(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】エアロゾルの発生
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20231204BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20231204BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20231204BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20231204BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20231204BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20231204BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/50
A24F40/60
A24F40/42
A24D1/20
A24D3/17
(21)【出願番号】P 2021570769
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2020064999
(87)【国際公開番号】W WO2020239987
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-14
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ブルックバンク、アーロン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/019855(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/198876(WO,A1)
【文献】特表2018-512142(JP,A)
【文献】国際公開第2017/198837(WO,A1)
【文献】特表2017-518042(JP,A)
【文献】特表2017-500848(JP,A)
【文献】特表2016-534730(JP,A)
【文献】特表2014-525251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24D 1/20
A24D 3/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのセクションを含み、その内の少なくとも一方のセクションはタバコ材を含むエアロゾル化可能な材料と、
エアロゾル化可能な材料の異なるセクションをそれぞれ加熱するように配置された少なくとも第1および第2のヒーターを含むエアロゾル発生システムであって、
前記システムは、
ユーザーによって使用中
に、第1のヒーターによる前記セクションの内の第1のセクションの加熱の開始後に、第2のヒーターが前記セクションの内の第2のセクションを第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱
し、発生したエアロゾルの組成のユーザーによる制御を提供するためにユーザーによって選択的に作動可能に構成されており、
前記システムは、前記第2のセクションのエアロゾル化可能な材料から前記エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるために、前記第2のヒーターを選択的に作動させるボタンを含み、当該ボタンは、ユーザーの異なる入力に応じて異なる応答を与えるようにプログラムされており、それにより、オン/オフスイッチと第2のヒーターの作動スイッチの両方として作動可能であり、前記エアロゾル化可能な材料の2つのセクションは組成が異なっているエアロゾル発生システム。
【請求項2】
エアロゾル化可能な材料の第2のセクションをその成分が揮発する温度に加熱するために第2のヒーターを作動させていない間、第2のヒーターは、中間温度に加熱されるように構成され、中間温度は、室温より高いが第2のセクションの成分を揮発させるために必要な温度よりは低いことを特徴とする請求項1記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記セクションの少なくとももう一方のセクションは、エアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記システムは、第1のヒーターによる第1のセクションの加熱中に第2のヒーターが第2のセクションを第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱するために
ユーザーによって選択的に作動可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記システムは、第2のヒーターを作動させるために使用時にユーザーが操作可能なユーザーインプット機構を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
第1のセクションは、タバコ材を含み、第2のセクションは、エアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
エアロゾル変性剤は、カプセル化され、閾値放出温度に加熱すると放出可能になることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
エアロゾル変性剤は、風味剤を含むことを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
風味剤は、メンソールを含むことを特徴とする請求項8記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記セクションのもう一方のセクションは、タバコ材を全く含まないことを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記セクションのもう一方のセクションは、タバコ材を含むことを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記セクションの一方のセクションおよび/または前記セクションのもう一方のセクションは、カプセル化されていないエアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
少なくとも第3のヒーターを含むことを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
第3のヒーターは、第1のセクションと同じエアロゾル化可能な材料のセクションを加熱するように構成されている、または第3のヒーターは、エアロゾル化可能な材料の第3のセクションを加熱するように構成され、第3のヒーターの加熱プロファイルは、前記システムにプログラムされ、ユーザーが選択的に操作することができないことを特徴とする請求項13記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
エアロゾル化可能な材料はロッド形状であり、前記少なくとも2つのセクションは、エアロゾル化可能な材料のロッドの長手方向軸に沿って同軸に配されていることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項16】
エアロゾル発生物品を含み、当該物品は、
前記エアロゾル化可能な材料と、冷却部材および/またはフィルターとを含み、エアロゾル化可能な材料は、組成が異なる少なくとも2つのセクションを含み、これらセクションの少なくとも一方のセクションは、タバコ材を含み、これらセクションの少なくとももう一方のセクションは、エアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項17】
エアロゾル化可能な材料の前記もう一方のセクションは、エアロゾル化可能な材料のセクションの前記一方のセクションと冷却部材および/またはフィルターとの間に設けられることを特徴とする請求項16記載のエアロゾル発生システム。
【請求項18】
エアロゾル化可能な材料のセクションの前記一方のセクションは、エアロゾル化可能な材料の前記もう一方のセクションと冷却部材および/またはフィルターとの間に設けられることを特徴とする請求項16記載のエアロゾル発生システム。
【請求項19】
第1のセクションは、タバコ材を含み、第2のセクションは、エアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項16乃至18いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項20】
エアロゾル変性剤は、カプセル化され、少なくとも閾値放出温度に加熱すると放出可能になることを特徴とする請求項16乃至19いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項21】
閾値放出温度は、少なくとも50℃、場合によっては少なくとも100℃、場合によっては少なくとも150℃、そして場合によっては約300℃、約250℃または約200℃未満であることを特徴とする請求項20記載のエアロゾル発生システム。
【請求項22】
エアロゾル変性剤をカプセル化する非晶質固体を含むことを特徴とする請求項20または21記載のエアロゾル発生システム。
【請求項23】
薄膜を含み、薄膜は非晶質固体を含むことを特徴とする請求項22記載のエアロゾル発生システム。
【請求項24】
前記セクションのもう一方のセクションは、そのもう一方のセクションの重量で0.1wt%~99wt%の量でエアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項16乃至23いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項25】
前記セクションの一方のセクションおよび/または前記セクションのもう一方のセクションは、カプセル化されていないエアロゾル変性剤を全く含まないことを特徴とする請求項16乃至24いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項26】
前記セクションの一方のセクションは、前記もう一方のセクションに含まれているものと同じ種類のエアロゾル変性剤を含まないことを特徴とする請求項16乃至25いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項27】
エアロゾル発生物品は長尺であり、前記少なくとも2つのセクションは、エアロゾル発生物品の長手方向軸に沿って同軸に配されていることを特徴とする請求項16乃至26いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項28】
前記少なくとも第1および第2のヒーターを含み、これらのヒーターは、使用時に前記エアロゾル化可能な材料の前記第1および第2のセクションをそれぞれ加熱するように配置されるエアロゾル発生デバイスを含み、
前記デバイスは、
ユーザーによって使用中
に、エアロゾル化可能な材料の第1のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度への第1のヒーターの加熱開始後に、第2のヒーターが前記セクションの内の第2のセクションをエアロゾル化可能な材料の第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱
し、発生したエアロゾルの組成のユーザーによる制御を提供するためにユーザーによって選択的に作動可能に構成されており、
前記デバイスは、前記第2のセクションのエアロゾル化可能な材料から前記エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるために、前記第2のヒーターを選択的に作動させるボタンを含み、当該ボタンは、ユーザーの異なる入力に応じて異なる応答を与えるようにプログラムされており、それにより、オン/オフスイッチと第2のヒーターの作動スイッチの両方として作動可能であることを特徴とする請求項1乃至27いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項29】
エアロゾル化可能な材料の第2のセクションをその成分が揮発する温度に加熱するために第2のヒーターを作動させていない間、第2のヒーターは、中間温度に加熱されるように構成され、中間温度は、室温より高いが第2のセクションの成分を揮発させるために必要な温度よりは低いことを特徴とする請求項28記載のエアロゾル発生システム。
【請求項30】
前記システムは、第1のヒーターによる第1のセクションの加熱中に、第2のセクションを第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱するために第2のヒーターが
ユーザーによって選択的に作動可能に構成されていることを特徴とする請求項28または29記載のエアロゾル発生システム。
【請求項31】
デバイスは、第2のヒーターを作動させるために使用時にユーザーが操作可能なユーザーインプット機構を含むことを特徴とする請求項28乃至30いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項32】
デバイスは、第3のヒーターを含み、第3のヒーターの加熱プロファイルは、システム内にプログラムされていて、ユーザーが選択的に操作することができないことを特徴とする請求項28乃至31いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項33】
使用時にエアロゾル化可能な材料を保持するためのチェンバーを含むことを特徴とする請求項28乃至32いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【請求項34】
前記ヒーターの少なくとも1つは管状であり、使用時にエアロゾル化可能な材料を保持するチェンバーを囲むことを特徴とする請求項33記載のエアロゾル発生システム。
【請求項35】
ヒーターのそれぞれが管状であり、使用時にエアロゾル化可能な材料を保持するチェンバーを囲むことを特徴とする請求項34記載のエアロゾル発生システム。
【請求項36】
第2のヒーターは第1のヒーターよりデバイスの吸い口端に近いことを特徴とする請求項28乃至35いずれか1項記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾルの発生および特にエアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生システムに使用するためのエアロゾル発生物品に関するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。これらの種類の物品の代替物は、燃焼させずに化合物を放出する。
【0003】
エアロゾル化可能な材料を燃やさずまたは燃焼させずにエアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて典型的には吸入可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。そのような装置は、場合によっては「非燃焼加熱」装置または「タバコ加熱製品」(THP)または「タバコ加熱デバイス」またはそれに類するものとして説明される。エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための種々の異なる装置が知られている。
【0004】
その材料は、例えばタバコまたは他の非タバコ製品またはニコチンを含んでも含まなくてもよいブレンドミックスなどの組み合わせであってもよい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様ではエアロゾル発生システムが提供され、このシステムは、
- 少なくとも2つのセクションを含み、その内の少なくとも一方のセクションはタバコ材を含むエアロゾル化可能な材料と、
- エアロゾル化可能な材料の異なるセクションをそれぞれ加熱するように配置された少なくとも第1および第2のヒーターとを含み、
前記システムは、使用中、第1のヒーターによる前記セクションの内の第1のセクションの加熱の開始後に第2のヒーターが前記セクションの内の第2のセクションを第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱するために選択的に作動可能に構成されている。
【0006】
選択的に操作可能なヒーターを設けることでユーザーは、第2のセクションの成分の揮発を制御することができ、ユーザーは、発生させるエアロゾルの組成を制御しやすくなる。
【0007】
本発明の第2の態様では第1の態様によるシステムに使用するためのエアロゾル発生物品が提供される。一部の実施態様ではこれはエアロゾル化可能な材料と、冷却部材および/またはフィルターとを含み、エアロゾル化可能な材料は、異なる組成からなる少なくとも2つのセクションを含み、これらセクションの少なくとも一方のセクションは、タバコ材を含み、これらセクションの少なくとももう一方のセクションは、エアロゾル変性剤を含むエアロゾル発生システムに使用するためのエアロゾル発生物品を提供する。
【0008】
本発明の第3の態様では少なくとも第1および第2のヒーターを含むエアロゾル発生デバイスを提供し、これらヒーターは、使用時にエアロゾル化可能な材料の第1および第2のセクションをそれぞれ加熱するように配置され、前記デバイスは、使用中、エアロゾル化可能な材料の第1のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度への第1のヒーターの加熱開始後に、第2のヒーターが前記セクションの内の第2のセクションをエアロゾル化可能な材料の第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱するために選択的に作動可能に構成されている。
【0009】
エアロゾル発生物品に関して本明細書で説明した特徴は、それらが矛盾しない範囲で第1の態様のエアロゾル発生システムと組み合わせて明確に開示されているものとする。エアロゾル発生システムに関して本明細書で説明した特徴は、それらが矛盾しない範囲で第3の態様のエアロゾル発生デバイスと組み合わせて明確に開示されているものとする。
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照して単に一例として挙げられる本発明のいつかの例示の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】エアロゾル発生システムに使用するためのエアロゾル化可能な材料の略図である。
【
図2】エアロゾル発生システムに使用するためのエアロゾル化可能な材料を含むエアロゾル発生物品の略図である。
【
図3】エアロゾル発生物品の一例を示す断面図である。
【
図5】エアロゾル発生物品の一例を示す立断面図である。
【
図7】エアロゾル発生システムの一例を示す斜視図である。
【
図8】エアロゾル発生システムの一例を示す断面図である。
【
図9】エアロゾル発生システムの一例を示す斜視図である。
【
図10】エアロゾル発生システムの略式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のいくつかの例によるエアロゾル発生システムは、ここでは非燃焼加熱装置、タバコ加熱製品またはタバコ加熱デバイスと言う場合もある。
【0013】
上記のように本発明は、エアロゾル発生システムを提供し、このシステムは、
- 少なくとも2つのセクションを含み、その内の少なくとも一方のセクションはタバコ材を含むエアロゾル化可能な材料と、
- エアロゾル化可能な材料の異なるセクションをそれぞれ加熱するように配置された少なくとも第1および第2のヒーターとを含み、
前記システムは、使用中、第1のヒーターによる前記セクションの内の第1のセクションの加熱の開始後、第2のヒーターが前記セクションの内の第2のセクションを第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱するために選択的に作動可能に構成されている。
【0014】
場合によっては少なくとももう一方のセクションは、エアロゾル変性剤を含む。
【0015】
場合によっては本発明はエアロゾル発生システムを提供し、このシステムは、
- 少なくとも2つのセクションを含み、第1のセクションはタバコ材を含み、第2のセクションはエアロゾル変性剤を含むエアロゾル化可能な材料と、
- エアロゾル化可能な材料の異なるセクションをそれぞれ加熱するように配置された少なくとも第1および第2のヒーターとを含み、
前記システムは、第1のヒーターによる第1のセクションの加熱の開始後に第2のヒーターが第2のセクションを第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱するために選択的に作動可能に構成されている。
【0016】
場合によっては本発明のシステムは、第1のセクションの加熱の開始後および第1のセクションの加熱の終了前に第2のヒーターが第2のセクションを第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱するために選択的に作動可能に構成されている。場合によっては本発明のシステムは、第1のヒーターによる第1のセクションの加熱中に第2のヒーターが第2のセクションを第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱するために選択的に作動可能に構成されている。
【0017】
場合によってはエアロゾル化可能な材料の2つのセクションは、固体またはゲル状である。
【0018】
場合によってはエアロゾル化可能な材料の2つのセクションは、組成が異なる。
【0019】
第1のセクションは、タバコ材を含んでもよい。場合によってはエアロゾル化可能な材料の第1のセクションは、さらにエアロゾル発生剤、風味剤、結合剤および/または充填剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0020】
第2のセクションは、エアロゾル変性剤を含んでもよい。エアロゾル変性剤は、エアロゾル化でき、第1のセクションの加熱によって発生したエアロゾルと混ざることができ、エアロゾルがユーザーによってどのように知覚されるかを変えるあらゆる化合物であってもよい。一部の実施態様ではエアロゾル変性剤は、エアロゾル発生剤、風味剤、香味および刺激剤を含んでもよい。一部の実施態様ではエアロゾル変性剤は、1つ以上の風味剤、好適にはメンソールを含む。場合によってはエアロゾル変性剤は、実質的にメンソールからなるまたはメンソールからなる。
【0021】
場合によってはエアロゾル変性剤を含むセクションは、エアロゾル変性剤を第2セクションの重量で0.1wt%~99wt%、好適には1~98wt%、5~95wt%、10~90wt%、20~75wt%または30~55wt%の量で含んでもよい。
【0022】
場合によってはもう一方のセクションのエアロゾル化可能な成分は、第2のヒーターがユーザーによって作動させなければエアロゾルに移らないように安定化されている。
【0023】
場合によってはエアロゾル変性剤はカプセル化してもよく、エアロゾル変性剤は適当なセクションを閾値放出温度に加熱すると放出可能になる。カプセル化は、第1のセクションからの流れ出る熱によるエアロゾル変性剤の意図しない揮発を妨げるために使用することができる。またカプセル化は、使用前のエアロゾル化可能な材料内のエアロゾル変性剤の移動を妨げるのにも役立つ。
【0024】
場合によっては閾値放出温度は、少なくとも50℃、場合によっては少なくとも100℃、場合によっては少なくとも150℃、そして場合によっては約300℃、約270℃または約250℃未満である。
【0025】
エアロゾル変性剤は、カプセル化材でカプセル化してもよい。場合によってはカプセル化材は、アルギネート、カラギーナンまたはペクチン材などの多糖材料、セルロース系材料、ゼラチン、ガム、プロテイン材、ポリオールマトリックス材、ゲル、ワックス、ポリウレタン、重合エチレン酢酸ビニル重合物加水分解物、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリグリコール、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルまたはこれらの混合物またはこれらすべての混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
場合によっては温度に依存する放出は、放出温度で風味剤を放出するために溶ける、分解する、反応する、崩壊する、膨潤するまたは変形するカプセル化材の使用によって行ってもよい。別の場合には加熱によってカプセル化されたエアロゾル変性剤を膨らませて、カプセル化材を破裂させてもよい。
【0027】
カプセル化されたエアロゾル変性剤は、粉、粒またはビーズであるカプセルの形体で提供されてもよい。場合によってはこれらのカプセル化は、エアロゾル発生物品を囲むラッパーなどの基材に担持されてもよい。場合によってはカプセル化されたエアロゾル変性剤は、エアロゾル変性剤をカプセル化する非晶質固体の形体で提供されてもよい。非晶質固体は、多糖類マトリックスを含んでもよい。非晶質固体は、薄膜として提供されてもよい。この薄膜は、例えば刻まれたまたはシート状で提供されてもよい。場合によってはカプセル化されたエアロゾル変性剤は、これらの形体の混合物、例えばカプセルとカプセル化膜の組み合わせに含まれてもよい。
【0028】
場合によってはカプセル化されたエアロゾル変性剤を含むセクションは、さらにカプセル化されていないエアロゾル変性剤を含んでもよい。例えば場合によってはエアロゾル変性剤を含むセクションは、メンソールなどのカプセル化された風味剤を含んでもよく、さらにメンソールなどのカプセル化されていない風味剤を含んでもよい。
【0029】
場合によってはエアロゾル化可能な材料は、使用時にヒーターに挿入されるエアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。本発明の別の態様のそのような物品は上に記載した通りである。その物品に関する本明細書での考察は、本発明のシステムの態様と組み合わせて明示的に開示されている。
【0030】
本発明の第2の態様ではエアロゾル発生システムに使用するためのエアロゾル発生物品は、エアロゾル化可能な材料と、冷却部材および/またはフィルターとを含み、エアロゾル化可能な材料は、異なる組成の少なくとも2つのセクションを含み、これらセクションのうちの第1のセクションはタバコ材を含み、これらセクションのうちの第2のセクションはエアロゾル変性剤を含む。
【0031】
場合によってはエアロゾル発生システムに使用するためのエアロゾル発生物品は、エアロゾル化可能な材料と、冷却部材および/またはフィルターとを含み、エアロゾル化可能な材料は、異なる組成の少なくとも2つのセクションを含み、第1のセクションはタバコ材を含み、第2のセクションはエアロゾル変性剤を含む。
【0032】
場合によってはエアロゾル化可能な材料の第の2のセクションは、エアロゾル化可能な材料の第1のセクションと冷却部材および/またはフィルターの間に設けられている。他の例ではエアロゾル化可能な材料の第の1のセクションは、エアロゾル化可能な材料の第2のセクションと冷却部材および/またはフィルターの間に設けられている。
【0033】
場合によっては第1のセクションおよび/または第2のセクションは、カプセル化されていないエアロゾル変性剤を含む。場合によっては第1のセクションおよび/または第2のセクションは、カプセル化されていないエアロゾル変性剤を全く含まない。場合によっては本発明の物品は、カプセル化されていないエアロゾル変性剤を全く含まない。
【0034】
場合によってはエアロゾル化可能な材料のセクションの一方、好適には第2のセクションはタバコ材を全く含まない。
【0035】
エアロゾル変性剤が第2のセクションに含まれる場合にはエアロゾル化可能な材料の第1のセクションは、第2のセクションに含まれるものと同じ種類のエアロゾル変性剤を全く含まない。これは第2のセクションのエアロゾル変性剤が第1のセクションと同じフォーマットで含まれないことを意味する。したがって、これらの実施態様では例えばカプセル化されたメンソールは、第2のセクションに設けられ、第1のセクションには設けられず、カプセル化されていないメンソールはこれらセクションのいずれかまたは両方に設けられ場合がある。第2のセクションに含まれるメンソールは、カプセル化され、そのカプセル化されたフォーマットは、第1のセクションには見られない。
【0036】
場合によっては
- フィルターおよび/または冷却部材が吸い口端に設けられている、
- エアロゾル化可能な材料の第2のセクションは、カプセル化された風味剤を含み、タバコ材を含まない、
- エアロゾル化可能な材料の第1のセクションはタバコ材を含むが、カプセル化された風味剤を含まないエアロゾル発生物品が提供される。
【0037】
好適には第2のセクションは、フィルターおよび/または冷却部材に隣接して設けられ、第1のセクションは第2のセクション(フィルターおよび/または冷却部材の反対)に隣接して設けられる。即ち、第2のセクションは、第2のセクションとフィルターおよび/または冷却部材の間に好適には配置してもよい。
【0038】
好適にはこれらセクションのいずれかまたは両方は、カプセル化されていない風味剤を含んでもよい。
【0039】
場合によってはエアロゾル化可能な材料は、ロッド状である。本明細書中では「ロッド」なる用語は、一般にエアロゾル発生システムに使用するためのあらゆる好適な形状である長尺体を意味する。場合によってはロッドは実質的に円筒状であり、その少なくとも2つのセクションはエアロゾル化可能な材料のロッドの長手方向軸に沿って同軸に配される。これらのセクションは、場合によっては円筒状であってもよい。場合によってはこれらのセクションは、同じ寸法であってもよい。これらのセクションは、異なる寸法であってもよい。場合によっては円筒状セクションは、約5~9mm、好適には7.5~8mmの断面直径を有してもよい。場合によってはロッドの全長は、約30~54mm、好適には36~48mmであってもよい。場合によってはロッドは、それぞれが約15~27mm、好適には18~24mmの長さを有する2つのセクションを含んでもよい。場合によってはロッドは、それぞれが約15~20mm、好適には18mmの長さを有する2つのセクションを含んでもよい。場合によってはロッドは、それぞれが約22~27mm、好適には24mmの長さを有する2つのセクションを含んでもよい。
【0040】
他の例ではエアロゾル化可能な材料のこれらセクションは、円筒状などのロッドを一緒に形成するように配置される角柱セクションの形体であってもよい。例えば2つのセクションがある場合、それらは半円筒であってもよく、それらの平面が互いに接触した状態で配置されてもよい。
【0041】
冷却部材がある場合、それは気体またはエアロゾル成分を冷やすために作用または機能してもよい。場合によっては冷却部材は気体成分が縮合してエアロゾルを形成するように気体成分を冷ますように作用する。また冷却部材は装置の極めて熱い部分をユーザーから離すように作用する。フィルターは、もしある場合、セルロースアセテートプラグなどの当業界で知られているあらゆる好適なフィルターを含んでもよい。エアロゾル発生物品は、紙などのラッパー材で包んでもよい。
【0042】
エアロゾル発生物品は、さらに換気開口部を含んでもよい。これら換気開口部は発生物品の側壁に設けられてもよい。場合によっては換気開口部はフィルターおよび/または冷却部材に設けてもよい。これらの開口部は冷却空気が使用時に発生物品内に引き込まれるようにすることができ、これは加熱されて揮発した成分と混ざることができ、これによってエアロゾルを冷却する。
【0043】
換気は発生物品が使用時に加熱された際に発生物品から目に見える加熱されて揮発した成分の発生を増加させる。加熱されて揮発した成分は、加熱されて揮発する成分の過飽和が起こるように加熱されて揮発した成分の冷却工程によって可視化される。加熱されて揮発した成分は、次に小滴に形成され、これは核形成としても知られていて、最終的に加熱されて揮発した成分のエアロゾル粒子の大きさは加熱されて揮発した成分のさらなる縮合および加熱されて揮発した成分から新たに形成された小滴の凝固によって大きくなる。
【0044】
場合によっては換気率として知られている加熱されて揮発した成分と冷却空気の合計に対する冷却空気の比率は少なくとも15%である。15%の換気率で加熱されて揮発した成分を上述の方法で見えるようにすることができる。加熱されて揮発した成分を見えるようにすることでユーザーが加熱されて揮発した成分が発せられ喫煙経験の近く経験に加わったことを確認することができる。
【0045】
別の例では換気率は加熱されて揮発した成分をさらに冷却するために50%~85%である。場合によっては換気率は、少なくとも60%または65%であってもよい。
【0046】
エアロゾル化可能な材料は、システム内で加熱され、エアロゾル化可能な材料を燃やさずにエアロゾルを発生させる。
【0047】
場合によってはエアロゾル発生システムに設けられる各ヒーターは、薄膜電気抵抗ヒーターであってもよい。他の例では各ヒーターは、誘導ヒーターなどを含んでもよい。誤解を避けるために第1および第2のヒーターは、互いに同じであってもよく、異なってもよい。
【0048】
一般に各ヒーターは、バッテリーに接続され、それは充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーであってもよい。好適なバッテリーとしてはリチウムイオンバッテリー、ニッケルバッテリー(ニッケル-カドミウムバッテリーなどの)、アルカリバッテリーなどがある。バッテリーは、ヒーターに電気的に接続され、必要に応じてエアロゾル化可能な材料を加熱するために(エアロゾル化可能な材料を燃やさずにエアロゾル化可能な材料の成分を揮発させるために)電力を供給するように適当な回路を介して制御可能である。
【0049】
1つの例ではヒーターは、同軸に配置され、中空の内部加熱チェンバーを有し、使用時にその中にエアロゾル化可能な材料が挿入されるほぼ中空の円筒状管の形体である。各管の端部は当接していてもよい。ヒーターは、エアロゾル化可能な材料の実質的に全体が使用時に加熱されるような寸法であってもよい。
【0050】
他の例ではヒーターは、使用時にエアロゾル化可能な材料内に挿入される1つ以上のブレードの形体であってもよい。ヒーターは、例えば独立して加熱可能な領域を有する単独のブレードとして提供されてもよい。
【0051】
各ヒーターは、その長さの長さの少なくとも一部に沿ってエアロゾル発生システムの外部へヒーターから移動する熱を減らすのに役立つ断熱材に囲まれてもよい。これは一般的に熱損失を少なくするのでヒーターに必要な電力を下げるのに役立つ。また断熱材は、ヒーターの操作中にエアロゾル発生システムの外部を冷やし続けるのに役立つ。
【0052】
場合によっては第1のヒーターは、エアロゾル化可能な材料の第1のセクションの成分を揮発させるために少なくとも180℃、200℃、220℃または240℃に加熱してもよい。場合によっては集合体は、エアロゾル化可能な材料の少なくとも一部が加熱期間中の少なくとも50%の間、少なくとも180℃、200℃、220℃または240℃の温度に晒されるように構成してもよい。場合によっては第1のヒーターは、パフ始動のものであってもよい。
【0053】
場合によってはエアロゾル発生システムは、記憶された加熱プロファイルのライブラリを有するメモリを含んでもよく、システムによって適用される加熱プロファイルは、エアロゾル化可能な材料の組成に依存してもよく、その組成は、システムによって検知してもよい。例えば、エアロゾル化可能な材料は、バーコード、RFIDなどの独自の識別子を含んでもよく、これはその組成を識別し、システムによって検知され、次にシステムは記憶されているプロファイルのライブラリから適した加熱プロファイルを選択する。
【0054】
上記のように, 本発明のシステムは、第1のヒーターによる第1のセクションの加熱の開始後、第2のヒーターがエアロゾル化可能な材料の第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に第2のセクションを加熱するようにユーザーによって選択的に作動可能なように構成されている。
【0055】
場合によっては本発明のシステムは、第2のヒーターを作動させるために使用時にユーザーが操作可能なユーザーインプット機構を含む。場合によっては第2のヒーターは、ボタンで作動させてもよい。場合によっては第2のヒーターを作動させると、エアロゾル化期間の終わりまで第2のセクションを加熱する。他の例では第2のヒーターは、その期間の間、間欠的に作動させてエアロゾル変性剤を間欠的に放出するようにしてもよい。例えば、場合によってはボタンは、第2のヒーターの加熱を開始するために所定の時間の間押される(これによって所定量のエアロゾル変性剤を放出する)。別の例として 場合によってはボタンを第2のヒーターを作動させるために押した状態を保持しなければならず、ボタンを解放した際にヒーターは非作動状態になる(これによりエアロゾル変性剤はボタンが押されている時間に実質的に対応する期間揮発する)。
【0056】
場合によっては第2のヒーターは、第2のヒーターを第2セクションをその成分が揮発する温度に加熱するために作動させていない間、第2のヒーターは、室温より高いが第2セクションの成分を揮発させるために必要な温度よりは低い中間温度になる(即ち、中間温度に加熱される)ように構成されている。これは第2のヒーターが作動時に揮発温度にすぐに到達できることを意味する。
【0057】
場合によっては2つ超のエアロゾル化可能な材料のセクションがあってもよい。例えば、場合によってはエアロゾル化可能な材料の第3のセクションとこれを加熱する第3のヒーターがあってもよい。そのような一部の場合において、第1のセクションは、タバコ材を含んでもよく、第2のセクションは、エアロゾル変性剤を含んでもよく、第3のセクションは、タバコ材を含んでもよい。そのような一部の場合において、第3のセクションは、第1のセクションに隣接し、第1のセクションと当接してもよい。場合によっては第1および第3のセクションは、同じ組成であってもよい。場合によっては第1および第3のセクションは、異なる組成であってもよい。
【0058】
そのような一部の場合において、その集合体は、エアロゾル化可能な材料の第1および第3のセクションのそれぞれに異なる熱プロファイルを提供するように構成される。第1および第3のセクションに異なる熱プロファイルを適用することで使用中にエアロゾルのパフプロファイルを制御することが可能になる。エアロゾル化可能な材料のこれら2つの部分に供される熱は、異なる回数または速度で供されてもよく、このように加熱を調整することでエアロゾルの速い生成および長い使用寿命の両方を可能にする。
【0059】
場合によっては本発明のエアロゾル発生システムは、少なくとも第3のヒーターを含む。そのような一部の場合において、第3のヒーターは、第1のセクションと同じエアロゾル化可能な材料のセクションを加熱するように構成されている。他の例では第3のヒーターは、エアロゾル化可能な材料の第3のセクションを加熱するように構成されている。それぞれの場合、第3のヒーターの加熱プロファイルは、システム内にプログラムされていて、ユーザーが選択的に操作することができない。
【0060】
そのような一部の場合において、これら集合体は、消費経験の開始時にエアロゾル化可能な材料の第1のセクションに対応する第1のヒーターがエアロゾル化可能な成分を揮発させる揮発温度にすぐに加熱されるように構成してもよい。設定された期間の後、第1の加熱素子の温度は、第1のセクションのエアロゾルの凝集を妨げるために選択された中間温度に降下する。
【0061】
消費経験の開始時またはある期間の後のいずれかでエアロゾル化可能な材料の第3のセクションに対応する第3のヒーターは、中間温度(第1のヒーターの中間温度と同じまたは異なってもよい)に加熱される。設定された期間の後、第3の加熱素子は、揮発温度(第1のヒーターの揮発温度と同じまたは異なってもよい)に加熱される。通常は第1および第3のヒーターのうちの少なくとも1つが消費経験を通してその揮発温度になっていて、場合によっては第1および第3のヒーターの両方が同時にある期間その揮発温度になっている。第3のヒーターの中間温度は、第3のセクションをその揮発温度にすぐに加熱できるように選択される。
【0062】
消費経験の終わりに両方のヒーターは、室温に冷まされる。
【0063】
本発明の別の態様は、少なくとも第1および第2のヒーターを含むエアロゾル発生デバイスを提供し、これらヒーターは、使用時にエアロゾル化可能な材料の第1および第2のセクションをそれぞれ加熱するように配置され、前記デバイスは、使用中、エアロゾル化可能な材料の第1のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度への第1のヒーターの加熱開始後に第2のヒーターが前記セクションの内の第2のセクションを第2のセクションのエアロゾル化可能な成分を揮発させる温度に加熱するために選択的に作動可能に構成されている。
【0064】
場合によってはエアロゾル発生デバイスは、エアロゾル化可能な材料と共に本願明細書で説明するエアロゾル発生集合体を形成するデバイスである。この集合体に関して考察される(およびエアロゾル化可能な材料に関連しない)特徴は、それらが矛盾しない範囲で本発明のデバイスの態様と組み合わせて明確に開示されているものとする。
【0065】
本発明の一態様に関して説明した特徴は、それらが矛盾しない範囲で本明細書で説明した他の態様および例と組み合わせて明確に開示されている。
【0066】
本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコまたはその派生物を含むあらゆる材料を意味する。「タバコ材」なる用語はタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しされたタバコ、タバコ葉柄、再生タバコおよび/またはタバコ抽出物のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0067】
タバコ材を製するために使用されるタバコは、バージニアおよび/またはバーレーおよび/またはオリエンタルを含む単独グレードまたはブレンド、刻まれたクズまたは葉全体などのあらゆる好適なタバコであってもよい。またタバコ粒子「微粉末」またはダスト、膨張タバコ、葉柄、膨張葉柄および裁断圧延葉柄などの他の処理された葉柄材であってもよい。タバコ材は粉タバコまたは再生タバコ材であってもよい。再生タバコ材はタバコ繊維であってもよく、キャスティング、タバコ抽出物を後で追加するフォードリニア系製紙法または押し出しによって形成してもよい。
【0068】
本明細書中では「エアロゾル変性剤」は、加熱時にエアロゾルの発生を促進させる薬剤である。エアロゾル発生剤は、気体の初期の気化および/または吸引可能な固体および/または液体エアロゾルへの凝集を促進することによってエアロゾルの発生を促してもよい。好適なエアロゾル発生剤としては、ソルビトール、グリセリンおよびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールのようなグリコール類などのポリオール、一価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸類、グリセリン誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルまたはミリスチン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸エステルなどのエステル類およびステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本明細書中で使用する「風味料」および「風味剤」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。このような材料としては、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形態であってもよい。一部の実施態様では感覚受容器部位活性化剤または刺激剤は冷却剤などの感覚惹起剤である。好適な冷却剤は、N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド(WS-3、CAS: 39711-79-0、FEMA: 3455としても知られている)、2-イソプロピル-N-[(エトキシカルボニル)メチル]-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド(WS-5、CAS: 68489-14-5、FEMA: 4309としても知られている)、2-イソプロピル-N-(4-メトキシフェニル)-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド(WS-12、FEMA: 4681としても知られている)および2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブタンアミド(WS-23、FEMA: 3804としても知られている)からなる群から選択される1つ以上の化合物を含んでもよい。
【0070】
本明細書中では「刺激剤」なる用語は、ニコチンおよびカフェインおよび人体を刺激する他の化合物を含む。
【0071】
本明細書中では「バインダー」なる用語は、エアロゾル発生材に含まれてその強靱性または強度を増加させる化合物を含む。好適な化合物としては、あらゆる好適なカチオンを含むアルギン酸塩、セルロース類またはヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどの変性セルロース類、スターチ類または変性スターチ類、ペクチン酸ナトリウム、ペクチン酸カリウム、ペクチン酸カルシウムまたはペクチン酸マグネシウムなどのあらゆる好適なカチオンを含むペクチン塩などの多糖類、キサンタンガム、グァーガムおよびあらゆる他の好適な天然ゴムおよびそれらの混合物が挙げられる。一部の実施態様ではバインダーは、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウムまたはアルギン酸アンモニウムから選択される1つ以上のアルギン酸塩を含む、実質的にからなるまたはからなる。
【0072】
本明細書中では「充填材」なる用語は、有機および無機充填材材料を含む。充填材料は、1つ以上の目的に応じて選択してもよい。一部の実施態様では充填材は、エアロゾル発生材中で吸着剤および/または他の物質の支持体として機能してもよい。一部の実施態様では充填材は、他の物質を加熱時に放出する前にこれらの物質を吸着する構造体として機能してもよい。一部の実施態様では充填材は、グリセリンなどのエアロゾル発生剤および/または加熱時に発生するエアロゾルの感覚特性に影響を与えるあらゆる他の物質の吸着剤および/または支持体として機能してもよい。好適な有機充填材料は、ウッドパルプ、セルロースおよびセルロース誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好適な無機充填材料は、炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびモレキュラーシーブなどの好適な無機吸着剤であるが、これらに限定されない。
【0073】
本発明のさらなる実施態様を図面を参照して説明する。
【0074】
図1はエアロゾル発生システムと使用するためのエアロゾル化可能な材料の例を略式に示している。エアロゾル化可能な材料は、円筒状のロッド形状であり、第1のセクション103aと第2のセクション103bとを含む。第2のセクション103bは、この例では第1のセクション103aより使用時の口から離れている。
【0075】
第1のセクション103aは、タバコ材を含み、カプセル化された風味剤を含まない。第2のセクション103bは、カプセル化された風味剤を含み、タバコ材を含まない。選択的にこれらセクションは、含まれるのであれば、第2のセクション103bにカプセル化された風味剤と同じ風味剤または異なる風味剤であるカプセル化されていない風味剤をいずれも含まない、いずれかが含んでもよいまたは両方が含んでもよい。好適にはカプセル化された風味剤は、メンソールを含んでもよい。
【0076】
図2はエアロゾル発生システムと使用するためのエアロゾル発生物品101の一例を略式に示している。エアロゾル発生物品101は、
図1に例示したエアロゾル化可能な材料103の円柱ロッドと、冷却部材107と、フィルター109と、吸い口端セグメント111とを含む。 例示したように冷却部材107とフィルター109は、エアロゾル化可能な材料103の吸い口端と吸い口端セグメント111との間に配置され、エアロゾル化可能な材料103からの流れがユーザーに到達する前に冷却部材107とフィルター109(フィルターが流れにおいて冷却部材の前に配置されている場合その逆)を通過するようになっている。
図2の例は、冷却部材107、フィルター109および吸い口端セグメント111を示しているが、これら部材の1つ以上を他の例では省略してもよい。
【0077】
一部の例では吸い口端セグメント111は、もしあれば、例えば紙、例えば螺旋状に巻かれた紙の管、セルロースアセテート、ボール紙、耐熱クリンプ紙またはパーチメントクリンプ紙などのクリンプ紙および低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリマー材料または一部の他の好適な材料で形成されてもよい。吸い口端111セグメントは、中空の管を含んでもよい。そのような中空の管は揮発させたエアロゾル化可能な材料をろ過するろ過機能を供してもよい。吸い口端セグメント111は、エアロゾル化可能な材料を加熱する主装置(図示せず)の非常に熱い部分から間隔を開けるために長尺であってもよい。
【0078】
一部の例ではフィルター109は、もしあればフィルタープラグであってもよく、例えばセルロースアセテートから作製されてもよい。
【0079】
場合によっては冷却部材107は、もしあれば第1および第2端部を有し、これら第1および第2端部の間を延びている複数の貫通孔を含むモノリシックロッドを含んでもよい。貫通孔は実質的にロッドの中央長手方向軸に平行に延びてもよい。冷却部材107の貫通孔は、横方向断面で見たときに部材のほぼ半径方向に配置されてもよい。即ち、一例では冷却部材は貫通孔を画定し、2つの主構造、即ち半径方向の壁と中央壁を有する内壁を有する。半径方向の壁は冷却部材の断面の半径に沿って延び、中央壁は冷却部材の断面の中央の中心にある。一例では中央壁は円形であるが、他の規則的または不規則的な断面形状の使用してもよい。一例では同様に冷却部材の断面は円形であるが、他の規則的または不規則的な断面形状の使用してもよい。
【0080】
一例では貫通孔の大半は、六角形またはほぼ六角形の断面形状を有する。この例では冷却部材は一端から見たときに「ハチの巣」構造と称される場合があるものを有する。
【0081】
場合によっては冷却部材107は、もしあればフィルター109をエアロゾル発生材を加熱する主装置の非常に熱い部分から間隔を空ける中空の管を含んでもよい。冷却部材107は、例えば紙、例えば螺旋状に巻かれた紙の管、セルロースアセテート、ボール紙、耐熱クリンプ紙またはパーチメントクリンプ紙などのクリンプ紙および低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリマー材料または一部の他の好適な材料で形成されてもよい。
【0082】
冷却部材107は、もしあれば、実質的に非圧縮性であってもよい。それはセラミック材または例えば押し出し可能なプラスチック材であってもよい熱可塑性ポリマーなどのポリマーで形成されてもよい。一例ではこの部材の孔隙率は、60%~75%の範囲内である。ここで言う孔隙率は、貫通孔が占める部材の横断面積の割合を示した値である。一例では部材の孔隙率は、約69%~70%である。
【0083】
冷却部材の他の例は、PCT/GB2015/051253に開示されており、その全体を本明細書に引用したものとし、特に
図1~8および8頁、11行目~18頁、16行目の説明を参照されたい。
【0084】
別の例では冷却部材107は、貫通孔を形成するために折りたたまれた、縮れさせたまたはひだ付けしたシート材から形成してもよい。シート材は、例えばアルミニウムなどの金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートまたはポリ塩化ビニルなどのポリマープラスチック材または紙から作製してもよい。
【0085】
一部の例では冷却部材107およびフィルター109は、集合体を形成するためにラッパー紙によって1つにまとめられてもよい。次にその集合体は、その集合体とエアロゾル発生材の少なくとも吸い口端を囲む別のラッパー(図示せず)によってエアロゾル化可能な材料に接合させてエアロゾル発生物品101を形成してもよい。他の例では、エアロゾル発生物品101は、冷却部材および/またはフィルター部材(もしあれば)用に別のチッピング紙を設けずに冷却部材107、フィルター109およびエアロゾル発生材103を効果的に一回の作業で包むことによって形成される。
【0086】
ここで
図3および4を参照すると、エアロゾル発生物品201の一例が一部切り欠いて断面図と斜視図にて示されている。発生物品201は電源およびヒーターを有する装置に使用するようになっている。この実施態様の物品201は、特に
図7~9に示す以下で説明するデバイス1に使用するのに適している。使用時 発生物品201はデバイス1の挿入ポイント20で
図7に示すデバイス内に取り外し可能に挿入される。
【0087】
一例の物品201は、エアロゾル化可能な材料からなる本体と、ロッド状のフィルター集合体205とを含む実質的に円筒状のロッド形状である。エアロゾル化可能な材料は、
図1に示したセクション103a、103bに対応する2つのセクション203a、203bを有する。場合によってはエアロゾル化可能な材料203のこれら2つのセクション203a、203bは、エアロゾル化可能な材料203の円周に実質的に位置する環状のチッピング紙(図示せず)によって共に接合させてもよい。
【0088】
フィルター集合体205は、冷却セグメント207、フィルターセグメント209および吸い口端セグメント211といった3つのセグメントを含む。物品201は、吸い口端部または近位端部としても知られている第1端部213および遠位端部としても知られている第2端部215を有する。エアロゾル化可能な材料203の本体は、物品210の遠位端215の方に位置している。1つの例では冷却セグメント207は、冷却セグメント207がエアロゾル化可能な材料203とフィルターセグメント209と当接した関係になるようにエアロゾル化可能な材料からなる本体203とフィルターセグメント209の間でエアロゾル化可能な材料からなる本体に隣接して位置する。他の例では、エアロゾル化可能な材料からなる本体と冷却セグメント207の間およびエアロゾル化可能な材料からなる本体とフィルターセグメント209の間は離れていてもよい。フィルターセグメント209は、冷却セグメント207と吸い口端セグメント211の間に位置する。吸い口端セグメント211は、フィルターセグメント209に隣接して物品201の近位端213の方に位置している。1つの例ではフィルターセグメント209は、吸い口端部セグメント211と当接関係にある。1つの実施態様ではフィルター集合体の205全長は、37mm~45mm、好適に41mmである。
【0089】
一部の例ではエアロゾル化可能な材料の本体203の長さは、30mm~54mm、好適には36mm~48mmである。エアロゾル化可能な材料のこれらセクションは、互いに同じであってもよい(即ち、エアロゾル化可能な材料203の2つのセクションを有する実施態様では全長の半部)。
【0090】
1つの例では物品201の全長は、71mm~95mm、好適には79mm~87mm、好適には約83mmである。
【0091】
エアロゾル化可能な材料からなる本体の軸方向端部は、物品201の遠位端215で見えている。しかしながら、他の実施態様では物品201の遠位端215は、エアロゾル化可能な材料からなる本体203の軸方向端部を覆う端部部材(図示せず)を含んでもよい。
【0092】
エアロゾル化可能な材料からなる本体203は、環状のチッピング紙(図示せず)によってフィルター集合体205に接合され、このチッピング紙は、フィルター集合体205を囲むように実質的にフィルター集合体205の円周の周囲に位置し、エアロゾル化可能な材料からなる本体203の長さの一部に沿って延びている。1つの例ではチッピング紙は、58GSM標準チッピングベース紙から作製される。1つの例ではチッピング紙は、42mm~50mm、好適に約46mmの長さを有する。
【0093】
場合によっては同じチッピング紙を使用してエアロゾル化可能な材料203のセクション203a、203bとフィルター集合体205を接合してもよい。
【0094】
1つの例では冷却セグメント207は、環状の管であり、冷却セグメントの周囲に位置し、冷却セグメント内に空隙を画定する。空隙は、エアロゾル化可能な材料からなる本体203から発生した加熱されて揮発した成分が流れるチェンバーを供する。冷却セグメント207は、エアロゾルの堆積のためのチェンバーを供するために中空であり、それでも製造中そして物品201が使用時にデバイス1に挿入されている間に生じるかもしれない軸方向の圧縮力および曲げ運動に充分耐える堅さを有する。1つの例では冷却セグメント207の壁の厚さは、約0.29mmである。
【0095】
冷却セグメント207は、エアロゾル化可能な材料203とフィルターセグメント209の間を物理的に移動する。冷却セグメント207による物理的移動は、冷却セグメント207の長さに亘って温度勾配を供する。1つの例では冷却セグメント207は、冷却セグメント207の第1端部に入る加熱されて揮発した成分と冷却セグメント207の第2端部を出る加熱されて揮発した成分との間の温度差が少なくとも40℃になるように構成されている。1つの例では冷却セグメント207は、冷却セグメント207の第1端部に入る加熱されて揮発した成分と冷却セグメント207の第2端部を出る加熱されて揮発した成分との間の温度差が少なくとも60℃になるように構成されている。冷却セグメント207の長さに亘るこの温度差は、デバイス1の加熱装置によって加熱された際のエアロゾル発生材203の高温から感温フィルターセグメント209を保護する。フィルターセグメント209およびエアロゾル化可能な材料からなる本体203とデバイス1の加熱素子との間で物理的移動が行われないと、感温フィルターセグメント209は使用時に損傷し、その必要とされる機能を効率よく実行することができなくなる。
【0096】
1つの例では冷却セグメント207の長さは、少なくとも15mmである。1つの例では冷却セグメント207の長さは、20mm~30mm、特に好ましくは23mm~27mm、特に好ましくは25mm~27mmおよびより特に好ましくは約25mmである。
【0097】
冷却セグメント207は、紙で作製され、これは、デバイス1のヒーター装置に隣接して使用される際に例えば毒性のある化合物などの問題となる化合物を発生させない材料から構成されていることを意味する。1つの例では冷却セグメント207は、機械的剛性を維持しつつ中空の内部チェンバーを供する螺旋状に巻かれた紙の管から製造される。螺旋状に巻かれた紙の管は、高速で行われる製造工程の管の長さ、外径、丸みおよび真直度に関する厳密な寸法精度要件を満たすことができる。
【0098】
別の例では冷却セグメント207は、堅いプラグラッパーまたはチッピング紙から生じる凹部である。堅いプラグラッパーまたはチッピング紙は、製造時に生じるそして物品201が使用の際にデバイス1内に挿入される間の軸方向の圧縮力および曲げモーメントに充分に耐えられる剛性を有するように製造される。
【0099】
フィルターセグメント209は、エアロゾル化可能な材料から加熱されて揮発した成分からの1つ以上の揮発した化合物を除去するのに充分な任意のフィルター材から形成してもよい。1つの例ではフィルターセグメント209は、セルロースアセテートなどのモノアセテート材製である。フィルターセグメント209は、加熱されて揮発した成分の量をユーザーが満足しないレベルに減らすことなく、加熱されて揮発した成分を冷却し刺激を減少させる。
【0100】
フィルターセグメント209のセルロースアセテートトウ材料の密度は、フィルターセグメント209全体の圧力降下を制御し、次に物品1の吸引抵抗を制御する。従って、フィルターセグメント209の材料の選択は、物品201の吸引抵抗を制御する上で重要である。さらにフィルターセグメントは物品201においてろ過機能を行う。
【0101】
1つの例ではフィルターセグメント209は、8Y15グレードのフィルター材で作製され、これは加熱されて揮発した材料のろ過効果を供し、また加熱されて揮発した材料に起因する縮合したエアロゾル滴の大きさを小さくし、その結果加熱されて揮発した材料の刺激および喉への影響を満足のいくレベルに軽減する。
【0102】
フィルターセグメント209があることで冷却セグメント207を出た加熱されて揮発した成分をさらに冷却することによって絶縁効果が供される。このさらなる冷却効果によりフィルターセグメント209の面にユーザーの唇が触れる際の温度が下がる。
【0103】
1つ以上の風味料がフィルターセグメント209内への風味付けされた液体の直接注入または1つ以上の風味付けされた壊れやすいカプセルまたは他の風味担体をフィルターセグメント209のセルロースアセテートトウ内に埋め込むまたは配置することのいずれかの形体でフィルターセグメント209に加えられてもよい。
【0104】
1つの例ではフィルターセグメント209の長さは、6mm~10mm、好適には約8mmである。
【0105】
吸い口端部セグメント211は、環状の管であり、吸い口端部セグメント211内の空隙の周囲に位置し、これを画定する。空隙はフィルターセグメント209から流れる加熱されて揮発した成分のチェンバーを提供する。吸い口端部セグメント211は、製造時に生じるそして発生物品が使用の際にデバイス1内に挿入される間の軸方向の圧縮力および曲げモーメントに充分に耐えられる剛性のエアロゾル蓄積物用のチェンバーを供するために中空である。1つの例では吸い口端部セグメント211の壁の厚さは、約0.29mmである。
【0106】
1つの例では吸い口端セグメント211の長さは、6mm~10mm、好適には約8mmである。
【0107】
吸い口端セグメント211は、臨界的な機械的剛性を維持しつつ中空の内部チェンバーを供する螺旋状に巻かれた紙の管から製造される。螺旋状に巻かれた紙の管は、高速で行われる製造工程の管の長さ、外径、丸みおよび真直度に関する厳密な寸法精度要件を満たすことができる。
【0108】
吸い口端部セグメント211は、フィルターセグメント209の出口で堆積するあらゆる液体の凝縮物がユーザーと直接接触するのを妨げる機能を提供する。
【0109】
当然のことながら1つの例では吸い口端セグメント211および冷却セグメント207は、単独の管で形成してもよく、フィルターセグメント209は、吸い口端セグメント211と冷却セグメント207を隔てる管内に位置する。
【0110】
ここで
図5および6を参照すると本発明の実施態様による一例の物品301の一部を切り欠いた断面図と斜視図が示されている。
図5および6に示した参照符号は、
図3および4に示した参照符号と同等であるが、100が足されている。
【0111】
図5および6に示した物品301の例では換気領域317は発生物品301内に設けられ、空気が物品301の外部から物品301の内部へと流れることができる。1つの例では換気領域317は物品301の外層を通って形成された1つ以上の換気孔の形体である。換気孔は冷却セグメント307に位置して物品301の冷却を補助する。1つの例では換気領域317は1列以上の孔を含み、一部の例では孔の列は物品301の長手方向軸に実質的に直交する断面において発生物品の周囲を円周方向に配置される。
【0112】
1つの例では物品301を換気するための1~4の換気孔の列がある。換気孔の各列は12~36個の換気孔317を有する。換気孔317は、例えば100~500μmの直径を有する。1つの例では換気孔317の列間の軸方向の間隔は、0.25mm~0.75mm、好適には0.5mmである。
【0113】
1つの例では換気孔317の大きさは均一である。別の例では換気孔317の大きさは異なる。換気孔は、あらゆる好適な技術、例えばレーザー技術、冷却セグメント307の機械的穿孔または物品301内に形成される前の冷却セグメント307の予備穿孔などの技術の1つ以上を使用して設けることができる。換気孔317は、物品301を効果的に冷却するために配置される。
【0114】
1つの例では換気孔317の列は、発生物品の近位端313から少なくとも11mm、好適には物品301の近位端313から17mm~20mmのところに位置する。換気孔317の位置は、物品301が使用中にユーザーが換気孔317を塞がないように配置される。
【0115】
物品301の近位端313から17mm~20mm離れて換気孔の列を設けることで
図8および9から明らかなように物品301をデバイス1に完全に挿入した際に換気孔317がデバイス1の外側に配置することが可能になる。デバイスの外側に換気孔を配置することによって加熱されていない空気がデバイス1の外側から換気孔を介して物品301に入ることができ、物品301の冷却を補助する。
【0116】
冷却セグメント307は、物品301がデバイス1内に完全に挿入された際に冷却セグメント307の一部がデバイス1内に挿入される長さになっている。冷却セグメント307の長さにより物品301がデバイス1内に挿入された際にデバイス1のヒーター装置と感熱フィルター装置309との間に物理的隙間を供する第1の機能とデバイス1の外側に配置され且つ換気孔317を冷却セグメント内に配置することができる第2の機能が提供される。
図8および9からわかるように冷却部材307の大半はデバイス1内に位置している。しかしながら、デバイス1から外に延びている冷却部材307の部分がある。このデバイス1から外に延びている冷却部材307の部分に換気孔317が位置する。
【0117】
図7~9をより詳しく参照すると、エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、通常は吸入可能なエアロゾルを形成するためにエアロゾル化可能な材料を加熱するように構成されたデバイス1の一例が示されている。デバイス1は、エアロゾル化可能な材料を熱するが燃やさずに化合物を放出する加熱デバイス1である。
【0118】
第1端部3は、本明細書ではデバイス1の吸い口または近位端3と言う場合もあり、第2端部5は、本明細書ではデバイス1の遠位端と言う場合もある。デバイス1は、デバイス1が全体としてユーザーの要求に応じてオンオフができるようにするオン/オフボタン7を有する。
【0119】
デバイス1は、デバイス1の種々の内部部品を位置決めし、保護するためのハウジング9を含む。図示の例ではハウジング9は、デバイス1の周囲を囲み、一般的にデバイス1の「上部」を画定する上部パネル17で上部がそして一般的にデバイス1の「底部」を画定する底部パネル19で底部が塞がれた一体スリーブ11を含む。別の例ではハウジングは、上部パネル17および底部パネル19に加えて前部パネル、後部パネルおよび一組の対向する側部パネルを含む。
【0120】
上部パネル17および/または底部パネル19は、デバイス1の内部に簡単に触れられるように一体スリーブ11に取り外し可能に固定されてもよく、あるいは例えばユーザーがデバイス1の内部に触れることができないように一体スリーブ11に「永久的に」固定されてもよい。一例ではパネル17および19は例えば、射出成形によって形成されたガラス繊維入りナイロンを含むプラスチック材から作製され、一体スリーブ11はアルミニウムから作製されるが、他の材料および他の製造方法を使用してもよい。
【0121】
デバイス1の上部パネル17はデバイス1の吸い口端3に開口部20を有し、これを介して使用時ユーザーによってエアロゾル化可能な材料を含む物品201、301がデバイス1内に挿入され、デバイス1から取り除かれる。
【0122】
ハウジング9は、その中に位置するまたは固定されたヒーター装置23、制御回路25および電源27を有する。この例ではヒーター装置23、制御回路25および電源27は横方向に隣接しており(即ち、端部から見て隣接しており)、制御回路25は、ヒーター装置23と電源27の間に位置しているが、他の配置も可能である。
【0123】
制御回路25は、さらに下記で考察する消耗品201、301内のエアロゾル化可能な材料の加熱を制御するために構成、配置されたマイクロプロセッサ装置などのコントローラを含んでもよい。
【0124】
電源27は、例えばバッテリーであってもよく、これは充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーであってもよい。好適なバッテリーとしてはリチウムイオンバッテリー、ニッケルバッテリー(ニッケル-カドミウムバッテリーなどの)、アルカリバッテリーなどがある。バッテリー27は、必要時にそして制御回路25の制御下で電力を供給するためにヒーター装置23に電気的に接続され、物品のエアロゾル化可能な材料を加熱する(説明したようにエアロゾル化可能な材料を燃やさずに揮発させるために)。
【0125】
ヒーター装置23の横に隣接するように電源27を配置することの利点は、物理的に大きな電源27をデバイス1全体として過度に長くせずに使用できるということである。当然のことながら一般に物理的に大きな電源27は大きな容量を有し(即ち、アンペア-時間などで測定される場合がよくある供給することが可能な総電気エネルギー)、デバイス1のバッテリー寿命を長くすることができる。
【0126】
1つの例ではヒーター装置23は、中空の内部加熱チェンバー29を有するほぼ中空の円筒状管の形状であり、そのチェンバー内に管状基材を含む物品201、301が使用時の加熱のために挿入される。ヒーター装置23は異なる構成も可能である。例えば、ヒーター装置23は、ヒーター装置23の長手方向軸に沿って位置合わせされた複数の加熱素子を含んでもよい。各加熱素子は、環状または管状であってもよく、あるいはその円周で少なくとも部分的に環状または部分的に管状であってもよい。一例では各加熱素子は、薄膜ヒーターであってもよい。別の例では各加熱素子は、セラミック材で作製してもよい。好適なセラミック材の例としてはアルミナおよび窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素セラミックが挙げられ、これらは積層し、焼結させてもよい。例えば誘導加熱、赤外線照射によって加熱する赤外線ヒーターエレメント、または例えば抵抗性電気巻線によって形成された抵抗加熱素子を含む他の加熱装置も可能である。
【0127】
1つの特定の例ではヒーター装置23は、ステンレススチール支持管によって支持され、ポリイミド加熱素子を含む。ヒーター装置23は、物品201、301がデバイス1に挿入されると、物品201、301のエアロゾル化可能な材料203、303の実質的全体がヒーター装置23内に挿入されるような寸法になっている。
【0128】
加熱素子は、各加熱素子が対応するエアロゾル化可能な材料のセクションを加熱するように配置される。
【0129】
この例のヒーター装置23はその長さの少なくとも一部に沿って断熱材31に囲まれている。断熱材31は、ヒーター装置23からデバイス1の外部へ通過する熱を減少させることに役立つ。これは一般に熱損失が減少するのでヒーター装置23に必要とされる電力を抑えることに役立つ。また断熱材31は、ヒーター装置23の作動中デバイス1の外部を冷やしておくことに役立つ。1つの例では断熱材31は壁が二重になっているスリーブであってもよく、これはスリーブの2つの壁の間に低圧力領域を供する。即ち、断熱材31は、例えば「真空」管、即ち伝導および/または対流による熱移動を最小限にするために少なくとも部分的に脱気された管であってもよい。壁が二重になっているスリーブに加えてまたは代わりに例えばあらゆる好適な発泡型材料を含む断熱材を使用することを含む絶縁材31の他の構成も可能である。
【0130】
ハウジング9は、加熱装置23だけでなく、全ての内部部品を支持するための種々の内部支持構造体37をさらに含んでもよい。
【0131】
デバイス1は、開口部20の周囲を延び、そこからハウジング9の内部に突出したカラー33と、カラー33と真空スリーブ31の一端の間に位置するほぼ管状のチェンバー35とをさらに含む。チェンバー35は冷却構造体35fをさらに含み、この例ではこの冷却構造体はチェンバー35の外面に沿って間隔をおいて配され、それぞれチェンバー35の外面の周囲に配置されている複数の冷却フィン35fを含む。物品201、301がデバイス1に中空のチェンバー35の長さの少なくとも一部に亘って挿入された際に中空のチェンバー35と物品101、301の間に空隙が生じる。空隙36は、冷却セグメント307の少なくとも一部に亘って物品201、301の円周全てに存在する。
【0132】
カラー33は、開口部20の周囲を円周方向に配置され、開口部20内に突出した複数の突起部60を含む。突起部60は、突起60のところで開口部20の開口幅が突起60がない位置での開口部20の開口幅より小さくなるように開口部20内でスペースを取る。突起部60は、デバイス1内に挿入された物品201、301と係合してデバイス1内での物品の固定を補助するように構成されている。隣接する対の突起部60と物品201、301によって画定された開口空間(図示せず)は、物品201、301の外側の周囲で換気経路を形成する。これらの換気経路1は、物品201、301から逃れた熱い蒸気がデバイス1から出られるようにし、そして冷たい空気が空隙36内の物品201、301の周囲でデバイス1内に流れることができるようにする。
【0133】
動作している間、物品201、301は、
図7~9に示すようにデバイス1の挿入ポイント20内に取り外し可能に挿入される。特に
図8を参照すると1つの例では物品201、301の遠位端215、315の方に位置するエアロゾル化可能な材料の本体203、303は、全体的にデバイス1のヒーター装置23内に収容される。物品201、301の近位端213、313は、デバイス1から延び、ユーザーのためのマウスピース集合体として機能する。
【0134】
動作中、ヒーター装置23は、消耗品201、301を加熱し、エアロゾル化可能な材料の第1セクション203a、303aからエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させる。ボタン7を使用してエアロゾル化可能な材料の第2セクション203b、303bからエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるために第2のヒーターを選択的に作動させることができる。ボタン7は、異なるユーザー入力(例えば、押している長さ、加えられる圧力)に応答して異なる応答をするようにプログラムされ、したがって、オン/オフスイッチと第2のヒーターの作動スイッチの両方として作動可能である。
【0135】
エアロゾル化可能な材料203、303の本体からの加熱されて揮発した成分の主流路は、物品201、301、冷却セグメント207、307の内側のチェンバー、フィルターセグメント209、309、吸い口端セグメント211、313をユーザーへと軸方向に通っている。1つの例ではエアロゾル化可能な材料の本体から発せられた加熱されて揮発した成分の温度は、60℃~250℃であり、これはユーザーにとって受け入れられる吸入温度より高くてもよい。加熱されて揮発した成分が冷却セグメント207を通って移動する際、その成分は冷めて、一部の揮発した成分は冷却セグメント207、307の内面で液化する。
【0136】
図5および6に示した物品301の例では冷気が冷却セグメント307に形成された換気孔317を介して冷却セグメント307に入ることができる。この冷気は加熱されて揮発した成分と混ざり、加熱されて揮発した成分をさらに冷却することになる。
【0137】
図10は、本発明によるエアロゾル発生システムの略式断面図である。ロッド形状のエアロゾル発生物品が示されており、一端から他端へと吸い口端セグメント1011、吸い口端セグメント1011に隣接するフィルターセグメント1009、フィルターセグメント1009に隣接する冷却セグメント1007、冷却セグメント1007に隣接するエアロゾル化可能な材料の第2セクション1003b、第2セクション1003bに隣接するエアロゾル化可能な材料の第3のセクション1003cおよび第3のセクション1003cに隣接するエアロゾル化可能な材料の第1セクション1003aを有する。3つの円筒状ヒーター1090、1091、1092が対応するセクション1003aーcを加熱するために配されている。第2セクション1003bを加熱する第2のヒーター1091は、ユーザー入力機構1095に接続され、これは第2セクション1003bに含まれるエアロゾル化可能な材料を揮発させる温度に第2のヒーターを選択的に作動させる。第1のヒーター1090および第3のヒーター1092は、その全内容を参照することによってここに含まれるものとする国際特許出願PCT/EP2017/068804に開示されているような予めプログラムされた加熱プロファイルに従って対応するエアロゾル化可能な材料のセクションを加熱するようにプログラムされている。
【0138】
一部の実施態様では第1のセクション1003aおよび第3のセクション1003cは、同じ組成であってもよい。場合によってはそれらの組成は異なる。場合によってはそれらのセクションは、同じ組成で、タバコ材を含むが、カプセル化された風味剤を含まない。一部の実施態様では第2のセクション1003bは、カプセル化風味剤を含むが、タバコ材を含まない。場合によってはこれらセクションの1つ以上は、カプセル化風味剤を含む。
【0139】
上記説明から明らかなように 本明細書を通して使用されている「第1」および「第2」などの用語は、順番または順序づけるものではない。誤解を避けるためにこれらの用語は、対応するセクション/ヒーターを区別するために使用されているだけであり、それらが「第1、第2、第3など」の順番に設けられていることを示すものではない。
【0140】
上述の例は本発明を例示する例として理解されるべきである。当然のことながら任意の1つの実例について説明したあらゆる特徴は単独または説明された他の特徴と組み合わせて使用してもよく、他の実例のいずれかの1つ以上の特徴または他の実例のいずれかのあらゆる組み合わせと組み合わせて使用してもよい。さらに上記で説明されていない同等物および修飾物も添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲を逸脱することなく採用することも可能である。