(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】基板用コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20231204BHJP
H01R 12/51 20110101ALI20231204BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
H01R13/52 B
H01R12/51
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2020106655
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 由仁
(72)【発明者】
【氏名】萩原 正之
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168695(JP,A)
【文献】特開2020-038958(JP,A)
【文献】特開2020-088358(JP,A)
【文献】特開平09-129306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 12/51
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方コネクタに接続される第一端子部と、基板に固定される第二端子部と、を有し、前記第一端子部と前記第二端子部との間がL字状に屈曲している端子と、
前記相手方コネクタが挿入される筒部と、前記筒部の一端を閉塞しており、前記第一端子部を保持する保持壁と、を有し、前記端子を介して前記基板に固定されるハウジングと、
前記ハウジングと嵌合し、前記基板および前記第二端子部を収容するカバーと、
を備え、
前記保持壁には、前記筒部の軸方向に沿って前記保持壁を貫通する貫通孔が形成されており、
前記カバーは、前記カバーが前記ハウジングと嵌合した状態で前記貫通孔を閉塞するリブを有する
ことを特徴とする基板用コネクタユニット。
【請求項2】
前記リブは、前記軸方向に沿って前記貫通孔に挿入されて前記貫通孔を閉塞する
請求項1に記載の基板用コネクタユニット。
【請求項3】
前記保持壁は、前記相手方コネクタと対向する対向面を有し、
前記カバーは、前記ハウジングと嵌合した状態で前記リブの先端面が前記対向面と同一面上に位置するように構成されている
請求項2に記載の基板用コネクタユニット。
【請求項4】
前記ハウジングは、複数の前記筒部を有し、
前記保持壁は、一つの前記筒部に対して少なくとも一つの前記貫通孔を有し、
前記カバーは、一つの前記貫通孔に対して一つの前記リブを有する
請求項1から3の何れか1項に記載の基板用コネクタユニット。
【請求項5】
前記カバーは、防湿剤が塗布された前記基板を収容する
請求項1から4の何れか1項に記載の基板用コネクタユニット。
【請求項6】
前記筒部において、前記相手方コネクタが挿入される開口部は、前記相手方コネクタを係止する爪部を有し、
前記爪部は、前記筒部の内壁面から突出しており、
前記貫通孔は、前記爪部を形成する金型の抜き穴であり、前記軸方向において前記爪部と対向している
請求項1から5の何れか1項に記載の基板用コネクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板用コネクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、虫等の侵入を防ぐ屋外筐体の通気構造がある。特許文献1には、全周に凸形状のリブを具備し、筐体底面に防虫シートにより保護された通気孔を有し、その筐体全体の上下、側面、前面をおおう外カバーにより構成される屋外筐体の通気構造が開示されている。特許文献1の屋外筐体の通気構造は、あらゆる方向からの雨等による水の進入を防止し、虫等の侵入を防ぎ、気温の変化による筐体内部の気圧変動の発生に強い、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板用コネクタユニットにおいて、簡素な構成によって収容空間への虫や異物の侵入を規制できることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、簡素な構成によって収容空間への虫や異物の侵入を規制できる基板用コネクタユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板用コネクタユニットは、相手方コネクタに接続される第一端子部と、基板に固定される第二端子部と、を有し、前記第一端子部と前記第二端子部との間がL字状に屈曲している端子と、前記相手方コネクタが挿入される筒部と、前記筒部の一端を閉塞しており、前記第一端子部を保持する保持壁と、を有し、前記端子を介して前記基板に固定されるハウジングと、前記ハウジングと嵌合し、前記基板および前記第二端子部を収容するカバーと、を備え、前記保持壁には、前記筒部の軸方向に沿って前記保持壁を貫通する貫通孔が形成されており、前記カバーは、前記カバーが前記ハウジングと嵌合した状態で前記貫通孔を閉塞するリブを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る基板用コネクタユニットにおいて、ハウジングの保持壁には、筒部の軸方向に沿って保持壁を貫通する貫通孔が形成されている。カバーは、貫通孔を閉塞するリブを有する。本発明に係る基板用コネクタユニットによれば、リブによって貫通孔を閉塞することで、簡素な構成によって収容空間への虫や異物の侵入を規制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る基板用コネクタユニットおよび相手方コネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る基板用コネクタユニットの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るハウジングの正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るハウジングの断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るハウジングの断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るハウジングの斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るカバーの断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るカバーの断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る基板用コネクタユニットの断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る基板用コネクタユニットの断面図である。
【
図12】
図12は、相手方コネクタと嵌合した状態の基板用コネクタユニットの断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の変形例に係る基板用コネクタユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る基板用コネクタユニットにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図12を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、基板用コネクタユニットに関する。
図1は、実施形態に係る基板用コネクタユニットおよび相手方コネクタを示す斜視図、
図2は、実施形態に係る基板用コネクタユニットの分解斜視図、
図3は、実施形態に係るハウジングの正面図、
図4は、実施形態に係るハウジングの断面図、
図5は、実施形態に係るハウジングの断面図、
図6は、実施形態に係るハウジングの斜視図、
図7は、実施形態に係るカバーの断面図、
図8は、実施形態に係るカバーの断面図、
図9は、実施形態に係る基板用コネクタユニットの断面図、
図10は、実施形態に係る基板用コネクタユニットの断面図である。
【0011】
図11は、相手方コネクタの斜視図、
図12は、相手方コネクタと嵌合した状態の基板用コネクタユニットの断面図である。
図4には、
図3のIV-IV断面が示されている。なお、
図7および
図9の断面位置は、
図4の断面位置と同じである。
図5には、
図3のV-V断面が示されている。
図8および
図10の断面位置は、
図5の断面位置と同じである。
【0012】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る基板用コネクタユニット1は、ハウジング2と、カバー3と、端子4と、を有する。基板用コネクタユニット1は、例えば、自動車等の車両に搭載される。基板用コネクタユニット1は、例えば、車両のエンジンコンパートメントに配置される。
【0013】
ハウジング2は、端子4を保持するコネクタハウジングであり、端子4を介して基板10に対して固定される。
図3から
図5に示すように、ハウジング2は、本体20と、保持壁21と、筒部22と、仕切壁23と、を有する。本体20、保持壁21、筒部22、および仕切壁23は、例えば、絶縁性の合成樹脂によって一体成型されている。
【0014】
本体20は、カバー3と嵌合する嵌合部である。本体20の形状は、略矩形の枠形状である。筒部22の形状は、相手方コネクタ100と嵌合可能な筒形状である。例示された筒部22の形状は、角筒形状である。以下の説明では、筒部22の軸方向を単に「軸方向X」と称する。相手方コネクタ100は、軸方向Xに沿ってハウジング2に嵌合する。また、カバー3は、軸方向Xに沿ってハウジング2に嵌合する。ハウジング2に対する相手方コネクタ100の嵌合方向X1(
図1)と、ハウジング2に対するカバー3の嵌合方向X2(
図2)とは逆方向である。
【0015】
例示されたハウジング2は、筒部22として、第一筒部22A、第二筒部22B、および第三筒部22Cを有する。三つの筒部22A,22B,22Cは、本体20の内方に位置している。第一筒部22A、第二筒部22B、および第三筒部22Cは、本体20の長手方向Yに沿って一列に並んでいる。なお、以下の説明において、第一筒部22A、第二筒部22B、および第三筒部22Cを特に区別しない場合には単に「筒部22」と記載する。
【0016】
保持壁21は、筒部22の一端を閉塞している。例示されたハウジング2では、一つの保持壁21が第一筒部22A、第二筒部22B、および第三筒部22Cを閉塞している。例示された保持壁21の形状は、長方形である。保持壁21は、端子4を保持する複数の保持孔21aを有する。保持孔21aは、軸方向Xに沿って保持壁21を貫通している。保持壁21は、第一筒部22A、第二筒部22B、および第三筒部22Cのそれぞれに対して複数の保持孔21aを有している。
【0017】
図3から
図5に示すように、筒部22は、相手方コネクタ100を係止する爪部24を有する。第一筒部22Aは、爪部24として、第一爪部24Aを有する。第二筒部22Bは、爪部24として、第二爪部24Bを有する。第三筒部22Cは、爪部24として、第三爪部24Cを有する。
【0018】
図4には、第一筒部22Aの断面が示されている。
図4に示すように、第一爪部24Aは、第一筒部22Aにおける開口部22wに設けられている。開口部22wは、相手方コネクタ100が挿入される挿入口である。第一爪部24Aは、第一筒部22Aが有する四つの側壁のうち、長手方向Yに沿って延在する第一側壁22fに設けられている。第一爪部24Aは、第一側壁22fの内壁面22gから突出している。
【0019】
図5には、第二筒部22Bの断面が示されている。
図5に示すように、第二爪部24Bは、第二筒部22Bにおける開口部22xに設けられている。開口部22xは、相手方コネクタ100が挿入される挿入口である。第二爪部24Bは、第二筒部22Bが有する四つの側壁のうち、長手方向Yに沿って延在する第一側壁22hに設けられている。第二爪部24Bは、第一側壁22hの内壁面22iから突出している。
【0020】
第三筒部22Cの構成は、第一筒部22Aの構成と同様である。すなわち、第三爪部24Cは、第三筒部22Cにおける開口部に設けられている。
図3に示すように、第三爪部24Cは、第三筒部22Cが有する四つの側壁のうち、長手方向Yに沿って延在する第一側壁22jに設けられている。第三爪部24Cは、第一側壁22jの内壁面から突出している。
【0021】
仕切壁23は、本体20と筒部22とをつなぐ壁部である。
図4および
図5に示すように、仕切壁23は、軸方向Xと直交する壁部であり、筒部22の外側の面と本体20とをつないでいる。仕切壁23は、筒部22よりも外側の空間部を第一空間部26aと第二空間部26bとに仕切る。第一空間部26aは、仕切壁23に対して軸方向Xの一方側に位置する空間部である。第一空間部26aは、仕切壁23に対して保持壁21の側に位置する空間部である。つまり、第一空間部26aは、ハウジング2に対してカバー3が嵌合したときに基板10を収容する収容空間の一部となる。第二空間部26bは、仕切壁23に対して軸方向Xの他方側に位置する空間部である。
【0022】
図2等に示すように、保持壁21は、軸方向Xに沿って保持壁21を貫通する貫通孔25を有する。より詳しくは、保持壁21は、貫通孔25として、第一貫通孔25A、第二貫通孔25B、および第三貫通孔25Cを有する。第一貫通孔25Aは、第一筒部22Aに対応する貫通孔25である。
図4に示すように、第一貫通孔25Aは、第一筒部22Aの内部空間に向けて開口している。第一貫通孔25Aは、第一側壁22fの内壁面22gに沿って形成されている。第一貫通孔25Aは、第一爪部24Aを形成する金型の抜き穴である。第一貫通孔25Aは、軸方向Xにおいて第一爪部24Aと対向している。
【0023】
第二貫通孔25Bは、第二筒部22Bに対応する貫通孔25である。
図5に示すように、第二貫通孔25Bは、第二筒部22Bの内部空間に向けて開口している。第二貫通孔25Bは、第一側壁22hの内壁面22iに沿って形成されている。第二貫通孔25Bは、第二爪部24Bを形成する金型の抜き穴である。第二貫通孔25Bは、軸方向Xにおいて第二爪部24Bと対向している。
【0024】
第三貫通孔25Cは、第三筒部22Cに対応する貫通孔25である。第三貫通孔25Cの構成は、第一貫通孔25Aの構成と同様である。すなわち、第三貫通孔25Cは、第三筒部22Cの内部空間に向けて開口している。第三貫通孔25Cは、第一側壁22jの内壁面に沿って形成されている。第三貫通孔25Cは、第三爪部24Cを形成する金型の抜き穴である。第三貫通孔25Cは、軸方向Xにおいて第三爪部24Cと対向している。
【0025】
図2等に示すように、本実施形態の端子4は、オス端子であり、第一端子部41、第二端子部42、および屈曲部43を有する。第一端子部41、第二端子部42、および屈曲部43は、導電性を有する金属板から形成されている。第一端子部41および第二端子部42は、それぞれ直線状に形成されている。屈曲部43は、第一端子部41と第二端子部42との間に位置しており、L字状に屈曲している。屈曲部43は、例えば、直角に曲がっている。
【0026】
第一端子部41は、
図1に示す相手方コネクタ100に接続される端子部である。より詳しくは、第一端子部41は、相手方コネクタ100のコネクタハウジング101によって保持されているメス端子に接続される。第一端子部41は、ハウジング2の保持孔21aに対して圧入される。第一端子部41は、第一端子部41の先端部が筒部22の内部空間に突出する状態でハウジング2によって保持される。
【0027】
第二端子部42は、基板10に固定される端子部である。
図2に示すように、第二端子部42は、基板10の貫通孔11に挿通される。第二端子部42は、はんだ等によって基板10に固定され、かつ基板10の回路に電気的に接続される。
【0028】
カバー3は、ハウジング2と嵌合し、ハウジング2と協働して収容空間38を形成する。この収容空間38には、基板10、および端子4の第二端子部42が収容される。
図2および
図6に例示されたカバー3は、角筒形状の側壁30と、底壁31と、リブ32と、を有する。側壁30、底壁31、およびリブ32は、例えば、絶縁性の合成樹脂で一体に成型される。
【0029】
カバー3の形状は、ハウジング2と嵌合して閉空間を形成する形状である。例示された側壁30の断面形状は、長方形であり、ハウジング2の本体20の形状と対応している。側壁30は、第一側壁30a、第二側壁30b、第三側壁30c、および第四側壁30dを有する。第一側壁30aおよび第二側壁30bは、長手方向Yに延在している。第三側壁30cおよび第四側壁30dは、長手方向Yにおいて互いに対向している。
【0030】
第一側壁30aおよび第二側壁30bには、爪部33が設けられている。爪部33は、カバー3がハウジング2と嵌合したときにハウジング2の本体20によって係止される。第三側壁30cおよび第四側壁30dには、ガイド溝34が設けられている。ガイド溝34は、基板10を案内するための溝であり、軸方向Xに沿って延在している。
【0031】
リブ32は、ハウジング2の貫通孔25を閉塞するように構成されている。リブ32は、第一側壁30aの内壁面30eから突出している。リブ32は、第一リブ32A、第二リブ32B、および第三リブ32Cを有する。第一リブ32Aは、第一貫通孔25Aを閉塞するリブ32である。第二リブ32Bは、第二貫通孔25Bを閉塞するリブ32である。第三リブ32Cは、第三貫通孔25Cを閉塞するリブ32である。
【0032】
図7には、第一リブ32Aの断面が示されている。第一リブ32Aは、基部35aおよび閉塞部35bを有する。基部35aおよび閉塞部35bは、一体である。基部35aは、内壁面30eから第二側壁30bに向けて突出している。閉塞部35bは、基部35aの先端から軸方向Xに向けて突出している。より詳しくは、閉塞部35bは、側壁30の開口部30fに向けて突出している。閉塞部35bの先端には、呼び込みのためのテーパ部35cが形成されている。
【0033】
図8には、第二リブ32Bの断面が示されている。第二リブ32Bは、基部36aおよび閉塞部36bを有する。基部36aおよび閉塞部36bは、一体である。基部36aは、内壁面30eから第二側壁30bに向けて突出している。閉塞部36bは、基部36aの先端から開口部30fに向けて突出している。閉塞部36bの先端には、呼び込みのためのテーパ部36cが形成されている。
【0034】
第三リブ32Cの構成は、第一リブ32Aの構成と同様である。
図6に示すように、第三リブ32Cは、基部35aと同様の基部37a、および閉塞部35bと同様の閉塞部37bを有している。
【0035】
図2に示すように、基板10に対してハウジング2および端子4が固定される。例えば、ハウジング2の各保持孔21aに対して端子4の第一端子部41が圧入され、その後に端子4の第二端子部42が基板10に対して固定される。基板10は、ねじ等の締結部材13によってハウジング2に対して固定される。基板10には、電子部品12が実装されている。また、基板10には、防湿剤が塗布される。防湿剤は、電子部品12、基板10の回路、端子4等を覆って水分等に対して保護する。
【0036】
基板10に対して防湿剤が塗布された後に、カバー3がハウジング2に対して取り付けられる。
図2に示すように、カバー3は、嵌合方向X2に沿ってスライドしながらハウジング2に嵌合する。
【0037】
図9には、カバー3がハウジング2に対して嵌合した嵌合状態の断面が示されている。カバー3の爪部33は、ハウジング2の本体20によって係止される。本体20は、爪部33を係止するフランジ部を有している。本体20は、カバー3の内壁面に接触してカバー3の開口部30fを閉塞する。基板10および第二端子部42は、ハウジング2およびカバー3によって形成される収容空間38に収容される。
【0038】
図9に示すように、第一リブ32Aの閉塞部35bは、ハウジング2の第一貫通孔25Aを閉塞する。より詳しくは、閉塞部35bは、第一貫通孔25Aに挿入されて第一貫通孔25Aに嵌合する。第一リブ32Aは、閉塞部35bの側面と第一貫通孔25Aの壁面との隙間が十分に小さくなるように形成されている。例えば、第一リブ32Aは、アリなどの虫が通過できないように第一貫通孔25Aを閉塞する。よって、第一リブ32Aは、収容空間38への虫や異物の侵入を規制することができる。
【0039】
図9に示すように、カバー3がハウジング2と嵌合した状態で、第一リブ32Aの先端面35dは、保持壁21の対向面22kと同一面上に位置する。対向面22kは、保持壁21の面であって、軸方向Xにおいて相手方コネクタ100と対向する面である。カバー3がこのように構成されていることで、第一リブ32Aが相手方コネクタ100と干渉してしまうことが抑制される。
【0040】
図10には、第二リブ32Bが第二貫通孔25Bを閉塞した状態が示されている。第二リブ32Bの閉塞部36bは、第二貫通孔25Bに挿入されて第二貫通孔25Bに嵌合する。第二リブ32Bは、閉塞部36bの側面と第二貫通孔25Bの壁面との隙間が十分に小さくなるように形成されている。例示された第二リブ32Bは、アリなどの虫が通過できないように第二貫通孔25Bを閉塞する。よって、第二リブ32Bは、収容空間38への虫や異物の侵入を規制することができる。カバー3がハウジング2と嵌合した状態で、第二リブ32Bの先端面36dは、保持壁21の対向面22mと同一面上に位置する。
【0041】
第三リブ32Cは、第三貫通孔25Cを閉塞する。第三リブ32Cの閉塞部37bは、第三貫通孔25Cに挿入されて第三貫通孔25Cに嵌合する。第三リブ32Cは、第一リブ32Aが第一貫通孔25Aを閉塞するのと同様に、第三貫通孔25Cを閉塞する。よって、第三リブ32Cは、収容空間38への虫や異物の侵入を規制することができる。第三リブ32Cは、カバー3がハウジング2と嵌合した状態で、第三リブ32Cの先端面が保持壁21の対向面と同一面上に位置するように構成されている。
【0042】
図11には、相手方コネクタ100の一例が示されている。相手方コネクタ100のコネクタハウジング101は、ハウジング本体102およびアーム103を有する。ハウジング本体102およびアーム103は、ハウジング2の筒部22に嵌合する部分である。ハウジング本体102は、複数のキャビティ102aを有する。各キャビティ102aには、相手方端子が保持される。相手方端子は、例えば、筒形状のメス端子である。
【0043】
アーム103は、ハウジング本体102の先端部につながっている。ハウジング本体102の先端部は、筒部22に対して相手方コネクタ100が挿入されるときの挿入方向の先端部である。アーム103の基端は、ハウジング本体102の側面につながっている。アーム103は、ハウジング本体102の後端へ向けて軸方向Xに沿って延在している。アーム103は、可撓性を有しており、ハウジング本体102に対して揺動可能である。アーム103の先端部には、ハウジング2によって係止される突起104が設けられている。突起104は、アーム103の外側面から突出している。つまり、突起104は、ハウジング本体102の側とは反対側へ向けて突出している。
【0044】
相手方コネクタ100が筒部22に挿入されると、端子4の第一端子部41がキャビティ102aに入り込み、相手方端子と接続される。このときに、相手方コネクタ100は、アーム103を撓み変形させながら筒部22と嵌合する。アーム103の突起104は、ハウジング2の爪部24によって係止される。
【0045】
図12には、第一筒部22Aに嵌合した相手方コネクタ100が示されている。第一爪部24Aは、軸方向Xにおいて突起104と対向して突起104を係止する。
図12に示すように、相手方コネクタ100は、第一筒部22Aを閉塞する。つまり、相手方コネクタ100は、第一筒部22Aの内部への虫や異物の侵入を規制する。言い換えると、相手方コネクタ100が第一筒部22Aに嵌合した状態では、相手方コネクタ100および第一リブ32Aによって、収容空間38への虫や異物の侵入が規制される。相手方コネクタ100は、第二筒部22Bおよび第三筒部22Cに対して同様に嵌合し、虫や異物の侵入を規制する。
【0046】
上記のように、本実施形態に係る基板用コネクタユニット1は、相手方コネクタ100と嵌合する前の状態で、収容空間38への虫や異物の侵入を規制することができる。つまり、相手方コネクタ100と嵌合する前の搬送時や保管時であっても虫や異物の侵入が規制される。また、本実施形態に係る基板用コネクタユニット1は、相手方コネクタ100の個数の変化に柔軟に対応できる。例えば、第一筒部22Aおよび第三筒部22Cには相手方コネクタ100が嵌合し、第二筒部22Bには相手方コネクタ100が嵌合しないような使用形態も可能である。この場合であっても、第二貫通孔25Bが第二リブ32Bによって閉塞されているため、収容空間38へ虫や異物が侵入しにくい。
【0047】
実施形態で例示された基板用コネクタユニット1の場合、相手方コネクタ100の個数が一つから三つまで、同じハウジング2およびカバー3によって対応できる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の基板用コネクタユニット1は、端子4と、ハウジング2と、カバー3と、を有する。端子4は、相手方コネクタ100に接続される第一端子部41と、基板10に固定される第二端子部42と、を有し、かつ第一端子部41と第二端子部42との間の屈曲部43がL字状に屈曲している。ハウジング2は、筒部22と、保持壁21と、を有する。筒部22には、相手方コネクタ100が挿入される。保持壁21は、筒部22の一端を閉塞しており、第一端子部41を保持する。ハウジング2は、端子4を介して基板10に固定される。カバー3は、ハウジング2と嵌合し、基板10および第二端子部42を収容する。
【0049】
保持壁21には、筒部22の軸方向Xに沿って保持壁21を貫通する貫通孔25が形成されている。カバー3は、カバー3がハウジング2と嵌合した状態で貫通孔25を閉塞するリブ32を有する。本実施形態の基板用コネクタユニット1は、リブ32によって貫通孔25を閉塞することで、簡素な構成によって、基板10を収容する収容空間38への虫や異物の侵入を規制することができる。
【0050】
本実施形態のリブ32は、軸方向Xに沿って貫通孔25に挿入されて貫通孔25を閉塞する。リブ32と貫通孔25との嵌合構造は、効果的に虫や異物の侵入を規制することができる。
【0051】
本実施形態の保持壁21は、相手方コネクタ100と対向する対向面22k,22mを有する。カバー3は、ハウジング2と嵌合した状態でリブ32の先端面35d,36dが対向面22k,22mと同一面上に位置するように構成されている。よって、リブ32と相手方コネクタ100との干渉が抑制される。
【0052】
本実施形態のハウジング2は、複数の筒部22A,22B,22Cを有する。保持壁21は、一つの筒部22に対して少なくとも一つの貫通孔25を有する。カバー3は、一つの貫通孔25に対して一つのリブ32を有する。つまり、カバー3は、保持壁21が有する貫通孔25の全てをリブ32によって閉塞することができる。
【0053】
本実施形態のカバー3は、防湿剤が塗布された基板10を収容する。防湿剤には、虫を誘引する匂いを発するものがある。このような防湿剤が塗布された基板10をカバー3に収容する場合に、リブ32が貫通孔25を閉塞し、収容空間38への虫の侵入を抑制することができる。
【0054】
本実施形態の筒部22において、相手方コネクタ100が挿入される開口部30fは、相手方コネクタ100を係止する爪部24を有する。爪部24は、筒部22の内壁面22g,22iから突出している。貫通孔25は、爪部24を形成する金型の抜き穴であり、軸方向Xにおいて爪部24と対向している。金型の抜き穴が生じないように爪部24を形成しようとすると、ハウジング2の製造コストが高価となりやすい。本実施形態の基板用コネクタユニット1は、製造コストの増加を抑制しつつ収容空間38への虫や異物の侵入を抑制することができる。
【0055】
[実施形態の変形例]
実施形態の変形例について説明する。リブ32の形状およびリブ32が貫通孔25を閉塞する態様は、例示された形状および態様には限定されない。例えば、リブ32は、貫通孔25における軸方向Xの中間部まで挿入されてもよい。言い換えると、カバー3がハウジング2に嵌合した状態において、リブ32の先端面35d,36dが貫通孔25の中間部に位置していてもよい。
【0056】
リブ32は、保持壁21に対して当接して貫通孔25を閉塞してもよい。この場合、リブ32の外径は、貫通孔25の内径よりも大きいことが好ましい。リブ32の閉塞部35b,36b,37bは、貫通孔25に挿入される挿入部と、保持壁21に当接する当接部と、を有していてもよい。例えば、
図13に示すように、第二リブ32Bの閉塞部36bは、第二貫通孔25Bに挿入される挿入部36eと、保持壁21に当接する当接部36fと、を有していてもよい。挿入部36eは、当接部36fの先端面から軸方向Xに沿って突出している。挿入部36eは、第二貫通孔25Bに嵌合して第二貫通孔25Bを閉塞する。当接部36fの外径は、第二貫通孔25Bの内径よりも大きい。当接部36fは、保持壁21に当接して第二貫通孔25Bの開口部を閉塞する。
図13に示すリブ32によれば、収容空間38への虫や異物の侵入をより確実に抑制することができる。
【0057】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 基板用コネクタユニット
2 ハウジング
3 カバー
4 端子
10 基板
11:貫通孔、 12:電子部品、 13:締結部材
20:本体、 21:保持壁、 22:筒部
22A:第一筒部、 22B:第二筒部、 22C:第三筒部
22f,22h,22j:側壁、 22g、22i:内壁面
22k,22m:対向面
22w,22x:開口部、 23:仕切壁、 24:爪部
24A:第一爪部、24B:第二爪部、 24C:第三爪部、 25:貫通孔
25A:第一貫通孔、 25B:第二貫通孔、 25C:第三貫通孔
26a:第一空間部、 26b:第二空間部
30 側壁、
30a:第一側壁、 30b:第二側壁、 30c:第三側壁、 30d:第四側壁
30e:内壁面、 30f:開口部
31:底壁、 32:リブ
32A:第一リブ、 32B:第二リブ、 32C:第三リブ
33:爪部、 34:ガイド溝
35a,36a,37a:基部、 35b,36b,37b:閉塞部
35d,36d:先端面、 38:収容空間
41:第一端子部、 42:第二端子部、 43:屈曲部
100 相手方コネクタ
101:コネクタハウジング、 102:ハウジング本体、 102a:キャビティ
103:アーム、 104:突起