IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】カプセル
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/14 20060101AFI20231204BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20231204BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20231204BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20231204BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231204BHJP
   A61Q 17/02 20060101ALI20231204BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231204BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20231204BHJP
【FI】
B01J13/14
A61K9/48
A61K47/02
A61K47/04
A61K45/00
A61K47/24
A61K8/11
A61K8/25
A61Q13/00 100
A61Q17/04
A61Q17/02
A61Q19/00
A23L5/00 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021558665
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020028621
(87)【国際公開番号】W WO2020214877
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】62/835,013
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/913,192
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】カルドソ、マリアナ・ベー・テー
(72)【発明者】
【氏名】バロス、アンドレ・マルティム
(72)【発明者】
【氏名】デ・ニース、ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルストレット、ピエール・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】スミス、スティーヴン・ダリル
(72)【発明者】
【氏名】スメツ、ヨハン
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-531614(JP,A)
【文献】特表2011-529392(JP,A)
【文献】特表2002-528259(JP,A)
【文献】特表2013-500844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02
A61K 8/11
A23L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルの集団であって、前記カプセルは、
有益剤を含む油性コアと、
前記コアを取り囲むシェルであって、前記シェルは、
実質的に無機の第1のシェル構成要素であって、
前駆体の縮合生成物を含む縮合層と、
無機ナノ粒子を含むナノ粒子層であって、前記コアと前記ナノ粒子層との間に前記縮合層が配置されている、ナノ粒子層と、
を含かつ最大5%の有機成分を含む、実質的に無機の第1のシェル構成要素、及び
前記第1のシェル構成要素を取り囲む無機第2のシェル構成要素であって、前記ナノ粒子層を取り囲む無機第2のシェル構成要素、
を含む、シェルと、
を含み、
前記前駆体が、式(I)
(M(式I)
(式中、Mは、ケイ素、チタン、及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、
vはMの原子価数であって、3又は4であり、
zは、0.5~1.6であり、
各Yは、独立して、-OH、-OR、ハロ、
【化1】
-NH、-NHR、-N(R、及び
【化2】
から選択され、式中、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、
は、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、
nは0.7~(v-1)であり、
wは、2~2000の整数である)
の少なくとも1つの化合物を含み、
式(I)の少なくとも1つの前記化合物が、200Da~60,000Daのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を有し、
式(I)の少なくとも1つの前記化合物が、1~20の分子量多分散指数を有し、
式(I)の少なくとも1つの前記化合物が、0~0.6の分岐度を有する、カプセルの集団。
【請求項2】
前記有益剤が、色原体及び染料、香料組成物、香料原材料、潤滑油、シリコーンオイル、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、エッセンシャルオイル、脂質、皮膚冷却剤、ビタミン、日焼け止め剤、酸化防止剤、触媒、悪臭軽減剤、臭気制御材料、柔軟剤、昆虫及び蛾駆除剤、着色剤、顔料、医薬、医薬油、接着剤、増粘剤、ドレープ及びフォーム調整剤、平滑剤、しわ抑制剤、衛生化剤、消毒剤、細菌抑制剤、カビ抑制剤、白カビ抑制剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、耐汚染剤、汚れ放出剤、布地リフレッシュ剤及び洗いたて感維持剤、塩素漂白臭気抑制剤、染料固定剤、色保持剤、色復元/再生剤、抗退色剤、抗磨耗剤、耐磨耗剤、布地一体化剤、摩耗防止剤、けば立ち防止剤、抑泡剤、消泡剤、紫外線保護剤、日褪せ阻害剤、抗アレルギー剤、布地快適剤、耐収縮剤、耐伸剤、伸縮回復剤、スキンケア剤、天然活性物質、染料、相変化材料、肥料、栄養剤、及び除草剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のカプセルの集団。
【請求項3】
前記油性コアがコア変性剤を更に含む、請求項1又は2に記載のカプセルの集団。
【請求項4】
前記シェルの透過性が、0.01%~40%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【請求項5】
前記前駆体が、式(II)
(M (式II)
(式中、Mは、ケイ素、チタン、及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、
vはMの原子価数であって、3又は4であり、
zは、0.5~1.6であり、
各Yは、独立して、-OH、-OR、ハロ、-NH、-NHR、及び-N(Rから選択され、式中、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、
は、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、
nは0~(v-1)であり、
各Rは、独立して、C~C30アルキル、C~C30アルキレン、C~C30アルキルであって、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールのうちの1つ以上で置換されたC~C30アルキル、及びC~C30アルキレンであって、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールのうちの1つ以上で置換されたC~C30アルキレンから選択され、
pは最大でpmaxの量で存在し、
wは、2~2000であり、
式中、pmax=60/[9Mw(R)+8]であり、式中、Mw(R)は、R基の分子量である)
の少なくとも1つの化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【請求項6】
前記無機第2のシェル構成要素が、SiO、TiO、Al、CaCO、CaSiO、Fe、Fe、鉄、銀、ニッケル、金、銅、及び粘土のうちの1つ以上を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【請求項7】
前記第1のシェル構成要素の前記無機ナノ粒子が、金属ナノ粒子、鉱物ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、及び半金属酸化物ナノ粒子のうちの1つ以上を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【請求項8】
前記無機ナノ粒子が、SiO、TiO、Al、Fe、Fe、CaCO、粘土、銀、金、及び銅のうちの1つ以上を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【請求項9】
前記カプセルが、0.1μm~200μmの体積加重平均カプセル直径を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【請求項10】
前記シェルが、10nm~10,000nmの厚さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【請求項11】
式(II)の少なくとも1つの前記化合物が、200Da~60,000Daのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を有する、請求項5に記載のカプセルの集団。
【請求項12】
式(II)の少なくとも1つの前記化合物が、1~20の分子量多分散指数を有する、請求項5又は11に記載のカプセルの集団。
【請求項13】
式(II)の少なくとも1つの前記化合物が、0~0.6の分岐度を有する、請求項5、11又は12に記載のカプセルの集団。
【請求項14】
式(I)又は(II)について、Mがケイ素であり、YがORであり、かつRが、メチル、エチル、プロピル、又はブチルのうちの1つ以上である、請求項1又は5に記載のカプセルの集団。
【請求項15】
前記前駆体が、TMOS、TEOS、又はTBOSのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【請求項16】
前記カプセルが、0.1N/m~50N/mの平均公称壁張力を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【請求項17】
体積コア対シェル比が80:20~98:2である、請求項1~16のいずれか一項に記載のカプセルの集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有益剤の移動及び誘発放出のためのカプセル及びそのようなカプセルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセル化は、液体の液滴、固体の粒子、又は気体が固体シェルの内部に封入され、それらが概ねミクロ単位のサイズ範囲にあるというプロセスである。このようにしてコア材料が、周囲環境から機械的に分離する(Jyothi et al.,Journal of Microencapsulation,2010,27,187-197)。マイクロカプセル化技術は、様々な科学分野から注目を集め、様々な産業のための広範囲の商業的用途を有する。まとめると、カプセルは次のうちの1つ以上が可能である:(i)一緒にしておくことができない構成要素どうしを機械的に分離することを通じて、製剤又は材料の安定性を提供すること、(ii)コア材料を周囲の環境から保護すること、(iii)活性成分の望ましくない属性をマスキングする又は隠すこと、及び(iv)活性成分の放出を、特定の時間又は場所に制御又は誘発すること。これらの属性の全ては、いくつかの製品の貯蔵寿命の増加、及び液体製剤中の活性成分の安定化をもたらし得る。
【0003】
カプセル化は、医薬品、パーソナルケア、織物、食品、コーティング、及び農業などの領域に見出すことができる。加えて、実世界の商業的用途におけるマイクロカプセル化技術が直面する主要な課題は、コア材料の制御された又は誘発された放出が実施されるまで、カプセル内に、カプセル化された活性物質を完全に保持しておくことが、供給チェーン全体を通して必要とされることである(Thompson et al.,Journal of Colloid and Interface Science,2015,447,217-228)。現存するマイクロカプセル化技術の中で、今日の業界のニーズを、特に小分子のカプセル化に関して満たすことができる、長期間にわたる保持能力と能動的保護能力とを有し、環境及びヒトの健康の両方に安全であるものは、著しく限られている。
【0004】
過去数年にわたって、消費財の製造業者は、コアをシェルにカプセル化する技術を使用して、有益剤などの活性物質を過酷な環境下で保存し、所望のタイミング(消費財の使用中又は使用後であり得る)でそれらを放出させてきた。有益剤の放出に使用できるいくつかのメカニズムの中で、カプセルシェルの機械的破裂が、広く用いられてきた。所望の放出タイミングに至る前にカプセルが機械的応力を受ける場合であっても、破壊が特定の所望のタイミングで発生しなければならない。そのため、機械的破裂を放出のメカニズムとして選択することは、製造業者にとって別の課題を構成する。
【0005】
カプセル化技術に対する工業的関心により、シェルの低い透過性、高い付着性、目標とされた機械的特性、及び破裂プロファイルといった要件を満たさんとする、いくつかのカプセル用ポリマー化学物質が開発された。環境問題へ関心の高まりにより、ポリマーカプセルは、監視対象とされたため、製造業者は、有益剤のカプセル化について持続可能な解決策の調査を既に始めている。金属酸化物又は半金属酸化物に基づく持続可能なカプセル、主にシリカカプセルに関して、大量の文献が存在する。しかしながら、文献に記載されているカプセルのいずれも、シェルの低い透過性、機械的特性、付着性、及び破裂プロファイルの正しいバランスを提供していない。
【0006】
シランモノマーのみで製造されたカプセルは、当該技術分野において既知である。多くの特許出願及び学術刊行物が、例えばテトラメトキシシラン(TMOS)及びテトラエトキシシラン(TEOS)などのモノマーの使用を開示している。このようなモノマーを使用する利点は、これらが、同様のモノマーから作製されたプレポリマーよりも迅速に反応することである。そのため、長年にわたって好まれた選択肢であった。この短い反応時間をもたらすものは、より高分子である前駆体と比較して、それらのモノマーがひとたび部分的に加水分解されると、より高い水溶性を示すということであり、更に、それらのモノマーがより低分子であるということで、それらがひとたび水相中に分散されると水が過剰である環境に置かれるため、全体的な加水分解速度を更に加速させるということである。しかしながら、上記の種類の開示は多くの場合に、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)又はセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)などのカチオン性界面活性剤を使用して、水相中に分散した負に帯電した加水分解中間反応種を、油/水界面に移動させようと想定している。
【0007】
理論に束縛されるものではないが、多くの場合に起こるのは、水が過剰な環境下にある部分的に加水分解されたモノマーは、凝縮とより大きな粒子ゾルの形成を開始し、このより大きな粒子ゾルが、油/水界面に引き寄せられるということである。最終的に、本システムは、特にゾルが大きなサイズに成長するときに、それらのゾルを油/水界面に存在させることが好ましいという熱力学の法則に従って、分散した微粒子ゾルの表面エネルギーを低減することを望むものである。このような微粒子ゾルの形成は、最終的に、油滴の周囲のシェルをもたらすことができ、場合によっては、機械的な自己一体性に向けて十分に強いシェルをすらもたらすことができる。しかしながら、微粒子ゾルの幾何学的特性(サイズ、フラクタル寸法、形状など)のため、シェルの透過性を低くするような高密度の非多孔質ネットワークを有するシェルを形成することができない。
【0008】
加えて、国際公開第2011/131644号は、油溶性半金属前駆体を使用してナノ粒子を1つに接合することによって実現される、半金属有機シェルを有するカプセルを開示している。しかしながら、前述の参照文献には、シェルを構成する第2の要素が開示されていない。本発明では、第2のシェル構成要素と結合されたナノ粒子及び前駆体を注意深く選択することによって、低い透過性及び向上した機械的一体性を有するカプセルが提供されることが明らかとなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2011/131644号
【非特許文献】
【0010】
【文献】(Jyothi et al.,Journal of Microencapsulation,2010,27,187-197)
【文献】(Thompson et al.,Journal of Colloid and Interface Science,2015,447,217-228)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
理論に束縛されるものではないが、本出願人は、驚くべきことに、主要シェル構成要素、副次的シェル構成要素、ナノ粒子、コア対シェル比、及びシェルの厚さを慎重に選択することにより、ひとたび表面上で風乾された後には、その機械的一体性を保持し、界面活性剤系マトリクス中ではシェルの透過性が低く、金属酸化物又は半金属酸化物をベースとするカプセルの製造が可能になるということを見出した。これらの2つの特性は所望の結果であるが、低い透過性を有する、高密度でありかつ強固であるというシェルの特性は、構成材料そのもの及びそれらを組み立てるための条件を賢明に選択することによってのみ可能となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従来の合成化学物質の代替として、毒性が低く、しかも生態学的に安全でもあるカプセル化技術が必要とされている。有益剤を、環境に優しい乳化技術及びシェル内の持続可能な材料を介してカプセル化する方法が望まれている。
【0013】
実施形態によれば、カプセルの集団が提供され、そのカプセルは、油性コアと、そのコアを取り囲むシェルとを含み得る。実施形態において、油性コアは有益剤を含み得る。実施形態において、シェルは、第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を含むことができ、第2のシェル構成要素は第1のシェル構成要素を取り囲む。実施形態において、第1のシェル構成要素は、縮合層及びナノ粒子層を含むことができ、その縮合層は、コアとナノ粒子層との間に配置される。実施形態において、縮合層は、前駆体の縮合生成物を含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素は、無機コーティングを含むことができ、その無機コーティングはナノ粒子層を取り囲む。実施形態において、前駆体は、式(I)の化合物の少なくとも1つを含む:(M(式I)、(式中、Mは、ケイ素、チタン、及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、vは、Mの原子価数であって、3又は4であり、zは、0.5~1.6、好ましくは0.5~1.5であり、各Yは、独立して、-OH、-OR、ハロ、
【0014】
【化1】
-NH、-NHR、-N(R、及び
【0015】
【化2】
から選択され、更に式中、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、Rは、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、nは、0.7~(v-1)であり、wは2~2000である)。
【0016】
実施形態によれば、カプセルの集団が提供され、そのカプセルは、水性コアと、そのコアを取り囲むシェルとを含み得る。実施形態において、水性コアは有益剤を含み得る。実施形態において、シェルは、第1のシェル構成要素を含み得る。実施形態において、第1のシェル構成要素は、縮合層とナノ粒子層とを含み得る。実施形態において、縮合層は、前駆体の縮合生成物を含み得る。実施形態において、前駆体は、式(I)の化合物の少なくとも1つを含む:(M(式I)、(式中、Mは、ケイ素、チタン、及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、vは、Mの原子価数であって、3又は4であり、zは、0.5~1.6、好ましくは0.5~1.5であり、各Yは、独立して、-OH、-OR、ハロ、
【0017】
【化3】
-NH、-NHR、-N(R、及び
【0018】
【化4】
から選択され、更に式中、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、Rは、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、nは、0.7~(v-1)であり、wは2~2000である)。
【0019】
実施形態によれば、カプセルの集団が提供され、そのカプセルは、水性コアと、そのコアを取り囲むシェルとを含み得る。実施形態において、水性コアは有益剤を含み得る。実施形態において、シェルは、第1のシェル構成要素を含み得る。実施形態において、第1のシェル構成要素は、縮合層とナノ粒子層とを含み得る。実施形態において、縮合層は、前駆体の縮合生成物を含み得る。実施形態において、前駆体は、式(I)又は式(II)の化合物の少なくとも1つを含む:(M(式I)、(式中、Mは、ケイ素、チタン、及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、vは、Mの原子価数であって、3又は4であり、zは、0.5~1.6、好ましくは0.5~1.5であり、各Yは、独立して、-OH、-OR、ハロ、
【0020】
【化5】
-NH、-NHR、-N(R、及び
【0021】
【化6】
から選択され、更に式中、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、Rは、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、nは、0.7~(v-1)であり、wは2~2000である)、(M (式II)、(式中、Mは、ケイ素、チタン及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、vはMの原子価数であって、3又は4であり、zは、0.5~1.6、好ましくは0.5~1.5であり、各Yは、独立して、-OH、-OR、ハロ、-NH、-NHR、-N(Rから独立して選択され、更に式中、RはC~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される、1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、Rは、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、nは0~(v-1)であり、各Rは、独立して、C~C30アルキル、C~C30アルキレン、及びハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールのうちの1つ以上で置換されたC~C30アルキル、並びにハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールのうちの1つ以上で置換されたC~C30アルキレンから選択され、pは最大pmaxの量で存在し、wは2~2000である。
【0022】
実施形態によれば、カプセルの集団が提供され、そのカプセルは、水性コアと、そのコアを取り囲むシェルとを含み得る。実施形態において、水性コアは有益剤を含み得る。実施形態において、シェルは、第1のシェル構成要素を含み得る。実施形態において、第1のシェル構成要素は、縮合層とナノ粒子層とを含み得る。実施形態において、縮合層は、前駆体の縮合生成物を含み得る。実施形態において、前駆体は、式(II)の化合物の少なくとも1つを含む:(M (式II)、(式中、Mは、ケイ素、チタン及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、vは、Mの原子価数であって、3又は4であり、zは0.5~1.6、好ましくは0.5~1.5であり、各Yは独立して、-OH、-OR、ハロ、-NH、-NHR、-N(Rから選択され、更に式中、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、R3は、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、nは0~(v-1)であり、各Rは、独立して、C~C30アルキル、C~C30アルキレン、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールのうちの1つ以上で置換されたC~C30アルキル、及びハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールのうちの1つ以上で置換されたC~C30アルキレンから選択され、pは最大pmaxの量で存在し、wは2~2000である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書は、本開示として見なされる主題を詳細に示しかつ明確に特許請求する特許請求の範囲をもって完結するが、本開示は、以下の説明文を添付の図面と併せて読むことで更に深い理解がなされるものと考えられる。一部の図は、より明確に他の要素を示す目的のために、選択された要素を省略することによって簡略化されている場合がある。一部の図中のそのような要素の省略は、対応する書面による説明の中で明確に叙述されている場合を除き、例示的な実施形態のいずれかの中の特定要素の有無を必ずしも示すものではない。いずれの図面も必ずしも一定の縮尺に従っていない。
図1A】疎水性コアを用いて調製された本開示の実施形態による、カプセルの製造方法の概略図である。
図2A】本開示の実施形態による、サンプルQのカプセルの走査電子顕微鏡画像である。
図2B】本開示の実施形態による、サンプルQのカプセルシェルの走査電子顕微鏡画像である。
図3A】本開示の実施形態による、サンプルIのカプセルの走査電子顕微鏡画像であり、破壊されていないカプセルシェルを示す。
図3B】本開示の実施形態による、サンプルIのカプセルの断面の走査電子顕微鏡画像であり、カプセルシェルを示す。
図4A】本開示の実施形態による、複数のサンプルEのカプセルの走査電子顕微鏡画像である。
図4B】本開示の実施形態による、サンプルEのカプセルシェルの走査電子顕微鏡画像である。
図5】本開示の実施形態による、複数のサンプルCのカプセルの光学顕微鏡画像である。
図6】本開示の実施形態による、サンプルZのカプセルシェルの走査電子顕微鏡画像である。
図7A】本開示の実施形態による、第2のシェル構成要素を形成するプロセスの概略図である。
図7B】本開示の実施形態による、図7Aに示すプロセスの後の、複数のサンプルGのカプセルの、複数の走査電子顕微鏡画像である。
図8A】本開示の実施形態による、第1及び第2のシェル構成要素の両方を有する複数のサンプルHのカプセルの走査電子顕微鏡画像である。
図8B】本開示の実施形態による、第1及び第2のシェル構成要素の両方を有するサンプルHのカプセルシェルの走査電子顕微鏡画像である。
図9】本開示の実施形態による、複数の比較例サンプルWのカプセルの走査電子顕微鏡画像である。
図10】本開示の実施形態による、サンプルKのカプセルのエネルギー分散X線スペクトルである。
図11】本開示の実施形態による、サンプルAAのカプセルのエネルギー分散X線スペクトルである。
図12A】本開示の実施形態による、親水性コアを使用して調製された、複数のサンプルNのカプセルの光学顕微鏡画像である。
図12B】本開示の実施形態による、親水性コアを使用して調製された、サンプルNのカプセルの走査電子顕微鏡画像である。
図13】本開示の実施形態による、第1のシェル構成要素における、有機成分含有率に対する、透過性方法によって決定されるトレーサーの損失率のグラフである。
図14】本開示の実施形態による、カプセル平均容積加重直径に対する平均シェル厚さのグラフである。
図15A】本開示の実施形態による、サンプルBのカプセルシェルの走査電子顕微鏡画像である。
図15B】本開示の実施形態による、複数のサンプルBのカプセルの走査電子顕微鏡画像である。
図16】本開示の実施形態による、サンプルAWのカプセルシェルの走査電子顕微鏡画像である。
図17】本開示の実施形態による、分子量に対する分岐度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態によれば、シェルによって取り囲まれたコアを有する無機カプセルが提供される。コアは、1つ以上の有益剤を更に含み得る。様々な実施形態において、シェルは、第1のシェル構成要素を含むことができ、しかも任意選択的に、第1のシェル構成要素を取り囲む第2のシェル構成要素を含むこともできる。実施形態において、第1のシェル構成要素は、前駆体の縮合生成物から形成された縮合層を含み得る。以下に詳細に記載されるように、前駆体は、1つ以上の前駆体化合物を含み得る。実施形態において、第1のシェル構成要素はナノ粒子層を含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素は無機材料を含み得る。
【0025】
本発明のカプセルは、第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素とを含む、実質的に無機のシェルを備えるものとして定義される。「実質的に無機」とは、第1のシェル構成要素が、後程、有機成分含有量計算及び詳細な説明において定義される有機成分含有量の、最大10重量%、好ましくは9重量%、好ましくは8重量%、好ましくは7重量%、好ましくは6重量%、好ましくは5重量%、好ましくは4重量%、好ましくは3重量%、好ましくは2重量%、好ましくは1重量%を含み得ることを意味する。第1のシェル構成要素は、機械的に堅牢なスカフォールド又は骨格を構築するのに有用であるが、例えば洗濯洗剤、シャワージェル、クレンザーなどの界面活性剤を含有する液体製品においては、そのシェルの透過性を低いものとすることもできる(Surfactants in Consumer Products,J.Falbe,Springer-Verlagを参照されたい)。第2のシェル構成要素は、シェル透過率試験によって判定される、シェルの透過性を大幅に低減させ、界面活性剤系マトリクス中におけるカプセルの不透過性を改善する。(これについては後述する。)
【0026】
本発明では、カプセルを形成するには、まず、疎水性材料を、式(I)の無機前駆体(後述)と混合し得る。なお式中、Mは好ましくはケイ素である。次いで、その前駆体と油との混合物を、分散相として又は連続相として水相と共に使用する。2つの相が当業者に既知の方法を介して混合及び均質化されると、前者の場合には水中油滴エマルションが形成され、後者の場合には油中水滴エマルションが形成される。
【0027】
式(I)の無機前駆体中においてMがケイ素である場合、そのシリカ前駆体は、油/水界面で水との加水分解反応を開始して、シラノール基を有する、部分的に加水分解された前駆体を形成する。次いで、この部分的に加水分解された前駆体は、別の加水分解前駆体と反応してシロキサン結合を形成し、水分子を放出することができるか、又は加水分解していない前駆体と反応して、こちらもシロキサン結合を形成し、アルコール分子を放出することができる。シリカ前駆体はまた、更なる加水分解を経てから、別の種と反応させることができる。加えて、シリカ前駆体は、当該前駆体の加水分解の状態に応じ、アルコール又は水放出縮合反応のいずれかを伴う類似のメカニズムによって、油/水界面に位置するナノ粒子と反応することができる。上記のプロセスの全ては、シリカ前駆体を油/水界面に固定する役割を果たす。
【0028】
式(I)の無機前駆体は、複数の物理的特性、具体的には、分子量(Mw)、分岐度(DB)、及び分子量分布の多分散指数(PDI)によって特徴付けられる。分子量(Mw)及び分枝度(DB)は、ひとたび表面上で放置されるとその機械的一体性を保持するカプセルであって、界面活性剤系マトリクス中においてシェルの透過性が低いカプセルを得るために重要であるということが判明している。
【0029】
理論に束縛されるものではないが、式(I)の無機前駆体を界面にきちんと固定することによって、低水分環境が提供され、その結果として得られるシェルに構造的影響を与えると考えられる。このような低水分環境は、モノマー前駆体又は低分子量(Mw)のオリゴマーが使用された場合よりも、反応種(すなわち、水及び前駆体)間の接触を制限するため、かなり長い反応時間を結果としてもたらすこととなる。本発明では、使用される前駆体の種類とナノ粒子との両方を慎重に選択することによって、上記の欠点を克服し、その結果として高密度のカプセルシェルの形成を実現する。理論に制限されるものではないが、加水分解時に、低分子量(Mw)の無機前駆体は、第1のシェル構成要素の形成を開始するのに十分な界面活性を有していないため、そのような前駆体の大部分は水相中に分散し、シェル形成の最終収率を低下させると考えられる。ひとたびシェルが形成され始めると、低分子量(Mw)の無機前駆体は、依然として形成されつつあるシェルを通して拡散することができ、シェルの所望の収率を更に低下させてしまう。また、分岐度が小さすぎる無機前駆体は、互いに相互に透明であるようなフラクタル寸法を有する(Applied Catalysis A,vol 96,pp 103,1993)、すなわち、低分子量(Mw)及び低分岐度(DB)を有する2つの前駆体が、互いに反応して固体シェルを形成する可能性が低く、シェル内に空隙を残すか、又は前駆体を水相に損失させるかのいずれかである。このような損失を補うためにより高い濃度の無機前駆体が使用される場合、水相は、過度に多くの無機前駆体を含有し、最終的にシステム全体がゲル化する。最後に、過剰な水(すなわち、水中に分散された)に浸漬された無機前駆体は、より速く反応し、更により大きなポリマー及び粒子の迅速な成長をもたらす。上で説明したように、より大きなポリマー及び粒子は、既存のネットワークへの限定された相互貫入を有し、したがって、シェルの収率を増加させず、又は少なくとも、密な十分なシェルを提供しない。
【0030】
したがって、本発明によるカプセル、すなわち界面活性剤系マトリクス中においてシェルの透過性が低く、しかも機械的自己一体性の能力を特徴とする、高密度で強固なシェルを有するカプセルを得るためには、0.19、好ましくは0.2を超える分岐度を有し、600Da超の、好ましくは700Da超の、また好ましくは1000Da超の分子量を有する前駆体が必要である。
【0031】
特定の実施形態において、界面活性剤系マトリクスの中においてシェルの透過性が低く、かつ良好な機械的特性を提供するカプセルを得るために、式(I)の前駆体及びTBOSを含む前駆体混合物も使用することができる。TBOSを式(I)の前駆体と共に使用した場合に、透過性が、式(I)の前駆体のみを使用した場合と比較して低減されることが判明している。この効果は、より高い分子量の前駆体についてより顕著である。
【0032】
理論に束縛されるものではないが、TBOSの使用により、カプセルシェルの多孔性が減少するため、より高密度のシェルネットワークが結果としてもたらされると考えられる。ケイ素原子に結合したアルコキシ鎖のサイズが大きいほど、加水分解反応が遅くなることが、当該技術分野で知られている。したがって、式(I)の前駆体が、TBOSのブトキシよりも短いアルコキシ部分を有する場合、その前駆体が最初に反応し始め、初期シェルを形成すると考えられる。TBOSは、後の段階になって加水分解を開始し、その後、水が依然として見出され得る唯一の場所、すなわちシェルの孔内で反応をすることになる。こうしてシェルの全体的な透過性を大幅に低下させ、カプセルの透過性をより低下させることが確実になる。
【0033】
第2のシェル構成要素は、シェルの透過性を低下させるという主要な役割を有する。第2のシェル構成要素はまた、例えばカプセルの破裂力及び破壊強度などの、カプセルの機械的特性を大幅に改善することができる。理論に束縛されるものではないが、第2のシェル構成要素は、第1のシェル構成要素内に残っている孔内に前駆体を堆積させることによって、全体的なシェルの高密度化に寄与すると考えられる。第2のシェル構成要素はまた、カプセルの表面上に追加的な無機層を追加する。
【0034】
第2のシェル構成要素は、SiO、TiO、Al、ZrO、ZnO、CaCO、CaSiO、Fe、Fe、粘土、金、銀、鉄、ニッケル、及び銅、好ましくはSiOから選択される無機材料を含む。他の実施形態において、好ましい構成要素は炭酸カルシウムである。好ましくは、第2のシェル構成要素の材料は、化学的適合性を最大化するために、第1のシェル構成要素と同じ種類の化学物質である。有機材料から作製された第2のシェル構成要素は、既存の当該技術において既知であるが、本発明の無機第2のシェル構成要素とは異なり、一般に、低透過性のカプセルシェル又は機械的特性が改善されたカプセルを提供しない。
【0035】
本発明に開示されるような、第2のシェル構成要素を使用することによって実現されるカプセルの機械的特性の改善は、独自の第1のシェル構成要素との組み合わせでのみ達成することができる。テトラエトキシシラン(TEOS)及び市販のポリエトキシシラン(例えば、Evonik社製Dynasylan 40)から製造されたカプセルは、無機第2のシェル構成要素と更に組み合わされたとしても、満足のいく機械的特性をもたらさない。界面活性剤系マトリクス中におけるシェルの低い透過性及び機械的堅牢性の両方を提供するのは、本発明に開示される、第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素の独自の組み合わせである。
【0036】
理論に束縛されるものではないが、本発明に開示されるような第2のシェル構成要素は、第1のシェル構成要素のミクロ細孔内に堆積するという独自の特性を有し、しかも最終カプセルの表面の大部分を被覆するため、カプセルの機械的堅牢性が改善すると考えられる。マイクロ細孔が埋められることにより、カプセルが高撹拌によって応力下にあるとき、及びシェルが乾燥されるときに、微小亀裂の形成が減少する。カプセルシェルの微小亀裂の形成に対する通常の解決策は、カプセルシェルネットワーク内における、消滅しやすいスペーサの使用であり得るが、これは有機材料の導入を必要とする。しかも、これらの策は一般に、洗濯洗剤などの界面活性剤系マトリクス中におけるシェルの透過性を、大幅に増加させてしまう。
【0037】
実施形態において、第1のシェル構成要素は、縮合層及びナノ粒子層を含むことができ、その縮合層は、コアとナノ粒子層との間に配置される。実施形態において、第1のシェル構成要素は、金属酸化物及び/又は半金属酸化物を含み得る。実施形態において、第1のシェル構成要素は、金属、鉱物、金属酸化物、及び/又は半金属酸化物のナノ粒子を含み得る。実施形態において、ナノ粒子は、SiO、TiO、Al、ZrO、ZnO、Fe、Fe、CaCO、粘土、銀、金、及び銅のうちの1つ以上であり得る。縮合層及びナノ粒子層の両方が存在する場合、それらは、同じ材料を有していても、あるいは異なる材料を有していてもよい。実施形態において、第1のシェル構成要素は、全て又は実質的に全てSiOである。
【0038】
実施形態において、第1のシェル構成要素は、全て無機である。実施形態において、第1のシェル構成要素は有機材料を、第1のシェル構成要素の重量を基にして最大5重量%まで含み得る。例えば、有機材料は、前駆体及び/又はナノ粒子中に存在してもよく、かつ/又は別個の成分として添加されてもよい。実施形態において、有機材料は、未反応のモノマー又は重合の副生成物由来で存在し得る。実施形態において、ナノ粒子は、有機材料を含有する表面改質を含み得る。実施形態において、有機材料を第1のシェル構成要素に添加することができる。
【0039】
実施形態において、カプセルは、第2のシェル構成要素を更に含むことができ、その第2のシェル構成要素は第1のシェル構成要素を取り囲む。実施形態において、第2のシェル構成要素は、金属酸化物、半金属酸化物、鉱物、及び金属のうちの1つ以上を含む。実施形態において、第2のシェル構成要素は、SiO、TiO、Al、ZrO、ZnO、CaCO、CaSiO、Fe、Fe、粘土、金、銀、鉄、ニッケル、及び銅のうちの1つ以上を含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素は、全て又は実質的に全てSiOである。
【0040】
実施形態において、シェルは、第1のシェル構成要素のみを含む。他の実施形態において、シェルは、第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素の両方を含む。実施形態において、第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素は、全て又は実質的に全てSiOである。シェルは、追加的なシェル構成要素を含み得るということもまた、本明細書において企図される。様々な実施形態において、コアは油性コアであってもよい。他の実施形態において、コアは水性コアであってもよい。
【0041】
本発明のカプセルは、例えばシェル厚さ及びカプセル直径などの、特定の物理的パラメータを含む。カプセルサイズ、シェルの厚さ、及びシェルの低い透過性をもたらす効果的なコア対シェル比に関する独自の制約の組み合わせ及び存在は、本発明にとって不可欠のものである。これらの値のそれぞれは個別に重要であるだけでなく、それらの比(すなわち、コア/シェル比)もまた重要である。例えば、カプセルの全体的なサイズと比較して薄すぎるシェルは、自己一体性の欠如に悩まされ、表面上に堆積及び乾燥されると崩壊する傾向がある。一方、カプセルの直径と比較して極めて厚いシェルは、界面活性剤系マトリクス中において、シェルの透過性を増加させる傾向がある。厚いシェルは、シェルの透過性を低下させると考えられるかもしれないが(このパラメータはシェル全体の拡散経路に影響を及ぼすため)、驚くべきことに、特定の閾値を超える厚さを有するシェルを有するカプセルは、シェルの透過性をより高くすることが判明した。この発見は、シェルの厚さが増加すると、シェルの透過性が低くなると考えられている従来技術で知られている傾向とは対照的である。本発明のカプセルは、従来技術の教示が、シェルの厚さ及びシェルの透過性に関しては常にはあてはまらないということを実証するものである。
【0042】
理論に束縛されるものではないが、カプセルのシェル厚さを増加させるためには、2つの選択肢が存在すると考えられる。第1の選択肢は、前駆体の量が同じである場合、より厚いシェルは、結果として多孔質のシェルをもたらす可能性があり、したがって、その結果として表面活性剤系マトリクス中においてシェルの透過性が低いカプセルが得られると考えられる。第2の選択肢は、乳化工程の前に、コア内の前駆体の量を増加させるというものである。この第2のシナリオでは、反応が進行するにつれて、第1のシェル構成要素の厚さが増加する。しかしながら、ある特定の時点で、反応の進行により、残存する前駆体が水相と接触して加水分解することができないくらいにシェルの密度が高くなってしまい、その結果、シェルの厚さが増加するのを更に制限するようになる。この厚さが、上限閾値である。したがって、厚い第1のシェル構成要素を、外部の水との更なる反応が起こるのを止めるのに十分な密度ではない多孔質シェルとして有するカプセルが得られる。本発明のカプセルは、透過性であることなく、当該上部閾値を超えて第1のシェル構成要素の厚さを増加させることができないことが判明した。しかしながら、カプセル直径が増加するにつれて、厚さの上限閾値は増加する。
【0043】
液体洗剤又は液体布地柔軟剤などの消費財用途において働き、しかも費用対効果が高いコア材料を含有するカプセルの場合、そのカプセルは、i)液体製品の貯蔵寿命中において、コアの拡散に対する耐性を有するべきであり、ii)適用中(例えば、洗濯機のサイクル中)に、標的とされる表面上に堆積する能力を有するべきであり、かつ、iii)コア材料を、正しいタイミング及び場所で機械的にシェルを破裂させることによって放出し、最終消費者に意図された利益を提供する能力を有するべきである。
【0044】
カプセルのサイズは、布地又は毛髪などの標的とされた基材上にカプセルを捕捉及び付着させる効率に、重大な影響を及ぼすことが知られている。布地繊維の網目又は毛髪束をカプセルが通過するときにカプセルを最大限捕捉するためには、ある特定の最小カプセルサイズが必要となる。しかしながら、カプセルが大きすぎると、不快な粒状の感触によって、あるいは単純に肉眼によって容易に気付かれるものとなってしまう。
【0045】
シェルの厚さは、通常、低いシェル透過性を提供することと機械的強度を提供することと間の妥協として選択される。実際、薄いシェルの場合は、例えば香料原材料などの小さい揮発性分子が、カプセルシェルを通じて拡散するのに対するバリア特性を、幾分乏しくさせる可能性がある。他方、厚いシェルは、良好なバリア特性を提供するものの、カプセルに含有できるコア材料の量がより小さくなるという犠牲を払うことになり、より薄いシェルと比較した場合に、一定量のコア材料を送達するためにかかるカプセル化のコストを大幅に増加させてしまう。これは、ゾル-ゲル前駆体によって得られる無機シェルの場合には、加水分解反応中に急激な重量損失を起こすため、とりわけ問題となる。例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)前駆体から直接、又は中間反応物としてポリアルコキシシラン(PAOS)オリゴマーを介して得られるシェルは、加水分解性エトキシ部分の加水分解によって、TEOSの初期重量の72%を失う。これらの固有の重量損失を克服するためには、3倍を超えて前駆体の量を増加させてシェルの目標とする厚さを達成する必要があり、このことの不可避的な結果として、必要な原材料のコストが増加してしまう。
【0046】
本発明のシェル形成のメカニズムは、「煉瓦及びモルタル」として説明することができる。より具体的には、高分子量のポリアルコキシシラン(PAOS)化合物と、任意選択的にナノ粒子とから構成される第1のシェル構成要素が、カプセルのシェルの構造的一体性及び機械的抵抗性を提供する「煉瓦」として機能する。低分子量の化合物から構成される第2のシェル構成要素は、煉瓦どうしの間に介在する空間内に拡散されて、シェルの機械的強度を更に向上させ、シェルの透過性を大幅に低下させるモルタルとして作用する。
【0047】
実施形態において、カプセルのシェルは有利なことに、低い透過性を有し、これは有利なことに、製剤化された製品に組み込まれる際に、カプセル化された有益剤をゆっくりと拡散させることを可能にする。実施形態において、カプセルは、貯蔵安定性が改善され得る。例えば、シェル透過性が低下したり、貯蔵期間にわたって、カプセル化された有益剤がゆっくりと拡散したりといったことが実証される。理論に束縛されるものではないが、本開示の実施形態によるカプセルのシェルは、気孔率が低く、かつ密度が高く、そのため従来の無機カプセルと比較して、カプセルの安定性が高まっていると考えられる。更に、理論に束縛されるものではないが、シェル構造が改善されたことにより、目標とされる破壊強度を達成することが可能になり、それによって使用中に、目標とされる圧力で、最終的に破壊されることが可能になると考えられる。すなわち、密度が高まり構造安定性が向上しているにもかかわらず、カプセルは、使用中に、意図されたように動作して、所望の意図された圧力で破砕され得る。
【0048】
以下に説明される透過率試験方法によって測定される透過性は、カプセルのシェルの多孔性と相関する。実施形態において、カプセル又はカプセルの集団は、上記の透過率試験方法によって測定された透過率として、約0.01%~約80%、約0.01%~約70%、約0.01%~約60%、約0.01%~約50%、約0.01%~約40%、約0.01%~約30%、又は約0.01%~約20%の透過率を有する。例えば、透過率は、約0.01、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80%であり得る。
【0049】
実施形態によれば、カプセル又はカプセルの集団は、少なくとも10μmの体積加重平均カプセル直径、少なくとも170nmの平均シェル厚さ、及び40%以下のカプセル直径の変動係数を有し得る。実施形態において、カプセルは、室温で液体のコアを有する。
【0050】
本明細書に記載される実施形態の多様な事例では、カプセルは、約10nm~約10,000nm、約10nm~約1000nm、約170nm~10,000nm、約170nm~約1000nm、約300nm~約1000nmの平均シェル厚さを有することができる。実施形態において、シェルは、約50nm~約1000nm、約10nm~約200nm、約100nm~約1000nm、約200nm~約1000nm、約300nm~約1000nm、約300nm~約800nm、約300nm~約700nm、約300nm~約500nm、又は約300nm~約400nmの厚さを有することができる。例えば、シェルの厚さは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、又は10,000nmであり得る。
【0051】
本明細書に記載される様々な実施形態において、カプセルは、約0.1μm~約300μm、約0.1μm~約100μm、約10μm~約200μm、約10μm~約100μm、約10μm~約75μm、約50μm~約100μm、又は約10μm~約50μmの体積加重平均カプセル直径を有することができる。他の好適な体積加重平均カプセル直径は、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、又は300μmであり得る。
【0052】
様々な実施形態において、大きな平均直径を有するカプセルの集団を提供することができる。例えば、様々な実施形態において、10μm以上又は12μm以上の平均直径を有するカプセルを提供することができる。様々な実施形態において、カプセルの集団は、そのカプセルの集団の平均直径として、10μmを超える平均直径を有することができる。様々な実施形態において、あるカプセルの集団の60%、70%、80%、90%、及び最大100%のカプセルが、10μmを超える直径を有するカプセルの集団を提供することができる。大きなカプセル直径は、より多くの有益剤を含有するのに有利であり得るため、カプセルを相当の濃度で必要とすることなく、製剤化された製品中の有益剤の濃度を高めることが可能になる。有利なことには、本明細書の実施形態によれば、カプセルの全体としての安定性を犠牲にすることなく、かつ/又は良好な破壊強度を維持しながら、大型のカプセルを提供することができるということが判明している。
【0053】
実施形態において、そのカプセルは、平均シェル厚さの値を平均直径で割って得られる値が、約0.1%超となり得る。実施形態において、そのカプセルは、平均シェル厚さの値を平均直径で割って得られる値が、約0.2%超、約0.5%超又は約1%超となり得る。例えば、そのカプセルは、平均シェル厚さの値を平均直径で割って得られる値が、約0.2%超~約10%、0.2%~約9%、約0.2%~約7.8%、約0.2%~約6%、約0.2%~約5.6%、又は約0.5%~約5.6%となり得る。
【0054】
驚くべきことに、無機シェルに加えて、コア対シェルの体積比も、カプセルの物理的一体性を確実にするために重要な役割を果たすということが判明した。カプセルの全体的なサイズに対して薄すぎるシェル(コア:シェルの比が、98:02を超えるシェル)は、自己一体性の欠如に悩まされ、表面上に堆積及び乾燥されると崩壊する傾向がある。他方で、カプセルの直径に対して極めて厚いシェル(コア:シェルの比が、80:20を下回るシェル)は、界面活性剤の濃度が高いマトリクス中において、シェルの透過性が高まってしまう傾向がある。厚いシェルは、その結果としてシェルの透過性がより低くなると直感的に考えられる(なぜならば、このパラメータはシェルを横切る活性物質の平均的な拡散経路に影響を及ぼすため)一方で、驚くべきことに、閾値を超える厚さを有するシェルを有する本発明のカプセルが、より高いシェル透過性を有することが判明した。この上限閾値は、カプセル直径に依存する。
【0055】
効果的であってかつ発明的なコア:シェルの比が、シェル前駆体のコア材料に対する組成を選択することによって得られる。コア:シェルの比が低すぎると、多くの場合に、大量の第1のシェル材料が、コアをゲル化することとなり、このことは、ブリック及びモルタルメカニズムを破壊することによって、油/水界面におけるシェル材料の移動に悪影響を及ぼす。コア対シェルの比が大きすぎる場合には、薄いシェルによってもたらされる機械的強度は、基材上での乾燥後におけるコア重量を維持するのに十分ではない。
【0056】
実施形態において、カプセルは、約60:40~約99:1、約70:30~約99:1、約80:20~約99:1、60:40~約98:2、約70:30~約98:2、約80:20~約98:2、約70:30~約96:4、約80:20~約96:4、約90:10~約96:4の、平均有効体積コア対シェル比を有し得る。例えば、平均有効体積コア対シェル比は、約60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5、98:2、又は99:1、及びこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0057】
実施形態において、カプセルは、約99:1~約50:50の平均有効体積コア対シェル比と、約0.1~約200μmの体積加重平均カプセル直径と、約10~約10,000nmの平均シェル厚さとを有することができる。実施形態において、カプセルは、約99:1~約50:50の平均有効体積コア対シェル比と、約10~約200μmの体積加重平均カプセル直径と、約170~約10,000nmの平均シェル厚さとを有することができる。実施形態において、カプセルは、約98:2~約70:30の平均有効体積コア対シェル比と、約10μm~約100μmの体積加重平均カプセル直径と、約300μm~約1000nmの平均シェル厚さとを有することができる。
【0058】
実施形態において、カプセルは、約60:40~約99:1、約70:30、約80:20、約70:30~約96:4、約80:20~約96:4、約90:10~約96:4のコア対シェル重量比を有することができる。例えば、コア対シェル重量比は、約60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5、98:2、又は99:1であり得る。
【0059】
実施形態において、本開示の実施形態による方法は、カプセル直径の変動係数が低いカプセルを製造することができる。実施形態において、カプセルの集団は、カプセル直径の変動係数が50%以下、40%以下、30%以下、又は20%以下であり得る。例えば、カプセル直径の変動係数は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50%以下とすることができる。カプセルのサイズの分布を制御することにより、集団の破壊強度を向上させ、しかも集団がより均一な破壊強度を有することを可能にすることができる。加えて、実施形態において、カプセルサイズの効果は、サイズの分布が狭いものであることによって、そのカプセルの集団に対しては限定的なものとなるため、シェル厚さ、コア材料などのパラメータの変動により、より効果的に破壊強度を調整することができる。
【0060】
実施形態において、本明細書におけるカプセルは、少なくとも0.1MPa、若しくは少なくとも0.25MPa、又は約0.1MPa~約10MPa、約0.25MPa~約10MPa、約0.1MPa~約5MPa、約0.25MPa~約5MPa、約0.1MPa~約3MPa、若しくは約0.25MPa~約3MPaの平均破壊強度を有し得る。例えば、平均破壊強度は、約0.1MPa、0.2MPa、0.25MPa、0.3MPa、0.4MPa、0.5MPa、0.6MPa、0.7MPa、0.8MPa、0.9MPa、1MPa、1.1MPa、1.2MPa、1.3MPa、1.4MPa、1.5MPa、1.6MPa、1.7MPa、1.8MPa、1.9MPa、2MPa、3MPa、4MPa、又は5MPaであり得る。本明細書の特定の実施形態に記載のものなどの完全に無機のカプセルは、従来、破壊強度が劣っているが、本明細書では、カプセルの破壊強度は、0.25MPaを超えることができ、安定性が改善されると共に、指定の大きさの破裂応力を受けて、有益剤の放出を誘発させることができる。
【0061】
様々な実施形態において、カプセルは、公称壁張力(すなわち、破裂時のカプセル壁にかかる張力又は壁の伸び)のパラメータにより規定される機械的特性を有することができる。公称壁張力値は、カプセルサイズとは無関係である(Wang et al.,「Modelling the mechanical properties of single suspension-cultured tomato cells」,Annals of Botany,vol.93,no.4,pp.443-453,2004)。そのような固有の特性により、公称壁張力を使用して、異なる平均サイズを有するカプセルの機械的特性を比較することができる。公称壁張力Tは、「Liu,M.(2010).Understanding the mechanical strength of microcapsules and their adhesion on fabric surfaces.Birmingham,United Kingdom:University of Birmingham(Doctoral thesis)」に記載の方法を使用して計算される。
【0062】
実施形態によれば、カプセルは、少なくとも0.1N/m、若しくは少なくとも0.25N/m、又は約0.1N/m~約20N/m、約0.25N/m~約20N/m、約0.5N/m~約20N/m、約0.5N/m~約15N/m、若しくは約1N/m~約15N/mの平均公称壁張力を有することができる。例えば、平均公称壁張力は、約0.1N/m、0.2N/m、0.3N/m、0.4N/m、0.5N/m、0.6N/m、0.7N/m、0.8N/m、0.9N/m、1N/m、1.1N/m、1.2N/m、1.3N/m、1.4N/m、1.5N/m、1.6N/m、1.7N/m、1.8N/m、1.9N/m、2N/m、3N/m、4N/m、5N/m、6N/m、7N/m、8N/m、9N/m、10N/m、11N/m、12N/m、13N/m、14N/m、又は15N/mであり得る。
【0063】
実施形態によれば、カプセルは、ピッカリング乳化剤を用いることによって製造することができる。
【0064】
本発明のカプセルは、コアを取り囲むシェルを含み、そのシェルは、第1のシェル構成要素と、任意選択的に第2のシェル構成要素とを含む。いくつかの実施形態において、第1のシェル構成要素は、ナノ粒子を含むが、好ましくはそのナノ粒子は、式(I)の前駆体の加水分解及び縮合反応によって形成される第1のシェル構成要素と同じ化学的種類のものである。
【0065】
式(I)の前駆体の良好な界面活性により、ナノ粒子を使用せずに本発明のカプセルを製造することが可能である。他方で、ナノ粒子の使用は、下記に詳述する理由から、シェル形成メカニズムに影響を与えて、式(I)の縮合前駆体の層をよりコンパクトにする。
【0066】
実施形態において、カプセルを含有する油性コアを作製する方法は、ピッカリング乳化剤として親水性ナノ粒子を使用することを含み得る。文献(Langmuir 2013,29,49,15457-15462)によれば、エマルション界面に強く付着しないナノ粒子(この場合、親水性ナノ粒子)の使用は、細かく調整された乳化プロセスを提供することができ、そのプロセスでは界面からナノ粒子を除去するために必要な分離エネルギーは最小限である。理論に束縛されるものではないが、上記のナノ粒子の使用は、より厚い縮合層の形成を可能にし、ナノ粒子は、油と水との界面から水と加水分解された前駆体との界面(図1A)へと移動し、前駆体が加水分解を開始し、疎水性が低下するにつれて、より水と加水分解された前駆体の界面がより熱力学的に良好となると考えられる。親水性ナノ粒子は、新たに形成された水と親水性前駆体との界面上に優先的に付着する。次いで、加水分解前駆体が縮合し、固体の第1のシェル構成要素が形成される。
【0067】
実施形態において、油性コアを有するカプセルは、油相を水相と混合し、水相中に油相の液滴を分散させるのに十分な条件下で混合物を乳化することによって製造することができる。油相は、油性コア変性剤及び/又は油溶性有益剤並びに前駆体を含み得る。水相は、水及びナノ粒子を含み得る。実施形態において、水相は、酸を更に含み得る。乳化すると、水相からのナノ粒子は、油滴の周りに自ら集合し、連続水相と分散油相との界面に介在して、エマルションを安定化させ、ナノ粒子層を画定する。更に、油滴中に存在する前駆体は、連続水相と分散油相との間の界面で加水分解及び縮合を、ナノ粒子層と油滴との間で起こす。次いで、この方法は、加水分解及び縮合した前駆体を更に固化させて縮合層を形成する条件下で、エマルションを硬化させることを更に含む。それによって、ナノ粒子層及び縮合層は、シェルの第1のシェル構成要素を形成する。理論に束縛されるものではないが、共有結合が、縮合した前駆体とナノ粒子との間に形成されると考えられる。
【0068】
実施形態において、水性コアを有するカプセルは、水相を油相と混合し、油相中に水相の液滴を分散させるのに十分な条件下で混合物を乳化することによって製造することができる。水相は、水性の、かつ/又は水に可溶性の有益剤を含み得る。油相は、前駆体を含み得る。水相及び油相の一方又は両方は、ナノ粒子を含み得る。乳化すると、ナノ粒子は、水性液滴の周りに自ら集合し、分散した水相と連続油相との間の界面に介在して、ナノ粒子層を画定する。更に、連続油相中に存在する前駆体は、連続油相と分散水相との間の界面で、加水分解及び縮合を起こす。次いで、この方法は、加水分解及び縮合した前駆体を固化させて縮合層を形成する条件下で、エマルションを硬化させることを更に含む。それによって、ナノ粒子層及び縮合層は、シェルの第1のシェル構成要素を形成する。理論に束縛されるものではないが、共有結合が、縮合した前駆体とナノ粒子との間に形成されると考えられる。
【0069】
実施形態において、方法は、水性コア又は油性コアを含むかにかかわらず、第2のシェル構成要素を、カプセルの第1のシェル構成要素の上にかつ緊密に接続させて形成するのに十分な条件の下で、カプセルを第2のシェル構成要素前駆体を有する溶液と混合することによって、第1のシェル構成要素を取り囲む第2のシェル構成要素を形成することを更に含み得る。第2のシェル構成要素前駆体を有する溶液は、水溶性又は油溶性前駆体を含み得る。上記のように、第2のシェル構成要素は無機であってもよい。
【0070】
実施形態において、本方法は、第2のシェル構成要素を形成するプロセスの後に、任意の好適な方法を使用してカプセルを洗浄及び乾燥することを更に含み得る。例えば、遠心分離を洗浄工程で使用することができる。乾燥方法は、当該技術分野において既知である。乾燥の一例は、噴霧乾燥であり得る。
【0071】
実施形態において、カプセルを含有する油性コアを作製する方法は、ピッカリング乳化剤として親水性ナノ粒子を使用することを含み得る。理論に束縛されるものではないが、親水性ナノ粒子の使用は、細かく調整された乳化プロセスを提供することができるが、そのプロセスにおいて、ナノ粒子はエマルション界面に強く付着しないため、界面からナノ粒子を除去するための分離エネルギーは低いと考えられる。理論に束縛されるものではないが、上記のナノ粒子の使用は、より厚い縮合層の形成を可能にし、ナノ粒子は、油と水との界面から水と前駆体との界面(図1A)へと移動し、前駆体が加水分解を開始し、疎水性が低下するにつれて、第2の界面がより熱力学的に良好となると考えられる。親水性ナノ粒子は、新たに形成された水と親水性前駆体との界面上に優先的に付着する。次いで、加水分解前駆体が縮合し、固体の第1のシェル構成要素が形成される。
【0072】
実施形態において、本明細書の方法の結果得られるのは、カプセルを含有するスラリーである。実施形態において、スラリーは、例えば消費者向け製品などの製品に製剤化することができる。製剤化された製品は、スラリーに加えて、1つ以上の加工助剤を含み得る。実施形態において、加工助剤は、水と、二価塩などの凝集阻害物質と、粒子懸濁ポリマーとのうちの1つ以上を含み得る。実施形態において、凝集阻害物質としては、カプセルの周囲に電荷遮蔽効果を有することができる塩が挙げられ、具体的には例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化マグネシウム、及び硫酸マグネシウムが挙げられる。実施形態において、製剤化製品は、キサンタンガム、カラギーナンガム、グアーガム、シェラック、アルギン酸塩、及びキトサン;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカチオン性セルロース系材料などのセルロース系材料;ポリアクリル酸;ポリビニルアルコール;硬化ヒマシ油;並びにエチレングリコールジステアレートの1つ以上を更に含み得る。実施形態において、製剤化製品は、1つ以上の担体を含み得る。実施形態において、担体は、1つ以上の極性溶媒及び非極性溶媒であり得る。極性溶媒の例としては、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセロールが挙げられるがこれらに限定されない。非極性溶媒の例としては、鉱油、香料原材料、シリコーン油、及び炭化水素パラフィン油が挙げられるがこれらに限定されない。実施形態において、製剤化製品は、シリカ、クエン酸、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び結合剤、例えば、ケイ酸ナトリウム、変性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、及びゼオライトのうちの1つ以上を含み得る。
【0073】
本発明のカプセルは、ポリアルコキシシラン(PAOS)、又は非加水分解性部分を有するポリアルコキシシランから形成することができる。後者のPAOSは、シェル内に残留有機部分を有するカプセルをもたらす。シェル内に残留有機部分を有するカプセルは、残留有機部分を有さないカプセルと比較して、著しく高いシェルの透過性を呈することが判明している。第2のシェル構成要素形成ステップを追加することにより、カプセルのシェルの透過性が低下する。そのため、シェルの透過性を過度に増加させることなく、ある特定の量の有機部分を、第1のシェル構成要素内に導入することが可能になる。PAOSの主な目的は、シェルの透過性を低くする一方で、圧潰せず良好な機械的特性を有するカプセルを製造することである。更に、以下に示すように、比較試験により、オルガノシランではなくPAOSを使用してカプセルが製造される場合に、シェルの透過性が低下することを示す。
【0074】
いくつかの実施形態において、カプセルは、式(I)の前駆体の縮合生成物を含む、第1のシェル構成要素のみを含む。これらのカプセルは、第1のシェル構成要素と第2のシェル構成要素とを含む本発明と同じ又は類似の利益、すなわち、界面活性剤系マトリクス中のシェルの透過性が低いことと、表面上で乾燥させたときにカプセルの一体性を保持する能力とを有することと、を提供することができる。しかしながら、本発明の好ましい実施形態である、第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素の両方が含まれる場合、シェルの透過性は大幅に低下する。
【0075】
特定の実施形態において、カプセルは、式(II)の前駆体(すなわちオルガノシラン)の縮合生成物、又は式(I)又は式(II)と、1つ、2つ、又は3つの炭素ケイ素結合を有するモノマーとの混合物を含む、第1のシェル構成要素を含む。
【0076】
加えて、カプセルが、式(II)の前駆体(すなわちオルガノシラン)の縮合生成物、又は式(I)又は式(II)と、1つ、2つ、又は3つの炭素ケイ素結合を有するモノマーとの混合物を含む、第1のシェル構成要素と、第2のシェル構成要素との両方を含む場合には、第2のシェル構成要素を欠く同じカプセルと比較して、界面活性剤系マトリクス中におけるシェルの透過性が大幅に低下する。
【0077】
したがって、カプセルが第1のシェル構成要素と第2のシェル構成要素とを含み、第1のシェル構成要素が、式(I)の前駆体の縮合生成物を含む場合、そのようなカプセルは好ましい実施形態であるが、第1のシェル構成要素は、得られるカプセル中、界面活性剤系マトリクス中において、透過性抵抗を完全に喪失することなしに、式(II)の前駆体の縮合生成物又は式(I)の前駆体又は(II)の前駆体と、1つ、2つ、又は3つのケイ素炭素結合を有するモノマーとの混合物の縮合生成物の分画に耐えることができるということが判明している。
【0078】
式(II)の前駆体の縮合生成物の分画は、第1のシェル組成物全体で、有機成分含有量算出に関するセクションにおいて定義される、10重量%未満、好ましくは9重量%未満、好ましくは8重量%未満、好ましくは7重量%未満、好ましくは6重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満の有機成分を含む結果をもたらすものとして定義される。
【0079】
理論に束縛されるものではないが、有機化合物はシェル内でスペーサとして作用することができ、したがって、第1のシェル構成要素の架橋密度を低減させることができると考えられるが、この架橋密度とは、その量が多すぎると、実質的な多孔性を提供する可能性があると考えられる。したがって、十分に低いレベルの有機化合物を有する第1のシェル構成要素は、表面上での乾燥時に自己一体性に向けて十分な能力を依然として含みながらも、界面活性剤系マトリクス中においては、より高いシェルの透過性をもたらすことができる。
【0080】
先に定義したように、第1のシェル構成要素は、機械的抵抗を提供するためにカプセルのスカフォールド又は骨格として使用することができる一方で、特定の実施形態においては、依然として界面活性剤系マトリクス中において、低下したシェルの浸透性を提供するものの、第2のシェル構成要素を含むことにより、界面活性剤系マトリクス中におけるシェルの透過性が大幅に低下する。実施形態において、前駆体は、少なくとも1つの式(I)の化合物及び/又は少なくとも1つの式(II)の化合物を、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)、トリエトキシメチルシラン(TEMS)、ジエトキシ-ジメチルシラン(DEDMS)、トリメチルエトキシシラン(TMES)、及びテトラアセトキシシラン(TAcS)のうちの1つ以上と組み合わせて含む。
【0081】
実施形態において、分散相及び連続相を乳化することは、高剪断均質化プロセス、微小溶液操作プロセス、及び超音波処理プロセスのうちの1つ以上を含み得る。実施形態において、分散相及び連続相の乳化は、高剪断均質化プロセスを含み得る。実施形態において、高剪断均質化プロセスは、例えばUltra-Turraxミキサー又はボルテックスミキサーなど、1つ以上のミキサーを含み得る。実施形態において、ミキサーは、100rpm~20,000rpm、500rpm~15,000rpm、1000rpm~10,000rpm、又は2000rpm~10,000rpmの速度を有し得る。例えば、ミキサーは、1000rpm、1500rpm、2000rpm、2500rpm、3000rpm、3500rpm、4000rpm、4500rpm、5000rpm、6000rpm、7000rpm、8000rpm、9000rpm、又は10,000rpmの速度を指定することができる。
【0082】
実施形態において、分散相及び連続相は、約1分間~約2時間、又は約1分間~約30分間、又は約1分間~約10分間乳化され得る。例えば、乳化は、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、又は10分であり得る。
【0083】
実施形態において、エマルションは、界面活性剤を実質的に含まないように形成することができる。実施形態において、界面活性剤を「実質的に含まない」エマルションは、界面活性剤を0.001重量%以下の量で含む。
【0084】
実施形態において、シェルを固化させるために、硬化プロセスを用いることができる。実施形態において、硬化プロセスは、前駆体の縮合を誘導することができる。実施形態において、硬化プロセスは、室温又は室温よりも高い温度で行うことができる。実施形態において、硬化プロセスは、30℃を超える温度で行うことができる。例えば、硬化プロセスは、30℃~150℃、40℃~120℃、50℃~100℃、60℃~100℃、70℃~100℃、又は30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、75℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、若しくは150℃で行うことができる。
【0085】
実施形態において、硬化プロセスは、任意の好適な期間にわたって行われて、カプセルのシェルが前駆体材料の縮合を介して強化されることを可能にする。実施形態において、硬化プロセスは、1分間~45日間、1分間~10日間、1分間~5日間、又は1分間~24時間の時間をかけて実施することができる。例えば、硬化プロセスは、1分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、15日間、20日間、21日間、25日間、30日間、35日間、40日間、又は45日間かけて実施することができる。本明細書に記載される方法においては、より長い硬化時間もまた企図され得る。
【0086】
第1のシェル構成要素
実施形態において、第1のシェル構成要素は、縮合層を含み得る。縮合層は、1つ以上の前駆体の縮合生成物であり得る。上記の1つ以上の前駆体は、式(I)のものでありうる:
(M(式I)、
(式中、Mはケイ素、チタン及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、vはMの原子価数であって、3又は4であり、zは、0.5~1.6、好ましくは0.5~1.5であり、各Yは、独立して、-OH、-OR
【0087】
【化7】
、-NH、-NHR、-N(R )2
【0088】
【化8】
から選択され、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、Rは、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、nは0.7~(v-1)であり、wは2~2000である。)
【0089】
実施形態において、1つ以上の前駆体は、式(I)のものであってよく、式中、Mはケイ素である。実施形態において、Yは、-ORである。実施形態において、nは1~3である。実施形態において、Yは、-ORであり、nは1~3である。実施形態において、nは少なくとも2であり、Yのうちの1つ以上は、-ORであり、Yのうちの1つ以上は、-OHである。実施形態において、Yのうちの1つ以上は、
【0090】
【化9】
である。
【0091】
実施形態において、Rは、C~C20アルキルである。実施形態において、Rは、C~C22アリールである)。実施形態において、Rは、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、及びCアルキルのうちの1つ以上である。実施形態において、Rは、Cアルキルである。実施形態において、Rは、Cアルキルである。実施形態において、Rは、Cアルキルである。実施形態において、Rは、Cアルキルである。
【0092】
実施形態において、zは、0.5~1.3、0.5~1.1、0.5~0.9、0.7~1.5、0.9~1.3、又は0.7~1.3である。
【0093】
実施形態において、Mはケイ素であり、vは4であり、各Yは、-ORであり、nは2及び/又は3であり、各RはCアルキルである。
【0094】
実施形態において、前駆体は、ポリアルコキシシラン(PAOS)を含み得る。いくつかの実施形態において、前駆体は、加水分解プロセスによって合成されたポリアルコキシシラン(PAOS)を含み得る。
【0095】
実施形態において、前駆体は、代替的に又は更に、式(II)の化合物の1つ以上を含み得る:
(M (式II)、
(式中、Mはケイ素、チタン及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、vはMの原子価数であって、3又は4であり、zは、0.5~1.6、好ましくは0.5~1.5であり、各Yは、独立して、-OH、-OR
【0096】
【化10】
-NH、-NHR、-N(R
【0097】
【化11】
から選択され、式中、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールから選択され、Rは、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、nは0~(v-1)であり、各Rは、独立して、C~C30アルキル、C~C30アルキレン、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールのうちの1つ以上で置換されたC~C30アルキル、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールのうちの1つ以上で置換されたC~C30アルキレンから選択され、pは最大pmaxの量で存在し、wは2~2000であり、上記pmax=60/[9Mw(R)+8]であり、式中、Mw(R)は、R基の分子量である。)
【0098】
実施形態において、Rは、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1~4個の基で置換されたC~C30アルキルである。実施形態において、Rは、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、COアルキル、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1~4個の基で置換されたC~C30アルキレンである。
【0099】
実施形態において、前駆体は、少なくともポリアルコキシシラン(PAOS)を含み得る。実施形態において、前駆体は、テトラエトキシシラン(TEOS)及びテトラブトキシシラン(TBOS)のうちの一方又は両方を更に含み得る。実施形態において、前駆体は、非加水分解プロセスを介して合成されたポリアルコキシシラン(PAOS)を含み得る。実施形態において、前駆体は、式(I)の化合物及び式(II)の化合物のうちの1つ以上を単独で、又はテトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)、トリエトキシメチルシラン(TEMS)、ジエトキシ-ジメチルシラン(DEDMS)、トリメチルエトキシシラン(TMES)、及びテトラアセトキシシラン(TAcS)のうちの1つ以上と組み合わせて含み得る。実施形態において、前駆体はまた、式(I)及び式(II)の化合物のうちの1つ以上を単独で、又はタイプSi(YR)4-n(式中、YRは加水分解性基であり、Rは非加水分解性基である)の1つ以上と組み合わせて含むこともできる。このようなモノマーの例は、本段落において先に記載されているが、これらは、使用することができるモノマーの範囲を限定することを意味するものではない。
【0100】
実施形態において、式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物は、約100Da~約300,000Daのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を有し得る。実施形態において、分子量(Mw)は、約100Da~約100,000Da、約100Da~約90,000Da、約100Da~約80,000Da、約100Da~約70,000Da、約100Da~約60,000Da、約200Da~約60,000Da、約300Da~約60,000Da、約400Da~約60,000Da、約500Da~約60,000Da、約600Da~約60,000Da、約700Da~約60,000Da、約700Da~約30,000Da、約800Da~約30,000Da、約900Da~約30,000Da、約1000Da~約30,000Da、又は約1500Da~約30,000Daであり得る。
【0101】
実施形態において、式(I)及び/又は式(II)の化合物は、約1~約50の分子量の多分散指数を有し得る。実施形態において、分子量の多分散指数は、約1~約45、又は約1~約40、又は約1~約30、又は約1~約25、又は約1~約20、又は約1~約15、約1~約10、約1~約9、約1~約8、約1~約7、約1~約6、約1~約5、約1~約4、約1.4~約5、又は約1.5~約3.5であり得る。例えば、分子量の多分散指数は、約1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、又は5.0であり得る。
【0102】
実施形態において、式(I)及び/又は式(II)の化合物は、0~約0.6、約0.05~約0.5、約0.01~約0.1、約0.03~約0.13、約0.1~約0.45、又は約0.2~約0.3の分岐度を有し得る。他の好適な値としては、約0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、及び0.6が挙げられる。
【0103】
実施形態において、第1のシェル構成要素は、ナノ粒子層を更に含み得る。ナノ粒子層のナノ粒子は、SiO、TiO、Al、ZrO、ZnO、CaCO、粘土、銀、金、及び銅のうちの1つ以上であり得る。実施形態において、ナノ粒子層は、SiOナノ粒子を含み得る。
【0104】
ナノ粒子は、約1nm~約500nm、約1nm~300nm、約1nm~200nm、約5nm~約100nm、約10nm~約100nm、及び約30nm~約100nmの平均直径を有し得る。例えば、実施形態において、ナノ粒子は、約1nm、5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nmの平均直径を有し得る。
【0105】
実施形態において、エマルションは、液滴を取り囲み、合体を防止するナノ粒子層によって提供される立体障害によって、有利なことに安定化され得る。更に、合体しないエマルションを形成するために、ナノ粒子と不混和相との間の三相接触角は、90°に近いべきである。これは、油と水との界面におけるナノ粒子のためのより大きな吸着エネルギーに起因し、結果としてより大きなエネルギー入力(以下の式で定義されるΔG)が、脱離のために必要とされる:
ΔG=πrγow(1-cosθ)
(式中、ΔGは、自由エネルギーであり、rは、ナノ粒子の半径であり、γowは、油相と水相との間の界面張力であり、θは、三相接触角である。界面における球状ナノ粒子の自由エネルギーの変化は、油と水との界面張力及びナノ粒子の半径に直接依存する。したがって、ΔGは、rの関数として増加し、それゆえ、理論に束縛されるものではないが、通常はより大きいナノ粒子は、エマルションをより効率的に安定化させることができ、ナノ粒子どうしの間の孔のサイズに影響を及ぼし得る。
【0106】
実施形態において、細孔のサイズは、ナノ粒子の形状を変化させることによって、かつ/又は異なるサイズのナノ粒子を組み合わせて使用することによって調整することができる。実施形態において、非球状で不規則なナノ粒子は、ナノ粒子層を形成する際に詰め込みが改善され得るので使用することができ、それによって、より高密度のシェル構造をもたらすと考えられる。このこと、透過性を限定する必要がある場合には、有利なことであり得る。他の実施形態において、使用されるナノ粒子は、球状など、より規則的な形状を有することができる。任意の想到されるナノ粒子形状を本明細書においては使用することができる。
【0107】
実施形態において、ナノ粒子は、疎水性修飾を実質的に含まなくてもよい。実施形態において、ナノ粒子は、有機化合物の修飾を実質的に含まなくてもよい。他の実施形態において、ナノ粒子は、有機化合物の修飾を含み得る。実施形態において、ナノ粒子は親水性であり得る。
【0108】
実施形態において、ナノ粒子は、表面改質を含み得るが、その例としては、直鎖又は分枝鎖C~C20アルキル基、表面アミノ基、表面メタクリル基、表面ハロゲン、又は表面チオールなどが挙げられるが、それらに限定されない。これらの表面改質により、ナノ粒子表面が、自らの上に有機分子を共有結合させることができるようになる。無機ナノ粒子が使用されることが本明細書に開示される場合、これは、明示的に挙げられてはないものの、前述の表面改質のうちの任意のものを含むことを意味する。
【0109】
第2のシェル構成要素
実施形態において、カプセルは、第2のシェル構成要素を含み得る。第2のシェル構成要素は、第1のシェル構成要素を取り囲む。第2のシェル構成要素は、無機化合物を含む。実施形態において、第2のシェル構成要素は、カプセルに更なる安定性を提供し、カプセルの透過性を低下させることができる。理論に束縛されるものではないが、第2のシェル構成要素は、カプセルの性能の改善、例えば、シェルの透過性を低下させ、貯蔵中の有益剤の拡散を低減することに更に寄与し得ると考えられる。
【0110】
実施形態において、第2のシェル構成要素は、金属酸化物、半金属酸化物、鉱物、及び金属のうちの1つ以上を含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素は、SiO、TiO、Al、ZrO、ZnO、CaCO、CaSiO、Fe、Fe、粘土、金、鉄、銀、ニッケル、及び銅のうちの1つ以上を含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素はシリカであってもよい。実施形態において、第2のシェル構成要素は、無機化ケイ酸ナトリウムから形成されるシリカであり得る。
【0111】
実施形態において、第2のシェル構成要素は、無機化ケイ酸ナトリウムから形成されるシリカを含み得る。実施形態において、シリカを含む第2のシェル構成要素の形成は、第1のシェル構成要素の細孔内にシリカを堆積させることにより、より高密度のカプセルシェルを作り出すことができる。図10Bは、第2のシェル構成要素を有するシェルの実施形態を示す。
【0112】
本方法の実施形態において、第2のシェル構成要素は、第1のシェル構成要素を有するカプセルを第2のシェル構成要素前駆体の溶液と混合することによって形成することができる。第2のシェル構成要素前駆体の溶液は、水溶性又は油溶性の第2のシェル構成要素前駆体を含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体は、上記で定義した式(I)の化合物、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)、トリエトキシメチルシラン(TEMS)、ジエトキシ-ジメチルシラン(DEDMS)、トリメチルエトキシシラン(TMES)、及びテトラアセトキシシラン(TAcS)のうちの1つ以上であり得る。実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体はまた、Si(YR)4-n(式中、YRは加水分解性基であり、Rは非加水分解性基である。このようなモノマーの例は、本段落において先に記載されているが、これらは、使用することができるモノマーの範囲を限定することを意味するものではない。実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体は、ケイ酸塩、チタン酸塩、アルミン酸塩、ジルコン酸塩、及び/又は亜鉛酸塩を含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体は、炭酸塩及びカルシウム塩を含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体は、鉄、銀、銅、ニッケル、及び/又は金の塩を含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体は、亜鉛、ジルコニウム、ケイ素、チタン、及び/又はアルミニウムのアルコキシドを含み得る。実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体は、例えばケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩溶液、ケイ素テトラアルコキシド溶液、硫酸鉄塩及び硝酸鉄塩、チタンアルコキシド溶液、アルミニウムトリアルコキシド溶液、ジンクジアルコキシド溶液、ジルコニウムアルコキシド溶液、カルシウム塩溶液、炭酸塩溶液のうちの1つ以上を含み得る。特定の実施形態において、CaCOを含む第2のシェル構成要素は、カルシウム塩と炭酸塩とを組み合わせて使用することから得ることができる。他の実施形態において、CaCOを含む第2のシェル構成要素は、炭酸塩を添加せずにカルシウム塩から得ることができるが、それにはCOから炭酸イオンをその場で生成する必要がある。
【0113】
第2のシェル構成要素前駆体は、前述の化合物の任意のものの、任意の好適な組み合わせを含み得る。
【0114】
実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体の溶液を、カプセルに滴加することができる。実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体及びカプセルの溶液は、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、又は約1時間~約5時間にわたって一緒に混合することができる。例えば、第2のシェル構成要素前駆体及びカプセルの溶液は、約1時間、2時間、3時間、4時間、又は5時間にわたって一緒に混合することができる。実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体及びカプセルの溶液は、室温又は高温下で、例えば30℃~60℃、40℃~70℃、40℃~100℃の温度下で一緒に混合することができる。例えば、第2のシェル構成要素前駆体及びカプセルの溶液は、室温、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、90℃、又は100℃の温度下で一緒に混合することができる。
【0115】
実施形態において、第2のシェル構成要素前駆体の溶液は、第2のシェル構成要素前駆体の溶液の総重量に基づいて、第2のシェル構成要素前駆体の約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、又は約1重量%~約30重量%、又は約1重量%~約20重量%、又は約5重量%~約20重量%の量で含み得る。例えば、第2のシェル構成要素前駆体の溶液は、第2のシェル構成要素前駆体の溶液の総重量に基づいて、第2のシェル構成要素前駆体の約1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、又は50重量%の量で含み得る。
【0116】
実施形態において、カプセルは、酸の存在下で、第2のシェル構成要素前駆体の溶液と混合することができる。実施形態において、上記の酸は、フッ酸(HF)及び酢酸などの弱酸であり得る。実施形態において、上記の酸は強酸であり得る。実施形態において、強酸は、HCl、HNO、HSO、HBr、HI、HClO、及びHClOのうちの1つ以上を含み得る。実施形態において、酸はHClを含み得る。実施形態において、連続溶液中の酸の濃度は、約0.01M~約5M、約0.1M~約5M、約0.1M~約2M、又は約0.1M~約1Mであり得る。例えば、第2のシェル構成要素前駆体の溶液中の酸の濃度は、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、1M、1.5M、2M、3M、4M、又は5Mであり得る。
【0117】
実施形態において、カプセルは、塩基の存在下で、第2のシェル構成要素前駆体の溶液と混合され得る。実施形態において、上記の塩基は、無機塩基、水酸化ナトリウムなどの水酸化物、及びアンモニアのうちの1つ以上であり得る。例えば、実施形態において、塩基は、約10-5M~0.01MのNaOH、又は約10-5M~約1Mのアンモニアであり得る。
【0118】
実施形態において、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、プロセス中のpHの変更を含み得る。例えば、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、酸性又は中性のpHで開始することができ、後で、プロセス中に塩基を添加して、pHを上昇させることができる。あるいは、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、塩基性又は中性のpHで開始することができ、後で、プロセス中に酸を添加して、pHを低下させることができる。また更に、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、酸性又は中性のpHで開始することができ、プロセス中に酸を添加して、pHを更に低下させることができる。なおまた更に、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、塩基性又は中性のpHで開始することができ、プロセス中に塩基を添加して、pHを更に上昇させることができる。任意の好適なpH移動を使用してもよい。更に、酸及び塩基の任意の好適な組み合わせを、第2のシェル構成要素前駆体の溶液中に、任意の時点で使用して、所望のpHを達成することができる。実施形態において、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、最大で±0.5pH単位の偏差で、プロセス中に安定したpHを維持することを含み得る。例えば、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、塩基性、酸性、又は中性のpHで維持され得る。あるいは、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、酸又は塩基を使用してpHを制御することによって、特定のpH範囲に維持され得る。任意の好適なpH範囲を使用してよい。更に、酸と塩基との任意の好適な組み合わせを、第2のシェル構成要素前駆体の溶液中に、任意の時点で使用して、望ましい範囲に安定なpHを保つことができる。
【0119】
コア
実施形態において、コアが油性又は水性のいずれであっても、そのコアは、1つ以上の有益剤と、例えば賦形剤、担体、希釈剤、及び他の薬剤などの追加の成分とを含み得る。実施形態において、コアは液体コアであり得る。実施形態において、コアはゲルコアであり得る。実施形態において、コアは水性であってよく、水性又は水溶性の有益剤を含み得る。実施形態において、コアは油性であってもよく、油性又は油溶性の有益剤を含み得る。実施形態において、コアは、15℃以下の融点を有する。実施形態において、コアは、製剤化された製品中で使用される温度において液体である。実施形態において、コアは、室温で及び室温付近の温度で液体である。
【0120】
油性コア
油性コアは、連続水相中の分散油相の乳化に由来する、コアとシェルとのカプセルのコア内に存在する油相として定義されるが、前述の油相及び水相は、実質的に非混和性である。
【0121】
実施形態において、油性コアは、コアの総重量に基づいて約1重量%~100重量%の有益剤を含み得る。実施形態において、コアは、コアの総重量に基づいて約25重量%~100重量%の有益剤を、又はコアの総重量に基づいて約50重量%~100重量%の有益剤を含み得る。例えば、コアは、コアの総重量に基づいて、約55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、及び100重量%の有益剤を含み得る。実施形態において、コアは、コアの総重量に基づいて約80重量%~100重量%の有益剤を含み得る。例えば、有益剤は、コアの総重量に基づいて、コアの90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、96重量%、97重量%、98重量%、又は99重量%であり得る。
【0122】
実施形態において、油溶性及び/又は油性の有益剤は、色原体及び染料、香料組成物、香料原材料、潤滑油、シリコーンオイル、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、エッセンシャルオイル、脂質、皮膚冷却剤、ビタミン、日焼け止め剤、酸化防止剤、触媒、悪臭軽減剤、臭気制御材料、柔軟剤、昆虫及び蛾駆除剤、着色剤、顔料、医薬、医薬油、接着剤、増粘剤、ドレープ及びフォーム調整剤、平滑剤、しわ抑制剤、衛生化剤、消毒剤、細菌抑制剤、カビ抑制剤、白カビ抑制剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、耐汚染剤、汚れ放出剤、布地リフレッシュ剤及び洗いたて感維持剤、塩素漂白臭気抑制剤、染料固定剤、色保持剤、色復元/再生剤、抗退色剤、抗磨耗剤、耐磨耗剤、布地一体化剤、摩耗防止剤、けば立ち防止剤、抑泡剤、消泡剤、紫外線保護剤、日褪せ阻害剤、抗アレルギー剤、布地快適剤、耐収縮剤、耐伸剤、伸縮回復剤、スキンケア剤、天然活性物質、染料、相変化材料、肥料、栄養剤、及び除草剤のうちの1つ以上を含み得る。
【0123】
実施形態において、油性コアは芳香油を含み得る。
【0124】
実施形態において、油性及び/又は油溶性の有益剤は、香料又は香料組成物を含み得る。実施形態において、香料組成物は、香料原材料、精油、悪臭低減剤、及び臭気制御剤のうちの1つ以上を含み得る。
【0125】
様々な実施形態において、香料組成物は、1つ以上の香料原材料を含み得る。実施形態において、香料組成物は、香料組成物の総重量に基づいて、(1)約2.5%~約30%、又は約5%~約30%の香料原材料であって、3.0未満のlogPと、250℃未満の沸点とを特徴とする香料原材料、(2)約5%~約30%、又は約7%~約25%の香料原材料であって、3.0以下のlogP及び250℃以上の沸点を特徴とする香料原材料、(3)約35%~約60%、又は約40%~約55%の香料原材料であって、3.0超のlogP及び250℃未満の沸点を有することを特徴とする香料原材料、及び(4)約10%~約45%、又は約12%~約40%の香料原材料であって、3.0超のlogP及び250℃超の沸点を有することを特徴とする香料原材料を含み得る。
【0126】
実施形態において、有益剤は、1以上の平均logPを有し得る。
【0127】
水性コア
水性コアは、連続油相中の分散水相の乳化に由来する、コアとシェルとのカプセルのコア内に存在する水相として定義されるが、前述の油相及び水相は、実質的に非混和性である。
【0128】
実施形態において、水性コアは、コアの総重量に基づいて、約1重量%~99重量%の有益剤を含み得る。実施形態において、コアは、コアの総重量に基づいて約1重量%~75重量%の有益剤を、又はコアの総重量に基づいて約1重量%~50重量%の有益剤を含み得る。例えば、コアは、コアの総重量に基づいて、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、及び50重量%の有益剤を含み得る。実施形態において、コアは、コアの総重量に基づいて、約1重量%~20重量%、30重量%~50重量%、又は20重量%~40重量%の有益剤を含み得る。
【0129】
実施形態において、水性及び/又は水溶性の有益剤は、香料組成物、香料原材料、香料、皮膚冷感剤、ビタミン、日焼け止め剤、酸化防止剤、グリセリン、漂白剤封入剤、キレート剤、帯電防止剤、昆虫及び蛾忌避剤、着色剤、酸化防止剤、消毒剤、殺菌剤、細菌抑制剤、カビ抑制剤、白カビ制御剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、防汚剤、汚れ放出剤、塩素漂白臭気制御剤、染料定着剤、移染防止剤、色維持剤、蛍光増白剤、色回復/再生剤、色褪せ防止剤、白色度向上剤、耐磨耗剤、耐摩耗性剤、布地一体性剤、抗摩耗剤、抗毛玉剤、泡制止剤、消泡剤、紫外線保護剤、日焼け防止剤、抗アレルギー剤、酵素、防水剤、布地快適剤、収縮抵抗剤、伸張抵抗剤、伸張回復剤、スキンケア剤、天然活性物質、抗菌活性物質、制汗活性物質、カチオン性ポリマー、染料、金属触媒、非金属触媒、活性化剤、予備形成ペルオキシカルボン酸、ジアシルペルオキシド、過酸化水素源、及び酵素のうちの1つ以上である。
【0130】
実施形態において、水性及び/又は水溶性の有益剤は、1種以上の金属触媒を含み得る。実施形態において、金属触媒は、ジクロロ-1,4-ジエチル-1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)と、ジクロロ-1,4-ジメチル-1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)とのうちの1つ以上を含み得る。実施形態において、非金属触媒は、2-[3-[(2-ヘキシルドデシル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩と、3,4-ジヒドロ-2-[3-[(2-ペンチルデシル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム、分子内塩と、2-[3-[(2-ブチルデシル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩と、3,4-ジヒドロ-2-[3-(オクタデシルオキシ)-2-(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム、分子内塩と、2-[3-(ヘキサデシルオキシ)-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩と、3,4-ジヒドロ-2-[2-(スルホオキシ)-3-(テトラデシルオキシ)プロピル]イソキノリニウム、分子内塩と、2-[3-(ドデシルオキシ)-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩と、2-[3-[(3-ヘキシルデシル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩と、3,4-ジヒドロ-2-[3-[(2-ペンチルノニル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム、分子内塩と、3,4-ジヒドロ-2-[3-[(2-プロピルヘプチル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム、分子内塩と、2-[3-[(2-ブチルオクチル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩と、2-[3-(デシルオキシ)-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩と、3,4-ジヒドロ-2-[3-(オクチルオキシ)-2-(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム、分子内塩と、2-[3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩と、のうちの1つ以上を含み得る。
【0131】
実施形態において、水性及び/又は水溶性の有益剤は、1つ以上の活性化剤を含み得る。実施形態において、活性化剤は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ベンゾイルカプロラクタム(BzCL)、4-ニトロベンゾイルカプロラクタム、3-クロロベンゾイルカプロラクタム、ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(BOBS)、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、安息香酸フェニル(PhBz)、デカノイルオキシベンゼンスルホネート(C10-OBS)、ベンゾイルバレロラクタム(BZVL)、オクタノイルオキシベンゼンスルホネート(C-OBS)、過加水分解性エステル、4-[N-(ノナゾール)アミノヘキサノイルオキシ]-ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(NACA-OBS)、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート(LOBS又はC12-OBS)、10-ウンデセノキシベンゼンスルホネート(位置10で不飽和を有するUDOBS又はC11-OBS)、デカノイルオキシ安息香酸(DOBA)、(6-オクランアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、(6-ノナンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、及び(6-デカンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、のうちの1つ以上を含み得る。
【0132】
実施形態において、水性及び/又は水溶性の有益剤は、1つ以上の予め形成されたペルオキシカルボン酸を含み得る。実施形態において、ペルオキシカルボン酸は、ペルオキシ一硫酸、過イミド酸、過炭酸、過カルボン酸及びその酸の塩、フタルイミドペルオキシヘキサン酸、アミドペルオキシ酸、1,12-ジペルオキシドデカン二酸、及びモノペルオキシキシフタル酸(マグネシウム塩六水和物)の1つ以上を含むことができ、しかもアミドペルオキシ酸は、N,N’-テレフタロイル-ジ(6-アミノカプロン酸)又は、ペルオキシコハク酸のモノノニルアミド(NAPSA)若しくはペルオキシアジピン酸のモノノニルアミド(NAPAA)のいずれか一方、又はN-ノナノイルアミノペルオキシカプロン酸(NAPCA)を含み得る。
【0133】
実施形態において、水性及び/又は水溶性の有益剤は、1つ以上のジアシルペルオキシドを含み得る。実施形態において、ジアシルペルオキシドは、ジノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジウンデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、及びジ-(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシドのうちの1つ以上を含むことができ、上記ジアシルペルオキシドは、クラスレートされたものであり得る。
【0134】
実施形態において、水性及び/又は水溶性の有益剤は、1つ以上の過酸化水素を含み得る。実施形態において、過酸化水素源は、過ホウ酸塩、過炭酸塩過酸化水素化物、過酸化物、過硫酸塩、及びこれらの混合物のうちの1つ以上を含み得る。一態様では、上記過酸化水素源は過ホウ酸ナトリウムを含んでもよく、一態様では、上記過ホウ酸ナトリウムは、一水和物又は四水和物、ピロリン酸ナトリウム過酸化水素化物、尿素過酸化水素水和物、リン酸三ナトリウム過酸化水素化物、及び過酸化ナトリウムを含んでもよい。
【0135】
実施形態において、水性及び/又は水溶性の有益剤は、1つ以上の酵素を含み得る。実施形態において、上記の酵素は、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、セルラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルビオースデヒドロゲナーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、アミラーゼ、及びデオキシリボヌクレアーゼのうちの1つ以上を含み得る。
【0136】
実施形態において、水性及び/又は水溶性の有益剤は、香料又は香料組成物を含み得る。実施形態において、香料組成物は、香料原材料、精油、悪臭低減剤、及び臭気制御剤のうちの1つ以上を含み得る。
【0137】
様々な実施形態において、香料組成物は、1つ以上の香料原材料を含み得る。実施形態において、香料組成物は、香料組成物の総重量に基づいて、(1)約35%~約60%、又は約40%~約55%の第1の香料原材料であって、1.5未満のlogP及び250℃未満の沸点を特徴とする第1の香料原材料、(2)約10%~約45%、又は約12%~約40%の第2の香料原材料であって、1.5以下のlogP及び250℃以上の沸点を特徴とする第2の香料原材料、(3)約2.5%~約30%、又は約5%~約30%の第3の香料原材料であって、1.5超のlogP及び250℃未満の沸点を有することを特徴とする第3の香料原材料、及び(4)約5%~約30%、又は約7%~約25%の第4の香料原材料であって、1.5超のlogP及び250℃超の沸点を有することを特徴とする第4の香料原材料、を含み得る。
【0138】
実施形態において、有益剤は、1以下の平均logPを有し得る。
【0139】
油性コアカプセルの製造方法
油性コアを有するカプセルを製造する方法の実施形態において、油相は、油性及び/又は油溶性の有益剤及び前駆体を含み得る。
【0140】
実施形態において、前駆体は、油相の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%の量で存在する。他の好適な量としては、油相の総重量に基づいて、約1重量%~約15重量%、約5重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約15重量%~約40重量%、約25重量%~約45重量%、又は約15重量%~約50重量%が挙げられる。例えば、油相は、油相の総重量に基づいて、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、又は50重量%を含み得る。
【0141】
実施形態において、油相は、乳化前に、油相の総重量に基づいて約10重量%~約99重量%、約20重量%~約99重量%、約40重量%~約99重量%、約50重量%~約99重量%、又は約50重量%~約90重量%の有益剤を含み得る。例えば、有益剤は、油相の総重量に基づいて、約10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、又は90重量%の量で存在し得る。
【0142】
油相は、1つ以上の油溶性コア変性剤を更に含み得る。例えば、油溶性コア変性剤は、パーティショニング変性剤及び/又は密度調整剤のうちの1つ以上であり得る。実施形態において、パーティショニング変性剤は、約1超、約2超、約3超、約4超、約5超、約6超、約7超、約8超、約9超、約10超、又は約11超のlogPを有する油溶性材料を含み得る。実施形態において、パーティショニング変性剤は、1g/cm以上の密度を有する油溶性材料を含み得る。実施形態において、パーティショニング変性剤は、C~C24脂肪酸及びグリセリンのモノエステル、ジエステル、及びトリエステル;ポリグリセロールオリゴマーの脂肪酸エステル;ポリアルファオレフィン;シリコーン油;ポリエーテル置換構造単位及びアクリレート架橋を含む架橋シリコーン;ポリグリセロールエーテルシリコーンクロスポリマー;アルキル置換セルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;側鎖結晶化基を有するアクリル酸又はメタクリル酸の脂肪酸エステル;エチレン及び酢酸ビニル、エチレン及びビニルアルコール、エチレン/アクリルエラストマーを含む、エチレンのコポリマー;アセチルカリオフィレン、ヘキサロース、オレイン酸ブチル、硬化ヒマシ油、安息香酸スクロース、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、テトラデカノール、ヘキサデカノール、1-オクタンジオール、ミリスチン酸イソプロピル、ヒマシ油、鉱油、イソパラフィン、カプリル酸トリグリセリド、大豆油、植物油、臭素化植物油、ブロモヘプタン、スクロースオクタアセテート、ゲラニルパルミテート、アセチルカリオフィレン、安息香酸スクロース、オレイン酸ブチル、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ビタミンE、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、スクロースソヤート、スクロースステアレート、スクロースソヤネート、ラウリルアルコール、1-テトラデカノール、1-ヘキサデカノール、セチルアルコール、1-オクタデカノール、1-ドコサノール、2-オクチル-1-ドデカノール、香油(ただし一態様では、logP>5を有する香油であって、1つの態様では、当該香油はオクタデカン酸、オクタデシルエステルからなる群から選択してもよい)、テトラコサン,2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-;オクタデカン酸,1,2,3-プロパントリオールに溶解したジエステル;イソリデカン,1,1’-[(3,7-ジメチル-6-オクテニリデン)ビス(オキシ)]ビス-;テトラデカン酸、オクタデシルエステル;2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン,2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-、(オール-E)-;トリコサン;ドコサン;ヘキサデカン酸,ドデシルエステル;1,2-ベンゼンジカルボン酸,ジドデシルエステル;デカン酸,1,2,3-プロパントリイルエステル;1-ウンデセン,11,11-ビス[(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシ]-;ヘンエイコサン;ベンゼン,[2-[ビス[(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル)オキシ]メチル]-1-;1-ウンデセン,11,11-ビス[(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル)オキシ]-;ベンゼン、[2-[ビス[(1-エテニル-1,5-ジメチル-4-ヘキセニル)オキシ]メチル]-1-;ドデカン酸、テトラデシルエステル;2H-1-ベンゾピラン-6-オール,3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-,[2R-[2R(4R,8R)]]-;オクタン酸、オクタデシルエステル;エイコサン;2H-1-ベンゾピラン-6-オール,3,4-ジヒドロ-2,5,8-トリメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-、[2R(4R,8R)]-;2-ナフタレノール,1-[6-(2,2-ジメチル-6-メチレンシクロヘキシル)-4-メチル-3-ヘキセニル]デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-,[1R-[1α[E(S)],2β,4aβ,8aα]]-;2H-1-ベンゾピラン-6-オール,3,4-ジヒドロ-2,7,8-トリメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-,[2R-[2R(4R,8R)]]-;ヘプタン酸、オクタデシルエステル;ノナデカン;2,4,6,8,10,12,14,16-ヘプタデカオクタエナール,2,6,11,15-テトラメチル-17-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-,(2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16E)-;2H-1-ベンゾピラン-6-オール,3,4-ジヒドロ-2,8-ジメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-,[2R-[2R(4R,8R)]]-;ヘキサデカン酸,2-エチルヘキシルエステル;1,2-ベンゼンジカルボン酸、ジデシルエステル;オクタデカン;安息香酸,2-[[2-(フェニルメチレン)オクチリデン]アミノ]-,1-エテニル-1,5-ジメチル-4-ヘキセニルエステル;オクタデカン酸,3-メチルブチルエステル;デカン酸,1,2,3-プロパントリオールオクタノエートを有するエステル;ヘプタデカン;1-ヘキサデセン,7,11,15-トリメチル-3-メチレン-;ドデカン酸,デシルエステル;オクタデカン酸,ブチルエステル;デカン二酸,ビス(2-エチルヘキシル)エステル;ベンゼン,[2,2-ビス[(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシ]エチル]-;ベンゼン,[2,2-ビス[(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル)オキシ]エチル]-;9-オクタデセン酸(Z)-,ブチルエステル;オクタン酸,1,2,3-プロパントリイルエステル;ヘキサデカン;シクロヘキセン、4-(5-メチル-1-メチレン-4-ヘキセニル)-1-(4-メチル-3-ペンテニル)-;2-ヘキサデセン-1-オール,3,7,11,15-テトラメチル-,アセテート,[R-[R,R-(E)]]-;ヘキサデカン酸,ブチルエステル;オクタデカン酸,エチルエステル;1-ドデカノール,2-オクチル-;ペンタデカン;テトラデカン酸,ヘキシルエステル;デカン酸、デシルエステル;酢酸,オクタデシルエステル;ヘキサデカン酸,2-メチルプロピルエステル;9-オクタデセン酸(Z)-,エチルエステル;ヘプタデカン酸,エチルエステル;オクタデカン酸,メチルエステル;テトラデカン;テトラデカン酸,3-メチルブチルエステル;2-ヘキサデセン-1-オール,3,7,11,15-テトラメチル-,[R-[R,R-(E)]]-;2-ヘキサデセン-1-オール,3,7,11,15-テトラメチル-;ヘキサデカン酸,1-メチルエチルエステル;1H-インドール,1,1’-(3,7-ジメチル-6-オクテニリデン)ビス-;オクタデカン酸;シクロペンタシロキサン,デカメチル-;安息香酸,2-[[2-(フェニルメチレン)オクチリデン]アミノ]-,3-メチルブチルエステル;9,12-オクタデカジエン酸(Z,Z)-,エチルエステル;1-オクタデカノール;ヘキサン二酸,ジオクチルエステル;9-オクタデカン酸(Z)-、メチルエステル;オクタデカン酸,2-ヒドロキシプロピルエステル;テトラデカン酸,ブチルエステル;ドデカン酸,ヘキシルエステル;9,12,15-オクタデカトリエン酸,エチルエステル,(Z,Z,Z)-;ヘキサデカン酸,エチルエステル;1-ヘキサデカノール,アセテート;9-オクタデセン酸(Z)-;ヘキサン二酸,ビス(2-エチルヘキシル)エステル;1,8,11,14-ヘプタデカテトラエン;1,8,11,14-ヘプタデカテトラエン;1,8,11,14-ヘプタデカテトラエン;9-オクタデセン-1-オール,(Z)-;テトラデカン酸,2-メチルプロピルエステル;ノナン酸,1-メチル-1,2-エタンジイルエステル;トリデカン;ナフタレン,デカヒドロ-1,6-ジメチル-4-(1-メチルエチル)-,[1S-(1α,4α,4aα,6α,8aβ)]-,ジデヒドロ誘導体;1-ヘキサデシル-3-オール,3,7,11,15-テトラメチル-;9,12-オクタデカジエン酸(Z,Z)-、メチルエステル;1-ヘプタデカノール;6,10,14-ヘキサデカトリエン-3-オール,3,7,11,15-テトラメチル-;安息香酸,2-[[[4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-イル]メチレン]アミノ]-、メチルエステル;9,12-オクタデカジエン酸(Z,Z)-;2-ノネン,1,1’-オキシビス-;サンタロール,ベンゼンアセテート;10-ウンデセン酸,ヘプチルエステル;9,12,15-オクタデカトリエン酸,メチルエステル,(Z,Z,Z)-;オクタデカン酸,1,2,3-プロパントリオールを有するモノエステル;ドデカン酸,ペンチルエステル;オクタン酸,ノニルエステル;ペンタデカン酸、エチルエステル;ヘキサデカン酸,メチルエステル;ドデカン酸,4-メチルフェニルエステル;ドデカン酸,3-メチルブチルエステル;テトラデカン酸,1-メチルエチルエステル;ヘキサデカン酸;1-フェナンスレンカルボン酸,テトラデカヒドロ-1,4a-ジメチル-7-(1-メチルエチル)-,メチルエステル,[1R-(1α,4aβ,4bα,7β,8aβ,10aα)]-;1-ヘキサデカノール;ドデカン;2-ペンタデカノン、6,10,14-トリメチル-;9-ヘプタデカノン;1-フェナンスレンメタノール,1,2,3,4,4a,4b,5,6,10,10a-デカヒドロ-1,4a-ジメチル-7-(1-メチルエチル)-,アセテート,[1R-(1α,4aβ,4bα,10aα)]-;イソヘキサデカノール;ドデカン酸,2-メチルプロピルエステル;ヘキサデカンニトリル;オクタデカン酸,2,3-ジヒドロキシプロピルエステル;イソドデカン;1-フェナントレンメタノール,テトラデカヒドロ-1,4a-ジメチル-7-(1-メチルエチル)-;オクタン酸,3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニルエステル,(E)-;ドデカン酸、ブチルエステル;テトラデカン酸,エチルエステル;ブタン酸,ドデシルエステル;安息香酸,2-アミノ-,デシルエステル;オキサシクロヘプタデカン-2-オン;プロパン酸,2-メチル-,ドデシルエステル;1H-インデン、オクタヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-;1-フェナンスレンカルボン酸,1,2,3,4,4a,4b,5,6,7,8,10,10a-ドデカヒドロ-1,4a-ジメチル-7-(1-メチルエチル)-,メチルエステル;9-オクタデセン酸(Z)-,1,2,3-プロパントリオールを有するエステル;9,12,15-オクタデカトリエン酸,(Z,Z,Z)-;1,4,8-シクロウンデカトリエン,2,6,6,9-テトラメチル-,(E,E,E)-;1-フェナントネメタノール,ドデカヒドロ-1,4a-ジメチル-7-(1-メチルエチル)-;安息香酸,3,4,5-トリヒドロキシ-,ドデシルエステル;1H-インドール-1-ヘプタノール,.η.-1H-インドール-1-イル-.α.,.α.,.ε.-;シクロドデカン;9-ヘキサデセン酸,(Z);安息香酸,2-[[2-(フェニルメチレン)ヘプチリデン]アミノ]-,メチル;9-オクタデセン酸(Z)-,2,3-ジヒドロキシプロピルエステル;2-ナフタレンカルボキシアルデヒド,5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,7,8,8,ヘプタメチル-,トランス-;オクタン酸,1-エテニル-1,5-ジメチル-4-ヘキセニルエステル;及び2-ヘキサデカノンのうちの1つ以上を含み得る。
【0143】
実施形態において、密度調整剤は、臭素化植物油;オクタアセチルスクロース;ブロモヘプタン;二酸化チタン;酸化亜鉛;酸化鉄;酸化コバルト;酸化ニッケル;酸化銀;酸化銅;酸化ジルコニウム;シリカ;銀;亜鉛;鉄;コバルト;ニッケル;銅;エポキシ化大豆油ポリオール;1h-インデン,2,3-ジヒドロ-1,1,3,3,5-ペンタメチル-4,6-ジニトロ-;ベンゼン,(2-ブロモエテニル)-;ベンゼン酢酸,2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェニルエステル;エタノン,1-(2,5-ジメチル-3-チエニル)-;オキシランカルボン酸,3-(4-メトキシフェニル)-,エチルエステル;安息香酸,2-[(1-ヒドロキシ-3-フェニルブチル)アミノ]-,メチルエステル;1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボン酸,エチルエステル;1,3-ベンゾジオキソール,5-(2-プロペニル)-;安息香酸,4-メトキシ-;ベンゼンメタノール,α-(トリクロロメチル)-,アセテート;フェノール,2-メトキシ-4-(2-プロペニル)-,ギ酸;フェノール,2-メトキシ-4-(2-プロペニル)-,安息香酸;2-プロペン-1-オール,3-フェニル-,安息香酸;ベンゼン酢酸,3-メチルフェニルエステル;ベンゼン,1-(1,1-ジメチルエチル)-3,4,5-トリメチル-2,6-ジニトロ-;ベンゼン酢酸,4-メチルフェニルエステル;ベンゼン酢酸,フェニルメチルエステル;ベンゼン酢酸,(4-メトキシフェニル)メチルエステル;2-プロペン酸,3-フェニル-,フェニルメチルエステル;2-プロペン酸,3-フェニル-,2-フェニルエチルエステル;ベンゼン酢酸,2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェニルエステル;フェノール,2-(メチルチオ)-;安息香酸,2-[[3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロピリデン]アミノ]-,メチルエステル;安息香酸,2-[[3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロピリデン]アミノ]-,メチルエステル;安息香酸,3,5-ジメトキシ-;安息香酸,2-ヒドロキシ-,フェニルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,フェニルメチルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,エチルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,メチルエステル;安息香酸,2-アミノ-,メチルエステル;エタノン,2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-;安息香酸,4-ヒドロキシ-,エチルエステル;安息香酸,フェニルメチルエステル;1,3-ベンゾジオキソール,5-(1-プロペニル)-;ベンゾチアゾール,2-メチル-;5h-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-オン,10,11-ジヒドロ-;オキシランカルボン酸,3-フェニル-,エチルエステル;安息香酸,4-メトキシ-,メチルエステル;2-プロペン酸,3-フェニル-,3-フェニル-2-プロぺニルエステル;トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-2-オール,4-メチル-8-メチレン-;トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-2-オール,4-メチル-8-メチレン-,アセテートメタノン,ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)-;メタノン,(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(フェニル);ジベンゾフラン;安息香酸,2-アミノ-,2-フェニルエチルエステル;エタノン,1-(ナフタレニル)-;フラン,2,2’-[チオビス(メチレン)]ビス-;1,2,3-プロパントリオール,トリプロパノエート;2-プロペン酸,3-フェニル-,(e)-;フェノール,4-エチル-2,6-ジメトキシ-;ジスルフィド,メチルフェニル;安息香酸,2-[[(4-メトキシフェニル)メチレン]アミノ]-,メチルエステル;2-プロペン酸,3-(2-メトキシフェニル)-,(z)-;8-キノリノール;ジスルフィド,ビス(フェニルメチル);1,2-プロパンジオール,ジベンゾエート;ベンゼン,1-ブロモ-4-エテニル-;トリスルフィド,ジ-2-プロペニル;フェノール,2,6-ジメトキシ-4-(1-プロペニル)-,(e)-;ベンゼン,(2-イソチオシアナトエチル)-;安息香酸,2-ヒドロキシ-5-メチル,メチルエステル;1,2,4-トリチオラン,3,5-ジメチル-;プロパン酸,2-(メチルジチオ)-,エチルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,シクロヘキシルエステル;安息香酸,2-[(1-オキソプロピル)アミノ]-,メチルエステル;エタンチオール酸,s-(4,5-ジヒドロ-2-メチル-3-フラニル)エステル;安息香酸,2-(アセチルアミノ)-,メチルエステル;1,3,5-トリチアン,2,4,6-トリメチル-;安息香酸,2-アミノ-,プロピルエステル;ブタン酸,1-ナフタレニルエステル;安息香酸,2,4-ジヒドロキシ-3-メチル-,メチルエステル;トリスルフィド,メチル2-プロペニル;2-フランジメタノール,ベンゾエート;安息香酸,2-ヒドロキシ-5-メチル,エチルエステル;ベンゼン,(2,2-ジクロロ-1-メチルシクロプロピル)-;2-チオフェンカルボキシアルデヒド,5-エチル-;安息香酸,[(フェニルメチレン)アミノ]-,メチルエステル;スピロ[1,3-ジチオロ[4,5-b]フラン-(2,3’(2’h)-フラン],ヘキサヒドロ-2’,3a-ジメチル-;1,3-ベンゾジオキソール,5-(ジエトキシメチル)-;シクロドデカ[c]フラン,1,3,3a,4,5,6,7,8,9,10,11,13a-ドデカヒドロ-;ベンゼン酢酸,2-メチルフェニルエステル;2-ベンゾフランカルボキシアルデヒド;1,2,4-トリチアン,3-メチル-;フラン,2,2’-[ジチオビス(メチレン)]ビス-;1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン,1,7ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-,(e,e)-;安息香酸,2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチル-,メチルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-4-メトキシ-,メチルエステル;プロパン酸,2-メチル-,1,3-ベンゾジオキソール-5-イルメチルエステル;1,2,4-トリチオラン,3,5-ジエチル-;1,2,4-トリチオラン,3,5-ビス(1-メチルエチル)-;フラン,2-[(メチルジチオ)メチル]-;テトラスルフィド,ジメチル;ベンゼンアセトアルデヒド,α-(2-フランニルメチレン)-;安息香酸,3-メトキシ-;ベンゼンカルボチオ酸,s-メチルエステル;安息香酸,2-メトキシ-,メチルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,4-メチルフェニルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,プロピルエステル;2-プロペン酸,3-(2-メトキシフェニル)-;2-プロペン酸,3-(3-メトキシフェニル)-;安息香酸,2-ヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチル-,エチルエステル;ベンズアルデヒド,2-ヒドロキシ-5-メチル-;1,2,3-プロパントリオール,トリベンゾエート;安息香酸,4-メチルフェニルエステル;2-フランカルボン酸,プロピルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,2-メチルフェニルエステル;安息香酸,4-ヒドロキシ-3-メトキシ,エチルエステル;2-プロペン酸,3-フェニル-;ベンゼン,1,3-ジブロモ-2-メトキシ-4-メチル-5-ニトロ-;ベンゼン,(イソチオシアナトメチル)-;2-プロペン酸,3-(2-フラニル),エチルエステル;ベンゼンメタンチオール,4-メトキシ-2-チオフェンメタンチオール;ベンゼン,1,1’-[(2-フェニルエチリデン)ビス(オキシメチレン)]ビス-;フェノール,2,6-ジメトキシ-4-(2-プロペニル)-;安息香酸,2-[(2-フェニルエチリデン)アミノ]-,メチルエステル;ベンゼンプロパン酸,β-オキソ-,4-メチルフェニルエステル;1h-インドール-3-ヘプタノール,η-1h-インドール-3-イル-α,α,ε-トリメチル-;安息香酸,2-ヒドロキシ-,3-メチル-2-ブテニルエステル;1,3-ベンゾジオキソール-5-プロパノール,α-メチル-,アセテート;チオフェン,2,2’-ジチオビス-;安息香酸,2-ヒドロキシ-;ベンズアルデヒド,2-ヒドロキシ-4-メチル-;ジスルフィド,メチルフェニルメチル;2-フランカルボン酸,2-フェニルエチルエステル;ベンゼンチオール,2-メトキシ-;安息香酸,2-[[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン]アミノ]-,メチルエステル;エタノール,2-(4-メチルフェノキシ)-1-(2-フェニルエトキシ)-;ベンゼン酢酸,3-フェニル-2-プロペニルエステル;安息香酸,2-アミノ-,2-プロペニルエステル;ビシクロ[3.2.1]オクタン-8-オン,1,5-ジメチル-,オキシム;2-チオフェンチオール;フェノール,2-メトキシ-4-(1-プロペニル)-,ギ酸;安息香酸,2-アミノ-,シクロヘキシルエステル;フェノール,4-エテニル-2-メトキシ-;安息香酸,2-ヒドロキシ-,2-(1-メチルエトキシ)エチルエステル;エタノン,1-[4-(1,1-ジメチルエチル)-2,6-ジメチル-3,5-ジニトロフェニル]-;ベンゼン,1-(1,1-ジメチルエチル)-3,5-ジメチル-2,4,6-トリニトロ-;2-プロペン酸,3-(4-メトキシフェニル)-;ベンゼン,1-(1,1-ジメチルエチル)-2-メトキシ-4-メチル-3,5-ジニトロ-;1,2-ベンゼンジカルボン酸,ジエチルエステル;エタノン,1-(3,4-ジヒドロ-2h-ピロール-5-イル)-;安息香酸,2-(メチルアミノ)-,メチルエステル;2h-1-ベンゾピラン-2-オン,7-エトキシ-4-メチル-;安息香酸,2-ヒドロキシ-,2-フェニルエチルエステル;安息香酸,2-アミノ-,エチルエステル;2-プロペン-1-オール,3-フェニル-,2-アミノベンゾエート;フェノール,4-クロロ-3,5-ジメチル-;ジスルフィド,ジフェニル;1-ナフタレノール;[1,1’-ビフェニル]-2-オール;ベンゼンメタノール,α-フェニル-;2-ナフタレンチオール;エタノン,1-(2-ナフタレニル)-;フェノール,2-メトキシ-4-(1-プロペニル)-,アセテート;2-ナフタレノール,ベンゾエート;安息香酸,フェニルエステル;ピリジン,2-[3-(2-クロロフェニル)プロピル]-;安息香酸,4-ヒドロキシ-,プロピルエステル;エタノン,1-(1-ナフタレニル)-;プロパン酸,3-[(2-フラニルメチル)チオ]-,エチルエステル;2-プロペン-1-オン,1,3-ジフェニル-;3-ピリジンカルボン酸,フェニルメチルエステル;安息香酸,2-フェニルエチルエステル;ピペリジン,1-[5-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-オキソ-2,4-ペンタジエニル]-,(e,e)-;及びベンゾチアゾールのうちの1つ以上を含み得る。
【0144】
油性コアを有するカプセルを製造する方法の実施形態において、水相(連続相)は、水、酸、及びナノ粒子を含み得る。実施形態において、水相は、少なくとも油相と混合する時点で、約1~約14のpHを有する。他の好適なpHとしては、約1~約5、約2~約7、約6~約7、約1~約4、約3~約7、約7~14、約8~10、約9~11、又は約7~9が挙げられる。例えば、水相のpHは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14であり得る。
【0145】
実施形態において、上記の酸は強酸であり得る。実施形態において、強酸は、HCl、HNO、HSO、HBr、HI、HClO、及びHClOのうちの1つ以上を含み得る。実施形態において、酸はHClを含み得る。実施形態において、連続溶液中の酸の濃度は、約0.01M~約5M、約0.1M~約5M、約0.1M~約2M、又は約0.1M~約1Mであり得る。例えば、連続溶液中の酸の濃度は、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、1M、1.5M、2M、3M、4M、又は5Mであり得る。
【0146】
実施形態において、上記の酸は、フッ酸(HF)及び酢酸などの弱酸であり得る。
【0147】
油性コアを有するカプセルを製造する方法の実施形態において、水相(連続相)は塩基を含み得る。実施形態において、上記の塩基は、無機塩基、水酸化ナトリウムなどの水酸化物、及びアンモニアのうちの1つ以上であり得る。例えば、実施形態において、塩基は、約10-5M~0.01MのNaOH、又は約10-5M~約1Mのアンモニアであり得る。
【0148】
油性コアを有するカプセルを製造する方法の実施形態において、pHは、酸及び/又は塩基を添加することによってプロセス全体を通じて変化させることができる。例えば、本方法を、酸性又は中性のpHの水相を用いて開始することができ、後で、プロセス中に塩基を添加して、pHを上昇させることができる。あるいは、本方法を、塩基性又は中性のpHの水相を用いて開始することができ、後で、プロセス中に酸を添加して、pHを低下させることができる。更に、本方法を、酸性又は中性のpHの水相を用いて開始することができ、プロセス中に酸を添加して、pHを更に低下させることができる。また更に、本方法を、塩基性又は中性のpHの水相を用いて開始することができ、プロセス中に塩基を添加して、pHを更に上昇させることができる。任意の好適なpH移動を使用してもよい。更に、酸及び塩基の任意の好適な組み合わせを任意の時点で使用して、所望のpHを達成することができる。
【0149】
上で説明したナノ粒子の任意のものを、水相中で使用することができる。実施形態において、ナノ粒子は、水相の合計重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の量で存在し得る。他の好適な量としては、約0.05重量%~約5重量%、約1重量%~約10重量%、約5重量%~約8重量%、約2重量%~約7重量%、又は約0.1重量%~約1重量%が挙げられる。例えば、ナノ粒子は、水相の総重量に基いて、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10重量%の量で存在し得る。
【0150】
実施形態において、本方法は、油相と水相とを、油相と水相との比が約1:10~約1:1、約1:9~約1:1、約1:5~約1:1、約1:3~約1:1、約1:5~約1:2、約1:3~約1:1.5となるように混合することを含み得る。他の好適な比率としては、約1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、2:5、3:5、1:1.5、又は1:1が挙げられる。
【0151】
水性コアカプセルの製造方法
水性コアを有するカプセルを製造する方法の実施形態において、水相は、水性の有益剤を含み得る。
【0152】
実施形態において、水相は、乳化前に、水相の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%、約20重量%~約99重量%、約40重量%~約99重量%、又は約50重量%~約99重量%、又は約50重量%~約90重量%の有益剤を含み得る。例えば、有益剤は、水相の総重量に基づいて、約1重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、又は90重量%の量で存在し得る。
【0153】
実施形態において、水相は、1つ以上のコア変性剤を更に含み得る。例えば、水性コア変性剤は、pH調整剤、粘度調整剤、イオン強度調整剤、審美性改良剤、密度調整剤、及びゲル化剤のうちの1つ以上であり得る。実施形態において、pH調整剤は、コア中に所望のpHを生成するために組み込まれてもよい。実施形態において、pH調整剤は、洗剤製造分野の当業者に既知の任意のアルカリ又は酸を含み得る。例えば、アルカリとしては:アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及びヒドロキシ炭酸塩があり、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム炭酸塩が挙げられ;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物があり、例えば、酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムが挙げられ;アルカリ又はアルカリ土類金属のクエン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、アスコルビン酸塩、又はケイ酸塩があり、例えば、クエン酸ナトリウムが挙げられる。また酸としては:クエン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、リン酸、塩酸、硫酸、亜硫酸が挙げられる。
【0154】
実施形態において、粘度調整剤としては、細菌又は植物由来の、コーティングされていない又は高分子増粘剤でコーティングされた、ナノフィブリル化及びミクロフィブリル化セルロース;例えば硬化ヒマシ油を含む結晶性グリセリドなどの、非高分子結晶性ヒドロキシル官能性材料;例えば、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体などの、天然由来のポリマー構造化剤を挙げることができる。好適な多糖類誘導体としては、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアガム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガムが挙げられる。組み込まれ得る好適な粘度調整剤としては、合成ポリマー構造化剤、例えば、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシ化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオールが挙げられるが、上記ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート及びポリメタクリレートのうちの1つ以上を含んでもよい。また組み込まれ得る好適な粘度調整剤としては、不飽和モノ又はジ炭酸と、(メタ)アクリル酸のC~C30アルキルエステルとのコポリマーも挙げられ得る。
【0155】
実施形態において、イオン強度調整剤としては、カルボン酸、ポリカルボン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、及びホウ酸塩のうちの1つ以上を含み得る。実施形態において、イオン強度調整剤は、
1つ以上のイオン種を更に含み得るが、例えば、オキシジコハク酸、アコニット酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、セバシック酸、シトラコン酸、アジピン酸、イタコン酸、ドデカン酸、アクリル酸ホモポリマー、及びアクリル酸、マレイン酸のコポリマー、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、コバルトイオン、銅イオン、及び亜鉛イオンが挙げられる。
【0156】
実施形態において、審美性改良剤は、染料又は顔料などの1つ以上の着色剤、及び他の審美剤を含み得る。着色剤の非限定的な例としては、ローダミン、フルオレセイン、フタロシアニン、及びアルミナが挙げられる。実施形態において、審美性改良剤は、異なる形状及びサイズを有する粒子の非限定的な例を含み得るが、そこには、エポキシコーティングされた金属溶射アルミニウムポリエチレンテレフタレート、ポリエステルビーズ、キャンデリラビーズ、ケイ酸塩、及びこれらの混合物のうちの1つ以上を含むことができる、。
【0157】
実施形態において、密度調整剤は、グリセロール、マンニトール、糖アルコール、無機塩、二酸化チタン;酸化亜鉛;酸化鉄;酸化コバルト;酸化ニッケル;酸化銀;酸化銅;酸化ジルコニウム;シリカ;銀;亜鉛;鉄;コバルト;ニッケル;銅のうちの1つ以上を含み得る。
【0158】
実施形態において、水溶性ゲル化剤は、レシチン、アルギン酸カルシウム、寒天、カラギーナン、処理したキリンサイ海藻、イナゴマメガム、カロブガム、グアーガム、トラガント、アカシアガム、アラビアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タラガム、ジェランガム、コンニャク、ポリソルベート、ペクチン、アンモニウムホスファチド、スクロースアセテートイソブチレート、木材樹脂のグリセロールエステル、セルロース、セルロース誘導体、及び脂肪酸のうちの1つ以上を含み得る。
【0159】
実施形態において、水性コアは、酵素安定剤を含み得る。実施形態において、酵素安定剤は、カルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性源などの、任意の従来の酵素安定剤を含み得る。実施形態において、酵素安定剤は、ボレート、4-ホルミルフェニルボロン酸、フェニルボロン酸、及びこれらの誘導体を含むホウ素化合物などの可逆的プロテアーゼ阻害剤、例えば、カルシウムホルメート、ナトリウムホルメート、及び1,2-プロパンジオールなどの化合物の1つ以上を含み得る。
【0160】
水性コアを有するカプセルを製造する方法の実施形態において、油相は前駆体を含み得る。前駆体は、上に定義した通りであり得る。
【0161】
実施形態において、油相中に存在する前駆体は、水相の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%の量で存在し得る(それが最終的にコアを形成する)。他の好適な量としては、水相の総重量に基づいて、約1重量%~約15重量%、約5重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約15重量%~約40重量%、約25重量%~約45重量%、又は約15重量%~約50重量%が挙げられる。例えば、油相は、水相の総重量に基づいて、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、又は50重量%を含み得る。
【0162】
水性コアを有するカプセルを製造する方法の実施形態において、ナノ粒子は、水相及び油相の一方又は両方に存在し得る。実施形態において、ナノ粒子は、水相中にのみ存在する。実施形態において、ナノ粒子は油相中にのみ存在する。実施形態において、ナノ粒子は、油相及び水相の両方に存在する。
【0163】
上で説明したナノ粒子の任意のものを、水相中で使用することができる。実施形態において、ナノ粒子は、水相及び油相の一方又は両方のいずれにおいて存在するかに関わらず、水相の総重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の合計量で存在し得る。他の好適な量としては、約0.05重量%~約5重量%、約1重量%~約10重量%、約5重量%~約8重量%、約2重量%~約7重量%、又は約0.1重量%~約1重量%が挙げられる。例えば、ナノ粒子は、水相の総重量に基いて、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10重量%の量で存在し得る。
【0164】
実施形態において、本方法は、油相と水相とを、約10:1~約1:1、約9:1~約1:1、約5:1~約1:1、約3:1~約1:1、約5:1~約2:1、約3:1~約1.5:1の比率で混合することを含む。他の好適な比率としては、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1又は1:1が挙げられる。
【0165】
硬化条件
実施形態において、油性コアを作製するかあるいは水性コアを作製するかにかかわらず、エマルションは、前駆体を固化させる条件下で硬化されることができ、それによってカプセルが形成される。
【0166】
実施形態において、硬化のための反応温度を上昇させて、固化したカプセルが得られる速度を速めることができる。カプセルが、硬化されたと考えられるのは、それがもはや崩壊しなくなったときである。カプセル崩壊の判定について以下に詳述する。
【0167】
実施形態において、硬化ステップ中、Y部分(式(I)及び/又は(II)から)の加水分解が起こり、続いて、-OH基と別の-OH基との、又は-OH基とY型の別の部分(式中、2つのYは必ずしも同じではない)との後続の縮合が起こる。前駆体の加水分解された部分は、ナノ粒子の表面部分と最初に縮合する(ナノ粒子がそのような部分を含有する場合)。シェルの形成が進行するにつれて、前駆体部分は、先に形成されたシェルと反応するようになる。
【0168】
実施形態において、エマルションは、シェル前駆体が縮合するように硬化され得る。実施形態において、エマルションは、シェル前駆体がナノ粒子と反応して縮合するように硬化され得る。以下に、シリカ系シェルについて、本明細書に記載の加水分解ステップ及び縮合ステップの例を示す。
加水分解:≡Si-OR+HO→≡Si-OH+ROH
縮合: ≡Si-OH+≡Si-OR→≡Si-O-Si≡+ROH
≡Si-OH+≡Si-OH→≡Si-O-Si≡+HO。
【0169】
例えば、式(I)又は(II)の前駆体が使用される実施形態において、以下は、加水分解ステップ及び縮合ステップを記述している。
加水分解:≡M-Y+HO→≡M-OH+YH
縮合:≡M-OH+≡M-Y→≡M-O-M≡+YH
≡M-OH+≡M-OH→≡M-O-M≡+HO。
【0170】
試験方法
平均シェル厚さ測定
第1のシェル構成要素と、それが存在する場合に第2のシェル構成要素とを含むカプセルのシェルを、有益剤を含有する20個の送達用カプセルについて、収束イオンビーム走査電子顕微鏡(FIBーSEM、FEI社製Helios Nanolab 650)又は同等の機器を用いて、ナノメートルの単位で測定する。少量の液体カプセル分散液(20μL)を蒸留水で希釈する(1:10)ことによって、サンプルを調製する。次いで、懸濁液をエタノール洗浄されたアルミニウムスタブ上に堆積させ、カーボンコーティング装置(Leica社製EM ACE600又は同等の機器)に移す。サンプルを、コーティング装置中、真空下で乾燥させる(真空レベル:10-5mbar)。次に、25nm~50nmの炭素をサンプル上にフラッシュ堆積させて、その表面上に導電性炭素層を堆積させる。次いで、アルミニウムスタブをFIB-SEMに移し、カプセルの断面を準備する。断面洗浄パターンを使用して、30kVの加速電圧で2.5nAの放出電流を用いてイオン粉砕することによって、断面を準備する。画像を、5.0kV及び100pAで、浸漬モード(ドウェル時間:約10マイクロ秒)を用いて、拡大率約10,000倍で取得する。
【0171】
サイズの偏りがない、無作為に選択された20個の有益剤送達用カプセルから、破砕されたシェルの画像を断面図で得て、存在するカプセルのサイズ分布の代表的なサンプルを作り出す。20個の封入体の各々のシェル厚さを、カプセルのシェルの外面の接面に対して垂直な測定線を引くことによって、較正された顕微鏡ソフトウェアを使用して、ランダムに選んだ異なる3箇所で測定する。60個の独立した厚さ測定値を記録し、それらを用いて平均厚さを計算する。
【0172】
カプセル直径の変動係数
カプセルサイズの分布は、AccuSizer 780 AD機器又は同等の機器と、付随するソフトウェアCW788バージョン1.82(Particle Sizing Systems社(米国カリフォルニア州サンタバーバラ)製)又は同等のソフトウェアを使用して、光学的粒子計数法(OPC)とも呼ばれる単一粒子光学検知法(SPOS)によって決定される。器具は、以下の条件及び選択肢を用いて構成する:流速=1mL/秒;小径側閾値=0.50μm;センサーモデル番号=LE400-05SE又は同等のもの;自動希釈=オン;収集時間:60秒;数チャネル=512;容器の流体体積=50ml;最大同時計数=9200。測定は、バックグラウンド計数が100未満になるまで水でフラッシングすることによって、センサを低温状態にすることによって開始される。懸濁液中の送達カプセルのサンプルが導入され、必要に応じてカプセルの密度が、脱イオン水を用いて自動希釈を介して調整されて、カプセルの計数が最大で、1mLあたり9200となるようにする。60秒間かけて、懸濁液を分析する。使用されるサイズの範囲は、1μm~493.3μmであった。
【0173】
体積分布:
【0174】
【数1】
式中、
CoVは、体積加重サイズ分布の変動係数であり、
σは、体積分布に関する分布の標準偏差であり、
μは、体積分布に関する分布の平均であり、
は、分画iの直径であり、
i、Vは、分画i(直径iに対応する)における体積分布の頻度であり、
【0175】
【数2】
【0176】
公称壁張力法
公称壁張力Tは、「Liu,M.(2010).Understanding the mechanical strength of microcapsules and their adhesion on fabric surfaces.Birmingham,United Kingdom:University of Birmingham (Doctoral thesis)」に記載の以下の式を使用して計算される:
【0177】
【数3】
(式中、Fは、単一マイクロカプセルの破裂力であり、Dは、圧縮前の単一カプセルの直径である。)公称壁張力Tは、破裂時の壁の張力又は伸びとして解釈される。個々のカプセルの直径(D)及び破裂力値(F)(バースト力値としても知られる)は、送達カプセルを撮像することができるレンズ及びカメラを有し、かつ力変換器(例えば、Aurora Scientific Inc.(Canada)から入手可能な、Model 403Aなど)又は同等の機器に接続された微細なフラットエンド型プローブを有するコンピュータ制御マイクロ操作器具システムを介して測定される。これについては、Zhang,Z.et al.(1999)「Mechanical strength of single microcapsules determined by a novel micromanipulation technique.」 J.Microencapsulation,vol.16,no.1,pages 117-124、及びSun,G.and Zhang,Z.(2001)「Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules.」J.Microencapsulation,vol.18,no.5,pages 593-602に説明されており、英国バーミンガム市のエッジバストン所在のバーミンガム大学で利用できる。
【0178】
公称壁張力は、以下のように決定される。
a)送達カプセル懸濁液を、顕微鏡スライドガラス上に一滴置き、周囲条件下で数分間乾燥させて水を除去し、乾燥したスライドガラス上に、低密度で孤立したカプセルを得る。必要に応じて懸濁液中のカプセルの濃度を調整して、スライドガラス上で好適なカプセル密度を得るようにする。2つ以上のスライド調製が必要とされる場合があり得る。
b)次いで、スライドをマイクロ操作器具のサンプル保持ステージ上に置く。スライド上の30個の有益剤送達用カプセルを測定のために選択し、3つの所定のサイズ範囲のそれぞれに選択された10個のカプセルが存在するようにする。各サイズ範囲は、Accusizerにより生成された体積加重PSDから導かれたカプセルの直径を指す。カプセルの3つのサイズ範囲は、平均直径±2μmと、5番目の百分位数直径±2μmと、90番目のパーセンタイル数直径±2μmとである。収縮したり、漏出があったり、あるいは損傷していたりするカプセルは、選択プロセスから除外され、測定されない。
c)30個の選択されたカプセルのそれぞれについて、カプセルの直径をマイクロ操作器具上の画像から測定し、記録する。次いで、2つの平坦な表面、すなわち、平坦な端部の力プローブと顕微鏡用スライドガラスとの間で、2μm/秒の速度で、その同じカプセルを圧縮し、カプセルを破裂させる。圧縮ステップ中、プローブの力を、マイクロ操作器具のデータ収集システムによって連続的に測定し、記録する。
d)各カプセルの直径(D)は、上記の実験装置又は同等の装置、及びZhang,Z.;Sun,G:「Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules.」J.Microencapsulation,Vol 18,no.5,pages 593-602,2001に記載の方法を使用して測定される。
e)破裂力(F)は、選択された各カプセルについて、Zhang,Z.et al.(1999)「Mechanical strength of single microcapsules determined by a novel micromanipulation technique.」J.Microencapsulation,vol.16,no.1,pages 117-124,及び Sun,G.and Zhang,Z.(2001)「Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules.」J.Microencapsulation,vol.18,no.5,pages 593-602.に示されるように、記録された力プローブ測定値から決定される。
f)30個のカプセルのそれぞれの公称壁張力(T)は、Liu,M.(2010)の「Understanding the mechanical strength of microcapsules and their adhesion on fabric surfaces.Birmingham,United Kingdom:University of Birmingham (Doctoral thesis)」に記載されているように、破裂力(F)(単位はニュートン)を、πで乗算したカプセルの直径(D)によって除算することによって計算される。
【0179】
有効体積コア対シェル比の評価
有効体積コア対シェル比の値は、以下のように決定され、シェル厚さ試験方法によって測定される平均シェル厚さに依存する。平均シェル厚さが測定されたカプセルの有効体積コア対シェル比は、以下の等式によって計算される:
【0180】
【数4】
(式中、厚さは、FIBSEMによって測定される、カプセルの集団の平均シェル厚さであり、Dcapsは、光学的粒子計数法によって測定される、そのカプセルの集団の平均体積加重直径である。)
【0181】
この比は、以下の式を用いてコア重量パーセンテージを計算することによって、コア対シェル分率値に変換することができる。
【0182】
【数5】
シェルパーセンテージは、以下の等式に基づいて計算することができる:
%シェル=100-%コア。
【0183】
分岐度決定方法
前駆体の分岐度を以下のように決定した:分岐度は、(29Si)核磁気共鳴分光法(NMR)を使用して測定される。
【0184】
サンプルの調製
各サンプルを、重水素化ベンゼン(Benzene-D6「100%」(D,99.96%、Cambridge Isotope Laboratories Inc.(マサチューセッツ州Tewksbury)から入手可能)又は同等物を使用して25%溶液に希釈する。0.015Mのクロム(III)アセチルアセトナート(純度99.99%、Sigma-Aldrich社(ミズーリ州St.Louis)から入手可能なもの、又は同等物)を、常磁性緩和試薬として添加する。ガラスNMR管(Wilmad-LabGlass社(ニュージャージー州Vineland)製又は同等物)を分析に使用する場合、サンプルを溶解するために使用されるのと同じタイプの重水素化溶媒でNMRチューブを充填することによって、ブランクサンプルも調製しなければならない。ブランク及びサンプルを分析するために、同じガラス管を使用しなければならない。
【0185】
サンプルの分析
分岐度は、Bruker 400 MHz核磁気共鳴分光法(NMR)器具、又は同等の器具を使用して決定される。標準的なケイ素(29Si)法(例えば、Brukerから)は、最小1000回のスキャン及び30秒の緩和時間を伴うデフォルトパラメータ設定で使用される。
【0186】
サンプルの処理
サンプルは保存され、MestReNovaバージョン12.0.4-22023(Mestrelab Researchから入手可能)又は同等物などのNMR分光法に適切なシステムソフトウェアを使用して処理される。位相調整及び背景補正が適用される。ガラスNMR管並びにプローブハウジング内に存在するガラスを使用した結果である、-70~-136ppmまで伸びる、大きく広い信号が存在する。この信号は、ブランクサンプルのスペクトルを合成サンプルのスペクトルから減算することによって抑制されるが、ただし同じチューブ及び同じ方法パラメータがブランク及びサンプルを分析するために使用されることを条件とする。データ収集、チューブなどのわずかな差異を更に考慮するために、関心領域のピークの外側の領域が、一貫した値に統合及び正規化されるべきである。例えば、-117~-115ppmを積算し、全てのブランク及びサンプルについて積算値を4に設定する。
【0187】
得られたスペクトルは、最大5つの主ピーク領域を生成する。第1のピーク(Q0)は、未反応のTAOSに対応する。第2のピークセット(Q1)は、末端基に対応する。次のピークのセット(Q2)は、直鎖状基に対応する。次の広いピークのセット(Q3)は、半樹枝状単位である。最後の広いピークのセット(Q4)は樹枝状単位である。PAOS及びPBOSが分析されるとき、各群は、定義されたppm範囲内に入る。代表的な範囲が、以下の表に記載される。
【0188】
【表1】
【0189】
ポリメトキシシランは、以下の表に記載されるように、Q0及びQ1に対して異なる化学シフトを有し、重なる信号をQ2に対して有し、かつQ3及びQ4が不変である:
【0190】
【表2】
【0191】
上記表に示されるppm範囲は、全てのモノマーに適用されなくてもよい。しかしながら、他のモノマーは、異なる化学シフトを引き起こし得るが、Q0~Q4の適切な割り当ては影響を受けるべきではない。
【0192】
MestReNovaを使用して、各ピーク群を積分し、分岐度を以下の式によって計算することができる:
【0193】
【数6】
【0194】
分子量及び多分散指数決定方法
本明細書に記載の縮合層前駆体の分子量(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))及び多分散指数(Mw/Mn)は、屈折率検出を伴うサイズ排除クロマトグラフィーを使用して決定される。Mnは数平均分子量である。
【0195】
サンプルの調製
サンプルを秤量し、次いで器具システムで使用される溶媒で、標的濃度10mg/mLまで希釈する。例えば、50mgのポリアルコキシシランを5mLのメスフラスコに秤量し、溶解し、トルエンで所定の体積に希釈する。サンプルが溶媒中に溶解した後、それを0.45μmのナイロンフィルターに通し、計器の自動サンプラーに装填する。
【0196】
サンプルの分析
屈折率検出器(例えば、Wyatt社(カリフォルニア州Santa Barbara)製、2414屈折率検出器、又は同等物)に接続された自動サンプラー(例えば、Waters社(マサチューセッツ州Milford)製、Waters 2695 HPLC分離モジュール、又は同等物)を用いたHPLCシステムを、ポリマー分析に使用する。分離は3つのカラムで実施されるが、各々が内径7.8mm×長さ300mmであり、5μmのポリスチレン-ジビニルベンゼン媒体が充填され、それぞれ1、10、及び60kDAの分子量でのカットオフがなされる。好適なカラムは、TSKGel G1000HHR、G2000HHR、及びG3000HHRカラム(TOSOH Bioscience社(ペンシルベニア州King of Prussia)から入手可能)又は同等物である。内径6mm×長さ40mmの、5μmのポリスチレン-ジビニルベンゼンのガードカラム(例えば、TSKgel Guardcolumn HHR-L(TOSOH BIOSCIENCE社製)、又は同等物)を使用して、分析カラムを保護する。トルエン(HPLCグレード又は同等物)を、カラム及び検出器の両方が25℃に維持された状態で、1.0mL/分で均一速度でポンプ圧送する。100μLの調製されたサンプルを、分析のために注入する。サンプルデータは、GPC計算能力を有するソフトウェア(例えば、Wyatt Technologies社(カリフォルニア州Santa Barbara)から入手可能なASTRA Version 6.1.7.17ソフトウェア又は同等物)を使用して、保存及び処理される。
【0197】
システムは、約0.250-70kDaの範囲の既知の分子量を有する10以上の狭く分散したポリスチレン標準(例えば、Standard ReadyCal Set(例えば、Sigma-Aldrich社製、PN76552、又は同等物))を使用し、Mp対滞留時間曲線に対する三次フィットを使用して較正される。
【0198】
システムソフトウェアを使用して、重量平均分子量(Mw)及び多分散指数(Mw/Mn)を計算及び報告する。
【0199】
有益剤透過率試験
透過率試験方法は、カプセルのシェルの透過性を表すことができる、カプセルの集団に対するカプセルコアからの特定の分子の連続相への拡散の割合を、決定することを可能にする。透過率試験方法は、特定の分子トレーサーのシェル透過性に関連する基準フレームであり、したがって、そのサイズを固定し、かつその親和性をカプセルシェルの外部の連続相に向けて固定する。これは、当該技術分野における様々なカプセルの透過性を比較するために使用される基準フレームである。分子トレーサー及び連続相の両方が固定される場合、シェルの透過性は、特定の条件のセット下で評価される単一のカプセル特性である。
【0200】
低い透過性が低いシェル気孔率を示すように、カプセルのシェルの透過性は、シェルの多孔性と相関する。
【0201】
カプセル透過性は、一般に、シェルの厚さ、コア内の活性物質の濃度、コア、シェル、及び連続相などにおける活性物質の溶解度などのパラメータの関数として与えられる。
【0202】
シェル全体に活性物質を拡散させるためには、活性物質をコアからシェルへ移動させなければならず、かつ活性物質をシェルから連続相へと移動させなければならない。この後者のステップは、連続相中の活性物質の溶解度が非常に好ましいという場合には急速であり、その場合には、界面活性剤系マトリクス中に疎水性材料が移動する。例えば、ある系中に0.025重量%の濃度で存在する活性物質は、15重量%の界面活性剤に完全に可溶化される可能性が非常に高い。
【0203】
上記を考慮すると、界面活性剤系マトリクス中の活性物質のシェル透過性を最小限に抑える制限ステップは、シェル全体にわたる拡散を制限するためである。疎水性シェル材料の場合、疎水性活性物質は、この活性物質によって膨潤させることができる場合、シェルに容易に可溶する性質である。この膨張度は、高いシェル架橋密度によって制限され得る。
【0204】
二酸化ケイ素などの親水性シェル材料の場合、疎水性材料は、シェル自体への溶解度が限られた値になる。それにもかかわらず、以下の要因を考慮すると、活性物質は急速に拡散することができる:界面活性剤分子及びミセルは、シェル内に拡散し、続いてコア自体に拡散することができ、これにより、コアからシェル内への、及び最終的に外部マトリクスへの経路が可能となる。
【0205】
したがって、親水性シェル材料の場合、高いシェル架橋密度が必要であるが、シェル内の細孔量も低減される必要がある。このような細孔は、界面活性剤系マトリクスへの活性物質の迅速な大量移動をもたらすことができる。したがって、カプセルのシェルの全体的な透過性とその多孔性との間には、明確かつ明白なリンクが存在する。実際に、カプセルの透過性は、任意の所与のカプセルの全体的なシェル構造への洞察を与える。
【0206】
前述のように、活性物質の拡散は、活性物質の性質、連続相におけるその溶解度、及びシェル構造(多孔性、架橋密度、及びそれが含有し得る任意の一般的な欠陥)によって定義される。したがって、3つの関連するパラメータのうちの2つを固定することによって、様々なシェルの透過性を効果的に比較することができる。
【0207】
この透過率試験の目的は、異なるカプセルのシェルの直接的比較を可能にするようなフレームワークを提供することである。更に、カプセルの大きな集団の特性を評価することが可能になり、したがって外れ値によって得られる歪曲された結果に悩まされない。
【0208】
したがって、カプセルの透過性は、特定の条件下で所与の時間内(例えば、7日以内で20%のトレーサー拡散)で所与の連続相内に拡散された所与の分子トレーサーの画分を介して定義することができる。
【0209】
本発明のカプセルは、透過率試験方法によって測定される、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、又は約20%未満の相対透過率を有する。
【0210】
透過率試験方法は、コア内に分子トレーサー、ベルジルアセテート(CAS#5413-60-5)(Vigon社製)を含有するカプセルからのトレーサーのシェル透過性を、同トレーサーの完全な拡散(例えば、100%透過性)を表す基準サンプルと比較して決定する。
【0211】
まず、任意の所与のカプセル調製方法に従ってカプセルを調製する。透過率試験方法のために、カプセルコアは、コアの重量の少なくとも10重量%のベルジルアセテートトレーサーを含んでいなければならず、あるいは調製中に、含むように補充されなければならない。この試験における「コアの重量」とは、シェルが形成され、カプセルが製造された後のコアの重量を指す。カプセルのコアは、例えばコア変性剤及び有益剤などの、意図された構成要素を含む。カプセルは、当該技術分野において一般的に行われるように、カプセルのスラリーとして調製することができる。
【0212】
カプセルは、次いで、透過率試験サンプルに製剤化される。透過率試験サンプルの製剤化は、カプセルのスラリーを、ドデシル硫酸ナトリウム(CAS#151-21-3)の水溶液と十分に混合して、試験サンプルの総重量に基づいて、合計コアオイル含有量が0.25重量%±0.025%及びSDS濃度が15重量%±1重量%を達成することを含む。必要とされるカプセルのスラリーの量は、以下のように計算することができる:
【0213】
【数7】
(式中、スラリーのオイル活性は、カプセル製造プロセスの質量バランスを介して決定される、スラリー中の油の重量%である。)
【0214】
SDS溶液は、SDSペレットを脱イオン水中に溶解させることによって調製することができる。カプセル及びSDS溶液は、混合中にカプセルの破損を防止するように設計された条件下で混合することができる。例えば、カプセル及びSDS溶液は、手又はオーバーヘッドミキサーで混合することができるが、磁気撹拌棒で混合されるべきではない。磁気撹拌棒によって混合すると、しばしばカプセルの破損をもたらすということが判明している。好適な混合法としては、IKAプロペラ型ミキサーを含むことができ、400rpm以下で混合し、SDS溶液及びカプセルスラリーを含む混合物の総質量は10g~50gである。磁気撹拌棒を使用せず、かつ所与のカプセル組成物を破壊することなく混合するための他の好適な混合装置及び好適な条件は、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0215】
ひとたび透過率試験サンプルが調製されると、そのサンプルを、透過率試験サンプルの体積の2倍以下の総容積を有するガラス製バイアルに入れ、気密蓋で密封する。封止された透過率試験サンプルは、温度35℃及び相対湿度40%で7日間保管される。保管中、封止された透過率試験サンプルは、光に曝露されず、測定前にはいかなる時点でも開封されない。
【0216】
100%拡散を表す基準サンプルも調製する。基準サンプルは、測定日(すなわち、透過率試験サンプルの調製から7日後)に使用できるように調製される。基準サンプルは、透過率試験サンプルに作製されたカプセルの質量バランスによって決定されるカプセルのコアの組成を複製する(ベルジルアセテートトレーサーを、コアの重量に基づいて同じ重量パーセント含む)ことを意図した、オイルを含まない混合物を、15重量%の水性SDSとで15%と組み合わせることによって調製される。オイルを含まない混合物及びSDS溶液は、オイルを含まない混合物が完全に可溶化するまで磁気撹拌機で均質化され、容器は、トレーサーの蒸発を回避するために混合中に密封されるべきである。均質化がかなりの時間を要する場合、上記のことは考慮される必要があり、必要に応じて7日前よりも早く基準サンプルの調製を開始することができる。可溶化した直後に、基準サンプルを基準サンプルの体積の2倍以下の容積のガラス製バイアルに入れ、気密蓋で密封する。SDS溶液は、透過率試験サンプルの場合と同様に、脱イオン水中にSDSペレットを溶解させることによって調製することができる。
【0217】
オイルを含まない混合物を所定の量添加して、基準サンプルの総重量に基づいて、基準サンプル中の、オイルを含まない混合物の総濃度0.25重量%±0.025%を達成する。
【0218】
【数8】
【0219】
ベルジルアセテートのガスクロマトグラフィーエリア計数によって表される透過性が、透過率試験サンプル(調製から7日後)及び基準サンプルについて、同じ日に、同じGC/MS分析装置を使用して分析される。具体的には、各試験用及び基準用サンプルに関して、100μLのサンプルのアリコートを、20mlのヘッドスペースバイアル瓶(Gerstel社製SPMEバイアル瓶20ml、部品番号093640-035-00)に移し、直ちに密封する(Gerstel社製SPME用クリンプキャップ、部分番号093640-050-00)。3つのヘッドスペースバイアルを、各サンプルに対して調製する。密封されたヘッドスペースバイアルを平衡化させる。サンプルは、室温で3時間後に平衡に到達するが、ヘッドスペースバイアルを密封した後最長で24時間後まで、結果を損なう又は変化させることなく、より長く放置することができる。平衡化後、サンプルをガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)により分析する。
【0220】
GS/MS分析は、バイアル瓶のヘッドスペースをSPME(50/30μm DVB/Carboxen/PDMS、Sigma-Aldrich社部品番号57329-U)を介して各バイアルのヘッドスペースをサンプリングすることにより、25mmのバイアルペネトレーションと1分間の抽出時間、及び室温下で実施される。SPME繊維は、続いて、GCインジェクタにオンラインで熱脱離される(温度270℃、スプリットレスモード、0.75mmのSPMEインレットライナー(Restek社、物品番号23434)又は同等物を用い、300秒の脱着時間、及び43mmのインジェクタペネトレーションで実施)。高速GC/MSのフルスキャンモードでベルジルアセテートを分析した。ベルジルアセテート(m/z=66)の比質量のイオン抽出を使用して、ベルジルアセテート(及び異性体)のヘッドスペース応答(エリアカウントで表される)を計算する。透過率試験サンプル及び基準サンプルそれぞれのヘッドスペース応答は、透過率試験サンプルに対するベルジルアセテートエリアカウント及び基準サンプルに対するベルジルアセテートエリアカウントとして、本明細書では言及される。
【0221】
この方法で使用するのに好適な装置としては、5977MSDを装備したAgilent社製7890B GC又は同等物、SPME(自動サンプラー)としてGerstel社製MPS、GCカラムとしてAgilent DB-5 UI 30m X 0.25 X 0.25カラム(部品番号122-5532UI)が挙げられる。
【0222】
透過率試験サンプル及び基準サンプルの分析は、同じ室温条件下で、同じ機器で、及び同じ日に、分析どうしの間にあまり間をおかずに行うべきである
【0223】
GC/MSデータ及び透過率試験サンプル中の実際の既知のベルジルアセテート含有量に基づいて、透過率パーセントを計算することができる。透過率試験におけるベルジルアセテートの実際の含有量は、カプセルの製造中のあらゆる損失を補正するように決定されなければならない。使用する方法は、以下に指定される。これは、カプセルコア内に製品をカプセル化する際にしばしば遭遇する非効率性を説明するものであり、カプセルの形成中に存在すると予想されるベルジルアセテートの全量は、スラリー中に存在するものよりも少ないということを説明するものである。パーセント透過率を計算するために、以下の式を使用することができる。
【0224】
【数9】
【0225】
この計算値は、40%の相対湿度及び35℃の温度の下で7日間保管された後で試験されたカプセルの、パーセント透過率である。
【0226】
SDSカプセル混合物中の実際のベルジルアセテート含有量を評価するために、特定の保管時間後にアリコートを回収しなければならない。このため、得られた混合物は、第1のサンプルが測定されるのと同じ日に開封されることにより、保管中にはバイアル瓶が密封されていることを確実にする。最初に、混合物は均質になるまで混合しなければならず、そのため、材料の正しい割合を含有する代表的なアリコートが回収される。次に、上記の均質な混合物1gを直径1cmのガラス製平底バイアルに導入し、バイアル瓶の直径の半分以上の長さの磁気撹拌棒を、そのバイアル瓶に導入する。磁気撹拌棒を入れた指定の広口瓶中の均質混合物を密封し、次いで磁気撹拌プレート上に置き、500rpmでの混合を使用して、撹拌棒の撹拌動作によって全てのカプセルが粉砕されるようにする。これにより、カプセル内に封入されていたコア材料を周囲のSDS溶液中に完全に放出させ、そうして実際のベルジルアセテート含有量の測定が可能になる。この内容の測定プロトコルは、破壊されていないカプセルに対してに実行されなければならない。加えて、測定ステップの前に、全てのカプセルが破壊されたかどうかを評価するために、カプセルは光学顕微鏡下で観察されなければならない。全てのカプセルが破壊されていない場合には、カプセルの粉砕を、混合速度及び/又は混合時間を増加させて繰り返す必要がある。
【0227】
第1のシェル構成要素における有機成分含有量を計算する方法
無機シェル中の有機部分の定義:M-X結合(Mは、金属及び半金属の基に属し、Xは非金属の基に属し、金属又は半金属Mの無機前駆体に当該部分を連結する)の加水分解を介して指定の反応条件の下で、金属Mを担持する金属前駆体から切断することができない任意の部分Xは、有機部分と見なされる。撹拌せずに中性のpHを有する蒸留水に24時間にわたって曝露したときに、最低でも1%の加水分解度を有することが、上記の反応条件として設定される。
【0228】
この方法は、全ての加水分解性基の完全な変換を仮定して、理論上の有機成分含有量を計算することを可能にする。したがって、シランの任意の混合物について有機成分の理論的割合を評価することが可能になり、その結果は、第1のシェル構成要素中の実際の有機成分含有量ではなく、この前駆体混合物自体の有機成分含有量のみを示す。したがって、第1のシェル構成要素の有機成分含有量について特定の割合が本文献のどこかに開示されている場合、その割合は、開示されている数よりも小さい理論的な有機含有量を以下の計算に従って与える、加水分解されていない又は予め重合された前駆体の任意の混合物を含有するものとして理解されるべきである。
【0229】
シランの例(ただし、シランに限定されず、本文書の最後に載せている一般式を参照のこと):
それぞれのモル分率Yを有するシランの混合物を検討する。なお、ここで、iは各シランの識別番号である。この混合物は、以下のように表され得る。
Si(XR)4-n
式中、XRは、上記定義で述べた条件下で加水分解性の基であり、R niは上記の条件下で非加水分解性であり、n=0、1、2、又は3である。
【0230】
このようなシランの混合物は、以下の一般式を有するシェルをもたらす。
【0231】
【数10】
【0232】
次に、先に定義したような有機部分の重量パーセンテージは、以下のように計算することができる。
1)各前駆体(ナノ粒子が含まれる)のモル分率を見つける。
2)各前駆体(ナノ粒子が含まれる)の一般式を決定する。
3)モル分率に基づいて、前駆体とナノ粒子との混合物の一般式を計算する。
4)反応したシランへ変換(全ての加水分解性基を酸素基へ)する。
5)有機部分対合計質量(フレームワークに対しての1モルのSiを仮定する)の重量比を計算する。
【0233】
【0234】
【表3】
【0235】
混合物の一般式を計算するために、個々の式中の各原子の指数は、それらのそれぞれのモル分率で乗算される。次いで、混合物の場合、同様の指数が発生するときには、分率指数の合計を採用する(典型的にはエトキシ基に対して)。
【0236】
注記:全てのSi分画の総計は、計算方法(Siの全モル分率の合計が1)により、混合物一般式中で常に1となる。
SiO1*0.57+2*0.25(OEt)2*0.57+4*0.07+2*0.10Me2*0.10
SiO1.07(OEt)1.62Me0.20
【0237】
未反応の式を反応後の式に変換するには、単に、全ての加水分解性基の指数を2で除し、次いでそれらを一つに合計して(適用可能な場合には任意の既存の酸素基と共に)、完全に反応したシランを得る。
SiO1.88Me0.20
【0238】
この場合、期待される結果は、全ての指数の合計が以下の式に従う必要があるため、SiO1.9Me0.2である:
A+B/2=2、
(式中、Aは酸素原子指数であり、Bは、全ての非加水分解性指数の合計である。)小さい誤差が、計算中に概数をとることから発生するが、それは補正されるべきである。次いで、酸素原子の指数を再調整して、この式を満たすようにする。
【0239】
したがって、最終式はSiO1.9Me0.2であり、有機成分の重量比は以下のように計算される:
重量比:=(0.2015)/(28+1.916+0.2015)=4.9%
【0240】
一般的な場合:
上記の式は、金属又は半金属Mの価数を考慮することによって一般化することができ、したがって、以下の修正された式を得ることができる:
M(XR)V-m
同様の方法を使用するが、それぞれの金属の価数Vが考慮される。
【実施例
【0241】
以上、本開示の特定の実施形態について図示、説明したが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変が可能である点は当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内に属するかかる変更及び修正は全て、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
【0242】
実施例1:非加水分解性前駆体の合成
サンプルの前駆体A~S、AV~AADを、以下の方法で作製した:
ある量のTAOS試薬(Sigma Aldrich社から入手可能)を、窒素雰囲気下で、撹拌棒及び蒸留装置を装備した清浄な乾燥した丸底フラスコに加えた。ある量の酢酸無水物(Sigma Aldrich社から入手可能)及び触媒(Gelest社、Sigma Aldrich社から入手可能)を加え、フラスコの内容物を撹拌し、表1に示すように加熱した。この反応物を、示された時間かけて示された温度まで加熱したが、その間、アルコキシシラン基と無水酢酸との反応により生成した有機エステルを、ポリアルコキシシラン(PAOS)が生成された際に発生した他のアルコキシシラン基とシリル-アセテート基との縮合によって生成された追加の有機エステルと共に留去した。反応フラスコを室温まで冷却し、ロータリーエバポレーター(Buchi社製Rotovapor R110)上に置いて、このロータリーエバポレーターを水浴槽及び真空ポンプ(Welch社製1402 DuoSeal)と共に使用して、残りの溶媒を全て除去した。全ての反応物及び試薬の種類及び比率、触媒及び比率、並びに全ての反応条件(例えば、時間及び温度)は、表1に詳しく挙げられている。
【0243】
以下の反応物質は、以下のように略される場合がある:テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)、トリエトキシメチルシラン(TEMS)、ジエトキシ-ジメチルシラン(DEDMS)、トリメチルエトキシシラン(TMES)、テトラアセトキシシラン(TAcS)、及びチタンテトラブトキシド(TTB)。
【0244】
実施例2:加水分解性前駆体の合成
サンプルの前駆体U~Z、AA~AI、及びAK~AABを、以下の方法によって作製した。
ある量のTAOS試薬(Sigma Aldrich社から入手可能)を、窒素雰囲気下で、撹拌棒及び蒸留装置を備えた清浄な乾燥した丸底フラスコに加え、これにある量のアルコール(Sigma Aldrich社から入手可能)を添加した。表2に示すように、水に溶解したある量の触媒を添加した。水に溶解させた1N及び0.1NのHClは、Sigma Aldrich社から入手可能である。0.1NのHClを、蒸留水(Sigma Aldrich社から入手可能)で希釈することによって、0.002NのHClを調製した。この反応物を攪拌し、示された時間かけて示された温度まで加熱したが、その間、アルコキシシラン基の加水分解により生成したアルコールと、アルコール溶媒とを共に、ポリアルコキシシラン(PAOS)が生成される際に発生したシラノール基の縮合によって生成された水の一部と共に留去した。反応フラスコを室温まで冷却し、ロータリーエバポレーター(Buchi社製Rotovapor R110)上に置いて、このロータリーエバポレーターを水浴槽及び真空ポンプ(Welch社製1402 DuoSeal)と共に使用して、残りの溶媒を全て除去した。全ての反応物及び試薬の種類及び比率、触媒及び比率、並びに全ての反応条件(例えば、時間及び温度)は、表2に詳しく挙げられている。
【0245】
サンプルAB及びACなどのいくつかのサンプルでは、以下の表2のステップ2として識別された更なる反応が必要であった。ステップ2において、上述した反応からの生成物を出発物質として用いたことを除いて、上述の手順を繰り返した。全ての反応物及び試薬の種類及び比率、触媒及び比率、並びに全ての反応条件(例えば、時間及び温度)は、表2に詳しく挙げられている。
【0246】
【表4-1】
【0247】
【表4-2】
ゲル点を超えたサンプル。特性データ入手できず、
**結果は、3つの合成材料の平均である
***ポリスチレン換算重量平均分子量(上に説明したように計算される)
【0248】
【表5-1】
【0249】
【表5-2】
【0250】
【表5-3】
【0251】
【表5-4】
【0252】
【表5-5】
【0253】
【表5-6】
ゲル点を超えたサンプル。特性データは利用不可
【0254】
実施例3:水中油型カプセル
表3のセクションAのカプセル(サンプルC、E、F、G、H、I、J、K、L、Q、S、T、Z、AA、AB、及びAC、並びに比較例W)を、以下の方法で作製した:
油相は、有益剤及び/又はコア変性剤を有する前駆体を混合し、均質化すること(又は、全ての化合物が混和性である場合には溶解させること)によって調製した。水相は、酸又は塩基を水に添加して、所望の出発時点pHを得るように調製した。次に、ナノ粒子を水相に添加し、超音波浴で少なくとも30分間分散させた。
【0255】
各相を別々に調製した後、それらを組み合わせ、油相を適切な混合ツール、時間、及びエネルギーで水相中に分散させ、カプセルの所望の平均カプセル直径に到達させた。別途あらためて指定がない場合、ひとたび乳化ステップが完了すると、得られたエマルションを、カプセルが崩壊しないだけの十分な硬化が生じるまで、撹拌することなく指定の温度で静置した。任意選択的に、第2のシェル構成要素を堆積させるために、カプセルは、表3に記載される材料及び量を有する第2のシェル構成要素溶液で後処理を受けることができた。
【0256】
カプセルが崩壊するかどうかを試験するために、スラリーは、脱イオン水で少なくとも10倍に希釈されなければならない。結果得られた希釈液の液滴を、顕微鏡用マイクロスライド上に加えて、室温で一晩乾燥させた。翌日、乾燥したカプセルを、光透過によって光学顕微鏡下で観察して、カプセルがその球形の形状を維持していたかどうかを評価した(カバースライドは使用せず)。
【0257】
全ての試薬の種類及び比率、並びに全ての反応条件(例えば、混合、硬化時間及び温度)を表3に詳細に示し、結果を表4に詳細に示す。全ての結果は、本明細書に記載の試験方法に従って試験又は測定された。
【0258】
図2Aは、サンプルQのカプセルを示し、図2Bは、表3及び表4のサンプルQのカプセルのシェルを示す。図3Aは、サンプルIの、破壊されていないカプセルを示し、図3Bは、表3及び表4のサンプルIのカプセルのシェルを示す。図4Aは、サンプルEのカプセルを示し、図4Bは、表3及び表4のサンプルEのカプセルのシェルを示す。図5は、表3及び表4のサンプルCのカプセルを示す。図6は、表3及び表4のサンプルZのカプセルのシェルを示す。図7A図7Bは、表3及び表4のサンプルGの第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を含む、実質的に無機のシェルを有するカプセルを示す。図8Aは、サンプルHの第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を含む、実質的に無機のシェルを有するカプセルを示し、図8Bは、表3及び表4のサンプルHの第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を含む、実質的に無機のシェルを有するカプセルのシェルを示し、図9は、表3及び表4のサンプルWのカプセルのシェルが崩壊しているのを示す。図10は、サンプルKのカプセルの、エネルギー分散X線スペクトルを示し、図11は、表3及び表4のサンプルAAのカプセルの、エネルギー分散X線スペクトルを示す。
【0259】
実施例4:油中水型カプセル
表3のカプセル(実施例N及びAD)を以下の方法で作製した:
水相は、少なくとも有益剤と、水、コア変性剤、有益剤、及びナノ粒子のうちの任意の組み合わせとを混合し、均質化することによって調製した。油相は、連続相として、大きな過剰な量の疎水性液体から構成された。油相は、水とは実質的に非混和性である、溶媒又は任意の液体有機分子であり得る。油相は、超音波浴内で、上記の疎水性液体中に少なくとも30分間十分に分散されたナノ粒子が含まれた。連続相である油相は、乳化前又は乳化後の金属酸化物前駆体と、乳化前又は乳化後の有機酸とを含んでいた。
【0260】
各相を別々に調製した後、それらを組み合わせ、水相を適切な混合ツール、時間、及びエネルギーで油相中に分散させ、カプセルの所望の平均直径に到達させた。別途あらためて指定がない場合、ひとたび乳化ステップが完了すると、得られたエマルションを、カプセルが崩壊しないだけの十分な硬化が生じるまで、撹拌することなく指定の温度で静置した。任意選択的に、第2のシェル構成要素を堆積させるために、カプセルは、表3に記載される材料及び量を有する第2のシェル構成要素溶液で後処理を受けることができた。
【0261】
カプセルが崩壊するかどうかを試験するために、スラリーは、脱イオン水で少なくとも10倍に希釈されなければならない。結果得られた希釈液の液滴を、顕微鏡用マイクロスライド上に加えて、室温で一晩乾燥させた。翌日、乾燥したカプセルを、光透過によって光学顕微鏡下で観察して、カプセルがその球形の形状を維持していたかどうかを評価した(カバースライドは使用せず)。
【0262】
全ての試薬の種類及び比率、並びに全ての反応条件(例えば、混合、硬化時間及び温度)を表3に詳細に示し、結果を表4に詳細に示す。全ての結果は、本明細書に記載の試験方法に従って試験又は測定された。
【0263】
図12A及び図12Bは、表3及び表4のサンプルNのカプセルを示す。
【0264】
実施例5:シェルの有機成分含有率が変動する水中油型カプセル
表3のセクションBのカプセル(実施例AF、AH、及びAJ、並びに比較例AE、AG、AK、AL、AI、AM、AN、AO、及びAP)を、以下の方法によって作製した:
油相は、有益剤及び/又はコア変性剤を有する前駆体を混合し、均質化すること(又は、全ての化合物が混和性である場合には溶解させること)によって調製した。水相は、酸又は塩基を水に添加して、所望の出発時点pHを得るように調製した。次に、ナノ粒子を水相に添加し、超音波浴で少なくとも30分間分散させた。
【0265】
各相を別々に調製した後、それらを組み合わせ、油相を適切な混合ツール、時間、及びエネルギーで水相中に分散させ、カプセルの所望の平均カプセル直径に到達させた。別途あらためて指定がない場合、ひとたび乳化ステップが完了すると、得られたエマルションを、カプセルが崩壊しないだけの十分な硬化が生じるまで、撹拌することなく指定の温度で静置した。任意選択的に、第2のシェル構成要素を堆積させるために、カプセルは、表3に記載される材料及び量を有する第2のシェル構成要素溶液で後処理を受けることができた。
【0266】
カプセルが崩壊するかどうかを試験するために、スラリーは、脱イオン水で少なくとも10倍に希釈されなければならない。結果得られた希釈液の液滴を、顕微鏡用マイクロスライド上に加えて、室温で一晩乾燥させた。翌日、乾燥したカプセルを、光透過によって光学顕微鏡下で観察して、カプセルがその球形の形状を維持していたかどうかを評価した(カバースライドは使用せず)。
【0267】
全ての試薬の種類及び比率、並びに全ての反応条件(例えば、混合、硬化時間及び温度)を表3に詳細に示し、結果を表4に詳細に示す。全ての結果は、本明細書に記載の試験方法に従って試験又は測定された。
【0268】
表3及び表4のセクションB(それぞれ、カプセルの製造及び結果)は、図13に示すように、第1のシェル構成要素内の有機成分含有量の割合がより大きいカプセルの透過性が、第2のシェル構成要素の添加後に、高くなることを示す。第1のシェル構成要素のみでは、透過性は高いが、カプセルは、崩壊することなく風乾に耐えることができる。
【0269】
実施例6:コア/シェル比の値が変動する水中油型カプセル
表3のセクションCのカプセル(実施例AU及びAV、並びに比較例B、AQ、AR、AS、AT、及びAW)を、以下の方法で製造した。
油相は、有益剤及び/又はコア変性剤を有する前駆体を混合し、均質化すること(又は、全ての化合物が混和性である場合には溶解させること)によって調製した。水相は、酸又は塩基を水に添加して、所望の出発時点pHを得るように調製した。次に、ナノ粒子を水相に添加し、超音波浴で少なくとも30分間分散させた。
【0270】
各相を別々に調製した後、それらを組み合わせ、油相を適切な混合ツール、時間、及びエネルギーで水相中に分散させ、カプセルの所望の平均カプセル直径に到達させた。別途あらためて指定がない場合、ひとたび乳化ステップが完了すると、得られたエマルションを、カプセルが崩壊しないだけの十分な硬化が生じるまで、撹拌することなく指定の温度で静置した。任意選択的に、第2のシェル構成要素を堆積させるために、カプセルは、表3に記載される材料及び量を有する第2のシェル構成要素溶液で後処理を受けることができた。
【0271】
カプセルが崩壊するかどうかを試験するために、スラリーは、脱イオン水で少なくとも10倍に希釈されなければならない。結果得られた希釈液の液滴を、顕微鏡用マイクロスライド上に加えて、室温で一晩乾燥させた。翌日、乾燥したカプセルを、光透過によって光学顕微鏡下で観察して、カプセルがその球形の形状を維持していたかどうかを評価した(カバースライドは使用せず)。
【0272】
全ての試薬の種類及び比率、並びに全ての反応条件(例えば、混合、硬化時間及び温度)を表3に詳細に示し、結果を表4に詳細に示す。全ての結果は、本明細書に記載の試験方法に従って試験又は測定された。
【0273】
表3のセクションCの実施例は、シェル透過性法に従う、シェルの低い透過性を得るためには、本発明に開示されるように、最適な体積加重平均カプセル直径(10μm~200μm)、最適な平均シェル厚さ(170nm~1000nm)と、最適なコアシェル比(80:20~98:2)とを組み合わせることが重要であるということを示す。図14は、実施例(透過率が40%未満)をプロットする際の、及び比較例(透過率が40%超)をプロットする際の、関心領域を示す。図15Aは、コア対シェル比が78:22である、表3及び表4のサンプルB(比較例)のカプセルのシェルを示す。図15Bは、表3及び表4のサンプルBのカプセルを示し。図16は、コア対シェル比が99:1である、表3及び表4のサンプルAW(比較例)のカプセルのシェルを示す。
【0274】
実施例7:第1のシェル構成要素前駆体の分岐度及び分子量を変動させて調製された水中油型カプセル
表3のセクションDのカプセル(実施例AAA、AAB、及びAAC、並びに比較例AX、AY、AAD、AAE、及びAAF)を、以下の方法で製造した:
油相は、有益剤及び/又はコア変性剤を有する前駆体を混合し、均質化すること(又は、全ての化合物が混和性である場合には溶解させること)によって調製した。水相は、酸又は塩基を水に添加して、所望の出発時点pHを得るように調製した。次に、ナノ粒子を水相に添加し、超音波浴で少なくとも30分間分散させた。
【0275】
各相を別々に調製した後、それらを組み合わせ、油相を適切な混合ツール、時間、及びエネルギーで水相中に分散させ、カプセルの所望の平均カプセル直径に到達させた。別途あらためて指定がない場合、ひとたび乳化ステップが完了すると、得られたエマルションを、カプセルが崩壊しないだけの十分な硬化が生じるまで、撹拌することなく指定の温度で静置した。任意選択的に、第2のシェル構成要素を堆積させるために、カプセルは、表3に記載される材料及び量を有する第2のシェル構成要素溶液で後処理を受けることができた。
【0276】
カプセルが崩壊するかどうかを試験するために、スラリーは、脱イオン水で少なくとも10倍に希釈されなければならない。結果得られた希釈液の液滴を、顕微鏡用マイクロスライド上に加えて、室温で一晩乾燥させた。翌日、乾燥したカプセルを、光透過によって光学顕微鏡下で観察して、カプセルがその球形の形状を維持していたかどうかを評価した(カバースライドは使用せず)。
【0277】
全ての試薬の種類及び比率、並びに全ての反応条件(例えば、混合、硬化時間及び温度)を表3に詳細に示し、結果を表4に詳細に示す。全ての結果は、本明細書に記載の試験方法に従って試験又は測定された。
【0278】
表3のセクションDのカプセルのデータは、0.2未満の分岐度及び700Da未満の分子量を有するPAOSで製造されたカプセルが、40%より高いシェルの透過率を示し、かつ/又は、図17のグラフによって表されるように、崩壊することなく風乾に耐えないということを示す。
【0279】
例として、以下は、透過率試験方法を適用して、下記の表3及び表4の実施例Rのカプセルのシェルの透過性を判定することを、詳細に説明したものである。
【0280】
ベルジルアセテートは、芳香剤組成物中に、13重量%の濃度で存在した。
【0281】
表3の実施例Rで得られたカプセルのスラリーは、カプセル製造プロトコルの質量バランスに基づいて、19.04%の油活性を有していた。0.131gのこのスラリーを計って、9.87gの15重量%のSDS(水)溶液中に加え、0.249重量%の油濃度と、14.53%のSDS濃度とを有する生成物を得た。バイアルを手で穏やかに円を描くように振盪することによって、得られた混合物を良好に分散させた。ガラス製バイアル瓶を気密蓋で密閉し、35℃の温度及び40%の湿度下で、7日間保管した。製品を製造した日は、0日目と見なすものとする。サンプル中の実際のベルジルアセテート含有量は、理論値に対応していることが判明した。
【0282】
7日目に、カプセル製造に使用した油を0.126g計量し、15重量%のSDS(水)溶液49.88g中に加えて、0.252%の油濃度と14.96%のSDS濃度とを有する基準サンプルを得た。得られた混合物を密閉ジャー内で、油が完全に可溶化するまで、電磁攪拌器を用いて撹拌した。基準サンプルをとっておいて、室温で保管した。
【0283】
測定前に、カプセルを含有する製品を保管場所から取り出した。カプセルはバイアルの底部に沈んでいた。液体の全体積が混濁するまで、バイアルを穏やかに円を描くように振盪することによって、カプセルを再分散させた。カプセルが再分散された直後に、容積型ピペット(Eppendorf社製)を使用して、100μLのアリコートを3つの別個のヘッドスペースバイアルの底部に挿入し、直ちにクリンプキャップで密封した。
【0284】
基準製品についても、同じ操作を行った。
【0285】
室温で3時間平衡化した後、バイアルを含む基準製品の第1の複製を、試験方法の項に概説されたように、ヘッドスペースGC/MSによって測定した。ひとたびGCオーブンが開始温度まで冷却されると、次の複製を直ちに測定した。この手順を、全ての基準製品の複製と、全てのカプセル含有製品の複製が分析されるまで続けた。
【0286】
66のM/Zに対するイオンクロマトグラムを抽出し、ベルジルアセテート及びその異性体に対応するピークを、全質量スペクトルを読み取り文献と比較することによって、同定した。次いで、これらの同定されたピークを積分して、ピーク下の面積を得た。基準サンプル及びカプセルサンプルについて、3つの複製の領域の平均をそれぞれ計算した(下記表A)。
【0287】
【表6】
【0288】
上記の表に基づくと、基準サンプルの平均面積は73233であり、カプセル含有製品の平均面積は49731であった。
【0289】
【数11】
これは、温度35℃及び相対湿度40%で保存すること7日後のベルジルアセテートのシェル透過率である。
【0290】
【表7-1】
【0291】
【表7-2】
【0292】
【表7-3】
【0293】
【表7-4】
【0294】
【表7-5】
【0295】
【表7-6】
【0296】
表3において言及されている条件
a.メントールメンチルラクテート(MML)を、メントールとメンチルラクテートとを1:1の重量比で混合することによって調製し、室温で液体の物質が得られた(その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,897,195(B2)号に、上記の混合物の作製方法が開示されている)。
b.室温で4時間、50℃で16時間、70℃で96時間硬化。
c.50℃で3週間硬化。
d.室温で5週間以上硬化。
e.スラリーを0.1MのHClで20倍に希釈し、第2のシェル構成要素前駆体の溶液で処理し、これを、オーバーヘッド撹拌機を用いて、350RPMで常時撹拌しつつ、プラスチックピペットを用いて室温及びpH1.2の条件下で滴加した。カプセルを300RPMで撹拌しながら24時間保持し、次いで2500rpmで10分間遠心分離にかけて、脱イオン水中に再分散させた。
f.スラリーを0.1MのHCl中で4倍に希釈し、室温で、懸架式磁気攪拌機リアクターを350RPMで使用して、第2のシェル構成要素前駆体の溶液を制御しながら添加して(毎分10μL)処理した。1MのHCl(水)溶液及び1MのNaOH(水)溶液を使用して、pH7でpHを一定に保った。カプセルを300RPMで撹拌しながら24時間保持し、次いで2500rpmで10分間遠心分離にかけて、脱イオン水中に再分散させた。
g.スラリーを脱イオン水で10倍に希釈し、懸架式磁気攪拌機リアクターを350RPMで使用して、1時間かけて、CaCl水溶液(1M、1mL)及びNaCO水溶液(1M、1mL)を制御しながら添加して処理する。1MのHCl(水)溶液及び1MのNaOH(水)溶液を使用して、pH7でpHを一定に保った。カプセルを300RPMで撹拌しながら24時間保持し、次いで2500rpmで10分間遠心分離にかけて、脱イオン水中に再分散させる。
h.各ステップの前及びステップ(3)の後、スラリーを10gの脱イオン水で洗浄し、1500rpmで10分間遠心分離し、上清を3回分離しなければならない。ステップ(1)及び(2)のスラリーを溶液に添加し、その混合物を室温で、実験室用振盪器を用いて10分間にわたって振盪する。ステップ(3)のスラリーを溶液に添加し、60℃の温度で、オーバーヘッドミキサーを使って、150rpmで1時間にわたって振盪する。
【0297】
【表8-1】
【0298】
【表8-2】
【0299】
【表8-3】
a.比較例:マイクロスライド上で乾燥させたときにカプセルが崩壊したため、測定が不可能であった。
b.スラリーの粘性があまりにも高かったので、第2のシェル構成要素は配置されなかった。
【0300】
下記の全ての実施例について、以下の方法を使用して、カプセルが崩壊するかどうかを試験した:0.1gのスラリーを5グラムの脱イオン水の中に希釈した。マイクロスライド上に、この希釈物を数滴加え、全ての水が蒸発するまでカプセルを風乾させた。光学顕微鏡を用いて乾燥スラリーを観察して、カプセルが初期の球形形状を維持している場合に、カプセルが崩壊しなかったかどうかを判定することができる。
【0301】
以下の実施例8-1、及び比較例8-2及び8-3は、シェルの低い透過性を得るためには、本発明に開示される前駆体を、本発明に開示されているように、ナノ粒子及び第2のシェル構成要素と組み合わせて使用することが重要であるということを示す。
【0302】
実施例8-1
1.25gのAerosil 300を計り、総重量が100gになるように0.1MのHClを加えて水相を調製した。ナノ粒子は、混合物を超音波浴中で、少なくとも30分間にわたって又は固体沈降物がなくなるまで、超音波処理することによって分散させた。
【0303】
油相を、1gの前駆体AYを、式A(下記参照)の芳香混合物4gと混合し、均質化することによって調製した。
【0304】
16gの水相を上記の油相と、ULTRATURRAX(IKA社製のS25N-10G混合ツール)を13500rpmで用いて、1分間混合した。得られた混合物を気密蓋で蓋をし、室温で4時間放置し、50℃で更に3週間放置した。
【0305】
50℃で3週間経過後、カプセルのスラリーが形成された。カプセルは、マイクロスライド上では崩壊しなかった。
【0306】
スラリーを0.1MのHCl中で4倍に希釈し、室温で、懸架式磁気攪拌機リアクターを350RPMで使用して、ケイ酸ナトリウムの10重量%水溶液2gを制御しながら添加して(毎分10μL)処理した。1MのHCl(水)溶液及び1MのNaOH(水)溶液を使用して、pH7でpHを一定に保った。カプセルを300RPMで撹拌しながら24時間保持し、次いで2500rpmで10分間遠心分離にかけて、脱イオン水中に再分散させた。
【0307】
得られたカプセルスラリーを本発明に開示される透過率試験にかけて、透過率試験に基づいてシェル透過率パーセンテージを21%とした。
【0308】
比較例8-2
水相は、25重量%のCTAC(水)溶液(Sigma Aldrich社によって供給される)を脱イオン水の中に希釈して、CTACの濃度を0.52重量%に到達させることによって調製した。
【0309】
油相は、40gの式(A)の芳香剤と10gのTEOSとを混合することによって作製した。
【0310】
上記油相を上記の水相100gと、ULTRATURRAXミキサー(IKA社製のS25N混合ツール)を8500rpmで用いて、1分間混合した。得られたエマルションのpHを、1MのNaOH(Sigma Aldrich社から供給)を使用して、3.9にトリミングした。次いで、エマルションを、オーバーヘッドミキサーで160rpmで連続的に撹拌し、水又はいかなる他の構成成分の蒸発をも回避するために被覆されたジャケット付き反応器内で、30℃で17時間にわたって加熱した。17時間の反応時間後、カプセルが形成された。カプセルは、風乾時に崩壊した。
【0311】
得られたカプセルスラリーを本発明に開示される透過率試験にかけて、透過率試験に基づいてシェル透過率パーセンテージを67%とした。
【0312】
比較例8-3
カプセルスラリーが形成された後、pHを3.2にトリミングしたこと、5.7gのTEOSを320分間かけて滴下したこと、温度が30℃に維持されたこと、オーバーヘッドミキサーを用いた混合速度が160rpmで維持されたことを除いて、比較例8-1と同様とした。全てのTEOSを添加した後、スラリーを、オーバーヘッドミキサーを用いて160rpmで、30℃の温度下、更に18時間混合してカプセルを得た。カプセルは、風乾時に崩壊しなかった。
【0313】
得られたカプセルスラリーを本発明に開示される透過率試験にかけて、透過率試験に基づいてシェル透過率パーセンテージを67%とした。
【0314】
芳香剤式(A):
ヘキシルアセテート9重量%
ジヒドロジャスモン酸メチル9重量%
テトラヒドロリナロール9重量%
α-イオノン9重量%
リリアール18重量%
ヘキシルシンナミルアルデヒド18重量%
サリチル酸ヘキシル18重量%
ベルジルアセテート10重量%
以下の実施例9-1並びに比較例9-2及び9-3は、シェルの低い透過性を得るためには、本発明に開示される前駆体を、本発明に開示されているように、ナノ粒子及び第2のシェル構成要素と組み合わせて使用することが重要であるということを示す。
【0315】
実施例9-1
表3の実施例識別記号AAA。カプセルは、風乾時に崩壊せず、透過率試験において、20%の透過率パーセンテージを有した。
【0316】
比較例9-2:
磁気撹拌棒を備えた50 mlの丸底フラスコ内で、0.01MのHCl(水溶液)4gを、フェニルトリエトキシシラン(PhTEOS)3gと組み合わせた。当初は、2つの相は混和性がない。次に混合物を、1000rpmで激しく撹拌しながら、pHを0.1MのNaOHを用いて2にトリミングした。混合物を1000rpm及び室温で攪拌し、均質な混合物を得た。これにより、前駆体混合物を得た。
【0317】
次に、例えばAAAと同じ芳香剤1.5gを、50重量%のCTAC溶液18mgを含有する水48.5gに添加した。得られた混合物を室温で、磁気撹拌棒を用いて30分間撹拌した後、25重量%のアンモニア2.5mLを添加して、5mLの上記調製された前駆体混合物を添加した。これを更に2時間撹拌した後、カプセルが形成された。カプセルは、風乾後に崩壊していた。
【0318】
カプセルは、透過率試験に基づいて、99%の透過率パーセンテージを有していた。
【0319】
比較例9-3
例えばAAAと同じ芳香剤144グラムを計って容器内に入れた。別の容器では、25重量%のCTAC溶液3.84gを混合し、脱イオン水で質量を96gにすることによって、1重量%のCTAC溶液96gを作製した。上記の芳香剤を、上記の界面活性剤混合物と、IKA社製のULTRATURRAXミキサー(S25N混合ツール)を用いて、8000rpmで5分間混合した。
【0320】
次に、3.8のpHを有する(濃縮HClでトリミングした)水144gを、上記の調製したエマルション系に添加した。
【0321】
次に、26.73gのTEOS及び0.27gのジメチルジエトキシシランを含有する混合物27gを、常時混合しながらエマルション系に滴加した。全ての前駆体を添加した時点で、混合物を50℃に加熱し、ジャケット付き反応器内でオーバーヘッドミキサーを用いて、200rpmで2時間撹拌した。
【0322】
得られたカプセルは、風乾時に崩壊し、カプセルは透過率試験によって測定した透過率パーセンテージが、77%であった。
【0323】
以下の実施例10-1及び10-3、並びに比較例10-2、10-4、10-5、及び10-6は、低い透過性を有するカプセルを得るためには、本発明に開示されるような正しい前駆体、正しいナノ粒子、及び正しい第2のシェル構成要素を選択することが重要であるということを示す。
【0324】
実施例10-1
1.25gのAerosil 300を計り、総重量が100gになるように0.1MのHClを加えて水相を調製した。ナノ粒子は、混合物を超音波浴中で、少なくとも30分間にわたって又は固体沈降物がなくなるまで、超音波処理することによって分散させた。
【0325】
油相を、1gの前駆体AYと、3.5gのミリスチン酸イソプロピルと、0.5gのベルジルアセテートとを混合し、均質化することにより調製した。
【0326】
16gの上記水相を、上記の油相と、ULTRATURRAX(IKA社製のS25N-10G混合ツール)を13500rpmで用いて、1分間混合した。得られた混合物を気密蓋で蓋をし、室温で4時間放置し、50℃で更に3週間放置した。
【0327】
50℃で3週間経過後、カプセルのスラリーが形成された。カプセルは、マイクロスライド上では崩壊しなかった。このカプセルには、第2のシェル構成要素が添加されておらず、このカプセルの透過率パーセンテージは、透過率試験に基づいて40%であった。
【0328】
比較例10-2
第2のシェル構成要素を添加しなかったことを除いて、例えば、表3の実施例識別記号AACと同じプロセスとした。カプセルは乾燥に耐えることができ、カプセルの透過率パーセンテージは、透過率試験に基づいて98%であった。
【0329】
実施例10-3
表3の実施例識別記号AAC。カプセルは乾燥に耐えることができ、カプセルの透過率パーセンテージは、透過率試験に基づいて25%であった。
【0330】
比較例10-4
油相を、20gのTEOSと、115gのミリスチン酸イソプロピルと、15gのベルジルアセテートとを混合することによって調製した。
【0331】
次に、25重量%のCTAC(水)溶液10gを計って、重量を脱イオン水で150gにして、1.67重量%のCTAC濃度に到達させることによって水相を調製した。
【0332】
2つの相をULTRATURRAXミキサー(IKA社製のS25Nツール)を、6000rpmで用いて1分間混合した。次に、Ludox TM-50を50g加え、系を更に1分間、8000rpmで混合した。次に、1MのHClを用いて、pHを5に調整した。
【0333】
上記混合物に、水中の10重量%のPVOH(Selvol 540)を50gと、水中の25重量%のケイ酸ナトリウム5gとを添加した。次いで、pHを4に再調整し、系を室温で、オーバーヘッドミキサーを用いて200rpmで20時間撹拌した。マイクロスライド上での風乾時にカプセルは崩壊した。カプセルの透過率パーセンテージは、透過率試験に基づいて92%であった。
【0334】
比較例10-5
カプセルの形成後に、5重量%のポリクオタニウム-7の水溶液40gを更に、最終的に添加したことを除き、比較例10-4と同じとした。マイクロリド上での風乾時にカプセルは崩壊した。カプセルの透過率パーセンテージは、透過率試験に基づいて83%であった。
【0335】
比較例10-6
上記の比較例10-2と同じプロセスとしたが、ただし、5重量%のポリクオタニウム-7の水溶液1.3gを、5gのスラリーに更に加え、混合物をオーバーヘッドミキサーを用いて200rpmで、15分間撹拌した。カプセルは乾燥に耐えることができ、カプセルの透過率パーセンテージは、透過率試験に基づいて73%であった。
【0336】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を取り囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0337】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0338】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1A
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17