(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】前面エアバッグシステム
(51)【国際特許分類】
B60R 21/261 20110101AFI20231204BHJP
B60R 21/203 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
B60R21/261
B60R21/203
(21)【出願番号】P 2022523357
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(86)【国際出願番号】 US2020055591
(87)【国際公開番号】W WO2021086613
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-19
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】ヘス、トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】廣田 豊
(72)【発明者】
【氏名】小泉 晃
(72)【発明者】
【氏名】バナティン、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】スタヘリ、デリック
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/063760(WO,A1)
【文献】特開2012-153172(JP,A)
【文献】特開2002-144996(JP,A)
【文献】特開2019-142510(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0015266(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/261
B60R 21/203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(50)のステアリングホイール(52)に取り付けられるように構成されたハウジング(114)と、
前記ハウジング(114)内に少なくとも部分的に配置されたインフレータアセンブリ(112)と、
前記インフレータアセンブリ(112)に動作可能に結合された、膨張可能なチャンバ(130)を画定するエアバッグ(110)と、
前記インフレータブルチャンバ(130)内に前記インフレータアセンブリ(112)と流体連通して配置されたディフューザ(140)であって、前記ディフューザ(140)が、乗員向きパネル(142)であって、前記ディフューザ(140)の前記乗員向きパネル(142)の中心に配置された孔(144)を含む乗員向きパネル(142)を含み、展開時に、前記乗員向きパネル(142)が前記インフレータアセンブリ(112)から所定の距離だけ離れて展開する、ディフューザ(140)と、
を備え
、
前記孔(144)が、前記孔(144)を横切って延在する分離ブリッジ(166)を備え、前記分離ブリッジ(166)は、前記孔(144)を通る前記膨張ガスの流れにより、前記エアバッグ(110)の展開中に破断するように構成されている、膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項2】
展開時に、前記ディフューザ(140)が、前記ディフューザ(140)の側面に沿った複数の開口部(148)を備え、それによって、前記ディフューザ(140)が、前記孔(144)を通る前記膨張ガスの一部を許容しながら、前記膨張ガスの方向を横方向に変えることができる、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項3】
前記孔(144)の直径が、前記インフレータアセンブリ(112)の出力の直径よりも小さい、請求項1又は2に記載の膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項4】
車両(50)のステアリングホイール(52)に取り付けられるように構成されたハウジング(114)と、
前記ハウジング(114)内に少なくとも部分的に配置されたインフレータアセンブリ(112)と、
前記インフレータアセンブリ(112)に動作可能に結合された、膨張可能なチャンバ(130)を画定するエアバッグ(110)と、
前記インフレータブルチャンバ(130)内に前記インフレータアセンブリ(112)と流体連通して配置されたディフューザ(140)であって、前記ディフューザ(140)が、乗員向きパネル(142)であって、前記ディフューザ(140)の前記乗員向きパネル(142)の中心に配置された孔(144)を含む乗員向きパネル(142)を含み、展開時に、前記乗員向きパネル(142)が前記インフレータアセンブリ(112)から所定の距離だけ離れて展開する、ディフューザ(140)と、
を備え、
前記孔(144)が、前記孔(144)に重なるフラップ(160)を備え、前記フラップ(160)が、前記孔(144)を通る前記膨張ガスの流れにより、前記エアバッグ(110)の展開中に前記孔(144)から離れるように折り畳まれるように構成されている
、膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項5】
車両(50)のステアリングホイール(52)に取り付けられるように構成されたハウジング(114)と、
前記ハウジング(114)内に少なくとも部分的に配置されたインフレータアセンブリ(112)と、
前記インフレータアセンブリ(112)に動作可能に結合された、膨張可能なチャンバ(130)を画定するエアバッグ(110)と、
前記インフレータブルチャンバ(130)内に前記インフレータアセンブリ(112)と流体連通して配置されたディフューザ(140)であって、前記ディフューザ(140)が、乗員向きパネル(142)であって、前記ディフューザ(140)の前記乗員向きパネル(142)の中心に配置された孔(144)を含む乗員向きパネル(142)を含み、展開時に、前記乗員向きパネル(142)が前記インフレータアセンブリ(112)から所定の距離だけ離れて展開する、ディフューザ(140)と、
を備え、
前記孔(144)が、前記孔(144)に重なる第1のフラップ(162)と、前記第1のフラップ(162)に重なる第2のフラップ(164)とを備え、前記第1及び第2のフラップ(162、164)は、前記孔(144)を通る前記膨張ガスの流れにより、前記エアバッグ(110)の展開中に前記孔(144)から離れるように折り畳まれるように構成されている
、膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項6】
前記第1のフラップ(162)及び前記第2のフラップ(164)が前記孔(144)の周囲に結合されており、前記第1のフラップ(162)が、前記第2のフラップ(164)の反対側に結合されている、請求項
5に記載の膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項7】
前記エアバッグ(110)が、前記エアバッグ(110)の前方対向面(122)に配置された複数の通気孔(126、127)を更に備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【請求項8】
前記展開された構成において、前記通気孔(126、127)が、ステアリングホイール(52)の周囲内に配置されている、請求項
7に記載の膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項9】
前記エアバッグ(110)の展開中に、前記孔(144)と前記インフレータ孔(143)とを位置合わせすることにより、前記複数の通気孔(126、127)を通る前記膨張ガスの通気中に、前記ディフューザ(140)が前記複数の通気孔(126、127)に重なることを防止する、請求項
7又は
8に記載の膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項10】
車両(50)のステアリングホイール(52)に取り付けられるように構成されたハウジング(114)と、
前記ハウジング(114)内に少なくとも部分的に配置されたインフレータアセンブリ(112)と、
前記インフレータアセンブリ(112)に動作可能に結合された、膨張可能なチャンバ(130)を画定するエアバッグ(110)と、
前記インフレータブルチャンバ(130)内に前記インフレータアセンブリ(112)と流体連通して配置されたディフューザ(140)であって、前記ディフューザ(140)が、乗員向きパネル(142)であって、前記ディフューザ(140)の前記乗員向きパネル(142)の中心に配置された孔(144)を含む乗員向きパネル(142)を含み、展開時に、前記乗員向きパネル(142)が前記インフレータアセンブリ(112)から所定の距離だけ離れて展開する、ディフューザ(140)と、
を備え、
テザー(150)を更に備え、前記テザー(150)の第1の端部が前記インフレータアセンブリ(112)に結合され、前記テザー(150)の第2の端部が前記乗員向きパネル(142)の前記中心に結合されている
、膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項11】
前記乗員向きパネル(142)が、衝突事象中に乗員の頭部を受容するように構成された衝突面を提供するための中心受容領域を備える、請求項1から
10のいずれか一項に記載の膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【請求項12】
前記中心受容領域(109’’)の対向する側に配置された一対のローブ(111’’)を更に備え、前記一対のローブ(111’’)は、後方に延在して前記乗員の前記頭部の対向する側に係止するように膨張させるように構成されている、請求項
11に記載の膨張可能なエアバッグシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、自動車保護システムの分野に関する。より具体的には、本開示は、前面衝突事象に応じて展開するように構成された前面エアバッグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
膨張可能なエアバッグは、車両内に取り付けられ、衝突事象中に展開し得る。展開されたエアバッグは、乗員に対する衝撃を和らげ、他の車両構造との有害な衝突を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本実施形態は、添付の図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになる。添付の図面が典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると考えられるべきでないことを理解した上で、実施形態について、添付の図面を参照して、具体的に及び詳細に記載及び説明する。
【0004】
【
図1】車両に取り付けられたエアバッグアセンブリの実施形態であり、エアバッグの実施形態は、パッケージ化された又は展開されていない構成を示す斜視図である。
【0005】
【
図2】エアバッグを展開された構成で示す、
図1のエアバッグアセンブリの斜視図である。
【0006】
【
図3】
図2のエアバッグアセンブリの分解斜視図である。
【0007】
【
図4】一実施形態による、エアバッグの展開中に膨張ガスの方向を変えるためのディフューザの斜視図である。
【0008】
【
図5】一実施形態による、エアバッグの展開中に膨張ガスの方向を変えるためのディフューザの斜視図である。
【0009】
【
図6】エアバッグ及びディフューザの展開、並びに展開中の膨張ガスの潜在的な流路の概略図である。
【0010】
【
図7】展開中のディフューザ、及びエアバッグの通気孔とディフューザとの間の潜在的な重なりを示す概略図である。
【0011】
【
図8】展開中の、孔を有するディフューザ、及びエアバッグの通気孔とディフューザとの間の重なりがないことを示す、概略図である。
【0012】
【
図9】一実施形態によるエアバッグアセンブリの断面図である。
【0013】
【
図10】一実施形態によるエアバッグアセンブリの断面図である。
【0014】
【
図11】本開示の一実施形態による単一のフラップを備える通気開口機構の概略図である。
【0015】
【
図12】本開示の一実施形態による二重フラップを備える通気開口機構の概略図である。
【0016】
【
図13A】本開示の一実施形態による、展開前の構成における分離ブリッジを備える通気開口機構の概略図である。
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
容易に理解され得るように、本明細書に概して記載及び図示されている実施形態の構成要素は、様々な異なる構成において配置及び設計され得る。よって、図示されている様々な実施形態の以下のより詳細な説明は、特許請求されている本開示の範囲を限定することは意図されておらず、単に様々な実施形態を示す。実施形態の様々な態様が図示されているが、図面は、特段に示されていない限り、必ずしも縮尺どおりに示されていない。
【0019】
膨張可能なエアバッグシステムは、衝突事象中に乗員の損傷を低減又は最小限にとどめるために広く使用されている。エアバッグモジュールは、車両内の様々な場所に設置されており、これらの場所は、ステアリングホイールにおいて、ダッシュボード及び/又はインストルメントパネルにおいて、サイドドア又はサイドシート内、車両のルーフレールに隣接して、頭上位置において、又は膝若しくは脚位置においてを含むが、これらに限定されない。以下の開示では、「エアバッグ」は、一般に、例えば、ステアリングホイール、ステアリングコラム、又はダッシュボード内に典型的に収容されるドライバーエアバッグなどの膨張可能なフロントエアバッグを指すが、論じられる原理は、他のタイプのエアバッグ(例えば、助手席エアバッグ、ニーエアバッグ、及びサイドエアバッグ)に適用され得る。
【0020】
フロントエアバッグは、多くの場合、車両のステアリングホイール、ダッシュボード、又はインストルメントパネルに設置される。本明細書で使用する場合、「ダッシュボード」及び「インストルメントパネル」という用語は、自動車の乗員が面する車両の突出した領域を指し、これは多くの場合、乗員が面するその部分にグローブボックスを含み、そのより中央の領域に機器(例えば、ラジオ及び/又は空調制御)を含み得るが、そのような機器が存在する必要はない。
【0021】
設置時には、開示されたエアバッグは、典型的には、パッケージ化された状態で(例えば、巻かれた状態で、折り畳まれた状態で、及び/又は、別様に圧縮された状態で)、すなわち、コンパクトな構成で、ハウジングの内部に配置され、カバーの背後にパッケージ化された状態で保持され得る。衝突事象中に、インフレータがトリガされ、これにより、エアバッグが膨張ガスで急速に充填される。エアバッグは、コンパクトな構成のパッケージ化された状態から、展開された構成の膨張状態まで急速に移行することができる。例えば、膨張するエアバッグは、エアバッグカバーを開放することにより(例えば、バーストシームを引き裂くことにより、あるいは、ドア状構造体を開放することにより)、ハウジングから飛び出すことができる。インフレータは、任意の好適なデバイス又はシステムによってトリガされてもよく、トリガは、1つ以上の車両センサに応答するもの、及び/又は1つ以上の車両センサによって影響されるものであってもよい。
【0022】
本明細書に開示されるエアバッグアセンブリの特定の実施形態は、ドライバー乗員に対する衝撃を和らげるために特によく適しており、ステアリングホイール又はステアリングコラムに取り付けられ得る。エアバッグアセンブリは、車両内の構造体(例えば、ダッシュボード及びドアコラムなど)に対する乗員の衝突(身体-構造体衝突)の影響を低減することによって、衝突事象中の車両の乗員への損傷を軽減することができる。エアバッグアセンブリは、かかる損傷を軽減するのに有用であるが、エアバッグアセンブリへの乗員の衝突は、他の損傷のリスクをもたらす。例えば、衝突事象前は、乗員の頭部が車両と同一速度で同時に動いている。衝突事象中には、車両の移動方向及び速度は、激しく、かつ突然に変化し得る。かかる衝突がエアバッグアセンブリからのエアバッグクッションの展開をトリガすると、エアバッグクッションには、車両に対して特異的な方向に速力が加わる。すなわち、前面エアバッグは、ダッシュボードから公称上後方に展開することになる。
【0023】
図1~
図2は、2つの異なる構成におけるエアバッグアセンブリ100を示す。
図1はパッケージ化又は展開されていない構成のエアバッグアセンブリ100を示し、
図2は展開かつ膨張した構成のエアバッグアセンブリ100を示す。
図1~
図2は、車両50のステアリングホイール52及びステアリングコラム54を更に示す。ステアリングホイール52はカバー56を含み、その背後にエアバッグアセンブリ100が位置している。カバー56は、任意の好適な種類であってもよく、エアバッグが展開することができるティアシーム又はバーストシーム58を含んでもよい。
【0024】
エアバッグアセンブリ100は、膨張可能なエアバッグ110、インフレータ112、及びエアバッグハウジング114を含むことができる。図示した実施形態では、エアバッグ110は、クッションパネル120を含み、これは、展開かつ膨張した構成において、概して乗員又は乗員位置(例えば、車両シート)に向けられ、エアバッグ110の車室側を少なくとも部分的に画定することができる。基端側パネル122が、クッションパネル120の反対側に位置する。図示の実施形態では、エアバッグ110が展開かつ膨張した構成にあるとき、基端側パネル122は、ステアリングホイール52に隣接している。クッションパネル120及び基端側パネル122はまた、エアバッグ110が展開されたときにこれらのパネルの車両50内にある相対位置を考慮して、後方パネル120及び前方パネル122と称されることもある。基端側パネル122及びクッションパネル120は協働して、シーム175によって一緒に結合されたときに、膨張可能なチャンバ130を画定する。パネル120、122はまた、エアバッグクッション膜と称されることもあり、任意の好適な材料で形成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、パネル120、122は、ナイロン織物で形成される。その上、エアバッグクッション膜の様々なタイプ及び構成は、様々な実施形態に利用することができる。例えば、クッション膜のサイズ、形状、及び比率は、異なる車両又は車両内の異なる位置におけるその使用によって変化し得る。
【0025】
エアバッグ110は、以下で更に論じるように、エアバッグ110の展開中に所望の様式又はパターンでインフレータ112から膨張ガスを方向付けるように構成されたディフューザ140を更に含み得る。ディフューザ140は、例えば、パネル120、122に関して上述した材料のいずれかなどの、任意の好適な材料で形成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ディフューザ140及びパネル120、122は、同じ材料で形成されてもよい。他の実施形態では、ディフューザ140は、パネル120、122が形成される材料よりも硬く、より厚く、より強く、かつ/又はより耐熱性である材料で形成されてもよく、更になお、パッケージ化された構成に折り畳まれ、かつ/又は巻かれてもよい。いくつかの実施形態では、ディフューザ140は、ナイロン織物材料を含んでもよく、更なる実施形態では、シリコーンなどの1つ以上の材料でコーティングされてもよい。
【0026】
図3は、エアバッグ110の分解図を示し、又は別様に、エアバッグ110は、組み立てられていない構成で示されている。図示の実施形態では、クッションパネル120及び基端側パネル122はそれぞれ実質的に円形であり、同じサイズであって、クッションパネル120が基端側パネル122の上部に配置されている場合にそれらの周囲が実質的に互いに重なるか、又は互いに位置合わせする。前述したように、基端側パネル122及びクッションパネル120は協働して、膨張可能なチャンバ130を画定することができる。クッションパネル120及び基端側パネル122は、シーム175を介してなどの任意の好適な様式で一緒に接合することができる。シーム175は、封止されている又は封止されていないにかかわらず、任意の好適な種類であってもよく、ステッチ、1つ以上の接着剤、テーピング、溶接(例えば、高周波溶接)、ヒートシール、又は任意の他の好適な技術若しくは技術の組み合わせを介して形成されてもよく、したがって、シーム175は、1つ以上のステッチ、溶接(例えば、高周波溶接)、及び/又は接着剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シーム175は、単一の列のステッチを含んでもよい。他の実施形態では、シーム175は、複数の列のステッチを含んでもよく、これは、シーム175を補強するのに役立つ。エアバッグ110のアセンブリ中、いくつかの実施形態では、パネル120、122の外面は、互いに向き合うように位置付けられ、シーム175は、パネル120、122の周囲周りに形成される。続いて、パネル120、122は、シーム175がエアバッグ110の内部にあるように反転させることができる。
【0027】
クッションパネル120は、頭部及び/又は胴体又は乗員を受容するためのクッションを画定するように膨張するように構成され得る。図示の実施形態では、クッションパネル120は、膨張した構成において実質的にドーム形状であり、円形又は回転対称であってもよい。クッションパネル120の任意の他の好適な形状又は構成は、本開示の範囲内である。
【0028】
基端側パネル122は、インフレータ112と結合されるように構成されたインフレータ開口部123を画定し得る。例えば、いくつかの実施形態では、インフレータ開口部123は、インフレータ112の少なくとも一部を受容するような大きさを有する。他の実施形態では、インフレータ開口部123は、インフレータ112に物理的に結合されることなく、インフレータ112と流体的に結合され得る。例えば、他の実施形態では、インフレータ112は、インフレータ開口部123を通って延在しなくてもよいが、インフレータ開口部123を通って膨張ガスをエアバッグ110に導入するように位置付けられてもよい。
【0029】
基端側パネル122は、取付金具(図示せず)が延在し得る、1つ以上の取付孔124を画定し得る。ボルト、ねじなどの任意の好適な取付金具が可能である。取付孔124を使用して、基端側パネル122をエアバッグハウジング114に直接固定することができ、これは次に、取付ブラケットを介してなど、車両50の任意の好適な部分に固定され得る。他の実施形態では、取付孔124を通して挿入される取付金具は、基端側パネル122及びエアバッグハウジング114の両方に、車両50へと直接取り付けることができる。
【0030】
基端側パネル122は、1つ以上の通気孔126、127を更に画定することができる。通気孔126、127は、ライドダウン中に車両乗員がエアバッグ110によって衝撃から保護されるときなど、受動的な通気を許容し得る。
【0031】
ディフューザ140は、エアバッグ110の所望の充填パターンを達成するのに好適な様式で、基端側パネル122に成形及び/又は取り付けられ得る。ディフューザ140は、1つ以上のシームを介して基端側パネル122に結合され得る。ディフューザ140は、以下でより詳細に説明する第1のパネル141及び第2のパネル142を備えてもよい。ディフューザ140は、分解図で示されている。
【0032】
図4及び
図5は、2つのディフューザ140の異なる実施形態を示す。
図4のディフューザ140は、第1のパネル141及び第2のパネル142を備える。いくつかの実施形態では、第1のパネル141は、底部パネル又は車両向きパネルとして説明されることがあり、第2のパネル142は、上部パネル又は乗員向きパネルとして説明されることがある。第2のパネル142は、インフレータ112からの膨張ガスを、ディフューザ140の側面を通る複数の穴148を通って横方向に方向を変えるように構成されている。したがって、インフレータ112からの膨張ガスがクッションパネル120に直ちに係合又は衝突することはなく、それは、衝突事象中に乗員がエアバッグ110に衝突するときの、乗員が遭遇する圧力を軽減する。
【0033】
第1のパネル141及び第2のパネル142は、実質的に円形であり得る。しかしながら、第1のパネル141及び第2のパネル142は、三角形、正方形、長方形、台形、多角形などの、様々な異なる形状を有してもよい。図示された実施形態などのように、いくつかの実施形態では、第1のパネル141及び第2のパネル142は、同様の形状を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1のパネル141は、第2のパネル142と異なる形状を有してもよい。更に、第1のパネル141は、第2のパネル142の直径よりも小さい直径を有する。
【0034】
第1のパネル141は、インフレータ112と結合するように、かつ/又はインフレータ112と流体連通するように構成されたインフレータ開口部又は孔143を画定し得る。インフレータ孔143は、第1のパネル141の中心に配置され得る。いくつかの実施形態では、インフレータ孔143は、インフレータ112の少なくとも一部を受容するような大きさを有する。他の実施形態では、インフレータ孔143は、インフレータ112に物理的に結合することなく、インフレータ112と流体的に結合し得る。例えば、他の実施形態では、インフレータ112は、インフレータ孔143を通って延在しなくてもよいが、インフレータ孔143を通って膨張ガスをエアバッグ110に導入するように位置付けられてもよい。
【0035】
第1のパネル141は、第1のパネル141の周囲から延在する複数のアーム145を更に含み得る。図示した実施形態では、第1のパネル141は、互いに等しく半径方向に離間した4つのアーム145を有する。しかしながら、第1のパネル141は、4つよりも多い又は少ないアームを含んでもよい。
【0036】
第1のパネル141は、取付金具(図示せず)が延在することができる、1つ以上の取付孔147を画定し得る。ボルト、ねじなどの任意の好適な取付金具が可能である。取付金具147を使用して、第1のパネル141及び基端側パネル122をエアバッグハウジング114に直接固定することができ、これは次に、取付ブラケットを介してなど、車両50の任意の好適な部分に固定し得る。したがって、取付金具147は、基端側パネル122の取付孔124に対応し得る。
【0037】
第2のパネル142は、第2のパネル142の中心に配置された孔144を画定することができる。第2のパネル142内の孔144は、孔144がない場合よりも膨張ガスがクッションパネル120に早くアクセスするため、クッションパネル120の展開タイミングを増加させることができる。いくつかの実施形態では、孔144は、第2のパネル142の中心以外の位置に配置される。第2のパネル142内の孔144の位置は、クッションパネル120の展開方向を制御する又は展開方向に影響を与えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、孔144は、第2パネル142の上端部よりも下端部近くの第2パネル142に配置され、これは、ディフューザを、通気孔126、127から離れるように下方に展開させる。いくつかの実施形態では、孔144は、第2パネル142の下端部よりも上端部近くの第2パネル142に配置され、これは、ディフューザを、通気孔126、127向かって上方に展開させて、エアバッグ110内の圧力を増加させる。いくつかの実施形態では、第2のパネル142は、第2のパネル142の様々な位置に配置された複数の孔144を含んでもよい。複数の孔の位置は、エアバッグ110の展開中にディフューザ140の展開方向を制御する又は展開方向に影響を与えるように設計され得る。以下で更に詳細に論じるように、第2のパネル142内の孔144は、孔144を通る膨張ガスの流れ(例えば、制限された通過)を可能にするように構成されている。孔144は、パッケージ化された構成及び展開された構成においてインフレータ孔143と位置合わせされ、かつ同心になるように設計されている。いくつかの実施形態では、孔144の直径は、インフレータ孔143又はインフレータアセンブリ112の出力の直径よりも小さい。
【0038】
第2のパネル142は、第2のパネル142の周囲から延在する複数のアーム146を更に含み得る。第2のパネル142は、互いに等しく半径方向に離間し得る4つのアーム146を有する。図示した実施形態では、アーム146のうちの1つは、第2のパネル142によって隠されている。しかしながら、第2のパネル142は、4つ以上のアームを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のパネル142は、第1のパネル141と同じ数のアーム146を有する。第2のパネル142の複数のアーム146は、第1のパネル141の複数のアーム145の対応するアームに結合する。第2のパネル142の複数のアーム146と第1のパネル141の複数のアーム145との結合は、第1のパネル141と第2のパネル142とを一緒に結合する複数のアームを作成する。複数の開口部148が隣接する結合アーム間に配置され、膨張ガスのための流路を、その膨張ガスが第2のパネル142に行き当たった後を含み、提供する。開口部148は、第1のパネル141及び第2のパネル142の周囲の周りに、等しく半径方向に離間され得る。
【0039】
展開された構成では、第2のパネル142は、第1のパネル141から離間している。言い換えれば、第2のパネルは、第1のパネル141から離れるように飛び出る。インフレータ112からの膨張ガスは、第2のパネル142を第1のパネル141から離れるように押し、第2のパネル142は、開口部148のうちの1つに向けて膨張ガスの方向を変える。第2のパネル142は、結合アーム145、146の長さまで第1のパネル141から離間されている。
【0040】
図5は、特定の点において、上述の
図4のディフューザ140に類似するディフューザ140’の実施形態を示す。したがって、同様の特徴は、アポストロフィが追加された同様の参照符号によって指定されている。例えば、
図5に示す実施形態は、いくつかの点で、
図4の第1のパネル141及び第2のパネル142に類似し得る第1のパネル141’及び第2のパネル142’を含む。よって、同様に識別される特徴に関する上述の関連の開示は、以下に繰り返されないことがある。更に、
図4に示すディフューザ140及び関連の構成要素の特定の特徴は、図面中の参照番号で図示されないか、若しくは識別されない、又は以下の説明において具体的に説明されないことがある。しかしながら、かかる特徴は、他の実施形態で示された特徴及び/又はこのような実施形態に対して説明された特徴と明らかに同じであってもよく、又は実質的に同じであってもよい。したがって、かかる特徴の関連の説明は、
図5に示すディフューザ140’及び関連の構成要素の特徴に対して同等に適用される。
図4に示すディフューザ140及び関連構成要素に関して説明される、特徴の任意の好適な組み合わせ及びその変形例は、
図5のディフューザ140’及び関連の構成要素と共に用いることができ、逆もまた同様である。この開示のパターンは、後続の図に示し、以下で説明される更なる実施形態に同等に適用される。
図5のディフューザ140’、上部パネル142’のアーム及び底部パネル141’のアームは、互いに一体であり、単一の布片である。
【0041】
図6は、エアバッグ110の展開、及びエアバッグ110を膨張ガスで膨張させることの概略図である。エアバッグ110の展開中に、膨張ガスはインフレータ112から放出され、膨張ガスは流路をたどる。膨張ガスは、孔144を通って流れることができ、又は膨張ガスは第2のパネル142に行き当たり得て、第2のパネル142は、ディフューザ140の側面上の複数の開口部148のうちの1つに膨張ガスの方向を変える。孔144は小さいため、膨張ガスのごく一部又は限定された部分のみが孔144を通って流れることができ、したがって、膨張ガスの大部分は開口部148を通って流れ得て、膨張ガスを横方向又は半径方向に、かつ乗員から離れるように方向付けることができる。上述のように、孔144の直径は、インフレータアセンブリ112又はインフレータ孔143(
図4を参照)の直径よりも小さく、その結果、孔144を通る空気流を制限することができる(少なくともインフレータ孔143からの流れに対して制限される)。
【0042】
第2のパネル142内の孔144は、いくつかの利点を提供することができる。例えば、ディフューザ140が第2のパネル142内の孔144を有さない場合、エアバッグ110及びディフューザ140の展開中に、
図6に示すように、ディフューザ140は、基端側パネル122の通気孔126、127のうちの1つと重なる傾向がある。
【0043】
通気孔126、127は、ステアリングホイール52の外側に配置すると高温の膨張ガスが乗員の手に当たる可能性があるため、ステアリングホイール52内に配置される。したがって、通気孔126、127及びディフューザ140は、エアバッグ110内の同様の空間を占める。ディフューザ140が通気孔126、127のうちの1つと重なる場合、ライドダウン中に通気孔126、127からの膨張ガスの通気が影響を受け、ライドダウンプロセス中にエアバッグ110内の圧力を急上昇させることができる。
【0044】
図7は、ディフューザ140が通気孔126と重なる、重なり距離O1を示す。重なり距離O1が大きいほど、ライドダウン中にエアバッグ110内の圧力が大きくなる。ディフューザ140と通気孔126とが重なるこの状況は、孔144がディフューザの第2のパネル142に配置される場合に、回避され得る。
図8は、エアバッグ110の展開中の孔144を含むディフューザ140の展開を示す。孔144は、気流が通るのを可能にすることによって、展開中にディフューザ140を中心に置くように機能する。言い方を変えれば、孔144を通る空気流は、インフレータ孔143に対してディフューザを中心に置く。したがって、ディフューザ140は、エアバッグ110のライドダウン中に中心に留まることができる。ディフューザ140のセンタリングにより、エアバッグ110の展開中及びライドダウン中にディフューザ140が通気孔126,127に重なることを防止し、かつエアバッグ110内の潜在的な圧力急上昇を防止することができる。
【0045】
第2のパネル142の孔144もまた、エアバッグ110の製造プロセスにおいて有利である。エアバッグ110の製造プロセス及びパッケージ化により、エアバッグ110が安定かつ繰り返し可能な様式で展開することが確実になる。エアバッグ110の安定かつ一貫した展開を容易にするために、ディフューザ140の中心及びクッションパネル120の中心が製造プロセス中に位置合わせされる。クッションパネル120及びディフューザ140は、クッションパネル120及びディフューザ140のセンタリングを容易にするために、一時的に一緒に縫製されてもよい。ディフューザ140の第2のパネル142内の孔144により、製造業者がディフューザ140及びクッションパネル120の中心を位置合わせすることが可能になる。例えば、製造業者は、クッションパネル120及び基端側パネル122が一緒に縫製された後に、孔144及びインフレータ孔143を介してクッションパネル120の内面にマークを付けることができる。このようにして、製造業者は、最初にディフューザ140の中心とクッションパネル120の中心とを位置合わせしてから、それらを縫合することができる。
【0046】
製造業者は、クッションパネル120及びディフューザ140を破断シーム、破断ステッチ、タックステッチ、又は別の同様の方法で縫製し合わせることによって、位置合わせを確実にすることができる。破断シームは、エアバッグ110の展開中に分離し、それによって、クッションパネル120をディフューザ140から解放する。破断シームの分離は、膨張中の膨張ガス展開中のエアバッグ110によって与えられる力から発生し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、クッションパネル120は、クッションパネル120の中心に配置された孔(図示せず)を更に含み得る。クッションパネル120の孔は、ディフューザ140内の孔144と同じ位置合わせ目的を果たすことができる。製造業者は、3つの穴、クッションパネル120の孔、ディフューザ140内の孔144、又はインフレータ開口部123を使用して、製造プロセス中にエアバッグ110を位置合わせすることができる。エアバッグ110が位置合わせされると、製造業者は、破断シーム、破断ステッチ、タックステッチなどを介して、クッションパネル120をディフューザ140に一時的に縫製することができる。クッションパネル120内に孔を含む実施形態では、エアバッグアセンブリ100は、エアバッグ展開中に膨張ガスが乗員と接触しないように、エアバッグ110の展開中に孔を閉鎖するためのフラップ(図示せず)を更に含む。
【0048】
図9は、事前にパッケージ化された構成におけるエアバッグアセンブリ100の断面図を示す。製造プロセスにおけるこの時点で、エアバッグアセンブリ100は、パッケージ化された構成に巻かれる、折り畳まれるなどして、ステアリングホイール52内に配置されたハウジング内に配置される。前述のように、エアバッグアセンブリ100のエアバッグ110は、シーム175を介して一緒に結合されたクッションパネル120及び基端側パネル122を含む。ディフューザ140は、クッションパネル120及び基端側パネル122によって画定される膨張可能なチャンバ130内に配置される。ディフューザ140は、第1のパネル141及び第2のパネル142を含む。クッションパネル120、孔144、インフレータ孔143、及びインフレータ開口部123の中心は、軸A1に沿って位置合わせされている。破断シーム、破断ステッチ、タックステッチ、又は別の同様の方法(図示せず)を使用、ディフューザ140をクッションパネル120に一時的に結合することができる。ディフューザ140とクッションパネル120との一時的な結合により、残りの製造プロセス及びエアバッグ110の車両への設置中に、ディフューザ140とクッションパネル120との位置合わせが維持される。
【0049】
いくつかの実施形態では、エアバッグアセンブリ100は、クッションパネル120に取り付けられ得るテザー150を更に含むことができる。テザー150は、深さ規定テザー及び/又は安定化テザーと呼ばれることもある。テザー150は、以下で更に論じるように、展開中に、エアバッグ110が完全に膨張した時点で、及び/又は車両乗員が膨張したエアバッグ110に衝突した後の車両乗員のライドダウン中に、エアバッグ110の所望の外形を達成するのを補助することができる。テザー150は、例えば、パネル120、122に関して上述した材料のいずれかなどの、任意の好適な材料で形成し得る。例えば、いくつかの実施形態では、テザー150及びパネル120、122を同じ材料で形成してもよい。他の実施形態では、テザー150を、パネル120、122が形成される材料よりも硬く、より厚い、かつ/又はより強度のある材料で形成してもよい。
【0050】
図10は、一実施形態による事前にパッケージ化された構成におけるエアバッグアセンブリ100’’の断面図を示す。エアバッグアセンブリ100’’は、シーム175’’を介して一緒に結合されたクッションパネル120’’及び基端側パネル122’’を備えるエアバッグ110’’を含む。エアバッグアセンブリ100’’のディフューザ140’’は、クッションパネル120’’及び基端側パネル122’’によって画定される膨張可能なチャンバ130’’内に配置される。基端側パネル122’’は、基端側パネル122’’の中心に配置されたインフレータ開口部123’’を画定する。ディフューザ140’’は、第1のパネル141’’及び第2のパネル142’’を含む。インフレータ孔143’’は、第1のパネル141’’の中心に配置され、孔144’’は、第2のパネル142’’の中心に配置される。クッションパネル120’’、孔144’’、インフレータ孔143’’、及びインフレータ開口部123’’の中心は、軸A1’’に沿って位置合わせされる。
【0051】
エアバッグアセンブリ100’’は、乗員の頭部を受容するように構成された中心受容領域109’’に対向する側に配置された、一対のローブ111’’を更に含み得る。ローブ111’’は、乗員の頭部を受容し、かつ/又は接触させるか若しくは係合することができ、例えば斜めの衝突状態で起こり得る、頭部の時計回り又は反時計回りの回転を引き起こし得る頭部への力に対抗するために、頭部の側面に支持を提供することができる。エアバッグアセンブリ100’’は、ローブ111’’の展開及び形成を容易にする2つの内部テザー150’’を更に含む。テザー150’’は、エアバッグクッションの前方部分(例えば、基端側パネル122’’)でエアバッグクッションの内部に固定され、かつクッションパネル120’’の内面で固定される。
【0052】
いくつかの実施形態では、第2のパネル142の孔144は、通気開口機構を備え得る。一実施形態では、
図11に示すように、第2のパネル142は、孔144と重なるフラップ160を備えてもよい。エアバッグ110の展開中、フラップ160は、孔144を通って流れる膨張ガスによって、ヒンジ161に沿って孔144から離れるように折り畳まれる。
【0053】
図12は、通気開口機構の別の実施形態、二重フラップを示す。二重フラップは、第1のフラップ162(例えば、内側フラップ)及び第2のフラップ164(例えば、外側フラップ)を備える。第1のフラップ162は、第2のパネル142の材料の第1の層から作製され、第2のフラップ164は、第2のパネル142の材料の第2の層から作製される。第1のフラップ162の直径は、第2のフラップ164の直径よりも小さい。したがって、エアバッグ110の展開中に、第1のフラップ162及び第2のフラップ164は、孔144を通って流れる膨張ガスによって、孔144から離れるように折り畳まれる。第1のフラップ162の直径が第2のフラップ164の直径よりも小さいため、第1のフラップ162は、孔144を通過することができる。第1のフラップ162は、孔144の片側に配置されたヒンジ163を備え、第2のフラップ164は、孔144の反対側に配置されたヒンジ165を備える。
【0054】
図13A及び
図13Bは、通気開口機構の異なる実施形態の概略図を示す。
図13A及び
図13Bに示す通気開口機構は、分離ブリッジ166である。分離ブリッジ166は、孔144を横切って横方向に延在する。
図13Aは、展開前の構成における分離ブリッジ166を示し、
図13Bは、展開後の構成における分離ブリッジ166を示す。分離ブリッジ166は、孔144を通って流れる膨張ガスによってエアバッグ110の展開中に破断するように構成された穿孔シーム167を含み得る。
【0055】
例示的な実施形態
【0056】
以下は、本開示の範囲内のいくつかの例示的な実施形態である。本開示を提供する際の複雑さを回避するために、以下に記載する実施例の全てが、以下に記載する実施例の他の全て及び本明細書の上記で開示する他の実施形態と組み合わせ可能であると本明細書で企図されているものとして、別々に、かつ明示的に開示されているわけではない。以下に記載するこれらの実施例(及び上記の開示された実施形態)が組み合わせ可能ではないと当業者が理解する場合を除き、かかる実施例及び実施形態が組み合わせ可能であることが、本開示の範囲内で企図されている。
【0057】
実施例1.車両のステアリングホイールに取り付けられるように構成されたハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されたインフレータアセンブリと、インフレータアセンブリに動作可能に結合された、膨張可能なチャンバを画定するエアバッグと、インフレータブルチャンバ内にインフレータアセンブリと流体連通して配置されたディフューザであって、ディフューザの乗員向きパネルの中心に配置された孔を含む乗員向きパネルを含み、展開時に、乗員向きパネルがインフレータアセンブリから所定の距離だけ離れて展開する、ディフューザと、を備える、膨張可能なエアバッグシステム。
【0058】
実施例2.展開時に、ディフューザが、ディフューザの側面に沿った複数の開口部を備え、それによって、ディフューザが、孔を通る膨張ガスの一部を許容しながら、膨張ガスの方向を横方向に変えることを可能とする、実施例1に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0059】
実施例3.孔の直径が、インフレータアセンブリの出力の直径よりも小さい、実施例1に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0060】
実施例4.孔が、孔を横切って延在する分離ブリッジを備え、分離ブリッジは、孔を通る膨張ガスの流れにより、エアバッグの展開中に破断するように構成されている、実施例1に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0061】
実施例5.孔が、孔に重なるフラップを備え、フラップは、孔を通る膨張ガスの流れにより、エアバッグの展開中に孔から離れるように折り畳まれるように構成されている、実施例1に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0062】
実施例6.孔が、孔に重なる第1のフラップと、第1のフラップに重なる第2のフラップとを備え、第1及び第2のフラップは、孔を通る膨張ガスの流れにより、エアバッグの展開中に孔から離れるように折り畳まれるように構成されている、実施例1に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0063】
実施例7.第1のフラップ及び第2のフラップが孔の周囲に結合されており、第1のフラップが、第2のフラップの反対側に結合されている、実施例6に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0064】
実施例8.エアバッグが、エアバッグの前方対向面に配置された複数の通気孔を更に備える、実施例1に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0065】
実施例9.展開された構成において、通気孔は、ステアリングホイールの周囲内に配置されている、実施例8に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0066】
実施例10.エアバッグの展開中に、孔とインフレータ孔とを位置合わせすることにより、複数の通気孔を通る膨張ガスの通気中に、ディフューザが複数の通気孔に重なることを防止する、実施例8に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0067】
実施例11.テザーを更に備え、テザーの第1の端部がインフレータアセンブリに結合され、テザーの第2の端部が乗員向きパネルの中心に結合されている、実施例1に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0068】
実施例12.乗員向きパネルが、衝突事象中に乗員の頭部を受容するように構成された衝突面を提供するための中心受容領域を備える、実施例1に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0069】
実施例13.中心受容領域に対向する側に配置された一対のローブを更に備え、一対のローブは、後方に延在して乗員の頭部の対向する側に係止するように膨張させるように構成されている、実施例12に記載の膨張可能なエアバッグシステム。
【0070】
実施例14.第1のパネル、第2のパネル、及びインフレータを備える、膨張可能なエアバッグのためのディフューザ。第1のパネルは、第1のパネルの中心に配置されたインフレータ孔であって、膨張可能なエアバッグを膨張させるための膨張ガスを提供するエアバッグインフレータを受容するように構成されている、インフレータ孔と、第1のパネルの周囲から離れるように延在する複数のアームと、を備える。第2のパネルは、第2のパネル内に配置されたディフューザ孔と、第2のパネルの周囲から離れるように延在する複数のアームと、を備え、パッケージ化された構成において、ディフューザ孔とインフレータ孔とが同心である。第1のパネルの複数のアームの各アームは、第2のパネルの複数のアームの対応するアームに結合する。
【0071】
実施例15.ディフューザ孔が第2のパネルの中心に配置され、展開された構成において、ディフューザ孔とインフレータ孔とが同心である、実施例14に記載のディフューザ。
【0072】
実施例16.孔の直径が、インフレータ孔の直径よりも小さい、実施例14に記載のディフューザ。
【0073】
実施例17.展開された構成において、第2のパネルが第1のパネルから離間されており、第1のパネルが複数のアームを介して第2のパネルに結合されている、実施例14に記載のディフューザ。
【0074】
実施例18.展開された構成において、複数の開口部が、隣接する結合アーム間のディフューザの側面上に配置され、第2のパネルは、膨張ガスの方向を第2のパネル内の複数の開口部及び孔に向けて変えるように構成されている、実施例17に記載のディフューザ。
【0075】
実施例19.孔が、孔を横切って延在する分離ブリッジを備え、分離ブリッジは、孔を通る膨張ガスの流れにより、展開中に破断するように構成されている、実施例14に記載のディフューザ。
【0076】
実施例20.孔が、孔に重なる第1のフラップ、及び第1のフラップに重なる第2のフラップを備え、第1及び第2のフラップは、孔を通る膨張ガスの流れにより、展開中に孔から離れるように折り畳まれるように構成されている、実施例14に記載のディフューザ。
【0077】
本明細書全体を通して、「結合された」及び「連通する」という語句は、機械的な、電気的な、磁気的な、電磁的な、流体的な、及び熱的な相互作用を含めて、2つ以上の物体間の、任意の形態での相互作用を指す。2つの構成要素は、2つの構成要素が互いに直接接触していなくても、互いに結合され得る。「当接する」及び「当接すること」という用語は、互いに直接物理的に接触している物品を指すが、物品は必ずしも一緒に取り付けられていなくてもよい。
【0078】
「取り付けられた」及び「直接取り付けられた」という語句は、互いに直接接触している及び/又は任意の好適な種類のファスナ(例えば、取付金物若しくは接着剤)のみによって互いに分離されている、2つ以上の物体間の相互作用を指す。
【0079】
「流体連通」という語句は、その通常の意味で使用され、要素が互いに流体連通しているときに、流体(例えば、ガス又は液体)が1つの要素から別の要素に流れることができる構成を指すのに、十分に広範である。
【0080】
「a」及び「an」という用語は、単数として記載し得るが、単数に限定されるものではない。例えば、本開示は、「チャンバ」を有するエアバッグを記載し得るが、本開示はまた、エアバッグが2つ以上のチャンバを有し得ることも想定している。
【0081】
「長手方向の」及び「長手方向に」という用語は、車両の前方と車両の後方との間に延在するか、又はまたがる方向若しくは配向を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「前方」及び「後方」という用語は、関連する車両の前面及び背面を参照して使用される。例えば、後方方向に展開するエアバッグクッションは、車両の背面に向かって展開する。更に、水平などの他の参照用語は、異なる参照フレームが意図されている文脈から明らかでない限り、エアバッグアセンブリが設置される車両に対して使用される。したがって、「水平」などの用語は、車両自体が水平に配向されている(例えば、平地に直立して位置している)か、又は真の水平に対して角度が付けられている(例えば、丘の上に位置している)かにかかわらず、車両に対して使用される。
【0083】
特に明記しない限り、全ての範囲は、両方の端点と、端点の間のすべての数値とを含む。
【0084】
車両着座位置は、車両のシートに着座しているときの乗員が一般に配置されている位置を指す。「乗員」という用語は、車両内の人又は衝突試験ダミーを指す。
【0085】
本明細書全体における「一実施形態(an embodiment)」又は「実施形態(the embodiment)」への言及は、当該実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書全体において記載されている句、又は句の変形は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及してはいない。
【0086】
同様に、実施形態の上記の説明において、様々な特徴は、本開示を合理化するために、これらの特徴の単一の実施形態、図、又は説明で一緒にグループ化されていることがあることを理解されたい。しかしながら、開示のこの方法は、いずれかの請求項が当該請求項に明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、いずれかの単一の前述の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。よって、この発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲は、この発明を実施するための形態に明示的に組み込まれており、請求項のそれぞれは、別個の実施形態としてそれ自体で成立する。本開示は、独立請求項と独立請求項の従属請求項との全ての並べ替えを含む。
【0087】
特徴又は要素に対する「第1の」という用語の特許請求の範囲における記載は、第2の又は追加のそのような特徴又は要素の存在を必ずしも示唆してはいない。変更が、本発明の根本的な原理から逸脱することなく、上記の実施形態の詳細になされてもよいことが、当業者には明らかである。排他的な所有権又は特権が請求されている本発明の実施形態は、以下のように定義される。