(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】紙製蓋付容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/04 20060101AFI20231204BHJP
B65D 3/00 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
B65D43/04
B65D3/00 B
(21)【出願番号】P 2021152848
(22)【出願日】2021-09-21
(62)【分割の表示】P 2016167619の分割
【原出願日】2016-08-30
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】東原 禎人
(72)【発明者】
【氏名】篠原 隆昌
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-137257(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0090776(US,A1)
【文献】特表2007-522045(JP,A)
【文献】実開平02-148914(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/04
B65D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口部を有する紙製の容器本体と、前記容器本体の前記開口部のサイズに合わせて、前記容器本体とは別途、1枚の板紙原紙からプレス成形によって形成される紙製蓋とから構成される、紙製蓋付容器であって、
前記容器本体の前記開口部の外周縁には、縁巻が形成されており、
前記紙製蓋は、
底部と、
前記底部に接続する側壁部と、
前記側壁部に接続し、外方方向に略水平方向に延びるフランジ部と、
前記フランジ部の外周縁に形成された縁巻部とを備え、
前記フランジ部は、前記縁巻部の下端より上方に位置し、
前記フランジ部の水平方向の幅は、前記縁巻部の縁巻径の1/5倍以上1倍以下の大きさに設定されており、
前記容器本体は、前記フランジ部を備えない、紙製蓋付容器。
【請求項2】
前記側壁部は、前記容器本体に被せたときに、前記容器本体の上端よりも下方に延びるサイズを有しており、
前記フランジ部の下面と前記側壁部の外面とがなす角度θが95°以上120°以下である、請求項
1記載の紙製蓋付容器。
【請求項3】
前記フランジ部下端と前記縁巻部下端との距離が前記縁巻部の縁巻径の1/5倍以上1/2倍以下の長さである、請求項1
又は請求項2記載の紙製蓋付容器。
【請求項4】
前記側壁部の高さは、5mm以上12mm以下である、請求項1から請求項
3のいずれかに記載の紙製蓋付容器。
【請求項5】
前記底部は、上方に向かって膨らんだ凸形状の膨出部を備える、請求項1から請求項
4のいずれかに記載の紙製蓋付容器。
【請求項6】
前記底部は、前記側壁部との接続部分と前記膨出部との間において前記側壁部との接続部分から前記膨出部の周縁にかけて略水平に延びる第1の平坦部を備える、請求項
5記載の紙製蓋付容器。
【請求項7】
前記容器本体は、底板及び側板の板紙原紙を組み合わせて接着及びプレス加工することによりなる紙製容器であり、
前記第1の平坦部の幅は、前記紙製容器を構成する前記板紙原紙の厚みの10倍以上20倍以下に設定されている、請求項
6記載の紙製蓋付容器。
【請求項8】
前記膨出部は、中央部において略水平に延びる第2の平坦部を備える、請求項
5から請求項
7のいずれかに記載の紙製蓋付容器。
【請求項9】
平面視における形状が、略円形状、略楕円形状又は略長円形状に形成されている、請求項1から請求項
8のいずれかに記載の紙製蓋付容器。
【請求項10】
前記容器本体は、
底部と、
前記底部の周縁に接続し、上方に延びる側壁部とを備え、
前記縁巻は、前記側壁部の上端において形成される、請求項1から請求項
9のいずれかに記載の紙製蓋付容器。
【請求項11】
前記容器本体の縁巻の幅は、前記紙製蓋の縁巻部の縁巻径よりも小さく、かつ、前記フランジ部の水平方向の幅よりも大きく設定されている、請求項1から請求項
10のいずれかに記載の紙製蓋付容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は容器本体と紙製蓋とから構成される紙製蓋付容器に関し、特に、プレス成形によって形成される紙製蓋付容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軽量かつコスト的に有利な食品の包装容器として、例えばポリプロピレン等の合成樹脂よりなるプラスチック容器が重宝がられている。プラスチック容器は手軽なため、お弁当等の容器としてもよく使用されている。
【0003】
しかしながら、プラスチック容器にはゴミの分別や石油原料の省資源化等の課題があるため、可燃ゴミとして処分でき、石油原料の省資源化を図ることができる紙製容器の採用が進んでいる。
【0004】
そこで、従来、板紙原紙をプレス成形して製造する紙製容器が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。これらの紙製容器は、1枚の板紙原紙をプレス成形してなり、外周縁が縁巻成形されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-43027号公報
【文献】特開平10-71656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの従来技術では、容器本体は、プラスチック製ではなく紙製である一方で、蓋は、依然としてプラスチック製である(例えば、特許文献1の
図16や、特許文献2の
図23参照)。このため、このような従来の蓋付紙製容器は蓋と容器本体とを分別して処分しなければならず、ゴミの分別問題は依然として残ったままである。
【0007】
又、蓋も紙製とすれば、蓋と紙製容器とが同様の質感となるため、包装容器全体としての意匠的な一体感が得られる。
【0008】
このように、蓋も紙製とすることが望まれていたが、紙製の蓋は、特に板紙原紙のプレス成形等で製造する場合、保形性や強度の面で十分でないことがあり、使い勝手がよく実用的なものが提案されてこなかった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、十分な保形性や強度が得られ実用的な紙製蓋付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、上方に開口部を有する紙製の容器本体と、容器本体の開口部のサイズに合わせて、容器本体とは別途、1枚の板紙原紙からプレス成形によって形成される紙製蓋とから構成される、紙製蓋付容器であって、容器本体の開口部の外周縁には、縁巻が形成されており、紙製蓋は、底部と、底部に接続する側壁部と、側壁部に接続し、外方方向に略水平方向に延びるフランジ部と、フランジ部の外周縁に形成された縁巻部とを備え、フランジ部は、縁巻部の下端より上方に位置し、フランジ部の水平方向の幅は、縁巻部の縁巻径の1/5倍以上1倍以下の大きさに設定されており、容器本体は、フランジ部を備えないものである。
【0011】
このように構成すると、縁巻部及びフランジ部により十分な保形性や強度が得られる。又、紙製蓋を容器本体に重ねたときに、紙製蓋の縁巻部の容器本体の外方側への突出度合を極力抑えることができる。更に、縁巻部の内方側にフランジ部と側壁部とにより規定される空間が形成される。更に、蓋と容器の素材の統一を図ることができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、側壁部は、容器本体に被せたときに、容器本体の上端よりも下方に延びるサイズを有しており、フランジ部の下面と側壁部の外面とがなす角度θが95°以上120°以下であるものである。
【0015】
このように構成すると、紙製蓋の側壁部が垂直に近い角度で形成される。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、フランジ部下端と縁巻部下端との距離が縁巻部の縁巻径の1/5倍以上1/2倍以下の長さであるものである。
【0017】
このように構成すると、縁巻部の内方側にフランジ部と側壁部とにより規定される空間がより好ましく形成される。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、 側壁部の高さは、5mm以上12mm以下であるものである。
【0019】
このように構成すると、紙製蓋と容器本体とを重ねた場合に紙製蓋の側壁部と容器本体の側壁とがよく引っ掛かる一方で収容容量の減少を抑えることができる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、底部は、上方に向かって膨らんだ凸形状の膨出部を備えるものである。
【0021】
このように構成すると、紙製蓋の底部が上方へ凸となる空間を備える。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、底部は、側壁部との接続部分と膨出部との間において側壁部との接続部分から膨出部の周縁にかけて略水平に延びる第1の平坦部を備えるものである。
【0023】
このように構成すると、膨出部がリブのような役割を果たす。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、容器本体は、底板及び側板の板紙原紙を組み合わせて接着及びプレス加工することによりなる紙製容器であり、第1の平坦部の幅は、紙製容器を構成する板紙原紙の厚みの10倍以上20倍以下に設定されているものである。
【0025】
このように構成すると、底板及び側板の組み合わせ部分が容器本体の脚部となり、紙製蓋と容器本体とを重ねた紙製蓋付容器を複数個積み重ねた場合に、上に積み重ねた紙製蓋付容器の容器本体の脚部の全体を、下に位置する紙製蓋付容器の蓋の第1の平坦部に設置することができるとともに第1の平坦部の幅が原紙に応じた所定の範囲内に収まるため横方向のズレを抑えることができる。
【0026】
請求項8記載の発明は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の発明の構成において、膨出部は、中央部において略水平に延びる第2の平坦部を備えるものである。
【0027】
このように構成すると、第2の平坦部を設けずに膨出部を上方まで突出させた場合と比べて、膨出部の中央部の高さを抑えることができる。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の発明の構成において、平面視における形状が、略円形状、略楕円形状又は略長円形状に形成されているものである。
【0029】
このように構成すると、紙製蓋の平面視における形状が、容器本体の形状としてよく用いられる略円形状、略楕円形状又は略長円形状となる。
請求項10記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の発明の構成において、容器本体は、底部と、底部の周縁に接続し、上方に延びる側壁部とを備え、縁巻は、側壁部の上端において形成されるものである。
請求項11記載の発明は、請求項1から請求項10のいずれかに記載の発明の構成において、容器本体の縁巻の幅は、紙製蓋の縁巻部の縁巻径よりも小さく、かつ、フランジ部の水平方向の幅よりも大きく設定されているものである。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、十分な保形性や強度が得られるので、実用的な紙製蓋となる。又、紙製蓋を容器本体に重ねたときに、紙製蓋の縁巻部の容器本体の外方側への突出度合を極力抑えることができるので、紙製蓋付容器全体の大きさをコンパクトにできると共に、紙製蓋と容器本体との横ズレも低減できる。更に、縁巻部の内方側にフランジ部と側壁部とにより規定される空間が形成されるので、容器本体の開口部の上端部分がフランジ部と同程度以下の幅を有していれば、容器本体の開口部の上端部分が、紙製蓋の縁巻部よりも内方側の空間に入り込むので、紙製蓋と容器本体とを重ねたときの高さを抑えることができる。更に、蓋と容器の素材の統一を図ることができるので、紙製蓋と容器本体ともに通常の紙ゴミとして廃棄、焼却できるようになる。又、蓋と容器とが同様の質感となるため、全体として意匠的な一体感が出る。
【0034】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、紙製蓋の側壁部が垂直に近い角度で形成されるので、紙製蓋を容器本体と重ねたときに紙製蓋に横方向からの力が加わった場合でも紙製蓋の側壁部が容器本体の開口部に引っかかる状態となり、これにより意図せずして紙製蓋が容器本体から外れることを抑制できる。
【0035】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、縁巻部の内方側にフランジ部と側壁部とにより規定される空間がより好ましく形成されるので、容器本体の開口部の上端部分がフランジ部と同程度以下の幅を有していれば、容器本体の開口部の上端部分が、紙製蓋の縁巻部よりも内方側の空間に入り込むので、紙製蓋と容器本体とを重ねたときの高さをより好ましく抑えることができる。
【0036】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、紙製蓋と容器本体とを重ねた場合に紙製蓋の側壁部と容器本体の側壁とがよく引っ掛かる一方で収容容量の減少を抑えることができるので、紙製蓋の側壁部と容器本体の側壁部とに横方向からの力が加わったときにでも意図せずして紙製蓋が外れることを抑制することができるとともに、紙製蓋の容器本体からの横ズレも低減できる。
【0037】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、紙製蓋の底部が上方へ凸となる空間を備えるので、紙製蓋と容器本体とを重ねたとき、容器本体の実質的な収容容量を増やすことができる。又、弁当用などの食品を収容する紙製蓋付容器の蓋として用いた場合には、紙製蓋を裏返して膨出部に食品を収容することで飲食時の皿としても使用が可能となる。
【0038】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、膨出部がリブのような役割を果たすので、紙製蓋の水平方向の強度を向上することができる。
【0039】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、紙製蓋と容器本体とを重ねた紙製蓋付容器を複数個積み重ねた場合に、上に積み重ねた紙製蓋付容器の容器本体の脚部の全体を、下に位置する紙製蓋付容器の蓋の第1の平坦部に設置することができるとともに第1の平坦部の幅が原紙に応じた所定の範囲内に収まるため横方向のズレを抑えることができるので、積み重ね時の安定性がさらに高くなる。
【0040】
請求項8記載の発明は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第2の平坦部を設けずに膨出部を上方まで突出させた場合と比べて、膨出部の中央部の高さを抑えることができるので、紙製蓋と容器本体とを重ねた紙製蓋付容器を複数個積み重ねた場合に、紙製蓋の膨出部が容器本体の底面と接触することを極力回避することができ、仮に接触しても平坦なので積み重ねた状態が安定する。
【0041】
請求項9記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、紙製蓋の平面視における形状を、容器本体の形状としてよく用いられる略円形状、略楕円形状又は略長円形状に適合させることができるので、紙製蓋の形状を、よくある容器本体の形状に好ましく適合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】この発明の第1の実施の形態による紙製蓋付容器の外観形状を示す平面図である。
【
図2】
図1に示したII-IIラインの部分断面図である。
【
図3】
図1に示した紙製蓋付容器が備える容器本体の外観形状を示す平面図である。
【
図4】
図3に示したIV-IVラインの部分断面図である。
【
図5】
図1に示した紙製蓋付容器が備える紙製蓋の外観形状を示す平面図である。
【
図6】
図5に示したVI-VIラインの部分断面図である。
【
図8】紙製蓋の製造方法の一工程を示した模式図である。
【
図9】
図8に示した工程に続く縁巻形成工程を示した模式図である。
【
図10】
図8及び
図9に示した工程との比較のための一例を示した模式図である。
【
図12】フランジ部の水平方向の幅を縁巻部の縁巻径の1倍超に設定した場合の寸法関係を示す図である。
【
図13】フランジ部を、縁巻部の下端より下方に形成した場合の寸法関係を示す図である。
【
図14】紙製蓋付容器を上下方向にスタックして得られる積層体を示す図である。
【
図16】紙製蓋を上下方向にスタックして得られる積層体を示す図である。
【
図17】この発明の第2の実施の形態による紙製蓋付容器の構成を示す拡大断面図であって、
図7に対応するものである。
【
図18】この発明の第3の実施の形態による紙製蓋付容器の構成を示す拡大断面図であって、
図7に対応するものである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、この発明の第1の実施の形態による紙製蓋付容器の外観形状を示す平面図であり、
図2は、
図1に示したII-IIラインの部分断面図である。
【0045】
図を参照して、紙製蓋付容器1は、紙製蓋10と、これに対応する紙製の容器本体30とから構成される。
【0046】
紙製蓋10及び容器本体30は、それぞれ、平面視における形状が略長円形状に形成されている。
【0047】
以下において容器本体30及び紙製蓋10の順で、それぞれの構成について詳細に説明する。
【0048】
図3は、
図1に示した紙製蓋付容器が備える容器本体の外観形状を示す平面図であり、
図4は、
図3に示したIV-IVラインの部分断面図である。
【0049】
これらの図を参照して、容器本体30は、平面視略長円形状の底部31と、底部31の周縁に接続し、上方に延びる側壁部32と、側壁部32の上端において形成された縁巻部33と底部31の周縁に接続し、下方に延びる脚部34とを備え、上方に開口部35を有する。
【0050】
容器本体30の幅W31、奥行きD31及び高さH31は、それぞれ、147.6mm、102.6mm及び41mmに設定されている。
【0051】
このような容器本体30は、例えば、特開2013-35168号公報に記載の技術を用いて、底板及び側板の原紙を組み合わせて接着及びプレス加工することにより製造することができる。
【0052】
即ち、容器本体30は、丸めることで平面視長円形状を有する略円筒状となるように打抜かれた側板原紙と、略長円形状に打抜かれた底板原紙とを接着加工され、プレス加工により縁巻が形成されてなる。又、底板及び側板を組み合わせて接着加工された部分が、容器本体30の脚部34となる。
【0053】
尚、側板及び底板の板紙原紙としては、目付が260~300g/m2の厚紙の両面にポリプロピレン(PP)樹脂フィルム(厚さ:20μm)をラミネートしたもの、あるいは、その内面側にポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂フィルム(厚さ:25μm)をラミネートしたものであって、厚さ約0.3~0.4mmとなるシート体を打ち抜いたものを用いることができる。
【0054】
図5は、
図1に示した紙製蓋付容器が備える紙製蓋の外観形状を示す平面図であり、
図6は、
図5に示したVI-VIラインの部分断面図であり、
図7は、
図6に示したP11部分の拡大図である。
【0055】
これらの図を参照して、紙製蓋10は、1枚の板紙原紙からプレス成形によって形成され、平面視において略長円形状を有するものである。紙製蓋10の製造においては、上述したような板紙原紙を用いることができる。
【0056】
紙製蓋10は、底部11と、底部11の周縁に接続し、上方に延びる側壁部12と、側壁部12に接続し、外方方向に略水平方向に延びるフランジ部13と、フランジ部13の外周縁に形成された縁巻部14とを備える。
【0057】
このように、縁巻部14及びフランジ部13を備えることで、十分な保形性や強度が得られているため、実用的な紙製蓋となる。
【0058】
又、底部11は、上方に向かって膨らんだ凸形状の膨出部22と、側壁部12との接続部分と膨出部22との間において側壁部12との接続部分から膨出部22の周縁にかけて略水平に延びる第1の平坦部21とを備え、膨出部22は、中央部において略水平に延びる第2の平坦部23を備える構成である。
【0059】
紙製蓋10の寸法関係について説明すると以下の通りである。
【0060】
紙製蓋10の幅W11、奥行きD11及び高さH11は、それぞれ、163.0mm、120.0mm及び10.65mmに設定されている。
【0061】
図7を参照して、フランジ部13の水平方向の幅W12は、1.5mm、縁巻の縁巻径W13は、3.0mmに設定されている。即ち、幅W12は、縁巻径W13の1/2倍の大きさに設定されている。
【0062】
フランジ部13の下面と側壁部12の外面とがなす角度θは、95°に設定されている。
【0063】
フランジ部13は、縁巻部14の下端より上方に位置し、フランジ部13下端と縁巻部14下端との距離W14が縁巻部14の縁巻径の1/5倍以上1/2倍以下の長さである。
【0064】
第1の平坦部21の幅W15は、5.0mmであり、紙製蓋10を構成する板紙原紙の厚みの10倍以上20倍以下に設定されている。
【0065】
側壁部16の高さH12は、8.0mmに設定されている。
【0066】
以上のような紙製蓋付容器1によれば、紙製蓋10と容器本体30は共に紙製の部材であり、素材の統一を図ることができる。このため、紙製蓋10と容器本体30ともに通常の紙ゴミとして廃棄、焼却できるようになる。又、紙製蓋10と容器本体30とが同様の質感となるため、全体として意匠的な一体感が出る。
【0067】
このような紙製蓋10は、例えば、特許文献1や特許文献2等に記載の技術を応用して、1枚の板紙原紙をプレス成形することにより製造することができる。
【0068】
以下、その具体的な応用例について説明する。
【0069】
図8は、紙製蓋の製造方法の一工程を示した模式図であり、
図9は、
図8に示した工程に続く縁巻形成工程を示した模式図である。
【0070】
まず、
図8を参照して、紙製蓋の製造装置は、上側に位置する第1金型50及び下側に位置する第2金型60を備えている。
【0071】
第1金型50は、上型部材51と、上型部材51の外周側に配置され、カール溝54を有する昇降部材52とを備えている。
【0072】
第2金型60は、第1金型50の上型部材51に対向する位置に配置される下型部材61と、下型部材61の外周側に配置されると共に、第1金型50の昇降部材52に対向し、カール溝64を有するカーリング部材62とを備えている。
【0073】
縁巻形成工程の準備工程において、板紙原紙41は、中央部を上型部材51と下型部材61との間に挟みこまれると共に、外周部が、下型部材61と昇降部材52との間に形成される溝部55に挟み込まれる。又、このとき中央部の周縁は、上型部材51のフランジ形成部53と下型部材61のフランジ形成部63との間で挟みこまれてしっかりと保持された状態となる。
【0074】
次に、
図9を参照して、この状態から、上型部材51の昇降部材52と下型部材61のカーリング部材62とが上昇することで、板紙原紙41の端部が、カーリング部材62のカール溝64及び昇降部材52のカール溝54によって巻かれ縁巻14が形成される。
【0075】
図10は、
図8及び
図9に示した工程との比較のための一例を示した模式図である。
【0076】
同図を参照し、上型部材51にフランジ形成部53が形成されていない第1金型50Aと、下型部材61にフランジ形成部63が形成されていない第2金型60Aを備える製造装置により紙製蓋を製造する場合について説明する。言い換えれば、フランジ部をもたない紙製蓋を製造する場合である。
【0077】
この場合、縁巻形成工程の準備工程において、第1金型50Aと第2金型60Aとの間で板紙原紙41を挟み込む箇所が、上型部材51の傾斜部59と、下型部材61の傾斜部69との間の部分だけとなるため、縁巻形成工程において上型部材51の昇降部材52と下型部材61のカーリング部材62とが上昇する際に、板紙原紙にズレが生じることがある。このズレが生じることで、プレス毎に縁巻径が変わり、巻き状態の悪い(あまい)縁巻が形成されてしまうため、紙製蓋10の品質にバラツキがでる場合がある。
【0078】
これに対して、第1金型50A及び第2金型60Aは、それぞれ、紙製蓋10のフランジ部13を形成するためのフランジ形成部53及びフランジ形成部63を備えているため、縁巻形成工程の準備工程において上下の金型でフランジ部13に相当する部分をしっかりと保持することができる。これにより、縁巻形成工程における板紙原紙のズレが抑制され、プレス毎に縁巻径が変わることにより巻き状態の悪い(あまい)縁巻が形成されることを抑制することができる。よって、縁巻の径が安定し、品質が向上する。
【0079】
更に言えば、後述するようにフランジ部13の水平方向の幅W12は、容器本体30の実質的な収容容量を考慮すれば、小さいほうがよいが、フランジ形成部53、63による保持の安定化を考えれば、上述の通り、5.0mm程度に設定されていることが好ましい。
【0080】
続いて、上述したように紙製蓋10の寸法関係を設定する効果について以下に説明する。
【0081】
図11は、
図2に示したP1部分の拡大図であり、
図12は、フランジ部の水平方向の幅を縁巻部の縁巻径の1倍超に設定した場合の寸法関係を示す図であり、
図13は、フランジ部を、縁巻部の下端より下方に形成した場合の寸法関係を示す図である。
【0082】
まず、
図11を参照して、紙製蓋付容器1の紙製蓋10は、上方に向かって膨らんだ凸形状の膨出部22を備える構成であるため、紙製蓋10の底部11は、上方へ凸となる空間25を備える。
【0083】
このため、紙製蓋10と容器本体30とを重ねたとき、空間25の分だけ、容器本体30の実質的な収容容量を増やすことができる。
【0084】
又、膨出部22は、平坦部21よりも上方に突出した形状を有するので、膨出部22がリブのような役割を果たし、その結果、紙製蓋1の水平方向の強度を向上することができる。
【0085】
又、フランジ部13の水平方向の幅W12は、縁巻部14の縁巻径W13の1/2倍の大きさに設定されており、容器本体30の側壁部32の上端に形成された縁巻33の幅は、縁巻部14の縁巻径W13よりも若干小さく、かつ、フランジ部13の水平方向の幅W12よりも大きく設定されている。このため、縁巻部14の突出長さL11は、縁巻径W13よりも小さい。
【0086】
これに対して、
図12を参照して、フランジ部13の水平方向の幅N12を縁巻部14の縁巻径N13の1倍超に設定した場合、突出長さM11は、
図11に示す突出長さL11よりも大きくなる。
【0087】
よって、
図11に示すような寸法関係が設定された紙製蓋10と容器本体30とによれば、紙製蓋10を容器本体30に重ねたときに、紙製蓋10の縁巻部14の容器本体30の外方側への突出長さL11(突出度合)を極力抑えることができ、その結果、紙製蓋付容器全体の大きさをコンパクトにできる。
【0088】
そのため、コンビニエンストア等の陳列棚のスペースが限られているような場所において紙製蓋付容器1を陳列するようなときにも、スペース効率よく陳列が可能である。
【0089】
又、このような構成としたことで、紙製蓋10と容器本体30との横ズレも低減する効果もある。
【0090】
引き続き
図11を参照すると共に、更に
図7も併せて参照して、側壁部12は、容器本体30に被せたときに、容器本体30の上端よりも下方に延びるサイズを有しており、フランジ部13の下面と側壁部の外面とがなす角度θが95°に設定されている。
【0091】
このように紙製蓋10の側壁部12が垂直に近い角度で形成されるので、紙製蓋10を容器本体30と重ねたときに紙製蓋10に横方向からの力が加わった場合でも紙製蓋10の側壁部12が容器本体30の開口部に引っかかる状態となり、これにより意図せずして紙製蓋10が容器本体30から外れることを抑制できる。
【0092】
更に言えば、側壁部の高さを8mmとしているので、紙製蓋10と容器本体30とを重ねた場合に紙製蓋10の側壁部12と容器本体30の側壁32とがよく引っ掛かる一方で収容容量の減少を抑えることができるので、紙製蓋10の側壁部12と容器本体30の側壁部32とに横方向からの力が加わったときにでも意図せずして紙製蓋が外れることを抑制することができるとともに、紙製蓋10の容器本体30からの横ズレも低減できる。
【0093】
引き続き
図11を参照し、上述の通り、フランジ部13は、縁巻部14の下端より上方に位置し、フランジ部13下端と縁巻部14下端との距離W14が縁巻部14の縁巻径の1/5倍以上1/2倍以下の長さである。このため、縁巻部14の内方側にフランジ部13と側壁部12とにより規定される空間15が形成される。
【0094】
これに対して、
図13を参照して、フランジ部13の下面は、縁巻部14の下端と略同じレベルM12に位置している。このため、
図11に示すような空間部15は形成されない。従って、容器本体30の側壁部32の上端と、フランジ部13の下面及び縁巻部14の下端とがレベルM12で当接することになる。
【0095】
図11に示す紙製蓋10によれば、縁巻部14の内方側にフランジ部13と側壁部12とにより規定される空間15が形成されるので、容器本体30の開口部の上端部分がフランジ部13と同程度以下の幅を有していれば、容器本体30の開口部の上端部分が、紙製蓋10の空間15に入り込むので、紙製蓋10と容器本体30とを重ねたときの高さを抑えることができる。
【0096】
図14は、紙製蓋付容器を上下方向にスタックして得られる積層体を示す図であり、
図15は、
図14に示すP3部分の拡大図である。
【0097】
これらの図を参照して、積層体5は、紙製蓋付容器1A、1B及び1Cが順に上方にスタックされてなる。
【0098】
例えば、紙製蓋付容器1Aの上に、紙製蓋付容器1Bを積み重ねる際には、紙製蓋付容器1Bの容器本体30Bの脚部34が、紙製蓋付容器1Aの紙製蓋10Aの第1の平坦部21の上に設置される。
【0099】
又、上述の通り、第1の平坦部21の幅W15は、5.0mmに設定されている。
【0100】
又、容器本体30Bの脚部34は、折り込まれた状態で組み合わされて接着加工してなるので、第1の平坦部21の幅W15は、少なくとも板紙原紙3枚分の厚みよりも大きければよい。一方で、紙製蓋10Aの側壁部12及び容器本体30Bの側壁部32には傾斜が設けられている関係上、ある程度この傾斜を考慮し寸法設定することが好ましい。
【0101】
更に寸法誤差、クリアランス及び成形時の紙破れ等の生じにくさ等を考慮すると、第1の平坦部21の幅W15は、紙製蓋10を構成する板紙原紙の厚みの10倍以上20倍以下に設定されていることが好ましいと言える。
【0102】
板紙原紙には、厚さ約0.3~0.4mmの物を用いているため、その10倍以上20倍以下は、3.0mm~8.0mmの範囲となり、第1の平坦部21の幅W15はこの範囲に収まるように設定されている。
【0103】
このように構成すると、上に積み重ねた紙製蓋付容器1Bの容器本体30Bの脚部34の全体を、下に位置する紙製蓋付容器1Aの紙製蓋1Aの第1の平坦部21に設置することができる。又、第1の平坦部21の幅W15が板紙原紙に応じた所定の範囲内に収まるため横方向のズレを抑えることができる。
【0104】
又、底部11は、第1の平坦部21よりも上方に凸となり、中央部に平坦な第2の平坦部23が設けられた膨出部22を備える構成である。
【0105】
従って、例えば、第2の平坦部23を設けずに膨出部22を上方まで曲面上に突出させた場合と比べて、膨出部22の中央部の高さを抑えることができる。このため、紙製蓋1Aと容器本体30Bとを重ねた場合に、紙製蓋1Aの膨出部22が容器本体30の底面と接触することを極力回避することができ、仮に接触しても平坦なので積み重ねた状態が安定する。
【0106】
図16は、紙製蓋を上下方向にスタックして得られる積層体を示す図である。
【0107】
同図を参照して、以上に説明した紙製蓋10と同種の複数の紙製蓋10A、10B、10Cをスタックして積層体を形成することもできる。
【0108】
このように積層体を形成する場合においても、例えば、紙製蓋10Bの側壁部が、紙製蓋10Aの側壁部に当接した状態で、紙製蓋10Aの上に、紙製蓋10Bが設置される。このため横ズレを抑制し、設置状態が安定する。
【0109】
図17は、この発明の第2の実施の形態による紙製蓋付容器の構成を示す拡大断面図であって、
図7に対応するものである。
【0110】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0111】
同図を参照して、この実施の形態による紙製蓋付容器の紙製蓋10にあっては、膨出部22の立ち上がりの高さ、即ち、第1の平坦部21と第2の平坦部23との高低差が、第1の実施の形態のものよりも高く設定されている。このような形状によれば、紙製蓋10と容器本体30とを重ねたとき、容器本体30の実質的な収容容量を増大させることができる。
【0112】
図18は、この発明の第3の実施の形態による紙製蓋付容器の構成を示す拡大断面図であって、
図7に対応するものである。
【0113】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0114】
同図を参照して、この実施の形態による紙製蓋付容器の紙製蓋10にあっては、膨出部22が階段状に立ち上がる形状に変更されている。このような形状でも、紙製蓋10と容器本体30とを重ねたとき、容器本体30の実質的な収容容量を増大させることができる。
【0115】
尚、上記の各実施の形態では、紙製の容器本体について説明したが、これに限られず、容器本体は、上方に開口部を有する容器本体であれば特に制限はない。
【0116】
又、上記の各実施の形態では、容器本体は、底板及び側板の原紙を組み合わせて接着及びプレス加工することにより製造することについて説明したが、これに限られない。例えば、打抜かれた一枚の板紙原紙をプレス成形することにより得られた紙容器であってもよく、その製造方法の例としては、特開平10-43027号公報に記載の技術を用いることができる。又、この場合、スタッキング時の安定性確保の点から紙容器の底部には脚部や凸部が形成されていることが好ましい。
【0117】
更に、上記の各実施の形態では、平面視における形状が、略長円形状である紙製蓋及び容器本体について説明したが、これに限られない。紙製蓋及び容器本体の平面視における形状は、例えば、略円形状や、略楕円形状等であってもよい。
【0118】
容器本体の形状としては、略円形状、略楕円形状又は略長円形状等がよく用いられるため、紙製蓋の平面視における形状として略円形状、略楕円形状又は略長円形状等を採用すると、このようなよくある容器本体の形状に好ましく適合することができる。
【0119】
更に、上記の各実施の形態では、紙製蓋の底部において膨出部及び第1の平坦部を設ける構成について説明したが、第1の平坦部は、省略してもよい。従って、膨出部は、底部と側壁部との接続部から延びる構成であってもよい。又、膨出部及び第1の平坦部の両方を省略することも可能である。更に言えば、膨出部は、複数設けられていてもよい。又、膨出部において第2の平坦部の代わりに上方まで曲面状に突出させた部分を設けてもよい。
【0120】
更に、上記の各実施の形態では、紙製蓋及び容器本体等が、特定の寸法であることを説明したが、これに限られない。
【0121】
例えば、フランジ部の水平方向の幅は、縁巻部の縁巻径の1/2倍であることを説明したが、これに限られない。フランジ部の水平方向の幅は、極力小さいほうが容器本体の実質的な収容容量的に有利であるが、金型作成等の製造面も考慮すれば、1/5倍以上1倍以下の大きさに設定しておくことが好ましく、1/2倍以上1倍以下の大きさであればより好ましい。
【0122】
又、側壁部の高さは、8mmであることを説明したが、これに限られず、5mm以上12mm以下であってもよい。尚、板紙原紙をプレス成形する際、側壁部の高さがあるものはシワや破れ等が発生しやすい傾向にあるため、12mm以下とすることが好ましい。又、側壁部の高さは、横ズレを抑制するという観点からは、8mm以上であることがより好ましい。
【0123】
このように構成すると、上述したように紙製蓋と容器本体とを重ねた場合に紙製蓋の側壁部と容器本体の側壁とがよく引っ掛かる一方で収容容量の減少を抑えることができる。
【0124】
又、縁巻部の縁巻径(直径)が特定の寸法であることを説明したが、これに限られない。縁巻部の縁巻径は、例えば、2.0mm以上5.0mm以下の範囲で設定することができる。
【0125】
又、フランジ部の下面と側壁部の外面とがなす角度θは、95°以上120°以下に設定することが望ましい。又、別の観点から言えば、角度θは、側壁部の傾斜角を決定する要素ともいえる。角度θを120°以下とすることで、側壁がスプリングバックにより多少外方に開くことがあっても、紙製蓋が容器本体の開口部に対してうまく嵌合しなくなることを避けることができる。更に別の観点から言えば、第1の平坦部を備える構成において、フランジ部と平坦部とは側面視において平行な関係にあるため、フランジ部の下面と側壁部の外面とがなす角度θは、側壁部の内面と、第1の平坦部の上面とがなす角度に一致する。即ち、第1の平坦部を備える構成において、角度θは、側壁部の内面と、第1の平坦部の上面とがなす角度を決定する要素ともいえる。
【0126】
又、板紙原紙の厚みは、特に限定されないが、0.2~0.5mm(重量150~500g/m2)程度が好ましく使用できる。
【0127】
更に、上記の各実施の形態では、詳しく説明しなかったが、板紙原紙の種類は特に限定されない。板紙原紙としては、所望の用途に応じて、純白ロール紙、クラフト紙、パーチメント紙、アイボリー紙、マニラ紙、カード紙、カップ紙、グラシン紙などを用いることができる。
【0128】
更に、上記の各実施の形態でも説明したように、板紙原紙の表面には、合成樹脂のフィルムやコーティングが積層されていてもよい。合成樹脂の種類は特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、アクリル(メタクリル)系樹脂、ポリブタジエンなどのジエン系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。その厚みも限定されないが、例えば、厚さ10~50μmの範囲が挙げられる。合成樹脂が積層されていることにより成形後の蓋や容器に耐熱性、耐水性、耐気液透過性などの特性を付与することできる。
【0129】
更に、上記の各実施の形態では説明しなかったが、板紙原紙の表面には印刷が施されていてもよい。この場合、意匠性を向上させることができる。
【0130】
更に、上記の各実施の形態では説明しなかったが、縁巻部の端部に適宜接着剤を塗布してフランジ部や側壁部に対して固定してもよい。この場合、縁巻部が接着剤により固定されるのでスプリングバックを抑制することができる。
【0131】
更に、上記の各実施の形態では説明しなかったが、板紙原紙には、必要に応じて線条(罫線)が付されていても良い。この罫線により蓋の成形時に発生するシワが吸収されてすっきりとした外観の蓋を形成することができる。
【符号の説明】
【0132】
1…紙製蓋付容器
10…紙製蓋
11…底部
12…側壁部
13…フランジ部
14…縁巻部
21…第1の平坦部
22…膨出部
23…第2の平坦部
30…容器本体
31…底部
32…側壁部
33…縁巻
35…開口部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。