(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】曲げ機械の駆動方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
B21D5/02 P
B21D5/02 W
(21)【出願番号】P 2021510754
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(86)【国際出願番号】 AT2019060270
(87)【国際公開番号】W WO2020041807
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-03
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】509296085
【氏名又は名称】トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト アンゲラー
(72)【発明者】
【氏名】クレーメンス フレイデンタラー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアーン ハウスマン
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス ヘール
(72)【発明者】
【氏名】ネナド コフイェニク
(72)【発明者】
【氏名】フローリアーン マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シェルンハンマー
(72)【発明者】
【氏名】フェレナ シュタイニンガー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート タイス
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-017072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置(10)と曲げ機械(1)を駆動するための制御プログラム(14)とを有する曲げ機械(1)によって、シートメタルからなる加工対象物(5)を変形することにより部品を形成する方法であって、加工領域(18)内で加工対象物(5)においてそれぞれ曲げ変形(B1、B2)を有する少なくとも2つの製造ステップ(F1、F2)が実施され、かつ、カメラ(16、17)によって加工領域(18)が検出されて、前記加工領域(18)の画像が表示手段(19)によって操作者(20)に示される方法において、
第1の製造ステップ(F1)を実施する間に、画像処理プログラム(15)によって、表示手段(19)により表示すべき、加工領域(18)の画像に、現時の第1の製造ステップ(F1)の後続の段階のため、あるいは後続の第2の製造ステップ(F2)のための作業手引き(G1、G2、G3)が重畳され、かつ前記表示手段(19)によって示され、
画像認識プログラム(30)によって、前記加工領域(18)の画像が評価され、前記加工対象物(5)の空間的位置と方向づけが自動的に定められ、
前記画像認識プログラム(30)によって、前記カメラ(16)により記録される前記加工領域(18)の画像から、前記加工対象物(5)を方向付けするために設けられているストッパ(8、9)に前記加工対象
物(5)のエッジが添接することが認識され、その後に前記制御装置(10)によって前記曲げ変形(B1、B2)が自動的に開始される、
ことを特徴とする、部品を形成する方法。
【請求項2】
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、ライン、矢印及びビームを有する群からの記号を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、回転軸及び回転角度の値を有する群からの記号を有している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、前記加工対象物(5)のグラフィック表示を有している、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、前記加工対象物(5)を取り出すための好ましい作用点を示すための、前記加工対象物(5)の所定の箇所を向いた記号を有している、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、操作エラーによる警告を伝達するための記号を有している、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、前記加工対象物の移動中のグラフィック表示を有している、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、前記加工対象物(5)を方向づけするための前記ストッパ(8、9)の移動中のグラフィック表示を有している、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記作業手引き(G1、G2、G3)の表示の継続時間において移動する前記加工対象物(5)のグラフィック表示が複数回繰り返し示される、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記作業手引き(G1、G2、G3)の表示の継続時間が、プレスビーム(2、3)の互いに離れる移動の段階(O1)の終了前に開始される、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記作業手引き(G1、G2、G3)の表示の継続時間が、前記第1の曲げ変形(B1)の終了と共に開始される、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記作業手引き(G1、G2、G3)の表示の継続時間が、前記後続の製造ステップ(F2)の前記第2の曲げ変形(B2)の開始と共に終了される、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記操作者(20)の空間的座標を定めるために、位置を求めるシステムによって、上側のプレスビーム(3)の前側に配置されたカメラ(17)の画像が評価される、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
位置を求めるシステムによって、前記操作者(20)の位置が求められ、かつ画像処理プログラム(15)によって前記カメラ(16,17)の座標、前記加工領域(18)の座標及び前記操作者(20)の位置の座標を考慮しながら、カメラ(16、17)によって記録された画像からそれぞれ遠近法的に変換された画像が生成される、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに基づいて、曲げ機械を用いてシートメタル(Blech)からなる加工対象物(Werkstuecks)を変形させることにより部品を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
曲げ機械又は曲げプレスによって複雑な部品を形成する場合に、操作者によって適切な順序で次々と加工対象物に対して複数の曲げ加工が実施される。しかし、いわゆる自由曲げ(Freibiegen)、そしてまた型押し曲げ(Praegebiegen)するための、この種の曲げ機械は、相互に平行に配列された2つのプレスビームを搭載しており、それらにそれぞれ対をなして配置された曲げ工具が固定されている。その場合に異なる曲げ工具を搭載した複数の曲げステーションを、プレスビームの長さにわたって分配して設けることもできる。それぞれの曲げ加工は、加工対象物が曲げ工具の間に位置決めされて、その後プレスビームを互いに押圧することにより曲げられることによって、行われる。そのために加工対象物が操作者によって曲げ工具の間へ挿入され、その場合に加工対象物は正確に方向づけするためにストッパに添接される。互いに対応する曲げ工具-下側の工具と上側の工具-は、母型と父型とも称される。
【0003】
同様にして、揺動曲げ(Schwenkbiegen)するための曲げ機械において曲げ加工が行われる。その場合に加工対象物もしくはシートメタル部分が下側の保持部(Haltewangen)と上側の保持部の間に挿入され、ストッパ面において方向付けされて、それら保持部を互いにプレスすることによって固定される。その後、曲げ加工は曲げ工具によって行われ、その曲げ工具は、保持部から張り出す加工対象物の自由な脚に作用する。
【0004】
最近の曲げプレスもしくは製造装置は、制御装置も有しており、その制御装置によって連続する製造ステップの機械調節がプログラム制御されて行われる。すなわち、たとえばストッパが動力で駆動され、その場合にストッパは制御装置によって、製造プログラムの指令に応じて、それぞれ新たに位置決めされる。この種の制御を用いて、-しかるべき製造プログラムに基づいて-曲げ機械の半自動の駆動が可能である。その場合に、一般的に、操作者が加工対象物を、下側の工具上に載置し、かつストッパに添接させることによって、曲げプレス内へ挿入する。その後、スイッチ、たとえばフットスイッチの操作によって作動されて、プレスビームが合わさるように走行し、それによって加工対象物の変形が行われる。次の製造ステップのために、ストッパの変位もしくは新しい位置決めが、その後再び制御手段内に保存されている製造プログラムに基づいて自動的に行われる。
【0005】
それぞれ曲げ加工を実施するための製造ステップが、ストッパの位置決め、下側の工具上に載置してストッパに添接させることによる加工対象物の挿入、加工対象物と下側の工具に対する上側の工具の下降、上側の工具の持ち上げ、そして機械からの加工対象物の取り出し、等の複数の段階に分割される。その後、次の製造ステップにおいて、まずストッパが再び新しく位置決めされて、新しく挿入された加工対象物における他の曲げ変形を有する他の段階が行われる。
【0006】
プログラム支援される制御装置によって操作者が受ける支援にもかかわらず、機械操作者は依然として、広範な種々の活動を調整し、かつ監視する必要がある。特に加工対象物を再調整して、正しい曲げステーションへ挿入し、かつ加工対象物をストッパに正しく添接させることは、操作者側に相応のルーチンを必要とする。同様に加工される加工対象物の個数が多い、シリーズ生産の場合においては、この問題はさほど重要ではない。シリーズ生産の最初における誤った操作もしくは時間遅延に基づく欠陥部品は、もちろんここではあまり重きを置かれない。少ない個数を有する小さいシリーズの場合にはそうではなく、その場合に操作エラーは高い割合の欠陥部品をもたらすことになり得る。加工対象物を正確かつエラーなしでストッパに添接させることは、曲げ工具間を通す視野が狭いことにより、著しく妨げられることがあり得る。そのために従来技術においてはすでに、加工領域の後方の部分-操作者の視点から-を記録するカメラを取り付けることによって、プレスビームの前側において、その画像を操作者に示すという解決策が知られている。その場合に特に、プレスビームの前側に画像を投影する前に、画像を操作者の視野に継目なしで見えるように、遠近法的に画像を変換することもできる。このようにして操作者は、その視野内に、プレスビームの後方に位置する操作領域の部分のバーチャル表示で補うことで、加工領域の前方の部分を見ることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、操作者のための作業を簡略化し、かつ操作エラーのリスクをさらに減少させることができる、シートメタルからなる加工対象物の変形によって部品を形成する方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこの課題は、互いに対して平行に方向づけされた2つのプレスビーム、プレスビームに固定された曲げ工具及び制御装置と、製造装置を駆動するための製造プログラムとを有する製造装置によって、シートからなる加工対象物を変形することにより部品を形成する方法であって、前記方法において、加工領域内で加工対象物のそれぞれ曲げ変形を有する少なくとも2つの製造ステップが実施される。この場合において、少なくとも1つのカメラによって加工領域が検出され、表示手段によって加工領域の画像が操作者に示され、第1の製造ステップの実施の間に、現時の第1の製造ステップの後続の段階のため、あるいは後続の第2の製造ステップのための作業手引きが、表示手段により表示すべき画像上に、画像処理プログラムによって重畳されて、表示手段によって示される。これによって、操作者は、後続の製造ステップについての情報を、たとえば操作ターミナルのモニタから入手するために、現在の曲げステーション内のプロセスの観察、従って視覚的な監視を中断する必要がない、という利点を有している。
【0009】
作業手引きがライン、矢印及びバーを有するグループから記号を有する実施形態、あるいは作業手引きが、回転軸及び回転角度の値を有するグループから記号を有する場合の方法の実施形態も効果的である。このようにして、曲げプレスを操作するために加工対象物によって実施すべき移動と位置変化を簡単なやり方で画像として表示することができる。
【0010】
作業手引きが、加工対象物のグラフィック表示を有している場合も、効果的である。というのは、それによって加工対象物の方向づけの変化をわかりやすく伝達することができるからである。
【0011】
作業手引きが、加工対象物を取り出すための好ましい作用点を示すために、加工対象物上に特定の箇所を指す記号を有することによって、加工対象物を取り出す際の遅延を回避することができる、という利点を有する。すなわち-加工対象物において行われる曲げ変形の数が増大する結果として-加工対象物の幾何学的形状の複雑さが増すことは、2つの曲げ工具の間の間隙を通してそれを取り出すことを難しくしてしまう。
【0012】
作業手引きが、操作エラーによる警告を伝達するための記号を有している場合も、効果的である。というのは、それによって安全性も向上し、場合によっては生じる欠陥品も少なく抑えることができるからである。
【0013】
作業手引きが、移動する加工対象物のグラフィック表示を有し、あるいは作業手引きが、加工対象物を方向づけするためのストッパの移動のグラフィック表示を有する、方法の実施形態は、操作者にとって特に見やすい利点を有している。
【0014】
作業手引きの表示の継続時間に、移動される加工対象物のグラフィック表示が次々に多数回繰り返される場合も、効果的である。というのは、それによって操作者が必要な情報をよりよく把握することができるからである。
【0015】
作業手引きの表示の継続時間が、プレスビームが互いに離れるように移動する段階の終了前に開始され、あるいは作業手引きの表示の継続時間が第1の曲げ変形の終了と共に開始される場合には、操作者はできる限り早期に以降の製造段階もしくは製造ステップ及び操作について指示を受けることができる。
【0016】
作業手引きの表示の継続時間が、後続の製造ステップの第2の曲げ変形の開始とともに終了する場合も、効果的である。というのは、操作者による曲げプロセスの視覚的監視がじゃまされないからである。
【0017】
操作者の空間的座標を定めるために、位置を測定するシステムによって、上側のプレスビームの前側に配置されたカメラの画像が評価されることも、効果的である。
【0018】
制御装置が画像認識プログラムを有しており、曲げステーション内へ加工対象物を挿入する段階の終了の認識後に自動的に曲げ変形の開始が行われる場合も、効果的である。というのはそれによって、操作がさらに容易になるからである。
【0019】
本発明をさらによく理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
図は、それぞれ著しく簡略化された図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、加工対象物において曲げ変形を実施するための曲げプレスを示している。
【
図3】
図3は、操作者の表示手段に示される、加工領域の画像である。
【
図4】
図4は、曲げプレスによる加工対象物の加工のタイムシーケンス図である。
【
図5】
図5は、揺動曲げするための曲げ機械を部分的に示す側面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す揺動曲げのための曲げ機械の詳細を示す。
【
図7】
図7は、
図5に示す揺動曲げのための曲げ機械の詳細を、加工対象物の曲げ変形が行われた後に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
最初に記録しておくが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、その場合に説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従って移し替えることができる。また、説明内で選択される、たとえば上、下、側方などのような位置の表示は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置の表示は位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。
【0022】
図1は、製造装置もしくは加工対象物加工機械の実施例としての曲げプレス1を示している。曲げプレス1は、既知のように、下側のプレスビーム2と上側のプレスビーム3を有している。2つのプレスビーム2、3は、機械フレーム4によって保持され、その場合に下側のプレスビーム2は固定されており、すなわち機械フレーム4に対して静止している。したがって下側のプレスビーム2は、しばしばテーブルビームとも称される。他方で、上側のプレスビーム3は機械フレーム4において垂直方向(Z方向)に変位可能に案内されている。適切な動力駆動装置により、たとえば油圧シリンダ(図示せず)によって、上側のプレスビーム3は下側のプレスビーム2上へ下降させることができる。加工対象物5において曲げ変形を実施するために、2つの曲げビーム2、3にそれぞれ対をなして下側の曲げ工具6(母型)と上側の曲げ工具7(父型)が固定されている。次いで、加工対象物5における曲げ変形は、2つのプレスビーム2、3を互いに対向して移動させることによって行われ、それによって、上側の曲げ工具7(略:上工具)が加工対象物5と下側の曲げ工具6(略:下工具)に対して、加工対象物5の所望の程度の変形が行われるまで、圧接される。
【0023】
プレスビーム2、3の相対移動によって加工対象物5に作用する、本来の曲げ変形をもたらす曲げ工具6、7の他に、曲げプレス1は1つ又は複数のストッパ8、9を有しており、そのストッパに加工対象物5のエッジ又は側方が添接し、したがって方向づけすることができる。ストッパ8、9は、通常のように、「リアストッパ」とも称される。というのは、曲げプレス1の前に立つ操作者の視点からは、これがプレスビーム2、3の後方に配置されているからである。曲げ工具6、7に対してストッパ8、9を適切に位置決めした後に、操作者によって加工対象物5における曲げもしくは縁曲げをきわめて簡単に、しかも高い精度で実施することができる。
【0024】
曲げプレス1を駆動するために、曲げプレスには制御装置10と操作ターミナル11が設けられている。操作ターミナル11のモニタ12上で、操作者に曲げプレス1の駆動状態を表示することができ、それによって操作者にとっては、入力装置13を介して曲げプレス1によって実施すべき製造ステップを準備することが、可能である。この新しい製造ステップの準備は、たとえばストッパ8、9の新規位置決めとすることができる。そのためにストッパ8、9は、動力駆動されて変位可能であって、操作者は、たとえば新しい座標を直接入力することによって、ストッパ8、9の新しい位置決めをもたらすことができる。
【0025】
通常のように、個々の製造ステップに必要な機械調節は、制御装置10内の製造プログラム14内に格納される。操作者は、操作ターミナル11において製造プログラム14を呼び出して、表示させることができる。適切な製造ステップを選択して、曲げプレス1の新しい駆動状態の調節を開始することができる。加工対象物5の挿入後、すなわち加工対象物を下工具6上に載置して、ストッパ8、9のストッパ面に添接させ、もしくは載せた後に、その後プレスビーム2、3の互いに対する移動によって曲げ変形を開始することができる。そのために従来の曲げプレスにおいては、操作者に、たとえばフットスイッチにより形成される、別体のスイッチが提供されている。スイッチの操作によって、操作者は上側のプレスビーム3の下降と上昇を制御することができる。
【0026】
この実施例に基づく曲げプレス1の制御装置10には、画像処理プログラム15も形成されている。さらに少なくとも-曲げプレス1の前に立つ操作者の視点から-プレスビーム2、3の少なくとも後方に、少なくとも1つのカメラ16が配置されている。好ましくは上側のプレスビーム3の前にも、他のカメラ17が配置されている。上側のプレスビーム3の後方に配置されたカメラ16は、曲げ工具6、7もしくは加工対象物5の周囲の加工領域18へ向けられている。上側の曲げ工具7も、上側のプレスビーム3も、カメラ16によって検出可能な視界を画成し、カメラによってその視界の加工領域18の後方の部分のみを記録することができる。カメラ16から供給された画像は、好ましくは画像処理プログラム15内で処理された後に、操作者に加工領域18のより大きい、すなわち特に通常では接近できない部分を示し、それによってのぞき込むことができるようにするために、利用することができる。これは、たとえば、上側のプレスビーム3の、操作者へ向いた前側に表示手段19が配置されることによって、行われる。表示手段19として、好ましくはディスプレイが使用され、そのディスプレイは上側のプレスビーム3の前側の領域内に配置されている。代替的に、表示手段19としてプロジェクターを使用することもできる(
図1、2)。このプロジェクターは、カメラ16によって記録される画像を上側のプレスビーム3と上側の曲げ工具7の前側に投影することができる。
【0027】
カメラ16の画像は、表示手段19によって表示する前に、画像処理プログラム15によって遠近法的に変換することができる。この種の方法は、たとえばオーストリア特許第518890(B1)号明細書に記述される。たとえば前方のカメラ17によって、操作者の頭部もしくは目の空間的位置(
図2)も判定され、処理領域18の後方の部分が継目なしで操作者の視野に見えるように、画像処理プログラム15によって、カメラ16の画像を遠近法的に変換することができる。変換のために、カメラ16の空間的座標、加工領域18の座標そしてまた操作者もしくは操作者の頭部の位置の座標も、画像処理プログラム15によって一緒に考慮される。
【0028】
図2は、
図1に示す曲げプレス1の側面もしくは横断面を示している。2つのストッパ8、9は、それぞれストッパ装置21に取り付けられており、かつそれを用いて3つの方向X、Y及びZ方向に変位することができ、したがって新しく位置決めすることができる。そのためにストッパ装置21は、X-、Y-及びZ-方向へ向けられたガイドレーン22及びそれと相互作用してストッパ8、9を変位させる操作モータ23を有している。加工対象物5(シートメタル部分)は、操作者20によって下側の曲げ工具6と上側の曲げ工具7の間の加工領域18内へ挿入されて、2つのストッパ8、9に接して方向づけされる。
【0029】
図2は、加工対象物5から部品を形成する第1の製造ステップF1の互いに連続する2つの段階の2つの異なる時点において、加工対象物5もしくは曲げプレス1を示している。変形されていない加工対象物5の位置-実線で示される-は、段階「加工領域内へ加工対象物を挿入して、ストッパに添接させる」の最後の時点に相当する。屈曲された状態における加工対象物5の位置-破線で示される-は、曲げ変形の最後の時点、もしくは「上工具7を加工対象物5と下工具6に圧接させる」段階の最後に相当する。
【0030】
第1の製造ステップF1-他の各製造ステップF2、F3なども同様に-少なくとも5つの段階もしくは措置に分解することができる。これらの段階は:
P1:加工領域18内の加工対象物5を方向づけするためにストッパ8、9を位置決めする;
I1:加工対象物5を下側の工具6上に載置して、加工対象物5をストッパ8、9に添接させ、もしくは載せることにより、加工領域18内へ挿入する;
B1:プレスビーム2、3を互いに対向して移動させることにより、上工具7を加工対象物5と下工具6に対して圧接することによって曲げ変形を実施する;
O1:プレスビーム2、3が互いから離れるように移動する;
R1:下工具6から加工対象物5を取り出す。
【0031】
好ましくは、加工対象物5の第1の曲げ変形B1の最後の時点から(
図4)、操作者20に対して、表示手段19によって-処理領域18の後方の部分からのカメラ16の画像と共に-付加的に加工対象物5の加工の更なる進行についての情報もしくは指示も、表示することができる。そのために画像処理プログラム15内で、実際の後続の製造ステップF2の後続の段階についての、画像表示もしくはグラフィック表示可能な指示が形成されて、それがカメラ16からの画像に重畳される。このように作業手引きを加えた画像が、その後、表示手段19によって操作者20の視野内へ投影される。
【0032】
画像に重畳されて、表示手段19によって表示される作業手引きは、たとえばライン又は矢印とすることができ、それによって象徴的に後続の製造ステップF2、F3の方向と移動もしくは位置が表示される。したがって視線を加工領域18へ向けている操作者20は、その視野内に同時に、普通はのぞき込むことのできない加工領域18の後方の部分のライブ画像と、-ライブ画像に重畳された-実際の製造ステップF1の今後の段階について、もしくは後続の製造ステップF2についての作業手引きを見る。
【0033】
図3は、表示手段19によって操作者20に示される、加工領域18の画像とその画像に重畳された作業手引きを示している。この種の作業手引きは、たとえば矢印24によって形成され、その矢印によって現在の第1の曲げステーション25から後続の製造ステップの、次の第2の曲げステーション26への加工対象物5の移動方向が表示される。ビーム27は、後続の曲げステーション26の曲げ工具6、7の位置を示している。他の矢印28、29によって、リアストッパ8、9を第1の製造ステップF1の第1の曲げステーション25から後続の第2の製造ステップF2の第2の曲げステーション26へ替えるために、そのリアストッパの走行ルートもしくは位置が表示される。したがって操作者20は、第1の製造ステップF1の進行中にすでに、加工対象物5を今現在の曲げステーション25から取り出した後に、加工対象物5を後続のどの作業ステーション26へ移動させるべきかについて、知らされる。カメラ16の画像及び操作者20の視野内へ挿入される画像を伴う、この情報の表示がこのように行われることによって、操作者は、現在の曲げステーション25から目を離す必要なしに、後続の製造ステップに関する情報を、たとえば操作ターミナル11のモニタ12から入手することができる。それによって操作者20は、その視線を実質的に中断なしに加工領域18へ向け続けて、その中で生じる事象を中断なしに監視することができる。矢印28、29によるストッパ8、9の走行ルートの表示によって、操作者20は、曲げステーション25と26の交代の間に、加工対象物5が移動するストッパ8、9と衝突することを、より容易に回避することもできる。これは特に、ストッパ8、9の変位運動が部分的にきわめて高速で行われるので、きわめて有用である。
【0034】
図4は、曲げプレス1によって加工対象物5から部品を形成するための製造プログラム14のタイムシーケンスを示している。この実施例によれば、製造プログラム14は時間的に互いに連続する3つの製造ステップF1、F2及びF3を有している。これらの製造ステップF1、F2、F3の各々は、以下の段階を有している:
P:ストッパ8、9の位置決め;
I:加工対象物5の挿入;
B:曲げ変形の実施;
O:プレスビームを互いに離れるように移動;
R:加工対象物5の取り出し。
【0035】
互いに連続する製造ステップF1、F2、F3の段階P、I、B、O、Rの図式的な表示の他に、
図4のタイムシーケンス内には、曲げプレス1の曲げステーション25、26の前に立つ操作者20の視野内に、付加的な作業手引きが表示される段階も示されている。このように、カメラ16によって記録された画像と共に付加的な作業手引きの重畳が、まだ第1の製造ステップF1の終了前の時点で始まり、段階G2において、表示手段19によって操作者20の視野内へ挿入されて示される。
【0036】
したがって操作者が、たとえば操作ターミナル11を用いて開始することができる、製造プログラム14のシーケンスは、以下のように行うことができる。製造プログラム14の第1の製造ステップF1の開始時に、まず、第1の曲げステーション25内でストッパ8、9の位置決めP1が行われ、それに続いて操作者20が加工対象物5を加工領域18内へ挿入して、ストッパ8、9に添接させる(段階I1)。加工対象物5の挿入の段階I1の終了後に、操作者20は曲げ変形B1を開始させることができる。これはたとえば、フットスイッチによって形成されたスイッチによって行われる。曲げ変形B1は、2つのプレスビーム2、3が互いに対して移動されることにより、上工具7を加工対象物5と下工具6に対して圧接させることによって実施される。その場合にプレスビーム2、3の移動は、製造プログラム14内の設定に基づいて自動的に行われる。操作者20にとっては、プレスビーム2、3の互いに離れる移動(段階O1)を待機して、加工対象物5を第1の曲げステーション25から取り出す(段階R1)ことのみが残る。
【0037】
第1の製造ステップF1のこれら2つの最後の段階O1、R1の間にすでに、操作者20は、加工シーケンスにおいて後続の段階もしくは製造ステップに関する情報もしくは指示を得る。これらは操作者20の視野内へ表示手段19によって、カメラ16によって記録された画像との重畳として示される。したがって操作者20がまだ今行われている曲げ変形B1を観察している間に、操作者にはすでに付加的に、後続の製造ステップF2の推移に関する情報を有する作業手引きG2も表示される。その場合にこの作業手引きG2は、
図3の説明に関連して上ですでに記述したように、グラフィックエレメントを含むことができる。すなわち作業手引きG2は、好ましくは矢印24を有し、その矢印が、加工対象物5を移動させなければならない、後続の曲げステーション26への方向を示す。同様に、段階O1とR1の間にすでに、矢印28、29によって、後続の製造ステップF2の段階P2においてのみ行われるような、後続の曲げステーション26へのリアストッパ8、9の移動を表示することができる。
【0038】
製造ステップF1とF2に対して時間的に並列に行われる、作業手引きG2の表示は、好ましくは第2の製造ステップF2のためのリアストッパ8、9の位置決めP2と、後続の曲げステーション26内への加工対象物5への挿入が完了するまでの間、行われる。操作者20によって導入される、第2の製造ステップF2の第2の曲げ変形B2の開始によってのみ、作業手引きG2の表示が終了される。第1の製造ステップF1について上述したのと同様なやり方で、第2の製造ステップF2の終了前にすでに、後続の第3の製造ステップF3の以降の推移のための付加的な作業手引きG3の表示も行われる。
【0039】
作業手引きG3は、続く第3の製造ステップF3を先行する製造ステップF2と同じ曲げステーション26において実施しようとする場合に、リアストッパ8、9の新規位置決めのみを有することもできる。他方で、作業手引きG3の表示は、操作者20のための付加的な指示も含むことができ、その指示は、変形された加工対象物5をどのようにして加工領域18もしくは曲げステーション25、26から効果的に取り出すことができるかというやり方に関する。すなわち-加工対象物5において行われる曲げ変形の数が増大する結果として-この加工対象物5の幾何学的形状の複雑さが増すために、それを曲げステーション25、26から取り出すことは、特別な種類の取扱いを必要とすることになり得る。この状況が操作者20に、作業手引きG3がたとえば加工対象物5の所定の箇所を指し示す記号を有し、その記号が加工対象物5を曲げステーション25、26からより簡単に取り出すための好ましい作用点を示すことによって、伝えられる。この種の記号として、たとえば手の画像が利用され、その画像によって、加工対象物5の所定の箇所をどのように捕捉すべきかが示される。
【0040】
曲げプレス1の好ましい形態によれば、その画像処理プログラム15内で、作業手引きG2、G3はアニメ化された移動シーケンスも有しており、それが加工対象物5を、第1の製造ステップF1の第1の曲げステーション25からの取り出しから、第2の曲げステーション26へ向かって、そして後続の製造ステップF2の段階I2内で挿入する際に、それがどのように移動されるか、を示す。好ましくは加工対象物5のこのアニメ化して示される移動は、操作者20に、作業手引きG2、G3の表示の段階の長さにわたって何回か段階の前後して繰り返し示される。作業手引きG2、G3の表示においてこの移動シーケンスを繰り返し見せることは、それぞれ後続の曲げ変形B2、B3の段階の開始によって初めて終了される。
【0041】
それぞれ後続の製造ステップF2、F3を準備するための操作者20による加工対象物5の取扱いは、付加的に、作業手引きG2、G3内に加工対象物5の新規方向付けのための指示が含まれることよって、容易にすることができる。この種の指示は、たとえば回転軸とそれに応じた角度値を付加的に表示することによって示すことができる。この種の回転軸として、特に、通常使用されるデカルト座標の座標軸X、Y、Z(
図1、2)が適している。作業手引きG2、G3内で加工対象物5を新しく位置決めするための記載もしくは手引きは、種々の回転軸を中心として次々と実施すべき回転の連続によっても示すことができる。
【0042】
製造装置もしくは曲げプレス1の上述した実施例において、ストッパ8、9の位置決めの段階P1、P2、P3の開始も、曲げ変形の実施の段階B1、B2,B3の開始も、操作者20がしかるべきスイッチ(たとえばフットスイッチ)を操作することによって行われると、仮定されている。
【0043】
代替的な実施変形例によれば、制御装置10は画像認識プログラム30も有している。この画像認識プログラム30を用いて、カメラ16によって記録された加工領域18の画像を評価して、特に加工対象物5の空間的位置と方向づけを自動的に定めることが、可能である。それによって、画像認識プログラム30により加工領域18内への加工対象物5の挿入とそのエッジのストッパ8、9への添接が認識されて、そのようにしてその完了が自動的に制御装置10へ伝達できることが、可能である。その後、段階B1、B2、B3における曲げ変形は、制御装置10によって自動的に開始することができる。
【0044】
カメラ16によって記録された画像を画像認識プログラム30によって評価することにより、特に、操作者20による誤りのある操作を認識して、操作者に示すことも可能である。誤った曲げステーション25、26内の加工対象物5の挿入または曲げステーションへ挿入する際の加工対象物の正しくない方向付けのような、操作エラーは、警告メッセージの形式で付加的に作業手引きG2、G3内で操作者20に示すことができる。
【0045】
図5は、揺動曲げするための曲げ機械31を側面図で部分的に示している。
【0046】
曲げ機械31は、まず、下側の保持部33と上側の保持部34を備えた保持装置32を有しており、それらの保持部の間に加工対象物5を加工するために固定することができる。これは通常、上側の保持部34が間にある加工対象物5と下側の保持部33に対して下降し、かつそれに対して押圧されることによって、行われる。曲げ変形するために、曲げ工具35が設けられている。この曲げ工具35は、工具支持体36に固定されており、かつその工具支持体によって少なくとも2つの空間方向(X,Z)に変位することができる。揺動曲げの場合には加工対象物5の変形は、曲げ工具35が変位駆動装置によって移動される工具支持体36により、保持部33、34から張り出す、加工対象物5の自由な脚37へ向かって移動されて、適切な調整動作を実施しながらその脚に作用することによって、達成することができる(
図6、7)。変位駆動装置(図示せず)によって工具支持体36を移動させるためのしかるべきルート座標もしくはルート移動データは、製造プログラム14による設定のもとで制御装置10によって生成される。加工対象物5の脚37に対して押圧を行う曲げ工具35が、最終的に加工対象物5の所望の曲げ変形をもたらす(
図7)。
【0047】
自由曲げするための曲げ機械1の
図1と2を用いて上述したのと同様にして、揺動曲げするための曲げ機械31においても、加工領域18を検出するための少なくとも1つのカメラ16が設けられている。同様に、互いに連続する種々の製造ステップF1、F2、F3などを実施するための製造プログラム14のしかるべき制御信号に基づいて、加工対象物5を方向づけするためのストッパ8、9が、制御装置10によって変位可能である。
【0048】
図6は、揺動曲げするための曲げ機械31の詳細を、第1の曲げ変形の開始時においてまだ加工されていない加工対象物5と共に示している。加工対象物5は、そのエッジによってストッパ8、9に添接するように方向づけされて、保持部33、34の間に挟持されている。曲げ工具35は、曲げ変形を実施するための開始位置にあって、加工対象物5の脚37に添接している。
【0049】
図7において、加工対象物5は第1の曲げ変形の終了後において示されている(第1の製造ステップF1の段階B1)。加工対象物5の脚37の屈曲された形状は、曲げ工具35の移動ルートが適切に実施された結果である。上側の保持部34を持ち上げた後に、加工対象物5は操作者20によって加工ステーションから取り出すことができる。
【0050】
加工対象物5において互いに連続する複数の曲げ変形によって部品を形成することは、操作者20により揺動曲げするための曲げ機械31によって、同様に制御装置10もしくはその製造プログラム14に支援されて、実施することができる。その場合に時間的に互いに連続する製造ステップF1、F2、F3などの各々は、以下の5つの段階を有している:
P:ストッパ8、9の位置決め;
I:加工対象物5を下側の保持部33と上側の保持部34の間に挿入して挟持する;
B:曲げ変形の実施;
O:保持部33、34を互いに離れるように移動させる、及び
R:加工対象物5の取り出し。
【0051】
上述した自由曲げとは異なり、揺動曲げするための曲げ機械31によって加工する場合には、加工対象物5の挿入の段階Iにおいてさらに、加工対象物5を挟持するために操作者20によって開始すべき保持部33、34の互いに合わさる移動が加わる。そのために、通常のように、スイッチとしてのフットスイッチが操作者20によって操作される。それに続く、曲げ変形を実施するための段階Bは、加工対象物5の挟持に続いて自動的に実施することができる。しかし代替的に、曲げ変形を実施する段階Bの開始が操作者20によるスイッチの新たな操作を必要とすることもあり得る。
【0052】
揺動曲げするための曲げプレス31によって加工対象物5から部品を形成するための製造プログラム14のタイムシーケンスは、そのほかにおいては、
図4に示されるようなシーケンスと等しい。これは、現時点の製造ステップF1又は後続の第2の製造ステップF2のそれぞれ後続の段階のための作業手引きG1、G2、G3を、表示手段19に表示すべき加工領域18の画像と重畳させることについても、当てはまる。
【0053】
実施例は、可能な実施変形例を示しており、その場合にここに記録しておくが、本発明は具体的に示された実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であり、これらの変形可能性はこの発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この技術分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。
【0054】
保護領域は、請求項によって定められる。しかし明細書と図面は、請求項を解釈するために利用されるべきである。図示され、かつ説明された様々な実施例からなる個別特徴及び特徴の組合せは、それ自体自立した進歩的解決を表すことができる。自立した進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0055】
具体的な説明内の値領域についてのすべての記載は、その任意の部分領域とすべての部分領域を共に含むものであって、たとえば記載1から10は、下限の1と上限の10から始まるすべての部分領域、すなわち下限の1またはそれ以上で始まり、上限の10またはそれ以下で終了する、たとえば1から1.7、または3.2から8.1、あるいは5.5から10のすべての部分領域、を一緒に含んでいるものとする。
【0056】
最後に形式的に指摘しておくが、構造を理解しやすくするために、部材は一部縮尺どおりではなく、拡大及び/又は縮小して示されている。
[構成1]
制御装置(10)と曲げ機械(1)を駆動するための制御プログラム(14)とを有する曲げ機械(1)によって、シートメタルからなる加工対象物(5)を変形することにより部品を形成する方法であって、加工領域(18)内で加工対象物(5)においてそれぞれ曲げ変形(B1、B2)を有する少なくとも2つの製造ステップ(F1、F2)が実施され、かつ、カメラ(16、17)によって加工領域(18)が検出されて、前記加工領域(18)の画像が表示手段(19)によって操作者(20)に示される方法において、第1の製造ステップ(F1)を実施する間に、画像処理プログラム(15)によって、表示手段(19)により表示すべき、加工領域(18)の画像に、現時の第1の製造ステップ(F1)の後続の段階のため、あるいは後続の第2の製造ステップ(F2)のための作業手引き(G1、G2、G3)が重畳され、かつ前記表示手段(19)によって示され、画像認識プログラム(30)によって、前記カメラ(16)により記録される前記加工領域(18)の画像から、前記加工対象物(5)を方向付けするために設けられているストッパ(8、9)に前記加工対象物(5)のエッジが添接することが認識され、その後に前記制御装置(10)によって前記曲げ変形(B1、B2)が自動的に開始されることを特徴とする、部品を形成する方法。
[構成2]
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、ライン、矢印及びビームを有する群からの記号を有している、ことを特徴とする構成1に記載の方法。
[構成3]
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、回転軸及び回転角度の値を有する群からの記号を有している、ことを特徴とする構成1又は2に記載の方法。
[構成4]
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、前記加工対象物(5)のグラフィック表示を有している、ことを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載の方法。
[構成5]
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、前記加工対象物(5)を取り出すための好ましい作用点を示すための、前記加工対象物(5)の所定の箇所を向いた記号を有している、ことを特徴とする構成1から4のいずれか1つに記載の方法。
[構成6]
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、操作エラーによる警告を伝達するための記号を有している、ことを特徴とする構成1から5のいずれか1つに記載の方法。
[構成7]
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、前記加工対象物の移動中のグラフィック表示を有している、ことを特徴とする構成1から6のいずれか1つに記載の方法。
[構成8]
前記作業手引き(G1、G2、G3)が、前記加工対象物(5)を方向づけするための前記ストッパ(8、9)の移動中のグラフィック表示を有している、ことを特徴とする構成1から7のいずれか1つに記載の方法。
[構成9]
前記作業手引き(G1、G2、G3)の表示の継続時間において移動する前記加工対象物(5)のグラフィック表示が複数回繰り返し示される、ことを特徴とする構成1から8のいずれか1項に記載の方法。
[構成10]
前記作業手引き(G1、G2、G3)の表示の継続時間が、プレスビーム(2、3)の互いに離れる移動の段階(O1)の終了前に開始される、ことを特徴とする構成1から9のいずれか1つに記載の方法。
[構成11]
前記作業手引き(G1、G2、G3)の表示の継続時間が、前記第1の曲げ変形(B1)の終了と共に開始される、ことを特徴とする構成1から10のいずれか1つに記載の方法。
[構成12]
前記作業手引き(G1、G2、G3)の表示の継続時間が、前記後続の製造ステップ(F2)の前記第2の曲げ変形(B2)の開始と共に終了される、ことを特徴とする構成1から11のいずれか1つに記載の方法。
[構成13]
前記操作者(20)の空間的座標を定めるために、位置を求めるシステムによって、上側のプレスビーム(3)の前側に配置されたカメラ(17)の画像が評価される、ことを特徴とする構成1から12のいずれか1つに記載の方法。
[構成14]
位置を求めるシステムによって、前記操作者(20)の位置が求められ、かつ画像処理プログラム(15)によって前記カメラ(16,17)の座標、前記加工領域(18)の座標及び前記操作者(20)の位置の座標を考慮しながら、カメラ(16、17)によって記録された画像からそれぞれ遠近法的に変換された画像が生成される、ことを特徴とする構成1から13のいずれか1項に記載の方法。
【符号の説明】
【0057】
1 曲げ機械
2 プレスビーム
3 プレスビーム
4 機械フレーム
5 加工対象物
6 曲げ工具
7 曲げ工具
8 ストッパ
9 ストッパ
10 制御装置
11 操作ターミナル
12 モニタ
13 入力装置
14 製造プログラム
15 画像処理プログラム
16 カメラ
17 カメラ
18 加工領域
19 表示手段
20 操作者
21 ストッパ装置
22 ガイドレーン
23 操作モータ
24 矢印
25 曲げステーション
26 曲げステーション
27 ビーム
28 矢印
29 矢印
30 画像認識プログラム
31 曲げ機械
32 保持装置
33 下側の保持部
34 上側の保持部
35 曲げ工具
36 工具支持体
37 脚