(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】物品を注入可能な製品で充填するための充填装置
(51)【国際特許分類】
B67C 3/02 20060101AFI20231204BHJP
B65B 3/04 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
B67C3/02 A
B65B3/04
(21)【出願番号】P 2022532076
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2019086187
(87)【国際公開番号】W WO2021121593
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】504102770
【氏名又は名称】シデル パルティシパション
【氏名又は名称原語表記】SIDEL PARTICIPATIONS
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バンディニ,フィリッポ
(72)【発明者】
【氏名】オッラリ,ミケーレ
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/057695(WO,A1)
【文献】特開2016-216103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/00-11/06
B65B 1/00- 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入可能な製品を物品(2)に充填するように構成された充填装置(5)であって、
-長手方向軸線(B)を有し、一度に1つの空の物品(2)に向けて注入可能な製品を供給するための流路(11)を内部に画定する管状体(10)と、
-弁部材(18)であって、管状体(10)と係合し、流路(11)内で軸線方向に移動可能であり、前記物品(2)に向かう注入可能な製品の流れを可能にする、又は防止する弁部材(18)と、
-流路(11)内の弁部材(18)の軸運動を駆動するように構成された磁気アクチュエータ手段(20)と、
を備え、
前記磁気アクチュエータ手段(20)は、弁部材(18)によって担持された被駆動磁気アセンブリ(24)と、流路(11)の外側に配置され、流路(11)内の弁部材(18)の動きを制御するために被駆動磁気アセンブリ(24)と磁気的に結合されるように構成された駆動磁気アセンブリ(25)とを備え、
前記駆動磁気アセンブリ(25)は、前記管状体(10)の対極側面に配置された一対の第1の磁気要素(26)を有し、前記被駆動磁気アセンブリ(24)は、前記弁部材(18)内に配置された少なくとも1つの第2の磁気要素(30)を有し、
前記第1の磁気要素(26)の各々は、2つの第1の磁気双極子(51)を備え、2つの第1の磁気双極子(51)は、互いに対して軸線方向に連続して、前記軸線(B)から同じ半径距離に、かつ、等しい符号の相対磁極が軸線方向に互いに対向するようにそれぞれの位置に配置され、
前記第2の磁気要素(30)は、2つの第2の磁気双極子(52)を備え、2つの第2の磁気双極子(52)は、互いに対して軸線方向に連続して、前記軸線(B)から同じ半径距離に、かつ、等しい符号の相対磁極が軸線方向に互いに対向するようにそれぞれの位置に配置され、
各第1の磁気要素(26)は、前記2つの第1の磁気双極子(51)の間に軸線方向に介在
し、前記軸線(B)に対して径方向に連続して配置された磁極を含
む第3の磁気双極子(53)を更に備え、前記第3の磁気双極子(53)の半径方向最内側の磁極が、軸線方向に互いに対向する前記第1の磁気双極子(51)の磁極の符号に等しい符号を有し、
第1の磁気要素(26)は、第1及び第3の磁気双極子(51、53)の磁極及び反対の符号を有する第2の磁気双極子(52)の磁極が、半径方向に互いに対向するように、第2の磁気要素(30)と半径方向に対向する、充填装置(5)。
【請求項2】
前記第1の磁気要素(26)は、前記軸線(B)から同じ半径距離に配置される、請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記第2の磁性
要素(30)は、前記第2の磁気双極子(52)の間に軸線方向に介在する強磁性部材(55)を備える、請求項1又は2に記載の充填装置。
【請求項4】
各前記第3の磁気双極子(53)の半径方向最内側の磁極は、前記強磁性
部材(55)に半径方向に対向する、請求項3に記載の充填装置。
【請求項5】
各第1の磁気要素(26)について、前記第3の磁気双極子(53)は前記第1の磁気双極子(51)に隣接する、請求項1~4のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項6】
各第1の磁気要素(26)は
、2つの第1の磁気双極子(51)と、第3の磁気双極子(53)と
で構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項7】
前記被駆動磁気アセンブリ(24)は、前記軸線(B)に対するそれぞれの周方向位置で前記弁部材(18)内に配置された一対の前記第2の磁気要素(30)を有し、
第1の磁気要素(26)の各々は、第2の磁気要素(30)のうちの最も近いものと共に磁気対(31)を画定し、
各磁気対(31)について、第1及び第3の磁気双極子(51、53)及び反対の符号を有する第2の磁気双極子(52)の磁極は、半径方向に互いに対向するように、第1の磁気要素(26)は、第2の磁気要素(30)と半径方向に対向する、請求項1~6のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項8】
前記第2の磁気要素(30)は、前記軸線(B)から同じ半径距離に配置される、請求項7に記載の充填装置。
【請求項9】
-前記磁気対(31)は、前記軸線(B)に対して単一の半径方向に沿って単一列の磁気対(31)を画定するように配置される、請求項7又は8に記載の充填装置。
【請求項10】
前記磁気アクチュエータ手段(20)は、前記単一の半径方向に沿って配置され
た2つの磁気対(31)
で構成される、請求項9に記載の充填装置。
【請求項11】
-注入可能な製品を物品(2)に充填するように構成された機械(1)であって、
-一連の前記物品(2)を前進経路(P)に沿って前進させるように構成された搬送装置(3)と、
-前記搬送装置(3)によって担持され、経路(P)に沿って前進する間にそれぞれの物品(2)を充填するように構成された、請求項1~
10のいずれか一項に記載の複数の充填装置(5)と、
を備える、機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入可能な製品、好ましくは水、炭酸飲料、ミルク、ジュース等の注入可能な食品製品で物品を充填するように構成された充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品、特にプラスチック又はガラス瓶、缶、瓶等の容器を注入可能な製品で充填するために通常使用される充填機が知られている。そのような充填機は、本質的に、コンベヤ装置、通常は垂直軸線を中心に回転可能なカルーセル等の回転可能コンベヤ装置、注入可能な製品を収容するリザーバ、及び、複数の充填装置を備える。
【0003】
詳細には、そのような充填装置は、カルーセルによって周囲に担持され、それぞれのダクトによってリザーバに流体接続され、円弧状の移送経路に沿ってカルーセルによって搬送される。
【0004】
更に、充填機は通常、一連の空の容器をカルーセルに供給するための入口コンベヤと、カルーセルから充填された容器を受け取り、そのような充填された容器を更なる処理ユニット、例えばキャッピングユニットに供給するように構成された出口コンベヤとを備える。
【0005】
典型的な充填装置は、充填バルブを本質的に画定し、
-カルーセルの周縁部に取り付けられ、それぞれの空の容器に向けて注入可能な製品を供給するための流路を内部に画定する長手方向の管状体と、
-管状体と摺動するように係合し、それぞれの容器に向かう注入可能な製品の流れを可能にし、又は防止するように流路に沿って移動可能な少なくとも1つの弁体、通常はシャッタと、
-流路内のシャッタの移動を制御するように構成されたアクチュエータ手段と、
を備える。
【0006】
いくつかの既知の実施形態では、流路は、カルーセル軸に平行な長手方向軸線を呈する直線構成を有する。
【0007】
典型的には、流路は、その下端部において、使用時に、充填されるそれぞれの容器に向かって流路から注入可能な製品が流出することを可能にするように構成された出口通路セクション、すなわち出口開口部で終端する。
【0008】
一般に、出口開口部は、管状体軸線と同軸に管状体の底端部に配置される。
【0009】
あるいは、出口開口部は、管状体の側壁に、したがって管状体軸線に対して横方向に得られる。
【0010】
流路と外部構成要素との間の完全な隔離を確保しながらシャッタを制御するために、通常は管状体の外側に配置される駆動磁気アセンブリと、シャッタによって担持される被駆動磁気アセンブリとを備える磁気式のアクチュエータ手段が知られている。このような磁気アクチュエータ手段は、充填バルブの適切な無菌状態を確保するのに特に有利である。
【0011】
いくつかの実施形態では、駆動磁気アセンブリ及び被駆動磁気アセンブリは、駆動磁気アセンブリの動き、特に上記長手方向軸線に沿った軸運動が、流路内の被駆動磁気アセンブリ、及びしたがってシャッタの対応する軸運動を決定するように、互いに磁気的に結合されるように構成された永久磁石によって画定される。
【0012】
機能的に有効であるが、既知の充填装置は、更なる改良のために開放されている。
【0013】
特に、磁気アクチュエータ手段の駆動磁気アセンブリと被駆動磁気アセンブリとの間の磁気結合を改善すると同時に、同じ充填機のカルーセルによって担持される、他の充填装置の磁気アクチュエータ手段との磁気干渉を低減する必要性が感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、簡単かつ低コストで上述の必要性を満たすように設計された充填装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、請求項1に記載の充填装置によって達成される。
【0016】
本発明の非限定的な実施形態を、添付の図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の教示による複数の充填装置を備える充填機の、明確にするために部品を取り除いた上面概略図である。
【
図2】
図1の1つの充填装置の、明確にするために部品を取り除いた、より大規模な概略斜視図である。
【
図3a】2つの異なる動作状態における
図2の充填装置の部分拡大断面図である。
【
図3b】2つの異なる動作状態における
図2の充填装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、番号1は、全体として、複数の物品、特にプラスチック又はガラス瓶、缶、ジャー等の容器2を、注入可能な製品、好ましくは注入可能な食品製品で充填するための充填機を示す。
【0019】
充填機1は、本質的に、
-搬送装置、特に、好ましくは垂直配向を有し、円弧状の前進経路Pに沿って容器2を前進させるように構成された、中心軸Aの周りで回転可能なカルーセル3と、
-容器2に供給される注入可能な製品を収容するためのリザーバ4と、
-経路Pに沿って前進する間に、それぞれの容器2を充填するように構成された複数の充填装置5と、
を備える。
【0020】
詳細には、各充填装置5は、所定量の注入可能な製品を一度に1つの容器2に供給するように構成された充填バルブを画定し、一方、容器2は、カルーセル3によって与えられる回転運動のために経路Pに沿って前進される。
【0021】
より具体的には、各充填装置5は、カルーセル3によって周囲に担持され、充填機1のそれぞれのダクト6によってリザーバ4に流体接続される。
【0022】
図1に見られるように、充填機1は、一連の空の容器2をカルーセル3に供給するように適合された入口コンベヤ、好ましくはスターホイール7と、カルーセル3から充填された容器2を受け取るように適合された出口コンベヤ、好ましくはスターホイール8とを更に備える。
【0023】
特に、スターホイール7及びスターホイール8は、軸Aに実質的に平行な、それぞれの回転軸A’及びA’’を中心に回転可能である。
【0024】
本明細書では、「実質的に」という単語は、充填機1の様々な構成要素間の空間的関係の中に存在し得る、通常の許容範囲を考慮に入れるために使用されると述べられる。
【0025】
以下では、簡潔にするため、充填装置5は互いに同一であるため、本発明の非限定的な好ましい実施形態による、それぞれの容器2を充填するように構成された単一の充填装置5についてのみ説明される。
【0026】
しかしながら、このような充填装置5及び容器2について以下に開示される全ての特徴は、充填機1の各充填装置5及び充填機1によって充填される各容器2に適用可能である。
【0027】
特に
図2を参照すると、充填装置5は管状体10を備え、管状体10は、既知の方法でカルーセル3の周縁部に取り付けられ、長手方向軸線Bを有し、空の容器2に向かって注入可能な製品を供給するための流路11を内部に画定する。
【0028】
特に、管状体10は、使用時に、それぞれのダクト6から注入可能な製品を受け取り、所定量の注入可能な製品を、流路11の下流に配置され、注入可能な製品を容器2に向かって及び容器2内に搬送するように適合された排出ダクト12内に送達する。
【0029】
特に、流路11は、それぞれの内壁、特に管状体10の内側管状壁によって画定され、これは可変の実質的に円形の断面を有し、管状体10の下端部で、流路11をダクト12、及びしたがって流路11に充填される容器2と流体接続する出口開口部13で終端する。
【0030】
図示のこの非限定的な好ましい実施形態によれば、出口開口部13は、軸線Bに対して横方向の位置に得られ、したがって軸線Bと同軸ではない。
【0031】
より具体的には、出口開口部13は、軸線Bに対して、管状体10を画定する外壁から半径方向に突出し、ダクト12に接続された噴出口14によって画定される。
【0032】
図3a及び
図3bに見られるように、管状体10は、(ダクト6からダクト12に向かう注入可能な製品の流れ方向に沿って)実質的に円筒形であり、実質的に一定の円形断面を有する第1の部分15と、実質的に円筒形であり、第1の部分15の直径よりも小さい直径を有する円形断面を有する第2の部分16と、第1の部分15の下流かつ第2の部分16の上流に配置され、流路11の狭断面部分を画定する第3の部分17と、を備える。
【0033】
第1の部分15、第2の部分16及び第3の部分17は、軸線Bと同軸である。
【0034】
充填装置5は、弁部材、特にシャッタ18を更に備え、シャッタ18は管状体10と係合し、容器2に向かう注入可能な製品の流れを可能にし、又は防止するために流路11内で軸線方向に移動可能である。
【0035】
詳細には、シャッタ18は、以下で更に説明する方法に従って、軸線Bと同軸に第1の部分15と係合する本体21と、本体21から軸線方向に延在し、第3の部分17及び第2の部分16と選択的に係合するのに適したプランジャ22と、を備える。
【0036】
示される実施例では、プランジャ22は、本体21から出口開口部13に向かって一体的に延在する。
【0037】
示されるこの好ましい実施形態によれば、シャッタ18は、軸線Bに対して非対称な構成を有する。このような構成は、多くの場合、例えば、懸濁液中に小片を有する注入可能な製品、例えば、懸濁液中のヨーグルト又はフルーツ片を含むジュースを取り扱うように構成された適量充填装置5が想定されるときに必要となり得るので、そのような充填可能な製品の適切な吐出量及び流れを確実にする。
【0038】
充填装置5はまた、流路11内のシャッタ18の軸運動を駆動するように構成された磁気アクチュエータ手段20を備える。
【0039】
図3a及び
図3bに示すように、アクチュエータ手段20は、
-プランジャ22が第2の部分16と係合し、第3の部分17と共に、注入可能な製品が第1の部分15から第3の部分17を通って第2の部分16に、したがってダクト12及び容器2に向かって流れるための通路を画定する開放位置で(
図3b)、及び、
-プランジャ22が第3の部分17の内壁と密封的に協働して、第1の部分15と第2の部分16との間のいかなる流体的接続も防止し、それによってダクト12及び容器2に向かう注入可能な製品の流れを遮断する閉鎖位置で(
図3a)、シャッタ18を駆動して、後者を制御するように構成される。
【0040】
この目的のため、プランジャ22は、シャッタ22が閉鎖位置に駆動されると、第3の部分17の内壁と接触して密封して協働するように構成された封止部材、例えば既知のOリング23を担持する。
【0041】
アクチュエータ手段20は、シャッタ18、特に本体22によって担持された被駆動磁気アセンブリ24と、流路11の外側、特に管状体10の外側に配置され、被駆動アセンブリ24と磁気的に結合されて流路11内のシャッタ18の動きを制御するように構成された駆動磁気アセンブリ25とを備える。
【0042】
詳細には、駆動アセンブリ25は、管状体10の対極側面に、好ましくはそれぞれ軸線Bから同じ半径距離に配置された一対の第1の磁気要素26を備える。
【0043】
より詳細には、アクチュエータ手段20は、軸線Bと同軸に、管状体10の外壁の一部を取り囲むように配置された環状キャリア27を更に備え、第1の磁気要素26を、特に収容するために担持し、そのため、これらの後者は、管状体10のそれぞれの上述の対極側面において、管状体10の外壁に隣接して配置される。
【0044】
キャリア27は、軸線方向に移動するように構成され、それによって第1の磁気要素26の軸線方向位置を制御する。
【0045】
この目的のため、アクチュエータ手段20は、管状体10に対して横方向に配置され、ロッド29によってキャリア27に結合された空気圧アクチュエータ、好ましくは既知の空気圧ピストン28を更に備える。
【0046】
使用時には、既知の方法でピストン28を作動させることによって、軸線Bに対するキャリア27、したがって第1の磁気要素26の軸線方向に沿った軸運動を制御することが可能である。
【0047】
図示されていない代替の実施形態によれば、アクチュエータ手段20は、油圧ピストン、電気ステッパモータ、リニアモータ等の、キャリア27の移動を制御するための任意の適切なアクチュエータを備えることができる。
【0048】
被駆動アセンブリ24は、シャッタ18内、特に本体21内に配置された少なくとも1つの第2の磁気要素30を備える。
【0049】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、被駆動アセンブリ24は、軸線Bに対する本体21のそれぞれの周方向位置において、シャッタ18内、特に本体21内に配置された一対の第2の磁気要素30を備える。
【0050】
特に、第2の磁気要素30は、本体21内の、その周辺環状部分に埋め込まれている。
【0051】
更に、各第1の磁気要素26は、2つの第2の磁気要素30のうちの最も近いものと磁気対31を画定する。
【0052】
実際には、
図3a及び
図3bを参照すると、アクチュエータ手段20は、2つの磁気対31を備え、各磁気対31は、一方の第1の磁気要素26及び、これに最も近い第2の磁気要素30によって画定される。
【0053】
好都合には、
図2に示すように、磁気対31は、軸線Bに対して単一の半径方向に沿って単一列の磁気対31を画定するように配置される。
【0054】
「列」という表現では、本明細書では、軸線Bに対して上述の単一の半径方向に沿って整列した複数の少なくとも2つの磁気対31を意図していることが述べられる。
【0055】
好ましくは、磁気アクチュエータ手段20は、軸線Bに対して半径方向に対向する位置に配置された正確に2つの磁気対31を備える。
【0056】
図3a及び
図3bから分かるように、
-各第1の磁気要素26は、2つの第1の磁気双極子51を備え、2つの第1の磁気双極子51は、軸線Bから同じ半径距離に、かつ等号の(すなわち、等しい符号を有する)相対磁極が軸線方向に互いに対向するようにそれぞれの位置に、互いに対して軸線方向に連続して配置され、
-各第2の磁気要素30は、2つの第2の磁気双極子52を備え、2つの第2の磁気双極子52は、軸線Bから同じ半径距離に、かつ等号の相対磁極が軸線方向に互いに対向するようにそれぞれの位置に、互いに対して軸線方向に連続して配置され、
-各第1の磁気要素26は、第3の磁気双極子53を更に備え、第3の磁気双極子53は、2つの第1の磁気双極子51の間に軸線方向に介在し、軸線Bに対して径方向に連続して配置された磁極を含み、第3の磁気双極子53の半径方向最内側の磁極は、軸線方向に互いに対向する第1の磁気双極子51の磁極の符号に等しい符号を有する。
【0057】
更に、各磁気対31について、第1及び第3の磁気双極子51、53及び反対の符号を有する第2の磁気双極子52の磁極が、半径方向に互いに対向するように、第1の磁気要素26が、第2の磁気要素30と半径方向に対向する。言い換えれば、各磁気対31について、第1の磁気要素26は、第1及び第3の磁気双極子51、53の磁極が、第1及び第3の磁気双極子51、53の対向する磁極の符号と反対の符号をそれぞれ有する第2の磁気双極子52の磁極に半径方向に対向するように、第2の磁気要素30に対向する。
【0058】
実際には、各磁気対31について、反対符号の磁極は半径方向に互いに対向する。
【0059】
上記に照らして、第3の磁気双極子53の半径方向最内側の磁極は、軸線方向に互いに対向する第2の磁気双極子52の磁極の符号と反対の符号を有する。
【0060】
また、第1の磁気双極子51の軸線方向に互いに対向する磁極は、第2の磁気双極子52の軸線方向に互いに対向する磁極に対して反対の符号を有する。
【0061】
この特定の実施例では、第1の磁気双極子51の軸線方向に互いに対向する磁極はN極であり、第2の磁気双極子52の軸線方向に互いに対向する磁極はS極である。
【0062】
したがって、各第3の磁気双極子53の半径方向最内側の磁極はN極である。
【0063】
あるいは、第1の磁気双極子51の軸線方向に互いに対向する磁極はS極であってもよく、第2の磁気双極子52の軸線方向に互いに対向する磁極はN極であってもよい。この最後の場合、各第3の磁気双極子53の半径方向最内側の磁極はS極である。
【0064】
シャッタ18に埋め込まれた第2の磁気要素30の数(1又は2以上)にかかわらず、磁気アクチュエータ手段20の磁極の特有の配置は、駆動磁気アセンブリ25と被駆動磁気アセンブリ24との間に強い磁気結合を引き起こす一種の磁束の方向付け(canalization)を提供するので、特に有利である。
【0065】
実際、本出願人は、上記の特有の配置が軸線Bに対して半径方向に内側方向への磁束の大部分の偏向を引き起こし、それによって駆動磁気アセンブリ25と被駆動磁気アセンブリ24との間の磁気結合力を改善し、同時に、カルーセル3によって担持される充填装置5付近の間の磁気相互作用を低減することを観察した。
【0066】
更に、上述のように被駆動磁気アセンブリが一対の第2の磁気要素30を備える場合、各第2の磁気要素30は、実質的に最も隣接する第1の磁気要素26のみと磁気的に結合される。言い換えると、各第1の磁気要素26は、同じ磁気対31の第2の磁気要素30と、他方の磁気対31の第2の磁気要素30よりも相対的に強く磁気的に結合される。
【0067】
この構成により、本体21、したがって軸線Bに対するシャッタ18の角変位が実質的に防止される。
【0068】
実際、軸線Bに対するシャッタ18の任意の角変位が発生した場合、各第2の磁気要素30は、同じ磁気対31の相対的な第1の磁気要素26によって引き付けられ、それによってシャッタ18の角変位を制御して元の所定の角度位置に戻し、後者は、駆動アセンブリ25と被駆動アセンブリ24との相対的な配置によって元々決定される、安定したシステムが得られる。
【0069】
言い換えれば、磁気アクチュエータ手段20の上記の構成は、軸線Bを中心としたシャッタ18の角閉塞の効果を得ることを可能にする。
【0070】
本明細書では、「に対向する」という動詞は、磁極が磁気的に互いに対向していること、すなわち、磁極が互いに向かって配向されているため、その間に材料があってもなくても、磁極間に磁気的相互作用が確立されることを示すと述べられる。この場合、各磁気対31について、第1の要素26の磁極は、管状体10の壁と本体21の環状周縁部との間に介在するにもかかわらず、このような意味で第2の要素30の磁極と対向している。
【0071】
好ましくは、各第3の磁気双極子53は、同じ第1の磁気要素26の2つのそれぞれの第1の磁気双極子51に隣接する。
【0072】
特に、各第1の磁気要素26は、2つの第1の磁気双極子51の間に軸線方向に介在する正確に2つの第1の磁気双極子51及び1つの第3の磁気双極子53を備える。
【0073】
好ましくは、各第2の磁気要素30は、強磁性要素、特に第2の磁気双極子52の間に軸線方向に介在する強磁性ワッシャ55を備える。
【0074】
各ワッシャ55は、第1の磁気要素26から対応する第2の磁気要素30への磁束の更に強い方向付けを提供する。
【0075】
好ましくは、第3の磁気双極子53の半径方向最内側の磁極は、ワッシャ55と半径方向に対向するように配置される。
【0076】
以下、充填機1の動作が、単一の充填装置5を参照し、シャッタ18が閉鎖位置にある状態から開始して、説明される。
【0077】
この状態では、アクチュエータ手段20は、駆動アセンブリ25と被駆動アセンブリ24との間の磁気相互作用によって、すなわち、2つの磁気対31によって、シャッタ18をその開放位置で駆動するように制御される。
【0078】
磁気双極子51、52、53の特有の配置は、軸線Bに対して、そこから生成される磁束の大部分の半径方向の内側方向への偏向を確実にする。
【0079】
更に、第1の磁気要素26及び第2の磁気要素30の特定の配置は、第1の部分15内の本体21のいかなる永久的な角変位も防止し、それによって流路11内のシャッタ18の角度位置の制御を提供する。
【0080】
所定量の注入可能な製品がダクト12に供給されると、シャッタ18はその閉鎖位置に戻されるように制御される。
【0081】
以上の説明から、本発明に係る充填装置5の利点が明らかとなる。
【0082】
特に、シャッタ18に埋め込まれた第2の磁気要素30の数(1又は2以上)にかかわらず、磁気アクチュエータ手段20の磁極の特有の配置は、駆動磁気アセンブリ25と被駆動磁気アセンブリ24との間の強い磁気結合を提供する。
【0083】
実際、本出願人は、上記の特有の配置が軸線Bに対して半径方向に内側方向の磁束の大部分の偏向を引き起こし、それによって駆動磁気アセンブリ25と被駆動磁気アセンブリ24との間の磁気結合力を改善し、カルーセル3によって担持される充填装置5付近の間の磁気相互作用を低減することを観察した。
【0084】
したがって、上述の特有の配置はまた、所望の磁気結合を保証するために必要な磁性材料の総量を低減することを可能にする(したがって、充填装置5の全体的なコストを低減する)ので有利である。
【0085】
更に、駆動磁気アセンブリ25と被駆動磁気アセンブリ24との間の磁気結合力が増加されるため、流路11内の製品通過のための半径方向のクリアランスを増加させることができる。
【0086】
更に、被駆動磁気アセンブリ24が一対の第2の磁気要素30を備える場合、したがって、磁気アクチュエータ手段20が2つの磁気対31を備える場合、本体21、したがってシャッタ18の軸線Bに対する角変位は実質的に防止される。
【0087】
実際、シャッタ18の任意の角変位が提供される場合、各第2の磁気要素30は、同じ磁気対31の相対的な第1の磁気要素26によって引き付けられ、それによってシャッタ18の角変位を制御して元の所定の角度位置に戻す、安定したシステムが提供される。
【0088】
これは、本明細書に記載の実施形態のように、シャッタが非対称構成を有する場合に特に有利である。
【0089】
更に、本発明によるアクチュエータ手段20は、摺動部又は当接部がないため、摩耗を受けないシャッタ18のための簡単で経済的な角度停止部を提供する。
【0090】
更に、アクチュエータ手段20は、流路内に配置されたいかなる特定の構成要素もなしに、シャッタ18の角変位を容易に制限、特に防止することができ、それによって注入可能な製品の流れに対するいかなる障害要因も防止する。
【0091】
明らかに、添付の特許請求の範囲に定義された保護の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の充填装置5に変更を加えることができる。