(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】透析処置を実行するための透析装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
A61M1/16 111
(21)【出願番号】P 2020554307
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2019058494
(87)【国際公開番号】W WO2019193090
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】102018107967.2
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ニュルンベルガー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ケラーマン、ステファン
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0318740(US,A1)
【文献】特表2002-535611(JP,A)
【文献】特表2011-515166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析処置を行うための透析装置であって、第1の区間および第2の区間を備える液体導通システムを備え、
前記液体導通システムの前記第1の区間内の第1の圧力と前記液体導通システムの前記第2の区間内の第2の圧力との間の差圧p
diffmを測定するための差圧センサが設けられ、
前記測定された差圧p
diffmに基づいて動作状態を決定するように構成されたモニタリングユニットが設けられ、
前記決定された動作状態にしたがって前記透析処置を中断および/または阻止するように構成された制御デバイスが設けられ、および/または前記決定された動作状態に基づいて通知を出力するように構成されたディスプレイデバイスが設けら
れ、
前記第1の区間内の圧力を測定するための第1の圧力センサと、前記第2の区間内の圧力を測定するための第2の圧力センサとが設けられることを特徴とし、前記モニタリングユニットは、前記第1の区間内の前記第1の測定された圧力および前記第2の区間内の前記第2の測定された圧力から差圧p
diffb
を計算するように構成され、
前記モニタリングユニットが、前記計算された差圧p
diffb
および前記測定された差圧p
diffm
に基づいて前記動作状態を決定するように構成されていることを特徴とする、
透析装置。
【請求項2】
前記動作状態が、前記第1の圧力センサおよび/または第2の圧力センサの不正確な機能を備えることを特徴とする、請求項
1に記載の透析装置。
【請求項3】
前記モニタリングユニットが、前記計算された差圧p
diffbと前記測定された差圧p
diffmとの間の差p
resを決定し、前記動作状態を決定するために、前記決定された差p
resを公称値と比較するように構成されていることを特徴とする、請求項
1または2に記載の透析装置。
【請求項4】
前記液体導通システムの前記第1の区間および前記第2の区間が、透析フィルタを有する体外血液回路の部分を備えることを特徴とし、前記第1の区間は、送血部に対応し、前記第2の区間は、返血部に対応する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の透析装置。
【請求項5】
前記モニタリングユニットが、前記測定された差圧p
diffmおよび/または前記測定された差圧p
diffmの変化に基づいて、動作状態として針の切断を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項
4に記載の透析装置。
【請求項6】
第1の区間および第2の区間を有する液体導通システムを備える透析装置の動作状態をモニタリングするための
前記透析装置の作動方法であって、
・差圧センサ
が、前記第1の区間内の第1の圧力と前記第2の区間内の第2の圧力との間の差圧p
diffmを測定する
ように作動することと、
・
モニタリングユニットが、前記測定された差圧p
diffmに基づいて動作状態を決定する
ように作動することと、
・
制御デバイスが、前記決定された動作状態に基づいて、透析処置を中断し、および/または透析処置を阻止し、および/または通知を出力する
ように作動することと
を行うステップを備
え、
前記作動方法が、
・第1の圧力センサが、前記第1の区間内の圧力を測定するように作動することと、
・第2の圧力センサが、前記第2の区間内の圧力を測定するように作動することと、
・前記モニタリングユニットが、前記第1の区間内の前記測定された圧力と前記第2の区間内の前記測定された圧力との間の差圧p
diffb
を計算するように作動することと、
・前記モニタリングユニットが、前記計算された差圧p
diffb
および前記測定された差圧p
diffm
に基づいて動作状態を決定するように作動することと
を行うステップを備えることを特徴とする、
作動方法。
【請求項7】
前記動作状態が、前記第1の圧力センサおよび/または第2の圧力センサの不正確な機能を備えることを特徴とする、請求項
6に記載の
作動方法。
【請求項8】
前記動作状態を前記決定する
ように作動することが、
・前記計算された差圧p
diffbと前記測定された差圧p
diffmとの間の差から結果として得られる圧力p
resを計算する
ように作動することと、
・前記圧力p
resの挙動を分析する
ように作動することと
を行うステップを備えることを特徴とする、請求項
6または7に記載の
作動方法。
【請求項9】
前記分析が、公称値との比較および/または時間にわたる変化の分析であることを特徴とする、請求項
8に記載の
作動方法。
【請求項10】
前記結果として得られる圧力p
resが前記公称値から逸脱すると、前記結果として得られる圧力p
resから誤差量が累積され、所定の最大誤差量を超えると、前記通知が提供され、および/または前記透析処置が中断され、および/または前記処置の開始が阻止されることを特徴とする、請求項
9に記載の
作動方法。
【請求項11】
前記結果として得られる圧力p
resの前記公称値からの持続的な偏差が提供され、最小トリガレベルに達すると、前記通知が提供され、および/または前記透析処置が中断され、および/または前記処置の開始が阻止されることを特徴とする、請求項
9または
10に記載の
作動方法。
【請求項12】
第1の区間における前記第1の圧力センサの不正確な機能を決定した後、前記第1の区間内の圧力が、前記測定された差圧p
diffmおよび第2の区間内の前記測定された圧力から決定されることを特徴とする、請求項
7~
11のいずれか一項に記載の
作動方法。
【請求項13】
前記液体導通システムが、透析フィルタを有する体外血液回路であることを特徴とし、前記第1の区間は送血部に対応し、前記第2の区間は返血部に対応する、請求項
6~
12のいずれか一項に記載の
作動方法。
【請求項14】
針の切断が、前記測定された差圧p
diffmに基づいて、動作状態として検出されることを特徴とする、請求項
6~
13のいずれか一項に記載の
作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析処置を行うための透析装置、および透析装置の動作状態をモニタリングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血液処理のため、特に患者の血液を浄化して排出または脱水するための様々な方法が知られている。
【0003】
例えば、血液透析では、患者の血液は、透析フィルタを備える体外血液回路で浄化される。透析フィルタは、患者の血液が導通される血液空間と、透析液空間とを備える。血液空間および透析液空間は、例えば中空繊維の形態の半透膜によって互いに分離され、ここにおいて、当該繊維の壁が膜を形成する。血液透析中、透析液空間には透析液が灌流され、血流空間には患者の血液が灌流される。透析液と患者の血液との間の濃度勾配により、物質は拡散によって半透膜を通して輸送される。
【0004】
例えば血液濾過などの血液浄化のためのさらなる方法が知られており、ここにおいて、半透膜を通る物質の輸送は、圧力勾配によって提供される。血液透析濾過は、血液透析と血液濾過とを組み合わせたものである。
【0005】
体外血液回路は、本質的に、浄化される患者の血液がそれを通して透析器に供給される動脈チューブシステムと、浄化された血液がそれを通して透析器から患者に戻される静脈チューブシステムとを備える。チューブシステムはカセットであり得、ここにおいて、チューブは、例えば剛性の液流経路または流路によって少なくとも部分的に形成される。
【0006】
両方のチューブシステムは、透析装置の圧力センサに各々接続され得、それは、透析フィルタの前後の圧力を決定するか、または動脈チューブシステムおよび静脈チューブシステム内の圧力を決定する。これは、確実かつ安全な透析が保証されるという目的に役立ち得る。確実な圧力モニタリングを保証するために、安全性に関連する圧力センサの機能が定期的に検証またはチェックされることもまた必要である。したがって、システムは、規格IEC60601-2-16にしたがって、その機能性に関して処置前もしくは処置中に、または故障もしくは誤動作に関して処置中に、モニタリングされることが必要とされる。
【0007】
圧力センサの機能をチェックするために、複数の方法が知られている。当該方法では、圧力センサは、最初にゼロ点で、すなわち大気圧で検証される。しかしながら、既知の伝達関数(y=mx+tの形式)を用いて圧力センサの機能をチェックするために、さらなる測定点が必要とされる。これは、追加の圧力をかけることによって圧力センサにおいて検出され得、これは、精巧で扱いにくい空気圧チューブシステムが両方の圧力センサのテスト圧力をデカップルすることを必要とする。さらなる可能性が存在し、ここにおいて、第2の測定点は、センサ信号の電子的離調によって決定される。しかしながら、これは、圧力センサの後の信号経路の機能のみがチェックまたは検査され得るが、センサ自体およびそのセンサ膜を含む機能はテストできないという欠点がある。
【0008】
圧力センサの機能をモニタリングするためのさらなる可能性が存在し、ここにおいて、圧力センサごとに、それぞれの第2の冗長センサが使用される。しかしながら、これは全体のコストを著しく増加させる。
【0009】
加えて、いわゆる結合テストを介して追加の測定点を取り出す可能性が存在する。例えば、クランプを閉じることによって静脈圧が上昇し、圧力閾値(例えば静脈スケール限界)の到達がチェックされる。しかしながら、例えば、充填されていないまたは空のチューブシステムにおいて、空気を圧縮すると、十分な圧力変化が構築されないこともあるので、チューブシステムが挿入され、流体が充填されたときにのみテストを開始することができる。さらに、チューブシステムのきついクランプが、処置の開始時に、または処置の準備中に既に容易にされていなければならないので、結合テストの実行は、チューブシステムに関して非常に要求が厳しいものである。
【発明の概要】
【0010】
既知の先行技術から始まり、本発明の目的は、透析処置を行うためのさらに改善された透析装置、および圧力測定デバイスをモニタリングするための方法、ならびに動作状態を決定するための方法を提供することである。
【0011】
この目的は、請求項1の特徴による透析処置を行うための透析装置によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項および本明細書ならびに図において提供される。
【0012】
したがって、第1の区間および第2の区間を備える液体導通システムを備える、透析処置を行うための透析装置が提案される。本発明によれば、液体導通システムの第1の区間内の第1の圧力と液体導通システムの第2の区間内の第2の圧力との間の差圧pdiffmを測定するための差圧センサが設けられ、測定された差圧pdiffmに基づいて動作状態を決定するように構成されたモニタリングユニットが設けられ、決定された動作状態にしたがって透析処置を中断および/または阻止するように構成された制御デバイスがさらに設けられ、および/または決定された動作状態に基づいて通知を出力するように構成されたディスプレイデバイスが設けられる。
【0013】
液体導通システムの第1の区間と第2の区間との間に差圧センサが設けられるので、圧力差は確実にモニタリングされ得、および/または液体導通システムの個々の区間に配置された圧力センサは、それらの機能に関して検査またはチェックされ得る。
【0014】
差圧の測定によって、透析処置の正しいプロセスは機能に関してモニタリングおよび/または検査され得、その結果、処置される患者の安全性が高まる。例えば、差圧の望ましくない偏差が透析処置中に生じたとき、通知、例えばエラー通知が出力され得、および/または透析は停止され得、および/または後続の処置の開始が阻止され得る。
【0015】
液体導通システムはまた、患者動脈ライン、患者静脈ライン、透析器前の透析液ライン、透析器後の透析液ライン、置換液ライン、水入力ライン、および濃縮液供給ラインのグループからの2つ以上の区間も備え得る。これらの区間は、各々、ライン内の圧力を測定するための圧力センサに接続され得、第1の区間内の圧力と第2の区間内の圧力との間の差圧を測定するための圧力センサは、これらの区間の各々の間に設けられ得る。
【0016】
透析装置は、一般に、腎置換療法において、溶解した物質(例えば、尿素、クレアチニン、ビタミンB12、またはβ2-ミクログロブリン)、および必要な場合には規定量の水分の、血液からの患者固有除去を容易にする。このような透析装置は、血液透析および血液濾過または血液透析濾過の両方に使用され得る。さらに、透析装置は限外濾過装置であり得る。したがって、血液を浄化することなく血液から水が除去される。透析装置はさらに、急性透析装置であり得る。したがって、透析液は、バッグから透析液回路内に移送され得、透析器からバッグ内に移送され得る。
【0017】
動作状態のモニタリングは、体外回路内の血液、または液体導通システム内の別の液体、特に透析液体、充填液、またはプライミング液によって行われ得る。モニタリングが、血流以外の液体を用いて行われる場合、これは、処置の前および/または後に行われ得、その結果、少なくとも処置の前および/または後に安全に機能する透析装置が提供されることが保証され得る。
【0018】
第1の区間内の圧力は、当該区間が患者の患者動脈アクセスからの血液の採血点の領域または範囲にある患者動脈ラインに関連する場合、動脈圧とも呼ばれ、第2の区間内の圧力は、当該区間が患者の患者静脈アクセスからの血液の送血点または返血点の領域または範囲にある患者静脈ラインに関連する場合、静脈圧とも呼ばれる。これらの両方の圧力の設定および検出は、様々な目的のために必要とされ得る。それらは、透析処置中の患者の安全性にとって重要であり得るか、または血流および/または透析処置を制御するために使用され得る。
【0019】
当該差圧センサが、第1の区間と第2の区間との間に配置されることが提供され得る。
【0020】
差圧センサという用語は、2つの絶対圧力間の差、すなわち差圧を測定する圧力センサとして理解されるべきである。差圧センサは、例えば、膜によって互いに気密に分離された2つの測定クランプから成り得る。次いで、膜の撓みは、圧力の大きさの尺度に関連する。当該差圧センサによって、例えば、第1の区間内の圧力p1と第2の区間内の圧力p2との間の差圧pdiffmが測定される。当該例示的な圧力間には、以下の関係が与えられる。
pdiffm=p1-p2 (1)
【0021】
モニタリングユニットは、差圧センサによって測定された値を検出し、次いで、それに基づいて動作状態を決定する。これは、例えば、測定値を特定の動作状態に対する差圧についての公称値と比較することによって、または時間にわたる差圧の変化をモニタリングすることによって提供され得、ここにおいて、差圧の突然の変化が生じたときに、異常または望ましくない動作状態が決定される。
【0022】
公称値の場合、公称推移も提供され得、その結果、時間にわたって一定である値は必要とされない。
【0023】
さらに、動作状態は、透析方法および/または透析装置の様々な望ましいまたは望ましくない状態を指す。
【0024】
望ましい動作状態は、例えば、差圧が本質的に一定であるか、周期的に繰り返されるか、またはドリフトを示さない場合、もしくは圧力信号の1つまたは複数の特定の成分が時間にわたって変化しない場合を指し、その結果、透析は、効果的かつ安全に行われ得る。当該成分は、例えば、フーリエ変換によって周期的な圧力信号から導出され得るような、圧力信号の最大振幅、圧力信号の位相、および/または圧力信号の周波数成分を指し得る。
【0025】
望ましくない状態は、例えば、浄化された血液がそれを介して患者に供給または戻される静脈針が、患者の患者静脈アクセスから偶発的に切断され(静脈針切断(VND:Venous Needle Disconnect))、これに応じてエラー状況が生じるときに存在し得る。そのような場合、血液は、制御不能に返血部を出て、したがって、患者に戻されないこともあり、その結果、危険な失血が患者に生じ得る。静脈針と患者との間の接触が切断されるので、返血部における圧力が低減され、その結果、送血部と返血部との間の差圧が低下する(低減される)。この差圧の変化は、モニタリングユニットによって望ましくない動作状態として検出され得る。
【0026】
さらなる望ましくない動作状態は、圧力センサのうちの少なくとも1つが正確に機能せず、当該圧力センサを用いて測定された圧力が正確でないということであり得る。
【0027】
望ましくない動作状態がモニタリングユニットによって検出された場合、モニタリングユニットは、患者の安全上の危険を回避するために透析プロセスの中断を直ちに開始し、および/または通知、例えばアラーム信号またはエラーメッセージもしくは通知を出力し得る。また介入は、デバイスの制御が処置前に阻止されることであり得る。望ましくない動作状態に応じる措置は、対応する検出の直後に、または後の時点で行われ得る。例えば、実際の処置が継続され、当該処置後にのみ措置がとられることも可能であり得る。
【0028】
透析装置の様々な動作状態が、第1の区間と第2の区間との間の測定された差圧に基づいてモニタリングユニットによって決定され得るので、透析装置の正確な機能のモニタリングのための簡単かつ確実な解決法が提供される。望ましくない動作状態は、迅速かつ確実な方法で決定され得、それに応じて、例えば失血の増加による患者に対する安全上の危険を回避するために、直接的にまたは所定の時点もしくは事象で、透析装置の動作プロセスに介入され得る。
【0029】
第1の区間内の圧力を測定するための第1の圧力センサと、第2の区間内の圧力を測定するための第2の圧力センサとが設けられ得、モニタリングユニットは、第1の区間内の第1の測定された圧力および第2の区間内の第2の測定された圧力から差圧pdiffbを計算するように構成され得る。
【0030】
一実施形態によれば、送血部における圧力を決定するための第1の圧力センサおよび/または返血部における圧力を決定するための第2の圧力センサが設けられる。第1および/または第2の圧力センサは、差圧センサに加えて設けられ得る。したがって、送血部における実際の圧力および返血部における実際の圧力も、差圧とは無関係に、および送血部における圧力、すなわち透析される血液の採取点の近傍の圧力と、返血部における圧力、すなわち患者の透析された血液の戻り点の近傍の圧力との間の差圧とは別に、決定され得る。
【0031】
モニタリングユニットは、第1および/または第2の圧力センサの不正確な機能を動作状態として決定し得る。
【0032】
モニタリングユニットはまた、計算された差圧pdiffbおよび測定された差圧pdiffmに基づいて動作状態を決定するようにも構成され得る。動作状態を決定するために、モニタリングユニットは、計算された差圧pdiffbと測定された差圧pdiffmとの間の差presを決定し、決定された差presを公称値と比較するように構成され得る。
【0033】
さらなる実施形態によれば、モニタリングユニットは、測定された差圧と、第1の区間および第2の区間において測定された圧力から計算された差圧とに基づいて、好ましくは、第1の区間内の測定された圧力および第2の区間内の測定された圧力から計算された差圧pdiffbを考慮に入れて、第1および/または第2の圧力センサの正確な機能を決定するように構成される。例えば、第1の圧力センサは、圧力を測定するための、患者動脈ラインに配置された圧力センサであり得、第2の圧力センサは、圧力を測定するための、患者静脈ラインに配置された圧力センサであり得る。
【0034】
圧力センサの正確な機能をモニタリングするために、差圧とは無関係に、第1の区間内の絶対圧力は、第1の圧力センサによって測定され得、第2の区間内の絶対圧力は、第2の圧力センサによって測定され得る。第1の区間内の測定された圧力および第2の区間内の測定された圧力から、差圧pdiffbが計算され得る。次いで、モニタリングユニットは、第1の区間内の圧力と第2の区間内の圧力との間の測定された差圧pdiffmを、計算された差圧pdiffbと比較するように構成され得る。両方の差圧値が互いに減算されると、結果として得られる圧力presが得られる。第1および第2の圧力センサが正確に測定し、差圧センサが正確に測定するとき、測定された差圧および計算された差圧の値は等しく、その結果、0という結果として得られる圧力が得られる。当該圧力間には、圧力p1およびp2についての例示がまた提供され、以下の関係が与えられる。
pres=(p1-p2)-pdiffm (2)
【0035】
圧力の測定は、一般に、ある程度まで公差の影響を受けるので、presは、0に等しくない値も含み得るが、その場合、圧力センサの測定公差から得られる、一定または本質的に一定の値を含む。
【0036】
第1および/または第2の圧力センサに加えて差圧センサが設けられるので、第1および/または第2の圧力センサの機能は、簡単にチェックまたは検証され得る。これにより、透析装置の信頼性、ひいては患者の安全性が高まる。したがって、圧力測定の完全な機能点検、すなわち、抵抗ブリッジ、信号修正、ADC変換、および測定信号の入力も必要とされなくてよい。さらに、圧力センサのオフセットまたはレートまたはスロープ誤差を検出するために、圧力センサの離調も必要とされなくてよく、その結果、離調経路による測定信号の影響が排除される。
【0037】
コスト効率が高く標準的な圧力センサが使用され得、特別な本質的に安全な圧力センサが冗長なモニタリングにより必要とされないという事実によって、さらなる利点が提供され得る。
【0038】
さらなる実施形態によれば、液体導通システムは、透析フィルタを有する体外血液回路であり、ここにおいて、第1の区間は送血部に対応し、第2の区間は返血部に対応する。透析装置の体外血液回路では、浄化される患者の血液は、患者の身体の外側の透析装置の様々な要素を通して導通されるかまたは通過する。体外血液回路は、送血部(患者動脈ライン)および返血部(患者静脈ライン)を備える。
【0039】
送血部は、処置される患者の動脈に接続され得、すなわち、患者から浄化される血液は、送血部を介して体外回路に導入される。浄化される血液の供給は、ポンプによって提供され得る。返血部は、処置される患者の静脈に接続され、すなわち、体外血液回路からの浄化された血液が、返血部を介して患者の身体に供給される。一般に、採血および返血は、特別に形成された血管(シャント)または患者の血管を含む大血管から、またはその中で行われる。透析フィルタは、体外血液回路の供給ラインと返血部との間に設けられる。浄化される血流は、当該透析フィルタを通して導通され、ここにおいて、例えば血液透析の場合、透析液は、浄化される血流に対して向流方向に流れ、透析液流および血流は、半透膜によって互いに分離される。したがって、所望でない物質が血液から除去され、血液は、拡散により透析フィルタにおいて所望の物質で富化される。
【0040】
さらなる実施形態によれば、モニタリングユニットは、測定された差圧pdiffmによって針の切断(静脈針切断(VND))を検出するように構成される。針の切断という用語はまた、液体導通システム内の接続、例えば、チューブシステムから針へのルアー接続、またはさらにはチューブシステムと透析器との間の接続が、失われるかまたは切断される場合も含む。
【0041】
針の切断の検出は、圧力に影響を及ぼし得る構造部品があまり提供されていないときに、さらにより確実に行われ得る。これは特に、透析処置を行うための透析装置が、体外血液回路に、血液ポンプ、透析器、凝固フィルタを有する静脈空間、および当該要素を接続するチューブシステムのみを備えるときに達成され得る。したがって、分圧に特に影響し得るか、または圧力変動を発生させ得る要素は設けられない。特に、この装置は、透析液流のための1つまたは複数のポンプおよび血流のためのポンプのみを備えるが、透析液または置換液を直接、すなわち透析器の膜を介さずに、血液チューブシステム内に移送するためのポンプは備えない。
【0042】
差圧センサ、したがって1つのみの圧力トランスデューサを使用することによって、2つの圧力センサの信号が使用されなければならない、pdiffbに基づく針の切断の決定と比較して、線形性に関する誤差も位相差も得られない。
【0043】
上記目的は、請求項8の特徴による、透析装置の動作状態をモニタリングするための方法によってさらに解決される。本方法の好ましい実施形態は、従属請求項および本明細書ならびに図において提供される。
【0044】
したがって、第1の区間および第2の区間を有する液体導通システムを備える透析装置の少なくとも1つの動作状態をモニタリングするための方法が提案される。本方法は、
・差圧センサによって、第1の区間内の第1の圧力と第2の区間内の第2の圧力との間の差圧pdiffmを測定することと、
・測定された差圧pdiffmに基づいて動作状態を決定することと、
・決定された動作状態に基づいて、透析処置を中断し、および/または透析処置を阻止し、および/または通知を出力することと
を行うステップを備える。
【0045】
測定された差圧pdiffmの公称値からの偏差を決定すると、および/または透析処置中の差圧pdiffmの所定の変化を決定すると、望ましくない動作状態が推測され得る。
【0046】
偏差はまた、数学的に処理された測定された差圧pdiffmからの偏差としても提供され得る。数学的処理は、例えば、公称信号推移の減算および/または周波数出力評価のためのフーリエ解析および/または時間的平均化を備え得る。
【0047】
望ましくない動作状態の決定後または決定時に、透析処置は、決定された動作状態に基づいて、中断および/または阻止され、ならびに/もしくは通知、例えばエラー通知が出力される。差圧pdiffmが、例えば偶発的に切断された静脈針または液体供給/排出の不足により、突然変化する場合、当該圧力変化は、動作状態を決定するためのモニタリングユニットによって検出され、これは次いで、例えば、患者の危険な失血を回避するために、透析処置の即時中断を開始し得る。
【0048】
好ましい実施形態によれば、本方法は、
・第1の圧力センサによって第1の区間内の圧力を測定することと、
・第2の圧力センサによって第2の区間内の圧力を測定することと、
・第1の区間内の測定された圧力と第2の区間内の測定された圧力との間の差圧pdiffbを計算することと
を行うステップを備える。
【0049】
第1の区間内の測定された圧力と、第2の区間内の測定された圧力と、計算された差圧pdiffbとの間には、圧力p1およびp2の点から例示的に説明されるように、以下の関係が与えられる。
pdiffb=p1-p2 (3)
【0050】
本方法の一実施形態によれば、動作状態は、第1および/または第2の圧力センサの不正確な機能を備える。それによって、第1および/または第2の区間内の圧力だけでなく、第1および第2の圧力センサの正確な機能も追加的にモニタリングされ得る。したがって、第1の区間内の圧力および/または第2の区間内の圧力が不正確に測定されることが回避される。これにより、透析方法の安全性が全体として高まる。
【0051】
すなわち、供給部における圧力が不正確に決定されるか、または測定誤差が検出されない場合、これは、透析された血液量の誤った計算をもたらす可能性がある。返血部における圧力が不正確に決定されるか、または測定誤差が検出されない場合、静脈針への接続の偶発的な切断によって、または患者からの針の切断によって引き起こされる圧力低下が、検出されない可能性があり得る。これは、失血、ひいては患者に対する深刻な安全上の危険をもたらす可能性がある。
【0052】
本方法の1つの実施形態によれば、第1の区間にある第1の圧力センサの不正確な機能を決定した後、測定された差圧pdiffmおよび第2の区間内の測定された圧力から、第1の区間内の圧力が決定されることが提供され得る。
【0053】
本方法のさらなる好ましい実施形態によれば、第2の区間にある第2の圧力センサの不正確な機能を決定した後、測定された差圧pdiffmおよび第1の区間内の測定された圧力から、第2の区間内の圧力が決定されることが提供され得る。測定された差圧と計算された差圧との比較が、両方の圧力センサのうちの一方に欠陥がある、すなわち全く測定しないかまたは誤った測定結果を出していることを提供するとき、欠落した測定値は、圧力p1およびp2の点から再び例示的に説明される以下の関係にしたがって計算され得る。
p1=p2-pdiffm (6)
p2=p1+pdiffm (7)
【0054】
欠落した測定値は、測定された差圧によって計算され得るので、第1および/または第2の圧力センサのダウンタイムまたは欠陥または誤った測定がある場合でも、透析プロセスが確実に継続され得ることが可能である。
【0055】
一実施形態によれば、動作状態を決定することは、計算された差圧pdiffbおよび測定された差圧pdiffmに基づいて決定することを備える。
【0056】
決定することは、
・計算された差圧pdiffbと測定された差圧pdiffmとの間の差から結果として得られる圧力presを計算することと、
・圧力presの挙動を分析することと
を行うステップを備え得る。
【0057】
分析は、公称値との比較および/または時間にわたる変化の分析であり得る。結果として得られる圧力presは、以下のように計算される。
pres=pdiffm-pdiffb (4)
【0058】
ここで、圧力センサの各々が、温度ドリフト、レートもしくはスロープ、またはオフセットに関する公差を含むので、結果として得られる圧力のある特定の偏差Δpresがモニタリングのために許容される。許容可能な偏差は、透析装置の記憶装置またはメモリに記憶され得、透析装置のプロセッサは、許容可能な偏差が満たされているか、および/または超えているかどうかを比較によって決定し得る。これにより、例えば、処置の中断が達成され得る。
【0059】
モニタリングユニットによって検出された問題は、遅くとも後続のT1-テスト時に示され得る。したがって、例えば、生じた問題は、チェックリストによって指定され得るか、または対応する圧力センサに限られ得る。
【0060】
さらに、故障または誤差の検出後、処置中の静脈クランプの中期または短期の閉鎖によって、両方の圧力センサのうちのどちらが故障したかをチェックする可能性が存在する。
【0061】
本方法の一実施形態によれば、結果として得られる圧力が公称値から逸脱すると、結果として得られる圧力presから誤差量が累積される。所定の最大誤差量を超えると、通知が提供され、および/または透析処置が中断され、および/または処置の開始が阻止される。
【0062】
好ましい実施形態によれば、結果として得られる圧力presの公称値からの連続的または持続的な偏差が存在するかまたは存在して最小トリガレベルに達すると、通知が提供され、および/または透析処置が中断され、および/または処置の開始が阻止される。
【0063】
説明されたモニタリング方法によって、第1の区間、例えば供給部における圧力、すなわち動脈圧、および第2の区間、例えば返血部における圧力、すなわち静脈圧、ならびに対応する差圧をモニタリングすることが可能である。したがって、モニタリング方法によって、処置の経過が簡単な様式でモニタリングされ得、その結果、正しい経過またはプロセスおよび患者の効果的な処置が保証される。
【0064】
液体導通システムは、透析フィルタを有する体外血液回路であり得、ここにおいて、第1の区間は送血部に対応し、第2の区間は返血部に対応する。
【0065】
本方法の一実施形態によれば、針の切断は、測定された差圧pdiffmに基づいて動作状態として検出され得る。
【0066】
本方法は、上述された透析装置によって実行され得、すなわち、透析装置に関して説明されたすべての特徴も本方法のために開示され、その逆もまた同様である。
【0067】
本発明の好ましいさらなる実施形態が、以下の添付図面に関連して下記の説明でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】送血部と返血部との間に差圧センサを有する透析装置の体外血液回路を有する透析装置である。
【
図2】
図1の透析装置の望ましい動作状態および望ましくない動作状態を示す図である。
【
図3】第1の圧力センサが送血部にあり、第2の圧力センサが返血部にある透析装置の体外血液回路と、送血部と返血部との間にある差圧センサとを有する透析装置の図である。
【
図4】圧力センサを正確に測定する
図3の透析装置の例示的な圧力推移を示す図である。
【
図5】
図3の透析装置の例示的な圧力推移を示す図であり、ここにおいて、第2の圧力センサが、返血時に不正確に測定する。
【
図6】透析装置の体外血液回路を有する透析装置の図であり、ここにおいて、様々な区間内の圧力を測定し得る圧力センサの様々な配置の可能性が例示されている。
【
図7】透析装置の体外血液回路を有する透析装置であり、ここにおいて、差圧センサのさらなる配置の可能性が例示されている。
【
図8】測定された差圧に基づいて透析装置の動作状態をモニタリングするための方法の概略図である。
【
図9】計算および測定された差圧に基づいて透析装置の動作状態をモニタリングするための方法の概略図である。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0069】
以下では、さらなる好ましい実施形態が、添付図面を参照してより詳細に説明される。様々な図において、同様の要素は、同一の参照番号によって示され、その繰り返しの説明は、冗長性を回避するために省略され得る。
【0070】
以下の説明では、透析処置を行うための透析装置1、および透析装置1の少なくとも1つの動作状態をモニタリングするための方法が説明される。既に概して上述された透析装置1は、図において、少なくとも透析フィルタ5および液体導通システム2を有する体外血液回路10に関して非常に概略的かつ例示的に示されている。
【0071】
したがって、液体導通システム2を有する透析装置1が
図1に概略的に示されており、ここにおいて、液体導通システム2は体外血液回路10である。さらなる説明のために、送血部は、液体導通システム2の第1の区間3に対応し、返血部は、液体導通システム2の第2の区間に対応する。
【0072】
透析装置1は、送血部13と返血部14との間に配置された透析フィルタ5をさらに備える。動脈供給(arterial feed)とも呼ばれる送血部13は、患者の血液循環または回路から血液を引き出すために、接続部(図示せず)を介して患者に接続される。同様に、静脈還流とも呼ばれる返血部14も、透析フィルタ5で処理された血液を患者の血液循環または回路に戻すために、接続部(図示せず)を介して患者に接続される。
【0073】
透析装置1は、体外血液回路10を通して患者から引き出された血液を供給するために、可撓性チューブまたは蠕動ポンプの形態で図示されるポンプ9をさらに備える。
【0074】
透析装置1は、患者の処置を制御するように構成された制御デバイス100をさらに備える。制御デバイス100は、例えば、ポンプ9の機能を制御するか、またはクランプ12を切り替える。
【0075】
さらに、透析装置1の動作状態が表示され得る指示またはディスプレイデバイス110が設けられる。図示された例示的な実施形態におけるディスプレイデバイス110は、モニタの形態で概略的に示されている。しかしながら、他のディスプレイデバイス、または音響デバイスまたは触覚デバイスなどの指示デバイスが可能である。
【0076】
処方された透析患者の血液を透析装置を用いて処理するために、送血部13は、例えばカニューレを介して患者の血液循環と接続される。引き出された血液は、ポンプ9を介して透析フィルタ5に供給され、ここにおいて、血液は既知の透析方法によって処理される。例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、または別の既知の透析方法が透析フィルタ5で行われ得る。次いで、処理された血液は、これも患者の血液循環に接続されている返血部14を介して患者に戻される。
【0077】
差圧センサ6によって、動脈圧に対応する送血部13における圧力p
1と、静脈圧に対応する返血部14における圧力p
2との間の差圧p
diffmが測定される。測定された差圧p
diffmは、例えば、透析装置1の動作状態を決定すること、例えば、
図1に示されていないさらなる圧力センサの機能に関して透析装置1の正確な機能をモニタリングすることに役立つ。
【0078】
図1には、透析装置の構成が概略的に示されており、ここにおいて、差圧センサ6と、差圧センサ6によって測定された差圧p
diffmに基づいて動作状態を決定するように構成されたモニタリングユニット11のみが設けられている。
【0079】
測定された差圧pdiffmに基づく決定された動作状態に依存して、透析処置は、この動作状態で継続されるか、またはエラー通知が行われ、および/もしくは体外血液回路内の血流が停止される。この目的のために、モニタリングユニット11によって決定された動作状態は、制御デバイス100に通信され得、制御デバイスは、それに応じて、処理を終了するか、または処理の開始を阻止する。決定された動作状態は、代替的または追加的に、ディスプレイデバイス110にも通信されてそこに表示され得る。
【0080】
測定された差圧pdiffmが、例えば、通常の透析手順の公称値に対応するとき、透析手順は継続される。しかしながら、測定された差圧pdiffmがこの公称値から逸脱する場合、例えば、処理された血液を患者に戻す静脈針がはずれるか滑り出るか、または別の形態の針の切断が生じ、それによって、返血部14における圧力低下を引き起こした場合、これは、モニタリングユニット11によって知られ、ユーザへのエラー通知が行われ、および/または体外血液回路は、高い失血の可能性による患者に対する安全上の危険を回避するために直ちに停止される。
【0081】
このアラーム閾値は、この公称値からの逸脱の場合だけでなく、差圧pdiffmの対応する変化時にも超え得、その結果、差圧pdiffmの変化の場合にも、アラームがトリガされ得るか、または透析が停止され得る。例えば、差圧pdiffmの突然の変化の場合に、患者と体外血液回路の接続の完全性に関する不規則性が存在し、したがって針の切断が存在し得ることが考えられ得る。
【0082】
時間にわたる差圧pdiffmの推移の評価または測定された差圧pdiffmと公称値との比較は、対応する分析を行うように構成されたモニタリングユニット11によって提供される。モニタリングユニット11は、例えば、ハードウェアモジュールの形態および/またはソフトウェアモジュールの形態で提供され得る。評価の結果にしたがって、モニタリングユニット11は、次いで、アラーム条件が達成されるか、またはそれを超えたときに、アラーム通知および/または透析処置を中止または停止するためのコマンドを送信する。
【0083】
さらに、透析装置1の制御デバイス100および/またはディスプレイデバイス110が設けられ得る。制御デバイス100は、モニタリングユニット11からのメッセージに基づいて、透析処置を中断または停止し、および/または将来の処置を阻止するように構成され得る。ディスプレイデバイス110は、決定された動作状態に基づいて通知を出力するように構成され得る。
【0084】
モニタリングユニット11および/または制御デバイス100および/またはディスプレイデバイス110は、例えば、共通のプロセッサを有する透析装置の制御デバイスの形態で、共通のユニットとしても形成され得る。
【0085】
モニタリングユニット11は、例えば、差圧センサ6の信号を受信し得るように形成され得、例えば、1つまたは複数のプロセッサと、モニタリングステップがそれによってプロセッサ上で実行され得るプログラムを記憶する記憶装置とを備え得る。したがって、モニタリングユニット11は、透析装置1に統合された対応するバスを有するコンピュータとして実現され得る。
【0086】
制御デバイス100はまた、制御のためのプログラムコードのみがモニタリングユニット11のプログラムコードとは異なるように提供され得、ここにおいて、少なくとも部分的に同じハードウェア、例えば共通プロセッサが使用される。制御デバイス100およびモニタリングユニット11は、例えば、異なるソフトウェアモジュールにも存在し得る。
【0087】
制御デバイス100は、透析装置1による処置を阻止または停止して、血液ポンプの開始を回避または血液ポンプを停止するようにプログラムされ得る。阻止はまた、ユーザによって行われるアクションが実行可能でないことを示すことによっても提供され得る。例えば、機械または機械のディスプレイ上の作動フィールドが起動可能でなくてもよい。
【0088】
ディスプレイデバイス110は、ディスプレイスクリーンの形態で、例えばタッチスクリーン、および/または音響信号を出力するラウドスピーカ、および/またはランプなどの光トランスデューサの形態で存在し得る。
【0089】
図2には、
図1からの透析装置1の望ましい動作状態Aおよび望ましくない動作状態Bを示す図が示されている。ここでは、時間t[s]にわたる、測定された差圧p
diffmの圧力p[mmHg]の概略的な推移と、送血部13における圧力p
1および返血部14における圧力p
2の概略的な推移とがプロットされている。送血部13における圧力p
1および返血部14における圧力p
2の値は、例示のために概略的に示されているだけであり、必ずしも
図1からの透析装置によって直接測定されるわけではなく、したがって、送血部13および返血部14における圧力のための圧力測定デバイスは
図1に示されていない。
【0090】
簡略化された表現のために、示された圧力は線形に図示され、これは、例えば、圧力の平均値に対応し得る。実際の圧力は、明らかに、心拍およびポンプ9のポンピング運動に伴って周期的に変化し得る。望ましい動作状態Aでは、送血部13における圧力p1および返血部14における圧力p2は、少なくともそれらの平均値に対して本質的に一定に推移し、その結果、差圧センサ6によって測定される差圧pdiffmも本質的に一定に推移する。そのような場合には、モニタリングユニット11によって、エラーまたは故障アラームおよび/または処置を停止するためのコマンドは生成されない。
【0091】
望ましくない動作状態Bは、エラーの場合を概略的に示し、ここにおいて、浄化された血液を患者に戻すはずの静脈針が、患者の静脈から外れているかまたは切断されている(静脈針切断(VND))。針、すなわち返血部14の出口と患者の静脈との間の接続がもはや存在しないとき、返血部14における圧力p2の(限界)圧力低下が生じる。当該圧力低下に基づいて、差圧センサ6によって測定される差圧pdiffmも変化する。モニタリングユニット11は、差圧pdiffmのこの圧力低下の変化を検出し、エラー通知を送信し、および/または透析プロセスまたはポンプ9の即時中断を開始する。
【0092】
図3には、ここでは送血部13に配置されている、第1の区間3に配置された第1の圧力センサ7と、ここでは返血部14に配置されている、第2の区間4に配置された第2の圧力センサ8とを有する体外血液回路10を有する透析装置1が示されている。第1の区間3と第2の区間4との間に差圧センサ6が図示されている。加えて、透析装置は、第1および/または第2の圧力センサ7、8の正確な機能を決定するように構成されたモニタリングユニット11を備え、したがって、この様式で動作状態を決定する。
【0093】
したがって、
図3に示される透析装置1によって、第1および/または第2の圧力センサ7、8の機能を検証またはチェックすることが可能である。
【0094】
透析装置1は、ここでもまた、患者から引き出された血液を供給するためのポンプ9と、透析フィルタ5とを備える。透析を処方された患者の血液を透析装置1によって処理するために、送血部13は患者の静脈に接続される。
【0095】
患者から引き出された血液は、ポンプ9を介して透析フィルタ5に供給され、ここにおいて、患者の血液は、既知の透析方法、例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、または別の透析方法によって浄化される。
【0096】
次いで、浄化された血液は、これもまた患者のこの静脈と接続されている返血部14を介して患者に戻される。送血部13、すなわち液体導通システム2の第1の区間3内の圧力p1と、返血部14、すなわち液体導通システム2の第2の区間4内の圧力p2との間の差圧pdiffmは、差圧センサ6を介して測定される。加えて、第1の区間3内の圧力p1は、第1の圧力センサ7によって測定され、第2の区間4内の圧力p2は、第2の圧力センサ8によって測定される。
【0097】
測定された差圧p
diffmが個別に考慮される場合、透析装置1の動作状態に関して評価が行われ得、透析方法は、それに応じて、
図1を参照して既に説明されたように、継続または中断され得る。
【0098】
第1および/または第2の圧力センサ7、8のモニタリングを実行するために、モニタリングユニット11において、第1の区間3内の測定された圧力p1および第2の区間4内の測定された圧力p2から差圧pdiffbが計算される。次いで、差圧センサ6によって測定された差圧pdiffmと、計算された差圧pdiffbとが互いに比較、例えば互いに減算される。測定された差圧pdiffmと計算された差圧pdiffbとの比較から、結果として得られる圧力presが得られる。
【0099】
両方の圧力センサ7、8が正確に機能している場合、すなわち、圧力センサ7が第1の区間3内の圧力p1を正確に測定し、圧力区間8が第2の区間4内の圧力p2を正確に測定する場合、測定された差圧および計算された差圧は互いに対応し、すなわち、結果として得られる圧力presは0であるか、または少なくとも時間にわたって一定である。
【0100】
両方の圧力センサ7、8が正確に機能していない場合、すなわち、圧力センサ7が第1の区間3内の圧力p1を正確に測定せず、圧力区間8が第2の区間4内の圧力p2を正確に測定しない場合、測定された差圧pdiffmおよび計算された差圧pdiffbは互いに対応せず、すなわち、結果として得られる圧力presは0に等しくないか、または時間にわたって変化する。結果として得られる圧力presの評価、すなわち、測定された差圧pdiffmおよび計算された差圧pdiffbからの結果として得られる圧力presの計算、ならびに公称値(例えば0)との比較は、モニタリングユニット11によって行われる。結果として得られる圧力presの公称値からの偏差が検出されると、エラー通知が行われ、および/または体外血液回路10が停止される。
【0101】
両方の圧力センサ7、8が正確に測定している場合についての例示的な圧力推移が
図4に概略的に示されている。
図4の図は、測定された圧力p
1、p
2、p
diffmと、計算された圧力p
diffbおよびp
resを示す。時間t[s]にわたる圧力推移p[mmHg]が各圧力についてプロットされている。図から明らかなように、計算された差圧p
diffbおよび測定された差圧p
diffmは互いに対応しており、すなわち、計算された差圧p
diffbと測定された差圧p
diffmとの間の差は0である。この場合、モニタリングユニット11によってエラー通知は提供されず、透析方法が継続される。
【0102】
あるレベルの公差を有する差圧センサおよび圧力センサ6、7、8が使用される場合、測定された、したがって公差を含む差圧pdiffmと、公差を含む2つの測定値p1、p2から計算されるのでこれも公差を含む、計算された差圧pdiffbとの間に差が存在することになり、その結果、結果として得られる圧力は0に等しくないが、時間にわたって本質的に一定である。モニタリングユニット11による分析は、これを考慮に入れ得、したがって、エラーを構成しないように、所定の公差の範囲で0ラインからの結果として得られる圧力からの偏差を依然として考慮し得る。
【0103】
図5には概略図が示されており、返血中の圧力p
2を測定するはずの第2の圧力センサ8が正確に測定しない場合についての例示的な圧力推移を示している。
図5の図は、測定された圧力p
1、p
2、p
diffmと、計算された圧力p
diffbおよびp
resを示す。時間t[s]にわたる圧力推移p[mmHg]がプロットされている。
【0104】
図から明らかなように、計算された差圧pdiffbおよび測定された差圧pdiffmは互いに対応しておらず、すなわち、計算された差圧pdiffbと測定された差圧pdiffmとの差は0に等しくなく、偏差が所定の公差を超えている。モニタリングユニット11は、測定された差圧pdiffmの公称値からの当該偏差を検出し、エラー通知を送信するか、または体外血液回路10を停止する。
【0105】
図6および
図7の各々には、送血部13に対応する第1の区間3に配置された第1の圧力センサ7と、返血部14に対応する第2の区間4に配置された第2の圧力センサ8とを有する体外血液回路10を有する透析装置1が示されている。上述のように、差圧センサは、液体導通システム2の異なる区間または様々な区間間に配置され得、したがって、当該区間に配置された圧力センサの機能は、それぞれの差圧センサによってモニタリングされ得る。
【0106】
したがって、液体導通システム2の様々な異なる区間ならびに当該区間内の圧力を測定する圧力センサが、
図6に例示的に示されている。
【0107】
したがって、圧力センサは、動脈供給部13の動脈端と血液ポンプ9との間の圧力p1を決定するための圧力センサ7、静脈血還流部13の静脈端と透析器または透析フィルタ5との間の圧力p2を決定するための圧力センサ8、血液ポンプ9と透析器または透析フィルタ5との間の液体導通システム2の区間20内の圧力p3を決定するための圧力センサ7a、透析器5の下流の透析液ライン内の圧力p4を決定するための圧力センサ7b、および/または透析器5の上流の透析液ライン内の圧力p5を決定するための圧力センサ7cの形態で示されている。透析器5は、その供給ラインおよび戻りラインと共に透析液体回路50を形成する。
【0108】
図7では、液体導通システム2の様々な区間と、当該区間間の差圧を測定するための対応する差圧センサとが
図7に示されている。
【0109】
この図では、差圧センサ6a~6cの様々な配置の可能性が例示されている。差圧センサ6a~6cは、様々な圧力レジームを有する範囲の区間に位置付けられ得る。
図6および
図7に示される透析装置1は、圧力センサ7a~7cおよび差圧センサ6a~6cにしたがって、それぞれの個別のまたは組み合わされたモニタリングユニットを備えるが、それらは、より良い概観を提供するために図示されていない。
【0110】
差圧センサ6a~6cが配置される区間には、第1の区間、例えば送血部13から第2の区間4、例えば返血部14への圧力伝達に、その抵抗により影響し得る要素が位置付けられ得る。この要素は、例えば、ポンプ、特に蠕動ポンプ、透析膜の中空繊維、透析膜、流れ減速器、弁、動作中に部分的に充填されるチャンバ、または同様の要素であり得る。当該要素は、圧力発生要素、例えばポンプでもあり得、ここにおいて、当該要素の前後の圧力変動は互いに同調している。
【0111】
当該圧力に影響する要素が受動要素である場合、および区間3、4の両方内の圧力がまったく異なる圧力発生器によって、例えば互いに独立して動作する2つのポンプによって発生される場合、圧力信号のこれらの独立した変動を安定した値に平均化するために、所定の時間にわたって信号を平均化することが必要とされ得る。これは、例えば、第1の区間が体外血液回路10に位置付けられ、第2の区間が透析液体回路50の側に位置付けられる場合であり得る。
【0112】
透析装置1は、2つより多くの区間3、4に接続される差圧センサ6a~6cも備え得る。さらに、差圧センサ6a~6cを介して2つの区間3、4を厳密にそれぞれ接続し、これらの区間3、4および/または当該区間と接続された圧力センサ7a~7cのための説明されたモニタリング方法のうちの1つを実行するように構成された制御部(図示せず)が設けられ得る。
【0113】
透析装置1の記憶ユニットには、それぞれに接続された区間または圧力センサに依存して、どのくらいの間またはどのくらいの測定値について平均化が適用されなければならないかが記憶され得る。
【0114】
平均化のための持続時間または測定値の数について記憶ユニットに記憶されるさらなるパラメータは、透析装置のポンプがそれぞれの区間3、4を通して液体を輸送する速度でもあり得る。この目的のために、例えば、チャートまたは表または式が記憶ユニットに記憶され得る。個々の区間3、4の圧力が独立した圧力センサによって各々測定される場合、圧力推移は、圧力推移の変動が記憶装置に記憶された所定の閾値より下に低下するまで、透析装置内のプロセッサによって実行されるプログラムによって平均化され得る。
【0115】
図8には、透析装置の動作状態をモニタリングするための方法が概略図で示されている。本方法は、好ましくは、第1の区間3および第2の区間4を有する液体導通システム2を備える、上述の透析装置1を用いて実行される。
【0116】
図示された方法の第1のステップS1において、区間3内の第1の圧力p1と第2の区間内の第2の圧力p2との間の差圧pdiffmが、差圧センサ6によって測定される。
【0117】
第2のステップS2において、動作状態が、測定された差圧pdiffmに基づいて決定される。
【0118】
ステップS2において、望ましくない動作状態が決定されたとき、例えば、浄化された血液がそれによって患者に戻される静脈針が、患者の患者静脈アクセスから偶発的に切断された場合(静脈針切断(VND))、ステップS4において、処置は、患者に対する安全上の危険を回避するために直ちに中断されるか、および/または、例えばディスプレイデバイス110を介して通知が出力される。
【0119】
ステップS2における動作状態の決定が、望ましい動作状態の存在をもたらすとき、例えば、差圧が本質的に一定であり、したがって透析が安全かつ効果的に行われ得る場合、処置は継続される。
【0120】
図9には、計算された差圧p
diffbおよび測定された差圧p
diffmに基づいて透析装置1の動作状態をモニタリングするための方法の概略図が示されている。
【0121】
ステップS4において、第1の圧力p1が第1の区間3において測定される。ステップS5において、第2の圧力p2が第2の区間4において測定される。測定された第1の圧力p1および測定された第2の圧力p2によって、ステップS6において、差圧pdiffbが計算される。
【0122】
ステップS1において、区間3内の第1の圧力p1と第2の区間4内の第2の圧力p2との間の差圧pdiffmが、並行して、その後、またはさらには事前のいずれかで、差圧センサ6によって測定される。
【0123】
計算された差圧pdiffbおよび測定された差圧pdiffmによって、ステップS8において、結果として得られる圧力presが計算される。
【0124】
計算された結果として得られる圧力presに基づいて、透析装置1の動作状態がステップS7において決定され、分析がステップS9において実行される。分析が、望ましくない動作状態が存在することを提供すると、透析処置は中断される。
【0125】
適用可能な場合、例示的な実施形態において示されたすべての個々の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、組み合わされ、および/または置換され得る。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
透析処置を行うための透析装置であって、第1の区間および第2の区間を備える液体導通システムを備え、
前記液体導通システムの前記第1の区間内の第1の圧力と前記液体導通システムの前記第2の区間内の第2の圧力との間の差圧p
diffm
を測定するための差圧センサが設けられ、
前記測定された差圧p
diffm
に基づいて動作状態を決定するように構成されたモニタリングユニットが設けられ、
前記決定された動作状態にしたがって前記透析処置を中断および/または阻止するように構成された制御デバイスが設けられ、および/または前記決定された動作状態に基づいて通知を出力するように構成されたディスプレイデバイスが設けられる
ことを特徴とする、透析装置。
[C2]
前記第1の区間内の圧力を測定するための第1の圧力センサと、前記第2の区間内の圧力を測定するための第2の圧力センサとが設けられることを特徴とし、前記モニタリングユニットは、前記第1の区間内の前記第1の測定された圧力および前記第2の区間内の前記第2の測定された圧力から差圧p
diffb
を計算するように構成される、C1に記載の透析装置。
[C3]
前記動作状態が、前記第1の圧力センサおよび/または第2の圧力センサの不正確な機能を備えることを特徴とする、C2に記載の透析装置。
[C4]
前記モニタリングユニットが、前記計算された差圧p
diffb
および前記測定された差圧p
diffm
に基づいて前記動作状態を決定するように構成されていることを特徴とする、C2または3に記載の透析装置。
[C5]
前記モニタリングユニットが、前記計算された差圧p
diffb
と前記測定された差圧p
diffm
との間の差p
res
を決定し、前記動作状態を決定するために、前記決定された差p
res
を公称値と比較するように構成されていることを特徴とする、C4に記載の透析装置。
[C6]
前記液体導通システムの前記第1の区間および前記第2の区間が、透析フィルタを有する体外血液回路の部分を備えることを特徴とし、前記第1の区間は、送血部に対応し、前記第2の区間は、返血部に対応する、C1~4のいずれか一項に記載の透析装置。
[C7]
前記モニタリングユニットが、前記測定された差圧p
diffm
および/または前記測定された差圧p
diffm
の変化に基づいて、動作状態として針の切断を検出するように構成されていることを特徴とする、C6に記載の透析装置。
[C8]
第1の区間および第2の区間を有する液体導通システムを備える透析装置の動作状態をモニタリングするための方法であって、
・差圧センサによって、前記第1の区間内の第1の圧力と前記第2の区間内の第2の圧力との間の差圧p
diffm
を測定することと、
・前記測定された差圧p
diffm
に基づいて動作状態を決定することと、
・前記決定された動作状態に基づいて、透析処置を中断し、および/または透析処置を阻止し、および/または通知を出力することと
を行うステップを備える、方法。
[C9]
前記方法が、
・第1の圧力センサによって前記第1の区間内の圧力を測定することと、
・第2の圧力センサによって前記第2の区間内の圧力を測定することと、
・前記第1の区間内の前記測定された圧力と前記第2の区間内の前記測定された圧力との間の差圧p
diffb
を計算することと、
・前記計算された差圧p
diffb
および前記測定された差圧p
diffm
に基づいて動作状態を決定することと
を行うステップを備えることを特徴とする、C8に記載の方法。
[C10]
前記動作状態が、前記第1の圧力センサおよび/または第2の圧力センサの不正確な機能を備えることを特徴とする、C8または9に記載の方法。
[C11]
前記動作状態を前記決定することが、
・前記計算された差圧p
diffb
と前記測定された差圧p
diffm
との間の差から結果として得られる圧力p
res
を計算することと、
・前記圧力p
res
の挙動を分析することと
を行うステップを備えることを特徴とする、C8~10のいずれか一項に記載の方法。
[C12]
前記分析が、公称値との比較および/または時間にわたる変化の分析であることを特徴とする、C11に記載の方法。
[C13]
前記結果として得られる圧力p
res
が前記公称値から逸脱すると、前記結果として得られる圧力p
res
から誤差量が累積され、所定の最大誤差量を超えると、前記通知が提供され、および/または前記透析処置が中断され、および/または前記処置の開始が阻止されることを特徴とする、C12に記載の方法。
[C14]
前記結果として得られる圧力p
res
の前記公称値からの持続的な偏差が提供され、最小トリガレベルに達すると、前記通知が提供され、および/または前記透析処置が中断され、および/または前記処置の開始が阻止されることを特徴とする、C12または13に記載の方法。
[C15]
第1の区間における前記第1の圧力センサの不正確な機能を決定した後、前記第1の区間内の圧力が、前記測定された差圧p
diffm
および第2の区間内の前記測定された圧力から決定されることを特徴とする、C10~14のいずれか一項に記載の方法。
[C16]
前記液体導通システムが、透析フィルタを有する体外血液回路であることを特徴とし、前記第1の区間は送血部に対応し、前記第2の区間は返血部に対応する、C8~15のいずれか一項に記載の方法。
[C17]
針の切断が、前記測定された差圧p
diffm
に基づいて、動作状態として検出されることを特徴とする、C8~16のいずれか一項に記載の方法。
【符号の説明】
【0126】
1…透析装置
2…液体導通システム
3…第1の区間
4…第2の区間
5…透析フィルタ
6…差圧センサ
6a~6c…差圧センサ
7…第1の圧力センサ
7a~7c…圧力センサ
8…第2の圧力センサ
9…ポンプ
10…体外血液回路
11…動作状態を決定するためのモニタリングユニット
12…クランプ
13…送血部
14…返血部
100…制御デバイス
110…ディスプレイデバイス
p1…第1の圧力
p2…第2の圧力
part…動脈圧
pven…静脈圧
pdiffm…測定された差圧
pdiffb…計算された差圧
pres…結果として得られる差圧
A…望ましい動作状態
B…望ましくない動作状態
S1…差圧pdiffmを測定する
S2…動作状態を決定する
S3…透析処置を中断する
S4…圧力p1を測定する
S5…圧力p2を測定する
S6…差圧pdiffbを計算する
S7…動作状態を決定する
S8…結果として得られる圧力presを計算する
S9…分析