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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】化粧用物品
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20231204BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20231204BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
A45D33/00 650E
A45D34/04 560
A61Q19/00
A61K8/02
A61K8/88
A61K8/85
A61K8/81
A61K8/87
A61K8/73
A61K8/86
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021545324
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2019077785
(87)【国際公開番号】W WO2020078906
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-11
(31)【優先権主張番号】1859540
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク・ルブラン
(72)【発明者】
【氏名】オドレイ・テナン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリエット・バルク
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-008912(JP,A)
【文献】特開昭63-295738(JP,A)
【文献】特開平01-201589(JP,A)
【文献】特表2018-527063(JP,A)
【文献】実開昭61-143512(JP,U)
【文献】実開昭48-087069(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00
A45D 33/34
A45D 33/36
A45D 34/04
A61Q 19/00
A61K 8/02
A61K 8/88
A61K 8/85
A61K 8/81
A61K 8/87
A61K 8/73
A61K 8/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品組成物を塗布し、すくい取り、または分配するための表面(17)を画定する布地(15)を備える化粧用物品(1)であって、前記布地(15)の少なくとも一部分が、少なくとも1つのローラー(B)を用いた処理を受けており、前記布地(15)の前記少なくとも一部分が、前記処理によって作成された隆起モチーフ(20)を有し、
- 前記物品が、前記化粧品組成物を含有するリザーバ(10)を形成するハウジングを持つ本体(3)を備えるケース(2)を備え、前記布地(15)は、前記組成物が、前記布地(15)を通過できるように、前記化粧品組成物の上に配置されたメッシュであるか、
- 前記物品が、下に位置する構造体(35)を備え、前記布地(15)が接着結合によりまたは溶着により、前記下に位置する構造体(35)に固定されるか、または、
前記物品が、化粧品組成物のアプリケータを形成し、前記布地(15)で覆われており硬質または半硬質の把持部分(29)に固定されたエンドピース(28)を備える、物品。
【請求項2】
前記布地(15)の前記少なくとも一部分の前記表面(17)が、前記少なくとも1つのローラーを用いた前記処理を受けている、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記布地(15)の前記少なくとも一部分の前記表面(17)の裏面が、前記少なくとも1つのローラーを用いた前記処理を受けている、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記隆起モチーフが、少なくとも1つのピーク(21)と、少なくとも1つのくぼみ(22)とを有し、前記ピーク(21)と前記くぼみ(22)との間の最大高さ(H)が0.05mm~4mmである、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記布地(15)の前記少なくとも一部分が、前記処理によって作成されたレリーフがない、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
少なくとも1つのローラー(B)を用いた前記処理が、カレンダー加工、エンボス加工、モアレ効果の生成、発泡、艶出し、ストライク加工、および研磨によって構成される群から選ばれる、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記布地(15)が、ポリアミド、エラスタン、ポリエステル、アクリル、ビスコース、アセテート、セルロース、ポリオレフィン、およびポリエーテルによって構成される群から選ばれる、合成繊維および/またはマイクロファイバーで生産された糸を含み、かつ/または
前記布地(15)が、織布、不織布、またはニットである、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記布地(15)が、少なくとも1つのローラーを用いた前記処理によってその構造が変更されているメッシュ構造を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記物品が、前記化粧品組成物を含有するリザーバ(10)を形成するハウジングを持つ本体(3)を備えるケース(2)を備え、前記布地(15)は、前記組成物が、前記布地(15)が前記組成物に押し付けられることによって、前記組成物が前記布地(15)を通過できるように、前記化粧品組成物の上に配置されたメッシュである、請求項1から8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
フレーム(40)を備え、前記布地(15)は、前記組成物が、前記布地(15)が前記組成物に押し付けられることによって、前記布地(15)を通過できるように、前記組成物のリザーバ(10)の上で前記フレーム(40)によって保持される、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記布地(15)が、下に位置する構造体(35)に接着結合によって固定され、前記構造物(35)は、少なくとも使用時に前記化粧品組成物(C)が含浸されるスポンジまたは胞状の多孔質材料のブロックである、請求項1から8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記物品が、前記化粧品組成物を含有するリザーバ(10)を形成するハウジングを持つ本体(3)を備えるケース(2)を備え、前記布地(15)は、前記組成物が、前記布地(15)が前記組成物に押し付けられることによって、前記布地(15)を通過できるように、前記化粧品組成物の上に配置されたメッシュであり、前記ケース(2)が、前記本体(3)と相互に作用するなどのために配置された蓋(5)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
化粧品組成物のアプリケータを形成し、前記布地(15)で覆われており硬質または半硬質の把持部分(29)に固定されたエンドピース(28)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の化粧用物品(1)を製造するための方法であって、
- 少なくとも1つのローラーを用いて布地(15)の少なくとも一部分を処理するステップと、
- このように処理された前記布地(15)を用いて前記物品(1)を生産するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品の分野に関し、より詳細には、限定はしないが、ヒトのケラチン物質、特に皮膚のメイクアップまたはケアを目的とする化粧用デバイス、またそのような化粧用デバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔構造体に化粧品組成物を含浸させることが知られており、指またはアプリケータに製品を載せるために、前記指またはアプリケータを前記多孔構造体に接触させることが可能である。
【0003】
多数の特許出願公開公報が、このタイプの化粧用物品を扱っている。特に、WO 2017/016608 A1の出願を引用することができ、この出願は、一面が遮蔽物で覆われている、不織布で構成されている繊維の塊を含む物品を開示している。この種の物品に起こる問題は、大量の組成物を貯蔵し、各使用時においては過多にならずに徐々に、また使用中は可能な限り完全にそれを放出する能力、形状記憶を使用する必要性、変動する粘度の組成物を受容する能力、小さい外形寸法、および大模販売の要件に適合する製造コストをすべてが有しているなど、様々な要因の間で妥協案を見つける必要があるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO 2017/016608 A1
【文献】KR101380587
【文献】KR10-2016-0146510
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使用者にとって心地良い美的効果および皮膚との接触を有する組成物をすくい取り(take up)、分配し、または塗布することを可能にする化粧用物品を提供する必要がある。
【0006】
KR101380587は、様々な種類の化粧品を含有するための化粧品容器と組み合わされた、弾性のある吐出栓(discharge spigot)を開示している。液体化粧品を滞りなく拡散および吐出するための弾性のある吐出栓は、縁部の端の弾性バンド部と、中央の補強部と、弾性バンド部と補強部をつなぐための薄膜拡張部とを有する。補強部の底部に、2つ以上の下方突出部が形成され、補強部の上部に、繰り返しの配置で拡散溝が形成される。補強部に、下方突出部を貫通する切断線を形成することによって、化粧品は、複数の切断線のおかげで広範囲に吐出され、吐出栓が元の位置に戻されるとき、切断線は互いに付着するので、化粧品の不必要な漏れは防止される。内容物は、パフの広範囲に一様にすくい取られ、それによって弾性のある吐出栓の上で吐出される化粧品は、拡散溝を通って広く拡散されながら吐出されるため、使用者の皮膚への一様なメイクアップを可能にする。
【0007】
KR10-2016-0146510は、外部加圧によって内容物を吐出するための吐出表面を備える化粧品に関し、特定の一実施形態では、吐出表面は、少なくとも1つの表面に凸状に突出したまたは凹状にくぼんだ少なくとも1つのエンボス加工を有する。この文書は、他の詳細なしに、少なくとも1つのエンボス加工が、熱および/または圧力を加えることによって形成され得ることを教示する。
【0008】
本発明は、化粧品組成物を含有するリザーバを有する化粧用物品をさらに改善することを目的としている。本発明の別の目的は、アプリケータとして使用することができる化粧用物品を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
化粧用物品
したがって本発明は、それの態様の1つによれば、化粧品組成物を塗布し、すくい取り、または分配するための表面を画定する布地(textile)を備える化粧用物品に関し、布地の少なくとも一部分は、少なくとも1つのローラーを用いた処理を受けている。
【0010】
本発明により、美しい布地製品(textile article)が得られ、たとえばそれは、処理によってテクスチャ加工され、および/または感触が心地良い。
【0011】
特定の一実施形態では、物品は、化粧品組成物を含有するリザーバを形成するハウジングを持つ本体を備えるケースを備え、布地は、特に布地が組成物に押し付けられることによって、組成物が布地を通過できるように、化粧品組成物の上に配置されたメッシュである。そのような場合、リザーバは、少なくとも使用時に化粧品組成物が含浸されるように設計された多孔質材料を含まない。
【0012】
別の実施形態では、物品は、下に位置する構造体、特に、少なくとも使用時に化粧品組成物が含浸されるスポンジまたは胞状の(alveolar)多孔質材料のブロックを備え、布地は接着結合によりまたは溶着により、下に位置する構造体に固定される。
【0013】
また別の実施形態では、物品は、化粧品組成物のアプリケータを形成し、布地で覆われており硬質または半硬質の把持部分に固定されたエンドピースを備える。また物品は、化粧品組成物のアプリケータを形成し、組成物が含浸されておらず布地で覆われたスポンジなどの多孔質材料を備えてもよい。
【0014】
化粧品組成物を塗布し、すくい取り、または分配するための、前記少なくとも1つの布地部分の表面は、前記少なくとも1つのローラーを用いた処理を受けていてもよい。
【0015】
変形態では、または追加として、化粧品組成物を塗布し、すくい取り、または分配するための、布地の前記少なくとも一部分の表面の裏面は、前記少なくとも1つのローラーを用いた処理を受けていてもよい。
【0016】
布地の前記少なくとも一部分は、前記処理によって作成された隆起モチーフを有してもよい。この場合、隆起モチーフは、少なくとも1つのピーク(peak)と、少なくとも1つのくぼみとを有してもよく、ピークとくぼみとの間の最大高さは0.05mm~4mmであり、高さは変動可能である。レリーフは、小さい範囲であってもよい。
【0017】
変形態では、布地の前記少なくとも一部分は、前記処理によって作成されたレリーフがなくてもよい。
【0018】
「少なくとも1つのローラーを用いた処理」とは、「少なくとも1つのシリンダーを用いた処理」と呼ばれる場合もあるが、前記少なくとも1つのローラーと接触して前記少なくとも1つの布地部分を置く処理を意味すると理解されたい。少なくとも1つのローラーと接触して布地を置くことは、圧力を用いてもしくは用いないで、および/または加熱を用いてもしくは用いないで実行されてもよい。前記少なくとも1つのローラーは、隆起モチーフを備えてもよい。変形態では、前記少なくとも1つのローラーは、隆起モチーフを備えていない。2つ以上のローラーで、たとえば2つのローラーで処理が実施されるとき、ローラーの一方だけがレリーフを備えてもよい。変形態では、2つのローラーは、同一の、相補形の、または異なる隆起モチーフを備えてもよい。少なくとも1つのローラーを用いた処理は、機械的仕上げ技術から選ばれてもよい。これらの仕上げ技術は、印刷技術とは異なる。それらは、布地が生産された後に実施される。
【0019】
少なくとも1つのローラーを用いた処理は、カレンダー加工、エンボス加工、モアレ効果の生成、発泡、艶出し、ストライク加工(striking)、および研磨によって構成される群から選ばれてもよく、好ましくはカレンダー加工であってもよい。
【0020】
「カレンダー加工」とは、布地の少なくとも一部分が2つ以上の加熱されたローラー、すなわちカレンダー加工ローラーの間を通過し、表面溶融および繊維の押しつぶしによる孔の狭窄を生じることを意味すると理解されたい。ローラーの少なくとも1つは、エッチングされてもよく、反転されたまたは反転されていない対応する隆起モチーフを有し、布地上に、したがって布地の表面に、隆起モチーフを作成できるようにする。
【0021】
「エンボス加工」または「発泡」は、布地の少なくとも一部分が、それにレリーフを付与する2つのエッチングされたローラーの間を通過することを意味すると理解されたい。
【0022】
「艶出し」は、非常に光沢のある外観を得るなどのために、パラフィン、ワックス、または他の化合物とともに、熱を用いた強いカレンダー加工を意味すると理解されたい。
【0023】
「モアレ効果の生成」は、様々な方向で布地の糸がつぶれることによる反射効果を生み出す処理を意味すると理解されたい。光線の入射により、得られる外観は鏡のようである。
【0024】
「ストライク加工」は、布地、特に合成布地が滑らかなローラーと、繊維を成形するレリーフを有するローラーとの間を通されることによる合成布地の処理を意味すると理解されたい。
【0025】
「研磨」は、多少厚みのあるサンドペーパーであるエメリー紙で覆われたローラーの助けを借りて、多くの場合可能な染色より前に行われる処理を意味すると理解されたい。研磨による処理は、布地に極めて柔らかい、「ピーチスキン」手触りを与える。
【0026】
前記少なくとも1つの布地部分が受ける処理に応じて、目および/または感触に心地良い異なるテクスチャ加工効果を得ることが可能である。
【0027】
布地の多孔度は、求められている意味において、特により小さい多孔度に向かって、少なくとも1つのローラーを用いた処理によって変更されてもよい。布地は、化粧品組成物を浸透させたままであってもよい。多孔度は、表面内で一様でなくてもよい。特に、ピークと、くぼみとをもつ隆起モチーフがあるとき、ピークは、たとえばより大きい圧縮を受け、くぼみよりも孔が少ないゾーンであってもよい。
【0028】
存在するとき、隆起モチーフは、複数の形状を有してもよい。モチーフは、幾何学的であってもよく、規則的または不規則的のいずれかであってもよい。
【0029】
特定の実施形態では、布地はすべて、少なくとも1つのローラーを用いた処理によって処理される。
【0030】
布地は、ポリアミド、エラスタン、ポリエステル、アクリル、ビスコース、アセテート、セルロース、ポリオレフィン、およびポリエーテルによって構成される群から選ばれる、合成繊維および/またはマイクロファイバーで生産された糸を含んでもよい。
【0031】
マイクロファイバーの存在は、使用者に心地良くなり得る、感触に特定の柔らかさを得ることを可能にし得る。
【0032】
布地は、たとえば織布、不織布、またはニットである。
【0033】
布地は、少なくとも1つのローラーを用いた処理によってその構造が変更されたメッシュ構造を有してもよい。特に、メッシュ構造は、処理の後に、たとえばカレンダー加工によって破壊されてもよい。多孔度は、布地の浸透性を下げるなどのために下げられてもよい。
【0034】
布地は、その外観が処理によって、特にカレンダー加工によって変更された、少なくとも1つの開口を有してもよい。
【0035】
物品は、フレームを備えてもよく、布地は、特に布地が組成物に押し付けられることによって、組成物が布地を通過できるように、組成物のリザーバの上でフレームによって保持される。
【0036】
変形態では、布地は、下に位置する構造体、特に化粧品組成物が含浸されるスポンジに固定されてもよい。
【0037】
物品は、さらに、化粧品組成物を含有するハウジングを持つ本体を備えるケースを備えてもよく、布地は、化粧品組成物の上に配置され、ケースは、本体と相互に作用するなどのために、特にケースを漏れないように閉じることを可能にするなどのために配置された蓋を備える。
【0038】
変形態では、化粧用物品は、化粧品組成物のアプリケータを形成する。この場合、物品は、パッドまたはパウダーパフを形成してもよい。物品は、その場合洗えてもよい。変形態では、アプリケータは、把持部分に固定される。
【0039】
化粧品組成物は、液体であっても、粉末形態であってもよく、好ましくは液体形態であってよい。
【0040】
実施形態にかかわらず、布地は、有利には単層である。布地は、好ましくは、布地の反対側から、下に位置するフィラメントに直接接続されない。布地の裏面は、つながれていなくてもよく、すなわち、下に位置する層または構造体に織ることまたは編むことによって接続されなくてもよい。
【0041】
製造方法
その態様のうちの別のものによれば、上記と組み合わせて、本発明はさらに、上記で定義した化粧用物品を製造するための方法に関し、この方法は、
- 少なくとも1つのローラーを用いて布地の少なくとも一部分を処理するステップと、
- このように処理された布地を用いて物品を生産するステップと
を含む。
【0042】
少なくとも1つのローラーを用いた処理は、有利には、カレンダー加工、エンボス加工、モアレ効果の生成、発泡、艶出し、ストライク加工、および研磨によって構成される群から選ばれ、好ましくはカレンダー加工である。
【0043】
本発明によって、処理ステップでは、布地の少なくとも一部分、さらには布地全部が変更され、特に、化粧品組成物を塗布すること、すくい取ること、もしくは分配することを可能にする布地の表面、および/またはこの表面の裏面が変更される。布地の外観が変更され、かつ/または布地の構造が変更され、かつ/または布地の手触りが変更され、かつ/または布地の特性、特に多孔度が変更される。これは、それの表面および特性を必要に応じて適合させることを可能にする。
【0044】
本発明は、その非限定的な例示的実施形態の以下の詳細な説明を読み、添付の図面を考察することにより、より良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明による物品のケースの一例の概略斜視図である。
図2】本発明による物品の布地の一例の概略断面図である。
図3】本発明による物品の布地の一例の塗布、すくい取り、または分配表面の写真である。
図4】本発明による物品の布地の他の例の塗布、すくい取り、または分配表面の概略図である。
図5】本発明による物品の布地の他の例の塗布、すくい取り、または分配表面の概略図である。
図6】本発明による物品の布地の別の例の塗布、すくい取り、または分配表面の写真である。
図7】本発明による物品の布地のカレンダー加工を概略的に示す図である。
図8】カレンダー加工の前の布地の一例の拡大写真である。
図9】カレンダー加工の後の図8布地の同じく拡大図の写真である。
図10】本発明による物品の別の例を断面で部分的かつ概略的に示す図である。
図11】本発明による物品の別の例を側面図で概略的に示す図である。
図12】本発明による物品の別の例を概略的に側面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
残りの説明では、同一の要素、または同一の機能を有する要素は、同じ参照符号が記載されている。本説明を簡潔にするために、それらの要素については図ごとに説明せず、実施形態間の差異のみについて説明する。
【0047】
図1は、本体3を有するケース2を備える、本発明による化粧用物品1を示す。ケース2はまた、この例では本体3に関節式に連結された蓋5を備える。蓋は、別様に、たとえば本体にねじ込まれることによって固定されることがある。
【0048】
ケース2はまた、この例では、蓋5と本体3との間の関節の回転軸に垂直な回転軸の周りに、本体3に関節式に連結されたアプリケータホルダー6を収納する。アプリケータは、この図では示されていない。皿状部4が、ケース2の本体3のハウジング8内に受容されている。皿状部4は、化粧品組成物のリザーバを収納する。リザーバは、組成物が含浸される多孔質材料を含んでいない。
【0049】
リザーバは、布地15が上に置かれ、布地15の相対物(obverse)を形成する、組成物を塗布し、すくい取り、または分配するための、表面17を画定する。布地15の少なくとも一部分、この例では表面17の少なくとも一部分が、少なくとも1つのローラーを用いた処理により処理されている。示した例でわかるように、表面17のこの部分、この例では表面17全部が、反転している、または反転していない対応する隆起モチーフを有する少なくとも1つのカレンダー加工ローラーを用いてカレンダー加工することによって作成された隆起モチーフ20を有する。
【0050】
少なくとも1つのローラーを用いた処理が、特にエンボス加工、モアレ効果の生成、発泡、艶出し、ストライク加工、または研磨から選ばれる別の処理である場合、本発明の範囲からの逸脱ではない。少なくとも1つのローラーを用いた処理の後に、布地にレリーフがない場合、本発明の範囲からの逸脱ではない。少なくとも1つのローラーを用いた処理を受けたのが、表面17の裏面である場合も、本発明の範囲からの逸脱ではない。
【0051】
この表面17は、下に位置するリザーバに含有される化粧品組成物を塗布するために設けられる。布地15は、組成物を浸透させ、組成物が布地を構成するメッシュを通過するのを可能にする。
【0052】
化粧品組成物の大部分、特に全部が、リザーバに含有される。
【0053】
図2および図3は、図1布地を分離して示す。図2は、約0.1mm程度の比較的低い最大レリーフ高さHをもつ、布地15のレリーフを横から示す。この図でわかるように、隆起モチーフ20は不規則であるが、これは本発明の範囲から逸脱しないものであり得る。この例の隆起モチーフ20は、爬虫類の皮膚の再現である。
【0054】
図4および図5は、カレンダー加工後の布地15の他の例を示す。これらの例では、暗いゾーンと、明るいゾーンとを見ることができる。暗いゾーンは、隆起モチーフ20のピーク21を形成し、明るいゾーンは、隆起モチーフ20のくぼみ22を形成する。
【0055】
図6の例では、隆起レリーフ20は、異なる互いに平行な帯を、明るい帯および暗い帯、したがってそれぞれくぼみの帯22およびピークの帯21を交互にして各々含む複数のゾーン23を有し、2つの異なるゾーン23の帯は互いに平行ではない。
【0056】
図7は、本発明による物品1を形成するなどのために布地15が処理されることを可能にするカレンダー加工ツールの一例を示す。このツールは、カレンダーローラーを形成する2つのシリンダーBを備える。ローラーの1つBは、隆起モチーフFを備える。製造方法によって、布地15は、矢印で示すように、互いとは異なる方向に回転駆動される2つのローラーBの間を、熱い状態で通過する。ローラーB間の距離は、調整されてもよい。布地15は、隆起モチーフFによって作成されるエンボス加工または熱成形を受ける。布地15は対応する隆起モチーフ20を有してそこから現れ、次いで本発明による物品は、このカレンダー加工された布地15を使用して生産される。
【0057】
隆起モチーフFと接触している表面は、図1で見ることができる表面、すなわち表面17であってもよい。変形態では、それは表面17の反対側の表面、すなわち、図1では見ることができない、表面17の裏面であってもよい。最初の場合では、隆起モチーフFは、隆起モチーフ20と比較して反転している。2番目の場合では、隆起モチーフFは、隆起モチーフ20と比較して反転していない。
【0058】
少なくとも1つのローラーを用いる他の処理法が、カレンダー加工の代わりに、特にエンボス加工、モアレ効果の生成、発泡、艶出し、ストライク加工、または研磨が、本発明の範囲から逸脱することなく、実施されてもよい。
【0059】
示した例では、2つのローラーのうちの1つのみが、隆起モチーフFを備えるが、2つのローラーが、相補形のまたは相補形ではない隆起モチーフFを備えてもよい。別の変形態では、どちらのローラーも隆起モチーフを備えていない。これは、布地15に他の効果または特性を生み出すことを可能にし得る。ツールは、さらに、単一ローラーまたは2つ以上のローラーを備えてもよい。
【0060】
図8および図9は、布地のメッシュ構造への少なくとも1つのローラーを用いた処理の効果を示す。
【0061】
布地15は、有利には編むことによって、シングルピースとして生産される。
【0062】
図示していない変形態では、布地は、織布または不織布である。
【0063】
図8に見ることができるメッシュ構造は、処理の前の布地のメッシュ構造である。メッシュ構造は、すべてのゾーンZにわたって規則的であり、構造化されていることがわかる。
【0064】
図9の例では、同じ布地が、処理、この例ではカレンダー加工を受けて、本発明による物品を形成するための布地15を形成する。メッシュ構造が破壊され、もはや規則的ではなく、押しつぶされたかのような、開口のないゾーンZ、Z、Zなどのゾーンと、より離間した、開口を有するゾーンZなどの他のゾーンとを有することがわかる。表面17は、したがって組成物の通過に対して一様ではない。また表面17は、浸透性がより低い。
【0065】
図1では、布地15は、少なくとも最初の使用後には化粧品組成物と接触している。
【0066】
図10の例では、布地15は、この例では、少なくとも使用時に化粧品組成物Cを含有するスポンジまたは胞状の多孔質材料のブロックで構成された下に位置する構造体35に、接着結合によって固定される。この例では、布地の表面17はレリーフがなく、少なくとも1つのローラーを用いた処理は、レリーフを作成していない。
【0067】
本発明は、リザーバ内の組成物と接触する化粧用物品1に限定されない。
【0068】
特に、図11および図12に示す変形態は、組成物が含浸されない化粧品組成物のアプリケータを形成するために、たとえば見えないスポンジを覆う、布地15を備えた化粧用物品1を示している。このアプリケータは、製品を載せた表面から、または製品の塊から組成物をすくい取り、手に保持しながらそれを塗布するために使用される、または変形態では、組成物が別様に使用されるとき、組成物を柔らかくするために使用される。
【0069】
図11のアプリケータは、完全に柔軟である。図12のアプリケータは、布地15で覆われ、この例では柄を形成する硬質または半硬質の把持部分29に固定されたエンドピース28を備える。
【0070】
図11のアプリケータの布地15は、さらに「OLE」の文字を印刷されている。
【0071】
布地15は、布地のメッシュ構造の開口と無関係の、より大きい寸法を有する開口を備えても、備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 化粧用物品
2 ケース
3 本体
4 皿状部
5 蓋
6 アプリケータホルダー
8 ハウジング
15 布地
17 表面
20 隆起モチーフ
21 ピーク、ピークの帯
22 くぼみ、くぼみの帯
23 ゾーン
28 エンドピース
29 把持部分
35 下に位置する構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12