(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】射出成形機システム
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
B29C45/76
(21)【出願番号】P 2021514205
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(86)【国際出願番号】 JP2020016634
(87)【国際公開番号】W WO2020213663
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2019078067
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】谷田 和貴
(72)【発明者】
【氏名】茂木 浩
(72)【発明者】
【氏名】有田 未来生
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206113(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159726(WO,A1)
【文献】特開2017-105136(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189011(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
G05B 19/00-19/46
B23Q 15/00-15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型装置を型締する型締装置と、前記型締装置により型締された前記金型装置に成形材料を充填する射出装置と、前記射出装置により充填された成形材料が冷却固化した後、前記金型装置から成形品を取り出すエジェクタ装置と、自機で出力される稼働状態に関するデータのうちの対象データを取得し、記憶部に記録するデータ取得部と、ユーザの要求に応じて、前記対象データを設定する設定部と、を含む制御装置と、を有する射出成形機と、
表示装置と、を備え、
前記表示装置は、ユーザの要求に応じて、前記設定部により前記対象データに関する設定が行われる場面で、設定の前後、又は、何れか一方における、データ取得に関する処理負荷の状態を表示する、
射出成形機システム。
【請求項2】
前記表示装置は、ユーザの要求に応じて、前記設定部により前記対象データに関する設定が行われる場面で、前記要求で指定される候補のデータの前記データ取得部による取得可否に関する情報を表示する、
請求項1に記載の射出成形機システム。
【請求項3】
前記取得可否に関する情報は、前記候補のデータの前記データ取得部による取得可否のユーザによる判断材料に関する情報を含む、
請求項2に記載の射出成形機システム。
【請求項4】
前記判断材料に関する情報は、前記候補のデータの追加に対する前記処理負荷の変化を表す情報を含む、
請求項3に記載の射出成形機システム。
【請求項5】
前記取得可否に関する情報は、前記候補のデータの前記データ取得部による取得可否を特定する情報を含む、
請求項2に記載の射出成形機システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記データ取得部を含む第1のコントローラと、前記型締装置、前記射出装置、及び前記エジェクタ装置の動作を含む自機の成形動作を制御する第2のコントローラとを含む、
請求項1に記載の射出成形機システム。
【請求項7】
前記データ取得に関する処理負荷の状態には、前記データ取得部に対応するプロセッサの処理負荷に関する情報が含まれ、
前記設定部は、前記プロセッサの処理負荷を考慮して、前記要求で指定される候補のデータを前記対象データとして設定する、
請求項1に記載の射出成形機システム。
【請求項8】
前記表示装置は、前記射出成形機、前記射出成形機と通信可能に接続される、前記射出成形機の上位の外部装置、及び前記射出成形機と通信可能に接続される、ユーザが利用可能な端末装置のうちの少なくとも一つに設けられる、
請求項1に記載の射出成形機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、射出成形機等の産業機械では、その稼働状態に関するデータ(例えば、機械の動作状態を検出する各種センサの出力データ等)が収集され、表示装置等を通じて、ユーザに提供される場合がある(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、産業機械のコントローラ等の処理能力には限界があるため、取得可能なデータの種類数には限度がある。そのため、ユーザは、取得対象のデータを設定したいと考えても、データ取得のための処理能力に余力が無かったり、そもそも、どの程度の種類数のデータを設定できるのか等を分からなかったりする。よって、ユーザがより簡単に所望のデータを取得対象として設定可能であることが望ましい。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、産業機械の稼働状況に関するデータが取得されユーザに提供される場合に、ユーザがより簡単に取得対象のデータの設定を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
金型装置を型締する型締装置と、前記型締装置により型締された前記金型装置に成形材料を充填する射出装置と、前記射出装置により充填された成形材料が冷却固化した後、前記金型装置から成形品を取り出すエジェクタ装置と、自機で出力される稼働状態に関するデータのうちの対象データを取得し、記憶部に記録するデータ取得部と、ユーザの要求に応じて、前記対象データを設定する設定部と、を含む制御装置と、を有する射出成形機と、
表示装置と、を備え、
前記表示装置は、ユーザの要求に応じて、前記設定部により前記対象データに関する設定が行われる場面で、設定の前後、又は、何れか一方における、データ取得に関する処理負荷の状態を表示する、
射出成形機システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述の実施形態によれば、産業機械の稼働状況に関するデータが取得されユーザに提供される場合に、ユーザがより簡単に取得対象のデータの設定を行うことが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】射出成形機システムの構成の一例を示す図である。
【
図1B】射出成形機システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】射出成形機のデータ収集に関する機能構成の第1例を示す図である。
【
図4】収集データ設定画面の他の例を示す図である。
【
図5】収集データ設定画面の更に他の例を示す図である。
【
図7】射出成形機のデータ収集に関する機能構成の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0011】
以下、実施形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する場合がある。
【0012】
[射出成形機システムの概要]
まず、
図1(
図1A、
図1B)を参照して、本実施形態に係る射出成形機システムSYSの概要について説明する。
【0013】
図1A、
図1Bは、本実施形態に係る射出成形機システムSYSの一例を示す図である。具体的には、
図1Aの射出成形機1は、型開完了時の状態を表し、
図1Bの射出成形機1は、型締時の状態を表す。以下、本実施形態の図中において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに垂直であり、X軸の正負方向(以下、単に「X方向」)及びY軸の正負方向(以下、単に「Y方向」)は水平方向を表し、Z軸の正負方向(以下、単に「Z方向」)は鉛直方向を表す。
【0014】
射出成形機システムSYSは、射出成形機1と、管理装置2と、ユーザ端末3とを含む。
【0015】
本例では、射出成形機システムSYSに含まれる射出成形機1は、2台であるが、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。また、射出成形機システムSYSに含まれる管理装置2は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。また、射出成形機システムSYSに含まれるユーザ端末3は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0016】
<射出成形機の概要>
射出成形機1(産業機械の一例)は、成形品を得るための一連の動作を行う。
【0017】
また、射出成形機1は、所定の通信回線NWを通じて、管理装置2やユーザ端末3と通信可能に接続される。また、射出成形機1は、通信回線NWを通じて、他の射出成形機1と通信可能に接続されてもよい。通信回線NWは、例えば、射出成形機1が設置される工場内のローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)を含む。ローカルネットワークは、有線であってもよいし、無線であってよいし、その両方を含む態様であってもよい。また、通信回線NWは、例えば、射出成形機1が設置される工場の外部の広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)を含んでもよい。広域ネットワークには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網が含まれてよい。移動体通信網は、例えば、LTE(Long Term Evolution)を含む4G(4th Generation)や5G(5th Generation)等に対応していてよい。また、広域ネットワークには、例えば、通信衛星を利用する衛星通信網が含まれてもよい。また、広域ネットワークには、例えば、インターネット網が含まれてもよい。また、通信回線NWは、例えば、ブルートゥース(登録商標)通信やWiFi通信等に対応する近距離無線通信回線を含んでもよい。
【0018】
例えば、射出成形機1は、通信回線NWを通じて、管理装置2に射出成形機1(自機)の稼働状態に関するデータ(以下、「稼働データ」)を送信(アップロード)する。これにより、管理装置2(或いは、その管理者や作業者等)は、稼働状態を把握し、射出成形機1のメンテナンスのタイミングや射出成形機1の稼働スケジュール等を管理することができる。また、管理装置2は、射出成形機1の稼働データに基づき、射出成形機1の制御に関するデータ(例えば、成形条件等)を生成し、射出成形機1に送信することにより、外部から射出成形機1に関する制御を行うことができる。
【0019】
また、例えば、射出成形機1は、マスタ機として、通信回線NWを通じて、スレーブ機としての他の射出成形機1の動作を監視したり、制御したりしてもよい。具体的には、射出成形機1(スレーブ機)は、通信回線NWを通じて、稼働データを射出成形機1(マスタ機)に送信してよい。これにより、射出成形機1(マスタ機)は、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作を監視することができる。また、射出成形機1(マスタ機)は、稼働データに基づき、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作状態を把握しながら、動作に関する制御指令を、通信回線NWを通じて、他の射出成形機1(スレーブ機)に送信してもよい。これにより、射出成形機1(マスタ機)は、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作を制御することができる。この場合、射出成形機1(マスタ機)は、自機の動作に同期させるように、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作を制御してもよい。
【0020】
<管理装置の概要>
管理装置2(上位の外部装置の一例)は、上述の如く、通信回線NWを通じて、射出成形機1と通信可能に接続される。また、管理装置2は、通信回線NWを通じて、ユーザ端末3と通信可能に接続されてもよい。
【0021】
管理装置2は、例えば、射出成形機1が設置される工場の外部の管理センタ等の遠隔地に設置されるクラウドサーバである。また、管理装置2は、例えば、射出成形機1が設置される工場内部や工場に相対的に近い場所(例えば、工場の近くの無線基地局や局舎等の通信施設)に設置されるエッジサーバであってもよい。また、管理装置2は、射出成形機1が設置される工場内の端末装置(例えば、デスクトップ型のコンピュータ端末)であってもよい。また、管理装置2は、射出成形機1の管理者等が携帯可能な携帯端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ端末等)であってもよい。
【0022】
管理装置2は、例えば、射出成形機1から送信(アップロード)されるデータに基づき、射出成形機1の稼働状態を把握し、射出成形機1の稼働状態を管理してよい。また、管理装置2は、把握される射出成形機1の稼働状態に基づき、射出成形機1の異常診断等の各種診断を行ってよい。
【0023】
また、管理装置2は、例えば、通信回線NWを通じて、射出成形機1に対する制御データ(例えば、成形条件等の各種の設定条件に関するデータ)を送信してもよい。これにより、管理装置2は、射出成形機1の動作を制御することができる。
【0024】
<ユーザ端末の概要>
ユーザ端末3(ユーザが利用可能な端末装置の一例)は、上述の如く、通信回線NWを通じて、射出成形機1や管理装置2と通信可能に接続される。
【0025】
ユーザ端末3は、射出成形機システムSYSのユーザによって利用される。射出成形機システムSYSのユーザには、射出成形機1を操作する作業者や射出成形機1のメンテナンスを行うサービスマン等の射出成形機1のユーザが含まれる。また、射出成形機システムSYSのユーザには、管理装置2の管理者や作業者等の管理装置2のユーザが含まれる。
【0026】
ユーザ端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ端末等の携帯端末であってよい。また、ユーザ端末3は、例えば、デスクトップ型のコンピュータ端末等の定置型の端末装置であってもよい。
【0027】
ユーザ端末3は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置を有し、表示装置を通じて、射出成形機1に関する情報をユーザに提供してよい。射出成形機1に関する情報には、例えば、射出成形機1の稼働状態に関する情報が含まれる。具体的には、ユーザ端末3は、例えば、操作入力装置、音声入力装置、ジェスチャ入力装置等の入力装置を有し、入力装置を通じてユーザから受け付けられる所定の入力(即ち、ユーザからの要求)に応じて、情報提供の要求信号を射出成形機1や管理装置2に送信してよい。そして、射出成形機1や管理装置2は、ユーザ端末3から受信される要求信号に応じて、対象の情報を含むデータ(例えば、稼働状態に関する情報に対応する稼働データ等)を要求信号の送信元のユーザ端末3に配信してよい。これにより、ユーザ端末3は、射出成形機1や管理装置2から受信されるデータに基づき、ユーザに射出成形機1に関する情報を提供することができる。
【0028】
また、ユーザ端末3は、例えば、入力装置を通じて受け付けられるユーザからの所定の入力に応じて、射出成形機1に関する設定を行ってもよい。射出成形機1に関する設定には、例えば、射出成形機1の成形条件に関する設定が含まれる。また、射出成形機1に関する設定には、例えば、後述の収集対象のデータに関する設定が含まれる。具体的には、ユーザ端末3は、例えば、入力装置を通じてユーザから受け付けられる、表示装置の所定の設定画面に対する所定の入力に応じて、射出成形機1に関する設定を行ってよい。そして、ユーザ端末3は、確定された射出成形機1に関する設定内容を対象の射出成形機1に向けて送信してよい。これにより、射出成形機1は、受信される設定内容に応じて、自機の設定を行うことができる。そのため、ユーザ端末3は、ユーザの操作に応じた設定内容を射出成形機1に反映させることができる。
【0029】
[射出成形機の構成]
次に、引き続き、
図1A、
図1Bを参照して、射出成形機1の構成について説明する。
【0030】
射出成形機1は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、制御装置700とを含む。
【0031】
<型締装置>
型締装置100は、金型装置10の型閉、型締、及び型開を行う。型締装置100は例えば、横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、及び型厚調整機構180を有する。
【0032】
以下、型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(
図1A及び
図1B中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(
図1A及び
図1B中左方向)を後方として説明する。
【0033】
固定プラテン110は、フレームFrに対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型11が取付けられる。
【0034】
可動プラテン120は、フレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされる。フレームFr上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型12が取付けられる。
【0035】
固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型11と可動金型12とで金型装置10が構成される。
【0036】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて連結され、フレームFr上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、フレームFr上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
【0037】
尚、本実施形態では、固定プラテン110がフレームFrに対し固定され、トグルサポート130がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート130がフレームFrに対し固定され、固定プラテン110がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
【0038】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば、4本)用いられてよい。各タイバー140は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられる。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出等に用いられる。
【0039】
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪みゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式等でもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0040】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配設され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群等で構成される。各リンク群は、ピン等で屈伸自在に連結される第1リンク152及び第2リンク153を有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピン等で揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピン等で揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152及び第2リンク153が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0041】
尚、トグル機構150の構成は、
図1A及び
図1Bに示す構成に限定されない。例えば、
図1A及び
図1Bでは、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0042】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152及び第2リンク153を屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリ等を介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0043】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0044】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程等を行う。
【0045】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型12を固定金型11にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や速度は、例えば、型締モータエンコーダ161等を用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0046】
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、及び、クロスヘッド151の速度を検出するクロスヘッド速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の速度を検出する可動プラテン速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0047】
型締工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型12と固定金型11との間にキャビティ空間14が形成され、射出装置300と第2射出装置500のいずれか一方がキャビティ空間14に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間14の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
【0048】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型12を固定金型11から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型12から成形品を突き出す。
【0049】
型閉工程及び型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および型締工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)や型締力等は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0050】
また、型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、型開工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型締位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0051】
尚、クロスヘッド151の速度や位置等の代わりに、可動プラテン120の速度や位置等が設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば、型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0052】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも称する)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0053】
金型装置10の交換や金型装置10の温度変化等により金型装置10の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば、可動金型12が固定金型11にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0054】
型締装置100は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0055】
ねじ軸181及びねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転は、回転伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。
【0056】
尚、回転伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0057】
回転伝達部185は、例えば、歯車等で構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車及び駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。
【0058】
尚、回転伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリ等で構成されてもよい。
【0059】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させることで、ねじナット182を回転自在に保持するトグルサポート130の固定プラテン110に対する位置を調整し、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0060】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。
【0061】
尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0062】
型厚調整機構180は、互いに螺合するねじ軸181とねじナット182の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構180が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ183が用いられてもよい。
【0063】
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0064】
また、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0065】
<エジェクタ装置>
エジェクタ装置200は、射出装置300により金型装置10に充填された成形材料が冷却固化した後、金型装置10から成形品を突き出す(取り出す)。エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210、運動変換機構220、及びエジェクタロッド230等を有する。
【0066】
以下、エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(
図1A及び
図1B中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(
図1A及び
図1B中左方向)を後方として説明する。
【0067】
エジェクタモータ210は、可動プラテン120に取付けられる。エジェクタモータ210は、運動変換機構220に直結されるが、ベルトやプーリ等を介して運動変換機構220に連結されてもよい。
【0068】
運動変換機構220は、エジェクタモータ210の回転運動をエジェクタロッド230の直線運動に変換する。運動変換機構220は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0069】
エジェクタロッド230は、可動プラテン120の貫通穴において進退自在とされる。エジェクタロッド230の前端部は、可動金型12の内部に進退自在に配設される可動部材15と接触する。エジェクタロッド230の前端部は、可動部材15と連結されていても、連結されていなくてもよい。
【0070】
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。
【0071】
突き出し工程では、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材15を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で後退させ、可動部材15を元の待機位置まで後退させる。エジェクタロッド230の位置や速度は、例えば、エジェクタモータエンコーダ211を用いて検出する。エジェクタモータエンコーダ211は、エジェクタモータ210の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0072】
尚、エジェクタロッド230の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド230の速度を検出するエジェクタロッド速度検出器は、エジェクタモータエンコーダ211に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0073】
<射出装置>
射出装置300は、型締装置100により型締された金型装置10に成形材料を充填する。具体的には、射出装置300は、フレームFrに対し進退自在なスライドベース301に設置され、金型装置10に対し進退自在とされる。そして、射出装置300は、金型装置10にタッチし、金型装置10内のキャビティ空間14に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360等を有する。
【0074】
以下、射出装置300の説明では、射出装置300を金型装置10に対し接近させる方向(
図1A及び
図1B中左方向)を前方とし、射出装置300を金型装置10に対し離間させる方向(
図1A及び
図1B中右方向)を後方として説明する。
【0075】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば、樹脂等を含む。成形材料は、例えば、ペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダ等の冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータ等の加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0076】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(
図1A及び
図1B中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0077】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置10に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0078】
スクリュ330は、シリンダ310内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置10内に充填される。
【0079】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0080】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(
図1B参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0081】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(
図1A参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0082】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0083】
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0084】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば、油圧ポンプ等でもよい。
【0085】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構等が設けられる。運動変換機構は、例えば、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラ等が設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば、油圧シリンダ等でもよい。
【0086】
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
【0087】
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力等の制御や監視に用いられる。
【0088】
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程、及び、保圧工程等を行う。
【0089】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転数で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転数は、例えば、計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0090】
尚、スクリュ330の回転数を検出するスクリュ回転数検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0091】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば、圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0092】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置10内のキャビティ空間14に充填させる。スクリュ330の位置や速度は、例えば、射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも称する。スクリュ330の設定速度は、スクリュ330の位置や時間等に応じて変更されてもよい。
【0093】
尚、充填工程においてスクリュ330の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の速度を検出するスクリュ速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0094】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも称する。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置10に向けて押す。金型装置10内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば、圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間等に応じて変更されてもよい。
【0095】
保圧工程では金型装置10内のキャビティ空間14の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間14の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間14からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間14内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0096】
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
【0097】
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0098】
<移動装置>
移動装置400は、金型装置10に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置10に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430等を含む。
【0099】
以下、移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、射出装置300を金型装置10に対し接近させる方向(
図1A及び
図1B中左方向)を前方とし、射出装置300を金型装置10に対し離間させる方向(
図1A及び
図1B中右方向)を後方として説明する。
【0100】
尚、移動装置400は、
図2では射出装置300のシリンダ310の片側に配置されるが、シリンダ310の両側に配置されてもよく、シリンダ310を中心に対称に配置されてもよい。
【0101】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切り替えることにより、第1ポート411及び第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば、油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411及び第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
【0102】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向及び回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0103】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、及びピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0104】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型11に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0105】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型11から離間される。
【0106】
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0107】
<制御装置>
制御装置700は、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、及び移動装置400等に直接的に制御信号を送信し、射出成形機1の駆動制御を行う。
【0108】
制御装置700は、例えば、コンピュータを中心に構成され、CPU(Central Processing Unit)701と、メモリ装置702と、補助記憶装置703と、入出力用のインタフェース装置704とを有する。制御装置700は、補助記憶装置703にインストールされるプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、インタフェース装置704を通じて、外部の信号を受信したり、外部に信号を出力したりする。
【0109】
制御装置700は、型閉工程、型締工程、及び型開工程等を繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。また、制御装置700は、型締工程の間に、射出装置300による計量工程、充填工程、保圧工程等を行う。
【0110】
尚、成形品を得るための一連の動作、例えば、射出装置300による計量工程の開始から次の射出装置300による計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも称する。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」とも称する。
【0111】
一回の成形サイクルは、例えば、射出装置300及び第2射出装置500による計量工程、型閉工程、型締工程、射出装置300及び第2射出装置500による充填工程、射出装置300及び第2射出装置500による保圧工程、冷却工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の開始から型締工程の終了までの間に行われる。型締工程の終了は型開工程の開始と一致する。
【0112】
尚、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。射出装置300のノズル320及び後述する第2射出装置500のノズル520の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320及びノズル520の流路を閉じていれば、ノズル320及びノズル520から成形材料が漏れないためである。
【0113】
制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。
【0114】
操作装置750は、ユーザによる射出成形機1に関する入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。
【0115】
表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた射出成形機1に関する操作画面を表示する。
【0116】
表示装置760に表示される操作画面は、射出成形機1に関する設定等に用いられる。射出成形機1に関する設定には、例えば、射出成形機1に関する成形条件の設定(具体的には、設定値の入力)が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時のロギングデータとして記録される射出成形機1に関する各種センサ等の検出値の種類の選択に関する設定が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時の射出成形機1に関する各種センサ等の検出値(実績値)の表示装置760への表示仕様(例えば、表示する実績値の種類や表示のさせ方等)の設定が含まれる。操作画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760に表示される操作画面を見ながら、操作装置750を操作することにより、射出成形機1に関する設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。
【0117】
また、表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作画面上での操作に応じた各種情報(情報画面)を表示する。情報画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。例えば、表示装置760は、射出成形機1に関する設定内容(例えば、射出成形機1の成形条件に関する設定内容)を表示する。また、例えば、表示装置760は、管理情報(例えば、射出成形機1の稼働実績に関する情報等)を表示する。
【0118】
操作装置750及び表示装置760は、例えば、タッチパネル式のディスプレイとして構成され、一体化されてよい。
【0119】
尚、本実施形態の操作装置750及び表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。また、射出成形機1には、操作装置750に代えて、或いは、加えて、他の入力装置が設けられてもよい。例えば、ユーザの音声入力やジェスチャ入力を受け付ける音声入力装置やジェスチャ入力装置が設けられてもよい。
【0120】
[射出成形機に関するデータの収集方法及びユーザへの提供方法]
次に、
図2~
図7を参照して、射出成形機1に関するデータの収集方法及びユーザへの提供方法について説明する。
【0121】
<射出成形機に関するデータの収集方法及びユーザへの提供方法の第1例>
図2は、射出成形機1のデータ収集に関する機能構成の第1例を示す図である。本例では、データ収集用コントローラ700Bにより所定の条件(例えば、後述のトリガ条件)に適合する稼働データが選択的に収集される。そして、収集された稼働データに対応する射出成形機1の稼働状態に関する情報は、ユーザの要求に応じて、事後的に表示装置760を通じてユーザに提供される。
【0122】
図2に示すように、制御装置700は、上位コントローラ700Aと、データ収集用コントローラ700Bと、制御用コントローラ700Cとを含む。また、制御装置700(データ収集用コントローラ700B及び制御用コントローラ700C)は、バスBを通じて、ドライバ770及び入力デバイス780と通信可能に接続される。
【0123】
上位コントローラ700A、データ収集用コントローラ700B、及び制御用コントローラ700Cは、例えば、それぞれに内蔵される補助記憶装置703にインストールされるプログラムをそれぞれに内蔵されるCPU701上で実行させることにより各種機能を実現させる。以下、データ収集用コントローラ700B、及び制御用コントローラ700C等を総括的に「下位コントローラ」と称する場合がある。
【0124】
上位コントローラ700Aは、操作装置750及び表示装置760と所定の通信線を通じて一対一で接続される。これにより、上位コントローラ700Aは、操作装置750を通じたユーザの要求(例えば、設定入力)を下位コントローラの制御処理に反映させたり、下位コントローラの制御処理に基づく各種データを、表示装置760を通じてユーザに提供したりすることができる。また、上位コントローラ700Aは、所定の通信線を通じて、データ収集用コントローラ700Bと一対一で接続される。これにより、上位コントローラ700Aは、データ収集用コントローラ700Bに各種信号(例えば、後述のデータ収集に関する設定内容等)を送信したり、データ収集用コントローラ700Bから収集されたデータを取得(受信)したりすることができる。
【0125】
尚、上位コントローラ700Aは、バスBを通じて、データ収集用コントローラ700Bと通信可能に接続されてもよい。また、操作装置750及び表示装置760に代えて或いは加えて、操作装置750及び表示装置760と同様の機能を果たす端末装置(例えば、ラップトップ型のコンピュータ端末やタブレット端末)等が上位コントローラ700Aに一対一の通信線で接続されてもよい。以下、後述の第2例(
図7)の場合についても同様である。
【0126】
上位コントローラ700Aは、データ収集設定部7001Aと、設定画面表示処理部7002Aと、データ表示処理部7004Aとを含む。また、上位コントローラ700Aは、データ記憶部7003Aを利用する。データ記憶部7003Aは、上位コントローラ700Aのメモリ装置702や補助記憶装置703等により実現されうる。
【0127】
データ収集設定部7001Aは、操作装置750に対するユーザの操作に応じて、射出成形機1の稼働データの収集に関する設定を行う。稼働データは、後述の如く、データ収集用コントローラ700Bにより収集(取得)され、データ収集用コントローラ700Bの内部に記録(保存)される。例えば、データ収集設定部7001Aは、設定画面表示処理部7002Aにより表示装置760に表示される操作画面(以下、「データ収集設定画面」)上でのユーザの操作装置750を通じた操作に応じて、射出成形機1の稼働データの収集に関する設定を行う。データ収集設定部7001Aによる設定内容は、例えば、上位コントローラ700A内の補助記憶装置703等に保存(登録)されると共に、データ収集用コントローラ700Bに送信される。これにより、データ収集用コントローラ700Bは、射出成形機1の稼働データの収集に関する設定内容を把握することができる。
【0128】
稼働データには、射出成形機1の成形動作に関する制御状態を表すデータ(以下、「制御データ」)が含まれる。制御データは、制御用コントローラ700C(データ出力部の一例)で出力される。また、稼働データには、射出成形機1の成形動作を実現する各種の電動アクチュエータを駆動するドライバ770の動作状態に関するデータ(以下、「ドライバ動作データ」)が含まれる。ドライバ動作データは、各種のドライバ770(データ出力部の一例)で出力される。また、稼働データには、射出成形機1に関する稼働時における各種の検出データが含まれる。検出データは、入力デバイス780(データ出力部、検出データ出力機器の一例)で出力される。
【0129】
射出成形機1の稼働データの収集に関する設定には、例えば、設定可能な予め規定される複数の種類の稼動データ(以下、「設定可能稼働データ」)のうち、どの種類の稼働データを取得対象の稼働データ(以下、「取得対象データ」)とするかの設定が含まれる。また、射出成形機1の稼働データの収集に関する設定には、例えば、時系列で出力される取得対象データのうち、どのタイミング(以下、「取得対象タイミング」)の取得対象データを取得対象とするかの設定が含まれる。取得対象タイミングの設定には、例えば、取得対象データとして設定される稼働データごとのデータ収集のトリガとなる条件(以下、「トリガ条件」)の設定が含まれる。トリガ条件には、データ収集の開始トリガとなる条件(以下、「開始トリガ条件」)及びデータ収集の終了トリガとなる条件(以下、「終了トリガ条件」)が含まれてよい。以下、トリガ開始条件の成立からトリガ終了条件の成立までの間を「トリガ条件の成立時」と称する場合がある。データ収集のトリガは、取得対象データとして設定される稼働データごとに異なっていてもよいし、取得対象データとして設定される一部又は全部の稼働データの間で同じであってもよい。データ収集の開始トリガ及び終了トリガは、例えば、射出成形機1に関する異常の発生及び異常の終了(正常復帰)であってよい。射出成形機1に関する異常には、対象の稼働データに対応する機器や関連する機器に関する異常が含まれる。異常の発生の有無は、例えば、射出成形機1の各種機器(データ収集用コントローラ700B、制御用コントローラ700C、ドライバ770、入力デバイス780)から出力される異常発生を示す異常信号に基づき判断されうる。
【0130】
設定画面表示処理部7002Aは、操作装置750に対するユーザの所定操作に応じて、データ収集設定画面を表示する。
【0131】
データ収集設定画面は、上述の如く、複数の種類の設定可能稼動データのうち、どの種類の稼働データを取得対象データとするかの設定や、取得対象タイミングの設定等をユーザが行うために用いられる。また、データ収集設定画面は、例えば、取得対象データの設定内容(例えば、どの種類の稼働データが取得対象データとして設定されているか、取得対象タイミングがどのように指定されているか等)をユーザが確認(参照)するために用いられる。
【0132】
例えば、
図3は、表示装置760に表示されるデータ収集設定画面の一例(データ収集設定画面3000)を示す図である。
【0133】
図3に示すように、本例では、それぞれの設定可能稼働データが相対的に大きい分類(以下、「大分類」)、及び大分類に含まれる相対的に小さい分類(以下、「小分類」)に分類され、大分類及び小分類に紐付けられる形で階層的に表示される。
【0134】
本例では、"コマンドログ"、"診断データ"、"型締装置"、"エジェクタ装置"、"移動装置"、及び"射出装置"等の大分類が予め規定されている。"コマンドログ"は、制御機器(例えば、制御用コントローラ700C)と被制御機器(例えば、ドライバ770や入力デバイス780)との間のコマンドのやり取りのログに関するデータに対応する大分類である。"診断データ"は、制御用コントローラ700C、ドライバ770、入力デバイス780等の各種機器の稼働中における自己診断の結果に関するデータに対応する大分類である。"型締装置"は、型締装置100に関する稼働データに対応する大分類である。"エジェクタ装置"は、エジェクタ装置200に関する稼働データに対応する大分類である。"移動装置"は、移動装置400に関する稼働データに対応する大分類である。"射出装置"は、射出装置300に関する稼働データに対応する大分類である。
【0135】
"射出装置"の大分類には、"射出モータ"、"計量モータ"、及び"保持圧力"等の小分類が予め規定されている。"射出モータ"は、射出モータ350に関する稼働データに対応する小分類である。
【0136】
"射出モータ"の小分類には、
図3に示すように、設定可能稼働データとして、位置指令値データ、位置実績値データ、速度指令値データ、速度実績値データ、電流指令値データ、及び電流実績値データが含まれる。また、"射出モータ"の小分類には、設定可能稼働データとして、電圧実績値データやPWM(Pulse Width Modulation)指令値データが含まれてもよい。位置指令値データ及び速度指令値データは、それぞれ、射出モータ350の回転位置(回転角度)及び回転速度に関する指令値を表すデータであり、制御用コントローラ700Cから出力されてよい。位置実績値データ及び速度実績値データは、それぞれ、射出モータ350の回転位置及び回転速度の実績値(検出値)を表すデータであり、射出モータ350の位置及び速度を検出する入力デバイス780(射出モータエンコーダ351)から出力されてよい。電流指令値データは、射出モータ350の電流に関する指令値を表すデータであり、制御用コントローラ700Cから出力されてよい。また、電流実績値データは、射出モータ350の電流の実績値(検出値)を表すデータであり、射出モータ350の電流を検出する入力デバイス780から出力されてよい。また、電圧実績値データは、射出モータ350の電圧の実績値(検出値)を表すデータであり、射出モータ350の印加電圧を検出する入力デバイス780から出力されてよい。また、PWM指令値データは、ドライバ770に含まれるスイッチング素子を駆動する指令値を表すデータであり、ドライバ770から出力されてよい。
【0137】
"計量モータ"は、計量モータ340に関する稼働データに対応する小分類である。"計量モータ"の小分類には、例えば、計量モータ340に関する位置指令値データ、位置実績値データ、速度指令値データ、速度実績値データ、電流指令値データ、電流実績値データ、電圧実績値データ、PWM指令値データ等が含まれてよい。
【0138】
"保持圧力"は、スクリュ330の前端における成形材料の圧力(保持圧力)に関する小分類である。"保持圧力"の小分類には、例えば、保持圧力に関する指令値データ、及び保持圧力に関する実績値データ等が含まれてよい。
【0139】
データ収集設定画面3000において、ユーザは、操作装置750を用いて、大分類を表す文字情報の左に隣接するアイコン("+"或いは"-"の記号を内包する正方形)を操作することができる。これにより、ユーザは、大分類の下位の階層(小分類)を展開して表示させたり、折りたたんで非表示にさせたりすることができる。本例では、"射出装置"の大分類だけが展開され、その下位の小分類が表示されている。
【0140】
同様に、データ収集設定画面3000において、ユーザは、操作装置750を用いて、展開されている小分類を表す文字情報の左に隣接するアイコンを操作することができる。これにより、ユーザは、小分類の下位の階層(小分類に含まれる設定可能稼働データ)を展開して表示させたり、折りたたんで非表示にさせたりすることができる。
【0141】
データ収集設定画面3000においてユーザは、操作装置750を用いて、展開されている設定可能稼働データの右に隣接するチェックボックスを操作し、チェックマークを入力したり、チェックマークを削除したりすることができる。これにより、ユーザは、展開されている小分類に含まれている一又は複数の設定可能稼働データのそれぞれについて、チェックボックスにチェックマークを入力し、取得対象データとして(追加)設定することができる。また、ユーザは、展開されている小分類に含まれている一又は複数の設定可能稼働データのそれぞれについて、チェックボックスのチェックマークを削除し、取得対象データから除外させることができる。また、ユーザは、展開されている小分類に含まれている一又は複数の設定可能稼働データごとのチェックボックスの内容を確認することにより、どの種類の設定可能稼働データが取得対象データとして設定されているかを把握することができる。
【0142】
本例では、"射出モータ"の小分類に含まれる位置指令データ、位置実績値データ、速度指令値データ、及び速度実績値データに対応するチェックボックスにチェックマークが入っており、取得対象データとして設定されている。
【0143】
図2に戻り、また、データ収集設定画面は、取得対象データや取得対象タイミングが新たに或いは追加で設定される場合に、データ収集に関する処理負荷、つまり、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷の状態をユーザが確認するために用いられてもよい。つまり、データ収集設定画面には、ユーザの要求に応じて、取得対象データに関する設定が行われる場面で、データ収集に関する処理負荷の状態を表す情報が表示されてもよい。このとき、取得対象データに関する設定には、例えば、複数の種類の設定可能稼働データの中から選択的に行われる取得対象データの設定が含まれる。また、取得対象データに関する設定には、例えば、取得対象タイミング(例えば、トリガ条件)の設定が含まれる。取得対象タイミングの設定は、取得対象データごとに行うことが可能な態様であってもよいし、取得対象データの全てに対して一括で行うことが可能な態様であってもよいし、その双方が可能な態様であってもよい。例えば、データ収集設定画面には、当該設定の場面の前後(即ち、現在の設定状態、及び新たな設定状態)のうちの少なくとも一方におけるデータ収集に関する処理負荷の状態が表示されてよい。例えば、新たな種類の取得対象データが追加されると、予め規定される処理周期中で取得される取得対象データの種類数が増加するため、処理周期中での処理負荷が増加し、場合によっては、処理周期中での許容される処理負荷の上限を超えてしまう可能性がある。また、例えば、新たに取得対象タイミングが追加されると、その取得対象タイミングに対応する取得対象データの種類数によっては、処理周期中での処理負荷が増加し、場合によっては、処理周期中で許容される処理負荷の上限を超えてしまう可能性がある。これに対して、例えば、ユーザは、取得対象データとして収集(取得)してほしい種類の稼働データがある場合に、データ取得に関する処理負荷の状態を把握することで、そのデータの追加取得の可能性を把握することができる。同様に、例えば、ユーザは、取得対象データを収集(取得)してほしい取得対象タイミングを追加したい場合に、データ取得に関する処理負荷の状態を把握し、その取得対象タイミングでの取得対象データの追加取得の可能性を把握することができる。よって、ユーザは、より簡単に取得対象データの設定を行うことができる。
【0144】
データ収集に関する処理負荷の状態を表す情報には、例えば、データ収集用コントローラ700B(のCPU701)の時系列の処理負荷を表す情報が含まれてよい。データ収集用コントローラ700BのCPU701の処理負荷が相対的に高くなると、予め規定される処理周期内において、新たな種類の稼働データや新たな取得対象タイミングに対応する稼働データを追加で取得することができない可能性があるからである。このとき、データ収集用コントローラ700BのCPU701の処理負荷には、当該CPU701の制御下で動作する他のプロセッサ(例えば、GPU(Graphics Processing Unit)等)の処理負荷が含まれてもよい。
【0145】
例えば、
図4は、表示装置760に表示されるデータ収集設定画面の他の例(データ収集設定画面4000)を示す図である。
【0146】
図4に示すように、データ収集設定画面4000には、設定用表示領域4100と、処理負荷表示領域4200とを含む。設定用表示領域4100の内容は、データ収集設定画面3000と同様の内容であるため、処理負荷表示領域4200を中心に説明する。
【0147】
処理負荷表示領域4200には、データ収集用コントローラ700Bの時系列の処理負荷を表すグラフが表示される。
【0148】
本例では、
図3のデータ収集設定画面3000の設定状態(以下「現設定」)に対して、操作装置750を通じたユーザの操作により、"射出モータ"の小分類に含まれる電流指令値データ及び電流実績値データが候補データとして追加されている。そのため、本例では、処理負荷表示領域4200には、現設定、及び候補データが追加された新たな設定(以下、「新設定」)のそれぞれでのデータ収集用コントローラ700Bの処理周期中の処理負荷の時間変化を表すグラフが表示されている。上位コントローラ700Aは、例えば、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷に関する実測結果のデータやシミュレーション結果のデータに基づき、新設定でのデータ収集用コントローラ700Bの処理周期中の処理負荷を予測することができる。これにより、ユーザは、候補データの追加によって、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷がどの程度増加するのかを確認し、実際に、新設定を確定させるかどうかを判断したり、追加する候補データの種類数を調整したりすることができる。
【0149】
尚、処理負荷表示領域4200には、上述の如く、新たな設定後、即ち、新設定での処理負荷の時間変化を表す情報(グラフ)だけが表示されてもよい。また、処理負荷表示領域4200には、上述の如く、新たな設定前の処理負荷、即ち、現設定での処理負荷の時間変化を表す情報(グラフ)だけが表示されてもよい。ユーザは、現設定でのデータ収集用コントローラ700Bの処理負荷を確認することで、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷に候補データを追加して取得するだけの余裕があるかどうかを推測できるからである。
【0150】
図2に戻り、また、データ収集に関する処理負荷の状態を表す情報には、例えば、射出成形機1の稼働時におけるデータ収集用コントローラ700B(のCPU701)の最大処理負荷を表す情報が含まれてもよい。これにより、ユーザは、データ収集用コントローラ700BのCPU701の処理負荷に関する情報を確認し、所望の種類の稼働データをデータ収集用コントローラ700Bに収集させることが可能か否かを自身で判断することができる。そのため、ユーザは、データ収集用コントローラ700BのCPU701の処理負荷に関する情報を確認しながら、操作装置750を通じて、所望の種類の稼働データを取得対象データとして設定する操作を行うことができる。よって、ユーザは、取得対象データの設定をより簡単に行うことができる。
【0151】
例えば、
図5は、表示装置760に表示されるデータ収集設定画面の更に他の例(データ収集設定画面5000)を示す図である。
【0152】
図5に示すように、データ収集設定画面5000には、設定用表示領域5100と、処理負荷表示領域5200とを含む。設定用表示領域5100の内容は、データ収集設定画面3000と同様の内容であるため、処理負荷表示領域5200を中心に説明する。
【0153】
処理負荷表示領域5200には、データ収集用コントローラ700Bの制御周期中の最大処理負荷を表すグラフが表示される。
【0154】
本例では、
図3のデータ収集設定画面3000の設定状態(現設定)に対して、操作装置750を通じたユーザの操作により、"射出モータ"の小分類に含まれる電流指令値データ及び電流実績値データが候補データとして追加されている。そのため、本例では、処理負荷表示領域5200には、現設定、及び候補データが追加された新たな設定(新設定)のそれぞれでのデータ収集用コントローラ700Bの処理周期中の処理負荷の最大値(具体的には、許容処理負荷に対するパーセント表記)が表示されている。上位コントローラ700Aは、例えば、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷に関する実測結果のデータやシミュレーション結果のデータに基づき、新設定でのデータ収集用コントローラ700Bの処理周期中の処理負荷の最大値を予測することができる。これにより、ユーザは、候補データの追加によって、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷がどの程度増加するのかを確認し、実際に、新設定を確定させるかどうかを判断したり、追加する候補データの種類数を調整したりすることができる。
【0155】
図2に戻り、また、データ収集設定画面は、取得対象データが新たに或いは追加で設定される場合に、データ収集用コントローラ700Bによる候補の稼働データ(以下、「候補データ」)の取得可否をユーザが確認するために用いられてもよい。つまり、データ収集設定画面には、ユーザの要求に応じて、取得対象データが設定される場面で、ユーザの要求で指定される候補データのデータ収集用コントローラ700Bによる取得可否に関する情報(以下、「取得可否情報」)が表示されてよい。これにより、ユーザは、操作装置750を通じて、取得を要求する候補データの取得可否を把握することができる。よって、ユーザは、より簡単に取得対象データの設定を行うことができる。
【0156】
同様に、データ収集設定画面は、取得対象タイミングが新たに或いは追加で設定される場合に、データ収集用コントローラ700Bによる候補のタイミング(以下、「候補タイミング」)の取得対象データの取得可否をユーザが確認するために用いられてもよい。つまり、データ収集設定画面には、ユーザの要求に応じて、取得対象タイミングが設定される場面で、ユーザの要求で指定される候補タイミングでの取得対象データのデータ収集用コントローラ700Bによる取得可否情報が表示されてよい。これにより、ユーザは、操作装置750を通じて、取得を要求する候補タイミングの取得対象データの取得可否を把握することができる。よって、ユーザは、より簡単に取得対象タイミングの設定を行うことができる。
【0157】
候補データの取得可否情報には、例えば、データ収集用コントローラ700Bによる候補データの取得可否を特定する情報が含まれてよい。データ収集用コントローラ700Bによる候補データの取得可否は、例えば、データ収集用コントローラ700BのCPU701等の現状の処理負荷に基づき判断(特定)されてよい。また、データ収集用コントローラ700Bによる候補データの取得可否は、例えば、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷に関する実測結果のデータやシミュレーション結果に関するデータに基づき判断されてもよい。上位コントローラ700Aは、例えば、ユーザの操作装置750に対する入力により、特定の種類の稼働データが候補データとして指定される場合に、候補データの取得可否を判断し、その判断結果を表示装置760に表示させてよい。これにより、ユーザは、自らが指定した候補データを、取得対象データとして設定可能であるか否かをより容易に把握することができる。この場合、データ収集設定部7001Aは、データ収集用コントローラ700Bが候補データを追加して取得可能であると判断すると、自動的に、候補データを対象データとして設定してもよい。即ち、データ収集設定部7001Aは、データ収集用コントローラ700BのCPU701の処理負荷を考慮して、複数の種類の対象データのうちのユーザの要求(つまり、データ収集設定画面上での操作)で指定される候補データを対象データとして自動で設定してよい。これにより、ユーザの利便性が向上する。
【0158】
同様に、候補タイミングの取得対象データの取得可否情報には、例えば、データ収集用コントローラ700Bによる候補タイミングでの取得対象データの取得可否を特定する情報が含まれてよい。データ収集用コントローラ700Bによる候補タイミングでの取得対象データの取得可否は、例えば、データ収集用コントローラ700BのCPU701等の現状の処理負荷に基づき判断(特定)されてよい。また、データ収集用コントローラ700Bによる候補タイミングでの取得対象データの取得可否は、例えば、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷に関する実測結果のデータやシミュレーション結果に関するデータに基づき判断されてもよい。上位コントローラ700Aは、例えば、ユーザの操作装置750に対する入力により、候補タイミングが新たに指定される場合に、候補タイミングでの取得対象データの取得可否を判断し、その判断結果を表示装置760に表示させてよい。これにより、ユーザは、自らが指定した候補タイミングを、取得対象タイミングとして設定可能であるか否かをより容易に把握することができる。この場合、データ収集設定部7001Aは、データ収集用コントローラ700Bが候補タイミングでの取得対象データを追加して取得可能であると判断すると、自動的に、候補タイミングを取得対象タイミングとして設定してもよい。即ち、データ収集設定部7001Aは、データ収集用コントローラ700BのCPU701の処理負荷を考慮して、ユーザの要求(つまり、データ収集設定画面上での操作)で指定される候補タイミングを取得対象タイミングとして自動で設定してよい。これにより、ユーザの利便性が向上する。
【0159】
また、候補データの取得可否情報には、例えば、データ収集用コントローラ700Bによる候補データの取得可否をユーザが判断するための材料に関する情報(以下、「判断材料情報」)が含まれてよい。同様に、候補タイミングでの取得対象データの取得可否情報には、例えば、データ収集用コントローラ700Bによる候補タイミングでの取得対象データの取得可否をユーザ判断するための材料に関する情報(判断材料情報)が含まれてよい。
【0160】
判断材料情報は、例えば、候補データや候補タイミングの追加に対するデータ収集用コントローラ700Bの処理負荷の変化を表す情報を含んでよい。具体的には、判断材料情報は、取得対象データや取得対象タイミングの新たな設定後(即ち、新設定)でのデータ収集用コントローラ700Bの処理負荷を表す情報(例えば、
図4の処理負荷表示領域4200や
図5の処理負荷表示領域5200の新設定に対応する部分)であってよい。また、判断材料情報は、取得対象データや取得対象タイミングの新たな設定の前後(即ち、現設定及び新設定)でのデータ収集用コントローラ700Bの処理負荷を表す情報(例えば、
図4の処理負荷表示領域4200や
図5の処理負荷表示領域5200)であってもよい。これにより、ユーザは、取得対象データや取得対象タイミングの新たな設定の際に、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷の変化を確認し、新たな候補データや候補タイミングの取得対象データの取得可否を自ら判断することができる。
【0161】
尚、上位コントローラ700Aのデータ収集設定部7001A及び設定画面表示処理部7002Aの機能は、制御用コントローラ700Cが成形動作に関する制御機能及びデータ収集機能の双方に兼用される射出成形機1に適用されてもよい。つまり、上位コントローラ700Aのデータ収集設定部7001A及び設定画面表示処理部7002Aの機能は、データ収集用コントローラ700Bが省略される場合の射出成形機1に適用されてもよい。
【0162】
データ記憶部7003Aには、データ収集用コントローラ700Bから受信される、データ収集用コントローラ700Bで収集された取得対象データ(以下、「収集データ」)が記憶される。
【0163】
データ表示処理部7004Aは、操作装置750に対するユーザの所定操作に応じて、データ収集用コントローラ700Bにより収集(取得)された収集データを表示装置760に表示させる。具体的には、データ表示処理部7004Aは、操作装置750に対するユーザの所定操作に応じて、収集データの送信要求をデータ収集用コントローラ700Bに送信してよい。そして、データ表示処理部7004Aは、当該送信要求に応じて、データ収集用コントローラ700Bから送信され、データ記憶部7003Aに記憶された収集データを表示装置760に表示させてよい。例えば、データ表示処理部7004Aは、収集データをその種類ごとに時系列で表示する。
【0164】
データ収集用コントローラ700B(産業機械のコントローラ、第1のコントローラの一例)は、上述の如く、所定の通信線を通じて、上位コントローラ700Aと一対一で接続される。また、データ収集用コントローラ700Bは、バスBを通じて、制御用コントローラ700C、ドライバ770、及び入力デバイス780等に接続される。これにより、データ収集用コントローラ700Bは、バスBを通じて、制御用コントローラ700C、ドライバ770、及び入力デバイス780に各種信号を送信することができる。また、データ収集用コントローラ700Bは、バスBを通じて、制御用コントローラ700C、ドライバ770、及び入力デバイス780から取得対象データを取得することができる。
【0165】
尚、上位コントローラ700Aは省略され、操作装置750及び表示装置760や同様の機能を有する端末装置が直接的にデータ収集用コントローラ700Bに接続される態様であってもよい。この場合、データ収集設定部7001A及び設定画面表示処理部7002Aの機能は、データ収集用コントローラ700Bやデータ収集用コントローラ700Bに接続される端末装置等に移管されてよい。以下、後述の第2例(
図7)の場合についても同様である。
【0166】
データ収集用コントローラ700Bは、データ収集設定送信部7001Bと、データ取得部7002Bと、データ送信部7004Bとを含む。また、データ収集用コントローラ700Bは、データ記憶部7003Bを利用する。データ記憶部7003Bは、例えば、データ収集用コントローラ700Bの内部のメモリ装置702や補助記憶装置703等により実現されうる。
【0167】
データ収集設定送信部7001Bは、上位コントローラ700Aから受信される稼働データの収集に関する設定内容を、稼働データを出力する出力部(以下、「稼働データ出力部」)に送信する。稼働データ出力部には、設定可能稼働データを出力する、制御用コントローラ700C、ドライバ770、及び入力デバイス780の少なくとも一つが含まれる。また、データ収集設定送信部7001Bは、設定可能稼働データを出力する全てのデータ出力部のうち、設定内容の中で取得対象データとして設定されている(種類の)稼働データを出力する稼働データ出力部だけに設定内容を送信してもよい。
【0168】
データ取得部7002Bは、稼働データ出力部(制御用コントローラ700C、ドライバ770、入力デバイス780等)から送信される稼働データ(取得対象データ)を取得し、データ記憶部7003Aに記録(保存)する。具体的には、データ取得部7002Bは、取得対象データとして、複数の稼働データ出力部のそれぞれから取得(受信)される時系列の稼働データが時刻を揃える形で結合された時系列データ(以下、「結合稼働データ」)をデータ記憶部7003Aに保存する。結合稼働データは、例えば、時刻ごとに複数の稼働データ出力部に対応する複数の種類の稼働データの値が紐付けられた時系列データである。このとき、複数の種類の稼働データごとに出力周期が異なる。そのため、複数の稼働データ出力部に対応する複数の種類の稼働データのうちの最小周期で出力される稼働データ(以下、「最小周期稼働データ」)の出力時刻に対して、複数の種類の稼働データの時系列データ(群)が当てはめられる形で、結合稼働データが生成されてよい。また、結合稼働データにおける最小周期稼働データ以外の特定の種類の稼働データが未出力の時刻に対して、この特定の種類の稼働データは未出力を表す値であってもよいし、この特定の種類の稼働データの前後の値から補完される値であってもよい。
【0169】
例えば、
図6は、結合稼働データの一例を説明する図である。具体的には、
図6は、入力デバイス780、ドライバ770、及び制御用コントローラ700Cのそれぞれから異なる出力周期T1~T3で出力される取得対象データに基づき生成される結合稼働データを表すタイムチャートである。
【0170】
尚、結合稼働データは、上述の如く、事後的に生成されるが、図中では、入力デバイス780、ドライバ770、及び制御用コントローラ700Cのそれぞれの取得対象データの出力タイミングと比較可能なように、タイムチャートで並列的に表記されている。
【0171】
本例では、入力デバイス780から出力される稼働データA(A1,A2,...)、ドライバ770から出力される稼働データB(B1,B2,...)、及び制御用コントローラ700Cから出力される稼働データC(C1,C2,...)が取得対象データである。
【0172】
図6に示すように、入力デバイス780は、最小(最短)の出力周期T1ごとに稼働データAを出力している。つまり、稼働データAは、最小周期稼働データに相当する。ドライバ770は、出力周期T1の1.5倍の出力周期T2ごとに稼働データBを出力している。制御用コントローラ700Cは、出力周期T1の2倍の出力周期T3ごとに稼働データCを出力している。そのため、本例では、入力デバイス780から稼働データAが出力される時刻(t1,t2,...)に対して、入力デバイス780、ドライバ770,及び制御用コントローラ700Cのそれぞれから出力される稼働データが紐付けられる形の結合稼働データが生成される。
【0173】
例えば、時刻t1では、入力デバイス780,ドライバ770、及び制御用コントローラ700Cの全てが取得対象データ(稼働データA~稼働データC)を出力している。そのため、時刻t1の結合稼働データには、稼働データA1、稼働データB1、及び稼働データC1が含まれる。
【0174】
また、時刻t2では、入力デバイス780のみから稼働データAが出力され、ドライバ770及び制御用コントローラ700Cからは稼働データB及び稼働データCが出力されていない。そのため、時刻t2の結合稼働データには、稼働データA2と、補完稼働データB12c及び補完稼働データC12cとが含まれる。補完稼働データB12cは、時刻t2における稼働データBを表し、例えば、時刻t2の前後で出力されている稼働データB1,B2に基づき補完される。補完データC12cは、時刻t2における稼働データCを表し、例えば、時刻t2の前後で出力されている稼働データC1,C2に基づき補完される。この場合、結合稼働データに基づき、表示装置760に稼働データBや稼働データCの時系列情報(例えば、グラフ)などが表示される場合、ユーザに向けて、時刻t2の稼働データBや稼働データCが補完されたデータである旨の通知がされてよい。以下の補完稼働データB23c、補完稼働データC23c、及び補完稼働データB34c等の場合についても同様であってよい。
【0175】
また、時刻t3では、入力デバイス780及び制御用コントローラ700Cから稼働データA及び稼働データCが出力され、ドライバ770からは稼働データBが出力されていない。そのため、時刻t3の結合稼働データには、稼働データA3及び稼働データC2と、補完稼働データB23cとが含まれる。補完稼働データB23cは、時刻t3における稼働データBを表し、例えば、時刻t3の前後で出力されている稼働データB2,B3に基づき補完される。
【0176】
また、時刻t4では、入力デバイス780及びドライバ770から稼働データA及び稼働データBが出力され、制御用コントローラ700Cからは稼働データCが出力されていない。そのため、時刻t4の結合稼働データには、稼働データA4及び稼働データB3と、補完稼働データC23cとが含まれる。補完稼働データC23cは、時刻t4における稼働データCを表し、例えば、時刻t4の前後に出力されている稼働データC2,C3に基づき補完される。
【0177】
また、時刻t5では、入力デバイス780及び制御用コントローラ700Cから稼働データA及び稼働データCが出力され、ドライバ770からは稼働データBが出力されていない。そのため、時刻t5の結合稼働データには、稼働データA5及び稼働データC3と、補完稼働データB34cとが含まれる。補完稼働データB34cは、時刻t5における稼働データBを表し、例えば、時刻t5の前後に出力されている稼働データB3,B4に基づき補完される。
【0178】
図2に戻り、データ記憶部7003B(記憶部の一例)には、上述の如く、結合稼働データが記憶される。
【0179】
データ送信部7004Bは、上位コントローラ700Aから受信される送信要求に応じて、結合稼働データを上位コントローラ700Aに送信する。
【0180】
制御用コントローラ700Cは、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、及び移動装置400の動作を含む射出成形機1の成形動作に関する制御を行う。制御用コントローラ700Cは、トリガ判定部7001Cと、データ取得部7002Cと、データ送信部7004Cとを含む。また、制御用コントローラ700Cは、データ記憶部7003Cを利用する。データ記憶部7003Cは、制御用コントローラ700Cの内部のメモリ装置702や補助記憶装置703等により実現されうる。
【0181】
トリガ判定部7001Cは、データ収集用コントローラ700Bから受信される稼働データの収集に関する設定内容に規定されるトリガ条件に基づき、トリガ条件が成立するか否かを判定する。具体的には、トリガ判定部7001Cは、取得対象データとして設定される全ての稼働データごとのトリガ条件の成否を判定する。特定のトリガ条件を判定するためのデータ(例えば、異常信号等)が制御用コントローラ700Cの内部データである場合が有りうるからである。また、トリガ判定部7001Cは、取得対象データとして設定されている全ての稼働データに対応するトリガ条件のうち、制御用コントローラ700Cの制御データに対応するトリガ条件、及び制御用コントローラ700Cの内部データに基づき成否が判定されるトリガ条件の成否だけを判定してもよい。
【0182】
トリガ判定部7001Cは、制御用コントローラ700Cの内部データに基づき、トリガ条件が成立したと判定した場合、バスBを通じて、データ収集用コントローラ700Bにトリガ条件が成立したことを示す信号(以下、「トリガ信号」)を送信する。このとき、トリガ信号には、対応する稼働データの識別情報(例えば、稼働データごとに固有で規定されるID(Identifier)等)が含まれる。そして、データ収集用コントローラ700Bは、制御用コントローラ700Cから受信(通知)されたトリガ信号を、他の稼働データ出力部に送信(通知)する。また、トリガ判定部7001Cは、直接的に、他の稼働データ出力部にトリガ信号を送信してもよい。つまり、トリガ判定部7001Cは、制御用コントローラ700Cの内部データに基づきトリガ条件の成立を判定した場合に、直接、或いは、データ収集用コントローラ700B経由で、他の稼働データ出力部にトリガ信号を送信する。これにより、制御用コントローラ700Cの内部データに基づき成否が判定されるトリガ条件であっても、他の稼働データ出力部は、トリガ信号の受信の有無をもって、トリガ条件の成否を判定することができる。また、トリガ判定部7001Cは、バスBを通じて、他の稼働データ出力部から取得対象データとして設定されている制御データに対応するトリガ信号が受信された場合、当該制御データに対応するトリガ条件が成立したと判定する。これにより、トリガ判定部7001Cは、制御データに対応するトリガ条件が他の稼働データ出力部の内部データから判定される場合であっても、他の稼働データ出力部からのトリガ信号の受信の有無を以て、制御データに対応するトリガ条件の成否を判定することができる。
【0183】
データ取得部7002Cは、トリガ判定部7001Cによって、取得対象データとして設定されている制御データに対応する開始トリガ条件が成立したと判定される場合、対応する終了トリガ条件が成立するまでの間、当該トリガ条件に対応する制御データを逐次取得し、データ記憶部7003Cに記録(保存)する。
【0184】
データ記憶部7003Cには、開始トリガ条件の成立から終了トリガの成立までの間(トリガ条件の成立時)における時系列の制御データが記憶される。
【0185】
データ送信部7004Cは、所定のタイミングで、データ記憶部7003Cに記憶(記録)されるトリガ条件の成立時における時系列の制御データを、バスBを通じて、データ収集用コントローラ700Bに送信する。これにより、データ収集用コントローラ700Bは、収集対象のデータ(本例の場合、トリガ条件の成立時の取得対象データ)を制御用コントローラ700Cに選択的に出力させることができる。そのため、データ収集用コントローラ700Bが収集対象のデータを選択する処理を行う必要がなく、データ収集用コントローラ700Bのデータ収集に関する処理負荷を軽減することができる。データ送信部7004Cからデータ収集用コントローラ700Bに時系列の制御データが送信されるタイミング(以下、「データ送信タイミング」)は、例えば、固定されていてよい。また、データ送信タイミングは、例えば、バスBの通信負荷や制御用コントローラ700CのCPU701の処理負荷等に応じて、可変されてよい。この場合、データ送信部7004Cは、バスBの通信負荷が相対的に低いタイミングや制御用コントローラ700Cの処理負荷が相対的に低いタイミングを判断し、トリガ条件の成立時における時系列の制御データをデータ収集用コントローラ700Bに送信してよい。また、データ送信タイミングは、データ収集用コントローラ700Bから受信される制御データの収集に関する設定内容で規定されていてもよい。つまり、データ送信タイミングは、ユーザの操作装置750の操作に応じて、データ収集設定部7001Aにより設定されてもよい。以下、ドライバ770及び入力デバイス780のそれぞれからデータ収集用コントローラ700Bに時系列の稼働データ(ドライバ動作データ及び検出データ)が送信されるタイミングについても同様である。
【0186】
ドライバ770は、制御用コントローラ700Cの制御下で、射出成形機1の各種の電動アクチュエータを駆動する。ドライバ770には、例えば、型締モータ160を駆動制御するドライバ、計量モータ340を駆動制御するドライバ、射出モータ350を駆動制御するドライバ等が含まれる。
【0187】
ドライバ770は、トリガ判定部7701と、データ取得部7702と、データ送信部7704を含む。これらの機能は、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。また、ドライバ770は、データ記憶部7703を利用する。データ記憶部7703は、例えば、ドライバ770に内蔵される記憶装置やドライバ770と通信可能な外部記憶装置により実現される。
【0188】
トリガ判定部7701は、データ収集用コントローラ700Bから受信される稼働データの収集に関する設定内容に規定されるトリガ条件に基づき、トリガ条件が成立するか否かを判定する。具体的には、トリガ判定部7701は、取得対象データとして設定される全ての稼働データごとのトリガ条件の成否を判定する。特定のトリガ条件を判定するためのデータがドライバ770の内部データである場合が有りうるからである。また、トリガ判定部7701は、取得対象データとして設定されている全ての稼働データに対応するトリガ条件のうち、ドライバ770のドライバ動作データに対応するトリガ条件、及びドライバ770の内部データに基づき成否が判定されるトリガ条件の成否だけを判定してもよい。
【0189】
トリガ判定部7701は、ドライバ770の内部データに基づき、トリガ条件が成立したと判定した場合、バスBを通じて、他の稼働データ出力部にトリガ条件が成立したことを示す信号(トリガ信号)を送信する。このとき、トリガ信号には、上述の如く、対応する稼働データの識別情報が含まれる。そして、データ収集用コントローラ700Bは、ドライバ770から受信(通知)されたトリガ信号を、他の稼働データ出力部に送信(通知)する。また、トリガ判定部7701は、直接的に、他の稼働データ出力部にトリガ信号を送信してもよい。つまり、トリガ判定部7701は、ドライバ770の内部データに基づきトリガ条件の成立を判定した場合に、直接、或いは、データ収集用コントローラ700B経由で、他の稼働データ出力部にトリガ信号を送信する。これにより、ドライバ770の内部データに基づき成否が判定されるトリガ条件であっても、他の稼働データ出力部は、トリガ信号の受信の有無をもって、トリガ条件の成否を判定することができる。また、トリガ判定部7701は、バスBを通じて、他の稼働データ出力部から取得対象データとして設定されているドライバ動作データに対応するトリガ信号が受信された場合、当該ドライバ動作データに対応するトリガ条件が成立したと判定する。これにより、トリガ判定部7701は、ドライバ動作データに対応するトリガ条件が他の稼働データ出力部の内部データから判定される場合であっても、他の稼働データ出力部からのトリガ信号の受信の有無を以て、当該ドライバ動作データに対応するトリガ条件の成否を判定することができる。
【0190】
データ取得部7702は、トリガ判定部7701によって、取得対象データとして設定されているドライバ動作データに対応する開始トリガ条件が成立したと判定される場合、対応する終了トリガ条件が成立するまでの間、当該開始トリガ条件に対応するドライバ動作データを逐次取得し、データ記憶部7703に記録(保存)する。
【0191】
データ記憶部7703には、トリガ条件の成立時における時系列のドライバ動作データが記憶される。
【0192】
データ送信部7704は、所定のタイミング(データ送信タイミング)で、データ記憶部7703に記憶(記録)されるトリガ条件の成立時における時系列のドライバ動作データを、バスBを通じて、データ収集用コントローラ700Bに送信する。これにより、データ収集用コントローラ700Bは、収集対象のデータ(本例の場合、トリガ条件の成立時の取得対象データ)をドライバ770に選択的に出力させることができる。そのため、データ収集用コントローラ700Bが収集対象のデータを選択する処理を行う必要がなく、データ収集用コントローラ700Bのデータ収集に関する処理負荷を軽減することができる。
【0193】
入力デバイス780は、制御用コントローラ700Cの制御下で、射出成形機1の各種状態に関する検出データを制御装置700(制御用コントローラ700C)に入力する。入力デバイス780には、例えば、型締モータエンコーダ161、型厚調整モータエンコーダ184、エジェクタモータエンコーダ211、計量モータエンコーダ341、射出モータエンコーダ351等、デジタル信号を出力する各種のセンサが含まれてよい。また、入力デバイス780は、電流センサや電圧センサ等のアナログ信号を出力する各種のセンサの出力信号をデジタル信号に変換するAD変換器(Analog-Digital Converter)が含まれてよい。
【0194】
入力デバイス780は、トリガ判定部7801と、データ取得部7802と、データ送信部7804を含む。これらの機能は、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。また、入力デバイス780は、データ記憶部7803を利用する。データ記憶部7803は、例えば、入力デバイス780に内蔵される記憶装置や入力デバイス780と通信可能な外部記憶装置により実現される。
【0195】
トリガ判定部7801は、データ収集用コントローラ700Bから受信される稼働データ(即ち、検出データ)の収集に関する設定内容に規定されるトリガ条件に基づき、トリガ条件が成立したか否かを判定する。具体的には、トリガ判定部7801は、取得対象データとして設定される全ての稼働データごとのトリガ条件の成否を判定する。特定のトリガ条件を判定するためのデータが入力デバイス780の内部データである場合が有りうるからである。また、トリガ判定部7801は、取得対象データとして設定されている全ての稼働データに対応するトリガ条件のうち、入力デバイス780の検出データに対応するトリガ条件、及び入力デバイス780の内部データに基づき成否が判定されるトリガ条件の成否だけを判定してもよい。
【0196】
トリガ判定部7801は、入力デバイス780の内部データに基づき、トリガ条件が成立したと判定した場合、バスBを通じて、他の稼働データ出力部にトリガ条件が成立したことを示す信号(トリガ信号)を送信する。このとき、トリガ信号には、上述の如く、対応する稼働データの識別情報が含まれる。そして、データ収集用コントローラ700Bは、入力デバイス780から受信(通知)されたトリガ信号を、他の稼働データ出力部に送信(通知)する。また、トリガ判定部7801は、直接的に、他の稼働データ出力部にトリガ信号を送信してもよい。つまり、トリガ判定部7801は、入力デバイス780の内部データに基づきトリガ条件の成立を判定した場合に、直接、或いは、データ収集用コントローラ700B経由で、他の稼働データ出力部にトリガ信号を送信する。これにより、入力デバイス780の内部データに基づき成否が判定されるトリガ条件であっても、他の稼働データ出力部は、トリガ信号の受信の有無をもって、トリガ条件の成否を判定することができる。また、トリガ判定部7801は、バスBを通じて、他の稼働データ出力部から取得対象データとして設定されている検出データに対応するトリガ信号が受信された場合、当該検出データに対応するトリガ条件が成立したと判定する。これにより、トリガ判定部7801は、検出データに対応するトリガ条件が他の稼働データ出力部の内部データから判定される場合であっても、他の稼働データ出力部からのトリガ信号の受信の有無を以て、当該検出データに対応するトリガ条件の成否を判定することができる。
【0197】
データ取得部7802は、トリガ判定部7801によって、取得対象データとして設定されている検出データに対応する開始トリガ条件が成立したと判定される場合、対応する終了トリガ条件が成立するまでの間、当該トリガ条件に対応する検出データを逐次取得し、データ記憶部7003Cに記録(保存)する。
【0198】
データ記憶部7803には、トリガ条件の成立時における時系列の検出データが記憶される。
【0199】
データ送信部7804は、所定のタイミング(データ送信タイミング)で、データ記憶部7803に記憶(記録)されるトリガ条件の成立時における時系列の検出データを、バスBを通じて、データ収集用コントローラ700Bに送信する。これにより、データ収集用コントローラ700Bは、収集対象のデータ(本例の場合、トリガ条件の成立時の取得対象データ)を入力デバイス780に選択的に出力させることができる。そのため、データ収集用コントローラ700Bが収集対象のデータを選択する処理を行う必要がなく、データ収集用コントローラ700Bのデータ収集に関する処理負荷を軽減することができる。
【0200】
このように、本例では、射出成形機1の成形動作を制御する制御用コントローラ700Cと別に、データ収集用コントローラ700Bが設けられる。
【0201】
例えば、制御用コントローラ700Cがデータ収集に関する処理も行う場合、射出成形機1の成形動作に関する制御処理以外の時間でデータ収集に関する処理を行う必要がある。そのため、データ収集に関する処理に使用可能な時間が相対的に短くなり、結果として、取得可能な稼働データの種類数が限定される可能性がある。よって、ユーザは、取得対象データとして収集(取得)してほしい種類の稼働データがある場合であっても、取得対象データとして設定することができない可能性がある。
【0202】
これに対して、本例では、データ収集用コントローラ700Bは、データ収集に関する処理に専念できる。そのため、データ収集用コントローラ700Bは、相対的に多くの種類の稼働データを取得することができる。よって、ユーザは、取得対象データとして収集(取得)してほしい種類の稼働データがある場合に、より簡単に取得対象データを設定することができる。
【0203】
尚、データ収集用コントローラ700Bを設ける代わりに、制御用コントローラ700Cに、射出成形機1の成形動作に関する制御処理を実行する一のCPU701とは別に、独立且つ並列にデータ収集に関する処理を実行可能な他のCPU701や他のプロセッサを設置してもよい。この場合、上位コントローラ700Aは、制御用コントローラ700Cと一対一の通信線で接続されてよい。
【0204】
また、本例では、稼働データの収集(取得)に関するトリガ条件の成否判定は、稼働データが出力される稼働データ出力部(制御用コントローラ700C、ドライバ770、入力デバイス780)のそれぞれで実行される。そして、トリガ条件の成立時の時系列の稼働データは、稼働データ出力部に収集(保存)され、収集(蓄積)された稼働データが所定のデータ送信タイミングで、データ収集用コントローラ700Bに一括送信される。
【0205】
例えば、データ収集用コントローラ700Bが稼働データ出力部からバスBに周期的に出力される稼働データを取得(受信)し、全てのトリガ条件の成否を判定する場合、処理負荷が相対的に大きくなる可能性がある。そのため、取得可能な稼働データの種類数が限定される可能性がある。よって、ユーザは、取得対象データとして収集(取得)してほしい種類の稼働データがある場合であっても、取得対象のデータとして設定することができない可能性がある。
【0206】
これに対して、本例では、稼働データの収集に関する処理がデータ収集用コントローラ700Bだけでなく、稼働データ出力部を含めたシステム全体に分散される。そのため、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷を相対的に低下させることができ、データ収集用コントローラ700Bは、更に多くの種類の稼働データを取得することできる。よって、ユーザは、取得対象データとして収集(取得)してほしい種類の稼働データがある場合に、より簡単に取得対象のデータを設定することができる。
【0207】
尚、制御用コントローラ700Cが成形動作に関する制御機能及びデータ収集機能に兼用される射出成形機1、つまり、データ収集用コントローラ700Bが省略される場合の射出成形機1に、同様の方法が適用されてもよい。
【0208】
また、本例では、稼働データ出力部(制御用コントローラ700C、ドライバ770、入力デバイス780)は、内部データに基づきトリガ条件が成立したと判定する場合に、当該トリガ条件の成立を表すトリガ信号を、直接、或いは、データ収集用コントローラ700B経由で他の稼働データ出力部に送信する。
【0209】
例えば、内部データだけでトリガ条件の成否が判定される場合、判定可能なトリガ条件が限定される。つまり、データ収集のトリガに関する自由度が制限される可能性がある。
【0210】
これに対して、本例では、稼働データ出力部は、トリガ信号の受信の有無を以て、制御用コントローラ700Cを含む他の稼働データ出力部の内部データで判定されるトリガ条件の成否を判定することができる。よって、データ収集の自由度を相対的に高めることができる。
【0211】
尚、制御用コントローラ700Cが成形動作に関する制御機能及びデータ収集機能に兼用される射出成形機1、つまり、データ収集用コントローラ700Bが省略される場合の射出成形機1に、同様の方法が適用されてもよい。
【0212】
<射出成形機に関するデータの収集方法及びユーザへの提供方法の第2例>
図7は、射出成形機1のデータ収集に関する機能構成の第2例を示す図である。本例では、データ収集用コントローラ700Bにより複数の種類の射出成形機1の稼働状態に関するデータ(設定可能稼働データ)の中から選択的に取得対象のデータ(取得対象データ)が収集(取得)される。そして、収集された稼働データは、ユーザの要求に応じて、リアルタイムに表示装置760を通じてユーザに提供される。以下、上述の第1例(
図2)と異なる部分を中心に説明し、同じ部分或いは対応する部分の説明を簡略或いは省略する場合がある。
【0213】
図7に示すように、制御装置700は、上述の第1例(
図2)の場合と同様、上位コントローラ700Aと、データ収集用コントローラ700Bと、制御用コントローラ700Cとを含む。また、制御装置700(データ収集用コントローラ700B及び制御用コントローラ700C)は、上述の第1例の場合と同様、バスBを通じて、ドライバ770及び入力デバイス780と通信可能に接続される。
【0214】
上位コントローラ700Aは、上述の第1例の場合と同様、操作装置750及び表示装置760と所定の通信線を通じて一対一で接続される。また、上位コントローラ700Aは、所定の通信線を通じて、データ収集用コントローラ700Bと一対一で接続される。
【0215】
上位コントローラ700Aは、上述の第1例の場合と同様、データ収集設定部7001Aと、設定画面表示処理部7002Aと、データ表示処理部7004Aとを含む。また、上位コントローラ700Aは、データ記憶部7003Aを利用する。データ記憶部7003Aは、上位コントローラ700Aのメモリ装置702や補助記憶装置703等により実現されうる。
【0216】
データ収集用コントローラ700Bは、所定の通信線を通じて、一対一で接続される。また、データ収集用コントローラ700Bは、バスBを通じて、制御用コントローラ700C、ドライバ770、及び入力デバイス780等に接続される。
【0217】
データ収集用コントローラ700Bは、データ収集設定送信部7001Bと、データ取得部7002Bと、データ送信部7004Bとを含む。また、データ収集用コントローラ700Bは、データ記憶部7003Bを利用する。データ記憶部7003Bは、例えば、データ収集用コントローラ700Bの内部のメモリ装置702や補助記憶装置703等により実現されうる。
【0218】
データ収集設定送信部7001Bは、上位コントローラ700Aから受信される稼働データの収集に関する設定内容を、データ取得部7002B及び稼働データ出力部に送信(指示)する。
【0219】
データ取得部7002Bは、データ収集設定送信部7001Bから指示されるデータ収集に関する設定内容に基づき、稼働データ出力部(制御用コントローラ700C、ドライバ770、入力デバイス780)から受信される稼働データをデータ記憶部7003Bに記録(保存)する。具体的には、データ取得部7002Bは、バスBを通じて、稼働データ出力部から周期的に受信される複数の種類の稼働データのうち、取得対象データとして設定される(種類の)稼働データをデータ記憶部7003Bに逐次記録(保存)する。また、後述の如く、稼働データ出力部から取得対象データだけが出力される構成の場合、データ取得部7002Bは、稼働データ出力部から周期的に受信される取得対象データをデータ記憶部7003Bに逐次記録(保存)する。本例では、データ取得部7002Bは、所定のハードウェア、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)により実現される。FPGAは、物理的な素子及び配線を組み合わせた、ハードワイアード構成の論理回路によって、稼働データ出力部からデータを受信する処理、及びデータ記憶部7003Bに受信したデータを記録する処理を行ってよい。これにより、データ記憶部7003Bへのより高速なデータ書き込みが実現されうる。例えば、設定可能稼働データのうちの最小周期で出力される稼働データが書き込み対象の場合であっても、その最小周期に合わせて、リアルタイムに稼働データの書き込みを行うことができる。そのため、上位コントローラ700A及び表示装置760等を通じてユーザに提供される稼働データ(射出成形機1の稼働状態に関する情報)のリアルタイム性(即時性)がより適切に担保されうる。よって、ユーザは、表示装置760等を通じてリアルタイムに提供される稼働データに対応する射出成形機1の稼働状態に関する情報を用いて、よりリアルタイム性が求められる判断(例えば、異常に基づく射出成形機1の停止判断)等を適切に行うことができる。
【0220】
データ記憶部7003Bには、時系列の稼働データ(取得対象データ)が記憶される。
【0221】
データ送信部7004Bは、データ記憶部7003Bに記録された時系列の稼働データを直ぐに上位コントローラ700Aに送信する。
【0222】
制御用コントローラ700Cは、データ送信部7004Cと、データ送信設定部7005Cとを含む。
【0223】
データ送信設定部7005Cは、データ収集用コントローラ700Bから受信されるデータ収集に関する設定内容に基づき、データ送信部7004Cによる制御データのデータ収集用コントローラ700Bへの送信に関する設定を行う。例えば、データ送信設定部7005Cは、制御用コントローラ700Cで周期的に出力される制御データのうち、設定可能稼働データに登録されている制御データをデータ収集用コントローラ700Bに送信する設定を行う。また、データ送信設定部7005Cは、制御用コントローラ700Cで周期的に出力される制御データのうち、取得対象データとして設定されている制御データをデータ収集用コントローラ700Bに送信する設定を行ってもよい。データ送信設定部7005Cは、設定内容をデータ送信部7004Cに通知(指示)する。
【0224】
データ送信部7004Cは、データ送信設定部7005Cから指示される設定内容に基づき、制御用コントローラ700Cで周期的に出力される制御データを、バスBを通じて、データ収集用コントローラ700Bに逐次送信する。つまり、データ送信部7004Cは、取得対象データとして設定されている制御データだけをデータ収集用コントローラ700Bに逐次送信してもよいし、設定可能稼働データとして登録されている制御データの全てをデータ収集用コントローラ700Bに逐次送信してもよい。本例では、データ送信部7004Cは、所定のハードウェア、例えば、FPGAにより実現される。これにより、制御用コントローラ700CのCPU701におけるデータ収集に関する処理負荷を軽減させることができる。また、制御用コントローラ700Cは、ソフトウェアの処理能力に依存せずに、データ収集用コントローラ700Bに制御データを送信する処理をより高速に行うことができる。そのため、制御用コントローラ700Cは、例えば、送信対象の制御データが最小周期の制御データの場合であっても、その最小周期に合わせて、リアルタイムにデータ収集用コントローラ700Bに制御データを送信することができる。よって、上位コントローラ700A及び表示装置760等を通じてユーザに提供される稼働データに対応する射出成形機1の稼働状態に関する情報のリアルタイム性(即時性)が更に適切に担保されうる。
【0225】
ドライバ770は、データ送信部7704を含む。
【0226】
データ送信部7704は、データ収集用コントローラ700Bから受信されるデータ収集に関する設定内容に基づき、ドライバ770で周期的に出力されるドライバ動作データ
を、バスBを通じて、データ収集用コントローラ700Bに送信する。データ送信部7704は、取得対象データとして設定されているドライバ動作データだけをデータ収集用コントローラ700Bに逐次送信してもよいし、設定可能稼働データとして登録されているドライバ動作データの全てをデータ収集用コントローラ700Bに逐次送信してもよい。
【0227】
入力デバイス780は、データ送信部7804を含む。
【0228】
データ送信部7804は、データ収集用コントローラ700Bから受信されるデータ収集に関する設定内容に基づき、入力デバイス780で周期的に出力される検出データを、バスBを通じて、データ収集用コントローラ700Bに送信する。データ送信部7804は、取得対象データとして設定されている場合だけ、検出データをデータ収集用コントローラ700Bに逐次送信する態様であってもよいし、設定可能稼働データとして登録されている検出データを、常時、データ収集用コントローラ700Bに逐次送信する態様であってもよい。
【0229】
このように、本例では、データ収集用コントローラ700Bは、所定のハードウェア(FPGA)を用いて、稼働データの取得(収集)及び記録(書き込み)を行う。これにより、データ収集用コントローラ700Bは、ソフトウェアの処理能力に依らず、高速周期でデータ収集を行うことができる。そのため、データ収集用コントローラ700Bは、例えば、上位コントローラ700A及び表示装置760等を通じてユーザに提供される稼働データ(射出成形機1の稼働状態に関する情報)のリアルタイム性(即時性)をより適切に担保することができる。
【0230】
尚、FPGA等によるデータの取得(収集)及び記録(書き込み)は、制御用コントローラ700Cが成形動作に関する制御機能及びデータ収集機能の双方に兼用される射出成形機1に適用されてもよい。つまり、FPGA等によるデータの取得(収集)及び記録(書き込み)は、データ収集用コントローラ700Bが省略される場合の射出成形機1に適用されてもよい。
【0231】
<射出成形機に関するデータの収集方法及びユーザへの提供方法のその他の例>
上述の第1例や第2例のデータ記憶部7003A(データ記憶部7003B)に収集される稼働データは、通信回線NWを通じて、射出成形機1の外部の管理装置2やユーザ端末3に送信されてもよい。この場合、データ記憶部7003A(データ記憶部7003B)に収集される稼働データは、表示装置760に代えて、或いは、加えて、管理装置2に設けられる表示装置やユーザ端末3に設けられる表示装置に表示されてもよい。これにより、ユーザは、例えば、射出成形機1から相対的に離れた場所にいる場合であっても、管理装置2やユーザ端末3の表示装置を通じて、射出成形機1で収集された稼働データに対応する射出成形機1の稼働状態に関する情報を確認することができる。
【0232】
また、上述の第1例や第2例のデータ収集設定画面(例えば、データ収集設定画面3000,4000,5000等)は、表示装置760に代えて、或いは、加えて、管理装置2やユーザ端末3の表示装置に表示されてもよい。この場合、データ収集設定部7001A及び設定画面表示処理部7002Aの機能は、管理装置2やユーザ端末3に移設或いは増設される。これにより、ユーザは、射出成形機1から相対的に離れた場所にいる場合であっても、管理装置2やユーザ端末3の入力装置を通じて、射出成形機1のデータ収集に関する設定を行うことができる。また、ユーザは、管理装置2等の表示装置に表示されるデータ収集設定画面を用いて、複数の射出成形機1のそれぞれの稼働データの収集に関する設定を行うことができる。また、ユーザは、管理装置2等の表示装置のデータ収集設定画面に表示される、データ収集に関する処理負荷の状態を表す情報や候補データ等の取得可否に関する情報を確認しながら、複数の射出成形機1のそれぞれのデータ収集に関する設定を行うことができる。
【0233】
例えば、データ収集設定部7001Aは、管理装置2やユーザ端末3から受信される設定を要求する信号に応じて、射出成形機1の稼働データの収集に関する設定を行ってよい。これにより、管理装置2のユーザやユーザ端末3のユーザは、複数の射出成形機1のそれぞれにおける稼働データの収集に関する設定を、管理装置2やユーザ端末3を通じて、一括で行うことができる。
【0234】
また、例えば、射出成形機1の通信装置(例えば、インタフェース装置704)は、管理装置2等からの要求に応じて、データ収集設定部7001Aにより取得対象データが設定される場面で、データ取得に関する処理負荷の状態を管理装置2等に送信してよい。また、射出成形機1の通信装置は、管理装置2等からの要求に応じて、データ収集設定部7001Aにより取得対象データが設定される場面で、管理装置2等からの要求で指定される候補データや候補タイミングの取得対象データの取得可否情報を管理装置2等に送信してよい。これにより、管理装置2やユーザ端末3は、表示装置のデータ収集設定画面に、射出成形機1におけるデータ収集に関する処理負荷に関する情報や取得可否情報を表示させることができる。
【0235】
[作用]
次に、本実施形態に係る射出成形機システムSYS(データ収集用コントローラ700Bや射出成形機1)の作用を説明する。
【0236】
本実施形態では、データ収集用コントローラ700Bは、稼働データ出力部により出力される射出成形機1の稼働状態に関するデータ(稼働データ)を取得し、取得したデータをデータ記憶部7003Bに記録するデータ取得部7002Bを備える。そして、データ収集用コントローラ700Bは、射出成形機1の動作を制御する制御用コントローラ700Cと別に設けられる。
【0237】
これにより、データ収集用コントローラ700Bは、データ収集に関する処理に専念できる。そのため、データ収集用コントローラ700Bは、相対的に多くの種類の稼働データを取得することができる。よって、ユーザは、取得対象データとして収集(取得)してほしい種類の稼働データがある場合に、より簡単に取得対象データの設定を行うことができる。
【0238】
また、本実施形態では、データ収集用コントローラ700Bのデータ取得部7002Bは、稼働データ出力部により出力され、稼働データ出力部の内部に蓄積された稼働データを事後的に稼働データ出力部から取得してよい。例えば、データ収集用コントローラ700Bのデータ取得部7002Bは、稼働データ出力部により出力される稼働データの中から選択させた取得対象データを稼働データ出力部から取得してよい。具体的には、データ収集用コントローラ700Bのデータ取得部7002Bは、稼働データ出力部に選択させた、取得対象データとしての所定の条件(トリガ条件)が成立した場合に稼働データ出力部に蓄積される稼働データを取得してよい。
【0239】
これにより、稼働データの収集に関する処理がデータ収集用コントローラ700Bだけでなく、稼働データ出力部を含めたシステム全体に分散される。そのため、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷を相対的に低下させることができ、データ収集用コントローラ700Bは、更に多くの種類の稼働データを取得することできる。よって、ユーザは、取得対象データとして収集(取得)してほしい種類の稼働データがある場合に、より簡単に取得対象データの設定を行うことができる。
【0240】
また、本実施形態では、データ取得部7002Bは、稼働データを取得し、データ記憶部7003Bにデータを記録するハードウェアを含んでよい。例えば、データ取得部7002Bは、物理的な素子及び配線を組み合わせた、ハードワイアード構成の論理回路によって、稼働データ出力部からデータを受信する処理、及びデータ記憶部7003Bに受信したデータを記録する処理を行うFPGAを中心に構成されてよい。
【0241】
これにより、データ収集用コントローラ700Bは、ソフトウェアの処理能力に依らず、高速周期でデータ収集を行うことができる。そのため、データ収集用コントローラ700Bは、例えば、上位コントローラ700A及び表示装置760等を通じてユーザに提供される稼働データ(射出成形機1の稼働状態に関する情報)のリアルタイム性(即時性)をより適切に担保することができる。
【0242】
また、本実施形態では、稼働データ出力部は、制御用コントローラ700C、制御用コントローラ700Cの制御下で射出成形機1のアクチュエータを駆動するドライバ770、及び、射出成形機1の稼働状態に関する検出データを出力する入力デバイス780の少なくとも一つを含んでよい。
【0243】
これにより、データ収集用コントローラ700Bは、具体的に、稼働データを収集(取得)することができる。
【0244】
また、本実施形態では、射出成形機1の表示装置760は、ユーザの要求に応じて、データ収集設定部7001Aにより取得対象データに関する設定が行われる場面で、データ取得に関する処理負荷の状態を表示する。具体的には、表示装置760は、ユーザの要求に応じて、データ収集設定部7001Aにより取得対象データに関する設定が行われる場面で、データ取得部7002Bに対応するプロセッサ(CPU701)の処理負荷の状態を表示する。また、管理装置2やユーザ端末3の表示装置についても同様であってよい。
【0245】
これにより、射出成形機システムSYSは、ユーザに対して、データ取得に関する処理負荷がどの程度であるかの把握を促すことができる。そのため、ユーザは、例えば、取得対象データとして収集(取得)してほしい種類の稼働データがある場合等に、データ取得に関する処理負荷の状態を把握し、そのデータ取得の可能性を把握することができる。よって、ユーザは、より簡単に取得対象データの設定を行うことができる。
【0246】
また、本実施形態では、射出成形機1の表示装置760は、ユーザの要求に応じて、データ収集設定部7001Aにより取得対象データに関する設定が行われる場面で、ユーザの要求で指定される候補データや候補タイミングでの取得対象データのデータ取得部7002Bによる取得可否に関する情報(取得可否情報)を表示してよい。
【0247】
これにより、ユーザは、取得を要求する候補データや候補タイミングの取得対象データの取得可否を具体的に把握することができる。よって、ユーザは、より簡単に取得対象データの設定を行うことができる。
【0248】
また、本実施形態では、候補データの取得可否情報は、候補データのデータ取得部7002Bによる取得可否のユーザによる判断材料に関する情報(判断材料情報)を含んでよい。同様に、候補タイミングの取得対象データの取得可否情報は、候補タイミングの取得対象データのデータ取得部7002Bによる取得可否のユーザによる判断材料に関する情報(判断材料情報)を含んでよい。
【0249】
これにより、ユーザは、判断材料情報を用いて、データ取得部7002B(データ収集用コントローラ700B)による候補データや候補タイミングの取得対象データの取得可否を自ら判断(推測)することができる。
【0250】
また、本実施形態では、判断材料情報は、候補データの追加(増加)や候補タイミングの追加(増加)に対するデータ収集に関する処理負荷の変化を表す情報を含んでよい。
【0251】
これにより、ユーザは、候補データや候補タイミングの追加に際して、データ収集用コントローラ700Bの処理負荷がどのように変化するかを確認することができる。そのため、ユーザは、具体的に、データ取得部7002B(データ収集用コントローラ700B)による候補データや候補タイミングの取得対象データの取得可否を自ら判断(推測)することができる。
【0252】
また、本実施形態では、候補データの取得可否情報は、候補データのデータ取得部7002B(データ収集用コントローラ700B)による取得可否を特定する情報を含んでよい。同様に、候補タイミングの取得対象データの取得可否情報は、候補タイミングの取得対象データのデータ取得部7002B(データ収集用コントローラ700B)による取得可否を特定する情報を含んでよい。
【0253】
これにより、ユーザは、取得を要求する候補データや候補タイミングの取得対象データの取得可否をより容易に把握することができる。
【0254】
また、本実施形態では、データ収集設定部7001Aは、データ取得部7002Bに対応するプロセッサ(例えば、CPU701)の処理負荷を考慮して、ユーザの要求で指定される候補のデータや候補タイミングを取得対象データや取得対象タイミングとして設定してよい。
【0255】
これにより、射出成形機1は、データ取得部7002Bに対応するプロセッサの処理負荷を自動で考慮して、ユーザが取得(収集)してほしいデータ(候補のデータ)を取得対象として設定することができる。よって、ユーザは、より簡単に取得対象データの設定を行うことができる。
【0256】
[変形・変更]
以上、実施形態等について説明したが、本開示は上術の実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0257】
例えば、上述した実施形態では、射出成形機1に関するデータの収集方法やユーザへの提供方法等について説明したが、同様の方法は、他の産業機械に適用されてもよい。他の産業機械には、例えば、工作機械や生産ロボット等、工場に定置される定置型の機械が含まれる。また、他の産業機械には、例えば、移動式の作業機械が含まれる。移動式の作業機械には、例えば、ショベルやブルドーザ等の建設機械、コンバイン等の農業機械、移動式クレーンやフォークリフト等の運搬機械等が含まれる。
【0258】
最後に、本願は、2019年4月16日に出願した日本国特許出願2019-078067号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0259】
1 射出成形機(産業機械)
2 管理装置(外部装置)
3 ユーザ端末(端末装置)
100 型締装置
200 エジェクタ装置
300 射出装置
400 移動装置
700 制御装置
700A 上位コントローラ
700B データ収集用コントローラ(産業機械のコントローラ、第1のコントローラ)
700C 制御用コントローラ(第2のコントローラ、データ出力部)
701 CPU(プロセッサ)
750 操作装置
760 表示装置
770 ドライバ(データ出力部)
780 入力デバイス(データ出力部)
7001A データ収集設定部(設定部)
7002B データ取得部
7003B データ記憶部(記憶部)
SYS 射出成形機システム