(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】農薬乳剤の散布ドリフト制御のためのレオロジー改質剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/04 20060101AFI20231204BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20231204BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20231204BHJP
A01P 5/00 20060101ALI20231204BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
A01N25/04 101
A01N25/30
A01P3/00
A01P5/00
A01P13/00
(21)【出願番号】P 2020557286
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 US2019028638
(87)【国際公開番号】W WO2019209779
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】クルセスィアック、アダム エル.
(72)【発明者】
【氏名】レイチャード、マシュー ディ.
(72)【発明者】
【氏名】タッカー、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、ステファン エル.
(72)【発明者】
【氏名】タンク、ホルガ―
(72)【発明者】
【氏名】バリッジュパリ、スダカール
(72)【発明者】
【氏名】レポレットベドロサ、ミルトン エイチ.
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-121030(JP,A)
【文献】特表2017-511370(JP,A)
【文献】特表2016-535056(JP,A)
【文献】特表2016-508116(JP,A)
【文献】特表2015-512390(JP,A)
【文献】特表2018-517033(JP,A)
【文献】特開昭55-108411(JP,A)
【文献】特開平11-549(JP,A)
【文献】特開昭52-110833(JP,A)
【文献】特表2009-507885(JP,A)
【文献】特開昭58-177903(JP,A)
【文献】特開2014-15443(JP,A)
【文献】表面技術,2009年,Vol. 60, No. 12,pp. 746-753
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬乳剤であって、
乳剤プレミックス濃縮物であって、
40~70重量パーセント(重量%)のアルキレングリコールエーテル、
10~40重量%の植物油、および
界面活性剤であって、前記界面活性剤の重量%が、前記植物油の重量%の0.5~2倍の重量%であり、前記重量%値が、前記乳剤プレミックス濃縮物の総重量に基づき、前記アルキレングリコールエーテル、前記植物油、および前記界面活性剤の前記重量%が、合計で、前記乳剤プレミックス濃縮物の100重量%である、界面活性剤、を含む、乳剤プレミックス濃縮物と、
アクリレート系コポリマーであって、前記アクリレート系コポリマーが、50~150万の重量平均分子量を有する、アクリレート系コポリマーと、
水系農薬組成物と、
を含み、
前記農薬乳剤が、0.05~5重量パーセント(重量%)の前記乳剤プレミックス濃縮物、0.05~5重量%の前記アクリレート系コポリマー、および90~99.9重量%の前記水系農薬組成物を含む、農薬乳剤であって、
前記アクリレート系コポリマーが、モノマー(A)、(B)、および(C)で形成されたアクリレート系ランダムコポリマーであり、モノマー(A)が、α,βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーであり、モノマー(B)が、非イオン性の共重合性α,βエチレン性不飽和モノマーであり、モノマー(C)が、疎水的に改質されたα,βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーであり、
前記(A)は式Iで表され、
【化1】
式中、Rは、Hであり、R
1は、H、C1-C4アルキル、もしくは-CH
2COOXであり;またはRは、-COOXであり、R
1は、Hもしくは-CH
2COOXであり;またはRは、CH
3であり、R
1は、H、C1-C4アルキル、もしくは-CH
2COOXであり;およびXは、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
前記(B)は式IIで表され、
【化2】
式中、R’は、HまたはCH
3であり、R’’は、HまたはCH
3であり、R’ ’ ’は、C1~C4アルキルであり、
(C)は、式IIIで表され、
【化3】
式中、Rは、6~22個の炭素原子のアルキル基または8~22個の炭素原子のアルカリルであり、xは、6~200の平均数であり、yは、0~50の平均数であり、Aは、次の式を有する不飽和カルボン酸の残基であり、
【化4】
式中、R’は、H、-COOH、またはCH
3であり、R”は、H、CH
3、-COOH、または-CH
2COOHであり、Zは、上記の式IIIに示される疎水性残基であり、
モノマー(A)、(B)、および(C)の前記アクリレート系ランダムコポリマーが、30~60重量%のモノマー(A)、30~50重量%のモノマー(B)、および0~15重量%のモノマー(C)で形成され、前記重量%が、前記アクリレート系ランダムコポリマーの総重量に基づき、前記モノマー(A)、(B)、および(C)が、合計で100重量%であり、
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性高分子界面活性剤、およびそれらの組み合わせから選択され、
前記農薬乳剤が、23℃の温度で測定された5~9.5のpHを有する、農薬乳剤。
【請求項2】
モノマー(A)が、メタクリル酸またはアクリル酸、モノマー(B)が、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、またはアクリル酸ブチルであり、モノマー(C)が、10~22個の炭素を有する疎水的に改質されたメタクリル化アルキルEO/POエステルである、請求項1に記載の農薬乳剤。
【請求項3】
前記アルキレングリコールエーテルが、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択されるか、または
前記アルキレングリコールエーテルが、ジプロピレングリコールメチルエーテルである、請求項1~2のいずれか一項に記載の農薬乳剤。
【請求項4】
前記植物油が、アーモンド油、カノーラ油、大豆油、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、桐油、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択されるか、または
前記植物油が、メチル化植物油であるか、または
前記界面活性剤が、リン酸エステル界面活性剤、高分子界面活性剤、もしくはそれらの組み合わせであるか、または
前記水系農薬組成物が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、もしくはそれらの組み合わせを含有するか、または
前記農薬乳剤が、23℃の温度で測定された5~8のpHを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の農薬乳剤。
【請求項5】
タンクミックス添加剤濃縮物であって、
乳剤プレミックス濃縮物であって、
40~70重量パーセント(重量%)のアルキレングリコールエーテル、
10~40重量%の植物油、および
界面活性剤であって、前記界面活性剤の重量%が、前記植物油の重量%の0.5~2倍の重量%であり、前記乳剤プレミックス濃縮物の前記重量%値が、前記乳剤プレミックス濃縮物の総重量に基づき、前記アルキレングリコールエーテル、前記植物油、および前記界面活性剤の前記重量%が、合計で、前記乳剤プレミックス濃縮物の100重量%である、界面活性剤、を含む、乳剤プレミックス濃縮物と、
アクリレート系コポリマーであって、前記アクリレート系コポリマーが、50~150万の重量平均分子量を有する、アクリレート系コポリマーと、を含み、
前記タンクミックス添加剤濃縮物が、前記アクリレート系コポリマーに対する前記乳
剤プレミックス濃縮物の1:1~1:10の重量比を含み、前記タンクミックス添加剤濃縮物が、水系農薬組成物中で希釈すると農薬乳剤を形成する、タンクミックス添加剤濃縮物であって、
前記アクリレート系コポリマーが、モノマー(A)、(B)、および(C)で形成されたアクリレート系ランダムコポリマーであり、モノマー(A)が、α,βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーであり、モノマー(B)が、非イオン性の共重合性α,βエチレン性不飽和モノマーであり、モノマー(C)が、疎水的に改質されたα,βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーであり、
前記(A)は式Iで表され、
【化5】
式中、Rは、Hであり、R
1は、H、C1-C4アルキル、もしくは-CH
2COOXであり;またはRは、-COOXであり、R
1は、Hもしくは-CH
2COOXであり;またはRは、CH
3であり、R
1は、H、C1-C4アルキル、もしくは-CH
2COOXであり;およびXは、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
前記(B)は式IIで表され、
【化6】
式中、R’は、HまたはCH
3であり、R’’は、HまたはCH
3であり、R’ ’ ’は、C1~C4アルキルであり、
(C)は、式IIIで表され、
【化7】
式中、Rは、6~22個の炭素原子のアルキル基または8~22個の炭素原子のアルカリルであり、xは、6~200の平均数であり、yは、0~50の平均数であり、Aは、次の式を有する不飽和カルボン酸の残基であり、
【化8】
式中、R’は、H、-COOH、またはCH
3であり、R”は、H、CH
3、-COOH、または-CH
2COOHであり、Zは、上記の式IIIに示される疎水性残基であり、
モノマー(A)、(B)、および(C)の前記アクリレート系ランダムコポリマーが、30~60重量%のモノマー(A)、30~50重量%のモノマー(B)、および0~15重量%のモノマー(C)で形成され、前記重量%が、前記アクリレート系ランダムコポリマーの総重量に基づき、前記モノマー(A)、(B)、および(C)が、合計で100重量%であり、
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性高分子界面活性剤、およびそれらの組み合わせから選択され、
前記タンクミックス添加剤濃縮物が、23℃の温度で測定された5~
8のpHを有する、タンクミックス添加剤濃縮物。
【請求項6】
モノマー(A)が、メタクリル酸またはアクリル酸、モノマー(B)が、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、またはアクリル酸ブチルであり、モノマー(C)が、メタクリル化アルキルEO/POエステルある、請求項5に記載のタンクミックス添加剤濃縮物。
【請求項7】
前記アルキレングリコールエーテルが、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択されるか、または
前記アルキレングリコールエーテルが、ジプロピレングリコールメチルエーテルである、請求項5~6のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤濃縮物。
【請求項8】
前記植物油が、アーモンド油、カノーラ油、大豆油、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、桐油、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択されるか、
前記植物油が、メチル化植物油であるか、または
前記界面活性剤が、リン酸エステル界面活性剤、高分子界面活性剤、もしくはそれらの組み合わせであるか、または
前記水系農薬組成物が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、もしくはそれらの組み合わせを含有するか、または
前記タンクミックス添加剤濃縮物が、23℃の温度で測定された5~8のpHを有する、請求項5~7のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤濃縮物。
【請求項9】
農薬組成物散布適用中の散布ドリフトを低減する方法であって、
請求項5~8のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤濃縮物を提供することと、
前記タンクミックス添加剤濃縮物を、水系農薬組成物を含む散布タンクに添加して農薬乳剤を形成することと、
前記農薬乳剤を散布器から散布することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記水系農薬組成物が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、農薬乳剤に関し、より具体的には、農薬乳剤における散布ドリフト制御のためのレオロジー改質剤に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な農薬散布工程は、希釈された農薬溶液の液体流を、水圧散布ノズルを通して噴霧することを伴う。散布は、本質的に、広範囲の散布液滴を生成する。液滴がより微細になると、標的外の動きまたは「散布ドリフト」の可能性が高くなり、隣接する作物および家畜、敏感な生態系資源、ならびに人間の健康に対する潜在的影響が懸念される。実際、微細液滴は、散布ドリフトの主な原因であり、散布ドリフトの傾向の推定に使用される典型的な値は、直径150μm未満の液滴分布の体積割合(150μm未満の体積平均直径(VMD)の液滴の%)である。
【0003】
研究によると、散布ノズルの選択および適用パラメータが、所望の液滴サイズスペクトルを生成する際に考慮すべき要素であるが、散布溶液の化学的構成も様々な種類のノズルの液滴サイズ分布に影響を与え得ることが実証されている。例えば、農薬乳剤として散布溶液を形成する際に油相を使用すると、液滴サイズ分布に影響を与え得る。この目的のために、散布液滴サイズ分布に対する農薬乳剤の効果が実証されており、微細液滴の生成を最小限に抑えるためにレオロジー改質剤も使用されている。
【0004】
このようなレオロジー改質剤には、グアーガム、ポリエチレンオキシド、およびポリアクリルアミドなどの水溶性ポリマーが含まれる。しかしながら、研究によると、これらのレオロジー改質剤の使用が、典型的には、意図された機能を提供するだけではないことが示されている。例えば、グアーガムを含む特定の部類のレオロジー改質剤は、散布ドリフトを低減することが示されている。しかしながら、これらは、大きな液滴(直径が1mmを超える液滴)の画分を増加させることが示されており、これにより、散布ドリフトの低減によって、意図される葉の表面に当たらないおよび/または葉の表面に残る有意な画分の活性物質を含有する大きい液滴が原因で、有効性が低下するという悪影響が生じ得る。
【0005】
したがって、当技術分野において、農薬製剤における散布ドリフト制御を提供するのに役立つ、改良された農薬乳剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、農薬製剤における散布ドリフト制御を提供するのに役立つ農薬乳剤の改善を提供する。本発明は、農薬乳剤におけるアクリレート系コポリマーの使用を開示し、アクリレート系コポリマーの存在は、散布ドリフト制御を提供するのに役立つ。本明細書で述べるように、アクリレート系コポリマーは、(a)農薬乳剤を形成する際に使用されるタンクミックス添加剤濃縮物中に存在するか、または(b)農薬乳剤を形成する際に水系農薬組成物と共に乳剤プレミックス濃縮物と一緒に使用される。
【0007】
アクリレート系コポリマーは、同等の条件下での他のレオロジー改質剤の使用と比較して最大45パーセントも、微細液滴(150μmの体積平均直径(VMD)未満の液滴)の形成を低減するのに役立つ農薬乳剤におけるレオロジー改質剤として作用する。農薬製剤に使用される油系乳剤が散布ドリフト(150μmのVMD未満の微細液滴の形成)を低減するのに役立ち得るにもかかわらず、散布ドリフトをさらに低減するのに役立つ農薬乳剤とのアクリレート系レオロジー改質剤の使用が、同等の条件下での油系乳剤の単独の使用または他のレオロジー改質剤の使用と比較して、このような微細液滴形成の有意な低減を提供するとは予想されなかったため、この結果は驚くべきことである。
【0008】
本開示の実施形態は、乳剤プレミックス濃縮物、アクリレート系コポリマー、および水系農薬組成物を含む農薬乳剤を含む。様々な実施形態について、農薬乳剤は、0.05~5重量パーセント(重量%)の乳剤プレミックス濃縮物、0.05~5重量%のアクリレート系コポリマー、および90~99.9重量%の水系農薬組成物を含み、重量%は、農薬乳剤の総重量に基づく。様々な実施形態について、乳剤プレミックス濃縮物は、40~70重量%のアルキレングリコールエーテル、10~40重量%の植物油、および界面活性剤を含み、界面活性剤の重量%は、植物油の重量%の0.5~2倍の重量%であり、重量%値は、乳剤プレミックス濃縮物の総重量に基づき、アルキレングリコールエーテル、植物油、および界面活性剤の重量%は、合計で、乳剤プレミックスの100重量%である。様々な実施形態について、アクリレート系コポリマーは、50~150万の重量平均分子量を有する。
【0009】
本開示は、タンクミックス添加剤濃縮物も提供し、タンクミックス添加剤濃縮物は、本明細書に記載の農薬乳剤の全ての構成成分を含むが、水系農薬組成物は含まない。具体的には、タンクミックス添加剤濃縮物は、乳剤プレミックス濃縮物およびアクリレート系コポリマーを含み、タンクミックス添加剤濃縮物は、乳剤プレミックス濃縮物のアクリレート系コポリマーに対する1:1~1:10の重量比を有する。タンクミックス添加剤濃縮物は、水系農薬組成物中で希釈すると農薬乳剤を形成する。本明細書で述べるように、乳剤プレミックス濃縮物は、40~70重量%のアルキレングリコールエーテル、10~40重量%の植物油、および界面活性剤を含み、界面活性剤の重量%は、植物油の重量%の0.5~2倍の重量%であり、乳剤プレミックス濃縮物の重量%値は、乳剤プレミックス濃縮物の総重量に基づき、アルキレングリコールエーテル、植物油、および界面活性剤の重量%は、合計で、乳剤プレミックス濃縮物100重量%である。前述のように、アクリレート系コポリマーは、50~150万の重量平均分子量を有する。
【0010】
農薬乳剤またはタンクミックス添加剤の様々な実施形態について、アクリレート系コポリマーは、モノマー(A)、(B)および(C)で形成されたアクリレート系ランダムコポリマーであり、モノマー(A)は、α、βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーであり、モノマー(B)は、非イオン性の共重合性α、βエチレン性不飽和モノマーであり、モノマー(C)は、疎水的に改質されたα、βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーである。様々な実施形態について、モノマー(A)、(B)および(C)のアクリレート系ランダムコポリマーは、30~60重量%のモノマー(A)、30~50重量%のモノマー(B)、および0~15重量%のモノマー(C)で形成され、重量%は、アクリレート系ランダムコポリマーの総重量に基づき、およびモノマー(A)、(B)、および(C)は、合計で100重量%である。好ましくは、モノマー(A)は、メタクリル酸またはアクリル酸であり、モノマー(B)は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、またはアクリル酸ブチルであり、モノマー(C)は、メタクリル化アルキルEO/POエステルである。
【0011】
農薬乳剤またはタンクミックス添加剤の様々な実施形態について、アルキレングリコールエーテルは、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。農薬乳剤またはタンクミックス添加剤のための一実施形態では、アルキレングリコールエーテルは、ジプロピレングリコールメチルエーテルである。
【0012】
農薬乳剤またはタンクミックス添加剤の様々な実施形態について、植物油は、アーモンド油、カノーラ油、大豆油、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、桐油、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。農薬乳剤またはタンクミックス添加剤の追加の実施形態では、植物油は、メチル化植物油である。農薬乳剤またはタンクミックス添加剤の様々な実施形態について、界面活性剤は、リン酸エステル界面活性剤、高分子界面活性剤、またはそれらの組み合わせであり得る。他の界面活性剤も可能である。様々な実施形態について、水系農薬組成物は、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせを含有する。様々な実施形態について、農薬乳剤は、23℃の温度で測定された5~9.5のpHを有する。様々な実施形態について、タンクミックス添加剤濃縮物は、23℃の温度で測定された5~8のpHを有する。
【0013】
本開示の実施形態は、農薬組成物散布適用中の散布ドリフトを低減する方法も提供し、本明細書で述べたようなタンクミックス添加剤濃縮物を提供することと、タンクミックス添加剤濃縮物を、水系農薬組成物を含む散布タンクに添加して農薬乳剤を形成することと、農薬乳剤を散布器から散布することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ACRYSOL(商標)ASE-60を乳剤1と組み合わせて利用した場合(実施例1)の約100μm未満の液滴の体積の低減と、実施例2に示すように標準ノズルタイプXR8002VSを使用してACRYSOL(商標)TT-615を乳剤1と組み合わせて利用した場合の150μmのカットオフ未満の液滴の体積の低減を示す。
【
図2】ACRYSOL(商標)ASE-60またはACRYSOL(商標)TT-615のいずれかを、空気誘導ノズルタイプAIXR11002VPを使用して乳剤1と組み合わせて利用した場合の、150μmのカットオフ未満の液滴の体積の低減を示す(それぞれ実施例1および実施例2)。
【
図3】0.1および1.0重量%での乳剤1に対する粒子サイズ分布の変化におけるグアーガムの効果を示す(比較例P、比較例Aおよび比較例B)。
【
図4】累積分布ではなく密度分布としての
図3にプロットされた同じデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、農薬製剤における散布ドリフト制御を提供するのに役立つ農薬乳剤の改善を提供する。本発明は、農薬乳剤におけるアクリレート系コポリマーの使用を開示し、アクリレート系コポリマーの存在は、散布ドリフト制御を提供するのに役立つ。本明細書で述べるように、アクリレート系コポリマーは、(a)農薬乳剤を形成する際に使用されるタンクミックス添加剤濃縮物中に存在するか、または(b)農薬乳剤を形成する際に水系農薬組成物と共に乳剤プレミックス濃縮物と一緒に使用される。
【0016】
アクリレート系コポリマーは、同等の条件下での他のレオロジー改質剤の使用と比較して最大45パーセントも、微細液滴(150μmの体積平均直径(VMD)未満の液滴)の形成を低減するのに役立つ農薬乳剤におけるレオロジー改質剤として作用する。農薬製剤に使用される油系乳剤が散布ドリフト(150μmのVMD未満の微細液滴の形成)を低減するのに役立ち得るにもかかわらず、散布ドリフトをさらに低減するのに役立つ農薬乳剤とのアクリレート系レオロジー改質剤の使用が、同等の条件下での油系乳剤の単独の使用または他のレオロジー改質剤の使用と比較して、このような微細液滴形成の有意な低減を提供するとは予想されなかったため、この結果は驚くべきことである。
【0017】
本開示の実施形態は、乳剤プレミックス濃縮物、アクリレート系コポリマー、および水系農薬組成物を含む農薬乳剤を含む。上述のように、アクリレート系コポリマーは、散布ドリフト制御を農薬乳剤に提供するのに役立つレオロジー改質剤である。様々な実施形態について、アクリレート系コポリマーは、50~150万の重量平均分子量を有する。好ましくは、アクリレート系コポリマーは、80~120万の重量平均分子量を有する。最も好ましくは、アクリレート系コポリマーは、80~100万の重量平均分子量を有する。様々な実施形態について、重量平均分子量は、ポリスチレン標準品を用いたサイズ排除クロマトグラフィを使用して測定される。
【0018】
本明細書に記載の農薬乳剤に使用されるアクリレート系コポリマーは、性質がアニオン性であり得る。様々な実施形態について、アクリレート系コポリマーは、モノマー(A)、(B)、および(C)で形成されたアクリレート系ランダムコポリマーであり、
(A)は、式Iのα,βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーであり、
【化1】
式中、Rは、Hであり、R
1は、H、C1-C4アルキル、または-CH
2COOXであり、Rは、-COOXであり、R
1は、Hまたは-CH
2COOXであり、Rは、CH
3であり、R
1は、H、C1-C4アルキル、または-CH
2COOXであり、Xは、HまたはC1-C4アルキルであり、
(B)は、式IIの非イオン性の共重合性α,βエチレン性不飽和モノマーであり、
【化2】
式中、R’は、HまたはCH
3であり、R’’は、HまたはCH
3であり、R’ ’ ’は、C1~C4アルキルであり、
(C)は、式IIIの疎水的に改質されたα、βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーであり、
【化3】
式中、Rは、6~22個の炭素原子のアルキル基または8~22個の炭素原子のアルカリルであり、xは、約6~200の平均数であり、yは、約0~50の平均数であり、Aは、次の式を有する不飽和カルボン酸の残基であり、
【化4】
式中、R’は、H、-COOH、またはCH
3であり、R”は、H、CH
3、-COOH、または-CH
2COOHであり、Zは、上記の式IIIに示される疎水性残基である。
【0019】
モノマー(A)、(B)および(C)のアクリレート系ランダムコポリマーは、30~60重量%のモノマー(A)、30~50重量%のモノマー(B)、および0~15重量%のモノマー(C)で形成され、モノマー(A)、(B)、および(C)の重量%は、合計で100重量%である。好ましくは、モノマー(A)、(B)および(C)のアクリレート系ランダムコポリマーは、45~55重量%のモノマー(A)、40~50重量%のモノマー(B)、および8~12重量%のモノマー(C)で形成され、モノマー(A)、(B)、および(C)の重量%は、合計で100重量%である。好ましくは、モノマー(A)は、メタクリル酸またはアクリル酸であり、モノマー(B)は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、またはアクリル酸ブチルであり、モノマー(C)は、メタクリル化アルキルEO/POエステルであり、エチレンオキシド(EO)の重合度の好ましい範囲は、10~30であり、プロピレンオキシド(PO)の好ましい範囲は、0~10である。好ましくは、モノマー(C)のR基は、10~22個の炭素原子のアルキル基である。
【0020】
本明細書で提供されるようなアクリレート系コポリマーは、既知の技術に従って形成することができる。例として、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公報第2012/0129739A1号、米国特許公報第2002/0042448 A1号、米国特許公報第2011/0065836 A1号、米国特許公報第2011/0213072 A1号、米国特許公報第2003/0207988 A1号、米国特許公報第2002/0042448 A1号、米国特許第4,384,096号、米国特許第4,421,902号、米国特許第4,514,552号、米国特許第4,892,916号、米国特許第5,362,415号、米国特許第5,294,692号、米国特許第5,412,142号、および米国特許第6,762,269号、米国特許第8,362,180号に提供されているものが挙げられる。
【0021】
市販のアクリレート系コポリマーの例として、ACRYSOL(商標)ASE-60、ACRYSOL(商標)TT-615、ACRYSOL(商標)DR-106、ACRYSOL(商標)DR-110 ER、ACRYSOL(商標)DR-130、ACRYSOL(商標)TT-935 ER、ACRYSOL(商標)RM-935、ACRYSOL(商標)RM-55、ACULYN(商標)Excel、ACULYN(商標)22、ACULYN(商標)28、ACULYN(商標)38、ACULYN(商標)44、ACULYN(商標)46N、ACULYN(商標)88、ACUSOL(商標)810A、ACUSOL(商標)830、ACUSOL(商標)835、ACUSOL(商標)842、ACUSOL(商標)801S、ACUSOL(商標)805S、ACUSOL(商標)820、およびACUSOL(商標)823が挙げられる。
【0022】
本開示の乳剤プレミックス濃縮物は、40~70重量%のアルキレングリコールエーテル、10~40重量%の植物油、および界面活性剤を含み、界面活性剤の重量%は、植物油の重量%の0.5~2倍の重量%である。好ましくは、乳剤プレミックス濃縮物は、40~65重量%のアルキレングリコールエーテル、15~30重量%の植物油を含み、界面活性剤の重量%は、植物油の重量%の重量%の0.5~1倍の重量%である。最も好ましくは、乳剤プレミックス濃縮物は、45~55重量%のアルキレングリコールエーテル、20~30重量%の植物油を含み、界面活性剤の重量%は、植物油の重量%の0.75~1倍の重量%である。上記実施形態の各々について、重量%値は、乳剤プレミックス濃縮物の総重量に基づき、アルキレングリコールエーテル、植物油、および界面活性剤の重量%は、合計で、乳剤プレミックス濃縮物の100重量%である。
【0023】
乳剤プレミックス濃縮物のアルキレングリコールエーテル、植物油、および界面活性剤は、室温(23℃)で混和することができる。乳剤プレミックス濃縮物は、0~50℃の範囲の温度で保存することもできる。様々な実施形態について、乳剤プレミックス濃縮物は、23℃の温度で測定された5~8のpHを有し得る。
【0024】
様々な実施形態について、アルキレングリコールエーテルは、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、アルキレングリコールエーテルは、ジプロピレングリコールメチルエーテルである。好ましくは、アルキレングリコールエーテルは、水溶性である。
【0025】
様々な実施形態について、植物油は、例えば、アーモンド油、カノーラ油、大豆油、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、桐油、またはそれらの組み合わせなどの、植物油または種油である。農薬乳剤またはタンクミックス添加剤の追加の実施形態では、植物油は、メチル化植物油である。
【0026】
様々な実施形態について、乳剤プレミックス濃縮物の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および/または両性界面活性剤から選択され得る。非イオン性界面活性剤の例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセロールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルカンジオール、ならびにポリオキシエチレンおよび脂肪酸エステルのコポリマーが挙げられる。
【0027】
カチオン性界面活性剤の例として、ドデシルアミン塩酸塩などのアルキルアミン塩酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、およびジアルキルモルホリニウム塩などのアルキル第4級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ならびにポリアルキルビニルピリジニウム塩が挙げられる。
【0028】
アニオン性界面活性剤の例として、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボキシレートナトリウムなどのエーテルカルボキシレートナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウムおよびN-ラウロイルグルタメートナトリウムなどの高級脂肪酸のアミノ酸縮合物、高級アルキルスルホネートおよびラウリン酸エステルスルホン酸塩などの高級脂肪酸エステルスルホネート、ジオクチルスルホサクシネートなどのジアルキルスルホサクシネート、オレイン酸アミドスルホン酸などの高級脂肪酸アミドスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネートナトリウムおよびジイソプロピルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート、アルキルアリールスルホネートおよびペンタデカン-2-サルフェートのホルマリン縮合物などの高級アルコール硫酸エステル塩、ジポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸エステルなどのポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、スチレン-マレイン酸コポリマー、リグニンスルホネート、ならびにポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテルリン酸エステル塩が挙げられる。
【0029】
両性界面活性剤の例として、N-ラウリルアラニン、N,N,N-トリメチルアミノプロピオン酸、N,N,N-トリヒドロキシエチルアミノプロピオン酸、N-ヘキシル-N,N-ジメチルアミノ酢酸、1-(2-カルボキシエチル)ピリジニウムベタイン、およびレシチンが挙げられる。
【0030】
上記界面活性剤のうち、リン酸エステル界面活性剤、高分子界面活性剤、またはそれらの組み合わせが好ましい。リン酸エステル界面活性剤の例として、Croda International Plcから市販されている、商品名Atox(商標)、例えばAtox(商標)DP13/6で市販されているものが挙げられる。
【0031】
本明細書で述べるように、農薬乳剤は、0.05~5重量%の乳剤プレミックス濃縮物、0.05~5重量%のアクリレート系コポリマー、および90~99.9重量%の水系農薬組成物を含む。好ましくは、農薬乳剤は、0.07~3重量%の乳剤プレミックス濃縮物、0.07~4重量%のアクリレート系コポリマー、および93~99.86重量%の水系農薬組成物を含む。最も好ましくは、農薬乳剤は、0.1~2重量%の乳剤プレミックス濃縮物、0.1~2重量%のアクリレート系コポリマー、および96~99.8重量%の水系農薬組成物を含む。
【0032】
農薬乳剤は、水系農薬組成物も含む。本明細書で使用される場合、水系農薬組成物は、水系農薬組成物の水に溶解または分散した有効量で農薬としての活性を呈することができる化合物の少なくとも1つを、水の他に含む水ベースの組成物である。様々な実施形態について、水系農薬組成物は、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせを含有する。様々な実施形態について、水系農薬組成物は、0.1重量%~3重量%の除草剤、殺虫剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせを含み得、重量%は、水系農薬組成物の総重量に基づく。水系農薬組成物中に存在する除草剤、殺虫剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせの重量%の他の値も可能である(例えば、0.1重量%未満の値および/または3重量%を超える値)。
【0033】
農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される水系農薬組成物のための除草剤の例として、4-CPA、4-CPB、4-CPP、2,4-D、3,4-DA、2,4-DB、3,4-DB、2,4-DEB、2,4-DEP、3,4-DP、2,4,5-T、2,4,5-TB、2,3,6-TBA、アリドクロル、アセトクロル、アシフルオルフェン、アクロニフェン、アラクロール、アロキシジム、アロラック、アメトリジオン、アメトリン、アミブジン、アミカルバゾン、アミドスルフロン、アミノシクロピラクロル、アミノピラリド、アミノピラリド、アミプロフォスメチル、アミトロール、アニロホス、アニスロン、アスラム、アスラム、アトラトン、アトラジン、アザフェニジン、アジムスルフロン、アジプロトリン、バーバン、BCPC、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンカルバゾン、ベンフルラリン、ベンフレセート、ベンスルフロン、ベンスリド、ベンタゾン、ベンザドックス、ベンズフェンジゾン、ベンジプラム、ベンゾビシクロン、ベンゾフェナップ、ベンゾフルオル、ベンゾイルプロップ、ベンズチアズロン、ビシクロピロン、ビフェノックス、ビアラホス、ビアラホス、ビスピリバック、ブロマシル、ブロモボニル、ブロモブチド、ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、ブロムピラゾン、ブタクロール、ブタフェナシル、ブタミホス、ブテナクロール、ブチダゾール、ブチウロン、ブトラリン、ブトロキシジム、ブツロン、ブチレート、カフェンストロール、カフェンストロール、カンベンジクロル、カルバスラム、カルバスラム、カルベタミド、カルボキサゾールクロルプロカルブ、カルフェントラゾン、CDEA、CEPC、クロメトキシフェン、クロランベン、クロラノクリル、クロラジホップ、クロラジン、クロルブロムロン、クロルブファム、クロレツロン、クロルフェナック、クロルフェンプロップ、クロルフルラゾール、クロルフルレノール、クロリダゾン、クロリムロン、クロルニトロフェン、クロロポン、ロロトルロン、クロロクスロン、クロロキシニル、クロルプロファム、クロルスルフロン、クロルタール、クロルチアミド、シニドンエチル、シンメチリン、シノスルフロン、シサニリド、クレトジム、クリオジナート、クロジナホップ、クロホップ、クロマゾン、クロメプロップ、クロメプロップ、クロプロップ、クロプロキシジム、クロピラリド、クロピラリド、クロランスラム、CPMF、CPPC、クレダジン、クミルロン、シアナトリン、シアナジン、シクロエート、シクロスルファムロン、シクロキシジム、シクルロン、シハロホップ、シペルコート、シプラジン、シプラゾール、シプロミッド、ダイムロン、ダラポン、ダゾメット、デラクロル、デスメディファム、デスメトリン、ダイアレート、ジカンバ、ジクロベニル、ジクロラルウレア、ジクロメート、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ-P、ジクロホップ、ジクロスラム、ジエタムコート、ジエタチル、ジフェノペンテン、ジフェノキスロン、ジフェンゾコート、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジメフロン、ジメピペレート、ジメタクロール、ジメタメトリン、ジメテナミド、ジメテナミド-P、ジメキサノ、ジミダゾン、ジニトロアミン、ジニトロアミン、ジノフェナート、ジノプロップ、ジノサム、ジノセブ、ジノテルブ、ジフェナミド、ジプロペトリン、ジクワット、ジスル、ジチオピル、ジウロン、DMPA、DNOC、EBEP、エグリナジン、エンドタール、エプロナズ、エプロナズ、EPTC、エルボン、エスプロカルブ、エタルフルラリン、エタメツルフロン、エチジムロン、エチオラート、エトフメセート、エトキシフェン、エトキシスルフロン、エチノフェン、エトニプロミド、エトニプロミド、エトニプロミド、エトベンザニド、EXD、フェナスラム、フェナスラム、フェナスラム、フェノプロップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ-P、フェノキサスルホン、フェノキサスルホン、フェンチアプロップ、フェントラザミド、フェヌロン、フラムプロップ、フラムプロップ-M、フラザスルフロン、フロラスラム、フルアジホップ、フルアジホップ-P、フルアゾレート、フルカルバゾン、フルセトスルフロン、フルクロラリン、フルフェナセット、フルフェニカン、フルフェンピル、フルメツラム、フルメジン、フルミクロラック、フルミオキサジン、フルミプロピン、フルオメツロン、フルオロジフェン、フルオログリコフェン、フルオロミジン、フルオロニトロフェン、フルオチウロン、フルポキサム、フルポキサム、フルプロパシル、フルプロパネート、フルピルスルフロン、フルリドン、フルオロクロリドン、フルオロキシピル、フルルタモン、フルチアセット、ホメサフェン、ホメサフェン、ホラムスルフロン、ホサミン、フリロキシフェン、グルホシネート、グリホサート、ハラウキシフェン、ハロサフェン、ハロサフェン、ハロスルフロン、ハロキシジン、ハロキシホップ、ハロキシホップ-P、ヘキサジノン、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、インダノファン、インダジフラム、ヨードボニル、ヨードスルフロン、アイオキシニル、イパジン、イプフェンカルバゾン、イプリミダム、イソカルバミド、イソシル、イソメチオジン、イソノルロン、イソポリネート、イソプロパリン、イソプロツロン、イソウロン、イソキサベン、イソキサクロルトール、イソキサフルトール、イソキサピリホップ、カルブチラート、ケトスピラドックス、ラクトフェン、レナシル、リニュロン、MCPA、MCPA-チオエチル、MCPB、メコプロップ、メコプロップ-P、メジノテルブ、メフェナセット、メフルイジド、メソプラジン、メソスルフロン、メソトリオン、メタム、メタミホップ、メタミホップ、メタミトロン、メタザクロール、メタゾスルフロン、メトフルラゾン、メタベンズチアズロン、メタルプロパリン、メタゾール、メチオベンカルブ、メチオゾリン、メチウロン、メチウロン、メトメトン、メトプロトリン、メチルダイムロン、メトベンズロン、メトブロムロン、メトラクロール、S-メトラクロール、メトスラム、メトクスロン、メトリブジン、メトスルフロン、モリネート、モナリド、モニソウロン、モノクロロ酢酸、モノリニュロン、モニュロン、モルファンコート、ナプロアニリド、ナプロパミド、ナプタラム、ネブロン、ニコスルフロン、ニピラクロフェン、ニトラリン、ニトロフェン、ニトロフルオルフェン、ノルフルラゾン、ノルロン、OCH、オルベンカルブ、オルトスルファムロン、オリザリン、オリザリン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサピラゾン、オキサスルフロン、オキサジクロメフォン、オキシフルオルフェン、パラフルオロン、パラコート、ペブレート、ペラルゴン酸、ペンジメタリン、ペノキススラム、ペンタノクロル、ペントキサゾン、ペルフルイドン、ペトキサミド、フェニソファム、フェンメディファム、フェンメディファム-エチル、フェノベンズロン、ピクロラム、ピクロラム、ピコリナフェン、ピコリナフェン、ピノキサデン、ピペロホス、プレチラクロール、プリミスルフロン、プロシアジン、プロジアミン、プロジアミン、プロフルアゾール、プロフルラリン、プロフォキシジム、プログリナジン、プロメトン、プロメトリン、プロパクロール、プロパニル、プロパキザホップ、プロパジン、プロファム、プロピソクロール、プロポキシカルバゾン、プロピリスルフロン、プロピザミド、プロスルファリン、プロスルホカルブ、プロスルフロン、プロキサン、プリナクロール、ピダノン、ピラクロニル、ピラフルフェン、ピラスルホトール、ピラゾレート、ピラゾスルフロン、ピラゾキシフェン、ピリベンゾキシム、ピリブチカルブ、ピリクロール、ピリダフォール、ピリデート、ピリフタリド、ピリミノバック、ピリミスルファン、ピリチオバック、ピロキサスルホン、ピロクススラム、キンクロラック、キンメラック、キノクラミン、キノナミド、キザロホップ、キザロホップ-P、ロデタニル、リムスルフロン、セブチルアジン、セクブメトン、セトキシジム、シデュロン、シマジン、シメトン、シメトリン、スルコトリオンスルファレート、スルフェントラゾン、スルホメツロン、スルホスルフロン、スルグリカピン、スエップ、テブタム、テブチウロン、テフリルトリオン、テムボトリオン、テプラロキシジム、ターバシル、テルブカルブ、テルブクロール、テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、テトラフルオロン、テニルクロール、アザフルロン、チアゾピルおよびトリクロピル、チジアジミン、チジアズロン、チジアズロン、チエンカルバゾン-メチル、チフェンスルフロン、チオベンカルブ、チオカルバジル、チオクロリム、トプラメゾン、トラコキシジム、トリアレート、トリアスルフロン、トリアジフラム、トリベヌロン、トリカンバ、トリジファン、トリエタジン、トリフロキシスルフロン、トリフルラリン、トリフルスルフロン、トリホップ、トリホプシム、トリヒドロキシトリアジン、トリメツロン、トリプロピンダン、トリタック、トリトスルフロン、バーナレート、キシラクロール、ならびに以下の式の化合物、
【化5】
式中、Arは、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
2-C
4アルコキシアルキル、C
2-C
6アルキルカルボニル、C
1-C
6アルキルチオ、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ハロアルコキシ、C
2-C
4ハロアルコキシアルキル、C
2-C
6ハロアルキルカルボニル、C
1-C
6ハロアルキルチオ、-OCH
2CH
2-,-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2O-、または-OCH
2CH
2O-から独立して選択される、1~4個の置換基で置換されたフェニル基を表し、Rは、HまたはFを表し、Xは、Clまたはビニルを表し、Yは、Cl、ビニル、またはメトキシを表し、例えば、米国特許第7,314,849 B2号、米国特許第7,300,907 B2号、米国特許第7,786,044 B2号、および米国特許第7,642,220 B2号で開示されるようなその塩およびエステル、のうちの1つ以上が挙げられる。
【0034】
農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される水系農薬組成物のための好適な除草剤には、2,4-D、2,4-DB、アミノシクロピラクロル、アミノピラリド、クロピラリド、ジカンバ、フルオロキシピル、ハラウキシフェン、MCPA、MCPB、ピクロラムまたはトリクロピル、アセトクロル、アトラジン、ベンフルラリン、クロランスラム、シハロホップ、ジクロスラム、ジチオピル、エタルフルラリン、フロラスラム、フルメツラム、グルホシネート、グリホサート、ハロキシホップ、イソキサベン、MSMA、オリザリン、オキシフルオルフェン、ペンジメタリン、ペノキススラム、プロパニル、ピロクススラム、キザロホップ、テブチウロン、トリフルラリン、および以下の式の化合物
【化6】
ならびにそのC
1-C
12アルキルまたは例えば、ベンジルエステルなどのC
7-C
12アリールアルキルエステルまたは塩誘導体などの、オーキシン除草剤が含まれる。
【0035】
農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される水系農薬組成物で有用な特に好適な除草剤には、例えば、クロピラリド、トリクロピル、2,4-D、2,4-DB、MCPA、MCPB、アミノシクロピラクロル、ジカンバ、アミノピラリド、ピクロラム、またはそれらの組み合わせなどのオーキシン除草剤が含まれる。本明細書に記載の殺虫薬散布混合物適用中の散布ドリフトを低減するための方法は、グリホサート、2,4-D、トリクロピル、ジカンバ、またはそれらの組み合わせを含有する散布混合物などの、敏感な作物の周りの制限された適用にさらされる除草剤の適用に特に有用である。
【0036】
農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される水系農薬組成物のための殺虫剤の例として、アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アセチオン、アセトプロール、アクリナトリン、アラニカルブ、アルジカルブ、アルドキシカルブ、アレスリン、アロサミジン、アリキシカルブ、アミジチオン、アミノカルブ、アミトン、アミトラズ、アナバシン、アチダチオン、アザジラクチン、アザメチホス、アジンホス-エチル、アジンホス-メチル、アゾトエート、バルトリン、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ベンスルタップ、ビフェントリン、ビオアレスリン、ビオエタノメトリン、ビオペルメトリン、ビオレズメトリン、ビストリフルオロン、ブロムフェンビンホス、ブロモホス、ブロモホス-エチル、ブフェンカルブ、ブプロフェジン、ブタカルブ、ブタチオホス、ブトカルボキシム、ブトナート、ブトキシカルボキシム、カズサホス、カーバノレート、カルバリル、カルボフラン、カルボフェノチオン、カルボスルファン、カルタップ、クロルアントラニリプロール(リナキシピル)、クロルジメホルム、クロルエトキシホス、クロルフェナピル、クロルフェンビンホス、クロルフルアズロン、クロルメホス、クロルホキシム、クロルピリホス、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロルチオホス、クロマフェノジド、シネリンI、シネリンII、シネリン、シスメトリン、クロエトカルブ、クロサンテル、クロチアニジン、クマホス、クミトエート、クロタミトン、クロトキシホス、クルホメート、シアノフェンホス、シアノホス、シアントエート、シアントラニリポール、サイアジピル、シクレトリン、シクロプロトリン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、シータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、シフェノトリン、シロマジン、シチオエート、デカルボフラン、デルタメトリン、デメフィオン、デメフィオン-O、デメフィオン-S、デメトン、デメトン-メチル、デメトン-O、デメトン-O-メチル、デメトン-S、デメトン-S-メチル、デメトン-S-メチルスルホン、ジアフェンチウロン、ジアリホス、ジアリホス、ジアジノン、ジカプトン、ジクロフェンチオン、ジクロルボス、ジクレシル、ジクロトホス、ジシクラニル、ジフルベンズロン、ジメフルトリン、ジメフォックス、ジメトエート、ジメトリン、ジメチルビンホス、ジメチラン、ジミタン、ジネックス、ジノプロップ、ジノサム、ジノテフラン、ジオフェノラン、ジオキサベンゾホス、ジオキサカルブ、ジオキサチオン、ジスルホトン、ジチクロホス、DNOC、ドラメクチン、α-エクジソン、エクジステロン、エマメクチン、EMPC、エンペントリン、エンドチオン、EPN、エポフェノナン、エプリノメクチン、エスフェンバレレート、エタホス、エチオフェンカルブ、エチオン、エチプロール、エトエート-メチル、エトプロホス、エトフェンプロックス、エトリムホス、EXD、ファムフール、フェナミホス、フェナザフロル、フェナザキン、フェンクロルホス、フェネタカルブ、フェンフルトリン、フェニトロチオン、フェノブカルブ、フェノキサクリム、フェノキシカルブ、フェンピリトリン、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェンチオン-エチル、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルベンジアミド、フルコフロン、フルシクロクスロン、フルシトリネート、フルフェネリム、フルフェノクスロン、フルフェンプロックス、フルバリネート、タウ-フルバリネート、ホノホス、ホルメタネート、ホルモチオン、ホルムパラナート、ホスメチラン、ホスピレート、ホスチエタン、フラチオカルブ、フレトリン、ハルフェンプロックス、ハロフェノジド、ヘプテノホス、ヘテロホス、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、ヒドロプレン、ヒキンカルブ、イミシアホス、イミダクロプリド、イミダクロプリド、イミプロトリン、インドキサカルブ、IPSP、イザゾホス、イソカルボホス、イソフェンホス、イソプロカルブ、イソプロチオラン、イソチオエート、イソキサチオン、イベルメクチン、ジャスモリンI、ジャスモリンII、ジョドフェンホス、幼若ホルモンI、幼若ホルモンII、幼若ホルモンIII、キノプレン、レピメクチン、レプトホス、d-リモネン、リリムホス、ルフェヌロン、リチダチオン、マラチオン、マロノベン、マジドックス、メカルバム、メカルホン、メナゾン、メホスホラン、メスルフェンホス、メタフルミゾン、メタクリホス、メタミドホス、メチダチオン、メチオカルブ、メトクロトホス、メトミル、メトプレン、メトキシフェノジド、メトフルトリン、メトルカルブ、メトキサジアゾン、メビンホス、メキサカルベート、ミルベメクチン、ミルベマイシンオキシム、ミパフォックス、モノクロトホス、モルホチオン、モキシデクチン、ナフタロホス、ナレド、ニコチン、ニフルリジド、ニテンピラム、ニテンピラム、ニチアジン、ニトリラカルブ、ノバルロン、ノビフルムロン、オメトエート、オキサミル、オキシデメトン-メチル、オキシデプロホス、オキシジスルホトン、パラチオン、パラチオン-メチル、ペンフルオロン、ペルメトリン、フェンカプトン、フェノトリン、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスホラン、ホスメット、ホスメット、ホスニクロール、ホスファミドン、ホキシム、ホキシム-メチル、ピリメタホス、ピリミカルブ、ピリミホス-エチル、ピリミホス-メチル、プラレスリン、プレコセンI、プレコセンII、プレコセンIII、プリミドホス、プロフェノホス、プロフルトリン、プロマシル、プロメカルブ、プロパホス、プロペタンホス、プロポクサー、プロチダチオン、プロチオホス、プロトエート、プロトリフェンビュート、ピラクロホス、ピラフルプロール、ピラゾホス、ピレスメトリン、ピレトリンI、ピレトリンII、ピレトリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリダフェンチオン、ピリフルキナゾン、ピリミジフェン、ピリミテート、ピリプロール、ピリプロキシフェン、カシア、キナルホス、キナルホス-メチル、キノチオン、ラフォキサニド、レスメトリン、ロテノン、リアニア、サバジラ、シュラーダン、セラメクチン、シラフルオフェン、ソファミド、スピネトラム、スピノサド、21-ブテニルスピノシン、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマット、スルコフロン、スルホテプ、スルホキサフロル、スルプロホス、テジンカルブ、テブフェノジド、テブフェンピラド、テブピリムホス、テフルベンズロン、テフルトリン、テメホス、TEPP、テラレトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、テトラメトリン、テトラメトリン、チアクロプリド、チアメトキサム、チクロホス、チオカルボキシム、チオシクラム、チオジカルブ、チオファノックス、チオメトン、チオスルタップ、チューリンゲンシン、トルフェンピラド、トラロメトリン、トランスフルトリン、トランスペルメトリン、トリアラテン、トリアザメート、トリアゾホス、トリクロルホン、トリクロロメタホス-3、トリクロロネート、トリフェノホス、トリフルムロン、トリメタカルブ、トリプレン、バミドチオン、バニリプロール、XMC、キシリルカルブ、およびゾラプロホスのうちの1つ以上が挙げられる。特に好適な殺虫剤活性成分およびその誘導体には、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロチアニジン、サイアジピル、ラムダ-シハロトリン、デルタメトリン、ジノテフラン、フロニカミド、フルベンジアミド、イミダクロプリド、リナキシピル、スピネトラム、スピノサド、21-ブテニルスピノシン、スルホキサフロル、およびチアクロプリドが含まれる。
【0037】
農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される水系農薬組成物のための好適な殺虫剤には、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、ガンマ-シハロトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、スルホキサフロル、スピノサド、スピネトラム、およびテブフェノジドが含まれる。
【0038】
農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される水性農薬組成物のための殺菌剤の例として、アメトクトラジン、アミスルブロム、アンプロピルホス、アニラジン、アンチマイシン、アザコナゾール、アジチラム、アゾキシストロビン、バリウムポリサルファイド、Bayer32394、ベナラキシル、ベノダニル、ベノミル、ベンキノックス、ベンタルロン、ベンチアバリカルブ-イソプロピル、ベンザマクリル、ベンザマクリル-イソブチル、ベンザモルフ、ベンジルアミノベンゼン-スルホネート(BABS)塩、ビナパクリル、ビフェニル、ビスメルチアゾール、ビテルタノール、ビキサフェン、ブラストサイジン-S、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブチオベート、BYF1047、カプタホール、キャプタン、カルバモルフ、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、CECA、クロベンチアゾン、クロラニホルメタン、クロルフェナゾール、1-クロロ-2,4-ジニトロナフタレン、クロロネブ、クロロタロニル、クロルキノックス、クロゾリネート、クリンバゾール、銅ビス(3-フェニルサリチレート)、クマリン、クプロバム、シアゾファミド、シクラフラミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シペンダゾール、シプロコナゾール、シプロジニル、シプロフラム、ダゾメット、デバカルブ、デカフェンチン、二アンモニウムエチレンビス(ジチオカルブ-メート)、ジクロフルアニド、ジクロン、ジクロラン、3-(4-クロロフェニル)-5-メチルロダニン、ジクロロフェン、(RS)-N-(3,5-ジクロロフェニル)-2-(メトキシメチル)-スクシンイミド、N-3,5-ジクロロフェニルスクシンイミド、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラフルオロアセトン水和物、ジクロロゾリン、ジクロブタゾール、ジクロシメット、ジクロメジン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフェンゾコートイオン、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、ジノキャップ、ジノクトン、ジノスルホン、ジノテルボン、ジフェニルアミン、ジピリチオン、ジタリンホス、ジチアノン、ドデモルフ、酢酸ドデモルフ、ドジシン、ドジン、ドジン遊離塩基、ドラゾキソロン、EBP、エジフェンホス、エネストロビン、エポキシコナゾール、ESBP、エタコナゾール、エテム、エサボクサム、エチリム、エトキシキン、N-エチルメルクリオ-4-トルエンスルホンアニリド、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナミノスルフ、フェナパニル、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェニトロパン、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンピラザミン、フェンチン、酢酸フェンチン、水酸化フェンチン、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルモルフ、フルオピコリド、フルオピラム、フルオロイミド、フルオトリマゾール、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアホール、フラクサピラド、フォルペット、ホルムアルデヒド、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、フルカルバニル、フルコナゾール、フルコナゾール-シス、フルメシクロックス、フロファネート、グリオジン、グリセオフルビン、グアザチン、酢酸グアザチン、GY-81、ハラクリネート、2-(2-ヘプタデシル-2-イミダゾリン-1-イル)エタノール、ヘラクレス3944、ヘキサコナゾール、ヘキシルチオホス、8-ヒドロキシキノリンサルフェート、ヒメキサゾール、ICIA0858、IK-1140、イミベンコナゾール、イミノオクタジン、イミノオクタジントリアセテート、イミノオクタジントリス(アルベシレート)、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソパンホス、イソプロチオラン、イソピラザム、イソチアニル、イソバレディオン、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩水和物、クレソキシム-メチル、マンコッパー、マンコゼブ、マンジプロパミド、マンネブ、メベニル、メカルビンジド、メフェノキサム、メパニピリム、メプロニル、メプチルジノキャップ、メプチルジノキャップ、メタラキシル、メタゾキソロン、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メトフロキサム、メチル水銀ジシアンジアミド、メチラム、メトミノストロビン、メトラフェノン、メトスルホバックス、ミルジオマイシン、ミルネブ、塩酸ムコクロル酸、ミクロブタニル、ミクロゾリン、ナバム、ナタマイシン、ニッケルビス(ジメチルジチオカルバメート)、N-3-ニトロフェニルイタコンイミド、ニトロタールイソプロピル、ヌアリモル、OCH、オクチリノン、オフラセ、オリサストロビン、オキサジキシル、オキシン銅、オキスポコナゾールフマル酸塩、オキシカルボキシン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンフルフェン、ペンタクロロフェノール、ラウリン酸ペンタクロロフェニル、ペンチオピラド、2-フェニルフェノール、ホスジフェン、フタリド、ピコキシストロビン、ポリオキシンB、ポリオキシン、ポリオキソリム、ヒドロキシキノリン硫酸カリウム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオカルブ、塩酸プロチオカルブ、プロチオコナゾール、ピラカルボリド、ピラクロストロビン、ピラキソストロビン、ピラゾホス、ピリベンカルブ、ピリブチカルブ、ピリジニトリル、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピリオフェノン、ピロメトストロビン、ピロキロン、ピロキシクロル、ピロキシフル、キナセトール、キナセトールスルフェート、キナザミド、キンコナゾール、キノクラミン、キノキシフェン、キントゼン、ラベンザゾール、オオイタドリ抽出物、サリチルアニリド、セダキサン、シルチオファム、シメコナゾール、2-フェニルフェノキシドナトリウム、ペンタクロロフェノキシドナトリウム、スピロキサミン、SSF-109、スルトロペン、SYP-048、SYP-Z048、SYP-Z071、テブコナゾール、テブフロキン、テクナゼン、テコラム、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チアジフルオル、チキオフェン、チフルザミド、チオクロルフェンフィム、2-(チオシアナトメチルチオ)-ベンゾチアゾール、チオファネート、チオファネート-メチル、チオキノックス、チラム、チアジニル、チオキシミド、トルクロホス-メチル、トリルフルアニド、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリアミホス、トリアリモール、トリアズブチル、トリアゾキシド、トリクラミド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリフォリン、トリチコナゾール、UK-2A、UK-2Aの誘導体、例えば、CAS登録番号が328255-92-1である(3S,6S,7R,8R)-8-ベンジル-3-(3-(イソブチリルオキシメトキシ)-4-メトキシピコリナミド)-6-メチル-4,9-ジオキソ-1,5-ジオキソナン-7-イルイソブチレート、ウルバシド、バリダマイシン、バリフェネート、バリフェナール、ビンクロゾリン、XRD-563、ザリラミド、ジネブ、ジラム、およびゾキサミドが挙げられる。
【0039】
農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される水系農薬組成物のための好適な殺菌剤には、アゾキシストロビン、ビキサフェン、ボスカリド、カルベンダジム、カルプロパミド、クロロタロニル、UK-2Aの誘導体、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フルオキサストロビン、フルシラゾール、フルキサピラド、イソピラザム、イソチアニル、カスガマイシン、マンコゼブ、メプチルジノキャップ、メトコナゾール、メトラフェノン、ミクロブタニル、オリサストロビン、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、ピコキシストロビン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、キノキシフェン、スピロキサミン、テブコナゾール、チフルザミド、トリアジメフォン、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、およびバリダマイシンが含まれる。
【0040】
農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される水系農薬組成物のための除草剤解毒剤の例として、ベノキサコール、ベンチオカーブ、クロキントセット、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジメピペレート、フェンクロラゾール、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、フリラゾール、ハーピンタンパク質、イソキサジフェン、メフェンピル、メフェネート、MG191、MON4660、ナフタル酸無水物(NA)、オキサベトリニル、R29148、TI-35、およびN-フェニル-スルホニル安息香酸アミドが挙げられる。
【0041】
農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される水系農薬組成物のための好適な除草剤解毒剤には、クロキントセット、フルラゾール、フリラゾール、イソキサジフェン、メフェンピル、およびTI-35が含まれる。
【0042】
本開示の農薬乳剤は、23℃の温度で測定された5~9.5のpHを有する。農薬乳剤のpHの改質は、典型的には、塩酸、硫酸、および/もしくはリン酸などの酸、または水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、および/もしくは水酸化カリウムなどの塩基を使用して行われて、本開示の農薬乳剤にpH調整を行う。
【0043】
本開示は、タンクミックス添加剤濃縮物も提供し、タンクミックス添加剤濃縮物は、本明細書に記載の農薬乳剤の全ての構成成分を含むが、水系農薬組成物は含まない。具体的には、タンクミックス添加剤濃縮物は、乳剤プレミックス濃縮物およびアクリレート系コポリマーを含み、タンクミックス添加剤濃縮物は、乳剤プレミックス濃縮物のアクリレート系コポリマーに対する1:1~1:10の重量比を含み、タンクミックス添加剤濃縮物は、水系農薬組成物中で希釈すると農薬乳剤を形成する。好ましくは、タンクミックス添加剤濃縮物は、乳剤プレミックス濃縮物のアクリレート系コポリマーに対する1:1~1:5の重量比を含む。最も好ましくは、タンクミックス添加剤濃縮物は、乳剤プレミックス濃縮物のアクリレート系コポリマーに対する1:1~1:2.5の重量比を含む。
【0044】
様々な実施形態について、タンクミックス添加剤濃縮物は、23℃の温度で測定された5~8のpHを有する。タンクミックス添加剤濃縮物のpHの改質は、塩酸、硫酸、および/もしくはリン酸などの酸、または水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、および/もしくは水酸化カリウムなどの塩基を使用して行われて、本開示のタンクミックス添加剤にpH調整を行う。
【0045】
タンクミックス添加剤濃縮物は、農薬乳剤について本明細書で述べたように、40~70重量パーセント(重量%)のアルキレングリコールエーテル、10~40重量%の植物油、および界面活性剤を有する乳剤プレミックス濃縮物を含み、界面活性剤の重量%は、植物油の重量%の0.5~2倍の重量%である。乳剤プレミックス濃縮物の重量%値は、乳剤プレミックス濃縮物の総重量に基づき、アルキレングリコールエーテル、植物油、および界面活性剤の重量%は、合計で、乳剤プレミックスの100重量%である。農薬乳剤について本明細書で述べたアルキレングリコールエーテル、植物油、および界面活性剤の様々な好ましいおよび最も好ましい重量%値は、タンクミックス添加剤濃縮物にも当てはまるため、本明細書では繰り返さない。同様に、農薬乳剤について本明細書で述べたアルキレングリコールエーテル、植物油、および界面活性剤の様々な構成成分の例および量は、タンクミックス添加剤濃縮物にも当てはまる。加えて、アクリレート系コポリマーの例および量は、農薬乳剤について上記で述べたアクリレート系コポリマーの例および量と併せて、タンクミックス添加剤濃縮物にも当てはまる。
【0046】
様々な実施形態について、タンクミックス添加剤濃縮物は、水系農薬組成物中で希釈すると農薬乳剤を形成する。例えば、タンクミックス添加剤濃縮物は、本明細書で述べるように、水系農薬組成物中で希釈すると、本明細書で述べるように、農薬乳剤を形成する。本明細書に記載のタンクミックス添加剤濃縮物は、水系農薬組成物(例えば、水ベースの溶液)中で1~2000倍に希釈されて、本明細書で述べるように、農薬乳剤を形成し得る。混合は、大気圧および0℃~50℃の温度で行うことができる。様々な実施形態について、タンクミックス添加剤濃縮物は、水系農薬組成物の添加時に激しく混合せずに、自然発生的に農薬乳剤を形成する。しかしながら、激しい混合は、タンクミックス添加剤濃縮物および水系農薬組成物から農薬乳剤を形成する際に使用することができる。
【0047】
本開示の実施形態は、農薬組成物散布適用中の散布ドリフトを低減するための方法も提供し、本明細書で述べたようなタンクミックス添加剤濃縮物を提供することと、タンクミックス添加剤濃縮物を、水系農薬組成物を含有する散布タンクに添加して農薬乳剤を形成することと、農薬乳剤を散布器から散布することと、を含む。
【0048】
農薬乳剤または水系農薬組成物を用いてタンクミックス添加剤濃縮物を使用して農薬乳剤形成する方法は、同等の条件下での他のレオロジー改質剤の使用と比較して最大45パーセントも微細液滴(150μmのVMD未満の液滴)の量を低減するのに役立つ。この微細液滴の量の低減は、空中散布および地上散布の両方の用途で有益であり得る。
【0049】
前述のように、本開示の農薬乳剤は、散布操作中に、微細液滴(150μmのVMD未満の液滴)の形成における低減を提供する。述べたように、農薬乳剤におけるアクリレート系コポリマーの使用は、同等の条件下での他のレオロジー改質剤の使用と比較して最大45パーセントも微細液滴の形成を低減することによって、散布ドリフト制御を提供するのに役立つ。農薬乳剤におけるアクリレート系コポリマーの使用は、同等の条件下での他のレオロジー改質剤の使用と比較して、より大きな液滴(直径が1mmを超える液滴)の形成を最小限に抑えるのにも役立つ。
【0050】
タンクミックス添加剤濃縮物は、当業者によって容易に認識されるであろう環境条件で好適な容器に保管することができる。
【0051】
本開示のタンクミックス添加剤濃縮物または農薬乳剤は、任意選択で、1つ以上の追加の互換性のある成分を含有してもよい。また、例えば、殺生物剤、染料、安定剤、香料、相溶化剤、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールエーテル、および/またはエチレングリコールエーテルなどの有機共溶媒、ならびに凝固点降下剤などの機能的有用性を提供する任意の他の成分も、これらのタンクミックス添加剤濃縮物または農薬乳剤に含めてもよい。本明細書に記載の濃縮物および散布溶液における有機共溶媒の使用によって、凝固点降下および/または乳剤安定性の強化がこれらの組成物に提供され得る。
【0052】
本明細書に記載されるような、農薬乳剤に使用され、かつタンクミックス添加剤と使用される乳剤プレミックス濃縮物は、多種多様な望ましくない植物、真菌、または昆虫を制御するために、1つ以上の追加の活性成分と併用して適用され得る。他の有効成分と併用して使用する場合、本発明のタンクミックス添加剤および農薬乳剤は、プレミックス濃縮物として他の活性成分と配合され得るか、散布適用のために他の活性成分とタンクミックスされ得るか、または別々の散布適用で他の活性成分と連続して適用され得る。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、本明細書に記載の組成物および方法の様々な態様を説明するために提示されており、特許請求の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。
【0054】
材料
カノーラ油(Crisco(登録商標)ブランド)-植物油
Atlox(商標)DP13/6(Croda)-リン酸エステル界面活性剤
Atlox(商標)4912(Croda)-高分子界面活性剤
DOWANOL(商標)DPM(The Dow Chemical Company)-アルキレングリコールエーテル
ACRYSOL(商標)ASE-60(The Dow Chemical Company)-酸含有架橋アクリル乳剤コポリマー。
ACRYSOL(商標)TT-615(The Dow Chemical Company)-疎水性アクリル酸エステルモノマーで形成された三級ポリマー。
ACRYSOL(商標)2020-NPR(The Dow Chemical Company)-非イオン性の疎水的に改質されたエチレンオキシドウレタン。
グアーガム(Sigma Aldrich、製品番号G4129)は、グアーまたはガバール豆の胚乳から単離された糖であるガラクトースおよびマンノースから構成される多糖類である。
【0055】
乳剤濃縮物1
乳剤濃縮物1は、200g/kgのカノーラ油、200g/kgのAtlox(商標)DP13/6、25g/kgのAtlox(商標)4912、および575g/kgのDOWANOL(商標)DPMを含有する。室温(23℃)で57.5gのDOWANOL(商標)DPM、20gのカノーラ油、20グラムのAtlox(商標)DP13/6、および2.5gのAtlox(商標)4912を混和して、乳剤濃縮物1を調製する。混和物を軽い振とうまたは磁気撹拌によって混和し、100gの乳剤濃縮物1を提供する。乳剤濃縮物1を脱イオン水中で0.1から1.0重量%の濃度に希釈し、手でゆっくり振とうすることによって乳剤1を調製する。
【0056】
レオロジー改質剤
例えば、表1に示す実施例1~5に示されているレオロジー改質剤を、表1に示す量で乳剤1に添加し、手で軽く振とうして混合する。最終製剤のpHを、濃縮水酸化アンモニウム水溶液(Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州ピッツバーグ)で調整し、これを滴下し、混合物をマグネチックスターラーでかき混ぜた。
【0057】
水中油型乳剤および散布液滴分析
水で希釈して散布溶液を調製する実施例および比較例を表1に示す。表1に示すように、0.5および5mLの実施例および比較例をそれぞれ499.5および495mLの脱イオン水で希釈することによって、0.1および1.0重量%の実施例または比較実施例を含有する水中油型乳剤を調製する。各実施例および比較例のpHを表1に示す値(23℃で測定)に調整する。全ての水中油型乳剤を、各々が均一になるまで手で軽く振とうした。
【0058】
XR8002VSノズル(TeeJet Technologies、米国イリノイ州グレンデールハイツ)を40psi(276kPa)で使用し、AIXR11002VPノズル(TeeJet Technologies、米国イリノイ州グレンデールハイツ)を40psi(276kPa)で使用して、実施例および比較例の水中油型乳剤ならびに対照試料を散布する。R7レンズを備えたSympatec Helos/KF高解像度レーザー回折パーティクルサイザー(Sympatec GmbH、ドイツ、クラウスタールツェラーフェルト)を用いて散布液滴サイズ分布を測定する。Sympatecパーティクルサイザーのレーザービームの経路の12インチ(30.5センチメートル)上にノズルの先端を配置する。表1に示すように、ドリフト可能な微粒子の割合を、150μmの体積平均直径(VMD)未満の散布液滴の体積割合として表す。
【表1】
【表2】
【0059】
図1は、2回の反復実験の平均からのデータを示す。
図1は、ACRYSOL(商標)ASE-60を乳剤1と組み合わせて利用した場合(実施例1)の約100μm未満の液滴の体積の低減と、実施例2に示すように標準ノズルタイプXR8002VSを使用してACRYSOL(商標)TT-615を乳剤1と組み合わせて利用した場合の150μmのカットオフ未満の液滴の体積の低減とを示す。この図はさらに、ACRYSOL(商標)RM-2020NPRが、これらの条件で乳剤1と組み合わせて小さな液滴の体積を低減するのに効果的ではないことを示す(比較例E)。
【0060】
図2は、2回の反復実験の平均からのデータを示す。
図2は、ACRYSOL(商標)ASE-60またはACRYSOL(商標)TT-615のいずれかを、空気誘導ノズルタイプAIXR11002VPを使用して乳剤1と組み合わせて利用した場合の、150μmのカットオフ未満の液滴の体積の低減を示す(それぞれ実施例1および実施例2)。
図2はさらに、ACRYSOL(商標)RM-2020NPRが、これらの条件で乳剤1と組み合わせた小さな液滴の体積を低減するのに効果的ではないことを示す(比較例E)。
【0061】
図3は、0.1および1.0重量%での乳剤1に対する粒子サイズ分布の変化におけるグアーガムの効果を示す(比較例P、比較例A、および比較例B)。
図3は、0.1重量%の乳剤1の場合にグアーガムが約400~500μmを超えるより大きな割合の液滴を有する累積分布も示し、これは、小さな液滴(つまり、150μm未満の液滴)の量が劇的に改善された(つまり少ない)ことも示す(比較例Aおよび比較例B)。
【0062】
最後に、
図4は、累積分布ではなく密度分布としての
図3にプロットされた同じデータを示す。これは、0.1重量%の乳剤1(比較例Aおよび比較例B)の場合に、グアーガムよりも効果的に低液滴サイズおよび高液滴サイズの両方を排除する、より狭く調整された分布としての乳剤技術の利点を明確に示し、1.0重量%の乳剤の場合、150μm未満の小さな液滴の量は同程度であるが、400μmを超える液滴の量は低減している。
【0063】
比較例Bと比べて、実施例1~3では、AIXR11002VPノズルを使用した場合、150μmのカットオフ未満の液滴の体積が、例1は16.5%低減、例2は12.9%低減、および例3は22.4%低減という割合で低減した。加えて、実施例3では、XR8002VSノズルの比較例Bと比べて、150μmのカットオフ未満の液滴の体積が15.8%低減した。
(態様)
(態様1)
農薬乳剤であって、
乳剤プレミックス濃縮物であって、
40~70重量パーセント(重量%)のアルキレングリコールエーテル、
10~40重量%の植物油、および
界面活性剤であって、前記界面活性剤の重量%が、前記植物油の重量%の0.5~2倍の重量%であり、前記重量%値が、前記乳剤プレミックス濃縮物の総重量に基づき、前記アルキレングリコールエーテル、前記植物油、および前記界面活性剤の前記重量%が、合計で、前記乳剤プレミックス濃縮物の100重量%である、界面活性剤、を含む、乳剤プレミックス濃縮物と、
アクリレート系コポリマーであって、前記アクリレート系コポリマーが、50~150万の重量平均分子量を有する、アクリレート系コポリマーと、
水系農薬組成物であって、前記農薬乳剤が、0.05~5重量パーセント(重量%)の前記乳剤プレミックス濃縮物、0.05~5重量%の前記アクリレート系コポリマー、および90~99.9重量%の前記水系農薬組成物を含む、水系農薬組成物と、を含む、農薬乳剤。
(態様2)
前記アクリレート系コポリマーが、モノマー(A)、(B)、および(C)で形成されたアクリレート系ランダムコポリマーであり、モノマー(A)が、α,βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーであり、モノマー(B)が、非イオン性の共重合性α,βエチレン性不飽和モノマーであり、モノマー(C)が、疎水的に改質されたα,βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーである、態様1に記載の農薬乳剤。
(態様3)
モノマー(A)、(B)、および(C)の前記アクリレート系ランダムコポリマーが、30~60重量%のモノマー(A)、30~50重量%のモノマー(B)、および0~15重量%のモノマー(C)で形成され、前記重量%が、前記アクリレート系ランダムコポリマーの総重量に基づき、前記モノマー(A)、(B)、および(C)が、合計で100重量%である、態様2に記載の農薬乳剤。
(態様4)
モノマー(A)が、メタクリル酸またはアクリル酸、モノマー(B)が、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、またはアクリル酸ブチルであり、モノマー(C)が、10~22個の炭素を有する疎水的に改質されたメタクリル化アルキルEO/POエステルである、態様2~3のいずれか一項に記載の農薬乳剤。
(態様5)
前記アルキレングリコールエーテルが、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1~4のいずれか一項に記載の農薬乳剤。
(態様6)
前記アルキレングリコールエーテルが、ジプロピレングリコールメチルエーテルである、態様5に記載の農薬乳剤。
(態様7)
前記植物油が、アーモンド油、カノーラ油、大豆油、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、桐油、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される
、態様1~6のいずれか一項に記載の農薬乳剤。
(態様8)
前記植物油が、メチル化植物油である、態様1~7のいずれか一項に記載の農薬乳剤。
(態様9)
前記界面活性剤が、リン酸エステル界面活性剤、高分子界面活性剤、またはそれらの組み合わせである、態様1~8のいずれか一項に記載の農薬乳剤。
(態様10)
前記水系農薬組成物が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせを含有する、態様1~9のいずれか一項に記載の農薬乳剤。
(態様11)
前記農薬乳剤が、23℃の温度で測定された5~9.5のpHを有する、態様1~10のいずれか一項に記載の農薬乳剤。
(態様12)
タンクミックス添加剤濃縮物であって、
乳剤プレミックス濃縮物であって、
40~70重量パーセント(重量%)のアルキレングリコールエーテル、
10~40重量%の植物油、および
界面活性剤であって、前記界面活性剤の重量%が、前記植物油の重量%の0.5~2倍の重量%であり、
前記乳剤プレミックス濃縮物の前記重量%値が、前記乳剤プレミックス濃縮物の総重量に基づき、前記アルキレングリコールエーテル、前記植物油、および前記界面活性剤の前記重量%が、合計で、前記乳剤プレミックス濃縮物の100重量%である、界面活性剤、を含む、乳剤プレミックス濃縮物と、
アクリレート系コポリマーであって、前記アクリレート系コポリマーが、50~150万の重量平均分子量を有する、アクリレート系コポリマーと、を含み、
前記タンクミックス添加剤濃縮物が、前記アクリレート系コポリマーに対する前記乳剤プレミックス濃縮物の1:1~1:10の重量比を含み、前記タンクミックス添加剤濃縮物が、水系農薬組成物中で希釈すると農薬乳剤を形成する、タンクミックス添加剤濃縮物。
(態様13)
前記アクリレート系コポリマーが、モノマー(A)、(B)、および(C)で形成されたアクリレート系ランダムコポリマーであり、モノマー(A)が、α,βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーであり、モノマー(B)が、非イオン性の共重合性α,βエチレン性不飽和モノマーであり、モノマー(C)が、疎水的に改質されたα,βエチレン性不飽和カルボン酸モノマーである、態様12に記載のタンクミックス添加剤濃縮物。
(態様14)
モノマー(A)、(B)、および(C)の前記アクリレート系ランダムコポリマーが、30~60重量%のモノマー(A)、30~50重量%のモノマー(B)、および0~15重量%のモノマー(C)で形成され、前記重量%が、前記アクリレート系ランダムコポリマーの総重量に基づき、前記モノマー(A)、(B)、および(C)が、合計で100重量%である、態様13に記載のタンクミックス添加剤濃縮物。
(態様15)
モノマー(A)が、メタクリル酸またはアクリル酸、モノマー(B)が、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、またはアクリル酸ブチルであり、モノマー(C)が、メタクリル化アルキルEO/POエステルある、態様13~14のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤濃縮物。
(態様16)
前記アルキレングリコールエーテルが、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル
、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様12~15のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤。
(態様17)
前記アルキレングリコールエーテルが、ジプロピレングリコールメチルエーテルである、態様16に記載のタンクミックス添加剤。
(態様18)
前記植物油が、アーモンド油、カノーラ油、大豆油、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、桐油、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様12~17のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤。
(態様19)
前記植物油が、メチル化植物油である、態様12~18のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤。
(態様20)
前記界面活性剤が、リン酸エステル界面活性剤、高分子界面活性剤、またはそれらの組み合わせである、態様12~19のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤。
(態様21)
前記水系農薬組成物が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせを含有する、態様12~20のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤。
(態様22)
前記タンクミックス添加剤濃縮物が、23℃の温度で測定された5~8のpHを有する、態様12~21のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤。
(態様23)
農薬組成物散布適用中の散布ドリフトを低減する方法であって、
態様12~22のいずれか一項に記載のタンクミックス添加剤濃縮物を提供することと、
前記タンクミックス添加剤濃縮物を、水系農薬組成物を含む散布タンクに添加して農薬乳剤を形成することと、
前記農薬乳剤を散布器から散布することと、を含む、方法。
(態様24)
前記水系農薬組成物が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせを含む、態様23に記載の方法。