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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】操作検知装置および操作盤
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/50 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
B66B1/50 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022137875
(22)【出願日】2022-08-31
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野原 隆正
(72)【発明者】
【氏名】荒瀬 航
(72)【発明者】
【氏名】西田 岳人
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-072313(JP,A)
【文献】特開2013-124166(JP,A)
【文献】実開昭59-076052(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場又は乗りかご内に設置される操作盤に設けられた操作検知装置であって、
前記エレベータの操作を表示する操作表示部と、
前記操作表示部に対応して設けられ、照射光に対する反射光を検出するセンサ部と、
前記センサ部を覆う保護板と、
を備え、
前記保護板の表面は、前記操作盤の表面より内部側の凹んだ位置に設けられて凹部が形成され、前記凹部は指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている、
操作検知装置。
【請求項2】
前記保護板は、周端部または周端部近傍で立設する立設部を有し、前記立設部で囲まれた表面が前記操作盤の表面より内部側の凹んだ位置に設けられる、
請求項1に記載の操作検知装置。
【請求項3】
前記立設部の頂部が前記操作盤の表面と同じ高さとなるように前記保護板が設けられる、
請求項2に記載の操作検知装置。
【請求項4】
前記操作盤は、表面に形成される凹部を有し、
前記保護板は、前記凹部に設けられる、
請求項1に記載の操作検知装置。
【請求項5】
エレベータの乗場又は乗りかご内に設置される操作盤に設けられた操作検知装置であって、
前記エレベータの操作を表示する操作表示部と、
前記操作表示部に対応して設けられ、照射光に対する反射光を検出するセンサ部と、
前記センサ部を覆う保護板と、
を備え、
前記保護板は、周端部または周端部近傍で立設する立設部を有し、
前記立設部は、前記操作盤の表面より突出し、前記立設部と前記立設部で囲まれる領域とで凹部が形成され、前記凹部は指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている、
操作検知装置。
【請求項6】
前記保護板の表面の対向する外縁の少なくとも一対の間隔は、12mm以下である、
請求項1~5のいずれか一つに記載の操作検知装置。
【請求項7】
前記保護板の表面の対向する外縁の少なくとも一対の間隔は、8mm以下である、
請求項6に記載の操作検知装置。
【請求項8】
前記センサ部の照射光の光軸が前記保護板の反射面に対して非垂直であり、前記センサ部は、前記保護板に対して非垂直となるように設けられる、請求項1に記載の操作検知装置。
【請求項9】
前記センサ部を支持する取付部と、
前記操作盤に取り付けられ、前記取付部を支持するブラケットと、をさらに備え、
前記ブラケットの前記操作盤に取り付けられる面と、前記ブラケットの前記取付部を支持する面がなす角度が、非直角であり、
前記取付部の前記センサ部を支持する面と、前記ブラケットの前記取付部を支持する面のなす角度が直角である、
請求項8に記載の操作検知装置。
【請求項10】
前記センサ部を支持する取付部と、
前記操作盤に取り付けられ、前記取付部を支持するブラケットと、をさらに備え、
前記ブラケットの前記操作盤に取り付けられる面と、前記ブラケットの前記取付部を支持する面がなす角度が、直角であり、
前記取付部の前記センサ部を支持する面と、前記ブラケットの前記取付部を支持する面のなす角度が非直角である、
請求項8に記載の操作検知装置。
【請求項11】
エレベータの乗場又は乗りかご内に設置される操作盤であって、
前記エレベータの状態を表示する状態表示部と、
前記エレベータの操作を検知する操作検知装置と、を備え、
前記操作検知装置は、
前記エレベータの操作を表示する操作表示部と、
前記操作表示部に対応して設けられ、照射光に対する反射光を検出するセンサ部と、
前記センサ部を覆う保護板と、
を備え、
前記保護板の表面は、前記操作盤の表面より内部側の凹んだ位置に設けられて凹部が形成され、前記凹部は指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている、
操作盤。
【請求項12】
エレベータの乗場又は乗りかご内に設置される操作盤であって、
前記エレベータの状態を表示する状態表示部と、
前記エレベータの操作を検知する操作検知装置とを備え、
前記操作検知装置は、
前記エレベータの操作を表示する操作表示部と、
前記操作表示部に対応して設けられ、照射光に対する反射光を検出するセンサ部と、
前記センサ部を覆う保護板と、
を備え、
前記保護板は、周端部近傍で立設する立設部を有し、
前記立設部は、前記操作盤の表面より突出し、前記立設部と前記立設部で囲まれる領域とで凹部が形成され、前記凹部は指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている、
操作盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、操作検知装置および操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかご内または乗り場において、行き先階呼びまたは乗り場呼び等を非接触で行う製品が各社から発表されている。例えば、乗り場や乗りかご内の操作盤に利用者の手指を検知するセンサを設け、このセンサにより乗り場呼びや行き先階呼びを行う手法がある。このような非接触センサを用いた呼び登録を可能とした製品は、コロナウィルス感染が生じている中、利用者にとって好評となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-195217号公報
【文献】特開平10-122953号公報
【文献】特開2005-263378号公報
【文献】特許第5780441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような非接触センサを用いた呼び登録を可能とした技術において、特に、押しボタンとセンサとを分離して配置した方式等の場合には、センサを覆う保護板であるアクリル板の表面に汚れが付着してしまう場合がある。このような場合、利用者が操作盤の前に居ないにもかかわらず、非接触センサによる検知がなされてしまい、この結果、乗り場呼びや乗りかご内からの行き先階呼びの登録が継続して発生してしまう。
【0005】
一定数もしくは一定時間、連続した呼び登録が発生した場合には、エレベータの制御盤は、非接触センサが故障していると判断し、故障信号を監視センタに送信する。故障信号を受信した監視センタでは、保守員による性能復帰のために、エレベータへの出動依頼がなされるが、このため、故障信号が発報された以降は、エレベータの運行が停止し、利用者によるエレベータの利用ができなくなってしまい、エレベータの利用効率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態にかかる操作検知装置は、エレベータの乗場又は乗りかご内に設置される操作盤に設けられた操作検知装置であって、前記エレベータの操作を表示する操作表示部と、前記操作表示部に対応して設けられ、照射光に対する反射光を検出するセンサ部と、前記センサ部を覆う保護板と、を備え、前記保護板の表面は、前記操作盤の表面より内部側の凹んだ位置に設けられ凹部が形成され、前記凹部は指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態にかかる乗り場の操作盤の構成の一例を示す模式図である。
図2図2は、第1の実施形態にかかるアクリル板の構成の一例を示す構成図である。
図3図3は、第1の実施形態にかかる操作盤のセンサ部のアクリル板、押しボタンを正面斜め方向から見た図である。
図4図4は、第1の実施形態におけるセンサ部とアクリル板との配置関係を示す模式図である。
図5図5は、第1の実施形態にかかるセンサ部の操作盤の裏面への取付構造を説明する断面斜視図である。
図6図6は、第1の実施形態にかかるセンサ部の操作盤の裏面への取付構造の一例を説明する分解斜視図である。
図7図7は、センサ部による照射および受光例を説明する図である。
図8図8は、第1の実施形態にかかるアクリル板の凹部の下部にゴミが溜まった状態を示す断面図である。
図9図9は、変形例1の操作盤の構成を示す図である。
図10図10は、第2の実施形態にかかるアクリル板の構成の一例を示す構成図である。
図11図11は、第3の実施形態にかかるアクリル板の構成の一例を示す構成図である。
図12図12は、変形例2の行き先階呼び装置の操作盤の構成の一例を示す図である。
図13図13は、変形例3の車椅子用操作盤1318Bの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
[第1の実施形態]
以下、図を用いて、第1の実施形態の操作検知装置および操作盤について説明する。
図1は、第1の実施形態にかかる乗り場の操作盤518の構成の一例を示す模式図である。本実施形態の操作盤518は、乗り場から乗り場呼び登録を行う乗り場呼び装置50の一部として構成される。
【0010】
すなわち、乗り場呼び装置50は、例えば乗り場に設置された操作盤518を備える。操作盤518の設置位置は、例えば乗りかごが発着する乗り場の扉横等である。1つの乗り場には少なくとも1つの操作盤518が設置されていればよい。複数の乗りかごが乗り場を発着する場合には、複数の乗りかごのそれぞれに対応する複数の操作盤518が設置されていてもよい。
【0011】
操作盤518は、例えば行き先方向表示部510(510u,510d)、センサ部511(511u,511d)、押しボタン512(512u,512d)、表示灯513(513u,513d)、及び表示装置517を備える。ここで、行き先方向表示部510(510u,510d)、センサ部511(511u,511d)、押しボタン512(512u,512d)、表示灯513(513u,513d)が、操作検知装置を構成する。
【0012】
行き先方向表示部510は、例えば乗り場に到着する乗りかごの上下方向等の行き先方向を表示する表示盤等であり、乗りかごの行き先方向に対応して操作盤518に複数配置されている。図1の例では、乗りかごの行き先方向である上方向(上層階)及び下方向(下層階)にそれぞれ対応して、2つの行き先方向表示部510u,510dが縦方向に配置されている。
【0013】
センサ部511は、例えば反射型光電センサ、または静電容量型センサ等の非接触式のセンサであり、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510近傍の操作盤518に複数配置されている。図1の例では、縦方向に並ぶ行き先方向表示部510u,510dの左横に、それぞれ対応する2つのセンサ部511u,511dが配置されている。
【0014】
乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかごの乗り場呼びを行うために、対応するセンサ部511に手指等をかざすと、そのセンサ部511が、対応する行き先方向表示部510への操作として利用者の手指等を検知する。このように、行き先方向表示部510と、当該行き先方向表示部510に対応するセンサ部511とは、利用者の手指等を検知することで、利用者による操作を入力する。
【0015】
センサ部511は、後述する保護板としてのアクリル板540で覆われており、図1には、センサ部511を覆うアクリル板540の表面が操作盤518に現れている状態を示している。本実施形態のセンサ部511を覆うアクリル板540は、図1に示すように、縦長の矩形状となっている。センサ部511およびアクリル板540の詳細については後述する。
【0016】
押しボタン512は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510と一体的に操作盤518に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン512のそれぞれの前面には、対応する行き先方向表示部510である表示盤等がはめ込まれている。乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかごの乗り場呼びを行うために、対応する押しボタン512を押下すると、上述の押下検知部52(図6参照)が、対応する行き先方向表示部510への操作として押しボタン512の押下を検知する。
【0017】
表示灯513は、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510と一体的に操作盤518に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン512のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯513が埋め込まれている。乗り場呼び装置50による判定結果に基づいて、対応する表示灯513が暗点灯し、点滅し、若しくは所定の色で点灯し、または、明点灯し、点灯し、若しくは上記と異なる色で点灯すると、押しボタン512及び行き先方向表示部510を透過した表示灯513の光が利用者に目視される。表示灯513が暗点灯し、点滅し、若しくは所定の色で点灯することにより、利用者は、自身の操作がどちらの行き先方向表示部510に対する操作と認識されたかを知ることができる。表示灯513が明点灯し、点灯し、若しくは上記と異なる色で点灯することにより、利用者は、どちらの行き先方向への呼びが登録されたかを知ることができる。
【0018】
図1の例では、複数の表示灯513のうち、行き先方向表示部510dに対応する表示灯513dが点灯する様子を示している。
【0019】
表示装置517は、例えば液晶パネル等として構成され、その操作盤518に対応する乗りかご、または乗り場呼びに応答中の乗りかご等が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。図1の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかごは3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
【0020】
なお、操作盤518の構成および各種構成の配置は図1の例に限られない。
【0021】
例えば、行き先方向表示部510とセンサ部511とがセットで横1列に配置されていてもよい。また例えば、センサ部511の近傍に所望の表示が記されたシール等が貼付され、また、所望の点字が付された銘板等が設置されていてもよい。
【0022】
また例えば、行き先方向表示部510、押しボタン512、表示灯513のうちのいずれか、あるいは全部が分離され、別々に操作盤518に配置されていてもよい。また例えば、操作盤518は、押しボタン512u,512d等を備えていなくともよい。
【0023】
その他、操作盤518は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
【0024】
次に、保護板としてのアクリル板の詳細について説明する。
図2は、第1の実施形態にかかるアクリル板の構成の一例を示す構成図である。図2(a)は、操作盤518の正面方向からセンサ部511を見た場合のアクリル板540の正面図である。図2(b)は、図2(a)におけるX-X断面図である。図3は、第1の実施形態にかかる操作盤518のセンサ部511のアクリル板540、押しボタン512を正面斜め方向から見た図である。
【0025】
図2(a),(b)に示すように、アクリル板540の表面は、操作盤518の表面であるフェイスプレート520より内部側(すなわち、センサ部511側)の凹んだ位置に設けられて凹部が形成されている。具体的には、アクリル板540は、周端部で立設する立設部542を有する。そして、立設部542で囲まれた表面部541が操作盤518の表面であるフェイスプレート520の表面より内部側の凹んだ位置に設けられる。すなわち、立設部542、表面部541により、アクリル板540に凹部が形成されている。ここで、図2(a)において、この表面部541に斜線を付して示している。また、図2(b)に示されるように、立設部542の頂部が操作盤518のフェイスプレート520の表面と同じ高さとなるようにアクリル板540が操作盤518に設けられている。
【0026】
なお、立設部542は、アクリル板540の周端部に設ける他、アクリル板540の周端部の内側の周端部近傍に設けるよう構成しても良い。
【0027】
また、立設部542と表面部541によりアクリル板540に形成される凹部は、指が挿入され表面541に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている。言い換えれば、当該凹部は、指の接触を防ぐ大きさや態様、あるいは指の接触が困難な態様で形成されている。具体的には、本実施形態では、アクリル板540の表面部541の対向する外縁の少なくとも一対の間隔L(言い換えれば、凹部の対向する面の間隔)は、12mm以下である。
【0028】
これは、非特許文献である「保護等級・IPコード | 防水・防塵性能の基準と選定方法 (electric-facilities.jp)(https://electric-facilities.jp/denki3/ip.html)」に掲載されている防塵性能の等級一覧(0~6)より、「IP2X:直径12.5mmの外来固形物まで保護(指先など)」の記載から人体の指先のサイズが12.5mmであるという検知に基づくものである。
【0029】
また、アクリル板540の表面部541の対向する外縁の少なくとも一対の間隔Lは、8mm以下であることが好ましい。これは、非特許文献「子どもの発達と住宅内安全計画 八藤後 猛 日本大学 理工学部 建築学科 バイオメカニズム学会誌,Vol.33,No.1(2009)」の図3-5等から、子供の人差し指の厚さが8mm前後であるという見地に基づくものである。従って、上記間隔Lは、8mm以下とすることで、利用者が子どもの場合にもアクリル板540へ汚れの付着を防止することができる。
【0030】
これにより、図3に示すように、センサ部511を覆うアクリル板540は、操作盤518のフェイスプレート520から凹んだ位置に設けられ、アクリル板540の表面の対向する外縁の少なくとも一対の間隔Lが、当該位置のアクリル板540の表面に人の指が到達しないサイズに形成されている。このため、アクリル板540の表面への汚れの付着を未然に防止することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、アクリル板540が矩形状に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、楕円形状や角に丸みを帯びた形状にアクリル板540を形成してもよい。この場合には、表面部541の対向する外縁の少なくとも一対の間隔L、言い換えれば、凹部の対向する面の間隔を、指が挿入され表面541に触れられるのを防ぐように、12mm以下、好ましくは、8mm以下に構成すればよい。
【0032】
ここで、センサ部511を覆うアクリル板540を設けた場合、センサ部511から照射した照射光をアクリル板540が反射してしまい、センサ部511が、誤登録をしてしまう可能性がある。
【0033】
本実施形態では、センサ部511とアクリル板540の配置関係により、センサ部511が誤登録をしてしまうことを防止している。図4は、第1の実施形態におけるセンサ部511とアクリル板540との配置関係を示す模式図である。図4(a)は、センサ部511の概要構成を示す斜視図である。図4(a)に示すように、センサ部311の長手方向をX方向、幅方向をY方向、高さ方向をZ方向と定義する。なお、説明の便宜上、図4(a),(b),(c)では、センサ部311の形状を直方体形状を例にあげて説明しているが、実際には、図4(a),(b)に示すように、後述する取付部351への取付部分が直方体形状の両端に存在する形状となっている。
【0034】
続いて、図4(b)および図4(c)を用いて、センサ部511とアクリル板540との位置関係の概要を説明する。センサ部511からアクリル板540方向がZ方向となる。図4(b)は、X-Z軸に基づく、センサ部511とアクリル板540との位置関係を示す図である。センサ部511は、赤外線等の光を照射するセンサ照射部と、当該照射した赤外線の反射光を受光するセンサ受光部とを有する。センサ部511のセンサ照射部は、アクリル板540を介して赤外線を出射させる。
【0035】
図4(c)は、Y-Z軸に基づく、センサ部511とアクリル板540との位置関係を示す図である。図4(c)に示すように、センサ部511は、アクリル板540に対して非垂直に設けられている。
【0036】
続いて、図4(c)に示したようなセンサ部511を取付構造について、図5,6を用いて説明する。図5は、第1の実施形態にかかるセンサ部511の操作盤518の裏面への取付構造を説明する断面斜視図である。図6は、第1の実施形態にかかるセンサ部511の操作盤518の裏面への取付構造の一例を説明する分解斜視図である。
【0037】
図6に示すように、操作盤518の裏面には、開口部340a、340bが設けられている。開口部340aには、アクリル板540が取り付けられ、開口部340aには、押しボタン512が嵌められる。図5,6に示すように、操作盤518の裏面には、ブラケット352が設けられている。このブラケット352は、操作盤518のアクリル板540が設けられている位置に対応して設けられている。ブラケット352は、長手方向にその長手方向を有し、断面略L字形の部材となっている。ブラケット352の底板は、操作盤518の裏面にボルトおよびナットで固定されており、アクリル板540の位置で開口部351aを有する。センサ部511からの照射光はこの開口部351aおよびアクリル板540を通過し、また、反射光がアクリル板540および開口部351aを通過してセンサ部511に到達する。ブラケット352は、この底板の端部から操作盤518に交差する方向に立上がる側板を有し、この底板と側板とで断面略L字形状をなしている。
【0038】
図5,6に示すように、ブラケット352の側板から操作盤518と略平行な方向に、二つの板状の取付部351が突出して設けられている。センサ部511は、二つの取付部351上にボルトおよびナットで固定されて取り付けられる。
【0039】
ブラケット352が、操作盤518に取り付けられる底板と取付部351を支持する側板の2つの面の角度AR1は、直角である。また、取付部351がセンサ部311を支持する面とブラケット352の側板の2つの面の角度AR2は、非直角である。これにより、センサ部511は、傾くことになり、アクリル板540が、ブラケット352における、取付部351を支持する面と操作盤518に取り付けられる面の何れかの面と対向する位置にある場合、センサ部511は、アクリル板540に対して非垂直に設けられることになる。
【0040】
また、上記角度AR1が、非直角であり、上記角度AR2が直角でもよい。この場合でも、ブラケット352に沿って取付部351が傾き、この結果、センサ部511が傾くことになる。
【0041】
続いて、図7を用いてセンサ部511による照射および受光例を説明する。図7は、センサ部511による照射および受光例を説明する図である。センサ部511が、照射光e1を照射すると、アクリル板540の反射面に正反射することがある。しかし、センサ部511が、アクリル板540に対して非垂直に設けられており、センサ部511の照射光の光軸がアクリル板540の反射面に対して非垂直であるため、センサ部511は、アクリル板540の反射面で反射した反射光r1を受光しない。
【0042】
一方、アクリル板540付近にエレベータの利用者の指f1がある場合、アクリル板540を介して出射した照射光e1は、指f1に当たり、拡散反射する。この結果、センサ部511は、拡散反射による反射光のうち、反射光r3を受光することで、利用者による操作を適切に検知することができる。
【0043】
また、エレベータ制御システムは、センサ部511が、利用者による操作を検知した場合、当該センサ部511に対応する行き先階表示部310の行き先階の呼び登録をする。
【0044】
その他、操作盤518は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
【0045】
このように本実施形態では、センサ部511を覆うアクリル板540の表面は、操作盤518のフェイスプレート520の表面より内部側の凹んだ位置に設けられて凹部を形成し、当該凹部は、指が挿入され表面541に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている。具体的には、アクリル板540は、周端部または周端部近傍で立設する立設部542を有し、立設部542で囲まれた表面部541が操作盤518のフェイスプレート520の表面より内部側の凹んだ位置に設けられる。
【0046】
このため、本実施形態によれば、センサ部511を覆うアクリル板540への汚れの付着を未然に防止することができる。これにより、本実施形態によれば、故障と判断される連続した呼び登録の発生を防止し、エレベータの利用効率を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、アクリル板540の立設部542の頂部がフェイスプレート520の表面と同じ高さとなるようにアクリル板540が設けられる。このため、本実施形態によれば、利用者がセンサ部511に手指を接近させた場合でも、立設部542が操作の邪魔になることはなく、利用者の利便性を向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、センサ部511を覆うアクリル板540の表面部541の対向する外縁の少なくとも一対の間隔L、言い換えれば、凹部の対向する面の間隔Lは、12mm以下である。このため、本実施形態によれば、アクリル板540の表面への汚れの付着を未然に防止することができる。
【0049】
また、本実施形態では、アクリル板540の表面部541の対向する外縁の少なくとも一対の間隔L、言い換えれば、凹部の対向する面の間隔Lを、8mm以下とした場合には、利用者が子供である場合でも、アクリル板540の表面への汚れの付着をより確実に未然に防止することができる。
【0050】
また、アクリル板540の凹部の下部にゴミが溜まる場合がある。図8は、第1の実施形態にかかるアクリル板540の凹部の下部にゴミ801が溜まった状態を示す断面図である。本実施形態では、アクリル板540は、縦長の矩形状となっているので、アクリル板540の凹部の下部に溜まったゴミ801を容易に除去することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態の操作盤518によれば、ブラケット352が、取付部351を支持する面と操作盤318に取り付けられる面の角度AR1は、直角であり、取付部351がセンサ部511を支持する面とブラケット352が取付部351を支持する面の角度AR2は、非直角である。これにより、センサ部511は、傾くことになり、センサ部511が、アクリル板540に対して非垂直となるように設けられる。
【0052】
また、本実施形態の操作盤518によれば、ブラケット352が、取付部351を支持する面と操作盤518に取り付けられる面の角度AR1は、非直角であり、取付部351がセンサ部511を支持する面とブラケット352が取付部351を支持する面の角度AR2は、直角である。これにより、センサ部511は、傾くことになり、センサ部511が、アクリル板540に対して非垂直となるように設けられる。
【0053】
従って、本実施形態によれば、センサ部511が、アクリル板540に対して非垂直となるように設けられるため、センサ部511は、反射光を受光してしまう位置から外れるので、アクリル板540で反射した反射光を検出してしまうことを回避することができる。
【0054】
[変形例1]
上記実施形態では、アクリル板540は、縦長の矩形状として形成していたが、これに限定されるものではない。図9は、変形例1の操作盤3518の構成を示す図である。本変形例でのように、アクリル板3540を横長の矩形状で構成してもよい。この場合、センサ部511も横長で配置すればよい。図9において、アクリル板3540が横長の矩形状となっている以外のアクリル板3540の構造、他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0055】
本変形例によれば、第1の実施形態と同様に、センサ部511を覆うアクリル板3540への汚れの付着を未然に防止することができ、これにより、故障と判断される連続した呼び登録の発生を防止し、エレベータの利用効率を向上させることができる。
【0056】
[第2の実施形態]
第1の実施形態ではアクリル板540の周端部に立設部542を設けて凹部を形成していたが、この第2の実施形態では操作盤のフェイスプレートに凹部を設け、当該凹部にアクリル板を設けたものである。
【0057】
図10は、第2の実施形態にかかるアクリル板の構成の一例を示す構成図である。図10(a)は、操作盤1518の正面方向からセンサ部511を見た場合のアクリル板1540の正面図である。図10(b)は、図10(a)におけるY-Y断面図である。
【0058】
図10(a)に示すように、本実施形態のアクリル板1540には、第1の実施形態のような立設部は設けられておらず、平板形状となっている。本実施形態のアクリル板1540も第1の実施形態と同様に、縦長の矩形状となっている。そして、アクリル板1541の対向する外縁部の少なくとも一対の間隔Lが、指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている。具体的には、アクリル板1541の対向する外縁部の少なくとも一対の間隔Lが、12mm以下、好ましくは8mm以下となっている。
なお、アクリル板1540を、横長の矩形状で形成する他、楕円形等、矩形状以外の形状で構成してもよい。
【0059】
また、本実施形態の操作盤1518のフェイスプレート1520には、図10(b)に示すように、表面に、内部(すなわち、センサ部511側)に凹む凹部1521が形成されている。そして、当該凹部1521に、アクリル板1540が嵌め込まれて設置されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0060】
このように本実施形態では、操作盤1518のフェイスプレート1520の表面に、凹部1521が形成され、当該凹部1521に、アクリル板1540が設けられており、当該凹部1521は、指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている。このため、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、センサ部511を覆うアクリル板1540への汚れの付着を未然に防止することができ、これにより、故障と判断される連続した呼び登録の発生を防止し、エレベータの利用効率を向上させることができる。
【0061】
[第3の実施形態]
第1の実施形態では、アクリル板540の立設部542の頂部が操作盤518のフェイスプレート520の表面と同一の高さ位置であったが、この第3の実施形態では、アクリル板の立設部が操作盤のフェイスプレートよりも突出している。
【0062】
図11は、第3の実施形態にかかるアクリル板の構成の一例を示す構成図である。図11(a)は、操作盤518の正面方向からセンサ部511を見た場合のアクリル板1540の正面図である。図11(b)は、図11(a)におけるA-A断面図である。
【0063】
図11(a)に示すように、本実施形態のアクリル板2540には、周端部からやや内側の周端部近傍の位置で立設する立設部2542が設けられている。本実施形態のアクリル板2540は、横長の矩形状となっている。なお、立設部2542をアクリル板2540の周端部に設けるようにアクリル板2540を構成してもよい。また、アクリル板2540を、縦長の矩形状で形成してもよい。
【0064】
立設部2542は、図11(b)に示されるように、操作盤518のフェイスプレート520の表面より突出する。そして、立設部2542と立設部2542で囲まれる領域2541で凹部を形成し、当該凹部は、指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている。具体的には、立設部2542で囲まれる領域2541の対向する外縁部の少なくとも一対の間隔Lは、12mm以下、好ましくは8mm以下となっている。このほかの構成については第1の実施形態と同様である。
【0065】
このように本実施形態では、アクリル板2540の周端部からやや内側の周端部近傍の位置で立設する立設部2542が設けられ、立設部2542は、操作盤518のフェイスプレート520の表面より突出し、立設部2542と立設部2542で囲まれる領域2541で形成される凹部が、指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている。このため、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、センサ部2511を覆うアクリル板2540への汚れの付着を未然に防止することができ、これにより、故障と判断される連続した呼び登録の発生を防止し、エレベータの利用効率を向上させることができる。
【0066】
[変形例2]
上述の実施形態では、乗り場呼び装置50に適用される操作盤518のセンサ部511、アクリル板540,1540,2540,3540について説明したが、このようなアクリル板540,1540,2540,3540およびセンサ部511を、乗りかごの行き先階呼び装置の操作盤に適用するように構成してもよい。
【0067】
図12は、変形例2の行き先階呼び装置の操作盤の構成の一例を示す図である。行き先階呼び装置30は、例えば乗りかご内に設置された操作盤318を備える。操作盤318の設置位置は、例えば乗りかご内の扉右横、つまり、右側袖壁部分である。操作盤318が、乗りかごの左側袖壁部分、または、側板部分等の他の部分に設置されていてもよい。
【0068】
操作盤318は、例えば行き先階表示部310(310a~310e)、センサ部311(311a~311e)、押しボタン312(312a~312e),315(315e,315c)、表示灯313(313a~313e),316(316e,316c)、開閉表示部314(314e,314c)、及び表示装置317を備える。
【0069】
本実施形態のアクリル板340は、各センサ部311を覆うよう設けることができる。その他の構成は、上述の実施形態と同様である。
【0070】
本変形例2によれば、上述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0071】
[変形例3]
上述の実施形態にかかるアクリル板540,1540,2540,3540およびセンサ部511を、乗りかごの行き先階呼び装置の操作盤の他、車椅子用操作盤に適用してもよい。
【0072】
図13は、変形例3の車椅子用操作盤1318Bの構成の一例を示す図である。
【0073】
図13に示すように、変形例3の車椅子用操作盤1318Bは、例えば行き先階表示部310B(310Ba~310Be)、センサ部311B(311Ba~311Be)、押しボタン312B(312Ba~312Be),315B(315Be,315Bc)、表示灯313B(313Ba~313Be),316B(316Be,316Bc)、開閉表示部314B(314Be,314Bc)、及び表示装置317Bを備える。
【0074】
本実施形態のアクリル板340Bは、各センサ部311Bを覆うよう設けることができる。その他の構成は、上述の実施形態と同様である。
【0075】
本変形例3によれば、上述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
30…行き先階呼び装置、50…乗り場呼び装置、340,340B,540,1540,2540,3540…アクリル板(保護板)、542,2542…立設部、541…表面、520,1520…フェイスプレート、1521…凹部、311,311B,511…センサ部、312,312B,512…押しボタン、318,518,3518…操作盤、1318B…車椅子用操作盤、351…取付部、352…ブラケット。
【要約】
【課題】故障と判断される連続した呼び登録の発生を防止し、エレベータの利用効率を向上させること。
【解決手段】実施形態にかかる操作検知装置は、エレベータの乗場又は乗りかご内に設置される操作盤に設けられた操作検知装置であって、前記エレベータの操作を表示する操作表示部と、前記操作表示部に対応して設けられ、照射光に対する反射光を検出するセンサ部と、前記センサ部を覆う保護板と、を備え、前記保護板の表面は、前記操作盤の表面より内部側の凹んだ位置に設けられて凹部が形成され、前記凹部は指が挿入され前記表面に触れられるのを防ぐ大きさで形成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13