(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】熱膨張可能な調心要素を有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20231204BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20231204BHJP
【FI】
A24D1/02
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2020526400
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2018083883
(87)【国際公開番号】W WO2019110768
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-03
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】デュック ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】マルガ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ユテュリー ジェローム
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-184627(JP,A)
【文献】特表平11-503912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/02
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置の加熱チャンバ内で加熱された時に、吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品であって、
前記加熱チャンバは、前記エアロゾル発生物品が前記加熱チャンバ内で加熱されるように前記エアロゾル発生物品を受容するように構成され、前記エアロゾル発生物品は、
エアロゾル発生基体のロッドと、
少なくとも前記ロッドを囲むラッパー
であって、前記囲まれたロッドの外径が前記加熱チャンバの内径より小さい、ラッパーと、
前記ラッパーの外表面上に配置された少なくとも一つの熱膨張可能な要素
であって、前記熱膨張可能な要素の少なくとも一部が前記加熱チャンバの内表面と係合するように、前記加熱チャンバ内で加熱された時に変形するように構成される、熱膨張可能な要素と、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記少なくとも一つの熱膨張可能な要素が熱反応性材料を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記熱反応性材料が膨張性反応性材料である、請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
加熱に伴い、前記熱反応性材料が、少なくとも約1.1倍膨張する、請求項2または3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記エアロゾル発生物品が、熱に曝露された時に、元の寸法の約1.001倍~約1.14倍に膨張する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記少なくとも一つの熱膨張可能な要素が前記ラッパーの周囲で延びる、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記ラッパーの周囲で別個の場所に配置された複数の熱膨張可能な要素を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記熱反応性材料が前記ラッパーの周囲に均一に配置されている、請求項2~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記少なくとも一つの熱膨張可能な要素が、第一の熱反応性材料を含む第一の層と、前記第一の層に隣接し、第二の熱反応性材料を含む半径方向外側の第二の層とを備え、前記第一の熱反応性材料の熱膨張係数が前記第二の熱反応性材料の熱膨張係数より小さい、請求項2~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記少なくとも一つの熱膨張可能な要素と前記エアロゾル発生物品の口側端との間の距離が、前記エアロゾル発生物品の全長の約50パーセントより大きい、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
非変形状態の前記少なくとも一つの熱膨張可能な要素の厚さが、少なくとも約0.05ミリメートルである、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
直線状の連続的な配設において、前記エアロゾル発生基体のすぐ下流に位置する支持要素と、前記支持要素の下流に位置するエアロゾル冷却要素と、前記ロッド、前記支持要素、および前記エアロゾル冷却要素を囲む外側ラッパーと、をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
エアロゾル発生物品と、ヒーターおよび細長い加熱チャンバを備える電気的に作動するエアロゾル発生装置とを備え、前記エアロゾル発生物品が前記加熱チャンバ内で加熱されるように前記加熱チャンバが前記エアロゾル発生物品を受容するように構成された、エアロゾル発生システムであって、前記エアロゾル発生物品が、
エアロゾル発生基体のロッドと、
少なくとも前記ロッドを囲むラッパーであって、前記囲まれたロッドの外径が前記加熱チャンバの内径より小さい、ラッパーと、
前記ラッパーの外表面上に配置された少なくとも一つの熱膨張可能な要素であって、
前記熱膨張可能な要素の少なくとも一部が前記加熱チャンバの内表面と係合する
ように、
前記加熱チャンバ内で加熱された時に変形するように構成される、熱膨張可能な要素と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記ヒーターが実質的に円筒状の細長い発熱体を備え、かつ前記加熱チャンバが前記ヒーターの長軸方向の表面の周囲に配置されている、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
加熱式エアロゾル発生基体からの熱損失を低減するために、前記加熱チャンバと前記装置の外部との間に配設された断熱手段を備える、請求項13または14に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で周知である。典型的に、こうした加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生し、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置してもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出される空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成する。
【0003】
例えばランダムに配向させた、たばこ材料の断片、ストランド、または細片などから、加熱式エアロゾル発生物品用の基体を製造するために利用できる、幾つかの代替的な方法がある。つい最近に、国際特許公開公報第A-2012/164009号は、ロッドに沿った空隙率のより良好な制御を可能にする均質化したたばこ材料シートの集合体から形成された加熱式エアロゾル発生物品用のロッドを開示している。
【0004】
数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式のエアロゾル発生装置が挙げられる。エアロゾル発生装置は、例えばユーザーによって挿入することができ、また使用後にユーザーによって取り外されることができるエアロゾル発生基体を取り外し可能に受容するように適合された加熱チャンバを備えてもよい。従って、こうした装置において、エアロゾル発生基体は、加熱チャンバの包囲する表面から熱を受容する場合がある。
【0005】
エアロゾル発生物品の挿入および取り外しを容易にするために、加熱チャンバの内径は、エアロゾル発生物品の外径より大きいことが好ましい。これはまた、エアロゾル発生物品の外径のわずかな差異を説明するのに役立つという点で望ましい。これに反して、加熱チャンバの内径がエアロゾル発生物品の外径と非常に類似していた場合、エアロゾル発生物品の外径の変動は、エアロゾル発生物品が装置の中に挿入されるのを妨げる場合があり、また一般にエアロゾル発生物品の部分は、加熱表面に直接接触する、または押し付けられる場合さえもあり、これはエアロゾル発生物品の局所的な過熱または燃焼さえも生じる場合がある。
【0006】
その上、一般に加熱式エアロゾル発生物品では、必要なエアロゾル発生基体の量は、基体が燃焼されるエアロゾル発生物品(例えば、従来のフィルター付き紙巻たばこなど)と比較してより少ないことが分かっている。それ故に、加熱された時に、吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品は、従来のフィルター付き紙巻たばこの直径と類似の直径を有してもよく、一方で従来のフィルター付き紙巻たばこよりも短い。あるいは、加熱された時に、吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品は、従来のフィルター付き紙巻たばこの長さと大まかに同一の長さを有し、一方で従来のフィルター付き紙巻たばこより細くてもよい。
【0007】
より細いタイプのエアロゾル発生物品は、長さ単位当たりの加熱する材料がより少ないので、素早く加熱することができる。さらに、エアロゾル発生基体の異なる長軸方向の部分を連続的に独立して加熱することが可能な場合があり、これはエアロゾル発生基体を経時的に消費する方法の微細な管理を可能にする場合がある。
【0008】
しかしながら、より細いエアロゾル発生物品は、ヒーターブレードなどの発熱体がエアロゾル発生基体の中に挿入される内部加熱機構で使用するのに、より適切でない。これは、エアロゾル発生基体の中への発熱体の挿入が、基体または発熱体自体を損傷する場合があるためである。
【0009】
にもかかわらず、エアロゾル発生物品を受容するように適合された加熱チャンバを備える装置で使用される時に、より細いエアロゾル発生物品は、加熱チャンバからより摺動して出やすく、また典型的に加熱チャンバ内の理想的な中心の位置に保持されず、そのためエアロゾル発生基体への熱エネルギーの供給は可能な限り均一ではない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
使用中に適所に保持することがより簡単である一方、エアロゾル発生装置の加熱チャンバの中に挿入することも簡単である、代替的なエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。さらに、好都合なことに既存の装置のいかなる主要な修正を必要とせずに高速で製造することができる、一つのこうしたエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によると、加熱された時に、吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品が提供されている。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、少なくともロッドを囲むラッパーと、ラッパーの外表面上に配置された少なくとも一つの熱膨張可能な要素とを備える。
【0012】
本発明のさらなる態様によると、エアロゾル発生物品および電気的に作動するエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムが提供されていて、エアロゾル発生装置は、ヒーターと、エアロゾル発生物品を受容するように構成された細長い加熱チャンバとを備え、これによってエアロゾル発生物品は加熱チャンバ内で加熱される。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、少なくともロッドを囲むラッパーであって、囲まれたロッドの外径が加熱チャンバの内径より小さい、ラッパーと、ラッパーの外表面上に配置された少なくとも一つの熱膨張可能な要素とを備える。熱膨張可能な要素は、熱膨張可能な要素の少なくとも一部が加熱チャンバの内表面と係合するように、加熱チャンバ内で加熱された時に変形するように構成される。
【0013】
当然のことながら、本発明の一態様に関して説明した任意の特徴は、本発明の任意の他の態様にも等しく適用できる。
【0014】
「エアロゾル発生物品」という用語は本明細書において、エアロゾル発生基体が加熱される物品と、エアロゾル発生基体が燃焼される物品(従来の紙巻たばこなど)との両方を意味するために使用される。本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0015】
加熱式エアロゾル発生物品では、風味発生基体(たばこなど)を燃焼することなく加熱することによって、エアロゾルが発生する。周知の加熱式エアロゾル発生物品としては例えば、電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル形成材料に伝達することによってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品とが挙げられる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドの少なくとも一部分を受容するように適合された加熱チャンバを含む装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途がある。本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生するヒーター要素を備える装置を指す。
【0016】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に対する、エアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。
【0017】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主要な長軸方向軸に対応する方向を指す。使用中、空気はエアロゾル発生物品を通して長軸方向に引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素の「断面」への言及はすべて、別途記載のない限り、横断断面を指す。
【0018】
「長さ」という用語は、長軸方向におけるエアロゾル発生物品の構成要素の寸法を意味する。例えば、長軸方向におけるロッドまたは細長い管状要素の寸法を意味するために使用されうる。
【0019】
本発明の文脈において、「熱膨張可能な」という用語は、温度の変化に応答して長さ、表面積、および体積が増大する、材料または構成成分を説明するために使用される。一般に、「熱膨張係数」は、ある特定の材料から作製された物体のサイズが温度変化によってどのように変化するかを説明する。言い換えれば、熱膨張係数は、一定圧力での温度変化1度あたりのサイズの分数変化率を示す。幾つかのタイプ(体積、面積、および線形)の熱膨張係数が開発されていることを参照してもよい。体積熱膨張、面積熱膨張、および線熱膨張は密接に関連している。
【0020】
本明細書で使用される「膨張性材料」という用語は、その熱膨張係数の結果としてのみ以外の、高温への曝露に伴い膨張する材料を説明するために使用される。一例として、所定の温度に達すると、膨張性材料は、熱によって開始された化学的プロセスに起因して、著しくかつ急速に膨潤する場合がある。
【0021】
簡単に上述した通り、本発明によるエアロゾル発生物品は、加熱された時に、吸入可能なエアロゾルを放出するように適合されたエアロゾル発生基体のロッドを備える。さらに、エアロゾル発生物品は、少なくともロッドを囲むラッパーを備える。既存のエアロゾル発生物品とは対照的に、本発明によると、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、ラッパーの外表面上に配置される。
【0022】
それ故に、使用中にエアロゾル発生物品が熱に曝露される時、特にエアロゾル発生物品がエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するように適合された加熱チャンバを備えるタイプのエアロゾル発生装置で使用される時に、熱膨張可能な要素は体積膨張を受ける。その結果、熱膨張可能な要素の外径は増大し、それ故にエアロゾル発生物品は加熱チャンバの内表面と係合する場合がある。
【0023】
有利なことに、本発明によるエアロゾル発生物品が一つのこうしたエアロゾル発生装置の加熱チャンバ内に安定的に保持されることを確実にすることは容易である。さらに、使用中に本発明によるエアロゾル発生物品が、加熱チャンバ内の望ましい中心の位置に維持されることを確実にすることは容易であり、これは使用中に加熱がエアロゾル発生基体にできるだけ均質に供給されることを確実にする。
【0024】
さらに、熱膨張可能な要素は最終的に、加熱チャンバの内表面と係合するため、使用後にエアロゾル発生物品が加熱チャンバから取り外される時に、膨張した要素は有利なことに、複数回の使用の間に加熱チャンバの表面をクリーニングするのに役立つ場合がある。
【0025】
同時に、加熱チャンバの内表面を係合することによって、膨張要素は、そうでなければエアロゾル発生物品と加熱チャンバの内表面との間に提供される間隙を少なくとも部分的に遮る。それ故に、こうした間隙内を流れる空気は消費者によって、エアロゾル発生装置の口側端に向かって効果的に引き出されることができない。これは有利であり、その理由は、チャンバの加熱された内表面と直接接触することによって、この空気が非常に高温になる場合があり、使用中に消費者に損傷を与える可能性があるためである。
【0026】
加えて、本発明によるエアロゾル発生物品は有利なことに、高速で効率的に実施することができ、かつ加熱式喫煙物品の製造用の既存の生産ラインに好都合に組み込むことができる連続的なプロセスで製造することができる。
【0027】
簡単に上述した通り、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、少なくともロッドを囲むラッパーとを備える。一部の実施形態において、ラッパーはロッドのみを囲む。他の実施形態において、エアロゾル発生物品が、ロッドと実質的に整列した一つ以上の追加的な構成要素を含む場合、ラッパーは、一つ以上の追加的な構成要素を少なくとも部分的に囲む場合もある。
【0028】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形、または楕円形の断面の概して円筒状の要素を意味するために使用される。
【0029】
エアロゾル発生基体は、再構成たばこまたは均質化したたばこのシートを含む、たばこ材料の断片、ストランド、または細片から形成されてもよい。本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、たばこ材料の粒子の凝集によって形成された任意のたばこ材料を包含する。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎の一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成される。加えて、均質化したたばこ材料は、たばこの処理中、取り扱い中、および移送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状のたばこ副産物、ならびに結合剤、エアロゾル形成体、風味剤、その他の植物材料のようなその他の非たばこ材料(繊維や他のものを含む)のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料のシートは、キャスティング、押出成形、製紙プロセス、または当業界で周知の他の任意の適切なプロセスによって生産されてもよい。
【0030】
エアロゾル形成材料の連続的なシートは、滑らかなシートであってもよい。別の方法として、連続的なシートはシートの集合を容易にするために処理されてもよい。例えば、連続的なシートは、虚弱線を提供して集合を容易にするために、溝付け、筋付け、折り畳み、きめ付け、エンボス加工、または別の方法の処理が施されてもよい。連続的なシートのための好ましい処理は捲縮である。本明細書で使用される「捲縮」という用語は、複数の実質的に平行な隆起またはコルゲーションを有するシートを意味する。一つ以上の捲縮したシートの包含は、ロッド内の隣接するシート間の間隔を保持するために役立つ場合がある。
【0031】
シートは多孔性たばこ材料で形成されてもよい。「多孔性」という用語は本明細書において、材料を通した空気の通過を可能にする複数の細孔または開口部を提供する材料を指すために使用される。たばこ材料は、十分な細孔または隙間が各シートの構造の中に提供されて、長軸方向でシートを通した空気の流れを可能にするように、固有の空隙率内で製造されてもよい。別の方法として、または追加的に、たばこ材料の各シートは、望ましい空隙率を提供するために複数の気流穴を備えてもよい。例えば、たばこ材料のシートは、エアロゾル発生基体のロッドの製造中に、気流穴のパターンで穿孔されてもよい。気流穴は、シートにわたって無作為にまたは均一に穿孔されうる。気流穴のパターンは、実質的にシートの全表面を覆う場合があり、またはシートの一つ以上の特定の区域を覆い、残りの区域には気流穴がない場合がある。
【0032】
たばこ材料の断片、ストランド、または細片は、ロッド内に無作為に配設されてもよい。別の方法として、たばこ材料の断片、ストランド、または細片は、ロッドの長軸方向軸と実質的に平行に、かつ整列してもよい。
【0033】
一部の実施形態において、エアロゾル発生基体は、長軸方向軸に対して横断方向に、均質化したたばこ材料の連続的なシートを集合させることによって形成されてもよい。
【0034】
エアロゾル発生基体はエアロゾル形成体を含むことが好ましい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつエアロゾル発生物品の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を説明する。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、トリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましくはグリセリン)またはこれらの混合物である。
【0035】
エアロゾル形成体は、液体またはゲルとして提供されてもよい。一部の実施形態において、エアロゾル形成体は、ニコチン、または風味剤、またはニコチンと風味剤の両方をさらに含む組成物中に提供されてもよい。
【0036】
均質化したたばこ材料は、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、結合剤および溶剤などの様々な他の添加物をさらに含んでもよい。
【0037】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0038】
エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約12ミリメートル、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートル、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有してもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは7.2ミリメートル±10パーセント以内の外径を有する。
【0039】
エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約100mmの長さを有してもよい。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも約5ミリメートルの長さを有することが好ましく、少なくとも約7ミリメートルの長さを有することがより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生基体のロッドは、約25ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約20ミリメートル未満の長さを有することがより好ましい。一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約10ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約12ミリメートルの長さを有する。
【0040】
エアロゾル発生基体のロッドは、ロッドの長さに沿って実質的に均一な断面を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、実質的に円形の断面を有することが特に好ましい。
【0041】
本発明によるエアロゾル発生物品は、ラッパーによって囲まれた非たばこ材料のストランドを含むロッドとして提供されてもよいエアロゾル発生基体を備える。本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形、または楕円形の断面の概して円筒状の要素を意味するために使用される。原則として、星形、X字型、またはY字型など、ストランドの他のより複雑な断面も可能である。しかしながら、本発明の文脈において、ストランドを合理的にきつく詰め込むことを可能にするが、同時にストランドの断面に囲まれた円の表面積とストランドの断面の有効な表面積との間に好都合な比を有する断面形状が好ましい。これは、本発明の文脈において、ロッド内により大きい集合的なストランド容積を詰め込むことを可能にする形状が、ストランドの、より大きい集合的な外表面積に対応する形状よりも、一般的に好ましいためである。これに関して、円形状、または準円形状(長円形または楕円形など)が理想的である。三角形および長方形の断面も可能である。しかしながら、三角形および長方形の断面では、ストランド間の気流のために利用可能な空間を減少させるように、ストランドは、なおきつく詰め込まれ過ぎる場合がある。
【0042】
上述の通り、本発明のエアロゾル発生物品において、エアロゾル発生基体はラッパーによって囲まれる。ラッパーは、多孔性のシート材料または非多孔性のシート材料で形成されてもよい。ラッパーは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。ラッパーは紙ラッパーであることが好ましい。
【0043】
追加的に、本発明によるエアロゾル発生物品は、ラッパーの外表面上に配置された少なくとも一つの熱膨張可能な要素を備える。
【0044】
少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、熱反応性材料を含むことが好ましい。本明細書で使用される「熱反応性材料」という用語は、熱に曝露された時に形状または物質の状態を変化させる材料を説明するために使用される。これには、もはや熱に曝露されていない時に形状または物質の状態が変化したままの材料だけでなく、もはや熱に曝露されていない時に未変形の形状または物質の以前の状態に戻る材料も含まれる。
【0045】
本明細書で使用される「変形する」という用語は、弾力的または可塑的な、物体の形状の変化、または寸法の変化、または形状と寸法の変化を説明するために使用される。これは膨張および収縮を含む。
【0046】
熱反応性材料は膨張性反応性材料であることがより好ましい。
【0047】
膨張性材料は任意の適切な材料(複数可)を含んでもよい。ある特定の実施形態において、膨張性の材料は、喫煙物品の燃焼ゾーンからの熱に曝露された時に、断熱性発泡体を形成する。一実施形態において、膨張性材料は、炭素供与源(デンプンまたは一つ以上のペンタエリスリトール(またはその他のタイプの多価アルコール)など)、酸供与源(ポリ硫化アンモニウムなど)、発泡剤(メラミンなど)、および結合剤(大豆レシチンなど)を含む。追加的に、断熱性発泡体の形成を促進する薬剤(塩素化パラフィンなど)が追加される可能性がある。代替的な実施形態において、膨張性材料がエアロゾル発生物品の使用中に熱に曝露された時に硬質炭化物の発泡体が生成されうるように、膨張性材料はケイ酸ナトリウムおよび黒鉛の混合物を含む。
【0048】
膨張性の材料は、一つ以上の膨張性のワニス、塗料、ラッカー、またはこれらの任意の組み合わせをキャップ本体の内部表面上に塗布することによって形成される、熱反応性の被覆として塗布されてもよい。例えば、刷毛塗り、ローラー塗り、浸漬もしくはスプレーによって、または切断、圧延および接着システムなど任意の周知のキャップ製造プロセス、またはプラスチックベースの材料の場合には成形によって、キャップの最終的な形状へと形成される、膨張性の紙またはプラスチックベースのシートの使用による。一実施形態において、膨張性材料は、スプレーによって塗布されるラテックス溶液である。
【0049】
加熱に伴い、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、半径方向に少なくとも約0.01ミリメートル膨張することが好ましい。熱膨張可能な要素の半径方向の膨張は、熱膨張を物理的に防止または制限するものがない状態下でエアロゾル発生物品を加熱することによって測定される。当然のことながら、これに反して、本発明によるエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバ内で加熱される時、膨張の程度は、熱膨張可能な要素の加熱チャンバの壁との協働によって制限される場合がある。
【0050】
加熱に伴い、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、半径方向に少なくとも約0.05ミリメートル膨張することがより好ましい。加熱に伴い、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、半径方向に少なくとも約0.1ミリメートル膨張することがなおより好ましい。
【0051】
加えて、または別の方法として、加熱に伴い、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、半径方向に約1ミリメートル未満膨張することが好ましい。加熱に伴い、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、半径方向に約0.75ミリメートル未満膨張することがより好ましい。加熱に伴い、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、半径方向に約0.5ミリメートル未満膨張することがなおより好ましい。
【0052】
加熱に伴い、熱反応性材料は、少なくとも約1.1倍膨張することが好ましい。本明細書で使用される「少なくとも1.1倍膨張する」という表現は、熱に曝露された時、非変形状態で1ミリメートルの厚さを有する熱反応性材料で作製された要素が、少なくとも約1.1ミリメートルの厚さまで膨張することが好ましいことを意味するために使用される。熱膨張可能な要素の膨張は、熱膨張を物理的に防止または制限するものがない状態下でエアロゾル発生物品を加熱することによって測定される。
【0053】
加熱に伴い、熱反応性材料は、少なくとも約2倍膨張することがより好ましい。加熱に伴い、熱反応性材料は、少なくとも約5倍膨張することがなおより好ましい。加熱に伴い、熱反応性材料は、少なくとも約10倍膨張することが最も好ましい。
【0054】
本発明によるエアロゾル発生物品は、少なくとも約1.001倍膨張することが好ましい。言い換えれば、非変形状態で、少なくとも一つの熱膨張可能な要素の場所にて約7ミリメートルの外径を有するエアロゾル発生物品は、熱に曝露された時に、少なくとも約7.01ミリメートルの外径に膨張する。エアロゾル発生物品は、少なくとも約1.007倍膨張することがより好ましい。エアロゾル発生物品は、少なくとも約1.014倍膨張することがなおより好ましい。
【0055】
加えて、または別の方法として、エアロゾル発生物品は約1.14倍未満膨張する。エアロゾル発生物品は、約1.107倍未満膨張することがより好ましい。エアロゾル発生物品は、約1.07倍未満膨張することがなおより好ましい。
【0056】
熱膨張可能な要素の長さは、少なくとも約0.5ミリメートルであることが好ましい。明細書全体を通して、「長さ」という用語は、物品の長軸方向で測定した場合のエアロゾル発生物品の構成要素の寸法を意味するために使用される。熱膨張可能な要素の長さは、少なくとも約1ミリメートルであることがより好ましい。熱膨張可能な要素の長さは、少なくとも約2ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0057】
加えて、または別の方法として、熱膨張可能な要素の長さは、約15ミリメートル未満であることが好ましい。熱膨張可能な要素の長さは、約10ミリメートル未満であることがより好ましい。熱膨張可能な要素の長さは、約5ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0058】
熱膨張可能な要素によって覆われたラッパーの外表面の領域の表面積は、少なくとも約7.5平方ミリメートルであることが好ましい。熱膨張可能な要素によって覆われたラッパーの外表面の領域の表面積は、少なくとも約15平方ミリメートルであることがより好ましい。熱膨張可能な要素によって覆われたラッパーの外表面の領域の表面積は、少なくとも約30平方ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0059】
加えて、または別の方法として、熱膨張可能な要素によって覆われたラッパーの外表面の領域の表面積は、約600平方ミリメートル未満であることが好ましい。熱膨張可能な要素によって覆われたラッパーの外表面の領域の表面積は、約400平方ミリメートル未満であることがより好ましい。熱膨張可能な要素によって覆われたラッパーの外表面の領域の表面積は、約200平方ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0060】
一部の実施形態において、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、ラッパーの周囲に延びる。代替的な実施形態において、エアロゾル発生物品は、ラッパーの周囲で別個の場所に配置された複数の個別の熱膨張可能な要素を備える。
【0061】
熱反応性材料は、ラッパーの周囲に均一に配置されていることが好ましい。これは、加熱チャンバ内でのエアロゾル発生物品の調心が好まれる点で有利である。理論に束縛されることを望むものではないが、エアロゾル発生物品が同軸位置以外の位置で加熱チャンバの中に挿入される場合、熱膨張可能な要素の一部分は、熱膨張可能な要素の残りの部分よりも熱源に近いことになり、そのため熱膨張可能な要素の残りの部分よりも一般的に早く膨張することが理解される。熱膨張可能な要素の膨張した部分の加熱チャンバの壁の一部分の協働は、熱膨張可能な要素を加熱チャンバ内側で、より中央の位置に向けて移行させることが予期される。
【0062】
一部の実施形態において、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、第一の熱反応性材料を含む第一の層と、第一の層に隣接し、第二の熱反応性材料を含む半径方向外側の第二の層とを備えてもよい。第一の熱反応性材料の熱膨張係数は、第二の熱反応性材料の熱膨張係数より小さい。一部の実施形態において、第一の反応性材料の熱膨張係数、すなわち半径方向でラッパーに最も近い層の熱膨張係数は、負係数であってさえもよい。言い換えれば、エアロゾル発生物品の使用中に熱への曝露に伴い、熱膨張可能な要素全体が膨張するという条件で、第一の反応性材料は加熱に伴い収縮する場合さえもある。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの実施形態において、熱膨張可能な要素は外向きに湾曲し、かつ曲がる場合があることが理解される。
【0063】
一例として、熱膨張可能な要素が、異なる熱膨張係数を有する二つ以上の層を備える実施形態において、熱反応性材料(複数可)は、バイメタル、形状記憶合金、およびこれらの組み合わせの中から選択されてもよい。バイメタルの場合、より大きい熱膨張係数を有する層は、「能動構成要素」とも呼ばれ、ニッケル、鉄、マンガン、およびクロムのうちの二つ以上を含有する合金を含みうる。より小さい熱膨張係数を有する層は、「受動構成要素」とも呼ばれ、例えばInvar(登録商標)(ゼロに近い熱膨張係数を示す36%のニッケルと鉄の合金)などの鉄ニッケル合金を含みうる。
【0064】
少なくとも一つの熱膨張可能な要素とエアロゾル発生物品の口側端との間の距離は、エアロゾル発生物品の全長の約50パーセントよりも大きいことが好ましい。それ故に、少なくとも一つの熱膨張可能な要素は、物品の遠位端のより近くにあり、これは使用後に物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバから抜き出される時にクリーニング作用の効果を最大化することを意味する。少なくとも一つの熱膨張可能な要素とエアロゾル発生物品の口側端との間の距離は、エアロゾル発生物品の全長の約60パーセントよりも大きいことがより好ましい。少なくとも一つの熱膨張可能な要素とエアロゾル発生物品の口側端との間の距離は、エアロゾル発生物品の全長の約70パーセントよりも大きいことがなおより好ましい。
【0065】
加えて、または別の方法として、少なくとも一つの熱膨張可能な要素とエアロゾル発生物品の口側端との間の距離は、エアロゾル発生物品の全長の約95パーセント未満であることが好ましい。少なくとも一つの熱膨張可能な要素とエアロゾル発生物品の口側端との間の距離は、エアロゾル発生物品の全長の約85パーセント未満であることがより好ましい。
【0066】
特に好ましい実施形態において、少なくとも一つの熱膨張可能な要素とエアロゾル発生物品の口側端との間の距離は、エアロゾル発生物品の全長の約50パーセント~約95パーセントであり、エアロゾル発生物品の全長の約60パーセント~約85パーセントであることがより好ましい。これらの範囲の中に収まる口側端からの距離にある熱膨張可能な要素を備えるエアロゾル発生物品は有利なことに、満足なクリーニング効果を、エアロゾル発生装置の加熱チャンバ内でのエアロゾル発生物品の特に安定し、かつバランスの取れた位置付けと組み合わせる。
【0067】
さらに、こうしたエアロゾル発生物品は、誘導ヒーターを含むエアロゾル発生装置で使用される時、特に有利である場合がある。一つのこうしたエアロゾル発生装置において、ヒーターは、加熱チャンバの中に延びる、かつピンに沿って配設された誘導コイルと動作可能に連結されたピンと、誘導コイルに接続された、かつ誘導コイルに高周波電流を提供するように構成された電源とを備えてもよい。一つのこうした配設において、熱膨張可能な要素は、望ましい制限および遮断効果を提供する。
【0068】
エアロゾル発生物品の少なくとも一つの熱膨張可能な要素と熱源との間の距離は、約20ミリメートル未満であることが好ましい。少なくとも一つの熱膨張可能な要素と熱源との間の距離は、約10ミリメートル未満であることがより好ましい。少なくとも一つの熱膨張可能な要素と熱源との間の距離は、約5ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0069】
非変形状態の少なくとも一つの熱膨張可能な要素の厚さは、少なくとも約0.05ミリメートルであることが好ましい。非変形状態の少なくとも一つの熱膨張可能な要素の厚さは、少なくとも約0.1ミリメートルであることがより好ましい。非変形状態の少なくとも一つの熱膨張可能な要素の厚さは、少なくとも約0.2ミリメートルであることがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、非変形状態の少なくとも一つの熱膨張可能な要素の厚さは、約2ミリメートル未満であることが好ましい。
【0070】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドに加えて一つ以上の要素を備えることが好ましい。ロッドおよび一つ以上の要素は、同一の基体ラッパー内に組み立てられてもよい。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、マウスピース、エアロゾル冷却要素、および中空のアセテート管などの支持要素のうちの少なくとも一つをさらに備えてもよい。例えば、一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は直線状の連続的な配設で、上述の通りのエアロゾル発生基体のロッドと、エアロゾル発生基体のすぐ下流に位置する支持要素と、支持要素の下流に位置するエアロゾル冷却要素と、ロッド、支持要素、およびエアロゾル冷却要素を囲むラッパーとを備える。
【0071】
当然のことながら、ラッパーによって囲まれたエアロゾル発生基体のロッドに加えて一つ以上の要素を備えるエアロゾル発生物品において、ラッパーの外表面上に配置された熱膨張可能な要素は、エアロゾル発生基体に沿った場所に、または一つ以上の追加的な要素のうちの一つに沿った場所にあってもよい。
【0072】
エアロゾル発生物品の全長に依存して、一つ以上の追加的な要素のうちの一つに沿った場所に熱膨張可能な要素を位置付けることは、加熱チャンバ内のエアロゾル発生物品をさらに安定化させる場合がある。一方、熱膨張可能な要素をエアロゾル発生基体に沿った場所に位置付けることは一般的に、加熱チャンバからのエアロゾル発生物品の取り外しと関連しているクリーニング効果を高める。
【0073】
一部の実施形態において、エアロゾル発生物品は、熱膨張可能な要素を囲むさらなる外側ラッパーを備えてもよい。それ故に、こうした実施形態において、熱膨張可能な要素は、少なくともエアロゾル発生基体のロッドを囲むラッパーの上にあり、かつ外側ラッパーの下にある。これは、熱膨張可能な要素が見えないこと、およびエアロゾル発生物品には、より滑らかな外側仕上げが提供されるという点で望ましい場合がある。これは結果として、エアロゾル発生物品の取り扱いおよび包装を容易にする場合がある。
【0074】
上述の通りのエアロゾル発生物品は、電気的に作動するエアロゾル発生装置と組み合わせて使用することができる。より詳細には、本発明によるエアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品および電気的に作動するエアロゾル発生装置を備え、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品が加熱チャンバ内で加熱されるように、ヒーターと、エアロゾル発生物品を受容するように構成された細長い加熱チャンバとを備える。エアロゾル発生物品は、上述の通り、エアロゾル発生基体のロッドと、ロッドを囲むラッパーと、ラッパーの外表面上に配置された少なくとも一つの熱膨張可能な要素とを備える。囲まれたロッドの外径は、加熱チャンバの内径より小さい。さらに、熱膨張可能な要素は、熱膨張可能な要素の少なくとも一部が加熱チャンバの内表面と係合するように、加熱チャンバ内で加熱された時に変形するように構成されている。
【0075】
それ故に、使用中に、エアロゾル発生物品は有利なことに、加熱チャンバ内の定位置に保持され、そしてそのためエアロゾル発生物品が加熱チャンバの外に滑り抜ける可能性が著しく低減される。
【0076】
ヒーターは、実質的に円筒状の細長い発熱体を備え、加熱チャンバは、ヒーターの円周状の長軸方向の表面の周りに配置されていることが好ましい。その結果、使用中に、ヒーターによって供給される熱エネルギーは、ヒーターの表面から加熱チャンバおよびエアロゾル発生物品に半径方向外向きに移動する。
【0077】
それ故に、加熱チャンバ内のエアロゾル発生物品の位置付けを、なおより微細に制御することができる。特に、エアロゾル発生物品を調心することができ、また加熱チャンバと実質的に同軸にすることができ、これによってエアロゾル発生物品の外表面と加熱チャンバの壁との間の距離は、エアロゾル発生物品の周囲で実質的に一定になる。これは有利なことに、使用中にヒーターからエアロゾル発生基体へのより均一な熱伝達を確保し、これによって基体内のホットスポットの可能性が低減する。
【0078】
しかしながら、ヒーターおよび加熱チャンバの他の形状および構成を別の方法として使用することができる。
【0079】
ヒーターは、複数の個別の発熱体を備えてもよく、様々な発熱体は、エアロゾル発生物品を加熱するために異なる時点で異なる要素を起動することができるように、互いに独立して動作可能である。一例として、ヒーターは、ヒーターの長さに沿って複数の独立した加熱ゾーンを提供する複数の軸方向に整列した発熱体を備えてもよい。各発熱体は、ヒーターの全長よりも著しく短い長さを有してもよい。それ故に、一つの個別の発熱体が起動された時に、この発熱体は、発熱体の近くの半径方向に位置付けられたエアロゾル発生基体の一部分に熱エネルギーを供給し、そのエアロゾル発生基体の残りの部分を実質的に加熱しない。それ故に、エアロゾル発生基体の異なるセクションは、独立して、かつ異なる時点で加熱されうる。一例として、使用時に熱膨張可能な要素に面している軸方向の場所に配設された発熱体が使用中に最初に起動されるように、ヒーターの起動を制御することが可能でありうる。それ故に、エアロゾルの発生が完全に始まる前に、エアロゾル発生物品を即時に安定化させ、かつ加熱チャンバ内の定位置に保持することができる。
【0080】
別の方法として、または追加的に、ヒーターは、ヒーターの長軸方向軸の周囲の異なる場所に、複数の細長い長軸方向に延びる発熱体を備えてもよい。それ故に、一つの個別の発熱体が起動された時に、この発熱体は、発熱体に対して実質的に平行かつ隣接して置かれたエアロゾル発生基体の長軸方向の部分に熱エネルギーを供給した。この配設はまた、別個の部分でのエアロゾル発生基体の独立した加熱を可能にする。
【0081】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生システムは、加熱式エアロゾル発生基体からの熱損失を低減するために、加熱チャンバと装置の外部との間に配設された断熱手段をさらに備える。
【0082】
ここで、図を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の概略断面側面図を示す。
【
図2】
図2は、熱エネルギーの投与の前のエアロゾル発生装置の加熱チャンバ内に受容された、本発明によるエアロゾル発生物品の概略断面側面図を示す。
【
図3】
図3は、熱エネルギーの投与後の
図2のエアロゾル発生物品の概略断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッド12、およびロッド12を囲むラッパー14を備える。矢印Aは、ロッド12の口側端16が識別されるように、使用中のエアロゾルの流れの方向を示す。
【0085】
図1の実施形態において、ロッド12の一部分は、耐圧紙18の帯によってさらに囲まれていて、これはラッパー紙の別の帯20によってラッパー14の他の部分に結合されている。
【0086】
さらに、エアロゾル発生物品10は、ラッパー紙の帯20の外表面上に配置された熱膨張可能な要素22を備える。熱膨張可能な要素22は、熱に曝露された時に、元の寸法の約10倍に膨張するよう適合されている膨張性反応性材料で作製されている。熱膨張可能な要素22は、膨張性材料がラッパーの周囲に均一に配置されているように、ラッパー紙の帯20の周囲に延びる環状要素として提供されている。
【0087】
図2および
図3は、本発明によるエアロゾル発生物品30の別の実施形態を図示する。エアロゾル発生物品30は、エアロゾル発生基体のロッド32と、ロッド32を囲むラッパー34とを備える。さらに、エアロゾル発生物品30は、ラッパー34の外表面上に配置された複数の熱膨張可能な要素36を備える。熱膨張可能な要素36は、ラッパー34の周囲に実質的に等間隔で配設されている。熱膨張可能な要素36は、耐熱性接着剤38の層によってラッパー34の上に貼り付けられている。各熱膨張可能な要素36は、第一の熱反応性材料を含む第一の層と、第一の層に隣接し、第二の熱反応性材料を含む半径方向外側の第二の層とを備える。第一の熱反応性材料の熱膨張係数は、第二の熱反応性材料の熱膨張係数より小さい。エアロゾル発生物品30は、エアロゾル発生装置48の加熱チャンバ50内に受容されている。
【0088】
図2は、使用前の、すなわちエアロゾル発生装置50の熱に曝露される前のエアロゾル発生物品30を示す。それ故に、熱膨張可能な要素36は、非変形(すなわち、非膨張)状態で示されている。
図3は、熱膨張可能な要素の状態を非変形から膨張に変化させるのに十分な熱への暴露後の、使用中のエアロゾル発生物品30を示す。二つの層38および40の異なる熱膨張係数を理由に、熱膨張可能な要素36は湾曲したC字形状の構成を取り、これによってそれぞれの端で加熱チャンバの表面に接触する場合があり、これらは熱膨張可能な要素の中央部分から効果的に外向きに曲がる。