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特許7395749耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/78 20060101AFI20231204BHJP
   C23C 22/07 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
C23C22/78
C23C22/07
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022536685
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 KR2020013936
(87)【国際公開番号】W WO2021125522
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0168561
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ロ-ボム
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジョン-ホ
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-537592(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173287(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/108785(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/78
C23C 22/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mnを0.5重量%以上含有する鋼板として、酸洗、化成処理液の組成物を用いる洗浄及び乾燥後に鋼板の表面に鋼成分を除いた成分として、0.01~10mg/mのCa+Mg、0.01~10mg/mのP、0.01~20mg/mのC及び0.05~30mg/mのOを含有し、
前記化成処理液の組成物は、塩化カルシウム1~5重量%、塩化マグネシウム1~5重量%、リン酸エステル5~15重量%、エチルアミン5~15重量%、ソジウムカーボネート2~10重量%、アンモニウムアセテート1~10重量%、酸化抑制剤0.1~2重量%及び残部溶媒を含む水性組成物である、耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板。
【請求項2】
前記鋼板は、黄色度が3.0以下である、請求項1に記載の耐黄変性及びリン酸塩処理
性が向上した鋼板。
【請求項3】
前記鋼板の表面に鋼成分を除いて、N、Cl、F、Na、Al、Si、S、K、Ti、
V、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu、Zn、Zr及びMoからなる群から選択され
る少なくとも一つ以上の成分を10mg/m以下(0は除く)の含有量でさらに含有す
る、請求項1に記載の耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上
に、下記(1)~(6)の処理段階の少なくとも一つ以上の段階を含む、表面処理鋼板の
製造方法。
(1)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Ni、Fe、Cu又はZ
nの少なくとも一つ以上の成分を含むフラッシュめっき層を形成する段階;
(2)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上にリン酸塩処理層を形成する
段階;
(3)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Zn、Al、Mg及びS
iの少なくとも一つ以上の成分を溶融めっき又は電気めっきによってめっきする段階;
(4)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に防錆油を塗布する段階;
(5)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に樹脂組成物を塗布して樹脂
層を形成する段階;
(6)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に塗料を塗布して塗装層を形
成する段階。
【請求項5】
Mnを0.5重量%以上含有する鋼板として、焼鈍熱処理、化成処理液の組成物を用いる冷却及び乾燥後に鋼板の表面に鋼成分を除いた成分として、0.01~10mg/mのCa+Mg、0.01~10mg/mのP、0.01~20mg/mのC及び0.05~30mg/mのOを含有し、前記化成処理液の組成物は、塩化カルシウム1~5重量%、塩化マグネシウム1~5重量%、リン酸エステル5~15重量%、エチルアミン5~15重量%、ソジウムカーボネート2~10重量%、アンモニウムアセテート1~10重量%、酸化抑制剤0.1~2重量%及び残部溶媒を含む水性組成物である、耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板。
【請求項6】
前記鋼板は、黄色度が3.0以下である、請求項5に記載の耐黄変性及びリン酸塩処理
性が向上した鋼板。
【請求項7】
前記鋼板の表面に鋼成分を除いて、N、Cl、F、Na、Al、Si、S、K、Ti、
V、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu、Zn、Zr及びMoからなる群から選択され
る少なくとも一つ以上の成分を10mg/m以下(0は除く)の含有量でさらに含有す
る、請求項5に記載の耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか一項に記載の耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上
に、下記(1)~(6)の処理段階の少なくとも一つ以上の段階を含む、表面処理鋼板の
製造方法。
(1)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Ni、Fe、Cu又はZ
nの少なくとも一つ以上の成分を含むフラッシュめっき層を形成する段階;
(2)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上にリン酸塩処理層を形成する
段階;
(3)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Zn、Al、Mg及びS
iの少なくとも一つ以上の成分を溶融めっき又は電気めっきによってめっきする段階;
(4)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に防錆油を塗布する段階;
(5)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に樹脂組成物を塗布して樹脂
層を形成する段階;
(6)前記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に塗料を塗布して塗装層を形
成する段階。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、鋼板の酸洗-水洗又は熱処理-水冷後に鋼板の表面に酸化皮膜の生成を抑制させることで、耐黄変性及びリン酸塩処理性を向上させた鋼板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷延鋼板は塗装工程時に、塗膜密着性を確保するために、主にリン酸塩処理をした後、その上に塗装して用いることになるが、塗装品質は形成されるリン酸塩皮膜の均一性、カバレッジ(coverage)及び付着量などの影響を受けるようになる。特に、頻繁に塗装品質の不良を引き起こす要因は、リン酸塩皮膜の均一性及びカバレッジの不足である。リン酸塩皮膜の均一性が不足する場合には、塗装後の表面にムラが発生するという問題があり、リン酸塩皮膜のカバレッジが不足する場合には、耐食性が減少するという問題がある。したがって、リン酸塩被膜の均一性を確保するためには、素地鉄とリン酸塩溶液との間の均一な反応性が必要である。
【0003】
このためには、鋼板メーカーは製品全体の表面が均一な特性を有する冷延鋼板を製造する必要があり、製品加工会社は、化成処理時に均一なリン酸塩反応が起こるように、リン酸塩処理条件を最適化する必要がある。また、リン酸塩皮膜が形成されず、カバレッジが不足するという問題を解決するためには、リン酸塩溶液との反応性に優れた鋼板を製造する必要がある。
【0004】
ところで、冷延鋼板は、製造過程で鋼板が酸化し、表面に酸化皮膜が形成される。この酸化皮膜は鋼成分、鋼板の位置、操業条件の違いによって厚く又は薄く形成される特徴があり、製品加工会社でリン酸塩処理を行う際に、リン酸塩皮膜の均一性及びカバレッジに影響を及ぼす。これは、酸化皮膜が鋼板とリン酸塩溶液との反応を妨害するためである。酸化皮膜の厚さが不均一であると、リン酸塩皮膜も不均一に形成され、また、酸化皮膜の厚さが厚い場合には、リン酸塩皮膜が形成されない、もしくはカバレッジが不足して塗装品質が低下するという問題が生じる。この他にも、酸化皮膜の厚さが厚い場合、冷延鋼板自体に黄変現象が観察され、明るさが暗くなって美観を損なう問題がある。特に、SiやMnを比較的多く含有している高強度鋼は、耐酸化性が脆弱であって黄変現象が容易に発生するという問題がある。
【0005】
特許文献1~3には、上述の問題のうち、リン酸塩処理性を解決するための技術が提案されている。
【0006】
特許文献1は、鋼成分のうち、Mnが2.3~2.5重量%の範囲で含有された場合は、Pの含有量を0.01~0.07重量%の範囲に調節し、Mnが1.8~2.3重量%の範囲で含有された場合は、Pの含有量を0.07~0.09重量%の範囲に調節する方法である。しかしながら、鋼成分を調節又は変化させる方法は、鋼板の基本的な製造仕様を確保する上で障害となるだけでなく、特許文献1に開示された技術は、リン酸塩処理性のみならず、耐黄変性を改善する効果も僅かであって、好ましくない。
【0007】
特許文献2は、鋼成分のうち、Cu及びCr元素の合計を1000ppm以下に低く管理し、連続焼鈍ライン(CAL、Continuous Annealing Line)の終冷セクション(FCS、Final Cooling Section)の温度を110℃以下に管理し、調質圧延の表面粗さを0.9~1.4μmの範囲に管理して、リン酸塩処理性に優れた冷延鋼板を製造する技術である。しかし、特許文献2に開示された技術は粗さ管理が容易でなく、終冷セクションの温度確保のための低速運転が不可避であって、生産性が40~50%下落するという問題がある。
【0008】
特許文献3では、鋼板の表面に0.2~20mg/mの銅をさらに被覆させて、リン酸塩処理性を向上させようとした。しかし、銅成分を被覆することで、外観が暗く黄変が発生するという問題が現れ、リン酸塩処理性の改善効果も不足するという欠点がある。
【0009】
特許文献4~7には、上述した問題のうち、耐黄変性の問題を解決するための技術が提案されている。
【0010】
特許文献4には、水酸化ナトリウムを用いて水洗液のpHを中性化することで、水洗工程中の熱延鋼板の腐食を防止する技術が開示されており、特許文献5には、アルキルアミン、アルキルジアミン及びアルキルテトラミンの1つ又は2つ以上が40~80体積%、高温安定化剤としてテトラヒドロ-1,4-オキサジンが10~50体積%、及び水溶液安定剤として無水シトリックアシッド10体積%以上が含まれた酸洗鋼板のムラ及び防錆剤が開示されている。特許文献6には、グルコン酸塩及びポリクオタニウム化合物の水溶液で処理して表面を不動態化する技術が開示されており、特許文献7には、酸洗後に後続する変色防止処理槽でカルボン酸及びアルカリ剤の反応によって生成された変色防止剤を処理し、後続する洗浄槽から上記変色防止剤を除去する技術が開示されている。
【0011】
しかしながら、上記先行文献に記載された技術は、耐黄変特性が十分でなく、特に最近需要が大きく増加している高強度鋼に対する耐黄変特性は、さらに不足するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】KR2009-0103172号
【文献】KR1996-0063070号
【文献】KR1993-0031046号
【文献】KR2000-0082171号
【文献】KR2006-0079405号
【文献】US2002-201705号
【文献】JP2001-319765号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような実情に鑑みて案出されたものであって、鋼板のリン酸塩処理性及び耐黄変性を向上させるために、水冷セクション(Water Cooling Section)又は水洗セクション(Water Rinsing Section)において、リン酸塩処理性及び耐黄変性の向上処理を行う技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面によると、Mnを0.5重量%以上含有する鋼板として、酸洗、水洗及び乾燥後に鋼板の表面に鋼成分を除いた成分として、0.01~10mg/mのCa+Mg、0.01~10mg/mのP、0.01~20mg/mのC及び0.05~30mg/mのOを含む、耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板が提供される。
【0015】
上記鋼板は黄色度が3.0以下であることができる。
【0016】
上記鋼板の表面に鋼成分を除いて、N、Cl、F、Na、Al、Si、S、K、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu、Zn、Zr及びMoからなる群から選択される少なくとも一つ以上の成分を10mg/m以下(0は除く)の含有量でさらに含有することができる。
【0017】
本発明の他の側面によると、上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、下記(1)~(6)の処理段階の少なくとも一つ以上の段階を含む表面処理鋼板の製造方法が提供される。
(1)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Ni、Fe、Cu又はZnの少なくとも一つ以上の成分を含むフラッシュめっき層を形成する段階;
(2)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上にリン酸塩処理層を形成する段階;
(3)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Zn、Al、Mg及びSiの少なくとも一つ以上の成分を溶融めっき又は電気めっきによってめっきする段階;
(4)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に防錆油を塗布する段階;
(5)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成する段階;
(6)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に塗料を塗布して塗装層を形成する段階。
【0018】
本発明のまた他の側面によると、Mnを0.5重量%以上含有する鋼板として、焼鈍熱処理、水冷及び乾燥後に鋼板の表面に鋼成分を除いた成分として、0.01~10mg/mのCa+Mg、0.01~10mg/mのP、0.01~20mg/mのC及び0.05~30mg/mのOを含有する、耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板が提供される。
【0019】
上記鋼板は黄色度が3.0以下であることができる。
【0020】
上記鋼板の表面に鋼成分を除いて、N、Cl、F、Na、Al、Si、S、K、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu、Zn、Zr及びMoからなる群から選択される少なくとも一つ以上の成分を10mg/m以下(0は除く)の含有量でさらに含有することができる。
【0021】
本発明のまた他の側面によると、上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、下記(1)~(6)の処理段階の少なくとも一つ以上の段階を含む表面処理鋼板の製造方法が提供される。
(1)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Ni、Fe、Cu又はZnの少なくとも一つ以上の成分を含むフラッシュめっき層を形成する段階;
(2)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上にリン酸塩処理層を形成する段階;
(3)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Zn、Al、Mg及びSiの少なくとも一つ以上の成分を溶融めっき又は電気めっきによってめっきする段階;
(4)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に防錆油を塗布する段階;
(5)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成する段階;
(6)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に塗料を塗布して塗装層を形成する段階。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、鋼板の製造工程において、水冷セクション又は水洗セクションにおいて、鋼板の表面にリン酸塩処理性及び耐黄変性を向上させる化成処理を行うことで、これを用いた製品及び各種後続処理された製品の表面品質が向上する効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、様々な実施例を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
冷延鋼板を製造するための連続焼鈍工程ラインは、一般的に、2種類の工程に細分化することができる。一つは、鋼板が連続的に焼鈍炉に入り、還元性雰囲気で熱処理を終えた後、水冷セクションで冷却して焼鈍炉を抜け出ると、調質圧延(SPM、Skin Pass Mill)及び塗油を行うことで、冷延鋼板を製造する工程である。もう一つは、同様に鋼板が連続的に焼鈍炉に入り、還元性雰囲気で熱処理を終えた後、水冷セクションで冷却して焼鈍炉を抜け出ると、後処理(Post-treatment)をさらに行った後、調質圧延及び塗油を行って冷延鋼板を作る工程である。上記後処理は、通常的に酸洗セッション-水洗セクション及び金属コーティングセクション-水洗セクションを通過しながら鋼板の表面に存在する酸化物を酸洗し、必要に応じてNi、Zn、Cu、及びFeなどの金属系コーティングを行う処理を意味する。
【0025】
上記のような工程を経て製造された冷延鋼板の表面には、酸化物皮膜が形成されているが、このような酸化物皮膜は、主に鋼板が水と接触するようになる水冷セクション及び水洗セクションで鋼成分が酸化して形成されたものである。上記酸化物皮膜は、リン酸塩処理性など、後工程の品質を低下させ、さらに黄変現象を引き起こして外観を損なうという問題がある。特に、高強度鋼は、マンガン、シリコン、及びアルミニウムなどの強酸化性成分が多量に含有されているため、容易に酸化し、これによって上記酸化物皮膜の厚さが厚く、黄変がさらによく発生するという問題がある。
【0026】
ここで、本発明は、上記水冷セクション及び上記水洗セクションの少なくとも一つ以上で鋼板の表面にリン酸塩核生成を促進する効果及び黄変を抑制する効果を有する化成処理を行って、リン酸塩処理性及び耐黄変性が向上した冷延鋼板を提供する。
【0027】
本発明の一側面によると、Mnを0.5重量%以上含有する鋼板として、酸洗、水洗及び乾燥後に鋼板の表面に鋼成分を除いた成分として、0.01~10mg/mのCa+Mg、0.01~10mg/mのP、0.01~20mg/mのC、及び0.05~30mg/mのOを含有するリン酸塩処理性及び耐黄変性が向上した鋼板が提供される。
【0028】
また、本発明の他の側面によると、Mnを0.5重量%以上含有する鋼板として、焼鈍熱処理、水冷及び乾燥後に鋼板の表面に鋼成分を除いた成分として、0.01~10mg/mのCa+Mg、0.01~10mg/mのP、0.01~20mg/mのC及び0.05~30mg/mのOを含有する耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板が提供される。
【0029】
Mnの含有量が0.5重量%未満である鋼板は、水冷及び水洗段階で酸化物皮膜が激しく形成されないため、これに対する別途の処理は要求されない。しかし、Mnが0.5重量%以上含有された鋼板は、水冷及び水洗段階で鋼成分が水分及び酸素と反応して多量の酸化物皮膜を形成するようになり、これによって後続工程でリン酸塩処理性、Niフラッシュ(flash)処理性、塗装性などの品質が低下するだけでなく黄変が発生するため、このための処理が求められる。したがって、本発明において、リン酸塩処理性及び耐黄変性を向上させるための基材としては、鋼板の鋼成分のうちMnを0.5重量%以上含む鋼板に適用することがより好ましい。
【0030】
本発明の一実施例によるリン酸塩処理性及び耐黄変性が向上した鋼板は、鋼板の表面に鋼成分を除いた成分として、Ca、Mg、P、C及びOを含むことができる。上記Ca、Mg、P及びCは、鋼板の焼鈍熱処理後、水冷セクションの冷却水及び水洗セクションの水洗水内に含まれた化成処理液の組成物が乾燥後に鋼板の表面に残留するものであり、Oは上記冷却水及び水洗水内に含まれた化成処理液の組成物と鋼板の表面に不可避に形成された酸化物成分から検出されるものであることができる。上記Ca、Mg、P、C及びOが水冷及び水洗後に鋼板の表面に所定量付着することで、鋼板のリン酸塩処理性及び耐黄変性を向上させることができる。
【0031】
水冷、水洗及び乾燥後に冷延鋼板の表面に付着した成分は、Ca及びMgの総含有量、すなわち、Ca+Mgが0.01~10mg/mの含有量で付着していることが好ましい。Ca+Mgの付着量が0.01mg/m未満である場合は、十分なリン酸塩処理性が発揮できず、Ca+Mgの付着量が10mg/mを超過する場合は、それ以上の改善効果がないだけでなく、ムラが発生し、化成処理液の安定性が低下するという問題がある。
【0032】
Pは鋼板の表面に0.01~10mg/mの含有量で付着していることが好ましい。Pの付着量が0.01mg/m未満である場合は、十分なリン酸塩処理性及び耐黄変性が発揮できず、Pの付着量が10mg/mを超過する場合は、鋼板にムラが発生し、却って表面が暗くなるという問題がある。
【0033】
Cは鋼板の表面に0.01~20mg/mの含有量で付着していることが好ましい。上記Cの付着量が0.01mg/m未満である場合は、十分な耐黄変性が発揮できず、20mg/mを超過する場合は、表面外観の低下及び後続工程のリン酸塩処理性が低下するという問題がある。
【0034】
本発明の一実施例による鋼板は、上記Ca、Mg、P及びCと共にOを含み、上記Oは0.05~30mg/mの含有量で付着していることが好ましい。上記Oの付着量が0.05mg/m未満である場合は、十分な耐黄変性が発揮できないという問題があり、30mg/mを超過する場合は、黄変がひどくて表面外観が悪く、また、後続工程でリン酸塩処理性を低下させるという問題がある。
【0035】
また、本発明の好ましい実施例によると、鋼板の表面に鋼成分を除いて、Ca、Mg、P、C及びO以外に、N、Cl、F、Na、Al、Si、S、K、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu、Zn、Zr及びMoをさらに含むことができる。これらの成分は1種含まれてもよいことはもちろん、2種以上含まれてもよい。
【0036】
このとき、上記N、Cl、F、Na、Al、Si、S、K、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu、Zn、Zr及びMo成分は、合計付着量が10mg/m以下(但し、0は除く)の含有量で存在することが好ましい。上記追加的成分の合計付着量が10mg/mを超過する場合は、却って鋼板の表面にムラが発生して表面外観を落とすという問題がある。
【0037】
リン酸塩処理で形成されたリン酸塩皮膜のカバレッジが約90%未満でさらに低くなるほど塗装性が低下するという問題があるが、本発明の一実施例による鋼板は、上記のように水冷及び水洗後に乾燥した鋼板の表面にCa、Mg、P、C及びOが所定量付着することで、リン酸塩処理を行う場合、90%以上の良好なリン酸塩皮膜カバレッジを実現することができる。
【0038】
また、本発明の一実施例による上記冷延鋼板は、上記のように水冷及び水洗後に乾燥した鋼板の表面にCa、Mg、P、C及びOが所定量付着することで、水冷及び水洗時に鋼板の黄変を抑制することができる。耐黄変処理鋼板の品質は、色差計(Minolta Spectrophotometer、CM3700d)によって測定される値として、鋼板の表面の黄色度が3以下であることが好ましい。鋼板の表面の黄色度が3以下の低い値を示すほど表面外観に優れるが、黄色度が3を超過する場合は、黄変がひどくなって表面外観が悪く、後工程であるリン酸塩処理性を低下させるという問題がある。
【0039】
上記のような本発明の一実施例によるリン酸塩処理性及び耐黄変性に優れた冷延鋼板は水冷であるが、水洗過程で鋼板の酸化皮膜の生成を効果的に抑制しつつ、リン酸塩核生成を促進する皮膜を形成することができるため、熱延酸洗工程、熱延酸洗塗油工程、熱延酸洗めっき工程、連続焼鈍工程、ステンレス工程、溶融めっき工程及び電気亜鉛めっき工程などのように水冷及び水洗を行う鋼板の製造工程には、全て適用が可能である。
【0040】
上記のようなリン酸塩処理性及び耐黄変性に優れた冷延鋼板は、鋼板の表面にCa、Mg、P、C及びOを上記のような付着量で提供することができる化成処理液組成物を適用して、鋼板を水冷又は水洗することで生産することができる。
【0041】
このように、焼鈍後の鋼板を水冷又は水洗するための冷却水及び水洗水内に上記のようなリン酸塩処理促進剤及び酸化抑制剤組成物を添加して処理することで、リン酸塩処理性及び耐黄変性に優れた冷延鋼板を製造することができる。このとき、上記のようなCa、Mg、P、C及びOを鋼板の表面に所定の含有量で残存させることで、本発明で提供される冷延鋼板を得ることができる。鋼板の表面に付着する上記Ca、Mg、P、C及びOの含有量は、冷却水や水洗水内の組成を適宜調節して得ることができる。また、冷却及び水洗工程の処理条件、すなわち、時間、温度、濃度などを調節して得ることができる。このように、上記のような含有量でCa、Mg、P、C、及びOを付着することができるものであれば、その方法は特に限定されない。
【0042】
例えば、塩化カルシウム1~5重量%、塩化マグネシウム1~5重量%、リン酸エステル5~15重量%、エチルアミン5~15重量%、ソジウムカーボネート2~10重量%、アンモニウムアセテート1~10重量%、酸化抑制剤0.1~2重量%、及び残部溶媒を含む水性組成物を鋼板の水洗又は水冷の少なくとも一つ以上の工程に適用して、リン酸塩処理性及び耐黄変性に優れた冷延鋼板を製造することができる。上記水洗組成物の溶媒は、蒸留水や水又は界面活性剤を少量含む蒸留水や水を用いることができる。
【0043】
一方、上記酸化抑制剤としては特に限定するものではないが、リン酸エステル化合物、アミン系化合物、カーボネート系化合物、グリコール系化合物、及びアセテート系化合物から選択された1種以上を用いることができる。
【0044】
一方、本発明のまた他の側面によると、上述した耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、下記(1)~(6)の処理段階及びこれと類似した処理段階を含んで少なくとも一つ以上の段階を含む表面処理鋼板の製造方法が提供される。
(1)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Ni、Fe、Cu又はZnの少なくとも一つ以上の成分を含むフラッシュめっき層を形成する段階;
(2)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上にリン酸塩処理層を形成する段階;
(3)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に、Zn、Al、Mg及びSiの少なくとも一つ以上の成分を溶融めっき又は電気めっきによってめっきする段階;
(4)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に防錆油を塗布する段階;
(5)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成する段階;
(6)上記耐黄変性及びリン酸塩処理性が向上した鋼板上に塗料を塗布して塗装層を形成する段階。
【0045】
これによって、本発明の一実施例による冷延鋼板は、鋼板上にNi、Fe、Cu、又はZnの少なくとも一つ以上の成分を含むフラッシュめっき層;リン酸塩処理層;Zn、Al、Mg及びSiの少なくとも一つ以上の成分を含むめっき層;防錆油層;樹脂層;及び塗装層の少なくとも一つ以上の層が形成されていることができる。
【実施例
【0046】
以下、具体的な実施例を介して本発明をより具体的に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定するものではない。
【0047】
実施例
実験例1~4
鋼板の組成として、Si1.1重量%及びMnを下記表1に示した含有量で含有している厚さが1.0mmである980MPa級冷延鋼板を横×縦100mm×100mmの大きさで加工した試験片を用いた。
【0048】
上記試験片を5重量%濃度の塩酸500ml(80℃)の酸洗液に5秒間沈積して酸洗を行った後、蒸留水で水洗を行った。酸洗及び水洗を終えた各試験片について色差計(Minolta Spectrophotometer、CM3700d)を用いて黄色度を測定し、黄変発生有無に応じて耐黄変性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○-耐黄変性有り:黄色度3以下である場合
×-耐黄変性無し:黄色度3超過である場合
【0049】
一方、上記酸洗及び水洗を終えた各試験片を下記の条件で表面調整を行い、リン酸塩処理を行った。
-表面調節:薬品名PL-Z(大韓パーカライジング(株))、濃度pH7.5~11、処理時間21秒、表面調整液の温度25~35℃
-リン酸塩処理:薬品名PB-37(大韓パーカライジング(株))、遊離酸度0.6~1point、処理時間80秒、リン酸塩処理溶液の温度40~45℃
【0050】
上記条件でリン酸塩処理を行った各試験片について、リン酸塩粒子の付着状態を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、これを用いてリン酸塩粒子のカバレッジをイメージ分析器で測定してリン酸塩処理性を評価した。このとき、リン酸塩処理性の評価は、以下の基準に基づいて行った。
○-リン酸塩処理性の良好:カバレッジ90%以上
×-リン酸塩処理性の不良:カバレッジ90%未満
【0051】
耐黄変性及びリン酸塩処理性の結果を下記表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
上記表1に示したように、鋼成分組成中にマンガンが0.5重量%未満で含まれた試験片1の場合には、黄変が発生せず、耐黄変性を有し、またリン酸塩性にも優れた結果を示した。一方、マンガン含有量が0.5重量%以上含む試験片2~4について適用した実験例2~4の場合には、黄変が発生し、リン酸塩性も低下する結果を示した。この結果から、マンガンを0.5重量%以上含む鋼は、耐黄変処理によって黄変防止能を提供する必要があることが確認できる。
【0054】
実施例1~15及び比較例1~8
Mn2.8重量%を含む実験例3で用いられた試験片と同様の試験片3を用いて、上記実験例3と同一条件で酸洗及び水洗を行い、このとき、水洗は実験例3の蒸留水の代わりに、下記のように組成した水洗液500mlに10秒間沈積して水洗した。
【0055】
上記水洗液は、塩化カルシウム3重量%、塩化マグネシウム3重量%、リン酸エステル10重量%、エチルアミン8重量%、ソジウムカーボネート6重量%、アンモニウムアセテート5重量%、及び残部界面活性剤を少量含有した蒸留水から構成された耐黄変及びリン酸塩の向上のための化成処理液を蒸留水に0.5重量%添加して組成された水洗液を基本水洗液として用いた。
【0056】
上記水洗液の構成成分のうち、1種又は2種以上の含有量を適宜変更させて水洗を行うことで、鋼成分を除いて鋼板の表面に付着される成分の付着量を表2のように多様に調節した。このとき、各鋼板の表面に付着した鋼成分を除いたCa、Mg、P、C、Oの含有量は、湿式法、蛍光X線分析器(XRF)、グロー放電分光器(GDS)、エネルギー分散型分光分析法(EDS)などを用いて分析したところ、その結果を下記表2に示した。これらの各成分の付着量に応じて各試験片を順に記載し、各試験片における耐黄変性を併せて表2に記載した。
【0057】
一方、上記リン酸塩処理性向上剤及び酸化抑制剤を用いて化成処理を行った場合、鋼板の表面にCa、Mg、P、C及びO成分以外にも、Cl、N、Na、S成分などのようにさらに付着して存在する成分があったが、さらに存在する成分は、所定の含有量まではリン酸塩処理性及び耐酸化性に及ぼす影響が大きくないか、一定した傾向性を示さなかったため、本実施例ではその他の成分として表した。
【0058】
続いて、水洗した各試験片の表面に実験例1と同様の方法で表面調整及びリン酸塩処理を行った後、実験例1と同様の方法でリン酸塩処理性を評価し、下記の方法で表面外観特性を評価した。評価結果を表2に示した。
【0059】
表面外観の特性評価は、各実施例及び比較例において、上記水洗を終えた試験片及びリン酸塩処理を終えた試験片の表面を目視で観察し、ムラ発生有無に対し、以下の基準で表面外観特性を評価した。
○-表面外観が良好:ムラが全く発生しない
△-表面外観が普通:微細なムラが発生したが、製品として販売可能な水準
×-表面外観が不良:ムラがひどく発生した
【0060】
【表2】
【0061】
上記表2から分かるように、水洗後にリン酸塩処理性及び耐黄変性を有する試験片の表面には、Ca+Mgが0.01~10mg/mの範囲で付着しており、Pが0.01~10mg/mの範囲で付着しており、Cは0.01~20mg/mの範囲で付着しており、Oは30mg/m以下の範囲で付着しており、その他の成分は10mg/m以下の範囲で付着していることが確認できる。また、このような範囲の成分を有する試験片は、表面外観も良好であると評価された。しかしながら、Ca+Mgが0.01mg/m未満である比較例1、Pの付着量が0.01mg/m未満である比較例3、Cの付着量が0.01mg/m未満である比較例5は、黄色度が3超過であるか、リン酸塩カバレッジが90%未満として測定されて、耐黄変性及びリン酸塩処理性が劣化した結果を示した。
【0062】
一方、Ca+Mg、P、C、O、又はその他の成分の付着量が本発明で限定する範囲を超えて過量付着した比較例2、4、6、7及び8は、リン酸塩処理性、耐黄変性及び表面外観の少なくとも一つ以上の品質が却ってさらに低下する結果を示した。
【0063】
上記の結果から、水洗後の鋼板の表面にCa+Mg、P、C及びOの含有量が本発明で提案する範囲内で付着している場合には、リン酸塩処理性に優れることはもちろん、耐黄変性も優れていることが分かる。
【0064】
また、実施例13~15及び比較例8は、水洗後の試験片の表面にCa+Mg、P、C及びOの含有量が本発明の範囲内の含有量で付着し、Cl、N、Na、S成分などのその他の成分がさらに付着した場合の試験片の品質特性を評価したものである。ここで、実施例13~15の場合には、リン酸塩処理性、耐黄変性及び表面外観がいずれも優れた結果を示した。
【0065】
一方、比較例8のように、その他の成分の合計付着量が10mg/mを超過して付着した場合には、鋼板の表面にムラがひどく現れる結果が示された。したがって、上記のその他の成分は、水洗鋼板の表面に付着されることがより好ましい場合もあるが、その含有量が10mg/mを超過しないようにすることで好ましい効果が得られることが確認できる。
【0066】
一方、表面外観と表面色度との関係を確認するために、溶液安定性とは別に、表面外観が劣った結果を示した比較例4、6及び7と表面外観が良好である実施例2、5、14の試験片に対して黄色度を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0067】
【表3】
【0068】
上記表3を参照すると、水洗後の鋼板の表面色度が本発明の範囲である3.0以下を満たす場合、リン酸塩性、耐黄変性及び表面外観に優れたレベルであることが確認できる。
【0069】
実施例16~18及び比較例9~10
実施例16~18及び比較例9~10は、後処理工程が含まれていない冷延鋼板の製造条件、すなわち焼鈍を終えた鋼板が水冷セクションで冷却して焼鈍炉を抜け出た後、調質圧延及び塗油を経て冷延鋼板となる工程に適用したものであって、水冷セクションの冷却水に化成処理液を実施例1と同様に組成して冷却する方法でリン酸塩処理性及び耐黄変性に及ぼす効果を上述の基準に基づいて評価し、その結果を以下の表4に示した。
【0070】
【表4】
【0071】
上記表4を参照すると、後処理工程なしに水冷セクションのみを有する一般冷延工程に適用する場合にも、水洗後の鋼板の表面にCa+Mg、P、C及びOの含有量が本発明で提案する範囲内で付着している場合には、リン酸塩処理性、耐黄変性及び表面外観に満足するレベルであることが分かる。以上から本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは、当技術分野の通常の知識を有する者には自明である。