支点部313と保持部323との間が、スライド切断部40に切断されるため、スライド切断部40による張力が露出先端部52に作用する。すなわち、露出先端部52が切断されることで形成される露出残部分52aの基端側であって、第一折り返し支点部313を支点とし折り返された部分には折癖Fが形成される。
そして、露出残部分52aは、形成された折癖Fによって、先端側がロール体Rの外周面から浮くように折り曲げられた状態を維持することができる。
【0127】
すなわち、第一折り返し支点部313を支点として上方に折り返された露出残部分52aは、露出先端部52における第一折り返し支点部313と保持部323との間で切断することで形成されている。
このため、露出残部分52aを単にカバー体20から露出させるだけではなく、露出先端部52を切断することで形成される折癖Fにより、露出残部分52aがロール体Rの外周面から浮いた状態で維持される。
【0128】
このように、露出先端部52に折癖Fが形成されるように切断することで、露出残部分52aの先端側をロール体Rの外周面から浮かせた状態で維持でき、露出残部分52aが、ロール体Rの外周面に沿ってしまうことを防止できる。
したがって、利用者Uが端部を容易に摘まんでロールペーパ50を引き出すことができる。
【0129】
また、スライド切断部40が、カバー体20に沿ってスライドするスライド切断部40によって構成され、スライド切断部40をスライドさせるスライド操作部403が設けられることにより、露出残部分52aの先端側をロール体Rの外周面から浮かせる折癖Fを確実に形成することができる。
【0130】
詳述すると、スライド操作部403を用いて、スライド切断部40を露出先端部52に向けてスライドさせることで、露出先端部52を容易に切断することができ、露出先端部52をスライド切断部40に向かって移動させることなく切断することができる。
このため、露出先端部52を切断する際には、ロールペーパ50の回転が規制された状態で、保持部323によって保持された露出先端部52に対してスライド切断部40によって引張力を作用させて切断できる。
【0131】
すなわち、保持部323によって保持された露出先端部52が、スライド切断部40まで移動することで緩むことなく、第一折り返し支点部313によって折り返されるとともに保持部323に保持され、移動が規制された露出先端部52をスライド切断部40によって切断できる。
【0132】
したがって、張力が作用した状態の露出先端部52に張力を確実にスライド切断部40で切断することができる。
【0133】
このように、スライド切断部40による引張力が作用した状態で露出先端部52を切断することで、切断する際に作用する張力により形成される折癖F、すなわち、露出残部分52aの先端側をロール体Rの外周面から浮かせる折癖Fを確実に形成することができる。
【0134】
また、スライド操作部403とスライド切断部40とが一体に構成され、スライド操作部403とスライド切断部40とがともにスライドするように設けられることにより、スライド切断部40が露出先端部52を切断する際に作用する引張力によって余分に露出先端部52が引き出されるおそれを抑制でき、露出先端部52が緩むことを防止できる。
【0135】
詳述すると、保持部323で露出先端部52を保持しながら、スライド操作部403によってスライド切断部40をスライドさせることができる。
このため、スライド切断部40により露出先端部52を切断する際には、第一折り返し支点部313で折り返され、保持部323に保持され張った状態の露出先端部52に対して、スライド切断部40が押し当てられることで、露出先端部52に引張力が作用する。
そして、移動が規制された状態の露出先端部52を、スライド切断部40が引張力を作用させながら切断することで、露出先端部52には折癖Fが確実に形成される。
【0136】
このとき、スライド操作部403とスライド切断部40とを一体に構成することで、スライド操作部403とスライド切断部40とをともに先端側に向けてスライドさせて、カバー体20の先端側から露出する露出先端部52を切断することができる。
【0137】
すなわち、利用者Uがスライド操作部403を操作する操作荷重は、スライド切断部40を先端側にスライドさせることに伴って、より先端側に移動して作用する。
そして、カバー体20の基端側がホルダ本体10に枢支されているため、より先端側に作用する操作荷重は、カバー体20の先端側を押し下げるとともに、露出先端部52の基端側をロール体Rに向けて押圧する圧力として作用する。
【0138】
このように、露出先端部52を切断するためのスライド操作部403の操作に伴って、露出先端部52の基端側をロール体Rに向けて押圧することで、ロール体Rの回転を確実に規制することができる。
すなわち、スライド切断部40が露出先端部52を切断する際に作用する引張力によって余分に露出先端部52が引き出されるおそれを抑制でき、露出先端部52が緩むことを防止できる。
【0139】
また、保持部323が、スライド操作部403よりも先端側に設けられ、スライド操作部403を操作して露出先端部52を切断する際に、スライド操作部403と保持部323とが近接するように構成されることにより、スライド操作部403の操作性を向上できるとともに、露出先端部52に対して確実に折癖Fを形成でき、さらに衛生的に利用することができる。
【0140】
詳述すると、保持部323が、スライド操作部403よりも先端側に設けられているため、露出先端部52が保持された状態の保持部323を、スライド操作部403をスライドさせる際の反力として利用することができる。
【0141】
このため、例えば、利用者Uが保持部323に対して親指を係止させて露出先端部52を保持し、他の指を用いてスライド操作部403を保持部323に対して近接させる、すなわち、保持部323とスライド操作部403を摘まむように操作することで、露出先端部52を切断することができる。
このように、保持部323を反力として利用し、スライド操作部403を操作することで、露出先端部52を切断することができ、スライド操作部403の操作性を向上することができる。
【0142】
加えて、保持部323を反力として機能させる際に、スライド操作部403よりも先端側に設けられた保持部323に対して、利用者Uの荷重等が作用する。
これにより、カバー体20の先端側によって、露出先端部52の基端側が押し付けられた状態に容易にでき、ロール体Rの不要な回転を確実に規制できる。
【0143】
仮に、露出先端部52が、スライド操作部403を超える長さで引き出されている場合、保持部323とスライド操作部403とを折り返された露出先端部52を介して操作することができる。
このため、利用者Uは、スライド操作部403や保持部323に利用者Uが直接触れることなく、衛生的に、露出先端部52を切断することができる。
このように、スライド操作部403の操作性を向上できるとともに、露出先端部52に対して確実に折癖Fを形成でき、さらに衛生的に利用することができる。
【0144】
また、スライド切断部40を収納する収納空間34を備え、収納空間34に、スライド切断部40を挿通する挿通孔35が、スライド切断部40のスライド方向に設けられることにより、スライド切断部40の非使用時に、スライド切断部40を収納空間34に収納し、スライド切断部40の使用時に、挿通孔35からスライド切断部40を露出させて露出先端部52を切断することができる。
これにより、スライド切断部40の非使用時において、利用者Uが意図せずにスライド切断部40に触れることを防止でき、利用者Uの安全性を向上できる。
【0145】
また、第一折り返し支点部313が、露出先端部52の幅方向に沿うとともに、露出先端部52の幅以上の長さで構成されることにより、露出先端部52の切断時に形成される折癖Fを、露出先端部52の全幅に亘って形成することができ、露出残部分52aの先端側を全幅に亘ってロール体Rの外周面から浮かせることができる。
【0146】
詳述すると、第一折り返し支点部313が露出先端部52の幅以上の長さで形成されているため、露出先端部52を上方側に向かって折り返す際には、露出先端部52の全幅に対して第一折り返し支点部313が当接する。
このため、露出先端部52の切断時に形成される折癖Fは、露出先端部52の全幅に亘って形成することができ、露出残部分52aの先端側を全幅に亘ってロール体Rの外周面から浮かせることができる。
【0147】
また、スライド切断部40が、露出先端部52の幅方向に沿うとともに、露出先端部52の幅以上の長さで構成されることにより、露出残部分52aの先端側をロール体Rの外周面からより確実に浮かせることができる。
【0148】
詳述すると、第一折り返し支点部313によって折り返され、保持部323によって保持された露出先端部52の全幅に亘って、均一に、スライド切断部40を当接させることで、露出先端部52を全幅に亘って切断できる。
【0149】
そして、露出先端部52に対して均一にスライド切断部40を当接させることで、スライド切断部40が露出先端部52に対して局所的に当接する場合と比較して、露出先端部52は切断されにくくなる。
このため、露出先端部52が部分的に切断されたり、一部が避けたりすることを防止でき、露出先端部52の全幅に亘って、スライド切断部40を均一に当接させることができる。
【0150】
このため、露出先端部52の全幅に亘って、スライド切断部40による引張力を均一に付与することができ、露出残部分52aの基端側において、全幅に亘る織癖を付与することができる。
したがって、露出残部分52aの先端側をロール体Rの外周面からより確実に浮かせることができる。
【0151】
また、第一折り返し支点部313を第一折り返し支点部313とし、第一折り返し支点部313で折り返された露出先端部52を、スライド切断部40に向けて折り返す第二折り返し支点部324が設けられ、第二折り返し支点部324が、スライド切断部40と保持部323との間において、露出先端部52の幅方向に沿うとともに、露出先端部52の幅以上の長さで構成され、露出先端部52のうち第一折り返し支点部313と第二折り返し支点部324とを跨ぐ部分が、スライド切断部40のスライド方向に対して略直交するように第二折り返し支点部324が配置されることにより、露出先端部52のうち、スライド切断部40により切断される部分を跨いで、第一折り返し支点部313と第二折り返し支点部324とが全幅に亘って当接するため、露出先端部52の切断される部分が緩むことを、全幅に亘って防止できる。
【0152】
すなわち、第一折り返し支点部313と第二折り返し支点部324との間において、張った状態の露出先端部52を全幅に亘って緩ませることなく、スライド切断部40によって切断することができ、露出先端部52の全幅に亘って確実に折癖Fを形成できる。
さらに、露出先端部52とスライド切断部40とを略直交するように当接させることができ、露出先端部52を確実に切断することができる。
【0153】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のロールペーパは、ロールペーパ50に対応し、
以下同様に、
ロールペーパホルダは、ロールペーパホルダ1に対応し、
ホルダ本体は、ホルダ本体10に対応し、
カバー体は、カバー体20に対応し、
枢支軸は、被枢支部314に対応し、
スライド操作部は、スライド操作部403に対応し、
収納空間34は、
第一折り返し支点部は、第一折り返し支点部313に対応し、
第二折り返し支点部は、第二折り返し支点部324に対応し、
露出先端部は、露出先端部52に対応し、
露出残部分は、露出残部分52aに対応し、
収納部は、収納空間34に対応し、
挿通孔は、挿通孔35に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0154】
例えば、本実施形態において、ロール体Rは、中空の円筒状の芯51に対してペーパを巻き付けて形成しているが、単にペーパを円筒状に巻いて形成してもよい。
【0155】
また本実施形態において、第一折り返し支点部313は、カバー体20を構成する部材により構成しているが、露出先端部52のうち少なくとも一部を折り返すことができればよく、カバー体20の一部を利用してもよい。
【0156】
さらに第一折り返し支点部313は、露出先端部52の幅方向に沿って伸びる一つの部材によって構成されているが、露出先端部52の幅方向に沿って配置された複数の部材によって構成されてもよい。
【0157】
また本実施形態において、保持部323は、利用者Uが保持部323と露出先端部52をともに把持することで保持するように構成されているが、露出先端部52が保持部323のみによって保持するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0158】
1…ロールペーパホルダ
10…ホルダ本体
20…カバー体
34…収容空間
35…挿通孔
40…スライド切断部
50…ロールペーパ
52…露出先端部
313…第一折り返し支点部
314…被枢支部
323…保持部
324…第二折り返し支点部
403…スライド操作部