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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/46 20060101AFI20231204BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20231204BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20231204BHJP
   H05B 3/06 20060101ALI20231204BHJP
   H05B 3/40 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
H05B3/46
F01N3/24 L
H05B3/10 A
H05B3/06 A
H05B3/40 A
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022081372
(22)【出願日】2022-05-18
(62)【分割の表示】P 2019522958の分割
【原出願日】2017-03-02
(65)【公開番号】P2022119845
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】62/415,042
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴァリー、マーク、デー
(72)【発明者】
【氏名】オーセ、ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】カルバートソン、デイビッド・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、リチャード・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ジャンボール、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、ジェィコブ
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-500052(JP,A)
【文献】特開平08-131848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/46
F01N 3/24
H05B 3/10
H05B 3/06
H05B 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管を有する流体流システム用の加熱装置であって、前記加熱装置は、
前記導管内の少なくとも1つの加熱素子であって、前記少なくとも1つの加熱素子は、抵抗加熱素子、外側シース、及び絶縁材料を含み、前記抵抗加熱素子は前記導管を通る径方向に配置された経路に沿って延び、前記外側シースは前記経路に沿って前記抵抗加熱素子を囲み、前記絶縁材料は前記抵抗加熱素子と前記外側シースの間にあり、前記抵抗加熱素子を前記外側シースから絶縁する、少なくとも1つの加熱素子と、
前記導管の内部に配置された支持部材であって、前記支持部材は複数の部分を含み、各部分は前記経路に沿った蛇行形状を画定する支持部材と、
を具備し、
前記各部分の蛇行形状は、各部分の前記蛇行形状と前記外側シースの長さに沿った離散的な位置との間の接触を介して前記少なくとも1つの加熱素子の移動を制限するように構成される、加熱装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの加熱素子が静止しているとき、各部分の前記蛇行形状が、前記外側シースの長さに沿った前記離散的な位置で前記外側シースにゆるく接触する請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
各部の蛇行形状は、前記少なくとも1つの加熱素子が静止しているとき前記外側シースと接触しないが、前記外側シースとの接触を介して前記少なくとも1つの加熱素子の振動を減衰するように配置されている、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記経路は、渦巻形状である、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記加熱素子は、前記複数の部分のうち、前記経路の異なる位置に配置される異なる部分に挟まれる、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記複数の部分は、複数のリッジ及び溝を画定する波形である請求項1に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記部分はさらに複数の窪みを画定し、前記加熱素子は前記複数の窪みを通って延びる、請求項6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記複数の窪みは、前記リッジ及び溝に配置され、前記外側シースの長さに沿った離散的な位置が前記窪みに受けられる、請求項7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記複数の部分を囲む外周壁をさらに含む、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記外周壁は、少なくとも1つの環状溝を画定する、請求項9に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記外周壁は、前記複数の部分に固定される、請求項9に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記離散的な位置は、各部分の長さに沿って間隔をあけて配置され、その間隔は、前記加熱素子の外径の10倍未満である、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項13】
前記離散的な位置の隣接する2つの間の前記加熱素子の部分の固有振動数は、400Hzより大きい、請求項12に記載の加熱装置。
【請求項14】
前記複数の部分のうちの第1の部分は、前記複数の部分のうちの前記第1の部分よりも所定形状に沿った前記複数の部分の第2の部分を支持するように配置される、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項15】
前記複数の部分の半径方向最外側の部分は、前記蛇行形状のリッジにおいて前記導管の内面に接触する、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項16】
導管を有する流体流システム用の加熱装置であって、前記加熱装置は、
前記導管内の少なくとも1つの加熱素子であって、前記少なくとも1つの加熱素子は、抵抗加熱素子、外側シース、及び絶縁材料を含み、前記抵抗加熱素子は前記導管を通る経路に沿って延び、前記外側シースは前記経路に沿って前記抵抗加熱素子を囲み、前記絶縁材料は前記抵抗加熱素子と前記外側シースの間にあり、前記抵抗加熱素子を前記外側シースから絶縁する、少なくとも1つの加熱素子と、
前記導管の内部に配置された支持部材であって、前記支持部材は複数の部分を含み、各部分は前記経路に沿った蛇行形状を画定する支持部材と、
を具備し、
前記各部分の蛇行形状は、各部分の前記蛇行形状と前記外側シースの長さに沿った離散的な位置との間の接触を介して前記少なくとも1つの加熱素子の移動を制限するように構成され、
前記少なくとも1つの加熱素子が静止しているとき、各部分の前記蛇行形状が、前記外側シースの長さに沿った前記離散的な位置で前記外側シースにゆるく接触する、
加熱装置。
【請求項17】
導管を有する流体流システム用の加熱装置であって、前記加熱装置は、
前記導管内の少なくとも1つの加熱素子であって、前記少なくとも1つの加熱素子は、抵抗加熱素子、外側シース、及び絶縁材料を含み、前記抵抗加熱素子は前記導管を通る経路に沿って延び、前記外側シースは前記経路に沿って前記抵抗加熱素子を囲み、前記絶縁材料は前記抵抗加熱素子と前記外側シースの間にあり、前記抵抗加熱素子を前記外側シースから絶縁する、少なくとも1つの加熱素子と、
前記導管の内部に配置された支持部材であって、前記支持部材は複数の部分を含み、各部分は前記経路に沿った蛇行形状を画定する支持部材と、
を具備し、
各部の蛇行形状は、前記少なくとも1つの加熱素子が静止しているとき前記外側シースと接触しないが、前記外側シースとの接触を介して前記少なくとも1つの加熱素子の振動を減衰するように配置されている、
加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内燃機関の排気装置に係わり、特に、排気装置に設置される排気加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分の記載は、本開示に関連する背景情報を単に提供するものであり、先行技術を構成しない場合がある。
【0003】
加熱システムは、排気システムにおいて使用され、これらは内燃機関に連結され、大気中への様々なガス及び他の汚染物質の望ましくない放出の低減を助けている。これらの排気システムは、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)と、触媒コンバータと、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)及び排ガス中に含まれる未燃焼炭化水素(HC)を捕獲する選択的触媒還元剤(SCR)と、ディーゼル酸化触媒(DOC)と、リーンNOxトラップ(LNT)と、アンモニアスリップ触媒と、又は改質器のような後処理装置を通常含んでいる。ヒータは、排気温度を上昇させ、触媒を活性化するため、及び/又は粒子状物質又は排気系内で捕獲された未燃炭化水素を燃焼させるために、定期的に又は所定の時間に作動することができる。
【0004】
電気ヒータは、一般に、排気管又は排気システムの容器などの構成要素に設置され、振動、機械的衝撃、温度サイクル、高熱などの厳しい環境条件に晒される。
【発明の概要】
【0005】
一形態において、容器本体を有する排気ガスシステム用の加熱装置が提供される。加熱装置は、少なくとも1つの加熱素子と、容器本体内で少なくとも1つの加熱素子の移動を制限するため、容器本体の内側に配置された支持部材を含む。支持部材は、曲がりくねった蛇行形状を画定し、少なくとも1つの加熱素子の向かい合った側面に配置され、したがって、容器本体を通って流れる排気ガスへ少なくとも1つの加熱素子からの熱伝達を増大させるように配置される。
【0006】
別の形態において、排気ガスシステム用の加熱装置が提供される。加熱装置は、管状形状を画定し、中空空間を有する外周壁と、中空空間内に配置された少なくとも1つの加熱素子と、少なくとも1つの加熱素子から外周壁の中空空間を通って流れる排気ガスに熱を伝達するため、少なくとも1つの加熱素子に取り付けられた複数のフィンとを含む。
【0007】
さらに別の形態において、排気ガスシステム用の加熱装置が提供される。加熱装置は、中空空間を画定する管状の外周壁と、中空空間内に配置された加熱素子と、ストリップ部材とを含む。加熱素子は、外周壁の半径方向に沿って配列された複数の部分を含む。ストリップ部材は、加熱素子の隣接する2つの部分の間、及び加熱素子の最外部の部分と外周壁との間に配置された複数の部分を含む。ストリップ部材は、発熱体を外周壁に固定し、加熱素子から中空空間を通って流れる排気ガスへの熱伝達を増大させる。
【0008】
さらに別の形態において、少なくとも1つの加熱素子と、流体導管内に配置され、流体導管に対して少なくとも1つの加熱素子の動きを制限するように構成された支持部材とを備える、流体導管を有する流体流システム用の加熱装置が提供される。支持部材は、蛇行形状を画定し、少なくとも1つの加熱素子の長さの大部分に沿って少なくとも1つの加熱素子の向かい合った側面に配置され、支持部材は少なくとも1つの加熱素子から流体導管を通して流れる流体への熱伝達を増大させる。
【0009】
さらなる適用分野は、本明細書に提供される説明から明らかになるであろう。説明及び特定の実施例は例示の目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示をよく理解することができるように、添付の図面を参照しながら、例として与えられるその様々な形態がここで説明される。
【0011】
図1】本開示の教示に従って構成された加熱装置の斜視図。
【0012】
図2図1の加熱装置の他の斜視図であり、ここで、加熱装置は流体流路内にあるように示されている。
【0013】
図3図2の加熱素子の断面図である。
【0014】
図4】本開示の教示に従って構成された管状加熱素子の断面図。
【0015】
図5】本開示の教示に従って構成された別の加熱装置の概略斜視図。
【0016】
図6図5の加熱装置の加熱素子の概略断面図。
【0017】
図7】本開示の教示に従って構成されたさらに別の加熱装置の斜視図。
【0018】
図8】本開示の教示に従って構成されたさらに別の加熱装置の斜視図。
【0019】
図9図8の加熱装置の波形ストリップの斜視図であり、ここで、波形ストリップは、元の曲がっていない状態で示されている。
【0020】
図10】図の加熱装置の外周壁の斜視図。
【0021】
図11図10の外周壁の部分の断面の斜視断面図である。
【0022】
図12】本開示の教示に従って構成された加熱装置のさらに別の形態の斜視図。
【0023】
本明細書に記載されている図面は例示目的のみのためであり、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、用途、又は使用を限定することを意図するものではない。図面全体を通して、対応する参照番号は、同様の又は対応する部分及び特徴を示すことを理解されたい。
【0025】
図1を参照するに、一形態の加熱装置1は、一般に、ジャンクションボックス5と、有孔ボックスアセンブリ10と、1つ以上の分離可能なコンテナセクション構成要素15を含むコンテナ本体14と、ヒータフランジ構成要素20とを含む。排気システム連結部品25は、加熱装置1を排気システム(図示せず)に連結するために、容器本体14の両端に設けることができる。排気ガスの流れは、排気システムから加熱装置1内に形成された排気ガス流路29を通って加熱装置1内を通過する。排気ガス流路29は、容器本体14とヒータフランジ構成要素20とによって一緒に画定され、容器本体14の排気の流れ方向Zに沿って延びている。ヒータフランジ構成要素20は、概して一形態のプレート構成を有し、容器本体14の対応するスロット(図示せず)に挿入される複数のタブ22を含むことができる。加熱装置1のモジュール設計は、加熱装置1内の様々な構成要素の寸法が同じであることを可能にし、各構成要素の長さのみが用途の要件に適合するように変えられる。ジャンクションボックスの蓋7は、加熱装置1に組み込まれてもよい。
【0026】
あるいは、容器本体14及びヒータフランジ構成要素20は、容器本体14が排気管によって画定される排気ガス流路内に配置されるように、排気管(図示せず)の内側に取り付けるように構成されてもよい。
【0027】
本開示の他の形態において、代替のヒータ構成は、以下により詳細に説明されるもののように、ジャンクションボックス5及び有孔ボックスアセンブリ10なしで提供することができる。したがって、ジャンクションボックス5及び有孔ボックスアセンブリ10は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0028】
図2を参照するに、加熱装置1は、1つ以上の加熱素子12と支持部材16とを含む。加熱素子12は、排気流の方向Zを横切る方向に配置されてもよい。例えば、加熱素子12は、排気流の方向Zに対して直角な垂直方向Yに沿って延びる複数のカートリッジヒータであってもよい。あるいは、加熱素子12は排気流の方向Zに対してある角度を成すように配置されてもよい。図2において、接続箱5及びジャンクションボックス蓋7は、加熱素子12の近位端部30及び電力ピン40を示すために取り外されている。
【0029】
図3及び図4を参照するに、加熱素子12は、それぞれが金属ワイヤの形態の抵抗加熱素子22と、その周りに抵抗加熱素子22が巻かれるコア28と、コア28を囲む外側シース60と、絶縁材料64を含むカートリッジヒータであり得る。コア28は、その中に一対の電源ピン40が挿入される2つの長手方向の孔34、36を画定するセラミックコアであってもよい。抵抗発熱体22の第1端部50は、電源ピン40の一方に電気的に接続され、抵抗発熱体22の他端部52は、電源ピン40の他方に電気的に接続される。外側シース60は、開放端と閉塞端、又は2つの開放端を有していてもよく、それにより、外側シース60と抵抗加熱素子22との間に環状空間が形成される。絶縁材料64は、この環状空間を充填し、抵抗加熱素子22と外側シース60との間を電気的に絶縁することができる任意の材料であり得る。一例として、絶縁材料64は、酸化マグネシウム(MgO)などであり、抵抗加熱素子22と外側シース60との間の環状空間を満たすため、シース60の開口端部に注入される。
【0030】
シース60の開口端部は、例えば注封材料、及び/又は個別のシール部材62を使用することによってシールすることができる。次いで、アセンブリ全体は、スエージ加工、又は他の適切なプロセスによって小型化又は圧縮される、シール部材62の直径を小さくし、それによりMgOを小型化又は圧縮するため、及び良好な電気的接触及び熱伝達を確保するために、電源ピン40の周りでコア28を潰すように、セラミックコア28を少なくとも部分的に粉砕する。圧縮されたMgOは、抵抗発熱体22と外側シース60との間に比較的良好な熱伝達経路を提供し、外側シース60を抵抗発熱体22から電気的に絶縁する。加熱素子12は、シール部材62が配置され、電源ピン40が外向きに突出する近位端30、及び近位端30と反対の遠位端32を定義する。
【0031】
カートリッジヒータの様々な構造及びさらなる構造的及び電気的詳細は、本願と共通に譲渡されている米国特許第2,831,951号及び第3,970,822号にさらに詳細に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。したがって、本明細書に示された形態は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0032】
図2に戻り参照するに、加熱素子12は、遠位端32が排気ガス流路29内に延び、近位端30及び電力ピン40が有孔ボックス組立体10及びジャンクションボックス7を通って延在するように配置される。支持部材16は、複数の支持シート18を含み、それらは、互いに平行であり、排気流の方向Z及び垂直方向Yに直角な水平方向Xに沿って延び、容器本体14内で複数の加熱素子12を支持する。複数の支持シート18は、3インチ未満の間隔で、垂直方向Yに沿って離間してもよい。任意選択で、支持部材16は、支持シート18を接続するために垂直方向Yに延びる少なくとも1つのクロス部材19をさらに含んでいる。支持シート18及びクロス部材19は、一体として、一個の部品として、又は別々に形成され、後で互いに接続されてもよい。あるいは、支持部材16は、加熱素子12によって発生された熱を排気ガス流路29に流れる排気ガスに分配しながら、排気ガス流路29内で加熱素子12を支持するため、1つの支持シート18のみを含んでいてもよい。支持部材16は、加熱素子12から周囲の排気ガスへの熱伝達を改善するため、導電性、対流性及び放射性の熱伝達の組み合わせを提供してもよく、それによってヒータの温度を上昇させることなく、支持部材16なしの加熱素子によって得られるよりも高い出力(パワー)密度を得る。
【0033】
電力密度は、出力を表面積で割ることによって決定される。カートリッジヒータ、ケーブルヒータ、又は管状ヒータのタイプの加熱素子の場合、表面積はシース表面積又は抵抗ワイヤ表面積であり得る。過熱を回避するためのヒータの最大電力密度は、排気ガスの速度によっても影響され、これは、次に、エンジン速度及びエンジン負荷によって影響される。排気ガスの速度が速いと、単位時間当たりに発熱体からより多くの熱が排気ガスによって運び去られる可能性がある。したがって、発熱体を過熱したり損傷させたりすることなく、排気ガスの速度が比較的高いとき、発熱体はより高い電力密度を生成することができる。加熱素子のサイズ及び重量を低減するため、増大した電力密度を有する加熱素子を提供することが望ましいが、エンジンがより低いエンジン速度及びより低いエンジン負荷で運転されているとき、加熱素子の電力密度は制限され得る。より低いエンジン速度及びより低いエンジン負荷のために排気ガス流の速度が比較的遅い場合、単位時間当たりに排気ガスによって運ばれる熱はより少ない。加熱素子はより早く加熱されるので、過熱を回避するためにより低いワット密度が使用される。カートリッジ型、ケーブル型、又は管状型の発熱体の耐久性は、部分的には、抵抗発熱体及び外側シースの温度に依存する。したがって、加熱素子の耐久性を損なうことなく排気ガスを適切に加熱するために、加熱素子はエンジン速度及びエンジントルクに基づいて構成されるべきである。
【0034】
例えば、ローアイドル状態で運転されている7リットルのエンジンでは、マスフローは約0.04kg/sであり、排気温度は約150℃である。これらの排気条件における典型的な単一素子ヒータは、ヒータへの損傷を回避するために、シースについては約50ワット/in(平方インチ)、抵抗加熱ワイヤについては約120ワット/inの最大電力密度を許容できる。
【0035】
対照的に、同様のエンジン動作条件下で、本開示による加熱素子及び支持部材を含む加熱装置は、同じヒータ温度と耐久性において、シースについて約84ワット/in、抵抗配線について約230ワット/inの最大電力密度を可能にし得る。したがって、本開示の加熱装置は、典型的な加熱素子よりも高い電力密度を可能にする。
【0036】
したがって、本開示の加熱装置の支持部材は、断熱された加熱素子の動きを堅くするか又は制限するだけでなく、加熱素子から周囲の排気ガスへの熱伝達を改善する。そのため、加熱素子の目標加熱温度を高くすることなく、加熱装置の電力密度を高めることができる。
【0037】
あるいは、加熱素子12は、例えば、穴あきボックスアセンブリ10及び/又は加熱素子12の近位端32に設けられた他の取り付け構造によって、排気ガス流路29の内側にしっかりと配置されてもよい。この場合、支持部材による加熱素子12の動きの制限は必要ないかもしれない。したがって、加熱装置1は、加熱素子12から周囲の排気ガスへの熱伝達を改善するために伝導性、対流性及び放射性の熱伝達を提供することのみを目的として加熱素子12に取り付けられた1つ以上のフィンを含んでもよい。このフィンは、図2に示すような支持シート18と構造的に類似する構成とすることができるが、加熱素子12を支持するためには使用されない。
【0038】
図5を参照するに、加熱装置70の他の形態は、加熱素子72と支持部材74とを含むことができる。加熱素子72はケーブルヒータであり、渦巻形状、螺旋形状、波形形状、コイル形状、蛇行形状、ジグザグ形状、又はそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された形状に曲げられる。支持部材74は、波形ストリップ74と、波形ストリップ74を囲む周辺壁76とを含むことができる。図5に示す例の場合、波形ストリップ74は、加熱素子72が波形ストリップ74の部分の間に挟まれるように、加熱素子72の渦巻形状に従った渦巻形状に曲げられる。換言すると、加熱素子72は、筒状で中空空間を画定する周辺壁76の径方向に沿って配列された複数の部分を含んでもよい。波形ストリップ74は、加熱素子72の隣接する2つのセクション間、及び加熱素子72の最外部セクションと周辺壁76との間に配置された複数のセクションを含んでいる。オプションとして、波形ストリップ74は、幾つかのオーバーラップAを持たせるため、後ろに巻かれる。本開示の範囲内に留まり、曲がりくねった湾曲部(図示せず)などのような、渦巻形状以外の形状も採用することができる。
【0039】
波形ストリップ74は、交互のリッジ(隆起部)80及び溝82を含んでいる。波形ストリップ74は、加熱素子72の剛性を高めるために、複数の接点で加熱素子72に蝋付け又は溶接されてもよい。複数の接点は、波形ストリップ74の長さに沿って一定の間隔で空けられる。この間隔は、加熱素子72の外径の10倍未満である。隣接する2つの接点間の加熱素子の部分に対する固有振動数は400Hzより大きくてもよい。波形ストリップ74と加熱素子72との接点が少ないと熱伝達特性が制限されることがあるが、加熱素子72を波形ストリップ74に固定することが比較的容易である。これに対して、波形ストリップ74と加熱器72がより多くの接点を有する場合、熱伝達特性は最適化されるが、加熱素子72を波形ストリップ74に固定することが比較的困難である。接触装置の数は、加熱装置に亘る温度変化が200℃未満となるように選択される。
【0040】
あるいは、加熱素子72は、波形ストリップ74の部分間にゆるく配置されてもよく、又は加熱素子72と接触すらしなくてもよい。いずれの場合でも、波形ストリップ74は補強材及び振動減衰材の両方として作用する。外壁76は、容器本体14の一部又は容器本体14とは別の構成要素であってもよく、排気ガス流路内に完全に配置されてもよい。
【0041】
図2の支持シート18のように、波形ストリップ74は、伝導性、対流性及び放射性の熱伝達の組み合わせを提供し、それは加熱素子72から周囲の排気ガスへのメール熱伝達を改善し、それによって、典型的な加熱素子により提供されるよりも、加熱素子の温度を上昇させることなくより高い電力密度を達成する。
【0042】
図6を参照するに、加熱素子72は、抵抗加熱素子84と、外側シース86と、抵抗加熱素子84と外側シース86との間の空間を充填する絶縁材料88とを含むケーブルヒータとすることができる。要素72は、カートリッジヒータ、管状ヒータ、又は所望の形状に曲げることができる任意のヒータであり得ることを理解されたい。
【0043】
図7を参照すると、別の形態の加熱装置90が、加熱素子92と支持部材94とを含むように示されている。支持部材94は、螺旋状に巻かれた波形シート96と、波形シート96を囲む外周壁98とを含んでいる。波形シート96は、加熱素子92が波形シート94の部分の間に挟まれるように、加熱素子92の螺旋形状に従って螺旋形状に曲げられてもよい。この形態では、ジャンクションボックス及び有孔ボックスアッセンブリの使用が排除されており、したがってより単純でより低コストの組み立てが提供される。
【0044】
図8を参照するに、加熱装置の他の形態は、支持部材の構成以外は図5と同様である。より具体的には、加熱装置100は、加熱素子102と支持部材104とを含み、これらは接合のため溶接又は蝋付けされる。支持部材104は、波形ストリップ106と外周壁108とを含んでいる。図5の波形ストリップ106と同様に、波形ストリップ106は、加熱素子102の螺旋形状に一致する螺旋形状に曲げられ、複数のリッジ110及び溝112を含んでいる。波形ストリップ106の最も外側の部分は、複数のリッジ110において、外周壁108の内面に溶接される。外周壁108は、容器本体14の一部であって排気ガス流路29を確定してもよく、又は容器本体14とは別の構成要素であってもよい。外周壁108は、容器本体14の内側にゆるく配置されるか、容器本体14に固定されてもよい。
【0045】
図9を参照するに、波形ストリップ106は元の曲がっていない状態にあるように示されている。波形ストリップ106は、加熱素子102と波形ストリップ106との係合を容易とするため、リッジ110及び溝112に複数の窪み114をさらに画定する。複数の窪み114に対応する加熱素子102の複数の部分は、加熱素子102と波形ストリップ106との係合を改善するため窪み114に挿入されてもよい。一列の窪み114が示されているが、本開示の範囲内に留まりながら、複数列の窪みを使用することができることを理解されたい。
【0046】
図10及び図11を参照すると、外周壁108は、波形ストリップ106を外周壁108に取り付けるための取り付け機構を画定し得る。例えば、取り付け機構は、波形ストリップ106と外周壁108との間の係合を容易にするための壁108の内面に形成された複数の環状溝118であり得る。取り付け機構は、図10及び図11に示される環状溝118に限定されず、また、波形ストリップ106を外周壁108に係合させて固定することができる任意の構造とすることができることを理解されたい。
【0047】
図12を参照するに、本開示の教示に従って構成された加熱装置120の別の形態は構造的に図5のそれと同様である。ただし、加熱装置120は、より大きなサイズの加熱装置によって発生する熱の量と同じ量、又はそれに近い量を発生させながら、排気ガスを加熱するための後処理容器又は部品の任意の部分に適合するため、サイズがより小さい。
【0048】
具体的には、加熱装置120は、加熱素子122と、支持部材124とを含む。支持部材124は、単一構成要素又は部品のアセンブリとすることができ、波形ストリップ126と、波形ストリップ126を囲む周壁128とを含んでいる。支持部材124は、蛇行形状を画定し、一形態では、図示のように加熱素子122の長さの大部分に沿って加熱素子122の向かい合った側面に配置される。本明細書で使用されるとき、用語「蛇行」は、加熱素子122から流体の流れ、例えば排気の流れへの熱伝達を高めるため、規則的又は不規則的に複数回方向を変える形状を意味すると解釈されるべきである。
【0049】
加熱素子122は、螺旋形状、波形状、コイル形状、ジグザグ形状、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される形状に形成されてもよい。小型の加熱装置120が発生される総熱量を増加させるため、加熱素子122はより多くの曲がりが形成され、よりコンパクトである。波形ストリップ126はより多くの曲がりを形成することができ、蛇行形状を形成するために交互のリッジ130及び溝132を含んでいる。波形ストリップ126は、交互のリッジ130及び溝132において加熱素子122に蝋付け、溶接、又は何らかの手段によって固定されてもよい。加熱素子122の隣接する部分間に画定された減少された空間のため、波形ストリップ126は、隣接するリッジ130及び溝132の間に波状表面134を形成するように構成されてもよく、及び/又は加熱素子122の隣接する部分とより広い接触領域を有するように形成してもよい。この結果、波形ストリップ126の総表面領域は、加熱素子122から周囲の排気ガスへの熱伝達を増加させるため、にさらに増加させることができる。
【0050】
オプションで、加熱装置120は、1つ又は複数のスペーサ136及び端部片138をさらに含むことができる。スペーサ136は、波形ストリップ126を周辺壁128の内側によりしっかりと取り付けるため、周辺壁128と波形ストリップ126の最外部との間に存在する隙間を埋めるために使われてもよい。端部部品138は、外側のほぼ中心に配置された波形ストリップ126の端部が末端部品138に固定されるように、加熱素子122の端部に配置される。
【0051】
本開示によれば、加熱装置は、より小さい面積でより多くの電力を供給し、それによってヒータの耐久性を犠牲にすることなく、加熱装置のサイズ及び重量を低減するという利点を有する。加熱装置は、エンジンの冷間始動時及び過渡状態時に比較的速い昇温を提供することができる。
【0052】
さらに、本明細書に記載の支持体は、「ビューファクタ(view factor)」、又は互いに熱を放射する可能性がある部品間の視線として知られるものを遮断するために配置することができる。支持体は、加熱素子間又は同じ加熱素子の一部間の直接の視線を遮断して、より冷たい支持体への視線を作り出すように構成することができる。そのような構成は、本開示の範囲内に含まれると解釈されるべきである。
【0053】
加熱装置はカートリッジヒータ、管状ヒータ又はケーブルヒータを含むように記載されているが、本開示の教示は本開示の範囲から逸脱することなく他の種類のヒータに適用されてもよいことを理解されたい。
【0054】
本開示は、例として説明及び図示された実施形態に限定されないことに留意されたい。多種多様な変形が記載されており、そしてさらなる変形は当業者の知識の一部である。例えば、排気加熱の適用は単なる例示であり、したがって流体導管内の流体の流れを伴う任意の加熱の適用は本開示の範囲内であると解釈されるべきである。本開示及び本特許の保護の範囲を逸脱することなく、これら及びさらなる変形、並びに技術的等価物による任意の置換を説明及び図面に追加されてもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 導管を有する流体流システム用の加熱装置であって、
少なくとも1つの加熱素子と、
前記導管の内側に配置され、前記導管内の前記少なくとも1つの加熱素子の動きを制限するように構成され、蛇行形状を画定し、前記少なくとも1つの加熱素子の長さの大部分に沿って前記少なくとも1つの加熱素子の向かい合った側面に配置される支持部材と、
を具備し
前記支持部材は、前記導管を通る流体流へ前記少なくとも1つの加熱素子からの熱伝達を増大させる加熱装置。
[2] 前記支持部材は、互いに平行でかつ前記流体流に平行な複数のシートを含むアセンブリである[1]記載の加熱装置。
[3] 前記少なくとも1つの加熱素子は、前記流体流の方向に対して直角の方向に沿って延びる[2]記載の加熱装置。
[4] 前記少なくとも1つの加熱素子は、螺旋形状、波形形状、コイル形状、ジグザグ形状、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される形状を有する[1]記載の加熱装置。
[5] 前記支持部材は、前記加熱素子の螺旋形状に従った螺旋形状に形成されたストリップを含む[4]記載の加熱装置。
[6前記加熱素子は、前記ストリップの部分の間に挟まれている[5]記載の加熱装置。
[7] 前記ストリップは、複数のリッジ及び溝を画定する波形ストリップである[5]記載の加熱装置。
[8] 前記波形ストリップは、複数の窪みをさらに画定する[7]記載の加熱装置。
[9] 前記窪みは、前記波形ストリップの前記リッジ及び溝に配置されている[8]記載の加熱装置。
[10] 前記支持部材は、前記ストリップを囲む外周壁をさらに含む[5]記載の加熱装置。
[11] 前記外周壁は、少なくとも1つの環状溝を画定する[10]記載の加熱装置。
[12] 前記導管は、排気ガス流路を画定する容器本体であり、前記外周壁は、前記容器本体の一部である[10]記載の加熱装置。
[13] 前記導管が排気ガス流路を画定する容器本体であり、前記外周壁は、前記容器本体とは別の構成要素であり、前記容器本体の内側に配置されている[10]記載の加熱装置。
[14] 前記外周壁は前記ストリップに固定されている[10]記載の加熱装置。
[15] 前記ストリップは、複数の接点で前記加熱素子に固定され、前記複数の接点は、前記ストリップの長さに沿って一定の間隔で離間され、前記間隔は、前記加熱素子の外径の10倍未満である[5]記載の加熱装置。
[16] 隣接する2つの前記接点間の前記加熱素子の部分に対する固有振動数は400Hzより大きい[15]記載の加熱装置。
[17] 前記加熱素子が抵抗線と前記抵抗線を囲むシースとを有し、前記加熱素子は、前記シースに対して約84ワット/平方インチを超える電力密度を有する[1]記載の加熱装置。
[18] 前記支持部材は、3.0インチ以下の間隔で配置された支持体を含む[1]記載の加熱装置。
[19] 前記接点の数は、前記加熱装置に亘る温度変化が200℃未満になるように選択される[1]記載の加熱装置。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12