(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20231204BHJP
H10B 41/70 20230101ALI20231204BHJP
H10B 99/00 20230101ALI20231204BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231204BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20231204BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20231204BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
H10B12/00 801
H10B12/00 671A
H10B41/70
H10B99/00 441
H01L29/78 371
H01L29/78 617K
H01L29/78 617S
H01L29/78 618B
H01L29/78 618C
H01L29/78 626A
(21)【出願番号】P 2022055695
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2022020164の分割
【原出願日】2013-02-26
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2012044109
(32)【優先日】2012-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】吉住 健輔
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-321228(JP,A)
【文献】特開2011-205078(JP,A)
【文献】特開2004-014094(JP,A)
【文献】特開2011-249782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
H10B 41/70
H10B 99/00
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの上層に設けられ且つソース又はドレインが前記第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続される第2のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する縦型のトランジスタであ
り、
前記第2のトランジスタのチャネル長は、前記酸化物半導体層の厚さにより制御されている半導体装置。
【請求項2】
第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの上層に設けられ且つソース又はドレインが前記第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続される第2のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する縦型のトランジスタであ
り、
前記酸化物半導体層は、角柱形状、又は円柱形状である領域を有する半導体装置。
【請求項3】
第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの上層に設けられ且つソース又はドレインが前記第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続される第2のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する縦型のトランジスタであ
り、
前記第2のトランジスタのチャネル長は、前記酸化物半導体層の厚さにより制御され、
前記酸化物半導体層は、角柱形状、又は円柱形状である領域を有する半導体装置。
【請求項4】
第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの上層に設けられ且つソース又はドレインが前記第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続される第2のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する縦型のトランジスタであり、
前記第1のトランジスタは、縦型のトランジスタである半導体装置。
【請求項5】
第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの上層に設けられ且つソース又はドレインが前記第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続される第2のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する縦型のトランジスタであり、
前記第1のトランジスタは、縦型のトランジスタであ
り、
前記第2のトランジスタのチャネル長は、前記酸化物半導体層の厚さにより制御されている半導体装置。
【請求項6】
第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの上層に設けられ且つソース又はドレインが前記第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続される第2のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する縦型のトランジスタであり、
前記第1のトランジスタは、縦型のトランジスタであ
り、
前記酸化物半導体層は、角柱形状、又は円柱形状である領域を有する半導体装置。
【請求項7】
第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの上層に設けられ且つソース又はドレインが前記第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続される第2のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する縦型のトランジスタであり、
前記第1のトランジスタは、縦型のトランジスタであ
り、
前記第2のトランジスタのチャネル長は、前記酸化物半導体層の厚さにより制御され、
前記酸化物半導体層は、角柱形状、又は円柱形状である領域を有する半導体装置。
【請求項8】
請求項1
乃至請求項
7のいずれか一において、
前記酸化物半導体層は、少なくともインジウム又は亜鉛を含む半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項
8のいずれか一において、
前記酸化物半導体層は、結晶部を有し、
前記結晶部は、c軸が前記酸化物半導体層の被形成面の法線ベクトルに平行な方向に揃う半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項
9のいずれか一において、
前記酸化物半導体層は、キャリア濃度が1×10
14/cm
3未満である領域を有する半導体装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項
10のいずれか一において、
前記酸化物半導体層は、前記第1のトランジスタのゲート電極としての機能を有する導電層と接する領域を有する半導体装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項
11のいずれか一において、
前記チャネル形成領域は、前記第1のトランジスタのゲート電極としての機能を有する導電層と重なる領域を有する半導体装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項
12のいずれか一において、
前記第2のトランジスタのオフ電流は、使用時の温度条件が25℃でソースとドレイン間の電圧が3.5Vの場合において、チャネル幅1μmあたりで100zA以下である半導体装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項
13のいずれか一において、
前記第2のトランジスタのゲート電極は、導電材料を含む多結晶シリコン、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、タングステン、クロム、ニッケル、又はモリブデンを有する半導体装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項
14のいずれか一において、
前記第2のトランジスタのゲート絶縁層は、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート、窒素が添加されたハフニウムシリケート、又は窒素が添加されたハフニウムアルミネートを有し、
前記第2のトランジスタのゲート絶縁層は、単層又は積層である半導体装置。
【請求項16】
請求項1乃至請求項
15のいずれか一において、
前記第1のトランジスタのゲート電極は、導電材料を含む多結晶シリコン、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、タングステン、クロム、ニッケル、又はモリブデンを有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【0002】
なお、本明細書中において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる
装置全般を指し、記憶装置、電気光学装置、半導体回路、電子部品、及び電子機器は全て
半導体装置の一態様である。
【背景技術】
【0003】
半導体素子を利用した半導体装置の一つに、記憶装置がある。記憶装置は、電力の供給
が停止すると記憶内容が失われる揮発性の記憶装置と、電力の供給が停止しても記憶内容
が保持される不揮発性の記憶装置に大別される。
【0004】
揮発性の記憶装置の代表的な例としては、DRAM(Dynamic Random
Access Memory)やSRAM(Static Random Access
Memory)などが挙げられる。これら揮発性の記憶装置は電力の供給が停止すると
記憶内容が失われるが、不揮発性メモリのような大きな電圧を必要としないため消費電力
は比較的小さい。
【0005】
DRAMは1つの記憶素子に1つのトランジスタと1つの容量を適用できるため、占有
面積を低減できるが、データの保持期間が極めて短く、高い頻度でリフレッシュ動作を行
う必要があり、消費電力を十分に低減できないといった問題がある。
【0006】
SRAMは高速動作が可能であるが、1つの記憶素子に少なくとも6個のトランジスタ
が必要なため、占有面積が大きくなってしまう。また、トランジスタの微細化に伴って当
該トランジスタのオフ電流が増大するため、データの保持期間における消費電力を十分に
低減できないといった問題がある。
【0007】
不揮発性の記憶装置の代表例としては、フラッシュメモリがある。フラッシュメモリは
、フローティングゲートに電荷を保持することにより、半永久的なデータ保持期間を有す
る記憶装置である(例えば、特許文献1参照)。しかしながらフラッシュメモリは、書込
みや消去には高い電圧が必要であるため消費電力が高いうえに、これらの動作の高速化が
容易でないという問題もある。さらに、書込みや消去には絶縁膜に高電界をかけてトンネ
ル電流を発生させることによりフローティングゲートに電荷の注入を行うため、書き換え
回数に応じて当該絶縁膜の劣化が進行してしまう問題もある。
【0008】
また、近年、バンドギャップの大きな酸化物半導体を用いて作製されたトランジスタで
非常に大きなオフ抵抗が発見され、これを用いて記憶装置を構成する記憶素子や信号処理
回路を作製することが提案されている(特許文献2乃至特許文献4参照)。
【0009】
これらの記憶素子は、トランジスタのオフ抵抗が高いため、トランジスタに直列に接続
された容量素子に蓄積された電荷が消滅するまでに長時間を要し、通常のSRAM等に含
まれるフリップフロップ回路で必要であった記憶保持のための電流の消費が削減でき、よ
り消費電力を少なくできる。あるいは、DRAMで必要とされたような極めて大きな容量
素子が不要であるため、回路を小型化でき、製造工程の簡略化や歩留まりの向上が図れる
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開昭57-105889号公報
【文献】米国特許出願公開第2011/0121878号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0134683号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0175646号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、半導体装置を構成する素子の高集積化に伴い、該素子の占有面積の縮小が求めら
れている。半導体装置の占有面積を縮小することで基板一枚あたりの取り数を増大し、半
導体装置一つにかかるコストを低減できる。記憶装置においては記憶素子の占有面積が小
さいほど、高密度に記憶素子を配置することができ、単位面積あたりのデータ量を増大さ
せることができる。
【0012】
また、半導体装置が適用される機器の低消費電力化を図るため、低電力で動作可能な半
導体装置が求められている。このような観点から、記憶装置においては電力を停止しても
データを保持可能であることが求められている。
【0013】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって本発明の一
態様は、占有面積が削減された半導体装置を提供することを課題の一とする。または、低
電力で動作可能な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、電力の供給が停
止してもデータを保持可能な半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0014】
本発明の一態様は、上記課題の少なくとも一を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様の半導体装置は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、1つ
の容量を有する構成とする。
【0016】
また上記半導体装置は、第2のトランジスタを介して容量に電荷を蓄積することでデー
タを書き込み、当該第2のトランジスタをオフ状態とすることでデータを保持するもので
ある。また、第2のトランジスタと容量との間のノード(保持ノードともいう)の電位が
第1のトランジスタのゲート電極に与えられる。第1のトランジスタの導通状態を検知す
ることで、データを破壊することなく読み出しを行うことができる。
【0017】
さらに、第2のトランジスタと容量とを、第1のトランジスタ上に重ねて設ける。より
好ましくは、第1のトランジスタを構成するゲート電極と重ねて設ける。また、第2のト
ランジスタの一方の電極(ソース電極又はドレイン電極の一方)と、容量の一方の電極と
を、第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続する構成とする。
【0018】
すなわち、本発明の一態様の半導体装置は、第1のトランジスタと、第2のトランジス
タと、容量と、を備える。第1のトランジスタは、第1の半導体層と、第1の半導体層上
に接する第1の絶縁層と、第1の絶縁層上に接し、第1の半導体層と重なる第1の電極層
と、を有する。また第2のトランジスタは、第1の電極層上に重ねて設けられ、当該第1
の電極層と電気的に接続する第2の半導体層と、第2の半導体層の側面に接する第2の絶
縁層と、第2の絶縁層と接し、第2の半導体層の側面の少なくとも一部を覆う第2の電極
層と、第2の半導体層上に設けられ、当該第2の半導体層と電気的に接続する第3の電極
層と、を有する。さらに容量は、第1の電極層上に重なる第4の電極層と、第1の電極層
と第4の電極層との間に誘電層と、を有する。
【0019】
このような構成とすることにより、占有面積が削減された半導体装置を実現できる。
【0020】
さらに、半導体装置へのデータの書き込みまたは消去を行う際、第2のトランジスタを
オン状態とするだけの電圧を用いればよいため、フラッシュメモリで必要であった高い電
圧を用いる必要がない。したがって、極めて低電力で動作可能な半導体装置とすることが
できる。
【0021】
また、上記半導体装置における第1の半導体層は、単結晶シリコンで構成されることが
好ましい。
【0022】
このような構成とすることにより、半導体装置に保持されたデータの読み出し動作を、
極めて高速に行うことができる。
【0023】
また、本発明の他の一態様の半導体装置は、第1のトランジスタと、第2のトランジス
タと、容量と、を備える。第1のトランジスタは、第5の電極層と、第5の電極層上に重
ねて設けられ、当該第5の電極層と電気的に接続する第1の半導体層と、第1の半導体層
の側面に接する第1の絶縁層と、第1の絶縁層と接し、第1の半導体層の側面の少なくと
も一部を覆う第1の電極層と、第1の半導体層上に設けられ、当該第1の半導体層と電気
的に接続する第6の電極層と、を有する。また第2のトランジスタは、第1の電極層上に
重ねて設けられ、当該第1の電極層と電気的に接続する第2の半導体層と、第2の半導体
層の側面に接する第2の絶縁層と、第2の絶縁層と接し、第2の半導体層の側面の少なく
とも一部を覆う第2の電極層と、第2の半導体層上に設けられ、当該第2の半導体層と電
気的に接続する第3の電極層と、を有する。さらに容量は、第1の電極層上に重なる第4
の電極層と、第1の電極層と第4の電極層との間に誘電層と、を有する。
【0024】
このような構成とすることにより、第1のトランジスタ自体の占有面積を低減すること
ができるため、半導体装置自体の占有面積をより削減することができる。
【0025】
また、上記いずれかの半導体装置において、第2の半導体層は、シリコンよりもバンド
ギャップの広い半導体を含むことが好ましい。
【0026】
このように、第2のトランジスタとして、そのオフ電流が低減されたトランジスタを用
いることができる。したがって、電力の供給が停止した状態であっても長い期間に渡って
保持ノードに保持された電位を保持することが可能である。したがって、電力の供給が停
止してもデータを保持可能な半導体装置とすることができる。
【0027】
また、上記第2の半導体層の半導体は、酸化物半導体であることが好ましい。
【0028】
また、上記酸化物半導体は、In、Ga、及びZnを含むことが好ましい。
【0029】
このように、特に、第2のトランジスタのチャネルを構成する半導体として、酸化物半
導体を用いることが好ましい。シリコンよりもバンドギャップが広い酸化物半導体は、低
いオフ電流を実現することができる。
【0030】
特に、In、Ga、Znを含む酸化物半導体をトランジスタに用いた場合では、比較的
低温で形成されたアモルファス状態の酸化物半導体であっても、他の酸化物半導体に比べ
て良好な電気的特性(高い電界効果移動度や小さいS値など)と高い信頼性を兼ね備えて
いるため好ましい。ここで、例えば酸化物半導体の一つである酸化亜鉛は低温で多結晶状
態となりやすく、その結晶粒界により所望の電界効果移動度やS値などの電気特性を得る
ことが困難である。
【0031】
また、上記シリコンよりもバンドギャップの広い半導体が適用された半導体装置におい
て、誘電層は、第2の半導体層と同一の膜から構成されることが好ましい。
【0032】
第2の半導体層に用いる半導体は、その抵抗値が極めて高いため、容量を構成する誘電
層としても用いることができる。したがって上述の構成とすることにより、第1のトラン
ジスタのゲート電極上に、共通の工程により第2のトランジスタと容量を形成することが
できる。したがって、半導体装置の作製工程が簡略化され、低コストで且つ高い歩留まり
が実現された半導体装置とすることができる。
【0033】
また、上記いずれかの半導体装置において、第1のトランジスタよりも下方に、駆動回
路を備えることが好ましい。
【0034】
このように、下部に駆動回路を備える半導体装置とすることにより、第1のトランジス
タ、第2のトランジスタまたは容量などの構成と駆動回路とを重ねずに配置する場合に比
べ、半導体装置の占有面積を削減することができる。
【0035】
また、上記いずれかの半導体装置において、第1のトランジスタと、第2のトランジス
タと、容量を備える半導体装置の層が、複数積層されていることが好ましい。
【0036】
このように、本発明の一態様の半導体装置は複数積層して設けることができる。このよ
うな積層型の半導体装置とすることにより、半導体装置を極めて高集積化することが可能
であり、半導体装置の占有面積あたりの保持可能なデータ量を極めて増大させることがで
きる。
【0037】
なお、本明細書中において、記憶装置は半導体装置の一態様である。また記憶装置は少
なくともデータの記憶状態を保持する装置を言う。また、データの記憶状態を保持する記
憶装置を複数備える装置も、記憶装置の一態様である。また、記憶装置に当該記憶装置を
駆動する駆動回路やIC(集積回路)が実装されたモジュールも記憶装置に含むものとす
る。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、占有面積が削減された半導体装置を提供できる。また、低電力で動作
可能な半導体装置を提供できる。また、電力の供給が停止してもデータを保持可能な半導
体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図2】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図3】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図4】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図5】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図6】本発明の一態様の、半導体装置の作製工程例を説明する図。
【
図7】本発明の一態様の、半導体装置の作製工程例を説明する図。
【
図8】本発明の一態様の、半導体装置の作製工程例を説明する図。
【
図9】本発明の一態様の、半導体装置の作製工程例を説明する図。
【
図10】本発明の一態様の、半導体装置の作製工程例を説明する図。
【
図11】本発明の一態様の、半導体装置の作製工程例を説明する図。
【
図12】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図13】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図14】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図15】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図16】本発明の一態様の、半導体装置を説明する図。
【
図17】本発明の一態様の、電子機器を説明する図。
【
図18】本発明の一態様の、電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成におい
て、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い
、その繰り返しの説明は省略する。
【0041】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0042】
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制
御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは
、IGFET(Insulated Gate Field Effect Trans
istor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor
)を含む。
【0043】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合
や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このた
め、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることが
できるものとする。
【0044】
また、本明細書等において、トランジスタのソース、又はドレインのどちらか一方のこ
とを「第1電極」または「第1の電極」と呼び、ソース、又はドレインの他方を「第2電
極」または「第2の電極」とも呼ぶことがある。また、ゲートについては「ゲート」又は
「ゲート電極」とも呼ぶ。
【0045】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するも
の」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するも
の」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない
。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジス
タなどのスイッチング素子、抵抗素子、コイル、容量素子、その他の各種機能を有する素
子などが含まれる。
【0046】
なお、本明細書等においてノードとは、回路を構成する素子の電気的な接続を可能とす
る素子(例えば、配線など)のことをいう。したがって、”Aが接続されたノード”とは
、Aと電気的に接続され、且つAと同電位と見なせる配線のことをいう。なお、配線の途
中に電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、イン
ダクタ、抵抗素子、ダイオードなど)が1個以上配置されていても、Aと同電位であれば
その配線はAが接続されたノードとみなすことができる。
【0047】
なお本明細書等において、二つあるいはそれ以上の構成要素が同じ材料で同時に形成さ
れているとき、これらの構成要素は同一の層として存在すると定義する。例えば、一つの
層が形成され、その後エッチングなどにより構成要素AとBに加工された場合、これらは
同一の層として存在する構成要素とする。
【0048】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の一例として、記憶装置の構成例につ
いて、図面を参照して説明する。
【0049】
図1(A)は、本発明の一態様の記憶装置の主要部における回路図である。記憶装置は
、トランジスタ101、トランジスタ102及び容量103を備える。
【0050】
記憶装置は、トランジスタ101のゲート電極と、トランジスタ102の第1の電極と
、容量103の一方の電極とがそれぞれ電気的に接続されるノード(保持ノードR)を備
える。
【0051】
また、トランジスタ101の第1の電極と電気的に接続する配線を配線S2、第2の電
極と電気的に接続する配線を配線Dとする。また、トランジスタ102のゲート電極に電
気的に接続する配線を配線W1、第2の電極と電気的に接続する配線を配線S1とする。
また、容量103の他方の電極と電気的に接続する配線を配線W2とする。
【0052】
記憶装置へデータを書き込む際、配線W1にトランジスタ102をオン状態にさせる電
位を入力し、配線S1からトランジスタ102の第2の電極に所定の電位を入力すること
により、トランジスタ102を介して保持ノードRに所定の電位を書き込むことができる
。その後、配線W1にトランジスタ102をオフ状態とする電位を入力すると、保持ノー
ドRに書き込まれた電位が保持される。
【0053】
また、保持ノードRに保持されている電位に応じて、保持ノードRにゲート電極が接続
されたトランジスタ101はオン状態またはオフ状態のいずれかの状態をとる。したがっ
て、配線S2と配線Dの一方に読み出しのための電位を入力し、他方の電位を検知するこ
とにより、読み出しを行うことができる。
【0054】
このように、本発明の一態様の記憶装置へのデータの書き込みまたは消去を行う際、ト
ランジスタ102をオン状態とするだけの電圧を用いればよい。換言すると、保持ノード
Rに書き込むのに要する電圧として、トランジスタ101のオン状態又はオフ状態を制御
するだけの電圧を用いればよい。したがって、本発明の一態様の記憶装置の駆動において
、フラッシュメモリのような高電圧を必要としないため、極めて消費電力が低減された記
憶装置が実現できる。
【0055】
ここでトランジスタ102として、チャネルが形成される半導体にシリコンを用いたト
ランジスタに比べて、オフ状態におけるリーク電流(オフ電流)が低減されたトランジス
タを用いることが好ましい。具体的には、チャネルが形成される半導体として、シリコン
よりもバンドギャップの広い半導体を用いたトランジスタを用いる。シリコンよりも広い
バンドギャップを有する半導体として化合物半導体があり、例えば、酸化物半導体、窒化
物半導体などがある。
【0056】
具体的には、非常に高いオフ抵抗を得るためには、シリコン(バンドギャップ1.1電
子ボルト)では不十分で、バンドギャップが2.5電子ボルト以上4電子ボルト以下、好
ましくは3電子ボルト以上3.8電子ボルト以下のワイドバンドギャップ半導体を使用す
ることが好ましい。例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛等の酸化物半導体、窒化ガリウム
等の窒化物半導体、硫化亜鉛等の硫化物半導体等を用いればよい。
【0057】
特に、トランジスタ102のチャネルを構成する半導体として、酸化物半導体を用いる
ことが好ましい。酸化物半導体は、エネルギーギャップが3.0eV以上と大きく、酸化
物半導体を適切な条件で加工して得られたトランジスタにおいては、オフ状態でのソース
とドレイン間の、チャネル幅1μmあたりのリーク電流(オフ電流)は、ソースとドレイ
ン間の電圧が3.5V、使用時の温度条件下(例えば、25℃)において、100zA(
1×10-19A)以下、もしくは10zA(1×10-20A)以下、さらには1zA
(1×10-21A)以下とすることができる。このため、消費電力の小さい半導体装置
を実現することができる。
【0058】
特に、In、Ga、Znを含む酸化物半導体をトランジスタに用いた場合では、比較的
低温で形成されたアモルファス状態の酸化物半導体であっても、他の酸化物半導体に比べ
て良好な電気的特性(高い電界効果移動度や小さいS値など)と高い信頼性を兼ね備えて
いるため好ましい。ここで、例えば酸化物半導体の一つである酸化亜鉛は低温で多結晶状
態となりやすく、その結晶粒界により所望の電界効果移動度やS値などの電気特性を得る
ことが困難である。
【0059】
このように、トランジスタ102にオフ電流が低減されたトランジスタを適用すること
により、保持ノードRに保持された電位を長い期間に渡って保持することができる。さら
に、記憶装置に供給される電力が停止してもデータの保持が可能となる。
【0060】
図1(B)は、本発明の一態様の記憶装置の概略図である。
【0061】
記憶装置は、トランジスタ101上にトランジスタ102と容量103が積層して設け
られている。
【0062】
トランジスタ101は、チャネルが形成される半導体に単結晶半導体が適用されたトラ
ンジスタである。トランジスタ101は、半導体層115と、半導体層115に電気的に
接続される第1の電極層112及び第2の電極層113と、半導体層115上に接するゲ
ート絶縁層114と、ゲート絶縁層114上に接し、半導体層115のチャネル形成領域
と重なるゲート電極層111と、を備える。トランジスタ101のチャネル方向は半導体
層115の上面と平行である。
【0063】
またトランジスタ102は、上記ゲート電極層111上に設けられ、当該ゲート電極層
111と電気的に接続する半導体層125と、半導体層125上に設けられ、当該半導体
層125と電気的に接続する電極層122と、半導体層125の側面に接して設けられる
ゲート絶縁層124と、ゲート絶縁層124と接し、半導体層125の当該側面と対向し
て設けられるゲート電極層121と、を備える。トランジスタ102は、いわゆる縦型の
トランジスタである。従って、トランジスタ102のチャネル方向はトランジスタの10
1のチャネル方向、および半導体層115の上面に対して垂直である。
【0064】
また容量103は、上記ゲート電極層111上に重ねて設けられる電極層132と、ゲ
ート電極層111と電極層132の間に挟持される誘電層134と、を備える。従って、
トランジスタ101のチャネルはトランジスタ102の半導体層125と容量103の誘
電層134と重畳する。
【0065】
ここで、電極層122は
図1(A)における配線S1に電気的に接続する。同様にして
、ゲート電極層121は配線W1に、電極層132は配線W2に、第1の電極層112は
配線S2に、第2の電極層113は配線Dにそれぞれ電気的に接続する。また、ゲート電
極層111が保持ノードRに相当する。
【0066】
図1(B)に示すように、トランジスタ101のゲート電極層111上に、縦型のトラ
ンジスタであるトランジスタ102と、容量103とを積層して設けることにより、占有
面積が削減された記憶装置を実現できる。またゲート電極層111が、トランジスタ10
2の一方の電極、及び容量103の一方の電極と兼ねる構成とすることにより、記憶装置
の構成が簡略化され、より低コストでの作製が可能となる。
【0067】
また特に、読み出し動作を行うトランジスタ101に単結晶半導体を適用することによ
り、読み出し動作を高速化できる。
【0068】
また、半導体層125に用いる半導体としてバンドギャップがシリコンよりも広い材料
を用いた場合、当該材料は極めて抵抗値が高いため、容量を構成する誘電層としても用い
ることができる。このとき、
図1(B)に示すように、トランジスタ102の半導体層1
25と同一の材料からなる誘電層134を容量103に適用することが好ましい。すなわ
ち、半導体層125と誘電層134とが同一の層として存在することが好ましい。このよ
うな構成とすることで共通の作製工程によりトランジスタ102と容量103を作製する
ことが可能となるため、記憶装置の作製工程を簡略化でき、低コストで且つ高い歩留まり
が実現された記憶装置とすることができる。
【0069】
また、
図2(A)に示すように、容量103の誘電層134として絶縁材料の薄膜を用
いた構成としてもよい。誘電層134に絶縁材料の薄膜を用いることで、誘電層134の
厚さを薄く形成することができるため、容量103の容量値を高めることができる。
【0070】
ここで、トランジスタ102のチャネル長は、半導体層125の厚さを変えることによ
り制御することができる。したがって、微細化に伴いゲート電極層111や電極層122
などの線幅が極めて小さくなった場合でも、半導体層125の厚さによって任意のチャネ
ル長とすることができる。
【0071】
また、
図1(B)や
図2(A)において、半導体層125を角柱形状として明示したが
、異なる形状とすることもできる。
図2(B)には、半導体層125の形状を円柱形状と
した場合の概略図を示している。また
図2(C)は
図2(B)におけるゲート電極層12
1及びゲート絶縁層124を破線で示した図である。
【0072】
半導体層125の形状が、例えば角柱形状であれば、その側面近傍に形成されるチャネ
ルの実効的な幅を大きくとれるため、トランジスタ102のオン電流を高くすることがで
きる。また、
図2(B)及び
図2(C)に示すように半導体層125を円柱形状とすると
、その側面に突出した部分がないため、その側面全体にゲート電界が均一に印加されるこ
とになり、信頼性の高いトランジスタ102とすることができる。また、例えばさらにオ
ン電流を高くしたい場合には、半導体層125の底面の形状を例えば星型多角形のように
、少なくともひとつの内角が180°を超える多角形(凹多角形)とし、実効的なチャネ
ル幅を大きくしてもよい。
【0073】
また、
図1(B)において、ゲート電極層121はゲート絶縁層124を介して半導体
層125の側面の一部に対向して設ける構成としたが、少なくとも半導体層125の側面
の一部を覆って形成されていればよい。例えばゲート電極層121が半導体層125の外
周を囲う構成としてもよいし、半導体層125の片側の側面にのみゲート電極層121を
設ける構成とすれば、集積度を高くすることができる。
図2(B)、
図2(C)に示すよ
うに半導体層125の側面を囲う構成とすれば、トランジスタ102の実効的なチャネル
幅を大きくとれるためオン電流を高くすることができる。
【0074】
本実施の形態で例示した記憶装置は、トランジスタ101上にトランジスタ102と容
量103とが積層され、且つ、トランジスタ102として縦型のトランジスタを適用する
ため、極めて占有面積が低減された記憶装置である。さらに、書き込み及び消去に用いる
電圧として高い電圧が不要であるため、極めて低消費電力で動作できる記憶装置である。
【0075】
また、トランジスタ102としてオフ電流が低減されたトランジスタを適用することに
より、電力の供給が停止してもデータの保持が可能であり、且つ、極めて長い期間データ
を保持できる記憶装置を実現できる。
【0076】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
【0077】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の例として、記憶装置の他の構成例に
ついて、図面を参照して説明する。なお、上記実施の形態と重複する部分については、説
明を省略するか簡略化して説明する。
【0078】
<構成例>
図3(A)は、本実施の形態で例示する記憶装置の主要部における回路図である。
【0079】
ここで、2つのトランジスタと1つの容量を含む構成をまとめて、1つの記憶素子と呼
ぶこととする。
【0080】
図3(A)に示す記憶装置は、トランジスタ101a、トランジスタ102a及び容量
103aを含む記憶素子110aと、トランジスタ101b、トランジスタ102b及び
容量103bを含む記憶素子110bを備える。記憶素子110a及び記憶素子110b
の構成は、実施の形態1で例示した記憶装置と同様の構成とすることができる。
【0081】
記憶装置には、トランジスタ102a及びトランジスタ102bの各々のゲートに電気
的に接続する配線W1と、容量103a及び容量103bの各々の一方の電極に電気的に
接続する配線W2と、トランジスタ102aの第1の電極及びトランジスタ101aの第
1の電極に電気的に接続する配線S11と、トランジスタ102bの第1の電極及びトラ
ンジスタ101bの第1の電極に電気的に接続する配線S12と、トランジスタ101a
及びトランジスタ101bの各々の第2の電極に電気的に接続する配線S2と、が接続さ
れている。
【0082】
このように、実施の形態1で例示した配線S1と配線Dを共通化して配線S11(又は
配線S12)とし、且つ隣接する記憶素子間で配線S2を共通化することにより、配線数
を低減することができる。
【0083】
なおここでは簡単のため、
図3(A)には2つの記憶素子を備える構成について説明す
るが、実際にはこの2つの記憶素子の対が配線W1や配線S2などに沿って周期的に配置
されていることが好ましい。
【0084】
続いて、
図3(A)に示す記憶装置の動作について説明する。
【0085】
書き込みを行う際には、配線W1にトランジスタ102a及びトランジスタ102bを
オン状態とさせる電位が与えられる。続いて配線S11と配線S12の各々に、所望の電
位を与えることにより、トランジスタ102a又はトランジスタ102bを介して各々の
記憶素子の保持ノードにデータを書き込むことができる。
【0086】
読み出しを行う際、配線S2には共通電位が与えられる。ここで、各々の記憶素子の保
持ノードにトランジスタ101a又はトランジスタ101bをオン状態とさせる電位が保
持されているときには、配線S11又は配線S12の電位が変化する。一方、保持ノード
の電位が当該トランジスタをオフ状態とさせる電位のときには、配線S11又は配線S1
2の電位は変化しない。したがって、配線S11又は配線S12の電位の変化をセンスア
ンプ等で検知することにより、各々の記憶素子に書き込まれたデータを読み出すことがで
きる。
【0087】
ここで、配線S2に沿って配置された他の記憶素子の読み出しを行う場合には、トラン
ジスタ101a及びトランジスタ101bを確実にオフ状態とする必要がある。そのとき
は配線W2に所望の電位を与えることにより容量103a又は容量103bを介して各々
の保持ノードの電位をトランジスタ101a又はトランジスタ101bをオフ状態とする
電位に変化させる。このようにして、配線S2に沿って配置された他の記憶素子の読み出
しを確実に行うことができる。
【0088】
以上が記憶装置の動作についての説明である。
【0089】
図3(B)は、本実施の形態で例示する記憶装置の上面概略図である。
【0090】
図3(B)には、配線W1として機能する配線層201と、配線W2として機能する配
線層202と、配線S11として機能する配線層203aと、配線S12として機能する
配線層203bと、配線S2として機能する配線層204と、を図示している。
【0091】
また、配線層201と配線層203aが重なる領域に、トランジスタ102aが設けら
れている。同様にして、配線層201と配線層203bが重なる領域にトランジスタ10
2bが、配線層202と配線層203aが重なる領域に容量103aが、配線層202と
配線層203bが重なる領域に容量103bが、それぞれ設けられている。
【0092】
図4(A)~(C)にはそれぞれ、
図3(B)中の切断線A-A’、切断線B-B’、
切断線C-C’で切断した断面概略図を示す。
図4(A)は、配線層203aに沿ってト
ランジスタ102aと容量103aを含む領域を切断した断面概略図である。また
図4(
B)は、配線層201に沿ってトランジスタ102aとトランジスタ102bを含む領域
を切断した断面概略図である。また
図4(C)は、配線層202と容量103aと接続電
極層213bと接続電極層213cと、を含む領域を切断した断面概略図である。
【0093】
記憶素子110aにおいて、トランジスタ101aのゲート電極層111a上にトラン
ジスタ102aと、容量103aが積層されている。また記憶素子110bにおいて、ト
ランジスタ101bのゲート電極層111b上にトランジスタ102bと容量103bが
積層されている。
【0094】
ここで、トランジスタ101a及びトランジスタ101bは、チャネルが形成される半
導体として単結晶半導体を用いたトランジスタである。
【0095】
トランジスタ101aは、半導体層115と、半導体層115と電気的に接続する第1
の電極層112a及び第2の電極層113と、半導体層115上に接するゲート絶縁層1
14と、ゲート絶縁層114上に接し、半導体層115と重なるゲート電極層111aを
有する。
【0096】
また、トランジスタ101bも同様に、半導体層115と第1の電極層112b及び第
2の電極層113と、ゲート絶縁層114と、ゲート電極層111bを有する。
【0097】
トランジスタ101bの第1の電極層112bは、接続電極層213cを介して配線層
203bと電気的に接続されている。またトランジスタ101aの第1の電極層112a
も同様に接続電極層213c(図示しない)を介して配線層203aと電気的に接続され
ている。また、トランジスタ101aとトランジスタ101bに共通の第2の電極層11
3は、接続電極層213bを介して配線層204と電気的に接続されている。
【0098】
また、
図4(A)~(C)に示すように、ゲート電極層111a及びゲート電極層11
1bの側面にはサイドウォール絶縁層を有していてもよい。
【0099】
トランジスタ102aは、ゲート電極層111aの上面に接する半導体層125と半導
体層125の上面に接する電極層122と、半導体層125の側面に接するゲート絶縁層
124とを有する。さらに、ゲート絶縁層124に接し、半導体層125の側面を囲って
配線層201が設けられている。配線層201の一部は、トランジスタ102aのゲート
電極として機能する。従って、トランジスタ102aのゲート電極はトランジスタ101
aのゲート電極層111aとトランジスタ102aの電極層122の間に位置する。
【0100】
トランジスタ102bも同様に、ゲート電極層111bと接する半導体層125と、電
極層122と、ゲート絶縁層124を有し、半導体層125の側面が配線層201に囲ま
れている。トランジスタ102bのゲート電極もトランジスタ101bのゲート電極層1
11bとトランジスタ102bの電極層122の間に位置する。
【0101】
トランジスタ102aの電極層122は、接続電極層213aを介して配線層203a
と電気的に接続されている。また、トランジスタ102bの電極層122も同様に接続電
極層213aを介して配線層203bと電気的に接続されている。
【0102】
容量103aは、トランジスタ101aのゲート電極層111a上に接する誘電層13
4を有する。また誘電層134の上面に接する配線層202が設けられている。配線層2
02の一部は、容量103aの一方の電極として機能する。ここで、誘電層134は、半
導体層125と同一の層から構成されている。すなわち、誘電層134は半導体層125
と同一の層として存在する。
【0103】
容量103bも同様に、ゲート電極層111b上に接する誘電層134を有し、誘電層
134の上面に接して配線層202が設けられている。
【0104】
また、
図4(A)~(C)に示すように、記憶装置を構成する電極層や配線層を電気的
に分離するために、各々の電極層間、配線層間、または電極層と配線層の間には、絶縁層
212a~212hのいずれかが設けられている。
【0105】
また、半導体層115を構成する基板には、半導体層115を備えるトランジスタ間を
電気的に分離するための素子分離層211が設けられている。
【0106】
ここで、本実施の形態で例示する記憶装置において、当該記憶装置を構成する電極層や
配線層の幅や、電極層間、配線層間、または電極層と配線層との間の間隔は、用いる作製
方法における最小加工寸法によって形成することができる。ここで最小加工寸法をFとす
ると、Fの値は好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、より好ましく
は30nm以下とする。
【0107】
ここで本構成例では、縦型のトランジスタであるトランジスタ102aや容量103a
の占有面積を、F2にまで縮小することができる。
【0108】
このように、トランジスタ101aとトランジスタ101bの一方の電極層を共通化す
ることにより、2つの記憶素子間を可能な限り近づけて配置することができる。さらに、
トランジスタ101aのゲート電極層111a上に、トランジスタ102aと容量103
aを積層して設けることにより、一つの記憶素子の占有面積を縮小化することができる。
【0109】
以上が本実施の形態で例示する記憶装置の構成例についての説明である。
【0110】
<変形例>
上記構成例では、容量を構成する誘電層として、縦型のトランジスタの半導体層と同一
の層を用いたが(すなわち、前記誘電層と前記半導体層は同一の層として存在する)、以
下では、誘電層として絶縁材料の薄膜を用いた場合について説明する。
【0111】
図5は、
図4(A)に示した断面概略図のうち、容量103aの構成を異ならせて示し
た図である。なお、容量103aの構成以外は、上記構成例と同じ構成である。
【0112】
容量103aは、トランジスタ101aのゲート電極層111a上に接する誘電層13
4と、誘電層134の上面に接する電極層132とを有する。また、電極層132の上面
に接する配線層202が設けられている。
【0113】
誘電層134は絶縁材料からなる薄膜で構成されている。このような構成とすることに
より、誘電層134を薄く形成できるため、単位面積あたりの容量値を高めることができ
る。
【0114】
ここで
図5に示すように、誘電層134は、トランジスタ102aのゲート絶縁層12
4と同一の層として存在することが好ましい。さらに、電極層132は、配線層201と
同一のとして存在することが好ましい。このように誘電層134と電極層132を、トラ
ンジスタ102aを構成する層と同一の層で構成することにより、容量103aとトラン
ジスタ102aとを同一の工程により形成することが可能であるため、作製工程を簡略化
できる。
【0115】
以上が本変形例についての説明である。
【0116】
<作製工程例>
以下では、上記構成例で例示した記憶装置を作製する方法の一例について図面を参照し
て説明する。なお、本作製工程例では一部を除いて、概略を示すにとどめる。詳細は、公
知の半導体集積回路作製技術を参照すればよい。
【0117】
図6~
図9には、本作製工程例での各段階における上面概略図と断面概略図を示してい
る。例えば、
図6(A)にはその段階における上面概略図を示し、
図6(B)には
図6(
A)中の切断線A-A’及びB-B’で切断した断面概略図を示している。
【0118】
まず、半導体材料を含む基板を準備する。半導体材料を含む基板としては、シリコンや
炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの
化合物半導体基板、SOI基板などを適用することができる。ここでは、半導体材料を含
む基板として、単結晶シリコン基板を用いる場合の一例について示す。なお、一般に「S
OI基板」は、絶縁表面上にシリコン半導体層が設けられた構成の基板をいうが、本明細
書等においては、絶縁表面上にシリコン以外の材料からなる半導体層が設けられた構成の
基板をも含むこととする。つまり、SOI基板には、ガラス基板などの絶縁基板上に絶縁
層を介して半導体層が設けられた構成も含まれるものとする。
【0119】
続いて、基板上に素子分離層211を形成する。素子分離層211は、公知のLOCO
S(Local Oxidation of Silicon)プロセス等を用いて形成
すればよい。また、この工程の前後において、後に形成されるトランジスタ101a及び
トランジスタ101bのしきい値電圧を制御するために、n型の導電性を付与する不純物
元素やp型の導電性を付与する不純物元素を基板に添加してもよい。基板に含まれる半導
体材料がシリコンの場合、n型の導電性を付与する不純物としては例えばリンやヒ素など
を用いることができる。一方、p型の導電性を付与する不純物としては、例えばホウ素、
アルミニウム、ガリウムなどを用いることができる。
【0120】
また、素子分離層211を形成した後、基板表面を平坦化することが好ましい。例えば
、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などの研磨
処理やエッチング処理を用いればよい。
【0121】
次に、基板表面に絶縁膜を形成し、当該絶縁膜上に導電膜を形成する。
【0122】
上記絶縁膜は、後に形成されるトランジスタ101a及びトランジスタ101bのゲー
ト絶縁層114となるものであり、CVD法やスパッタリング法等を用いて得られる酸化
シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化
アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixO
y(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート、窒素が添加されたハ
フニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))等を含む膜の単層構造また
は積層構造とすると良い。他に、高密度プラズマ処理や熱処理(熱酸化処理や熱窒化処理
など)によって、基板の表面を酸化、窒化することにより上記絶縁膜を形成しても良い。
高密度プラズマ処理は、例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、酸素、酸化窒
素、アンモニア、窒素などとの混合ガスを用いて行うことができる。また、絶縁膜の厚さ
は特に限定されないが、例えば1nm以上100nm以下とすることができる。
【0123】
導電膜は、後に形成されるトランジスタ101a及びトランジスタ101bのゲート電
極層111a、111bとなるものであり、アルミニウムや銅、チタン、タンタル、タン
グステン、クロム、ニッケル、モリブデン等の金属材料を用いて形成することができる。
また、導電材料を含む多結晶シリコンなどの半導体材料を用いて、導電膜を形成しても良
い。形成方法も特に限定されず、蒸着法、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法
など、各種成膜方法を用いることができる。なお本実施の形態では、導電膜として金属材
料を用いる場合の一例について示すものとする。
【0124】
また、当該導電膜は後に形成されるトランジスタ102a及びトランジスタ102bの
一方の電極としても機能するため、半導体層125に用いる半導体材料の電子親和力を考
慮して材料を選択することが好ましい。また導電膜を2以上の膜が積層された積層膜とし
、その最上層(半導体層125と接する層)の導電膜に、トランジスタ102a及びトラ
ンジスタ102bの電極に適した材料からなる導電膜を用いる構成としてもよい。
【0125】
続いて、当該導電膜の不要な部分をエッチングし、ゲート電極層111a及びゲート電
極層111bを形成する。
【0126】
続いて、ゲート電極層111a及びゲート電極層111bの側面に接するサイドウォー
ル絶縁層を形成する。サイドウォール絶縁層は、ゲート電極層111a及びゲート電極層
111bを覆う絶縁膜を形成した後に、当該絶縁膜に異方性の高いエッチング処理を適用
することで自己整合的に形成することができる。
【0127】
またサイドウォール絶縁層を形成する際のエッチング処理により、ゲート絶縁層114
となる絶縁膜のうち、ゲート電極層111a及びゲート電極層111b及びサイドウォー
ル絶縁層に重ならない部分が同時にエッチングされることにより、ゲート絶縁層114が
形成される。
【0128】
サイドウォール絶縁層を設けることにより、後述の不純物を添加する工程において、不
純物元素が異なる濃度で添加された不純物領域を形成することができる。こうすることで
短チャネル効果などの影響を抑制することができ、好ましい。なお、高集積化が要求され
る場合には、サイドウォールを有しない構成とすることにより、トランジスタサイズを縮
小することができる。
【0129】
次に、ゲート電極層111a、ゲート電極層111b、及びサイドウォール絶縁層をマ
スクとして用い、リンや砒素などの不純物を添加して、第1の電極層112a、第1の電
極層112b、及び第2の電極層113を形成する。なお、pチャネル型のトランジスタ
を形成する場合にはホウ素やアルミニウムなどの不純物元素を添加すればよく、nチャネ
ル型のトランジスタを形成する場合には、リンや砒素などの不純物元素を添加すればよい
。添加する不純物の濃度は適宜設定することができるが、半導体素子が高度に微細化され
る場合には、その濃度を高くすることが望ましい。なお、不純物元素の添加後には加熱処
理を行い、不純物元素の活性化や不純物元素の添加時に生じる欠陥の改善等を図るのが望
ましい。
【0130】
以上の工程で、トランジスタ101a及びトランジスタ101bを形成できる。
【0131】
その後、後の絶縁層212aとなる絶縁膜を成膜した後、ゲート電極層111a及びゲ
ート電極層111bが露出するように平坦化処理を行い、絶縁層212aを形成する。
【0132】
絶縁層212aとなる絶縁膜には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコ
ン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル等の無機絶縁材料
を含む膜の単膜または積層膜を用いることができる。また、後の工程にかかる熱に耐えう
るのであれば、ポリイミド、アクリル樹脂等の有機絶縁材料を用いて形成することもでき
る。
【0133】
なお、この段階における上面概略図及び断面概略図が、それぞれ
図6(A)、(B)に
相当する。
【0134】
続いて、ゲート電極層111a、ゲート電極層111b及び絶縁層212a上に後の半
導体層125となる半導体膜を形成する。ここで半導体膜の厚さは、後の平坦化工程で膜
厚が減少してしまうことを考慮して、あらかじめ所望のチャネル長よりも厚くなるように
形成することが好ましい。
【0135】
半導体膜の材料として、シリコンなどの半導体材料を用いることもできるが、シリコン
よりもバンドギャップの広い半導体材料を用いることが好ましい。シリコンよりも広いバ
ンドギャップを有する半導体として化合物半導体があり、例えば、酸化物半導体、窒化物
半導体などがある。
【0136】
トランジスタのオフ抵抗は、チャネルが形成される半導体層における熱的に励起するキ
ャリアの濃度に反比例する。ドナーやアクセプタによるキャリアが全く存在しない状態(
真性半導体)であっても、シリコンの場合にはバンドギャップが1.1電子ボルトである
ため、室温(300K)での熱励起キャリアの濃度は1×1011cm-3程度である。
【0137】
一方、例えばバンドギャップが3.2電子ボルトの半導体の場合では熱励起キャリアの
濃度は1×10-7cm-3程度となる。電子移動度が同じ場合、抵抗率は、キャリア濃
度に反比例するので、バンドギャップ3.2電子ボルトの半導体の抵抗率は、シリコンよ
り18桁も大きい。
【0138】
このようなバンドギャップの広い半導体が適用されたトランジスタは、極めて低いオフ
電流を実現できる。このようなトランジスタをトランジスタ102a及びトランジスタ1
02bに適用することにより、各記憶素子の保持ノードに保持される電位を、極めて長い
期間保持させることが可能となる。
【0139】
本実施の形態では、半導体膜として酸化物半導体膜をスパッタリング法により形成する
。具体的には、In-Ga-Zn系酸化物半導体ターゲットを用いてスパッタリング法に
より形成する。
【0140】
なお、酸化物半導体膜として用いることのできる材料は上記に限定されない。酸化物半
導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好まし
い。特にInとZnを含むことが好ましい。
【0141】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビ
ライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)
、アルミニウム(Al)、又はランタノイドのから選ばれた一種又は複数種を有すること
が好ましい。
【0142】
ランタノイドとして、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、
ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)
、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(E
r)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)がある。
【0143】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等を用いることが
できる。
【0144】
また、酸化物半導体として、In-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系
酸化物、Zn-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系
酸化物等を用いることができる。
【0145】
また、酸化物半導体として、In-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、I
n-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Zn系酸化物、In
-Hf-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-
Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-E
u-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy
-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-
Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、Al-Ga-Z
n系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物等を用いることができる。
【0146】
また、酸化物半導体として、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga-Z
n系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、In
-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物等を用いることができる
。
【0147】
なお、ここで、例えば、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分と
して有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、Inと
GaとZn以外の金属元素を含有させてもよい。
【0148】
また、上記金属酸化物にSiO2を含ませた酸化物半導体で酸化物半導体膜を形成する
こともできる。
【0149】
また、酸化物半導体膜を、InMO3(ZnO)m(m>0)で表記される酸化物半導
体で形成することができる。ここで、Mは、Ga、Al、Mn、及びCoから選ばれた一
つ又は複数の金属元素を示す。
【0150】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1の原子
比のIn-Ga-Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。
【0151】
あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1、In:Sn:Zn=2:1:3あるいはI
n:Sn:Zn=2:1:5の原子比のIn-Sn-Zn系酸化物やその組成の近傍の酸
化物を用いてもよい。
【0152】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)
に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、
キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等
を適切なものとすることが好ましい。
【0153】
例えば、In-Sn-Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしな
がら、In-Ga-Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を
上げることができる。
【0154】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b
+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+
C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a-A)2+(b-B)2
+(c-C)2≦r2を満たすことをいい、rは、例えば、0.05とすればよい。他の
酸化物でも同様である。
【0155】
酸化物半導体は単結晶でも、非単結晶でもよい。非単結晶の場合、非晶質でも、多結晶
でもよい。また、非晶質中に結晶性を有する部分を含む構造でもよい。なお、アモルファ
スは欠陥が多いため、非アモルファスが好ましい。
【0156】
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため
、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的
高い移動度を得ることができる。
【0157】
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表
面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる
。
【0158】
ここで、酸化物半導体膜にはアルカリ金属、水素原子、水素分子、水、水酸基、又は水
素化合物などの不純物ができるだけ混入しないように形成することが好ましい。例えばス
パッタリングターゲットや成膜に用いるガスに上記不純物が混入しないようにする。また
、成膜の際、成膜装置内を十分排気し、成膜時に基板温度を加熱しながら成膜することに
より、成膜された酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。
【0159】
また、酸化物半導体膜の形成後において脱水化処理(脱水素化処理)を行い、酸化物半
導体膜から水素、または水分を除去して、不純物が極力含まれないように高純度化し、脱
水化処理(脱水素化処理)によって増加した酸素欠損を補填するため酸素を酸化物半導体
膜に加える処理を行うことが好ましい。酸素の供給は、酸素雰囲気下で加熱処理を施す方
法や、酸化物半導体膜を加熱により酸素を放出する膜の近傍に配置し、加熱処理を施す方
法等を用いることができる。本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合
を、加酸素化処理と記す場合がある、または酸化物半導体膜に含まれる酸素を化学量論的
組成よりも多くする場合を過酸素化処理と記す場合がある。
【0160】
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素または水分
が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化また
はi型に限りなく近い酸化物半導体膜とすることができる。このような酸化物半導体膜中
には、ドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア濃度は1×1
014/cm3未満、好ましくは1×1012/cm3未満、さらに好ましくは1×10
11/cm3未満、より好ましくは1.45×1010/cm3未満となる。
【0161】
またこのように、水素濃度が十分に低減されて高純度化され、十分な酸素の供給により
酸素欠損に起因するエネルギーギャップ中の欠陥準位が低減された酸化物半導体膜を備え
るトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、室温(25℃)で
のオフ電流(ここでは、単位チャネル幅(1μm)あたりの値)は、100zA(1zA
(ゼプトアンペア)は1×10-21A)以下、望ましくは、10zA以下となる。また
、85℃では、100zA(1×10-19A)以下、望ましくは10zA(1×10-
20A)以下となる。このように、i型(真性)化または実質的にi型化された酸化物半
導体膜を用いることで、極めて優れたオフ電流特性のトランジスタを得ることができる。
【0162】
続いて、半導体膜の不要な部分をエッチングして半導体層125及び誘電層134を形
成する。
【0163】
半導体膜のエッチングは、ハードマスクを用いて行うことが好ましい。まず半導体膜上
に後のハードマスクとなる無機膜を形成し、当該無機膜上の半導体層125及び誘電層1
34を形成する領域と重なるようにレジストを形成する。ここで、形成したレジストに対
してアッシングを行いレジストの幅を縮小させる、いわゆるスリミング処理を施すことが
好ましい。スリミング処理を施すことにより半導体層125または誘電層134の幅を最
小加工寸法Fよりも小さくできる。したがって半導体層125及び誘電層134は、ゲー
ト電極層111aまたはゲート電極層111bの幅を最小加工寸法Fで形成した場合であ
っても、その内側の領域に設けることができる。
【0164】
ハードマスクは、上記レジストに覆われていない領域の上記無機膜をエッチングして得
られる。ハードマスクの形成後にレジストを除去してもよい。
【0165】
半導体膜のエッチングは、ハードマスクに覆われていない部分に対して異方性の高いエ
ッチング方法を用いて行う。ここで、エッチングの際に半導体膜よりも下層に設けられる
層をエッチングしない条件を用いる。このようにして、柱状(円柱状、多角柱状を含む)
の半導体層125を形成することができる。
【0166】
その後、ハードマスクを除去する。またハードマスク上のレジストを除去していない場
合には、当該レジストを除去した後にハードマスクを除去する。
【0167】
続いて、半導体層125の側面及び上面を覆う絶縁膜を形成する。当該絶縁膜の一部は
、ゲート絶縁層124として機能する。したがって、半導体層125の側面に接する部分
は均一な厚さになるように当該絶縁膜を形成することが好ましい。当該絶縁膜は、CVD
法、スパッタリング法などの成膜方法によって形成することができる。また、絶縁膜の膜
中及び半導体層125との界面には水、水素、水素化合物などの水素原子を含む不純物が
十分低減されていることが好ましい。
【0168】
ここで、絶縁膜の形成には、μ波(例えば周波数2.45GHz)を用いた高密度プラ
ズマCVDを用いると、緻密で絶縁耐圧の高い高品質な絶縁膜を形成できるので好ましい
。高純度化された酸化物半導体と高品質ゲート絶縁層とが接触することにより、界面準位
を低減して界面特性を良好にすることができる。
【0169】
絶縁膜としては、例えば酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化ハフ
ニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(
HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfS
ixOyNz(x>0、y>0、z>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート
(HfAlxOyNz(x>0、y>0、z>0))等を含む膜を、単層で、又は積層さ
せることで、形成することができる。
【0170】
この段階における上面概略図及び断面概略図が、それぞれ
図7(A)、(B)に相当す
る。
【0171】
続いて、ゲート絶縁層124を構成する上記絶縁膜上に、配線層201となる導電膜を
成膜し、当該導電膜の不要な部分をエッチングする。その後、当該絶縁膜及び導電膜上に
、後の絶縁層212bとなる絶縁膜を成膜する。次に、半導体層125及び誘電層134
の上面が露出するように平坦化処理を行うことにより、配線層201と絶縁層212bが
形成される。
【0172】
配線層201となる導電膜は、上記ゲート電極層111a及びゲート電極層111bに
用いる導電膜と同様の材料、方法により形成できる。なお、以下、配線層202、配線層
203a、配線層203b、配線層204に用いる導電膜も同様である。
【0173】
また絶縁層212bを構成する絶縁膜は、絶縁層212aに用いる絶縁膜と同様の材料
、方法により形成できる。なお、以下、絶縁層212c、絶縁層212d、絶縁層212
e、絶縁層212f、絶縁層212g、絶縁層212hに用いる絶縁膜も同様である。
【0174】
続いて、半導体層125、誘電層134、ゲート絶縁層124、配線層201、及び絶
縁層212b上に接して絶縁層212cとなる絶縁膜を形成する。その後、絶縁層212
cとなる絶縁膜に、半導体層125または誘電層134に到達する開口部を形成すること
により、絶縁層212cが形成される。
【0175】
続いて、後の配線層202または電極層122となる導電膜を、半導体層125、誘電
層134、及び絶縁層212c上に形成する。その後当該導電膜の不要な部分をエッチン
グすることにより、配線層202及び電極層122が形成される。
【0176】
以上の工程により、トランジスタ101aのゲート電極層111a上にトランジスタ1
02aと容量103aを形成できる。また同時に、トランジスタ101bのゲート電極層
111b上にトランジスタ102bと容量103bが形成される。
【0177】
この段階における上面概略図及び断面概略図が、それぞれ
図8(A)、(B)に相当す
る。
【0178】
続いて、配線層202、電極層122、及び絶縁層212c上に絶縁層212dとなる
絶縁膜を形成する。その後、配線層202及び電極層122の上面が露出するように平坦
化処理を施すことで、絶縁層212dが形成される。
【0179】
続いて、絶縁層212eとなる絶縁膜を成膜し、絶縁層212eを形成する。
【0180】
続いて、絶縁層212eに電極層122に到達する開口部を形成する。その後、絶縁層
212e及び電極層122上に接続電極層213aとなる導電膜を形成し、絶縁層212
eの上面が露出するように平坦化処理を施すことにより、電極層122に電気的に接続す
る接続電極層213aを形成する。
【0181】
またこのとき同時に、絶縁層212e、絶縁層212d、絶縁層212c、絶縁層21
2b、ゲート絶縁層124を構成する絶縁膜、及び絶縁層212aに、第1の電極層11
2aまたは第1の電極層112bに到達する開口部を形成することにより、第1の電極層
112aまたは第1の電極層112bに電気的に接続する接続電極層213c(
図4参照
)を形成する。
【0182】
続いて、絶縁層212e、接続電極層213a、及び接続電極層213c上に、配線層
203a及び配線層203bとなる導電膜を形成した後、当該導電膜の不要な部分をエッ
チングすることにより配線層203a及び配線層203bを形成する。
【0183】
その後、絶縁層212e、配線層203a、及び配線層203b上に絶縁層212fと
なる絶縁膜を形成した後、配線層203a及び配線層203bの上面が露出するように平
坦化処理を施すことにより絶縁層212fを形成する。
【0184】
続いて、絶縁層212f、配線層203a、及び配線層203b上に絶縁層212gと
なる絶縁膜を成膜し、絶縁層212gを形成する。
【0185】
続いて、絶縁層212g、絶縁層212f、絶縁層212e、絶縁層212d、絶縁層
212c、絶縁層212b、ゲート絶縁層124を構成する絶縁膜、及び絶縁層212a
に、第2の電極層113に到達する開口部(図示しない)を形成する。その後、絶縁層2
12g及び第2の電極層113上に接続電極層213bとなる導電膜を形成し、絶縁層2
12gの上面が露出するように平坦化処理を施すことにより、第2の電極層113と電気
的に接続する接続電極層213b(図示しない)を形成する(
図4(C)参照)。
【0186】
続いて、絶縁層212g及び接続電極層213b(図示しない)上に、配線層204と
なる導電膜を形成した後、当該導電膜の不要な部分をエッチングすることにより、配線層
204を形成する(
図4(C)参照)。
【0187】
その後、絶縁層212g及び配線層204を覆う絶縁層212hを形成してもよい。ま
た絶縁層212hとなる絶縁膜を成膜した後、当該絶縁膜の上面を平坦化処理によって平
坦化して絶縁層212hを形成してもよい。
【0188】
この段階における上面概略図及び断面概略図が、それぞれ
図9(A)、(B)に相当す
る。
【0189】
以上の工程により、本実施の形態の構成例で例示した記憶素子110a及び記憶素子1
10bを備える記憶装置を作製することができる。
【0190】
ここで、上記では、ハードマスクを用いて半導体層125及び誘電層134を形成する
方法を説明したが、これとは異なる方法により半導体層125及び誘電層134を形成す
ることもできる。以下では上記とは異なる作製方法について、
図10を用いて説明する。
【0191】
まず、上記と同様にトランジスタ101a及び絶縁層212aを形成する。
【0192】
続いて、絶縁層212a及びゲート電極層111a上に、絶縁層212iと配線層20
1となる導電膜を積層して形成する。ここで、絶縁層212iは、ゲート電極層111a
と配線層201とを絶縁するために設けられる。
【0193】
続いて、上記導電膜と絶縁層212iに、ゲート電極層111aに到達する開口部を形
成する。この段階における断面概略図が、
図10(A)に相当する。
【0194】
続いて、開口部の側面、及び底面に接するように、後のゲート絶縁層124となる絶縁
膜を成膜する。または、上記導電膜の上面及び側面を酸化して、絶縁膜を形成してもよい
。
【0195】
その後、当該絶縁膜に対して異方性の高いエッチング処理を施すことにより、上記導電
膜とゲート電極層111aのそれぞれの上面が露出し、開口部の側壁にのみ絶縁膜を残す
ことができる。このようにして、開口部の側壁に接するゲート絶縁層124を形成するこ
とができる。
【0196】
続いて、上記導電膜及びゲート電極層111a上に、ゲート絶縁層124と接するよう
に半導体層125及び誘電層134となる半導体膜を成膜する。その後、当該導電膜の上
面が露出するように平坦化処理を施すことにより、上記開口部内に半導体層125及び誘
電層134を形成することができる。この段階における断面概略図が
図10(B)に相当
する。
【0197】
続いて、上記導電膜、ゲート絶縁層124、半導体層125、及び誘電層134の上面
にレジストを形成し、当該導電膜の不要な部分をエッチングすることにより配線層201
を形成する。
【0198】
その後、絶縁層212bとなる絶縁膜を成膜し、配線層201、半導体層125、誘電
層134、及びゲート絶縁層124の上面が露出するように平坦化処理を施すことにより
、絶縁層212bを形成する。この段階における断面概略図が
図10(C)に相当する。
【0199】
その後、上述の方法に従って、絶縁層212c、電極層122、及び配線層202を形
成する。この段階における断面概略図が
図10(D)に相当する。
【0200】
以上の工程により、トランジスタ101a上にトランジスタ102aと容量103aを
形成することができる。
【0201】
このような方法を用いることにより、スリミング処理を用いることなく確実に、ゲート
電極層111aの内側の領域に半導体層125及び誘電層134を形成することができる
。
【0202】
以上が本作製工程例についての説明である。
【0203】
<変形例>
以下では、
図5に示した、容量の誘電層として絶縁材料の薄膜を用いた記憶装置を作製
する方法の一例について図面を参照して説明する。なお、以下では、上記作製工程例と重
複する部分については説明を省略する。
【0204】
図11は、本変形例の各段階における断面概略図である。
【0205】
まず、上記作製工程例で説明した方法により、トランジスタ101aを形成する。
【0206】
続いて、ゲート電極層111a上に半導体層125を形成する。ここで、上記構成例で
は半導体層125と同時に同一材料からなる誘電層134を形成したが、本変形例では形
成しないことに留意する。
【0207】
続いて、ゲート絶縁層124を構成する絶縁膜を形成する。このとき、当該絶縁膜の一
部を誘電層134として用いることができる。この段階における断面概略図が
図11(A
)に相当する。
【0208】
続いて、配線層201を形成する工程において、容量103aが形成される領域に、配
線層201と同一の導電膜からなる島状のパターンを形成することにより、電極層132
を形成する。このようにしてゲート電極層111aと電極層132の間に絶縁膜からなる
誘電層134が挟持された、容量103aを形成することができる。この段階における断
面概略図が
図11(B)に相当する。
【0209】
続いて、絶縁層212b及び絶縁層212cを形成する。その後、絶縁層212cに半
導体層125に到達する開口部を形成する際に、電極層132に到達する開口部も同時に
形成する。
【0210】
続いて電極層122と配線層202を形成する。配線層202は、絶縁層212cに設
けられた開口部を介して電極層132と電気的に接続する。この段階における断面概略図
が
図11(C)に相当する。
【0211】
これ以降は、上記作製工程例に基づいて工程を進めることにより、誘電層134として
絶縁膜が適用された容量103を備える記憶装置を作製することができる。
【0212】
このような方法によれば、フォトマスク数や作製工程を増やすことなく、縦型のトラン
ジスタと同時に容量を作製することができるため、低コストで且つ高い歩留まりで記憶装
置を作製できる。
【0213】
以上が本変形例についての説明である。
【0214】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
【0215】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の一例として、上記実施の形態とは異
なる記憶装置の構成例について、図面を参照して説明する。なお、以下では上記実施の形
態と重複する部分については、説明を省略するか、簡略化して説明する。
【0216】
図12(A)は、本実施の形態で例示する記憶装置の主要部における回路図である。
【0217】
記憶装置は、トランジスタ101とトランジスタ102と容量103と、を備える。
【0218】
また、トランジスタ101及びトランジスタ102の各々の第1の電極と電気的に接続
する配線S1と、トランジスタ101の第2の電極と電気的に接続する配線S2と、トラ
ンジスタ102のゲートに接続する配線W1と、容量103の一方の電極と電気的に接続
する配線W2と、を有する。
【0219】
図12(B)は、本実施の形態で例示する記憶装置の上面概略図である。また、
図12(
C)は、
図12(B)中の切断線D-D’で切断した断面概略図である。
【0220】
図12(B)及び
図12(C)に示す記憶装置は、実施の形態2で例示した記憶装置に
おけるトランジスタ101を、縦型のトランジスタに置き換えた構成である。
【0221】
記憶装置は、絶縁表面上に設けられた配線層204と、配線層204上に設けられた縦
型のトランジスタであるトランジスタ101と、トランジスタ101のゲート電極層11
1上に設けられたトランジスタ102及び容量103と、トランジスタ102のゲート電
極として機能する配線層201と、容量103の一方の電極として機能する配線層202
と、トランジスタ101及び容量103上に設けられ、トランジスタ101及びトランジ
スタ102と電気的に接続された配線層203と、を有する。
【0222】
配線層201は、
図12(A)に示す配線W1として機能する。同様に、配線層202
は配線W2として機能し、配線層203は配線S1として機能し、配線層204は配線S
2として機能する。またゲート電極層111が保持ノードに相当する。
【0223】
図12(B)及び
図12(C)に示すように、配線層204をトランジスタ101より
も下層に設けることが可能であるため、配線層204と配線層203を重ねて設けること
ができる。このとき、配線層204と配線層203は、トランジスタ101が設けられて
いる層と、トランジスタ102及び容量103が設けられている層を介して形成されるた
め、これらの距離を十分に離して形成できる。そのため当該配線層間の容量は無視できる
程度にまで低減することができる。このように、2つの配線層を重ねて形成することによ
り、記憶装置の占有面積を極めて小さいものとすることができる。
【0224】
また、
図12(C)では、ゲート電極層111と配線層204とはゲート絶縁層114
を構成する絶縁膜によって電気的に絶縁される構成を示したが、ゲート電極層111と配
線層204との間に絶縁層を別途形成し、これらの間の容量を低減してもよい。その場合
には、当該絶縁層を貫通する接続電極層により配線層204と第2の電極層113とを接
続する構成とすればよい。
【0225】
トランジスタ101は、配線層204上に設けられ、当該配線層204と電気的に接続
する第2の電極層113と、第2の電極層113上に設けられ、当該第2の電極層113
と電気的に接続する半導体層115と、半導体層115上に設けられ、当該半導体層11
5と電気的に接続する第1の電極層112と、半導体層115、第1の電極層112、及
び第2の電極層113の側面に接して設けられるゲート絶縁層114と、少なくとも半導
体層115の当該側面と対向して設けられるゲート電極層111と、を備える。チャネル
方向は絶縁表面に対して垂直である。
【0226】
半導体層115には、アモルファス半導体や、多結晶半導体、単結晶半導体などを用い
ることができる。
【0227】
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコンがあげられる。
また、多結晶半導体としては、代表的にはポリシリコン(多結晶シリコン)があげられる
。ポリシリコンには、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材
料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリ
シリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを
用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、微結
晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0228】
また、半導体層115に用いる半導体として、上述の酸化物半導体を用いてもよい。そ
の場合は、第1の電極層112及び第2の電極層113を設けなくてもよい。
【0229】
トランジスタ101を形成する場合、上述のトランジスタ102の作製方法を援用する
ことができる。このとき、半導体層125を構成する半導体の単層膜に換えて、第2の電
極層113を構成する不純物が添加された半導体膜と、半導体層115を構成する半導体
膜と、第1の電極層112を構成する不純物が添加された半導体膜との積層膜を用いるこ
とにより、トランジスタ101を形成することができる。
【0230】
トランジスタ102及び容量103は、上記実施の形態で例示した構成を用いることが
できる。
【0231】
このように、トランジスタ101を縦型のトランジスタとすることにより、トランジス
タ101をF2の面積の範囲内に納めることができる。同様に、トランジスタ102や容
量103もそれぞれF2の面積の範囲内に納めることができる。そのため高度に集積化し
た場合であっても、極めて占有面積が低減された記憶装置を実現できる。
【0232】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
【0233】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の一例として、上記実施の形態とは異
なる記憶装置の構成例について、図面を参照して説明する。なお以下では、上記実施の形
態と重複する部分については、説明を省略するか、簡略化して説明する。
【0234】
本発明の一態様の記憶装置は、第1のトランジスタ101と第2のトランジスタ102
と容量103を有する記憶装置の層(半導体装置の層ともいえる。以下では、メモリ層と
も呼ぶ)を、複数積層して設けることにより、高度に集積化することが可能となる。また
、当該メモリ層の下層に、駆動回路を設けることもできる。以下では、当該メモリ層を積
層する構成、及びメモリ層の下層に駆動回路を設ける構成の例について説明する。
【0235】
<構成例1>
本構成例で例示する記憶装置の上面図は
図3(B)が援用され、
図3(B)の切断線A
-A’、切断線B-B’で切断した断面概略図が
図13に相当する。
【0236】
記憶装置は、絶縁表面上に形成されている点、及びトランジスタ101aやトランジス
タ101bの構成が異なる点で、実施の形態2(例えば
図4(A)、(B))で例示した
記憶装置と相違している。
【0237】
トランジスタ101aは、絶縁表面上に形成された半導体層115と、半導体層115
の側面に接して設けられ、半導体層115とそれぞれ電気的に接続する第1の電極層11
2a及び第2の電極層113と、半導体層115の上面に接して設けられるゲート絶縁層
114と、ゲート絶縁層114の上面に接して設けられるゲート電極層111aと、を備
える。
【0238】
また、トランジスタ101bも同様に、半導体層115と第1の電極層112bと第2
の電極層113と、ゲート絶縁層114と、ゲート電極層111bと、を備える。
【0239】
また、素子分離層211が、半導体層115、第1の電極層112a、第1の電極層1
12b、及び第2の電極層113の側面に接して設けられている。
【0240】
半導体層115に用いる半導体としては、実施の形態3で例示した半導体を用いること
ができる。
【0241】
また好適には、半導体層115に用いる半導体としてSOI基板の作製方法が適用され
た、単結晶半導体を用いる。
【0242】
SOI基板の作製方法としては、鏡面研磨ウェハーに酸素イオンを注入した後、高温加
熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた
欠陥を消滅させて作る方法、水素イオン照射により形成された微小ボイドの熱処理による
成長を利用して半導体基板を劈開する方法や、絶縁表面上に結晶成長により単結晶半導体
層を形成する方法等を用いることができる。
【0243】
ゲート電極層111a上には、トランジスタ102aと容量103aが設けられている
。またゲート電極層111b上にはトランジスタ102bと容量103b(図示しない)
が設けられている。
【0244】
ここで、少なくともトランジスタ101a、トランジスタ102a、及び容量103a
を構成する複数の層をまとめてメモリ層250とする。好適には、メモリ層250は被形
成面に平行な方向に並列して設けられた複数の記憶装置を有する。また、メモリ層250
は、トランジスタや容量を電気的に接続する配線層を含む。
【0245】
このように、トランジスタ101a及びトランジスタ101bを、絶縁表面上に形成可
能な構成とすることにより、メモリ層250を複数積層する、またはメモリ層250の下
層に駆動回路を設けることが可能となる。
【0246】
図14には、従来のCMOSプロセスを用いて形成された駆動回路部260上に、メモ
リ層250aとメモリ層250bとが積層して設けられた記憶装置の構成を示している。
【0247】
メモリ層250aは、層間絶縁層251aを介して駆動回路部260上に設けられてい
る。また、メモリ層250bは、層間絶縁層251bを介してメモリ層250a上に設け
られている。
【0248】
層間絶縁層251a及び層間絶縁層251bは、その表面が平坦化処理されていること
が好ましい。また、駆動回路部260とメモリ層250a、またはメモリ層250aとメ
モリ層250bとの間の寄生容量を低減するため、層間絶縁層251a及び層間絶縁層2
51bに低誘電率の絶縁材料を用いることや、または十分に厚く形成することが好ましい
。
【0249】
メモリ層250aやメモリ層250bに含まれる各配線層は、図示しない領域において
駆動回路部260と接続電極層を介して電気的に接続されており、駆動回路部260によ
ってデータの書き込みや消去、読み出し等の動作が制御される。
【0250】
このように、複数のメモリ層が積層された構成とすることにより、記憶装置の占有面積
あたりのデータ量を増大させることができる。また駆動回路をメモリ層の下層に配置する
ことにより占有面積の増大を抑制することができる。
【0251】
以上が本構成例についての説明である。
【0252】
<変形例>
また、実施の形態3で例示した、トランジスタ101に縦型のトランジスタを適用した
場合においても、上記構成例と同様に複数のメモリ層を積層することや下層に駆動回路を
設けることが可能である。
【0253】
図15に、トランジスタ101として縦型のトランジスタを適用した場合の、記憶装置
の構成例を示す。
【0254】
上記構成例と同様に、メモリ層250aは、層間絶縁層251aを介して駆動回路部2
60上に設けられている。また、メモリ層250bは、層間絶縁層251bを介してメモ
リ層250a上に設けられている。
【0255】
ここで、メモリ層250a及びメモリ層250bには、実施の形態3で例示したように
極めて占有面積が低減された記憶装置が適用される。したがってこのようなメモリ層を複
数積層して設けることにより、単位面積あたりのデータ量を極めて大きいものとすること
ができる。
【0256】
以上が本変形例についての説明である。
【0257】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
【0258】
(実施の形態5)
上記実施の形態で例示した半導体層125に適用可能な酸化物半導体として、結晶性を
有する半導体膜を用いると、トランジスタの電気特性を向上できる。好ましくは、半導体
膜としてCAAC-OS(C Axis Aligned Crystalline O
xide Semiconductor)膜を用いることが好ましい。以下では、CAA
C-OS膜が適用された半導体装置について説明する。
【0259】
CAAC-OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC-OS
膜は、非晶質相に結晶部及び非晶質部を有する結晶-非晶質混相構造の酸化物半導体膜で
ある。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであること
が多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electro
n Microscope)による観察像では、CAAC-OS膜に含まれる非晶質部と
結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC-OS膜には粒界(グレ
インバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC-OS膜は、粒界に
起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0260】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC-OS膜の被形成面の法線ベク
トルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三
角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状また
は金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸
およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、
85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、-
5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0261】
なお、CAAC-OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CA
AC-OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被
形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、C
AAC-OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非
晶質化することもある。
【0262】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面の法線ベク
トルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC-OS膜の形状(被形
成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。
なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC-OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベク
トルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、ま
たは成膜後に熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0263】
CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変
動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0264】
なお、酸化物半導体膜を構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。
【0265】
また、CAAC-OSのように結晶部を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を
低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移
動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体
を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは
0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
【0266】
なお、Raとは、JIS B 0601:2001(ISO4287:1997)で定
義されている算術平均粗さを曲面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、
「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」で表現でき、以下の式(1)にて
定義される。
【0267】
【0268】
ここで、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標(x1,y1,f(x1,
y1)),(x1,y2,f(x1,y2)),(x2,y1,f(x2,y1)),(
x2,y2,f(x2,y2))の4点で表される四角形の領域とし、指定面をxy平面
に投影した長方形の面積をS0、基準面の高さ(指定面の平均の高さ)をZ0とする。R
aは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて
測定可能である。
【0269】
上記のようなCAAC-OS膜を得る方法としては、例えば、基板を加熱して(例えば
、基板温度を170℃として)酸化物半導体膜の成膜を行い、表面に概略垂直にc軸配向
させる方法がある。
【0270】
なお、酸化物半導体膜は、複数の酸化物半導体膜が積層された構造でもよく、第1の酸
化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜のいずれか一方に、CAAC-OSとは異なる結晶
性の酸化物半導体を適用してもよい。すなわち、CAAC-OSと、単結晶酸化物半導体
、多結晶酸化物半導体、または非晶質酸化物半導体を適宜組み合わせた構成としてもよい
。また、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜の少なくともどちらか一方に非晶
質酸化物半導体を適用すると、積層された酸化物半導体膜の内部応力や外部からの応力を
緩和し、トランジスタの特性ばらつきが低減され、また、トランジスタの信頼性をさらに
高めることが可能となる。一方で、非晶質酸化物半導体は水素などのドナーとなる不純物
を吸収しやすく、また、酸素欠損が生じやすいためn型化されやすい。このため、チャネ
ル側の酸化物半導体膜は、CAAC-OSなどの結晶性を有する酸化物半導体を適用する
ことが好ましい。
【0271】
また、酸化物半導体膜を3層以上の積層構造とし、複数層の結晶性を有する酸化物半導
体膜で非晶質酸化物半導体膜を挟む構造としてもよい。また、結晶性を有する酸化物半導
体膜と非晶質酸化物半導体膜を交互に積層する構造としてもよい。また、酸化物半導体膜
を複数の膜の積層構造とする場合の上記構成は、それぞれを適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0272】
以上のように、酸化物半導体膜としてCAAC-OS膜を用いることにより、熱処理(
脱水素化処理)において、CAAC-OS膜の上面から容易に水素を離脱させることがで
きる。また、当該熱処理において、酸素の離脱を低減して選択的に水素を多く離脱させる
ことができる。
【0273】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
【0274】
(実施の形態6)
本実施の形態では、半導体装置の一例として、上記実施の形態に開示した記憶装置を少
なくとも一部に用いたCPU(Central Processing Unit)につ
いて説明する。
【0275】
図16(A)は、CPUの具体的な構成を示すブロック図である。
図16(A)に示す
CPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic log
ic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコー
ダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レ
ジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198(Bu
s I/F)、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェース1189(
ROM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板
などを用いる。ROM1199及びROMインターフェース1189は、別チップに設け
てもよい。もちろん、
図16(A)に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例に
すぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
【0276】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクショ
ンデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、イン
タラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントロー
ラ1195に入力される。
【0277】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロ
ーラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種
制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御す
るための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログ
ラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマス
ク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のア
ドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう
。
【0278】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ11
92、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及び
レジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタ
イミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号
CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記
各種回路に供給する。
【0279】
図16(A)に示すCPUでは、レジスタ1196などに、メモリセルが設けられてい
る。メモリセルとして、上記実施の形態1から4で示した記憶装置を適用することができ
る。レジスタ1196のメモリセルには、論理値を反転させる論理素子と上記実施の形態
に開示した記憶装置の両方を備える。
【0280】
図16(A)に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU119
1からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジ
スタ1196が有するメモリセルにおいて、論理値を反転させる論理素子によるデータの
保持を行うか、記憶装置によるデータの保持を行うかを、選択する。論理値を反転させる
論理素子によるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへ
の、電源電圧の供給が行われる。記憶装置におけるデータの保持が選択されている場合、
記憶装置へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧
の供給を停止することができる。
【0281】
電源停止に関しては、
図16(B)または
図16(C)に示すように、メモリセル群と
、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子
を設けることにより行うことができる。以下に
図16(B)及び
図16(C)の回路の説
明を行う。
【0282】
図16(B)及び
図16(C)では、レジスタ1196は、メモリセルへの電源電位の
供給を制御するスイッチング素子を備える。
【0283】
図16(B)に示すレジスタ1196は、スイッチング素子1141と、メモリセル1
142を複数有するメモリセル群1143とを有している。具体的に、各メモリセル11
42には、論理値を反転させる論理素子と上記記憶装置の両方を備えている。メモリセル
群1143が有する各メモリセル1142には、スイッチング素子1141を介して、ハ
イレベルの電源電位VDDが供給されている。さらに、メモリセル群1143が有する各
メモリセル1142には、信号INの電位と、ローレベルの電源電位VSSの電位が与え
られている。
【0284】
図16(B)では、スイッチング素子1141として、トランジスタを用いており、該
トランジスタは、そのゲート電極に与えられる信号SigAによりスイッチングが制御さ
れる。
【0285】
なお、
図16(B)では、スイッチング素子1141がトランジスタを一つだけ有する
構成を示しているが、特に限定されず、トランジスタを複数有していてもよい。スイッチ
ング素子1141が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場
合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていても
よいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
【0286】
また、
図16(C)には、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142に、ス
イッチング素子1141を介して、ローレベルの電源電位VSSが供給されている、レジ
スタ1196の一例を示す。スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が
有する各メモリセル1142への、ローレベルの電源電位VSSの供給を制御することが
できる。
【0287】
メモリセル群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、
スイッチング素子を設け、一時的にCPUの動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場
合においてもデータを保持することが可能であり、消費電力の低減を行うことができる。
具体的には、例えば、パーソナルコンピュータのユーザーが、キーボードなどの入力装置
への情報の入力を停止している間でも、メモリセル群中のデータを失うことなくCPUの
動作を停止することができ、それにより消費電力を低減することができる。
【0288】
また、このようなCPUが適用された電子機器は、消費電力が低減されているため、例
えば太陽電池や非接触給電(ワイヤレス給電ともいう)によって得られる比較的小さな電
力でも十分に動作させることができる。例えば、電子機器に太陽電池モジュール又は非接
触給電モジュールと、このようなモジュールによって得られた電力を蓄電する2次電池(
リチウムイオン電池など)を備える構成とする。
【0289】
ここでは、CPUを例に挙げて説明したが、DSP(Digital Signal
Processor)、カスタムLSI、FPGA(Field Programmab
le Gate Array)等のLSIにも応用可能である。
【0290】
(実施の形態7)
本明細書に開示する記憶装置や半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に
適用することができる。電子機器としては、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デ
スクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(D
igital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は
動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッ
ドホンステレオ、ステレオ、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯無線機、携帯電話
、自動車電話、携帯型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍、電子翻訳機
、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の
高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、エアコンディショナーなどの空
調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、
電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、煙感知器、放射線測定器、透析装置等の医療機器
、などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレ
ータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム等の産業機器も挙げられる。また、石油を用い
たエンジンや、非水系二次電池からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、
電子機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)
、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車
(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を
含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜
水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船が
挙げられる。これらの電子機器の具体例を
図17及び
図18に示す。
【0291】
図17(A)は、携帯音楽プレーヤであり、本体3021には表示部3023と、耳に
装着するための固定部3022と、操作ボタン3024、外部接続ポート3025等が設
けられている。また、スピーカを有していても良い。上記実施の形態で例示した記憶装置
や半導体装置を、本体3021に内蔵されているメモリやCPUなどに適用することによ
り、より省電力化された携帯音楽プレイヤー(PDA)とすることができる。
【0292】
さらに、
図17(A)に示す携帯音楽プレーヤにアンテナやマイク機能や無線機能を持
たせ、携帯電話と連携させれば、乗用車などを運転しながらワイヤレスによるハンズフリ
ーでの会話も可能である。
【0293】
図17(B)はコンピュータであり、CPUを含む本体9201、筐体9202、表示
部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9
206等を含む。上記実施の形態に示した記憶装置やCPU等の半導体装置を利用すれば
、省電力化されたコンピュータとすることが可能となる。
【0294】
図18(A)において、テレビジョン装置8000は、筐体8001に表示部8002
が組み込まれており、表示部8002により映像を表示し、スピーカ部8003から音声
を出力することが可能である。上記実施の形態で例示した記憶装置または半導体装置を筐
体8001に組み込まれた表示部8002を動作するための駆動回路に用いることが可能
である。
【0295】
表示部8002は、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光
装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Devi
ce)、PDP(Plasma Display Panel)などの、半導体表示装置
を用いることができる。
【0296】
テレビジョン装置8000は、受信機やモデムなどを備えていてもよい。テレビジョン
装置8000は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデム
を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者か
ら受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行
うことも可能である。
【0297】
また、テレビジョン装置8000は、情報通信を行うためのCPUや、メモリを備えて
いてもよい。テレビジョン装置8000は、上記実施の形態で例示した記憶装置や、CP
Uなどの半導体装置を用いることが可能である。
【0298】
図18(A)において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショ
ナーは、上記実施の形態で例示したCPUなどの半導体装置を用いた電子機器の一例であ
る。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、CPU8203等を
有する。
図18(A)において、CPU8203が、室内機8200に設けられている場
合を例示しているが、CPU8203は室外機8204に設けられていてもよい。或いは
、室内機8200と室外機8204の両方に、CPU8203が設けられていてもよい。
上記実施の形態で例示したCPUを用いることにより、省電力に優れたエアコンディショ
ナーを実現できる。
【0299】
図18(A)において、電気冷凍冷蔵庫8300は、上記実施の形態で例示したCPU
などの半導体装置を備える電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は
、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、CPU8304等を有する
。
図18(A)では、CPU8304が、筐体8301の内部に設けられている。上記実
施の形態で例示したCPUなどの半導体装置を電気冷凍冷蔵庫8300のCPU8304
に用いることによって省電力化が図れる。
【0300】
図18(B)、及び
図18(C)において、電子機器の一例である電気自動車の例を示
す。電気自動車9700には、二次電池9701が搭載されている。二次電池9701の
電力は、制御回路9702により出力が調整されて、駆動装置9703に供給される。制
御回路9702は、図示しないROM、RAM、CPU等を有する処理装置9704によ
って制御される。上記実施の形態で例示した記憶装置やCPUなどの半導体装置を電気自
動車9700の処理装置9704に用いることによって省電力化が図れる。
【0301】
駆動装置9703は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、
を組み合わせて構成される。処理装置9704は、電気自動車9700の運転者の操作情
報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる
負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路9702に制御信号を出力する。制御回路
9702は、処理装置9704の制御信号により、二次電池9701から供給される電気
エネルギーを調整して駆動装置9703の出力を制御する。交流電動機を搭載している場
合は、図示していないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
【0302】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
【符号の説明】
【0303】
101 トランジスタ
101a トランジスタ
101b トランジスタ
102 トランジスタ
102a トランジスタ
102b トランジスタ
103 容量
103a 容量
103b 容量
110a 記憶素子
110b 記憶素子
111 ゲート電極層
111a ゲート電極層
111b ゲート電極層
112 第1の電極層
112a 第1の電極層
112b 第1の電極層
113 第2の電極層
114 ゲート絶縁層
115 半導体層
121 ゲート電極層
122 電極層
124 ゲート絶縁層
125 半導体層
132 電極層
134 誘電層
201 配線層
202 配線層
203 配線層
203a 配線層
203b 配線層
204 配線層
211 素子分離層
212a 絶縁層
212b 絶縁層
212c 絶縁層
212d 絶縁層
212e 絶縁層
212f 絶縁層
212g 絶縁層
212h 絶縁層
212i 絶縁層
213a 接続電極層
213b 接続電極層
213c 接続電極層
250 メモリ層
250a メモリ層
250b メモリ層
251a 層間絶縁層
251b 層間絶縁層
260 駆動回路部
1141 スイッチング素子
1142 メモリセル
1143 メモリセル群
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
3021 本体
3022 固定部
3023 表示部
3024 操作ボタン
3025 外部接続ポート
8000 テレビジョン装置
8001 筐体
8002 表示部
8003 スピーカ部
8200 室内機
8201 筐体
8202 送風口
8203 CPU
8204 室外機
8300 電気冷凍冷蔵庫
8301 筐体
8302 冷蔵室用扉
8303 冷凍室用扉
8304 CPU
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9700 電気自動車
9701 二次電池
9702 制御回路
9703 駆動装置
9704 処理装置