IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コアエイチダブリュー セミコンダクター オイの特許一覧

特許7395619AoD方向探知送信機のアンテナソフトスイッチングの解決策
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】AoD方向探知送信機のアンテナソフトスイッチングの解決策
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
H04B1/04 R
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021570276
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 FI2019050410
(87)【国際公開番号】W WO2020240074
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】521514370
【氏名又は名称】コアエイチダブリュー セミコンダクター オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】コティライネン ペトリ
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0070996(US,A1)
【文献】特開2015-114143(JP,A)
【文献】特開2007-195151(JP,A)
【文献】特開昭61-230503(JP,A)
【文献】特開2001-094487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発角度(AoD)方向探知送信機ユニット(300)のアンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)であって、前記アンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)は、少なくとも1つの無線周波数(RF)送信機モジュール(320)と少なくとも1つのアンテナアレイ(330)との間に配置され、前記アンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)は、
スイッチングイベントの少なくとも開始時間を取得するためのタイミングユニット(301)と、
RFポート(304)と第一のアンテナポート(306a)及び第二のアンテナポート(306b)との間でRF信号の経路(305)上に配置されたスイッチングネットワーク(303)と、
前記スイッチングネットワーク(303)を制御するための少なくとも1つの波形を生成する発生器ユニット(302)と、
を備え、
前記発生器ユニット(302)は、RF信号の振幅が、前記第一のアンテナポート(306a)から前記第二のアンテナポート(306b)に平滑にスイッチングされるように、前記スイッチングネットワーク(303)を制御することによって、前記AoD方向探知送信機ユニット(300)の送信RFスペクトルの不要な放射のレベルを低減するように構成される、
アンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)。
【請求項2】
前記スイッチングネットワーク(303)は、少なくとも2つのスイッチング素子(602a、602b)を含み、前記少なくとも2つのスイッチング素子(602a、602b)は、抵抗スイッチングデバイス、完全リアクタンススイッチングデバイス、部分リアクタンススイッチングデバイス、又はアクティブスイッチングデバイスである、請求項1に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)。
【請求項3】
前記少なくとも2つのスイッチングデバイス(602a、602b)が、接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)、擬似モルフィック高電子移動度トランジスタ(PHEMT)、PINダイオード、又は任意の他の適切なRFスイッチングデバイスを利用する、請求項2に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)。
【請求項4】
前記発生器ユニット(302)は、アナログランプ発生器を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)。
【請求項5】
前記発生器ユニット(302)は、デジタル波形発生器(606)、デジタル-アナログ変換器(608)、及び再構成フィルタ(610)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)。
【請求項6】
前記少なくとも2つの抵抗スイッチングデバイス(602a、602b)は、デジタル制御減衰器である、請求項1又は2に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)。
【請求項7】
前記発生器ユニット(302)は、デジタル波形発生器(606)と、前記デジタル波形発生器(606)によって生成された波形を前記デジタル制御減衰器の制御信号に変換するように構成された波形エンコーダ(612)とを備える、請求項6に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)。
【請求項8】
前記発生器ユニット(302)は、カウンタ(614)を備え、前記波形は、前記少なくとも2つのスイッチングデバイス(602a、602b)に符号化される、請求項6に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)。
【請求項9】
スイッチングイベント中に、アクティブアンテナポートを前記第一のアンテナポート(306a)から前記第二のアンテナポート(306b)に変更するように構成されたアンテナスイッチの一部として前記スイッチングネットワーク(303)が実装され、前記発生器ユニット(302)が前記スイッチングネットワーク(303)を制御するように構成され、その結果、
前記第一のアンテナポート(306a)における前記RF信号の振幅は、平滑に立ち下がり、
同時に、前記第二のアンテナポート(306b)における前記RF信号の振幅は、平滑に立ち上がる、
請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(310)。
【請求項10】
前記スイッチングネットワーク(303)は、集中型ソフトスイッチングシステムを提供する別個のスイッチングネットワークであり、前記発生器ユニット(302)は、前記スイッチングネットワーク(303)を制御するように構成され、その結果、
前記第一のアンテナポート(306a)における前記RF信号の振幅は、平滑に立ち下がり、
同時に、基準ポート(1030)における前記RF信号の振幅は、平滑に立ち上がり、アンテナスイッチは、前記RF信号(305)が前記基準ポート(1030)に導かれる間、アクティブアンテナポートを変更するように構成され、
前記発生器ユニット(302)は、前記スイッチングネットワーク(303)を制御するようにさらに構成され、その結果、前記基準ポート(1030)における前記RF信号の振幅が平滑に立ち下がり、同時に前記第二のアンテナポート(306b)における前記RF信号の振幅が平滑に立ち上がる、
請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(1000)。
【請求項11】
前記スイッチングネットワーク(303)が、集中型ソフトスイッチングシステムを提供する別個のスイッチングネットワークであり、前記第一のアンテナポート(306a)が第一のアンテナ群(1210)に属し、前記第二のアンテナポート(306b)が第二のアンテナ群(1220)に属し、前記発生器ユニット(302)が前記スイッチングネットワーク(303)を制御するように構成され、その結果、
前記第一のアンテナ群(1210)における前記RF信号の振幅は、平滑に立ち下がり、
同時に、前記第二のアンテナ群(1220)における前記RF信号の振幅は、平滑に立ち上がり、前記第二のアンテナポート(306b)は、前記第二のアンテナ群(1220)のアクティブアンテナとして予め選択される、
請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(1200)。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナソフトスイッチングシステム(310、1000、1200)を備える、出発角度(AoD)方向探知送信機ユニット(300)。
【請求項13】
AoD方向探知送信機ユニット(300)のためのアンテナソフトスイッチング方法であって、アンテナソフトスイッチングは、少なくとも1つの無線周波数(RF)送信機モジュール(310)と少なくとも1つのアンテナアレイ(330)との間で実行され、発生器ユニット(302)によって生成された波形によって、スイッチングネットワーク(303)を制御するステップ(1310)によって、前記AoD方向検出送信機ユニット(300)の送信RFスペクトルの不要な放射のレベルを低減し、その結果、RF信号の振幅は、第一のアンテナポート(306a)から第二のアンテナポート(306b)に平滑にスイッチングされる、アンテナソフトスイッチング方法。
【請求項14】
スイッチングイベント中に、アクティブアンテナポートを前記第一のアンテナポート(306a)から前記第二のアンテナポート(306b)に変更するアンテナスイッチの一部として前記スイッチングネットワーク(303)が実装され、前記スイッチングネットワーク(303)を制御するステップ(1310)は、
前記第一のアンテナポート(306a)で前記RF信号の振幅を平滑に立ち下げるステップ(1410)と、
同時に、前記第二のアンテナポート(306b)で前記RF信号の振幅を平滑に立ち上げるステップ(1420)と、
を含む、請求項13に記載のアンテナソフトスイッチング方法。
【請求項15】
前記スイッチングネットワーク(303)が、集中型ソフトスイッチングシステムを提供する別個のスイッチングネットワークであり、前記スイッチングネットワーク(303)を制御するステップ(1310)は、
前記第一のアンテナポート(306a)で前記RF信号の振幅を平滑に立ち下げるステップ(1510)と、
同時に、基準ポート(1030)で前記RF信号の振幅を平滑に立ち上げるステップ(1520)と、
前記RF信号が前記基準ポート(1030)に導かれる間、アンテナスイッチのスイッチングネットワークによって、アクティブアンテナポートを前記第一のアンテナポート(306a)から前記第二のアンテナポート(306b)に変更するステップ(1530)と、
前記基準ポート(1030)で前記RF信号の振幅を平滑に立ち下げるステップ(1540)と、
同時に、前記第一のアンテナポート(306a)で前記RF信号の振幅を平滑に立ち上げるステップ(1550)と、
を含む、請求項13に記載のアンテナソフトスイッチング方法。
【請求項16】
前記スイッチングネットワーク(303)が、集中型ソフトスイッチングシステムを提供する別個のスイッチングネットワークであり、前記第一のアンテナポート(306a)が第一のアンテナ群(1210)に属し、前記第二のアンテナポート(306b)が第二のアンテナ群(1220)に属し、前記アンテナソフトスイッチング方法が、
前記第一のアンテナ群(1210)で前記RF信号の振幅を平滑に立ち下げるステップ(1610)と、
同時に、前記第二のアンテナ群(1220)で前記RF信号の振幅を平滑に立ち上げるステップ(1620)であって、前記第二のアンテナポート(306b)は、前記第二のアンテナ群(1220)のアクティブアンテナとして予め選択される、ステップと、
を含む、請求項13に記載のアンテナソフトスイッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、方向探知システムの技術分野に関する。特に、本発明は、方向探知送信機のソフトスイッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
2)近年、屋内の位置やナビゲーションが注目されている。屋外ナビゲーションは、GNSS衛星サービスに広く基づいているが、現在、屋内ナビゲーションを容易にするためのユビキタスな技術もサービスも存在しない。既存の屋内ナビゲーションの解決策は、例えば、無線ローカルエリアネットワーク(無線LAN)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE)、赤外光などに基づいている。これらの解決策の全ては、カバレッジにも位置の精度にも、多少の制限がある。
【0003】
屋内位置に対する新たに出てきた技術の解決策は、無線方向探知システムに基づいている。その目的のために、無線方向探知システムは、到達角度(AoA)法と出発角度(AoD)法を用いたシステムに分割され得る。どちらの方法も、物理的に互いに分離された、いくつかの別個のアンテナ素子で構成されたアンテナアレイを利用する。アンテナアレイ内のアンテナを増やすと、一般に、無線信号伝搬環境によって引き起こされる障害に対する測位精度と測位システムの耐性(torelance)が向上する。単純な方向探知の解決策では、アンテナアレイのアンテナ素子の1つが一度にアクティブになり、このアクティブアンテナが時間の経過とともに変化する。
【0004】
AoA方法では、受信にアンテナアレイを用いる。受信機アンテナ素子は、送信機から入ってくる電波面の方向を見つけるために変更され、位置は、受信機アンテナ素子から収集された観測位相差から定義される。図1は、AoA方向探知システム100の原理の簡単な例を概略的に示す。AoA無線方向探知システム100は、送信機ユニット102及び受信機ユニット104を備える。送信機ユニット102は、送信アンテナ106及びRF送信機108、例えばBLE送信機を備える。受信機ユニット104は、受信アンテナアレイを備え、この受信アンテナアレイは、この簡単な例では、4つのアンテナ素子110a~110dを備える。さらに、受信機ユニット104は、アンテナ素子110a~110d間でスイッチングするためのアンテナスイッチユニット112と、RF受信機114、例えば、BLE受信機と、AoA推定ユニット116とのを備える。受信機ユニット104のAoA推定ユニット116は、サンプリングされた受信機信号を使用することによって、信号の到達角度を推定する。
【0005】
AoD方法では、アンテナアレイは、送信のために使用される。送信機信号は、受信端において信号を生成するために、アンテナアレイの各アンテナ素子に短時間にわたって連続して供給される。送信信号は、事前に決定されたアンテナスイッチングパターンに従って、アンテナ素子間でスイッチングされる。アンテナスイッチングパターンは、アンテナアレイ内のアンテナを起動する順序を定義する。このスイッチングは、方向可変位相変調放射信号を生成し、これは、遠方の受信機と送信機との間の相対的方向を推定するために使用され得る。推定は受信信号に基づいており、受信機は指向性アンテナを有する必要がない。図2は、AoD方向探知システム200の原理の簡単な例を概略的に示す。AoD無線方向探知装置200は、送信機ユニット202及び受信機ユニット204を含む。送信機ユニット202は、送信アンテナアレイを備え、この送信アンテナアレイは、この簡単な例では、4つのアンテナ素子206a~206dを備える。さらに、送信機ユニット204は、アンテナ素子206a~206d間で送信信号をスイッチングするためのアンテナスイッチユニット212と、RF送信機208、例えば、BLE送信機とを備える。受信機ユニット204は、受信アンテナ210と、RF受信機214、例えば、BLE受信機と、AoD推定ユニット216とを備える。受信機ユニット204のAoD推定ユニット216は、サンプリングされた受信機信号を使用することによって、信号の到達角度を推定する。
【0006】
AoD方法では、あるアンテナ素子から別のアンテナ素子への送信信号のスイッチングは、スイッチングがあまりにも急速に行われる場合、放射RFスペクトルの望ましくない拡散を引き起こす可能性がある。この拡散は、AoD送信機の近くの他の無線受信機への干渉を引き起こすことがあり、スペクトル発光の規制要件に違反することも、又は関連する規格、例えば、Bluetooth(登録商標)に準拠しない原因となることもある。
【0007】
AoA方法では、あるアンテナ素子から別のアンテナ素子への迅速なスイッチングは、近くの無線送信機からの望ましくないスプリアス応答を引き起こす可能性がある。
【0008】
典型的には、ソフトスイッチングは、商用方向探知受信機、例えばAoA受信機で使用されてきた。
【0009】
しかしながら、AoD送信機の放射スペクトル発光を低減するために、さらなる解決策を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以下は、様々な発明の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、本発明の広範な概要ではない。この概要は、本発明の主要な又は重要な要素を識別することも、本発明の範囲の輪郭を描くことも意図していない。以下の概要は、単に、本発明の例示的な実施形態のより詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化された形態で提示する。
【0011】
本発明の目的は、アンテナソフトスイッチングシステム、AoD方向探知送信機ユニット、及びAoD方向探知送信機ユニットのためのアンテナソフトスイッチング方法を提供することである。本発明の別の目的は、アンテナソフトスイッチングシステム、AoD方向探知送信機ユニット、及びAoD方向探知送信機ユニットのためのアンテナソフトスイッチング方法が、近くの他のシステムの無線受信機に引き起こされる干渉を低減することである。
【0012】
本発明の目的は、アンテナソフトスイッチングシステム、AoD方向探知送信機ユニット、及びアンテナソフトスイッチング方法によって達成され、これらは、それぞれの独立請求の範囲によって定義される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の態様によれば、出発角度(AoD)方向探知送信機ユニットのアンテナソフトスイッチングシステムが提供され、ソフトスイッチングシステムは、スイッチングイベントの少なくとも開始時間を取得するためのタイミングユニットと、無線周波数(RF)ポートと第一のアンテナポート及び第二のアンテナポートとの間でRF信号の経路上に配置されたスイッチングネットワークと、スイッチングネットワークを制御するための少なくとも1つの波形を生成する発生器ユニットと、を備え、発生器ユニットは、RF信号の振幅が、第一のアンテナポートから第二のアンテナポートに実質的に平滑にスイッチングされるように、スイッチングネットワークを制御するように構成され、AoD方向探知送信機ユニットの送信RFスペクトルの不要な発光のレベルが低減される。
【0014】
スイッチングネットワークは、少なくとも2つのスイッチング素子を備えることができ、少なくとも2つのスイッチング素子は、抵抗スイッチングデバイス、完全リアクタンススイッチングデバイス、部分リアクタンススイッチングデバイス、又はアクティブスイッチングデバイスであってもよい。
【0015】
少なくとも2つのスイッチングデバイスは、接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)、擬似モルフィック高電子移動度トランジスタ(PHEMT)、PINダイオード、又は任意の他の適切なRFスイッチングデバイスを利用することができる。
【0016】
発生器ユニットは、アナログランプ発生器を備えることができる。
【0017】
あるいは、発生器ユニットは、デジタル波形発生器、デジタル-アナログ変換器、及び再構成フィルタを備えることができる。
【0018】
少なくとも2つのスイッチングデバイスは、デジタル制御減衰器であってもよい。
【0019】
発生器ユニットは、デジタル波形発生器と、デジタル波形発生器によって生成された波形をデジタル制御減衰器の制御信号に変換するように構成された波形エンコーダとを備えることができる。
【0020】
あるいは、発生器ユニットは、カウンタを備えることができ、波形は、少なくとも2つのスイッチングデバイスに符号化され得る。
【0021】
スイッチングネットワークは、スイッチングイベント中に、アクティブアンテナポートを第一のアンテナポートから第二のアンテナポートに変更するように構成されたアンテナスイッチの一部として実装され得、発生器ユニットスイッチングネットワークを制御するように構成され得、その結果、第一のアンテナポートでRF信号の振幅は、実質的に平滑に立ち下がり、同時に第二のアンテナポートでRF信号の振幅は、実質的に平滑に立ち上がる。
【0022】
あるいは、スイッチングネットワークは、集中型ソフトスイッチングシステムを提供する別個のスイッチングネットワークであり得、発生器ユニットは、スイッチングネットワークを制御するように構成され得、その結果、第一のアンテナポートにおけるRF信号の振幅は、実質的に平滑に立ち下がり、同時に基準ポートにおけるRF信号の振幅は、実質的に平滑に立ち上がり、アンテナスイッチは、RF信号が基準ポートに導かれる間、アクティブアンテナポートを変更するように構成され、発生器ユニットは、スイッチングネットワークを制御するようにさらに構成され得、その結果、基準ポートにおけるRF信号の振幅が実質的に平滑に立ち下がり、同時に第二のアンテナポートにおけるRF信号の振幅が実質的に平滑に立ち上がる。
【0023】
あるいは、スイッチングネットワークは、集中型ソフトスイッチングシステムを提供する別個のスイッチングネットワークであり得、第一のアンテナポートが第一のアンテナ群に属し得、第二のアンテナポートが第二のアンテナ群に属し得、発生器ユニットは、第一のアンテナ群でRF信号の振幅を実質的に平滑に立ち下げ、同時に第二のアンテナ群でRF信号の振幅を実質的に平滑に立ち上げるように、スイッチングネットワークを制御するように構成され、第二のアンテナポートは、第二のアンテナ群のアクティブアンテナとして予め選択される。
【0024】
第二の態様によれば、出発角度(AoD)方向探知送信機ユニットが提供され、AoD方向探知送信機ユニットは、上述のアンテナソフトスイッチングシステムを備える。
【0025】
第三の態様によれば、AoD方向探知送信機ユニットのためのアンテナソフトスイッチング方法が提供され、この方法は、発生器ユニットによって生成される波形によって、スイッチングネットワークを制御するステップを含み、その結果、無線周波数(RF)信号の振幅は、AoD方向探知送信機ユニットの送信RFスペクトルの不要な発光のレベルが低減されるように、第一のアンテナポートから第二のアンテナポートに実質的に平滑にスイッチングされる。
【0026】
スイッチングネットワークは、スイッチングイベント中に、アクティブアンテナポートを第一のアンテナポートから第二のアンテナポートに変更するアンテナスイッチの一部として実装され得、スイッチングネットワークを制御するステップは、第一のアンテナポートでRF信号の振幅を実質的に平滑に立ち下げるステップと、同時に第二のアンテナポートでRF信号の振幅を実質的に平滑に立ち上げるステップと、を含むことができる。
【0027】
あるいは、スイッチングネットワークは、集中型ソフトスイッチングシステムを提供する別個のスイッチングネットワークであり得、スイッチングネットワークを制御するステップは、第一のアンテナポートでRF信号の振幅を実質的に平滑に立ち下げるステップと、同時に基準ポートでRF信号の振幅を実質的に平滑に立ち上げるステップと、RF信号が基準ポートに導かれる間、アンテナスイッチのスイッチングネットワークによって、アクティブアンテナポートを第一のアンテナポートから第二のアンテナポートに変更するステップと、基準ポートでRF信号の振幅を実質的に平滑に立ち下げるステップと、同時に第一のアンテナポートでRF信号の振幅を実質的に平滑に立ち上げるステップと、を含むことができる。
【0028】
あるいは、スイッチングネットワークは、集中型ソフトスイッチングシステムを提供する別個のスイッチングネットワークであり得、第一のアンテナポートが第一のアンテナ群に属し得、第二のアンテナポートが第二のアンテナ群に属し得、この方法は、第一のアンテナ群で前記RF信号(305)の振幅を実質的に平滑に立ち下げるステップ(1610)と、同時に第二のアンテナ群で前記RF信号の振幅を実質的に平滑に立ち上げるステップと、を含むことができ、第二のアンテナポートは、第二のアンテナ群のアクティブアンテナとして予め選択される。
【0029】
本発明の様々な例示的で非限定的な実施形態は、その追加の目的及び利点とともに、構成と動作方法との両方に関して、添付の図面と関連して読まれるとき、特定の例示的で非限定的な実施形態の以下の説明から最もよく理解される。
【0030】
「備える」及び「含む」という動詞は、本明細書では、記載されていない特徴の存在を排除することも、要求することもないオープンな限定として使用される。
従属請求項に記載された特徴は、特に明記しない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本明細書全体を通して、「1つの(“a”又は“an”)」、すなわち、単数形の使用は、複数を排除しないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施形態は、添付の図面の各図において、限定としてではなく、例として示されている。
【0032】
図1】到達角度(AoA)方向探知システムの原理の簡単な例を概略的に示す。
図2】出発角度(AoD)方向探知システムの原理の簡単な例を概略的に示す
図3】本発明による出発角度(AoD)方向探知送信機ユニットの一例を概略的に示す。
図4】CTEフレームの例示的な構造を概略的に示す。
図5】瞬時スイッチングを伴う送信RFスペクトルの一例を概略的に示す。
図6A】本発明によるアンテナソフトスイッチングシステムの例を概略的に示す。
図6B】本発明によるアンテナソフトスイッチングシステムの例を概略的に示す。
図6C】本発明によるアンテナソフトスイッチングシステムの例を概略的に示す。
図6D】本発明によるアンテナソフトスイッチングシステムの例を概略的に示す。
図7A】線形ランプ波形を有するスイッチングデバイスのRF波形の時間領域振幅の一例を概略的に示す。
図7B】量子化線形ランプ波形を有するスイッチングのRF波形の時間領域振幅の一例を概略的に示す。
図8A】本発明によるアナログソフトスイッチングシステムを用いて得られた送信RFスペクトルの一例を示す。
図8B】本発明によるデジタルソフトスイッチングシステムを用いて得られた送信RFスペクトルの一例を示す。
図8C】本発明による瞬時スイッチング及びデジタルソフトスイッチングを用いた隣接チャネル漏洩比(ACLR)の一例を示す。
図9】デジタル制御減衰器として実装されるスイッチングデバイスの一例を概略的に示す。
図10】本発明によるアンテナソフトスイッチングシステムの別の例を示す。
図11】量子化線形ランプ波形を有するスイッチングデバイスのRF波形及びダミー負荷の例を概略的に示す。
図12】本発明によるアンテナソフトスイッチングシステムの別の例を示す。
図13】本発明による方法の例を示す。
図14】本発明による方法の例を示す。
図15】本発明による方法の例を示す。
図16】本発明による方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図3は、本発明による出発角度(AoD)方向探知送信機ユニット300の一例を概略的に示す。AoD方向探知送信機ユニット300は、本出願において説明されるように、本発明の実施形態のいずれかに従うアンテナソフトスイッチングシステム310、1000、1200を備えてもよい。AoD送信機ユニット300は、送信されるべき少なくとも1つの無線周波数(RF)信号を生成するための少なくとも1つのRF送信機モジュール320と、少なくとも2つのアンテナ素子332a~332nを備える少なくとも1つのアンテナアレイ330とをさらに備え、これを介して、少なくとも1つのアンテナアレイ330の各アンテナ素子332a~332nに連続して少なくとも1つのRF信号305を供給することによって、少なくとも1つのRF信号305を送信することができる。アンテナソフトスイッチングシステム310は、アンテナ素子332a~332nの間でスイッチングを行うように構成されたアンテナスイッチの一部として実装されてもよい。すなわち、アンテナスイッチは、RF信号が送信される少なくとも1つのアンテナアレイ330のアンテナ素子332a~332nを連続的に選択するように構成された複数のスイッチングデバイスによって形成されるスイッチングネットワークを備える。換言すれば、アンテナスイッチは、少なくとも1つのアンテナアレイ330の各アンテナ素子332a~332nを一度に連続的に起動するように構成される。AoD送信機ユニット300は、アクティブアンテナ素子を介してRF信号を送信して、各アンテナ素子がアクティブアンテナ素子として連続的に変更される、すなわちスイッチングされるようにしてもよい。各アンテナ素子332a~332nは、アンテナアレイ330をアンテナソフトスイッチングデバイス310にも、アンテナスイッチにも接続するために、それぞれの少なくともアンテナポート306a~306nに接続されてもよい。これは、少なくとも1つのアンテナアレイ330の数又はアンテナ素子332a~332nが、アンテナポート306a~306nの数を規定することを意味する。例えば、少なくとも1つのアンテナアレイ330が10のシングルエンドアンテナ素子を備える場合、アンテナポート306a~306nの数は10である。別の例によれば、少なくとも1つのアンテナアレイ300が10の差動給電平衡アンテナ素子332a~332nを備える場合、アンテナポート306a~306nの数は20である。さらに別の例によれば、少なくとも1つのアンテナアレイ330が、10の差動給電平衡アンテナ素子332a~332n及び10のシングルエンドアンテナ素子332a~332nを備える場合、アンテナポート306a~306nの数は30である。アンテナスイッチは、少なくとも1つのアンテナアレイ330の各差動給電平衡アンテナ素子332a~332nに対して、少なくとも1つの正相RF信号RF+少なくとも1つの逆相RF信号RF-を提供するための少なくとも1つのRF信号のシングルエンドから差動への変換を提供するように構成された変換ユニットを備えてもよい。
【0034】
AoD送信機ユニット300では、1つのアンテナ素子、すなわち第一のアンテナ素子332aから、別のアンテナ素子、すなわち第二のアンテナ素子332bへ送信されるRF信号スイッチングは、スイッチングが瞬間的であれば、送信された、すなわち放射された、RFスペクトルの不要な拡散、すなわち、不要な発光を引き起こし得る。送信RFスペクトルの不要な発光は、チャネル外スペクトル発光、すなわち、送信周波数からオフセットされた周波数における発光であってもよい。この拡散は、AoD送信機ユニット300の近くの他のシステムの無線受信機への干渉を引き起こすことがあり、スペクトル発光の規制要件に違反することも、又は関連する規格、例えば、Bluetooth(登録商標)に準拠しない原因となることもある。方向探知のAoD機能は、Bluetooth SIG標準バージョン5.1に含まれている。方向探知システムのAoD機能は、いわゆるCTE(Constant Tone Extension)期間、すなわちCTEフレーム400を、送信されたBLE(Bluetooth low energy)アドバタイジングパケットフレームの最後に追加することによって可能になる。図4は、BLE5.1に定義されるCTEフレーム400の例示的な構造を示す。CTEフレームは、以下の構造、すなわち、ガード期間410、基準期間420、及び複数の交互のスイッチスロット430a~430nとサンプルスロット440a~440bを含むことができる。ガード期間410は、CTEの第一の部分であり、ガード期間410の間、有用な情報は送信されない。ガード期間410の持続時間は、4マイクロ秒である。基準期間420は、後続の測定のための位相基準のためのものである。基準期間420の持続時間は、8マイクロ秒である。各サンプルスロット440a~440nは、アクティブアンテナ素子からの位相測定、すなわち実測値のために予約された時間である。各試料スロット440a~440nの持続時間は、1マイクロ秒又は2マイクロ秒である。各スイッチスロット430a~430nは、アクティブアンテナポートを変更、すなわちスイッチングするために予約された時間である。各スイッチスロット430a~430nの持続時間は、1マイクロ秒又は2マイクロ秒である。これは、第一のアンテナ素子332aから第二のアンテナ素子332bへの送信RF信号スイッチングが、1マイクロ秒又は2マイクロ秒の間に実行される必要があることを意味し、このため、瞬時スイッチングと考えられ、送信RFスペクトルの広帯域拡散を引き起こすことがある。図5は、送信RFスペクトルの一例を示しており、ここで、瞬時スイッチングは、送信RFスペクトルの拡散を引き起こし、これは、RFスペクトルの高いチャネル外スペクトル発光と見なされ得る。この例では、チャネル外スペクトル発光のレベルは、小さなオフセット周波数(送信周波数から±2.5MHz未満)で約-30dB~-15dBの間であり得、また、より高いオフセット周波数(±2.5MHz~±10MHzの間)で約-45dB~-30dBの間であり得る。
【0035】
ソフトスイッチングシステム310は、タイミングユニット301と、発生器ユニット302と、スイッチングネットワーク303とを備える。スイッチングネットワーク303は、少なくとも1つのRFポート304とアンテナポート306a~306nとの間のRF信号の経路305上に配置される。アンテナソフトスイッチングシステム310は、少なくとも1つのRFポート304を介してRF送信機モジュール320に接続され、アンテナポート306a~306nを介してRF送信機モジュール320からそれぞれのアンテナポートに接続された各アンテナ素子に少なくとも1つのRF信号305を一度に提供することができる。タイミングユニット301は、スイッチングイベントの少なくとも開始時間と、任意選択でスイッチングイベントの終了時間とを取得するように構成される。タイミングユニット301は、少なくともスイッチングイベントの開始時間と、任意選択でスイッチングイベントの終了時間とを定義するように構成され得る。代替又は追加として、タイミングユニット301は、外部制御ユニット、例えば、アンテナスイッチのスイッチ制御ユニットから、スイッチングイベントの開始時間及び/又はスイッチングイベントの終了時間を、例えば、制御信号として、受信することができる。代替又は追加として、スイッチングイベントの終了時間は、発生器ユニット302によって生成される波形によって定義されてもよい。発生器ユニット302は、スイッチングネットワーク303を制御するための少なくとも1つの波形を生成するように構成される。発生器ユニット302は、RF信号305の振幅が第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bに、実質的に平滑に、すなわち、徐々にスイッチングされるように、スイッチングネットワーク303を制御するように構成され、その結果、スイッチングイベントによって引き起こされるAoD送信機ユニット300の送信RFスペクトルの不要な発光のレベルが低減される。スイッチングイベントの間、少なくとも1つのRFポート304によって見られるインピーダンスは、一定に維持され得る。「スイッチングイベント」という用語は、この出願全体を通して、RF信号305をアンテナポートから別のアンテナポートにスイッチングすることを意味する。スイッチングイベントのシーケンス、すなわち、スイッチングシーケンスは、複数のスイッチングイベントを含む。本発明の上では、第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306aへのスイッチングが行われるように定義されるが、本発明の考え方は、任意の2つのアンテナポート306a~306n間のスイッチングで、直接的に適用可能である。さらに、少なくとも1つのアンテナアレイ330の各アンテナ素子332a~332eは、少なくともアンテナポート306a~306nに接続されるため、1つのアンテナポートから別のアンテナポートへのスイッチングによって、1つのアンテナ素子から別のアンテナ素子へのスイッチング、すなわち、第一のアンテナポート306aに接続された第一のアンテナ素子332aから第二のアンテナポート306bに接続された第二のアンテナ素子332bへのスイッチングも引き起こされる。第一のアンテナポート306a及び第二のアンテナポート306bは、任意の2つのアンテナポート306a~306bとすることができる。それぞれ、それぞれの第一のアンテナポート306aに接続された第一のアンテナ素子332aと、それぞれの第二のアンテナポート306bに接続された第二のアンテナ素子332bとは、少なくとも1つのアンテナアレイ330のうちの任意の2つのアンテナ素子332a~332nであってもよい。
【0036】
図6Aは、本発明に係るアンテナソフトスイッチングシステム310の例示的な実施形態を示しており、スイッチングネットワーク303は、第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bへのRF信号のスイッチングを実行するように構成されたアンテナスイッチの一部として実装されている。すなわち、スイッチングネットワーク303は、第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bにアクティブアンテナポートを変更し、それに応じて、第一のアンテナ素子332aから第二のアンテナ素子332bにアクティブアンテナ素子を変更するように構成されたアンテナスイッチのスイッチングネットワークである。換言すれば、スイッチングネットワーク303は、第二のアンテナポート306bと、第二のアンテナポート306bに接続されたアンテナ素子332bとを起動し、第一のアンテナポート306aと、第一のアンテナポート306aに接続されたアンテナ素子332aとを起動停止、すなわち切断するように構成されてもよい。発生器ユニット302は、第一のアンテナポート306aにおけるRF信号305の振幅が実質的に平滑に立ち下がり、すなわち減少し、同時に第二のアンテナポート306bにおけるRF信号305の振幅が実質的に平滑に立ち上がる、すなわち増加するように、スイッチングイベント中にスイッチングネットワーク303を制御するように構成される。スイッチングネットワーク303は、少なくとも2つのスイッチングデバイス602a、602bを含むことができる。少なくとも2つの抵抗スイッチングデバイス602a、602bは、抵抗スイッチングデバイス、完全リアクタンススイッチングデバイス、部分リアクタンススイッチングデバイス、又はアクティブスイッチングデバイスであってもよい。少なくとも2つのスイッチングデバイス602a、602bは、接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)、擬似モルフィック高電子移動度トランジスタ(PHEMT)、PINダイオード、又は任意の他の適切なRFスイッチングデバイスを利用することができる。
【0037】
図6Aのアンテナソフトスイッチングシステム310の例では、発生器ユニット302は、アナログランプ生成器を備え、2つのスイッチングデバイス602a、602bは、JFET、MOSFET、MESFET又はPHEMTトランジスタである。トランジスタは、スイッチングデバイス602a、602bとして使用される場合、線形「トライオード」領域で動作されてもよい。この領域では、スイッチングデバイス602a、602bのチャネルは、可変抵抗器として作用し、その値は、スイッチングデバイス602a、602bのゲート電圧(Vgs)に依存する。スイッチングイベントの間、すなわち、スイッチスロット430a~430nの間、ゲート電圧を徐々に上昇/下降、すなわち増加/減少させることによって、スイッチングデバイス602a、602bのRF減衰もスイッチングデバイス602a、602bのRds/Vgs伝達関数に比例して、平滑に変化させ、ここでRdsはトランジスタの抵抗である。この平滑スイッチングは、次に、第一のアンテナポート306aと第二のアンテナポート306bとの間の瞬間的なオン/オフスイッチングと比較して、送信RFスペクトルのチャネル外スペクトル発光を低減する。この例示的なアンテナソフトスイッチングシステム310では、スイッチングデバイス602aのゲート電圧は、スイッチングデバイス602bのゲート電圧が上昇すると、下降し、また、その逆でもある。スイッチングデバイス602a、602bのゲート電圧の波形は、スイッチングデバイス602a、602bの制御信号として使用される。図7Aは、スイッチングイベント中の第二のスイッチングデバイス602bのRF波形の時間領域振幅の一例を概略的に示す。第二のスイッチングデバイス602bの制御信号は、アナログランプ発生器によって生成される線形ランプ波形であり、第二のアンテナポート306bでRF信号305の振幅を平滑に立ち上げる。同じ線形ランプ波形を使用して、発生器ユニット302と第二のスイッチングデバイス602bとの間に、1に配置された電圧利得を有する反転増幅器配置などの反転構成要素604を配置して、アナログ発生器ユニット302によって生成された線形ランプ波形を反転することによって、第一のスイッチングデバイス602a及び第二のスイッチングデバイス602bを制御してもよい。第二のスイッチングデバイス602bの波形の反転の結果、スイッチングデバイス602bのゲート電圧が実質的に平滑に立ち上がるときに、スイッチングデバイス602aのゲート電圧を実質的に平滑に立ち下がるために、第一のスイッチングデバイス602aの波形と反対である。図8Aは、図6Aに示すアナログソフトスイッチングシステム310を用いて得られた送信RFスペクトルの一例を示す。図8Aから、送信RFスペクトルの不要な発光のレベルは、図5に示す瞬間的なスイッチングに比べて減少することが分かるであろう。図8Aの例では、チャネル外スペクトル発光のレベルは、小さなオフセット周波数(送信周波数から±2.5MHz未満)で約-40dB~-18dBの間であり得、また、より高いオフセット周波数(±2.5MHz~±10MHzの間)で約-60dB~-40dBの間であり得る。
【0038】
異なるスイッチングデバイス602a、602bは、特定のスイッチングデバイスの特性に応じて、異なる制御信号を必要とする。例えば、スイッチングデバイス602a、602bがPINダイオードである場合、スイッチ抵抗は、PINダイオードを通るDC又は低周波電流によって制御されてもよい。波形が発生器ユニット302によってアナログ的に発生される場合、波形の形状は、実際上、線形ランプ波形のような幾つかの単純な波形に制限され得る。また、スイッチングデバイス602a、602bのRds/Vgs特性は、スイッチングデバイス602a、602bの結果として生じるRF波形に影響を与え得る。
【0039】
より複雑な波形は、デジタル的に生成されてもよく、デジタル波形は、デジタル-アナログ(D/A)変換器によってアナログ波形に変換されてもよい。図6Bは、本発明によるアンテナソフトスイッチングシステム310の別の例示的な実施形態を示す。ここで、発生器ユニット302は、デジタル波形発生器606と、D/A変換器608と、再構成フィルタ610とを備える。D/A変換器の出力は、エイリアスを除去するためにフィルタリングされ、スイッチングデバイス602a、602bに、例えば、トランジスタスイッチングデバイスのゲートに供給される必要がある。波形をデジタル的に生成するには、例えば、発生器ユニット302のメモリ、又は波形のための関数を生成するためのストレージ、D/A変換器608、及び再構成フィルタ610のようないくつかの追加のハードウェアを必要とし、また、タイミングユニット301は、実際のスイッチング周波数よりも高いクロックレートで動作する必要がある。さらに、デジタルソフトスイッチングでは、タイミングユニット301は、例えば、波形のサンプルを発生器ユニット302のメモリから読み出し、スイッチングデバイス602a、602bの制御信号を更新するなどのタイミングを含むスイッチングイベントの全体シーケンスのイベントを時間化するようにさらに構成されてもよい。さもなければ、図6Bのソフトスイッチングシステム310の動作は、図6Aのソフトスイッチングシステム600と同様である。
【0040】
あるいは、抵抗スイッチングデバイスを使用する代わりに、少なくとも2つのスイッチングデバイス602a、602bをデジタル制御減衰器としてもよい。図6Cは、本発明によるアンテナソフトスイッチングシステム310の別の例示的な実施形態を示し、スイッチングネットワーク303は、デジタル制御減衰器として実装される少なくとも2つの抵抗スイッチングデバイス602a、602bを備え、発生器ユニット302は、デジタル波形発生器606を備える。デジタル制御される減衰器として実装されるスイッチングデバイス602a、602bは、JFET、MOSFET、MESFET又はPHEMTトランジスタなどの制御可能なスイッチング素子904a~904nを使用して直列又は並列に接続される複数の抵抗素子902a~902nから構成されてもよい。デジタル制御減衰器のトポロジーは、直列、並列、Lネットワーク、πネットワーク、Tネットワークなどであってもよい。図9は、デジタル制御減衰器として実装されるスイッチングデバイスの一例を概略的に示す図である。抵抗素子902a~902nを選択するために使用される制御可能なスイッチング素子904a~904nは、所定のタイミングパターンに従ってデジタル的に制御されてもよい。発生器ユニット302は、デジタル波形発生器606によって生成された波形を、個々の制御可能なスイッチング素子904a~904nの制御信号に変換するように構成された波形エンコーダ612をさらに備えることができる。特に、制御可能なスイッチング素子904a~904nの数が波形の個々のサンプルのワード長よりも高い場合、波形エンコーダ612の使用は、個々の制御可能なスイッチング素子の制御信号を直接生成すること、又は個々の制御可能なスイッチング素子の制御信号を生成ユニット302のメモリに記憶することと比較して好ましい。結果として生じるRF波形は、階段状、すなわち、量子化波形に似ており、RFスペクトルを減少させるのに十分小さいステップを有する。換言すれば、量子化波形によって、第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bへのRF信号305の振幅の実質的に平滑なスイッチングが可能になる。ワード長は、取得されたデジタルサンプルの分解能、すなわち動的精度を意味し、例えば、ワード長は、4ビット~24ビットであってもよい。図7Bは、スイッチングイベント中のスイッチングデバイス602bのRF波形の時間領域振幅の一例を概略的に示す。第二のスイッチングデバイス602bの制御信号は、第二のアンテナポート306bでRF信号305の振幅を実質的に平滑に立ち上げるために、デジタル発生器606及び波形エンコーダ612を含む発生器ユニット302によって生成された量子化線形ランプ波形である。ターゲット波形は破線で示され、量子化波形は実線(階段)で示される。図7Bから、量子化波形は、小さなステップによって形成されるが、ターゲットランプ波形に近似すること、すなわち、量子化波形によって、第二のアンテナポート306bでRF信号305の振幅の実質的に平滑な立ち上げることが可能になることが分かる。この例では、4ビット量子化を使用しているが、他の任意の量子化が使用してもよい。図8Bは、図6Cに示すデジタルソフトスイッチングシステムを用いて得られた送信RFスペクトルの一例を示す。図8Bから、送信RFスペクトルの不要な発光のレベルは、図5に示す瞬間的なスイッチングと比較して減少し、送信RFスペクトルの不要な発光のレベルのほぼ良好な減少は、図8Aに示されるようなアナログソフトスイッチングと同様に達成されることが分かる。図8Bの例では、チャネル外スペクトル発光のレベルは、小さなオフセット周波数(送信周波数から±2.5MHz未満)で約-45dB~-15dBの間であり得、また、より高いオフセット周波数(±2.5MHz~±10MHzの間)で約-60dBであり得る。図8Cは、送信周波数及び異なるオフセット周波数で、図6Cに示すデジタルソフトスイッチングシステム310を用いた隣接チャネル漏洩比(ACLR)の一例を示す。図8Cの比較として、瞬時スイッチングを用いたACLRが図示されている。この例では、オフセット周波数でデジタルソフトスイッチングシステム310を用いたACLRの改善は、瞬時スイッチング、すなわち、ハードスイッチングと比較した場合、20dB以上である。
【0041】
図6Dは、本発明によるアンテナソフトスイッチングシステム310の別の例示的な実施形態を示す。発生器ユニット302は、カウンタ614を備え、波形は、少なくとも2つのスイッチングデバイス602a、602bに符号化される。すなわち、スイッチングデバイス602a、602bの抵抗素子902a~902nの値は、制御信号が単に上昇又は下降数である場合に、結果として生じるRF波形が所望の波形に近似するように定義されてもよい。これは、波形を発生器ユニット302のメモリに記憶する必要がないので、発生器ユニット302を単純化することができる。さもなければ、図6Dのソフトスイッチングシステム310の操作は、図6Cのソフトスイッチングシステム310と同様である。
【0042】
アンテナポート306a、306bに抵抗スイッチング素子602a、602bを有することが、サイズ、コスト、又はRF性能の理由のために実用的でない事態が存在し得る。これは、例えば、図6C及び6Dに示す例示的なアンテナソフトスイッチングシステム310と同様に、特にデジタル制御減衰器を用いた場合に当てはまることがある。その場合、少なくとも1つのアンテナアレイ330のアンテナ素子332a~332nを連続して選択するように構成されたアンテナスイッチの複数のスイッチングデバイスを備えるアンテナスイッチのスイッチングネットワーク1010とともに、単一の集中型アンテナソフトスイッチングシステム1000を使用することが好ましい場合がある。この場合、アンテナソフトスイッチングシステム1000は、基準ポート1030のダミー負荷1020にRF信号305を向けることができ、アンテナ素子332a、332bの変更は、任意のアンテナポート306a、306bにRF信号305が存在しない瞬間に行われる。図10は、本発明によるアンテナソフトスイッチングシステム1000の例示的な実施形態を示しており、スイッチングネットワーク303は、集中型アンテナソフトスイッチングシステム1000を提供する別個のスイッチングネットワークである。スイッチングネットワーク303は、アンテナスイッチのスイッチングネットワーク1010、すなわち、少なくとも1つのアンテナアレイ330のアンテナ素子332a~332nを連続して選択するように構成されたアンテナスイッチの複数のスイッチングデバイスとは別個である。発生器ユニット302は、第一のアンテナポート306aにおけるRF信号305の振幅が実質的に平滑に立ち下がり、同時に基準ポート1030におけるRF信号305の振幅が実質的に平滑に立ち上がるように、スイッチングネットワーク303を制御するように構成され得る。アンテナスイッチのスイッチングネットワーク1010は、RF信号305が基準ポート1030のダミー負荷1020に導かれる間に、RF信号の経路305を第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bに接続することによって、アクティブアンテナポート及びアクティブアンテナ素子を変更するように構成される。その後、発生器ユニット302は、基準ポート1030におけるRF信号305の振幅が実質的に平滑に立ち下がり、同時に第二のアンテナポート306bにおけるRF信号305の振幅が実質的に平滑に立ち上がるように、スイッチングネットワーク303を制御するように構成され得る。図10のアンテナソフトスイッチングシステム1000の例では、発生器ユニット302は、デジタル波形発生器606及び波形エンコーダ612を備える。図11は、スイッチングイベント中のスイッチングデバイス602a、スイッチングデバイス602b、及びダミー負荷1020のRF波形の時間領域振幅の例を概略的に示す。スイッチングデバイス602a、602bの制御信号は、デジタル発生器606及び波形エンコーダ612を備える発生器ユニット302によって生成された量子化線形ランプ波形である。
【0043】
この実施形態の1つの軽微な欠点は、アクティブアンテナ素子、すなわち、第一のアンテナ素子332bへのRF信号305が、アクティブアンテナ素子が変更される前に立ち下がる必要があり、次いで、第二のアンテナ素子332bが起動された後に、再び立ち上がることであり得る。これは、RF信号305がアンテナ素子から別のアンテナ素子に向けられる実施形態の場合と比べて、立ち上がり/立ち上がりが2倍速い必要があることを意味する。例えば、図7A及び図7Bの例では、スイッチングイベントの持続時間は2マイクロ秒であり、その間、RF信号305は、アンテナ素子から別のアンテナ素子に向けられる。図11の例では、スイッチングイベントの持続時間も2マイクロ秒であるが、その間に、RF信号305は、アンテナ素子からダミー負荷に、ダミー負荷から別のアンテナ素子に向けられる。それにもかかわらず、スイッチングイベントを終えるのに十分な時間が利用可能であれば、送信RFスペクトルの不要な発光の低減は、依然として達成され得る。
【0044】
本発明の一つの例示的な実施形態によれば、送信機モジュール320が線形である場合、又は悪意なく非線形である場合、共通集中型ソフトスイッチングシステム1000は、送信機モジュール320のアナログ又はデジタルベースバンド内に実装することもできる。これによって、RF信号吸収するためにダミー負荷1020を使用する必要がなくなり、高出力レベルでの損失を回避することができる。
【0045】
図12は、本発明によるアンテナソフトスイッチングシステム1200の例示的な実施形態を示しており、スイッチングネットワーク303は、集中型アンテナソフトスイッチングシステム1200を提供する別個のスイッチングネットワークであり、アンテナポート306a~306n及びアンテナ素子332a~332nは2つの群に配置され、第一のアンテナポート306a及びそれぞれの第一のアンテナ素子332aは、第一のアンテナ群1210に属し、第二のアンテナポート306b及びそれぞれの第二のアンテナ素子332bは、第二のアンテナポート群1220に属する。スイッチングネットワーク303は、アンテナスイッチの第一のアンテナ群1210のスイッチングネットワーク1010aと第二のアンテナ群1220のスイッチングネットワーク1010b、すなわち、少なくとも1つのアンテナアレイ330のアンテナ素子332a~332nを連続して選択するように構成されたアンテナスイッチの複数のスイッチングデバイスとは別個である。アクティブアンテナ素子332a~332nは、第一のアンテナ群1210から交互に選択され、第二のアンテナ群1220を形成することができる。アンテナ群のアクティブアンテナポート及びそれぞれのアクティブアンテナ素子の選択は、前記アンテナ群が起動していないとき、すなわち、RF信号305が前記アンテナ群に導かれないときに実行されてもよい。例えば、第二のアンテナポート306bは、RF信号が第一のアンテナ群1210に導かれるときに、第二のアンテナ群1220のスイッチングネットワーク1010bによって、第二のアンテナ群1220のアクティブアンテナとして事前に選択されてもよい。あるいは、第一のアンテナポート306aは、RF信号305が第二のアンテナ群1220に導かれるときに、第一のアンテナ群1220のスイッチングネットワーク1010aによって、第一のアンテナ群1210のアクティブアンテナとして予め選択されてもよい。第一のアンテナポート306aと第二のアンテナポート306bとの間でスイッチングするために、発生器ユニット302は、(第一のアンテナポート306aが属する)第一のアンテナ群1210におけるRF信号305の振幅が実質的に平滑に立ち下がり、同時に(第二のアンテナポート306bが属する)第二のアンテナ群1220におけるRF信号305の振幅が実質的に平滑に立ち上がるように、スイッチングネットワーク303を制御するように構成されてもよく、第二のアンテナポート306bは、第二のアンテナ群1220のアクティブアンテナとして事前に選択される。これにより、上述の欠点を回避することができる。2つのアンテナ群1210、1220は、排他的である必要はなく、すなわち、両方のRF経路からのアクセスがアンテナスイッチ1010a、1010bによって提供される場合、任意の物理アンテナ素子は、両方の群に属してもよい(図12で、第一のアンテナ素子332aと第二のアンテナ群1220のスイッチングネットワーク1010bとの間、及び第二のアンテナ素子332bと第一のアンテナ群1210のスイッチングネットワーク1010aとの間の破線)。これにより、フレキシブルなスイッチングシーケンスが可能になり、そこでは、アクティブアンテナ素子は、各スイッチングイベントにおいて任意に選択され得る。
【0046】
アンテナソフトスイッチングシステム310、1000、1200の異なる実施形態の上では、少なくとも2つの抵抗スイッチングデバイス602a、602bとして、JFET、MOSFET、MESFET又はPHEMTトランジスタ、PINダイオード、及び/又はデジタル制御減衰器を参照することによって説明される。あるいは、完全に又は部分的にリアクタンス性の、すなわち誘導性又は容量性のスイッチングデバイス602a、602bを、上記の本発明の実施形態のいずれかで使用することができる。あるいは、アクティブスイッチング素子602a、602b、例えば増幅器は、上述の本発明の実施形態のいずれかにおいて、少なくとも2つの抵抗スイッチングデバイス602a、602bとして使用されてもよい。アクティブスイッチングデバイスの伝達関数、すなわち利得は、連続的に可変、すなわちアナログ制御信号、あるいはデジタル的にプログラム可能、すなわちデジタル制御信号のいずれであってもよい。
【0047】
本出願全体にわたって本発明による任意の構成要、モジュール、及び/又はユニット間(送信機ユニットと受信機ユニットとの間を除く)の接続、すなわち、通信可能に結合は、任意の既知の有線通信技術に基づくことができる。送信機ユニットと受信機ユニットとの間の通信は、任意の既知の無線通信技術、例えば、Bluetooth低エネルギー(BLE)に基づくことができる。
【0048】
以上、本発明は、AoD方向探知送信機ユニットのアンテナソフトスイッチングシステムに関するものである。次に、本発明によるアンテナソフトスイッチング方法の一例を、図13を参照して説明する。この方法は、RF信号の振幅が実質的に平滑に、すなわち、徐々に、第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bにスイッチングされるように、発生器ユニット302によって生成された波形によってスイッチングネットワーク303を制御するステップ1310を含む。これは、上述したように、方向探知送信機の放射RFスペクトルの不要な発光のレベルを低減するためである。スイッチングイベントの間に、少なくとも1つのRFポート304によって見られるインピーダンスは、一定に維持され得る。本発明による方法の異なる実施形態を示す図14図16を参照して、制御するステップ1310をさらに説明する。
【0049】
本発明による方法の例示的な実施形態によれば、スイッチングネットワーク303は、第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bへのRF信号スイッチングを実行するように構成されたアンテナスイッチの一部として実装される。すなわち、スイッチングネットワーク303は、アクティブアンテナポートを第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bに変更し、それに応じてアクティブアンテナ素子を第一のアンテナ素子332aから第二のアンテナ素子332bに変更するように構成されたアンテナスイッチのスイッチングネットワークである(例えば、図6A図6Dのアンテナソフトスイッチングシステム310の例)。換言すれば、スイッチングネットワーク303は、第二のアンテナポート306bと、第二のアンテナポート306bに接続されたアンテナ素子332bとを起動し、第一のアンテナポート306aと、第一のアンテナポート306aに接続されたアンテナ素子332aとを起動停止、すなわち切断するために、第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bにRF信号305をスイッチングするように構成されてもよい。制御するステップ1310は、上述したように、第一のアンテナポート306aでRF信号305の振幅を実質的に平滑に立ち下げる、すなわち、減少させるステップ1410と、第二のアンテナポート306aでRF信号305の振幅を実質的に平滑に立ち上げる、すなわち、増加させるステップ1420とを含んでもよい。本発明による方法のこの例示的な実施形態を図14に示す。
【0050】
本発明による方法の例示的な実施形態によれば、スイッチングネットワーク303は、集中型ソフトスイッチングシステム1000(例えば、図10の例示的なアンテナソフトスイッチングシステム)を提供する別個のスイッチングネットワークである。スイッチングネットワーク303は、アンテナスイッチのスイッチングネットワーク1010、すなわち、少なくとも1つのアンテナアレイ330のアンテナ素子332a~332nを連続して選択するように構成されたアンテナスイッチの複数のスイッチングデバイスとは別個である。制御するステップ1310は、上述のように、第一のアンテナポート306aでRF信号305の振幅を実質的に平滑に立ち下げるステップ1510と、同時に基準ポート1030でRF信号の振幅を実質的に平滑に立ち上げるステップ1520と、アンテナスイッチのスイッチングネットワークによって接続することによって、RF信号305が基準ポート1030のダミー負荷1020に導かれる間、アクティブアンテナポート及びアクティブアンテナ素子を第一のアンテナポート306aから第二のアンテナポート306bへのRF信号の経路に変更する、すなわち、スイッチングするステップ1530と、基準ポート1030でRF信号305の振幅を実質的に平滑に立ち下げるステップ1540と、同時に第二のアンテナポート306bでRF信号305の振幅を実質的に平滑に立ち上げるステップ1550と、含み得る。本発明による方法のこの例示的な実施形態を図15に示す
【0051】
あるいは、本発明による例示的な実施形態によれば、スイッチングネットワーク303は、集中型ソフトスイッチングシステム1200を提供する別個のスイッチングネットワークであり、前記第一のアンテナポート306a~306n及びアンテナ素子332a~332nが2つの群に配置され、第一のアンテナポート306a及びそれぞれの第一のアンテナ素子332aは、第一のアンテナ群1210に属し、第二のアンテナポート306b及びそれぞれの第二のアンテナ素子332bは、第二のアンテナポート群1220に属する(例えば、図12の例示的なアンテナソフトスイッチングシステム)。制御するステップ1310は、上述のように、第一のアンテナ群1210におけるRF信号305の振幅を実質的に平滑に立ち下げるステップ1610と、同時に第二のアンテナ群1220におけるRF信号305の振幅を実質的に平滑に立ち上げるステップ1620を含むことができ、第二のアンテナポート306bは、第二のアンテナ群1220のアクティブアンテナとして予め選択される。本発明による方法のこの例示的な実施形態を図16に示す。
【0052】
また、AoD送信機ユニット300に加えて、上述のアンテナソフトスイッチングシステム及び方法のために、他のいくつかの用途も存在し得る。例えば、本発明によるアンテナソフトスイッチングシステム及び方法は、単一アンテナを備えた時間領域二重(TDD)無線における送信機パワーオン/オフ過渡現象の平滑化のために使用することができる。図10のアンテナソフトスイッチングシステム1000及び図15のそれぞれのアンテナソフトスイッチング方法は、この用途に最も適していてもよい。アンテナソフトスイッチングシステム1000は、線形送信機チェーンの任意の点で、又は非線形PAの場合には電力増幅器(PA)とアンテナとの間で使用することができる。あるいは、本発明によるアンテナソフトスイッチングシステム及び方法は、プログラマブル整合減衰器として使用されてもよい。少なくとも2つの抵抗スイッチングデバイス602a、602bは、スイッチングネットワーク303が減衰範囲全体にわたって一定のインピーダンスを維持するように寸法を決めることができる。図10のアンテナソフトスイッチングシステム1000及び図15のそれぞれのアンテナソフトスイッチング方法は、この用途に最も適していてもよい。あるいは、本発明によるアンテナソフトスイッチングシステム及び方法は、2つ以上のアンテナを一緒に組み合わせて単一の送信機又は受信機ポートにするために使用されてもよく、その2つのアンテナ間のパワー比は調整可能である。これは、抵抗スイッチングデバイスの場合には、損失のある結合器であろうが、ビーム形成のような一部の用途では有用であり得る。
【0053】
本発明は、AoD方向探知送信機ユニットのアンテナソフトスイッチングシステム310、1000、1200と、アンテナソフトスイッチング方法と、アンテナソフトスイッチングシステム310、1000、1200を備えたAoD方向探知送信機ユニットとを含む。本発明のこれらの態様の全ては、従属するシステムの請求項に含まれる同じサブ特徴、サブパート、及びサブ機能を含む。
【0054】
上述の説明で提供された具体的な例は、添付の特許請求の範囲の適用性及び/又は解釈を制限するものと解釈されるべきではない。上述の説明で提供された例のリスト及びグループは、特に明記しない限り、網羅的ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16