(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】腫瘍微小環境における免疫応答を増強するための治療剤および方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20231204BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231204BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231204BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231204BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231204BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231204BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20231204BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61P35/00
A61P37/04
A61K39/395 T
A61K39/395 M
A61K39/395 N
A61K39/395 Y
A61P43/00 121
A61K45/00
C12N15/13
(21)【出願番号】P 2020502514
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 US2018024872
(87)【国際公開番号】W WO2018183520
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-23
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519349665
【氏名又は名称】リビジェン バイオファーマ ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ワング,ジェイ
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/092117(WO,A2)
【文献】特開2016-026215(JP,A)
【文献】Journal of Biological Chemistry,2015年,vol.290, no.9,p.5462-5469
【文献】Nature Communications,2016年,7:13696. doi:10.1038/ncomms13696,p.1-15
【文献】Biology of Reproduction,2010年,vol.83,p.481-487
【文献】Pathology-Research and Proctice,2010年,vol.206,p.631-641
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/28
A61P 35/00
A61P 37/04
A61K 39/395
A61P 43/00
A61K 45/00
C12N 15/13
UniProt/GeneSeq
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)の受容体を結合する結合部分と、
IgG1分子に由来するバリアントFc領域と、を含む抗体であって、
前記バリアントFc領域が、野生型の親Fc領域と比較して218位~329位のいずれかに変異を含み、ここで番号付けは、EUインデックスに従うものであり、
前記変異
は、
(i)236
位での欠失
であるか、または(ii)236位での欠失およびS267Eである
267位でのアミノ酸置換である、
抗体。
【請求項2】
前記バリアントFc領域が
、配列番号6
または配列番号1
8のアミノ酸配列を有する、請求項
1に記載の抗体。
【請求項3】
前記TNFRSFの受容体が、FAS、TNFRSF12A、4-1BB/CD137、TNFRSF13B、TNFRSF13C、CD27/TNFRSF7、CD30/TNFRSF8、CD40/TNFRSF5、DR3/TNFRSF25、DR4/TNFRSF10A、DR5/TNFRSF10B、DR6/TNFRSF21、GITR/TNFRSF18、HVEM/TNFRSF14、LTβR、OX40/TNFRSF4、TROY/TNFRSF19、RELT/TNFRSF19L、TNFRSF12A、TNFRSF13B、TL1A/TNFSF15、TNFRSF17、TNFRSF1A、TNFRSF11B、RANK/TNFRSF11A、TNFRSF11B、NGFR、EDA2R、およびTNFRSF1Bからなる群より選択される、請求項1
または2に記載の抗体。
【請求項4】
対象において免疫応答を選択的に活性化するのに使用するための薬学的組成物であって、
前記薬学的組成物は、有効量の請求項1~
3のいずれか1項に記載の抗体と、薬学的に許容される担体と、を含み、
前記抗体は、前記TNFRSFの受容体およびFcγRIIBを結合
し、
前記抗体は、請求項1の(ii)で規定されるバリアントFc領域を含むか、または配列番号18のアミノ酸配列を含む、
薬学的組成物。
【請求項5】
癌を有するか癌を有することが疑われるヒト患者において癌を治療するのに使用するための、請求項
4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記癌が、肺癌、胃癌、肝臓癌、乳癌、皮膚癌、膵臓癌、脳癌、前立腺癌、膀胱癌、結腸直腸癌、肉腫、骨癌、リンパ腫、および血液癌からなる群から選択される、請求項
5に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119(e)条の下、2017年3月28日出願の米国仮出願第62/477,661号の利益を主張し、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
Fc受容体(FcR)は、抗体のFc部分に結合することができる免疫細胞表面タンパク質のファミリーである。Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体、および新生児Fc受容体(FcRn)を含むいくつかの異なる種類のFc受容体が存在し、それぞれIgG、IgA、IgE、およびIgG抗体に対する異なる結合活性を有する。Fcγ受容体サブファミリーには、FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32a)、FcγRIIB(CD32b)、FcγRIIB(CD32c)、FcγRIIIA(CD16a)、およびFcγRIIIB(CD16b)が含まれる。FcγRIは、IgG1およびIgG3抗体に対する高い結合親和性を有し、他のFcγRは、IgG抗体に対する低い結合親和性を有する。
【0003】
様々な種類のFc受容体が、免疫系において異なる役割を果たす。例えば、NK細胞およびマクロファージ上に発現されるFcγRIII受容体は、感染細胞または侵入病原体に付着した抗体に結合し、免疫細胞の抗体媒介性食作用(ADCP)または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を引き起こし、それにより感染細胞または侵入病原体の排除をもたらす。一方、B細胞および樹状細胞上に発現されるFcγRII受容体は、IgG抗体への結合時に免疫細胞の活性を下方制御することができる。
【0004】
活性化した免疫細胞を伴う治療法は、癌細胞などの罹患細胞を排除するための有望なアプローチである。しかしながら、そのような治療アプローチでは多くの場合、安全性についての懸念が生じる。例えば、過剰に活性化した免疫細胞は、望ましくない細胞毒性をもたらし、組織の損傷を引き起こすだろう。したがって、効果的かつ安全である新たな免疫療法の開発が、大きな関心の対象となっている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は少なくとも部分的に、所望のFc受容体結合活性および/または選択性を呈するIgG1、IgG2、またはIgG4分子の様々なFc領域バリアントの開発に基づく。そのようなFcバリアントは、免疫応答を選択的に調節することができる抗体などのFc含有タンパク質の構築に使用することができる。
【0006】
したがって、本開示の一態様は、バリアントFc領域を含むタンパク質(例えば、抗体)を提供し、これは、野生型の親Fc領域と比較して218位~329位(例えば、218位~328位)のいずれかに変異(例えば、アミノ酸残基置換、挿入、欠失、またはそれらの組み合わせ)を含む。本明細書で使用されるFc番号付けシステムは、当技術分野において既知であるEUインデックスに従うものである。
【0007】
いくつかの実施形態では、変異は、以下、(a)219位~225位のうちの1つ以上での変異、(b)218位と219位との間、または236位での挿入、(c)233~235のうちの1つ以上でのアミノ酸残基置換、(d)220位~223位のいずれかでの挿入、(e)236位~238位のうちの1つ以上での欠失、ならびに(f)267位、273位、328位、および329位のうちの1つ以上でのアミノ酸置換(例えば、S267E、V273E、L328F、P329G、またはそれらの組み合わせ)のうちの1つ以上を含む。場合によっては、変異は、挿入および任意で欠失を含む。例えば、バリアントFc領域内の変異は、(i)234位~238位のうちの1つ以上での変異と、任意で(ii)267位、273位、328位、および329位のうちの1つ以上での変異とを含み得る。いくつかの例では、(i)の変異は、欠失、例えば、234位~238位(例えば、236位~238位)のうちの1つ以上の欠失であり得る。代替的にまたは追加的に、(ii)の変異は、アミノ酸残基置換、例えば、アミノ酸残基置換S267E、V273E、L328F、P329G、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、野生型の親Fc領域は、IgG1分子のものである。IgG1分子(例えば、ヒトIgG1分子)由来のFcバリアントを含むタンパク質は、以下、(a)228位と229位との間の挿入、(b)220位~225位のうちの1つ以上での変異、(c)234位および235位でのアミノ酸置換、(d)236位~238位のうちの1つ以上での欠失、ならびに(e)1つ以上の267位、273位、328位、および329位でのアミノ酸置換(例えば、S267E、V273E、L328F、および/またはP329G)のうちの1つ以上を含む変異を含み得る。一例では、変異は、(i)236位~238位(例えば、236位、237位、238位、またはそれらの組み合わせ)のうちの1つ以上での欠失と、任意で(ii)267位、273位、および328位のうちの1つ以上でのアミノ酸残基置換とを含む。例えば、変異は、236位の欠失または236位~238位の欠失を含み得る。任意で、変異は、267位、273位、および268位のうちの1つ以上でのアミノ酸残基置換(S267E、V273E、L328F、またはそれらの組み合わせであり得る)をさらに含んでもよい。一例では、変異は、236位~238位のうちの1つ以上での欠失と、S267Eのアミノ酸置換とを含む。ヒトIgG1由来の例示的なバリアントFc領域は、G1m1、G1m2、G1m-2、G1m-4、G1m5、G1m7、G1m8、G1m9、G1m15、G1m17、G1m18、G1m19、G1m25、G1m27、G1m28、G1m29、G1mAA、およびG1mAGのうちの1つであり得る。
【0009】
他の実施形態では、野生型の親Fc領域は、IgG2分子(例えば、ヒトIgG2分子)のものである。IgG2分子(例えば、ヒトIgG2分子)由来のFcバリアントを含むタンパク質は、以下、(a)219位~225位のうちの1つ以上での変異、(b)233位~235位のうちの1つ以上でのアミノ酸置換、(c)218位と219位との間、または236位での挿入、(d)237位および238位のうちの1つ以上の欠失、ならびに(e)267位、273位、および328位のうちの1つ以上でのアミノ酸残基置換(例えば、S267E、V273E、L328F、またはそれらの組み合わせ)のうちの1つ以上を含む変異を含み得る。いくつかの例では、変異は、233位~238位、267位、273位、および328位のうちの1つ以上にある。例えば、変異は、(i)236位、237位、および238位(例えば、237位および/または238位)のうちの1つ以上での欠失と、任意で(ii)267位、273位、および328位のうちの1つ以上でのアミノ酸残基置換(例えば、S267E、L328F、またはそれらの組み合わせ)とを含み得る。いくつかの例では、変異は、236位での付加を含む。他の例では、変異は、233位~238位のうちの1つ以上でのアミノ酸残基置換、例えば、P233E、V234FもしくはV234V、A235L、A235S、またはそれらの組み合わせを含み得る。代替的にまたは追加的に、変異は、1つ以上の267位、273位、および328位でのアミノ酸残基置換(S267E、V273E、および/またはL328Fであり得る)をさらに含む。いくつかの特定の例では、IgG2由来のバリアントFc領域は、G2m1、G2m-1、G2m2、G2m-4、G2m5、G2m7、G2m8、G2m9、G2m10、G2m15、G2m17、G2m18、G2m19、G2m20、G2m27、G2m27、およびG2m28のうちの1つであり得る。
【0010】
さらに他の実施形態では、野生型の親Fcは、IgG4分子(例えば、ヒトIgG4分子)のものである。IgG4分子(例えば、ヒトIgG4)由来のFcバリアントは、S228P置換を含み得る。代替的にまたは追加的に、ヒトIgG4分子などのIgG4分子由来のFcバリアントは、以下、(a)219位~225位のうちの1つ以上での変異、(b)1つ以上の234位および235位でのアミノ酸残基置換、(c)236位~238位のうちの1つ以上での欠失、ならびに(d)267位、273位、および328位のうちの1つ以上でのアミノ酸残基置換(S267E、V273F、L328F、またはそれらの組み合わせ)のうちの1つ以上を含む変異を有し得る。いくつかの例では、IgG4のFcバリアントは、S228Pのアミノ酸残基置換と、236位~238位のうちの1つ以上での欠失とを含み得る。そのようなFcバリアントは、267位、273位、および328位のうちの1つ以上でのアミノ酸置換(例えば、L328F)をさらに含み得る。場合によっては、Fcバリアントは、S228P置換と、1つ以上の234位~238位、267位、273位、および328位でのさらなる変異とを含み得る。例えば、変異は、235位~237位のうちの1つ以上の欠失を含んでも、235位、236位、またはそれらの両方でのアミノ酸残基置換(例えば、F234V、K235S、またはそれらの組み合わせ)を含んでもよい。代替的にまたは追加的に、変異は、1つ以上の267位、273位、および328位でのアミノ酸残基置換をさらに含む。例には、S267E、V273E、L328F、またはそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの特定の例では、バリアントFc領域は、G4m1、G4m-1、G4m2、G4m-2、G4m3、G4m4、G4m5、G4m7、G4m8、G4m9、G4m10、G4m17、G4m18、G4m19、G4m20、G4m25、G4m27、G4m28、G4m29、G4m30、およびG4mPEのいずれか1つである。
【0011】
本明細書に記載のバリアントFc領域のいずれも、野生型の親Fc領域と比較して、FcγRIIBに対する増強した結合活性および/または増強した選択性を呈し得る。あるいは、本明細書に記載のバリアントFc領域は、FcγR受容体のいずれかに対する低い結合活性を有するか、またはFcγR受容体のいずれに対しても結合活性を有しない。代替的にまたは追加的に、バリアントFc領域は、FcRnに結合する。
【0012】
IgG2またはIgG4分子(例えば、ヒトIgG2またはヒトIgG4分子)のバリアントFc領域を含むタンパク質もまた、本明細書に記載されている。そのようなバリアントFc領域は、野生型の親IgG2またはIgG4 Fc領域と比較して、267位、273位、328位、またはそれらの組み合わせに変異を含み得る。番号付けは、EUインデックスに従うものである。
【0013】
別の態様では、本明細書に記載のバリアントFc領域のいずれかを含有するタンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物が、本明細書に提供される。そのような薬学的組成物を使用して、対象における免疫応答を選択的に活性化することができる。
【0014】
さらに別の態様では、本開示は、対象における免疫応答を選択的に活性化するための方法であって、それを必要とする対象に有効量の治療剤を投与することを含み、治療剤が、免疫細胞受容体に結合する第1の部分およびFcγRIIBに結合する第2の部分を含む、方法を提供する。いくつかの例では、免疫細胞受容体は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFSF)のメンバーである。例には、FAS、TNFRSF12A、4-1BB/CD137、TNFRSF13B、TNFRSF13C、CD27/TNFRSF7、CD30/TNFRSF8、CD40/TNFRSF5、DR3/TNFRSF25、DR4/TNFRSF10A、DR5/TNFRSF10B、DR6/TNFRSF21、GITR/TNFRSF18、HVEM/TNFRSF14、LTβR、OX40/TNFRSF4、TROY/TNFRSF19、RELT/TNFRSF19L、TNFRSF12A、TNFRSF13B、TL1A/TNFSF15、TNFRSF17、TNFRSF1A、TNFRSF11B、RANK/TNFRSF11A、TNFRSF11B、NGFR、EDA2R、およびTNFRSF1Bが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
いくつかの実施形態では、治療剤は、抗体(例えば、アゴニスト抗体)であってもよく、これは、IgG1、IgG2、またはIgG4分子(例えば、ヒトIgG1、ヒトIgG2、またはヒトIgG4分子)であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、治療剤は、FcγRIIBに選択的に結合することができる。例えば、治療剤は、FcγRIIBに対する選択的な結合親和性を有するバリアントFc領域(例えば、本明細書に記載のバリアントFc領域のいずれか)を含有し得る。代替的にまたは追加的に、バリアントFc領域は、野生型の親Fc領域と比較して、FcγRIIBに対する増強した結合活性を有し得る。
【0017】
他の実施形態では、治療剤は、免疫細胞受容体に特異的な第1の抗原結合断片である第1の部分と、FcγRIIBに特異的な第2の抗原結合断片である第2の部分とを含む、二重特異性抗体であり得る。
【0018】
本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、対象は、癌を有するか、または癌を有することが疑われるヒト患者であり得る。例示的な癌には、肺癌、胃癌、肝臓癌、乳癌、皮膚癌、膵臓癌、脳癌、前立腺癌、膀胱癌、結腸直腸癌、肉腫、骨癌、リンパ腫、および血液癌が含まれる。
【0019】
免疫応答の増強に使用するための薬学的組成物であって、本明細書に記載のバリアントFc領域のいずれかを含有するタンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物、および意図される治療目的、例えば、癌治療を達成する上で使用するための薬物を製造するための、そのようなタンパク質の使用もまた、本開示の範囲内である。
【0020】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、以下の発明を実施するための形態に明記する。本発明の他の特徴または利点は、いくつかの実施形態の以下の図面および発明を実施するための形態から、また添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】
図1A~1Wは、示される様々な濃度でCHO-K1細胞上に発現される異なる種類のFcγ受容体に対する、示される様々なIgGバリアントの結合活性を示す図表である。各IgGバリアントの濃度は、
図1A~1C、1E~J、1L~1M、1P~1R、および1T~1Vにおいて、左から右へ、0μg/ml、0.3μg/ml、1μg/ml、3μg/ml、および10μg/mlである。
図1D、1K、1O、1S、および1wについて、棒は、左から右へ、IgGバリアントの以下の濃度、0.3μg/ml、1μg/ml、3μg/ml、および10μg/mlに対応する。
【
図2A】
図2A~2Cは、IFN-γ分泌によって示される、いくつかのIgGバリアントによる親またはFcγR発現細胞との共培養物中のヒトCD8
+T細胞の刺激を示す図表である。群は、
図2Aにおいて、左から右へ、OKTなし、0.01μg/ml、0.03μg/ml、0.1μg/ml、および0.3μg/mlに対応する。群は、
図2Bおよび2Cにおいて、左から右へ、0.01μg/ml、0.03μg/ml、および0.1μg/mlに対応する。
【
図3】
図3は、抗CD3抗体および/または抗4-1BB抗体の存在下での、いくつかのIgG分子によるマウスT細胞活性化を示す図表である。
【
図4A】
図4A~4Bは、異なるIgGアイソフォームの抗マウスCD137抗体による、インビボでの抗腫瘍効果および血清ALTレベルの誘導を示す図表である。
【
図5A】
図5A~5Hは、1~3mg/kgの単回静脈内注射後の血漿中のIgGバリアントの抗体濃度を示す図表である。雄のC57BL/6マウスを使用し、各時点について4匹のマウスをアッセイした。
図5Aの図表は、3mg/kgのIV用量後のG1m27の血漿濃度(上のグラフ)、および1.45mg/kgのIV用量後のG4m10の血漿濃度(下のグラフ)を示す。
図5Bの図表は、3mg/kgのIV用量後のG1m2の血漿濃度(上のグラフ)、および3mg/kgのIV用量後のG4m2の血漿濃度(下のグラフ)を示す。
図5Cの図表は、3mg/kgのIV用量後のG1m29の血漿濃度(上のグラフ)、および3mg/kgのIV用量後のG4m7の血漿濃度(下のグラフ)を示す。
図5Dの図表は、3mg/kgのIV用量後のG1m28の血漿濃度(上のグラフ)、および3mg/kgのIV用量後のG4の血漿濃度を示す。
図5Eの図表は、1.45mg/kgのIV用量後のG4m28の血漿濃度(上のグラフ)、および1.5mg/kgのIV用量後のG4m29の血漿濃度(下のグラフ)を示す。
図5Fの図表は、3mg/kgのIV用量後のG4m1の血漿濃度(上のグラフ)、および1.45mg/kgのIV用量後のG4m27の血漿濃度(下のグラフ)を示す。
図5Gは、3mg/kgのIV用量後のG2m19の血漿濃度(上のグラフ)、および3mg/kgのIV用量後のG2m1の血漿濃度(下のグラフ)を示す。
図5Hは、3mg/kgのIV用量後のG2(野生型)の血漿濃度(上のグラフ)、および3mg/kgのIV用量後のG1Maaの血漿濃度(下のグラフ)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
FcγRIIB(CD32B)に結合することができるアゴニスト抗TNFR抗体は、マウスモデルにおいて増強した活性を示し、マウスIgG1アイソフォームが、最良の抗腫瘍効果を示した。これらの結果は、FcγRIIB(CD32B)に対する選択的結合活性を有するアゴニスト抗体が、免疫応答の刺激においてより良好なアゴニスト活性を有することが予想されることを示している。さらに、特定の抗腫瘍アゴニスト抗体が差次的な肝臓毒性を示すことが観察され、これは、増強した治療インデックス(例えば、高い治療効果および低い毒性)を有する治療アゴニスト抗体を設計するための新規のアプローチを示唆している。
【0023】
したがって、FcγRIII(CD16)などの他のFc受容体と比較して、FcγRIIB(CD32B)に対する選択的結合活性を有するFcバリアントを含有するIgG分子(例えば、ヒトIgG1、ヒトIgG2、およびヒトIgG4分子などのIgG1、IgG2、およびIgG4分子)を設計するためのアプローチ、ならびに腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFSF)およびFcγRIIBの受容体などの免疫細胞受容体を架橋することができる治療剤の使用を伴う癌治療法が、本明細書に記載される。
【0024】
I.Fcバリアント
その野生型対応物と比較して、FcγRIIBに対する増強した選択性を有するFcバリアントが、本明細書に記載される。FcγRIIBに対する選択性、FcγRIIBに対する選択的結合、またはFcγRIIBに対する特異的結合を有するFc断片は、当該技術分野においてよく理解されている用語である。分子は、それが代替的な標的(例えば、FcγRIII受容体)と反応するよりも、特定の標的抗原(例えば、FcγRIIB受容体)とより頻繁に、より迅速に、より長い持続時間、かつ/またはより大きな親和性で反応する場合に、「選択的結合」または「特異的結合」を呈すると言われる。Fc断片は、それが他のFc受容体に結合するよりも、より大きな親和性、結合力で、より迅速に、かつ/またはより長い持続時間で結合する場合に、Fc受容体に「特異的に結合する」。例えば、FcγRIIBに特異的に(または優先的に)結合するFc断片は、それが他のFc受容体に結合するよりも、より大きな親和性、結合力で、より迅速に、および/またはより長い持続時間でこのFc受容体に結合するFc断片である。この定義において、例えば、第1のFc受容体に選択的または特異的に結合するFc断片は、第2のFc受容体に特異的または優先的に結合してもしなくてもよいことが理解される。したがって、「選択的結合」、「特異的結合」、または「優先的結合」は、排他的結合を必ずしも必要としない(が、それを含んでもよい)。いくつかの例では、標的Fc受容体(例えば、FcγRIIB)に「選択的に結合する」または「特異的に結合する」Fc断片は、他のFc受容体に結合しなくてもよい(すなわち、通例の方法によっては検出不能な結合)。異なるFc受容体に対するIgG1、IgG2、およびIgG4の相対的な結合親和性を、以下の表1に示す。
【表1】
【0025】
本明細書に記載のFcバリアントは、それらの野生型対応物(Fcバリアントを産生するような変異が導入されている野生型の親Fc領域)と比較して、FcγRIIBに対する増強した選択性を有し得る。そのようなFcバリアントのFcγRIIB(対別のFc受容体(例えば、FcγRIII))に対する相対な結合活性は、野生型対応物のFcγRIIB(対他のFc受容体(例えば、FcγRIII))に対する相対的な結合活性よりも高い。Fcバリアントは、FcγRIIBに対する増強した結合活性、および/または別のFc受容体、例えば、FcγRIIIに対する減少した結合活性を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcバリアントは、FcγRIIBおよび別のFc受容体(例えば、FcγRIII)の両方に対する減少した結合活性を有し得るが、他のFc受容体(例えば、FcγRIII)に対する減少した結合活性のレベルは、FcγRIIBに対する減少した結合活性のレベルよりも大きい。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcバリアントは、FcγRIIBに対する好適な、例えば、Fcバリアントが由来する野生型の親Fcと比較して増強した、結合親和性を有する。本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、見かけの会合定数またはKAを指す。KAは、解離定数(KD)の逆数である。本明細書に記載のFcバリアントは、FcγRIIBに対して、少なくとも10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10M、またはそれよりも低い結合親和性(KD)を有し得る。結合親和性の増加は、KDの減少に対応する。第2のFc受容体と比較して、第1のFc受容体に対するFc断片のより高い親和性結合は、第2のFc受容体への結合のKA(または数値KD)よりも高い、第1のFc受容体への結合のKA(またはより小さい数値のKD)によって示すことができる。そのような場合、Fcバリアントは、第2のFc受容体と比較して、第1のFc受容体に対する特異性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcバリアントは、FcγRIII(FcγRIIIAまたはFcγRIIIBのいずれか)に対する結合親和性と比較して、FcγRIIBに対してより高い結合親和性(より高いKAまたはより小さいKD)を有する。(例えば、特異性または他の比較のための)結合親和性の差は、少なくとも1.5、2、3、4、5、10、15、20、37.5、50、70、80、91、100、500、1000、10,000、または105倍であり得る。
【0027】
結合親和性(または結合特異性)は、平衡透析、平衡結合、ゲル濾過、ELISA、表面プラズモン共鳴、または分光法(例えば、蛍光アッセイを使用するもの)を含む様々な方法によって決定することができる。以下の実施例もまた、参照されたい。結合親和性を評価するための例示的な条件は、HBS-P緩衝液(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.005%(v/v)の界面活性剤P20)におけるものである。これらの技術を使用して、結合した結合タンパク質の濃度を標的タンパク質濃度の関数として測定することができる。結合した結合タンパク質の濃度([結合])は一般に、次の等式による、遊離標的タンパク質の濃度([遊離])に関連する。
[結合]=[遊離]/(Kd+[遊離])
【0028】
KAの正確な決定は必ずしも必要ではないが、このことは、それが、例えば、ELISAまたはFACS分析などの方法を使用して決定される親和性の定量的な測定値を得るのに十分であり、KAに比例しており、したがって、比較(より高い、例えば、2倍高い親和性が、例えば、機能性アッセイ(インビトロもしくはインビボアッセイ)における活性によって、親和性の定量的な測定値を得るか、または親和性の推測を得るかどうかの決定など)に使用することができる場合があるためである。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcバリアントは、対応するマウスIgG(例えば、マウスIgG1)におけるアミノ酸残基を考慮して、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4 Fc断片の野生型における1つ以上のアミノ酸残基を変異させることによって設計することができる。ヒトIgGおよびマウスIgGの配列比較を、以下に提供する(上から下へ、配列番号67~69、64、および65、各々が対応するFc領域の断片211~245、260~278、および320~332の組み合わせを表す):
【化1】
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcバリアントは、Fc断片のヒンジドメインに1つ以上の変異(例えば、アミノ酸置換、欠失、または付加)を含む、ヒトIgG1、G2、またはG4 Fcバリアントである。ヒトIgGは、ヒンジドメイン(EUインデックスに従う226位~229位)にCPPCまたはCPSCのコアモチーフを含有する。216位~225位はヒンジドメインの上部と見なされ、230位~238位はヒンジドメインの下部と見なされる。本明細書で使用される番号付けシステムは、別段明示的に示されない限り、EUインデックスに従う。いくつかの例では、1つ以上の変異が、ヒンジドメインの上部に位置してもよい。代替的にまたは追加的に、1つ以上の変異が、ヒンジドメインの下部に位置してもよい。
【0031】
ヒトIgG Fcに対する変異は、マウスIgG1のヒンジドメインにおける対応するアミノ酸残基に従って行うことができる。例えば、マウスIgG1は、236位~238位にGGPモチーフを含有しない。したがって、このGGPモチーフにおける残基のうちの1つ以上を、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4 Fc断片から欠失させて、本明細書に記載のFcバリアントを生成することができる。
【0032】
代替的にまたは追加的に、ヒトFcバリアントは、ヒンジドメインの上部、下部、またはそれらの両方に1つ以上のアミノ酸置換を含有してもよい。例えば、Fcバリアントは、233位、234位、235位、および/または236位のうちの1つ以上に1つ以上のアミノ酸置換を含んでもよい。そのようなアミノ酸置換は、本明細書に記述されるGGPモチーフ(236~238)のうちの1つ以上の欠失と組み合わせることができる。これらの変異を、ヒトIgG2またはIgG4 Fc断片に導入して、本明細書に記載のFcバリアントを生成することができる。いくつかの例では、本明細書に記載のFcバリアントは、236位~238位のうちの1つ以上(例えば、236位、237位、238位、またはそれらの任意の組み合わせ)に欠失を含有する。
【0033】
本明細書に記載のヒンジドメインにおける変異のいずれも、Fc受容体との相互作用に関与する1つ以上の位置での変異(例えば、アミノ酸置換)と組み合わせることができる。そのような位置には、267位、273位、328位、および/または329位が含まれるが、これらに限定されない。それらの位置での例示的なアミノ酸置換には、S261E、V271E、L328F、およびP329Gが含まれる。267位、273位、328位、および/または329位に1つ以上の変異を含有するIgG2またはIgG4分子由来のFcバリアントもまた、本開示の範囲内である。そのような変異には、これらの位置のうちの1つ以上でのアミノ酸置換、例えば、S261E、V271E、L328F、および/またはP329Gが含まれ得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcバリアントは、その野生型対応物(例えば、本明細書に記載の野生型ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4のFc断片)のアミノ酸配列と少なくとも85%(例えば、90%、95%、98%、99%、またはそれ以上)同一のアミノ酸配列を含んでもよい。2つのアミノ酸配列の「同一性パーセント」は、Karlin and Altschul Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873-77,1993におけるように修正された、Karlin and Altschul Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:2264-68,1990のアルゴリズムを使用して決定される。そのようなアルゴリズムは、Altschul,et al.J.Mol.Biol.215:403-10,1990のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。XBLASTプログラム(スコア=50、ワード長=3)によってBLASTタンパク質検索を実行して、対象となるタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。2つの配列間にギャップが存在する場合、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25(17):3389-3402,1997に記載のギャップ付きBLASTを利用してもよい。BLASTおよびギャップ付きBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムの初期設定パラメータ(例えば、XBLASTおよびNBLAST)を使用することができる。
【0035】
一例では、本明細書に記載のFcバリアントにおけるアミノ酸残基置換は、保存的なアミノ酸残基置換である。本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸置換が行われるタンパク質の相対的な電荷またはサイズ特徴を改変しないアミノ酸置換を指す。バリアントは、そのような方法を収集した参考文献(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook,et al.,eds.,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel,et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,New York)に見られるものなどの、当業者にとって既知であるポリペプチド配列を改変するための方法に従って調製することができる。アミノ酸の保存的置換には、以下のグループ、(a)M、I、L、V、(b)F、Y、W、(c)K、R、H、(d)A、G、(e)S、T、(f)Q、N、および(g)E、Dにおいて、アミノ酸間で行われる置換が含まれる。
【0036】
変異をhIgG1、hIgG2、およびIgG4に導入して、本開示のための様々なFcバリアントを生成することができる例示的な位置を示す配列アラインメントを、以下に提供する。
【化2】
【化3】
【化4】
【0037】
野生型ヒトIgG1、IgG2、およびIgG4 Fc断片のアミノ酸配列、ならびにいくつかの例示的なhIgG1、hIgG2、およびhIgG4 Fcバリアントを、以下に提供する。
野生型ヒトIgG1 Fc断片のアミノ酸配列:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号1)
野生型ヒトIgG2 Fc断片のアミノ酸配列:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号2)
野生型ヒトIgG4 Fc断片のアミノ酸配列:
VDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号3)
ヒトIgG4 S228P Fcバリアントのアミノ酸配列:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号4)
例示的なヒトIgG1 Fcバリアントのアミノ酸配列:
G1m1:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号5)
G1m2:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号6)
G1m-2:
VDKKVEPKCCVECPPCPAPELLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号7)
G1m-4:
VDKKVEPKYGPPCPPCPAPELLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号8)
G1m5:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEEKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号9)
G1m7:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号10)
G1m8:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号11)
G1m9:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号12)
G1m15:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEEKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号13)
G1m17:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号14)
G1m18:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号15)
G1m19:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号16)
G1m25:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEEKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号17)
G1m27:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号18)
G1m28:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号19)
G1m29:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号20)
G1mAA:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号21)
G1mAG:
VDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALGAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号22)
例示的なヒトIgG2 Fcバリアントのアミノ酸配列:
G2m1:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVASVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号23)
G2m-1:
VDKTVERKSCDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号24)
G2m2:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号25)
G2m-4:
VDKTVERKYGPPCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号26)
G2m5:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEEQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号27)
G2m7:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号28)
G2m8:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号29)
G2m9:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号30)
G2m10:
VDKTVERKCCVECPPCPAPEVSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号31)
G2m15:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVASVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEEQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号32)
G2m17:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVASVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号33)
G2m18:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVASVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号34)
G2m19:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVASVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号35)
G2m20:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号36)
G2m27:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号37)
G2m28:
VDKTVERKCCVECPPCPAPPVAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号38)
例示的なヒトIgG4 Fcバリアントのアミノ酸配列:
G4m1:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号39)
G4m-1:
VDKRVESKSCDKTHTPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号40)
G4m2:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号41)
G4m-2:
VDKRVESKCCVEPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号42)
G4m3:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEEQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号43)
G4m4:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEEQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号44)
G4m5:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEEQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号45)
G4m7:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号46)
G4m8:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号47)
G4m9:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号48)
G4m10:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEVSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号49)
G4m15
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEEQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号128)
G4m17:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号50)
G4m18:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号51)
G4m19:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号52)
G4m20:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号53)
G4m25:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEEQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号54)
G4m27:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号55)
G4m28:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号56)
G4m29:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGFPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号57)
G4m30:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号58)
G4mPE:
VDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号59)
【0038】
本明細書に記載のFcバリアントは、野生型対応物と比較して、FcγRIIBに対する増強した結合活性を呈し得る。例には、G2m2、G2m5、G2m7、G2m8、G2m9、G1m7、G1m9、およびG4m7が含まれる。代替的にまたは追加的に、Fcバリアントは、それらの野生型対応物と比較して、FcγRIIBに対する増強した選択性を呈し得る(例えば、G1m15、G1m17、G1m18、G1m19、G1m27、G1m28、G1m29、G4m1、G4m2、G4m7、G4m8、G4m9、G4m25、G4m27、およびG4m28)。これらのFcバリアントを使用して、免疫受容体およびFcγRIIB受容体を架橋することができる本明細書に記載の治療剤を構築することができる。
【0039】
あるいは、本明細書に記載の特定のFcバリアントは、任意のFcγRに対する低い結合活性を有しても、いかなるFcγRに対しても結合活性を有しなくてもよい。例には、G1m2、G1m25、G4m5、G4m18、G4m19、およびG4m20が含まれる。そのようなFcバリアントは、FcRnに対する結合活性を保持することができる。そのようなFcバリアントを含有する治療剤(例えば、抗体)は、対応する野生型と比較して、Fcγ受容体を活性化する低い活性を有するか、またはそれを有さず、かつ低減した毒性を有し得る。
【0040】
野生型対応物と比較した、例示的なFcバリアントの結合親和性/特異性の変化を、以下の表2~4に提供する。「N/A」は、データが入手可能ではないことを示す。Fcバリアントの結合活性が、野生型対応物と比較して「変化なし」であることが見出された場合、これは、同じ実験条件下で同じアッセイによって示される、Fcバリアントと野生型対応物との間に結合活性の有意な変動が存在しないことを意味する。Fcバリアントの結合活性が、その野生型対応物と比較して「増加」または「減少」する場合、Fcバリアントの結合活性が、同じ実験条件下で同じアッセイによって決定して、野生型対応物の結合活性よりも高いかまたは低く、かつその変動が、当業者にとって既知であるように有意(例えば、生物学的に有意)であることを意味する。Fcバリアントの結合活性が、その野生型対応物と比較して「わずかに増加」または「わずかに減少」する場合、Fcバリアントの結合活性が、同じ実験条件下で同じアッセイによって決定して、野生型対応物の結合活性よりも高いかまたは低く、かつその変動が、限定されたレベル(例えば、最大10%)まで統計学的に有意であることを意味する。
【表2】
【表3】
【表4】
【0041】
本明細書に記載のFcバリアントは、本明細書に提供されるガイダンスに従って設計し、通例の組換え技術を介して生成することができる。様々なFc受容体に対するその結合親和性および特異性は、通例の方法を介して決定することができる。以下の実施例もまた、参照されたい。
【0042】
II.免疫受容体およびFcγRIIBを架橋することができる治療剤
免疫受容体およびFcγRIIB受容体を架橋することができる治療剤もまた、本明細書に提供される。そのような治療剤は、癌および腫瘍流入領域リンパ節などの特定の微小環境におけるT細胞およびNK細胞などの免疫細胞を活性化するための、増強したアゴニスト効果を持つために、侵入病原体または罹患細胞に対する免疫応答を誘発または増強することが予想される。
【0043】
(i)結合部分
本明細書に記載の治療剤は、少なくとも2つの結合部分を含有する。1つの結合部分は、細胞表面上に発現される免疫細胞受容体、例えば、TNFスーパーファミリーの受容体に結合することができる。例には、Fas受容体/FAS、TWEAK受容体/TNFRSF12A、4-1BB/TNFRSF9/CD137、TACI/TNFRSF13B、BAFF R/TNFRSF13C、CD27/TNFRSF7、CD30/TNFRSF8、CD40/TNFRSF5、DR3/TNFRSF25、DR4/TNFRSF10A、DR5/TNFRSF10B、DR6/TNFRSF21、GITR/TNFRSF18、HVEM/TNFRSF14、リンホトキシン-ベータ受容体/LTβR、OX40/TNFRSF4、TROY/TNFRSF19、RELT/TNFRSF19L、TNFRSF12A、TACI/TNFRSF13B、TL1A/TNFSF15、TNFRSF17、TNFR1/TNFRSF1A、TNFRSF11B、RANK/TNFRSF11A、TR1/TNFRSF11B、NGFR、EDA2R、およびTNFRII/TNFRSF1Bが含まれる。場合によっては、免疫細胞受容体に対する結合部分は、抗体結合断片(例えば、Fab断片または単鎖抗体断片)である。
【0044】
治療剤中の他の結合部分は、FcγRIIBに結合することができる。場合によっては、この結合部分は、別のFc受容体と比較して、FcγRIIBに対して選択的結合活性を有する。そのような結合部分は、FcγRIIBに選択的または特異的に結合する、本明細書に記載のFcバリアントのいずれかであり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、免疫細胞受容体およびFcγRIIBを架橋する治療剤は、免疫細胞受容体に特異的な抗体であってもよく、FcγRIIBに対する選択的結合活性を有するFc断片(例えば、本明細書に記載のもの)を含む。例えば、治療剤は、当該技術分野において既知であるか、または本明細書に列挙されているTNFスーパーファミリーメンバーのいずれかに結合する抗体(例えば、CD137)であってもよく、本明細書に記載のhIgG1、hIgG2、またはhIgG4 Fcバリアントを有する。いくつかの例では、抗体は、アゴニスト抗体である。
【0046】
いくつかの実施形態では、治療剤は、本明細書に記載の免疫細胞受容体に特異的な1つの抗原結合部分と、FcγRIIBなどのFcγ受容体に特異的な別の抗原結合部分とを含む、二重特異性抗体である。
【0047】
(ii)治療剤の調製
本明細書に記載のTNFスーパーファミリーメンバーなどの免疫細胞受容体およびFcγRIIBの両方に結合することができる抗体は、以下のように作製することができる。免疫細胞受容体に結合する抗体は、当該技術分野において既知である任意の方法によって調製することができる。例えば、Harlow and Lane,(1998)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New Yorkを参照されたい。
【0048】
いくつかの実施形態では、標的受容体に特異的な抗体(例えば、CD137)またはその細胞外ドメインは、従来のハイブリドーマ技術によって作製することができる。任意でKLHなどの担体タンパク質に結合した、完全長標的受容体またはその断片を使用して、その抗原に結合する抗体を産生するように宿主動物を免疫化することができる。宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは一般に、本明細書にさらに記載される抗体刺激および産生のための確立された従来の技術と一致する。マウス、ヒト化、およびヒト抗体の産生のための一般的な技術は、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載されている。ヒトを含む任意の哺乳動物対象またはそれ由来の抗体産生細胞を操作して、哺乳動物(ヒトを含む)ハイブリドーマ細胞株の生成の基礎として機能させることができることが企図される。典型的には、宿主動物に、ある量の免疫原(本明細書に記載のものを含む)を腹腔内、筋肉内、経口、皮下、足底内、および/または皮内に接種する。
【0049】
ハイブリドーマは、Kohler,B.and Milstein,C.(1975)Nature256:495-497の一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技術、またはBuck,D.W.,et al.,In Vitro,18:377-381(1982)によって修正された技術を使用して、リンパ球および不死化骨髄腫細胞から調製することができる。X63-Ag8.653およびSalk Institute,Cell Distribution Center,San Diego,Calif.,USAからのものを含むがこれらに限定されない、入手可能な骨髄腫株を、ハイブリダイゼーションに使用することができる。一般に、この技術は、ポリエチレングリコールなどの融合剤を使用して、または当業者にとって周知である電気的手段によって、骨髄腫細胞およびリンパ系細胞を融合することを伴う。融合後、細胞を融合培地から分離し、ヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン(HAT)培地などの選択的成長培地中で成長させて、ハイブリダイズしていない親細胞を排除する。血清の補充の有無に関わらず、本明細書に記載の培地のいずれかを使用しても、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養することができる。細胞融合技術に対する別の代替法として、EBV不死化B細胞を使用して、本明細書に記載の抗免疫細胞受容体モノクローナル抗体を産生してもよい。所望される場合、ハイブリドーマを拡大およびサブクローニングし、従来の免疫アッセイ手順(例えば、放射免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ、または蛍光免疫アッセイ)によって上清を抗免疫原活性についてアッセイする。
【0050】
抗体の供給源として使用することができるハイブリドーマは、全ての誘導体、標的免疫細胞受容体の活性を調節することができるモノクローナル抗体を産生する親ハイブリドーマの子孫細胞を包含する。そのような抗体を産生するハイブリドーマは、既知の手順を使用して、インビトロまたはインビボで成長させることができる。モノクローナル抗体は、所望される場合、硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過などの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地または体液から単離してもよい。望ましくない活性が存在する場合、例えば、固相に付着した免疫原からなる吸着剤上に調製物を流し、免疫原から所望の抗体を溶出または放出することによって除去してもよい。二官能性剤または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を通した共役)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を通した共役)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、SOCl、またはR1N=C=(式中、RおよびR1は異なるアルキル基である)NRを使用して、免疫化される種において免疫原性であるタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシン阻害剤)に共役した標的アミノ酸配列を含有する標的抗原または断片によって、宿主動物を免疫化することで、抗体(例えば、モノクローナル抗体)の集団をもたらすことができる。
【0051】
所望される場合、(例えば、ハイブリドーマによって産生される)対象となる抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)を配列決定し、その後、ポリヌクレオチド配列を発現または増殖のためにベクターにクローニングしてもよい。対象となる抗体をコードする配列は、宿主細胞内のベクターにおいて維持されてもよく、その後、宿主細胞は、将来の使用のために拡大および凍結されてもよい。代替法として、ポリヌクレオチド配列を使用して、抗体を「ヒト化」するように、または抗体の親和性(親和性成熟)もしくは抗体の他の特徴を改善するように遺伝子操作してもよい。例えば、抗体がヒトにおける臨床試験および治療に使用される場合、免疫応答を回避するために、定常領域を操作して、ヒト定常領域により似るようにしてもよい。抗体配列を遺伝子操作して、標的抗原に対するより大きな親和性、および免疫細胞受容体の活性を阻害または活性化する上でのより大きな効果を得ることが望ましくあり得る。当業者には、抗体に対して1つ以上のポリヌクレオチドの変化を行い、依然として標的受容体に対するその結合特異性を維持することができることが明らかになるであろう。
【0052】
他の実施形態では、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作されている市販のマウスを使用することによって、完全ヒト抗体を得ることができる。より望ましい(例えば、完全ヒト抗体)またはより強固な免疫応答を生成するように設計されるトランスジェニック動物を使用して、ヒト化抗体またはヒト抗体を産生することもできる。そのような技術の例は、Amgen,Inc.(Fremont,Calif.)のXenomouseRTMおよびMedarex,Inc.(Princeton,N.J.)のHuMAb-MouseRTMである。別の代替法では、抗体は、ファージ提示または酵母技術によって組換えで作製することができる。例えば、米国特許第5,565,332号、同第5,580,717号、同第5,733,743号、および同第6,265,150号、ならびにWinter et al.,(1994)Annu.Rev.Immunol.12:433-455を参照されたい。
【0053】
あるいは、ファージ提示技術(McCafferty et al.,(1990)Nature348:552-553)、酵母提示技術、または哺乳動物細胞提示技術などの抗体ライブラリ技術を使用して、標的免疫受容体に特異的なヒト抗体などの抗体を単離することができる。
【0054】
無傷抗体(完全長抗体)の抗原結合断片は、通例の方法を介して調製することができる。例えば、F(ab’)2断片は、抗体分子のペプシン消化によって生成することができ、F(ab’)2断片のジスルフィド架橋を還元することにより生成することができるFab断片。
【0055】
ヒト化抗体を構築するための方法もまた、当該技術分野において周知である。例えば、Queen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:10029-10033(1989)を参照されたい。一例では、親非ヒト抗体のVHおよびVLの可変領域は、当該技術分野において既知である方法に従って三次元分子モデリング分析に供される。次に、同じ分子モデリング分析を使用して、正しいCDR構造の形成に重要であると予測されるフレームワークのアミノ酸残基を特定する。並行して、検索クエリーとして親VHおよびVL配列を使用して、任意の抗体遺伝子データベースから、親非ヒト抗体のアミノ酸配列と相同であるアミノ酸配列を有するヒトVHおよびVL鎖を特定する。その後、ヒトVHおよびVLアクセプター遺伝子を選択する。
【0056】
選択されたヒトアクセプター遺伝子中のCDR領域は、親非ヒト抗体またはその機能的バリアント由来のCDR領域で置き換えることができる。必要に応じて、CDR領域と相互作用する上で重要であると予測される親鎖のフレームワーク領域内の残基(上記の記述を参照されたい)を使用して、ヒトアクセプター遺伝子中の対応する残基を置換してもよい。
【0057】
標的免疫細胞受容体に結合することができる抗体を得た後、その抗原結合断片を、FcgRIIBに選択的に結合し得る好適なIgGアイソフォームの好適なFc断片、例えば、本明細書に記載のFcバリアントのいずれかに、通例の組換え技術を介して共役させることができる。場合によっては、抗体が結合する免疫細胞受容体を活性化する抗体のアゴニスト効果について最初に調査する。アゴニスト効果を増強するための本明細書に記載の治療剤を作製するために、そのようなアゴニスト抗体を選択してもよい。
【0058】
結果として得られる抗体分子は、以下に例示される通例の組換え技術を介して生成することができる。本明細書に記載の抗体の重鎖および軽鎖をコードする核酸を、1つの発現ベクターにクローニングしてもよく、各ヌクレオチド配列は、好適なプロモーターに作動可能に連結している。一例では、重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列の各々は、異なるプロンプターに作動可能に連結している。あるいは、重鎖および軽鎖の両方が同じプロモーターから発現されるように、重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、単一のプロモーターと作動可能に連結していてもよい。必要に応じて、内部リボソーム侵入部位(IRES)が、重鎖コード配列と軽鎖コード配列との間に挿入されてもよい。
【0059】
いくつかの例では、抗体の2本の鎖をコードするヌクレオチド配列を2つのベクターにクローニングし、これを同じまたは異なる細胞に導入してもよい。2本の鎖が異なる細胞内で発現される場合、それらを発現する宿主細胞からそれらの各々を単離してもよく、抗体の形成を可能にする好適な条件下で単離された重鎖および軽鎖を混合し、インキュベートしてもよい。
【0060】
一般に、当該技術分野において既知である方法を使用して、ある抗体の1つまたは全ての鎖をコードする核酸配列を、好適なプロモーターと作動可能に連結した好適な発現ベクターにクローニングすることができる。例えば、ヌクレオチド配列およびベクターを、好適な条件下で制限酵素と接触させて、互いに対合し、リガーゼによってともに連結され得る各分子上に、相補的末端を作製することができる。あるいは、合成核酸リンカーを、遺伝子の末端に連結させてもよい。これらの合成リンカーは、ベクター内の特定の制限部位に対応する核酸配列を含有する。発現ベクター/プロモーターの選択は、抗体の産生に使用するための宿主細胞の種類に依存するだろう。
【0061】
サイトメガロウイルス(CMV)中間初期プロモーター、ウイルスLTR(ラウス肉腫ウイルスLTRなど)、HIV-LTR、HTLV-1 LTR、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、E.coli lac UV5プロモーター、および単純ヘルペスtkウイルスプロモーターを含むがこれらに限定されない、様々なプロモーターを使用して、本明細書に記載の抗体を発現させることができる。
【0062】
制御可能なプロモーターもまた、使用することができる。そのような制御可能なプロモーターには、転写モジュレーターとしてE.coli由来のlacリプレッサーを使用して、lacオペレーター担持哺乳動物細胞プロモーターからの転写を制御するもの[Brown,M.et al.,Cell,49:603-612(1987)]、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を使用するもの[Gossen,M.,and Bujard,H.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:5547-5551(1992)、Yao,F.et al.,Human Gene Therapy,9:1939-1950(1998)、Shockelt,P.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:6522-6526(1995)]が含まれる。他のシステムには、FK506二量体、アストラジオールを使用するVP16もしくはp65、RU486、ジフェノールムリスレロン、またはラパマイシンが含まれる。誘導システムは、Invitrogen、Clontech、およびAriadから入手可能である。
【0063】
オペロンを有するリプレッサーを含む制御可能なプロモーターを使用してもよい。一実施形態では、E.coli由来のlacリプレッサーは、転写モジュレーターとして機能して、lacオペレーター担持哺乳動物細胞プロモーターからの転写を制御することができ[M.Brown et al.,Cell,49:603-612(1987)]、Gossen and Bujard(1992);[M.Gossen et al.,Natl.Acad.Sci.USA,89:5547-5551(1992)]は、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を転写活性化因子(VP16)と組み合わせて、tetR-哺乳動物細胞転写活性化因子融合タンパク質であるtTa(tetR-VP16)を作製し、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)主要最初期プロモーター由来のtetO-担持最小プロモーターと組み合わせて、哺乳動物細胞内の遺伝子発現を制御するためのtetR-tetオペレーター系を作製した。一実施形態では、テトラサイクリン誘導性スイッチが使用される。tetR-哺乳動物細胞転写因子融合誘導体ではなく、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)単独では、テトラサイクリンオペレーターがCMVIEプロモーターのTATAエレメントの下流に適切に位置付けられた場合に、強力なトランスモジュレーターとして機能して、哺乳動物細胞内の遺伝子発現を制御することができる(Yao et al.,Human Gene Therapy)。このテトラサイクリン誘導性スイッチの1つの特定の利点は、それが、その制御可能な効果を達成するのに、テトラサイクリンリプレッサー-哺乳動物細胞のトランス活性化因子またはリプレッサー融合タンパク質(これらは、場合によっては細胞に対して有毒であり得る)の使用を必要としないことである(Gossen et al.,Natl.Acad.Sci.USA,89:5547-5551(1992)、Shockett et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:6522-6526(1995))。
【0064】
加えて、ベクターは、例えば、以下、哺乳動物細胞内の安定または一過性トランスフェクタントの選択のためのネオマイシン遺伝子などの選択可能なマーカー遺伝子;高レベルの転写のためのヒトCMVの最初期遺伝子由来のエンハンサー/プロモーター配列;mRNA安定性のためのSV40からの転写終結およびRNAプロセシングシグナル;適切なエピソーム複製のためのSV40ポリオーマ複製起点およびColE1;内部リボソーム結合部位(IRES)、多用途の複数のクローニング部位;ならびにセンスおよびアンチセンスRNAのインビトロ転写のためのT7およびSP6 RNAプロモーターのいくつかまたは全てを含有してもよい。導入遺伝子を含有するベクターを生成するための好適なベクターおよび方法は、当該技術分野において周知かつ利用可能である。
【0065】
本明細書に記載の方法を実施するのに有用なポリアデニル化シグナルの例には、ヒトコラーゲンIポリアデニル化シグナル、ヒトコラーゲンIIポリアデニル化シグナル、およびSV40ポリアデニル化シグナルが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
抗体のいずれかをコードする核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が、抗体の産生のために好適な宿主細胞に導入されてもよい。宿主細胞は、抗体またはその任意のポリペプチド鎖の発現に好適な条件下で培養されてもよい。そのような抗体またはそのポリペプチド鎖は、従来の方法、例えば、親和性精製を介して、培養細胞によって(例えば、細胞または培養上清から)回収することができる。必要に応じて、抗体のポリペプチド鎖は、抗体の産生を可能にする好適な期間にわたって好適な条件下でインキュベートされてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体を調製するための方法は、本明細書に記載の抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターを伴う。組換え発現ベクターは、従来の方法、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションによって、好適な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入されてもよい。陽性形質転換体宿主細胞を選択し、抗体を形成する2つのポリペプチド鎖の発現を可能にする好適な条件下で培養してもよく、抗体は、細胞または培養培地から回収することができる。必要に応じて、宿主細胞から回収された2本の鎖は、抗体の形成を可能にする好適な条件下でインキュベートされてもよい。
【0068】
一例では、2つの組換え発現ベクターが提供され、一方は抗免疫細胞受容体抗体の重鎖をコードし、他方は同じ抗体の軽鎖をコードする。2つの組換え発現ベクターの両方は、従来の方法、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションによって、好適な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入されてもよい。あるいは、発現ベクターの各々が、好適な宿主細胞に導入されてもよい。陽性形質転換体を選択し、抗体のポリペプチド鎖の発現を可能にする好適な条件下で培養してもよい。2つの発現ベクターが同じ宿主細胞に導入される場合、そこで産生される抗体は、宿主細胞または培養培地から回収することができる。必要に応じて、宿主細胞または培養培地からポリペプチド鎖を回収し、その後、抗体の形成を可能にする好適な条件下でインキュベートしてもよい。2つの発現ベクターが異なる宿主細胞に導入される場合、それらの各々は、対応する宿主細胞または対応する培養培地から回収することができる。その後、2つのポリペプチド鎖は、抗体の形成に好適な条件下でインキュベートされてもよい。
【0069】
標準的な分子生物学技術を使用して、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトし、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、培養培地から抗体を回収する。例えば、いくつかの抗体は、タンパク質Aまたはタンパク質G結合マトリックスによる親和性クロマトグラフィーによって単離することができる。
【0070】
本明細書に記載の抗体の生物活性は、当該技術分野において既知であるアッセイまたは本明細書に記載のアッセイを使用して検証することができる。
【0071】
(iii)薬学的組成物
本明細書に記載の抗体を薬学的に許容される担体(賦形剤)と混合して、標的疾患の治療に使用するための薬学的組成物を形成することができる。「許容される」は、担体が組成物の活性成分と適合し(かつ好ましくは活性成分を安定化することができ)、治療される対象にとって有害であってはならないことを意味する。緩衝液を含む薬学的に許容される賦形剤(担体)は、当該技術分野において周知である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy20th Ed.(2000)Lippincott Williams and Wilkins,Ed.K.E.Hooverを参照されたい。
【0072】
本方法で使用される薬学的組成物は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含んでもよい。(Remington:The Science and Practice of Pharmacy20th Ed.(2000)Lippincott Williams and Wilkins,Ed.K.E.Hoover)。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投薬量および濃度でレシピエントにとって非毒性であり、かつリン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストランを含む);EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0073】
いくつかの例では、本明細書に記載の薬学的組成物は、Epstein,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:3688(1985)、Hwang,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4030(1980)、ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載のものなどの当該技術分野において既知である方法によって調製することができる抗体(またはコーディング核酸)を含有するリポソームを含む。増強した循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物による逆相蒸発法によって生成することができる。リポソームを、定義された孔径のフィルターを通して押し出して、所望の直径を有するリポソームをもたらす。
【0074】
抗体またはコーディング核酸(複数可)はまた、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)中またはマクロエマルジョン中の、例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタシレート)マイクロカプセルにそれぞれ封入されてもよい。そのような技術は、当該技術分野において既知であり、Remington,The Science and Practice of Pharmacy20th Ed.Mack Publishing(2000)を参照されたい。
【0075】
他の例では、本明細書に記載の薬学的組成物は、徐放性形式で製剤化されてもよい。徐放性調製物の好適な例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、このマトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸および7エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー(LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸リュープロリドからなる注射可能なミクロスフェア)など)、スクロース酢酸イソブチレート、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0076】
インビボ投与に使用される薬学的組成物は、無菌でなければならない。これは、例えば、無菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。治療抗体組成物は一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈注射用溶液袋、または皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルに入れられる。
【0077】
本明細書に記載の薬学的組成物は、経口、非経口、もしくは直腸投与、または吸入もしくは吹送による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、溶液もしくは懸濁液、または坐剤などの単位剤形であり得る。
【0078】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要な活性成分を、薬学的担体、例えば、従来の錠剤化成分(コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、またはガムなど)、および他の薬学的希釈剤、例えば、水と混合して、本発明の化合物またはその非毒性の薬学的に許容される塩の均一な混合物を含有する固体製剤化前組成物を形成してもよい。これらの製剤化前組成物を均一なものと称する場合、組成物が錠剤、丸剤、およびカプセルなどの等しく有効な単位剤形に容易に細分化され得るように、活性成分が組成物全体を通して均等に分散されていることが意味される。その後、この固体製剤化前組成物は、0.1~約500mgの本発明の活性成分を含有する上記の種類の単位剤形に細分化される。新規の組成物の錠剤または丸剤をコーティンまたは別様に配合して、延長した作用の利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部投薬構成成分および外部投薬構成成分を含んでもよく、後者は、前者を覆うエンベロープの形態である。2つの構成成分は、胃内での崩壊に抵抗し、内部構成成分の無傷での十二指腸への通過またはその放出の遅延を可能にする腸溶層によって分離されていてもよい。そのような腸溶層またはコーティングには、いくつかのポリマー酸、ならびにポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との混合物を含む、様々な材料を使用することができる。
【0079】
好適な界面活性剤には、特に、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、Tween(商標)20、40、60、80、または85)および他のソルビタン(例えば、Span(商標)20、40、60、80、または85)などの非イオン性薬剤が含まれる。界面活性剤を有する組成物は好都合に0.05~5%の界面活性剤を含み、これは0.1~2.5%であり得る。必要に応じて、他の成分、例えば、マンニトールまたは他の薬学的に許容されるビヒクルが添加されてもよいことが理解されるだろう。
【0080】
好適なエマルジョンは、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)、およびLipiphysan(商標)などの市販の脂肪エマルジョンを使用して調製することができる。活性成分は、事前に混合されたエマルジョン組成物中に溶解されても、あるいはそれは、油(例えば、ダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、またはアーモンド油)中およびリン脂質(例えば、卵のリン脂質、ダイズのリン脂質、またはダイズのレシチン)と水との混合時に形成されるエマルジョン中に溶解されてもよい。エマルジョンの浸透圧を調整するために、他の成分、例えば、グリセロールまたはグルコースが添加されてもよいことが理解されるだろう。好適なエマルジョンは典型的には、最大20%、例えば、5~20%の油を含有するだろう。脂肪エマルジョンは、0.1~1.0μm、特に0.1~0.5μmの脂肪滴を含んでもよく、5.5~8.0の範囲内のpHを有する。
【0081】
エマルジョン組成物は、抗体を、Intralipid(商標)またはその構成成分(ダイズ油、卵のリン脂質、グリセロール、および水)と混合することによって調製されたものであってもよい。
【0082】
吸入または吹送用の薬学的組成物には、薬学的に許容される水性溶媒もしくは有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末が含まれる。液体または固体組成物は、上記に提示される好適な薬学的に許容される賦形剤を含有してもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、局所または全身効果のために経口または経鼻呼吸経路によって投与される。
【0083】
好ましくは無菌の薬学的に許容される溶媒中の組成物は、ガスの使用によって噴霧されてもよい。噴霧された溶液を噴霧デバイスから直接呼吸しても、または噴霧デバイスをフェイスマスク、テント、もしくは間欠的陽圧呼吸機に取り付けてもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、好適な様式で製剤を送達するデバイスから、好ましくは経口または経鼻投与され得る。
【0084】
III.治療用途
本明細書に記載の免疫細胞受容体およびFcγRIIBを架橋することができる治療剤(例えば、抗体)はいずれも、侵入病原体および/または罹患細胞(癌細胞など)に対する免疫応答を増強するのに有用である。
【0085】
本明細書に開示される方法を実施するために、有効量の本明細書に記載の薬学的組成物は、静脈内投与などの好適な経路を介して(例えば、ボーラスとして、または一定期間にわたる持続注入によって)、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑膜内、くも膜下腔内、経口、吸入、または局所経路によって、治療を必要とする対象(例えば、ヒト)に投与することができる。ジェット噴霧器および超音波噴霧器を含む液体製剤用の市販の噴霧器が、投与に有用である。液体製剤は直接噴霧することができ、凍結乾燥粉末は再構成後に噴霧することができる。あるいは、本明細書に記載の抗体は、フルオロカーボン製剤および定量噴霧式吸入器を使用してエアロゾル化しても、凍結乾燥および粉砕された粉末として吸入してもよい。
【0086】
本明細書に記載の方法によって治療される対象は、哺乳動物、より好ましくはヒトであり得る。哺乳動物には、家畜、競技用動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、およびラットが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、対象は、肺癌、胃癌、肝臓癌、乳癌、皮膚癌、膵臓癌、脳癌、前立腺癌、膀胱癌、もしくは結腸直腸癌を含むがこれらに限定されない癌などの、細胞媒介性疾患もしくは障害を有するか、またはそのリスクがあるヒト患者である。
【0087】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、単独でまたは1つ以上の他の活性薬剤との併用で、対象に治療効果を与えるのに必要とされる各活性薬剤の量を指す。いくつかの実施形態では、治療効果は、標的免疫受容体を調節(例えば、活性化)し、それによりその受容体によって媒介される免疫応答を引き起こすか、またはそれを増強する。ある量の抗体が治療効果を達成したかどうかの決定は、当業者にとって明らかであるだろう。有効量は、当業者によって認識されるように、治療される特定の病態、病態の重症度、個々の患者パラメータ(年齢、身体状態、サイズ、性別、および体重を含む)、治療期間、(存在する場合)併用療法の性質、特定の投与経路、ならびに医療従事者の知識および専門知識の範囲内の類似の因子に応じて変動する。これらの因子は、当業者にとって周知であり、通例の実験のみで対処することができる。一般に、個々の構成成分またはそれらの組み合わせの最大用量、つまり健全な医学的判断に従って最も高い安全用量が使用されることが好ましい。
【0088】
半減期などの経験的な考慮事項が一般に、投薬量の決定に寄与するだろう。例えば、ヒト化抗体または完全ヒト抗体などのヒト免疫系に適合する抗体を使用して、抗体の半減期を延長し、宿主の免疫系による抗体の攻撃を予防することができる。投与の頻度は、治療の過程にわたって決定および調整されてもよく、一般に標的疾患/障害の治療および/または抑制および/または寛解および/または遅延に基づくが、必ずしもそうである必要はない。あるいは、抗体の徐放性持続製剤が適切であり得る。徐放を達成するための様々な製剤およびデバイスが、当該技術分野において既知である。
【0089】
一例では、本明細書に記載の抗体の投薬量は、抗体の1回以上の投与(複数可)が与えられている個体において経験的に決定され得る。個体には、漸増投薬量のアンタゴニストが与えられる。アンタゴニストの効果を評価するために、疾患/障害の指標に従ってもよい。
【0090】
一般に、本明細書に記載の抗体などの治療剤のいずれかの投与について、初回候補投薬量は、約2mg/kgであり得る。本開示の目的では、典型的な1日投薬量は、上記に言及した因子に応じて、約0.1μg/kg~3μg/kg~30μg/kg~300μg/kg~3mg/kgのいずれかから、30mg/kg~100mg/kgまたはそれ以上までの範囲であり得る。数日またはそれ以上にわたる反復投与では、病態に応じて、症状の所望の抑制が生じるまで、あるいは標的の疾患もしくは障害またはその症状の緩和に十分な治療レベルが達成されるまで、治療が持続される。例示的な投薬レジメンは、約2mg/kgの初回用量を投与すること、その後、約1mg/kgの毎週の維持用量の抗体を続けること、または隔週の約1mg/kgの維持用量を続けることを含む。しかしながら、医師が達成を望む薬物動態の減衰のパターンに応じて、他の投薬レジメンが有用であり得る。例えば、1週間に1~4回の投薬が企図される。いくつかの実施形態では、約3μg/mg~約2mg/kgの範囲の投薬(約3μg/mg、約10μg/mg、約30μg/mg、約100μg/mg、約300μg/mg、約1mg/kg、および約2mg/kgなど)が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、投薬頻度は、1週間に1回、2週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、または10週間に1回、あるいは1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、もしくは3ヶ月に1回、またはそれ以上である。この療法の進行は、従来の技術およびアッセイによって容易に監視される。投薬レジメン(使用される抗体を含む)は、経時的に変動し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、正常体重の成人患者に対して、約0.3~5.00mg/kgの範囲の用量が投与され得る。いくつかの例では、本明細書に記載の抗体などの治療剤の投薬量は、10mg/kgであり得る。特定の投薬レジメン、すなわち、用量、タイミング、および反復は、特定の個体およびその個体の病歴、ならびに個々の薬剤の特性(薬剤の半減期、および当該技術分野において周知である他の考慮事項など)に依存するだろう。
【0092】
本開示の目的では、本明細書に記載の抗体の適切な投薬量は、用いられる特定の抗体(単数)、抗体(複数)、および/または非抗体ペプチド(もしくはその組成物)、疾患/障害の種類および重症度、抗体が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴およびアンタゴニストに対する応答、ならびに担当医の裁量に依存するだろう。典型的には、臨床医は、所望の結果を達成する投薬量に達するまで抗体を投与するだろう。いくつかの実施形態では、所望の結果は、血栓症の減少である。投薬量が所望の結果をもたらしたかどうかを決定する方法は、当業者にとって明らかであろう。1つ以上の抗体の投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与の目的が治療であるか予防であるか、および熟練した医師にとって既知である他の因子に応じて、持続的または間欠的であり得る。抗体の投与は、予め選択された期間にわたって本質的に持続的であっても、例えば、標的疾患または障害の発症前、発症中、または発症後の一連の間隔を空けた用量であってもよい。
【0093】
本明細書で使用される場合、「治療すること」という用語は、障害、疾患の症状、または疾患もしくは障害に対する素因の治癒、治療、緩和、軽減、改変、是正、寛解、改善、またはそれへの作用を目的として、標的疾患もしくは障害、疾患/障害の症状、または疾患/障害に対する素因を有する対象に、1つ以上の活性薬剤を含む組成物を適用または投与することを指す。
【0094】
標的疾患/障害の緩和には、疾患の発症もしくは進行の遅延、または疾患の重症度の低減が含まれる。疾患の緩和は、必ずしも治癒的な結果を必要としない。本明細書で使用される場合、標的疾患または障害の発症を「遅延させること」は、疾患の進行を保留、妨害、減速、遅延、安定化、および/または延期することを意味する。この遅延は、疾患の病歴および/または治療される個体に応じて、様々な期間の遅延であり得る。疾患の発症を「遅延」もしくは緩和させる方法、または疾患の発病を遅延させる方法は、その方法を使用しない場合と比較して、所与の時間枠内で疾患の1つ以上の症状を発症する可能性を低減し、かつ/または所与の時間枠内で症状の程度を低減する方法である。そのような比較は典型的には、統計学的に有意な結果を得るのに十分な数の対象を使用する臨床研究に基づく。
【0095】
疾患の「発症」または「進行」は、疾患の初期症状および/または後に続く進行を意味する。疾患の発症は、当該技術分野において周知である標準的な臨床技術を使用して検出可能であり、評価することができる。しかしながら、発症はまた、検出不能であり得る進行も指す。この開示の目的では、発症または進行は、症状の生物学的経過を指す。「発症」には、発生、再発、および発病が含まれる。本明細書で使用される場合、標的疾患または障害の「発病」または「発生」には、初期発病および/または再発が含まれる。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体は、標的受容体の活性をインビボで少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上)活性化するのに十分な量で、治療を必要とする対象に投与される。
【0097】
医学の当業者にとって既知である従来の方法を使用して、治療される疾患の種類または疾患の部位に応じて、対象に薬学的組成物を投与することができる。この組成物はまた、他の従来の経路、例えば、経口、非経口、吸入スプレー、局所、直腸、経鼻、頬側、膣内、または埋め込みリザーバーを介して投与されてもよい。本明細書で使用される場合、「非経口」という用語には、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。加えて、それは、1ヶ月、3ヶ月、または6ヶ月間の持効性の注射可能または生分解性材料および方法の使用などの、注射可能な持効性投与経路を介して対象に投与されてもよい。いくつかの例では、薬学的組成物は、眼内または硝子体内投与される。
【0098】
注射可能な組成物は、植物油、ジメチルアクタミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、ならびにポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)などの様々な担体を含有し得る。静脈内注射では、水溶性抗体は点滴法によって投与されてもよく、それにより抗体および生理学的に許容される賦形剤を含有する薬学的製剤が注入される。生理学的に許容される賦形剤には、例えば、5%のデキストロース、0.9%の食塩水、リンゲル液、または他の好適な賦形剤が含まれ得る。筋肉内調製物、例えば、抗体の好適な可溶性塩形態の無菌製剤は、注射用水、0.9%の食塩水、または5%のグルコース溶液などの薬学的賦形剤中に溶解させ、投与することができる。
【0099】
本明細書に記載の方法で使用される特定の投薬レジメン、すなわち、用量、タイミング、および反復は、特定の対象およびその対象の病歴に依存するだろう。
【0100】
いくつかの実施形態では、1つ以上の抗体、または抗体と別の好適な治療剤との組み合わせが、治療を必要とする対象に投与され得る。抗体はまた、薬剤の有効性を増強および/または補完するように機能する他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。
【0101】
標的疾患/障害の治療効果は、当該技術分野において周知である方法によって評価することができる。
【0102】
本明細書に記載の治療剤は、癌などの標的疾患に対する他の種類の療法と組み合わせて利用してもよい。追加の抗癌療法には、化学療法、手術、放射線、および遺伝子療法などが含まれる。第2の治療剤が使用される場合、そのような薬剤は、免疫細胞受容体およびFcγRIIBを架橋する本明細書に記載の治療剤と同時または(任意の順序で)連続的に投与することができる。
【0103】
追加の治療剤と同時投与される場合、各薬剤の好適な治療有効投薬量は、相加作用または相乗効果のために低下し得る。
【0104】
本開示の治療は、例えば、(GVAX、DC系ワクチンなどを含むがこれらに限定されない)治療ワクチンまたは(CTLA4、PD1、LAG3、TIM3などを遮断する薬剤を含むがこれらに限定されない)チェックポイント阻害剤などの他の免疫調節治療と組み合わせることができる。あるいは、本開示の治療は、化学療法剤、例えば、ピリミジン類似体(5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビン、およびシタラビン)、プリン類似体、葉酸アンタゴニストおよび関連阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、および2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン));ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)などの天然物、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロン、およびナベルビンなどの微小管崩壊剤、エピジポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド)、DNA損傷剤(アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、サイトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチネラミンオキサリプラチン、イフォスファミン、メルファラン、メルクロレタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソウレア、プリカマイシン、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テニポシド、トリエチレンチオホスホラミド、およびエトポシド(VP16))を含む、抗増殖剤/有糸分裂阻害剤;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシンなどの抗生物質;酵素(L-アスパラギンを全身的に代謝し、それら独自のアスパラギンを合成する能力を有しない細胞を取り除く、L-アスパラギナーゼ);抗血小板剤;ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン、ならびにメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホネート-ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン-ダカルバジニン(DTIC)などの抗増殖/分裂阻害アルキル化剤;葉酸類似体(メトトレキサート)などの抗増殖/分裂阻害代謝拮抗剤;白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモン類似体(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)、およびアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩、およびトロンビンの他の阻害剤);線維素溶解剤(組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼなど)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤;抗分泌剤(ブレベルジン);免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);抗血管新生化合物(例えば、TNP-470、ゲニステイン、ベバシズマブ)および成長因子阻害剤(例えば、線維芽細胞成長因子(FGF)阻害剤);アンジオテンシン受容体遮断剤;一酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ);細胞周期阻害剤および分化誘導剤(トレチノイン);mTOR阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシンおよびミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、コルチコステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルペドニゾロン、プレドニゾン、およびプレニゾロン);成長因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;ミトコンドリア機能障害誘導剤およびカスパーゼ活性化因子;ならびにクロマチン崩壊剤と組み合わせることができる。
【0105】
追加の有用な薬剤の例については、Physician’s Desk Reference,59.sup.th edition,(2005),Thomson P D R,Montvale N.J.、Gennaro et al.,Eds.Remington’s The Science and Practice of Pharmacy20.sup.th edition,(2000),Lippincott Williams and Wilkins,Baltimore Md.、Braunwald et al.,Eds.Harrison’s Principles of Internal Medicine,15.sup.th edition,(2001),McGraw Hill,NY、Berkow et al.,Eds.The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,(1992),Merck Research Laboratories,Rahway N.Jも参照されたい。
【0106】
IV.キット
本開示はまた、本明細書に記載の治療剤のいずれか、例えば、FcγRIIBに選択的に結合する本明細書に記載のFcバリアントを含有する抗TNF抗体を使用して、所望の免疫応答の増強に使用するためのキットも提供する。
【0107】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従う使用のための指示書を含んでもよい。含まれる指示書は、本明細書に記載されるものなどの標的疾患を治療、その発症を遅延、または緩和させるための治療剤の投与についての説明を含み得る。キットは、その個体が標的疾患を有するかどうかの特定に基づいた、治療に好適な個体の選択についての説明をさらに含み得る。さらに他の実施形態では、指示書は、標的疾患のリスクがある個体への、抗体などの治療剤の投与についての説明を含む。
【0108】
治療剤の使用に関する指示書には、一般に、意図される治療のための投薬量、投薬スケジュール、および投与経路に関する情報が含まれる。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)、または下位単位用量であり得る。本発明のキットに供給される指示書は典型的には、ラベルまたは添付文書に書かれた指示書(例えば、キットに含まれる紙シート)であるが、機械読み取り可能な指示書(例えば、磁気または光学記憶ディスクに担持される指示書)もまた許容される。
【0109】
ラベルまたは添付文書は、組成物が、癌などの標的疾患または障害の治療、その発病の遅延、および/または緩和に使用されることを示す。本明細書に記載の方法のいずれかを実施するための指示が、提供されてもよい。
【0110】
本発明のキットは、好適なパッケージ内にある。好適なパッケージには、バイアル、瓶、広口瓶、および柔軟なパッケージング(例えば、密封マイラー袋またはビニル袋)などが含まれるが、これらに限定されない。吸入器、経鼻投与デバイス(例えば、噴霧器)などの特定のデバイス、またはミニポンプなどの注入デバイスと組み合わせて使用するためのパッケージもまた企図される。キットは、無菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、静脈注射用溶液袋、または皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルであってもよい)。容器もまた、無菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、静脈注射用溶液袋、または皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本明細書に記載のものなどの治療剤である。
【0111】
キットは任意で、緩衝液および判断用の情報などの追加の構成要素を提供してもよい。通常、キットは、容器と、容器上または容器に関連付けられたラベルまたは添付文書(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、上記のキットの内容物を含む製造物品を提供する。
【0112】
一般的な技術
別段示されない限り、本発明の実施は、(組換え技術を含む)分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技術を用い、これらは、当該技術分野の範囲内である。そのような技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook,et al.,1989)Cold Spring Harbor Press、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.,eds.,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis,et al.,eds.,1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:a practical approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)などの文献で完全に説明されている。
【0113】
さらに詳述することなく、当業者であれば、上記の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。したがって、以下の特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、多少なりとも本開示の残りの部分を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての出版物は、本明細書で言及される目的または主題のために参照により組み込まれる。
【0114】
実施例1.選択的なFcγR2B/CD32B結合のためのヒトIgG1、IgG2、およびIgG4の操作
FcγR2b/CD32Bへの結合活性に対するヒトIgG1、IgG2、およびIgG4のヒンジドメイン内の変異の影響を検証するために、本明細書に開示されるヒトFcバリアントG1m1、G1m2、G2m1、G2m2、G2m10、G4m1、G4m2、G4m10、およびG4m20を、抗CD137抗体のVH断片ならびに対応するIgG1、G2、およびG4 CH1断片に連結させて、完全長IgG重鎖を生成した。これらの変異体IgG重鎖をクローニングし、抗CD137抗体の軽鎖と同時発現させ、標準的な分子生物学および抗体プロトコルを使用して精製した。VH-CH1断片(VHドメインが斜体になっている)および軽鎖のアミノ酸配列を、以下に提供する。
VH-CH1(IgG1):
EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYSFSTYWISWVRQMPGKGLEWMGKIYPGDSYTNYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGYGIFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTK(配列番号60)
VH-CH1(IgG2):
EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYSFSTYWISWVRQMPGKGLEWMGKIYPGDSYTNYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGYGIFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTK(配列番号61)
VH-CH1(IgG4):
EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYSFSTYWISWVRQMPGKGLEWMGKIYPGDSYTNYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGYGIFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTK(配列番号62)
軽鎖:
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVLVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS(配列番号63)
【0115】
Octet Red96System(ForteBio、モデル番号Red96)を使用して、これらのIgG変異体を、FcRnを含むヒトFc受容体(FcR)のパネルへの結合について試験した。ヒトFcRタンパク質は市販のものを購入した(FcRn、MednaBio、E1032;FcRI、MednaBio、E1031;FcRIIA、MednaBio、E1033;FcRIIB/C、MednaBio、E1034;FcRIIIA-F158、MednaBio、E1036;FcRIIIA-V158、MednaBio、E1035;FcRIIIB、MednaBio、E1037)。全てのFcγ受容体アッセイはpH7.2で実行し、全てのFcRnアッセイはpH6で実行した。Fcγ受容体を、20μg/mlの濃度で抗ペンタHIS1K(ForteBio、カタログ番号18-5122)バイオセンサーに充填した。その後、充填したバイオセンサーを、300nMの開始濃度で、0.1%のBSA、0.02%のTween-20(pH7.2)を含むPBS中、(本明細書に記載の対照および変異体を含む)試験IgG分子の8点の1:3の一連の希釈に浸漬した。1:1の結合モデルおよび網羅的適合を使用して、動態分析を実行した。結果を、以下の表5および6に示す。
【表5】
【表6】
【0116】
この研究で試験した特定のIgG変異体、例えば、G4m2は、FcγRIIB(CD32B)に対する選択的結合活性を示し、インビボでのIgG分子の半減期にとって重要であるFcRnに対する結合活性もまた維持した。G1m2、G2m1、またはG4m20などの他のものは、全てのFcγRに対する結合を喪失した。
【0117】
実施例2.追加のIgG1、IgG2、およびIgG4変異体ならびに様々なFc受容体に対する結合活性
本明細書に開示されるヒトFcバリアントG1m5、G1m7、G1m8、G1m9、G2m5、G2m7、G2m8、G2m9、G4m5、G4m7、G4m8、およびG4m9を、抗CD137抗体のVH断片ならびに対応するIgG1、G2、およびG4 CH1断片に連結させて、完全長IgG重鎖を生成した。上記の実施例1を参照されたい。これらの変異体IgG重鎖をクローニングし、抗CD137抗体の軽鎖と同時発現させ(上記の実施例1を参照されたい)、標準的な分子生物学および抗体プロトコルを使用して精製した。結果を、以下の表7~9に示す。
【表7】
【表8】
【表9】
【0118】
実施例3.FcγRIIB(CD32B)に対する選択的結合を増強するための複合変異を有する例示的なIgG変異体
本明細書に開示されるヒトFcバリアントG1m15、G1m17、G1m18、G1m19、G2m25、G2m27、G2m28、G4m15、G4m17、G4m18、およびG4m19、G4m25、G4m27、G4m28、およびG4m29を、抗CD137抗体のVH断片ならびに対応するIgG1、G2、およびG4 CH1断片に連結させて、完全長IgG重鎖を生成した。上記の実施例1を参照されたい。これらのFcバリアントは、ヒンジドメイン内の1つまたは変異と、CH2および/またはCH3ドメイン内の1つ以上の変異との組み合わせを含有する。これらの変異体IgG重鎖をクローニングし、抗CD137抗体の軽鎖と同時発現させ(上記の実施例1を参照されたい)、標準的な分子生物学および抗体プロトコルを使用して精製した。結果を、以下の表10~12に示す。
【0119】
実施例4.細胞性FcγRに対するヒトIgG変異体の結合活性の決定
細胞性Fc受容体に対するヒトIgG変異体の結合活性を決定するために、当該技術分野において既知であるレンチウイルス送達系を使用してCHO細胞を遺伝子操作して、ヒトFcγR(FcγRI、FcγRIIA(H131)、FcγRIIA(R131)、FcγRIIB、FcγRIIC、およびFcγRIII)を発現させた。
【0120】
G1m-2、G1m-4、G1mAA、G1mAG、G2m-1 G2m-4、G2m15、G2m17、G2m17、G2m18、G2m19、G2m20、G2m27、G2m28、G4m-1、G4m-2、G430、およびG4PE(上記に提供したアミノ酸配列)を含むIgG Fc変異体を、本明細書の開示に従って設計および構築した。これらのIgG変異体は、示されるように、上部ヒンジドメインまたは下部ヒンジドメインのいずれかに変異を含有する。
【0121】
異なるFcγRに対するIgG変異体の結合のFACS分析のために、トリプシン-EDTAを使用してFcγR過剰発現CHO細胞を採取し、冷染色緩衝液(PBS中3%のBSA)中に懸濁した。染色緩衝液中に希釈した試験IgG変異体を、細胞に添加した。混合物を4℃で2時間インキュベートした後、冷染色緩衝液で2回洗浄し、PE標識抗ヒトIgG中に再懸濁し、その後、4℃で2時間インキュベートした。混合物を染色緩衝液で2回洗浄し、FACSのためにPBS中2%のPFAに再懸濁した。
【表10】
【表11】
【表12】
【0122】
図1A~1Wに示されるように、いくつかのヒトIgG1、IgG2、およびIgG4変異体は、細胞表面上に発現されるFcγRに対する結合活性を示した。野生型対応物と比較した変異体のFcγ結合活性の変化の定性的な要約を、上記の表2~4に示す。
【0123】
実施例5.細胞性FcγRIIBに結合することができるヒトIgG変異体は、増強したアゴニスト活性を示した
細胞性FcγR2Bに対する結合がIgG変異体のアゴニスト活性を増強することを検証するために、FcγR2Bを発現するCHO細胞およびヒトCD8陽性T細胞に関与する共培養アッセイを開発した。CHO-FcγRIIB細胞を、96ウェル細胞培養プレートに2×104個/ウェルで播種し、一晩インキュベートした。ヒトCD8陽性T細胞を単離するために、健康なドナーからの新鮮な血液を等量のDPBSと穏やかに混合した。その後、血液試料をFicollの下敷きの上に置き、ブレーキをかけずに、室温、1000gで30分間遠心分離した。PBMCを含有するバフィーコートを新たな管に採取し、DPBSで洗浄した。EasySep(商標)ヒトCD8+T細胞単離キット(Stemcell番号17953)をキットのマニュアルに従って使用して、CD8陽性T細胞をPBMCから単離した。RPMI培地中に懸濁した単離されたCD8+T細胞を、CHO-FcγRIIB細胞とともにプレートに添加した。抗ヒトCD3抗体OKT3を、0.1ug/mlの最終濃度になるように添加し、その後、所望の濃度に希釈した試験抗体を添加した。プレートを3日間培養した後、培養上清を採取して、ヒトIFN-ガンマELISA Ready-SET-GOキット(EBIOSCIENCE、番号88-7316-88)を使用するELISAによってIFNg濃度を測定した。
【0124】
図2A~2Cに示されるように、いくつかの試験したIgG変異体は、IFN-γの分泌によって証明されるように、CHO-FcγRIIB細胞の存在下でヒトCD8
+細胞を刺激した。
【0125】
実施例6.マウスモデルにおけるインビトロおよびインビボでのIgGアイソタイプの影響
マウス4-1BB(CD137)、LOB12.3、および3H3に対する2つの異なる抗体を、詳細に調査した。これら2つの抗体を、マウスIgG1、FcRに結合する能力が低下していることが既知であるマウスIgG1 N297A変異体(陰性対照として)、およびマウスIgG2aを含む、様々なマウスIgGアイソタイプとしてクローニングし、発現させた。
【0126】
マウスCD8陽性T細胞を、溶液中の抗体によって刺激した。マウスCD8 T細胞の典型的なインビトロ同時刺激アッセイでは、抗体LOB12.3は、インターフェロンガンマ分泌によって測定してT細胞を刺激することができなかった一方で、
図3に示されるように、3H3抗体は、抗体アイソタイプに関わらずアゴニスト活性を呈した。
【0127】
インビボでの抗腫瘍活性および肝臓毒性を調査した。これら2つの抗体およびそれらのアイソタイプの活性プロファイルは、大きく異なっていた。マウス同系CT26結腸直腸癌モデルでは、各抗体の最適なアイソタイプは異なるものの、LOB12.3および3H3の両方が、腫瘍の完全な拒絶を含む強固な抗腫瘍活性を示した。
図4A~4B。LOB12.3は、インビトロでは明らかな同時刺激活性を示さなかったが、マウスIgG1アイソタイプである場合インビボでは効果的であり、これは、FcγR2B媒介性架橋が効率的なアゴニスト活性をもたらすことを支持している。3H3は本質的にアゴニストであり、その活性はFc媒介性架橋には依存しなかった。実際、Fc欠損変異体の3H3が、最も効果的であった。
【0128】
予想外の観察結果は、これらの抗体の肝臓毒性に対する差次的な影響であった。LOB12.3および3H3の両方が、腫瘍拒絶を誘導する上で効果的であったが、3H3のみが、治療した動物の血清試料中の肝臓酵素ALTの増加によって決定して、肝臓毒性を示した(
図4B)。
【0129】
これらの実験データは、同時刺激アゴニスト抗体の治療指数の増加のためにアゴニスト抗体を選択および操作する潜在的な有用性を初めて示唆した。
【0130】
実施例7.キメラ抗体の薬物動態研究
選択されたキメラ抗体の薬物動態を研究するために、インビボ研究を実行した。PBS中に製剤化した抗体を、尾静脈注射を介してC57BL/6マウス(生後6~7週間、19~20g、雄)に投与した。用量は、1~3mg/kgであった(1群あたりn=4匹のマウス)。
【0131】
抗体の投与前、ならびに投与の1時間、2時間、4時間、8時間、1日、2日、3日、5日、8日、11日、15日、および21日後に、血液試料を採取した。各時点あたり10uLの血液を抽出し、40uLのPBS-BSA溶液に添加した。その後、試料をよく混合し、4℃、2000gで5分間遠心分離した。上清を収集直後にドライアイス上に置き、分析まで約-70℃で保存した。血液試料中の抗体濃度を、以下に簡潔に記載されるようにELISAによって決定した。
【0132】
CD137タンパク質(ヒトCD137-Hisタグタンパク質(Sino Biological Inc.カタログ番号10377-H08H-100)またはアカゲザルCD137-His(Sino Biological Inc.カタログ番号90305-K08H-100))を、1μg/mlになるようにPBS中に希釈し、ELISAプレート(Corning、カタログ番号9018、高結合)に50μl/ウェルの濃度でコーティングするのに使用した。プレートを4℃で一晩インキュベートした。その後、プレートをデカントし、PBS-Tで洗浄し、200μl/ウェルのアッセイ希釈剤(1×PBS/1%のBSA/0.05%のTween-20/0.05%のproclin300)を添加した。室温で3時間インキュベートした後、プレートをPBS-Tで3回洗浄した。その後、0、0.000003、0.00003、0.0003、0.003、0.03、および0.3μg/ml(または約0、0.00002、0.0002、0.002、0.02、0.2、および2nM)になるようにアッセイ希釈剤中に希釈した抗体標準物とともに、適切な希釈度の試料をプレートに添加した(50μl/ウェル)。プレートを37℃で1時間インキュベートした後、PBS-Tで3回洗浄した。1:10,000の希釈度の抗ヒトIgG-HRP共役体(Bethylカタログ番号A80-319P)を、プレートに添加した(100μl/ウェル)。プレートを37℃で0.5時間インキュベートし、その後、PBS-Tで3回洗浄した。TMB基質溶液を添加した(100μl/ウェル)。8分間発色させてから、100μl/ウェルの2NのH2SO4で発色を停止させた。450nmでの吸光度をELISAリーダーで決定し、標準曲線の用量応答から抗体濃度を計算した。
【0133】
図5A~5Gは、1~3mg/kgの単回静脈内注射後のキメラ抗体の血漿抗体濃度を示す。調査したこれらの抗体の薬物動態パラメータを、以下の表13に列挙し、これは、全てではないにしても、調査した変異体のほとんどが正常なIgG PKパラメータを改変しなかったことを示している。
【表13】
【0134】
他の実施形態
本明細書に開示される特徴の全ては、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に開示される各特徴は、同じ、同等、または同様の目的を果たす代替的な特徴で置き換えることができる。したがって、別段明確に述べられない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等または同様の特徴の例に過ぎない。
【0135】
上記の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、かつその趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を行って、様々な用途および条件に適合させることができる。したがって、他の実施形態もまた、特許請求の範囲内である。
【配列表】